(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
F25D 21/08 20060101AFI20241213BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20241213BHJP
F25D 21/14 20060101ALI20241213BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
F25D21/08 A
F25B47/02 D
F25D21/14 A
F25D11/00 101Z
(21)【出願番号】P 2020184387
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 大雅
(72)【発明者】
【氏名】奥長 宏章
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 勝
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-271059(JP,A)
【文献】特開2007-024474(JP,A)
【文献】特開2014-035120(JP,A)
【文献】特開2013-200084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 13/00
F25D 21/00 ~ 21/14
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納室を冷却する冷気を生成する冷却機構と、
霜を除去する熱を発生させる霜取りヒータと、
前記冷却機構により冷却された空気、または前記霜取りヒータにより暖められた空気を前記収納室に送る送風機と、
前記送風機に設けられており、前記送風機の凍結を防止するファンケースヒータと、
前記冷却機構による前記冷気の生成が停止した状態で、前記霜取りヒータを動作させるとともに、前記収納室に対して前記暖められた空気を前記送風機に送らせる制御を行う制御部と、
前記霜が前記霜取りヒータによって解かされて生じたドレン水を貯留するドレンパンにおける霜の生成を防止するドレンパンヒータと、
を備え、
前記制御部は、所定の契機に応じて、前記冷却機構による前記冷気の生成を停止させるとともに、前記ドレンパンヒータを所定の第1時間動作させた後、前記制御を行い、前記制御を所定の第2時間行った後、前記ドレンパンヒータを前記第1時間動作させる、
収納装置。
【請求項2】
前記冷却機構付近の温度を検知する霜取り温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記制御の開始から前記第2時間が経過していなくても、前記冷却機構の温度が所定の第1温度以上となった時点で前記霜取りヒータを停止させる、
請求項
1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記収納室内部の温度を計測する温度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記ドレンパンヒータを動作させている間、または前記制御を行っている間に、前記収納室内部の温度が所定の第2温度以上となった場合には、前記第1時間または前記第2時間が経過していなくても、前記ドレンパンヒータの動作を終了させる、または前記制御を終了し、前記冷却機構に前記冷気を生成させて前記送風機により前記冷気を前記収納室に対して送らせる、
請求項
1または
2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記収納室内部の温度が、前記第2温度より低い所定の第3温度以下となったことを前記所定の契機とする、
請求項
3に記載の収納装置。
【請求項5】
操作入力を受け付ける操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部に対する所定の操作を前記所定の契機とする、
請求項
1から
3のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項6】
前記収納室を内包する筐体と、
前記筐体の内面の内、前記送風機からの距離が最も遠い内面に設けられた面ヒータと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記所定の契機に応じて、前記面ヒータを動作させる、
請求項
1から
5のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記収納室内部の温度が所定の第2温度以上となった場合に、前記面ヒータの動作を停止させる、
請求項
6に記載の収納装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記収納室に収納対象物が収納されている場合には、前記ドレンパンヒータを動作させない、または前記制御を行わない、
請求項
1から
7のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項9】
収納室を冷却する冷気を生成する冷却機構と、
霜を除去する熱を発生させる霜取りヒータと、
前記冷却機構により冷却された空気、または前記霜取りヒータにより暖められた空気を前記収納室に送る送風機と、
前記霜が前記霜取りヒータによって解かされて生じたドレン水を貯留するドレンパンにおける霜の生成を防止するドレンパンヒータと、
所定の契機に応じて、前記冷却機構による前記冷気の生成を停止させ、かつ、前記ドレンパンヒータを所定の第1時間動作させた後、前記冷却機構による前記冷気の生成が停止した状態で、前記霜取りヒータを動作させ、かつ、前記収納室に対して前記暖められた空気を前記送風機に送らせる制御を行い、前記制御を所定の第2時間行った後、前記ドレンパンヒータを前記第1時間動作させる制御部と、
を備える、収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納室内を冷却できる収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や屋外などに設けられ、食品などの収納対象物の受け渡しに用いられる収納装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の収納装置は、複数の断熱箱体を設けて収納室を構成している。そして、特許文献1の収納装置は、収納室を所定温度に冷却するための冷却器と冷却器用送風機を備え、冷気を各収納室に送り込むことにより各収納室を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の収納装置では、収納室に収納対象物を収納する際には、外扉および内扉が開かれる。この際、湿度が高い外気が収納室内に流入してしまうので、収納室内部や、冷気を収納室へ送り込む通風孔等において霜が成長しやすい。
【0006】
なお、一般的な冷蔵冷凍装置においては、冷却器を含む冷却機構付近に霜が成長しやすい。このため、一般的な冷蔵冷凍装置においては、霜取り(デフロスト)運転モードが用意されていることが多い。霜取り運転モードとは、冷却機構付近に設けられた霜取りヒータ等を動作させることにより、冷却機構付近の霜を取り除くための運転モードである。しかしながら、一般的な霜取り運転モードでは、収納室内部や通風孔等、冷蔵冷凍装置の内部における、冷却機構付近以外の箇所に付着した霜を除去することは困難である。
【0007】
本開示の目的は、冷蔵冷凍装置の内部における、冷却機構付近以外の箇所においても、付着した霜を除去することができる収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の収納装置は、収納室を冷却する冷気を生成する冷却機構と、霜を除去する熱を発生させる霜取りヒータと、前記冷却機構により冷却された空気、または前記霜取りヒータにより暖められた空気を前記収納室に送る送風機と、前記送風機に設けられており、前記送風機の凍結を防止するファンケースヒータと、前記冷却機構による前記冷気の生成が停止した状態で、前記霜取りヒータを動作させるとともに、前記収納室に対して前記暖められた空気を前記送風機に送らせる制御を行う制御部と、前記霜が前記霜取りヒータによって解かされて生じたドレン水を貯留するドレンパンにおける霜の生成を防止するドレンパンヒータと、を備え、前記制御部は、所定の契機に応じて、前記冷却機構による前記冷気の生成を停止させるとともに、前記ドレンパンヒータを所定の第1時間動作させた後、前記制御を行い、前記制御を所定の第2時間行った後、前記ドレンパンヒータを前記第1時間動作させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、冷蔵冷凍装置の内部における、冷却機構付近以外の箇所においても、付着した霜を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】機械室の内部に設けられた冷却ユニットおよび制御ユニットについて説明するための模式図
【
図5】制御ユニットによる、冷却ユニットの各構成の制御について説明するためのブロック図
【
図6】制御ユニットによる、収納装置の各構成の制御を説明するための、オンオフ動作図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
【0012】
なお、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。
【0013】
<収納装置1>
図1Aおよび
図1Bは、収納装置1の外観について説明するための図である。収納装置1は、筐体11と、外扉12と、内扉13と、機械室14と、を備える。なお、以下では、収納装置1および収納装置1に含まれる各構成の方向を説明する際には、
図1Aおよび
図1Bに示す前後、上下、左右方向を用いる。すなわち、収納装置1自身を基準として、収納装置1の正面側(言い換えると、後述する外扉12および内扉13側)の方向を前方向、その反対側の方向を後ろ方向、右側の方向を右方向、左側の方向を左方向、上側の方向を上方向、下側の方向を下方向とする。
【0014】
収納装置1は、複数の収納室Sを有しており、収納室S毎に外扉12および内扉13が設けられている。外扉12および内扉13が閉められることにより、収納室Sは密閉される。収納室Sの内部には、機械室14の内部に設けられた冷却ユニット100(詳細は後述)から冷気が供給される。このため、外扉12および内扉13が閉められた状態では、収納室S内部が冷却される。収納室S内部の温度は、機械室14の内部に設けられた制御ユニット200(詳細は後述)によって設定されうる。このように、収納装置1は、収納対象物(要冷蔵物または要冷凍物)を収納可能な冷蔵または冷凍収納装置として構成されている。
【0015】
筐体11は、例えば外板と内板との間に断熱材を挟んだ断熱構造によって構成されている。外扉12および内扉13も、筐体11と同様に、上記断熱構造によって構成されている。なお、外扉12または内扉13のいずれかのみが上記断熱構造によって構成されていてもよい。外扉12および内扉13は、それぞれ、図示しないヒンジ機構を支点として回動可能に筐体11と連結されている。
【0016】
収納室Sは、外扉12および内扉13が開かれた場合に開放される面を除く、上下、左右および後ろ側のそれぞれの面に板部材が配置されて構成された箱体の内部スペースである。収納室Sには、外扉12および内扉13が開かれた状態で、収納装置1のユーザによって、収納対象物が収納されうる。
【0017】
図2は、収納装置1の前後方向に沿った断面図である。
図3は、収納装置1の左右方向に沿った断面図である。収納室Sの背面部には、
図2および
図3に示すように、冷却ユニット100が生成した冷気を収納室S内部に送り込むための複数の背面スリット21が設けられている。収納室Sの左右の側面部には、収納室Sの内部の空気を外部に排出するための複数の側面スリット22が設けられている。
【0018】
筐体11は、
図2および
図3に示すように、前面部に収納室Sの数だけ開口を有する箱体形状に形成されている。
図1から
図3に示す例では、筐体11の内部に、5個の収納室Sが上下に並ぶように配置されている。
【0019】
図2に示すように、筐体11の背面部と複数の収納室Sの背面部との間には、背面流路F1が設けられている。また、
図3に示すように、筐体11の左右それぞれの側面部と収納室Sの左右それぞれの側面部との間には、側面流路F2が設けられている。筐体11内における一番上の収納室Sの上方には、冷却ユニット100から冷気が送出される送出口23が配置されている。送出口23は、筐体11の上面部の開口部から露出するように配置されている。
【0020】
送出口23から送出された冷気は、矢印Y1に示すように、背面流路F1を流れ、背面スリット21から収納室Sの内部に流入し、収納室Sの内部を冷却する。収納室Sの内部で熱交換された空気は、矢印Y2に示すように、側面スリット22から流出し、側面流路F2を流れて、図示しない流入口から冷却ユニット100に流入する。流入口から流入した空気は、冷却ユニット100によって冷却され、冷気として背面流路F1に送出される。つまり、筐体11の内部における冷気の循環によって、収納室Sの内部が冷却される。
【0021】
なお、
図2および
図3に示すように、収納装置1の底面部、言い換えると、収納装置1の筐体11の内面のうち、送出口23から最も遠い面に、底面ドレンヒータ110が設けられている。底面ドレンヒータ110の詳細については後述する。
【0022】
次に、機械室14の内部に設けられた冷却ユニット100および制御ユニット200について説明する。制御ユニット200は、本開示の制御部の一例である。
図4は、機械室14の内部に設けられた冷却ユニット100および制御ユニット200について説明するための模式図である。
【0023】
冷却ユニット100は、圧縮機(コンプレッサ)、凝縮器(コンデンサ)、膨張弁(キャピラリ)、蒸発器(エバポレータ)等を有する冷却機構101を備えた、蒸気圧縮式の冷却装置である。冷却機構101の構成については、既知の技術が適宜採用されればよい。なお、本開示において、冷却機構101の冷却方式は蒸気圧縮式に限定されず、他の方式が採用されてもよい。
【0024】
冷却機構101を構成する機器、特に蒸発器付近には、動作時に霜が付着しやすい。この霜を除去するため、冷却機構101付近には、霜取りヒータ102が設けられている。また、冷却機構101付近の温度を検出する霜取り温度センサ103が、冷却機構101付近に設けられている。霜取りヒータ102によって霜が除去されることにより生じる水分(ドレン水)を貯留するためのドレンパン104が冷却機構101の下側に設けられている。
【0025】
更に、ドレンパン104に貯留されているドレン水が凍結しないように、ドレンパン104は、ドレンパン104を温めるドレンパンヒータ105を有する。なお、ドレンパン104に貯留されるドレン水は、ドレンパイプ106によって外部に排出される。ドレンパイプ106内のドレン水が凍結しないよう、ドレンパイプ106はドレンパイプヒータ107を有する。
【0026】
また、冷却ユニット100は、生成した冷気を送出口23(
図2参照)から送出するための送風ファン108を備えている。送風ファン108は、本開示の送風機の一例である。なお、送風ファン108は、冷却ユニット100が冷気の生成を停止し、霜取りヒータ102が動作している場合には、霜取りヒータ102によって暖められた暖気を、送出口23から送出する。
【0027】
送風ファン108に霜が付いて回転しなくなる事態を防止するため、ファンケースヒータ109が送風ファン108のケースに設けられている。
【0028】
冷却ユニット100、および冷却ユニット100が備える各構成の動作は、制御ユニット200によって制御される。
図5は、制御ユニット200による、冷却ユニット100の各構成の制御について説明するためのブロック図である。
【0029】
図5において、図の左側が制御ユニット200の入力側、右側が制御ユニット200の出力側である。入力側には、霜取り温度センサ103、操作入力部201、および収納室内温度センサ202が接続されている。収納室内温度センサ202は、本開示の温度センサの一例である。出力側には、冷却機構101、送風ファン108、ドレンパンヒータ105、ドレンパイプヒータ107、ファンケースヒータ109、および底面ドレンヒータ110が接続されている。
【0030】
操作入力部201は、収納装置1の外装の一部に設けられており、収納装置1の管理者やユーザ等による、制御ユニット200に対する操作を受け付ける。操作入力部201は、例えばタッチパネルやボタン等で構成される。操作入力部201は、管理者やユーザに対して情報を提示するための表示画面(液晶ディスプレイ等)を含んでいてもよい。なお、本実施の形態において、管理者とは、収納装置1の運用を管理する者である。ユーザとは、収納装置1を利用して、収納室Sに収納対象物を収納したり、取り出したりする者である。操作入力部201に対して、管理者やユーザが何らかの操作を行うと、操作入力部201はその操作を受け付け、入力内容を示す情報を制御ユニット200に送信する。
【0031】
収納室内温度センサ202は、各収納室Sの内部に設けられている温度センサである。
【0032】
底面ドレンヒータ110は、収納装置1の底面部、言い換えると、収納装置1の筐体11の内面の内、送出口23から最も遠い面に設けられている、面状に配置されたヒータである。底面ドレンヒータ110は、本開示の面ヒータの一例である。具体的には、底面ドレンヒータ110は、蛇行させることで一平面内に収まるように配置された電熱線である。底面ドレンヒータ110は、収納装置1の筐体11の底面部を温めることができる。
【0033】
<制御ユニット200の制御>
次に、制御ユニット200の制御について説明する。
図6は、制御ユニット200による、収納装置1の各構成の制御を説明するための、オンオフ動作図である。
【0034】
制御ユニット200の通常運転状態において、制御ユニット200は、収納装置1の各収納室S内部を冷却する。
図6に示すように、通常運転状態では、制御ユニット200は、冷却機構101および送風ファン108を動作させている。これにより、冷却機構101が生成した冷気が送風ファン108によって各収納室Sの内部に送り込まれ、各収納室Sの内部が冷却される。
【0035】
収納装置1の通常運転状態では、冷却ユニット100の冷却機構101付近に、霜が発生する。また、冷却機構101からの冷気が通過する背面流路F1(
図2参照)、収納室Sの内部、および収納室S内の空気が冷却機構に戻る際に通過する側面流路F2(
図3参照)にも、霜が付着しやすい。
【0036】
制御ユニット200は、収納装置1内部の霜を除去するため、管理者による所定の操作に応じて、通常運転状態から内部霜取り運転状態へと移行する。
図6において、時刻T1で所定の操作が行われたとする。
【0037】
内部霜取り運転状態は、第1運転状態、第2運転状態、および第3運転状態の3つの異なる運転状態を含む。
【0038】
第1運転状態は、通常運転状態から内部霜取り運転状態に移行した直後の運転状態である。
図6に示すように、第1運転状態の開始時において、制御ユニット200は、冷却機構101および送風ファン108を停止させる。同時に、制御ユニット200は、通常運転状態では動作していなかった、ドレンパンヒータ105、ファンケースヒータ109、および底面ドレンヒータ110を動作させる。これにより、背面流路F1(
図2参照)および側面流路F2(
図3参照)を通じた冷気の送出が停止されるとともに、冷却機構101付近、ドレンパン104付近、送風ファン108付近、および筐体11内部の底面部付近が各ヒータによって温められる。これにより、冷却機構101付近に発生した霜が除去されるとともに、ドレン水がドレンパン104内で凍結することが防止される。また、送風ファン108に霜が付着することで送風ファン108が回転できなくなる事態が回避される。さらに、底面ドレンヒータ110により、収納装置1の底面部に水が溜まって凍結する事態が防止される。
【0039】
なお、制御ユニット200は、ドレンパン104からドレン水を排出するドレンパイプ106の凍結を防止するためのドレンパイプヒータ107については、運転状態にかかわらず常に動作させている。
【0040】
第1運転状態の開始から所定の第1時間、例えば30分が経過すると、制御ユニット200は、収納装置1を第2運転状態へ移行させる。
図6に示すように、第2運転状態の開始時において、制御ユニット200は、霜取りヒータ102を動作させるとともに、送風ファン108を動作させる。これにより、霜取りヒータ102によって暖められた暖気が、送風ファン108によって、背面流路F1(
図2参照)、各収納室S、および側面流路F2(
図3参照)を順に通過する。これにより、背面流路F1の内部、各収納室Sの内部、および側面流路F2の内部が温められ、付着していた霜が除去される。背面流路F1の内部、各収納室Sの内部、および側面流路F2の内部に付着していた霜が解けて生成されたドレン水は、重力に従って収納装置1内を流れ落ち、例えば収納装置1の底面等に設けられた図示しない排出口等から排出される。
【0041】
なお、第2運転状態では、冷却機構101の動作が停止しており、収納装置1の内部全体が温められるため、ドレンパン104や送風ファン108に霜が付着する可能性が低い。このため、制御ユニット200は、第2運転状態の開始時において、ドレンパンヒータ105およびファンケースヒータ109の動作を停止させる。
【0042】
また、第2運転状態が開始しても、制御ユニット200は、第1運転状態から継続して底面ドレンヒータ110を動作させる。その理由は、以下のとおりである。底面ドレンヒータ110は、
図2に示すように、収納装置1の筐体11の内面のうち、暖気が送出される送出口23から最も遠い底面部に設けられている。このため、底面部付近には、送出口23から送出された暖気が暖かいまま届きにくいことがある。底面ドレンヒータ110を動作させることにより、送出口23から送出された暖気が底面部まで暖かいまま届かない場合でも、底面部付近に付着した霜が好適に除去されるとともに、ドレン水の凍結を防止することができる。
【0043】
第2運転状態の開始から所定の第2時間、例えば30分が経過すると、制御ユニット200は、収納装置1を第1運転状態へと再度移行させる。すなわち、霜取りヒータ102および送風ファン108を停止させるとともに、ドレンパンヒータ105およびファンケースヒータ109を動作させる。
【0044】
なお、本実施の形態では、第1時間と第2時間を同じ30分として説明したが、これは一例であり、例えば第1時間が20分、第2時間が40分のように、第1時間と第2時間とは互いに異なる時間に設定されてもよい。
【0045】
また、第2運転状態において霜取りヒータ102が動作している間に、霜取り温度センサ103によって冷却機構101付近が所定の第1温度以上となったことが検知された時点で、制御ユニット200は、霜取りヒータ102の動作を停止させる。これにより、収納装置1内部の温度が過剰に上昇することを防止できる。所定の第1温度は、例えば、15℃である。
【0046】
なお、制御ユニット200は、第2運転状態の開始時に、霜取りヒータ102を動作させるか否かを、収納室S内部の温度に基づいて決定するようにしてもよい。
【0047】
具体的には、制御ユニット200は、第2運転状態の開始時における収納室S内部の温度を取得し、当該温度が上記第1温度(例えば、15℃)未満であった場合、霜取りヒータ102を動作させ、第1温度以上であった場合には、霜取りヒータ102を動作させないようにしてもよい。
【0048】
その後、第2運転状態中に、収納室S内部の温度が第1温度未満まで下がったとしても、制御ユニット200は、その回の第2運転状態が終了するまでの間は、霜取りヒータ102を動作させない。そして、その回の第2運転状態と、その次の第1運転状態とが終わって、その次の第2運転状態が開始される時には、制御ユニット200は、再度収納室S内部の温度が第1温度未満であるか否かの判定を行う。このような制御により、収納装置1の内部の温度が過剰に上昇することを防止できる。
【0049】
しかしながら、収納装置1の第1運転状態と第2運転状態では、冷却機構101が動作していないことから、収納装置1の内部の温度は次第に上昇する。制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を、上記説明した第1運転状態と第2運転状態との間で交互に遷移させている間に、収納室S内部の温度が所定の第2温度以上となった場合には、その時点での運転状態にかかわらず、第3運転状態へと即座に遷移させる。なお、制御ユニット200は、収納室S内部の温度を、収納室内温度センサ202によって検知している。所定の第2温度は、例えば、35℃である。
【0050】
第3運転状態は、上昇した収納室S内部の温度を冷却するための運転状態である。第3運転状態の開始時において、制御ユニット200は、冷却機構101を動作させるとともに、送風ファン108が停止していた場合には、送風ファン108を動作させる。また、第3運転状態の開始時において、制御ユニット200は、霜取りヒータ102が動作していた場合には、霜取りヒータ102の動作を停止させ、ドレンパンヒータ105およびファンケースヒータ109が動作していた場合には、ドレンパンヒータ105およびファンケースヒータ109の動作を停止させる。これにより、収納装置1の内部、ひいては収納室S内部の温度が次第に低下する。
【0051】
第3運転状態において、収納室S内部の温度が、所定の第2温度より低い所定の第3温度以下となった時点で、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を、第3運転状態から、第1運転状態へと移行させる。所定の第3温度は、例えば、25℃である。
【0052】
以上のように、制御ユニット200は、管理者の操作入力部201に対する所定の操作に応じて、収納装置1の運転状態を、所定の第1時間の第1運転状態と、所定の第2時間の第2運転状態と、に交互に移行させる。第1運転状態では、冷却機構101が停止した状態で、ドレンパンヒータ105およびファンケースヒータ109が動作するため、ドレンパン104および送風ファン108に霜が付着し、凍結してしまう事態が防止される。また、第2運転状態では、冷却機構101が停止した状態で、霜取りヒータ102および送風ファン108が動作するため、冷却機構101付近の霜取り、および、収納装置1の筐体11内部における、背面流路F1、各収納室S、および側面流路F2等の霜取りを好適に行うことができる。
【0053】
また、収納室S内部の温度が所定の第2温度以上となった場合には、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を、収納室S内部の温度を低下させる第3運転状態へ随時移行させる。このため、収納室S内部の温度が過剰に上昇することを防止できる。
【0054】
そして、第3運転状態において収納室S内部の温度が所定の第3温度以下となった場合には、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を、第1運転状態へと再度移行させる。すなわち、本実施の形態において、第1運転状態への移行の契機(本開示の所定の契機)は、収納装置1の通常運転状態における管理者による所定の操作、または、第3運転状態における、収納室S内部の温度の第3温度以下への遷移、のいずれかである。
【0055】
また、制御ユニット200は、例えば以下の終了条件が成立した場合、内部霜取り運転状態を終了させて通常運転状態へと移行させる。終了条件の1つの例としては、管理者が操作入力部201に対して、所定の操作を行ったことが挙げられる。この所定の操作は、収納装置1を内部霜取り運転へ移行させる操作と同じ操作であってもよいし、異なる操作であってもよい。
【0056】
終了条件の他の例としては、内部霜取り運転状態の開始から所定の第3時間が経過したことが挙げられる。所定の第3時間は、所定の第1時間および第2時間より大幅に長い時間であることが望ましく、例えば6時間である。さらに、終了条件の他の例として、収納装置1の各部に異常が発生したことが挙げられる。各部の異常とは、冷却機構101の凝縮器の高温異常、収納室内温度センサ202の異常、霜取り温度センサ103の異常、等である。
【0057】
以上説明した、制御ユニット200による収納装置1の運転状態の遷移をまとめると、
図7のようになる。
図7は、制御ユニット200による、収納装置1の状態遷移図である。
【0058】
冷却機構101によって収納装置1の内部を冷却する通常運転状態において、制御ユニット200は、管理者による、操作入力部201に対する所定の操作に応じて、収納装置1の運転状態を内部霜取り運転状態へ移行させる。
【0059】
内部霜取り運転状態において、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を、時間の経過により、第1運転状態と、第2運転状態とに、交互に遷移させる。具体的には、第1運転状態の開始から第1時間(例えば、30分)が経過すると、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を第2運転状態へ移行させる。また、第2運転状態の開始から第2時間(例えば、30分)が経過すると、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を第1運転状態へ移行させる。第1運転状態は、主にドレンパン104および送風ファン108の凍結を防止する運転状態であり、第2運転状態は、主に背面流路F1、収納室S内部、および側面流路F2等を含む収納装置1の筐体11の内部を全体的に温める運転状態である。
【0060】
収納装置が第1運転状態または第2運転状態であるときに、収納室S内部の温度が所定の第2温度(例えば、35℃)以上となった場合、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を、第3運転状態へ移行させる。第3運転状態は、収納装置1の筐体11の内部を全体的に冷却する運転状態である。
【0061】
第3運転状態において、収納室S内部の温度が所定の第3温度(例えば、25℃)以下となった場合、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を、第1運転状態へ移行させる。その後は、収納室S内部の温度が所定の第2温度以上となるまで、時間の経過による第1運転状態と第2運転状態との遷移が再度行われる。
【0062】
第1運転状態、第2運転状態、および第3運転状態を含む内部霜取り運転状態において、内部霜取り運転状態の開始から6時間が経過する等、所定の終了条件が成立した場合、制御ユニット200は、内部霜取り運転状態を終了し、収納装置1の運転状態を、通常運転状態へ移行させる。内部霜取り運転状態の終了は、収納装置1の運転状態が、第1運転状態、第2運転状態、または第3運転状態のいずれの状態であっても、終了条件が成立した時点で即座に行われる。
【0063】
<作用、効果>
以上、本開示の収納装置1について説明した。本開示の収納装置1では、制御ユニット200の制御によって、以下のような効果が得られる。すなわち、内部霜取り運転状態の第1運転状態では、冷却機構101が停止した状態で、ドレンパンヒータ105およびファンケースヒータ109が動作するため、ドレンパン104および送風ファン108が凍結してしまう事態が好適に防止される。
【0064】
また、第2運転状態では、冷却機構101が停止した状態で、霜取りヒータ102および送風ファン108が動作するため、冷却機構101付近の霜取り、および、収納装置1の筐体11内部における、背面流路F1、各収納室S、および側面流路F2等の霜取りを好適に行うことができる。
【0065】
なお、冷蔵庫や冷凍庫等の既知の冷却装置において、冷却機構を停止させるとともに霜取りヒータを動作させる霜取り運転が一般的に行われている。しかしながら、既知の冷却装置における霜取り運転は、主に冷却機構(蒸発器)付近の霜を除去するためのものであるため、送風ファン(クーリングファン)は動作させない。本開示の収納装置1における内部霜取り運転では、送風ファン108を動作させて暖気を収納装置1の内部に循環させるため、冷却機構101付近だけでなく、背面流路F1および側面流路F2等の通風孔、ならびに、各収納室S内部に付着した霜をも好適に除去することができる。
【0066】
また、収納室S内部の温度が所定の第2温度以上となった場合には、制御ユニット200は、収納装置1の運転状態を、収納室S内部の温度を低下させる第3運転状態へ随時移行させる。このため、収納室S内部の温度が過剰に上昇することを防止できる。
【0067】
内部霜取り運転状態は、所定の終了条件が成立するまで継続するため、収納装置1内の各部に付着した霜を、確実に除去することができる。また、終了条件の成立時には通常運転状態へ移行するため、例えば管理者が、操作入力部201に対する操作によって、収納装置1を内部霜取り運転に移行させた後は、管理者による操作がなくても、内部霜取り運転状態が自動的に終了する。このため、管理者が内部霜取り運転状態を終了させる操作を行う必要がなく、利便性が高い。
【0068】
<変形例>
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0069】
(変形例1)
内部霜取り運転状態では、収納室S内部の温度が比較的高温(例えば35℃以上)まで上昇することがあるため、収納室Sの内部に収納対象物が収納されていることは望ましくない。このため、制御ユニット200は、各収納室S内部における収納対象物の有無を検知し、収納対象物が収納されている場合には、例え管理者による所定の操作を受け付けたとしても、内部霜取り運転状態へ移行しないようにしてもよい。
【0070】
収納室S内部における収納対象物の有無を検知する方法としては、以下のような例がある。
【0071】
1つの例として、制御ユニット200が、操作入力部201に対するユーザの操作を監視しておき、全ての収納室Sにおいて、荷物の取り出し操作と、外扉12の施錠とが行われたことが確認できた場合にのみ、管理者による操作に応じて内部霜取り運転状態へ移行させるようにする方法が挙げられる。
【0072】
また、他の例として、各収納室Sの底面等に物品センサを配置しておき、全ての収納室の物品センサが物品を検出していない場合にのみ、制御ユニット200が管理者による操作に応じて内部霜取り運転状態へ移行させるようにする方法が挙げられる。
【0073】
このような動作により、収納室S内部に収納されている要冷蔵物または要冷凍物が、内部霜取り運転による温度上昇によって傷んでしまう事態を防止できる。
【0074】
(変形例2)
上記説明した実施の形態では、制御ユニット200は、管理者の操作に応じて、収納装置1の運転状態を、通常運転状態から内部霜取り運転状態へ移行させていた。しかしながら、制御ユニット200は、通常運転状態から内部霜取り運転状態への移行を、例えば所定の時刻に自動的に行うようにしてもよい。また、他の例として、制御ユニット200がネットワークを介して図示しない管理サーバ等と接続されており、管理サーバの制御によって通常運転状態から内部霜取り運転状態への移行が行われるようにしてもよい。
【0075】
管理サーバは、例えばネットワークを介して複数の収納装置1の制御ユニット200と通信可能に接続されており、複数の収納装置1の動作を制御、または管理可能な構成である。管理サーバは、接続されている複数の収納装置1のうちのいずれか1つ、または複数を内部霜取り運転状態へ移行させることができる。
【0076】
さらに、管理サーバは、例えば複数の収納装置1を設置された地域毎に分け、地域毎に異なる時刻に内部霜取り運転状態への移行を行うようにしてもよい。具体的には、管理サーバは、ある時間帯では、ある地域に設置された収納装置1を内部霜取り運転状態へ移行させ、収納装置1としては使用できない状態とする代わりに、隣接する他の地域においては内部霜取り運転状態へ移行させないようにする。このような制御により、近隣のどの収納装置1も内部霜取り運転のために収納できない、という事態を回避することができる。
【0077】
または、管理サーバは、ある地域に設置された収納装置1がある時間帯において使用される(収納対象物が収納される)ことがあらかじめ分かっている場合、その地域のその時間帯における内部霜取り運転状態への移行を禁止するようにしてもよい。
【0078】
さらに、管理サーバは、ある地域に設置されている複数の収納装置1のうち、同じ時間帯において、一部の収納装置を内部霜取り運転状態へ移行させるとともに、残りの収納装置1は内部霜取り運転状態へ移行させないようにしてもよい。このような制御により、ある地域内のどの収納装置1も内部霜取り運転のために収納できない、という事態を回避することができる。
【0079】
(変形例3)
上記説明した実施の形態では、制御ユニット200は、内部霜取り運転状態を第1運転状態から開始させている。しかしながら、制御ユニット200は、例えば通常運転状態から内部霜取り運転状態へ移行させたとき、内部霜取り運転状態を第2運転状態から開始させてもよい。この場合、制御ユニット200は、冷却機構101の動作を停止させ、送風ファン108、霜取りヒータ102、および底面ドレンヒータ110を動作させるが、ドレンパンヒータ105およびファンケースヒータ109については、動作させないようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示は、要冷蔵物または要冷凍物を収納する収納装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 収納装置
11 筐体
12 外扉
13 内扉
14 機械室
21 背面スリット
22 側面スリット
23 送出口
100 冷却ユニット
101 冷却機構
102 霜取りヒータ
103 霜取り温度センサ
104 ドレンパン
105 ドレンパンヒータ
106 ドレンパイプ
107 ドレンパイプヒータ
108 送風ファン
109 ファンケースヒータ
110 底面ドレンヒータ
200 制御ユニット
201 操作入力部
202 収納室内温度センサ
F1 背面流路
F2 側面流路
S 収納室