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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】物流の効率化、及び最適化評価システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20241213BHJP
【FI】
G06Q10/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022052625
(22)【出願日】2022-03-28
(65)【公開番号】P2023017689
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2021122040
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521325385
【氏名又は名称】株式会社ユーネットランス
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】石川 清茂
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】浪瀬 裕久
(72)【発明者】
【氏名】深津 崇仁
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-015574(JP,A)
【文献】特開2020-194213(JP,A)
【文献】特開2017-121996(JP,A)
【文献】特開2019-085213(JP,A)
【文献】NECソリューションイノベータ製品ガイド 卸・物流ソリューション,日本,NECソリューションイノベータ株式会社,2019年08月27日,p.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顧客の荷量データを入力し送信するための荷量集約・管理プラットフォームと、
前記荷量集約・管理プラットフォームに入力し送信された荷量データを蓄積するための事前荷量データ保存手段と、
前記事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データから、出荷作業者向けに、パレットに荷物を積載する指示をするために、画像イメージを作成するパレタイズイメージ作成手段と、
前記事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データから、ドライバー向けに、トラックに該パレットを車載する指示をするために、画像イメージを作成する車載イメージ作成手段と、
前記事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データから、ダイヤ表、及び積付表を作成する運行ダイヤ作成手段と、
前記パレタイズイメージ作成手段、前記車載イメージ作成手段、及び前記運行ダイヤ作成手段によるアウトプットが効率的かつ最適であるかを検証するための効率化・最適化検証手段と、
前記効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後のパレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータを蓄積する車載データ保存手段と、
前記効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後のダイヤ・積付データを蓄積するための運行データ保存手段と、
前記効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後の前記車載データ保存手段に蓄積されたパレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータと、前記効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後の前記運行データ保存手段に蓄積されたダイヤ・積付データと、前記事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データ、から最適在庫数を顧客側に提示する最適在庫算出手段を備えており、
前記効率化・最適化検証手段は、配送日2日前までに確定する配送確定データに対し検証を行い、配送日前日までに、前記検証の結果、車載しきれない荷物が発生した場合に、後便に搭載すること、又は他のルート便が立ち寄り集荷することのいずれかを提案する効率化・最適化提案を行うものであり、
さらに、機械学習(「配送する荷物の個々の形態」、「配送日時を含む配送場所」、に対して「荷崩れを防ぐ積載形態」、「配送ルート」をラベル(答え)として学習させることにより学習済みモデルを生成する)を使った手法により、配送中の荷崩れ防止算出手段を備えることを特徴とする物流の効率化、及び最適化評価システム。
【請求項2】
前記事前荷量データ保存手段に蓄積される荷量データは、荷物を形成する荷箱の寸法、荷箱の数量(荷箱が複数ある場合は寸法毎の荷箱の数量)、荷箱+内容物の重量(荷箱が複数ある場合は荷箱毎の荷箱+内容物の重量)、配送場所(配送日時を含む)であることを特徴とする請求項1に記載の物流の効率化、及び最適化評価システム。
【請求項3】
前記荷崩れ防止算出手段は、荷物を形成する荷箱の寸法、荷箱の数量(荷箱が複数ある場合は寸法毎の荷箱の数量)、荷箱+内容物の重量(荷箱が複数ある場合は荷箱毎の荷箱+内容物の重量)、配送場所(配送日時を含む)に対して、最適なパレタイズ状態の画像(データは数値化する)、トラック車載状態の画像(データは数値化する)ダイヤ表、積付表、を答え(ラベル)とする大量のデータを与え、いわゆる教師あり学習させた学習済モデルにより、未知の前記事前荷量データに対して、最適なパレタイズ状態の画像、トラック車載状態の画像、ダイヤ表、積付表を算出させたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した物流の効率化、及び最適化評価システム。
【請求項4】
前記運行ダイヤ作成手段により作成されたダイヤ表、及び積付表を基に、所定の走行ルートにおける所定の地点での車両通過時間、及び車両積載状況をインターネット上に地図として詳細を表示することで公開する輸送ルート公開手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載した物流の効率化、及び最適化評価システム。
【請求項5】
前記輸送ルート公開手段により公開された前記所定の走行ルートを、効率化する最適ルート検索手段を備えることを特徴とする請求項4に記載した物流の効率化、及び最適化評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来アナログ的(現場作業者等の経験や勘等に任せていた)であったパレタイズ作業、トラック車載作業、運行ダイヤ作成作業を、デジタル技術により可視化(見える化)することで、効率化・最適化検証(機械学習によるものを含む)を行うことにより、無駄な物流を発生させないことに加え、物流が恰も「路線バス」のようなイメージになり、しかも、(トラックの)積載状況の「リアルタイム把握」を可能とする物流の効率化、及び最適化評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の運送業界における働き方改革への取り組み、アフターコロナの景気回復の予測、SDGs(持続可能な開発目標、CO削減への動き等の状況を踏まえ、将来的に現在の全輸送量の3割程度の荷物が輸送困難になると予想される。かかる現状に鑑み、運送会社のみならず、運送会社に配送を依頼する側である顧客側でも、いかに効率よく配送するかを考えざるを得ないようになると思われる。その方策として、現状の実績管理(勘や経験頼り)では無く、事前データ管理により効率的、かつ、最適な物流システムを構築できるようにすることが希求されている。即ち、あらゆる物流プロセスで生成されるデジタルデータを収集して、それを可視化することで物流システムの効率化を推進し、解析することで物流システムの最適化を推進する必要がある。
【0003】
さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション:ITの浸透が人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させるという概念)の流れが物流業界にも及んでおり、物流プロセスを効率的に進めるためにも、今までに無い新しいソリューション(解決策)が必要となる。即ち、あらゆる物流プロセスを、IT基盤(単にデジタルデータの活用のみならず、機械学習、ディープラーニング等のAI活用を含む)を利用して、物流システム全体を統制することによって、物流の効率化・最適化を実現することが望まれている。
【0004】
特許文献1には、生産工場からユーザに製品を輸送する際の中継点の保管上の制約を考慮しながら、物流を最適化する方法を提供することを課題として、各ユーザに対する一定期間の各製品輸送量について、製品を生産可能な工場と、中継点であるストックポイント及びデポジットポイントでの、該製品の物性に依存する保管能力を考慮して、該製品のあらゆる輸送経路の組合せを作成し、それらの組合せの中から、総物流費、即ちユーザの(転送費+荷役費+保管費+配送費]の総合計が最小になる輸送経路を計算する(特許文献1:要約)」中継点を介する物流の最適化方法(特許文献1:発明の名称)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-356232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る中継点を介する物流の最適化方法(特許文献1:発明の名称)は、製品を工場から倉庫や一時貯留所に転送し、各ユーザに配送するためには、運送費の他にも荷役費や保管費が必要である。工場と倉庫や一時貯留所、及びユーザの位置関係は物流コスト削減のため最も重要な要素となることを踏まえ、各ユーザに輸送される各製品の輸送量に基づき、製品を生産可能な工場と中継点の保管上の制約に対応し、各製品の工場から中継点を介してユーザに至る全ての輸送経路の組合せを作成し、それらの組合せの中から、工場からユーザまでの輸送に必要な総物流費を最小になる輸送経路を計算するものである。しかしながら、あらゆる物流プロセスで生成されるデジタルデータを収集して、それを可視化・解析し、物流システムの効率化・最適化のために情報利活用を推し進めるという観点から見れば、機械学習により生成した学習モデルを最大限利用することで効率化・最適化解析により、効率を追求する物流システムの効率化、及び最適化評価スキームを確立することが重要である。
【0007】
本発明の目的は、従来アナログ的(現場作業者等の経験や勘等に任せていた)であったパレタイズ作業、トラック車載作業、運行ダイヤ作成作業を、デジタル技術により可視化(見える化)することで、効率化・最適化検証(機械学習によるものを含む)を行うことにより、無駄な物流を発生させないことに加え、物流が恰も「路線バス」のようなイメージになり、しかも、(トラックの)積載状況の「リアルタイム把握」を可能とする物流の効率化、及び最適化評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、複数の顧客の荷量データを入力し送信するための荷量集約・管理プラットフォームと、前記荷量集約・管理プラットフォームに入力し送信された荷量データを蓄積するための事前荷量データ保存手段と、前記事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データから、出荷作業者向けに、パレットに荷物を積載する指示をするために、画像イメージを作成するパレタイズイメージ作成手段と、前記事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データから、ドライバー向けに、トラックに該パレットを車載する指示をするために、画像イメージを作成する車載イメージ作成手段と、前記事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データから、ダイヤ表、及び積付表を作成する運行ダイヤ作成手段と、前記パレタイズイメージ作成手段、前記車載イメージ作成手段、及び前記運行ダイヤ作成手段によるアウトプットが効率的かつ最適であるかを検証するための効率化・最適化検証手段と、前記効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後のパレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータを蓄積する車載データ保存手段と、前記効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後のダイヤ・積付データを蓄積するための運行データ保存手段と、前記効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後の前記車載データ保存手段に蓄積されたパレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータと、前記効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後の前記運行データ保存手段に蓄積されたダイヤ・積付データと、前記事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データ、から最適在庫数を顧客側に提示する最適在庫算出手段を備えており、前記効率化・最適化検証手段は、配送日2日前までに確定する配送確定データに対し検証を行い、配送日前日までに、前記検証の結果、車載しきれない荷物が発生した場合に、後便に搭載すること、又は他のルート便が立ち寄り集荷することのいずれかを提案する効率化・最適化提案を行うものであり、さらに、機械学習(「配送する荷物の個々の形態」、「配送日時を含む配送場所」、に対して「荷崩れを防ぐ積載形態」、「配送ルート」をラベル(答え)として学習させることにより学習済みモデルを生成する)を使った手法により、配送中の荷崩れ防止算出手段を備える物流の効率化、及び最適化評価システムであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載した発明において、前記事前荷量データ保存手段に蓄積される荷量データは、荷物を形成する荷箱の寸法、荷箱の数量(荷箱が複数ある場合は寸法毎の荷箱の数量)、荷箱+内容物の重量(荷箱が複数ある場合は荷箱毎の荷箱+内容物の重量)、配送場所(配送日時を含む)である物流の効率化、及び最適化評価システムであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された発明において、前記荷崩れ防止算出手段は、荷物を形成する荷箱の寸法、荷箱の数量(荷箱が複数ある場合は寸法毎の荷箱の数量)、荷箱+内容物の重量(荷箱が複数ある場合は荷箱毎の荷箱+内容物の重量)、配送場所(配送日時を含む)に対して、最適なパレタイズ状態の画像(データは数値化する)、トラック車載状態の画像(データは数値化する)ダイヤ表、積付表、を答え(ラベル)とする大量のデータを与え、いわゆる教師あり学習させた学習済モデルにより、未知の前記事前荷量データに対して、最適なパレタイズ状態の画像、トラック車載状態の画像、ダイヤ表、積付表を算出させたものである物流の効率化、及び最適化評価システムであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至請求項3に記載された発明において、前記運行ダイヤ作成手段により作成されたダイヤ表、及び積付表を基に、所定の走行ルートにおける所定の地点での車両通過時間、及び車両積載状況をインターネット上に地図として詳細を表示することで公開する輸送ルート公開手段を備える物流の効率化、及び最適化評価システムであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載した発明において、前記輸送ルート公開手段により公開された前記所定の走行ルートを、効率化する最適ルート検索手段を備える物流の効率化、及び最適化評価システムであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、物流デジタルデータ(荷量データ)を配送依頼主である顧客から入手し、該物流デジタルデータ(荷量データ)を加工して使用することで、パレタイズ作業、トラック車載作業、及び運行ダイヤ作成作業を効率化(自動化を含む)し、それらの効率性の評価という上記一連の流れから、物流の効率化、及び最適化(機械学習によるものを含む)を探求するシステムに関する発明である。
【0016】
複数の顧客の荷量データを入力し送信するための荷量集約・管理プラットフォームと、荷量集約・管理プラットフォームに入力し送信された荷量データを蓄積するための事前荷量データ保存手段と、事前荷量データ保存手段に蓄積されたデータから、出荷作業者向けに、パレットに荷物を積載する指示をするために、画像イメージを作成するパレタイズイメージ作成手段と、事前荷量データ保存手段に蓄積されたデータから、ドライバー向けに、トラックに該パレットを車載する指示をするために、画像イメージを作成する車載イメージ作成手段と、事前荷量データ保存手段に蓄積されたデータから、適切なダイヤ表、及び適切な積付表を作成する運行ダイヤ作成手段を備えている。
【0017】
複数の顧客から送信された配送する荷物に関するデータ(荷量データ)を保存するための事前荷量データ保存手段により、配送依頼主である顧客からの配送する荷物に関するデータ(荷物形態、配送日時、配送場所等の条件:どのような形態の荷物を、いつまでにどこで集荷して、いつまでにどこへ運ぶのか等)を適切な形態でデジタルデータに加工して保存することができる。
【0018】
事前荷量データから、出荷作業者向けに、パレットに荷物を積み付けるための指示を、画像イメージを作成することにより行うパレタイズイメージ作成手段により、パレットに荷物が積み付けられた状態を画像で視覚的に認識することができる。事前荷量データから、ドライバー向けに、トラックにパレットを車載するための指示を、画像イメージを作成することにより行う車載イメージ作成手段により、トラックの荷台にパレットが車載された状態を画像で視覚的に認識することができる。従って、出荷作業者やドライバーが変わっても品質レベルが下がらず、品質を維持することができる。
【0019】
事前荷量データから、デフォルト運行ダイヤデータ(各ルート・各便データ)を基に、適切なダイヤ表、及び適切な積付表を作成する運行ダイヤ作成手段により、今までオペレータが勘や経験を基に運行ダイヤを作成していたが、その必要が無くなったので、オペレータが変わっても品質レベルが下がらず、品質を維持することができる。
【0020】
事前荷量データは、荷量集約・管理プラットフォームを経由することで加工された状態で事前荷量データ保存手段に保存されるので、csv形式等の顧客から入手した、様々なデータの形式をデータベース保存に適した形式に変換(加工も含まれる)することができるようになっている。尚、将来的にはデータ形式を統一することを考慮しても良い。さらに、事前荷量データは、荷物を形成する荷箱の寸法、荷箱の数量(荷箱が複数ある場合は寸法毎の荷箱の数量)、荷箱+内容物の重量(荷箱が複数ある場合は荷箱毎の荷箱+内容物の重量)、(それぞれの)配送場所(配送日時を含む)、である。尚、これら以外にも必要なデータを必要に応じて随時加えていくことができることは言うまでもない。
【0021】
さらに、パレタイズイメージ作成手段、車載イメージ作成手段、及び運行ダイヤ作成手段から得られた結果を検証し、かつ、最適化するための効率化・最適化検証手段により、配送計画データと配送実績データとの比較結果から検証を行い、顧客に対し事後に効率化・最適化提案を行うことができるようになった。同時に、自社内でも効率化・最適化に関する改善ができるようになった。さらに、配送日以前における配送確定データに対し検証を行い、配送日前日までに顧客に対し効率化提案を行うことができるようになった。
【0022】
荷崩れ防止算出手段(機械学習の手法による効率化・最適化手段の一例)の効果として、配送先(配送順)を加味した最適な積載形態を大量のデータを活用した機械学習により獲得していくことで、トラックに車載される荷物(パレタイズされた状態も含めて)がトラック配送中に、例えば、急ブレーキを掛けてしまった時に発生する「慣性力による荷崩れ」を起こさないようにする車載のノウハウを誰でも再現することができるようになった。従って、熟練作業者でなくてもレベルの高い積載作業ができるようになった。以上のことを纏めると、物流の効率化、及び最適化評価スキームの自社側のメリットとして、投入人員削減による人件費低減、人員不足に対応することができる。出荷作業者、ドライバー、オペレータが変わっても品質レベルが下がらないので、作業品質を維持することができる。事前に物流設計することで、余分なトラック走行が減少し、排出するCOを削減することができる。さらに、顧客側のメリットとして、物流費低減、特便(定期輸送に収まり切れなかった荷物の輸送便)を抑制することができるので、投入車両数低減、輸送設計コスト低減ができるようになった。
【0023】
効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後の車載データ保存手段に蓄積されたパレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータと、効率化・最適化検証手段により効率化・最適化検証後の運行データ保存手段に蓄積されたダイヤ・積付データと、事前荷量データ保存手段に蓄積された荷量データから最適在庫数を顧客側に提示する最適在庫算出手段により、在庫数の最適量を顧客側に提示することで、(顧客側の)過剰在庫を減らすことができるようになり、(顧客側の)生産管理に寄与することができるようになった。(尚、最適在庫算出手段では、本発明に係る物流の効率化、及び最適化評価システムを稼働させる以前の、いわゆる「既存の入出庫管理システム」にて管理されていた在庫品の入庫と出庫のデータを合わせて使用することもできる。)運送会社側としても在庫の保管スペースが節約でき、他の業務のためにその保管スペースを割り当てることができるようになった。要するに、「作り過ぎ」による無駄を軽減することができるようになった。さらに言えば、(顧客側工場での)生産時におけるCO排出量削減、及び(運送会社側での)輸送時におけるCO排出量削減に寄与することになる。
【0024】
運行ダイヤ作成手段により作成されたダイヤ表、及び積付表を基に、所定の走行ルートにおける所定の地点での車両通過時間、及び車両積載状況をインターネット上に地図として詳細を表示することで公開する輸送ルート公開手段により、顧客側にとっては、輸送方法等を検討する際に有用な情報(輸送ルート、各地点における通過時間)を提供されることで、即ち、運送会社側の運行状況が公開されることで、(顧客側の)輸送方法等の検討に要する時間(定期便、及び特便等の車両を手配する時間)を短縮することができるようになった。運送会社側としても、輸送ルートを公開することで、顧客側が運送会社として(自社を)選定して貰える確率が高くなること、及び特便発生時等における車両を手配する時間の軽減を図ることができるようになった。
【0025】
輸送ルート公開手段により公開された所定の走行ルートを、効率化する最適ルート検索手段により、効率が良い「走行ルート」を示すことで、車両(トラック)の走行を最適化・効率化でき、走行時の無駄を軽減できる。即ち、輸送時におけるCO排出量削減に寄与するのみならず、いわゆるベテランドライバーと新人ドライバーの違いによる走行時間の変動の軽減にも繋がる。即ち、ドライバーの品質統一を図ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る物流の効率化、及び最適化評価システムの概要を説明するための図である。
図2】パレタイズ指示手段により作成されたパレタイズイメージ図である。
図3】車載指示手段により作成されたトラック車載イメージ図である。
図4】効率化・最適化検証手段の手法A(計画データと実績データの比較による事後の効率化)を説明するための図である。
図5】効率化・最適化検証手段の手法B(配送日以前における配送確定データに対し、配送日前日までに効率化提案)を説明するための図である。
図6】効率化・最適化検証手段から得られた結果を基に、顧客に対して行う提案例について説明するための図である。
図7】荷崩れ防止算出手段を説明するための図である。
図8】荷崩れ防止算出手段の学習済みモデルを説明するための図である。
図9】輸送ルート公開手段による運用の一例を説明するための図である。
図10】総合物流システムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る物流の効率化、及び最適化評価システム1の一実施形態について、図1図10に基づいて詳細に説明する。物流の効率化、及び最適化評価システム1の詳細を説明する前に、従来の物流システム、及び従来の物流システムの問題点等について説明する。運送会社は、仕入先(配送依頼主であることが多い:顧客先)に出向いて配送する荷物を集め(仕入(集荷)作業)、物流センター等の一時的な保管場所にて一旦保管し、改めて納入先に配送する(納入作業)形態が基本である。配送形態には、定期便(荷物を月毎の計画通りに、決められた場所、決められた日時に配送する形態)による配送と、特便(定期便に積み切れなかった荷物を臨時便により配送する形態等)がある。
【0028】
現状の物流システムでは、多くの場合はオペレータが既存の運行ダイヤを基に、顧客からの発注依頼書等に記載された荷量データ(デジタルデータでは無くて紙の発注書であることが多い)を考慮して、オペレータの勘や経験を基に運行ダイヤを作成している。具体的には、顧客からの荷量データ(個々の荷物の寸法、個々の荷物の重量、仕入先(仕入日時)、納入先(納入日時)等、尚、本明細書においては、「仕入」及び「納入」を纏めて「配送」と定義する)を元に、オペレータが手作業、表計算ソフト等で、運行ダイヤ表等を作成していた。パレットに荷物を積載するパレタイズ作業は、出荷作業者が勘や経験に基づいて行い、パレタイズされたパレットのトラック荷台への車載についても、ドライバーが勘や経験を基に、トラック荷台への積載レイアウトを考えて行っていた。即ち、出荷作業者やドライバー自身が頭の中に描く積載イメージに従って、パレタイズ作業、トラック荷台への車載作業を行っていた。
【0029】
かかる実体(荷姿がビジュアル的で無く、端的に言えば見えていないことが問題であった)であるため、出荷作業者によるパレタイズ作業が上手く出来ず、或いは、ドライバーによるトラック荷台への車載作業が上手く出来ないこともある。即ち、出荷現場ではパレタイズ作業、及びトラック荷台への車載作業がスムーズにできないことがある。このことは、積載作業のやり直し等による出荷作業時間が大幅に延びてしまうのみならず、一度で積載できたはずの荷物の一部に積み残しが発生することに繋がる。即ち、荷物が溢れると特便(臨時便)が必要となり、その分、無駄なコストが生じることになる。さらに、運行ダイヤの編成についても、オペレータの勘や経験だけでは達成することができないような効率的な編成スキル、即ち、特便(臨時便)の発生をできるだけ回避する編成スキルがあるはずである。
【0030】
特便(臨時便)の発生を事前に排除するために、オペレータの勘や経験による運行ダイヤ作成、出荷作業者、及びドライバーの勘や経験によるパレタイズ作業、トラック車載作業を止め、オペレータが代わっても、適切な運行ダイヤ作成ができ、出荷作業者が代わってもパレタイズ作業の品質レベルが下がらず、品質を維持することができるようにすべきであり、ドライバーが代わってもトラック車載作業の品質レベルが下がらず、品質を維持することができるようにすべきである。将来的には、社会全体の利益を考慮し、荷量データを共有可能なデータとして収集し、物流業界全体としての利益にすべきである。
【0031】
<物流の効率化、及び最適化評価システムの概要>
図1は、本発明に係る物流の効率化、及び最適化評価システム1の概要を説明するための図である。図1に記載したように、物流の効率化、及び最適化評価システム1は、複数の顧客の荷量データを入力し送信するための荷量集約・管理プラットフォーム2と、荷量集約・管理プラットフォーム2に入力し送信された荷量データを蓄積するための事前荷量データ保存手段3と、事前荷量データ保存手段3に蓄積されたデータから、出荷作業者向けに、パレットに荷物を積載する指示をするために、画像イメージを作成するパレタイズイメージ作成手段4と、事前荷量データ保存手段3に蓄積されたデータから、ドライバー向けに、トラックに該パレットを車載する指示をするために、画像イメージを作成する車載イメージ作成手段5と、事前荷量データ保存手段3に蓄積されたデータから、デフォルト運行ダイヤデータ(各ルート・各便データ)を基に、適切なダイヤ表、及び適切な積付表を作成する運行ダイヤ作成手段6が備わっている。尚、事前荷量データは、荷量集約・管理プラットフォーム2を経由することで、使い勝手良く加工された状態で事前荷量データ保存手段3に保存される態様であっても良い。
【0032】
パレタイズイメージ作成手段4、車載イメージ作成手段5、及び運行ダイヤ作成手段6によるアウトプットが、効率的かつ最適であるかを検証するための効率化・最適化検証手段7を備えている。
【0033】
効率化・最適化検証手段7により効率化・最適化検証後のパレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータを蓄積する車載データ保存手段8と、効率化・最適化検証手段7により効率化・最適化検証後のダイヤ・積付データを蓄積するための運行データ保存手段9を備えている。車載データ保存手段8と運行データ保存手段9に蓄積されるデータは、効率化・最適化検証手段7により(効率化・最適化)検証される度に更新されるものである。
【0034】
効率化・最適化検証手段7により効率化・最適化検証後の車載データ保存手段8に蓄積されたパレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータと、効率化・最適化検証手段7により効率化・最適化検証後の運行データ保存手段9に蓄積されたダイヤ・積付データと、事前荷量データ保存手段3に蓄積された荷量データを基に、最適在庫数を算出して客先に提示する最適在庫算出手段11を備えている。そして、運送会社の車両(荷物積載状況も開示されたトラック)が「どのルート(道順を含む)」の「どの地点」を何時何分頃に通過するか(輸送経路情報、及びリアルタイム輸送情報)を地図上に表記(具体的には、インターネット上に公開)する輸送ルート公開手段12、さらに、運送会社の車両(トラック:荷物積載状況も開示されていても良い)が「どの道路」を走行すれば最も効率の良い輸送ができるのかを算定し、提示する最適ルート検索手段13を備えている。尚、最適在庫算出手段11、及び最適ルート検索手段13については、機械学習により精度の向上を図ることができる。膨大なデータが蓄積される程、機械学習による精度を向上させることができる。機械学習を使った手法による配送中の荷崩れ防止算出手段10(機械学習の手法による効率化・最適化手段という位置付けになる)については詳細につき後述する。
【0035】
物流の効率化、及び最適化評価システム1の流れとしては、荷量集約・管理プラットフォーム2に入力し送信された荷量データを蓄積するための、事前荷量データ保存手段3に蓄積された事前荷量データを基に、パレタイズイメージ作成手段4、車載イメージ作成手段5、及び運行ダイヤ作成手段6によるアウトプットが為される。その後、パレタイズイメージ作成手段4、車載イメージ作成手段5、及び運行ダイヤ作成手段6によるアウトプットが、効率的かつ最適であるかを検証するための効率化・最適化検証手段7による検証が為される。その後、効率化・最適化検証手段7により効率化・最適化計算後の(最適化された)パレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータを蓄積する車載データ保存手段8に蓄積される。同時に、配送における時間・場所等の制約条件等を考慮した(効率化・最適化検証手段7による)効率化・最適化計算後の(最適化された)ダイヤ・積付データを蓄積するための運行データ保存手段9に蓄積される。
【0036】
事前荷量データ保存手段3に蓄積された事前荷量データを基に、パレタイズイメージ作成手段4、車載イメージ作成手段5、及び運行ダイヤ作成手段6によるアウトプットが為された後であっても(配送日前であれば)、パレタイズイメージデータ、車載イメージデータを蓄積する車載データ保存手段8に蓄積されたデータ、及び/又は、運行データ保存手段9に蓄積されたデータが更新された場合は、更新されたデータにより計算(検証)されたパレタイズイメージデータ、車載イメージデータ、ダイヤ・積付データが最善であることが多い。従って、更新されたデータに基づいて、効率化・最適化検証手段7にて再計算が行われ、改めて、パレタイズイメージ作成手段4、車載イメージ作成手段5、及び運行ダイヤ作成手段6によるアウトプットが為される仕組みになっている(再計算:図1参照)。
【0037】
(効率化・最適化検証後の)車載データ保存手段8に蓄積されたパレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータと、運行データ保存手段9に蓄積されたダイヤ・積付データと、事前荷量データ保存手段3に蓄積された荷量データから、プログラム計算(機械学習を含む)することで算出した最適在庫数を顧客側に提示する(最適在庫算出手段11:図1参照)。
【0038】
さらに、(効率化・最適化検証後の)運行データ保存手段9に蓄積されたダイヤ・積付データを基にして、運送会社の輸送ルートをインターネット上に公開し(輸送ルート公開手段12(図1参照)、(日々の交通状況等のデータも加味した状態で)運送会社の車両(トラック)が「どの道路」を走行すれば、最も輸送効率が良いのかを(算定・提示する)、最適ルート検索手段13(グローバル・ポジショニング・システム:GPSと連携しても良い)にて検索する(図1参照)。
【0039】
荷量集約・管理プラットフォーム2は、配送依頼主である顧客がアクセスして事前荷量データ等を入力できるようになっている。顧客等アクセス権が認められた者のみがアクセスすることができるように、セキュリティ等の侵入者対策が為されている。例えば、ワンタイムパスワード等のセキュリティ対策が為されていることが好ましい。事前荷量データ保存手段3、車載データ保存手段8、運行データ保存手段9は、デジタルデータを記憶(保存)可能な記憶媒体であり、いわゆるデータベースとして使用できるものであれば良く、パーソナルコンピュータ内蔵のメモリ(RAM等)を使用することができる。さらに、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、ハードディスク、DVDディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク等の補助記憶装置及び媒体、セキュリティ対策が施されたクラウドストレージ等から構成されても良い。
【0040】
図2は、パレタイズイメージ作成手段4により作成されたパレタイズイメージ図である。出荷作業者は、パレタイズイメージ作成手段4(図1参照)により、画面(或いは紙に打ち出された状態)を見ながらパレタイズ作業ができる。画面はカラー表示ができるので、色分けすることで、(出荷作業者は)より明確に(画像イメージとしてパレタイズ作業が完了した状態を)認識することができる。図3は、車載イメージ作成手段5により作成されたトラック車載イメージ図である。ドライバーは、車載イメージ作成手段5(図1参照)により、画面(或いは紙に打ち出された状態)を見ながらトラック車載作業ができる。画面はカラー表示ができるので、色分けすることで、(ドライバーは)より明確に(画像イメージとしてトラック車載作業が完了した状態を)認識することができる。
【0041】
運行ダイヤ作成手段6は、配送ルートを短時間で計算するシステムであり、具体的に「いつ(何時何分)、どのトラックが、どこの配送先(仕入先、納入先)を、どのような順番に回るか」という配送計画を、複雑な条件や配送現場の特殊な事情等の制約を考慮しつつ作成し、効率的な配送ルートを設計するシステムである。ダイヤ表(何時にどの拠点に立ち寄るかを示した図)と、積付表(トラック毎にどの納入先の荷物が積載されるかを示した表)を作成するものである。運行ダイヤ作成手段6により、(プログラムを実行することで)自動で運行ダイヤを作成することができるので、オペレータ無しで運行ダイヤ作成を行うことができる。尚、運行ダイヤ作成手段6は、クラウド上のシステムであっても良い。
【0042】
<効率化・最適化検証手段>
図4は、効率化・最適化検証手段7の手法A(計画データと実績データの比較による事後の効率化)を説明するための図である。図5は、効率化・最適化検証手段7の手法B(配送日以前における配送確定データに対し、配送日前日までに効率化提案)を説明するための図である。
【0043】
図4について説明する。所定の月(N月)の配送計画は、(多くは)N-1月に配送計画が作成される。通常であれば、N―1月の4Wまでに顧客からの配送計画データ(または荷量データ)を受領し、荷量集約・管理プラットフォーム2にて、(顧客からの配送計画データ(または荷量データ)に)必要な加工を行ってから、事前荷量データ保存手段3に保存することで配送計画が確定する。この時点では定期便のみで、顧客からの配送計画データ(または荷量データ)から作成した配送計画の全ての配送が完了することを見込んでいる。
【0044】
ところが、実際には、N月の実績としては、定期便から溢れてしまった荷物を、特便(臨時便)を追加して配送することがある。図4には特便(臨時便)が3便発生したことが記載されている。(即ち、計画と実績の比較において、特便3台分の差異が発生してしまったことになる。)N+1月の第1Wに、N月の実績データを纏めると、計画と実績の間に乖離(特便3便分)が見られる。効率化・最適化検証手段の手法A(計画データと実績データの比較による事後の効率化)では、計画データと実績データの比較による検証(効率化・最適化検証手段7による)から、顧客に対して発注に関するアドバイス(顧客に対する効率化提案:図4参照)を行う。
【0045】
具体的には、顧客に対して、特便を発生させないためには、例えば、特便(臨時便:余分なコストが発生する)に積載した荷物を、前便(定期便)に積載、後便(定期便)に積載、他ルート便(既存ルート)に積載、他ルートとの組み換え・組み合わせにて積載する等の複数の改善案を提示し、これらの改善案を基に発注すれば、特便は削減することができた旨、即ち、発注計画を見直すように提案することができる。この際、投入車両台数が「○○台」削減できたはずである、と具体的な数字で提案することができる。
【0046】
図5について説明する。N日が配送日である。N-2日までに、N日に配送する配送確定データを、過去のデータを基に、効率化・最適化検証手段7により検証する。(N日が配送日である荷量データをN-2日に検証するのは、配送日の1ケ月前に提供された顧客からの荷量データは変動することが多く、実務的に言えば、顧客からの荷量データが確定する日は、多くの場合、2~3日前になるからである。)その結果、特便が出てしまう等の状況が判明すれば、顧客にその旨連絡し、配送計画の変更案を提示する。具体的には、前便、或いは、後便との組み合わせで特便を発生させない提案、別ルート便との組み合わせで特便を発生させない提案を行う。効率化・最適化検証手段7による検証により、(効果が絶大で)特便を発生させないばかりでなく、定期便も削減できる場合は、定期便投入車両台数の減便提案を行う。尚、配送作業に支障が出るのを避けるため、N-1日までに最終的な承認を顧客より受けるようにするのが望ましい。その後速やかに、N-1日までに、運行ダイヤ作成手段6により、ダイヤ表、及び積付表を作成し、N日(当日)までに、車載イメージ作成手段5により、ドライバーに対して最適車載状態の指示ができるようにする。尚、パレタイズイメージ作成手段4により、出荷作業者に対して、パレタイズ作業の指示を含めて行うことは言うまでも無い。
【0047】
図6は、効率化・最適化検証手段7から得られた結果を基に、顧客に対して行う提案例について説明するための図である。図6に記載したように、具体的には、(1)車載しきれない荷物(溢れ品)を後便(10tトラック)に搭載し、特便発生を抑える(最適候補Aパターン)、(2)車載しきれない荷物を特便(4tトラック(注:10tトラックよりも低コスト))に搭載する(最適候補Bパターン)、(3)車載しきれない荷物を他のルート便に立ち寄り集荷し、特便発生を抑える(最適候補Cパターン)、等の効率化案を顧客に対して提案することができる。即ち、最適な配送パターンを複数候補提示して、その中から顧客の都合に合わせて選択して貰うことができるようにしたのは、顧客側の利益も考慮しているためである。本発明は、自社(本発明に係る物流システムの効率化、及び最適化評価スキームを使用する主体)のみならず、他社(顧客側)に対してもコスト削減等の効果があるということに特徴がある。尚、効率化・最適化検証手段7において、大量のデータを蓄積し、それらの大量のデータを使用して機械学習(教師あり学習、教師なし学習、強化学習等)させることにより、パレタイズイメージ作成手段4、車載イメージ作成手段5、運行ダイヤ作成手段6の算出精度を向上させる(グレードアップ)ことができることは言うまでもない。
【0048】
<機械学習による配送中の荷崩れ防止手段>
本発明は、単に、荷物のパレタイズ作業を含めたトラックへの車載作業(配送日時、配送場所(配送順序)を考慮)を効率化、最適化し、その効率化・最適化の完成度を評価するのでは無く、トラックに車載される荷物がトラック配送中に、例えば、(止むを得ずの場合も有り得る)急ブレーキを掛けてしまった時に発生する「慣性力による荷崩れ現象」を起こさないようにするための最適な積載形態を、大量のデータを活用した機械学習により学習させつつ、効率化・最適化の完成度を高めていくことも特徴である。これについて以下に述べる。尚、荷崩れ防止算出手段10は、機械学習に拠る物流の効率化、最適化評価の一例である。
【0049】
図7は、荷崩れ防止算出手段10を説明するための図である。荷物は、まず平面形状のパレットに下から積み上げられ、パレットに積載された(パレタイズされた)状態で、トラック荷台に車載される。パレット上に荷物を積み上げる際は、下側に重量物、上側に行くに連れて、次第に重量が軽くなるようにするのが基本である。そして、荷物は、パレット毎にトラックの荷台に車載するのであるが、トラック荷台の最後尾から、(配送順が)1番目に配送する荷物、2番目に配送する荷物、3番目に配送する荷物・・・・・のように車載するという基本ルールがある(図7(a)参照)。これは、最初に下ろす荷物(パレット)が最後尾でなければ、荷物(パレット)と荷物(パレット)の間に空間が生じてしまい(途中が抜けた状態になり)、配送中にブレーキを掛けた際、荷崩れ現象が生じてしまうからである。
【0050】
当然のことであるが、荷物(パレット)はトラックが停止した状態(非常に安定した状態)で車載される。しかしながら、トラックは一旦走り出すと、トラックに車載された荷物は、絶えず振動や衝撃等の外的な力を受け続けることになる。トラックの発進時・停止時には、進行方向に対して前後に、段差通過時には上下に、カーブでは左右に遠心力が掛かる。またそれぞれに「急」の付く行為である程、そして速度が大きければ大きい程その影響の度合いは増加する。トラックに車載された荷物が、例えば、図7(b)のような状態になっていると、急ブレーキを掛けた際、慣性力により荷崩れが発生してしまう。このようなことは理屈では解るが、それに対処するためのノウハウは、個々のドライバーの経験や勘等に任されていたという現状があった。
【0051】
配送のための走行中に「いつ、どこで、どのタイミングで、どのくらいの力が発生するのか」を完璧に予測することは難しい。しかしながら、個々のドライバーの経験や勘等による積載形態(配送する荷物の個々の形態との関係、配送する場所、配送順も含めて)をデータとして蓄積すること、更に言えば、時間を掛けて大量の積載形態(配送する荷物の個々の形態、配送する場所、配送順も含めて)のデータを蓄積することで、「配送する荷物の個々の形態、配送する場所、配送順」と「荷崩れを防ぐ積載形態」との間に一定の関連性、即ち、荷崩れ防止対策の方向性が見えて来ると考えられる。
【0052】
図8は、荷崩れ防止算出手段10の学習済みモデルを説明するための図である。機械学習の手法を用い、大量にデータを解析させることにより「学習済モデル」を生成する。具体的には、「配送する荷物の個々の形態(寸法、重量)、配送日時を含む配送場所(荷量データ:図8参照)」に対して「荷崩れを防ぐ積載形態(パレタイズイメージ、車載イメージ:図8参照)、配送ルート(ダイヤ表、積付表から得られた「降し順」:図8参照)」をラベル(答え)として学習させることにより、学習済みモデルを生成する。
【0053】
大量のデータを基に学習することで、「特定の荷物形態(荷物寸法、荷物重量等)で特定の配送場所(配送時間を含めても良い)では、このような荷姿(積載形態)、配送ルートが最適である(荷姿を画像の形でアウトプットし、ダイヤ表と積付表をアウトプットする)」ということを推測(実際は計算する)させることができるようになる。即ち、新たに、(今までに無かった)未知の「配送する荷物の個々の形態、配送場所(配送時間を含めても良い)」を入力すれば、それに対応する「(荷崩れを防ぐ)最適な積載形態、ダイヤ表、及び積付表」が出力されるようになる。即ち、荷崩れを防ぐ最適な積載形態、及び最適な配送ルートが出力されるようになる。
【0054】
学習済モデルの生成は、荷物を構成する箱の寸法(30cm×30cm×30cm等、規格が決まっているものが多い)、それぞれの箱の数量、それぞれの箱+内容物の重量、配送場所(配送時間を含めても良い)に対して、最適なパレタイズ状態の画像(データは数値化する)、トラック車載状態の画像(データは数値化する)、ダイヤ表、積付表、を答え(ラベル)とする大量のデータを与え、いわゆる「教師あり学習」させるものである。機械学習の精度はデータ数が多ければ多い程上がるので、この作業は将来に亘って継続的に行われることになる。その都度、学習済モデルは改良され、より精度の高い学習済モデルになっていくことになる。
【0055】
機械学習の結果、未知の「荷物を構成する箱の寸法(30cm×30cm×30cm等、規格が決まっているものが多い)、それぞれの箱の数量、それぞれの箱+内容物の重量、配送場所(配送時間を含めても良い)」がインプットされたときに、単に、荷物のトラックへの車載作業(パレタイズ作業を含めた)を効率化、最適化を達成するだけでは無く、トラックに車載される荷物がトラック配送中に、例えば、急ブレーキを掛けてしまった時に発生する「慣性力による荷崩れ」を起こさないようにすることも考慮に入れて、最適な積載形態を算出できるようになる。ゆくゆくは、未経験者が入社してきたとしても、荷崩れを起こさないような熟練作業者が行うのと同等の積載形態をAI(人工知能)が示すようになるので、非常に好ましい状態になる。
【0056】
荷崩れ防止のための積載技術として、荷物を同じ配列で積み上げるのではなく、段ごとに配列のパターン(交互列積み、レンガ積み、スプリット積み、ピンホイール積み等が知られている)を変えて積み上げていくというノウハウもある。積み上げる高さが高くなる場合は、中段に合紙を敷くことで、横滑りし難くなるため、荷崩れ防止に繋がるというノウハウもある。さらに、荷崩れ防止のため、荷崩れ防止ラップ、荷崩れ防止ベルト、荷崩れ防止ネット等が知られている。確かに、パレットに積載された荷物を荷崩れ防止ラップでぐるぐる巻きにして、荷崩れ防止ベルトで固定して、荷崩れ防止ネットを被せれば、配送中の荷崩れは相当押さえられると思われる。しかしながら、これでは、積載コストが掛かり過ぎて採算が合わなくなることは明白である。
【0057】
熟練した出荷作業者やドライバーは、これまでの経験により、配送する荷物毎の配送コースに合わせた「慣性力による荷崩れ」を起こさないようにするための最適な積載形態を知っている(最適と思われるパレタイズ状態のイメージ、トラック車載状態のイメージを持っている)ことが多いので、予め、これらのノウハウをデータ化して入力すれば、学習済モデルを生成させるための時間を短縮させることができる。学習済モデルは完成した後も、日々データが追加されることで改良されて行くものである。
【0058】
学習済みモデルが改良された際は、改良された学習済モデルにより計算(推定)されたパレタイズイメージデータ、車載イメージデータ、ダイヤ・積付データが最善であるので、改良された学習済みモデルに基づいて、再計算が行われ、改めて、パレタイズイメージ作成手段4、車載イメージ作成手段5、及び運行ダイヤ作成手段6によるアウトプットが為される仕組みになっている(再計算:図1参照)。尚、機械学習の手法として、本明細書においては、主に教師あり学習による手法について記載したが、教師あり学習の他に強化学習による手法、教師なし学習による手法であっても、本発明と同様の効果が得られるものであれば採用することができることは言うまでも無い。
【0059】
図9は、輸送ルート公開手段12による運用の一例を説明するための図である。輸送ルート公開システム12により、インターネット上の特設サイトに、運送会社の車両(荷物積載状況も開示されたトラック)の輸送ルート、輸送ルート上の各地点における通過時間等が公開される(図9:公開地図情報(リアルタイム輸送情報、輸送経路情報)参照)。特設サイトにアクセスする権限を有する会員会社(荷主顧客または他の運送会社)は、運送会社の既存の運行経路を確認しながら、製品の輸送計画を立案することができる。発注後において、顧客は(顧客側で立案した輸送計画に従って)発注済の自社製品の動態(現時点で自社製品が(地図上の)どこにいるか等)をパソコン上で確認することができる(図9参照)。
【0060】
さらに、輸送ルート公開手段12は、顧客との現場での打ち合わせ時において、(現場での)調整に多大な貢献をする。即ち、現場で顧客との打ち合わせ時に、顧客側が提示した輸送品目、集荷・納入時間等の条件を、(現場で)タブレット端末等に入力すると、輸送ルート公開手段12(最適ルート検索システム13により効率が良い「走行ルート」が選択されていても良い)、運行ダイヤ作成手段6、効率化・最適化検証手段7等、を含んだシステム上で人工知能(AI)が作動することにより、瞬時に、最適運行ダイヤ(仮運行ダイヤ)を自動で作成し、タブレット端末等に表示させることができる(図9参照)。尚、(同時に)「見積書」をタブレット端末に表示させることもできる。
【0061】
図10は総合物流システム(ILS:Intergrated Logistics System)を説明するための図である。総合物流システム(ILS)は、本発明に係る物流の効率化、及び最適化評価システムの一つの到達点である。総合物流システム(ILS)は、図10に記載したように、2社以上(図10においては、A運送会社、B運送会社の2社が記載されているが、勿論、それ以上の運送会社数であっても良い)の運送会社が連携する仕組みである。
【0062】
A運送会社、及びB運送会社は、それぞれが、入出庫を管理するシステム(入出庫・在庫データ管理システム)、物流データを管理するシステム(立寄先条件データ管理システム)等にて、荷量データ、立寄先プラット時間等のデータを管理している(図10参照)。図10に記載したように、A運送会社、及びB運送会社は、総合物流システム(ILS)により、それらのデータを共有(1つのデータ群に纏める)することで、それぞれの入出庫を管理するシステム、物流データを管理するシステム等で管理している荷量データ、立寄先プラット時間等のデータを纏めた形での、(A運送会社、及びB運送会社を1つの運送会社共同体とした)共同輸送による最適ダイヤ表、及び積付表(ダイヤ・積付データ)等の情報、最適積込レイアウト(パレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータ)等の情報を得ることができる。
【0063】
尚、ダイヤ・積付データ、パレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータは、効率化・最適化検証手段7にて効率化・最適化された後、運行データ保存手段9(ダイヤ・積付データが保存されている)、車載データ保存手段8(パレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータが保存されている)により保存されたデータである。さらに言えば、機械学習により精度が向上したデータであっても良い。
【0064】
(複数の)会員会社(運送会社共同体を構成する会社)は、自社の輸送に関わる情報の閲覧のみならず、条件付きではあるが、(それぞれが)共同輸送による最適ダイヤ表、及び積付表(ダイヤ・積付データ)等の情報、最適積込レイアウト(パレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータ)等の情報を閲覧し、(ある輸送案件が)自社が請け負うよりも他社に任せた方が効率的であると判断すれば、お互いに輸送を依頼し合うことができる(図10参照)。
【0065】
さらに、顧客との(現場での)打ち合わせにおいて、総合物流システム(ILS)と連携する「特設WEBサイト」等をタブレット端末等で(現場で)参照し、必要なデータを入力することで、(A運送会社、及びB運送会社を1つの運送会社共同体とした)共同輸送による最適ダイヤ表、及び積付表(ダイヤ・積付データ)等の情報、最適積込レイアウト(パレタイズイメージデータ、及び車載イメージデータ)を確認しながら(但し、他社情報については要許諾等の条件付きとすることができる)商談を進めることができる。即ち、(現場で)タブレット端末等に運送に関する数量等のデータを入力すると、人工知能(AI)が作動することにより、瞬時にダイヤ表、積付表等を自動で作成し、タブレット端末等に表示させることができる(図10参照)。尚、(同時に)「見積書」をタブレット端末に表示させることもできる。
【0066】
<物流の効率化、及び最適化評価システムの効果>
本発明に係る物流の効率化、及び最適化評価システム1は、荷量データを配送依頼主である顧客から事前に入手し、荷量データを(AI技術を駆使しつつ)使用することで、パレタイズ作業、トラック車載作業、及び運行ダイヤ作成作業を効率化し、それらの効率性の評価という上記一連の流れから、物流の効率化、及び最適化を図ると共に、最適在庫数を顧客側に提示し(顧客の生産管理に寄与する)、そして、運送会社の輸送ルートをインターネット上に公開すること、及び運送会社のトラック(荷物積載状況も開示された車両)が「どの道路」を走行すれば、最も輸送効率が良いのかを検索(GPSと連携させても良い)させること、さらに、複数の運送会社が提携することができるシステムを構築することによる物流の効率化を達成する発明である。
【0067】
物流の効率化、及び最適化評価システム1の実施主体である運送会社のみならず、配送依頼主である顧客側にもコスト削減等の効果があることが大きな特徴である。物流の効率化、及び最適化評価システム1の輪を物流業界全体に広げていくことで、近年の運送業界における働き方改革への取り組み、アフターコロナの景気回復(予測)、SDGs(持続可能な開発目標、CO削減への動きに対応していこうとするものである。
【0068】
物流の効率化、及び最適化評価システム1の効果を述べる前に、従来の運行ダイヤを作成する際における問題点について述べる。運行ダイヤを組む・修正する段階で、月度の荷量(計画ベース)から日次荷量を算出し、投入するトラック車両数等を設定していた。この際、トラック1台当たりの満載基準の設定値(積載量÷積載可能量の値:任意に設定する)により、高積載、低積載に分けて考えていた。
【0069】
顧客側から直前に荷物の追加等(荷量のブレという)があることを予想して、特便(臨時便)を発生させないように満載基準を設定すると、低積載の便となり、即ち、多量の空気を運んでしまうことになりコスト高になる。一方で、高積載にするために満載基準を上げると、日々の顧客側において生産数が増加する等、配送追加の要請があった場合に、特便(臨時便)発生の頻度が上がる。そのため、ダイヤ作成時には担当者が荷量を現地で確認し、顧客やドライバーに状況を確認するため、即ち、調整作業に多大な時間が掛かっており、これを改善する必要があった。
【0070】
本発明により、配送日以前に数日後の確定日次受注データを開示頂くことで、効率化・最適化検証手段6による評価スキーム(効率化、及び最適化検証手段6の手法B(配送日以前における配送確定データに対し、配送日前日までに効率化提案))を回すことができ、最適な車載・配送検討が可能であるため、特便(臨時便)発生抑止が実現できるようになった。
【0071】
その結果、ダイヤ調整にかかる時間も大幅に抑止できるようになった。車建輸送(トラック1台毎に運賃が発生する形態)を依頼している顧客は、投入車両を抑えることができるため、物流費削減・CO削減が望める。個建輸送(荷物毎に運賃が発生する形態)を依頼している顧客は、受注側の持出費用(過剰な車両投入費・人件費等)やCO排出量を削減できるようになった。さらに、荷量について3日前や前日に頻繁に変更が生じてしまうという問題も生じていたが、「〇〇便の特便(臨時便)は削減できたはずである」と顧客に対して明確なデータを基に提案することができるようになった。
【0072】
運送会社側のメリットとして、積載率を上げることができ、利益率向上(個建運送)、CO削減を図ることができ、特便(臨時便)を極力減らすことができるようになった。さらに、手配時間の削減、自社負担特便(臨時便)に掛かるコストを削減することができるようになった。
【0073】
どのようにパレタイズ作業すれば効率が良いかを算出することができるので、仕分け時間の削減(作業効率の向上)による人件費削減、利益率向上、仕分けミスの撲滅を図ることができるようになった。最適なパレタイズ指示することで無駄の排除、作業員が代わっても品質を落とすことが無い。どのように車載すれば良いのか算出することができるので、車載時間の削減により、人件費削減、利益委率向上、車載ミスの撲滅を図ることができるようになった。そして、最適な車載指示による積み残し、溢れ排除、ドライバーが代わっても品質が落ちることは無く、緻密な輸送計画を立てることもできるので、計画段階での高効率化を図ることができるようになった。さらに、輸送計画を立てる時間を短縮することができるので、人件費を削減することができるようになった。
【0074】
顧客側のメリットとして、積載率を上げ便数を削減でき、さらに、特便(臨時便)も極力減らすことができるため、輸送コストを削減することができるようになった。どのようにパレタイズすれば効率が良いのかをシミュレーションすることができるので、仕分け時間を削減することができ、また、どのように車載すれば効率が良いのかをシミュレーションすることができるので、車載時間も削減でき、輸送コストの削減をすることができるようになった。
【0075】
物流業務の外注化によるトータルコストを削減することができるし、緻密な輸送計画を立てることができるので、計画段階での高効率化を図ることができるようになった。さらに、輸送計画を立てる時間を短縮することができるので、人件費を削減することができるようになった。
【0076】
所定の走行ルートにおける所定の地点での車両通過時間、及び車両積載状況をインターネット上に地図として詳細を表示する輸送ルート公開手段12(最適ルート検索手段13と併用しても良い)により、トラック輸送を「オムニバス化」し、誰でも積載・運行状況、運行計画が見えるような(「路線バス」のように+積載状況のリアルタイム把握)仕組みとすることで、トラック輸送を(誰でも利用することができる、公に開かれた)インフラとすることで、輸送自体を効率化することができるようになる。
【0077】
具体的には、トラック輸送時に立ち寄る各地点間を結ぶ(何通りかの選択肢のある複数の道路から)最適な道路を効率よく選択することができるようになる。輸送ルート公開手段12、及び最適ルート検索手段13による効果は大きく、トラック業界全体として、輸送時におけるCO2排出量削減に寄与するのみならず、ベテラン・新人の違いによる走行時間のブレの軽減にも繋がり、ドライバーの品質の統一化を図ることができるため、トラック業界全体の利益になるものである。
【0078】
物流業界の将来性を考えると、現状のままでは決して先行きは決して明るくないと言える。この危機を乗り越えるために、物流業界が一丸になって目標に向かっていくべきである。例えば、重量物(ビール等)と軽量物(菓子等)をトラックに混載させて配送するということは、従来では考えられなかったことであるが、物流の効率化という観点で考えれば、混載させて輸送コスト軽減を図るべきである。そのような取り組みも散見されるようになっている。しかしながら、具体的に実現するためには、まだまだハードルが高いと言わざるを得ない。本発明により物流の可視化(車載状態、配送ルート等の見える化)を図ることで、異業種が互いに歩み寄り(配送情報をお互いに開示することを含めて)、物流業界の大きな流れにしていくことが期待される。即ち、業界間の垣根を取り壊す効果により、物流業界をさらに発展させることができる。
【0079】
<物流の効率化、及び最適化評価システムの変更例>
本発明に係る物流の効率化、及び最適化評価システムは、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、荷量集約・管理プラットフォーム、事前荷量データ保存手段、パレタイズイメージ作成手段、車載イメージ作成手段、運行ダイヤ作成手段、効率化・最適化検証手段、車載データ保存手段、運行データ保存手段、荷崩れ防止算出手段、最適在庫算出手段、輸送ルート公開手段、最適ルート検索手段等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。例えば、パレタイズ指示手段、及び車載指示手段については、よりビジュアルな形態である3D画面にすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る物流の効率化、及び最適化評価システムは、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、あらゆる物流プロセスで生成されるデジタルデータを収集して、それを可視化することで物流の効率化を図るシステムとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0081】
1・・物流の効率化、及び最適化評価システム
2・・荷量集約・管理プラットフォーム
3・・事前荷量データ保存手段
4・・パレタイズイメージ作成手段
5・・車載イメージ作成手段
6・・運行ダイヤ作成手段
7・・効率化・最適化検証手段
8・・車載データ保存手段
9・・運行データ保存手段
10・・荷崩れ防止算出手段(機械学習による効率化・最適化手段の一例)
11・・最適在庫算出手段
12・・輸送ルート公開手段
13・・最適ルート検索手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10