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▶ 株式会社ペアライドプランニング&デザインの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】幼児座席カバー用サンシェード
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/28 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
B62J1/28 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020107247
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2021004027
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2019118331
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519232426
【氏名又は名称】株式会社ペアライドプランニング&デザイン
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 貞明
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6173725(US,B1)
【文献】特開2016-199087(JP,A)
【文献】特開2014-24517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00,19/00,
B62B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁に弾性変形可能な枠部が設けられた一対の側面用シートと、前記一対の側面用シートの外周縁に接続され、自転車に設置される幼児座席の上側及び前側に配置される天井用シートと、
を備える、前記幼児座席に取付けられる、幼児座席カバーに、
取り外し可能に取り付けられるサンシェードであって、
前記幼児座席の上側、前側、及び側面を含む前記幼児座席カバーの遮光領域の少なくとも一部を覆うシェード本体と、
前記シェード本体の前端部分に設けられ、かつ、前記シェード本体の前端を前記枠部に固定する前側係合部と、
前記前側係合部よりも前記シェード本体の後側に設けられて前記シェード本体を前記枠部に固定する後側係合部と、
を備え
前記シェード本体は、
前記天井用シートで覆われる部分を覆う天井用シェードと、
前記幼児座席カバーの前記側面用シート側に配置される一対の側面用シェードと
を有し、
前記シェード本体の裏面側には、前記天井用シェードの前側縁部及び後側縁部と、前記側面用シェードの側面縁部とで囲まれた開口を有する幼児座席カバー用サンシェード。
【請求項2】
前記前側係合部又は前記後側係合部には、
基端が前記シェード本体に固定された連結部材と、
前記連結部材の先端に固定されたクリップと
を有する請求項1に記載の幼児座席カバー用サンシェード。
【請求項3】
前記前側係合部又は前記後側係合部は、前記シェード本体の内側に設けられた内側係合部材を備え、
前記内側係合部材は、
前記遮光領域の前記枠部に設けられた外側係合部材に係合可能な構成を有する請求項1に記載の幼児座席カバー用サンシェード。
【請求項4】
前記天井用シェードは、前記天井用シートで覆われる部分の一部を覆う請求項1~3のいずれか1項に記載の幼児座席カバー用サンシェード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児座席カバー用サンシェードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドル及び荷台にそれぞれ幼児座席を設けた3人乗り又は2人乗り自転車が市販されている。この幼児座席に取り付けられる風雨をよけるための幼児座席カバーが開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、一対の側面用シートと、一対の側面用シートの外周縁に接続され、前記幼児座席の上側及び前側に配置される天井用シートとを備え、前記側面用シートの外周縁に弾性変形可能な枠部が設けられている幼児座席カバーが開示されている。
【0003】
また上記のようなカバーにおいて、日除け、害虫や塵埃の侵入を防止するメッシュシートが開示されている(例えば、特許文献2)。特許文献2には、前面部に開閉自在の透明の窓部を有するカバーの、窓部を開放した状態の開口部分を被覆することができるように着脱自在に窓部に装着するメッシュシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-129052号公報
【文献】特開2016-199087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献2の場合、メッシュシートは、窓部が前面にのみ設けられたカバーに適用しているため、側面を覆うようにはなっておらず、また窓部全面を覆う構成となっているため、特許文献1のような幼児座席カバーに適用した場合、必ずしも使い勝手がよいとはいえないという問題があった。
【0006】
本発明は、より使い勝手を向上することができる幼児座席カバー用サンシェードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る幼児座席カバー用サンシェードは、自転車に設置される幼児座席に取り外し可能に取付けられ、一対の側面用シートと、前記一対の側面用シートの外周縁に接続され、前記幼児座席の上側及び前側に配置される天井用シートとを備え、前記一対の側面用シートの外周縁に弾性変形可能な枠部が設けられており、前記枠部は滑らかな閉ループ状に形成されている幼児座席カバーに、取り外し可能に取り付けられるサンシェードであって、前記幼児座席の上側、前側、及び側面を含む前記幼児座席カバーの遮光領域の少なくとも一部を覆うシェード本体と、前記枠部の前記遮光領域内の前記前側から前記上側までの間の2つ以上の位置において、前記シェード本体の前端を固定する第1係合部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、幼児座席カバー用サンシェードは、幼児座席の上側、前側、及び側面を含む遮光領域を覆うことができ、シェード本体の前端を遮光領域内の枠部の任意の位置に固定することによって、開度を調整することができる。したがって、幼児座席カバー用サンシェードは、遮光領域をユーザの所望の範囲に調整することができるので、より使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る幼児座席カバー用サンシェードと、幼児座席カバーを示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る幼児座席カバーの背面側からみた斜視図である。
図3】本実施形態に係る幼児座席カバー用サンシェードの上面図である。
図4】本実施形態に係る幼児座席カバー用サンシェードの取り付け方法を段階的に示す斜視図(1)である。
図5】本実施形態に係る幼児座席カバー用サンシェードの取り付け方法を段階的に示す斜視図(2)である。
図6】本実施形態に係る幼児座席カバー用サンシェードの使用状態(1)を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る幼児座席カバー用サンシェードの第2係合部の取り付け方法を示す斜視図である。
図8】本実施形態に係る幼児座席カバー用サンシェードの使用状態(2)を示す斜視図である。
図9】本実施形態の第1変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードを示す斜視図である。
図10】本実施形態の第1変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの上面図である。
図11】本実施形態の第1変形例に係る幼児座席カバーの背面側からみた斜視図である。
図12】本実施形態の第1変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの取り付け方法を示す斜視図である。
図13】本実施形態の第1変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの使用状態(1)を示す斜視図である。
図14】本実施形態の第1変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの第2係合部の取り付け方法を示す斜視図である。
図15】本実施形態の第1変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの使用状態(2)を示す斜視図である。
図16A】本実施形態の第2変形例に係る前席用の幼児座席カバー用サンシェードを示す斜視図である。
図16B】本実施形態の第2変形例に係る後席用の幼児座席カバー用サンシェードを示す斜視図である。
図17A】本実施形態の第3変形例に係る前席用の幼児座席カバー用サンシェードを示す斜視図である。
図17B】本実施形態の第3変形例に係る後席用の幼児座席カバー用サンシェードを示す斜視図である。
図18】本実施形態の第4変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードを示す斜視図である。
図19】本実施形態の第4変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの上面図である。
図20】本実施形態の第4変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの使用状態を示す斜視図である。
図21】本実施形態の第5変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードを示す斜視図である。
図22】本実施形態の第5変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの上面図である。
図23】本実施形態の第5変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1に示すように、幼児座席カバー用サンシェード(以下、「サンシェード」という)10Aは、幼児座席カバー28Aに取り外し可能に取り付けられる。まず、本実施形態に係るサンシェード10Aを適用することができる幼児座席カバー28Aについて説明する。
【0011】
(幼児座席カバー)
図1に示す幼児座席カバー28Aは、3人乗り自転車の前用幼児座席に取り付けられる前席用カバーである。幼児座席カバー28Aは、一対の側面用シート30と、側面用シート30同士の間に設けられた天井用シート32及び前面下用シート34とを備え、前用幼児座席(図示しない)に被せるように取り付けられる。
【0012】
一対の側面用シート30は、シート本体36と、枠部38と、ハンドル通し窓部40とを有し、左右対称に形成されている。
【0013】
シート本体36は、透明部42と撥水部44とを有し、外周が滑らかな曲線で形成され全体として略楕円形状を有している。透明部42は、透明な防水性材料で形成されている。撥水部44は、撥水処理がされた非透明の防水性材料で形成される。本実施形態において撥水部44は、非透明材料で形成した場合について図示している。
【0014】
本実施形態の場合、シート本体36は、略上半分が透明部42で構成され、残りの略下半分が撥水部44で構成されている。撥水部44は、柔軟性の高い材料で形成されるのが好ましい。
【0015】
透明部42の下端と撥水部44上端は、帯状の接合部46を介して接合されている。接合部46は、一方の側面用シート30の表面を後方端30Rから前方端30Fへ横断し、そのまま所定の間隔を開けて配置された他方の側面用シート30の前方端30Fへ架け渡される。さらに接合部46は、当該他方の側面用シート30の表面を前方端30Fから後方端30Rへ横断するように配置されている。側面用シート30の下端の接合部46を側面接合部46S、天井用シート32の前端の接合部46を前面接合部46Fと呼ぶこととする。側面接合部46Sは、中央部分で透明部に向かって凹となる位置で、二つの直線が交わる輪郭を有する。
【0016】
シート本体36は、外周縁全体に帯状リボン39が設けられている。帯状リボン39内には、枠部38が挿入されている。枠部38は弾性変形可能な線材で構成されている。この枠部38によりシート本体36は平面形状が保持される。
【0017】
天井用シート32は、透明部42と同じシート材で形成されている。天井用シート32は、略長方形状を有しており、長辺の中央部の幅は、両端に比べ短くなるように形成されている。天井用シート32の長辺は、天井用ファスナー48を介して透明部42の外縁である枠部38にそれぞれ接続されている。天井用ファスナー48は、特に限定されないが、例えばスライドファスナーを用いることができる。天井用ファスナー48を開くことによって、一対の側面用シート30間に広い開口29が形成される。
【0018】
図1に示す幼児座席カバー28Aにおいて、透明のシート材で形成された部分、すなわち、接合部46を挟んで上側である、天井用シート32で覆われる部分、及び透明部42を含む領域を遮光領域と称する。
【0019】
図2に示すように、幼児座席カバー28Aの後方側に、天井用シート32の短辺に平行な間隔保持部としてのテンションバー35が取り外し可能に設けられている。テンションバー35は、硬質樹脂で形成された棒状の部材であって、一対の側面用シート30の間隔を一定に保持する。テンションバー35は、両端にそれぞれスナップボタン37が設けられており、一対の側面用シート30の枠部38にそれぞれ設けられたスナップボタン41にそれぞれ係合することによって、一対の側面用シート30間に固定される。
【0020】
(サンシェード)
次に本実施形態に係るサンシェード10Aについて説明する。図1に示すサンシェード10Aは、シェード本体12と、第1係合部としての前側係合部14と、第2係合部18とを備える。第1係合部は、前側係合部14に加え、さらに後側係合部16を有するのが好ましい。
【0021】
シェード本体12は、多数の貫通穴を有するメッシュシートや織布を用いることができる。シェード本体12の材質は、ポリエステルやナイロンを用いることができる。シェード本体12は、一対の側面用シェード20と、天井用シェード22とを有する。側面用シェード20は、透明部42に対応した平面形状であって、左右に2分割した楕円を倒した形状を有している。側面用シェード20の下端の側面縁部24は、側面接合部46Sに沿った形状を有している。すなわち側面用シェード20の側面縁部24は、中央部分で内面に向かって凹となる位置で、二つの直線が交わる輪郭を有する。
【0022】
天井用シェード22は、略長方形状であり、図3に示すように中央部の幅は、両端の幅に比べ短くなるように形成されている。側面用シェード20と天井用シェード22は、天井用シェード22のそれぞれの長辺に側面用シェード20の側面縁部24を除く湾曲した周縁を接合して、一体化されている。天井用シェード22の前端である前側縁部25及び後端である後側縁部27は、側面用シェード20の側面縁部24と一体に形成されている(図1)。シェード本体12の裏面側は、天井用シェード22の前側縁部25及び後側縁部27と、側面用シェード20の側面縁部24とで囲まれた開口を有する。前側縁部25、後側縁部27、及び側面縁部24は、ゴム紐などの弾性部材が環状に設けられ、上記開口に対して内側に収縮するように形成されてもよい。
【0023】
前側係合部14及び後側係合部16は、シェード本体12に固定される位置が異なるのみで、構成は同じであるため、前側係合部14について説明する。すなわち前側係合部14は、シェード本体12の前端部分に固定されており、後側係合部16は、シェード本体12の上端部分に固定されている。
【0024】
前側係合部14は、連結部材13と、連結部材13に固定されたクリップ15とを有する。連結部材13は、布、革、ビニールなどを細長く形成した紐状部材を用いることができる。クリップ15は、例えば洗濯バサミのように挟んで保持するものである。クリップ15は、一対のアーム部と、一対のアーム部同士を連結する軸部と、一対のアーム部の先端同士が接する方向に力を加えるばね部とを有する。一対のアーム部の少なくとも一方は、基端に貫通穴が形成されている。一対のアームに対し基端同士を接する方向に力を加えることによって先端を開き、当該力を解放して先端を閉じることによって、クリップ15は、先端で枠部38を挟むことができる。
【0025】
前側係合部14は、一対のアーム部の貫通穴の1つに連結部材13の一端を通し、連結部材13の両端を基端として、当該基端をシェード本体12に固定している。クリップ15は、連結部材13の先端に保持される。前側係合部14は、シェード本体12の前側縁部25と側面縁部24の境界部分に1個ずつ(合計2個)固定されている。後側係合部16は、側面用シェード20と天井用シェード22の接合箇所であって、シェード本体12の後方頂部の外側にそれぞれ1個ずつ(合計2個)固定されている。
【0026】
第2係合部18は、連結部材13と同様の紐状部材からなる。第2係合部18は、リング状に配したあとの両端がシェード本体12に固定されている。第2係合部18は、側面用シェード20と天井用シェード22の接合箇所であって、シェード本体12の後方側部の内側にそれぞれ1個ずつ(合計2個)固定されている。
【0027】
(取り付け方法)
次に上記のように構成されたサンシェード10Aの取り付け方法について説明する。なお、以下に示す取り付け方法は、本発明の一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。まず幼児座席カバー28Aの天井用シート32は天井用ファスナー48を予め開き、開口29を広く開放しておく。
【0028】
次いで、サンシェード10Aは、前側を幼児座席カバー28Aの前面に配置すると共に、側面用シェード20を、幼児座席カバー28Aの側面用シート30側に配置した状態で、幼児座席カバー28Aに対し上方に配置(図4)し、幼児座席カバー28Aに被せる(図5)。
【0029】
次いで、後側係合部16をシェード本体12の外側から枠部38と共に挟んで、シェード本体12を枠部38に固定する。その後、枠部38に固定された後側係合部16を支点として、前側係合部14を下方へ引っ張りながら前側の枠部38に固定する(図6)。前側係合部14は、シェード本体12の前部を、枠部38の前端すなわち遮光領域の下端の位置に合わせて、固定する。後側係合部16は、側面用シート30の上部に位置する枠部38にクリップ15を係合することによって、シェード本体12の頂部を固定する。
【0030】
続いて、図7に示すように、サンシェード10Aの後側縁部27を捲り上げ、テンションバー35の一方のスナップボタンを外し、当該テンションバー35に第2係合部18を通し、再度テンションバー35をスナップボタンに係合して、第2係合部18をテンションバー35に固定する。第2係合部18をテンションバー35に固定した後、後側縁部27を下ろす。このようにテンションバー35は、第2係合部18を固定する固定部としても機能する。第2係合部18を支点として、前側係合部14を下方へ引っ張りながら前側の枠部38に固定することもできる。
【0031】
サンシェード10Aの前側縁部25は前面接合部46Fに重なる位置に配置され、サンシェード10Aの側面縁部24は側面接合部46Sと重なる位置に配置される。上記のようにして、サンシェード10Aは、遮光領域を覆う。
【0032】
(作用及び効果)
次に本実施形態に係るサンシェード10Aの作用及び効果を説明する。サンシェード10Aは、天井用シェード22と側面用シェード20とが一体的に形成されているので、開口29、及び透明部42を含む遮光領域を覆うことができる。
【0033】
前側係合部14は、クリップ15で枠部38を挟んでシェード本体12を枠部38に固定するので、枠部38の前側から上側までの間の任意の位置にシェード本体12の前側縁部25を固定することができる。すなわち図8に示すように、サンシェード10Aは、シェード本体12の前側縁部25を遮光領域内の枠部38の任意の位置に固定することができ、これによって開口29の開度を調整することができる。この際、クリップ15は、シェード本体12の任意の位置を挟んで枠部38に固定することができる。特に、クリップ15は、シェード本体12の前側縁部25の位置で挟んで枠部38に固定するのが、シェード本体12の損傷を防ぐことができるので、好ましい。
【0034】
したがって、サンシェード10Aは、遮光領域をユーザの所望の範囲に調整することができるので、より使い勝手を向上することができる。
【0035】
前側係合部14を外してシェード本体12の前側縁部25を捲り上げて開口を形成することによって、子供を幼児座席に対し乗降させることができる。後側係合部16がシェード本体12の上端部分を枠部38に固定していることによって、サンシェード10Aを開く際、シェード本体12が必要以上に捲れ上がることを防止することができる。
【0036】
第2係合部18がテンションバー35に固定されていることによって、前側係合部14及び後側係合部16のクリップ15が枠部38から不意に外れた場合でも、サンシェード10Aは幼児座席カバー28Aに保持される。したがってサンシェード10Aは、幼児座席カバー28Aから不意に脱落することを防止でき、また盗難を抑制することができる。
【0037】
側面用シェード20の下端の側面縁部24が側面接合部46Sに沿った形状を有しているので、サンシェード10Aは、幼児座席カバー28Aの透明部分を効率的に覆うことができるとともに、幼児座席カバー28Aの撥水部と相まって、デザインの統一感を得ることができる。
【0038】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0039】
上記実施形態の場合、サンシェード10Aは、前席用の幼児座席カバー28Aに取り付ける場合について説明したが、本発明はこれに限らず、後席用の幼児座席カバーに取り付けてもよい。本実施形態の第1変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードについて、図1と同じ構成について同じ符号を付した図9を参照して説明する。図9に示すサンシェード10Bは、後席用の幼児座席カバーに対応した形状であり、高さが前席用カバーより高い後席用カバーに合わせて対応した形状となっている。サンシェード10Bは、前側係合部14、後側係合部16、及び第2係合部18が、一対の側面用シェード20と天井用シェード22の接合部に沿ってそれぞれ設けられている。天井用シェード22は、略長方形状であり、図10に示すように中央部の幅は、両端の幅に比べ短くなるように形成されている。
【0040】
図2と同じ構成について同じ符号を付した図11に示すように、後席用の幼児座席カバー28Bは、一対の側面用シート30と、側面用シート30同士の間に設けられた天井用シート32及び前面下用シート34と、テンションバー35とを備える。サンシェード10Bは、前側を幼児座席カバー28Bの前面に配置すると共に、側面用シェード20を、幼児座席カバー28Bの側面用シート30側に配置した状態で、幼児座席カバー28Bに対し上方に配置(図12)し、幼児座席カバー28Bに被せる(図13)。
【0041】
次いで、前側係合部14を前側の枠部38に固定し、後側係合部16をシェード本体12の外側から枠部38と共に挟んで、シェード本体12を枠部38に固定する。続いて、図14に示すように、サンシェード10Bの後側縁部27を捲り上げ、テンションバー35の一方のスナップボタンを外し、当該テンションバー35を第2係合部18に通し、再度テンションバー35をスナップボタンに係合して、第2係合部18をテンションバー35に固定する。第2係合部18をテンションバー35に固定した後、後側縁部27を下ろす。
【0042】
上記のようにして、サンシェード10Bは、遮光領域を覆うと共に、図15に示すように、シェード本体12の前側縁部25を遮光領域内の枠部38の任意の位置に固定して、開度を調整することができる。
【0043】
上記実施形態の場合、前側係合部14及び後側係合部16は、連結部材13と、連結部材13に固定されたクリップ15とを有する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。本実施形態の第2変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードについて説明する。図16Aに示すサンシェード10Cは、前席用の幼児座席カバー28A用であって、シェード本体12の内側に前側係合部50A及び後側係合部52Aが設けられている。前側係合部50A及び後側係合部52Aは、内側係合部材としてのスナップボタンである。図示しないが、幼児座席カバー28Aの対応した位置に、前側係合部50A及び後側係合部52Aに対応した外側係合部材としてのスナップボタンが設けられている。特に、前側係合部50Aに対応したスナップボタンは、枠部の前端、すなわち遮光領域の下端の位置に加え、遮光領域内の枠部に1箇所以上設けられている。前側係合部50Aを枠部の前端に設けられたスナップボタンに固定することによって、サンシェード10Cは遮光領域全体を覆うことができる。前側係合部50Aを遮光領域内の枠部の適所に配置されたスナップボタンに固定することによって、サンシェード10Cは遮光領域の開度を調整することができる。図16Bに示すように、後席用の幼児座席カバー28B用のサンシェード10Dにおいても、前側係合部50A及び後側係合部52Aを設けることとしてもよい。
【0044】
本実施形態の第3変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードについて説明する。図17Aに示すサンシェード10Eは、前席用の幼児座席カバー28A用である。シェード本体12の内側に設けられた前側係合部50B及び後側係合部52Bは、内側係合部材としての面ファスナーである。図示しないが、幼児座席カバー28Aの対応した位置に、前側係合部50B及び後側係合部52Bに対応した外側係合部材としての面ファスナーが設けられている。特に、前側係合部50Bに対応した面ファスナーは、枠部の前端、すなわち遮光領域の下端の位置に加え、遮光領域内の枠部に1箇所以上設けられている。サンシェード10Eは遮光領域全体を覆うことができると共に、遮光領域内の枠部の適所に配置された面ファスナーに固定することによって、遮光領域の開度を調整することができる。図17Bに示すように、後席用の幼児座席カバー28B用のサンシェード10Fにおいても、前側係合部50B及び後側係合部52Bを設けることとしてもよい。面ファスナーは、遮光領域の枠部38の全体に設けてもよい。遮光領域の全体に面ファスナーを設けることによって、遮光領域の開度をより細かく設定することができる。
【0045】
上記実施形態の場合、サンシェード10Aのシェード本体12により、枠部38の遮光領域内の前側から上側までの領域の全部を覆う場合について説明したが、本発明はこれに限らない。シェード本体12は、枠部38の遮光領域内の前側から上側までの領域の一部を覆うように構成してもよい。本実施形態の第4変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードについて、図1と同じ構成について同じ符号を付した図18を参照して説明する。
【0046】
図18に示すように、サンシェード10Gは、前席用の幼児座席カバー28A用である。サンシェード10Gは、前席用の幼児座席カバー28Aに取り付ける場合に限らず、後席用の幼児座席カバー28B(図11)に対応した形状とすることにより、幼児座席カバー28Bに取り付けることが可能である。サンシェード10Gのシェード本体12は、枠部38の遮光領域内の前側から上側までの領域の一部を覆うように構成されている。「遮光領域内の前側から上側までの領域」とは、天井用シート32で覆われる部分、すなわち開口29のことである。この例では、シェード本体12は、開口29の前方部分を開放し、開口29の後方部分を覆う。ここで、幼児座席カバー28Aの側面用シート30を構成するシート本体36のうち、前方頂部と上方頂部との間の中央部の位置をP1とした場合、開口29全体のうち、位置P1よりも前方側の一部分が「開口29の前方部分」であり、位置P1よりも後方側の一部分が「開口29の後方部分」である。
【0047】
サンシェード10Gの側面用シェード20は、遮光領域を構成する透明部42の一部を覆うように構成されている。この例では、側面用シェード20は、透明部42の前方部分を開放し、透明部42の後方部分を覆う(図20)。ここで、透明部42の下端に配されている側面接合部46Sのうち、透明部42に向かって凹となる位置をP2とした場合、透明部42全体のうち、位置P1と位置P2とを含むように延びる直線よりも前方側の一部分が「透明部42の前方部分」であり、位置P1と位置P2とを含むように延びる直線よりも後方側の一部分が「透明部42の後方部分」である。
【0048】
側面用シェード20は、略扇形状を有している。側面用シェード20の側面縁部24は、円弧部の両端を接続する2つの直線部で構成されている。側面縁部24を構成する2つの直線部のうち後方の直線部は、側面接合部46Sの後方部分と重なる位置に配置される(図20)。側面接合部46S全体のうち、位置P2よりも後方側の一部分が「側面接合部46Sの後方部分」である。
【0049】
サンシェード10Gの天井用シェード22は、遮光領域を構成する開口29の一部を覆うように構成されている。この例では、天井用シェード22は、開口29の前方部分を開放し、開口29の後方部分を覆う。天井用シェード22の前端である前側縁部25及び後端である後側縁部27は、側面用シェード20の側面縁部24と一体に形成されている。
【0050】
図19に示すように、天井用シェード22は、略長方形状であり、中央部の幅が両端の幅に比べ短くなるように形成されている。
【0051】
図20に示すように、サンシェード10Gは、幼児座席カバー28Aに取り付けられる。図20は、サンシェード10Gの使用状態を示す斜視図である。天井用シェード22の前側縁部25は、枠部38の遮光領域内の前側から上側までの任意の位置に配される。図20では、前側縁部25は、シェード本体12の前方頂部と後方頂部との略中央部分に配置されている。サンシェード10Gを幼児座席カバー28Aに取り付けることにより、遮光領域のうち、開口29の前方部分が開放され、開口29の後方部分が天井用シェード22で覆われる。また、遮光領域のうち、透明部42の前方部分が開放され、透明部42の後方部分が側面用シェード20で覆われる。このように、サンシェード10Gのシェード本体12は、遮光領域の後方部分のみを覆うように構成されている。
【0052】
サンシェード10Gの取り付け方法について説明する。サンシェード10Gは、前側を幼児座席カバー28Aの前面に配置すると共に、側面用シェード20を、幼児座席カバー28Aの側面用シート30側に配置した状態で、幼児座席カバー28Aに対し上方に配置(図18)し、幼児座席カバー28Aに被せる。
【0053】
次いで、前側係合部14を前側の枠部38に固定し、後側係合部16をシェード本体12の外側から枠部38と共に挟んで、シェード本体12を枠部38に固定する。続いて、サンシェード10Gの後側縁部27を捲り上げ、テンションバー35の一方のスナップボタンを外し、当該テンションバー35を第2係合部18に通し、再度テンションバー35をスナップボタンに係合して、第2係合部18をテンションバー35に固定する。第2係合部18をテンションバー35に固定した後、後側縁部27を下ろす(図20)。
【0054】
上記のようにして、サンシェード10Gは、遮光領域内の前側から上側までの領域の一部(開口29の後方部分)及び透明部42の後方部分を覆うと共に、シェード本体12の前側縁部25を遮光領域内の枠部38の任意の位置に固定して、遮光領域の開度を調整することができる。
【0055】
上記実施形態の場合、サンシェード10Aの側面用シェード20により、一対の側面用シート30の略上半分を構成する透明部42を覆い、一対の側面用シート30の略下半分を構成する撥水部44を覆わない場合について説明したが、本発明はこれに限らない。側面用シェード20は、透明部42を覆い、かつ撥水部44を覆うように構成してもよい。本実施形態の第5変形例に係る幼児座席カバー用サンシェードについて図1と同じ構成について同じ符号を付した図21を参照して説明する。
【0056】
図21に示すように、サンシェード10Hは、前席用の幼児座席カバー28A用である。サンシェード10Hは、前席用の幼児座席カバー28Aに取り付ける場合に限らず、後席用の幼児座席カバー28B(図11)に対応した形状とすることにより、幼児座席カバー28Bに取り付けることが可能である。サンシェード10Hのシェード本体12は、サンシェード10Gの場合と同様に、枠部38の遮光領域内の前側から上側までの領域の一部を覆うように構成されており、この例では、開口29の前方部分を開放し、開口29の後方部分を覆う。
【0057】
サンシェード10Hの側面用シェード20は、一対の側面用シート30のうち、遮光領域を構成する透明部42の一部を覆い、かつ撥水部44の一部を覆うように構成されている。この例では、側面用シェード20は、透明部42の前方部分を開放し、透明部42の後方部分、及び撥水部44の後方部分を覆う(図23)。撥水部44全体のうち、位置P1と位置P2とを含むように延びる直線よりも後方側の一部分が「撥水部44の後方部分」である。
【0058】
側面用シェード20は、楕円を短径方向に沿って切断した略半楕円形状を有している。側面用シェード20の側面縁部24は、円弧部の両端を接続する直線部で構成されている。側面縁部24を構成する直線部は、側面接合部46Sの位置P2の近傍を通り、透明部42及び撥水部44の両方と重なる位置に配置される(図23)。
【0059】
サンシェード10Hの天井用シェード22は、サンシェード10Gの場合と同様に、遮光領域を構成する開口29の一部を覆うように構成されており、この例では、開口29の前方部分を開放し、開口29の後方部分を覆う。天井用シェード22の前端である前側縁部25及び後端である後側縁部27は、側面用シェード20の側面縁部24と一体に形成されている。
【0060】
図22に示すように、天井用シェード22は、略長方形状であり、中央部の幅が両端の幅に比べ短くなるように形成されている。
【0061】
図23に示すように、サンシェード10Hは、幼児座席カバー28Aに取り付けられる。図23は、サンシェード10Hの使用状態を示す斜視図である。天井用シェード22の前側縁部25は、枠部38の遮光領域内の前側から上側までの任意の位置に配置される。図23では、前側縁部25は、シェード本体12の前方頂部と後方頂部との略中央部分に配置されている。サンシェード10Hを幼児座席カバー28Aに取り付けることにより、遮光領域のうち、開口29の前方部分が開放され、開口29の後方部分が天井用シェード22で覆われる。また、遮光領域のうち、透明部42の前方部分が開放され、透明部42の後方部分、及び撥水部44の後方部分が側面用シェード20で覆われる。このように、サンシェード10Hのシェード本体12は、遮光領域の後方部分と撥水部44の後方部分とが含まれた、幼児座席カバー28Aの後ろ半分相当の範囲を覆うように構成されている。
【0062】
サンシェード10Hの取り付け方法について説明する。サンシェード10Hは、前側を幼児座席カバー28Aの前面に配置すると共に、側面用シェード20を、幼児座席カバー28Aの側面用シート30側に配置した状態で、幼児座席カバー28Aに対し上方に配置(図21)し、幼児座席カバー28Aに被せる。
【0063】
次いで、前側係合部14を前側の枠部38に固定し、後側係合部16をシェード本体12の外側から枠部38と共に挟んで、シェード本体12を枠部38に固定する。続いて、サンシェード10Hの後側縁部27を捲り上げ、テンションバー35の一方のスナップボタンを外し、当該テンションバー35を第2係合部18に通し、再度テンションバー35をスナップボタンに係合して、第2係合部18をテンションバー35に固定する。第2係合部18をテンションバー35に固定した後、後側縁部27を下ろす(図23)。
【0064】
上記のようにして、サンシェード10Hは、遮光領域内の前側から上側までの領域の一部(開口29の後方部分)及び透明部42の後方部分に加え、撥水部44の後方部分も覆うと共に、シェード本体12の前側縁部25を遮光領域内の枠部38の任意の位置に固定して、遮光領域の開度を調整することができる。
【0065】
なお、サンシェード10G及びサンシェード10Hは、開口29全体のうち、位置P1よりも後方側の一部分(開口29の後方部分)を覆うように構成されているが、本発明はこれに限らない。例えば、開口29全体のうち、シート本体36の前方頂部と上方頂部との間の任意の位置を特定位置として定め、この特定位置を位置P1の代わりに用い、特定位置よりも後方側の一部分を覆うように構成しても良い。特定位置の設計変更により、遮光領域を覆う範囲を変更することができる。
【0066】
上記実施形態の場合、間隔保持部は棒状の部材である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、板状の部材でもよい。また間隔保持部は、天井用シートの一部に硬質な材料で一体に形成してもよい。
【0067】
上記実施形態の場合、第2係合部は固定部として間隔保持部に固定する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第2係合部は、第1係合部が不意に外れたり、又は第1係合部を係合し忘れたりした場合に、サンシェードが幼児座席カバーから不意に脱落することを防止できれば足りる。例えば、固定部は、リング状の部材やフックとしてもよい。この場合、第2係合部は、固定部に係合可能なリング状の部材やフック、固定部に結び付けられる紐でもよい。
【符号の説明】
【0068】
10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H サンシェード(幼児座席カバー用サンシェード)
12 シェード本体
13 連結部材
14,50A,50B 前側係合部(第1係合部)
15 クリップ
16,52A,52B 後側係合部
18 第2係合部
20 側面用シェード
22 天井用シェード
24 側面縁部
25 前側縁部(前端)
27 後側縁部
28A,28B 幼児座席カバー
29 開口
30 側面用シート
30F 前方端
30R 後方端
32 天井用シート
34 前面下用シート
35 テンションバー(間隔保持部、固定部)
36 シート本体
38 枠部
39 帯状リボン
40 窓部
42 透明部
44 撥水部
46 接合部
46F 前面接合部
46S 側面接合部
48 天井用ファスナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23