(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】樹脂封止装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20241213BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/18
(21)【出願番号】P 2021059338
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】西澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】涌井 正明
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-151492(JP,A)
【文献】特開平01-269512(JP,A)
【文献】特開2006-015301(JP,A)
【文献】特開2006-159494(JP,A)
【文献】特開平07-029784(JP,A)
【文献】特開平05-021491(JP,A)
【文献】特開平11-087384(JP,A)
【文献】特開平03-095944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 21/02
H01L 21/50
B29C 43/00
B29C 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前面及び両側面が仕切られたプレス部と、
前記プレス部に備えられ、上型及び下型を有し、成形前ワークと樹脂が供給される封止金型と、
前記プレス部の外部であって装置筐体の天板部に装着され、クリーンエアを供給するクリーンエア供給部と、
前記プレス部の後面に設けられ、閉状態で前記封止金型への前記クリーンエアの流入を抑制するとともに、開状態で前記上型と前記下型との間
を横切り通過するクリーンエア流が形成される開閉シャッターと
、
前記プレス部の外部であって前記クリーンエア供給部と前記プレス部を挟んで反対側に配置され、前記上型と前記下型との間を通過する前記クリーンエアを吸引する排気ダクトと、を備え、
前記クリーンエア供給部より供給されるクリーンエアの流量は、前記排気ダクトの排気流量より多くなるように調整されており、前記プレス部において前記開閉シャッターとは前記封止金型を挟んで反対側に設けられたエア吸引ダクトを通じて前記排気ダクトに吸引除去される樹脂封止装置。
【請求項2】
前記クリーンエア供給部には複数のフィルターファンユニットが設けられており、少なくとも成形前ワークを供給するワーク供給部の天板部に設けられている請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記成形前ワークを封止金型へ供給するワーク供給部と成形後ワークを収納するワーク収納部を有するワーク処理部と、前記樹脂を封止金型へ供給する樹脂供給部がプレス部を挟んで両側に設けられており、前記クリーンエア供給部は前記ワーク処理部の天板部に設けられ、前記樹脂供給部の天板部には排気ダクトが設けられている請求項1又は請求項2記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記封止金型を有するプレス部にはパーティクルカウンターが設けられており、前記パーティクルカウンターの検出値に基づいて前記クリーンエア供給部によるクリーンエアの供給動作及び前記エア吸引ダクトの吸引動作が制御される請求項1又は請求項2記載の樹脂封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形後ワーク及び封止金型への異物の付着を防止した樹脂封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂封止装置は、成形前ワーク及び樹脂を封止金型に供給して加熱溶融した樹脂を熱硬化させて樹脂封止された成形後ワークを得るものである。このとき、用いられる樹脂には顆粒状樹脂、粉末状樹脂やシート状樹脂、板状樹脂、固形のタブレット樹脂、液状樹脂など様々な形態の樹脂が用いられる。
【0003】
例えば、顆粒状樹脂、粉末状樹脂などは、樹脂を封止金型に供給する段階から樹脂粉や粉塵が舞い易く金型に付着して金型汚れ及び製品へのデントの原因となり易い。
またいずれの形態の樹脂を用いたとしても、ワークと共に加熱硬化させる過程で樹脂成分や添加剤等からアウトガス(揮発性ガス)が発生する。
このアウトガスが金型面に付着すると固化してワークにショットデント等の不具合が発生するおそれがある。
【0004】
例えば、樹脂封止装置のプレス部とローダ(製品保管部)との間に仕切りを設けて、ローダの上部に設けられたクリーンユニットからクリーンエアを下部に向けて気流をダウンフローさせることで、ローダから搬出される半導体チップに異物が載ってしまうのを抑制した装置が提案されている(特許文献1:特開2006-32594号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したローダ上部にクリーンユニットを設けてクリーンエアをダウンフローさせても、封止金型で発生するアウトガスの金型面へ付着する問題は解決できない。また、クリーンエアを単にダウンフローさせるだけでは、底部に落下した粉塵が舞い上がるおそれもある。
【0007】
特に、封止金型は、周囲を仕切り壁に仕切られて樹脂封止される場合が多いため、樹脂封止で発生したアウトガスを排気できずに金型面などに異物として付着し易い。またワークとの間に異物が入ると打痕(デント)となるため製品不良を発生させるおそれがあった。なお、封止金型に付着して固化した異物は、アルカリ洗浄しないと除去できないため、異物を除去するたびに封止金型を分解して清掃する必要がある。また、顆粒状樹脂、粉末状樹脂などを用いた場合には、樹脂を封止金型に搬送する段階から舞い上がり易く、パーティクルなどの粉塵が浮遊して金型面に付着するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、プレス部に備えた封止金型にクリーンエアを供給して吸引することで上型及び下型を横切り通過するクリーンエア流を形成して異物付着による金型汚染を防止した樹脂封止装置を提供することを目的とする。
【0009】
少なくとも前面及び両側面が仕切られたプレス部と、前記プレス部に備えられ、上型及び下型を有し、成形前ワークと樹脂が供給される封止金型と、前記プレス部の外部であって装置筐体の天板部に装着され、クリーンエアを供給するクリーンエア供給部と、前記プレス部の後面に設けられ、閉状態で前記封止金型への前記クリーンエアの流入を抑制するとともに、開状態で前記上型と前記下型との間を横切り通過するクリーンエア流が形成される開閉シャッターと、前記プレス部の外部であって前記クリーンエア供給部と前記プレス部を挟んで反対側に配置され、前記上型と前記下型との間を通過する前記クリーンエアを吸引する排気ダクトと、を備え、前記クリーンエア供給部より供給されるクリーンエアの流量は、前記排気ダクトの排気流量より多くなるように調整されており、前記プレス部において前記開閉シャッターとは前記封止金型を挟んで反対側に設けられたエア吸引ダクトを通じて前記排気ダクトに吸引除去されることを特徴とする。
これにより、樹脂封止に用いられる樹脂の形態を問わず、クリーンエア供給部より供給された相当量のクリーンエアがプレス部において必ず上型及び下型間を横切り通過してエア吸引ダクトを含む排気ダクト側に向かうクリーンエア流が形成されるので、クリーンエアの逆流を防いで封止金型で発生したアウトガスや樹脂粉を含む異物をエア吸引ダクトにより吸引除去して、金型面に付着するのを防ぐことができ、金型メンテナンスが容易となり、成形品質も向上する。
具体的には、プレス部に設けられた開閉シャッターを開放することでクリーンエア供給部より供給されたクリーンエアを上型及び下型間に導入して異物をエア吸引ダクトを通じて排気ダクトに吸引除去することができ、開閉シャッターを閉めることで封止金型の温度低下を防ぎつつ樹脂封止で発生したアウトガスや樹脂粉を含む異物をエア吸引ダクトを通じて排気ダクトに吸引除去することができる。
【0011】
前記クリーンエア供給部には複数のフィルターファンユニットが設けられており、少なくとも成形前ワークを供給するワーク供給部の天板部に設けられていてもよい。
これにより、樹脂封止装置のレイアウトを問わずワーク供給側より供給された相当量のクリーンエアがプレス部に向かう流れを形成することができ、封止金型内を流れるクリーエア流を形成することができる。
【0012】
前記成形前ワークを封止金型へ供給するワーク供給部と成形後ワークを収納するワーク収納部を有するワーク処理部と、前記樹脂を封止金型へ供給する樹脂供給部がプレス部を挟んで両側に設けられており、前記クリーンエア供給部は前記ワーク処理部の天板部に設けられ、前記樹脂供給部の天板には排気ダクトが設けられていてもよい。
これにより、ワーク処理部から供給された相当量のクリーンエアをプレス部の封止金型へ供給する流れを形成することで、樹脂粉が舞い易い樹脂供給部側からプレス部へ粉塵が拡散するのを防ぐことができる。
【0013】
前記封止金型を有するプレス部にはパーティクルカウンターが設けられており、前記パーティクルカウンターの検出値に基づいて前記クリーンエア供給部によるクリーンエアの供給動作及び前記エア吸引ダクトの吸引動作が制御されるようにしてもよい。
これにより、プレス部に設置したパーティクルカウンターでアウトガスや樹脂粉等の発生を監視することで、クリーンエア供給部によるクリーンエアの供給量を増減したり、エア吸引ダクトの吸引量を増減したりすることで封止金型が置かれる環境をクリーンに維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プレス部に備えた封止金型にクリーンエアを供給して吸引することで上型及び下型を横切り通過するクリーンエア流を形成して異物付着による金型汚染を防止した樹脂封止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】樹脂封止装置の一例を示すレイアウト構成図である。
【
図2】
図1の樹脂封止装置のプレス部を側面視した説明図である。
【
図3】他例に係る樹脂封止装置のレイアウト構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る樹脂封止装置1の一例を示すレイアウト構成図(平面図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により樹脂封止装置1における左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向として説明する場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
本実施形態に係る樹脂封止装置1は、上型で成形前ワークWを保持し、下型に設けられたキャビティ凹部を含む下型面をフィルム(リリースフィルム)Fで覆って樹脂Rを供給し、上型と下型をクランプして、溶融した樹脂Rに成形前ワークWを浸漬させて樹脂封止する圧縮成形装置を例示するものとする。
先ず、成形前ワークWは、例えばストリップ基板に複数の電子部品が行列状に搭載された構成を備えている。より具体的には、ストリップ基板の例として、短冊状に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材(短冊形状の短冊ワーク)が挙げられる。また、電子部品の例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。
【0019】
ストリップ基板に電子部品が搭載された成形前ワークWの例として、半導体チップがフリップチップ実装、ワイヤボンディング実装等により搭載されたワークが用いられる。あるいは、樹脂封止後に成形後ワークWpから基板(ガラス製や金属製のキャリアプレート)を剥離する製品の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品を貼り付けた成形前ワークWが用いられる。
【0020】
一方、樹脂Rの例として、顆粒状の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂)が用いられる。なお、上記の状態に限定されるものではなく、液状、粉末状、円柱状(タブレット状)、板状、シート状等、他の形態であってもよい。
【0021】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等が好適に用いられる。このフィルムFとしては、例えば短冊形状の成形前ワークWに対応した短冊形状の短冊フィルムが用いられるが、長尺状のロールフィルムであってもよい。
【0022】
続いて、本実施形態に係る樹脂封止装置1のレイアウト構成について説明する。
図1に示すように、樹脂封止装置1は、成形前ワークWの供給と、成形後ワークWpの収納とを主に行うワーク処理ユニット1A(ワーク供給部)、成形前ワークWを樹脂封止するプレスユニット1B(プレス部)、フィルムF及び樹脂Rの供給と、樹脂モールド後の使用済みフィルムFd(不要フィルム及び廃棄フィルム)の収納とを主に行うディスペンスユニット1C(樹脂供給部)を主要構成として備えている。尚、ワーク処理ユニット、プレスユニット、ディスペンスユニットを一体として備えた樹脂封止装置であってもよい。
【0023】
本実施形態においては、ワーク処理ユニット1A、プレスユニット1B、及びディスペンスユニット1Cのようなユニットが横並びに連結されて組み立てられている。一例として、ワーク処理ユニット1A、複数のプレスユニット1B、及びディスペンスユニット1Cが、X軸方向に左からその順に並設されている。なお、各ユニット間を跨いで任意の数のガイドレール1D(
図2参照)がX軸方向に敷設されている。また、成形前ワークW及び成形後ワークWpを搬送する第1ローダ3とフィルムF及び樹脂Rを搬送する第2ローダ4が、共通のガイドレール1D(
図2参照)に沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。
【0024】
図1に示すように、プレスユニット1Bは、少なくとも前面及び両側面が仕切られた独立したユニットであり、成形前ワークWを吸着保持する上型2aと樹脂Rが供給されるキャビティ凹部2cを有する下型2bとを有する封止金型2が設けられている(
図2参照)。なお、本実施形態においては、下型2bに二つのキャビティ凹部2cを設けると共に二つの成形前ワークWを供給して一回の樹脂封止を行い、同時に二つの成形後ワークWpを圧縮成形する。
図1に示す構成は、プレスユニット1Bを三台設置した例であるが、プレスユニット1Bを一台のみ設置してもよいし、あるいは二台または四台以上連結して設置してもよい。また、例えば、ディスペンスユニット1Cとは異なる形態の樹脂Rを供給するユニットや、金型内に成形前ワークW共に樹脂封止する部材を供給するユニット等を設置することも可能である。
【0025】
次に、ワーク処理ユニット1Aは、複数の供給マガジン1aと収納マガジン(図示せず)が高さ方向に上下に配置されている。供給マガジン1aから公知のプッシャ等(不図示)等により成形前ワークWが1枚ずつ取り出され供給レール1bに載置される。供給レール1bは、電子部品の搭載位置を避けて成形前ワークWを側方で支持したままY軸方向に案内する。また、供給レール1bは、二つの成形前ワークWを横並びに載置するようにX軸方向に二列(図中1b1、1b2)に設けられている。また、供給ピックアップ1cは、二列の供給レール1b1,1b2上の二つの成形前ワークWを、並べた状態で同時に保持して後述する第1ローダ3に対する供給位置へ搬送する。
【0026】
第1収納ピックアップ1dは、X軸方向(左右方向)に移動可能に構成されている。これにより、第1ローダ3から受け渡された成形後ワークWpを保持して、第2収納ピックアップ1e上へ搬送することが可能となる。第2収納ピックアップ1eに保持された成形後ワークWpは、供給マガジン1aと重ねて設けられた図示しない収納マガジンへ収納される。
【0027】
図1に示すように、第1ローダ3は、ローダハンドとして二つの成形前ワークWを保持する供給ハンド3A及び二つの成形後ワークWpを保持する収納ハンド3Bを各々昇降可能に備えている。成形前ワークWを保持する供給ハンド3Aと成形後ワークWpを保持する収納ハンド3Bは下型2bのキャビティレイアウトに対応して二行二列に配置されている。これにより、プレスユニット1Bの金型レイアウトに合わせて供給ハンド3Aによる成形前ワークWの供給と収納ハンド3Bによる成形後ワークWpの取り出しを一回の進退動作で実現することができる。
【0028】
供給ハンド3Aは、成形前ワークWを電子部品搭載面が下向きとなるように保持し、収納ハンド3Bは、成形後ワークWpをパッケージ部が下向きになるようにして保持する。第1ローダ3は、供給ハンド3A及び収納ハンド3Bを搭載したまま
図1のX軸方向に往復動し、供給ハンド3A及び収納ハンド3Bは、各プレスユニット1BのY軸方向奥側から手前側の封止金型2へ進退可能に設けられている。
【0029】
図1において、ディスペンスユニット1Cは、フィルムF及び樹脂Rの供給等を行うユニットである。本実施形態においては、フィルムF及び樹脂Rを封止金型2へ搬送する際に、これらを保持して搬送するための治具として搬送具7が用いられる。準備テーブル8においてフィルムF及び樹脂Rを保持していない状態の搬送具7が載置されクリーニングが行われる。搬送具ピックアップ9は、準備テーブル8上に載置された搬送具7を保持して、フィルムテーブル10及び樹脂投下テーブル11へ搬送する。フィルムテーブル10において、長尺状のフィルムFがロール状に巻かれたフィルムロール12から繰出されたフィルムFが所定長さの短冊状に切断されて保持される。フィルムロール12として、二つのフィルムロール12A,12Bが左右方向に並べて配設されている。短冊状に切断された二つのフィルムFは、搬送具7の下面に吸着保持され、フィルムテーブル10の側方に設けられた樹脂投下テーブル11に載置される。樹脂投下テーブル11上に載置された搬送具7はディスペンサ13の下方へ移動する。
【0030】
ディスペンサ13は、樹脂投下テーブル11に載置された搬送具7における樹脂投入孔に樹脂Rを投入して、露出するフィルムF上に当該樹脂Rを搭載(投下)する。
【0031】
第2ローダ4は樹脂保持部4A及びフィルム保持部4Bを各々備えている。この樹脂保持部4Aは、その下面において、樹脂投下テーブル11上に載置された搬送具7を受け取り、下型2bの所定保持位置へ搬送すると共に、フィルムF及び樹脂Rの保持が解放された搬送具7を前述の準備テーブル8上へ搬送する。フィルム保持部4Bは、樹脂封止された成形後ワークWpが封止金型2から取り出された後に下型に残留するフィルム(使用済みフィルム)Fdを保持して、所定位置(後述のフィルムディスポーザ16)へ搬送し廃棄する。
【0032】
また、
図1において、周りを囲われた樹脂封止装置1の筐体の天板部にはクリーンエア供給部17が装着されている。クリーンエア供給部17はワーク処理ユニット1Aの天板部に設けられている。また、ディスペンスユニット1C(樹脂供給部)には装置内で吸引した空気を排気する排気ダクト18が樹脂封止装置1の天板に設けられている。また、各プレスユニット1Bには、封止金型2の前面側にエア吸引ダクト19が2か所に設けられている。エア吸引ダクト19は図示しないリングブロワに接続されており、エア吸引ダクト19から吸引されたエアは、排気ダクト18から排出される排気と共に装置外へ排気される。
【0033】
クリーンエア供給部17には複数のフィルターファンユニット(FFU)が設けられている。フィルターファンユニットは、送風ファンとフィルター(HEPAフィルター)を併有し、上部から空気を吸い込みフィルターにより浄化されたクリーエアを底部から吹き出すようになっている。
これにより、樹脂粉が舞い易いディスペンスユニット1C側からプレスユニット1Bへ粉塵が拡散するのを防いで、クリーンエアをワーク処理ユニット1Aからプレスユニット1Bの封止金型2へ供給することができる。
また、クリーンエア供給部17より供給された相当量のクリーンエアが上型2a及び下型2b間を横切り通過するクリーンエア流が形成されてクリーンエア供給側とは封止金型2を挟んで反対側(前面側)に設けられたエア吸引ダクト19に吸引除去される。これにより、樹脂封止に用いられる樹脂Rの形態を問わず、封止金型2で発生したアウトガスや樹脂粉を含む異物をエア吸引ダクト19により吸引除去して、封止金型2に付着するのを防ぐことができ、金型メンテナンスが容易となり、成形品質も向上する。
【0034】
クリーンエア供給部17より供給されるクリーンエアの流量は、エア吸引ダクト19を含む装置の排気ダクト18の排気流量より多くなるように調整されている。即ち、クリーンエア供給部17には複数のフィルターファンユニット(FFU)が設けられ、クリーエアの供給量を確保している。
これにより、クリーンエア供給部17より供給された相当量のクリーンエアが必ず封止金型2を横切ってエア吸引ダクト19を含む排気側に向かう流れが形成されるので、クリーンエアの逆流を防いで封止金型2にクリーンエア流を供給することができる。
【0035】
図2に示すように、クリーンエア供給部17により供給されたクリーンエアは、封止金型2の成形前ワークWと樹脂Rが供給される一方側(ガイドレール1Dに臨む後面側)より供給され上型2aと下型2b間を通過して封止金型2の反対側(前面側)に設けられたエア吸引ダクト19に吸引除去される。これにより、封止金型2で発生したアウトガスがプレスユニット1Bの仕切られた空間内に滞留することなくエア吸引ダクト19から吸引除去することができる。
【0036】
封止金型2を有するプレスユニット1Bにはパーティクルカウンターが設けられていてもよい。パーティクルカウンターの検出値に基づいてクリーンエア供給部17によるクリーンエアの供給動作及びエア吸引ダクト19の吸引動作が制御される。これにより、プレスユニット1Bに設置したパーティクルカウンターでアウトガスや樹脂粉等の発生を監視することで、クリーンエア供給部17によるクリーンエアの供給量を増減したり、エア吸引ダクト19の吸引量を増減したりすることで封止金型2が置かれる環境をクリーンに維持することができる。
【0037】
封止金型2の前面及び両側面には仕切り壁が設けられており、封止金型2の後面(ガイドレール1Dに臨む面)には開閉シャッター2dが開閉可能に設けられている。この開閉シャッター2dを開放することで、クリーンエア供給部17によるクリーンエアが封止金型2に供給されるようにしてもよい。
これにより、封止金型2の後面に設けられた開閉シャッター2dを開放することでクリーンエア供給部17より供給されたクリーンエアを上型2a及び下型2b間に導入して異物をエア吸引ダクト19により吸引除去することができる。また、開閉シャッター2dを閉めることで封止金型2の温度低下を防ぎつつ樹脂封止で発生したアウトガスや樹脂粉をエア吸引ダクト19から吸引除去することができる。尚、封止金型2の温度管理が可能であれば開閉シャッター2dは開放したまま樹脂封止を行なってもよく、この場合にはクリーンエアが、常時封止金型2を横切り通過するように供給するクリーンエア流を形成してクリーンな環境を維持することができる。
【0038】
図3は、他例に係る樹脂封止装置のレイアウト構成図である。
樹脂封止装置21は、トランスファ成形装置であって、成形前ワークWの供給とタブレット樹脂Rを供給するワーク供給ユニット21A、成形前ワークWを樹脂封止するプレスユニット21B(プレス部)、成形後ワークWpから不要樹脂を分離して収納するワーク収納ユニット21Cを横並びに備えている。尚、ワーク供給ユニット21A、プレスユニット21B、ワーク収納ユニット21Cを一体として備えた樹脂封止装置であってもよい。
【0039】
ワーク供給ユニット21Aには、成形前ワークWを収納する供給マガジン21a、供給マガジン21aより成形前ワークWが1枚ずつ送り出される回転テーブル21b、回転テーブル21bより成形前ワークWを2枚1組で搬送する供給ピックアップ21c、図示しないパーツフィーダにより供給されたタブレット樹脂Rを保持するタブレットホルダー21dなどが設けられている。
【0040】
プレスユニット21Bは、少なくとも前面及び両側面が仕切られた独立したユニットであり、上型2a及び下型2b(図示せず)を備えたトランスファ成形用の封止金型2が設けられている。上型2aにキャビティ凹部2cが設けられ、下型2bには成形前ワークW及びタブレット樹脂Rが装填されるポット2e及びプランジャ(図示せず)などが設けられている。尚、下型2bにもキャビティ凹部2cが設けられていてもよい。
【0041】
ワーク収納ユニット21Cには、成形後ワークWpが取り出されるワーク取り出し部21e、ワーク取り出し部21eに取り出された成形後ワークWpをゲートブレイクして不要樹脂を分離するゲートブレイク部21f、ゲートブレイクされた成形後ワークWpを図示しない収納マガジンへ収納する収納用ピックアップ21gなどが設けられている。
【0042】
ローダ22は、ワーク供給ユニット21Aから成形前ワークW及びタブレット樹脂Rを受け取って所定のプレスユニット21Bとの間をX軸方向に往復移動する。ローダ22はY軸方向に封止金型2に進入して成形前ワークW及びタブレット樹脂Rを下型2bに供給する。また、アンローダ23は、所定のプレスユニット21Bから成形後ワークWpを取り出し、ワーク収納ユニット21Cとの間をX軸方向に往復動する。アンローダ23は、成形後ワークWpをワーク取り出し部21eに受け渡す。ローダ22及びアンローダ23は共通のガイドレール24に沿ってX軸方向に往復動可能に設けられている。
【0043】
ワーク供給ユニット21Aの天板部にはクリーンエア供給部17が設けられている。クリーンエア供給部17には複数のフィルターファンユニット(FFU)が設けられている。また、各プレスユニット21Bには、封止金型2の前面側にエア吸引ダクト19が2か所に設けられている。クリーンエア供給部17は、ワーク供給ユニット21Aに限らずプレスユニット21Bに設けられていてもよい。これにより、樹脂封止装置1のレイアウトを問わずワーク供給ユニット21A側より供給された相当量のクリーンエアがプレスユニット21Bに向かう流れを形成することができ、封止金型2を横切り通過するクリーンエア流を形成することができる。
【0044】
以上、説明したように、樹脂封止に用いられる樹脂Rの形態を問わず、クリーンエア供給部17より供給されたクリーンエアが上型2a及び下型2b間を横切り通過するクリーンエア流が形成されるので、封止金型2で発生したアウトガスや樹脂粉をエア吸引ダクト19により吸引除去して、金型面に付着するのを防ぐことができ、金型メンテナンスが容易となり、成形品質も向上する。
【0045】
上述した樹脂封止装置は、ワーク供給側からプレス部の後面の開口部を通じてクリーンエアを封止金型2へ導入し、前面側のエア吸引ダクト19から吸引していたが、これに限らず、プレスユニットの天板部やその他の部位にクリーンエア供給部17を設けてプレス部へクリーンエアを供給するようにしてもよい。また、封止金型2のY軸方向前面側より後面側へクリーンエアを供給して後面側に設けられたエア吸引ダクト19から吸引するようにしてもよい。
【0046】
また、樹脂封止装置1は二つの成形前ワークW、二つのフィルムF及び樹脂R、二つの成形後ワークWpをハンドリングする場合について説明したが、一つの成形前ワークW、一つのフィルムF及び搭載された樹脂R、一つの成形後ワークWpをハンドリングする装置構成であってもよい。
更には、樹脂封止装置1は、圧縮成形装置又はトランスファ成形装置のいずれでもよく、また下型キャビティ可動の圧縮成形タイプ又は上型キャビティ可動の圧縮成形タイプのいずれか又は上下型キャビティ可動の圧縮成形タイプの装置であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
W 成形前ワーク Wp 成形後ワーク F フィルム R 樹脂 1 樹脂封止装置 1A ワーク処理ユニット 1B プレスユニット 1C ディスペンスユニット 1D,24 ガイドレール 1a 供給マガジン 1b,1b1,1b2 供給レール 1c 供給ピックアップ 1d 第1収納ピックアップ 1e 第2収納ピックアップ 2 封止金型 2a 上型 2b 下型 2c キャビティ凹部 2d 開閉シャッター 3 第1ローダ 3A 供給ハンド 3B 収納ハンド 4 第2ローダ 4A 樹脂保持部 4B フィルム保持部 7 搬送具 8 準備テーブル 9 搬送具ピックアップ 10 フィルムテーブル 11 樹脂投下テーブル 12,12A,12B フィルムロール 13 ディスペンサ 16 フィルムディスポーザ 17 クリーンエア供給部 18 排気ダクト 19 エア吸引ダクト 21A ワーク供給ユニット 21B プレスユニット 21C ワーク収納ユニット 21a 供給マガジン 21b 回転テーブル 21c 供給ピックアップ 21d タブレットホルダー 21e ワーク取り出し部 21f ゲートブレイク部 21g 収納用ピックアップ 22 ローダ 23 アンローダ