(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】装身具の留め具
(51)【国際特許分類】
A44C 25/00 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
A44C25/00 B
(21)【出願番号】P 2024100409
(22)【出願日】2024-06-21
【審査請求日】2024-06-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398044938
【氏名又は名称】株式会社コラントッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】塚田 渉
(72)【発明者】
【氏名】原 武雄
(72)【発明者】
【氏名】薮下 仁規
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-192157(JP,A)
【文献】実開昭62-042415(JP,U)
【文献】実開昭55-030091(JP,U)
【文献】実開平06-000127(JP,U)
【文献】実開昭55-032181(JP,U)
【文献】特許第3993589(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネックレスに使用する留め具であって、
第1の磁石を内部に有する筒状の中間部材と、
前記中間部材の一端に挿脱可能であって前記第1の磁石に吸着可能な第2の磁石を有
し前記ネックレスの一端部に球関節軸を介して連結された第1の接続部材と、
前記中間部材の他端に挿脱可能であって前記第1の磁石に吸着可能な第3の磁石を有
し前記ネックレスの他端部に球関節軸を介して連結された第2の接続部材と、を有
し、
前記第1、第2および第3の磁石同士の磁力によって、前記中間部材、前記第1の接続部材および前記第2の接続部材を互いに近付けるだけで、それら各部材の軸線が一直線になるように自動的に位置合わせされて各部材が互いに連結することを特徴とする留め具。
【請求項2】
前記第1の磁石、第2の磁石及び第3の磁石のS極とN極が、前記中間部材、第1の接続部材及び第2の接続部材の径方向に、それぞれ分極していることを特徴とする請求項1の留め具。
【請求項3】
前記中間部材の一端と他端に凹状の開口部が形成され、当該開口部に前記第1の接続部材と前記第2の接続部材が挿脱可能とされていることを特徴とする請求項1の留め具。
【請求項4】
前記第1の接続部材と前記第2の接続部材の先端部に凹状の開口部が形成され、当該開口部に前記中間部材の一端と他端が挿脱可能とされていることを特徴とする請求項1の留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレスレットやネックレスなどの装身具に使用する留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレスレットやネックレスなどの装身具に使用する留め具として、例えば特許文献1(特許第4987279号公報)や特許文献2(特許第3993589号公報)の留め具が知られている。
図7は特許文献1の留め具30を示すものである。
【0003】
この留め具30は、ゴム磁石を使用した(磁気)ネックレスLの両端部に設けられた軸部31と軸孔32で構成される。軸部31の先端は半球状に形成され、当該半球状部分を軸孔32に嵌合することでネックレスLの両端を連結する。軸部31と軸孔32は樹脂部品で構成されることが多く、軸部31と軸孔32を繰り返し着脱しているうちに両者の嵌合部分が摩耗して外れやすくなるという課題がある。
【0004】
一方、
図8は特許文献2の留め具50を示すものである。この留め具50は、ネックレスLの両端部に連結された有底筒状のケース51、52と、一方のケース51の外周に固定されたヨーク53と、ケース51、52内に嵌合された永久磁石54、55で構成される。
【0005】
そして、左側のケース52を右側のケース51のヨーク53内に嵌合すると、磁石54、55同士が磁力で吸着するようになっている。ケース51、52とネックレスLの両端部は、例えば
図8(c)のように、結合軸56aと軸頭56aを有する連結ピン56で連結することができると記載されている(0017段)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4987279号公報
【文献】特許第3993589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8の留め具50は、繰り返し着脱しても外れやすくなるという欠点はないが、ケース52とヨーク53の位置合わせが必ずしも容易ではないという課題がある。すなわち、
図8(a)(b)のようにケース52の軸線とヨーク53の軸線を一直線に合わせた状態でケース52をヨーク53に向けて真っすぐに嵌合しないとうまく入らない。
【0008】
磁石54、55は互いに磁力で吸引しているが、ケース52とヨーク53の軸線が一致していないと
図8(d)のように両者が傾いた状態になる。そこで本発明の目的は、位置合わせが容易な留め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明の留め具は、装身具に使用する留め具であって、第1の磁石を内部に有する筒状の中間部材と、前記中間部材の一端に挿脱可能であって前記第1の磁石に吸着可能な第2の磁石を有する第1の接続部材と、前記中間部材の他端に挿脱可能であって前記第1の磁石に吸着可能な第3の磁石を有する第2の接続部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の留め具によれば、位置合わせが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る留め具の(a)(b)(c)分離状態の断面図、(d)片側分離状態の断面図、(e)連結状態の断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る留め具の(a)分離状態の断面図と(b)連結状態の断面図である。
【
図3】本発明の第3実施形態に係る留め具の(a)分離状態の断面図と(b)連結状態の側面図である。
【
図4】本発明の第4実施形態に係る留め具の(a)分離状態の断面図と(b)連結状態の側面図である。
【
図5】(a)トップを有するネックレスの正面図、(b)トップの表側拡大図、(c)トップの裏側拡大図である。
【
図6】(a)本発明の第5実施形態に係る留め具を有するネックレスの正面図、(b)分離状態の留め具の断面図、(c)連結状態の留め具の断面図である。
【
図8】従来の留め具の(a)分離状態の断面図、(b)連結状態の断面図、(c)連結ピンを使用した断面図、(d)傾斜した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係る留め具10を
図1-
図4を参照して説明する。留め具10は装身具としての例えばネックレスLに使用することができる。
【0013】
●第1実施形態
図1(a)-(e)は、第1実施形態に係る留め具10の分離状態(非整合(大))、分離状態(非整合(小))、分離状態(整合)、片側分離状態及び連結状態の断面図である。この留め具10は、左右方向中央の中間部材としての円筒状の金具11を有する。金具11の内部中央に第1の磁石としての永久磁石12が嵌合されている。
【0014】
磁石12の極性は、例えば
図1(c)-(e)の右側がN極で左側がS極である。磁石12の両側に、樹脂製のキャップ13、14が嵌合されている。このキャップ13、14の内側は、凹状の開口部とされている。
【0015】
キャップ13、14によって磁石12の位置を固定すると共に、防水性を高めることができる。なお、磁石12を接着剤等で金具11内に固定することも可能であり、その場合はキャップ13、14を省略してもよい。
【0016】
また、ネックレスLの両端に円筒状の金具15、16がカシメ固定されている。この金具15、16の先端に、球関節軸19、20を介して第1、第2の接続部材としての円筒状の金具17、18が連結されている。なお、ネックレスLの柔軟性によっては、球関節軸19、20を省略してネックレスLの両端に金具17、18を直接連結することも可能である。
【0017】
金具17、18の直径はキャップ13、14の内径(凹状の開口部)よりも僅かに小さい程度の大きさとされている。これにより、金具17、18をキャップ13、14の内側の凹状の開口部に対して挿脱可能に構成されている。
【0018】
球関節軸19、20の両端の球関節部19a、19b、20a、20bは、金具15、16の軸受穴15a、16aと金具17、18の軸受穴17a、18aに回転可能に収容されている。軸受穴15a、16aと軸受穴17a、18aの開口部は、球関節軸19、20の軸部19c、20cが辛うじて挿通する括れ部15b、16b、17b、18bで狭められている。
【0019】
金具17、18の先端側に、第2の磁石、第3の磁石としての永久磁石21、22が嵌合されている。金具17の磁石21は先端側がS極とされ、金具18の磁石22は先端側がN極とされている。
【0020】
磁石12、21、22は磁性体で構成することができ、望ましくは硬磁性体で構成することができる。硬磁性体として、電磁ステンレス鋼、ケイ素鉄、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)などの希土類磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石等を使用することができる。
【0021】
第1実施形態の留め具10は以上のように構成されており、
図1(a)のように中央の金具11を任意の姿勢でテーブル等の上に置いた状態で、金具11の両側からネックレスLの両端の金具17、18を無造作に近付けるだけで、
図1(a)⇒(e)のように3つの金具11、17、18が自動的に位置合わせされて連結される。
【0022】
すなわち、
図1(a)のように例えば金具11が斜め置き(あるいは縦置き)であっても、左右両側から金具17、18を近付けると磁石12、21、22同士の磁力で金具11が
図1(b)のように回転する。また、ネックレスLの両端の金具17、18が、磁力による首振り動作で
図1(b)のようにネックレスLの軸線と一直線になる。
【0023】
その後、金具11が
図1(c)のように金具17、18の軸線と完全に整合する。そして、金具17又は18のいずれか一方、あるいは金具17と18の両方が、磁石12、21、22同士の磁力で引き寄せられて、例えば
図1(d)のように片側の金具18が金具11に連結する。続いて
図1(e)のように、反対側の金具17も金具11に連結する。
【0024】
また、
図1(a)の金具11の磁極が左右逆であっても(S極が右上、N極が左下)、右側のS極同士、左側のN極同士の反発によって金具11が瞬時に180°反転する。このように、中央の金具11や両側の金具17、18は、任意の姿勢で正確・迅速に位置合わせ・連結が可能である。
【0025】
したがって、金具11、17、18を相互に位置合わせする必要性は殆どない。この際、球関節軸19、20によって金具17、18の自由な首振り範囲が拡大するので、金具11、17、18の位置合わせをさらに容易化することができる。
【0026】
図1(e)の連結状態において、中央の金具11に上下方向の力が作用しても、中央の金具11と左右の金具17、18との間には曲げ力のみ作用し、左右方向の引張力は殆ど生じない。このため、留め具10が簡単に外れることがない。
【0027】
●第2実施形態
図2(a)(b)は、中央の金具11の中に左右一対で磁石12、12を配設した第2実施形態を示す図である。磁石12と12の間には隔壁部11aが形成されている。この第2実施形態では金具11を任意の長さに伸ばすことができ、金具11の取扱性やデザイン性を高めることができる。
【0028】
●第3実施形態
図3(a)(b)(c)は、中央の金具11の磁石12を径方向で分極した第3実施形態を示す図である。金具17、18の磁石21、22も同様に径方向で分極している。この第3実施形態では、
図3(a)のように金具17、18の磁石21、22が金具11の磁石12と同極同士で対向していても、金具17、18(又は金具11)が自然に回転して
図3(b)のようにS極とN極が対向するので、中央の金具11に対して左右の金具17、18を連結することができる。
【0029】
S極とN極が正確に対向していることを確認するために、金具11、17、18の外周に位置合わせの目印となる印(例えば▲印)を付することができる。この第3実施形態は、中央の金具11に対して左右の金具17、18を
図3(c)のように少し捻るだけで、同極の磁気反発で簡単に留め具10を外すことができるという利点がある。
【0030】
●第4実施形態
図4(a)(b)(c)は、中央の金具11の中に左右一対で配設した磁石12、12を径方向で分極した第4実施形態を示す図である。金具17、18の磁石21、22も同様に径方向で分極している。この第4実施形態では、金具11を任意の長さに伸ばすことができ、金具11の取扱性やデザイン性を高めることができる。
【0031】
また、
図4(a)のように金具17、18の磁石21、22が金具11の磁石12と同極同士で対向していても、金具17、18(又は金具11)が自然に回転して
図4(b)のようにS極とN極が対向するので、中央の金具11に対して左右の金具17、18を連結することができる。S極とN極が正確に対向していることを確認するために、金具11、17、18の外周に位置合わせの目印となる印(例えば▲印)を付することができる。この第4実施形態も、中央の金具11に対して左右の金具17、18を
図4(c)のように少し捻るだけで、同極の磁気反発で簡単に留め具10を外すことができるという利点がある。
【0032】
●トップを有するネックレス
図5(a)は、中間の金具11にトップ40を取り付けたネックレスLを示すものである。通常のネックレスLは、トップ40をネックレスLのいずれか一方の端部に固定的に取り付けたものが殆どであって、
図5(a)のように独立した中間の金具11にトップ40を取り付けたものは稀である。
【0033】
トップ40は、一般的に
図5(b)(c)のように表裏の別がある。(b)が表側で(c)が裏側である。このため、通常のネックレスLのように一方の端部に金具11が固定的に取り付けられていると、使用者はトップ40の表側(b)を前側(裏側(c)を自分側)にして、一方の金具17(又は18)を反対側の金具11に連結しようとする。
【0034】
その際、トップ40付きの金具11の方が手に取りやすいので、ネックレスLの仕様は通常の使用者が利き手側の手(右手)で金具11を持った状態でトップ40の表側(b)が前側になる仕様にすることが多い。しかし、そうすると利き手が逆の使用者にとっては不便に感じる可能性もある。
【0035】
これに対して、
図5(a)のネックレスLの場合はトップ40を有する中間の金具11が独立していて自由に回転できるため、トップ40の表側(b)が前側になるように中間の金具11の左右の向きを自由に変えて金具17、18に瞬時に連結することができる。このように、
図5(a)のネックレスLは使用者の利き手がどちらであるかにはまったく関係がなく、きわめて良好な連結フィーリングが得られる。
【0036】
●第5実施形態
図6は、本発明の第5実施形態に係る留め具を説明する図であって、(a)は留め具を有するネックレスの正面図、(b)は分離状態の留め具の断面図、(c)は連結状態の留め具の断面図である。この留め具は、ネックレスLの一端に固定された金具15に、球関節軸19を介して第1の磁石としての磁石12が嵌合された第1接続部材としての金具11が連結されている。
【0037】
この第5実施形態では、金具11の軸受穴11bに球関節軸19の球関節部19bが回転可能に収容されている。
図1の第1実施形態に比べて、金具17と磁石21を省略してシンプルな構成とすることができる。その他は
図1とほぼ同様である。
【0038】
また、ネックレスLの他端に固定された金具16に、球関節軸20を介して第2の磁石としての磁石22が嵌合された第2接続部材としての金具18が連結されている。この留め具においても、球関節軸19、20によって金具11、18の自由な首振り範囲が拡大するので、金具11、18の位置合わせを容易化することができる。
【0039】
なお、磁石12、22は
図3や
図4のように径方向で分極したものにしてもよい。また、一方の球関節軸20を省略して金具18をネックレスLの他端に直接連結した構成にしてもよい。この場合は球関節軸20と金具16を省略してよりシンプルな構成とすることができる。
【0040】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば本発明はネックレスの留め具の他にブレスレットやペンダントの留め具として使用することも可能である。また、左右の金具17、18の先端部に凹状の開口部を形成し、当該開口部に中央の金具11の両端を挿脱可能に構成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10:留め具
11:金具(中間部材)
11a:隔壁部
12:永久磁石(第1の磁石)
13、14:キャップ
15:金具
16:金具
15a、16a:軸受穴
15b、16b:部
17:金具(第1の接続部材)
18:金具(第2の接続部材)
17a、18a:軸受穴
19、20:球関節軸
19a、19b、20a、20b:球関節部
19c、20c:軸部
21:磁石(第2の磁石)
22:磁石(第3の磁石)
40:トップ
L:ネックレス
【要約】
【課題】位置合わせが容易な留め具を提供する。
【解決手段】本発明の装身具に使用する留め具10は、第1の磁石12を内部に有する筒状の中間部材11と、中間部材11の一端に挿脱可能であって第1の磁石12に吸着可能な第2の磁石21を有する第1の接続部材17と、中間部材11の他端に挿脱可能であって第1の磁石12に吸着可能な第3の磁石22を有する第2の接続部材18と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1