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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】組み立て式スタンド
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/16 20060101AFI20241213BHJP
   G09F 1/10 20060101ALI20241213BHJP
   G09F 15/00 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
A47G1/16 N
G09F1/10 F
G09F1/10 X
G09F15/00 E
G09F15/00 H
G09F15/00 N
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021067940
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162885
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2024-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】521158060
【氏名又は名称】株式会社コシバアンドアソシエイツ
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】越場 澄子
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-202046(JP,A)
【文献】登録実用新案第3154458(JP,U)
【文献】登録実用新案第3065749(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/16
G09F 1/10
G09F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なプラスチックで作られた透明カバー(T)と、この透明カバー(T)を起立した状態に支持する支持脚(S)とから成る展示スタンドであって、
上記透明カバー(T)は単一シートを折り曲げて得られる表面部分(10)と、この表面部分の両側端縁部に接続した各側面部分(11)と、各側面部分の上記と反対側の側端縁部に接続した反転部分(12)とを有し、上記反転部分(12)は表面部分(10)に対して略平行に延び且つ表面部分(10)に向かって表面部分(10)との間の距離が次第に狭くなるように傾斜しており、
上記支持脚(S)は支持脚素材(S’)の形をした単一シートから成り、この支持脚素材(S’)は正面起立部分(20)と、この正面起立部分(20)に連結した底面部分(21)と、この底面部分に連結した背面起立部分(22)と、この背面起立部分に連結した裏面支持部分(23)とを有し、裏面支持部分(23)の両側部分を分離してフィン(231)とし、
使用時には支持脚素材(S’)を曲げ加工して支持脚(S)とし、曲げ加工して得られる支持脚(S)の正面起立部分(20)が透明カバー(T)の下端部を支持し、裏面支持部分(23)が透明カバー(T)の背面を支持し、上記の両方のフィン(231)を表面部分(10)と反転部分(12)との間の間隙中に滑り込ませる
ことを特徴とする展示スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は展示スタンドに関するものであり、特に写真、絵はがき、カード、卓上カレンダー、ジグソーパズル、ミラー、展示パネル等の平らな物品(以下、展示物という)を棚やテーブル等の水平面上に起立した状態で配置するためのスタンドの改良に関するものである。
本発明は特に、展示物の支持体とこの支持体を支持する支持脚とから成るスタンドにおいて、支持脚を一枚のシート素材から使用者が自分で折り曲げて組み立てるタイプのスタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、展示スタンドは展示物を保持する「支持体」、例えばフレームおよび/または裏板と、この支持体を支持する「支持脚」とから成る。展示スタンドには展示物を斜めに起立させる時に支持体から支持脚を引き出すタイプまたは支持脚が支持体に剛体結合している支持体/支持脚一体型のタイプ(「一体型スタンド」)が多いが、支持脚と支持体とを別体にし、使用時にユーザーが支持脚を支持体に取り付ける支持体と支持脚が別体型のタイプ(「別体型スタンド」)もある。
【0003】
写真のような平らな展示物を棚やテーブル等の水平面上に斜めに立て飾るスタンドに関しては古くから多数のアイデアが提案されている。
[特許文献1](特開2005-261727号公報)には、写真類を立設して保持する写真立てにおいて、透視部を備えた本体と、この本体の上記透視部の後面に写真類を押し当てて保持する押え板と、この押え板に押え力を付与する押え力付与手段とを有する写真立て(一体型スタンド)が記載されている。
しかし、押え力付与手段として板ばね13やネジ23等の材料を別体として用意する必要がある。
【0004】
[特許文献2](特開2001-202046号公報)には、プラスチック製の表板が透明部と、前記透明部の対向する二辺の側縁に側袋部とを備え、前記側袋部は前記透明部に連なる側壁と、前記側壁に鋭角に連なる側押片とから成り、前記側押片は前記掲示物を押圧する側挟持部と、前記掲示物の挿入を助ける誘導部を有し、前記透明部と前記側挟持部の間で前記掲示物を挟持するように構成した、掲示物を保護するプラス チック製の表板とから成る掲示板(一体型スタンド)が記載されている。
しかし、裏板5の背面に壁掛具20、21と卓上置き用卓上受具22とを備える必要があり、また、壁掛け使用時(図14)では返片28で掲示物1と裏板5の突出を防ぐ必要がある。
【0005】
[特許文献3](米国特許第400532号明細書)には展示物を挿入するポケットを背面に有するフレームを着脱自在な支持イーゼルで支持する卓上ピクチャー展示具(別体型スタンド)が記載されている。
しかし、支持イーゼルは剛体の材料で作る必要がある。
【0006】
一体型および別体型スタンドのいずれの場合でも、展示スタンドを製品として展示販売する時のスペースと輸送コストの観点から、支持体と支持脚を含めた展示スタンド全体の寸法をできるだけ小さくし、特にバルキーな(嵩張る)支持脚の使用は避けるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-261727号公報
【文献】特開2001-202046号公報
【文献】米国特許第400532号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、展示販売時の展示販売スペースと輸送時の輸送コストが少なく、使用時に使用者が自分で簡単に組み立てることができる支持体/支持脚別体型タイプの展示スタンドを提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、美的に優れた外観を有するシンプルで軽量な支持体/支持脚別体型タイプの展示スタンドを安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の対象は、透明なプラスチックで作られた透明カバー(T)と、この透明カバー(T)を起立した状態に支持する支持脚(S)とから成る展示スタンドであって、
上記透明カバー(T)は単一シートを折り曲げて得られ表面部分(10)と、この表面部分の両側端縁部に接続した各側面部分(11)と、各側面部分の上記と反対側の側端縁部に接続した反転部分(12)とを有し、上記側面部分(11)および反転部分(12)は表面部分(10)に対して略平行に延び、上記反転部分(12)は表面部分(10)に向かって表面部分(10)との間の距離が次第に狭くなるように傾斜しており、
上記支持脚(S)は支持脚素材(S’)の形をした単一シートから成り、この支持脚素材(S’)は正面起立部分(20)と、この正面起立部分(20)に連結した底面部分(21)と、この底面部分に連結した背面起立部分(22)と、この背面起立部分に連結した裏面支持部分(23)とを有し、支持脚素材(S’)は使用時に曲げ加工して支持脚(S)となり、曲げ加工して得られる支持脚(S)の正面起立部分(20)が透明カバー(T)の下端部を支持し、裏面支持部分(23)が透明カバー(T)の背面を支持することを特徴とする展示スタンドにある。
【0010】
本明細書では本発明の理解を容易にするために、構成要素の後の(カッコ)中に添付図面に記載の参照記号を記載してあるが、本発明が参照記号を付けた部材に限定されるものではない。
【0011】
本発明の好ましい支持脚(S)は下記の「支持脚1」または「支持脚2」である:
支持脚1図2図6参照)
支持脚1の支持脚(S)では、上記底面部分(21)が正面起立部分(20)の縦方向端縁部に連結し、上記背面起立部分(22)が底面部分(21)の上記と反對側の端縁部に連結し、上記裏面支持部分(23)が背面起立部分(22)の上記と反對側の端縁部に連結し、使用時に上記の各端縁部に沿って支持脚素材(S’)を曲げ加工した時に側面断面形状が略3角形の形状となる。
支持脚2図7参照)
支持脚2の支持脚(S)では、上記正面起立部分(20)が底面部分(21)の横方向両側面に連結した2つの支持部(201、202)に分かれており、底面部分(21)、背面起立部分(22)および裏面支持部分(23)の縦方向中央部分に折れ目(26)が形成され、この折れ目(26)に沿って支持脚素材(S’)を折り曲げ加工した時に平面断面形状が略3角形の形状となる。
【0012】
「支持脚1」の場合にはさらに、支持脚(S)の裏面支持部分(23)の両側の少なくとも一部をフィン(231)とし、このフィン(231)が透明カバー(T)の反転部分(12)と背面起立部分(22)との間に挿入、換言すれば、フィン(231)を透明カバー(T)の反転部分(12)の背面側に挿入することができる。そうすることでフィン(231)と反転部分(12)との間の係合力、従って、透明カバー(T)と支持脚(S)との間の係合力が増し、透明カバー(T)の背面を支持する力が強化でき、透明カバー(T)を任意の起立角度に維持する力を強化できる。
【0013】
「支持脚1」の場合にはさらに、支持脚(S)の裏面支持部分(23)に連結した延長部分(24)をさらに形成し、この延長部分(24)をスリット/リップ機構によって底面部分(21)に固定することもできる。
【0014】
本発明の好ましい実施例では、透明カバー(T)の表面部分(10)の表面上にフレ-ム(F)を貼り付けることができる。また、このフレ-ム(F)の内側側端部を「45度カット」することで展示物品(P)を立体的に見せることができる。
【0015】
本発明の第2の対象は上記展示スタンドで使用するための支持脚素材(S’)と透明カバー(T)とを含むスタンドセットにある。このスタンドセットの特徴は、上記支持脚素材(S’)が単一シートであり、この単一シートは正面起立部分(20)と、この正面起立部分(20)に連結した底面部分(21)と、この底面部分に連結した背面起立部分(22)と、この背面起立部分に連結した裏面支持部分(23)とを有し、使用時には支持脚素材(S’)を曲げ加工して得られる支持脚(S)の正面起立部分(20)が透明カバー(T)の下端部を支持し、裏面支持部分(23)が透明カバー(T)の背面を支持する点にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、支持脚(S)となる支持脚素材(S’)が一枚のシートであるので、展示販売するのに必要なスペースを実質的に透明カバー(T)の外形寸法だけに減少でき、展示コストおよび輸送コストを大幅に引き下げることができる。
【0017】
本発明展示スタンドでは、支持脚素材(S’)の縦方向寸法(h2)を透明カバー(T)の縦方向寸法(h1)とほぼ同じにできるので、透明カバー(T)の包装・輸送容器中のスタンドセットのスペースを実質的に大きくせず支持脚素材(S’)を包装容器中に収容でき、展示/輸送コストを下げることができる。
【0018】
本発明展示スタンドはプラスチックシートのみ、または、プラスチックと紙のシートを用いて作ることができ、軽量になる。本発明展示スタンドの表面は透明プラスチックからなる透明カバー(T)の表面部分(10)のみであるので、展示物品(P)、特に写真やカードをシンプルできれいに展示できる。
【0019】
本発明展示スタンドに立体感を出したい場合には表面部分(10)にフレーム(F)を付けることができる。また、中枠端縁を45度カットしたフレーム(F)を貼付することで展示物(P)に深みを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】透明カバー(T)と支持脚(S)とを組み合わせた本発明展示スタンドの概念的な斜視線図で、[図1]の(I)は支持脚(S)が「支持脚1」の場合、(II)は「支持脚2」の場合を示す。
図2】「支持脚1」の場合の本発明展示スタンドの製作方法の説明図で、[図2]の(I)は透明カバー(T)に形成される単一シート材料の展開平面図、(II)は支持脚(S)に形成される支持脚素材(S’)の平面図、(III)は(I)のシート材料を曲げ加工して得られる透明カバー(T)の斜視図、(IV)は(III)の支持脚素材(S’)を曲げ加工して得られる支持脚(S)の斜視図、(V)は(III)の透明カバー(T)を下端部の方から見た時の概念的底面図、(VI)は使用時に(III)と(IV)を組み合わせて完成させた本発明展示スタンドの斜視図、(VII)は(VI)の本発明展示スタンドの2つの組み合わせ方(A型、B型)を示す概念的側面線図。
図3】「支持脚1」の別の実施例の製作方法の説明図で、[図3]の(I)は支持脚(S)に形成されるフィン(231)を有する支持脚素材(S’)の平面図、(II)は(I)を曲げ加工して得られる支持脚(S)の斜視図、(III)は支持脚(S)として使用する時にフィン(231)を反転部分(12)の裏側に矢印(D)に沿って滑り込ませる時の動作の説明図、(IV)は組み立て後の本発明展示スタンドの斜視図で[図1]の(I)に対応し、(V)は(IV)に示す本発明展示スタンドの概念的側面線図。なお、[図3]の(III)~(V)では、フィン(231)以外の部材は[図2]のものと同じであるので、部材の詳細な記載は省略してある。
図4】本発明展示スタンドセットの説明図で、[図4]の(I)は展示販売時の本発明展示スタンドセットの概念的側部断面図、(II)は展示物品(P)を裏支持板(B)上に配置した時の斜視図、(III)は展示物品(P)および裏支持板(B)を本発明展示スタンド中に挿入した時の斜視図で、支持脚(S)は「支持脚1」の場合を示す。(IV)~(VI)は(III)に示す本発明展示スタンドの概念的なそれぞれ側面図、上端図および底面図。
図5】「支持脚1」のさらに別の実施例の説明図。
図6】フレーム(F)をさらに追加した本発明展示スタンドの[図1]の(I)と同様な概念的斜視線図で、(I)は本発明展示スタンドを縦置きにした図、(II)は横置きにした図。支持脚(S)は「支持脚1」の場合を示す。
図7】[図2]に対応する「支持脚2」の場合の本発明展示スタンドの製作方法の説明図で、[図7]の(I)は支持脚(S)に形成される支持脚素材(S’)の平面図、(II)は(I)の支持脚素材(S’)を曲げ加工して得られる支持脚(S)の斜視図、(III)は使用時に透明カバー(T)を(II)の支持脚(S)で支持した時の本発明展示スタンドの斜視図、(VI)は(II)の本発明展示スタンドの概念的側面線図(B型)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明を説明するが、図中の各部品の相対寸法は理解を容易にするために誇張してあり、正確なものではない。また、縦方向、横方向とは透明カバー(T)および支持脚素材(S’)のそれぞれの長手方向およびそれに直行する方向とを意味し、上下は本発明展示スタンドを水片面上に支持した時の上下方向を意味する。
【0022】
本発明展示スタンドは、[図4]の(I)に示すように、透明カバー(T)と支持脚素材(S’)とを包装容器(40)中に収容した「スタンドセット」の形で販売される。このスタンドセットは包装容器(40)中にオプションとして展示物品(P)や裏支持板(B)をさらに収容ができる。このスタンドセットは一般に展示ラックのピン(41)に吊り下げて展示販売される。スタンドセットを購入した使用者は包装容器(40)から透明カバー(T)と支持脚素材(S’)を取り出し、支持脚素材(S’)を折り曲げることで支持脚(S)の形にし、透明カバー(T)と組み合わせて本発明展示スタンドの形にする。上記の折り曲げ操作は女性、子供でも容易に行うことができる。
【0023】
図1]の(I)と(II)は本発明展示スタンドの完成状態での概念的斜視線図である。本発明展示スタンドは透明カバー(T)と支持脚(S)とから成り、透明カバー(T)の下端部が支持脚(S)の正面起立部分(20)と係合し、透明カバー(T)の裏面支持部分(23)が透明カバー(T)の背面を支持する。[図1]の(I)は支持脚(S)が「支持脚1」の場合、(II)は「支持脚2」の場合を示す。
([図2]~[図7]も参照)。
【0024】
図2]は「支持脚1」の場合に、(I)に示す透明カバー(T)のシート材料と、(II)に示す支持脚素材(S’)とから出発して本発明展示スタンドを製作する手順を示す。なお、透明カバー(T)の製作はメーカーが行い、支持脚素材(S’)を曲げ加工して支持脚(S)の形状にするのはスタンドセットを購入したユーザーである。
【0025】
透明カバー(T)
本発明の透明カバー(T)は(I)に示すシート材料を(III)に示す形に曲げ加工して作ることができる。この曲げ加工は表面部分(10)、側面部分(11)および反転部分(12)の各分離線に沿ってシート材料を順次曲げることで行うことができる。曲げ加工は熱可塑性のシート材料を用いてヒートベンダーを用いて行うことができるが、各分離線に沿ってカッター等でノッチを入れて機械または手で行うこともできる。図示した実施例では表面部分(10)と側面部分(11)の間および側面部分(11)と反転部分(12)の間は互いに略90度の角度で折り曲げてあるが、側面部分(11)を円弧にすることもできる(特に、断面が丸形のヒートベンダーを用いた場合等)。
【0026】
側面部分(11)および反転部分(12)は表面部分(10)に対して略平行に延ばす。反転部分(12)は表面部分(10)に向かって表面部分(10)との間の距離が次第に狭くなるように傾斜させるのが好ましい([図2]の(V)参照)。これによって反転部分(12)に弾性押圧力が生じ、この弾性押圧力で透明カバー(T)中に挿入した展示物品(P)([図4]、[図6]参照)を表面部分(10)に向かって押圧でき、展示物品(P)を表面部分(10)の背面上に密着させることができる。使用中に反転部分(12)の弾性押圧力が弱くなった時には反転部分(12)に力を加えて曲げ角度を再度強くして、弾性押圧力を回復させることができる。実施例では厚さが0.5mmのPETシートの反転部分(12)を傾斜させることで十分な弾性押圧力が得られる。
【0027】
シート材料の表面部分(10)の下部(一部または全体)には必要に応じて下部支持部(13)を形成できる。この下部支持部(13)は透明カバー(T)中に挿入した展示物品(P)([図4]、[図6]参照)の下端部を支持するためのものである。また、側面部分(11)の上部に透明カバー(T)を吊下げて使用する時に吊下げ紐を通すための貫通孔(14)を形成することもできる。下部支持部(13)および貫通孔(14)はオプションである。
【0028】
透明カバー(T)はプラスチックのシート材料で作ることができる。このプラスチックシートの材料は透明である限り特に限定されない。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびこれらの共重合体、アロイまたは組み合わせ、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂等の透明プラスチックシートが市販され、安価に入手可能である。
【0029】
透明カバー(T)は一枚の透明プラスチックシートを曲げ加工して作ることができるが、透明カバー(T)をプラスチックの他の成形方法、例えばシート熱加工、真空成形、さらには射出成形、異形押出成形等で作っても本発明を逸脱するものではない。本発明の作用効果を逸脱しない限り、上記以外の透明材料、例えばABS樹脂、ポリスチレンを使用することもできる。
【0030】
本発明では透明度、曲げ加工特性およびコストの観点から透明カバー(T)の材料としてポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリプロピレン(PP)のシートが好ましく使用できる。プラスチックシートの厚さも特に限定されないが、一般に、0.2mm~3mm程度、好ましくは0.3mm~2mmにできる。本発明透明カバー(T)は表面部分(10)の両側に幅が狭い側面部分(11)を平行して有するので厚さの薄い透明プラスチックシートを使用しても十分に剛性のある透明カバー(T)になる。曲げ加工性、コスト等の観点からPVC、PET、PPの透明プラスチックシート、例えば厚さが0.5mmのPETシートから切り出して作るのが好ましい。耐引?き強度が必要な場合には透明カバー(T)を形成するプラスチックシートにハードコートを付けたり、積層材料にすることができる。
【0031】
支持脚素材(S’)
本発明の好ましい「支持脚S」は「支持脚1」および「支持脚2」である。「支持脚1」は「支持脚S」を透明カバー(T)に固定する場合に適し、一方、「支持脚2」は安価、低コストで「支持脚S」を作る場合に適している。
以下では「支持脚1」の場合を[図2]~[図6]を参照して詳細に説明する。
【0032】
A.「支持脚1」
「支持脚1」の場合、支持脚素材(S’)は[図2]の(II)に示すように正面起立部分(20)と、この正面起立部分(20)の端縁部に連結した底面部分(21)と、この底面部分に連結した背面起立部分(22)と、この背面起立部分に連結した裏面支持部分(23)とを有する。これらの部分(20、21、22、23)の間は曲げ加工ライン(図では点線で示す)で分けられている。加工ラインをノッチ線にすることもできる。ノッチ線は支持脚素材(S‘)のシート材料の各部分(20、21、22、23)の連結部にカッター等でノッチを入れて形成できる。大量生産時にはカッティングマシンのハーフカットでノッチ線を形成できる。
【0033】
「支持脚1」の場合の支持脚素材(S’)は透明カバー(T)と同じ材料または異なる種類の材料で作ることができる。支持脚素材(S‘)の材料は曲げ加工が可能な限り任意であるが、プラスチック、紙、金属から選択できる。折り曲げ加工操作は女性、子供でも容易に行うことができるものでなければならないので、支持脚素材(S‘)は簡単に曲げ加工が可能な材料にする。コストおよび強度の観点から、一般には支持脚素材(S’)はプラスチック、例えばポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタレート(PET)または紙、例えば厚紙またはスチレンボード、さらにはアルミ板等にする。特に、一般のユーザーが曲げ加工するので支持脚素材(S’)は耐ヒンジ性のあるプラスチックシート、例えばPPシート、例えば中程度の硬さを有する約0.7mmのPPシートから切り出して作るのが好ましい。
【0034】
支持脚(S)
使用者は使用時に上記各部分(20、21、22、23)を曲げ加工して[図2]の(IV)に示す断面形状が略3角形の支持脚(S)の形にする。本発明の好ましい実施例では(h2)は(h1)とほほ同じ長さにすることができる。透明カバー(T)の起立安定性を高めるために支持脚素材(S’)の縦方向寸法(長さ)(h2)を透明カバー(T)の長さ(h1)より長くできる。実際には底面部分(21)と背面起立部分(22)の寸法を大きくすることができる。しかし、この場合には展示/輸送時の縦方向寸法(h2)が透明カバー(T)の長さ(h1)より長くなる。その場合には、展示/輸送時の縦方向寸法が長くならないようにするために、支持脚素材(S’)の一部を折り畳んだ状態で包装容器中に収容することもできる。
【0035】
例えば、正面起立部分(20)および/または延長部分(24)を予め折り曲げた状態で包装容器(40)中に収容することもできる。この場合には包装容器(40)の厚みが若干厚くなるが、折り曲げ箇所が少なくなるというメリットがある。また、正面起立部分(20)と底面部分(21)の間を予め折り畳んだ状態で包装容器(40)中に収容することもできる。この場合には支持脚(S)にセットする際に折り畳んだ状態から必要な角度まで起立させればよい。
【0036】
「支持脚1」の場合、支持脚(S)の側面断面形状は一般に[図2]の(IV)に示す略3角形になる(特に、支持脚(S)を厚紙で作った場合)。しかし、背面起立部分(22)を必ずしも直線にする必要はない。特に、支持脚(S)をプラスチックシートで作った場合には背面起立部分(22)の断面形状をアーチ状に湾曲させたり、多角形状にする(複数のノッチを入れる)ことで透明カバー(T)を支える力を大きくすることもできる(図示せず)。
【0037】
上記支持脚(S)の幅(横方向寸法)は任意であるが、一般には透明カバー(T)の幅(横方向寸法)とほぼ同じにする。[図2]の(VII)で説明する「A型」にする場合には支持脚(S)の幅(横方向寸法)を透明カバー(T)の幅より若干狭くするのが好ましい。さらに、支持脚(S)を左右2つに分離することもできる。本発明展示スタンドは横置きでも使用できる([図6]参照)。横置きの場合には2つの支持脚(S)の各々を透明カバー(T)の左右で使用できる。
【0038】
本発明展示スタンド
使用時には、[図2]の(VI)に示すように、ユーザーが[図2]の(IV)形に曲げ加工した本発明の支持脚(S)の正面起立部分(20)を[図2]の(III)の形の本発明の透明カバー(T)の下端部(14)と係合させ、透明カバー(T)の背面を裏面支持部分(23)で支持することで本発明展示スタンドが完成する。
【0039】
本発明展示スタンドでの透明カバー(T)の下端部(14)と支持脚(S)の正面起立部分(20)との係合関係は[図2]の(VII)に示す下記の2つのタイプにすることができる:
「A型」=正面起立部分(20)を透明カバー(T)の背面に挿入するタイプ
「B型」=正面起立部分(20)を透明カバー(T)の前面に配置するタイプ
本発明展示スタンドはA型、B型のいずれでも使えるが、A型にした場合には、透明カバー(T)の下端部(14)に加わる力が正面起立部分(20)の保持力を上回った場合でも透明カバー(T)を保持することができる。厚紙で作った支持脚(S)の場合には一般にB型にする。
【0040】
「A型」で透明カバー(T)中への支持脚(S)の正面起立部分(20)の挿入操作を容易にするために、反転部分(12)のコーナをなだらかに折り曲げて挿入ガイド(16)にするのが好ましい。この挿入ガイド(16)は透明カバー(T)の反転部分(12)の上下のコーナに形成できる。この挿入ガイド(16)は展示物品(P)を挿入する時の挿入ガイドの役目もする。
【0041】
透明カバー(T)の背面は裏面支持部分(23)との摩擦係合力だけで十分に支持できる。背面起立部分(22)と透明カバー(T)の背面とが成す角度(α)([図2]の(VII)参照)は展示物品(P)を収容した透明カバー(T)の重量および傾斜角度と支持脚素材(S’)の機械特性とに依存する。本発明の実施例では、展示物品(P)+透明カバー(T)の総重量が略300gの場合、支持脚素材(S’)の材料として厚さ0.7mmの中程度の硬さを有するPPシートまたは厚さが0.5mmのPETシートを用いることで透明カバー(T)の背面と背面起立部分(22)との間の摩擦係合力が失われることはなく、また、透明カバー(T)下端部(14)に加わる力によって正面起立部分(20)と底面部分(21)との間の折り曲げ角度が開くこともない。
【0042】
透明カバー(T)の背面と裏面支持部分(23)との間の摩擦係合力が弱い場合には、透明カバー(T)の背面と接触する裏面支持部分(23)の表面上に摩擦パッド(25)([図2]の(IV)に点線で図示)を取付けたり、摩擦強化層を塗布することができる。そうすることで背面起立部分(22)と透明カバー(T)の背面とが成す角度(α)を透明カバー(T)が後ろに転倒しないような任意の角度に設定できる。
【0043】
フィン付き支持脚(S)
図3]は「支持脚1」の場合の好ましい別の実施例の説明図である。[図3]は支持脚素材(S‘)の裏面支持部分(23)の両側部分をフィン(231)にした点のみが相違するので、フィン(231)以外の説明は省略する。[図3]の実施例の構造は[図2]の実施例の構造とほぼ同じであり、[図2]に記載の全ての構成を[図3]にも適用できる。[図3]に示した実施例では支持脚素材(S‘)の裏面支持部分(23)と背面起立部分(22)との間の加工ライン(ノッチ線)をカット(切断)してフィン(231)を形成する。この図では加工ラインの一部をカット線(232)にしている。
【0044】
各フィン(231)は裏面支持部分(23)の縦方向全幅の少なくとも一部に形成すればよく、裏面支持部分(23)の縦方向全幅にわたって形成する必要はない。例えば、背面起立部分(22)の縦方向幅の半分の幅のフィン(231)を形成する場合には各カット線(232)を2本にする。この場合には、フィン(231)の両側を反転部分(12)で挟持して保持力をより大きくできる。また、支持脚素材(S‘)の裏面支持部分(23)の先端を底面部分(21)と接触するまで縦方向にさらに延ばした場合([図4]に示す実施例を参照)には、裏面支持部分(23)の縦方向の任意の位置にフィン(231)を形成できる。
【0045】
使用時には、使用者が支持脚素材(S‘)の各部分(20、21、22、23)を曲げ加工して[図3]の(II)に示す側面断面形状が略3角形の支持脚(S)の形にする。その後の操作は[図2]と同じであるが、この場合には[図3]の(III)に示す操作が加わる。すなわち、透明カバー(T)の下端部(14)から透明カバー(T)の表面部分(10)と反転部分(12)との間の間隙中に両方のフィン(231)を滑り込ませ、矢印(D)に沿って支持脚(S)を[図3]の(IV)の位置までスライドさせる。各フィン(231)の挿入方向は透明カバー(T)の上端縁部からでもよい。
【0046】
各フィン(231)は反転部分(12)の弾性押圧力と摩擦力との接触係合([図3]の(IV)参照)によって所望の位置に強固に固定される。この接触係合力は大きいので透明カバー(T)を任意の傾斜角度に維持できる。接触係合の力をさらに大きくしたい場合にはフィン(231)の表面および/または背面に[図2]の(IV)に示す摩擦パッド(25)をさらに取り付けることができる。
【0047】
図3]の(V)は透明カバー(T)と支持脚(S)との組立体([図3]の(IV)の位置にある)の概念的側面線図で、フィン(231)が反転部分(12)の背面側に挿入されていることを示している。[図3]の場合でも正面起立部分(20)と透明カバー(T)との間の相対位置は[図2]で説明した「A型」または「B型」のいずれの位置でもよい。
【0048】
展示物品(P)を入れたスタンド
図4]の(II)~(VI)は展示物品(P)を本発明展示スタンドにセットする時の手順を示している。[図4]の(I)は、展示物品(P)が写真、絵画、布、フィルムのように薄いシートの場合に、展示物品(P)を裏支持板(B)の上に固定する工程を示している。しかし、厚い展示物品(P)、例えば厚紙印刷物、封筒、ケース入り写真等の硬いプレートやボードの場合には展示物品(P)を透明カバー(T)中に直接入れることができる。従って、裏支持板(B)は本発明ではオプションである。裏支持板(B)は厚紙、プラスチックプレート、ガラスシート、金属板等の任意の材料で作ることができる。
【0049】
展示物品(P)は透明カバー(T)の表面部分(10)と反転部分(12)との間の間隙中に矢印(E)の方向([図4]の(III)、(IV)参照)から挿入するが、透明カバー(T)の下端部(14)から挿入することもできる。展示物品(P)は反転部分(12)の弾性押圧力で表面部分(10)に向かって押圧保持される。[図4]の(IV)は展示物品(P)を本発明展示スタンド中にセットした後の完成品の概念的側部断面図である。[図4]の(V)は完成品を上から見た時の概念的断面図であり、(VI)は完成品を下から見た時の概念的底面図である。
【0050】
固定機構付き支持脚(S)
図5]は「支持脚1」の場合のさらに別の実施例の説明図である。[図5]の実施例の構造は支持脚素材(S‘)の裏面支持部分(23)を延ばして延長部分(24)とした点が相違する。従って、延長部分(24)以外の説明は省略する。その他の構造は[図2]、[図3]の実施例の構造とほぼ同じである。延長部分(24)を追加することで支持脚(S)の形状を固定できる。
【0051】
図5]の(I)に示す支持脚素材(S’)は[図2]、[図3]の実施例の支持脚素材(S’)とほぼ同じであるが、裏面支持部分(23)の先に延長部分(24)が追加され、この延長部分(24)を底面部分(21)に固定するための固定機構を有している。[図5]では固定機構としてスリット/リップ機構が示してあるが、これは単なる一つの実施例で、図示していない任意の固定機構を使用できる。
【0052】
図5]の(I)に示す支持脚素材(S’)の固定機構は以下のスリット/リップ機構で構成される:
-スリット(50):延長部分(24)と裏面支持部分(23)との境界線付近に形成されるスリット。
-リップ(51):上記スリット(50)中に挿入されるリップで、正面起立部分(20)と底面部分(21)との境界線付近の底面部分(21)に形成される。
-溝(52):延長部分(24)の横方向両側に形成される溝で、下記の折曲げ片(53)を収容する。
-折曲げ片(53):上記溝(52)中で起立し、曲げることで延長部分(24)の浮きを防止するための、底面部分(21)の横方向両側からカットされたにシート片。
-ストッパー(54)(図では2つ):延長部分(24)の先端縁を受けるための、底面部分(21)からカットされたにシート片。
上記折曲げ片(53)は底面部分(21)に2本の平行な横方向カット線を入れることで形成でき、リップ(51)とストッパー(54)は底面部分(21)にコの字形切込みを入れることで形成できる。
【0053】
図5]の(II)は(I)の支持脚素材(S’)を略3角形の支持脚(S)の形にしたときの[図2]の(IV)と同様な斜視図であり、(III)は延長部分(24)を上記スリット/リップ機構を用いて底面部分(21)に固定した状態を示す概念的側面線図であり、(IV)は上記スリット/リップ機構を示す拡大斜視線図である。
【0054】
本発明展示スタンドは縦置き([図6]の(I)の状態)または横置き(([図6]の(II)の状態)で使用できる。横置き(II)の場合には2つのスタンドを左右に取り付けることで安定性が向上する。
【0055】
B.「支持脚2」
図7]は「支持脚2」の場合の本発明展示スタンドの説明図で、[図7]の(I)は「支持脚2」の場合の支持脚素材(S’)の平面図、(II)は(I)の支持脚素材(S’)を曲げ加工して得られる支持脚(S)の斜視図である。
「支持脚2」の場合、支持脚(S)以外の部分は[図2]~[図6]で説明した「支持脚1」の場合と同じであるので、支持脚素材(S’)および支持脚(S)以外の説明は省略する。
【0056】
「支持脚2」の場合、正面起立部分(20)が底面部分(21)の横方向両側面に連結した2つの支持部(201、202)に分かれており、底面部分(21)、背面起立部分(22)および裏面支持部分(23)の縦方向中央に折れ目(26)が形成される。これらの部分(20、21、22、23)は[図7]の(I)に示す各領域に対応するが、各領域が明確に区分されているものではない。実際には、2つの支持部(201、202)を横方向両側下端部に有する二等辺三角形の支持脚素材(S’)を単一シートから切り出し、二等辺三角形の縦方向中央部分に折れ目(26)を形成するだけでよい。
【0057】
支持脚2を使用する時には、上記折れ目(26)に沿って支持脚素材(S’)を所定の角度、例えば略90度に折り曲げて[図7]の(II)に示すスタンドの形にする。必要な場合には、支持脚(S)の立体形状を安定させるための手段をさらに設けることができる。[図7]の(II)では、背面起立部分(22)にスリット(60)を形成し、そのスリット(60)に横断片(61)を挿入、係合させて支持脚(S)の立体形状を安定させている。
【0058】
図7]の(III)は使用時に(II)に示すスタンド(支持脚S)を透明カバー(T)と組み合わせて完成させた本発明展示スタンドにした時の斜視図であり、(IV)はその概念的側面線図である。「支持脚2」の場合には、透明カバー(T)の下端部(14)の支持方法は基本的にB型になる。
【0059】
「支持脚2」の場合でも、支持脚素材(S’)の縦方向寸法(h2)を透明カバー(T)の縦方向寸法(h1)とほぼ同じにすることができ、支持脚素材(S’)の包装容器中での寸法を小さくして展示/輸送コストを下げることができる。特に、上記辺三角形の頂部すなわち延長部(24)をカット(除去)することで支持脚素材(S’)の縦方向寸法(h2)を短くすることができる。
【0060】
フレーム付きスタンド
本発明の透明カバー(T)の表面部分(10)は透明性の高いプラスチック材料、例えばPET、高透明PPで作られているので、本発明展示スタンドはシンプルで均一な正面を有する。しかし、本発明展示スタンドの正面にフレーム(額縁)、特に45度カットした内側端縁部を有するフレームを貼り付けることで本発明展示スタンドに立体的な外観を与えることができる。
【0061】
図6]は透明カバー(T)の表面部分(10)上にフレーム(F)をさらに追加した本発明展示スタンドの概念的斜視線図である。図示した実施例ではスタンドに立体感を与えるために内側端縁を45度カットしたフレーム(F)が貼り付けられている。このフレーム(F)はオプション部材で、使用者の好みによって付けることができる。実際には、フレーム(F)の背面に剥離紙付き粘着テープを取り付け、使用者が[図4]の(III)に示す完成品の表面部分(10)上に貼り付けできるようにする。
【0062】
用途
本発明展示スタンドはジグソーパズル、写真、絵はがき、カード、カレンダー、絵画、ミラー、展示パネル等の他に、薄型デジタル画像表示装置のスタンドとして使用することもできる。
本発明展示スタンドは軽量、安価に製造できるので、例えば卓上カレンダーとして宣伝用やプロモーション用として、さらにはメニュースタンドとして使用することができる。
本発明展示スタンドの寸法には基本的に制限はないので、床上に配置される大型展示ポード、展示パネルのスタンドとしても使用できる。[図2]、図5]に示す実施例の場合には水平面に対して透明カバー(T)をほぼ垂直に立てることができ、底面部分(21)上にウエイトを載せれば180°以上の角度αに傾斜させることもできる。
【0063】
以下、印刷画像、例えば写真(展示物P)を本発明展示スタンドで展示する場合の実施例を示す。
実施例1
「ハガキ」サイズの写真スタンド
ハガキサイズ(100×148mm)の写真(P)をアクリル板の裏支持板(B)上に載置する。写真(P)の位置を微調節できるようにするために写真(P)は裏支持板(B)に軽く固定するのが好ましい。必要な場合には再剥離性両面テープ等を用いて写真(P)を固定できる。
【0064】
支持脚素材(S')は厚さが0.7mmの市販のポリプロピレン(PP)のシート片(92×180mm)にした(h2=180mm)。支持脚素材(S')の各部分の縦方向寸法(h2)が以下となるように上記PPシート片にカッターでノッチ線を付けた:
正面起立部分(20) 20mm
底面部分(21) 50mm
背面起立部分(22) 80mm
裏面支持部分(23) 30mm
【0065】
PPシートはヒンジ性を有するのでノッチ線に沿ってPPシートを曲げても破断することはない。ノッチ線の部分でPPシートを曲げて[図2](IV)に示す支持脚(S)の形状にした。厚さ0.7mmの中程度の硬度を有するPPシートのノッチ線での折り曲げ操作は女性、子供でも簡単にできる。
【0066】
透明カバー(T)は厚さが0.5mmのポリエチレンテレフタレート(PET)のシート片(170×180mmを曲げ加工して作った(h1=180mm)。このPETシート片には透明カバー(T)の各部分の横方向寸法が以下となるようにした:
表面部分(10) 100mm
側面部分(11) 5mm
反転部分(12) 各30mm
ヒートベンダーを用いて加工ラインに沿って折り曲げることで[図2]の(III)に示す透明カバー(T)の形状にした。表面部分(10)と反転部分(12)が5mmの狭い幅を介して平行に存在するため透明カバー(T)の曲げ加工したものは変形に対する抵抗力が強く、透明カバー(T)がゆがむこともない。また、PETシートにカッターでノッチ線を描いて曲げ加工した透明カバー(T)も作成した。ノッチ線にした場合でも曲げ加工に特に問題はなかった。
【0067】
次に、反転部分(12)を少し持ち上げてから、写真(P)を載せた裏支持板(B)を透明カバー(T)の上部から、表面部分(10)と傾斜反転部分(12)との間に挿入した。さらに、透明カバー(T)の下端部(14)が支持脚(S)の底面部分(21)の近傍に来るまで支持脚(S)を透明カバー(T)中に押し込んだ。これで[図2]の(VI)に示す完成品が得られる。
【0068】
裏支持板(B)の挿入、取出し操作を何度も繰り返すと、反転部分(12)の押圧力が弱るなる。その場合には、反転部分(12)を手で押圧して曲げ角度を再度付けることで押圧力は回復できる。完成品した本発明展示スタンドは写真(P)と裏支持板(B)との総重量が300gの場合でも後ろに倒れることはなかった。
【0069】
さらに、透明カバー(T)の表面部分(10)の上に厚さ3mmスチレンボート製のフレーム(F)(フレーム幅=20mm、内側端縁は45度カット)を両面テープで貼り付けることで立体感のある写真スタンドになった。
実施例2
【0070】
フィン付きスタンド
実施例1と.ほ同じ構造であるが、[図3]に示すフィン付きスタンドを作成した。フィン(232)は背面起立部分(22)の左右に形成した。各フィン(232)は、背面起立部分(22)と裏面支持部分(23)との間のノッチ線を、上記反転部分(12)の横幅30mmに対応する略31mmの長さにわたって横方向に切断して形成した。この実施例の場合でも、支持脚素材(S')の縦方向寸法(h2)は[図2]の場合と同じh2=180mmである。
負荷荷重テストの結果、この場合には、写真(P)と裏支持板(B)との総重量を500gに増加させてもフィン(232)の位置の移動は無かった。
実施例3
【0071】
A4サイズのパネルタンド
実施例2と同じ構造のフィン付き写真スタンドを略A4サイズで作った。
支持脚素材(S')は市販のPPシート片(厚さ=0.7mm、300×210)とし、支持脚素材(S')の各部分の縦方向寸法(h2=300mm)は下記にした:
正面起立部分(20) 30mm
底面部分(21) 100mm
背面起立部分(22) 140mm
裏面支持部分(23) 30mm
透明カバー(T)はPETシート片(厚さ=0.5mm、300×280mm)とし、各部分の横方向寸法が以下となるようにカッターでノッチを付けた(h1=300mm)。:
表面部分(10) 210mm
側面部分(11) 各5mm
反転部分(12) 各30mm
負荷荷重テストの結果、写真(P)と裏支持板(B)との総重量が800gでもフィン(232)の位置の移動は無かった。
【符号の説明】
【0072】
T 透明カバー
S 支持脚
S’ 支持脚素材
F フレーム
P 展示物品
B 裏支持板
10 表面部分
11 側面部分
12 反転部分
13 下部支持部
14 下端部
15 貫通孔
16 案内ガイド
20 正面起立部分
21 底面部分
22 背面起立部分
23 裏面支持部分
231 フィン
24 延長部分
25 摩擦パッド
40 包装容器
41 展示ラックのピン
50 スリット
51 リップ
52 溝
53 折曲げ片
54 ストッパー
60 スリット
61 横断片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7