(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20241213BHJP
G01N 21/3581 20140101ALI20241213BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N21/3581
(21)【出願番号】P 2022532251
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2020047286
(87)【国際公開番号】W WO2021255965
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2020106525
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】淺井 陽介
(72)【発明者】
【氏名】山口 博史
(72)【発明者】
【氏名】林 克彦
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0294704(US,A1)
【文献】国際公開第2018/163584(WO,A1)
【文献】特開2011-192978(JP,A)
【文献】特開2017-112154(JP,A)
【文献】特開2001-119193(JP,A)
【文献】特開2003-190112(JP,A)
【文献】特開2014-195616(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008768(WO,A1)
【文献】特開2006-278366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01N 22/00
G01B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象物が通過する通路上の撮影空間を前記通路の両側部の少なくとも一方から覆い、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板を有する拡散反射部と、
前記反射板に対してサブテラヘルツ波を射出する光源と、
前記光源から射出された後、前記反射板で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、前記撮影対象物による反射波を受波し、受波した反射波の強度を検出する検出器と、を備え、
前記拡散反射部は、前記反射板が位置する領域に可視光を透過させる可視光透過領域を有して、可視光を透過させ、
前記反射板は、
サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を透過させるシート状のサブテラヘルツ波反射部材と、
サブテラヘルツ波及び可視光を透過させる2つの可視光透過部材と、を有し、
前記サブテラヘルツ波反射部材における2つの主面のうちの少なくとも前記撮影空間側の主面が凹凸面であり、
前記サブテラヘルツ波反射部材における前記2つの主面の両方はそれぞれ、前記2つの可視光透過部材のそれぞれに被覆され、
前記2つの可視光透過部材はそれぞれ、前記可視光透過部材における前記サブテラヘルツ波反射部材側とは反対側に平坦面を有し、
前記2つの可視光透過部材それぞれの平坦面は、前記反射板の表面を構成する、
撮影装置。
【請求項2】
前記反射板は、前記2つの可視光透過部材のうちの前記撮影空間側の前記可視光透過部材と、前記サブテラヘルツ波反射部材と、前記2つの可視光透過部材のうちの前記撮影空間側の反対側の前記可視光透過部材とが、この順で積層された構造である、
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記サブテラヘルツ波反射部材は、導電性薄膜であり、前記導電性薄膜は透明導電性酸化物又は金属薄膜である、
請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記サブテラヘルツ波反射部材は、導電性メッシュであり、前記導電性メッシュの目開きは、500nm以上6mm以下である、
請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記サブテラヘルツ波反射部材は、パンチングメタルであり、前記パンチングメタルの孔径は、孔における最大径で、500nm以上6mm以下である、
請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記2つの主面は、粗さ曲線要素の平均長さが0.15mm以上であり、前記2つの主面のうち前記撮影空間側の主面と他方の主面との凹凸形状が一致している、
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記2つの可視光透過部材それぞれの平坦面は、平行な位置関係である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記反射板は、さらに、前記撮影空間の少なくとも一部の上方を覆う、
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記拡散反射部は、前記拡散反射部に設けられた隙間が位置する領域に別の可視光透過領域を有し、
前記隙間は、前記撮影空間の上方に位置し、
前記隙間の幅は、前記拡散反射部の前記通路からの高さよりも小さい、
請求項8に記載の撮影装置。
【請求項10】
前記隙間は、前記通路の延びる方向に延び、
前記隙間の幅は、前記通路の幅よりも小さい、
請求項9に記載の撮影装置。
【請求項11】
前記可視光透過領域及び前記別の可視光透過領域の少なくとも一方を介して前記撮影空間に可視光を照射する照明器具をさらに備える、
請求項9又は10に記載の撮影装置。
【請求項12】
撮影対象物が通過する通路上の撮影空間を前記通路の両側部の少なくとも一方から覆い、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板を有する拡散反射部と、
前記反射板に対してサブテラヘルツ波を射出する光源と、
前記光源から射出された後、前記反射板で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、前記撮影対象物による反射波を受波し、受波した反射波の強度を検出する検出器と、を備え、
前記反射板は、前記撮影空間側からの可視光を反射させ、
前記反射板は、
サブテラヘルツ波を拡散反射するシート状のサブテラヘルツ波反射部材と、
サブテラヘルツ波を透過させ、可視光を拡散反射する可視光拡散反射部材と、
被覆部材と、を有し、
前記サブテラヘルツ波反射部材における2つの主面のうちの少なくとも前記撮影空間側の主面が凹凸面であり、
前記2つの主面のうちの前記サブテラヘルツ波反射部材における前記撮影空間側の主面は、前記可視光拡散反射部材に被覆され、
前記可視光拡散反射部材は、前記可視光拡散反射部材における前記サブテラヘルツ波反射部材側とは反対側に、可視光を拡散反射する平坦な可視光拡散反射面を有し、
前記2つの主面のうちの前記サブテラヘルツ波反射部材における前記撮影空間側と反対側の主面は、前記被覆部材に被覆され、
前記被覆部材は、前記被覆部材における前記サブテラヘルツ波反射部材側とは反対側に平坦面を有し、
前記可視光拡散反射面および前記平坦面は、前記反射板の表面を構成する、
撮影装置。
【請求項13】
前記反射板は、前記可視光拡散反射部材と、前記サブテラヘルツ波反射部材と、前記被覆部材とが、この順で積層された構造である、
請求項12に記載の撮影装置。
【請求項14】
前記可視光拡散反射部材は、結晶性樹脂材料を含む、
請求項12又は13に記載の撮影装置。
【請求項15】
前記可視光拡散反射部材は、可視光拡散性粒子を含む、
請求項12又は13に記載の撮影装置。
【請求項16】
前記可視光拡散反射面に映像を投影するプロジェクタをさらに備える、
請求項12から15のいずれか一項に記載の撮影装置。
【請求項17】
撮影対象物が通過する通路上の撮影空間を前記通路の両側部の少なくとも一方から覆い、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板を有する拡散反射部と、
前記反射板に対してサブテラヘルツ波を射出する光源と、
前記光源から射出された後、前記反射板で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、前記撮影対象物による反射波を受波し、受波した反射波の強度を検出する検出器と、を備え、
前記反射板は、前記撮影空間側からの可視光を反射させ、
前記反射板は、
サブテラヘルツ波を拡散反射するシート状のサブテラヘルツ波反射部材と、
サブテラヘルツ波を透過させ、可視光を鏡面反射する可視光鏡面反射部材と、
被覆部材と、を有し、
前記サブテラヘルツ波反射部材における2つの主面のうちの少なくとも前記撮影空間側の主面が凹凸面であり、
前記2つの主面のうちの前記サブテラヘルツ波反射部材における前記撮影空間側の主面は、前記可視光鏡面反射部材に被覆され、
前記可視光鏡面反射部材は、前記可視光鏡面反射部材における前記サブテラヘルツ波反射部材側とは反対側に、可視光を鏡面反射する平坦な可視光鏡面反射面を有し、
前記2つの主面のうちの前記サブテラヘルツ波反射部材における前記撮影空間側と反対側の主面は、前記被覆部材に被覆され、
前記被覆部材は、前記被覆部材における前記サブテラヘルツ波反射部材側とは反対側に平坦面を有し、
前記可視光鏡面反射面および前記平坦面は、前記反射板の表面を構成する、
撮影装置。
【請求項18】
前記可視光鏡面反射部材は、誘電体多層膜を含む、
請求項17に記載の撮影装置。
【請求項19】
前記反射板は、前記撮影空間を前記通路の前記両側部から挟む、
請求項1から18のいずれか一項に記載の撮影装置。
【請求項20】
前記拡散反射部は、前記撮影空間への出入り口となる前記拡散反射部における開口部において、前記通路の幅が最も狭くなる構造を有する、
請求項19に記載の撮影装置。
【請求項21】
前記撮影空間への出入り口となる前記拡散反射部における開口部を覆う扉を備え、
前記扉は、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を透過させる、
請求項19又は20に記載の撮影装置。
【請求項22】
前記撮影空間への出入り口となる前記拡散反射部における開口部を覆う扉を備え、
前記扉は、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を反射する、
請求項19又は20に記載の撮影装置。
【請求項23】
前記2つの主面は、露出していない、
請求項1から11のいずれか一項に記載の撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テラヘルツ波及びサブテラヘルツ波を用いて撮影対象物の画像を撮影する撮影装置が知られている。例えば、特許文献1には、テラヘルツ波を用いて被写体の画像を取得する画像取得装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サブテラヘルツ波を用いて撮影対象物の画像を撮影する撮影装置では、画質の向上等のために撮影対象物に効果的にサブテラヘルツ波を照射することが求められている。
【0005】
本開示は、撮影対象物に効果的にサブテラヘルツ波を照射することができる撮影装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る撮影装置は、撮影対象物が通過する通路上の撮影空間を両側部の少なくとも一方から覆い、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板を有する拡散反射部と、前記反射板に対してサブテラヘルツ波を射出する光源と、前記光源から射出された後、前記反射板で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、前記撮影対象物による反射波を受波し、受波した反射波の強度を検出する検出器と、を備え、前記拡散反射部は、可視光を透過させる可視光透過領域を有する。
【0007】
また、本開示の一態様に係る撮影装置は、撮影対象物が通過する通路上の撮影空間を前記通路の両側部の少なくとも一方から覆い、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板を有する拡散反射部と、前記反射板に対してサブテラヘルツ波を射出する光源と、前記光源から射出された後、前記反射板で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、前記撮影対象物による反射波を受波し、受波した反射波の強度を検出する検出器と、を備え、前記反射板は、前記撮影空間側からの可視光を反射する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る撮影装置によれば、撮影対象物に効果的にサブテラヘルツ波を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る撮影装置の外観を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る撮影装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る撮影装置を上方から見た場合の模式図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る拡散反射部の断面構造を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る反射板の断面構造を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る撮影装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る拡散反射部の断面構造を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る反射板の断面構造を示す模式図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2の変形例1に係る撮影装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2の変形例1に係る拡散反射部の断面構造を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2の変形例1に係る反射板の断面構造を示す模式図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3に係る撮影装置の構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3に係る拡散反射部の断面構造を示す模式図である。
【
図14】
図14は、実施の形態3に係る拡散反射部の別の例の断面構造を示す模式図である。
【
図15】
図15は、実施の形態3に係る拡散反射部のさらに別の例の断面構造を示す模式図である。
【
図16】
図16は、実施の形態4に係る撮影装置の構成を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、実施の形態4に係る、上方に照明器具が設けられた拡散反射部の断面構造を示す模式図である。
【
図18】
図18は、実施の形態4に係る、上方に照明器具が設けられた拡散反射部の別の例の断面構造を示す模式図である。
【
図19】
図19は、変形例に係る撮影装置を上方から見た場合の模式図である。
【
図20】
図20は、別の変形例に係る撮影装置を上方から見た場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の概要)
本開示の一態様の概要は、以下の通りである。
【0011】
本開示の一態様に係る撮影装置は、撮影対象物が通過する通路上の撮影空間を前記通路の両側部の少なくとも一方から覆い、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板を有する拡散反射部と、前記反射板に対してサブテラヘルツ波を射出する光源と、前記光源から射出された後、前記反射板で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、前記撮影対象物による反射波を受波し、受波した反射波の強度を検出する検出器と、を備え、前記拡散反射部は、可視光を透過させる可視光透過領域を有する。
【0012】
なお、本明細書において、「サブテラヘルツ波」とは、0.05THz以上2THz以下の周波数の電磁波を意味する。本明細書におけるサブテラヘルツ波は、0.08THz以上1THz以下の周波数の電磁波であってもよい。また、本明細書において「拡散反射」とは、マクロ的に見て1つの入射角で反射板に対して入射したサブテラヘルツ波が、ミクロ的な凹凸を複数有する凹凸面の構造によって複数の反射角で反射されることを意味する。
【0013】
本態様によれば、撮影空間が撮影空間の少なくとも一方の側方から反射板に覆われているため、光源から射出されたサブテラヘルツ波は、反射板で拡散反射されて撮影対象物に入射する。これにより、反射板の撮影空間側の表面全体が、面光源として機能し、撮影対象物に対して比較的広い範囲に様々な角度からサブテラヘルツ波が照射される。また、可視光は、撮影対象物の表面で拡散反射しやすいが、サブテラヘルツ波は、可視光に比べて波長が長いために、撮影対象物の表面凹凸の大きさがサブテラヘルツ波の波長以下になりやすく、撮影対象物の表面で鏡面反射しやすい。そのため、撮影対象物に入射するサブテラヘルツ波の方向が1方向等に限られる場合には、撮影対象物による反射波の方向も限られるため、撮影対象物による反射波が、検出器の方向に向かいにくい。一方、本態様では、撮影対象物に対して様々な角度からサブテラヘルツ波が照射され、撮影対象物による鏡面反射の反射波も様々な角度で射出されるため、撮影対象物の表面でサブテラヘルツ波が鏡面反射しても検出器の方向に向かいやすくなる。よって、本態様に係る撮影装置は、撮影対象物に対して効果的にサブテラヘルツ波を照射することができる。
【0014】
また、撮影空間が、拡散反射部の反射板によって通路の両側部の少なくとも一方から覆われているため、拡散反射部が可視光透過領域を有していない場合、拡散反射部の外側からの可視光が撮影空間に入射しにくい。そのため、撮影対象物が人である場合には、撮影のために撮影空間を通過する人が閉塞感を感じやすい。これに対して、拡散反射部が可視光透過領域を有することで、拡散反射部の外側からの可視光が撮影空間に入射する。これにより、本態様に係る撮影装置は、撮影のために撮影空間を通過する人の閉塞感を抑制できる。
【0015】
また、例えば、前記可視光透過領域は、前記反射板が位置する領域にあり、前記反射板は、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を透過させるシート状のサブテラヘルツ波反射部材を有し、可視光を透過させてもよい。
【0016】
これにより、サブテラヘルツ波を拡散反射しつつ、可視光を透過させる反射板を有する拡散反射部を備えた撮影装置が実現できる。そのため、サブテラヘルツ波を拡散反射する領域と、可視光透過領域とが同じ反射板に位置するため、撮影対象物に対するサブテラヘルツ波の照射効率を落とすことなく、撮影対象物が人である場合には、人の閉塞感を抑制できる。
【0017】
また、例えば、前記サブテラヘルツ波反射部材は、導電性薄膜であってもよい。
【0018】
これにより、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を透過させるサブテラヘルツ波反射部材を容易に製造できる。
【0019】
また、例えば、前記サブテラヘルツ波反射部材は、導電性メッシュであってもよい。
【0020】
これにより、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を透過させるサブテラヘルツ波反射部材を容易に製造できる。
【0021】
また、例えば、前記サブテラヘルツ波反射部材は、パンチングメタルであってもよい。
【0022】
これにより、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を透過させるサブテラヘルツ波反射部材を容易に製造できる。
【0023】
また、例えば、前記反射板は、サブテラヘルツ波及び可視光を透過させる少なくとも1つの可視光透過部材をさらに有し、前記サブテラヘルツ波反射部材における2つの主面のうちの少なくとも一方は、前記可視光透過部材に被覆され、前記可視光透過部材は、前記可視光透過部材における前記サブテラヘルツ波反射部材側とは反対側に平坦面を有し、前記平坦面は、前記反射板の表面を構成してもよい。
【0024】
これにより、可視光透過部材でサブテラヘルツ波反射部材における主面が保護される。さらに、反射板の表面が平坦面で構成されるため、反射板を清掃しやすくなる。
【0025】
また、例えば、2つの前記主面の両方は、前記平坦面を有する前記可視光透過部材に被覆されていてもよい。
【0026】
これにより、サブテラヘルツ波反射部材の両側が可視光透過部材で被覆されるため、反射板を通して物体を見る場合の物体の見やすさが向上する。
【0027】
また、例えば、前記反射板は、さらに、前記撮影空間の少なくとも一部の上方を覆ってもよい。
【0028】
これにより、撮影空間の上方にも反射板が位置することになるため、光源から反射板に対して射出されたサブテラヘルツ波は、さらに撮影空間内にとどまりやすくなる。
【0029】
また、例えば、前記可視光透過領域は、前記拡散反射部に設けられた隙間が位置する領域であり、前記隙間は、前記撮影空間の上方に位置し、前記隙間の幅は、前記拡散反射部の前記通路からの高さよりも小さくてもよい。
【0030】
これにより、拡散反射部に隙間を設けるだけで、可視光透過領域が形成されるため、容易に、可視光透過領域を有する拡散反射部を製造できる。また、拡散反射部に隙間が設けられているものの、隙間の幅は、拡散反射部の通路からの高さよりも小さいため、撮影空間に入射したサブテラヘルツ波が隙間から漏れにくくなる。
【0031】
また、例えば、前記隙間は、前記通路の延びる方向に延び、前記隙間の幅は、前記通路の幅よりも小さくてもよい。
【0032】
これにより、拡散反射部に隙間が設けられていても、撮影空間に入射したサブテラヘルツ波が隙間から漏れにくくなる。
【0033】
また、例えば、前記撮影装置は、前記可視光透過領域を介して前記撮影空間に可視光を照射する照明器具をさらに備えてもよい。
【0034】
これにより、撮影対象物が人である場合には、照明器具からの可視光が人に照射されるため、人が感じる閉塞感をさらに抑制できる。
【0035】
また、本開示の一態様に係る撮影装置は、撮影対象物が通過する通路上の撮影空間を前記通路の両側部の少なくとも一方から覆い、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板を有する拡散反射部と、前記反射板に対してサブテラヘルツ波を射出する光源と、前記光源から射出された後、前記反射板で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、前記撮影対象物による反射波を受波し、受波した反射波の強度を検出する検出器と、を備え、前記反射板は、前記撮影空間側からの可視光を反射する。
【0036】
本態様に係る撮影装置においても、上記撮影装置と同様に、撮影対象物に対して効果的にサブテラヘルツ波を照射することができる。
【0037】
また、例えば、前記反射板は、サブテラヘルツ波を拡散反射するシート状のサブテラヘルツ波反射部材と、サブテラヘルツ波を透過させ、可視光を拡散反射する可視光拡散反射部材と、を有し、前記サブテラヘルツ波反射部材における前記撮影空間側の主面は、前記可視光拡散反射部材に被覆され、前記可視光拡散反射部材は、前記可視光拡散反射部材における前記サブテラヘルツ波反射部材側とは反対側に、可視光を拡散反射する平坦な可視光拡散反射面を有し、前記可視光拡散反射面は、前記反射板の前記撮影空間側の表面を構成してもよい。
【0038】
これにより、可視光拡散反射部材でサブテラヘルツ波反射部材における主面が保護される。さらに、可視光拡散反射面が平坦であるため、反射板を清掃しやすくなる。
【0039】
また、可視光拡散反射面に対して、映像を投影するプロジェクタ又は照明光を照射する照明器具等がさらに備えられ、撮影対象物が人である場合には、撮影空間を通過する人が映像又は照明光等を見ることができる。そのため、撮影のために撮影空間を通過する人の閉塞感を抑制できる。
【0040】
また、例えば、前記可視光拡散反射部材は、結晶性樹脂材料を含んでもよい。
【0041】
これにより、サブテラヘルツ波を透過させ、可視光を拡散反射する可視光拡散反射部材を容易に製造できる。
【0042】
また、例えば、前記可視光拡散反射部材は、可視光拡散性粒子を含んでもよい。
【0043】
これにより、サブテラヘルツ波を透過させ、可視光を拡散反射する可視光拡散反射部材を容易に製造できる。
【0044】
また、例えば、前記撮影装置は、前記可視光拡散反射面に映像を投影するプロジェクタをさらに備えてもよい。
【0045】
これにより、撮影対象物が人である場合には、撮影空間を通過する人が、可視光拡散反射面に投影された映像を見ることができる。そのため、撮影のために撮影空間を通過する人の閉塞感を抑制できる。
【0046】
また、例えば、前記反射板は、サブテラヘルツ波を拡散反射するシート状のサブテラヘルツ波反射部材と、サブテラヘルツ波を透過させ、可視光を鏡面反射する可視光鏡面反射部材と、を有し、前記サブテラヘルツ波反射部材における前記撮影空間側の主面は、前記可視光鏡面反射部材に被覆され、前記可視光鏡面反射部材は、前記可視光鏡面反射部材における前記サブテラヘルツ波反射部材側とは反対側に、可視光を鏡面反射する平坦な可視光鏡面反射面を有し、前記可視光鏡面反射面は、前記反射板の前記撮影空間側の表面を構成してもよい。
【0047】
これにより、可視光鏡面反射部材でサブテラヘルツ波反射部材における主面が保護される。さらに、可視光鏡面反射面が平坦であるため、反射板を清掃しやすくなる。
【0048】
また、反射板の撮影空間側の表面が可視光鏡面反射面で構成され、反射板の撮影空間側の表面に鏡像が映されるため、撮影対象物が人である場合には、撮影のために撮影空間を通過する人の閉塞感を抑制できる。
【0049】
また、例えば、前記可視光鏡面反射部材は、誘電体多層膜を含んでもよい。
【0050】
これにより、サブテラヘルツ波を透過させ、可視光を鏡面反射する可視光鏡面反射部材を容易に製造できる。
【0051】
また、例えば、前記反射板は、前記撮影空間を前記通路の前記両側部から挟んでいてもよい。
【0052】
これにより、撮影空間が反射板に挟まれているため、光源から射出されたサブテラヘルツ波は、反射板で1回以上拡散反射されて撮影対象物に入射する。また、光源から反射板に対して射出されたサブテラヘルツ波は、反射板で拡散反射することを繰り返し、撮影空間内にとどまりやすい。よって、撮影装置は、撮影対象物に対してより効果的にサブテラヘルツ波を照射することができる。
【0053】
また、例えば、前記拡散反射部は、前記撮影空間への出入り口となる前記拡散反射部における開口部において、前記通路の幅が最も狭くなる構造を有してもよい。
【0054】
これにより、撮影空間に入射したサブテラヘルツ波が開口部から漏れにくくなる。
【0055】
また、例えば、前記撮影装置は、前記撮影空間への出入り口となる前記拡散反射部における開口部を覆う扉を備え、前記扉は、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を透過させてもよい。
【0056】
これにより、扉がサブテラヘルツ波を拡散反射するため、撮影空間に入射したサブテラヘルツ波が開口部から漏れにくくなる。
【0057】
また、扉を通して撮影空間に可視光が入射するため、撮影対象物が人である場合には、撮影のために撮影空間を通過する人の閉塞感を抑制できる。
【0058】
また、例えば、前記殺家装置は、前記撮影空間への出入り口となる前記拡散反射部における開口部を覆う扉を備え、前記扉は、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を反射してもよい。
【0059】
これにより、扉がサブテラヘルツ波を拡散反射するため、撮影空間に入射したサブテラヘルツ波が開口部から漏れにくくなる。
【0060】
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0061】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
【0062】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、平板などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0063】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0064】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る撮影装置について説明する。
【0065】
図1は、本実施の形態に係る撮影装置10の外観を示す模式図である。
図1では、拡散反射部20以外の構成要素は省略されている。
【0066】
図1に示されるように、撮影装置10は、例えば、人100が、拡散反射部20に囲まれた空間を通過する際に、人100に対してサブテラヘルツ波を照射し、照射されたサブテラヘルツ波の、人100による反射波に基づいて画像を撮影する撮影装置である。また、撮影装置10は、例えば、人100が衣服等の下に隠し持つ刃物等の危険物を撮影する。人100及び人100が衣服等の下に隠し持つ刃物等の危険物は、それぞれ撮影対象物の一例である。
【0067】
以下、
図2から
図4を参照し、撮影装置10の各構成要素の詳細について説明する。
図2は、本実施の形態に係る撮影装置10の構成を示すブロック図である。また、
図3は、本実施の形態に係る撮影装置10を上方から見た場合の模式図である。また、
図3は、拡散反射部20上部を透視した場合の図、具体的には、後述の反射板33の図示を省略した図である。
図3には、拡散反射部20の内部を人100が通過する様子を示されている。また、
図3には、光源50から射出されるサブテラヘルツ波の進路の一例が、矢印で示されている。
図4は、拡散反射部20の断面構造を示す模式図である。
図4には、上面視における通路101が延びる方向と垂直な線で、鉛直方向に拡散反射部20を切断した場合の断面が示されている。なお、
図4においては、見やすくするため、反射板30の詳細な構成の図示が省略されている。これは、以下の説明で用いられる拡散反射部の断面の構造を示す図である
図7、
図10、
図13、
図14、
図15、
図17及び
図18の反射板においても同様である。
【0068】
撮影装置10は、反射板31、32、33を有する拡散反射部20と、光源51、52、53、54と、検出器61、62、63、64と、画像処理部70とを備える。本明細書において、反射板31、32、33を総称して、反射板30と称する場合がある。以下で説明する反射板30a、30b、30c、30d、30e、30f、30gについても同様である。また、光源51、52、53、54を総称して、光源50と称する場合がある。また、検出器61、62、63、64を総称して検出器60と称する場合がある。
【0069】
拡散反射部20は、例えば、内部を人100が通過することができるトンネル状である。
図4に示されるように、拡散反射部20は、断面形状が角ばったU字状であるが、断面形状は特に制限されない。拡散反射部20は、通路101を通過する人100の両側方の少なくとも一方に反射板30があるように配置されればよく、拡散反射部20の断面形状は、I字状、J字状、L字状、2つのI字状、U字状、C字状、枠状又は円環状等であってもよい。拡散反射部20の内部には、人100が通過する通路101上に、人100を撮影するための空間である撮影空間102が形成されている。撮影空間102は、通路101上の空間うち、反射板30に覆われた空間である。拡散反射部20は、反射板30を有する。また、拡散反射部20は、拡散反射部20の内側と外側との間で可視光を透過させる可視光透過領域を有する。本実施の形態において、可視光透過領域は、反射板30が位置する領域にある。これにより、撮影空間102に拡散反射部20の外側からの可視光が入射する。そのため、撮影のために撮影空間102を通過する人100の閉塞感を抑制できる。また、可視光透過領域が、反射板30が位置する領域にあるため、サブテラヘルツ波を拡散反射する領域と、可視光透過領域とが同じ反射板30に位置する。そのため、人100に対するサブテラヘルツ波の照射効率を落とすことなく、人100の閉塞感を抑制できる。本実施の形態において、可視光透過領域は、反射板30が位置する領域のうち、全ての領域であってもよく、一部の領域であってもよい。
【0070】
拡散反射部20が有する反射板30は、人100が通過する通路101上の空間、具体的には撮影空間102を、通路101の両側部の少なくとも一方から覆う。通路101の両側部の少なくとも一方から覆うとは、具体的には、通路101を上方から見た場合の、両側方、つまり通路101が延びる方向に対して垂直な2つの方向の少なくとも一方から覆うことを意味する。本実施の形態においては、拡散反射部20は、サブテラヘルツ波を拡散反射する3つの反射板31、32、33を有する。反射板30(具体的には反射板31及び反射板32)は、人100が通過する通路101上の撮影空間102を、通路101の両側部から挟む。つまり、反射板30は、撮影空間102を、通路101の両側部の両方から覆う。また、反射板30(具体的には反射板33)は、撮影空間102の上方を覆っており、撮影空間102を囲んでいる。撮影空間102は、例えば、通路101上の空間うち、反射板30の内側の表面に挟まれた空間である。このように、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板30が通路101の両側部の床面から立設して撮影空間102を挟むことにより、撮影空間102に入射したサブテラヘルツ波が両側の反射板30で繰り返し拡散反射して撮影空間102にとどまりやすくなると共に、人100に対して様々な角度からサブテラヘルツ波が照射される。撮影空間102の幅及び高さは、一定であるが、撮影空間102の幅及び高さの少なくとも一方が異なる部分があってもよい。
【0071】
反射板31と反射板32とは、撮影空間102を挟んで対向して配置されている。つまり、反射板31と反射板32とは、上面視で通路101を挟む位置関係になるように配置されている。また、反射板31と反射板32とは、平行な位置関係になるように配置されている。反射板31及び反射板32は、通路101の側部の床面から立設し、拡散反射部20の側壁を構成している。反射板31及び反射板32の上端の通路101からの高さは、特に制限されないが、例えば1.5m以上5.0m以下である。反射板33は、撮影空間102の上方に位置する。反射板33は、反射板31及び反射板32それぞれの上端に接合されている。反射板33は、拡散反射部20の天井を構成している。反射板31、32、33は、それぞれ、平板状である。反射板31、32、33は、湾曲した板状であってもよい。反射板31、32、33の平面視形状は、特に制限されないが、例えば、それぞれ、矩形である。なお、拡散反射部20は、拡散反射部20の床部を構成するような、撮影空間102の下方に位置する反射板30をさらに有していてもよい。また、反射板30は、撮影空間102の上方を覆っていなくてもよく、例えば、拡散反射部20は、反射板33を備えていなくてもよい。また、拡散反射部20は、3つの反射板31、32、33を有していなくてもよく、例えば、3つの反射板31、32、33のうち反射板31又は反射板32のみを有していてもよい。
【0072】
反射板30は、サブテラヘルツ波を拡散反射する。具体的には、反射板30は、少なくとも撮影空間102側(つまり、拡散反射部20の内側)から入射するサブテラヘルツ波を拡散反射する。光源50から射出されたサブテラヘルツ波は、
図3に示されるように、反射板30で1回以上拡散反射され、人100に照射される。また、反射板30は、可視光を透過させる。反射板30は、例えば、反射板30の厚み方向から入射する可視光の5%以上を透過させる。反射板30は、反射板30の厚み方向から入射する可視光の30%以上を透過させてもよく、50%以上を透過させてもよい。
【0073】
次に、反射板30の詳細な構成について説明する。
【0074】
図5は、反射板30の断面構造を示す模式図である。
図5は、反射板30の断面の一部が拡大された図である。なお、
図5においては、見やすくするため、断面を示す斜線のハッチングは省略されている。
【0075】
反射板30は、サブテラヘルツ波反射部材41と、可視光透過部材44及び可視光透過部材47とを有する。反射板30は、可視光透過部材44と、サブテラヘルツ波反射部材41と、可視光透過部材47とが、撮影空間102側からこの順で積層された構造を有する。
【0076】
サブテラヘルツ波反射部材41は、サブテラヘルツ波を拡散反射するシート状の部材である。また、サブテラヘルツ波反射部材41は、可視光を透過させる。サブテラヘルツ波反射部材41は、例えば、反射板30の厚み方向から入射する可視光の5%以上を透過させてもよく、50%以上を透過させてもよい。
【0077】
サブテラヘルツ波反射部材41は、可視光透過部材44と可視光透過部材47との間に位置する。サブテラヘルツ波反射部材41は、サブテラヘルツ波反射部材41の厚み方向から見た場合に正面となる2つの面として、2つの主面42及び主面43を有する。主面42及び主面43は、サブテラヘルツ波を拡散反射させる凹凸面である。反射板30が撮影空間102を挟む場合、主面42及び主面43も、撮影空間102を挟む。主面42は、サブテラヘルツ波反射部材41における撮影空間102側に位置し、主面43は、サブテラヘルツ波反射部材41における撮影空間102側とは反対側に位置する。サブテラヘルツ波反射部材41における2つの主面42及び主面43の両方は、可視光透過部材44及び可視光透過部材47にそれぞれ被覆されている。具体的には、サブテラヘルツ波反射部材41における撮影空間102側の主面42は、可視光透過部材44に被覆され、サブテラヘルツ波反射部材41における撮影空間102側とは反対側の主面43は、可視光透過部材47に被覆されている。そのため、主面42及び主面43は、反射板30の表面を構成せず、露出していない。これにより、凹凸面である主面42及び主面43が露出する場合には、凹凸の影響で反射板30を通して物体を見る場合に見にくくなるが、主面42及び主面43がそれぞれ可視光透過部材44及び可視光透過部材47に被覆されることで、当該物体の見やすさ向上する。また、凹凸面である主面42及び主面43が保護される。
【0078】
それぞれ凹凸面である主面42及び主面43では、例えば、粗さ曲線要素の平均長さRSmが光源50から射出されるサブテラヘルツ波の波長以上である。具体的に、主面42及び43では、例えば、粗さ曲線要素の平均長さRSmが0.15mm以上であり、0.3mm以上であってもよい。これにより、サブテラヘルツ波が効率良く主面42及び43で拡散反射される。図示されている例では、主面42と主面43との凹凸形状は、一致している。なお、主面42と主面43との凹凸形状は、異なっていてもよい。また、サブテラヘルツ波反射部材41における撮影空間102側の主面42が凹凸面であればよく、主面43は平坦面であってもよい。
【0079】
サブテラヘルツ波反射部材41は、可視光透過性を有する導電性部材で構成される。具体的に、サブテラヘルツ波反射部材41は、例えば、導電性薄膜、導電性メッシュ又はパンチングメタルである。これにより、サブテラヘルツ波を拡散反射し、可視光を透過させるサブテラヘルツ波反射部材41を容易に製造できる。
【0080】
導電性薄膜の材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(InZnO;Indium Zinc Oxide)、AZO(AlZnO:Aluminum Zinc Oxide)、FTO(Florine-doped Tin Oxide)、SnO2、TiO2又はZnO2等の透明導電性酸化物が用いられる。
【0081】
また、導電性薄膜は、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、銀、金又は白金等の金属を少なくとも1つを含む純金属(単体金属)又は合金等で構成され、可視光を透過させることができる厚みの金属薄膜であってもよい。金属薄膜の厚みは、表皮深度(Skin depth)に基づいて、可視光を透過させ、サブテラヘルツ波を反射させる厚みとなるように設計される。
【0082】
導電性メッシュは、金属メッシュ等の糸状の導電性材料による織物であってもよく、金属等の導電性材料でメッキされた織物であってもよい。導電性メッシュに用いられる導電性材料としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、銀、金又は白金等の金属を少なくとも1つを含む純金属(単体金属)又は合金等が用いられる。
【0083】
導電性メッシュの目開きは、例えば、可視光の波長以上、サブテラヘルツ波の波長以下である。具体的に、導電性メッシュの目開きは、例えば、500nm以上6mm以下である。
【0084】
パンチングメタルとしては、例えば、シート状の金属を打ち抜き加工することで孔が形成されたパンチングメタルが用いられる。パンチングメタルに用いられる金属としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、銀、金又は白金等の金属を少なくとも1つを含む純金属(金属単体)又は合金等が用いられる。パンチングメタルの孔は、例えば、丸孔、角孔又は長孔である。パンチングメタルの孔径は、例えば、可視光の波長以上、サブテラヘルツ波の波長以下である。具体的に、パンチングメタルの孔径は、孔における最大径で、例えば、500nm以上6mm以下である。パンチングメタルの孔のピッチは、求められる可視光の透過率に応じて設計されればよい。
【0085】
可視光透過部材44及び可視光透過部材47は、それぞれ、サブテラヘルツ波を透過させる。可視光透過部材44及び可視光透過部材47は、それぞれ、例えば、反射板30の厚み方向から入射するサブテラヘルツ波の50%以上を透過させる。可視光透過部材44及び可視光透過部材47は、それぞれ、反射板30の厚み方向から入射するサブテラヘルツ波の80%以上を透過させてもよく、90%以上を透過させてもよい。また、可視光透過部材44及び可視光透過部材47は、それぞれ、可視光を透過させる。可視光透過部材44及び可視光透過部材47は、それぞれ、例えば、反射板30の厚み方向から入射する可視光の50%以上を透過させる。可視光透過部材44及び可視光透過部材47は、それぞれ、反射板30の厚み方向から入射する可視光の80%以上を透過させてもよく、90%以上を透過させてもよい。
【0086】
可視光透過部材44は、サブテラヘルツ波反射部材41の撮影空間102側に位置し、主面42を被覆する。可視光透過部材44は、可視光透過部材44におけるサブテラヘルツ波反射部材41側とは反対側に、平坦面45を有する。平坦面45は、反射板30の表面を構成する。平坦面45は、反射板30における撮影空間102側(つまり内側)の表面である。これにより、撮影空間102を通過する人100が反射板30の内側の表面にぶつかった場合にも、人100がサブテラヘルツ波反射部材41の凹凸面(つまり主面42)にぶつかることが防止され、人100及び主面42が保護される。また、反射板30の内側の表面が平坦面45であるため、反射板30を清掃しやすくなる。
【0087】
可視光透過部材47は、サブテラヘルツ波反射部材41の撮影空間102側とは反対側に位置し、主面43を被覆する。可視光透過部材47は、可視光透過部材47におけるサブテラヘルツ波反射部材41側とは反対側に、平坦面48を有する。平坦面48は、反射板30における撮影空間102側の反対側である外側の表面を構成する。反射板30の外側の表面が平坦面48であるため、反射板30を清掃しやすくなる。
【0088】
平坦面45と平坦面48とは、平行な位置関係である。また、反射板30において、平坦面45と、主面42と、主面43と、平坦面48とが、反射板30の厚み方向に沿って、撮影空間102側からこの順で並んでいる。
【0089】
可視光透過部材44及び可視光透過部材47の材料としては、透明樹脂材料等の透明性の誘電体が用いられる。透明樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂及びポリスチレン系樹脂等の非晶性樹脂材料が挙げられる。透明樹脂材料として、結晶サイズが可視光波長以下の結晶性樹脂材料が用いられてもよい。
【0090】
可視光透過部材44及び可視光透過部材47には、例えば、同じ材料が用いられる。これにより、可視光透過部材44と可視光透過部材47との屈折率が同じになるため、反射板30を通して物体を見る場合の物体の見やすさが向上する。可視光透過部材44及び可視光透過部材47には、異なる材料が用いられてもよい。
【0091】
反射板30は、サブテラヘルツ波反射部材41が導電性薄膜の場合、例えば、次の方法で形成される。まず、可視光透過部材44を、凹凸面を有する金型で透明樹脂材料を成形、又は、板状の透明樹脂材料を機械加工によって凹凸加工することで形成し、形成された可視光透過部材44上にサブテラヘルツ波反射部材41を蒸着又はスプレー等によって成膜する。そして、成膜されたサブテラヘルツ波反射部材41を可視光透過部材47の透明樹脂材料で塗布又はホットメルト貼り付け等によって被覆することにより、反射板30が得られる。また、サブテラヘルツ波反射部材41が金属メッシュ又はパンチングメタルの場合、金属メッシュ又はパンチングメタルを機械加工によって凹凸加工し、凹凸加工した金属メッシュ又はパンチングメタルを可視光透過部材44及び可視光透過部材47の材料となる透明樹脂材料で塗布、ホットメルト貼り付け又はインサート成形等によって被覆することで、反射板30が得られる。また、可視光透過部材44及び可視光透過部材47は、3Dプリンタを用いて形成されてもよい。
【0092】
以上のような構成により、
図5に示されるように、反射板30に対して撮影空間102側から入射するサブテラヘルツ波は、可視光透過部材44に侵入し、サブテラヘルツ波反射部材41の主面42で拡散反射され、平坦面45から撮影空間102側へ様々な角度で射出される。また、反射板30に対して外側から入射する可視光は、可視光透過部材47、サブテラヘルツ波反射部材41及び可視光透過部材44をこの順で透過して、平坦面45から撮影空間102側へ射出される。また、反射板30に対して撮影空間102側から入射する可視光は、可視光透過部材44、サブテラヘルツ波反射部材41及び可視光透過部材47をこの順で透過して、平坦面48から反射板30の外側へ射出される。
【0093】
なお、反射板31、32、33は、互いに同じ構成及び材料であってもよく、それぞれの構成及び材料の少なくとも一方が異なっていてもよい。また、拡散反射部20は、3つの反射板31、32、33の代わりに、反射板31、32、33が一体化されて撮影空間102を挟む1つの反射板30を有していてもよい。また、反射板31、32、33のうち、いずれかは、可視光を透過させず、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板であってもよい。
【0094】
再び、
図2及び
図3を参照し、撮影装置10の拡散反射部20以外の構成要素について説明する。
【0095】
光源50は、反射板30に対してサブテラヘルツ波を射出する光源である。具体的には、光源50は、反射板30の内側の表面である平坦面45に対してサブテラヘルツ波を射出する。これにより、サブテラヘルツ波が撮影空間102に入射する。また、
図3に示されるように、光源50が射出したサブテラヘルツ波の一部が、複数回、反射板30で拡散反射するように、光源50は、反射板30に対してサブテラヘルツ波を射出する。また、光源50が射出するサブテラヘルツ波の一部は、直接、人100に入射してもよい。
【0096】
光源50は、拡散反射部20の開口部22及び開口部23の近傍に位置し、拡散反射部20とは離間している。また、光源50は、拡散反射部20と検出器60との間に位置する。これにより、撮影空間102内に照射されたサブテラヘルツ波の人100による反射波が、検出器60に入射しやすくなる。また、光源50は、例えば、図示が省略されている支持部材等により支持されている。なお、光源50の配置は、反射板30に対してサブテラヘルツ波を射出できる位置であればよい。光源50は、例えば、拡散反射部20の内部に位置していてもよく、検出器60の拡散反射部20側とは反対側に位置していてもよい。
【0097】
本実施の形態においては、撮影装置10は、4つの光源51、52、53、54を備える。光源50の数は、特に制限されず、1つ以上3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。光源51及び光源52は、通路101が延びる方向における拡散反射部20の前方に位置する。光源53及び光源54は、通路101が延びる方向における拡散反射部20の後方に位置する。つまり、拡散反射部20は、光源51及び光源52と光源53及び光源54との間に位置する。以下では、通路101が延びる方向における前方を、単に「前方」と称する場合があり、通路101が延びる方向における後方を、単に「後方」と称する場合がある。また、本明細書において、「前方」及び「後方」は、通路101における人100の進行における前後を指すものではなく、相対的な方向を指す用語である。具体的には、通路101が延びる方向における一方の方向を「前方」と称し、一方の方向とは反対方向である他方の方向を「後方」を称する。
【0098】
光源51及び光源52は、拡散反射部20の前方から反射板30に対してサブテラヘルツ波を射出し、光源53及び光源54は、拡散反射部20の後方から反射板30に対してサブテラヘルツ波を射出する。
【0099】
光源50は、例えば、サブテラヘルツ波を光源50の周囲へ放射する点光源である。また、光源50は、通路101の延びる方向における反射板30の端部に沿って延び、サブテラヘルツ波を放射する線光源であってもよい。光源50は、例えば、公知のサブテラヘルツ波発生素子を含む光源等によって実現される。
【0100】
なお、光源50は、通路101の延びる方向における反射板30の端部に沿って並ぶ複数の点光源であってもよい。
【0101】
検出器60は、光源50から射出された後、反射板30で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、人100による反射波を受波する。検出器60は、受波した反射波の強度を検出する。具体的には、検出器60は、受波した反射波の強度に基づいて画像を生成する。検出器60は、生成した画像を画像処理部70に出力する。検出器60が画像を生成することを、「撮影する」とも称する。検出器60は、拡散反射部20の前方及び後方に位置する。
【0102】
本実施の形態においては、撮影装置10は、4つの検出器61、62、63、64を備える。検出器60の数は、特に制限されず、1つ以上3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。検出器61及び検出器62は、拡散反射部20の前方に位置する。検出器63及び検出器64は、拡散反射部20の後方に位置する。つまり、拡散反射部20は、検出器61及び検出器62と検出器63及び検出器64との間に位置する。検出器61及び検出器62は、人100の前方側の画像を撮影し、検出器63及び検出器64は、人100の後方側の画像を撮影する。また、検出器60は、例えば、図示が省略されている支持部材等により支持されている。
【0103】
検出器60は、イメージセンサ65と光学系66とを含む。
【0104】
イメージセンサ65は、光源50から射出された後、反射板30で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、人100による反射波を受波する。イメージセンサ65は、受波した反射波の強度を検出し、検出した強度に基づいて画像を生成する。具体的には、イメージセンサ65は、撮影対象物から発せられたサブテラヘルツ波の像を、その強度に応じた電気信号に変換する。そして、イメージセンサ65は、変換した電気信号に基づく画像を生成する。イメージセンサ65に生成された画像は、画像処理部70に出力される。
【0105】
サブテラヘルツ波は、人体及び金属等に対して鏡面反射し、衣服及びカバン等を透過する。このため、イメージセンサ65は、人100の体のうち、イメージセンサ65が受波可能な角度範囲内に含まれる領域からの、人100の体で鏡面反射した反射波を受波する。イメージセンサ65には、例えば、
図3に示される破線で示される範囲を通る、人100による反射波が入射する。また、人100が刃物等を隠し持つ場合には、イメージセンサ65は、イメージセンサ65が受波可能な角度範囲内に含まれる領域からの、隠し持つ刃物で鏡面反射した反射波を受波する。
【0106】
イメージセンサ65は、例えば、それぞれがサブテラヘルツ波の検出素子を含む複数の画素、及び、周辺回路等で構成される。
【0107】
光学系66は、光源50から射出された後、反射板30で拡散反射されたサブテラヘルツ波の、人100による反射波をイメージセンサ65に結像する。光学系66は、例えば、少なくとも1つのレンズを含んで構成される。なお、検出器60は、光学系66を含んでいなくてもよく、反射波が直接イメージセンサ65に入射してもよい。
【0108】
画像処理部70は、検出器60より画像を受け取ると、受け取った画像を外部に出力すると共に、受け取った画像に対して画像処理を行い、その画像処理の結果を外部に出力する。
【0109】
画像処理部70が行う画像処理は、例えば、検出器60から出力された画像に、所定の特徴を有する物体(例えば、刃物の特徴を有する物体)が含まれているか否かを判定し、所定の特徴を有する物体が含まれていると判定する場合には、所定の検知信号(例えば、刃物の特徴を有する物体が撮影されている旨を示す警報)を出力する処理であってもよい。画像処理部70は、例えば、プロセッサとメモリとを備え、プロセッサが、メモリに記憶されるプログラムを実行することにより実現される。
【0110】
なお、撮影装置10は、画像処理部70を備えていなくてもよく、検出器60が外部の画像処理装置に画像を出力してもよい。また、画像処理部70の機能が、各検出器60に備えられていてもよい。
【0111】
ここで、本実施の形態に係る撮影装置10の作用効果について、主に
図3を参照しながら説明する。光源50から反射板30に対して射出されたサブテラヘルツ波(
図3における矢印)は、撮影空間102が撮影空間102の側方から反射板30に覆われているため、反射板30で拡散反射されて人100に入射する。これにより、反射板30の撮影空間102側の表面、つまり、平坦面45全体が、面光源として機能し、人100に対して比較的広い範囲に様々な角度からサブテラヘルツ波が照射される。よって、撮影装置10は、人100に対して効果的にサブテラヘルツ波を照射できる。また、本実施の形態においては、撮影空間102が反射板30に挟まれているため、光源50から射出されたサブテラヘルツ波は、反射板30で1回以上拡散反射されて人100に入射する。また、光源50から反射板30に対して射出されたサブテラヘルツ波は、通路101の両側部に位置する反射板30で繰り返し拡散反射して撮影空間102内にとどまりやすくなると共に、人100に対して様々な角度で照射される。よって、撮影装置10は、人100に対してより効果的にサブテラヘルツ波を照射できる。
【0112】
さらに、人100における比較的広い範囲に様々な角度からサブテラヘルツ波が照射されるため、人100における比較的広い範囲で反射したサブテラヘルツ波の反射波が検出器60のイメージセンサ65に入射する。例えば、拡散反射部20の前方に位置する検出器60のイメージセンサ65には、人100の前方側の面のほぼ全体で反射したサブテラヘルツ波の反射波が入射する。また、光源50から反射板30に対して射出されたサブテラヘルツ波は、撮影空間102内にとどまりやすいため、検出器60のイメージセンサ65に入射する反射波の量が増加する。そのため、検出器60で生成される画像の画質が向上する。その結果、例えば、撮影装置10による人100が隠し持つ刃物等の危険物の検知精度が向上する。
【0113】
また、拡散反射部20は、可視光を透過させる可視光透過領域を有する。反射板30が可視光を透過させるため、拡散反射部20においては、可視光透過領域は、反射板30が位置する領域にある。通路101の両側部の床面から反射板30が立設しているため、拡散反射部20が可視光透過領域を有していない場合、拡散反射部20の外側からの可視光が撮影空間102に入射しにくい。また、撮影空間102からは拡散反射部20の外側が見えず、例えば、撮影空間102を通過する人100が拡散反射部20の外側の景色を見ることができない。そのため、撮影のために撮影空間102を通過する人100が閉塞感を感じやすい。これに対して、拡散反射部20が可視光透過領域を有することで、拡散反射部20の外側からの可視光が撮影空間102に入射する。また、撮影空間102から拡散反射部20の外側が見え、例えば、撮影空間102を通過する人100が拡散反射部20の外側の景色を見ることができる。これにより、撮影装置10は、撮影のために撮影空間102を通過する人100の閉塞感を抑制できる。また、撮影装置10は、拡散反射部20の外側から、反射板30を介して撮影空間102を通る人100を視認できる。
【0114】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る撮影装置について説明する。
【0115】
実施の形態2に係る撮影装置では、可視光を反射する反射板を備える点が、実施の形態1と主として異なる。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0116】
図6は、本実施の形態に係る撮影装置10aの構成を示すブロック図である。
図7は、拡散反射部20aの断面構造を示す模式図である。
図7には、上面視における通路101が延びる方向と垂直な線で、鉛直方向に拡散反射部20aを切断した場合の断面が示されている。撮影装置10aは、実施の形態1に係る撮影装置10と比較して、反射板30を有する拡散反射部20の代わりに、反射板30aを有する拡散反射部20aを備える点で相違する。また、撮影装置10aは、実施の形態1に係る撮影装置10と比較して、さらに、プロジェクタ80を備える点で相違する。
【0117】
図6及び
図7に示されるように、撮影装置10aは、反射板30aを有する拡散反射部20aと、光源50と、検出器60と、画像処理部70と、プロジェクタ80とを備える。撮影装置10aにおける上方から見た場合の各構成要素の位置関係等は、例えば、撮影装置10と同じである。
【0118】
拡散反射部20aが有する反射板30aは、人100が通過する通路101上の撮影空間102を、通路101の両側部の少なくとも一方から覆う。本実施の形態においては、拡散反射部20aは、3つの反射板31a、32a、33aを有する。拡散反射部20aは、上述の拡散反射部20と同様に、例えば、内部を人100が通過することができるトンネル状である。反射板30a(具体的には反射板31a及び反射板32a)は、人100が通過する通路101上の撮影空間102を、通路101の両側部から挟む。また、反射板30a(具体的には反射板33a)は、撮影空間102の上方を覆っており、撮影空間102を囲んでいる。
【0119】
反射板31aと反射板32aとは、撮影空間102を挟んで対向して配置されている。反射板31aと反射板32aとは、平行な位置関係になるように配置されている。反射板31a及び反射板32aは、通路101の側部の床面から立設し、拡散反射部20aの側壁を構成している。反射板31a及び反射板32aの上端の通路101からの高さは、特に制限されないが、例えば1.5m以上5.0m以下である。反射板33aは、撮影空間102の上方に位置する。反射板33aは、反射板31a及び32aそれぞれの上端に接合されている。反射板33aは、拡散反射部20aの天井を構成している。反射板31a、32a、33aは、それぞれ、平板状である。反射板31a、32a、33aは、湾曲した板状であってもよい。反射板31a、32a、33aの平面視形状は、特に制限されないが、例えば、それぞれ、矩形である。なお、拡散反射部20aは、拡散反射部20aの床部を構成するような、撮影空間102の下方に位置する反射板30aを有していてもよい。また、反射板30aは、撮影空間102の上方を覆っていなくてもよく、例えば、拡散反射部20aは、反射板33aを備えていなくてもよい。また、拡散反射部20aは、3つの反射板31a、32a、33aを有していなくてもよく、例えば、3つの反射板31a、32a、33aのうち反射板31a又は反射板32aのみを有していてもよい。
【0120】
反射板30aは、サブテラヘルツ波を拡散反射する。具体的には、反射板30aは、少なくとも撮影空間102側(つまり、拡散反射部20aの内側)から入射するサブテラヘルツ波を拡散反射する。また、反射板30aは、撮影空間102側からの可視光を反射、具体的には拡散反射する。
【0121】
図8は、反射板30aの断面構造を示す模式図である。
図8は、反射板30aの断面の一部が拡大された図である。なお、
図8においては、見やすくするため、断面を示す斜線のハッチングは省略されている。
【0122】
反射板30aは、サブテラヘルツ波反射部材41aと、可視光拡散反射部材44aと、被覆部材47aとを有する。反射板30aは、可視光拡散反射部材44aと、サブテラヘルツ波反射部材41aと、被覆部材47aとが、撮影空間102側からこの順で積層された構造を有する。
【0123】
サブテラヘルツ波反射部材41aは、サブテラヘルツ波を拡散反射するシート状の部材である。サブテラヘルツ波反射部材41aは、可視光を透過させてもよく、可視光を透過させなくてもよい。
【0124】
サブテラヘルツ波反射部材41aは、可視光拡散反射部材44aと被覆部材47aとの間に位置する。サブテラヘルツ波反射部材41aは、サブテラヘルツ波反射部材41aの厚み方向から見た場合に正面となる2つの面として、2つの主面42a及び主面43aを有する。反射板30aが撮影空間102を挟む場合、主面42a及び主面43aも、撮影空間102を挟む。主面42aは、サブテラヘルツ波反射部材41aにおける撮影空間102側に位置し、主面43aは、サブテラヘルツ波反射部材41aにおける撮影空間102a側とは反対側に位置する。サブテラヘルツ波反射部材41aにおける撮影空間102側の主面42aは、可視光拡散反射部材44aに被覆されている。サブテラヘルツ波反射部材41aにおける撮影空間102側とは反対側の主面43aは、被覆部材47aに被覆されている。
【0125】
主面42a及び主面43aは、実施の形態1に係る主面42及び主面43と同様に、サブテラヘルツ波を拡散反射させる凹凸面である。
【0126】
サブテラヘルツ波反射部材41aは、例えば、実施の形態1に係るサブテラヘルツ波反射部材41と同じ金属又は導電性酸化物等の導電性部材で構成される。サブテラヘルツ波反射部材41aは、可視光を透過させない金属箔等で構成されていてもよい。
【0127】
可視光拡散反射部材44aは、サブテラヘルツ波を透過させる。可視光拡散反射部材44aは、例えば、反射板30aの厚み方向から入射するサブテラヘルツ波の50%以上を透過させる。可視光拡散反射部材44aは、反射板30aの厚み方向から入射するサブテラヘルツ波の80%以上を透過させてもよく、90%以上を透過させてもよい。また、可視光拡散反射部材44aは、撮影空間102側からの可視光を拡散反射する。
【0128】
可視光拡散反射部材44aは、サブテラヘルツ波反射部材41aの撮影空間102側に位置し、主面42aを被覆する。可視光拡散反射部材44aは、可視光拡散反射部材44aにおけるサブテラヘルツ波反射部材41a側とは反対側に、可視光を拡散反射する平坦な可視光拡散反射面45aを有する。可視光拡散反射面45aは、反射板30aの撮影空間102側の表面を構成する。これにより、反射板30aの撮影空間102側の表面に、プロジェクタ80等で映像を投影することが可能になる。また、可視光拡散反射面45aが平坦な面であるため、反射板30aを清掃しやすくなる。また、撮影空間102を通過する人100が反射板30aの内側の表面にぶつかった場合にも、人100がサブテラヘルツ波反射部材41aの凹凸面(つまり主面42a)にぶつかることなく、人100及び主面42aが保護される。
【0129】
可視光拡散反射部材44aの材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂又は高密度ポリエチレン系樹脂等の可視光を拡散反射する結晶性樹脂材料が用いられる。可視光拡散反射部材44aは、例えば、主成分として、結晶性樹脂材料を含む。また、可視光拡散反射部材44aは、ガラスビーズ等の可視光拡散性粒子を含んでいてもよい。具体的には、可視光拡散反射部材44aには、可視光を拡散反射しない板状の樹脂材料(例えば、上述の非晶性樹脂材料)の撮影空間102側の表面をガラスビーズ等の可視光拡散性粒子含有塗料等で塗布した部材、又は、ガラスビーズ等の可視光拡散性粒子が分散した樹脂材料等が用いられてもよい。
【0130】
被覆部材47aは、サブテラヘルツ波反射部材41aの撮影空間102側とは反対側に位置し、主面43aを被覆する。被覆部材47aは、被覆部材47aにおけるサブテラヘルツ波反射部材41a側とは反対側に、平坦面48aを有する。平坦面48aは、反射板30aにおける撮影空間102側の反対側である外側の表面を構成する。反射板30aの外側の表面が平坦面48aであるため、反射板30aを清掃しやすくなる。
【0131】
被覆部材47aの材料は、被覆部材47aの形状に加工でき、形状を保持できる材料であればよい。被覆部材47aの材料としては、例えば、樹脂材料又は金属等が用いられる。
【0132】
反射板30aは、例えば、実施の形態1に係る反射板30の形成方法における使用材料を上述の材料に変更することで形成される。
【0133】
以上のような構成により、
図8に示されるように、反射板30aに対して撮影空間102側から入射するサブテラヘルツ波は、可視光拡散反射部材44aに侵入し、サブテラヘルツ波反射部材41aの主面42aで拡散反射され、可視光拡散反射面45aから撮影空間102側へ様々な角度で射出される。また、反射板30aに対して撮影空間102側から入射する可視光は、可視光拡散反射面45aで拡散反射される。
【0134】
なお、反射板30aである反射板31a、32a、33aは、同じ構成及び材料であってもよく、それぞれの構成及び材料の少なくとも一方が異なっていてもよい。また、拡散反射部20aは、3つの反射板31a、32a、33aの代わりに、反射板31a、32a、33aが一体化されて撮影空間102を挟む1つの反射板30aを有していてもよい。また、反射板31a、32a、33aのうち、いずれかは、可視光を拡散反射せず、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板であってもよい。
【0135】
再び、
図6を参照し、撮影装置10aの拡散反射部20a以外の構成要素について説明する。
【0136】
プロジェクタ80は、反射板30aの可視光拡散反射面45aに映像を投影する。プロジェクタ80は、例えば、幾何模様又は自然の景色等の映像を投影する。プロジェクタ80が投影する映像は、静止画であってもよく、動画であってもよい。このように、プロジェクタ80が可視光拡散反射面45aに映像を投影することで、撮影空間102を通過する人100が可視光拡散反射面45aに投影される映像を見ることができる。これにより、撮影のために撮影空間102を通過する人100の閉塞感を抑制できる。
【0137】
以上のように、本実施の形態に係る撮影装置10aにおいても、撮影空間102が反射板30aに挟まれているため、実施の形態1に係る撮影装置10と同様に、人100に対して効果的にサブテラヘルツ波が照射される。
【0138】
[変形例1]
次に、実施の形態2の変形例1に係る撮影装置について説明する。
【0139】
実施の形態2の変形例1に係る撮影装置では、可視光を拡散反射せずに、可視光を鏡面反射する反射板を備える点が、実施の形態2と主として異なる。以下では、実施の形態1及び2との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0140】
図9は、本変形例に係る撮影装置10bの構成を示すブロック図である。
図10は、拡散反射部20bの断面構造を示す模式図である。
図10には、上面視における通路101が延びる方向と垂直な線で、鉛直方向に拡散反射部20bを切断した場合の断面が示されている。撮影装置10bは、実施の形態2に係る撮影装置10aと比較して、反射板30aを有する拡散反射部20aの代わりに、反射板30bを有する拡散反射部20bを備える点で相違する。また、撮影装置10bは、実施の形態2に係る撮影装置10aと比較して、プロジェクタ80を備えていない点で相違する。
【0141】
図9及び
図10に示されるように、撮影装置10bは、反射板30bを有する拡散反射部20bと、光源50と、検出器60と、画像処理部70とを備える。撮影装置10bにおける上方から見た場合の各構成要素の位置関係等は、例えば、撮影装置10と同じである。
【0142】
拡散反射部20bが有する反射板30bは、人100が通過する通路101上の撮影空間102を、通路101の両側部の少なくとも一方から覆う。本変形例においては、拡散反射部20bは、3つの反射板31b、32b、33bを有する。拡散反射部20bは、上述の拡散反射部20及び拡散反射部20aと同様に、例えば、内部を人100が通過することができるトンネル状である。反射板30b(具体的には反射板31b及び反射板32b)は、人100が通過する通路101上の撮影空間102を、通路101の両側部から挟む。また、反射板30b(具体的には反射板33b)は、撮影空間102の上方を覆っており、撮影空間102を囲んでいる。
【0143】
反射板31bと反射板32bとは、撮影空間102を挟んで対向して配置されている。反射板31bと反射板32bとは、平行な位置関係になるように配置されている。反射板31b及び反射板32bは、通路101の側部の床面から立設し、拡散反射部20bの側壁を構成している。反射板31b及び反射板32bの上端の通路101からの高さは、特に制限されないが、例えば1.5m以上5.0m以下である。反射板33bは、撮影空間102の上方に位置する。反射板33bは、反射板31b及び反射板32bそれぞれの上端に接合されている。反射板33bは、拡散反射部20bの天井を構成している。なお、拡散反射部20bは、拡散反射部20bの床部を構成するような、撮影空間102の下方に位置する反射板30bを有していてもよい。また、反射板30bは、撮影空間102の上方を覆っていなくてもよく、例えば、拡散反射部20bは、反射板33bを備えていなくてもよい。また、拡散反射部20bは、3つの反射板31b、32b、33bを有していなくてもよく、例えば、3つの反射板31b、32b、33bのうち反射板31b又は反射板32bのみを有していてもよい。
【0144】
反射板30bは、サブテラヘルツ波を拡散反射する。具体的には、反射板30bは、少なくとも撮影空間102側(つまり、拡散反射部20bの内側)から入射するサブテラヘルツ波を拡散反射する。また、反射板30bは、撮影空間102側からの可視光を反射、具体的には鏡面反射する。
【0145】
図11は、反射板30bの断面構造を示す模式図である。
図11は、反射板30bの断面の一部が拡大された図である。なお、
図11においては、見やすくするため、断面を示す斜線のハッチングは省略されている。
【0146】
反射板30bは、サブテラヘルツ波反射部材41aと、可視光鏡面反射部材44bと、被覆部材47aとを有する。反射板30bは、可視光鏡面反射部材44bと、サブテラヘルツ波反射部材41aと、被覆部材47aとが、撮影空間102側からこの順で積層された構造を有する。つまり、反射板30bは、実施の形態2に係る反射板30aの可視光拡散反射部材44aの代わりに、可視光鏡面反射部材44bを備える構成である。
【0147】
可視光鏡面反射部材44bは、サブテラヘルツ波を透過させる。可視光鏡面反射部材44bは、例えば、反射板30bの厚み方向から入射するサブテラヘルツ波の50%以上を透過させる。可視光鏡面反射部材44bは、反射板30bの厚み方向から入射するサブテラヘルツ波の80%以上を透過させてもよく、90%以上を透過させてもよい。また、可視光鏡面反射部材44bは、撮影空間102側からの可視光を鏡面反射する。
【0148】
可視光鏡面反射部材44bは、サブテラヘルツ波反射部材41aの撮影空間102側に位置し、主面42aを被覆する。可視光鏡面反射部材44bは、可視光鏡面反射部材44bにおけるサブテラヘルツ波反射部材41a側とは反対側に、可視光を鏡面反射する平坦な可視光鏡面反射面45bを有する。可視光鏡面反射面45bは、反射板30bの撮影空間102側の表面を構成する。これにより、反射板30bの撮影空間102側の表面に、鏡像が映されるため、撮影のために撮影空間102を通過する人100の閉塞感を抑制できる。また、可視光鏡面反射面45bが平坦な面であるため、反射板30bを清掃しやすくなる。また、撮影空間102を通過する人100が反射板30bの内側の表面にぶつかった場合にも、人100がサブテラヘルツ波反射部材41aの凹凸面(つまり主面42a)にぶつかることなく、人100及び主面42aが保護される。
【0149】
可視光鏡面反射部材44bは、例えば、屈折率の異なる膜が交互に積層されている誘電体多層膜を含む。具体的には、可視光鏡面反射部材44bには、例えば、板状の樹脂材料の撮影空間102側の表面に、誘電体多層膜が積層された部材が用いられる。
【0150】
反射板30bは、例えば、実施の形態1に係る反射板30の形成方法における使用材料を上述の材料に変更することで形成される。
【0151】
以上のような構成により、
図11に示されるように、反射板30bに対して撮影空間102側から入射するサブテラヘルツ波は、可視光鏡面反射部材44bに侵入し、サブテラヘルツ波反射部材41aの主面42aで拡散反射され、可視光鏡面反射面45bから撮影空間102側へ様々な角度で射出される。また、反射板30bに対して撮影空間102側から入射する可視光は、可視光鏡面反射面45bで鏡面反射される。
【0152】
なお、反射板31b、32b、33bは、同じ構成及び材料であってもよく、それぞれの構成及び材料の少なくとも一方が異なっていてもよい。また、拡散反射部20bは、3つの反射板31b、32b、33bの代わりに、反射板31b、32b、33bが一体化されて撮影空間102を挟む1つの反射板30bを有していてもよい。また、反射板31b、32b、33bのうち、いずれかは、可視光を鏡面反射せず、サブテラヘルツ波を拡散反射する反射板であってもよい。
【0153】
以上のように、本変形例に係る撮影装置10bにおいても、撮影空間102が反射板30bに挟まれているため、実施の形態1に係る撮影装置10と同様に、人100に対して効果的にサブテラヘルツ波が照射される。
【0154】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る撮影装置について説明する。
【0155】
実施の形態3に係る撮影装置では、拡散反射部に隙間が設けられている点が、実施の形態1及び実施の形態2と主として異なる。以下では、実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0156】
図12は、本実施の形態に係る撮影装置10cの構成を示すブロック図である。
図13は、拡散反射部20cの断面構造を示す模式図である。
図13には、上面視における通路101が延びる方向と垂直な線で、鉛直方向に拡散反射部20cを切断した場合の断面が示されている。撮影装置10cは、実施の形態1に係る撮影装置10と比較して、反射板30を有する拡散反射部20の代わりに、反射板30cを有する拡散反射部20cを備える点で相違する。
【0157】
図12及び
図13に示されるように、撮影装置10cは、反射板30cを有する拡散反射部20cと、光源50と、検出器60と、画像処理部70とを備える。撮影装置10cにおける上方から見た場合の各構成要素の位置関係等は、例えば、撮影装置10と同じである。
【0158】
拡散反射部20cは、2つの反射板31c、32cを有する。拡散反射部20cは、拡散反射部20cの内側と外側との間で可視光を透過させる可視光透過領域を有する。
【0159】
拡散反射部20cには、反射板31cと反射板32cとの間、具体的には反射板31cの上端部と反射板32cの上端部との間に隙間21cが設けられている。本実施の形態において、可視光透過領域は、隙間21cが位置する領域である。隙間21cは、通路101が延びる方向に延びている。隙間21cは、撮影空間102の上方に位置する。隙間21cの幅は、拡散反射部20cの通路101からの高さよりも小さい。これにより、拡散反射部20cに隙間21cが設けられていても、撮影空間102に入射したサブテラヘルツ波が隙間21cから出るよりも、拡散反射部20cの反射板30cで拡散反射する可能性の方が高くなる。そのため、撮影空間102に入射したサブテラヘルツ波が隙間21cから漏れにくくなる。また、隙間21cの幅は、前記通路101の幅よりも小さい。これにより、拡散反射部20cに隙間21cが設けられていても、撮影空間102に入射したサブテラヘルツ波がさらに隙間21cから漏れにくくなる。ここで、幅とは、拡散反射部20cを通路101に対して上面視した場合の、隙間21c及び通路101それぞれが延びる方向と垂直な方向の長さである。
【0160】
拡散反射部20cが有する反射板30cは、人100が通過する通路101上の撮影空間102を、通路101の両側部の少なくとも一方から覆う。本実施の形態においては、反射板30c(具体的には反射板31c及び反射板32c)は、人100が通過する通路101上の撮影空間102を、通路101の両側部から挟む。また、反射板30cは、撮影空間102の一部の上方を覆っている。反射板31cと反射板32cとは、撮影空間102を挟んで対向して配置されている。反射板31c及び反射板32cは、通路101の側部の床面から立設し、拡散反射部20cの側壁を構成している。反射板31c及び反射板32cそれぞれの上端部が、互いに近づくように、内側に向かって湾曲している。これにより、反射板31c及び反射板32cそれぞれの上端部が、撮影空間102の一部の上方を覆っている。なお、拡散反射部20cは、拡散反射部20cの床部を構成するような、撮影空間102の下方に位置する反射板30cを有していてもよい。
【0161】
反射板30cは、サブテラヘルツ波を拡散反射する。具体的には、反射板30cは、少なくとも撮影空間102側(つまり、拡散反射部20cの内側)から入射するサブテラヘルツ波を拡散反射する。
【0162】
また、本実施の形態に係る撮影装置10cは、拡散反射部20cの代わりに別の拡散反射部を備えていてもよい。
【0163】
図14は、本実施の形態に係る拡散反射部の別の例である拡散反射部20dの断面構造を示す模式図である。
図14には、上面視における通路101が延びる方向と垂直な線で、鉛直方向に拡散反射部20dを切断した場合の断面が示されている。
【0164】
図14に示されるように、拡散反射部20dは、2つの反射板31d、32dを有する。また、反射板30dは、撮影空間102の一部の上方を覆っている。拡散反射部20dには、反射板31dと反射板32dとの間に隙間21dが設けられている。隙間21dは、通路101が延びる方向に延びている。隙間21dは、撮影空間102の上方に位置する。
【0165】
反射板31dと反射板32dとは、撮影空間102を挟んで対向して配置されている。反射板31d及び反射板32dは、通路101の側部の床面から立設し、拡散反射部20dの側壁を構成している。反射板31d及び反射板32dは、反射板31d及び反射板32dそれぞれの上端部及び下端部が、互いに近づくように、内側に向かって湾曲している湾曲板である。
【0166】
反射板30dは、サブテラヘルツ波を拡散反射する。具体的には、反射板30dは、少なくとも撮影空間102側(つまり、拡散反射部20dの内側)から入射するサブテラヘルツ波を拡散反射する。
【0167】
また、
図15は、本実施の形態に係る拡散反射部のさらに別の例である拡散反射部20eの断面構造を示す模式図である。
図15には、上面視における通路101が延びる方向と垂直な線で、鉛直方向に拡散反射部20eを切断した場合の断面が示されている。
【0168】
図15に示されるように、拡散反射部20eは、3つの反射板31e、32e、33eを有する。拡散反射部20eには、反射板33eに形成されたスリットである隙間21eが設けられている。隙間21eは、通路101が延びる方向に延びている。隙間21eは、撮影空間102の上方に位置する。
【0169】
反射板31eと反射板32eとは、撮影空間102を挟んで対向して配置されている。反射板31e及び反射板32eは、通路101の側部の床面から立設し、拡散反射部20eの側壁を構成している。反射板33eは、撮影空間102の上方に位置する。反射板33eは、反射板31e及び反射板32eそれぞれの上端に接合されている。反射板33eは、拡散反射部20の天井を構成している。反射板33eは、撮影空間102の上方を覆う。反射板33eには、隙間21eとして、通路101が延びる方向に延びるスリットが形成されている。スリットの延びる方向は、通路101が延びる方向と交差する方向であってもよい。
【0170】
反射板30eは、サブテラヘルツ波を拡散反射する。具体的には、反射板30eは、少なくとも撮影空間102側(つまり、拡散反射部20eの内側)から入射するサブテラヘルツ波を拡散反射する。
【0171】
反射板30c、30d、30eの材料及び構成は、撮影空間102側にサブテラヘルツ波を拡散反射できる材料及び構成であれば、特に制限されず、例えば、上述の反射板30、反射板30a又は反射板30bと同様の材料及び構成であってもよい。
【0172】
以上のように、本実施の形態に係る撮影装置10cにおいても、撮影空間102が反射板30c、反射板30d又は反射板30eに挟まれているため、実施の形態1に係る撮影装置10と同様に、人100に対して効果的にサブテラヘルツ波が照射される。
【0173】
また、拡散反射部20c、拡散反射部20d及び拡散反射部20eは、可視光を透過させる可視光透過領域を有する。拡散反射部20c、拡散反射部20d及び拡散反射部20eにおいては、可視光透過領域は、隙間21c、隙間21d及び隙間21eが位置する領域である。そのため、実施の形態1に係る撮影装置10と同様に、撮影のために撮影空間102を通過する人100の閉塞感を抑制できる。
【0174】
また、拡散反射部20c、拡散反射部20d及び拡散反射部20eに隙間21c、隙間21d及び隙間21eを設けるだけで、可視光透過領域が形成されるため、容易に、可視光透過領域を有する拡散反射部20c、拡散反射部20d及び拡散反射部20eを製造できる。
【0175】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る撮影装置について説明する。
【0176】
実施の形態4に係る撮影装置では、撮影空間に可視光を照射する照明器具をさらに備える点が、実施の形態1と主として異なる。以下では、実施の形態1から3との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0177】
図16は、本実施の形態に係る撮影装置10fの構成を示すブロック図である。撮影装置10fは、実施の形態1に係る撮影装置10と比較して、さらに、照明器具90を備える点で相違する。
【0178】
図16に示されるように、撮影装置10fは、拡散反射部20と、光源50と、検出器60と、画像処理部70と、照明器具90とを備える。撮影装置10fにおける上方から見た場合の各構成要素の位置関係等は、例えば、撮影装置10と同じである。
【0179】
撮影装置10fは、実施の形態1に係る拡散反射部20を備え、拡散反射部20の外側から照明器具90が可視光を照射する。
【0180】
図17は、上方に照明器具90が設けられた拡散反射部20の断面構造を示す模式図である。
図17には、上面視における通路101が延びる方向と垂直な線で、鉛直方向に拡散反射部20を切断した場合の断面が示されている。
【0181】
図17に示されるように、拡散反射部20の上方、具体的には、反射板33の上方には、支持部材91で支持された照明器具90が設けられている。拡散反射部20は、撮影空間102の上方に可視光透過領域を有し、照明器具90は、可視光透過領域の上方から可視光透過領域を介して、撮影空間102に可視光を照射する。拡散反射部20は、上述したように、可視光を透過させる反射板30を有する。照明器具90は、反射板30(具体的には反射板33)が位置する領域にある可視光透過領域を介して、撮影空間102に可視光を照射する。これにより、人100に可視光が照射されるため、人100が感じる閉塞感をさらに抑制できる。
【0182】
なお、照明器具90は、反射板31又は32を介して、撮影空間102に可視光を照射する位置に設けられていてもよい。つまり、照明器具90は、拡散反射部20の側方外側に位置していてもよい。
【0183】
また、撮影装置10fは、拡散反射部20の代わりに、拡散反射部20eを備えていてもよい。
図18は、上方に照明器具90が設けられた拡散反射部20eの断面構造を示す模式図である。
図18には、上面視における通路101が延びる方向と垂直な線で、鉛直方向に拡散反射部20eを切断した場合の断面が示されている。
【0184】
図18に示されるように、拡散反射部20eの上方、具体的には、反射板33eの上方には、支持部材91で支持された照明器具90が設けられている。拡散反射部20eには、上述したように、可視光を透過させる隙間21eが設けられている。照明器具90は、可視光透過領域である隙間21eを介して、撮影空間102に可視光を照射する。これにより、人100により可視光が照射されるため、人100が感じる閉塞感をさらに抑制できる。
【0185】
なお、拡散反射部20eの反射板31e又は32eにも隙間21eが設けられている場合には、反射板31e又は32eに設けられた隙間21eを介して、撮影空間102に可視光を照射する位置に照明器具90が設けられていてもよい。
【0186】
また、撮影装置10fに備えられる拡散反射部は、上述の拡散反射部20及び拡散反射部20eに限らず、実施の形態1及び実施の形態3に係る拡散反射部のように、可視光透過領域を有する拡散反射部であればよい。
【0187】
(他の実施の形態)
以上、本開示に係る撮影装置について、実施の形態1から4に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形をこれら実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれる。
【0188】
例えば、上記実施の形態1では、上方から見た場合の拡散反射部20の幅が一定であったが、これに限らない。
図19は、変形例に係る撮影装置10gを上方から見た場合の模式図である。また、
図19は、
図3と同様に拡散反射部20gの上部を透視した場合の図である。
図19に示されるように、撮影装置10gは、撮影装置10の拡散反射部20の代わりに拡散反射部20gを備える構成を有する。拡散反射部20gは、拡散反射部20の反射板30の代わりに、反射板30gを備える。具体的には、拡散反射部20gは、拡散反射部20の反射板31及び反射板32の代わりに、反射板31g及び反射板32gを備える。拡散反射部20gは、撮影空間102への出入り口となる開口部22g及び開口部23gが絞られた構造を有する。拡散反射部20gは、開口部22g及び開口部23gにおいて、反射板31gと反射板32gとの間の距離が最も短い。つまり、拡散反射部20gは、撮影空間102への出入り口となる拡散反射部20gにおける開口部22g及び開口部23gにおいて、通路101の幅が最も狭くなる構造を有する。これにより、撮影空間102に入射したサブテラヘルツ波が開口部22g及び開口部23gから漏れにくくなる。また、拡散反射部20gの構造は、実施の形態2から4に係る撮影装置の拡散反射部のいずれに適用されてもよい。
【0189】
また、例えば、上記実施の形態1に係る撮影装置10は、さらに、扉を備えていてもよい。
図20は、別の変形例に係る撮影装置10hを上方から見た場合の模式図である。
図20に示されるように、撮影装置10hは、撮影装置10の構成に加えて、扉25及び扉26を備える。扉25及び扉26は、それぞれ、撮影空間102への出入り口となる拡散反射部20における開口部22及び開口部23を覆う。扉25は、拡散反射部20の前方に位置し、扉26は、拡散反射部20の後方に位置する。
【0190】
扉25及び扉26は、それぞれ、例えば、反射板30と同様の材料及び構成を有し、サブテラヘルツ波を拡散反射させ、可視光を透過させる。また、扉25及び扉26は、それぞれ、反射板30a又は30bと同様の材料及び構成を有し、サブテラヘルツ波を拡散反射させ、可視光を反射、具体的には拡散反射又は鏡面反射させてもよい。
【0191】
撮影装置10hに扉25及び扉26が備えられることにより、扉25及び扉26がサブテラヘルツ波を拡散反射するため、撮影空間102に入射したサブテラヘルツ波が開口部22及び開口部23から漏れにくくなる。
【0192】
扉25及び扉26は、例えば、検出器60が、人100による反射波を受波する妨げにならない位置に設けられる。例えば、扉25、26の通路101からの高さは、検出器60の通路101からの高さよりも低い。また、扉25及び扉26は、各検出器60を通路101の延びる方向における両側から挟むように配置され、扉25及び扉26まで反射板30が延びていてもよい。
【0193】
また、実施の形態2から4に係る撮影装置が、扉25及び扉26を備えていてもよい。
【0194】
また、上記実施の形態1では、反射板30は、サブテラヘルツ波反射部材41と、可視光透過部材44及び可視光透過部材47とを有していたが、これに限らない。反射板30は、可視光透過部材44及び可視光透過部材47の少なくとも一方を有していなくてもよい。また、反射板30は、サブテラヘルツ波反射部材41がパンチングメタル等の機械的強度の高い材料で構成される場合には、サブテラヘルツ波反射部材41と、可視光透過部材44と、可視光透過部材47とのうち、サブテラヘルツ波反射部材41のみを有する構成であってもよい。
【0195】
また、上記実施の形態3では、隙間21c、隙間21d、及び隙間21eは、それぞれ、撮影空間102の上方に位置するように設けられていたが、これに限らない。隙間21c、隙間21d及び隙間21eは、それぞれ、撮影空間102の側方に位置するように設けられていてもよく、上方と側方とのいずれにも位置するように複数設けられていてもよい。
【0196】
また、上記実施の形態1から4では、撮影対象物は人100であったが、これに限らない。撮影対象物は、荷物等であってもよい。
【0197】
また、例えば、撮影装置10は、上記実施の形態及び各変形例で説明した各構成要素を全て備えていなくてもよく、目的の動作をさせるための構成要素のみで構成されていてもよい。
【0198】
また、上記実施の形態1から4において、画像処理部70等の各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0199】
また、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0200】
また、上記実施の形態は、請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本開示は、物体を撮影する撮影装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0202】
10、10a、10b、10c、10f、10g、10h 撮影装置
20、20a、20b、20c、20d、20e、20g 拡散反射部
21c、21d、21e 隙間
22、22g、23、23g 開口部
25、26 扉
30、30a、30b、30c、30d、30e、30g、31、31a、31b、31c、31d、31e、31g、32、32a、32b、32c、32d、32e、32g、33、33a、33b、33e 反射板
41、41a サブテラヘルツ波反射部材
42、42a、43、43a 主面
44、47 可視光透過部材
44a 可視光拡散反射部材
44b 可視光鏡面反射部材
45、48、48a 平坦面
45a 可視光拡散反射面
45b 可視光鏡面反射面
47a 被覆部材
50、51、52、53、54 光源
60、61、62、63、64 検出器
65 イメージセンサ
66 光学系
70 画像処理部
80 プロジェクタ
90 照明器具
100 人
101 通路
102 撮影空間