(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】歯牙モデルの形状変形方法、歯牙モデルの形状変形装置、及び歯牙モデルの形状変形方法をコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06T 17/20 20060101AFI20241213BHJP
G06T 19/20 20110101ALI20241213BHJP
A61C 13/08 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G06T17/20 500
G06T19/20
A61C13/08
(21)【出願番号】P 2023173631
(22)【出願日】2023-10-05
【審査請求日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0182294
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】PCT/KR2022/021717
(32)【優先日】2022-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】523055651
【氏名又は名称】イマゴワークス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IMAGOWORKS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】カム ドン ウク
(72)【発明者】
【氏名】イ テソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ソン テ-グン
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2022-0056760(KR,A)
【文献】WANG, Zhao et al.,Shape Template Based Dental Mesh Repairing,2019 12th International Congress on Image and Signal Processing, BioMedical Engineering and Informatics (CISP-BMEI),IEEE,2019年10月19日,pp.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 17/20
G06T 19/20
A61C 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯牙スキャンデータを基に歯牙テンプレートモデルを変形して、複数の変形形状モデルを生成するステップと、
前記変形形状モデルをメッシュブレンドして、ブレンド形状モデルを生成するステップと、
を含むことを特徴とする歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項2】
更に、使用者が入力するパラメータを受信するステップと、
前記パラメータを基に、前記ブレンド形状モデルを変形するステップと、を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項3】
前記変形形状モデルのうち、第2の変形形状モデルの細部形状は、前記変形形状モデルのうち、第1の変形形状モデルの細部形状よりも複雑であることを特徴とする、
請求項1に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項4】
前記第1の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記細部形状が最小化した上面を有することを特徴とする、
請求項3に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項5】
前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記歯牙テンプレートモデルの上面の細部形状を有する上面を有することを特徴とする、
請求項3に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項6】
前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記歯牙スキャンデータの上面の細部形状を有する上面を有することを特徴とする、
請求項3に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項7】
前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記歯牙テンプレートモデルの上面の細部形状、及び前記歯牙スキャンデータの上面の細部形状が組み合わせられた上面を有することを特徴とする、
請求項3に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項8】
更に、使用者が入力するパラメータを受信するステップを含み、
前記パラメータは、
前記ブレンド形状モデルが、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルのうち、いずれにもっと近いかを現わす第1のパラメータと、
前記第2の変形形状モデルの上面の細部形状が、前記歯牙テンプレートモデルの前記
上面の前記細部形状及び前記歯牙スキャンデータの前記上面の前記細部形状のうち、いずれにもっと近いかを現わす第2のパラメータと、を含むことを特徴とする、
請求項7に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項9】
前記複数の変形形状モデルを生成するステップは、主要(Primal)問題がf(x)であり、双対(Dual)問題がg(x)であるとき、
を満足することを特徴とする、
請求項1に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項10】
前記変形形状モデルのうち、第1の変形形状モデルの前記双対問題は、前記変形形状モデルのうち、第2の変形形状モデルの前記双対問題と同一であることを特徴とする請求項9に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項11】
前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルの前記双対問題は、歯牙特徴点の位置を現わすことを特徴とする請求項10に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項12】
前記歯牙特徴点は、Buccal cusp、Lingual cusp、Facial occlusal、Lingual occlusal、Grooves、Marginal ridge、contactのうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項11に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項13】
前記第1の変形形状モデルの主要問題が
であり、前記第2の変形形状モデルの主要問題が
であり、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルの前記双対問題が
であるとき、
及び
を満足することを特徴とする、
請求項11に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項14】
前記変形形状モデルのうち、第1の変形形状モデルのメッシュ連結関係は、前記変形形状モデルのうち、第2の変形形状モデルのメッシュ連結関係と同一であることを特徴とする、
請求項1に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項15】
前記第1の変形形状モデルが
であり、前記第2の変形形状モデルが
であり、使用者により入力されるパラメータが
であり、前記ブレンド形状モデルが
であるとき、
を満足することを特徴とする請求項14に記載の歯牙モデルの形状変形方法。
【請求項16】
歯牙スキャンデータを基に歯牙テンプレートモデルを変形して、複数の変形形状モデルを生成する変形形状モデル生成部と、
前記変形形状モデルをメッシュブレンドして、ブレンド形状モデルを生成する形状ブレンダと、を含むことを特徴とする歯牙モデルの形状変形装置。
【請求項17】
請求項1乃至15のいずれか一項の方法を、コンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯牙モデルの形状変形方法、歯牙モデルの形状変形装置、及び歯牙モデルの形状変形方法をコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、より詳しくは、多重形状変形及びメッシュブレンド手法を用いた歯牙モデルの形状変形方法、歯牙モデルの形状変形装置、及び歯牙モデルの形状変形方法をコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ応用3次元モデリング方法のうち、パラメトリック(Parametric)モデリング方法は、数学的に定義した特徴オブジェクトを用いて、1つの完成したモデルを作る方法である。この方法は、使用者と3次元モデル間の相互作用を容易にするというメリットがある。たとえ、六面体を作るために節点を定義し、多数の直線で囲まれた2次元四角形を作った後、この四角形を法線方向に抽出することで、1つの六面体を完成する。
【0003】
3次元スキャンは、実在する物体を、コンピュータが認知可能な3次元オブジェクトに作るために、光学式、接触式などの方法を用いて、多量の節点及びその連結関係を有するメッシュ(Mesh)データ構造を取得する過程である。現在、3次元スキャンは、様々な産業分野で幅広く活用されている。特に、デジタルデンティストリー市場では、使用者が有している歯牙の形状、配列などが全部異なるため、生産性向上のために、3次元スキャン及びその結果を幅広く使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、多重形状変形及びメッシュブレンド手法を用いて、使用者が簡単な操作で全体的な形状を変えることができる歯牙モデルの形状変形方法を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、前記歯牙モデルの形状変形方法を行う歯牙モデルの形状変形装置を提供することである。
【0006】
本発明の更に他の目的は、前記歯牙モデルの形状変形方法をコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を実現するための一実施形態に係る歯牙モデルの形状変形方法は、歯牙スキャンデータを基に歯牙テンプレートモデルを変形して、複数の変形形状モデルを生成するステップと、前記変形形状モデルをメッシュブレンドして、ブレンド形状モデルを生成するステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
更に、使用者が入力するパラメータを受信するステップと、前記パラメータを基に、前記ブレンド形状モデルを変形するステップとを含む。
【0009】
前記変形形状モデルのうち、第2の変形形状モデルの細部形状は、前記変形形状モデルのうち、第1の変形形状モデルの細部形状よりも複雑である。
【0010】
前記第1の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記細部形状が最小化した上面を有する。
【0011】
前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記歯牙テンプレートモデルの上面の細部形状を有する上面を有する。
【0012】
前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記歯牙スキャンデータの上面の細部形状を有する上面を有する。
【0013】
前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記歯牙テンプレートモデルの上面の細部形状、及び前記歯牙スキャンデータの上面の細部形状が組み合わせられた上面を有する。
【0014】
更に、使用者が入力するパラメータを受信するステップを含み、前記パラメータは、前記ブレンド形状モデルが、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルのうち、いずれにもっと近いかを現わす第1のパラメータと、前記第2の変形形状モデルの上面の細部形状が、前記歯牙テンプレートモデルの前記対面の前記細部形状及び前記歯牙スキャンデータの前記上面の前記細部形状のうち、いずれにもっと近いかを現わす第2のパラメータとを含む。
【0015】
前記複数の変形形状モデルを生成するステップは、主要(Primal)問題がf(x)であり、双対(Dual)問題がg(x)であるとき、
を満足する。
【0016】
前記変形形状モデルのうち、第1の変形形状モデルの前記双対問題は、前記変形形状モデルのうち、第2の変形形状モデルの前記双対問題と同一である。
【0017】
前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルの前記双対問題は、歯牙特徴点の位置を現わす。
【0018】
前記歯牙特徴点は、Buccal cusp、Lingual cusp、Facial occlusal、Lingual occlusal、Grooves、Marginal ridge、contactのうち、少なくとも1つである。
【0019】
前記第1の変形形状モデルの主要問題が
であり、前記第2の変形形状モデルの主要問題が
であり、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルの前記双対問題が
であるとき、
及び
を満足する。
【0020】
前記変形形状モデルのうち、第1の変形形状モデルのメッシュ連結関係は、前記変形形状モデルのうち、第2の変形形状モデルのメッシュ連結関係と同一である。
【0021】
前記第1の変形形状モデルが
であり、前記第2の変形形状モデルが
であり、使用者により入力されるパラメータが
であり、前記ブレンド形状モデルが
であるとき、
を満足する。
【0022】
本発明の目的を実現するための一実施形態による歯牙モデルの形状変形装置は、変形形状モデル生成部と、形状ブレンダとを含む。前記変形形状モデル生成部は、歯牙スキャンデータを基に歯牙テンプレートモデルを変形して、複数の変形形状モデルを生成する。前記形状ブレンダは、前記変形形状モデルをメッシュブレンドして、ブレンド形状モデルを生成する。
【0023】
前記歯牙モデルの形状変形方法をコンピュータで実行させるためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。
【発明の効果】
【0024】
本発明による歯牙モデルの形状変形方法及び歯牙モデルの形状変形装置によると、歯牙スキャンデータを基に歯牙テンプレートモデルを変形して、複数の変形形状モデルを生成し、前記複数の変形形状モデルをメッシュブレンド手法でブレンドして、ユーザが所望する最終形状モデルを得ることができる。また、使用者の簡単なフィードバック操作により、ブレンド形状を容易に替えることができる。また、形状変形後の後処理作業を減らすことができる。
【0025】
前記歯牙スキャンデータは、スキャナにより撮影されたものであって、メッシュの完成度が低く、相対的に完成度が低いと、3Dプリンティングで、補綴物、インプラント、矯正器などを製造することに不適である。これとは逆に、前記歯牙テンプレートモデルは、メッシュの完成度が相対的に高い歯牙モデルである。そこで、前記歯牙テンプレートモデルを変形して、補綴物、インプラント、矯正器などを製造する場合、3Dプリンティング方式を利用することに非常に適している。
このように、前記歯牙テンプレートモデルを前記歯牙スキャンデータに近くなるように形状変形する場合、補綴物、インプラント、矯正器などの製造時間を減らし、製造過程を短縮し、品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る歯牙モデルの形状変形方法を示すフローチャートである。
【
図2a】
図2aは、歯牙テンプレートモデルの一例を示す図である。
【
図2b】
図2bは、歯牙スキャンデータの一例を示す図である。
【
図2c】
図2cは、
図2bの歯牙スキャンデータを基に、
図2aの歯牙テンプレートモデルを変形した変形形状モデルの一例を示す図である。
【
図2d】
図2dは、
図2cの変形形状モデル及び
図2bの歯牙スキャンデータを同時に視覚化した図である。
【
図3a】
図3aは、歯牙テンプレートモデルの一例を示す図である。
【
図3b】
図3bは、歯牙スキャンデータの一例を示す図である。
【
図3c】
図3cは、
図3bの歯牙スキャンデータを基に、
図3aの歯牙テンプレートモデルを変形した第1の変形形状モデルを示す図である。
【
図3d】
図3dは、
図3bの歯牙スキャンデータを基に、
図3aの歯牙テンプレートモデルを変形した第2の変形形状モデルを示す図である。
【
図4】
図4は、歯牙の特徴点の例示を示す図である。
【
図5】
図5は、
図1の使用者入力ステップのユーザインタフェースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1の使用者入力ステップのユーザインタフェースの一例を示す図である。
【
図7a】
図7aは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【
図7b】
図7bは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【
図7c】
図7cは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【
図7d】
図7dは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【
図8a】
図8aは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【
図8b】
図8bは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【
図8c】
図8cは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【
図8d】
図8dは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本文に示されている本発明の実施形態に対して、特定の構造的乃至機能的説明は、単に、本発明の実施形態を説明するための目的として例示しており、本発明の実施形態例は、様々な形態で実施することができ、本文で説明された実施形態に限定されることと解析されてはいけない。
【0028】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができ、特定の実施形態を図面に例示し、本文で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態について限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解されなければいけない。
【0029】
第1、第2のなどの用語は、様々な構成要素を説明することに用いられるが、前記構成要素は、前記用語により限定されてはいけない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的として使われる。例えば、本発明の権利範囲から逸脱しない状態で、第1の構成要素は、第2の構成要素と指し示すことができ、同様に、第2の構成要素も第1の構成要素と指し示すことができる。
【0030】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、「接続されて」いるとしたときは、その他の構成要素に直接的に連結又は接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解すべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、「直接接続されて」いるとしたときは、中間に他の構成要素が存在しないことと理解すべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち、「~間に」と「直ぐ~間に」、又は「~に隣接する」と「~に直接隣接する」なども同様に解析されるべきである。
【0031】
本出願で使用した用語は、単に、特定の実施形態を説明するために使われており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせるものが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解すべきである。
【0032】
異なって定義しない限り、技術的や科学的な用語を含めて、ここで使われる全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、一般に理解されることと同様な意味を有している。一般に使われる辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解析されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解析されない。
【0033】
一方、ある実施形態が異なって具現可能な場合に、特定のブロック内に明記された機能又は動作がフローチャートに明記した手順と異なって起きることもできる。例えば、連続する2つのブロックが、実際には実質的に同時に行われることもでき、関連する機能又は動作によっては、前記ブロックが逆に行われることもできる。
【0034】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。図面上の同一の構成要素に対しては、同一の符号を付し、同一の構成要素に対して重複した説明は、省略する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係る歯牙モデルの形状変形方法を示すフローチャートである。
【0036】
図1に示しているように、歯牙モデルの形状変形方法は、歯牙スキャンデータを基に、歯牙テンプレートモデルを変形して、複数の変形形状モデルを生成するステップと、前記変形形状モデルをメッシュブレンドして、ブレンド形状モデルを生成するステップとを含む。前記歯牙モデルの形状変形方法は、更に、使用者が入力するパラメータを受信するステップと、前記パラメータを基に、前記ブレンド形状モデルを変形するステップとを含む。
【0037】
本実施形態の歯牙モデルの形状変形方法は、コンピューティング装置により行われる。
【0038】
例えば、前記歯牙スキャンデータは、3次元歯牙スキャンデータである。前記歯牙スキャンデータとは、歯牙及び口腔又はそれを倣うか又は再構成した対象を、3次元スキャナでスキャンしたデータをいう。インレー(inlay)、オンレー(onlay)、クラウン(crown)などの補綴治療、インプラント(implant)、矯正などの歯科治療は、患者の口腔データを取得して、補綴物又はインプラントデザイン、矯正器製作などに用いられる。
【0039】
例えば、前記歯牙スキャンデータは、3次元点(Vertex)と、前記点を連結して生成された三角形面(Triangle)又は四角形面(Rectangle)を含むメッシュ(Mesh)データである。前記3次元スキャンデータのファイル拡張子には制限がなく、例えば、ply、obj、stlのいずれか1つである。
【0040】
ここで、前記歯牙スキャンデータは、歯牙のみを含むスキャンデータに限定されず、前記歯牙スキャンデータは、歯牙の他、他の身体部位をも含む。
【0041】
前記歯牙テンプレートモデルは、補綴物、インプラント、矯正器などを製造するために用いられる一種のサンプル歯牙(標準歯牙)であり、典型的な歯牙形状を有する。前記歯牙テンプレートモデルは、各歯牙番号別に1つのサンプル歯牙(標準歯牙)を有する。前記歯牙スキャンデータは、スキャナにより撮影されたもので、メッシュの完成度がやや低く、前記メッシュの完成度が低い場合、3Dプリンティングで、補綴物、インプラント、矯正器などを製造することに不適である。これとは逆に、前記歯牙テンプレートモデルは、メッシュの完成度が相対的に高い歯牙モデルである。そこで、前記テンプレートモデルを変形して、補綴物、インプラント、矯正器などを製造する場合、3Dプリンティング方式を用いることに非常に適している。
【0042】
形状変形(Mesh Deformation、メッシュ変形)技術は、多量の節点を保有している一般のメッシュデータに対して、数個の節点に対する相互作用で、残りの節点を動かす技術である。形状変形基盤整合(Deformable Registration、ディフォーマブルレジストレーション)は、形状変形及び節点間のマッチングを通じて、入力モデルを他のターゲットモデルに変形する技術である。
【0043】
また、形状ブレンド(Mesh Blending、メッシュブレンド)技術は、同一構造を有する2つの形状を交ぜて、1つの新たなモデルを作る技術である。
【0044】
本発明は、入力した歯牙スキャンデータに、デンタルテンプレートモデルに基づく形状変形を行うとき、
図1のように複数の変形形状を内部的に計算して、ブレンド形状を、使用者が容易に取り扱うようにしている。例えば、前記複数の変形形状モデルは、N個の変形形状モデルを含む。
図1に示しているように、前記複数の変形形状モデルは、第1の変形形状モデル、第2の変形形状モデル、…、第Nの変形形状モデルを含む。
【0045】
図2aは、歯牙テンプレートモデルの一例を示す図である。
図2bは、歯牙スキャンデータの一例を示す図である。
図2cは、
図2bの歯牙スキャンデータを基に、
図2aの歯牙テンプレートモデルを変形した変形形状モデルの一例を示す図である。
図2dは、
図2cの変形形状モデル、及び
図2bの歯牙スキャンデータを同時に視覚化した図である。
【0046】
図1乃至
図2dを参照すると、
図2aは、歯牙テンプレートモデルの一例を示し、
図2bは、歯牙スキャンデータの一例を示し、
図2cは、
図2bの歯牙スキャンデータを基に、
図2aの歯牙テンプレートモデルを変形した変形形状モデルの一例を示している。
【0047】
図2cにおいて、前記変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの形状を有するように、前記歯牙テンプレートモデルを変形している。
図2dに示しているように、前記歯牙テンプレートモデルを変形して生成した前記変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの形状と極めて類似した形状を有する。
【0048】
前記変形形状モデルが前記歯牙スキャンデータと同一形状を有するべきである必要はなく、様々な変形方法で変形することができる。
【0049】
図3aは、歯牙テンプレートモデルの一例を示す図である。
図3bは、歯牙スキャンデータの一例を示す図である。
図3cは、
図3bの歯牙スキャンデータを基に、
図3aの歯牙テンプレートモデルを変形した第1の変形形状モデルを示す図である。
図3dは、
図3bの歯牙スキャンデータを基に、
図3aの歯牙テンプレートモデルを変形した第2の変形形状モデルを示す図である。
【0050】
図1乃至
図3dを参照すると、
図3aは、歯牙テンプレートモデルの一例を示し、
図3bは、歯牙スキャンデータの一例を示し、
図3cは、
図3bの歯牙スキャンデータを基に、
図3aの歯牙テンプレートモデルを変形した第1の変形形状モデルを示し、
図3dは、
図3bの歯牙スキャンデータを基に、
図3aの歯牙テンプレートモデルを変形した第2の変形形状モデルを示す。
【0051】
本実施形態では、歯牙スキャンデータを基に、歯牙テンプレートモデルを変形して、複数の変形形状モデルを生成することができる。例えば、第1の変形形状モデルは、細部形状が最小化した形状モデルであり、第2の変形形状モデルは、細部形状が最大化した形状モデルである。
【0052】
使用者は、前記細部形状が最小化した第1の変形形状モデルと、前記細部形状が最大化した第2の変形形状モデルの間で、ユーザが所望する適切なブレンド形状モデルを選択する。使用者は、最初設定を通じて、使用者が所望するブレンド形状モデルを選択し、ブレンド形状モデルが1次形成された後にも、フィードバック入力を通じて、ブレンド形状モデルを変形することもできる。
【0053】
例えば、使用者は、補綴物形成などのために、ターゲットモデルに最も近い細部形状を有する形状モデルを生成する。又は、修正作業などの容易性のために、細部形状が最小化した形状モデルを生成することもできる。
【0054】
図3c及び
図3dに示しているように、前記変形形状モデルのうち、第2の変形形状モデルの細部形状は、前記変形形状モデルのうち、第1の変形形状モデルの細部形状より複雑である。
【0055】
図3cに示しているように、前記第1の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記細部形状が最小化した上面を有する。
【0056】
図3dに示しているように、前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記歯牙テンプレートモデルの上面の細部形状を有する上面を有する。
【0057】
これとは異なり、前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記スキャンデータの上面の細部形状を有する上面を有する。
【0058】
これとは異なり、前記第2の変形形状モデルは、前記歯牙スキャンデータの側面に一致する側面を有し、前記歯牙テンプレートモデルの上面の細部形状、及び前記歯牙スキャンデータの上面の細部形状が組み合わせられた上面を有することもできる。
【0059】
図4は、歯牙の特徴点の例示を示す図である。
図5は、
図1の使用者入力ステップのユーザインタフェースの一例を示す図である。
図6は、
図1の使用者入力ステップのユーザインタフェースの一例を示す図である。
【0060】
図1乃至
図6を参照すると、形状変形方法は、式1のような最適化問題を用いて、行われる。
【0061】
【0062】
この最適化問題の解は、各頂点の位置を決定づける主要な原理である。最適化問題の定義及び具現原理により、それぞれ同じデータを用いても、
図3c及び
図3dのように、同一の連結関係(Topology)を有する他の形状を取得することができる。具体的に、この最適化問題は、主要(Primal、f(x))問題と、双対(Dual、g(x))問題とに分けられる。主要問題は、メッシュモデルが有する全ての頂点に対して、均一に適用され、全体的な形状調節原理を提供する。双対問題は、このメッシュモデルを直接的に調節できるようにする。
【0063】
歯牙モデルの場合、
図4のように、歯科分野における解剖学的解析及び歯牙補綴物形状デザインにおいて重要に考える特徴点が存在する。このような特徴点は、ディープラーニングによる予測、又は、参照モデルとのマッチング(Matching)、参照モデルにおける特徴点抽出などを通じて、その位置を指定することができる。この位置を指定した特徴点は、前述した最適化問題の双対問題として設定することができる。
【0064】
ここで、主要問題を、全体的な形状を柔らかくする方法(
図3c)で設定するか、又は、原本テンプレート形状が有する部分的特徴を保存するように設定(
図3d)することができる。そこで、互いに異なる主要問題において、式2及び式3のように同一の双対問題を共有するように、予想される結果が異なる2つの最適化問題を設定することができる。この最適化問題の解を解いて出た頂点の位置に形状を変形させると、
図3c及び
図3dのような相違する結果を得られる。
【0065】
例えば、前記変形形状モデルのうち、第1の変形形状モデルの前記双対問題は、前記変形形状モデルのうち、第2の変形形状モデルの前記双対問題と同一である。例えば、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルの前記双対問題は、歯牙特徴点(
図4)の位置を現わす。例えば、前記歯牙特徴点は、Buccal cusp、Lingual cusp、Facial occlusal、Lingual occlusal、Grooves、Marginal ridge、contactのうち、少なくとも1つである。
【0066】
前記第1の変形形状モデルの主要問題が
であり、前記第2の変形形状モデルの主要問題が
であり、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルの前記双対問題が
であると、下記の式2及び式3を満足する。
【0067】
【0068】
【0069】
前述した各頂点間の連結関係が同一であり、細部形状が異なる結果を得た。しかし、2つの形状いずれも、ユーザが所望する形状と断定することは難しい。使用者は、テンプレートモデルの細部形状があまりにも強く保存されたと判断するか、又は、形状自体にあまりにも多い平滑化(Smoothing)が入っていると考えることができる。ユーザが所望する結果を得るために、その間の中間結果を、パラメータに対するフィードバック制御を通じて容易に調節しながら判断しようとする。そこで、
図5のようなパラメータ調節UIを通じて、即座で且つ早いフィードバック制御ができるように、使用者に提供することができる。前述したように、2つのメッシュ(第1の変形形状モデル及び第2の変形形状モデル)は、同一の連結関係を有するため、ブレンドされる形状は、各頂点に対して、以下のようなLERP(Linear interpolation)式(式4)を通じて計算可能である。
【0070】
【0071】
ここで、前記第1の変形形状モデルが
であり、前記第2の変形形状モデルが
であり、使用者により入力されるパラメータが
であり、前記ブレンド形状モデルが
である。
【0072】
図5で提供されるパラメータは、前記式4で提供されるparam値と見なされる。前記パラメータは、前記ブレンド形状モデルが、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルのうち、いずれにもっと近いかを現わす。
【0073】
前記メッシュブレンド手法では、LERPだけでなく、SLERP(Spherical Linear Interpolation)、Interpolation between different topology meshなど、多重形状変形の原理などによって、様々な他の方法が適用可能である。
【0074】
前述したように、前記第2の変形形状モデルの上面の細部形状が、前記歯牙テンプレートモデルの上面の細部形状、及び前記歯牙スキャンデータの上面の細部形状が組み合わせられた上面を有することもできる。
【0075】
この場合は、
図6のように、前記使用者から入力されるパラメータは、前記第2の変形形状モデルの上面の細部形状が、前記歯牙テンプレートモデルの前記上面の前記細部形状、及び前記歯牙スキャンデータの前記上面の前記細部形状のうち、いずれにもっと近いかを現わす第2のパラメータを更に含む。
【0076】
例えば、補綴物生成などのためには、歯牙テンプレートモデルの細部形状に近い形状を取るのが有利である。これに対して、人工知能学習データなどに使うためには、実際自然歯の形状である歯牙スキャンデータの細部形状に近い形状を取るのが有利である。
【0077】
図7a乃至
図7d、及び
図8a乃至
図8dは、使用者パラメータによるブレンド形状の例示を示す図である。
【0078】
ここで、前記第1の変形形状モデルは、細部形状が最小化した形状モデルであり、前記第2の変形形状モデルは、細部形状が最大化した形状モデルであり、前記パラメータは、前記ブレンド形状モデルが、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルのうち、いずれにもっと近いかを現わす。
【0079】
図7a及び
図8aに示しているように、前記パラメータが最小値(例えば、0)を有する場合であり、前記ブレンド形状は、前記第1の変形形状モデルと同一である。すなわち、前記ブレンド形状は、細部形状が最小化した形状モデルである。
【0080】
図7d及び
図8dに示しているように、前記パラメータが最大値(例えば、1)を有する場合であり、前記ブレンド形状は、前記第2の変形形状モデルと同一である。すなわち、前記ブレンド形状は、細部形状が最大化した形状モデルである。
【0081】
図7b及び
図8bに示しているように、前記ブレンド形状が、前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルのうち、前記第1の変形形状モデルにもっと近い形状を有する場合を例示する。
【0082】
図7c及び
図8cに示しているように、前記ブレンド形状が前記第1の変形形状モデル及び前記第2の変形形状モデルのうち、前記第2の変形形状モデルにもっと近い形状を有する場合を例示する。
【0083】
本実施形態によると、歯牙スキャンデータを基に、歯牙テンプレートモデルを変形して、複数の変形形状モデルを生成し、前記複数の変形形状モデルをメッシュブレンド手法でブレンドして、ユーザが所望する最終形状モデルを得ることができる。また、使用者の簡単なフィードバック操作を通じて、ブレンド形状を容易に替えることができる。また、形状変形後の後処理作業を減らすことができる。
【0084】
前記歯牙スキャンデータは、スキャナにより撮影されたもので、メッシュの完成度が低く、メッシュの完成度が相対的に低いと、3Dプリンティングで、補綴物、プラント、矯正器などを製造することに適していない。これとは逆に、前記歯牙テンプレートモデルは、メッシュの完成度が相対的に高い歯牙モデルである。そこで、前記歯牙テンプレートモデルを変形して、補綴物、インプラント、矯正器などを製造する場合、3Dプリンティング方式を用いることに非常に適している。
このように、前記歯牙テンプレートモデルを、前記歯牙スキャンデータに近くなるように形状変形する場合、補綴物、インプラント、矯正器などの製造時間を減少し、製造過程を短縮し、補綴物、インプラント、矯正器などの品質を向上することができる。
【0085】
本発明の一実施形態に係ると、前記実施形態による歯牙モデルの形状変形方法をコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。前記方法は、コンピュータで実行されるプログラムで作成可能であり、コンピュータ読取り可能媒体を用いて、前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現可能である。また、前記方法で使われたデータの構造は、コンピュータ読取り可能媒体に複数の手段を通じて記録される。前記コンピュータ読取り可能媒体は、プロラム命令、データファイル、データ構造などを、単独又は組み合わせて含むことができる。前記媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特に設計され構成されたものや、コンピュータソフトウェア分野の通常の技術者に公知されて使用可能なものである。コンピュータ読取り可能な記録媒体としては、ハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DVDのような光記録媒体、プロブティコルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を格納し、実行するように特に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令としては、コンパイラーにより作られるような機械語コードだけでなく、インタプリターなどを用いて、コンピュータにより実行される高級言語コードを含む。前述したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために、1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成される。
【0086】
また、前述した歯牙モデルの形状変形方法は、記録媒体に格納されるコンピュータにより実行されるコンピュータープログラム、又は、アプリケーションの形態にも具現可能である。
[産業上利用可能性]
【0087】
本発明は、歯牙モデルの形状変形方法、歯牙モデルの形状変形装置、及び歯牙モデルの形状変形方法をコンピュータで実行させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体に関し、補綴物、インプラント、矯正器などの製造時間を減少させ、製造過程を短縮し、品質を向上することができる。
【0088】
前記では、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した該当技術分野の通常の技術者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更できることを理解するだろう。