(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20241213BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/12 E
(21)【出願番号】P 2021052754
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】有村 淳一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩也
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋也
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-196500(JP,A)
【文献】実開昭58-134796(JP,U)
【文献】特開2010-144941(JP,A)
【文献】特開2004-308976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前部に固定されるパネル部と、前記パネル部に設けられた貫通孔を挿通して設けられ、前記筐体の上部に設けられたコンロバーナの点火と消火の操作を行う為の点消火ボタンとを備え、前記点消火ボタンは、正面視円形の前面部と、前記前面部の周縁部から後方に延びる筒部とを備えるコンロにおいて、
前記点消火ボタンは、透光性を有する樹脂部材で形成され、
前記前面部の裏面と前記筒部の内周面には、金属
蒸着膜で形成された第一金属膜部が設けられたこと
を特徴とするコンロ。
【請求項2】
前記第一金属膜部のうち前記前面部の前記裏面に設けられる部分である裏面部分は、少なくとも前記コンロバーナが消火している場合に、前記パネル部の前面の位置に対応して配置されることを特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
前記コンロは、前記筐体内に設けられ、前記コンロバーナへのガス供給量を調整するガス調整部を備え、前記点消火ボタンが、前記コンロバーナが燃焼状態にあるときに前記貫通孔から前方に突出する突出姿勢の状態となり、且つ回転操作されることで前記ガス調整部を駆動し、前記コンロバーナへの前記ガス供給量を調整するものであって、
前記パネル部は、
前記貫通孔を備えた本体部と、
前記本体部の前面に装着される化粧パネルと、
前記本体部における前記貫通孔の上側に設けられ、前記突出姿勢にあるときの前記点消火ボタンの前記筒部の後端側の基部に向けて光を照射する発光部と
を備え、
前記基部の外周面には、前記点消火ボタンが前記突出姿勢にあるときに、その後端側が前記化粧パネルよりも後側に位置し、前端側が前記化粧パネルよりも前側に露出するように配置され、前記発光部から照射された光を前方に導く為の導光部材を固定する為の固定部が設けられ、
前記固定部の表面には、金属
蒸着膜で形成された第二金属膜部が設けられたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載のコンロ。
【請求項4】
前記前面部の前記裏面には、模様が形成されたこと
を特徴とする請求項1から
3の何れか一に記載のコンロ。
【請求項5】
前記点消火ボタンの前記前面部の表面は、中央が後方に窪んだ凹形状であること
を特徴とする請求項1から
4の何れか一に記載のコンロ。
【請求項6】
前記前面部の前記裏面は、前記パネル部の前面に平行な平面であることを特徴とする請求項
5に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロバーナへの燃料の供給量を調節可能な操作つまみを用いた点火動作に応じて、コンロバーナに点火するコンロが知られている。特許文献1に開示されたガスコンロは、点火ボタンとして機能する操作つまみの押込操作に合わせて前後方向に移動するプッシュ・プッシュ機構を有する燃料供給装置を備える。操作つまみが後方に向けて押し込まれる押込操作が行われる度、操作つまみは待機位置から押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から押込位置を経て待機位置に移動する動作とを繰り返す。待機位置は、操作つまみの先端面が筐体の前面とほぼ同じ位置となる位置であり、押込位置は、操作つまみの先端面が、筐体の前面よりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみが待機位置から押込位置に移動する過程で、燃料供給装置の安全弁とメイン弁が開放され、イグナイタ(図示略)によってコンロバーナが点火される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用者は、待機位置の操作つまみの先端面が筐体の前面と同じ位置にあるよりも、筐体の前面よりもわずかに突出した位置にある方が、押込操作を容易に行うことができる。また、燃料供給装置は前後方向に長さを有するため、操作つまみの先端面を筐体の前面よりも前方に突出させて配置せざるを得ない場合もある。しかしながら、操作つまみが筐体の前面よりも突出することで、操作つまみが筐体の前面に対して目立ってしまうといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、コンロバーナの点火と消火の操作を行う為の点消火ボタンが筐体の前面から突出していても、突出していることが目立ちにくいコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るコンロは、筐体の前部に固定されるパネル部と、前記パネル部に設けられた貫通孔を挿通して設けられ、前記筐体の上部に設けられたコンロバーナの点火と消火の操作を行う為の点消火ボタンとを備え、前記点消火ボタンは、正面視円形の前面部と、前記前面部の周縁部から後方に延びる筒部とを備えるコンロにおいて、前記点消火ボタンは、透光性を有する樹脂部材で形成され、前記前面部の裏面と前記筒部の内周面には、金属蒸着膜で形成された第一金属膜部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の構成に加えて、前記第一金属膜部のうち前記前面部の前記裏面に設けられる部分である裏面部分は、少なくとも前記コンロバーナが消火している場合に、前記パネル部の前面の位置に対応して配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係るコンロは、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記コンロは、前記筐体内に設けられ、前記コンロバーナへのガス供給量を調整するガス調整部を備え、前記点消火ボタンが、前記コンロバーナが燃焼状態にあるときに前記貫通孔から前方に突出する突出姿勢の状態となり、且つ回転操作されることで前記ガス調整部を駆動し、前記コンロバーナへの前記ガス供給量を調整するものであって、前記パネル部は、前記貫通孔を備えた本体部と、前記本体部の前面に装着される化粧パネルと、前記本体部における前記貫通孔の上側に設けられ、前記突出姿勢にあるときの前記点消火ボタンの前記筒部の後端側の基部に向けて光を照射する発光部と備え、前記基部の外周面には、前記点消火ボタンが前記突出姿勢にあるときに、その後端側が前記化粧パネルよりも後側に位置し、前端側が前記化粧パネルよりも前側に露出するように配置され、前記発光部から照射された光を前方に導く為の導光部材を固定する為の固定部が設けられ、前記固定部の表面には、金属蒸着膜で形成された第二金属膜部が設けられたことを特徴とする。
【0009】
【0010】
請求項4に係るコンロは、請求項1から3の何れか一に記載の構成に加えて、前記前面部の前記裏面には、模様が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係るコンロは、請求項1から4の何れか一に記載の構成に加えて、前記点消火ボタンの前記前面部の表面は、中央が後方に窪んだ凹形状であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係るコンロは、請求項5に記載の構成に加えて、前記前面部の前記裏面は、前記パネル部の前面に平行な平面であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
点消火ボタンの前面部の表面がパネル部の前面から突出している場合であっても、使用者の目に入り易い裏面側の第一金属膜部は、やや奥まった位置に存在する。これにより、請求項1に係るコンロは、使用者に与える点消火ボタンの突出感を軽減できる。また、第一金属膜部は金属蒸着膜であるので、第一金属膜部が点火ボタンから剥離するのを防止できる。
【0014】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の発明の効果に加え、点消火ボタンの前面とパネル部の前面とが外観上同一位置に揃って見えるので、ユーザに平面的な印象を与えることができる。
【0015】
点火ボタンが透光性を有すると、導光部材に光を照射しても光が点消火ボタン内に拡散して、狙った位置を光らせることができない。請求項3に係るコンロは、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、導光部材の固定部の表面に第二金属膜部を設けることで、光が点消火ボタン内に拡散するのを防止できるので、導光部材を良好に光らせることができる。また、第二金属膜部は金属蒸着膜であるので、第二金属膜部が点火ボタンから剥離するのを防止できる。
【0016】
【0017】
請求項4に係るコンロは、請求項1から3の何れか一に記載の発明の効果に加え、点消火ボタンの前面部において、金属板に模様を施したような高価な質感を付与できる。模様とは、例えば、図、絵、形であって、文字であってもよい。また、模様の一例として、スピンドル模様であってもよい。この場合、点消火ボタンの前面部に、スピンドル加工の質感を付与できる。また、樹脂部材にスピンドル加工を施した金属板を貼り付ける一般的な手法に比べ、金属板への加工が不要なので安価に済む。また、前面部の表面に凹凸が無いので、手入れが容易である。
【0018】
請求項5に係るコンロは、請求項1から4の何れか一に記載の発明の効果に加え、点消火ボタンの前面部の表面が凹形状なので、使用者が指で押し易く、操作性が向上する。
【0019】
請求項6に係るコンロは、請求項5に記載の発明の効果に加え、点消火ボタンの操作性が向上するとともに、点消火ボタンの前面とパネル部の前面とが同じ位置に揃うような外観を提供できるので、コンロの美観が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】操作つまみ13の本体部131の斜視図である。
【
図6】操作つまみ13における火力表示の動作原理を説明する説明図である。
【
図7】
図6からパネル装置9Bを省略した説明図である。
【
図8】
図6のパネル装置9B及び燃料供給装置20を左方から見た断面図である。
【
図9】操作つまみ13が待機位置にある状態を説明する説明図である。
【
図10】変形例の操作つまみ13を説明する説明図である。
【
図11】第一裏面部134Aに模様P2が形成された変形例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造等は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0022】
図1を参照して、コンロ1について説明する。コンロ1は、ビルトインタイプのガスコンロである。コンロ1は筐体2と天板3とを備える。筐体2は、上部が開口した略直方体状に形成される。天板3は、筐体2の開口部分に設置される。天板3において、右前部に右バーナ4、左前部に左バーナ5、中央部に奥バーナ6が、それぞれ設けられる。天板3の後部には、筐体2の内部に設置されたグリル庫(図示略)の使用時にグリル庫の内部に生ずる燃焼排気を外部に排出する排気口7が設けられる。
【0023】
コンロ1の前面の略中央には、グリル庫の前側開口部分を開閉するグリル扉8が設けられる。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11,12が左右方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11,12と同じ高さの位置に、同一形状の2つの操作つまみ13,14が左右方向に並んで設けられる。操作つまみ11,12,13,14のそれぞれは、右バーナ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥バーナ6、左バーナ5の点火、消火、及び火力調節を行うために設けられる。
【0024】
図2を参照して、燃料供給装置20について説明する。コンロ1は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6のそれぞれに燃料であるガスを供給する3つの燃料供給装置20を、筐体2の内部に備える。操作つまみ11,13,14は、それぞれ、燃料供給装置20の前端部に取り付けられる。コンロ1は、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置(図示略)も、筐体2の内部に備える。グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置は、燃料供給装置20の構成に加えて、グリルバーナの火力を弱火力と強火力とに切替えるための電磁弁、グリルバーナに供給するガス圧を調節するためのガバナ装置等を備える。操作つまみ12は、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置の前端部に取り付けられる。グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置については、説明を省略する。以下では、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20及び奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20に対応する操作つまみ13について説明する。本発明が実現する、後述する操作つまみ13における奥バーナ6の火力表示は、操作つまみ11,12,14における右バーナ4、グリルバーナ、左バーナ5の火力表示においても同様に行われる。以下では、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6及びグリルバーナを総称して、単に「バーナ」という。
【0025】
操作つまみ13は、前端部を覆う正面視円形の平面部である前面134と、前面134の周縁部から後方に延びる筒状の外周部132とを有した、前後方向に延びる円筒形状の本体部131を備える。燃料供給装置20は、操作つまみ13の押込操作に応じて奥バーナ6の点火及び消火を行い、操作つまみ13の回動操作に応じて奥バーナ6へのガスの供給量の調節を行う。押込操作は、操作つまみ13を後方へ押圧し、操作つまみ13の前面134をコンロ1の筐体2の前面F(パネル装置9Bの前面、
図1参照)よりも後方に押し込む操作である。回動操作は、操作つまみ13の外周部132を指等で摘まみ、前後方向に延びる軸(軸心AX)を中心に操作つまみ13を回転する操作である。
【0026】
燃料供給装置20は、プッシュ・プッシュ機構24、ガス流路部22、火力調節カム26、流量調節部31、連結部材25、中火ガイド90等を備える。プッシュ・プッシュ機構24は、公知の機構であり、本実施形態では、操作つまみ13を待機位置、押込位置、操作位置の各位置にて位置決めし、各位置に応じて後述するメイン弁(図示略)を開放状態又は閉鎖状態に維持するために用いられる。待機位置は、操作つまみ13の前面134が、コンロ1の筐体2の前面Fと前後方向においてほぼ同じ位置となる位置である。待機位置において、操作つまみ13の前面134は、前面Fよりも僅かに後側に位置してもよいし、前面Fよりも僅かに前側に位置してもよい。押込位置は、操作つまみ13の前面134が、前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。押込位置において、操作つまみ13は待機位置よりも後方に位置する。操作位置は、操作つまみ13の後端部133が前面Fよりも後方に位置するとともに、操作つまみ13の本体部131の大部分が前面Fよりも前方に突出する位置である。操作位置において、操作つまみ13は待機位置よりも前方に位置する。操作つまみ13は、操作位置にある場合、軸心AXを中心に回転可能(回動操作可能)である。
【0027】
プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ13の押込操作に合わせて前後方向に移動するスライダ40、スライダ40を前方へ押し戻すバネ(図示略)、メイン弁を駆動する弁駆動部(図示略)等を備える。スライダ40は、操作つまみ13が押込操作される度に、操作つまみ13を待機位置から押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から押込位置を経て待機位置に移動する動作とを繰り返す。弁駆動部は、操作つまみ13が待機位置から操作位置に移動する動作に連動してメイン弁を開放し、且つ開放状態に維持する動作を行い、操作つまみ13が操作位置から待機位置に移動する動作に連動してメイン弁を閉鎖し、且つ閉鎖状態に維持する動作を行う。
【0028】
ガス流路部22は、プッシュ・プッシュ機構24の後側に連結される。ガス流路部22の内部には第一ガス通路(図示略)が形成される。第一ガス通路は、下部に開口する導入口23に接続するガス供給管(図示略)から供給されるガスを、流量調節部31に流通する。第一ガス通路には安全弁(図示略)とメイン弁(図示略)とが設けられる。安全弁は、第一ガス通路を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式の弁である。メイン弁は、操作つまみ13の押込操作に応じて第一ガス通路の開閉を行う弁である。なお、メイン弁及び安全弁は周知のものであるので、動作の詳細な説明は省略する。
【0029】
流量調節部31はプッシュ・プッシュ機構24とガス流路部22との上部に設けられる。流量調節部31の内部には第二ガス通路(図示略)が形成される。第二ガス通路は、ガス流路部22から供給されるガスを流通し、上部に開口する流出口(図示略)に接続されるガス供給管(図示略)を介して奥バーナ6に供給する。なお、図示しないが、グリルバーナにガスを供給する燃料供給装置の上側にはガバナ装置が設けられ、流出口から流出するガスがガバナ装置の内部に導入される。ガバナ装置は、内部に導入したガスの圧力を調節してグリルバーナに供給する。
【0030】
流量調節部31の前端部には第二ガス通路に連通する穴部30が形成され、ニードル弁28が挿入される。ニードル弁28は、前端部側が穴部30から外部に露出され、後端部側が第二ガス通路内にて前後方向に移動可能に配置される。ニードル弁28の前端部には、上下方向に延びるピン29が設けられる。
【0031】
火力調節カム26は略半円筒状に形成され、プッシュ・プッシュ機構24の前端側上部を覆うようにして、軸心AXの周りを回転可能に設けられる。火力調節カム26は、前後方向への移動が規制される。火力調節カム26の外周部には、カム溝27が設けられる。カム溝27は、軸心AXを中心とする螺旋状に形成される。カム溝27にはニードル弁28に設けられたピン29の下端部が係合する。火力調節カム26が回転すると、カム溝27がピン29を案内し、ニードル弁28を前後方向に移動する。
【0032】
火力調節カム26は、前方に延びる延伸部34を備え、延伸部34の前端部分に、内向きに突出する歯部35を有する。操作つまみ13が操作位置にある場合、歯部35は連結部材25の歯部38(後述)に噛み合い、連結部材25を介して火力調節カム26を操作つまみ13とともに軸心AXを中心に回転する。延伸部34の外周面には、筒状体操作部材36が固定される。筒状体操作部材36は、前方に延びる係合片36Bを有する。筒状体操作部材36は筒状体70(後述)に係合し、筒状体70を火力調節カム26とともに軸心AXを中心に回転する。延伸部34は、途中で狭窄するテーパ部34Aを備える。操作つまみ13に対する押込操作がなされる場合、テーパ部34Aは中火ガイド90に係合し、中火ガイド90を回転する。
【0033】
連結部材25は、プッシュ・プッシュ機構24のスライダ40から前方に延び、軸心AXを軸とする軸体37に係合する。連結部材25は軸体37の前端部に保持され、軸心AXを中心に軸体37の周囲を回転可能な状態で、スライダ40とともに前後方向へ移動可能に設けられる。操作つまみ13は連結部材25の先端部25Aに保持され、連結部材25とともに前後方向へ移動可能、且つ軸心AXを中心に回転可能に設けられる。連結部材25は、火力調節カム26の歯部35に噛み合う歯38Aを複数有する歯部38を、後端部の外周面に有する。操作つまみ13が操作位置にある場合、連結部材25の歯部38は火力調節カム26の歯部35と噛み合い、操作つまみ13と火力調節カム26とを連結する。操作つまみ13が操作位置にない場合、火力調節カム26の歯部35は連結部材25の歯部38の前方に位置して歯部38と噛み合わず、操作つまみ13と火力調節カム26との連結状態を解除する。
【0034】
中火ガイド90は連結部材25の後側に配置される。中火ガイド90はスライダ40の軸体37に固定されて、スライダ40とともに前後方向へ移動可能に設けられる。中火ガイド90は、固定部91、半鍔部92、案内部93を有する。固定部91は筒状であり、中火ガイド90を軸体37に固定する。半鍔部92は固定部91の前端部のうち下側の部分から径方向外向きに鍔状に突出する。連結部材25は半鍔部92の前面に対して回転可能に設けられる。
【0035】
案内部93は略筒状であり、下側部分の後端部内面が半鍔部92の外周部分に接続する。案内部93の上側部分は下側部分よりも大径に設けられ、後端部内面と固定部91の前端部のうち上側の部分との間に開口部94が形成される。開口部94には、火力調節カム26の延伸部34のテーパ部34Aが挿通される。案内部93の下側部分の内径は、連結部材25の歯部38の最大径よりも大きい。また、案内部93の上側部分の上面には、案内突起95が設けられる。案内突起95は、筒状体操作部材36の下面に設けられる溝部36Aに係合する。
【0036】
操作つまみ13の押込操作及び回動操作による奥バーナ6の点火及び消火と火力の調節について説明する。奥バーナ6が消火している場合、操作つまみ13は待機位置にある。コンロ1の使用者が待機位置にある操作つまみ13を押し込み、操作つまみ13が押込位置に移動する過程で、安全弁とメイン弁が開放され、イグナイタ(図示略)によって奥バーナ6が点火される。使用者が押込位置にある操作つまみ13から手を離すと、プッシュ・プッシュ機構24のバネがスライダ40を前方へ押し戻すことに応じて、操作つまみ13が操作位置に移動する。安全弁とメイン弁は開放状態に維持される。連結部材25によって、操作つまみ13と火力調節カム26とが連結される。
【0037】
操作位置にある操作つまみ13が回動操作されると、連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35と噛み合った状態で、火力調節カム26が操作つまみ13とともに軸心AXの周りを回転する。火力調節カム26が回転すると、ニードル弁28のピン29がカム溝27に案内されて、前後方向に移動する。これにより、ニードル弁28が前後方向に移動する。ニードル弁28の位置に応じて、第二ガス通路を流通するガスの流量が調節され、奥バーナ6の火力が変更される。
【0038】
使用者が操作位置にある操作つまみ13を押し込み、操作つまみ13が押込位置に移動する過程で、安全弁とメイン弁とが閉鎖される。奥バーナ6は消火する。使用者が押込位置にある操作つまみ13から手を離すと、プッシュ・プッシュ機構24のバネがスライダ40を前方へ押し戻すことに応じて、操作つまみ13が待機位置に移動する。安全弁とメイン弁は閉鎖状態に維持される。
【0039】
このように、操作位置にある操作つまみ13の回動操作に伴い、連結部材25が火力調節カム26を回転させる。回転する火力調節カム26がニードル弁28を移動することによって、流量調節部31の第二ガス通路を流通するガスの流量が無段階に調節される。すなわち、操作つまみ13の回転量に応じて連結部材25が奥バーナ6へのガスの供給量を調節し、奥バーナ6へのガスの供給量に応じて奥バーナ6の火力が変化する。操作つまみ11,12,14の押込操作及び回動操作による右バーナ4、グリルバーナ、左バーナ5の点火及び消火と火力の調節についても同様である。
【0040】
次いで、パネル装置9Bについて説明する。コンロ1は、グリル扉8の右側の領域にパネル装置9Aを備え、グリル扉8の左側の領域にパネル装置9Bを備える(
図1参照)。パネル装置9A,9Bは、筐体2の前面Fに操作つまみ11~14を配置するために設けられる。パネル装置9A,9Bは、燃料供給装置20の前方において筐体2に固定され、グリル扉8とともに筐体2の前面Fを構成する。
【0041】
図3を参照して、パネル装置9Bについて説明する。なお、操作つまみ13における火力表示に係るパネル装置9Bの構成は、操作つまみ14におけるものと同様である。また、操作つまみ11,12における火力表示に係るパネル装置9Aの構成は、パネル装置9Bの構成と同様であるので、説明を省略する。
【0042】
パネル装置9Bは、パネル本体部50、光源基板60、筒状体70、化粧パネル80を備える。パネル本体部50は、筐体2の前端部に組み付けられる。パネル本体部50の下側部分51は箱型に形成され、使用者が調理内容に応じた火力制御の選択等の入力、タイマ設定等を行うための操作パネル(図示略)が収容される。パネル本体部50の上側部分52は、下側部分51から上方に向けて板状に突出する。上側部分52には、前後方向に貫通する2つの貫通穴53が左右方向に並んで形成される。2つの貫通穴53の上部には、貫通穴53と同様にパネル本体部50の上側部分52を前後方向に矩形状に貫通する切欠部54が形成される。貫通穴53の内径は、操作つまみ13,14の外径より大きい。奥バーナ6の燃料供給装置20は、パネル本体部50の上側部分52に後側から固定される。奥バーナ6の燃料供給装置20の連結部材25と操作つまみ13とは、右側の貫通穴53内に配置される。なお、左バーナ5の燃料供給装置20は、奥バーナ6の燃料供給装置20の左側に並んで配置され、パネル本体部50の上側部分52に後側から固定される(図示略)。
【0043】
上側部分52の後面には、光源基板60が固定される。光源基板60は、光源であるLED61(
図7参照)を複数実装する実装面が、左右方向に長い略矩形状に形成される基板である。光源基板60は、光源基板60を保持する基板ホルダ62に保持される。基板ホルダ62は、複数のネジ63によって、貫通穴53よりも上方の位置において、上側部分52の後面に対して固定される。
【0044】
化粧パネル80は、パネル本体部50の上側部分52の前側に組み付けられる板状体である。化粧パネル80は、前後方向に貫通する2つの開口部86と、それぞれの開口部86の上部に配置される透光部81とを備える。化粧パネル80は正面視略長方形状であり、上端部にスライドロック85を備える。化粧パネル80がパネル本体部50の上側部分52に組み付けられた状態において、スライドロック85が右側にスライドされると、化粧パネル80がパネル本体部50に固定される。
【0045】
2つの開口部86は左右方向に並んで形成される。2つの開口部86の内径は、それぞれ、操作つまみ13,14の外径より大きい。2つの開口部86内にはそれぞれ、操作つまみ13,14が配置される。透光部81は、化粧パネル80がパネル本体部50の上側部分52に組み付けられた状態において、光源基板60の前方に設けられる。
【0046】
図2及び
図3を参照して、筒状体70の詳細について説明する。筒状体70は、本体部71とフランジ部76とを備える。本体部71は、前後方向に延びる円筒状である。本体部71の外径は、パネル本体部50の貫通穴53の内径よりも小さい。本体部71の内径は、操作つまみ11,12,13,14の外径よりも大きい(
図3参照)。本体部71の前端部には、光通過部77が形成される。光通過部77は、本体部71の前端部のうちほぼ半分が後方に所定の幅で切り欠かれた部位である。
【0047】
フランジ部76は、本体部71の前端部のうち光通過部77が設けられない部分において、径方向外向きに鍔状に形成される。本体部71は、周方向の2か所に(
図2参照)、パネル本体部50の貫通穴53の縁部に対して後側から掛け留めされるフック片75を備える。貫通穴53の縁部の前面に当接するフランジ部76と、フック片75とによって、筒状体70は本体部71が貫通穴53内に配置された状態で抜け止めされ、且つ貫通穴53内で軸心AXを中心に回転可能に保持される。本体部71において2つのフック片75の間の位置に係合部74が設けられる。係合部74は、筒状体操作部材36の先端部に設けた係合片36B(
図2参照)に係合する。本体部71において、係合部74を周方向の両側から挟む部分はそれぞれ後方へ延び、係合片36Bを外れにくくする。
【0048】
図4を参照して、操作つまみ13の詳細について説明する。操作つまみ13は、本体部131、導光部136、固定部139を備える。本体部131の外周部132には、前後方向に延びる平面である平面部135が複数設けられる。平面部135は、その法線を円筒形状の外周部132の径方向に沿って等間隔に配置する。すなわち、平面部135は、本体部131の外周部132に対する接線に沿って前後方向に延びる複数の面部のそれぞれである。
【0049】
本体部131の後端部133は、平面部135の後端部133Aと、固定部133Bとを、周方向に交互に備える。固定部133Bの先端部は、後述する導光部136の突出部138Aと同じ形状で、後端部133Aに対して窪んでいる。固定部133Bの後端部は、導光部136の後方配置部137がちょうど嵌る円環状である。固定部133Bは、導光部136を嵌め込むことで導光部136を本体部131に対して固定する為の部分である。なお、後端部133(後端部133A及び固定部133Bの双方)の表面(外側面)には、金属膜部Nが設けられる。金属膜部Nは、後端部133に対して金属蒸着が施されることによって設けられる、金属蒸着膜である。
【0050】
導光部136は、導光材料を用いて構成される。導光部136は、導光材料として、アクリル系樹脂等、透明性を有して光を導くことのできる材料を採用できる。導光材料を板状に形成した板状体は、板状体の端面(小口)から入射した光を内部で拡散させることによって、板状体の表面の任意の一部又は全体に導光する。導光部136は、後方配置部137と、前方配置部138とを備える。後方配置部137は、本体部131の後端部133の外径とほぼ同じ内径を有する円環状である。前方配置部138は、後方配置部137から前方に向けて櫛歯状に等間隔に突出する突出部138Aを複数備える。後方配置部137は、操作つまみ13が操作位置にある場合、パネル本体部50の上側部分52よりも後方(化粧パネル80よりも後方)に配置される。前方配置部138は、操作つまみ13が操作位置にある場合、後方配置部137に近接する部分を除く大部分が、化粧パネル80よりも前方(筐体2の前面Fよりも前方)に配置される。
【0051】
後方配置部137及び前方配置部138は、ともに導光材料を板状に形成した板状体の表面を外周面とする。導光部136に用いられる導光材料を用いた板状体は、端面から光が入射された場合、入射された入射光が表面の全体に導光され、表面の全体が均一に発光するように構成されている。導光部136は、本体部131の後端部133に組み付けられる。突出部138Aの数は、連結部材25の歯部35の歯38Aの数と同じである。また、本体部131の外周部132における平面部135の数と、前方配置部138における突出部138Aの数とは同じである。本体部131の後端部133に導光部136が組み付けられた状態において、後方配置部137は本体部131の後端部133の外側を環状に覆う。前方配置部138の突出部138Aのそれぞれは、固定部133Bの先端部に嵌まる。これにより、導光部136は、本体部131に対して回り止めされた状態で本体部131に固定される。導光部136は、本体部131の後端部133に設けられる金属膜部Nの外側に配置される。突出部138Aは、2つの平面部135同士の間の位置に挟まれ、前後方向に延びるように配置される。
【0052】
固定部139は、導光部136を本体部131に固定するとともに、操作つまみ13を連結部材25の先端部25Aに保持させるための部品である。固定部139は円筒状であり、円筒状の側面139Aの外径は、本体部131の側面の内径とほぼ同じである。導光部136が本体部131の後端部133に組み付けられた状態で、固定部139が後方から本体部131の内側に挿入される。側面139Aは、本体部131の内側に係合するフック片139Bを備える。固定部139の後端部には、固定部139が本体部131の内側に挿入された状態で本体部131の後端部133に当接するフランジ部139Cが設けられる。フック片139Bとフランジ部139Cとによって、固定部139及び導光部136が本体部131に組み付けられた状態で抜け止めされる。固定部139の内側は、連結部材25の先端部25Aを保持する保持部(図示略)を備える。連結部材25は、先端部25Aにおいて操作つまみ13を一体に固定する。
【0053】
図5を参照して、操作つまみ13の本体部131の詳細について説明する。本体部131は透光性を有する合成樹脂で形成されている。本実施形態では、本体部131は、無色透明である。前面134の裏面である第一裏面部134Aは、前面134とほぼ同じ大きさの円形の平面部である。第一裏面部134Aは、鉛直方向に延びる。外周部132の裏面(内周面)である第二裏面部132Aは、第一裏面部134Aの外周縁から後方に延びる筒状である。なお、本体部131の後端部133には、固定部139のフック片139B(
図4参照)が係合するための貫通穴141が設けられる。
【0054】
第一裏面部134Aの表面には、模様P1が形成される。模様P1は、第一裏面部134Aの中心点を中心にした半径の異なる同心円状の微細な凹凸が、第一裏面部134Aの表面に設けられることによって形成される。複数の同心円は、後述するスピンドル模様に基づく質感が現れるよう、等ピッチで又は微妙に異なるピッチで設けられる。本実施形態では、本体部131は射出成型によって形成される。模様P1は、射出形成金型のうち第一裏面部134Aの表面を形成するための部分にエッチング加工等によって設けられる微細な模様が、第一裏面部134Aに転写されることによって形成される。なお、模様P1は微細な凹凸であるので、模様P1が形成される第一裏面部134Aの表面は平面性を失っていない。なお、
図5から
図7及び
図9において、図示の都合上、模様P1を実際よりも強調して示している。
【0055】
さらに、模様P1が形成される第一裏面部134Aの表面には、金属膜部M1が設けられる。また、第二裏面部132Aの表面には、金属膜部M2が設けられる。金属膜部M1,M2は、第一裏面部134A及び第二裏面部132Aに対して金属蒸着が施されることによって設けられる金属薄膜である。金属膜部M1,M2は、本体部131の内側全体に対して金属蒸着が施されることによって、同時に形成される。金属膜部M1,M2を総称する場合、金属膜部Mという。
【0056】
図6及び
図7を参照して、操作つまみ13における火力表示について説明する。
図6及び
図7において、操作つまみ13は操作位置にある。光源基板60は、LED61が実装される実装面が正面よりも下方を向くように傾斜した状態で設置される。光源基板60の複数のLED61は、安全弁の開放時に全てが点灯する。複数のLED61は、実装面に対して垂直方向に光を出射する。したがって、LED61から出射する出射光は、操作つまみ13の後端部133のうち上側の部分に向けて、光源基板60から斜め下方に向かう。光源基板60は、LED61を複数用いることで、単独のLED等の光源を用いる場合よりも強い光を、操作つまみ13の後端部133に向けて出射できる。
【0057】
前述したように、操作つまみ13が操作位置にある場合、火力調節カム26は操作つまみ13と連結し、操作つまみ13の回動操作に応じて奥バーナ6の火力を調節する。操作つまみ13が回転すると、筒状体70は筒状体操作部材36を介して火力調節カム26とともに軸心AXの周りを回転する。筒状体70の本体部71は、光通過部77が設けられる位置を除き、操作つまみ13の後端部133に対してLED61の出射光を遮る。光通過部77が設けられる位置においてはLED61の出射光が通過し、出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する。操作つまみ13が回転されて火力が変更されると、光通過部77が軸心AXの周りを周方向に移動するので、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が変化する。
【0058】
前述したように、操作つまみ13が待機位置にある場合、導光部136は、その全体が化粧パネル80よりも後方(筐体2の前面Fよりも後方)に配置される。このため、操作つまみ13が待機位置にある場合、使用者は導光部136を視認することができない。一方、操作つまみ13が待機位置から押込位置を経て操作位置に移動すると、操作つまみの本体部131の大部分が、前面Fよりも前方に突出する。これに伴い、
図6に示すように、前方配置部138の先端部分が、化粧パネル80よりも前方に突出して配置される。よって、操作つまみ13が操作位置にある場合、使用者は導光部136の前方配置部138の先端部分を視認できる。
【0059】
図7に示すように、操作つまみ13の後端部133の最後部は導光部136の後方配置部137によって覆われている。光通過部77を通過するLED61の出射光は、後方配置部137のうち光通過部77が配置される位置に対応する部分を照射する。後方配置部137を照射する光は、後方配置部137の端面から導光部136の内部に進入し、進入した光は導光部136の内部で拡散し、拡散した光が突出部138Aに導かれる。このため、後方配置部137のうちLED61の出射光が到達した部分の近傍に配置される突出部138Aが発光する。一方、後方配置部137のうち光通過部77が配置されない位置に対応する部分からはLED61の出射光が進入しないので、その部分に対応する突出部138Aは発光しない。よって、操作つまみ13が回転されて火力が変更されることに応じて、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する範囲が変化する。
【0060】
前方配置部138は、複数の突出部138Aを備えるので、後方配置部137のうちLED61の出射光が到達した部分の前方に配置される突出部138Aが発光し、出射光が到達しない部分の突出部138Aは発光しない。すなわち、奥バーナ6の火力に応じて、突出部138Aのそれぞれが独立して発光する。LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が広くなるほど、発光する突出部138Aの数が増加する。また、出射光が後端部133に到達する範囲が狭くなるほど発光する突出部138Aの数が減少する。したがって、操作つまみ13は、操作つまみ13の回転量に対応する奥バーナ6の火力の程度を、操作つまみ13の外周部132の上側部分において、前方配置部138が発光する範囲(発光する突出部138Aの数)によって示すことができる。
【0061】
本実施形態では、奥バーナ6の火力が強くなるほどLED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が広くなり、前方配置部138の発光する範囲が広くなる(発光する突出部138Aの数が多くなる)。また、奥バーナ6の火力が弱くなるほどLED61の出射光が操作つまみ13の後端部133に到達する範囲が狭くなり、前方配置部138が発光する範囲が狭くなる(発光する突出部138Aの数が少なくなる)。したがって、コンロ1は、前方配置部138が発光する範囲によって、奥バーナ6の火力を使用者に直観的に把握させることができる。操作位置における操作つまみ13の外周部132は、コンロ1の筐体2の前面F(
図1参照)よりも前方に配置される。調理等でコンロ1を使用する使用者は、外周部132における前方配置部138の発光範囲を、調理中の姿勢のまま上方から見下ろすことで、奥バーナ6の火力を認識できる。
【0062】
前述したように、導光部136は、操作つまみ13の本体部131の後端部133において、金属膜部Nの外側に配置される(
図8のW1領域参照)。後方配置部137から導光部136の内部に進入し、導光部136の内部で拡散する光の一部は、操作つまみ13の周方向内方又は外方に向けて導光部136の外部に放出される。導光部136の外部に放出される光の量が多くなるほど、導光部136の発光の光度が低下する。仮に、本体部131の後端部133に金属膜部Nが設けられない場合、操作つまみ13の周方向内方に向けて導光部136の外部に放出された光は、操作つまみ13の本体部131の内部に進入し、外周部132において拡散する。この場合、導光部136の発光の光度が低下するとともに、操作つまみ13の外周部132が所定の光度となり、導光部136の発光状況を視認し難くなる可能性がある。
【0063】
金属膜部Nは、操作つまみ13の周方向内方に向けて導光部136から放出される光を、導光部136に向けて反射させ、反射光を導光部136の内部に戻すことができる。導光部136の内部に戻った反射光は、再び導光部136の内部において拡散し、導光部136を発光させることができる。また、金属膜部Nが設けられることによって、導光部136から放出される光が、操作つまみ13の本体部131の内部に進入し、外周部132において拡散することが防止される。したがって、コンロ1は、金属膜部Nを設けることによって、導光部136の発光の光度を適正に保ち、導光部136を用いた火力表示の視認性を向上させることができる。
【0064】
図8及び
図9を参照して、待機位置にある操作つまみ13の外観について説明する。
図8のW1領域に示すように、待機位置において、操作つまみ13は、第一裏面部134A及び金属膜部M1を、前後方向において化粧パネル80の前面と同じ位置(筐体2の前面Fと同じ位置)において、化粧パネル80に対して平行に配置する。すなわち、操作つまみ13の前面134は、前面134の厚みの分だけ、化粧パネル80の前方に突出して配置される。使用者は、奥バーナ6の点火をする場合に、操作つまみ13の前面134が前後方向において化粧パネル80の前面と同じ位置にあるよりも、操作つまみ13の前面134に触れやすく、操作つまみ13を押込位置に向けて押し込みやすい。
【0065】
模様P1は、操作つまみ13の前面134の外観を、微細な凹凸による艶消し効果により前方からの映り込みを抑制しつつ、反射や光沢等の金属特有の質感のあるものにできる。また、模様P1は、複数の同心円状の微細な凹凸によって反射する光によって模様P1の中心部から放射状に反射光を生じさせ、前方からの視点が変化することによって反射光が回転して動くように見える、いわゆるスピンドル模様を構成する。また、第二裏面部132Aに金属膜部M2が設けられるので、操作つまみ13の外周部132の外観も、金属光沢を有したものとなる。したがって、操作つまみ13の外観に高級感が生ずる。コンロ1は、金属膜部Mを、金属板を用いて設けるのではなく、金属蒸着によって設けるので、第一裏面部134A及び第二裏面部132Aから金属膜部Mが剥がれにくい。したがって、コンロ1は、操作つまみ13を軽量化でき、コンロ1が経年使用されても操作つまみ13の外観における特有の質感の低下を防止できる。
【0066】
前述したように、操作つまみ13の本体部131は、透光性を有する合成樹脂製である。
図9に示すように、使用者が待機位置にある操作つまみ13をコンロ1の前方から見た場合、操作つまみ13の前面134越しに金属膜部M1及び金属膜部M1の模様P1が透けて見える。これは、操作つまみ13の前方から後方に向けて前面134に入射した光が、金属膜部M1において反射し、その反射光が前面134の外部に放射される事によって生ずる。金属膜部M1が、前後方向において化粧パネル80の前面と同じ位置(筐体2の前面Fと同じ位置)に配置されるので、前面134越しに透けて見える金属膜部M1及び模様P1は、前面134よりも後方の、化粧パネル80の前面と同じ位置に見える。模様P1は特有の質感を有するので、金属膜部M1が化粧パネル80の前面(筐体2の前面F)と前後方向において略同じ位置に並ぶことが強調される。これにより、コンロ1は、待機位置において実際には化粧パネル80の前面よりも突出して配置される操作つまみ13が、突出しておらず、操作つまみ13の前面134が化粧パネル80の前面と同じ位置にあるような印象を使用者に与えることができる。したがって、コンロ1は、操作つまみ13が待機位置にある状態(バーナが消火しておりコンロ1が調理等に使用されていない状態)のコンロ1の前方からの外観を、操作つまみ13が目立たず、平面的で統一感のあるものにできる。
【0067】
なお、仮に、模様P1を形成するための微細な凹凸が操作つまみ13の前面134等、操作つまみ13の外側に設けられると、操作つまみ13の外部から微細な凹凸部に汚れが付着した場合に、付着した汚れを取り除きにくくなる可能性がある。コンロ1は、模様P1を形成するための微細な凹凸を、操作つまみ13の内部である第一裏面部134Aに設けるので、操作つまみ13の外部に汚れが付着することを防止しつつ、コンロ1の外観を向上できる。
【0068】
なお、化粧パネル80において光源基板60の前方の位置に設けられる透光部81(
図8参照)は、LED61から出射され、パネル本体部50の上側部分52の切欠部54(
図3参照)を介して後面から入射する光を、化粧パネル80の前面から前方へ出射する。透光部81は、LED61の光を出射することによって、奥バーナ6が点火中であることを使用者に報知できる。なお、光源基板60の複数のLED61は、安全弁の閉鎖時においてコンロ1に何らかのエラーが生じている場合にも点灯する。この場合、透光部81は、LED61の光を出射することによって、コンロ1に何らかのエラーが生じていることを使用者に報知できる。安全弁の閉鎖時においては、操作つまみ13は待機位置にあり、導光部136による奥バーナ6の火力表示が行われないので、使用者は、コンロ1に何らかのエラーが生じていることと、奥バーナ6が点火中であることとを誤認することがない。
【0069】
以上説明したように、操作つまみ13は、前面134の裏面にあたる第一裏面部134A及び金属膜部M1を備える。このため、コンロ1を前方から見た場合、前面134越しに透けて見える金属膜部M1は、前面134よりも奥まった位置に存在する。これにより、コンロ1は、使用者に与える操作ボタンの突出感を軽減できる。
【0070】
待機位置にある操作つまみ13は、第一裏面部134A及び金属膜部M1を、前後方向において化粧パネル80の前面と同じ位置(筐体2の前面Fと同じ位置)に配置する。このため、コンロ1を前方から見た場合、前面134越しに透けて見える金属膜部M1は、前面134よりも後方の、化粧パネル80の前面と同じ位置に揃って見える。これにより、コンロ1は、使用されていない状態のコンロ1の前方からの外観の印象を、平面的で統一感のあるものにできる。
【0071】
導光部136は、操作つまみ13の本体部131の後端部133において、金属膜部Nの外側に配置される。金属膜部Nは、操作つまみ13の周方向内方に向けて導光部136から放出される光を、導光部136に向けて反射させ、反射光を導光部136の内部に戻すことができる。導光部136の内部に戻った反射光は、再び導光部136の内部において拡散し、導光部136を発光させることができる。すなわち、コンロ1は、操作つまみ13の本体部131の後端部133に金属膜部Nを設けることによって、導光部136を良好に発行させることができる。
【0072】
金属膜部M1,M2,Nは金属蒸着膜であるので、例えば、操作つまみ13に対して金属板等を貼り付けることによって金属膜部M1,M2,Nを設ける場合に比べて、コンロ1が経年使用されても金属膜部M1,M2,Nが本体部131から剥がれにくい。また、操作つまみ13が軽量化される。
【0073】
第一裏面部134Aには模様P1が形成されており、模様P1が形成された第一裏面部134Aに対して金属膜部M1が設けられる。これにより、コンロ1は、操作つまみ13を前方から見た場合、前面134越しに見える金属膜部M1及び模様P1は、金属板に表面処理を施したような高級感のある質感を提供できる。また、スピンドル模様等の表面処理を施した金属板を第一裏面部134Aに貼り付ける手法で金属膜部M1及び模様P1を設ける場合に比較して、金属板への表面処理加工が不要になり、安価に住む。また、模様P1による凹凸が前面134に現れないので、前面134に汚れが付着しにくく、手入れが容易である。
【0074】
本実施形態において、コンロ1が、本発明の「コンロ」に相当する。筐体2が、本発明の「筐体」に相当する。右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、グリルバーナが、本発明の「コンロバーナ」に相当する。操作つまみ11,12,13,14が、本発明の「点消火ボタン」に相当する。前面134が、本発明の「前面部」に相当する。外周部132が、本発明の「筒部」に相当する。金属膜部M(M1,M2)が、本発明の「第一金属膜部」に相当する。金属膜部M1が、本発明の「裏面部分」に相当する。燃料供給装置20が、本発明の「ガス調整部」に相当する。パネル装置9A,9Bが、本発明の「パネル部」に相当する。パネル本体部50が、本発明の「本体部」に相当する。貫通穴53が、本発明の「貫通孔」に相当する。化粧パネル80が、本発明の「化粧パネル」に相当する。光源基板60のLED61が、本発明の「発光部」に相当する。導光部136が、本発明の「導光部材」に相当する。固定部133Bが、本発明の「固定部」に相当する。金属膜部Nが、本発明の「第二金属膜部」に相当する。模様P1が、本発明の「模様」に相当する。
【0075】
図10を参照して、変形例について説明する。
図10において、上記実施形態の
図8のW1領域に対応する変形例のW2領域の拡大図を示す。本変形例において、上記実施形態と同様の構成については、説明を省略する。本変形例の操作つまみ13において、その前面144は、中央が後方に窪んだ凹形状を有する。前面144の凹形状は、使用者の指を添えやすい深さで窪んでいる。したがって、操作つまみ13が待機位置、押込位置、操作位置のいずれにある場合にも、使用者は操作つまみ13の押込操作を容易に行うことができ、また、押込操作の操作性が向上する。なお、凹形状のうち最も後方に窪んだ箇所は、
図10に示すように前面144の上下方向における中央部であってもよいし、中央部よりもやや上方又は下方によって位置であってもよい。本変形例における前面144が、本発明の「前面部」に相当する。
【0076】
操作つまみ13の前面144が凹形状を有する場合においても、第一裏面部134A及び金属膜部M1は、前後方向において化粧パネル80の前面と同じ位置(筐体2の前面Fと同じ位置)に、化粧パネル80の前面に対して平行に配置される。このため、本変形例は、操作つまみ13の押込操作の操作性を向上するとともに、上記実施形態と同様に、操作つまみ13の前面144越しに模様P1が見える位置を、化粧パネル80の前面と同じ位置にできる。このため、本変形例は、化粧パネル80の前面と操作つまみ13の前面144とが同じ位置に揃うような外観を提供できる。したがって、変形例は、操作つまみ13の押込操作の操作感を向上するとともに、待機位置における操作つまみ13の前端部が化粧パネル80の前面よりも突出して配置されても、操作つまみ13の突出感を軽減し、コンロ1の美観を向上できる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態及び上記変形例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第一裏面部134Aに模様が設けられなくてもよい。また、第一裏面部134Aに模様が設けられる場合、模様P1以外の様々な模様が採用されてもよい。
【0078】
図11に示すように、第一裏面部134Aに設ける模様として、模様P2が用いられてもよい。
図11(A)に示すように、模様P2は、第一裏面部134Aの表面に、互いに平行な複数の直線状の微細な凹凸が設けられることによって形成される。これにより、模様P2は、直線状の凹凸に沿って光が反射し、前方からの視点が変化することによって反射光が直線に沿って動くように見える、いわゆるヘアライン加工によって仕上げられた金属表面のような質感を構成する。
図11(B)に示すように、金属膜部M1は、前後方向において化粧パネル80の前面と同じ位置(筐体2の前面Fと同じ位置)に配置される。このため、前面134越しに透けて見える金属膜部M1及び模様P2は、前面134よりも後方の、化粧パネル80の前面と同じ位置に見える。模様P2は特有の質感を有するので、金属膜部M1が化粧パネル80の前面(筐体2の前面F)と前後方向において略同じ位置に並ぶことが強調される。模様P2は上下方向に延びる複数の直線によるものであるが、複数の直線が延びる方向は、左右方向、斜め方向等、いずれであってもよい。なお、
図11において、図示の都合上、模様P2を実際よりも強調して示している。なお、模様P2は微細な凹凸であるので、模様P2が形成される第一裏面部134Aの表面は平面性を失っていない。複数の平行線は、ヘアライン加工様の質感が現れるよう、等ピッチで設けられても微妙に異なるピッチで設けられてもよい。本変形例において、模様P2が、本発明の「模様」に相当する。
【0079】
例えば、光通過部77として本体部71の前端部が周方向に切り欠かかれる幅は、上記実施形態よりも広くても狭くてもよい。例えば、光通過部77として本体部71の前端部が周方向に切り欠かかれる幅が、前方配置部138の1つの突出部138Aの周方向の幅と同じ程度であってもよい。この場合、操作つまみ13が回転されて火力が変更されることに応じて、LED61の出射光が操作つまみ13の後端部133の上側の部分に到達する位置が変化し、出射光が到達した位置に対応する1つの突出部138Aが発光する。したがって、操作つまみ13は、導光部136の前方配置部138が発光する位置(1つの突出部138Aが発光する位置)を変化させることで、奥バーナ6の火力を示すことができる。
【0080】
操作つまみ13は、完全な円筒状である必要はなく、例えば、操作つまみ13の本体部131が、後端部133から前面134に向けて徐々に先細る形状であってもよい。
【0081】
操作つまみ13の前面134,144は、正面視で完全な円形である必要はなく、円形に近似した形状であればよい。例えば、前面134,144が、円形からわずかに歪んだ楕円形であってもよいし、円形に近似する多角形状であってもよい。
【0082】
本体部131に用いられる合成樹脂の屈折率、前面134,144の形状及び厚み等に応じて、コンロ1を前方から見た場合に金属膜部M1及び模様P1,P2が前後方向において見える位置が変わり得る。このため、待機位置における第一裏面部134A及び金属膜部M1が配置される位置は、金属膜部M1及び模様P1,P2が化粧パネル80の前面と前後方向において同じ位置に見えるような位置に対応していればよい。したがって、待機位置における第一裏面部134A及び金属膜部M1は、化粧パネル80の前面と同じ位置に配置されることに限られず、化粧パネル80の前面よりも前方又は後方に配置されてもよい。
【0083】
本体部131は、前面134,144越しに金属膜部M1及び模様P1,P2を視認できる程度の透光性を有していればよい。本体部131を構成する合成樹脂が着色されていてもよい。
【0084】
金属膜部Nは、操作つまみ13の後端部133のうち、少なくとも導光部136が配置される固定部133Bの下側の部分に設けられていればよい。したがって、後端部133のうち導光部136の突出部138A同士の間の部分(後端部133A)に、金属膜部Nが設けられなくてもよい。金属膜部M,Nには、操作つまみ13の見映え等を考慮して、アルミニウム、クロム、亜鉛等、様々な金属が採用されてよい。
【0085】
コンロ1は、ビルトインタイプのガスコンロであるが、この他、コンロ1は、操作つまみ13の回動操作によって火力調節を行う、ガステーブルコンロ、カセット式のガスコンロ等であってもよい。
【0086】
コンロ1において、操作つまみ11,12,13,14の全てが、その外周部において導光部136を用いた火力表示を行う必要はない。例えば、グリルバーナの火力調節が、無段階ではなく複数段階に調節可能にされている場合には、操作つまみ12の導光部136の前方配置部138の発光によって複数段階のそれぞれが表示されてもよいし、操作つまみ12に導光部136が設けられなくてもよい。導光部136が設けられない操作つまみ12には、金属膜部Nが設けられなくてもよい。
【0087】
導光部136の前方配置部138が突出部138Aを備えず、後方配置部137に連続して操作つまみ13の外周部132を前方に向けて環状に延びる形状であってもよい。
【0088】
操作つまみ13が操作位置にある場合に、前方配置部138,238が化粧パネル80よりも前方に露出する量は、コンロ1を使用中の使用者が前方配置部138,238の一部を視認できる量であればよい。したがって、前方配置部138,238が化粧パネル80よりも前方に露出する量は、導光部136,236による火力表示の見映え等に応じて任意に変更可能であり、上記実施形態よりも多くても少なくてもよい。
【0089】
上記実施形態では、操作つまみ13が操作位置にある場合に連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35に噛み合い、操作つまみ13が待機位置にある場合には、連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35に噛み合わない。例えば、操作つまみ13がいずれの位置にある場合にも、連結部材25の歯部38が火力調節カム26の歯部35に噛み合うように構成されていてもよい。この場合、導光部136は、操作つまみ13の外周部132のうち上側に配置される部分にのみ設けられてもよい。すなわち、後方配置部137,237は、本体部131の後端部133の外側の一部を覆う形状であってもよい。この場合、金属膜部Nは、本体部131の後端部133のうち、導光部136の下側に配置される部分に設けられれば良い。
【符号の説明】
【0090】
1 コンロ
2 筐体
4 右バーナ
5 左バーナ
6 奥バーナ
9A,9B パネル装置
11,12,13,14 操作つまみ
50 パネル本体部
61 LED
80 化粧パネル
132 外周部
133B 固定部
134 前面部
136 導光部
M,M1,M2,N 金属膜部
P1,P2 模様