(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】フレキシブルダクト用内被体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20241213BHJP
F16L 11/24 20060101ALI20241213BHJP
F16L 11/02 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
F24F13/02 E
F24F13/02 B
F24F13/02 A
F16L11/24
F16L11/02
(21)【出願番号】P 2020182888
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】303020646
【氏名又は名称】タイロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】戸田 隆
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-049401(JP,A)
【文献】特開2006-207638(JP,A)
【文献】特開2003-049981(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0298464(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02713116(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0303276(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0042945(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01729050(EP,A1)
【文献】米国特許第06363764(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0099832(KR,A)
【文献】米国特許第04598739(US,A)
【文献】特開2006-234188(JP,A)
【文献】実開平05-070556(JP,U)
【文献】特開2006-317071(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0120826(KR,A)
【文献】特開2020-112324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0100304(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0285684(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0247098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F16L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に重ね合わせた帯状体
が重なる縁部をかしめて留めた留部を有し、
長手方向を有する円筒状とし
た内被体の
外表面にガラスウールを巻き付け、さらに外皮体を巻きつけて成型されるフレキシブルダクトに用いる前記内被体において、
前記内被体は、前記留部を
螺旋方向から螺旋の軸方向となる内被体長手方向に向けて突出するように屈曲形成した縮径部を形成したことを特徴とするフレキシブルダクト用内被体。
【請求項2】
内被体長手方向に向けて突出するように形成した縮径部は、突出方向となる2つの突出辺と、該2つの突出辺を繋いで前記縮径部の螺旋方向に向けて所定の長さを有する先端辺とからなる凸状形状であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルダクト用内被体。
【請求項3】
2つの突出辺は、一方に螺旋状の円周辺を屈曲する2つの第1屈曲部と、他方に前記突出辺から先端辺を形成するための2つの第2屈曲部とを有し、
前記2つの突出辺は、第2屈曲部間の間隔が第1屈曲部間の長さよりも短くなるように各々が中央寄りに傾斜する傾斜辺からなることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルダクト用内被体。
【請求項4】
螺旋状に重ね合わせた帯状体が重なるの縁部をかしめて留めた留部を有し、長手方向を有する円筒状とした内被体の外表面にガラスウールを巻き付け、さらに外皮体を巻きつけて成型されるフレキシブルダクトに用いる前記内被体において、
円筒状にしたフレキシブルダクト用内被体を縮径する方法であって、
螺旋状に重ね合わせた帯状体の縁部に線材と鋼材とを配し、前記線材と前記鋼材とをかしめて留部として
ガラスウール、外皮体を巻きつけてフレキシブルダクトを完成させる前の円筒状のフレキシブルダクト用内被体を成形する内被体製造工程と、
前記内被体製造工程で製造された内被体の
外表面から、留部の円周辺を支持しつつ
、所定幅の押圧面を
先端に有する押圧具を押し付けることにより、凸状形状の縮径部を形成する縮径部形成工程と、を有することを特徴とするフレキシブルダクト用内被体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不織布などからなる螺旋状の本体を留部によりかしめて円筒状に固定したフレキシブルダクトの内被体に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来から空調ダクトとして、不織布からなるフレキシブルダクトがある。このフレキシブルダクトとして、特許文献1に示す製造方法により縁部を重ね合わせて不織布を螺旋状に巻き回して、留部のカシメ部により円筒状に固定したものがある。この製造方法により製造したフレキシブルダクトは重ね合わせた両方の縁部がダクトの外面側に位置して、内ヒレとならないことによりダクトの内部を流れる空気の抵抗を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブルダクトからなる空調ダクトは吹き出し口やダクト、チャンバーなどに接続して用いられる。既設の吹き出し口などに接続する場合、これら既設物の内径と空調ダクトの内径(フレキシブルダクトの径)とが異なることがあり、接続するには双方の径にそれぞれ対応した端部を有する継手を介在させる必要がある。双方の径の差が大きいと、流動方向(継手の軸方向)において短い距離で大きく径を変動させることとなり、接続部分(継手)における圧力損失が大きくなり、大型で高出力な送風機が必要となる。また径の差(径の変動)が大きい継手を用いると、圧力損失の原因の一つである空気抵抗の増大化により振動や騒音を生じやすくなる。
【0005】
そこで、チャンバー等の別部材を用いずに縮径することができるフレキシブルダクト用内被体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるフレキシブルダクト用内被体は、上記課題に鑑み、螺旋状に重ね合わせた帯状体が重なるの縁部をかしめて留めた留部を有し、長手方向を有する円筒状とした内被体の外表面にガラスウールを巻き付け、さらに外皮体を巻きつけて成型されるフレキシブルダクトに用いる前記内被体において、
前記内被体は、前記留部を螺旋方向から螺旋の軸方向となる内被体長手方向に向けて突出するように屈曲形成した縮径部を形成したことを特徴とする。
【0007】
また、内被体長手方向に向けて突出するように形成した縮径部は、突出方向となる2つの突出辺と、該2つの突出辺を繋いで前記縮径部の螺旋方向に向けて所定の長さを有する先端辺とからなる凸状形状であることが好ましい。
【0008】
また、2つの突出辺は、一方に螺旋状の円周辺を屈曲する2つの第1屈曲部と、他方に前記突出辺から先端辺を形成するための2つの第2屈曲部とを有し、前記2つの突出辺は、第2屈曲部間の間隔が第1屈曲部間の長さよりも短くなるように各々が中央寄りに傾斜する傾斜辺からなることが好ましい。
【0009】
また、本発明にかかるフレキシブルダクト用内被体の製造方法は、螺旋状に重ね合わせた帯状体が重なるの縁部をかしめて留めた留部を有し、長手方向を有する円筒状とした内被体の外表面にガラスウールを巻き付け、さらに外皮体を巻きつけて成型されるフレキシブルダクトに用いる前記内被体において、
円筒状にしたフレキシブルダクト用内被体を縮径する方法であって、
螺旋状に重ね合わせた帯状体の縁部に線材と鋼材とを配し、前記線材と前記鋼材とをかしめて留部としてガラスウール、外皮体を巻きつけてフレキシブルダクトを完成させる前の円筒状のフレキシブルダクト用内被体を成形する内被体製造工程と、
前記内被体製造工程で製造された内被体の外表面から、留部の円周辺を支持しつつ、所定幅の押圧面を先端に有する押圧具を押し付けることにより、凸状形状の縮径部を形成する縮径部形成工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明により、留部を突出変形させることで狭径部を形成することで、漸次的で緩やかに径を変更して圧力損失を抑えたフレキシブルダクト用内被体を提供することができる。さらに、内被体を完成させた後で狭径部を形成することが可能になり、設置状況に応じて個別に対応できるフレキシブルダクト用内被体を提供することが可能になる。
【0011】
請求項2に記載の発明により、縮径部の形態を凸状体とすることで、先端辺が螺旋状に形成された円周辺と同方向となり、送風時の圧力損失を低くし、縮径部が存在してもダクト内の通風に影響が発生し難いフレキシブルダクト用内被体を提供することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明により、縮径部の形成により帯状体に加わる負荷を少なくして、内被体が破損し難いフレキシブルダクト用内被体を提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明により、本発明のフレキシブルダクト用内被体を縮径することができる縮径部を容易に形成することができる。すなわち従来ではダクト自体を縮径することは極めて難しかったが、内被体をいったん完成した後で縮径部を外部より形成することが可能となり、容易かつ量産的に縮径したダクトを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るフレキシブルダクト用内被体の側面図である。
【
図2】
図1の領域Aを拡大した縮径部周辺の一部拡大側面図である。
【
図3】本発明の縮径部を製造するための加工装置の斜視図である。
【
図4】本発明の縮径部を製造するための加工装置の正面図である。
【
図5】加工装置に内被体をセットした状態を示す斜視図である。
【
図6】加工装置により縮径部を製造する状態を示す一部拡大正面図であり、(a)は加工前、(b)は加工後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。本発明は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形、付加等が可能である。なお、本実施形態において、内被体1の長手方向(螺旋の軸方向)を内被体長手方向とし、内被体1の表面を留部4が螺旋状に旋回している方向を螺旋方向とする。特に縮径部6の螺旋方向とは縮径部6の位置で留部4が本来螺旋していた方向としている。
【0016】
本発明のフレキシブルダクト用内被体1は、空調ダクトとして用いられるフレキシブルダクトの内部の芯として用いられる。フレキシブルダクトの完成体は、図示しないが、フレキシブルダクト用内被体1の外表面にガラスウールを巻き付け、さらにオレフィン系樹脂からなる外皮体を巻き付けて成型される。
図1に示すように、本実施形態の内被体1は、帯状体3を中空の螺旋状に巻きつけ、帯状体3、3が重なる縁部5、5を固定する留部4を基本構成としている。
【0017】
帯状体3は、円筒状の内被体1の壁面となるものであって、不織布、布帛又は紙類を基材とし、これに合成樹脂によるコーティングを施した所定幅の帯体により形成される。帯状体3を螺旋状に縁部5、5を重ね合わせて巻き回して円筒状に形成する。なお、帯状体3はフィルム乃至シートとし、巻き回した円筒の断面が円形となるようにしている。
【0018】
帯状体3の縁部5、5を重ね合わせた部分を留部4により保持して円筒状に固定している。留部4は、図示しないが帯状体3の外周に当接して縁部5、5に沿うように螺旋状に巻き付ける鋼線状の芯材と金属薄板とからなる。縁部5、5に線材(芯材)を沿わせ、金属薄板を内側に重ね合わせるようにし、両方の縁部5、5を挟み込み芯材により内側に抜け止めつつ内側に曲げてC字状にするカシメ工程を経ることによって、両方の縁部5、5を留め固定している。
【0019】
内被体1は、留部4のカシメ工程により、帯状体3の縁部5、5をダクトの外面側に折り返して外方(外面側)の縁部5に重ね合わせることによって、両方の縁部5、5を内被体1の外面側に配置している。この両方の縁部5、5が重ね合わされて外面側に若干突出する部分をヒレと呼んでいる。なお、別の実施形態として、縁部5、5(ヒレ)が内被体1の内側に突出するようにカシメ工程を行ってもよい。
【0020】
留部4は、
図1に示すように、螺旋方向に所定の間隔を置いて外周に一または複数の縮径部6、6が形成される。縮径部6は、かしめた(カシメ工程を経た)留部4から、内被体1の長手方向である内被体長手方向に向けて凸となるように突出するよう屈曲させて形成される。本実施形態において、縮径部の凸となるために内被体長手方向に向けて突出する方向と、留部4から外方に位置する縁部5、5(ヒレ)の突出方向を一致させている。この一致により圧力損失を低くし、破れにくい内被体とすることができる。この螺旋の軸方向に凸となるとは、長手方向を有する円状形状の内被体1のうち突出方向を長手方向に一致させることをいう。
【0021】
螺旋状の留部4のうち一部を縮径部6で一方向に凸となるように形成することで、留部4にかしめられて保持された帯状体3も変形する。この変形において、内被体1の円周が縮まって縮径される。内被体1は、螺旋方向において同一の縮径部6を複数配置することにより、その配置数により縮径されるから、並ぶ間隔(個数)を漸次的に狭めることによって漸次的に縮径されたスパイラル状となる。そして縮径部6を等間隔に配置することにより、縮径した寸法を維持した螺旋状となる。
【0022】
本実施形態の縮径部6の凸状の突出方向は、縁部5、5(ヒレ)の外側突出方向と一致する方向であり、縮径部6は凸となる先端部分を縮径部の螺旋方向に沿うように直線状(後述の先端辺8)としている。
【0023】
縮径部6の具体的形態を説明するため、縮径部6の部分のみを一部拡大した
図2を示す。留部4のうちダクトの螺旋状の円周を形成する円周辺4aがあり、この円周辺4aを屈曲する一対の第1屈曲部9、9と、第1屈曲部9、9それぞれから内被体長手方向に伸びる一対の突出辺7、7と、突出辺7、7それぞれの先端部分から向かい合うように屈曲させた一対の第2屈曲部10、10と、両方の第2屈曲部10、10から螺旋に沿うように直線形状に伸び両方の突出辺7、7を繋ぐ先端辺8とからなる。先端辺8は縮径部の螺旋方向に向かって伸びる所定長さを有するものである。なお、縮径部6の突出方向が内被体長手方向に向けて形成されること、先端辺8が縮径部6の螺旋方向に向けて形成されることは、所定の誤差等を含むものであって、方向を厳密に一致させるものではない。
【0024】
突出辺7、7は、内被体長手方向より若干内向きに傾斜して伸びる直線状であって、一つの縮径部6を構成する両側の突出辺6、6の各々が中央寄りに傾斜する傾斜辺として形成される。突出辺7、7は先端辺8へ向けて20mm程度の長さ寸法を有する。先端辺8の長さ寸法は10mm程度としている。突出辺7、7の突出長さは螺旋のピッチの4分の1程度としている(
図1参照)。
【0025】
2つの第1屈曲部9、9間の間隔X1より、2つの第2屈曲部10、10間の間隔X2の方が短くなるように、突出辺7、7は中央寄りであって互いに向けて傾斜している。このように、本実施形態の縮径部6は台形状に形成されている。なお、その他の実施形態として、突出辺7、7の先端側から先端辺8が湾曲した形態であってもよく、第1屈曲部9、9と第2屈曲部10、10の屈曲が比較的大きく湾曲するものであってもよい。
【0026】
突出辺7、7が中央寄りであって互いに向けて傾斜することにより、縮径部6の成型により縁部5、5に形成されているヒレが引き込まれたり、かしめた留部からはずれにくいようにしている。また、ダクト内に通風した場合に、一部に圧力が集中しないように屈曲部を直角に曲げないようにしている。
【0027】
次に、内被体1に縮径部6を形成する加工装置20を図面に基づいて説明する。
【0028】
加工装置20は
図3に示すように、留部4を保持する保持台21と、梃子の原理により回動して保持台21に出没する長尺な棒板からなる押圧具22と、押圧具22を回動させる駆動部23とからなる。加工装置20は保持台21に保持した留部4の一部を押圧具22により押圧して曲げ加工を加えて縮径部6を形成し、内被体1を縮径するものである。駆動部23は周知の駆動手段であって、本実施形態ではエアピストンからなるが、油圧式ピストンやモータ式クランクなどであってもよく特に限定されない。
【0029】
押圧具22は長手方向の一端部が駆動部23に接続され、他端部に下方に突出した押圧部24を有し、長手方向の中間部に下方に突出して梃子の支点となる支持軸25に支持された支持部26とを有し、F字形状としている。押圧部24は、先端に幅方向に所定の長さを有する押圧面を有するもので、他端の駆動部23により上下移動が可能となる。
【0030】
保持台21は上板体27と平行する下板体28の上下二段からなり、押圧部24の移動方向に直交して上板体27の板面を配置している。保持台21は
図4に示すように、上下板体27、28の間に形成され、正面及び下板体28の幅方向に開口したガイドスリット30と、下板体28の幅方向の中央に形成され、板面に直交して正面及び上下に開口する加工溝31とを有している。
【0031】
ガイドスリット30は
図5、6に示すように、上下方向の寸法を留部4に帯状体3の厚さを加えた長さとほぼ同じとしている。ガイドスリット30は正面側から留部4を差し入れることにより、上下方向から留部4を加工位置に支持する。
【0032】
加工溝31はガイドスリット30に直交して、上板体27及び下板体28に貫通して形成され、押圧部24を上下に移動自在としている。加工溝31は、上板体27側に形成される上部33と、下板体28側に形成される下部34とからなる。上部33は幅方向の寸法が押圧部24の幅方向の寸法とほぼ同じまたは若干長く、押圧部24を上部33に接触させずに移動自在としている。
【0033】
下部34は幅方向の寸法が上部33の幅方向の寸法より長く、移動する押圧部24の両板面との間(左右両側)にそれぞれ広い隙間Sを有している(
図6参照)。この左右の隙間Sはそれぞれ幅方向の寸法がガイドスリット30の上下方向の寸法とほぼ同じとし、加工時に留部4及び帯状体3(縮径部6)を収容可能としている。
【0034】
押圧部24は無負荷状態で加工溝31の上部33に位置し、駆動部23により押圧具22が回動するとガイドスリット30を横切り、さらに回動すると降下して下部34に位置する。最も回動した最負荷状態の押圧部24は下端部が下板体28の上面より低く位置する。
【0035】
次に、本実施形態の内被体1を製造する方法を説明する。まずは、一般的な内被体1を製造する。内被体1は、マンドレルと呼ばれる専用の製造機械により、縁部5、5を重ねつつ帯状体3、3を螺旋状に巻き付けていく。このときに、重ね合わせた縁部5、5の一方表面に線材を沿わせ、他表面に留部4の外面となる金属薄板を沿わせていく。そして、金属薄板の幅を狭めるように屈曲させて、縁部5、5と線材とを抱きかかえるように成形してかしめる。このようにして、通常の円筒状の内被体1が完成する。
【0036】
上記で説明した加工装置20を用いて、内被体1の縮径部6を形成する。まず、
図5に示すように、加工装置20のガイドスリット30に、留部4(円周辺4a)を差し入れる。このように、内被体1は巻き付けられた帯状体3、3の外表面から留部4が若干突出しており、なおかつ帯状体3が比較的柔らかな素材から形成されていることから、ガイドスリット30に挿入することが可能である。
【0037】
図6(a)、(b)に示すように、ガイドスリット30に留部4を挿入することで、加工溝31を横切る部分で縮径部6を形成し、加工溝31以外のガイドスリット挿入部分(円周辺4a)は、上板体27及び下板体28で保持される。この状態で、駆動部23により押圧具22を回動させて押圧部24を降下させることにより、円周辺4aから第1屈曲部9、9、第2屈曲部10、10が形成されるように屈曲され、突出辺7、7と先端辺8とを有する台形状の縮径部6を形成することができる。
【0038】
このようにして製造された縮径した内被体1にガラスウール、外皮体を巻き付けると、縮径したフレキシブルダクトを製造することができる。なお、上記製造方法は内被体1を外部から縮径部6、6を適宜製造することができるものであるから、いったん縮径してさらに拡径する内被体1を製造することもできる。この場合、最大径の内被体を製造したうえで、漸次的に縮径する部分を複数個所形成することで形成することも可能であり、複雑な変化をする径からなるフレキシブルダクトを製造することが可能になる。
【0039】
また、本実施形態の各々縮径部6、6は、内被体1を周方向に約19.5mmを縮める。内被体1の直径(中心径)は、50mm単位で製造されていることが多く、150、200、250、300、350のタイプがある。例えば中心径150mmの留部4の一回りの螺旋長さ(内径周長)は502.4mmとなり、縮径した後の中心径を100mmにしたい場合の一回りの螺旋長さ(狙い周長)は345.4mmとなる。差分は157mmとなり、19.5mmを縮める縮径部6、6を8か所形成すると、50mmの縮径が可能となる。その他のタイプを計算したところ、下表1のとおりいずれも19.5mmを縮める縮径部6、6を8か所形成すれば、50mmの縮径ができる。そのため、簡単な構成、かつ、方法で、所定の縮径をすることができるフレキシブルダクト用内被体1を提供することが可能になる。
【0040】
【符号の説明】
【0041】
1…フレキシブルダクト用内被体、3…帯状体、4…留部、4a…円周辺、5…縁部、6…縮径部、7…突出辺、8…先端辺、9…第1屈曲部、10…第2屈曲部。