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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】歯間清掃具
(51)【国際特許分類】
   A61C 15/04 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
A61C15/04 502
A61C15/04 501
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021002465
(22)【出願日】2021-01-09
(65)【公開番号】P2022107546
(43)【公開日】2022-07-22
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592111894
【氏名又は名称】ヤマトエスロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(72)【発明者】
【氏名】林 信之
(72)【発明者】
【氏名】山口 恵里奈
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3129329(JP,U)
【文献】特開昭63-300756(JP,A)
【文献】特開2020-146424(JP,A)
【文献】特開2010-036028(JP,A)
【文献】特開平05-293126(JP,A)
【文献】特開平11-128251(JP,A)
【文献】特開2020-103707(JP,A)
【文献】特表2017-512506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/00 - A61C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯間に挿入部を挿入して前記歯間を清掃することができる歯間清掃具であって、
手で把持可能なハンドル部と、
前記ハンドル部から延設される一対の支柱部とを有し、
前記挿入部は前記一対の支柱部の間に延在するとともに前記各支柱部により支持され、
前記支柱部は、少なくとも一部が、その中心線に対して芯部の外側に位置する円筒状部を有し、
前記円筒状部は、前記挿入部を直接に支持し、前記挿入部と一体の一体成形品であり且つ前記挿入部とともに前記芯部よりも柔らかい合成樹脂を用いてなる成形品であり、
前記円筒状部の径方向の一部又は全部は、前記支柱部の側面に凹設された溝部の内側に配置される
ことを特徴とする歯間清掃具。
【請求項2】
前記挿入部は、一方の前記支柱部の近傍における横断面である第1の横断面の断面積が、前記一方の支柱部と他方の前記支柱部との略中間位置における横断面である第2の横断面の断面積よりも大きい
ことを特徴とする請求項に記載の歯間清掃具。
【請求項3】
前記挿入部は、その表面において、前記挿入部の外向きに凸設される複数の凸部又は同じく内向きに凹設される複数の凹部を有する
ことを特徴する請求項1または2の何れかに記載の歯間清掃具。
【請求項4】
前記挿入部は帯状であり、その偏平体の厚さ方向における中心に位置する平面である中心面と前記各支柱部の中心線とが略同一平面上に位置するとともに、長手方向の両端側においてそれぞれ前記各支柱部により支持される
ことを特徴とする請求項1ないしの何れかに記載の歯間清掃具。
【請求項5】
前記挿入部は、一方の前記支柱部の近傍における前記偏平体の厚さが、前記一方の支柱部と他方の前記支柱部との略中間位置における同じく厚さよりも大きい
ことを特徴とする請求項に記載の歯間清掃具。
【請求項6】
前記挿入部は前記帯状の幅方向の一端において前記歯間に挿入される側の挿入側端縁を有するとともに、前記幅方向の他端において板厚方向に膨出する反挿入側端部を有する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の歯間清掃具。
【請求項7】
前記挿入部はワイヤ状であり、その中心線と前記各支柱部の中心線とが略同一平面上に位置するとともに、延在方向の両端側においてそれぞれ前記各支柱部により支持される
ことを特徴とする請求項1ないしの何れかに記載の歯間清掃具。
【請求項8】
前記挿入部は、一方の前記支柱部の近傍における線径が、前記一方の支柱部と他方の前記支柱部との略中間位置における線径よりも大きい
ことを特徴とする請求項7に記載の歯間清掃具。
【請求項9】
前記芯部と前記円筒状部とは射出成形による成形品であり且つ二色成形による成形品により構成される
ことを特徴とする請求項に記載の歯間清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯間清掃具に関し、詳細には歯間に挿入する挿入部が一対の支柱部により支持される歯間清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯間に挿入部を挿入して前記歯間を清掃することができる歯間清掃具であり、手で把持可能なハンドル部と、前記ハンドル部から延設される一対の支柱部とを有し、前記挿入部は前記一対の支柱部により支持される歯間清掃具がある。従来の歯間清掃具には、例えば複数のフィラメントの束のような前記挿入部を有し、この束が引っ張った状態で前記一対の支柱部に装着されている(特許文献1)。
【0003】
こうした従来の歯間清掃具は、前記挿入部を前記一対の支柱部により支持し、かつ、前記一対の支柱部が前記ハンドル部から延設されるため、使用者が前記ハンドル部を把持して動かすだけで前記挿入部によって歯間を清掃することができる。すなわち、使用者は、例えば前記のフィラメントの束やテープなどの挿入体を両手のそれぞれの手指によって直接支持する必要がなく、片方の手の手指だけを用いて容易に歯間を清掃することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-131695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の歯間清掃具は、連続したフィラメント、テープ等の一部を取り出して前記一対の支柱部の間に張り渡して形成する。そのため、切り出されたフィラメント、テープ等の挿入体を前記一対の支柱部の間に固定する際は、インサート成形、熱溶着等の手段により固着された前記挿入体が離脱しないように細心の注意を払わねばならない。
【0006】
また、前記一対の支柱部に固着された前記挿入体の先端が、使用者の口腔内を傷付けてしまわないように、固定時の前記先端の処理に細心の注意を払わねばならない。
【0007】
さらに、前記従来の歯間清掃具における挿入体は、長く連続した材料の一部を切り取った形状であり、そのため、一つ一つの歯間清掃具ごとの前記挿入部について、例えば長手方向の位置によって横断面の寸法が異なるような形状を自由に得ることが困難である。
【0008】
そして本発明は、このような課題の下、挿入部が前記各支柱部から離脱し難く、口腔内を傷付けず、しかも、自由な形状を容易に得ることができる歯間清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は歯間に挿入部を挿入して前記歯間を清掃することができる歯間清掃具であって、手で把持可能なハンドル部と、前記ハンドル部から延設される一対の支柱部とを有し、前記挿入部は前記一対の支柱部の間に延在するとともに前記各支柱部により支持され、前記支柱部は、少なくとも、前記支柱部のうち前記挿入部を直接に支持する支持部が合成樹脂により前記挿入部と一体に形成されることを特徴とする歯間清掃具を提供するものである。そして、前記支柱部は、少なくとも一部が、その中心線に対して芯部の外側に位置する円筒状部を有し、前記円筒状部は、前記挿入部を直接に支持し、前記挿入部と一体の一体成形品であり且つ前記挿入部とともに前記芯部よりも柔らかい合成樹脂を用いてなる成形品であり、前記円筒状部の径方向の一部又は全部は、前記支柱部の側面に凹設された溝部の内側に配置されてもよい。
【0010】
すなわち、歯間に挿入する挿入部と、支柱部の一部である支持部とが合成樹脂により一体に形成されるため、前記挿入部は前記支柱部から離脱する虞が小さく、また、先端が突出するような構造を採らないために口腔内を傷付ける虞が小さい。
【0011】
さらに、前記挿入部が前記支持部と共に合成樹脂を用いて形成される構造のため、前記挿入部は、射出成形のような成形加工を行うことができ、前記従来の歯間清掃具のように延在方向に均一した横断面を有するフィラメント、テープ等の資材を用いることがない。そのため、前記挿入部は、成形加工のための金型次第で自由な形状を容易に得ることができる。
【0012】
(2)前記挿入部は、一方の前記支柱部からの距離が異なる第1の横断面の寸法と第2の横断面の寸法とが相違してもよい。そして、前記挿入部は、一方の前記支柱部の近傍における前記偏平体の厚さが、前記一方の支柱部と他方の前記支柱部との略中間位置における同じく厚さよりも大きくてもよい。
【0013】
すなわち、本発明の歯間清掃具は、挿入部の第1の横断面の幅、縦横比、太さなどの寸法と第2の横断面の同じく寸法とを異なるものにすることができる。そのため、前記挿入部の、一方の支柱部からの距離が異なる部分をそれぞれ歯間に挿入することによって、横断面が前記第1の横断面であるときの刷掃効果と、前記第2の横断面であるときの刷掃効果といった異なる刷掃効果を得ることができる。これにより、一つの歯間清掃具を用いながら、使用者は前記第1の横断面により得る刷掃効果と前記第2の横断面により得る刷掃効果とを組み合わせて歯間を清掃することができる。
【0014】
また、前記挿入部を歯間への挿入時に横断面が前記第1の横断面であるときの刷掃効果を得た後に、挿入したまま挿入位置を第2の横断面の位置にスライドさせ、今度は横断面が前記第2の横断面であるときの刷掃効果を得ることができる。
【0015】
(3)また、前記第1の横断面は、前記一方の支柱部の近傍における横断面であり、前記第2の横断面は、前記一方の支柱部と他方の前記支柱部との略中間位置における横断面であり、前記第1の横断面の断面積は前記第2の横断面の断面積よりも大きくてもよい。そして、前記挿入部は、一方の前記支柱部の近傍における横断面である第1の横断面の断面積が、前記一方の支柱部と他方の前記支柱部との略中間位置における横断面である第2の横断面の断面積よりも大きくてもよい。
【0016】
すなわち、本発明の歯間清掃具は、二本の支柱部の略中間位置における挿入部の横断面を、一方の支柱部の近傍における挿入部の横断面よりも小さくすることができる。こうして、前記略中間位置における挿入部を板薄、幅狭若しくは板薄且つ幅狭、軸細、または、これら以外の形態により横断面を小さくすることにより、使用者は、前記略中間位置における挿入部をスペースのより小さな歯間に挿入して清掃することができる。
【0017】
換言すれば、前記一方の支柱部の近傍における挿入部の横断面を、前記二本の支柱部の略中間位置における挿入部の横断面よりも大きくすることができる。こうして、前記一方の支柱部の近傍における挿入部を板厚、幅広若しくは板厚且つ幅広、軸太、または、これら以外の形態により横断面を大きくすることにより、使用者は、前記一方の支柱部の近傍における挿入部をスペースのより大きな歯間に挿入して清掃することができる。
【0018】
また、最初にスペースの小さな歯間に前記中間位置における挿入部を抵抗なく挿入した後、挿入したまま挿入位置を前記一方の支柱部の近傍にスライドさせ、より隙間のない状態で前記最初と異なる清掃効果を得ることができる。
【0019】
(4)また、前記挿入部は、複数の凸部又は凹部を有してもよい。そして、前記挿入部は、その表面において、前記挿入部の外向きに凸設される複数の凸部又は同じく内向きに凹設される複数の凹部を有してもよい。
【0020】
すなわち、挿入部が複数の凸部又は凹部を有することにより、本発明の歯間清掃具は、前記挿入部を歯間において動かすことによって前記凸部又は凹部が効率的に歯間の汚れをかき出し、高い清掃効果を得ることができる。
【0021】
(5)また、前記挿入部は帯状であってもよい。そして、前記挿入部は帯状であり、その偏平体の両面と前記各支柱部の中心線とが略同一平面上に位置するとともに、長手方向の両端側においてそれぞれ前記各支柱部により支持されてもよい。
【0022】
すなわち、本発明の歯間清掃具は、帯状の挿入部を採用しながらも、前記挿入部と、支柱部の一部である支持部とが合成樹脂により一体に形成されるため、矩形横断面の前記挿入部の先端が突出するような構造にならず口腔内を傷付ける虞が小さい。
【0023】
また、前記挿入部は帯状であっても、支持部と共に合成樹脂を用いて形成される構造のため、射出成形のような成形加工を行うことができ、金型次第で長手方向の位置によって矩形横断面の寸法や形状を変化させることができる。
【0024】
(6)また、前記挿入部は前記帯状の幅方向の一端において前記歯間に挿入される側の挿入側端縁を有するとともに、前記幅方向の他端において板厚方向に膨出する反挿入側端部を有してもよい。
【0025】
すなわち、本発明の歯間清掃具は使用者が歯間に挿入するとき、挿入部が進入した結果反挿入側端部が使用者の歯先に当たり、それ以上の前記挿入部の進入が制限される。そのため、歯間に挿入する側の端縁から前記反挿入側端部までの距離を人の歯の長さに合わせて設定することにより、使用者は前記挿入部が歯茎を傷つけることを心配せず、安心して安全に本発明の歯間清掃具を使用することができる。
【0026】
(7)また、前記挿入部はワイヤ状であってもよい。そして、前記挿入部はワイヤ状であり、その中心線と前記各支柱部の中心線とが略同一平面上に位置するとともに、延在方向の両端側においてそれぞれ前記各支柱部により支持されてもよい。さらに、前記挿入部は、一方の前記支柱部の近傍における線径が、前記一方の支柱部と他方の前記支柱部との略中間位置における線径よりも大きくてもよい。
【0027】
すなわち、本発明の歯間清掃具は、ワイヤ状の挿入部を採用しながらも、前記挿入部と、支柱部の一部である支持部とが合成樹脂により一体に形成されるため、尖った前記挿入部の先端が突出するような構造にならず口腔内を傷付ける虞が小さい。
【0028】
また、前記挿入部がワイヤ状であっても、支持部と共に合成樹脂を用いて形成される構造のため、射出成形のような成形加工を行うことができ、金型次第で長手方向の位置によって円形横断面の寸法や形状を変化させることができる。
【0029】
(8)また、前記支柱部は、その長手方向の一部が芯部と前記芯部の外側に配置される円筒状部とによって構成され、前記円筒状部のうち、前記挿入部の連続する部分が前記支持部を構成し、前記円筒状部の径方向の一部又は全部は、前記支柱部の側面に凹設された溝部の内側に配置されてもよい。
【0030】
すなわち、前記円筒状部の一部又は全部が前記溝部に嵌まるため、前記支持部とこの支持部と連続する挿入部は支柱部全体から離脱する虞がより小さい。
【0031】
(9)また、前記芯部と前記円筒状部とは射出成形された二色成形品により構成されてもよい。そして、前記芯部と前記円筒状部とは射出成形による成形品であり且つ二色成形による成形品により構成されてもよい。
【0032】
すなわち、芯部と円筒状部とが二色成形により一体に形成されるため、前記挿入部は確実に前記支柱部に固定され、前記支柱部から離脱する虞がない。また、二色成形によって前記挿入部は外れることがなく、使用者の口腔内を傷付けてしまう虞がより小さい。
【0033】
(10)また、前記支柱部と前記挿入部とは同一の材質によって一体に形成されてもよい。
【0034】
すなわち、前記支柱部と前記挿入部とが一体に形成され、かつ、同一の材質によって形成されるため、前記支柱部と前記挿入部とは最初から一つのパーツとして射出成形のような成形加工によって製作することができる。このように、前記支柱部と前記挿入部とが一つのパーツとして形成されるため、前記挿入部は前記支柱部から離脱する虞がより小さく、また、先端が突出するような構造を採らないために口腔内を傷付ける虞がより小さい。
【0035】
さらに、本発明の歯間清掃具は前記支柱部と前記挿入部とが一つのパーツとして形成されるため、製作者にとって成形加工の工程を簡素に済ませることができる。
【発明の効果】
【0036】
このように本発明では、挿入部が支柱部から離脱する虞が小さく、また、口腔内を傷付ける虞が小さい歯間清掃具を提供する。さらに、前記挿入部が自由な形状に形成されるように構成される歯間清掃具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1の実施形態に係る歯間清掃具の斜視図を表す。
図2図1の指示線A-Aにより見る向きを指定された第1の支柱部の縦断面図を表わす。
図3】本発明の第1の実施形態に係る歯間清掃具の正面図を表す。
図4】本発明の第2の実施形態に係る歯間清掃具の斜視図を表す。
図5】本発明の第2の実施形態に係る歯間清掃具の正面図を表す。
図6】(a)図4図5が指す支柱部近傍横断面を示す。(b)図4図5が指す中間位置横断面を示す。
図7】(a)本発明の第3の実施形態に係る歯間清掃具の斜視図を表す。第1の清掃面に筋状凸部が形成された状態を示す。(b)同じく斜視図を表す。第1の清掃面に半球状凸部が形成された状態を示す。
図8図7(a)(b)の歯間清掃具の支柱部及び挿入部の正面図を表す。
図9】本発明の第4の実施形態に係る歯間清掃具の斜視図を表す。
図10図9の歯間清掃具の支柱部及び挿入部の正面図を表す。
図11図9の歯間清掃具の挿入部の横断面図を表す。
図12】本発明の第4の実施形態に係る歯間清掃具の挿入部が歯間に挿入された状態の説明図を表す。
図13】本発明の第5の実施形態に係る歯間清掃具の斜視図を表す。
図14】(a)図13の歯間清掃具の挿入部の支柱部近傍横断面を表す。(b)同じく挿入部の中間位置横断面を表す。
図15】本発明の第6の実施形態に係る歯間清掃具の斜視図を表す。
図16】本発明の第6の実施形態に係る歯間清掃具の正面図を表す。
図17】本発明の第7の実施形態に係る歯間清掃具の斜視図を表す。
図18】(a)図17の歯間清掃具の挿入部の支柱部近傍横断面を表す。(b)同じく挿入部の中間位置横断面を表す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を、図1図3を用いて説明する。図1において1は歯間清掃具であって、使用者の歯間Cに挿入部2を挿入して歯間Cを清掃することができる。
【0039】
歯間清掃具1は、図1の斜視図が示すように使用者が手で把持可能なハンドル部3と、ハンドル部3から延設される一対の支柱部4とを有する。図1においては、矢印L方向が歯間清掃具1の左方を示し、矢印Rが歯間清掃具1の右方を示す。図において、歯間清掃具1はハンドル部3の先端が左を向き、基端が右を向くように表わされている。次に、矢印F方向が歯間清掃具1の前方を示し、矢印B方向が歯間清掃具1の後方を示す。図において、歯間清掃具1は各支柱部4の先端が前を向き、基端が後ろを向く。そして、矢印U方向が歯間清掃具1の上方を示し、矢印D方向が歯間清掃具1の下方を示す。図において、歯間清掃具1は上下対称に構成されている。他の図も同様に各方向を示す。
【0040】
挿入部2は一対の支柱部4の間に延在するとともに各支柱部4によって支持される。挿入部2は上下方向に偏平であり、且つ左右方向に長い略直方体を形成する。また、挿入部2は、前方の端縁である挿入側端縁2aから歯間Cに挿入されて、挿入側端縁2aと、上面である第1の清掃面2bと、底面である第2の清掃面2cとが歯間Cを擦って清掃する。このように、歯間Cを面で擦ることができるため刷掃効果は高い。
【0041】
ハンドル部3は左側のハンドル先端部3aと、右側のハンドル基端部3bとを有する。ハンドル先端部3aの最先端から、第1の支柱部4aが前方に延設される。また、ハンドル先端部3bの、ハンドル基端部3bとの略境界から、第2の支柱部4bが前方に延設される。使用者はハンドル基端部3bを手で把持して歯間清掃具1を使用する。
【0042】
支柱部4は、図2が示すように、第1の支柱部4aが、中心線C1に近い側の第1の芯部4cと、第1の芯部4cの外側の第1の円筒状部4dとを有する。図2は、図1の指示線A-Aにより見る向きを指定した第1の支柱部4aの縦断面図を表わす。また、第2の支柱部4bも、第1の支柱部4aと同様に、中心線に近い側の第2の芯部4eと、第2の芯部4eの外側の第2の円筒状部4fとを有する。各支柱部4a,4bは前後方向の先端の一部と基端の一部とを残して、部分的に芯部4c,4eと円筒状部4d,4fとによって二重に構成される。この二重構造部分において、各芯部4c,4eは、中心線が各支柱部4a,4bの長手方向と一致する略円柱状に形成される。また、各円筒状部4d,4fは、中心線が同じく長手方向と一致する略円筒状に形成される。そのため、正面視において芯部4c,4eと円筒状部4d,4fとは同心円を描く。
【0043】
各円筒状部4d,4fは、前記二重構造部分において各支柱部4a,4bの側面に凹設された溝部4gの内側に配置される。図において円筒状部4d,4fの径方向の全部が溝部4gの内側に配置されているが、円筒状部4d,4fの径方向の一部が溝部4gの内側に配置されるだけでもよい。
【0044】
支柱部4と挿入部2とは射出成形された二色成形品により構成される。先ず、各円筒状部4d,4f以外の各支柱部4a,4bを合成樹脂により成形する。次に、成形後の各芯部4c,4eを覆うようにして、その周囲の各円筒状部4d,4fと、挿入部2とを合成樹脂により成形する。このとき、各円筒状部4d,4f以外の各支柱部4a,4bを形成する合成樹脂が硬く、この合成樹脂よりも、各円筒状部4d,4f及び挿入部2を形成する合成樹脂が柔らかければ、本発明の歯間清掃具1は、各支柱部4a,4bによって全体の形状を安定に保つことができるとともに、挿入部2によって口腔内の部位に対して与えるダメージを低減することができる。
【0045】
各円筒状部4d,4f以外の各支柱部4a,4bを形成する硬い合成樹脂の例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS),ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。各円筒状部4d,4f及び挿入部2を形成する柔らかい合成樹脂の例としては、エラストマー、シリコン等が挙げられる。さらに、上記の硬い合成樹脂としての比較的硬度の高いエラストマーと、上記の柔らかい合成樹脂としての比較的硬度の低いエラストマーとの組合せでもよい。
【0046】
図3の正面図においては、各支柱部4a,4bの前端側の端面が実線により表わされるとともに、各芯部4c,4eと各円筒状部4d,4fとの境界が破線により表わされる。また、各円筒状部4d,4fのうち、挿入部2とその左右において連続する部分である、左側の第1の支持部4hと右側の第2の支持部4iとが二点鎖線により表わされている。各支持部4h,4iは、それぞれ円筒状部4d,4fにおいて挿入部2と左右方向に隣接するとともに、正面視において各支柱部4a,4bの中心線に近付く向きに広がるような扇形の領域を占める。
【0047】
第1の円筒状部4dと、挿入部2と、第2の円筒状部4fとは隣接して、それぞれ各支持部4h,4iにおいて左から順に一体に形成される。そして、各支持部4h,4iは挿入部2を直接に支持する。第1の円筒状部4dと挿入部2の左端とは第1の支持部4hにおいて一体に形成され、上下の2箇所において、これらの間に谷部2v,2vが形成される。また、挿入部2の右端と第2の円筒状部4fとは第2の支持部4iにおいて一体に形成され、同じくこれらの間に谷部2v,2vが形成される。
【0048】
以上のような構成により、本発明の歯間清掃具1は、歯間Cに挿入する挿入部2と、支柱部4の一部であり且つ支持部4h,4iを含む円筒状部4d,4fとが合成樹脂により一体に形成されるため、挿入部2は支柱部4から離脱する虞が小さく、また、先端が突出するような構造を採らないために口腔内を傷付ける虞が小さい。特に、挿入部2が帯状に形成されながらも、矩形横断面の挿入部の先端が突出するような構造にならないために傷付ける虞が小さい。
【0049】
さらに、挿入部2が円筒状部4d,4fと共に合成樹脂を用いて形成される構造のため、挿入部2は、射出成形のような成形加工を行うことができ、従来の歯間清掃具のように延在方向に均一した横断面を有するフィラメント、テープ等の資材を用いることがない。そのため、挿入部2は、成形加工のための金型次第で自由な形状を容易に得ることができる。例えば、金型次第で長手方向の位置によって矩形横断面の寸法や形状を変化させることができる。
【0050】
また、円筒状部4d,4fを含む支柱部4と、挿入部2とが二色成形により一体に形成されるため、挿入部2は確実に支柱部4に固定され、支柱部4から離脱する虞がない。また、二色成形によって挿入部2は外れることがなく、使用者の口腔内を傷付けてしまう虞がより小さい。
【0051】
なお、支柱部4と挿入部2とは、確実に固定されるのであればそれぞれ別個に成形された後に接着剤、熱溶着等の方法により固着されていてもよい。このようなときでも、本発明の歯間清掃具1は、円筒状部4d,4fの一部又は全部が溝部4gに嵌まるためこの部分から抜け出てしまう可能性が小さい。
【0052】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を、図4図6を用いて説明する。図4において11は歯間清掃具であって、使用者の歯間Cに挿入部12を挿入して歯間Cを清掃することができる。歯間清掃具11は、図4の斜視図が示すように使用者が手で把持可能なハンドル部13と、ハンドル部13から延設される一対の支柱部14とを有する。
【0053】
挿入部12は一対の支柱部14の間に延在するとともに各支柱部14によって支持される。挿入部12は左側の第1の支柱部14aから近い支柱部近傍横断面S1の寸法と、同じく遠い中間位置横断面S2の寸法とが異なる。ここで、支柱部近傍横断面S1は第1の支柱部14aの近傍における横断面であり、他方で、中間位置横断面S2は第1の支柱部14aと第2の支柱部14bとの略中間位置における横断面である。図4において、各横断面S1,S2は破線により表わす。
【0054】
そして、挿入部12は支柱部近傍横断面S1及び中間位置横断面S2における前後方向の幅である前後幅wが同一であるのに対して、図5が示すように支柱部近傍横断面S1における上下方向の厚さである支柱部近傍板厚t1が、中間位置横断面S2における上下方向の厚さである中間位置板厚t2よりも大きい。このように、図6(a)が示す支柱部近傍横断面S1の寸法と、図6(b)が示す中間位置横断面S2の寸法とは相違する。また、支柱部近傍横断面S1の断面積は中間位置横断面S2の断面積よりも大きい。
【0055】
また、図示をしていないが、挿入部12は第2の支柱部14bの近傍における横断面における上下方向の厚さである板厚が中間位置板厚t2よりも大きい。そして、第2の支柱部14bの近傍における横断面の断面積は中間位置横断面S2の断面積よりも大きい。このように、両方の支柱部14a,14bはそれぞれの近傍における挿入部12の断面積が大きいため、安定して挿入部12を両端支持することができる。
【0056】
図5の正面図においては、各支柱部14a,14bの前端側の端面が実線により表わされるとともに、各芯部14c,14eと各円筒状部14d,14fとの境界が破線により表わされる。また、各円筒状部14d,14fのうち、挿入部12とその左右において連続する部分である、左側の第1の支持部14hと右側の第2の支持部14iとが二点鎖線により表わされている。各支持部14h,14iは、それぞれ円筒状部14d,14fにおいて挿入部12と左右方向に隣接する領域を占める。
【0057】
第1の円筒状部14dと、挿入部12と、第2の円筒状部14fとは隣接して、それぞれ各支持部14h,14iにおいて左から順に一体に形成される。そして、各支持部14h,14iは挿入部12を直接に支持する。第1の円筒状部14dと挿入部12の左端とは第1の支持部14hにおいて一体に形成され。また、挿入部12の右端と第2の円筒状部14fとは第2の支持部14iにおいて一体に形成される。
【0058】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0059】
以上のような構成により、本発明の歯間清掃具11は、本実施形態の挿入部12の支柱部近傍横断面S1と中間位置横断面S2との関係のように、一の断面の幅、縦横比、太さなどの寸法と他の横断面の同じく寸法とを異なるものにすることができる。そのため、挿入部の、一方の支柱部からの距離が異なる部分をそれぞれ歯間Cに挿入することによって、横断面が前記の一の横断面であるときと、前記の他の横断面であるときのそれぞれの異なる刷掃効果を得ることができる。これにより、一つの歯間清掃具を用いながら、使用者は一の横断面により得る刷掃効果と他の横断面により得る刷掃効果とを組み合わせて歯間を清掃することができる。
【0060】
また、挿入部12を歯間Cへの挿入時に例えば横断面が中間位置横断面S2であるときの刷掃効果を得た後に、挿入したまま挿入位置を支柱部近傍横断面S1の位置にスライドさせ、今度は横断面が支柱部近傍横断面S1であるときの刷掃効果を得るようなことができる。
【0061】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態を、図7及び図8を用いて説明する。図7(a)(b)において21は歯間清掃具であって、使用者の歯間Cに挿入部22を挿入して歯間Cを清掃することができる。歯間清掃具21は、図7(a)(b)の斜視図が示すように使用者が手で把持可能なハンドル部23と、ハンドル部23から延設される一対の支柱部24とを有する。
【0062】
挿入部22は複数の凸部25a,26aを有する。すなわち、挿入部22は前方の端縁である挿入側端縁22aから歯間Cに挿入されて、挿入側端縁22aと、上面である第1の清掃面22bと、底面である第2の清掃面22cとが歯間Cを擦って清掃する。そして、挿入部22には各清掃面22b,22cに、筋状の凸部である筋状凸部25a又は略半球状の凸部である半球状凸部26aが形成されている。これらの凸部25a,26aは、第1の清掃面22bと第2の清掃面22cとの両方に形成されてもよく、また、第1の清掃面22b及び第2の清掃面22cの何れかに形成されてもよい。さらに、各清掃面22b,22cに、各種類の凸部25a,26aが混ざって形成されてもよい。
【0063】
図7(a)は第1の清掃面22bに筋状の凸部である筋状凸部25aが形成された状態を示す。また、図7(b)は第1の清掃面22bに略半球状の凸部である半球状凸部26aが形成された状態を示す。
【0064】
図8の正面図の例は、各清掃面22b,22cに筋状凸部25a又は半球状凸部26aが形成された状態を示す。
【0065】
図7図8が示すように、凸部25a,26aが清掃面22b,22cに分散して配置されるため、使用者は歯間清掃具21を歯間Cに挿入した状態で図の前後左右に動かすことにより、これらの凸部25a,26aが歯間Cの汚れに断続的に当たり、効果的に汚れの刷掃を行うことができる。筋状の凸部25aが略前後方向に配置されるときは、特に、歯間清掃具21を左右方向に動かすことにより、歯間Cの汚れを効果的に刷掃することができる。
【0066】
また、筋状の凸部25aが前後方向、左右方向のように一定の方向に形成されるときは、これらの凸部25aの形成方向と略直交する方向において多数本の凸部25aを配置することができる。
【0067】
図示しないが、挿入部22は清掃面22b,22cに複数の凹部25b,26bを有していてもよい。凹部25b,26bは筋状凹部25b又は半球状凹部26bであってもよい。この場合も、凸部25a,26aを有するときと同様の効果を得ることができる。
【0068】
その他の構成は、第2の実施形態と共通する。
【0069】
以上のような構成により、挿入部22が複数の凹凸部25,26を有することにより、本発明の歯間清掃具22は、挿入部22を歯間Cにおいて動かすことによって凹凸部25,26が効率的に歯間Cの汚れをかき出し、高い清掃効果を得ることができる。
【0070】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態を、図9図12を用いて説明する。図9において31は歯間清掃具であって、使用者の歯間Cに挿入部32を挿入して歯間Cを清掃することができる。歯間清掃具31は、図9の斜視図が示すように使用者が手で把持可能なハンドル部33と、ハンドル部33から延設される一対の支柱部34とを有する。
【0071】
挿入部32は、その帯状の幅方向である前後方向の前方の端縁であり、歯間Cに挿入される挿入側端縁32aを有する。また、前後方向の反対側の端において上下方向に膨出する反挿入側端部37を有する。
【0072】
反挿入側端部37は、図9及び図11が示すように、挿入部32の後方の端から上向き及び下向きに膨出する。図9は、挿入部32の、第1の支柱部34aと第2の支柱部34bとの略中間位置における中間位置横断面S3を破線で表している。この中間位置横断面S3において、反挿入側端部37は略円形で表わされ、また、反挿入側端部37以外の部分は長方形で表わされる。
【0073】
そして、挿入部32は挿入側端縁32aにおける上下方向の厚さである中間位置板厚t2に比べて、図11が示すように、反挿入側端部37における同じく厚さである反挿入側板厚t3が大きい。なお、挿入側端縁32aから、反挿入側端部37の最前部までの距離である幅を図11のように板薄部幅w1と呼ぶ。
【0074】
このような反挿入側端部37は、例えば、射出成形のための金型によって自在な形状に形成される。しかも、挿入部32のための樹脂を注入するゲートを、反挿入側端部37の左右方向における中央部分に相当する位置に設けることにより、樹脂は先ず反挿入側端部37を通じて左右方向に流れ込み、その上で挿入部32全体に充填される。そのため、挿入部32に反挿入側端部37を設けることによっては、射出成形において樹脂を効率的に金型に充填することができる。
【0075】
その他の構成は、第2の実施形態と共通する。
【0076】
以上の構成により、本発明の歯間清掃具31は使用者が歯間Cに挿入するとき、挿入部32が進入した結果、図12が示すように反挿入側端部37が使用者の歯先Tに当たり、それ以上の挿入部32の進入が制限される。そのため、板薄部幅w1を人の歯の長さよりも短く設定することにより、使用者は挿入側端縁32aが自分の歯茎を傷つけることを心配せず、安心して安全に本発明の歯間清掃具31を使用することができる。
【0077】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態を、図13及び図14を用いて説明する。図13において41は歯間清掃具であって、使用者の歯間Cに挿入部42を挿入して歯間Cを清掃することができる。
【0078】
挿入部42は一対の支柱部44の間に延在するとともに各支柱部44によって支持される。挿入部42はワイヤ状であり、その周面が歯間Cを擦って清掃する。使用者が、挿入部42を歯間Cの隙間に挿入した上で図13の左右方向に往復動させるとき、歯間Cの汚れを狙ってピンポイントに擦って清掃することができるため刷掃効果は高い。
【0079】
また、挿入部42は左側の第1の支柱部44aから近い支柱部近傍横断面S4の寸法と、同じく遠い中間位置横断面S5の寸法とが異なる。これらの横断面S4,S5は図13において破線により表わされる。また、各横断面S4,S5は円形である。ここで、図14(a)が示すような支柱部近傍横断面S4における線径である支柱部近傍線径d1は、図14(b)に示すような中間位置横断面S5における線径である中間位置線径d2よりも大きい。そして、支柱部近傍横断面S4の断面積は中間位置横断面S5の断面積よりも大きい。また、図示をしていないが、挿入部42は第2の支柱部44bの近傍における横断面における線径が中間位置線径d2よりも大きい。そして、第2の支柱部44bの近傍における横断面の断面積は中間位置横断面S5の断面積よりも大きい。このように、両方の支柱部44a,44bはそれぞれ近傍における挿入部42の断面積が大きいため、安定して挿入部42を両端支持することができる。
【0080】
その他の構成は、第2の実施形態と共通する。
【0081】
以上のような構成により、本発明の歯間清掃具41は、ワイヤ状の挿入部44を採用しながらも、挿入部42と、支柱部44の一部であり且つ支持部44h,44iを含む円筒状部44d,44fとが合成樹脂により一体に形成されるため、尖った挿入部の先端が突出するような構造にならず口腔内を傷付ける虞が小さい。
【0082】
また、挿入部44がワイヤ状であっても、円筒状部44d,44fと共に合成樹脂を用いて形成される構造のため、射出成形のような成形加工を行うことができ、金型次第で長手方向の位置によって円形横断面の寸法や形状を変化させることができる。
【0083】
そのため、挿入部42の、一方の支柱部44からの距離が異なる部分をそれぞれ歯間Cに挿入することによって、横断面が一の横断面であるときと、前記一の横断面と寸法や形状が異なる他の横断面であるときとのそれぞれの異なる刷掃効果を得ることができる。これにより、一つの歯間清掃具41を用いながら、使用者は一の横断面により得る刷掃効果と他の横断面により得る刷掃効果とを組み合わせて歯間を清掃することができる。
【0084】
また、挿入部42を歯間Cへの挿入時に例えば横断面が中間位置横断面S5であるときの刷掃効果を得た後に、挿入したまま挿入位置を支柱部近傍横断面S4の位置にスライドさせ、今度は横断面が支柱部近傍横断面S4であるときの刷掃効果を得るようなことができる。
【0085】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態を、図15及び図16を用いて説明する。図15において51は歯間清掃具であって、使用者の歯間Cに挿入部52を挿入して歯間Cを清掃することができる。
【0086】
歯間清掃具51は、図15の斜視図が示すように使用者が手で把持可能なハンドル部53と、ハンドル部53から延設される一対の支柱部54とを有する。
【0087】
図16の正面図においては、各支柱部54a,54bの前端側の端面が実線により表わされている。また、各支柱部54a,54bのうち、挿入部52とその左右において連続する部分である第1の支持部54hと第2の支持部54iとが二点鎖線により表わされる。各支持部54h,54iは、それぞれ支柱部54a,54bにおいて挿入部52と左右方向に隣接するとともに、正面視において各支柱部54a,54bの中心線に近付く向きに広がるような扇形の領域を示す。
【0088】
支柱部54と挿入部52とは同一の材質によって一体に形成される。これにより、歯間清掃具51全体は射出成形された合成樹脂製の成形品により構成される。例えば、歯間清掃具51をシリコンのような柔らかい樹脂で形成する場合は、口腔内の部位を傷つけることなく挿入部52を歯間Cに挿入することができ、かつ、ハンドル部53や支柱部54によって喉などを突いて傷つけてしまうような怪我を低減することができる。
【0089】
第1の支持部54dと、挿入部52と、第2の支持部54fとは隣接して、図15が示すように左から順に一体に形成される。これにより、各支持部54d,54fは挿入部52を直接に支持する。第1の支持部54dと挿入部52の左端とは一体に形成され、上下の2箇所において、これらの間に谷部52v,52vが形成される。また、挿入部52の右端と第2の支持部54fとは一体して形成され、同じくこれらの間に谷部52v,52vが形成される。
【0090】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0091】
以上のような構成により、本発明の歯間清掃具51は、支柱部54と挿入部52とが一体に形成され、かつ、同一の材質によって形成されるため、支柱部54と挿入部52とは最初から一つのパーツとして射出成形のような成形加工によって製作することができる。このように、支柱部54と挿入部52とが一つのパーツとして形成されるため、挿入部52は支柱部54から離脱する虞がより小さく、また、先端が突出するような構造を採らないために口腔内を傷付ける虞がより小さい。
【0092】
さらに、支柱部54と挿入部52とが一つのパーツとして形成されるため、製作者にとって成形加工の工程を簡素に済ませることができる。
【0093】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態を、図17及び図18を用いて説明する。図17において61は歯間清掃具であって、使用者の歯間Cに挿入部62を挿入して歯間Cを清掃することができる。歯間清掃具61は、図17の斜視図が示すように使用者が手で把持可能なハンドル部63と、ハンドル部63から延設される一対の支柱部64とを有する。
【0094】
挿入部62は一対の支柱部64の間に延在するとともに各支柱部64によって支持される。挿入部62は、図18(a)に示す第1の支柱部64aから近い支柱部近傍横断面S6の寸法と、図18(b)に示す同じく遠い中間位置横断面S7の寸法とが異なる。ここで、支柱部近傍横断面S6は第1の支柱部64aの近傍における横断面であり、他方で、中間位置横断面S7は第1の支柱部64aと第2の支柱部64bとの略中間位置における横断面である。図17において、各横断面S6,S7は破線により表わす。
【0095】
そして、挿入部62は支柱部近傍横断面S6及び中間位置横断面S7における前後方向の幅である前後幅wが同一であるのに対して、図18(a)(b)が示すように支柱部近傍横断面S6における上下方向の厚さである支柱部近傍板厚t4が、中間位置横断面S7における上下方向の厚さである中間位置板厚t5よりも大きい。このように、支柱部近傍横断面S6の寸法と中間位置横断面S7の寸法とは相違する。また、支柱部近傍横断面S6の断面積は中間位置横断面S7の断面積よりも大きい。
【0096】
また、図示をしていないが、挿入部62は第2の支柱部64bの近傍における横断面における上下方向の厚さである板厚が中間位置板厚t5よりも大きい。そして、第2の支柱部64bの近傍における横断面の断面積は中間位置横断面S7の断面積よりも大きい。このように、両方の支柱部64a,64bはそれぞれの近傍における挿入部62の断面積が大きいため、安定して挿入部62を両端支持することができる。
【0097】
その他の構成は、第6の実施形態と共通する。
【0098】
以上のような構成により、本発明の歯間清掃具61は、本実施形態の挿入部62の支柱部近傍横断面S6と中間位置横断面S7との関係のように、一の断面の幅、縦横比、太さなどの寸法と他の横断面の同じく寸法とを異なるものにすることができる。そのため、挿入部の、一方の支柱部からの距離が異なる部分をそれぞれ歯間Cに挿入することによって、横断面が前記の一の横断面であるときと、前記の他の横断面であるときのそれぞれの異なる刷掃効果を得ることができる。これにより、一つの歯間清掃具を用いながら、使用者は一の横断面により得る刷掃効果と他の横断面により得る刷掃効果とを組み合わせて歯間を清掃することができる。
【0099】
また、挿入部62を歯間Cへの挿入時に例えば横断面が中間位置横断面S7であるときの刷掃効果を得た後に、挿入したまま挿入位置を支柱部近傍横断面S6の位置にスライドさせ、今度は横断面が支柱部近傍横断面S6であるときの刷掃効果を得るようなことができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0101】
例えば、支柱部は円柱以外の形状でもよく、挿入部を確実に支持することができれば、楕円柱、長円柱、角柱等の形状でもよい。
【0102】
凸部や凹部は筋状又は半球状以外の形状でもよく、歯間Cの汚れを効率的に刷掃することができれば、例えば立方体、錐形、錐台形等の形状でもよい。
【0103】
反挿入側端部は、必ずしも上向き及び下向きの両方に膨出しなくともよく、挿入部の進入を制限することができれば、上向き又は下向きの一方に膨出するだけでもよい。また、反挿入側端部は横断面が略円形を描く形状以外の形状でもよく、例えば、横断面が楕円、長円、多角形等の図形を描く形状でもよい。
【0104】
ワイヤ状の挿入部は、横断面が円形を描く形状以外の形状でもよく、歯間Cの汚れを効率的に刷掃することができれば、楕円、長円、多角形等の図形を描く形状でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、使用者の歯間の汚れを刷掃するための、合成樹脂製の歯間清掃具に利用できる。
【符号の説明】
【0106】
1,11,21,31,41,51,61 歯間清掃具
2,12,22,32,42,52,62 挿入部
2a,12a,22a,32a,52a,62a 挿入側端縁
3,13,23,33,43,53,63 ハンドル部
4,14,24,34,44,54,64 支柱部
4d,14d,24d,34d,44d 第1の円筒状部
4f,14f,24f,34f,44f 第2の円筒状部
4h,14h,24h,34h,44h,54h,64h 第1の支持部
4i,14i,24i,34i,44i,54i,64i 第2の支持部
25a 筋状凸部
25b 筋状凹部
26a 半球状凸部
26b 半球状凹部
37 反挿入側端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18