(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20241213BHJP
【FI】
G06Q30/0202
(21)【出願番号】P 2022106789
(22)【出願日】2022-07-01
(62)【分割の表示】P 2020070353の分割
【原出願日】2020-04-09
【審査請求日】2023-04-07
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】518388498
【氏名又は名称】株式会社MaaS Tech Japan
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】日高 洋祐
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-203272(JP,A)
【文献】特開2019-082937(JP,A)
【文献】特許第7131841(JP,B2)
【文献】特開2001-125955(JP,A)
【文献】特開2016-143426(JP,A)
【文献】特開2012-221354(JP,A)
【文献】特開2013-206282(JP,A)
【文献】特開2014-235487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
或る事業者に対して、各エリアの立地スコアに応じて商業施設を出店すべきエリアを提案するプログラムであって、
コンピュータを、
各ユーザからの要求に応じて、出発地から目的地までに移動手段を利用する複数の移動経路を検索する検索手段、
前記検索された複数の移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに加点を行う
場合に、前記検索された複数の移動経路のうちユーザから選択されなかった移動経路上に含まれるエリアの立地スコアよりも、ユーザから選択された移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに多くの加点を行う評価手段、
前記或る事業者に対して、前記立地スコアが第一所定値以上であるエリアを出店すべきエリアとして提案する提案手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
コンピュータを、
前記検索された複数の移動経路のうち、前記ユーザから選択された移動経路を当該ユーザのスケジュールに追加
する追加手段、
として機能させる、
請求項
1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記評価手段は、地価が低いエリアであるほど、立地スコアに多くの加点を行う、
請求項1
又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記評価手段は、前記或る事業者と競合する商業施設が少ないエリアであるほど、立地スコアに多くの加点を行う、
請求項1乃至
3の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記評価手段は、前記検索された移動経路の通過地点を含むエリアの立地スコアよりも、当該移動経路の乗換地点を含むエリアの立地スコアに多くの加点を行う、
請求項1乃至
4の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
或る事業者に対して、各エリアの立地スコアに応じて商業施設を出店すべきエリアを提案する情報処理装置であって、
各ユーザからの要求に応じて、出発地から目的地までに移動手段を利用する複数の移動経路を検索する検索手段と、
前記検索された複数の移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに加点を行う
場合に、前記検索された複数の移動経路のうちユーザから選択されなかった移動経路上に含まれるエリアの立地スコアよりも、ユーザから選択された移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに多くの加点を行う評価手段と、
前記或る事業者に対して、前記立地スコアが第一所定値以上であるエリアを出店すべきエリアとして提案する提案手段と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商業施設の商圏を特定して、出店計画等のマーケティングに利用する技術が提案されている。
【0003】
これに関し、特許文献1には、店外カメラによって店舗の来店者を認識して当該店舗の商圏を導出し、当該導出した店舗の商圏外での出店計画を提案する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、店外カメラが設置された店舗に来店していないユーザの行動を調査することはできず、調査対象となるユーザが限定的であった。このため、特許文献1の記載の技術では、出店計画を提案する立地(エリア)が競合する店舗の商圏と重なる場合があり、新規に出店すべき最適な立地を事業者に提案することができないという問題がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、調査対象を商業施設を利用するユーザに限定することなく、商業施設を出店すべき最適な立地を事業者に提案することができるプログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るプログラムは、或る事業者に対して、各エリアの立地スコアに応じて商業施設を出店すべきエリアを提案するプログラムであって、コンピュータを、各ユーザからの要求に応じて、出発地から目的地までに移動手段を利用する複数の移動経路を検索する検索手段、前記検索された複数の移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに加点を行う評価手段、前記或る事業者に対して、前記立地スコアが第一所定値以上であるエリアを出店すべきエリアとして提案する提案手段、として機能させる。
【0008】
また、本発明の第二態様では、コンピュータを、各ユーザからの要求に応じて、購買行動を含む将来の予定を当該ユーザのスケジュールに追加する追加手段、として機能させ、前記評価手段は、前記スケジュールに追加された購買行動が含まれるエリアの立地スコアに加点を行う。
【0009】
また、本発明の第三態様では、前記追加手段は、前記検索された複数の移動経路のうち、前記ユーザから選択された移動経路を当該ユーザのスケジュールに追加し、前記評価手段は、前記選択されなかった移動経路上に含まれるエリアの立地スコアよりも、前記選択された移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに多くの加点を行う。
【0010】
また、本発明の第四態様では、前記評価手段は、地価が低いエリアであるほど、立地スコアに多くの加点を行う。
【0011】
また、本発明の第五態様では、前記評価手段は、前記或る事業者と競合する商業施設が少ないエリアであるほど、立地スコアに多くの加点を行う。
【0012】
また、本発明の第六態様では、前記評価手段は、前記検索された移動経路の通過地点を含むエリアの立地スコアよりも、当該移動経路の乗換地点を含むエリアの立地スコアに多くの加点を行う。
【0013】
また、本発明の第七態様では、前記提案手段は、前記或る事業者に対して、前記立地スコアが前記第一所定値よりも低い第二所定値以上のエリアを提案するとともに、当該エリアと移動手段の乗降地点とを結ぶ新たな交通手段の運行を提案する。
【0014】
また、本発明の第八態様に係る情報処理装置は、或る事業者に対して、各エリアの立地スコアに応じて商業施設を出店すべきエリアを提案する情報処理装置であって、各ユーザからの要求に応じて、出発地から目的地までに移動手段を利用する複数の移動経路を検索する検索手段と、前記検索された複数の移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに加点を行う評価手段と、前記或る事業者に対して、前記立地スコアが第一所定値以上であるエリアを出店すべきエリアとして提案する提案手段と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、商業施設を出店すべき最適な立地を事業者に提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る出店エリア提案システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すサーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示すサーバ装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る出店エリア提案システムにおいて、
図3に示す各機能手段が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る検索画面の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る結果画面の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る提案画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0018】
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る出店エリア提案システム1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、出店エリア提案システム1は、サーバ装置10と、複数の端末装置12と、を備える。これらの装置は、インターネットや電話回線網等の通信ネットワークNTを介して互いに通信可能に構成されている。
【0020】
サーバ装置10は、或る事業者に対して、各エリアの立地スコアに応じて商業施設を出店すべきエリアを提案するための各種制御を行う装置(コンピュータ)である。このサーバ装置10は、端末装置12を介して、事業者に立地提案を行ったり、ユーザのスケジュールを管理したりする。
【0021】
端末装置12は、ユーザが操作する装置である。ユーザは、この端末装置12を操作してサーバ装置10にアクセスする。これら端末装置12は、例えば、第一端末装置12Aと、第二端末装置12Bと、を含む。端末装置12としては、携帯電話やスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【0022】
第一端末装置12Aは、各事業者が操作する装置である。
【0023】
第二端末装置12Bは、各ユーザが操作する装置である。
【0024】
<ハードウェア構成>
図2は、
図1に示すサーバ装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、サーバ装置10は、制御装置20と、通信装置26と、記憶装置28と、を備える。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)22及びメモリ24を主に備えて構成される。
【0026】
制御装置20では、CPU22がメモリ24或いは記憶装置28等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
【0027】
通信装置26は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置26は、例えば、端末装置12との間で各種の情報を送受信する。
【0028】
記憶装置28は、ハードディスク等で構成される。記憶装置28は、制御装置20における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0029】
なお、サーバ装置10は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができる。また、サーバ装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、通信ネットワークNT上に分散した複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。また、
図2は、サーバ装置10が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、サーバ装置10は、サーバが一般的に備える他の構成を備えることができる。また、複数の端末装置12のハードウェア構成も、例えば操作手段や表示装置等を備える他は、サーバ装置10と同様の構成を備えることができる。
【0030】
<機能的構成>
図3は、
図1に示すサーバ装置10の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図3に示すように、サーバ装置10は、機能的構成として、記憶手段50と、検索手段52と、追加手段54と、評価手段56と、提案手段58と、を備える。
【0032】
記憶手段50は、例えば、ウェブページ50Aと、経路情報50Bと、ユーザ情報50Cと、スケジュール50Dと、エリア情報50Eと、事業者情報50Fと、を記憶する機能手段である。
【0033】
ウェブページ50Aは、ユーザのログインページや、ユーザが移動経路を検索可能な検索ページ等、複数のウェブページを含む。
【0034】
経路情報50Bは、公共交通機関が提供する交通手段(移動サービス)の経路や出発日時、到着日時、利用料金等を含む。交通手段としては、電車やバス、飛行機、船、タクシー等が挙げられる。この交通手段には、例えば時刻表等に基づいて定期運行される交通機関による移動サービスや、ユーザの需要により運行される交通機関によるデマンド型の移動サービス(オンデマンド交通)が含まれる。
【0035】
ユーザ情報50Cは、ユーザ毎の識別情報(ユーザID)に対応付けて、名前、性別、住所、連絡先(例えばメールアドレス)、ログインID、パスワード等を含む。
【0036】
スケジュール50Dは、ユーザ毎に設けられ、ユーザが出発地から到着地までに利用する移動経路や、商業施設での購買行動を含む将来の予定を含む。移動経路は、出発地における交通手段の出発時間や、到着地点における交通手段の到着時間、交通手段の利用料金等を含む。この購買行動は、商品の購入以外にも、例えば飲食や宿泊、講義、治療等のサービスの提供を受ける場合を含む。
【0037】
エリア情報50Eは、エリア毎の識別情報(エリアID)に対応付けて、住所、地価、公共交通機関情報、商業施設情報、立地スコア等を含む。このエリア(地域)は、例えば郵便番号毎に区分されている。地価は、所定領域(例えば1平方メートル)あたりの土地の価格である。この地価は、定期的に更新される。公共交通機関情報は、エリア内にある公共交通機関の乗降地点(例えば駅やバス停)の識別情報(乗降場所ID)を含む。商業施設情報は、エリア内にある商業施設の情報を含む。例えば、商業施設情報には、商業施設の業種や事業規模(例えば敷地面積や売上)、顧客層(例えば性別や年齢層)が含まれる。業種は、例えば飲食店や宿泊業、美容業、教育支援業、医療業、衣服等卸売業、飲食料品卸売業、娯楽業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、鉄道業、道路旅客運送業等を含む。なお、この業種は、更に細分化された業種であってもよい。立地スコアは、商業施設を出店すべきエリアを特定するための評価点を含む。なお、立地スコアは、例えば全業種に共通して評点されてもよいし、業種毎に評点されてもよい。
【0038】
事業者情報50Fは、事業者毎の識別情報(事業者ID)に対応付けて、名称や連絡先(例えばメールアドレス)、ログインID、パスワード、業種等を含む。この事業者としては、例えば飲食店や宿泊業等の事業者が挙げられ、飲食店やホテルを新規に出店することが既に決まっている事業者が該当する。業種は、エリア情報50Eの商業施設情報に含まれる業種の何れかを含む。
【0039】
検索手段52は、公共交通機関を含む移動手段を利用する移動経路を検索する機能手段である。本実施形態では、検索手段52は、各ユーザからの移動経路を検索する要求に応じて、経路情報50Bを参照し、出発地から目的地までに移動手段を利用する複数の移動経路を検索する。この移動経路は、例えばユーザが出発地である宿泊施設から目的地である観光地までに利用する一又は複数の公共交通機関(交通手段)、乗降車や乗換を行う地点(例えば駅やバス停)、乗降車や乗換を行う日時を含む。なお、移動手段としては、公共交通機関の他に、電動スクータや自転車、送迎サービス、徒歩等が挙げられる。
【0040】
追加手段54は、ユーザの予定をスケジュール50Dに追加する機能手段である。本実施形態では、追加手段54は、各ユーザからのスケジュールを追加する要求に応じて、商業施設での購買行動を含む将来の予定を当該ユーザのスケジュールに追加する。将来の予定としては、例えばユーザが12時からA町のレストランでランチをすることや、15時からB町のホテルに宿泊(チェックイン)すること、16時からC町の百貨店でショッピングをすること等が挙げられる。
【0041】
また、追加手段54は、検索手段52によって検索された複数の移動経路のうち、ユーザから選択された一の移動経路を当該ユーザのスケジュールに追加する。
【0042】
評価手段56は、各エリアの立地スコアを評価する機能手段である。本実施形態では、評価手段56は、検索手段52によって検索された複数の移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに加点を行う。例えば、評価手段56は、エリア情報50Eの公共交通機関情報を参照して、移動経路上において、公共交通機関で乗降を行う地点(例えば駅やバス停)を含むエリアの立地スコアには5点を加点し、公共交通機関で乗換を行う地点を含むエリアの立地スコアには3点を加点し、公共交通機関で通過する地点を含むエリアの立地スコアには1点を加点する。
【0043】
また、評価手段56は、スケジュールに追加された購買行動が含まれるエリアの立地スコアに加点を行う。例えば、評価手段56は、ユーザのスケジュールに追加されたランチが行われるA町を含むエリア、宿泊が行われるB町を含むエリア、ショッピングが行われるC町を含むエリアの立地スコアにそれぞれ2点を加点する。
【0044】
また、評価手段56は、検索手段52によって検索された複数の移動経路のうち、ユーザから選択されなかった移動経路上に含まれるエリアの立地スコアよりも、選択された移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに多くの加点を行う。例えば、評価手段56は、検索手段52によって出発地であるC空港駅から目的地であるD駅までの移動経路として、第一の移動経路(E駅で乗り換えるルート)と、第二の移動経路(F駅で乗り換えるルート)が検索され、ユーザが第一の移動経路を選択した場合、第一の移動経路上に含まれるエリアには3点を加点し、第二の移動経路上に含まれるエリアには2点を加点する。なお、評価手段56は、検索手段52によって検索された各移動経路の停車地点(例えば停車駅)を含むエリアにのみ加点することとしてもよい。
【0045】
また、評価手段56は、地価が低いエリアであるほど、立地スコアに多くの加点を行う。例えば、評価手段56は、エリアの所定領域(1平方メートル)あたりの土地の平均価格が1000万円から1万円下がる毎に、立地スコアに5点を加点する。
【0046】
また、評価手段56は、或る事業者と競合する商業施設が少ないエリアであるほど、立地スコアに多くの加点を行う。この或る事業者は、商業施設を出店すべきエリアの提案が行われる事業者である。例えば、評価手段56は、或る事業者が宿泊業を経営する事業者である場合、エリア情報50Eの商業施設情報を参照して、各エリアで競合する宿泊施設の数が少ないほど立地スコアに多くの加点を行う。なお、評価手段56は、各エリアで競合する各宿泊施設の事業規模が小さいほど立地スコアに多くの加点を行ってもよい。また、評価手段56は、各エリアで競合する各宿泊施設の顧客層が異なるほど立地スコアに多くの加点を行ってもよい。
【0047】
また、評価手段56は、検索手段52によって検索された移動経路の通過地点を含むエリアの立地スコアよりも、当該移動経路の乗換地点を含むエリアの立地スコアに多くの加点を行う。例えば、評価手段56は、検索手段52によって出発地であるJ空港駅から目的地であるK駅までの移動経路として、L駅で乗り換える移動経路が検索された場合、乗降地点であるJ空港駅やK駅が含まれるエリアには5点を加点し、乗換地点であるL駅が含まれるエリアには3点を加点し、通過地点である各駅(例えば停車駅)が含まれるエリアには1点を加点する。
【0048】
提案手段58は、或る事業者に対して、出店すべきエリアを提案する機能手段である。本実施形態では、提案手段58は、或る事業者に対して、立地スコアが第一所定値以上であるエリアを出店すべきエリアとして提案する。この第一所定値は、例えば10000点である。例えば、提案手段58は、事業者の端末装置12に、出店すべき商業施設の業種や、エリアの名称(住所)、エリアの地図、立地スコア等を送信する。
【0049】
また、提案手段58は、或る事業者に対して、立地スコアが第一所定値よりも低い第二所定値以上のエリアを提案するとともに、当該エリアと公共交通機関の乗降地点とを結ぶ新たな交通手段の運行を提案する。この第二所定値は、例えば8000点である。例えば、提案手段58は、立地スコアが第二所定値以上第一所定値未満であるエリアには、潜在的な需要があるとして、当該エリアから最寄りの公共交通機関の乗降地点(例えば駅やバス停)と当該エリアを結ぶ送迎バス等の運行を提案する。この場合、例えば評価手段56が新たな交通手段の運行を行った場合の当該エリアの立地スコアを仮算出し、提案手段58は、当該仮算出された立地スコアを事業者に送信する提案に含めることとしてもよい。例えば、評価手段56は、当該エリアの立地スコアと、当該最寄りの公共交通機関の乗降地点を含むエリアの立地スコアとの平均値に基づいて、当該仮算出を行う。
【0050】
<処理の流れ>
図4は、本実施形態に係る出店エリア提案システム1において、
図3に示す各機能手段が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、以下のステップの処理は、例えば、ユーザが端末装置12において移動経路を検索するための指示を行ったタイミングで開始される。なお、以下のステップの順番及び内容は、適宜、変更することができる。
【0051】
(ステップSP10)
検索手段52は、ユーザの端末装置12に、移動経路を検索するための検索画面を送信する。
【0052】
図5は、本実施形態に係る検索画面60の一例を示す図である。
【0053】
図5に示すように、検索画面60は、条件入力領域62と、検索ボタン64と、が設けられている。条件入力領域62には、出発地である乗降地や目的地である降車地、出発日時又は到着日時を含む乗降日時を入力する欄が表されている。検索ボタン64は、ユーザにより入力された条件をサーバ装置10に送信するためのボタンである。
【0054】
図4に戻って、処理は、ステップSP12の処理に移行する。
【0055】
(ステップSP12)
ユーザが検索画面において検索ボタンを押下したことに応じて、検索手段52は、経路情報50Bを参照して、出発地から目的地までに公共交通機関を利用する複数の移動経路を検索する。そして、処理は、ステップSP14の処理に移行する。
【0056】
(ステップSP14)
検索手段52は、ユーザの端末装置12に、移動経路の検索結果を示す結果画面を送信する。
【0057】
図6は、本実施形態に係る結果画面70の一例を示す図である。
【0058】
図6に示すように、結果画面70は、結果提示領域72と、経路詳細ボタン74と、スケジュール追加ボタン76と、が設けられている。結果提示領域72には、検索された複数の移動経路が表されている。経路詳細ボタン74は、移動経路の詳細を示す画面に遷移するためのボタンである。移動経路の詳細としては、例えば路線毎の移動距離、停車駅や通過駅の名称、路線毎の料金(通常料金又は割引料金)などが挙げられる。スケジュール追加ボタン76は、対応する移動経路をユーザのスケジュールに追加する指示を行うためのボタンである。
【0059】
図4に戻って、処理は、ステップSP16の処理に移行する。
【0060】
(ステップSP16)
ユーザが結果画面において一の移動経路に対応するスケジュール追加ボタンを押下(選択)したことに応じて、追加手段54は、当該一の移動経路を当該ユーザのスケジュールに追加する。そして、処理は、ステップSP18の処理に移行する。
【0061】
(ステップSP18)
評価手段56は、ステップSP12において検索された複数の移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに加点を行う。例えば、評価手段56は、エリア情報50Eの公共交通機関情報を参照して、移動経路上において、乗降を行う地点(C空港駅、及びD駅)を含むエリアの立地スコアには3点を加点し、乗換を行う地点(E駅、及びF駅)を含むエリアの立地スコアには2点を加点し、通過する地点(C空港駅からE駅までの2駅、E駅からD駅までの4駅、C空港駅からF駅までの4駅、及びF駅からD駅までの3駅)を含むエリアの立地スコアには1点を加点する。そして、処理は、ステップSP20の処理に移行する。
【0062】
(ステップSP20)
提案手段58は、エリア情報50Eの立地スコアを参照して、ステップSP18で加点されたエリアの立地スコアが第一所定値(例えば10000点)以上であるか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には、処理は、ステップSP22の処理に移行する。一方、当該判定が否定判定された場合には、処理は、
図4に示す一連の処理を終了する。
【0063】
(ステップSP22)
提案手段58は、或る事業者に対して、ステップSP18で加点されたエリアを出店すべきエリアとして提案する。具体的には、提案手段58は、事業者の端末装置12に、出店すべきエリア等を示す提案画面を送信する。
【0064】
図7は、本実施形態に係る提案画面80の一例を示す図である。
【0065】
図7に示すように、提案画面80は、提案領域82が設けられている。提案領域82には、出店すべき商業施設の業種や、エリアの名称(住所)が表されている。なお、このエリアの名称には、当該エリアの地図を表示する画面に遷移するリンクが設けられている。
【0066】
【0067】
<効果>
以上、本実施形態では、或る事業者に対して、各エリアの立地スコアに応じて商業施設を出店すべきエリアを提案するプログラムであって、コンピュータを、各ユーザからの要求に応じて、出発地から目的地までに公共交通機関を利用する複数の移動経路を検索する検索手段52、検索された複数の移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに加点を行う評価手段56、或る事業者に対して、立地スコアが第一所定値以上であるエリアを出店すべきエリアとして提案する提案手段58、として機能させる。
【0068】
この構成によれば、各ユーザによって検索された複数の移動経路上に含まれるエリアを出店すべきエリアとして提案できるため、調査対象を商業施設を利用するユーザに限定することなく、商業施設を出店すべき最適な立地を事業者に提案することができる。
【0069】
また、本実施形態では、コンピュータを、各ユーザからの要求に応じて、購買行動を含む将来の予定を当該ユーザのスケジュールに追加する追加手段54、として機能させ、評価手段56は、スケジュールに追加された購買行動が含まれるエリアの立地スコアに加点を行う。
【0070】
この構成によれば、各ユーザのスケジュールに追加された購買行動が含まれるエリアの立地スコアに加点を行うため、各ユーザが実際に購買行動をするエリアを提案することができる。
【0071】
また、本実施形態では、追加手段54は、検索された複数の移動経路のうち、ユーザから選択された移動経路を当該ユーザのスケジュールに追加し、評価手段56は、選択されなかった移動経路上に含まれるエリアの立地スコアよりも、選択された移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに多くの加点を行う。
【0072】
この構成によれば、各ユーザのスケジュールに追加された移動経路上に含まれるエリアの立地スコアに多くの加点を行うため、各ユーザが実際に移動(訪問)するエリアを提案することができる。
【0073】
また、本実施形態では、評価手段56は、地価が低いエリアであるほど、立地スコアに多くの加点を行う。
【0074】
この構成によれば、地価が低いエリアであるほど立地スコアが高くなるため、事業者にとって出店コストの低いエリアを提案することができる。
【0075】
また、本実施形態では、評価手段56は、或る事業者と競合する商業施設が少ないエリアであるほど、立地スコアに多くの加点を行う。
【0076】
この構成によれば、競合する商業施設が少ないエリアであるほど立地スコアが高くなるため、事業者にとって出店後の売上見込みが高いエリアを提案することができる。
【0077】
また、本実施形態では、評価手段56は、検索された移動経路の通過地点を含むエリアの立地スコアよりも、当該移動経路の乗換地点を含むエリアの立地スコアに多くの加点を行う。
【0078】
この構成によれば、各ユーザが通過するエリアよりも、乗換するエリアの立地スコアが高くなる。このため、ユーザが立ち寄り易いエリアを提案することができ、事業者にとって出店後の売上見込みが高いエリアを提案することができる。
【0079】
また、本実施形態では、提案手段58は、或る事業者に対して、立地スコアが第一所定値よりも低い第二所定値以上のエリアを提案するとともに、当該エリアと公共交通機関の乗降地点とを結ぶ新たな交通手段の運行を提案する。
【0080】
この構成によれば、立地スコアが第一所定値よりも低い第二所定値以上のエリアとともに、当該エリアを結ぶ新たな交通手段の運行を提案するため、ユーザの利便性を考慮した提案を行うことができる。
【0081】
<変形例>
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0082】
例えば、上記実施形態では、評価手段56は、移動経路上に含まれるエリアや、ユーザのスケジュールに追加された購買行動が含まれるエリアの立地スコアに加点する場合を説明したが、ユーザが地図アプリやグルメサイト等でお気に入り登録を行っている商業施設を含むエリアの立地スコアに加点することとしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、提案手段58は、立地スコアが第一所定値(例えば10000点)以上であるエリアを出店すべきエリアとして提案する場合を説明したが、事業者の業種や商業施設の種類毎に第一所定値を変更してもよい。例えば、提案手段58は、低価格商品を取り扱う商業施設である場合、競合に対して優位性があるとして、第一所定値を5000点としてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…サーバ装置(コンピュータ)、50…記憶手段、52…検索手段、54…追加手段、56…評価手段、58…提案手段