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特許7603243制御システム、制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20241213BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
H04Q9/00 311Z
H04M11/00 301
H04Q9/00 301C
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023515427
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2022017642
(87)【国際公開番号】W WO2022224882
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2021073685
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆明
(72)【発明者】
【氏名】石岡 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】増田 力也
(72)【発明者】
【氏名】杜 賑華
(72)【発明者】
【氏名】安藤 義記
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-5228(JP,A)
【文献】特開2015-118613(JP,A)
【文献】特開2009-94788(JP,A)
【文献】特開2008-99112(JP,A)
【文献】特開2004-328289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q9/00-9/16
H04M11/00-11/10
H04L12/46
H04L12/28
G06F13/00
G06F3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制御機器と、
前記被制御機器を制御する制御機器と、
を備え、
前記制御機器は、
前記制御機器と前記被制御機器とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定し、
前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合、前記ローカル通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信し、
前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定した場合、広域通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信し、
前記制御機器は、前記ローカル通信ネットワークを介して前記被制御機器に信号を送信し、前記被制御機器から前記信号に対する応答信号を受信した場合、前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定し、
前記制御機器は、
前記被制御機器と前記ローカル通信ネットワークを介して通信した場合、当該通信に使用されたアクセスポイントを記憶部に記憶し、
前記被制御機器から前記信号に対する前記応答信号を受信しない場合、前記アクセスポイントが前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、
前記アクセスポイントが記憶されている場合、前記ローカル通信ネットワークを介して、マルチキャスト方式で前記被制御機器に前記信号を送信する、
制御システム。
【請求項2】
前記制御機器は、
前記制御機器が前記ローカル通信ネットワークに接続可能か否かを判定し、
前記制御機器が前記ローカル通信ネットワークに接続可能であると判定された場合、前記制御機器と前記被制御機器とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定し、
前記制御機器が前記ローカル通信ネットワークに接続可能でないと判定された場合、前記広域通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御機器は、前記被制御機器に信号を繰り返し送信し、前記被制御機器から前記信号に対する前記応答信号を受信しない回数が連続して2回以上である場合、前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定する、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御機器は、前記被制御機器から前記マルチキャスト方式で送信した前記信号に対する前記応答信号を受信しない場合、前記制御機器と前記被制御機器とは前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定する、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御機器は、
前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合、前記被制御機器に信号を平文で送信し、
前記被制御機器から平文で通信が可能であることを示す応答信号を受信したとき、暗号化しない通信方式で前記被制御機器と通信し、
前記被制御機器から平文で通信が可能であることを示す前記応答信号を受信しなかったとき、前記被制御機器に信号を暗号化して送信し、暗号化された前記信号に対する前記被制御機器からの前記応答信号の有無に基づいて、暗号化した通信方式で前記被制御機器と通信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御機器は、
暗号化された前記信号に対する前記被制御機器からの前記応答信号を受信した場合、暗号化した通信方式で前記被制御機器と通信し、
暗号化された前記信号に対する前記被制御機器からの前記応答信号を受信しなかった場合、前記被制御機器と通信不能と判断する、
請求項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記被制御機器は、
前記制御機器の識別情報を予め記憶部に記憶し、
前記制御機器から暗号化して送信された前記信号を受信すると、前記信号に含まれる前記識別情報が前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、
前記識別情報が前記記憶部に記憶されていると判定した場合、前記制御機器に前記応答信号を送信し、
前記識別情報が前記記憶部に記憶されていないと判定した場合、前記制御機器に前記応答信号を送信しない、
請求項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記制御機器は、
暗号化された前記信号に対する前記被制御機器からの前記応答信号を受信した場合、前記被制御機器に第1乱数を送信し、
前記被制御機器は、前記制御機器から送信された前記第1乱数と異なる第2乱数を前記制御機器に送信し、
前記制御機器及び前記被制御機器は、それぞれ、前記第1乱数及び前記第2乱数に基づいて、共通の暗号鍵を生成する、
請求項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記制御システムは、さらに、前記被制御機器に取り付けられる通信モジュールを備え、
前記被制御機器は、前記通信モジュールを介して、前記制御機器と暗号化しない方式又は暗号化した方式で前記制御機器と前記ローカル通信ネットワークを介して通信を行う、
請求項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記ローカル通信ネットワークは、無線ローカル通信ネットワークであり、
前記広域通信ネットワークは、無線広域通信ネットワークである、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項11】
前記無線広域通信ネットワークは、移動体回線ネットワークであり、
前記制御機器は、前記移動体回線ネットワークを介して前記被制御機器と通信を行う、移動可能な機器である、
請求項10に記載の制御システム。
【請求項12】
被制御機器と、前記被制御機器を制御する制御機器との通信を制御する制御方法であって、
前記制御機器と前記被制御機器とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定する判定ステップと、
前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合、前記ローカル通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信するローカル通信ステップと、
前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定した場合、広域通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信する広域通信ステップと、
を含み、
前記判定ステップでは、前記制御機器は、前記ローカル通信ネットワークを介して前記被制御機器に信号を送信し、前記被制御機器から前記信号に対する応答信号を受信した場合、前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定し、
前記ローカル通信ステップでは、前記制御機器は、
前記被制御機器と前記ローカル通信ネットワークを介して通信した場合、当該通信に使用されたアクセスポイントを記憶部に記憶し、
前記被制御機器から前記信号に対する前記応答信号を受信しない場合、前記アクセスポイントが前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、
前記アクセスポイントが記憶されている場合、前記ローカル通信ネットワークを介して、マルチキャスト方式で前記被制御機器に前記信号を送信する、
制御方法。
【請求項13】
前記ローカル通信ステップは、
前記被制御機器に信号を平文で送信する第1信号送信ステップと、
前記被制御機器から平文で通信が可能であることを示す応答信号を受信したとき、暗号化しない通信方式で前記被制御機器と通信する第1通信ステップと、
前記被制御機器から平文で通信が可能であることを示す前記応答信号を受信しなかったとき、前記被制御機器に前記信号を暗号化して送信する第2信号送信ステップと、
前記第2信号送信ステップで送信された暗号化された前記信号に対する前記被制御機器からの前記応答信号の有無に基づいて、暗号化した通信方式で前記被制御機器と通信する第2通信ステップと、
を含む、
請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の制御方法をコンピュータに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅内のネットワークに接続された複数の機器をクラウド又はサーバ経由で制御するシステムにおいて、ユーザの利便性を向上させることが求められている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-057733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の機器制御装置では、例えば、インターネットの不調などでユーザの通信端末がサーバと接続できない場合に、ユーザが複数の機器をクラウド又はサーバ経由で制御できない、又は、通信の遅延により複数の機器の制御をスムーズに行うことができないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、低遅延で、かつ、安定した通信を行うことができる制御システム、制御方法、及び、プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御システムは、被制御機器と、前記被制御機器を制御する制御機器と、を備え、前記制御機器は、前記制御機器と前記被制御機器とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定し、前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合、前記ローカル通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信し、前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定した場合、広域通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信する。
【0007】
本発明の一態様に係る制御方法は、被制御機器と、前記被制御機器を制御する制御機器との通信を制御する制御方法であって、前記制御機器と前記被制御機器とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定する判定ステップと、前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合、前記ローカル通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信するローカル通信ステップと、前記制御機器と前記被制御機器とが前記ローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定した場合、広域通信ネットワークを介して前記被制御機器と通信する広域通信ステップと、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る制御システム、制御方法、及び、プログラムは、低遅延で、かつ、安定した通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、制御機器と被制御機器との間の通信ネットワークの切り替え動作の第1の例を示すフローチャートである。
図3図3は、制御機器と被制御機器との間の通信ネットワークの切り替え動作の第2の例を示すフローチャートである。
図4図4は、図3のステップS202の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、制御機器と被制御機器との間の通信ネットワークの切り替え動作の第2の例の変形例1を示すフローチャートである。
図6図6は、制御機器と被制御機器との間のローカル通信ネットワークを介する通信における通信方式の確立動作の第1の例を示すフローチャートである。
図7図7は、図6のステップS502でNoである場合の制御機器の動作の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、通信方式の確立動作の第1の例の変形例1における被制御機器の応答動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態1に係る制御システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示される制御システム100は、住宅、オフィス、又は、病院などの建物内に設置された複数の被制御機器20を制御することができる制御システムである。具体的には、制御システム100は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワーク(例えば、ルータ40)を介して通信可能であるか否かによって、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信するか、広域通信ネットワーク(例えば、インターネット50)を介して通信するかを切り替える。
【0015】
図1に示されるように、制御システム100は、例えば、制御機器10と、被制御機器20と、サーバ装置30と、を備える。
【0016】
[制御機器]
制御機器10は、被制御機器20を制御する機器である。制御機器10は、例えば、携帯端末、又は、タブレット端末などの携帯型のコンピュータ装置であってもよく、建物の壁などに設置されたリモコン又はコントロールパネルなどの操作端末であってもよい。
【0017】
制御機器10は、例えば、通信部11と、制御部12と、記憶部13と、入力受付部14と、表示部15とを備える。
【0018】
通信部11は、制御機器10が被制御機器20及びサーバ装置30と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部11は、第1通信部11aと、第2通信部11bと、を備える。
【0019】
第1通信部11aは、制御機器10がローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。第1通信部11aによって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる規格についても特に限定されないが、例えば、第1通信部11aが無線ローカル通信ネットワークを介して通信を行う場合、無線ローカル通信ネットワークは、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)であってもよい。例えば、図1の例では、第1通信部11aがBluetooth(登録商標)である場合、ルータ40を介さず、制御機器10と通信可能である。
【0020】
また、第2通信部11bは、制御機器10が広域通信ネットワークを介して被制御機器20及びサーバ装置30と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。第2通信部11bによって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる規格についても特に限定されないが、例えば、第2通信部11bが無線広域通信ネットワークを介して通信を行う場合、無線広域通信ネットワークは、移動体回線ネットワークであってもよい。
【0021】
制御部12は、制御機器10の動作の制御を行うための情報処理を行う。制御部12の具体的な動作については、[動作]の項で説明するため、ここでの説明を省略する。制御部12は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0022】
記憶部13は、制御部12が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部13は、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信した場合に、当該通信に使用されたアクセスポイントを履歴情報として記憶してもよい。例えば、図1の例では、記憶部13は、ルータ40をアクセスポイントとして記憶する。記憶部13は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0023】
入力受付部14は、ユーザの手動入力を受け付ける。入力受付部14は、例えば、タッチパネルによって実現されるが、ハードウェアボタンによって実現されてもよい。また、入力受付部14は、ユーザの音声入力を受け付けてもよい。この場合、入力受付部14は、マイクロフォンなどによって実現される。
【0024】
表示部15は、制御部12の制御に基づいて、ユーザに提示するための文字又は画像などを表示する。表示部15は、例えば、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される。
【0025】
なお、図1の例では、制御機器10は1つ図示されているが、制御システム100は、複数の制御機器10を備えてもよい。
【0026】
[被制御機器]
被制御機器20は、制御機器10によって制御される機器であり、例えば、住宅、オフィス、又は、病院などの建物内に設置されている。被制御機器20は、例えば、照明機器、空調機器、床暖房機器、電気錠、電気シャッター、電動ブラインド、空気清浄機、テレビ、アロマディフューザー、又は、音響機器などであってもよい。被制御機器20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、を備える。
【0027】
通信部21は、被制御機器20が制御機器10及びサーバ装置30と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部21は、第1通信部21aと、第2通信部21bと、を備える。
【0028】
第1通信部21aは、被制御機器20がローカル通信ネットワークを介して制御機器10及びサーバ装置30と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。第1通信部21aによって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる規格についても特に限定されないが、例えば、第1通信部21aが無線ローカル通信ネットワークを介して通信を行う場合、無線ローカル通信ネットワークは、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)であってもよい。なお、第1通信部21aは、被制御機器20の種別(例えば、情報の秘匿性の高い機器とそうでない機器など)に応じて、制御機器10と暗号化しない方式又は暗号化した方式でローカル通信を行ってもよい。この場合、制御システム100は、被制御機器20に取り付けられる外付けの通信モジュールを備えてもよく、第1通信部21aは、当該外付けの通信モジュールであってもよい。これにより、ユーザは、被制御機器20の筐体外部に当該通信モジュールを後付けすることができる。
【0029】
また、第2通信部21bは、被制御機器20が広域通信ネットワークを介して制御機器10及びサーバ装置30と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。第2通信部21bによって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる規格についても特に限定されないが、例えば、第2通信部21bが無線広域通信ネットワークを介して通信を行う場合、無線広域通信ネットワークは、移動体回線ネットワークであってもよい。
【0030】
制御部22は、被制御機器20の動作の制御を行うための情報処理を行う。制御部22の具体的な動作については、[動作]の項で説明するため、ここでの説明を省略する。制御部22は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサ又は専用回路によって実現されてもよい。
【0031】
記憶部23は、制御部22が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部23は、制御機器10の識別情報を予め記憶してもよい。記憶部23は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0032】
なお、図1の例では、被制御機器20が1つ図示されているが、制御システム100は、複数の被制御機器20を備えてもよい。
【0033】
[サーバ装置]
サーバ装置30は、建物外に位置するコンピュータである。サーバ装置30は、制御機器10から被制御機器20の制御を実行するための実行入力を取得し、取得した実行入力に基づいて、広域通信ネットワークを介して被制御機器20を制御するサーバである。サーバ装置30は、例えば、通信部31と、情報処理部32と、記憶部33とを備える。
【0034】
通信部31は、サーバ装置30が広域通信ネットワーク(例えば、インターネット50)を介して、制御機器10及び被制御機器20と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部31によって行われる通信は、例えば、有線通信であるが、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0035】
情報処理部32は、被制御機器20の制御に関する情報処理を行う。情報処理部32は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0036】
記憶部33は、被制御機器20の制御情報、及び、情報処理部32が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部33は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリなどによっても実現されてもよい。
【0037】
なお、図1の例では、サーバ装置30が1つ図示されているが、制御システム100は、複数のサーバ装置30を備えてもよい。
【0038】
[動作]
続いて、制御システム100の動作について説明する。
【0039】
[制御機器と被制御機器との間の通信ネットワークの切り替え動作]
まず、制御システム100の制御機器10と被制御機器20との間の通信ネットワークの切り替え動作について説明する。
【0040】
[第1の例]
図2は、制御機器10と被制御機器20との間の通信ネットワークの切り替え動作の第1の例を示すフローチャートである。
【0041】
図示していないが、制御機器10の入力受付部14は、ユーザによる所定の操作を受け付ける。例えば、ユーザは、制御機器10の表示部15に表示される、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続していることを示す表示(例えば、Wi-Fi(登録商標)に接続していることを示すマーク)を確認し、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続している場合に、上記所定の操作を行うことにより、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20を制御する指示を入力してもよい。
【0042】
制御機器10は、上記所定の操作が受け付けられたことを契機に、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定する(S101)。例えば、制御機器10の制御部12は、第1通信部11aに、ローカル通信ネットワークを介して、被制御機器20に信号を送信させ、第1通信部11aが被制御機器20から応答信号を受信するか否かで制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定してもよい。
【0043】
制御機器10の制御部12は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合(S101でYes)、制御機器10がローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信するように第1通信部11aを制御する。これにより、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S102)。
【0044】
一方、制御機器10の制御部12は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定した場合(S101でNo)、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信するように第2通信部11bを制御する。これにより、制御機器10は、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S103)。
【0045】
以上のように、制御システム100は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能である場合にローカル通信ネットワークを優先的に使用するため、広域通信ネットワークのみを使用する場合よりも低遅延で、かつ、安定した通信を行うことができる。
【0046】
[第2の例]
続いて、制御機器10と被制御機器20との間の通信ネットワークの切り替え動作の第2の例について説明する。図3は、制御機器10と被制御機器20との間の通信ネットワークの切り替え動作の第2の例を示すフローチャートである。図3のステップS202、S203及びS204は、それぞれ、図2のステップS101、S102及びS103に対応する。
【0047】
第1の例では、ユーザによる所定の操作を受け付けることを契機に、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定した。第2の例では、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能である場合に、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定する点で、第1の例と異なる。ここでは、第1の例と異なる点を中心に説明し、重複する内容については説明を簡略化又は省略する。
【0048】
例えば、制御機器10の入力受付部14がユーザによる被制御機器20の制御指示の入力を受け付ける(不図示)と、制御機器10の制御部12は、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能であるか否かを判定する(S201)。制御部12は、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能であると判定した場合(S201でYes)、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定する(S202)。制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定された場合(S202でYes)、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S203)。一方、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定された場合(S202でNo)、制御機器10は、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S204)。
【0049】
一方、ステップS201において、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能でないと判定された場合(No)、制御機器10は、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S204)。
【0050】
以下、ステップS202の詳細なフローについて説明する。図4は、図3のステップS202の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。図4のステップS301、S305及びS308は、それぞれ、図3のステップS201、S203及びS204に対応する。
【0051】
制御機器10の制御部12は、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能であるか否かを判定し(S301)、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能であると判定した場合(Yes)、第1通信部11aを介して被制御機器20に信号を送信する。これにより、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20に信号を送信する(S302)。
【0052】
制御機器10が被制御機器20から応答信号を受信した場合(S303でYes)、制御部12は、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定する(S304)。そして、制御部12は、制御機器10がローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信するように第1通信部11aを制御する。これにより、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S305)。
【0053】
一方、ステップS303において、制御機器10が被制御機器20から応答信号を受信しなかった場合(No)、制御部12は、被制御機器20からの応答信号を受信しなかった回数が連続N回(N≧2)に到達したか否かを判定する(S306)。制御部12は、被制御機器20からの応答信号を受信しなかった回数が連続N回に到達していないと判定した場合(S306でNo)、ステップS302の処理に戻る。このようにして、制御機器10は、被制御機器20に繰り返し信号を送信する。一方、制御部12は、被制御機器20からの応答信号を受信しない回数が連続N回に到達したと判定した場合(S306でYes)、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信不能であると判定する(S307)。そして、制御部12は、制御機器10が広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信するように第2通信部11bを制御する。これにより、制御機器10は、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S308)。
【0054】
一方、ステップS301において、制御部12は、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能でないと判定した場合(No)、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信不能であると判定する(S307)。そして、制御機器10は、被制御機器20と広域通信ネットワークを介して通信する(S308)。
【0055】
以上のように、制御システム100は、制御機器10及び被制御機器20のそれぞれの通信状態に応じて、ローカル通信ネットワーク及び広域通信ネットワークのいずれを使用するか切り替えることができる。
【0056】
また、制御システム100は、制御機器10がローカル通信ネットワークを介して送信した信号に対する応答信号の有無に基づいて、広域通信ネットワークを使用することなく、簡便に、制御機器10と被制御機器20とがローカルネットワークを介して通信可能であることを判定することができる。
【0057】
さらに、制御システム100は、制御機器10が被制御機器20からの応答信号を一度受信しなかっただけでは、被制御機器20との通信が不可能であると判定せず、応答信号を受信しない回数に閾値を設けて判断することにより、制御機器10と被制御機器20との間のローカル通信を確立することができる可能性を高めることができる。これにより、制御システム100は、被制御機器20がローカル通信ネットワークを介して通信可能にも拘らず、例えば、被制御機器20の電源がOFFである、又は、電波状況が安定するまでに時間がかかっているなどの事情があった場合でも、制御機器10と被制御機器20との間のローカル通信を確立することができる。
【0058】
[第2の例の変形例1]
続いて、第2の例の変形例1について説明する。図5は、制御機器10と被制御機器20との間の通信ネットワークの切り替え動作の第2の例の変形例1を示すフローチャートである。図5のステップS401~S403、S404、S405、S410、S411、及び、S412は、それぞれ、図4のS301~S303、S304、S305、S307、S308、及び、S306に対応する。
【0059】
第2の例では、制御機器10が被制御機器20からの応答信号を連続N(N≧2)回受信しない場合に、制御部12は、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信不能と判断する。第2の例の変形例1では、制御機器10が被制御機器20から応答信号を受信しない回数が1回目のときに、アクセスポイントが記憶されているか否かを判定し、アクセスポイントが記憶されている場合、通信方式を変更して被制御機器20に信号を送信し直す点で、第2の例と異なる。
【0060】
制御機器10の制御部12は、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能であるか否かを判定し(S401)、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能であると判定した場合(Yes)、第1通信部11aを介して被制御機器20に信号を送信する。これにより、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20に信号を送信する(S402)。
【0061】
制御機器10が被制御機器20から応答信号を受信した場合(S403でYes)、制御部12は、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定し(S404)、制御機器10がローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信するように第1通信部11aを制御する。これにより、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S405)。
【0062】
一方、ステップS403において、制御機器10が被制御機器20から応答信号を受信しなかった場合(No)、制御部12は、制御機器10が被制御機器20からの応答信号を受信しなかった回数が1回目であるか否かを判定する(S406)。制御部12は、制御機器10が被制御機器20からの応答信号を受信しなかった回数が1回目でないと判定した場合(S406でNo)、被制御機器20からの応答信号を受信しない回数が連続N回に到達したか否かを判定する(S412)。制御部12は、被制御機器20からの応答信号を受信しない回数が連続N回に到達していないと判定した場合(S412でNo)、ステップS402の処理に戻る。一方、制御部12は、被制御機器20からの応答信号を受信しない回数が連続N回に到達したと判定した場合(S412でYes)、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信不能である(言い換えると、通信可能でない)と判定する(S410)。そして、制御部12は、制御機器10が広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信するように第2通信部11bを制御する。これにより、制御機器10は、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S411)。
【0063】
一方、ステップS406において、制御部12は、制御機器10が被制御機器20からの応答信号を受信しなかった回数が1回目であると判定した場合(Yes)、記憶部13にアクセスポイントが記憶されているか否かを判定する(S407)。例えば、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信した際に、通信履歴として、アクセスポイントを記憶部13に記憶しており、制御部12は、当該被制御機器20との通信に使用されたアクセスポイントが記憶部23内の通信履歴に記憶されているか否かを判定してもよい。制御部12は、アクセスポイントが記憶されていないと判定した場合(S407でNo)、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信不能と判定し(S410)、制御機器10は、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S411)。
【0064】
一方、ステップS407において、制御部12は、アクセスポイントが記憶されていると判定した場合(Yes)、第1通信部11aにマルチキャスト方式で被制御機器20に信号を送信させる。これにより、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して、マルチキャスト方式で被制御機器に信号を送信する(S408)。制御部12は、被制御機器20から応答信号を受信すると(S409でYes)、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定し(S404)、制御機器10はローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S405)。
【0065】
一方、ステップS409において、制御部12は、被制御機器20から応答信号を受信しないと判定した場合(No)、制御機器10が被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信不能であると判定し(S410)、制御機器10は広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する(S411)。
【0066】
以上のように、制御システム100は、被制御機器20と以前ローカル通信可能だったアクセスポイントが制御機器10の記憶部13に記憶されているため、制御機器10がローカル通信ネットワークを介して被制御機器20に、例えば、ユニキャスト方式で信号を送信して応答信号を受信しない場合に、マルチキャスト方式で信号を送信することで、被制御機器20のIPアドレスが変更された場合でも、制御機器10と被制御機器20との間のローカル通信を確立できる可能性が高まる。
【0067】
また、制御システム100は、例えば、被制御機器20がローカル通信ネットワークに接続できない状態である場合に、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信できないことを適切に判定することができる。
【0068】
[ローカル通信ネットワークを介する通信における通信方式の確立動作]
続いて、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能である場合、制御機器10が被制御機器20からの応答信号に基づいて、被制御機器20との通信方式を確立する動作について説明する。ここでは、ローカル通信ネットワークは、無線ローカル通信ネットワークである。なお、被制御機器20は、外付けの通信モジュールを備えており、当該通信モジュールは、例えば、第1通信部21aである。以下では、被制御機器20は、通信モジュール(第1通信部21a)を介して、制御機器10と暗号化しない方式又は暗号化した方式で制御機器10とローカル通信を行う例について説明する。
【0069】
[第1の例]
図6は、制御機器10と被制御機器20との間のローカル通信ネットワークを介する通信における通信方式の確立動作の第1の例を示すフローチャートである。第1の例では、制御機器10及び被制御機器20が予め暗号鍵を保持している場合について説明する。
【0070】
制御機器10の制御部12は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能である場合、第1通信部11aに被制御機器20に信号を平文で送信させる。言い換えると、制御機器10は被制御機器20に信号を平文で送信する(S501)。
【0071】
制御機器10の制御部12は、被制御機器20から平文で通信可能であることを示す応答信号を受信したと判定した場合(S502でYes)、暗号化しない方式で被制御機器20と通信する(S503)。
【0072】
一方、ステップS502において、制御部12は、被制御機器20から平文で通信可能であることを示す応答信号を受信しなかったと判定した場合(No)、第1通信部11aに被制御機器20に信号を暗号化して送信させる。言い換えると、制御機器10は、被制御機器20に信号を暗号化して送信する(S504)。なお、制御機器10及び被制御機器20が予め暗号鍵を保持していない場合、制御機器10の制御部12は、被制御機器20と認証及び暗号鍵の交換を行った後(不図示)、被制御機器20に信号を暗号化して送信する。そして、制御部12は、被制御機器20からの応答信号に基づいて、暗号化した方式で被制御機器20と通信するように第1通信部11aを制御する。これにより、制御機器10は、被制御機器20からの応答信号に基づいて、暗号化した方式で被制御機器20と通信する(S505)。
【0073】
以下、ステップS502でNoである場合の制御機器10の動作の一例を説明する。図7は、図6のステップS502でNoである場合の制御機器10の動作の詳細なフローの一例を示すフローチャートである。
【0074】
図6のステップS502で、制御機器10の制御部12は、被制御機器20から平文で通信可能であることを示す応答信号を受信しなかったと判定した場合(No)、平文で通信できないことを示す応答信号を受信したか否かを判定する(S601)。制御部12は、被制御機器20から平文で通信できないことを示す応答信号を受信したと判定した場合(S601でYes)、制御部12は、第1通信部11aを介して被制御機器20に信号を暗号化して送信する(S602)。そして、制御部12は、被制御機器20から応答信号を受信した場合(S603でYes)、制御機器10は暗号化した方式で被制御機器20と通信する(S604)。一方、制御部12は、被制御機器20から応答信号を受信しなかった場合(S603でNo)、被制御機器20と通信不能(言い換えると、通信できない)と判断する(S605)。このとき、制御部12は、ユーザに被制御機器20と通信できないことを通知してもよい。制御部12は、例えば、表示部15に「被制御機器と通信できません」などのメッセージ、又は、被制御機器のイメージ図の上に、×もしくはエクスクラメーションマークを重畳した画像を表示させることにより、ユーザに通知してもよい。制御部12は、入力受付部14によって受け付けられたユーザの指示に基づいて、被制御機器20との通信を中止してもよいし、上記判断に基づいて、被制御機器20との通信を中止してもよい。
【0075】
以上のように、制御システム100は、被制御機器20が暗号化された方式では通信できない状態であることを適切に判断することができる。また、制御システム100は、被制御機器20が暗号化しない方式での通信に対応しておらず、かつ、制御機器10が暗号化された信号に対する応答信号を被制御機器20から受信しない場合、制御機器10と被制御機器20とが通信できない状態であることを適切に判断することができる。
【0076】
[第1の例の変形例1]
続いて、第1の例の変形例1について説明する。図8は、通信方式の確立動作の第1の例の変形例1における被制御機器20の応答動作の一例を示すフローチャートである。第1の例では、制御機器10は、被制御機器20から平文で通信不可であることを示す応答信号を受信した場合(図7のS601でYes)、被制御機器20に信号を暗号化して送信した(S602)。第1の例の変形例では、制御機器10は、ステップS601でYesの場合、被制御機器20に自己の識別情報を含む信号を送信する点で、第1の例と異なる。以下では、被制御機器20が制御機器10の識別情報を含む信号を受信した場合の応答動作の一例について説明する。
【0077】
図7のステップS601で、制御機器10が被制御機器から平文で通信できないことを示す応答信号を受信した場合(Yes)、制御機器10は、第1通信部11aを介して、自己の識別情報を含む信号を被制御機器20に送信する(不図示)。このとき、制御機器10と被制御機器20との間で暗号鍵の共有が未実施のため、当該信号は、暗号化されていない方式で送信される。
【0078】
被制御機器20の制御部22は、第1通信部21aを介して制御機器10からの当該信号を受信すると(S701)、受信した信号に含まれる識別情報が記憶部23に記憶されているか否かを判定する(S702)。被制御機器20の制御部22は、記憶部23に当該識別情報が記憶されていると判定した場合(S702でYes)、制御機器10に応答信号を送信する(S703)。一方、制御部22は、記憶部23に当該識別情報が記憶されていないと判定した場合(S702でNo)、制御機器10に応答信号を送信しない(S704)。
【0079】
以上のように、制御システム100は、制御機器10の識別情報が被制御機器20の記憶部23に予め記憶され識別情報と一致する場合に、被制御機器20は制御機器10に応答信号を送信するため、より安全性の高い通信を行うことができる。
【0080】
[第1の例の変形例2]
第1の例及び第1の例の変形例1では、さらに、制御機器10と被制御機器20とが暗号化した方式で通信する場合に、制御機器10及び被制御機器20が共同して、共通の暗号鍵を生成してもよい。
【0081】
図示しないが、制御機器10は、暗号化された信号に対する被制御機器20からの応答信号を受信した場合(例えば、図7S603でYes)、被制御機器20に第1乱数を送信する。被制御機器20は、制御機器10から送信された第1乱数を取得すると、第1乱数と異なる第2乱数を制御機器10に送信する。なお、制御機器10及び被制御機器20は、第1乱数及び第2乱数の送受信を含む乱数の送受信を少なくとも1回行ってもよい。
【0082】
制御機器10及び被制御機器20は、それぞれ、第1乱数及び第2乱数に基づいて、共通の暗号鍵を生成する。生成された共通の暗号鍵は、制御機器10の記憶部13及び被制御機器20の記憶部23に記憶される。
【0083】
以上のように、制御システム100は、制御機器10と被制御機器20とが暗号化した方式で通信可能である場合に、互いに乱数を送信し合うことにより、共通の暗号鍵を生成することができるため、予め暗号鍵を記憶する必要がない。
【0084】
[効果等]
以上説明したように、制御システム100は、被制御機器20と、被制御機器20を制御する制御機器10と、を備え、制御機器10は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定し、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信し、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定した場合、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する。
【0085】
このような制御システム100は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能である場合にローカル通信ネットワークを優先的に使用するため、広域通信ネットワークのみを使用する場合よりも低遅延で、かつ、安定した通信を行うことができる。
【0086】
例えば、制御システム100では、制御機器10は、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能か否かを判定し、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能であると判定された場合、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定し、制御機器10がローカル通信ネットワークに接続可能でないと判定された場合、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する。
【0087】
このような制御システム100は、制御機器10及び被制御機器20のそれぞれの通信状態に応じて、ローカル通信ネットワーク及び広域通信ネットワークのいずれを使用するか切り替えることができる。
【0088】
例えば、制御システム100では、制御機器10は、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20に信号を送信し、被制御機器20から信号に対する応答信号を受信した場合、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定する。
【0089】
このような制御システム100は、制御機器10がローカル通信ネットワークを介して送信した信号に対する応答信号の有無に基づいて、広域通信ネットワークを使用することなく、簡便に、制御機器10と被制御機器20とがローカルネットワークを介して通信可能であることを判定することができる。
【0090】
例えば、制御システム100では、制御機器10は、被制御機器20に信号を繰り返し送信し、被制御機器20から信号に対する応答信号を受信しない回数が連続してN(Nは2以上)回以上である場合、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定する。
【0091】
このような制御システム100は、被制御機器20がローカル通信ネットワークを介して通信可能にも拘らず、例えば、被制御機器20の電源がOFFである、又は、電波状況が安定するまでに時間がかかっているなどの事情があった場合でも、制御機器10と被制御機器20との間のローカル通信を確立することができる。
【0092】
例えば、制御システム100では、制御機器10は、被制御機器20とローカル通信ネットワークを介して通信した場合、当該通信に使用されたアクセスポイントを記憶部13に記憶し、被制御機器20から信号に対する応答信号を受信しない場合、アクセスポイントが記憶部13に記憶されているか否かを判定し、アクセスポイントが記憶部13に記憶されている場合、ローカル通信ネットワークを介して、マルチキャスト方式で被制御機器20に信号を送信する。
【0093】
このような制御システム100は、当該被制御機器20と以前ローカル通信可能だったアクセスポイントが制御機器10の記憶部13に記憶されているため、制御機器10がローカル通信ネットワークを介して被制御機器20に、例えば、ユニキャスト方式で信号を送信して応答信号を受信しない場合に、マルチキャスト方式で信号を送信することで、被制御機器20のIPアドレスが変更された場合でも、制御機器10と被制御機器20との間のローカル通信を確立できる可能性が高まる。
【0094】
例えば、制御システム100では、制御機器10は、被制御機器20からマルチキャスト方式で送信した信号に対する応答信号を受信しない場合、制御機器10と被制御機器20とはローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定する。
【0095】
このような制御システム100は、例えば、被制御機器20がローカル通信ネットワークに接続できない状態である場合に、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信できないことを適切に判定することができる。
【0096】
例えば、制御システム100では、制御機器10は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能である場合、被制御機器20に信号を平文で送信し、被制御機器20から平文で通信が可能であることを示す応答信号を受信したとき、暗号化しない通信方式で被制御機器20と通信し、被制御機器20から平文で通信が可能であることを示す応答信号を受信しなかったとき、被制御機器20に信号を暗号化して送信し、暗号化された信号に対する被制御機器20からの応答信号の有無に基づいて、暗号化した通信方式で被制御機器20と通信する。
【0097】
このような制御システム100は、例えば、バイタルセンサのように個人情報など秘匿性の高い情報の送受信を行う機器、及び、照明機器などように秘匿性の低い情報の送受信を行う機器など、被制御機器20の種別に応じて、制御機器10と被制御機器20との間の通信を暗号化するか否かを適切に切り替えることができる。より詳細には、制御システム100は、秘匿性の高い情報の送受信を行う機器については暗号化された方式で通信を行い、秘匿性の低い情報の送受信を行う機器については、暗号化された方式よりも通信速度の速い暗号化されていない方式で通信を行うように切り替えることができる。これにより、制御システム100は、通信の安全性及び通信速度を向上させることができる。
【0098】
例えば、制御システム100では、制御機器10は、暗号化された信号に対する被制御機器20からの応答信号を受信した場合、暗号化した通信方式で被制御機器20と通信し、暗号化された信号に対する被制御機器20からの応答信号を受信しなかった場合、被制御機器20と通信不能と判断する。
【0099】
このような制御システム100は、被制御機器20が暗号化された方式では通信できない状態であることを適切に判断することができる。また、制御システム100は、被制御機器20が暗号化しない方式での通信に対応しておらず、かつ、制御機器10が暗号化された信号に対する応答信号を被制御機器20から受信しない場合、制御機器10と被制御機器20とが通信できない状態であることを適切に判断することができる。
【0100】
例えば、制御システム100では、被制御機器20は、制御機器10の識別情報を予め記憶部23に記憶し、制御機器10から暗号化して送信された信号を受信すると、信号に含まれる識別情報が記憶部23に記憶されているか否かを判定し、識別情報が記憶部23に記憶されていると判定した場合、制御機器10に応答信号を送信し、識別情報が記憶部23に記憶されていないと判定した場合、制御機器10に応答信号を送信しない。
【0101】
このような制御システム100は、制御機器10の識別情報が被制御機器20の記憶部23に予め記憶され識別情報と一致する場合に、被制御機器20は制御機器10に応答信号を送信するため、より安全性の高い通信を行うことができる。
【0102】
例えば、制御システム100では、制御機器10は、暗号化された信号に対する被制御機器20からの応答信号を受信した場合、被制御機器20に第1乱数を送信し、被制御機器20は、制御機器から送信された第1乱数と異なる第2乱数を制御機器10に送信し、制御機器10及び被制御機器20は、それぞれ、第1乱数及び第2乱数に基づいて、共通の暗号鍵を生成する。
【0103】
このような制御システム100は、制御機器10と被制御機器20とが暗号化した方式で通信可能である場合に、互いに乱数を送信し合うことにより、共通の暗号鍵を生成することができるため、予め暗号鍵を記憶する必要がない。
【0104】
例えば、制御システム100は、さらに、被制御機器20に取り付けられる通信モジュール(例えば、第1通信部21a)を備え、被制御機器20は、通信モジュールを介して、制御機器10と暗号化しない方式又は暗号化した方式で制御機器10とローカル通信を行う。
【0105】
このような制御システム100は、被制御機器20がローカル通信に対応する外付けの通信モジュールを備えることにより、当該外付けの通信モジュールを介して制御機器10と被制御機器20とが暗号化した方式又は暗号化しない方式で通信可能となる。
【0106】
例えば、制御システム100では、ローカル通信ネットワークは、無線ローカル通信ネットワークであり、広域通信ネットワークは、無線広域通信ネットワークである。
【0107】
このような制御システム100は、例えば、制御機器10がスマートフォンのように移動可能な機器であっても、被制御機器20と通信可能であり、また、被制御機器20の建物内での設置位置を柔軟に変更することも可能であるため、利便性が向上する。
【0108】
例えば、制御システム100では、無線広域通信ネットワークは、移動体回線ネットワークである。
【0109】
このような制御システム100は、例えば、制御機器10がスマートフォンのように移動可能な機器であっても、被制御機器20と通信可能であるため、利便性が向上される。
【0110】
また、制御システム100などのコンピュータが実行する制御方法は、被制御機器20と、被制御機器20を制御する制御機器10との通信を制御する制御方法であって、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定する判定ステップと、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信するローカル通信ステップと、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定した場合、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する広域通信ステップと、を含む。
【0111】
このような制御方法は、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能である場合にローカル通信ネットワークを優先的に使用するため、広域通信ネットワークのみを使用する場合よりも低遅延で、かつ、安定した通信を行うことができる。
【0112】
例えば、制御システム100などのコンピュータが実行する制御方法では、ローカル通信ステップは、被制御機器20に信号を平文で送信する第1信号送信ステップと、被制御機器20から平文で通信が可能であることを示す応答信号を受信したとき、暗号化しない通信方式で被制御機器20と通信する第1通信ステップと、被制御機器20から平文で通信が可能であることを示す応答信号を受信しなかったとき、被制御機器20に信号を暗号化して送信する第2信号送信ステップと、第2信号送信ステップで送信された暗号化された信号に対する被制御機器20からの応答信号の有無に基づいて、暗号化した通信方式で被制御機器20と通信する第2通信ステップと、を含む。
【0113】
このような制御方法は、例えば、バイタルセンサのように個人情報など秘匿性の高い情報の送受信を行う機器、及び、照明機器などように秘匿性の低い情報の送受信を行う機器など、被制御機器20の種別に応じて、制御機器10と被制御機器20との間の通信を暗号化するか否かを適切に切り替えることができる。これにより、制御方法は、通信の安全性及び通信速度を向上させることができる。
【0114】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0115】
例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、上記実施の形態の動作例は任意に組み合わされてよい。
【0116】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0117】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0118】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0119】
例えば、本発明は、制御システムなどのコンピュータが実行する制御方法として実現されてもよいし、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。このような制御システム100などのコンピュータが実行する制御方法は、被制御機器20と、被制御機器20を制御する制御機器10との通信を制御する制御方法であって、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能か否かを判定する判定ステップと、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能であると判定した場合、ローカル通信ネットワークを介して被制御機器20と通信するローカル通信ステップと、制御機器10と被制御機器20とがローカル通信ネットワークを介して通信可能でないと判定した場合、広域通信ネットワークを介して被制御機器20と通信する広域通信ステップと、を含む。また、例えば、上記の制御システム100などのコンピュータが実行する制御方法では、ローカル通信ステップは、被制御機器20に信号を平文で送信する第1信号送信ステップと、被制御機器20から平文で通信が可能であることを示す応答信号を受信したとき、暗号化しない通信方式で被制御機器20と通信する第1通信ステップと、被制御機器20から平文で通信が可能であることを示す応答信号を受信しなかったとき、被制御機器20に信号を暗号化して送信する第2信号送信ステップと、第2信号送信ステップで送信された暗号化された信号に対する被制御機器20からの応答信号の有無に基づいて、暗号化した通信方式で被制御機器20と通信する第2通信ステップと、を含んでもよい。
【0120】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
10 制御機器
13 記憶部
20 被制御機器
23 記憶部
100 制御システム
図1
図2
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図8