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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】情報処理方法、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241213BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021503442
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2020000941
(87)【国際公開番号】W WO2020179228
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2019038469
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】河本 弘和
(72)【発明者】
【氏名】浦部 弘章
(72)【発明者】
【氏名】原田 尚幸
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/105139(WO,A1)
【文献】特開2018-102047(JP,A)
【文献】特開2011-158322(JP,A)
【文献】特開2003-262525(JP,A)
【文献】特開2016-067181(JP,A)
【文献】特開2011-164771(JP,A)
【文献】特開2012-093096(JP,A)
【文献】特開2012-251989(JP,A)
【文献】特開2018-205294(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0052373(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0314690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
バッテリの充電状態と劣化状態とを取得し、
前記バッテリが搭載された車両の出発地点及び出発予定時刻と、到着地点及び到着予定時刻とを示す前記バッテリの使用予定を取得し、
バッテリのタイプ毎に、バッテリの充電状態と、バッテリの劣化状態と、劣化量との対応関係を示す、予め記憶された第1対応テーブルを参照し、前記バッテリの劣化状態に対応付けられた劣化量の中から、予め定められた許容劣化量を上回らない劣化量のうちの1つを特定し、特定した劣化量に対応付けられた充電状態を、前記バッテリの充電状態の上限として決定し、
バッテリのタイプ毎に、バッテリの劣化状態と、バッテリの充電状態の下限とを対応付けた、予め記憶された第3対応テーブルと、前記バッテリの劣化状態とに基づいて、前記バッテリの充電状態の下限を決定し、
決定された前記充電状態の上限と、決定された前記充電状態の下限と、前記使用予定と、前記充電状態とに基づいて前記バッテリの充電プランを決定し、
決定された前記充電プランを出力し、
前記上限の決定は、前記第1対応テーブルと、前記使用予定に基づいて、前記車両が所定以上の距離を走行する予定の場合に限って、前記許容劣化量を上回る劣化量のうちの1つを特定し、特定した劣化量に対応付けられた充電状態を、前記上限として決定する
情報処理方法。
【請求項2】
さらに、
前記車両の位置と複数の充電所の位置とを取得し、
前記車両の位置と前記複数の充電所の位置とにも基づいて、充電場所を示す情報を含む前記充電プランを決定する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
さらに、
前記車両の位置と充電所の位置とを取得し、
前記車両の位置と前記充電所の位置とにも基づいて、充電時間を示す情報を含む前記充電プランを決定する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
さらに、
前記車両の移動ルートと複数の充電所の位置とを取得し、
前記移動ルートから前記複数の充電所のそれぞれまでの距離それぞれにも基づいて、充電場所を示す情報を含む前記充電プランを決定する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記充電プランは、前記充電状態の上限を示す情報を含む
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記充電プランは、充電時間を示す情報を含む
請求項1請求項、請求項、請求項のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
さらに、
充電所の予約状況を予約サーバから取得し、
前記予約状況にも基づいて前記充電プランを決定し、
決定された前記充電プランを予約要求として前記予約サーバに出力する
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記充電状態の上限を決定することは、前記劣化状態の程度に応じた劣化進行の程度に基づいて前記充電状態の上限を決定することである
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
さらに、許容される劣化進行の程度を取得し、
前記充電状態の上限を決定することは、前記劣化状態の程度に応じた劣化進行の程度と、前記許容される劣化進行の程度と、に基づいて前記充電状態の上限を決定することである
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記充電状態の上限を決定することは、前記劣化状態と、前記バッテリの充電における電流量、放電における電流量、温度及び前記充電状態の少なくとも1つに基づいて決定される
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
バッテリの充電状態と劣化状態と、前記バッテリが搭載された車両の出発地点及び出発予定時刻と、到着地点及び到着予定時刻とを示す前記バッテリの使用予定と、を取得する取得部と、
バッテリのタイプ毎に、バッテリの充電状態と、バッテリの劣化状態と、劣化量との対応関係を示す、予め記憶された第1対応テーブルを参照し、前記バッテリの劣化状態に対応付けられた劣化量の中から、予め定められた許容劣化量を上回らない劣化量のうちの1つを特定し、特定した劣化量に対応付けられた充電状態を、前記バッテリの充電状態の上限として決定し、バッテリのタイプ毎に、バッテリの劣化状態と、バッテリの充電状態の下限とを対応付けた、予め記憶された第3対応テーブルと、前記バッテリの劣化状態とに基づいて、前記バッテリの充電状態の下限を決定する第1決定部と、
決定された前記充電状態の上限と、決定された前記充電状態の下限と、前記使用予定と、前記充電状態とに基づいて前記バッテリの充電プランを決定する第2決定部と、
決定された前記充電プランを出力する出力部と、を備え、
前記第1決定部は、前記第1対応テーブルと、前記使用予定に基づいて、前記車両が所定以上の距離を走行する予定の場合に限って、前記許容劣化量を上回る劣化量のうちの1つを特定し、特定した劣化量に対応付けられた充電状態を、前記上限として決定する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーシェアリングシステムにおいてシェアされる車両に搭載されるバッテリの劣化を抑制するために、バッテリの種類に応じてバッテリの充電時間帯を決定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5679920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、バッテリの劣化の抑制は限定的である。
【0005】
そこで、本開示は、バッテリの劣化を、従来よりも効果的に抑制することができる情報処理方法、情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、バッテリの充電状態と劣化状態とを取得し、前記劣化状態に基づいて前記バッテリの充電状態の上限を決定し、決定された前記充電状態の上限と前記充電状態とに基づいて前記バッテリの充電プランを決定し、決定された前記充電プランを出力する。
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、バッテリの充電状態と劣化状態とを取得する取得部と、前記劣化状態に基づいて前記バッテリの充電状態の上限を決定する第1決定部と、決定された前記充電状態の上限と前記充電状態とに基づいて前記バッテリの充電プランを決定する第2決定部と、決定された前記充電プランを出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理方法、及び情報処理システムによれば、バッテリの劣化を、従来よりも効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る充電プラン決定サーバの構成を示すブロック図である。
図3図3は、バッテリの使用予定の一例を示す模式図である。
図4図4は、充電所の予約状況の一例を示す模式図である。
図5A図5Aは、実施の形態に係る第1対応テーブルのデータ構成図である。
図5B図5Bは、実施の形態に係る第2対応テーブルのデータ構成図である。
図6A図6Aは、実施の形態に係る充電プランの一例を示す模式図である。
図6B図6Bは、実施の形態に係る充電プランの一例を示す模式図である。
図6C図6Cは、実施の形態に係る充電プランの一例を示す模式図である。
図7図7は、実施の形態に係る充電プラン決定処理のシーケンス図である。
図8図8は、実施の形態に係る充電プラン決定サーバが行う動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の一態様を得るに至った知見)
上述したように、従来の技術では、バッテリの種類に応じてバッテリの充電時間帯を決定する。これにより、一定程度バッテリの劣化を抑制することができる。しかしながら、その効果は限定的である。このため、発明者は、従来よりも効果的にバッテリの劣化を抑制することができる充電プランの決定方法について鋭意検討を重ねた。そして、発明者は、バッテリの種類といったバッテリの静的な状態だけでなく、バッテリの充電状態、劣化状態といったバッテリの動的な状態を考慮して充電プランを決定することで、従来よりも効果的にバッテリの劣化を抑制できることを見出した。その結果、発明者は、下記情報処理方法、及び情報処理システムに想到した。
【0011】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、バッテリの充電状態と劣化状態とを取得し、前記劣化状態に基づいて前記バッテリの充電状態の上限を決定し、決定された前記充電状態の上限と前記充電状態とに基づいて前記バッテリの充電プランを決定し、決定された前記充電プランを出力する。
【0012】
上記情報処理方法によると、従来の技術では考慮されない、バッテリの充電状態、劣化状態といったバッテリの動的な状態を考慮して決定されたバッテリの充電プランが出力される。従って、上記情報処理方法によると、バッテリの劣化を、従来よりも効果的に抑制することができる。
【0013】
また、さらに、前記バッテリの使用予定を取得し、前記劣化状態に基づいて前記バッテリの充電状態の下限を決定し、前記下限と前記使用予定とにも基づいて、前記充電プランを決定するとしてもよい。バッテリの充電状態が低くなりすぎるとバッテリの劣化進行の程度が高くなる。これに対し、本構成によれば、バッテリの使用予定とバッテリの充電状態の下限とに基づいて充電プランが決定されるため、バッテリの使用後にバッテリの充電状態が下限を下回り劣化が促進されてしまうことを抑制することができる。
【0014】
また、さらに、前記バッテリを搭載する車両の位置と複数の充電所の位置とを取得し、前記車両の位置と前記複数の充電所の位置とにも基づいて、充電場所を示す情報を含む前記充電プランを決定するとしてもよい。これにより、現在の充電状態とバッテリを搭載する車両の現在地から充電所までの距離とに応じて充電すべき充電所が決定されるため、充電所に到達する前に電欠したり、充電所に到達するまでに充電状態が低くなりすぎて劣化が促進されたりすることを抑制することができる。
【0015】
また、さらに、前記バッテリを搭載する車両の位置と充電所の位置とを取得し、前記車両の位置と前記充電所の位置とにも基づいて、充電時間を示す情報を含む前記充電プランを決定するとしてもよい。これにより、現在の充電状態と充電所までの距離に応じて充電時間が決定されるため、電欠する前に充電したり、充電状態が低くなりすぎる前に充電したりすることができる。
【0016】
また、さらに、前記バッテリを搭載する車両の移動ルートと複数の充電所の位置とを取得し、前記移動ルートから前記複数の充電所のそれぞれまでの距離それぞれにも基づいて、充電場所を示す情報を含む前記充電プランを決定するとしてもよい。これにより、現在の充電状態と移動ルートから充電所までの距離とに応じて充電すべき充電所が決定されるため、充電所に到達する前に電欠したり、充電所に到達するまでに充電状態が低くなりすぎて劣化が促進されたりすることを抑制することができる。
【0017】
また、前記充電プランは、前記充電状態の上限を示す情報を含むとしてもよい。これにより、ユーザ又は充電器制御システムは、バッテリの充電状態の上限を把握することができ、充電状態が上限を超えないように充電器を制御することができる。
【0018】
また、前記充電プランは、充電時間を示す情報を含むとしてもよい。これにより、ユーザ又は充電器制御システムは、バッテリの充電状態を参照することなく充電状態の上限を超えないように充電することができる。
【0019】
また、さらに、充電所の予約状況を予約サーバから取得し、前記予約状況にも基づいて前記充電プランを決定し、決定された前記充電プランを予約要求として前記予約サーバに出力するとしてもよい。これにより、バッテリの劣化が抑制される充電プランで充電器を自動的に予約することができる。
【0020】
また、前記充電状態の上限を決定することは、前記劣化状態の程度に応じた劣化進行の程度に基づいて前記充電状態の上限を決定することであるとしてもよい。バッテリの劣化状態の程度によって劣化進行の程度が変化する。これに対し、本構成によれば、バッテリの劣化進行を抑制することができる充電状態の上限を決定することができる。
【0021】
また、さらに、許容される劣化進行の程度を取得し、前記充電状態の上限を決定することは、前記劣化状態の程度に応じた劣化進行の程度と、前記許容される劣化進行の程度と、に基づいて前記充電状態の上限を決定することであるとしてもよい。これにより、バッテリの劣化進行の抑制とバッテリの使用性とのバランスをコントロールすることができる。
【0022】
また、前記充電状態の上限を決定することは、前記劣化状態と、前記バッテリの充電における電流量、放電における電流量、温度及び前記充電状態の少なくとも1つに基づいて決定されるとしてもよい。これにより、バッテリの劣化進行に関わるパラメタに基づき充電状態の上限を決定することができ、上限の正確性を向上させることができる。その結果、バッテリの劣化の抑制とバッテリの利用効率とを両立させることができる。
【0023】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、バッテリの充電状態と劣化状態とを取得する取得部と、前記劣化状態に基づいて前記バッテリの充電状態の上限を決定する第1決定部と、決定された前記充電状態の上限と前記充電状態とに基づいて前記バッテリの充電プランを決定する第2決定部と、決定された前記充電プランを出力する出力部と、を備える。
【0024】
上記情報処理システムによると、従来の技術では考慮されない、バッテリの充電状態、劣化状態といったバッテリの動的な状態を考慮して決定されたバッテリの充電プランが出力される。従って、上記情報処理システムによると、バッテリの劣化を、従来よりも効果的に抑制することができる。
【0025】
以下、本開示の一態様に係る情報処理方法、及び情報処理システムの具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0026】
なお、本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0027】
(実施の形態1)
[1.情報処理システムの構成]
以下、実施の形態に係る情報処理システムについて説明する。この情報処理システムは、車両に搭載されるバッテリの充電状態と劣化状態とに基づいて、そのバッテリの充電プランを決定する。
【0028】
図1は、実施の形態1に係る情報処理システム1の構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示されるように、情報処理システム1は、充電プラン決定サーバ100と、予約サーバ200と、ネットワーク300Aと、ネットワーク300Bと、車両400A~車両400Cと、充電所500A~充電所500Cを含んで構成される。以下では、車両400A~車両400Cのことを、単に車両400とも称し、充電所500A~充電所500Cのことを、単に充電所500とも称する。
【0030】
車両400は、バッテリを搭載し、搭載するバッテリの電力を利用して走行する。車両400は、搭載するバッテリの充電状態と劣化状態とを取得する。ここでは、バッテリの充電状態は、具体的には、例えば、満充電を100%とした場合における現時点の充電率であってよい。バッテリの劣化状態は、具体的には、例えば、新たな充電を行うことができなくなるまで劣化した状態を100%とした場合における現時点の劣化率であってよい。車両400は、例えば、搭載するバッテリによる累積走行距離を取得し、取得した累積走行距離からバッテリの劣化状態を推定してもよい。また、車両400は、搭載するバッテリの充電時の電流量を取得し、取得した充電時の電流量からバッテリの劣化状態を推定してもよい。また、車両400は、搭載するバッテリの放電時(車両400の走行時)の電流量を取得し、取得した放電時の電流量からバッテリの劣化状態を推定してもよい。また、車両400は、バッテリの製造後又は充電完了後からの経過時間から劣化状態を推定してもよい。また、車両400は、これらの組み合わせからバッテリの劣化状態を推定してもよい。または、車両400は、例えば、バッテリの劣化状態を測定することができる劣化状態測定装置を搭載し、搭載する劣化状態測定装置を利用してバッテリの劣化状態を取得してもよい。車両400は、車両400を利用するユーザからの操作を受け付ける入力装置と、ユーザへ情報を出力する出力装置とを備える。入力装置は、例えば、タッチパッド、キーボード等であってよい。出力装置は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等であってよい。ここでは、車両400は、入力装置としてタッチパッドを備え、出力装置としてディスプレイを備えるとする。ユーザは、入力装置を利用して、車両400に搭載されるバッテリの使用予定と、車両400の移動ルートとを入力することができる。バッテリの使用予定は、予定又は想定される走行ルート、走行距離、積載量、速度、加速度等といったバッテリの消費速度(言い換えると単位時間当たりの電力消費量)に影響を与える要素である。例えば、バッテリの使用予定は、車両400の走行予定であってよい。車両400は、自車両の位置を取得する。車両400は、例えば、GPSを利用して自車両の位置を取得してよい。車両400は、ネットワーク300Aを介して、充電プラン決定サーバ100と通信可能に接続する。
【0031】
充電所500は、車両400に搭載されるバッテリを充電する充電所である。充電所500は、例えば、複数の充電種別(充電モードともいう。例えば、通常充電方式、急速充電方式等。)によりバッテリに充電することができてよい。充電所500は、充電所500の管理者からの操作を受け付ける入力装置と、管理者へ情報を出力する出力装置とを備える。入力装置は、例えば、タッチパッド、キーボード等であってよい。出力装置は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等であってよい。ここでは、充電所500は、入力装置としてタッチパッドを備え、出力装置としてディスプレイを備えるとする。管理者は、入力装置を利用して、充電所500の利用予約と、充電所500を利用するユーザに対して提供する特典とを入力することができる。特典は、例えば、所定の時間帯(例えば閑散期)に利用したユーザに対して、通常料金より5%割引を行うといった内容であってもよい。また、特典は、予め予約してから利用したユーザに対して、粗品をプレゼントするといった内容であってもよい。また、特典は、急速充電を利用せずに通常充電を利用したユーザに対して、通常料金より20%割引を行うといった内容であってもよい。充電所500は、ネットワーク300Bを介して、予約サーバ200と通信可能に接続する。
【0032】
予約サーバ200は、ネットワーク300Bを介して複数の充電所500と通信可能に接続し、各充電所500から、充電所500の予約状況と、特典と、位置とを取得して、管理する。予約サーバ200は、さらに、充電プラン決定サーバ100と通信可能に接続する。
【0033】
充電プラン決定サーバ100は、ネットワーク300Aを介して複数の車両400と通信可能に接続し、各車両400から、車両400に搭載されるバッテリの充電プランを決定する。充電プラン決定サーバ100は、さらに、予約サーバ200と通信可能に接続する。
【0034】
充電プラン決定サーバ100と、予約サーバ200とは、例えば、プロセッサとメモリとを含んで構成されるコンピュータによって実現されてよい。この場合、充電プラン決定サーバ100と、予約サーバ200との各構成要素は、例えば、プロセッサがメモリに記憶される1以上のプログラムを実行することで実現されてよい。また、充電プラン決定サーバ100と、予約サーバ200とは、例えば、それぞれがプロセッサとメモリとを含んで構成される、互いに通信可能な複数のコンピュータが協調して動作することによって実現されてよい。この場合、充電プラン決定サーバ100と、予約サーバ200との各構成要素は、例えば、いずれかの1以上のプロセッサが、いずれかの1以上のメモリに記憶される、1以上のプログラムを実行することで実現されてよい。ここでは、充電プラン決定サーバ100と、予約サーバ200とは、プロセッサとメモリとを含んで構成されるコンピュータによって実現されるとする。
【0035】
なお、充電プラン決定サーバと予約サーバの機能は、同一のサーバにて実現されてもよい。
【0036】
図2は、充電プラン決定サーバ100の構成を示すブロック図である。
【0037】
図2に示されるように、充電プラン決定サーバ100は、状態取得部11と、使用予定取得部12と、位置取得部13と、充電所情報取得部14と、状態更新確認部20と、上下限決定部30と、充電プラン決定部40と、出力部51と、予約要求部52とを含んで構成される。
【0038】
状態取得部11は、各車両400から、車両400に搭載されるバッテリの充電状態と劣化状態とを取得する。そして、取得したバッテリの充電状態と劣化状態とを、取得元の車両400を特定する情報と紐づけて記憶する。例えば、各車両400は、充電プラン決定サーバ100に、定期的に、バッテリの充電状態と劣化状態とを送信し、状態取得部11は、各車両400から定期的に送信される、バッテリの充電状態と劣化状態とを受信することで、バッテリの充電状態と劣化状態とを取得するとしてもよい。また、例えば、状態取得部11は、各車両400に、バッテリの充電状態と劣化状態との送信要求を送信し、各車両400から送信要求に応じて送信される、バッテリの充電状態と劣化状態とを受信することで、バッテリの充電状態と劣化状態とを取得するとしてもよい。状態取得部11は、各車両400から、さらに、バッテリの状態に係る他の情報を取得してもよい。他の情報としては、例えば、搭載されるバッテリによる累積走行距離、搭載されるバッテリの充電時の電流量、搭載されるバッテリの放電時の電流量、搭載されるバッテリの温度等であってもよい。
【0039】
使用予定取得部12は、各車両400から、車両400に搭載されるバッテリの使用予定を取得する。そして、取得したバッテリの使用予定を、取得元の車両400を特定する情報と紐づけて記憶する。図3に、使用予定取得部12が取得するバッテリの使用予定の一例を示す。例えば、各車両400は、車両400を利用するユーザから、バッテリの使用予定が入力されると、入力されたバッテリの使用予定を充電プラン決定サーバ100に送信し、使用予定取得部12は、各車両400から送信される、バッテリの使用予定を受信することで、バッテリの使用予定を取得するとしてもよい。また、例えば、状態取得部11は、各車両400に、バッテリの使用予定の送信要求を送信し、各車両400から送信要求に応じて送信される、バッテリの使用予定を受信することで、バッテリの使用予定を取得するとしてもよい。使用予定取得部12は、バッテリの使用予定が入力されていない車両400からは、バッテリの使用予定を取得しなくてもよい。
【0040】
位置取得部13は、各車両400から、車両400の位置を取得する。そして、取得した車両400の位置を、取得元の車両400を特定する情報と紐づけて記憶する。例えば、各車両400は、充電プラン決定サーバ100に、定期的に、車両400の位置を送信し、位置取得部13は、各車両400から定期的に送信される、車両400の位置を受信することで、バッテリの充電状態と劣化状態とを取得するとしてもよい。また、例えば、位置取得部13は、各車両400に、車両400の位置の送信要求を送信し、各車両400から送信要求に応じて送信される、車両400の位置を受信することで、車両400の位置を取得するとしてもよい。状態取得部11は、各車両400から、さらに、移動ルートを取得してもよい。この場合、状態取得部11は、移動ルートが入力されていない車両400からは、移動ルートを取得しなくてもよい。
【0041】
充電所情報取得部14は、予約サーバ200から、各充電所500の予約状況と特典と位置とを取得する。そして、取得した予約状況と特典と位置とを記憶する。図4に充電所情報取得部14が取得する予約状況の一例を示す。例えば、充電所情報取得部14は、予約サーバ200へ、各充電所500の予約状況と特典と位置との送信要求を送信し、予約サーバ200から送信要求に応じて送信される、各充電所500の予約状況と特典と位置とを受信することで、各充電所500の予約状況と特典と位置とを取得するとしてもよい。また、例えば、予約サーバ200は、充電プラン決定サーバ100へ、定期的に、各充電所500の予約状況と特典と位置とを送信し、充電所情報取得部14は、予約サーバ200から定期的に送信される、各充電所500の予約状況と特典と位置とを受信することで、各充電所500の予約状況と特典と位置とを取得するとしてもよい。
【0042】
状態更新確認部20は、状態取得部11が、各車両400から、車両400に搭載されるバッテリの劣化状態を新たに取得した場合において、新たに取得したバッテリの劣化状態が、前回取得したバッテリの劣化状態から更新されているか否かを確認する。ここで、更新されているとは、新たに取得したバッテリの劣化状態が、前回取得したバッテリの劣化状態から、所定量以上変動している場合のことをいう。
【0043】
上下限決定部30は、状態更新確認部20が、一の車両400(以下、「特定車両400」と称する。)について、バッテリの劣化状態が更新されていることを確認した場合に、そのバッテリの劣化状態に基づいて、その特定車両400に搭載されるバッテリの充電状態の上限を決定する。より具体的には、上下限決定部30は、バッテリのタイプ毎に、バッテリの充電状態(すなわち、バッテリの残量)と、バッテリの劣化状態(すなわち、バッテリの累積劣化量)と、劣化量(すなわち、バッテリに新たに充電することで、そのバッテリに新たに生じる劣化の量であり、言い換えると劣化進行の程度)との対応関係を示す第1対応テーブルを記憶し、更新されたバッテリの劣化状態と、記憶する第1対応テーブルと、予め定められた許容劣化量とに基づいて、バッテリの充電状態の上限を決定する。
【0044】
図5Aは、上下限決定部30が記憶する第1対応テーブルのデータ構成図である。
【0045】
上下限決定部30は、第1対応テーブルを参照し、更新されたバッテリの劣化状態(ここでは、累積劣化量)に対応付けられた劣化量(ここでは、a1、a2、a3、b1、b2、b3等)の中から、予め定められた許容劣化量を上回らない劣化量うちの1つを特定し、特定した劣化量に対応付けられた充電状態を、そのバッテリの充電状態の上限として決定する。
【0046】
第1対応テーブルは、例えば、予め実験を行うことで取得されたデータを用いて作成される。なお、充電状態の上限を決定するためのテーブルは、変動要素に基づき決定されてもよい。例えば、劣化状態すなわち累積劣化量をインプットとして、累積劣化量と充電状態の上限との関係性を示す基本テーブルに基づき、インプットされた累積劣化量に応じたテーブルが決定される。変動要素としては、累積劣化量に加えて、充電において流れる電流量、放電において流れる電流量、バッテリの温度、及び充電状態などがある。変動要素が充電状態である場合は、充電状態の変化を考慮してテーブルが決定されてもよい。なお、図5Bを参照して後述される補正量を用いた充電状態の上限の決定処理の代わりに、変動要素に基づくテーブル決定処理が行われてもよい。
【0047】
上下限決定部30は、状態取得部11が、特定車両400について、更新された劣化状態と共に、バッテリの状態に係る他の情報を取得している場合には、その取得された他の情報をも用いて、バッテリの充電状態の上限を決定するとしてもよい。この場合、上下限決定部30は、バッテリのタイプ毎に、充電状態と、バッテリの劣化状態と、劣化量と、他の情報による劣化量の補正量との対応関係を示す第2対応テーブルを記憶し、更新されたバッテリの劣化状態と、他の情報と、記憶する第2対応テーブルと、予め定められた許容劣化量とに基づいて、バッテリの充電状態の上限を決定する。
【0048】
図5Bは、上下限決定部30が記憶する第2対応テーブルのデータ構成図である。
【0049】
他の情報が、例えば、バッテリの充電時の電流量である場合には、補正量(ここでは、Δe1、Δe2、Δe3、Δf1、Δf2、Δf3等)は、電流量が多いほど値が大きくなる正の値となり、他の情報が、例えば、バッテリの放電時の電流量である場合には、補正量は、電流量が多いほど値が大きくなる正の値となる。一方で、他の情報が、バッテリの温度である場合には、補正量は、その温度に応じて、正の値にもなるし負の値にもなる。
【0050】
上下限決定部30は、第2対応テーブルを参照し、更新されたバッテリの劣化状態に対応付けられた劣化量と補正量との和の中から、予め定められた許容劣化量を上回らない劣化量と補正量との和うちの1つを特定し、特定した劣化量と補正量との和に対応付けられた充電状態を、そのバッテリの充電状態の上限として決定する。
【0051】
第2対応テーブルは、例えば、予め実験を行うことで取得されたデータを用いて作成される。
【0052】
上下限決定部30は、さらに、特定車両400について、更新されたバッテリの劣化状態に基づいて、バッテリの充電状態の下限を決定してもよい。より具体的には、上下限決定部30は、バッテリのタイプ毎に、バッテリの劣化状態と、バッテリの充電状態の下限とを対応付けた第3対応テーブルを記憶し、更新されたバッテリの劣化状態と、記憶する第3対応テーブルとに基づいて、バッテリの充電状態の下限を決定してもよい。
【0053】
上下限決定部30は、さらに、使用予定取得部12が、特定車両400から、特定車両400に搭載されるバッテリの使用予定を取得している場合には、更新されたバッテリの劣化状態と、バッテリの使用予定とから、バッテリの使用予定後におけるバッテリの充電状態を推測し、推測した、バッテリの使用予定後におけるバッテリの充電状態が、バッテリの充電状態の下限を下回らないように、充電時におけるバッテリの充電状態の下限を決定するとしてもよい。
【0054】
充電プラン決定部40は、上下限決定部30が、特定車両400に搭載されるバッテリの充電状態の上限を決定した場合に、決定された充電状態の上限と、状態取得部11によって取得された特定車両400の充電状態とに基づいて、バッテリの劣化を抑制する充電内容を示すバッテリの充電プランを決定する。
【0055】
充電プラン決定部40は、上下限決定部30が、特定車両400に搭載されるバッテリの充電状態の下限を決定し、使用予定取得部12が、特定車両400に搭載されるバッテリの使用予定を取得している場合には、それらバッテリの充電状態の下限と、バッテリの使用予定とにも基づいて、バッテリの充電プランを決定してもよい。
【0056】
充電プラン決定部40は、位置取得部13が、特定車両400の位置を取得し、充電所情報取得部14が、複数の充電所500の位置を取得している場合には、それら特定車両400の位置と、複数の充電所500の位置とにも基づいて、充電場所を示す情報を含むバッテリの充電プランを決定してもよい。この場合、充電プラン決定部40は、例えば、特定車両400の位置から最も近い、又は、近い順に所定数の充電所500を充電場所として決定してもよい。また、充電プラン決定部40は、料金が最も安い、又は、安い順に所定数の充電所500を充電場所として決定してもよい。また、充電プラン決定部40は、これら複数の要素を組み合わせて充電所500を充電場所として決定してもよい。
【0057】
充電プラン決定部40は、位置取得部13が、特定車両400の走行ルートを取得し、充電所情報取得部14が、複数の充電所500の位置を取得している場合には、それら特定車両400の走行ルートと、複数の充電所500の位置とにも基づいて、充電場所を示す情報を含むバッテリの充電プランを決定してもよい。この場合、充電プラン決定部40は、例えば、特定車両400の走行ルートに最も近い、又は、近い順に所定数の充電所500を充電場所として決定してもよい。
【0058】
充電プラン決定部40は、位置取得部13が、特定車両400の位置を取得し、充電所情報取得部14が、一の充電所500の位置を取得している場合には、それら特定車両400の位置と、一の充電所500の位置とにも基づいて、充電時間を示す情報を含むバッテリの充電プランを決定してもよい。ここで、充電時間とは、充電開始時刻、充電終了時刻、又は/及び、充電に必要な時間のいずれか、又は、これらの組み合わせであってもよい。この場合、充電プラン決定部40は、例えば、特定車両400の位置から一の充電所500の位置への移動時間を推定して充電開始時刻を決定してもよいし、一の充電所500の充電能力から充電に必要な時間、又は、充電終了時刻を決定してもよい。
【0059】
充電プラン決定部40は、充電所情報取得部14が、複数の充電所500の特典を取得している場合には、それら特典にも基づいて、充電場所を示す情報を含むバッテリの充電プランを決定してもよい。この場合、充電プラン決定部40は、例えば、特典により、特定車両400を利用するユーザが受ける利益の最も大きい、又は、大きい順に所定数の充電所500を充電場所として決定してもよい。
【0060】
充電プラン決定部40は、充電所情報取得部14が、複数の充電所500の予約状況を取得している場合には、それら予約状況にも基づいて、充電場所を示す情報を含むバッテリの充電プランを決定してもよい。この場合、充電プラン決定部40は、複数の充電所500において、予約状況に示される予約時間帯に充電を行わないように充電プランを決定してもよいし、予約状況から推定される各充電所500の稼働率から、特定の充電所500の稼働率が高くなりすぎないように、又は、特定の充電所500の稼働率が低くなりすぎないように充電プランを決定してもよい。
【0061】
予約要求部52は、充電プラン決定部40が、予約状況にも基づいて充電プランを決定した場合に、決定された充電プランを予約要求として予約サーバ200に送信(すなわち、出力)する。予約要求部52は、予約要求を予約サーバ200に送信した場合において、予約サーバ200からその予約要求に対する応答が送信されたときには、その応答を受信する。
【0062】
出力部51は、充電プラン決定部40が、特定車両400についての充電プランを決定した場合に、決定された充電プランを特定車両400に送信(すなわち、出力)する。
【0063】
図6A図6B図6Cは、それぞれ、出力部51が出力する充電プランの一例を示す模式図である。
【0064】
図6Aで例示される充電プランは、充電所名(充電場所)と、充電開始時刻(充電時間)と、充電終了時刻(充電時間)と、充電種別(充電モード)と、充電状態の上限と、金額と、特典とからなる複数の推奨案を含む充電プランの例である。
【0065】
図6Bで例示される充電プランは、予約要求部52が、充電プランを予約要求として予約サーバ200に送信し、予約要求部52が、予約サーバ200から返信された、肯定的な応答を受信した場合において、出力部51から出力される充電プランの例である。
【0066】
図6Cで例示される充電プランは、充電状態の上限のみからなる充電プランの例である。
【0067】
出力部51は、例えば、充電プラン決定サーバ100に予め登録された車両400に対しては、充電状態の上限のみからなる充電プラン(例えば、図6Cで例示される充電プラン)を送信し、他の車両400に対しては、充電状態の上限に加えて他の情報をも含む充電プラン(例えば、図6Aで例示される充電プラン)を送信するとしてもよい。
【0068】
[2.情報処理システムの動作]
上記構成の情報処理システム1は、車両400の充電プランを決定する充電プラン決定処理を行う。
【0069】
以下、図7及び図8を用いて、情報処理システム1が行う充電プラン決定処理の一例について説明する。
【0070】
図7は、充電プラン決定処理のシーケンス図である。
【0071】
図8は、充電プラン決定処理において、充電プラン決定サーバ100が行う動作のフローチャートである。
【0072】
車両400は、搭載するバッテリの充電状態と劣化状態とを取得し、取得したバッテリの充電状態と劣化状態とを、充電プラン決定サーバ100に送信する(ステップS10)。この際、車両400は、搭載するバッテリの状態に係る他の情報を取得している場合には、バッテリの充電状態と劣化状態との送信に加えて、バッテリの状態に係る他の情報も、充電プラン決定サーバ100に送信してもよい。
【0073】
車両400からバッテリの充電状態と劣化状態とが送信されると、状態取得部11は、送信されたバッテリの充電状態と劣化状態とを受信することで取得する(ステップS10a)。この際、車両400から、バッテリの状態に係る他の情報が送信された場合には、状態取得部11は、送信されたバッテリの状態に係る他の情報を受信することで取得する。
【0074】
車両400は、さらに、車両400を利用するユーザによって入力された、搭載するバッテリの使用予定を、充電プラン決定サーバ100に送信する(ステップS20)。バッテリの使用予定が入力されていない場合には、車両400は、バッテリの使用予定を送信しなくてもよい。
【0075】
車両400からバッテリの使用予定が送信されると、使用予定取得部12は、送信されたバッテリの使用予定を受信することで取得する(ステップS20a)。
【0076】
バッテリの充電状態と劣化状態とが取得されると、状態更新確認部20は、新たに取得したバッテリの劣化状態が、前回取得したバッテリの劣化状態から更新されているか否かを確認する(ステップS30)。
【0077】
ステップS30の処理において、バッテリの劣化状態が更新されていると確認された場合に(ステップS30:Yes)、上下限決定部30は、バッテリの劣化状態に基づいて、バッテリの充電状態の上限を決定する(ステップS40)。この際、状態取得部11によって、車両400から、バッテリの状態に係る他の情報が受信された場合には、上下限決定部30は、バッテリの状態に係る他の情報にも基づいて、バッテリの充電状態の上限を決定してもよい。
【0078】
バッテリの充電状態の上限が決定されると、上下限決定部30は、使用予定取得部12によって、バッテリの使用予定が取得されているか否かを確認する(ステップS45)。
【0079】
ステップS45の処理において、バッテリの使用予定が取得されていると確認された場合に(ステップS45:Yes)、上下限決定部30は、バッテリの劣化状態と、バッテリの使用予定とに基づいて、バッテリの充電状態の下限を決定する(ステップS50)。
【0080】
ステップS50の処理が終了した場合と、ステップS30の処理において、バッテリの劣化状態が更新されていないと確認された場合と(ステップS30:No)、ステップS45の処理において、バッテリの使用予定が取得されていないと確認された場合と(ステップS45:No)に、充電所情報取得部14は、各充電所500の予約状況の送信要求を、予約サーバ200に送信する(ステップS60)なお、上下限決定部30は、使用予定取得部12によって、バッテリの使用予定が取得されていない場合(すなわち、ステップS45:Noの場合)であっても、バッテリの劣化状態に基づいて、バッテリの充電状態の下限を決定する(ステップS50)としてもよい。
【0081】
予約サーバ200へ、予約状況の送信要求が送信されると、予約サーバ200は、予約状況の送信要求を受信する。そして、予約サーバ200は、予約状況の送信要求の回答として、各充電所500の予約状況を送信する(ステップS65)。この際、予約サーバ200は、各充電所500の予約状況に加えて、各充電所500の特典と位置とを送信してもよい。
【0082】
予約サーバ200から、各充電所500の予約状況が送信されると、充電所情報取得部14は、送信された各充電所500の予約状況を受信することで取得する。この際、予約サーバ200から、各充電所500の特典と位置とが送信された場合には、充電所情報取得部14は、送信された各充電所500の特典と位置とを受信することで取得する。
【0083】
各充電所500の予約状況が取得されると、充電プラン決定部40は、上下限決定部30によって決定されたバッテリの充電状態の上限と、状態取得部11によって取得されたバッテリの充電状態と、充電所情報取得部14によって取得された各充電所500の予約状況とに基づいて、バッテリの充電プランを決定する(ステップS70)。この際、充電プラン決定部40は、位置取得部13によって、車両400の位置又は/及び走行ルートが取得されている場合、又は/及び、充電所情報取得部14によって、各充電所500の特典又は/及び位置が取得されている場合には、車両400の位置、車両400の走行ルート、各充電所500の特典、又は/及び、各充電所500の位置にも基づいて、バッテリの充電プランを決定してもよい。なお、充電プラン決定部40は、各充電所500の予約状況が取得されているか否かにかかわらず、各充電所500の予約状況に基づくことなく、上下限決定部30によって決定されたバッテリの充電状態の上限と、状態取得部11によって取得されたバッテリの充電状態とに基づいて、バッテリの充電プランを決定する(ステップS70)としてもよい。
【0084】
バッテリの充電プランが決定されると、予約要求部52は、対象とする車両400が、予約オプション有りの車両か否かを調べる(ステップS75)。ここで、予約オプション有りの車両とは、バッテリの充電プランが決定された場合に、その決定されたバッテリの充電プランを予約要求として、予約サーバ200に出力する対象となる車両であることが予め充電プラン決定サーバ100に登録されている車両のことをいう。
【0085】
ステップS75の処理において、対象とする車両400が、予約オプション有りの車両である場合に(ステップS75:Yes)、予約要求部52は、充電プラン決定部40によって決定されたバッテリの充電プランを予約要求として、予約サーバ200に送信することで出力する(ステップS80)。なお、予約要求部52は、対象とする車両400が、予約オプション有りの車両か否かにかかわらず、充電プラン決定部40によって決定されたバッテリの充電プランを予約要求として、予約サーバ200に送信する(ステップS80)としてもよい。
【0086】
ステップS75の処理において、対象とする車両400が、予約オプション有りの車両でない場合と(ステップS75:No)、ステップS80の処理が終了した場合とに、出力部51は、充電プラン決定部40によって決定された充電プランを、車両400に送信することで出力する(ステップS90)。すると、車両400は、送信された充電プランを受信し、受信した充電プランを、出力装置を用いて出力する。
【0087】
ステップS90の処理が終了すると、情報処理システム1は、その充電プラン決定処理を終了する。
【0088】
[3.考察]
上記構成の情報処理システム1によると、従来の技術では考慮されない、バッテリの充電状態、劣化状態といったバッテリの動的な状態を考慮して決定されたバッテリの充電プランが出力される。従って、上記情報処理システム1によると、バッテリの劣化を、従来よりも効果的に抑制することができる。
【0089】
(補足)
以上、本開示の一態様に係る情報処理システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、本実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0090】
(1)実施の形態において、情報処理システム1は、車両400が、搭載するバッテリの劣化状態を取得し、状態取得部11が、車両400から送信されるバッテリの劣化状態を受信することで、バッテリの劣化状態を取得する構成の例であった。しかしながら、状態取得部11が車両400に搭載されるバッテリの劣化状態を取得することができれば、情報処理システム1は、必ずしも上記構成の例に限定される必要はない。情報処理システム1は、例えば、車両400が、バッテリの劣化状態を推定し得る情報(例えば、搭載するバッテリによる累積走行距離、搭載するバッテリの充電時の電流量、搭載するバッテリの放電時の電流量等)を取得して充電プラン決定サーバ100へ送信し、状態取得部11が、車両400から送信される、バッテリの劣化状態を推定し得る情報を受信し、受信したバッテリの劣化状態を推定し得る情報からバッテリの劣化状態を推定することで、車両400に搭載されるバッテリの劣化状態を取得する構成であっても構わない。
【0091】
(2)実施の形態において、情報処理システム1は、上下限決定部30が、予め定められた許容劣化量を上回らないように、バッテリの充電状態の上限を決定する構成の例であった。これに対して、情報処理システム1は、他の構成例として、上下限決定部30が、使用予定取得部12によって取得されたバッテリの使用予定から、バッテリを搭載する車両400が長距離走行する予定であることがわかる場合に限っては、予め定められた許容劣化量を上回るように、バッテリの充電状態の上限を決定する構成の例であっても構わない。
【0092】
(3)実施の形態において、情報処理システム1は、車両400に搭載されるバッテリを対象として、バッテリの充電プランを決定する構成のシステムであった。しかしながら、本開示に係る情報処理システムは、車両400に搭載されるバッテリ以外の装置等に搭載されるバッテリを対象として、バッテリの充電プランを決定する構成のシステムであっても構わない。例えば、本開示に係る情報処理システムは、スマートフォン等に代表されるモバイル機器に搭載されるバッテリを対象として、バッテリの充電プランを決定する構成のシステムであっても構わない。
【0093】
(4)実施の形態において、情報処理システム1は、バッテリの充電プランを決定することを説明した。しかし、情報処理システム1は、バッテリの交換プランを決定してもよい。具体的には、情報処理システム1は、バッテリの使用予定を取得し、バッテリの劣化状態に基づいてバッテリの充電状態の下限を決定し、決定した下限と充電状態とバッテリの使用予定とに基づいて、バッテリの交換プランを決定する。例えば、情報処理システム1は、バッテリの使用予定から推定される使用後の充電状態が下限を下回らない程度に充電されているバッテリを検索し、検索されたバッテリと搭載されているバッテリとを交換するプランを決定する。これにより、バッテリの充電にかかる時間を省くことができる。
【0094】
また、情報処理システム1は、バッテリの劣化状態に基づいてバッテリの充電状態の上限を決定し、決定した上限と充電状態とバッテリの使用予定とに基づいて、バッテリの交換プランを決定してもよい。例えば、情報処理システム1は、バッテリの使用予定から推定される使用中の充電状態が上限を上回らない程度に充電されているバッテリを検索し、検索されたバッテリと搭載されているバッテリとを交換するプランを決定する。使用中の充電状態が高くなるケースの一例は、回生ブレーキによる充電である。バッテリの使用予定が下り坂の多い経路を走行する予定の車両で使用される予定である場合、バッテリの充電状態が上限を超過するおそれがある。このような場合に、回生ブレーキよる充電によりバッテリが劣化することを抑制できる。
【0095】
(5)情報処理システム1が備える構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0096】
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0097】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0098】
(6)本開示の一態様は、このような情報処理システムだけではなく、情報処理システムに含まれる特徴的な構成部をステップとする情報処理方法であってもよい。また、本開示の一態様は、情報処理方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本開示は、バッテリの充電プランを決定する装置等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 情報処理システム
11 状態取得部
12 使用予定取得部
13 位置取得部
14 充電所情報取得部
20 状態更新確認部
30 上下限決定部
40 充電プラン決定部
51 出力部
52 予約要求部
100 充電プラン決定サーバ
200 予約サーバ
400、400A、400B、400C 車両
500、500A、500B、500C 充電所
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8