(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】蓄電デバイス及び蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/536 20210101AFI20241213BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20241213BHJP
H01M 50/56 20210101ALI20241213BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20241213BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241213BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20241213BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20241213BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20241213BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20241213BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20241213BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M50/545
H01M50/56
H01M50/533
H01M50/342 101
H01M50/566
H01M50/505
H01G11/06
H01G11/74
H01G11/78
(21)【出願番号】P 2023089875
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2018031357の分割
【原出願日】2018-02-23
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 詠子
(72)【発明者】
【氏名】清水 俊明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 東吾
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/088724(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/067510(WO,A1)
【文献】特開2006-156135(JP,A)
【文献】特開2009-266738(JP,A)
【文献】特開2005-285514(JP,A)
【文献】国際公開第01/024206(WO,A1)
【文献】特開2018-014160(JP,A)
【文献】特開2019-153388(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/30-50/392
H01M 50/10-50/198
H01G 11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している巻回体と、
前記巻回体を収容し、底部を有する筒状のケースと、
前記第1巻回端と前記底部との間に位置する集電板と、を備え、
前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが第1溶接部で溶接されており、
前記集電板と前記底部とが前記第1溶接部とは別の第2溶接部で溶接されており、
前記第2溶接部の合計の面積は、前記第1溶接部の合計の面積よりも小さく、
前記底部は、開裂可能な溝を有しており、
前記集電板に貫通孔が設けられており、
前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている、
蓄電デバイス。
【請求項2】
巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している巻回体と、
前記巻回体を収容し、底部を有する筒状のケースと、
前記第1巻回端と前記底部との間に位置する集電板と、を備え、
前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが電気的かつ機械的に接続されており、
前記集電板と前記底部とが電気的に接続されており、
前記底部は、開裂可能な溝を有しており、
前記集電板は、前記巻回軸と重なる位置に設けられた貫通孔を有しており、
前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている、
蓄電デバイス。
【請求項3】
巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している巻回体と、
前記巻回体を収容し、底部を有する筒状のケースと、
前記第1巻回端と前記底部との間に位置する集電板と、を備え、
前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが電気的かつ機械的に接続されており、
前記集電板と前記底部とが電気的に接続されており、
前記底部は、その周囲の厚みよりも厚みが小さい開放部を有し、
前記開放部は、開裂可能な溝を有しており、
前記集電板は、前記巻回軸と重なる位置に設けられた貫通孔を有しており、
前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている、
蓄電デバイス。
【請求項4】
巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している巻回体と、
前記巻回体を収容し、底部を有する筒状のケースと、
前記第1巻回端と前記底部との間に位置する集電板と、を備え、
前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが第1溶接部で溶接されており、
前記集電板と前記底部とが前記第1溶接部とは別の第2溶接部で溶接されており、
前記第2溶接部の合計の面積は、前記第1溶接部の合計の面積よりも小さく、
前記底部は、開裂可能な溝を有しており、
前記底部は、その周囲の厚みよりも厚みが小さい開放部を有し、
前記溝は、前記開放部に設けられており、
前記集電板に貫通孔が設けられており、
前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている、
蓄電デバイス。
【請求項5】
巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している巻回体と、
前記巻回体を収容し、底部を有する筒状のケースと、
前記第1巻回端と前記底部との間に位置する集電板と、を備え、
前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが電気的かつ機械的に接続されており、
前記集電板と前記底部とが電気的に接続されており、
前記底部は、開裂可能な溝を有しており、
前記底部は、その周囲の厚みよりも厚みが小さい開放部を有し、
前記溝は、前記開放部に設けられており、
前記集電板は、前記巻回軸と重なる位置に設けられた貫通孔を有しており、
前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている、
蓄電デバイス。
【請求項6】
前記開放部は交差した複数の溝を有し、
前記巻回軸方向から見て、前記複数の溝の交点と前記貫通孔の位置とが重なっている、
請求項3~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項7】
前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とは第1溶接部で溶接されており、
前記集電板と前記底部とは、前記第1溶接部とは別の第2溶接部で溶接されている、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項8】
前記第2溶接部は、前記底部の前記開放部以外の部分に位置している、
請求項7に記載の蓄電デバイス。
【請求項9】
前記第1溶接部は、前記巻回軸方向から見て、前記第1電極の複数の層にまたがって線状に伸びている、
請求項7又は8に記載の蓄電デバイス。
【請求項10】
前記第2溶接部は、前記巻回軸方向から見て、前記第1溶接部と重ならない位置にある、
請求項7~9のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項11】
前記第2溶接部は、前記巻回軸方向から見て、前記巻回体の巻き方向に沿って延びる線状である、
請求項7~10のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項12】
前記底部において、前記開放部は前記ケースの内側に向かって凹んでいる、
請求項3~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の蓄電デバイスを複数含み、
複数の前記蓄電デバイスは、導電性を有する導電部材によって電気的かつ機械的に接続されている、
蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に蓄電デバイス及び蓄電モジュールに関し、詳細には、ケース内に巻回体が収容された蓄電デバイスと、この蓄電デバイスを複数含む蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻回された正極部材及び負極部材が含まれる巻回体がケース内に収容された蓄電デバイスが知られている。このような蓄電デバイスとして、リチウムイオン電池(LIB:Lithium Ion Battery)等の二次電池、リチウムイオンキャパシタ(LIC:Lithium Ion Capacitor)、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double-Layer Capacitor)等の電気化学デバイスが挙げられる。
【0003】
例えば特許文献1には、捲回された正極、負極及びセパレータを含む電極群が、非水電解液とともに有底ケース内に収容された蓄電デバイスが記載されている。特許文献1の蓄電デバイスでは、正極及び負極に棒状のリードタブが一つずつ接続されている。例えば特許文献2には、捲回された第1電極、第2電極及びセパレータを含むコンデンサ素子が、電解液とともに有底円筒状のケース内に収容されることが記載されている。また特許文献2には、コンデンサ素子の一方の端面に露出した第1電極とケース内面とを、ケース外面からのレーザ溶接によって接続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/130855号
【文献】国際公開第2007/069538号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の蓄電デバイスでは、リードタブのみを介して電力のやりとりが行われるが、リードタブと正極(又は負極)とが接続されている面積(集電面積)が少ないため、蓄電デバイスの抵抗値が大きくなる傾向があった。また特許文献2の接続方法では、ケース内面と電極との集電面積を確保でき、低抵抗化できるものの、ケース内に電極を収容した状態では、ケース内面と電極との接続が困難であった。
【0006】
本開示の目的は、低抵抗化された蓄電デバイスと、それを備える蓄電モジュールとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る蓄電デバイスは、巻回体と、ケースと、集電板と、を備える。前記巻回体は、巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している。前記ケースは、前記巻回体を収容し、底部を有する筒状である。前記集電板は、前記第1巻回端と前記底部との間に位置する。前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが第1溶接部で溶接されている。前記集電板と前記底部とが前記第1溶接部とは別の第2溶接部で溶接されている。前記第2溶接部の合計の面積は、前記第1溶接部の合計の面積よりも小さい。前記底部は、開裂可能な溝を有している。前記集電板に貫通孔が設けられている。前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている。
本開示の一態様に係る蓄電デバイスは、巻回体と、ケースと、集電板と、を備える。前記巻回体は、巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している。前記ケースは、前記巻回体を収容し、底部を有する筒状である。前記集電板は、前記第1巻回端と前記底部との間に位置する。前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが電気的かつ機械的に接続されている。前記集電板と前記底部とが電気的に接続されている。前記底部は、開裂可能な溝を有している。前記集電板は、前記巻回軸と重なる位置に設けられた貫通孔を有している。前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている。
本開示の一態様に係る蓄電デバイスは、巻回体と、ケースと、集電板と、を備える。前記巻回体は、巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している。前記ケースは、前記巻回体を収容し、底部を有する筒状である。前記集電板は、前記第1巻回端と前記底部との間に位置する。前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが電気的かつ機械的に接続されている。前記集電板と前記底部とが電気的に接続されている。前記底部は、その周囲の厚みよりも厚みが小さい開放部を有する。前記開放部は、開裂可能な溝を有している。前記集電板は、貫通孔を有している。前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている。
本開示の一態様に係る蓄電デバイスは、巻回体と、ケースと、集電板と、を備える。前記巻回体は、巻回軸の周囲に巻回された第1電極及び第2電極を含み、前記巻回軸方向の一端に位置する第1巻回端において前記第1電極が露出している。前記ケースは、前記巻回体を収容し、底部を有する筒状である。前記集電板は、前記第1巻回端と前記底部との間に位置する。前記第1巻回端において、前記第1電極と前記集電板とが電気的かつ機械的に接続されている。前記集電板と前記底部とが電気的に接続されている。前記底部は、その周囲の厚みよりも厚みが小さい開放部を有する。前記開放部は、開裂可能な溝を有している。前記集電板は、前記巻回軸と重なる位置に設けられた貫通孔を有している。前記巻回軸方向から見て、前記溝の位置と前記貫通孔の位置とが重なっている。
【0008】
本開示の一態様に係る蓄電モジュールは、前記蓄電デバイスを複数含み、複数の前記蓄電デバイスは、導電性を有する導電部材によって電気的かつ機械的に接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示には、蓄電デバイス及び蓄電モジュールを低抵抗化できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る蓄電デバイスを示す概略の断面図である。
【
図2】
図2Aは、同上の蓄電デバイスが備える巻回体の構成を示す概略の斜視図である。
図2Bは、
図2Aに示す巻回体の概略の底面図である。
【
図3】
図3は、同上の蓄電デバイスが備える集電板を示す概略の平面図である。
【
図4】
図4Aは、同上の蓄電デバイスの一部を拡大した概略の断面図である。
図4Bは、
図4Aに示す蓄電デバイスの概略の底面図である。
図4Cは、
図4Aに示す蓄電デバイスの溝が開裂する様子を示す説明図である。
【
図5】
図5Aは、本開示の一実施形態に係る蓄電モジュールを示す概略の断面図である。
図5Bは、
図5Aに示す蓄電モジュールの概略の底面図である。
【
図6】
図6は、変形例の蓄電モジュールが備える集電板を示す概略の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.概要
本実施形態に係る蓄電デバイス1は、
図1及び
図2Aに示すように、巻回体2と、ケース3とを備え、集電板4を更に備える。巻回体2は、巻回軸Xの周囲に巻回された第1電極21及び第2電極22を含み、巻回軸X方向の一端に位置する第1巻回端24において第1電極21が露出している。ケース3は、巻回体2を収容し、底部30を有する筒状である。集電板4は、第1巻回端24における第1電極21と電気的かつ機械的に接続され、かつ、第1巻回端24と底部30との間に位置している。
【0012】
本実施形態の蓄電デバイス1では、第1電極21と電気的に接続されている集電板4を介して電力の授受が行われる。第1巻回端24で露出している第1電極21と集電板4とを電気的に接続することにより、第1電極21と棒状のリードタブとを電気的に接続する場合よりも、集電面積を大きくすることができる。本実施形態では、第1電極21と集電板4との集電面積を大きくすることにより、蓄電デバイス1を低抵抗化することができる。また集電板4と接続した巻回体2をケース3内に収容しているため、ケース3と巻回体2とを直接接続する場合よりも、接続が容易である。
【0013】
2.詳細
以下、本実施形態に係る蓄電デバイス1、及び蓄電デバイス1を含む蓄電モジュールを、
図1から
図5を参照しながら詳細に説明する。蓄電デバイス1は、上述の通り、巻回体2と、ケース3と、集電板4とを備える。
【0014】
2-1.巻回体
図2Aに示すように、巻回体2は、第1電極21、第2電極22、及びセパレータ23を含む。
【0015】
第1電極21は、例えば、導電性のシート材である。シート材の例には、金属箔、金属多孔体、パンチングメタルが含まれる。シート材の厚みは、第1電極21を巻回できれば、特に限定されない。このため、第1電極21は、板状であってもよく、フィルム状であってもよい。第1電極21の材質の例には、銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼が含まれる。第1電極21は、例えば、銅箔である。
【0016】
本実施形態の第1電極21は、その両面に正極材料層210が担持されている。正極材料層は、正極活物質を含む。正極活物質は、導電性高分子を含む繊維状又は粒塊状の内芯部と、内芯部の少なくとも一部を覆う繊維状又は粒塊状の表層部と、を有する。
【0017】
本実施形態では、
図2Aに示すように、第1電極21の第1巻回端24付近においては、第1電極21が正極材料層210を担持しないことが好ましい。これにより、第1巻回端24において、第1電極21を露出させることができる。
【0018】
第2電極22は、例えば、導電性のシート材である。シート材の例には、金属箔、金属多孔体、パンチングメタルが含まれる。シート材の厚みは、第2電極22を巻回できれば、特に限定されない。このため、第2電極22は、板状であってもよく、フィルム状であってもよい。第2電極22の材質の例には、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタンが含まれる。第2電極22は、例えばアルミニウム箔である。
【0019】
本実施形態の第2電極22は、その表面に負極材料層220が担持されてている。負極材料層220は、負極活物質を含む。負極活物質は、例えば、リチウムイオンの吸蔵及び放出を伴う酸化還元反応が進行する物質である。負極活物質の具体例には、炭素材料、金属化合物、合金又はセラミックス材料が含まれる。本実施形態では、巻回体2の巻回軸X方向の他端に位置する第2巻回端25付近において、第2電極22が負極材料層220を担持しない。これにより、第2巻回端25において、第2電極22を露出させることができる。
【0020】
セパレータ23は、例えば、セルロース繊維製の不織布、ガラス繊維製の不織布、ポリオレフィン製の微多孔膜、織布、不織布である。本実施形態のセパレータ23は、第1セパレータ230及び第2セパレータ231を含む。第1セパレータ230と第2セパレータ231は、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
【0021】
本実施形態の巻回体2では、第1電極21、第1セパレータ230、第2電極22、及び第2セパレータ231がこの順に重ねられ、これらが巻回軸Xの周囲に巻かれている。第1電極21、第1セパレータ230、第2電極22、及び第2セパレータ231は、1回のみ捲かれていてもよいが、2回以上巻かれていることが好ましい。本実施形態では、第2電極22、第1セパレータ230、第1電極21、及び第2セパレータ231が円筒状に巻かれ、巻回体2が円筒状であるが、これに限定されない。例えば第2電極22、第1セパレータ230、第1電極21、及び第2セパレータ231が、巻回軸Xの周囲に長方形状に巻かれ、巻回体2が長方形状であってもよい。なお、巻回軸Xは、第1電極21、第1セパレータ230、第2電極22、及び第2セパレータ231を巻回する際の仮想の中心軸である。
【0022】
本実施形態では、
図2Aに示すように、巻回体2の外周面26に第2セパレータ231が設けられている。また
図2Bに示すように、巻回軸X方向の一端に位置する第1巻回端24では、第1電極21が露出し、かつ、第1電極21の層が複数形成されている。また巻回軸X方向の他端に位置する第2巻回端25では、第2電極22が露出している。第2電極22は、後述の端子盤27が電気的に接続される。。
【0023】
2-2.集電板
集電板4は、導電性の板状の部材である。集電板4は、例えば金属製である。集電板の材質の例にはアルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス等が含まれる。集電板4の厚みは、例えば、0.3mmから0.5mmの範囲内であることが好ましく、0.35mmから0.45mmの範囲内であることがより好ましい。この場合、集電板4の強度と加工性とを両立させることができる。
【0024】
集電板4の平面視の形状は、第1巻回端24の平面視の形状に応じて設計される。本実施形態では、第1巻回端24の平面視の形状が円状であるため、集電板4の平面視の形状も円状であることが好ましい(
図3参照)。集電板4の表面積は、第1巻回端24の表面積と同じであるか、第1巻回端24の表面積よりも大きいことが好ましい。この場合、第1巻回端24の表面における第1電極21と集電板4とを、電気的かつ機械的に接続しやすい。また後述するように、集電板4とケース3の底部30とを溶接する場合に、集電板4と底部30とが接続する面積を大きくすることができる。集電板4は、第1巻回端24において露出した第1電極21と電気的かつ機械的に接続されている。集電板4と第1電極21との接続方法の例には、はんだ、銀ペースト等を用いたろう付け、レーザ溶接等が含まれる。本実施形態では、集電板4と第1電極21とは、レーザ溶接によって接続することが好ましい。
【0025】
本実施形態では、第1巻回端24において、第1電極21と集電板4とは第1溶接部41で電気的かつ機械的に接続されている。集電板4と第1電極21とをレーザ溶接によって接続している場合には、第1溶接部41はレーザ溶接の溶接痕に対応する。
図3では、第1電極21の複数の層が点線で示されている。本実施形態では、
図3に示すように、第1溶接部41は、巻回軸X方向の一方から見て、第1電極21の複数の層にまたがって線状に延びていることが好ましい。換言すると、第1溶接部41は、巻回軸X方向の一方からみて、第1巻回端24の外周部から中心部へ(或いは中心部から外周部へ)向かう線状であることが好ましい。この場合、集電板4と第1電極21とが溶接されている箇所を多くすることができ、集電板4と第1電極21とが接続されている面積(集電面積)が大きくなる。このため、蓄電デバイス1の抵抗値を低くすることができる。さらに集電板4と第1電極21とを機械的に強固に接続することができる。すなわち集電板4と第1電極21との溶接強度を向上させることができる。また第1溶接部41が第1電極21の複数の層にまたがる線状に伸びていることにより、第1電極21の複数の層に沿って集電板4と第1電極21とを溶接する場合よりも、集電板4と第1電極21とを容易に溶接することができる。また集電板4には、複数の第1溶接部41が設けられることが好ましい。この場合、集電板4と第1電極21とが接続されている面積(集電面積)を大きくすることができるため、集電板4と第1電極21と機械的により強固に接続することができ、かつ、蓄電デバイス1をより低抵抗化することができる。集電板4における第1溶接部41の数は特に限定されないが、本実施形態の集電板4には、
図3に示すように、3つの第1溶接部41が設けられている。
【0026】
本実施形態の集電板4には、貫通孔40が設けられている。蓄電デバイス1が充放電を繰り返すことによって、蓄電デバイス1内でガスが発生した場合には、このガスを貫通孔40に導くことができる。貫通孔40の直径は、1mmから10mmの範囲内であることが好ましい。この場合、蓄電デバイス1内で発生したガスを貫通孔40に導きやすい。貫通孔40の位置は、特に限定されないが、平面視で集電板4の中心に設けることが好ましい。貫通孔40は、集電板4における第1溶接部41が設けられていない部分に設けられることが好ましい。換言すると、第1溶接部41は、集電板4における貫通孔40が設けられていない部分に設けることが好ましい。
【0027】
本実施形態の集電板4には、外周部に切欠き42が設けられている。後述のケース3内に巻回体2及び集電板4を挿入する際、切欠き42によって、ケース3内での集電板4の向きを把握することができる。これにより、ケース3内で第1溶接部41がどの向きにあるかを容易に把握することができる。切欠き42の形状は、特に限定されず、
図3に示すように半円状であってもよく、三角形状であってもよく、四角形状であってもよく、線状であってもよい。
【0028】
2-3.ケース
図4Aに示すように、ケース3は有底の筒状である。具体的には、ケース3は、底部30と、底部30から巻回軸X方向に沿って立ち上がる側壁部31とを備える。底部30の厚みは、特に限定されない。底部30厚みは、一定であってもよく、部分的に異なっていてもよい。ケース3の材質の例にはアルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス等が含まれる。ケース3の材質は、導電性及び加工性を確保するため、アルミニウムであることが好ましい。ケース3の形状及び大きさは、巻回体2及び集電板4を収容可能であれば特に限定されない。巻回体2及び集電板4がケース3内に収容された状態では、集電板4が、巻回体2の第1巻回端24と底部30との間に位置している。
【0029】
本実施形態では、集電板4と底部30とが電気的に接続されていることが好ましい。集電板4は巻回体2の第1電極21と電気的に接続されているため、集電板4と底部30とを電気的に接続することにより、集電板4を介して、底部30と第1電極21とを電気的に接続することができる。集電板4と底部30との電気的な接続は、リード線、銅線、編組線等の線材を使用してもよく、はんだ、銀ぺースト等を用いたろう付け、レーザ溶接等の溶接によって行ってもよい。
【0030】
本実施形態では、集電板4と底部30とが機械的に接続されていることが好ましい。集電板4は巻回体2の第1電極21と機械的に接続されているため、集電板4と底部30とを機械的に接続することにより、集電板4を介して、底部30と第1電極21とを機械的に接続することができる。すなわち、巻回体2及び集電板4がケース3内に収容された状態で、巻回体2及び集電板4をケース3内に固定することができる。集電板4と底部30との機械的な接続は、接着剤、ねじ止め、かしめ等で行われてもよく、はんだ、銀ペースト等を用いたろう付け、レーザ溶接等の溶接によって行われてもよい。
【0031】
本実施形態では特に、集電板4と底部30とが電気的かつ機械的に接続されていることが好ましい。具体的には、
図4Bに示すように、集電板4と底部30とは、第1溶接部41とは別の第2溶接部34で電気的かつ機械的に接続することが好ましい。集電板4と底部30とを電気的かつ機械的に接続する方法としては、はんだ、銀ぺースト等を用いたろう付け、レーザ溶接等の溶接が特に好ましい。この場合、集電板4と底部30との電気的な接続と、機械的な接続を同時に行うことができる。集電板4と底部30とをレーザ溶接によって接続している場合には、第2溶接部34はレーザー溶接の溶接痕に対応する。
図4Bでは、第1電極21、集電板4、及び第1溶接部41が点線で示されている。本実施形態では、第2溶接部34は、巻回軸X方向の一方から見て、第1溶接部41と重ならない位置にあることが好ましい。第2溶接部34が第1溶接部41と重なる位置にあると、集電板4と底部30との接続強度が低下することがある。これに対して、第2溶接部34が第1溶接部41と重ならない位置にあることにより、集電板4と底部30とを強固に接続することができる。例えば、集電板4と底部30とをレーザ溶接する際には、集電板4に設けられた切欠き42の位置に基づいて、巻回軸X方向の一方から見た第1溶接部41の位置を推定し、第1溶接部41と重ならないように集電板4と底部30とを溶接する。また底部30には、複数の第2溶接部34が設けられることが好ましい。この場合、底部30と集電板4とが接続されている面積が大きくなるため、底部30と集電板4とをより強固に接続することができる。
【0032】
第2溶接部34の形状は、巻回軸X方向から見て、第1溶接部41と重なっていなければ、任意の形状であってよい。特に本実施形態では、第2溶接部34が、巻回軸X方向の一方から見て、巻回体2の巻き方向に沿って延びる線状であることが好ましい。換言すると、第2溶接部34は、第1電極21の巻き方向に沿って延びる線状であることが好ましい。第1溶接部41は、第1電極21の複数の層にまたがる線状であるため、第2溶接部34が巻回体2の巻き方向に沿って延びる線状であることにより、第1溶接部41を避けつつ、集電板4と底部30との溶接面積を確保することができる。また本実施形態では、第2溶接部34の合計の面積は、第1溶接部41の合計の面積よりも小さいことが好ましい。すなわち、集電板4と底部30との溶接面積が、第1電極21と集電板4との溶接面積よりも、小さいことが好ましい。集電板4が板状の部材であるのに対して、第1電極21は厚みが薄いシート状の部材である。このため、集電板4と底部30と間の単位溶接面積あたりの接続強度の方が、第1電極21と集電板4との間よりも、大きくなる傾向がある。よって、第2溶接部34の合計の面積を第1溶接部41の合計の面積よりも小さして、第1電極21と集電板4との溶接面積を優先的に大きくすることで、第1電極21と集電板4との接続強度を確保しやすくできる。本実施形態の底部30は、開裂可能な溝350を有する開放部35を含むことが好ましい。すなわち開放部35は、底部30における溝350を含む領域である。蓄電デバイス1が充放電を繰り返すことで蓄電デバイス1内でガスで発生した場合に、
図4Cに示すように溝350が開裂することで、このガスを放出させることができる。
図4Cにおいては、ガスの流れを矢印で示している。第1巻回端24で露出した第1電極21と底部30とを直接接続する場合には、第1電極21と底部30との溶接部の領域を確保する必要があるため、底部30に開放部35を設けることは困難である。これに対して本実施形態の蓄電デバイス1では、第1巻回端24で露出した第1電極21と集電板4とを接続し、かつ集電板4と底部30とを接続しているため、底部30に開放部35を設けやすい。
【0033】
本実施形態では、底部30における開放部35の厚みは、底部30における開放部35以外の部分の厚みよりも小さいことが好ましい。換言すると、底部30における開放部35以外の部分の厚みは、底部30における開放部35の厚みよりも大きいことが好ましい。この場合、開放部35が有する溝350を開裂し易くすることができ、蓄電デバイス1内でガスが発生した場合に、このガスをより放出させやすくできる。また蓄電デバイス1内でガスが発生した場合に、ガスの圧力によって、底部30における開放部35以外の部分が変形することを抑制することができる。
【0034】
また本実施形態では、底部30において、第2溶接部34は開放部35以外の部分に位置していることが好ましい。開放部35に第2溶接部34が位置していると、蓄電デバイス1内で発生したガスの圧力で溝350が開裂した場合に、集電板4と底部30との接続が外れることがある。これに対して、第2溶接部34が開放部35以外の部分に位置していることにより、ガスの圧力で溝350が開裂した場合に、第2溶接部34における集電板4と底部30との接続が外れることを抑制することができる。
【0035】
本実施形態では、底部30における開放部35の厚みが、底部30における開放部35以外の部分の厚みよりも小さく、かつ、底部30における開放部35以外の部分に第2溶接部34が位置していることが特に好ましい。この場合、第2溶接部34における集電板4と底部30との接続が外れることを特に抑制することができる。
【0036】
また本実施形態では、開放部35が、ケース3の内側に向かって凹んでいることが好ましい。換言すると、底部30に設けられた凹部内に開放部35が設けられることが好ましい。この場合、底部30に設けられた凹部内で溝350が開裂することができる(
図5C参照)。すなわち、底部30に設けられた凹部によって、溝350が開裂するための空間を確保することができる。
【0037】
また本実施形態では、開放部35の位置と貫通孔40の位置とは、巻回軸X方向の一方から見て、重なっていることが好ましい。この場合、蓄電デバイス1内で発生して貫通孔40に導かれたガスを、開放部35から放出させやすくすることができる(
図4C参照)。このため、蓄電デバイス1の充放電の繰り返しで発生したガスを、開放部35から効率よく放出できる。
【0038】
また本実施形態では、溝350が開裂しやすいように、開放部35は、交差した複数の溝350を有することが好ましい。換言すると、開放部35が複数の溝350を有し、かつ、開放部35が複数の溝350が交わる交点があることが好ましい。本実施形態では、複数の溝350が「+」状に交差しているが(
図4B参照)、複数の溝350の形状は特に限定されない。また複数の溝350の交点と、貫通孔40の位置とは、巻回軸X方向の一方から見て、重なっていることが好ましい。この場合、蓄電デバイス1内で発生して貫通孔40に導かれたガスによって、溝350を開裂しやすくできる(
図4C参照)。このため、蓄電デバイス1の充放電の繰り返しで発生したガスを、開放部35から特に効率よく放出できる。
【0039】
本実施形態のケース3は、底部30と対向する開口部32を備える(
図1参照)。開口部32の近傍は、内側に向かって絞り加工されている。また本実施形態のケース3では、開口部32を塞ぐ封口体33が設けられている。開口部32の縁は、封口体33をかしめるようにカール加工されている。封口体33は、例えばゴム成分を含む弾性材料製である。
【0040】
図1Aに示すように、封口体33と巻回体2との間には、端子板27が設けられている。端子板27は板状の部材である。端子板27の材質は、導電性の金属であり、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレスである。端子板27は、巻回体2側の面に設けられた接続部271と、封口体33側の面に設けられた外部端子部270とを含む。本実施形態では、巻回体2の第2巻回端25において第2電極22が露出しており、この第2電極22と接続部271とが電気的に接続されている。これにより、第2電極22と端子板27とを電気的に接続することができる。また外部端子部271は、封口体33を貫通し、かつ、その先端が外部に露出している。すなわち外部端子部271によって、第2電極22と接続された端子板27を、外部に露出させることができる。
【0041】
2-4.蓄電デバイス
本実施形態の蓄電デバイス1は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0042】
まず、巻回体2の第1巻回端24において露出した第1電極21と、集電板4とを、レーザ溶接によって、電気的かつ機械的に接続する。次に、ケース3の開口部32からケース3内に、巻回体2及び集電板4を挿入する。次に、ケース3の底部30と集電板4とをレーザ溶接によって、電気的かつ機械的に接続する。次に、ケース3内に非水電解液を供給する。この非水電解液は、リチウムイオンを伝導性を有し、例えば、リチウム塩と、リチウム塩を溶解させる非水溶媒を含む。次に、開口部32を封口体33で塞ぐ。これにより、本実施形態の蓄電デバイス1が製造され得る。
【0043】
2-5.蓄電モジュール
本実施形態の蓄電モジュール100は、
図5A及び
図5Bに示すように、上記蓄電デバイス1を複数含んでいる。蓄電モジュール100には、3つの蓄電デバイス1が含まれている。3つの蓄電モジュール100には、第1蓄電デバイス101、第2蓄電デバイス102、第3蓄電デバイス103が含まれる。なお、蓄電モジュール100に含まれる蓄電デバイス1の数は、2つ以上であれば特に限定されない。複数の蓄電デバイス1は、導電性を有する導電部材110によって、電気的かつ機械的に接続されている。導電部材110は、導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、金属製である。導電部材110の材質の例には、銅、真鍮、アルミニウムが含まれる。導電部材110は、例えばバスバー(bus bar)である。
【0044】
本実施形態の蓄電モジュール100では、第1蓄電デバイス101の底部30と、第2蓄電デバイス102の底部30とが、導電部材110によって、電気的かつ機械的に接続されている。また第2蓄電デバイス102の底部30と、第3蓄電デバイス103の底部30とが、導電部材110によって、電気的かつ機械的に接続されている。底部30は、蓄電デバイス1が備える巻回体2の第1電極21と電気的に接続されていることから、蓄電モジュール100では、各蓄電デバイス1の第1電極21同士を接続している。また図示していないが、各蓄電デバイス1のリード線270同士を接続することが好ましい。リード線270は蓄電デバイス1が備える巻回体2の第2電極22と電気的に接続されている。このため、各蓄電デバイス1のリード線270同士を接続することにより、各蓄電デバイス1の第2電極22同士を接続することができる。この場合、蓄電モジュール100では、第1蓄電デバイス101、第2蓄電デバイス102、及び第3蓄電デバイス103が、並列に接続することができる。
【0045】
底部30と導電部材110との接続方法の例には、はんだ、銀ペースト等を用いたろう付け、レーザ溶接等が含まれる。本実施形態では、底部30と導電部材110とを、レーザ溶接によって接続することが好ましい。例えば、一方の蓄電デバイス1の底部30と導電部材110とをレーザ溶接し、さらに他方の蓄電デバイス1の底部30と導電部材110とをレーザ溶接することにより、二つの蓄電デバイス1を電気的かつ機械的に接続することができる。本実施形態では、底部30における導電部材110との溶接箇所(第3溶接部111)が、巻回軸X方向の一方からみて、第1溶接部41と重ならない位置にあることが好ましい。また第3溶接部111は、巻回軸X方向の一方からみて、第2溶接部34と重ならない位置にあることが好ましい。第3溶接部111と第1溶接部41と重なる位置にある場合、及び第3溶接部111と第2溶接部34と重なる位置にある場合には、、底部30と導電部材110との接続強度が低下することがある、これに対して、第3溶接部111と第1溶接部41とが重ならない位置にあり、また第3溶接部111と第2溶接部34と重ならない位置にあることにより、底部30と導電部材110との接続強度を十分に確保することができる。また第3溶接部111は、底部30における開放部35以外の部分にあることが好ましい。本実施形態では、底部30における開放部35以外の部分の厚みは、開放部35の厚みよりも大きいため、第3溶接部111が底部30における開放部35以外の部分にあることにより、底部30と導電部材110との接続強度を向上させることができる。また本実施形態では、蓄電デバイス1の底部30に導電部材110を設けているため、導電部材110の厚みによっても、開放部35が備える溝350が開裂するための空間を確保することができる。
【0046】
3.変形例
上述の実施形態に係る蓄電デバイス1及び蓄電モジュール100の構成は、あくまで一例である。蓄電デバイス1及び蓄電モジュール100の構成は、上述の実施形態の構成に限定されない。
【0047】
例えば、蓄電デバイス1は、リチウムイオン電池等の二次電池であってもよく、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスであってもよく、その他の電気化学デバイスであってもよい。
【0048】
上述の実施系形態に係る蓄電デバイス1が備える巻回体2では、
図2Aに示すように、第1電極21、セパレータ23、第2電極22、及びセパレータ23がこの順に重ねられているが、これに限定されない。例えば、巻回体2において、第2電極22、セパレータ23、第1電極21、セパレータ23がこの順に重ねられていてもよい。
【0049】
上述の実施形態に係る蓄電デバイス1では、
図3に示すように、第1巻回端24で露出した第1電極21と集電板4とが3つの第1溶接部41で接続されていたが、これに限定されない。例えば、
図6に示す変形例の蓄電デバイス1のように、第1巻回端24で露出した第1電極21と集電板4とが6つの第1溶接部41で接続されていてもよい。これら6つの第1溶接部41は、それぞれ、巻回軸X方向の一方からみて、第1電極21の複数の層にまたがって線状に伸びている。
【0050】
上述の実施形態に係る蓄電デバイス1では、
図4Bに示すように、底部30は、「+」状に交差する複数の溝350を備えているが、これに限定されず、「+」状以外の形状に交差する複数の溝350を備えていてもよい。。
【0051】
上述の実施形態に係る蓄電デバイス1では、
図4Bに示すように、底部30が開放部35を含んでいるが、これに限定されない。例えば、底部30が開放部35を含んでいなくてもよい。この場合、底部30が厚みの大きい部分と厚みが小さい部分とを含まず、底部30の厚みが一定であってもよい。また底部30がケース3の内側に凹んだ部分を有さず、底部30が平坦であってもよい。また集電板4が貫通孔40を有していなくてもよい。また底部30と集電板4との第2溶接部34が、巻回軸X方向の一方から見て、巻回体2の巻き方向に沿って延びる線状でなくてもよい。例えば、第2溶接部34が、巻回軸X方向の一方から見て、第1電極21の複数の層にまたがって線状に伸びていてもよい。
【0052】
4.本開示の概要
第1の態様に係る蓄電デバイス(1)は、巻回体(2)と、ケース(3)とを備え、集電板(4)を更に備える。巻回体(2)は、巻回軸(X)の周囲に巻回された第1電極(21)及び第2電極(22)を含み、巻回軸(X)方向の一端に位置する第1巻回端(24)において第1電極(21)が露出している。ケース(3)は、巻回体(2)を収容し、底部(30)を有する筒状である。集電板(4)は、第1巻回端(24)における第1電極(21)と電気的かつ機械的に接続され、かつ、第1巻回端(24)と底部(30)との間に位置する。
【0053】
この構成によれば、第1巻回端(24)で露出している第1電極(21)と集電板(4)とを電気的に接続しているため、集電面積を大きくすることができる。第1電極(21)と集電板(4)との集電面積を大きくすることにより、蓄電デバイス(1)を低抵抗化することができる。また集電板(4)と接続した巻回体(2)をケース(3)内に収容しているため、ケース(3)と巻回体(2)とを直接接続する場合よりも、容易に接続することができる。
【0054】
第2の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第1の態様において、集電板(4)と底部(30)とが電気的に接続されている。
【0055】
この構成によれば、集電板(4)は巻回体(2)の第1電極(21)と電気的に接続されているため、集電板(4)を介して、底部(30)と第1電極(21)とを電気的に接続することができる。
【0056】
第3の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第1又は第2の態様において、集電板(4)と底部(30)とが機械的に接続されている。
【0057】
この構成によれば、集電板(4)は巻回体(2)の第1電極(21)と機械的に接続されているため、集電板(4)を介して、底部(30)と第1電極(21)とを機械的に接続することができる。
【0058】
第4の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第1から第3のいずれか一の態様において、第1巻回端(24)において、第1電極(21)と集電板(4)とは第1溶接部(41)で電気的かつ機械的に接続されている。第1溶接部(41)は、巻回軸(X)方向の一方から見て、第1電極(21)の複数の層にまたがって線状に伸びている。
【0059】
この構成によれば、集電板(4)と第1電極(21)との溶接箇所を多くすることができるため、蓄電デバイス(1)の抵抗値を低くできる。さらに集電板(4)と第1電極(21)とを機械的に強固に接続できる。さらに、第1電極(21)の複数の層を目視しなくとも、集電板(4)と第1電極(21)とを容易に溶接することができる。
【0060】
第5の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第4の態様において、集電板(4)と底部(30)とは、第1溶接部(41)とは別の第2溶接部(34)で電気的かつ機械的に接続されている。第2溶接部(34)は、巻回軸(X)方向の一方から見て、第1溶接部(41)と重ならない位置にある。
【0061】
この構成によれば、第2溶接部(34)が第1溶接部(41)と重ならない位置にあることにより、集電板(4)と底部(30)とを機械的に強固に接続することができる。
【0062】
第6の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第5の態様において、第2溶接部(34)は、巻回軸(X)方向の一方から見て、巻回体(2)の巻き方向に沿って延びる線状である。
【0063】
この構成によれば、第1溶接部(41)が第1電極(21)の複数の層にまたがる線状であり、第2溶接部(34)が巻回体(2)の巻き方向に沿って延びる線状であるため、第1溶接部(41)を避けつつ、集電板(4)と底部(30)との溶接面積を確保できる。
【0064】
第7の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第1から第6のいずれか一の態様において、底部(30)は、開裂可能な溝(350)を有する開放部(35)を含む。
【0065】
この構成によれば、蓄電デバイス(1)の充放電の繰り返しで発生したガスを、開裂した溝(350)から放出させることができる。
【0066】
第8の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第7の態様において、底部(30)における開放部(35)の厚みは、底部(30)における開放部(35)以外の部分の厚みよりも小さい。
【0067】
この構成によれば、溝(350)開裂し易くでき、蓄電デバイス(1)の充放電の繰り返しで発生したガスを、溝(350)から放出させやすくできる。また蓄電デバイス(1)内で発生したガスの圧力によって、底部(30)における開放部(35)以外の部分が変形することを抑制できる。
【0068】
第9の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第7又は第8の態様において、底部(30)において、第2溶接部(34)は開放部(35)以外の部分に位置している。
【0069】
この構成によれば、蓄電デバイス(1)の充放電の繰り返しで発生したガスの圧力によって溝(350)が開裂した場合に、第2溶接部(34)における集電板(4)と底部(30)との接続が外れることを抑制できる。
【0070】
第10の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第7から第9のいずれか一の態様において、底部(30)において、開放部(35)はケース(3)の内側に向かって凹んでいる。
【0071】
この構成によれば、底部(30)に設けられた凹部内で溝(350)が開裂することができる。すなわち、底部(30)に設けられた凹部によって、溝(350)が開裂するための空間を確保できる。
【0072】
第11の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第7から第10のいずれか一の態様において、集電板(4)に貫通孔(40)が設けられている。
【0073】
この構成によれば、蓄電デバイス(1)の充放電の繰り返しで発生したガスを、貫通孔(40)に導くことができる。
【0074】
第12の態様に係る蓄電デバイス(1)は、第11の態様において、開放部(35)の位置と貫通孔(40)の位置とは、巻回軸(X)方向の一方から見て、重なっている。
【0075】
この構成によれば、蓄電デバイス(1)内で発生して貫通孔(40)に導かれたガスを、開放部(35)から放出させやすくすることができる。このため、蓄電デバイス(1)の充放電の繰り返しで発生したガスを、開放部(35)から効率よく放出できる。
【0076】
第13の態様に係る蓄電モジュール(100)は、第11又は第12の態様において、開放部(35)は交差した複数の溝(350)を有し、複数の溝(350)の交点と、貫通孔(40)の位置とが、巻回軸(X)方向の一方から見て、重なっている。
【0077】
この構成によれば、蓄電デバイス(1)内で発生して貫通孔(40)に導かれたガスで、溝(350)を開裂しやすくできる。このため、蓄電デバイス(1)の充放電の繰り返しで発生したガスを、開放部(35)から特に効率よく放出できる。
【0078】
第14の態様に係る蓄電モジュール(100)は、第1から第13のいずれか一の態様に係る蓄電デバイス(1)を複数含み、複数の蓄電デバイス(1)は、導電性を有する導電部材(110)によって電気的かつ機械的に接続されている。
【0079】
この構成によれば、蓄電モジュール(100)に含まれる複数の蓄電デバイス(1)はが低抵抗化されているため、蓄電モジュール(100)も低抵抗化することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 蓄電デバイス
2 巻回体
21 第1電極
22 第2電極
24 第1巻回端
3 ケース
30 底部
4 集電板
X 巻回軸