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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】照明装置および投射型画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20241213BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241213BHJP
   F21V 29/56 20150101ALI20241213BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241213BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241213BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241213BHJP
【FI】
G03B21/14 B
F21S2/00 311
F21S2/00 340
F21S2/00 377
F21V29/56
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
F21Y115:30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020160046
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053290
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-09-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】山岸 成多
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-541001(JP,A)
【文献】特開2016-095486(JP,A)
【文献】特開2010-256494(JP,A)
【文献】特開2009-294639(JP,A)
【文献】特開2009-128689(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01298939(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第01308767(EP,A2)
【文献】国際公開第2020/054397(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0180936(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106292145(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
F21S 2/00
F21V 29/56
G03B 21/00
H04N 5/74
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子からなるレーザ素子群を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子からなるレーザ素子群を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、
前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束を前記第1の光束に向かって前記第の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、を有し、
前記光路シフト光学系が、平行四辺形状のプリズムであって、
前記プリズムが、前記第1の反射面、前記第2の反射面、前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束が透過する第1の透過面、および前記第1の透過面に対して平行であって且つ前記第2の反射面によって反射された第2の光束が透過する第2の透過面を備え、
前記第2の反射面は、前記第1の方向視で、前記第1の光源ユニットのレーザ素子群と前記第2の光源ユニットのレーザ素子群との間に位置する照明装置。
【請求項2】
前記第1および第2の光源ユニットそれぞれの複数のレーザ素子が、半導体レーザ素子であって、
前記第1および第2の光源ユニットが、前記半導体レーザ素子それぞれに対して設けられたコリメートレンズを含んでいる、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1および第2の光源ユニットが、前記複数の半導体レーザ素子の配列ピッチと同一の配列ピッチで前記複数のコリメートレンズが配列されて一体化されたものであるコリメートレンズアレイを含んでいる、請求項に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1および第2の光源ユニットが取り付けられる第1の伝熱面と前記第1の伝熱面に対して反対側の第2の伝熱面とを備える伝熱板と、
前記伝熱板の前記第2の伝熱面に取り付けられる冷却装置と、をさらに有する請求項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記冷却装置が、前記伝熱板を挟んで前記第1の光源ユニットに対向配置される第1の冷却装置と、前記伝熱板を挟んで前記第2の光源ユニットに対向配置される第2の冷却装置とを含んでいる、請求項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記伝熱板の前記第2の伝熱面に当接する吸熱面と前記第1の冷却装置が取り付けられる放熱面とを備える第1の熱電素子と、
前記伝熱板の前記第2の伝熱面に当接する吸熱面と前記第2の冷却装置が取り付けられる放熱面とを備える第2の熱電素子と、をさらに有する請求項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1の方向視で、前記第1の光源ユニットが前記第1の熱電素子の前記吸熱面の中央部分に配置されているとともに、前記第2の光源ユニットが前記第2の熱電素子の前記吸熱面の中央部分に配置されている、請求項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記伝熱板が、前記第1の光源ユニットが取り付けられるとともに前記第1の熱電素子と当接する第1の伝熱板と、前記第2の光源ユニットが取り付けられるとともに前記第2の熱電素子と当接する第2の伝熱板とを含んでいる、請求項またはに記載の照明装置。
【請求項9】
前記半導体レーザ素子が、赤色レーザ光を出射する、請求項からのいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
少なくとも1つの照明装置を含む照明部、
前記照明部からの照明光を変調して画像光として出力する画像表示部、および、
前記画像光を拡大投射する投射光学系と、を含み、
前記照明装置が、
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子からなるレーザ素子群を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子からなるレーザ素子群を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、
前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束を前記第1の光束に向かって前記第の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、を有し、
前記光路シフト光学系が、平行四辺形状のプリズムであって、
前記プリズムが、前記第1の反射面、前記第2の反射面、前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束が透過する第1の透過面、および前記第1の透過面に対して平行であって且つ前記第2の反射面によって反射された第2の光束が透過する第2の透過面を備え、
前記第2の反射面は、前記第1の方向視で、前記第1の光源ユニットのレーザ素子群と前記第2の光源ユニットのレーザ素子群との間に位置する投射型画像表示装置。
【請求項11】
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、
前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束を前記第1の光束に向かって前記第1の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、
前記第1および第2の光源ユニットが取り付けられる第1の伝熱面と前記第1の伝熱面に対して反対側の第2の伝熱面とを備える伝熱板と、
前記伝熱板の前記第2の伝熱面に取り付けられ、前記伝熱板を挟んで前記第1の光源ユニットに対向配置される第1の冷却装置と、
前記伝熱板の前記第2の伝熱面に取り付けられ、前記伝熱板を挟んで前記第2の光源ユニットに対向配置される第2の冷却装置と、
前記伝熱板の前記第2の伝熱面に当接する吸熱面と前記第1の冷却装置が取り付けられる放熱面とを備える第1の熱電素子と、
前記伝熱板の前記第2の伝熱面に当接する吸熱面と前記第2の冷却装置が取り付けられる放熱面とを備える第2の熱電素子と、を有する照明装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置およびそれを備える投射型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載するように、投射型画像表示装置に使用され、LEDやレーザ素子などの複数の光源からの出射光を高密度に集合させることによって高輝度の照明光を照射する照明装置が知られている。特許文献1に記載された照明装置の場合、複数の光源をそれぞれ含む複数の光源ユニットそれぞれからの光束をミラーなどの光学要素を介して高密度に集合させることにより、高輝度な照明光の照射を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-211603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載する照明装置のように、複数の光源をそれぞれ含む複数の光源ユニットの光束を高密度に集合させて高輝度の照明光の照射を実現する場合、光源ユニットのサイズや形状、冷却装置などの光源ユニットのオプションのサイズや形状などにより、光源ユニットの接近配置が制限され、それにより光束の高密度の集合が制限される場合がある。
【0005】
そこで、本開示は、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、
前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束を前記第1の光束に向かって前記第1の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、を有する照明装置が提供される。
【0007】
また、本開示の別の態様によれば、
少なくとも1つの照明装置を含む照明部、
前記照明部からの照明光を変調して画像光として出力する画像表示部、および、
前記画像光を拡大投射する投射光学系と、を含み、
前記照明装置が、
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、
互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、
前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束を前記第1の光束に向かって前記第1の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、を有する投射型画像表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態1に係る投射型画像表示装置の概略的な構成図
図2】実施の形態1に係る照明装置の斜視図
図3】実施の形態1に係る照明装置の正面図
図4】実施の形態1に係る照明装置の側面図
図5】実施の形態1に係る照明装置の上面図
図6】第1の光束の像と第2の光束の像とを示す図
図7】本開示の実施の形態2に係る投射型画像表示装置における照明装置の正面図
図8】本開示の実施の形態3に係る投射型画像表示装置における照明装置の正面図
図9】本開示の実施の形態4に係る投射型画像表示装置における照明装置の正面図
図10】実施の形態4に係る照明装置の上面図
図11】本開示の実施の形態5に係る投射型画像表示装置における照明装置の正面図
図12】実施の形態5に係る照明装置の上面図
図13】本開示の別の実施の形態に係る投射型画像表示装置の概略的な構成図
図14】複数の光束の像を示す図
図15】別例の光源ユニットの別例の上面図
図16】3つの光源ユニットを備える別例の照明装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様の照明装置は、互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束を前記第1の光束に向かって前記第1の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、を有する。
【0011】
このような態様によれば、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することができる。
【0012】
例えば、前記光路シフト光学系が、平行四辺形状のプリズムであって、前記プリズムが、前記第1の反射面、前記第2の反射面、前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束が透過する第1の透過面、および前記第1の透過面に対して平行であって且つ前記第2の反射面によって反射された第2の光束が透過する第2の透過面を備えてもよい。
【0013】
例えば、前記光路シフト光学系が、前記第1の反射面を備える第1のミラーと、前記第2の反射面を備える第2のミラーを含んでいてもよい。
【0014】
例えば、前記第1および第2の光源ユニットそれぞれの複数のレーザ素子が、半導体レーザ素子であって、前記第1および第2の光源ユニットが、前記半導体レーザ素子それぞれに対して設けられたコリメートレンズを含んでいてもよい。
【0015】
例えば、前記第1および第2の光源ユニットが、前記複数の半導体レーザ素子の配列ピッチと同一の配列ピッチで前記複数のコリメートレンズが配列されて一体化されたものであるコリメートレンズアレイを含んでいてもよい。
【0016】
例えば、照明装置は、前記第1および第2の光源ユニットが取り付けられる第1の伝熱面と前記第1の伝熱面に対して反対側の第2の伝熱面とを備える伝熱板と、前記伝熱板の前記第2の伝熱面に取り付けられる冷却装置と、をさらに有してもよい。
【0017】
例えば、前記冷却装置が、前記伝熱板を挟んで前記第1の光源ユニットに対向配置される第1の冷却装置と、前記伝熱板を挟んで前記第2の光源ユニットに対向配置される第2の冷却装置とを含んでいる。
【0018】
例えば、照明装置は、前記伝熱板の前記第2の伝熱面に当接する吸熱面と前記第1の冷却装置が取り付けられる放熱面とを備える第1の熱電素子と、前記伝熱板の前記第2の伝熱面に当接する吸熱面と前記第2の冷却装置が取り付けられる放熱面とを備える第2の熱電素子と、をさらに有してもよい。
【0019】
例えば、前記第1の方向視で、前記第1の光源ユニットが前記第1の熱電素子の前記吸熱面の中央部分に配置されているとともに、前記第2の光源ユニットが前記第2の熱電素子の前記吸熱面の中央部分に配置されてもよい。
【0020】
例えば、前記伝熱板が、前記第1の光源ユニットが取り付けられるとともに前記第1の熱電素子と当接する第1の伝熱板と、前記第2の光源ユニットが取り付けられるとともに前記第2の熱電素子と当接する第2の伝熱板とを含んでいてもよい。
【0021】
例えば、前記半導体レーザ素子が、赤色レーザ光を出射してもよい。
【0022】
本開示の別の態様の投射型画像表示装置は、少なくとも1つの照明装置を含む照明部、前記照明部からの照明光を変調して画像光として出力する画像表示部、および、前記画像光を拡大投射する投射光学系と、を含み、前記照明装置が、互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束を前記第1の光束に向かって前記第1の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、を有する。
【0023】
このような態様によれば、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える、投射型画像表示装置の照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することができる。
【0024】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本開示の一実施の形態に係る投射型画像表示装置を概略的な構成図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態1に係る投射型画像表示装置10は、いわゆるDLP方式のプロジェクタであって、照明部12と、照明部12からの照明光の少なくとも一部を変調して画像光を出力する画像表示部14と、画像表示部14から出力された画像光を拡大投射する投射光学系16とを含んでいる。
【0027】
投射型画像表示装置10の照明部12は、赤色光を照射する照明装置20と、緑色光を照射する照明装置22と、青色光を照射する照明装置24とを含んでいる。さらに、照明部12は、照明装置22からの緑色光と照明装置24からの青色光を重ね合わせて出射する緑色選択反射ミラー26と、緑色選択反射ミラー26から出射された光と照明装置20からの赤色光を重ね合わせて出射する赤色選択反射ミラー28と、赤色選択反射ミラー28から出射された光が集光するロッドインテグレータ30とを含んでいる。さらに、照明部12は、赤色選択反射ミラー28とロッドインテグレータ30との間に配置された、レンズ32、ミラー34、およびレンズ36を含んでいる。なお、照明装置20、22、および24は、照射光の色が異なる点を除いて実質的に同一の構成を備えており、その詳細については後述する。
【0028】
照明部12からの照明光は、リレーレンズ38、40、ミラー42、およびフィールドレンズ44を介して画像表示部14に到達する。
【0029】
画像表示部14は、照明部12からの照明光を全反射する全反射プリズム46を備える。全反射プリズム46は、三角プリズム48と、三角プリズム48との間にエアギャップを形成する三角プリズム50とから構成されている。照明光は、エアギャップに接する三角プリズム48の表面48aで全反射され、表面48bを透過してカラープリズムユニット52に入射する。
【0030】
画像表示部14のカラープリズムユニット52は、全反射プリズム46によって反射された照明光を三つに分光し、分光した光それぞれを対応するDMD(デジタルミラーデバイス)54R、54G、および54Bに出射し、DMD54R、54G、および54Bからの反射光を合成して全反射プリズム46に向かって出射するように構成されている。
【0031】
具体的には、カラープリズムユニット52は、青色光を反射するダイクロイックミラー面56aを備えた第1のプリズム56と、赤色光、青色光を反射するダイクロイックミラー面58aを備えた第2のプリズム58と、第3のプリズム60とから構成されている。なお、第1のプリズム56と第2のプリズム58との間には全反射のためのエアギャップが設けられている。カラープリズムユニット52は、赤色光をDMD54Rに出射し、緑色光をDMD54Gに出射し、青色光をDMD54Bに出射する。
【0032】
DMD54R、54G、および54Bは、実質的に同一の構成であって、概略、ベース部と、傾き角度が二者択一で変更可能に且つマトリックス状にベース部に設けられた複数のマイクロミラーとを含むデバイスである。マイクロミラーの傾き角度は、外部からの映像信号に基づいて変更される、例えば、マイクロミラーは、その反射光がゼロ度の入射角でカラープリズムユニット52に入射する第1の傾き角度と、その反射光がゼロ度に比べて大きい角度でカラープリズムユニット52に入射する第2の傾き角度で、選択的に傾く。このような構成により、DMD54Rは少なくとも部分的に変調された赤色光(赤色画像光)を出力し、DMD54G、54Bも同様に緑色画像光、青色画像光を出力する。
【0033】
DMD54R、54G、および54Bからの赤色画像光、緑色画像光、および青色画像光は、カラープリズムユニット52によって合成され、合成後の画像光(カラー画像光)が、全反射プリズム46に向かって出射される。カラー画像光は、全反射プリズム46を透過し、投射レンズなどを含む投射光学系16を介して、スクリーンなどに拡大投射される。
【0034】
ここからは、投射型画像表示装置10の照明部12の照明装置20、22、および24の詳細について説明する。なお、照明装置20、22、および24は、照明光の色が異なる点を除いて、実質的に同一の構成を備える。したがって、照明装置20について説明し、残りの照明装置22、24については説明を省略する。
【0035】
図2は、実施の形態1に係る照明装置の斜視図である。また、図3は、実施の形態1に係る照明装置の正面図である。さらに、図4は、実施の形態1に係る照明装置の側面図である。そして、図5は、実施の形態1に係る照明装置の上面図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。Z軸方向は、照明装置の照射光の照射方向を示している。
【0036】
図2および図3に示すように、本実施の形態1に係る照明装置20は、第1および第2の光源ユニット70、72を有する。なお、本実施の形態1の場合、第1および第2の光源ユニット70、72は、同一の構成を備える。
【0037】
図5に示すように、第1および第2の光源ユニット70、72は、互いの光軸が平行に(Z軸方向に延在し)且つマトリックス状に(X-Y平面上で)配列された複数のレーザ素子74を含んでいる。レーザ素子74は、例えば半導体レーザ素子である。本実施の形態1の場合、第1および第2の光源ユニット70、72それぞれには、20個のレーザ素子74が5×4のマトリックス状に配列されている。
【0038】
なお、本実施の形態1の場合、第1および第2の光源ユニット70、72は、レーザ素子74がそれぞれに設けられ、レーザ素子74からのレーザ光を実質的に平行光にするコリメートレンズ76を含んでいる。また、本実施の形態1の場合、複数のコリメートレンズ76は、一体化され、コリメートレンズアレイ78を構成している。コリメートレンズアレイ78において、複数のコリメートレンズ76は、レーザ素子74の配列ピッチと同一の配列ピッチで配列されている。
【0039】
図3に示すように、複数のレーザ素子74を含む第1および第2の光源ユニット70、72は、複数の平行光線からなる第1および第2の光束LF1、LF2を出射する。第1および第2の光束L1、LF2を同一方向(Z軸方向)に出射するように、第1および第2の光源ユニット70、72は配置されている。本実施の形態1の場合、照明装置20は、銅などの熱伝導率が高い材料から作製された伝熱板80を有し、その伝熱板80の平面状の第1の伝熱面80aに、第1および第2の光源ユニット70、72はねじにより取り付けられている。
【0040】
伝熱板80は、第1および第2の光束LF1、LF2の出力によって発生した第1および第2の光源ユニット70、72から熱を奪うための部材である。なお、第1および第2の光源ユニット70、72から伝熱板80への熱伝達効率を向上させるために、これらの間に熱伝導グリースなどの熱伝達促進部材が配置されてもよい。
【0041】
本実施の形態1の場合、図2図4に示すように、照明装置20はさらに、伝熱板80を冷却する冷却装置82を有する。冷却装置82は、第1および第2の光源ユニット70、72が取り付けられた第1の伝熱面80aの反対側の第2の伝熱面80bにねじなどを介して取り付けられている。本実施の形態1の場合、冷却装置82は、例えばその冷却面82aに接触する部材(本実施の形態1の場合には伝熱板80)を液体(冷媒)で冷却する装置であって、冷媒が流入する流入管82bと、冷媒が流出する流出管82cと、冷媒の流れを発生させるポンプ(図示せず)とを有する。この冷却装置82によって伝熱板80を介して冷却されることにより、第1および第2の光源ユニット70、72の高出力化とともに長寿命化を図ることができる。なお、図5に示すように、照明装置10の上面視(Z軸方向視)で、第1および第2の光源ユニット70、72は、冷却性を考慮すると、冷却面82aの輪郭内に位置するのが好ましい。
【0042】
図3および図5に示すように、第1および第2の光源ユニット70、72は、第1の距離D1をあけて配置されている。具体的には、可能な限り接近させているものの、そのサイズや形状などの制約を受けて、第1および第2の光束LF1、LF2の出射方向(Z軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に第1の距離D1をあけて第1および第2の光源ユニット70、72は並列配置されている。
【0043】
図3に示すように、第1および第2の光源ユニット70、72が第1の距離D1をあけて配置されていると、当然ながら、第1および第2の光束LF1、LF2も、第1の距離D1をあけて出射される。その結果、照明装置20から照射された照明光の像は、中央部分が暗くて外側部分が明るい輝度ムラが生じ、画質を損なう。そこで、照明装置20から照射される照明光を輝度ムラの発生を抑えて高密度化するために、照明装置20は、光路シフト光学系84を有する。
【0044】
本実施の形態1の場合、光路シフト光学系84は、図2および図3に示すように、平行四辺形状のプリズムである。具体的には、第1および第2の光束LF1、LF2の出射方向(Z軸方向)および第1および第2の光源ユニット70、72の並列方向(Y軸方向)に対して直交する方向(X軸方向)視で、光路シフト光学系84は、平行四辺形状を成す。
【0045】
図3に示すように、平行四辺形状のプリズム84は、光が透過可能であって高温でも変形しにくい材料、例えばガラスから作製されている。プリズム84は、第2の光源ユニット72から出射された第2の光束LFの全てを第1の光束LF1に向かって第1および第2の光源ユニット70、72の並列方向(Y軸方向)に反射する第1の反射面84aを備える。また、プリズム84は、第1の反射面84aに対して平行であって、且つ、第1の反射面84aによって反射された第2の光束LF2を第1の光束LF1に対して第1の距離に比べて小さい第2の距離D2をあけて平行になるように反射する第2の反射面84bを備える。さらに、プリズム84は、第1の反射面84aによって反射される前の第2の光束LF2の全てが透過する第1の透過面84cと、第1の透過面84cに対して平行であって且つ第2の反射面84bによって反射された第2の光束LFが透過する第2の透過面84dとを備える。なお、プリズム84は、例えば、伝熱板80を保持する照明装置20の筺体(図示せず)によって保持される。
【0046】
このような光路シフト光学系(プリズム)84によれば、第2の光束LF2を、第1および第2の光源ユニット70、72の間の第1の距離D1に比べて小さい第2の距離D2まで、第1の光束LF1に接近させることができる。それにより、第1および第2の光束LF1、LF2が高密度に集合する。
【0047】
なお、第1の光束LF1は、光路シフト光学系(プリズム)84に関係しない。すなわち、第1の光束LF1は、光路シフト光学系84によって反射されることなくまたは光路シフト光学系84を透過することなく、第1の光源ユニット70から伝播する。
【0048】
図6は、第1の光束の像と第2の光束の像とを示す図である。
【0049】
図6に示すように、光路シフト光学系84が存在する場合、第2の光束LF2の像Im2(実線)は、光路シフト光学系84が存在しない場合(点線)に比べて、第1の光束LF1の像Im1に接近する。それにより、照明装置20における光路域Pa(実線)を、光路シフト光学系84が存在しない場合(点線)に比べて小さくすることができる。その結果、照明装置20の照明光は、輝度ムラが抑制されるとともに、高密度化される。また、投射型画像表示装置10内のレンズなどの光学要素を小型化することも可能になり、その結果として、投射型画像表示装置10を小型化することができる。
【0050】
以上のような本実施の形態1によれば、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することができる。
【0051】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る投射型画像表示装置は、照明装置における光路シフト光学系が異なる点で、上述の実施の形態1と異なる。したがって、その異なる点を中心に、本実施の形態2について説明する。なお、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の本実施の形態2の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0052】
図7は、本開示の実施の形態2に係る投射型画像表示装置における照明装置の正面図である。
【0053】
図7に示すように、本実施の形態2に係る照明装置120は、上述の実施の形態1と同様に、第1の距離D1をあけて配置された第1および第2の光源ユニット70、72を有する。第2の光源ユニット72の第2の光束LF2を第1の光源ユニット70の光束LF1に接近させるために、照明装置120は、光路シフト光学系を有する。
【0054】
本実施の形態2の場合、光路シフト光学系は、第1および第2のミラー184A、184Bを含んでいる。第1のミラー184Aは、第2の光源ユニット72から出射された第2の光束LFの全てを第1の光束LF1に向かって第1および第2の光源ユニット70、72の並列方向(Y軸方向)に反射する第1の反射面184Aaを備える。第2のミラー184Bは、第1のミラー184Aの反射面184Aaに対して平行であって、且つ、その反射面184Aaによって反射された第2の光束LF2を第1の光束LF1に対して第1の距離D1に比べて小さい第2の距離D2をあけて平行になるように反射する第2の反射面184Baを備える。
【0055】
以上のような本実施の形態2によれば、上述の実施の形態1と同様に、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することができる。
【0056】
(実施の形態3)
本実施の形態3に係る投射型画像表示装置は、照明装置における第1および第2の光源ユニットの間の距離が異なり、それにより冷却装置が異なる点で、上述の実施の形態1と異なる。したがって、その異なる点を中心に、本実施の形態3について説明する。なお、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の本実施の形態3の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0057】
図8は、本開示の実施の形態3に係る投射型画像表示装置における照明装置の正面図である。
【0058】
図8に示すように、本実施の形態3に係る照明装置220において、第1および第2の光源ユニット70、72は、上述の実施の形態1に比べて大きい距離D3(>D1)をあけて配置されている。その理由は、照明装置220における冷却装置が、上述の実施の形態1の冷却装置と異なるからである。
【0059】
具体的には、上述の実施の形態1の場合、図3に示すように、1つの冷却装置82が、第1および第2の光源ユニット70、72に対して共通に使用される。一方、本実施の形態3の場合、図8に示すように、第1および第2の光源ユニット70、72それぞれに対して第1および第2の冷却装置282A、282Bが互いに最大限接近した状態で設けられている。第1の冷却装置282Aは、伝熱板280を挟んで第1の光源ユニット70に対向配置されている。また、第2の冷却装置282Bは、伝熱板280を挟んで第2の光源ユニット72に対向配置されている。
【0060】
照明装置220の上面視(Z軸方向視)で第1および第2の冷却装置282A、282Bの冷却面282Aa、282Baにおける中央部分に第1および第2の光源ユニット70、72が配置されている。その結果、第1および第2の光源ユニット70、72が距離D3をあけて離れている。すなわち、第1および第2の光源ユニット70、72は、第1および第2の冷却装置282A、282Bのサイズの制約を受けて、接近配置が制限されている。
【0061】
なお、第1および第2の光源ユニット70、72が第1の実施の形態1での距離D1に比べて大きい距離D3をあけていることにより、伝熱板280と光路シフト光学系(プリズム284)は、上述の実施の形態1における伝熱板80と光路シフト光学系84に比べて大型化されている。
【0062】
このように第1および第2の光源ユニット70、72それぞれに対して第1および第2の冷却装置282A、282Bが設けられると、第1および第2の光源ユニット70、72の接近配置が制限される。しかしながら、光路シフト光学系(プリズム)284により、上述の実施の形態1と同様に、第2の光源ユニット72の第2の光束LF2を第1の光源ユニット70の第1の光束LF1に接近させることができる。
【0063】
また、第1および第2の光源ユニット70、72それぞれに対して第1および第2の冷却装置282A、282Bが設けられるので、第1および第2の光源ユニット70、72の冷却制御を独立して行うことができる。
【0064】
以上のような本実施の形態3によれば、上述の実施の形態1と同様に、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することができる。
【0065】
(実施の形態4)
本実施の形態4は、上述の実施の形態3の改良形態である。したがって、実施の形態3と異なる点を中心に、本実施の形態4について説明する。なお、上述の実施の形態3の構成要素と実質的に同一の本実施の形態4の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0066】
図9は、本開示の実施の形態4に係る投射型画像表示装置における照明装置の正面図である。また、図10は、実施の形態4に係る照明装置の上面図である。
【0067】
図9および図10に示すように、本実施の形態4に係る照明装置320は、第1の熱電素子386Aと、第2の熱電素子386Bとを有する。
【0068】
第1および第2の熱電素子386A、386Bは、例えばペルチェ素子であって、冷却対象(本実施の形態4の場合には第1および第2の光源ユニット70、72)の熱を吸収する吸熱面386Aa、386Baと、吸収した熱を放熱する放熱面386Ab、386Bbとを備える。
【0069】
具体的には、第1の熱電素子386Aは、伝熱板280と第1の冷却装置282Aとの間に配置される。第1の熱電素子386Aの吸熱面386Aaが伝熱板280の第2の伝熱面280bに当接し、放熱面386Abが第1の冷却装置282Aの冷却面282Aaに当接する。特に具体的には、図10に示すように、照明装置320の上面視(Z軸方向視)で、吸熱面386Aaが第1の光源ユニット70にオーバーラップする。
【0070】
第2の熱電素子386Bは、伝熱板280と第2の冷却装置282Bとの間に配置される。第2の熱電素子386Bの吸熱面386Baが伝熱板280の第2の伝熱面280bに当接し、放熱面386Bbが第2の冷却装置282Bの冷却面282Baに当接する。特に具体的には、図10に示すように、照明装置320の上面視(Z軸方向視)で、吸熱面386Baが第2の光源ユニット72にオーバーラップする。
【0071】
このような第1および第2の熱電素子386A、386Bは、伝熱板280を介して、第1および第2の光源ユニット70、72を冷却する(熱を吸収する)。冷却によって高温になった第1および第2の熱電素子386A、386Bの放熱面386Ab、386Bbは、第1および第2の冷却装置282A、282Bによって冷却される。
【0072】
これにより、第1および第2の熱電素子386A、386Bに供給する駆動電流を制御することにより、第1および第2の光源ユニット70、72の温度を細かく制御することができる。例えば、光源ユニット70、72のレーザ素子として赤色半導体レーザ素子が使用されている場合、その赤色半導体レーザ素子は温度によって出力、波長、および寿命が変化するので、その温度を一定に維持するために第1および第2の熱電素子386A、386Bによる温度制御を行う。
【0073】
なお、図10に示すように、本実施の形態4の場合、照明装置320の上面視(Z軸方向視)で、第1および第2の熱電素子386A、386Bの吸熱面386Aa、386Baは、第1および第2の光源ユニット70、72に比べて十分に大きい。この場合、上面視で、第1のおよび第2の光源ユニット70、72は、吸熱面386Aa、386Baの中央部分に配置されるのが好ましい。
【0074】
これと異なり、照明装置320の上面視(Z軸方向視)で第1および第2の光源ユニット70、72が吸熱面386Aa、386Baにおける外周近傍部分に配置された場合、第1および第2の光源ユニット70、72から離れた吸熱面386Aa、386Baの部分に対向する伝熱板280の部分に結露が生じる可能性がある。すなわち、第1および第2の熱電素子386A、386Bによって冷却される伝熱板280において、熱源である第1および第2の光源ユニット70、72から離れた部分に結露が生じる可能性がある。このような結露の発生を抑制するために、照明装置320の上面視で、第1および第2の光源ユニット70、72は、第1および第2の熱電素子386A、386Bの吸熱面386Aa、386Baの中央部分に配置するのが好ましい。
【0075】
このように、照明装置320の上面視(Z軸方向視)で、第1のおよび第2の光源ユニット70、72が第1および第2の熱電素子386A、386Bの吸熱面386Aa、386Baの中央部分に配置されると、第1および第2の光源ユニット70、72の接近配置が制限される。しかしながら、光路シフト光学系(プリズム)284により、上述の実施の形態1と同様に、第2の光源ユニット72の第2の光束LF2を第1の光源ユニット70の第1の光束LF1に接近させることができる。
【0076】
以上のような本実施の形態4によれば、上述の実施の形態1と同様に、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することができる。
【0077】
(実施の形態5)
本実施の形態5は、上述の実施の形態4の改良形態である。したがって、実施の形態3と異なる点を中心に、本実施の形態5について説明する。なお、上述の実施の形態4の構成要素と実質的に同一の本実施の形態5の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0078】
図11は、本開示の実施の形態5に係る投射型画像表示装置における照明装置の正面図である。また、図12は、本実施の形態5に係る照明装置の上面図である。
【0079】
図11および図12に示すように、本実施の形態5に係る照明装置420は、図9および図10に示す上述の実施の形態4に係る照明装置320と異なり、第1および第2の光源ユニット70、72それぞれに対して第1および第2の伝熱板480A、480Bが設けられている。
【0080】
具体的には、本実施の形態5に係る照明装置420は、第1の光源ユニット70が取り付けられるとともに第1の熱電素子386Aと当接する第1の伝熱板480Aと、第2の光源ユニット72が取り付けられるとともに第2の熱電素子386Bと当接する第2の伝熱板480Bとを有する。
【0081】
第1および第2の光源ユニット70、72それぞれに対して個別の第1および第2の伝熱板480A、480Bが設けられることにより、熱的に分離された2つのユニットが構成される。一方のユニットは、第1の光源ユニット70、第1の伝熱板480A、第1の熱電素子386A、および第1の冷却装置282Aから構成される。他方のユニットは、第2の光源ユニット72、第2の伝熱板480A、第2の熱電素子386A、および第2の冷却装置282Bから構成される。このように、1つの光源ユニット、1つの伝熱板、1つの熱電素子、および1つの冷却装置をユニット化することにより、照明装置の製造が容易になるとともに、光源ユニットの数が異なる照明装置を簡単に構築することができる。また、熱的に分離されているために、複数の光源ユニットそれぞれの温度を容易に且つ高精度に制御することが可能になる。
【0082】
以上のような本実施の形態5によれば、上述の実施の形態1と同様に、複数のレーザ素子をそれぞれ含む複数の光源ユニットを備える照明装置において、複数の光源ユニットの接近配置が制限されても、光源ユニットそれぞれの光束を高密度に集合させ、高輝度の照明光を照射することができる。
【0083】
以上、上述の実施の形態1~5を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限らない。
【0084】
例えば、図1に示すように、上述の実施の形態1の場合、投射型画像表示装置10は、DLP方式のプロジェクタであるが、これに限らない。本開示の実施の形態に係る投射型画像表示装置は、3LCD(Liquid Crystal Display)方式のプロジェクタであってもよい。
【0085】
また、上述の実施の形態1の場合、投射型画像表示装置10の照明部12は、3つの照明装置20、22、および24を備える。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0086】
図13は、本開示の別の実施の形態に係る投射型画像表示装置の概略的な構成図である。
【0087】
図13に示す投射型画像表示装置510において、照明部512は、赤色光を照射する2つの照明装置520A、520Bと、緑色光を照射する2つの照明装置522A、522Bと、青色光を照射する2つの照明装置524A、524Bとを備える。
【0088】
2つの照明装置524A、524Bからの青色光は、ミラー525A、525Bによって反射され、緑色選択反射ミラー526A、526B、赤色選択反射ミラー527A、527Bを透過し、レンズ528、ミラー529、およびレンズ530を透過してロッドインテグレータ532に入射する。
【0089】
また、2つの照明装置522A、522Bからの緑色光は、緑色選択反射ミラー526A、526Bによって反射され、赤色選択反射ミラー527A、527Bを透過し、レンズ528、ミラー529、およびレンズ530を透過してロッドインテグレータ532に入射する。
【0090】
そして、2つの照明装置520A、520Bからの赤色光は、赤色選択反射ミラー527A、527Bに反射され、レンズ528、ミラー529、およびレンズ530を透過してロッドインテグレータ532に入射する。
【0091】
図14は、2つの照明装置からの光束の像を示している。
【0092】
図14に示すように、例えば、照明装置20Aにおける第1の光源ユニットの第1の光束の像Im1-A、照明装置20Aにおける第2の光源ユニットの第2の光束の像Im2-B、照明装置20Bにおける第1の光源ユニットの第1の像Im1-B、および照明装置20Bにおける第2の光源ユニットの第2の光束の像Im2-Bが、赤色光の像を構成する。
【0093】
この場合、図1に示す投射型画像表示装置10に比べて、各色の照明光の照射に使用される光源ユニットの数が2倍になるので輝度が向上する。
【0094】
さらに、本開示の実施の形態において、光源ユニットは、上述の実施の形態1~5における光源ユニット70、72に限らない。
【0095】
図15は、別例の光源ユニットの上面図である。
【0096】
図15に示す別例の光源ユニット670は、マトリックス状に配列された8つのレーザ素子674を含んでいる。また、レーザ素子674それぞれに、コリメートレンズ676が設けられている。なお、光源ユニット670において、複数のコリメートレンズ676は、一体化されていない。このレーザ素子674においてもレーザ素子70,72と同様に、複数配置する場合には本開示を用いて高密度に出射光を配置することが可能なことは言うまでもない。
【0097】
さらにまた、上述の実施の形態1の場合、照明装置20に含まれる光源ユニットの数は2つであるが、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0098】
図16は、3つの光源ユニットを備える別例の照明装置の正面図である。なお、図16において、冷却装置や熱電素子は省略されている。
【0099】
図16に示すように、照明装置720は、第1~第3の光源ユニット770、772、および774を有する。また、照明装置720は、第1の光源ユニット770の第1に光束LF1に、第2の光源ユニット772の第2の光束LF2を接近させるための第1の光路シフト光学系776を有する。さらに、照明装置720は、第1の光束LF1に、第3の光源ユニット774の第3の光束LF3を接近させるための第2の光路シフト光学系778を有する。なお、図16に示すように、照明装置に含まれる複数の光源ユニットそれぞれは、例えばレーザ素子の数が異なるなど、構成が異なっていてもよい。
【0100】
すなわち、本開示の実施の形態に係る照明装置は、広義には、互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束の全てを前記第1の光束に向かって前記第1の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、を有する照明装置である。
【0101】
さらには、本開示の実施の形態に係る投射型画像表示装置は、広義には、少なくとも1つの照明装置を含む照明部、前記照明部からの照明光を変調して画像光として出力する画像表示部、および、前記画像光を拡大投射する投射光学系と、を含み、前記照明装置が、互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第1の光束を第1の方向に出射する第1の光源ユニットと、互いの光軸が平行に且つマトリックス状に配列された複数のレーザ素子を含み、第2の光束を前記第1の方向に出射するように且つ前記第1の光源ユニットに対して前記第1の方向に対して直交する第2の方向に第1の距離をあけて配置された第2の光源ユニットと、前記第2の光源ユニットから出射された前記第2の光束の全てを前記第1の光束に向かって前記第1の方向に反射する第1の反射面と、前記第1の反射面に対して平行であって且つ前記第1の反射面によって反射された前記第2の光束を前記第1の光束に対して前記第1の距離に比べて小さい第2の距離をあけて平行になるように反射する第2の反射面とを備える光路シフト光学系と、を有する。
【0102】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0103】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示は、投射型画像表示装置に使用される照明装置に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
20 照明装置
70 第1の光源ユニット
72 第2の光源ユニット
84 光路シフト光学系
84a 第1の反射面
84b 第2の反射面
D1 第1の距離
D2 第2の距離
LF1 第1の光束
LF2 第2の光束
図1
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