(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】履歴管理システム、履歴管理方法及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20241213BHJP
【FI】
G06Q10/063
(21)【出願番号】P 2024176180
(22)【出願日】2024-10-07
【審査請求日】2024-10-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524320817
【氏名又は名称】株式会社Definer
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪本 健太郎
【審査官】前田 侑香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-191716(JP,A)
【文献】特開2011-034462(JP,A)
【文献】特開2002-334056(JP,A)
【文献】特開2008-009607(JP,A)
【文献】特開2020-035227(JP,A)
【文献】特開2004-062876(JP,A)
【文献】国際公開第2009/090973(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履歴管理システムであって、
ユーザが利用する複数のウェブツールのクレデンシャルをユーザ情報と関連付けて記憶する記憶部と、
前記ユーザ情報と関連付けられた前記クレデンシャルに基づいて
、前記
ウェブツールよりイベント履歴情報を取得する取得部と、
取得した前記イベント履歴情報に基づいて、履歴を表示させる表示処理部と、
を備え、
前記イベント履歴情報は、前記ユーザの作業により発生した能動的なイベントを含むイベントの履歴に関する情報である、
履歴管理システム。
【請求項2】
前記イベント履歴情報は、イベント内容と、日時情報と、を含み、
前記表示処理部は、前記イベント履歴情報に基づいて、イベントに関する画面の表示要素であるイベント表示要素を時系列順に2以上表示し、
前記イベント表示要素は、イベント内容と、イベントの発生日時を示す画面表示の要素である、
請求項1に記載の履歴管理システム。
【請求項3】
前記表示処理部は、第1のイベントの発生を示す第1イベント表示要素と、第2のイベントの発生を示す第2イベント表示要素と、を時系列順に表示し、前記第1のイベントと前記第2のイベントの発生までの時間差分を表示する、
請求項2に記載の履歴管理システム。
【請求項4】
履歴管理システムは、更に、特定処理部を備え、
前記特定処理部は、所要時間を含む特定条件を受け付けると、前記日時情報を含む前記イベント履歴情報に基づいて、次のイベント発生までの時間差分が前記特定条件に該当するイベントの履歴を特定し、
前記表示処理部は、前記特定条件に該当するイベント履歴情報に基づく前記イベント表示要素を表示する、
請求項2に記載の履歴管理システム。
【請求項5】
前記イベント履歴情報は、ウェブツールにおけるイベント対象表示画面へのアクセス情報を含み、
前記イベント表示要素は、前記アクセス情報に基づく前記イベント対象表示画面へのアクセス要素を含む、
請求項2に記載の履歴管理システム。
【請求項6】
履歴管理システムは、ステータス特定部を含み、
前記イベント履歴情報は、イベントの対象を特定するイベント対象識別情報とイベント種別と、を含み、
前記ステータス特定部は、前記イベント対象識別情報及び前記イベント種別に基づいてイベント対象に関するステータスを特定し、
前記イベント表示要素は、前記ステータスを表示させる、
請求項2に記載の履歴管理システム。
【請求項7】
前記ウェブツールは、メッセージツールを含み、
前記ステータス特定部は、受信と送信を含む前記イベント種別と、前記イベント対象識別情報と、を含む前記イベント履歴情報に基づいて、返信済みと未返信を含む会話に関するステータスを特定する、
請求項6に記載の履歴管理システム。
【請求項8】
前記イベント履歴情報は、前記ユーザがウェブツールで作業を行ったことで発生したイベントの履歴を含む情報であって、日時情報と、少なくとも受動的なイベントと能動的なイベントを識別するためのイベント種別と、を含み、
前記表示処理部は、前記イベント種別に基づいて特定される能動的なイベントに関する前記イベント履歴情報に基づいて、前記ユーザの活動の履歴を表示させる、
請求項1に記載の履歴管理システム。
【請求項9】
履歴管理システムは、更に、活動時間特定部と、特定処理部と、を備え、
前記活動時間特定部は、前記イベント履歴情報に基づいて、1日の活動開始時間と、活動終了時間と、を特定し、
前記取得部は、ユーザの勤務開始申告時間と、勤務終了申告時間と、を取得し、
前記特定処理部は、許容時間を含む勤務特定条件を受け付け、前記活動開始時間と前記勤務開始申告時間の差分及び/又は前記勤務終了申告時間と前記活動終了時間の差分が前記許容時間以上のユーザの勤務日を特定し、
前記表示処理部は、前記特定処理部が特定したユーザの勤務日における日付と、前記活動開始時間と、前記活動終了時間と、を一覧表示する、
請求項8に記載の履歴管理システム。
【請求項10】
履歴管理システムは、更に、指標算出部を備え、
前記指標算出部は、能動的なイベントに関する前記イベント履歴情報に基づいて、前記ユーザの活動の履歴に関する活動指標を算出し、
前記表示処理部は、前記活動指標を表示させる、
請求項8に記載の履歴管理システム。
【請求項11】
前記イベント履歴情報は、日時情報を含み、
前記活動指標は、前記イベント履歴情報に基づく単位時間当たりのユーザの活動の履歴の総量を示す活動量を含む、
請求項10に記載の履歴管理システム。
【請求項12】
前記イベント履歴情報は、ツール種別を含み、
前記表示処理部は、ツール種別ごとの活動量を表示させる、
請求項11に記載の履歴管理システム。
【請求項13】
前記イベント履歴情報は、関連するイベントを特定するための一意な識別情報を含み、
前記活動指標は、第1のイベントの発生時から前記識別情報に基づいて特定される前記第1のイベントに関連する第2のイベントが発生するまでの所要時間を含む、
請求項10に記載の履歴管理システム。
【請求項14】
前記ユーザ情報は、部門情報を含み、
前記指標算出部は、部門ごとの前記活動指標を算出し、
前記表示処理部は、部門ごとの前記活動指標を表示させる、
請求項10に記載の履歴管理システム。
【請求項15】
履歴管理システムは、更に、特定処理部を備え、
前記特定処理部は、特定条件を受け付け、前記イベント履歴情報に基づいて、前記特定条件に該当するイベント履歴情報を特定し、
前記指標算出部は、前記特定処理部が特定した前記特定条件に該当するイベント履歴情報に基づいて、前記活動指標を算出する、
請求項10に記載の履歴管理システム。
【請求項16】
コンピュータが実行する履歴管理方法であって、
前記コンピュータの記憶部は、ユーザが利用する複数のウェブツールのクレデンシャルをユーザ情報と関連付けて記憶し、
前記ユーザ情報と関連付けられた前記クレデンシャルに基づいて
、前記
ウェブツールよりイベント履歴情報を取得する取得工程と、
取得した前記イベント履歴情報に基づいて、履歴を表示させる表示処理工程と、
を備え、
前記イベント履歴情報は、前記ユーザの作業により発生した能動的なイベントを含むイベントの履歴に関する情報である、
履歴管理方法。
【請求項17】
請求項16に記載の履歴管理方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履歴管理システム、履歴管理方法及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、労働者は、自身の業務をソフトウェアツールを利用して行うことが多くなってきている。そのような場合、労働者を管理する使用者等では労働者の労働の状況や生産性等を把握することが難しくなっている。そのため、労働者の労働状況を把握するための技術が開発されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、周辺システム等からログ情報を収集してケアすべき労働者を把握してトラッキングできるようにする労働管理システムに関して開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、ウェブツールよりイベント履歴情報を取得してイベント履歴情報を表示するための具体的な方法について何ら開示されていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザ個人の利用するウェブツールの履歴を取得してユーザの業務の状況を示す履歴管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]履歴管理システムであって、
ユーザが利用する複数のウェブツールのクレデンシャルをユーザ情報と関連付けて記憶する記憶部と、
前記ユーザ情報と関連付けられた前記クレデンシャルに基づいて、複数のツールより前記ユーザのツールよりイベント履歴情報を取得する取得部と、
取得した前記イベント履歴情報に基づいて、履歴を表示させる表示処理部と、
を備え、
前記イベント履歴情報は、前記ユーザの作業により発生した能動的なイベントを含むイベントの履歴に関する情報である、
履歴管理システム。
[2]前記イベント履歴情報は、イベント内容と、日時情報と、を含み、
前記表示処理部は、前記イベント履歴情報に基づいて、イベントに関する画面の表示要素であるイベント表示要素を時系列順に2以上表示し、
前記イベント表示要素は、イベント内容と、イベントの発生日時を示す画面表示の要素である、
[1]に記載の履歴管理システム。
[3]前記表示処理部は、第1のイベントの発生を示す第1イベント表示要素と、第2のイベントの発生を示す第2イベント表示要素と、を時系列順に表示し、前記第1のイベントと前記第2のイベントの発生までの時間差分を表示する、
[2]に記載の履歴管理システム。
[4]履歴管理システムは、更に、特定処理部を備え、
前記特定処理部は、所要時間を含む特定条件を受け付けると、前記日時情報を含む前記イベント履歴情報に基づいて、次のイベント発生までの時間差分が前記特定条件に該当するイベントの履歴を特定し、
前記表示処理部は、前記特定条件に該当するイベント履歴情報に基づく前記イベント表示要素を表示する、
[2]に記載の履歴管理システム。
[5]前記イベント履歴情報は、ウェブツールにおけるイベント対象表示画面へのアクセス情報を含み、
前記イベント表示要素は、前記アクセス情報に基づく前記イベント対象表示画面へのアクセス要素を含む、
[2]に記載の履歴管理システム。
[6]履歴管理システムは、ステータス特定部を含み、
前記イベント履歴情報は、イベントの対象を特定するイベント対象識別情報とイベント種別と、を含み、
前記ステータス特定部は、前記イベント対象識別情報及び前記イベント種別に基づいてイベント対象に関するステータスを特定し、
前記イベント表示要素は、前記ステータスを表示させる、
[2]に記載の履歴管理システム。
[7]前記ウェブツールは、メッセージツールを含み、
前記ステータス特定部は、受信と送信を含む前記イベント種別と、前記イベント対象識別情報と、を含む前記イベント履歴情報に基づいて、返信済みと未返信を含む会話に関するステータスを特定する、
[6]に記載の履歴管理システム。
[8]前記イベント履歴情報は、前記ユーザがウェブツールで作業を行ったことで発生したイベントの履歴を含む情報であって、日時情報と、少なくとも受動的なイベントと能動的なイベントを識別するためのイベント種別と、を含み、
前記表示処理部は、前記イベント種別に基づいて特定される能動的なイベントに関する前記イベント履歴情報に基づいて、前記ユーザの活動の履歴を表示させる、
[1]~[7]の何れかに記載の履歴管理システム。
[9]履歴管理システムは、更に、活動時間特定部と、特定処理部と、を備え、
前記活動時間特定部は、前記イベント履歴情報に基づいて、1日の活動開始時間と、活動終了時間と、を特定し、
前記取得部は、ユーザの勤務開始申告時間と、勤務終了申告時間と、を取得し、
前記特定処理部は、許容時間を含む勤務特定条件を受け付け、前記活動開始時間と前記勤務開始申告時間の差分及び/又は前記勤務終了申告時間と前記活動終了時間の差分が前記許容時間以上のユーザの勤務日を特定し、
前記表示処理部は、前記特定処理部が特定したユーザの勤務日における日付と、前記活動開始時間と、前記活動終了時間と、を一覧表示する、
[8]に記載の履歴管理システム。
[10]履歴管理システムは、更に、指標算出部を備え、
前記指標算出部は、能動的なイベントに関する前記イベント履歴情報に基づいて、前記ユーザの活動の履歴に関する活動指標を算出し、
前記表示処理部は、前記活動指標を表示させる、
[8]に記載の履歴管理システム。
[11]前記イベント履歴情報は、日時情報を含み、
前記活動指標は、前記イベント履歴情報に基づく単位時間当たりのユーザの活動の履歴の総量を示す活動量を含む、
[10]に記載の履歴管理システム。
[12]前記イベント履歴情報は、ツール種別を含み、
前記表示処理部は、ツール種別ごとの活動量を表示させる、
[11]に記載の履歴管理システム。
[13]前記イベント履歴情報は、関連するイベントを特定するための一意な識別情報を含み、
前記活動指標は、第1のイベントの発生時から前記識別情報に基づいて特定される前記第1のイベントに関連する第2のイベントが発生するまでの所要時間を含む、
[10]に記載の履歴管理システム。
[14]前記ユーザ情報は、部門情報を含み、
前記指標算出部は、部門ごとの前記活動指標を算出し、
前記表示処理部は、部門ごとの前記活動指標を表示させる、
[10]に記載の履歴管理システム。
[15]履歴管理システムは、更に、特定処理部を備え、
前記特定処理部は、特定条件を受け付け、前記イベント履歴情報に基づいて、前記特定条件に該当するイベント履歴情報を特定し、
前記指標算出部は、前記特定処理部が特定した前記特定条件に該当するイベント履歴情報に基づいて、前記活動指標を算出する、
[10]に記載の履歴管理システム。
[16]コンピュータが実行する履歴管理方法であって、
前記コンピュータの記憶部は、ユーザが利用する複数のウェブツールのクレデンシャルをユーザ情報と関連付けて記憶し、
前記ユーザ情報と関連付けられた前記クレデンシャルに基づいて、複数のツールより前記ユーザのツールよりイベント履歴情報を取得する取得工程と、
取得した前記イベント履歴情報に基づいて、履歴を表示させる表示処理工程と、
を備え、
前記イベント履歴情報は、前記ユーザの作業により発生した能動的なイベントを含むイベントの履歴に関する情報である、
履歴管理方法。
[17][16]に記載の履歴管理方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0008】
[1]に係る発明により、ウェブツールについてもクレデンシャルを利用してイベント履歴情報を収集し、履歴を表示することができる。
【0009】
[2]に係る発明により、イベントの履歴を時系列順に表示することができる。
【0010】
[3]に係る発明により、イベントの発生の時間の差分を確認することができる。
【0011】
[4]に係る発明により、時間差分が条件として設定された所要時間以上である特定条件に該当する履歴を特定して表示することができる。
【0012】
[5]に係る発明により、履歴を表示する画面から容易にイベントの対象を表示している画面に遷移して表示することができる。
【0013】
[6]に係る発明により、イベントの対象についてのステータスを特定して表示させることができる。
【0014】
[7]に係る発明によりメールアプリケーション等のメッセージツールについて、返信、未返信等のステータスを特定して表示させることができる。
【0015】
[8]に係る発明により、ユーザの作業等によって発生した能動的なイベントに関するイベント履歴情報を利用してユーザの活動の履歴を表示させることができる。
【0016】
[9]に係る発明により、ツールから取得した活動時間とユーザの申請した勤務時間との差が許容時間以上であるような問題のある可能性が高い勤務日を特定することができる。
【0017】
[10]に係る発明により、ユーザの活動で生じた能動的なイベントに関するイベント履歴情報を利用してユーザの活動の指標を算出し、表示させることができる。
【0018】
[11]に係る発明により、単位時間当たりのユーザのツールを利用した活動の状況を表示することができる。
【0019】
[12]に係る発明により、ツールの種別ごとの活動の状況を表示することができる。
【0020】
[13]に係る発明により、対象のイベントについて、あるイベントの発生から次のイベントの発生までの所要時間を特定して表示することができる。
【0021】
[14]に係る発明により、部門ごとのユーザの活動の指標を表示させることができる。
【0022】
[15]に係る発明により、条件に該当するイベント履歴情報を利用した活動指標を算出して表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0025】
例えば、本実施形態では、履歴管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても同様の作用効果を奏することができる。プログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態である履歴管理システムは、労働者が業務の際に利用するツール、特にウェブアプリケーション等のウェブツールのイベント履歴情報を収集して表示することで可視化し、労働者の状況を把握しやすくすることを可能とする。本実施形態では、イベント履歴情報は、後述するように、パフォーマンス管理や勤怠管理など様々な用途に利用される。また、本発明における履歴管理システムがイベント履歴情報を取得するツールは、ユーザが業務等で利用するウェブアプリケーション等のウェブツールであって、本実施形態では、メールアプリケーションやチャットツール等のメッセージツール、クラウドストレージ、カレンダーアプリケーション等であるが、ウェブ上で利用され、業務に利用されるツールであればどのようなツールであってもよい。
【0027】
本実施形態では、履歴管理システムは、メールやチャットの受信や送信、クラウドストレージのファイルの作成、編集、カレンダーアプリケーションにおける予定の作成、編集等、ツールで発生したイベントに関するイベント履歴情報を利用して後述する処理を実行する。なお、イベント履歴情報として収集されるイベント履歴情報は、メールの送信やファイルの編集等のユーザの操作によって発生する能動的なイベントと、メールの受信や、他ユーザによるファイルの編集の通知、ユーザが操作を行わなくても発生する受動的なイベントと、に関する情報を含む。なお、ユーザの活動時間の特定など、ユーザの業務の状況や活動について把握したいときには、能動的なイベントに関するイベント履歴情報を利用して処理を行う。また、本実施形態では、一のイベントに対応する一のイベント履歴情報が取得される。本実施形態では、この取得されたイベント履歴情報を複数利用して後述する処理を行う。
【0028】
<システム構成>
図1は、一実施形態のシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、履歴管理システム0は、履歴管理装置1と、ユーザ端末2と、ツール提供システム3と、を備え、これらがネットワーク4を介して通信可能に接続される。
【0029】
履歴管理装置1として汎用のサーバやパーソナルコンピュータ等のサーバ装置を1又は複数利用することができる。
【0030】
ユーザ端末2として、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末等の端末装置を利用することができる。ユーザ端末2は、ブラウザアプリケーション等の履歴管理装置利用プログラムを実行することで履歴管理装置1に接続し、後述する処理を実行する。本実施形態では、履歴管理装置利用プログラムは、ユーザ端末2にプリインストール又は事前にダウンロードされたブラウザアプリケーションであるが、図示しないプログラム提供装置よりダウンロードされたクライアントアプリケーション等であってもよい。
【0031】
ツール提供システム3は、ツール提供装置31を備える。ツール提供装置31としては汎用のサーバやパーソナルコンピュータ等のサーバ装置を1又は複数用いることができる。ツール提供装置31は、本実施形態では、ツールで発生したイベントに関するイベント履歴情報を履歴管理装置1に提供する。また、ツール提供システム3は、
図1には図示しないが複数存在する。ツール提供システム3は、本実施形態では、メールアプリケーションやチャットツール、クラウドストレージやカレンダーアプリケーション等のウェブアプリケーションの機能を提供するシステムである。本実施形態において、履歴管理装置1は、ネットワーク4を介してツール提供システム3より、イベント履歴情報を取得する。
【0032】
ネットワーク4は、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類、ネットワークの種類等にも制限はない。
【0033】
<ハードウェア構成>
図2は、履歴管理装置1及びユーザ端末2のハードウェア構成図である。
【0034】
図2(a)は、履歴管理装置1のハードウェア構成図である。
図2(a)に示すように、履歴管理装置1は、処理部101、記憶部102、及び通信部103を備え、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0035】
処理部101は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、OSや履歴管理プログラム等を実行する。
記憶部102は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリ、OS、履歴管理プログラム等を記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
通信部103は、ネットワーク4に接続するためのインタフェースを有し、ネットワーク4との通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
【0036】
図2(b)は、ユーザ端末2のハードウェア構成図である。
図2(b)に示すように、ユーザ端末2は、処理部201、記憶部202、通信部203、入力部204及び出力部205を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0037】
処理部201は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、OSや履歴管理装置利用プログラム等のプログラムを実行する。
記憶部202は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリ、OS、履歴管理サービスを含む複数のサービスを利用可能なアプリケーションプログラム(履歴管理装置利用プログラム等)を記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
通信部203は、ネットワーク4に接続するためのインタフェースを有し、ネットワーク4との通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
入力部204は、タッチパネルやキーボードなどの入力処理が可能な操作入力デバイス等の入力デバイスを有する。
出力部205は、ディスプレイなどの表示処理が可能な表示デバイス等の出力デバイスを有する。
【0038】
<データ構成>
以下、履歴管理システム0において、記憶部102に記憶され、後述する処理に利用される各種データのデータ構成の例について
図3を用いて説明を行う。記憶部102は、ユーザに関するユーザ情報と、ウェブツールのクレデンシャルと、複数のツール提供システム3より取得したイベント履歴情報と、を記憶している。
【0039】
図3(a)に示すユーザ情報は、履歴管理システム0におけるユーザに関する情報であって、識別情報(ユーザID等)と、ユーザ名と、ユーザの所属する部門に関する部門情報と、を含む。また、ユーザID等の識別情報を利用してユーザ情報には、クレデンシャルが1又は複数関連付けて登録される。
【0040】
図3(b)において示すクレデンシャルは、ツール提供システム3におけるユーザを認証するための情報であって、ツール種別(ツール名)と、ユーザID等のユーザ識別情報と、パスワードを含む。本実施形態では、クレデンシャルは、パスワードを含むが、ユーザを認証可能な情報であればパスワードを含まない場合や、メールアドレス等、どのような形式の情報であってもよい。本実施形態において、ユーザが複数のウェブツールを利用している場合、ツール種別が異なる複数のクレデンシャルがユーザ情報に紐づけられる。なお、ユーザが特定のツールにおいて複数アカウントを持っている場合、同じツールに関する(ツール種別が同じ)複数のクレデンシャルが、一つのユーザ情報に紐づいていてもよい。履歴管理システム0は、クレデンシャルによって特定される他のツール提供システム3のユーザのイベント履歴情報を、取得に利用されたクレデンシャルと紐づくユーザ情報を有する当該履歴管理システムのユーザのツールの履歴に関する情報として取得する。
【0041】
図3(c)において示すイベント履歴情報は、ツールにおけるイベントの履歴に関する情報であって、日時情報と、ツール種別と、イベント種別と、イベント内容と、イベント対象識別情報と、アクセス情報と、を含む。本実施形態において、イベント履歴情報は、取得時に利用したクレデンシャル情報と関連付けられたユーザのユーザ情報と関連付けて記憶されている。
【0042】
日時情報は、イベントの発生日時に関する情報である。また、本実施形態では、日時情報は、年月日、時間、曜日に関する情報を含む。
【0043】
ツール種別は、イベント情報を取得した取得元のツールの種別であって、本実施形態では、メールアプリケーション、チャットツール、クラウドストレージ、オンラインミーティングツール等を含む。なお、ツール種別としてメールアプリケーションAとメールアプリケーションBが異なるツール種別として識別されてもよい。
【0044】
イベント種別は、イベントの種別であって、本実施形態では、ツール種別がメールアプリケーションであれば、メール受信やメール送信、クラウドストレージであれば、ファイル作成、ファイル編集等、ツールの種別ごとに適したイベント種別が設定される。なお、本実施形態において、イベント種別がメール受信であるイベント履歴情報が受動的なイベントについてのイベント履歴情報に分類され、イベント種別がメール送信であるイベント履歴情報が能動的なイベントに関するイベント履歴情報として分類されるなど、イベント履歴情報は、イベント種別に基づいて、能動的なイベントについてのイベント履歴情報と受動的なイベントについてのイベント履歴情報に分類される。本実施形態では、イベント種別は、能動的なイベントと受動的なイベントの何れかに分類されるが、その他の分類に分類されるイベント種別が存在してもよい。
【0045】
イベント内容情報は、イベントの内容に関する情報であって、本実施形態では、ツール種別がメールであれば、メールの件名、ツール種別がクラウドストレージであれば、ファイル名など、イベントの対象の名称を示すが、イベントの内容に関する情報であれば、メールの本文などであってもよい。
【0046】
イベント対象識別情報は、イベントの対象を識別するための一意な識別情報である。本実施形態では、イベント対象識別情報は、チャットツールのチャンネルやスレッド、クラウドストレージのファイルの作成や編集等のイベント、メールアプリケーションにおいてスレッド表示として一画面で表示されるメールの送受信等の同じ対象に発生したイベントに関するイベント履歴情報のグループを識別するための一意なURL(Uniform Resource Locator)であるが、発生したイベントの対象を識別することができる情報であればイベント対象の名称等、どのような形式であってもよい。なお、イベントの対象とは、ツールにおいてイベントが発生した対象であって、本実施形態では、メール、スレッド、ファイル等を含む。また、本実施形態では、イベント対象識別情報は、イベント対象を表示するための画面に遷移可能なURLであるため、後述するアクセス情報としても機能する。
【0047】
アクセス情報は、ウェブツールにおけるイベントの対象について表示するイベント対象表示画面に遷移可能な情報であって、本実施形態ではURLである。なお、イベント対象表示画面とは、イベント対象を表示するための画面であって、例えば、メールアプリケーションにおけるメールの表示画面、チャットツールにおけるチャンネルやスレッドの表示画面や、クラウドストレージにおけるファイルの表示画面等である。
【0048】
なお、本実施形態では、履歴管理システム0は、当該システム内で扱いやすい形に変換する前処理が行われた処理済みのイベント履歴情報を利用して後述する処理を実行するが、ツール提供システム3より取得した生データを利用して後述する処理を実行してもよい。
【0049】
<履歴管理システム0の機能構成>
図1では、更に、履歴管理システム0における機能構成を示す。
図1に示すように、履歴管理装置1は、取得部11と、特定処理部12と、ステータス特定部13と、活動時間特定部14と、指標算出部15と、表示処理部16と、を備える。これは、ソフトウェア(記憶部102に一過性又は非一過性に記憶された履歴管理プログラム)による処理がハードウェア(処理部101等)によって具体的に実現されたものである。また、ユーザ端末2が後述する機能構成の一部を備え、その処理の一部を実行してもよい。このとき、ユーザ端末2は、履歴管理プログラムの一部を記憶部202に記憶し、処理部201において実行することで履歴管理装置1の処理の一部を実行する。
【0050】
<取得部11>
取得部11は、ユーザ情報と関連付けられたクレデンシャルに基づいて、1又は複数のツール提供システム3よりイベント履歴情報を取得し、記憶部102に記憶させる。本実施形態において、取得部11は、ユーザ情報と関連付けられたクレデンシャルを利用して特定のユーザのウェブツールで発生したイベントに関するイベント履歴情報を取得する。なお、取得されたイベント履歴情報は、取得に利用されたクレデンシャルと紐づいたユーザ情報と関連付けて記憶部102に記憶され、特定のユーザのツールにおけるイベントの履歴として後述する処理に利用される。また、取得部11は、ツール提供システム3から定期的にデータを取得する処理を行うように構成されてもよいし、ツール提供システム3においてイベントが発生した時にデータを取得するように構成されてもよい。
【0051】
また、取得部11は、ツール提供システム3より取得したイベント履歴情報の生データを履歴管理システム0において利用しやすい形式に変換する処理を行ってもよい。このとき、取得部11は、記憶部102に記憶されるツール種別ごとの変換ルールに基づいて履歴管理システム0における利用に適した形式に変換を行う。
【0052】
また、取得部11は、特定条件や勤務特定条件、勤務開始申告時間、勤務終了申告時間、特定条件、勤務特定条件等のユーザ端末2からの各種入力を受け付ける。また、取得部11は、ユーザ情報をユーザ端末2から受け付けてもよい。
【0053】
<特定処理部12>
特定処理部12は、ユーザ端末2より受け付けた特定条件に基づいて、条件に該当するイベント履歴情報を特定する。特定条件は、ユーザによって設定された抽出したいイベント履歴情報を特定するための条件であって、本実施形態では、開始日、終了日、開始時間、終了時間、ツール種別、キーワード、イベント種別、所要時間、ユーザ、ユーザの部門を含む。なお、開始日が特定されると、特定処理部12は、開始日以降の日に発生したイベントに関するイベント履歴情報を条件に該当するイベント履歴情報として特定し、終了日が特定されると、終了日以前に発生したイベントに関するイベント履歴情報を条件に該当するイベント履歴情報として特定する。更に、特定処理部12は、特定条件において、指定されたユーザや、指定された部門に所属するユーザのイベント履歴情報を特定する。
【0054】
また、特定処理部12は、ユーザ端末2より受け付けた勤務特定条件に基づいて、条件に該当するユーザの勤務日を特定する。勤務特定条件は、把握すべき勤務を特定するための条件であって、本実施形態では、許容時間と、部門と、開始日と、終了日と、を含む。なお、勤務特定条件において開始日が設定されると、設定された日以降の勤務日が特定され、終了日が設定されると、設定された日よりも前の勤務日が勤務特定条件に該当する日として特定される。本実施形態において、特定処理部12は、許容時間を含む勤務特定条件と、取得部11が取得した勤務開始申告時間及び勤務終了申告時間と、活動時間特定部14が特定した活動開始時間および活動終了時間と、に基づいて、活動開始時間と勤務開始申告時間の差分(活動開始時間-勤務開始申告時間)と、勤務終了申告時間と活動終了時間の差分(勤務終了申告時間-活動終了時間)と、の何れか又は両方が許容時間以上のユーザの勤務日を特定する。また、特定処理部12は、活動時間とユーザの1日の勤務時間(例えば、勤務開始申告時間から勤務終了申告時間までの時間)の差が許容時間以上である勤務日を特定してもよい。
【0055】
申告時間と活動時間に差がある勤務は問題がある勤務の可能性が高い。特定処理部12において、このような処理を行うことで、勤務時間と実際の稼働時間に差があるような問題がある可能性がある勤務日を特定することができる。
【0056】
<ステータス特定部13>
ステータス特定部13は、イベント対象識別情報及びイベント種別を含むイベント履歴情報に基づいて特定のイベント対象に関するステータスを特定する。
【0057】
以下、メールアプリケーション等のメッセージツールについて、あるユーザが受信したメールMAを受信した際のイベント履歴情報と、メールMAに対する返信であるメールMBを送信した際のイベント履歴情報と、メールMA及びメールMBとは関係がないメールMCに関するイベント履歴情報を記憶部102が記憶しているときのステータスの特定の例について説明を行う。なお、メールアプリケーションでは、関連性があり、スレッド表示において一つの画面で表示される一連のメール(例えば、メールMAとメールMB)は、ツール提供システム3において一意な識別情報によって関連付けて管理されているが、それらの一連のメールに関するイベント履歴情報は、一意なイベント対象識別情報によって関連付けて記憶部102に記憶されている。また、このとき、メールMA及びメールMCのイベント種別は、メール受信であって、メールMBのイベント種別は、メール送信である。
【0058】
ステータス特定部13は、一連のメールMA及びMBについて、メールの受信及びメールの送信というイベントが発生しているため、返信済みとしてステータスを特定する。また、ステータス特定部13は、メールMCについて、メールの受信という種別のイベントが発生しているが、同じイベント対象識別情報に紐づくイベント履歴情報にメール送信というイベントが関連付けられていないため、メール未返信としてステータスを特定する。このように、本実施形態では、ツール種別がメールである場合、ステータス特定部13は、イベント種別及びイベント対象識別情報に基づいて、イベント対象のメールについて、メールの未返信/返信済みを含むステータスを特定させる。また、本実施形態では、メールアプリケーションを含むメッセージツールにおけるステータスとして、送信/返信され、スレッドとして表示される一連の会話に関するステータスとして、返信/未返信のステータスが特定される。
【0059】
ここでは、メール等のステータスについて説明を行ったが、ステータス特定部13は、イベント対象について継続的に起こるイベントについてのイベント履歴情報に基づいて、イベント対象のステータスを特定できればどのようなステータスを特定してもよい。ステータス特定部13は、例えば、クラウドストレージにおけるファイルの更新/未更新や、カレンダーアプリケーションにおける予定の招待に対する参加するか否かの回答/未回答等についてのステータスを特定してもよい。
【0060】
また、ステータス特定部13は、同じイベント対象識別情報に関連付けられたイベント履歴情報において、イベント種別がメール受信というイベントの後にメール送信というイベントが発生した場合にステータスを返信済みとして特定するなど、更に、日時情報に基づいて、イベントの発生の前後関係を考慮したステータスの特定を行ってもよい。
【0061】
<活動時間特定部14>
活動時間特定部14は、イベント履歴情報に基づいて1日の活動開始時間と、活動終了時間と、を特定する。なお、活動時間特定部14は、対象のユーザの活動する時間を特定するため、メール受信等の受動的なイベントに関するイベント履歴情報を除外し、ユーザの活動によって生じた能動的なイベントに関するイベント履歴情報を利用して活動開始時間、活動終了時間及び活動時間を特定する。なお、活動時間特定部14は、イベント履歴情報に含まれるイベント種別に基づいて、能動的なイベントに関するイベント履歴情報を特定し、特定した能動的なイベントに関するイベント履歴情報を利用して、勤務日ごとの活動開始時間、活動終了時間、活動時間の特定に関する処理を行う。本実施形態において、活動時間特定部14は、特定のユーザのユーザ情報と関連付けられたイベント履歴情報に基づいて、1日で初めての能動的なイベントが発生した時間を活動開始時間、1日で最後に能動的なイベントが発生した時間を活動終了時間として特定するが、1日で初めて/最後に所定の回数以上/以下のイベントが発生した時間や、1日で初めて/最後に単位時間当たりのイベントの発生件数が所定の回数以上/回数以下となった時間を活動開始時間/活動終了時間として特定するなど、イベント履歴情報に基づいて一定の条件を満たす時間を活動開始時間/活動終了時間として特定してもよい。
【0062】
また、活動時間特定部14は、更に、ユーザがツールを利用して業務等の活動を行っている時間である活動時間を特定する。本実施形態において、活動時間特定部14は、活動開始時間から活動終了時間までの時間を活動時間として特定するが、単位時間毎に一定以上の能動的なイベントに関するイベント履歴情報がある時間帯を活動しているとしてその時間を集計する形で活動時間を特定するなど、イベント履歴情報に基づいてユーザの活動している時間を特定することができればどのような方法を利用して活動時間を特定してもよい。活動時間特定部14により特定された勤務日ごとの活動開始時間、活動終了時間及び活動時間は勤務日ごとにユーザ情報と関連付けて記憶部102に記憶され、勤怠管理画面の表示処理や特定処理部12における条件に該当する勤務日の特定に係る処理に利用されてもよい。また、活動時間特定部14は、ツール種別ごとにユーザがツールを利用して活動している時間を特定してもよい。
【0063】
<指標算出部15>
指標算出部15は、イベント履歴情報に基づいて、活動指標を算出する。活動指標は、イベント履歴情報に基づくユーザの活動の指標であって、本実施形態では、活動量、メール送信数、未返信数、メッセージの返信時間、所要時間を含む。また、指標算出部15は、ユーザ情報と紐づいたイベント履歴情報に基づいてユーザについての活動指標を算出してもよいし、特定の部門に属するユーザ等、複数のユーザのイベント履歴情報に基づいて、複数のユーザによるグループにおける活動指標を算出してもよい。また、指標算出部15は、ユーザ端末2から受け付けた特定条件に基づいて、例えば、特定の部門に所属する複数のユーザのイベント履歴を利用して活動指標を算出するなど、特定処理部12において特定された特定条件に該当するイベント履歴情報を用いた指標の算出を行ってもよい。
【0064】
以下、活動指標の具体例について説明を行う。活動量は、単位時間当たりの能動的なイベントの発生の量であって、本実施形態では、能動的なイベントに関する履歴情報の数である。また、本実施形態では、指標算出部15は、単位時間が1週間の場合の能動的なイベントについてのイベント履歴情報の件数を総活動量、総活動量の単位時間あたりの平均(本実施形態では単位時間が1日:総活動量÷7日)を平均活動量として算出する。また、指標算出部15は、ツール種別ごと、イベント種別ごとの履歴情報の件数を活動指標として算出してもよく、本実施形態では、ツール種別がメールであり、イベント種別がメール送信であるメール送信数を活動指標として算出する。また、指標算出部15は、ステータス特定部13により特定されたステータスに基づいて、メールの未返信数やメールの返信数等、特定のステータスのイベント対象の件数を活動量として算出してもよい。
【0065】
所要時間は、あるイベント(第1のイベント)が発生してから、次のイベント(第2のイベント)が発生するまでの時間である。本実施形態では、指標算出部15は、メールの受信などの受動的なイベントの発生からメールの返信等の能動的なイベントの発生までの所要時間や、特定のツールにおいて次のイベントが発生するまでの時間等、ユーザ端末2より取得した特定条件に該当するイベント履歴情報に基づいて所要時間を算出する。平均所要時間は、単位期間における特定のユーザの所要時間の平均であって、本実施形態では、1週間の特定のユーザの所要時間の平均である。
【0066】
また、指標算出部15は、ツール種別ごとに平均所要時間を算出してもよい。指標算出部15は、本実施形態では、ツール種別がメッセージツールであるイベント履歴情報に基づいてメッセージツールに関する平均所要時間である平均返答時間を算出する。このとき、指標算出部15は、イベント対象識別情報によって関連付けられたイベント履歴情報を利用して、特定のイベント対象についてメールやメッセージの受信というイベント(イベント種別が受信のイベント)からメールやメッセージの送信というイベント(イベント種別が送信のイベント)が発生するまでに所要時間を返答時間として、返答時間の単位時間当たりの平均を平均所要時間として算出する。なお、本実施形態では、平均返答時間は、メールアプリケーションについての平均所要時間であるが、チャットツールやメールアプリケーション等のメッセージの送受信を行う複数のツールにおける所要時間の平均であってもよい。
【0067】
また、対応速度は、イベントに対応する速度であって、本実施形態では単位時間を能動的なイベントの発生件数(能動的なイベントに関するイベント履歴情報の数)で割ることで算出された指標であるが、メールの通知等の受動的なイベントの発生からメールの送信等の能動的なイベントの発生までの時間の逆数など、イベント履歴情報に基づいて算出された速度であればどのような方法で算出された指標であってもよい。
【0068】
<表示処理部16>
表示処理部16は、イベント履歴情報に基づいて、履歴表示画面や勤怠管理画面、ダッシュボード画面等、各種画面の表示処理に係る処理を行う。
【0069】
<画面表示例の説明>
以下、
図4~7を利用して表示処理部16により表示される画面表示例の例について説明を行う。
【0070】
<履歴表示画面>
図4は、表示処理部16により表示される履歴表示画面の画面表示例である。履歴表示画面W1は、イベント履歴情報に基づいて表示されるイベントの履歴を表示する画面であって、特定条件入力要素W11と、イベント表示要素W12A~12Eを含む。なお
図4に示す例では、イベント表示要素は5つ表示されているが、イベント表示要素の数に限定はなく、5以上であっても、5以下であってもよい。
【0071】
特定条件入力要素W11は、イベント履歴情報を特定するための条件(特定条件)を入力するための画面表示要素であって、本実施形態では、開始日、終了日、ツール種別、キーワード、開始時間、終了時間、アクションの種類(イベント種別)、所要時間についての条件を入力可能な画面表示要素である。
【0072】
イベント表示要素W12A~12Eは、イベント履歴情報に基づいて表示される、イベント(イベントEA~EE)の履歴を表示するための画面表示の要素であって、本実施形態では、日時情報に基づくイベントの発生日時、イベント種別、イベント内容及び、そのイベントに関連するイベント対象のステータスを表示させる矩形の領域である。また、イベント内容は、アクセス情報に基づいて、押下するとイベント対象表示画面に遷移するアクセス要素(リンク)として機能する。本実施形態において、アクセス要素が押下されると、ユーザ端末2は、ブラウザアプリケーションにおける別タブにおいてイベント対象表示画面を表示させる。
【0073】
なお
図4に示す例ではイベントEA~EEに対して対応するイベント表示要素W12A~W12Eが表示される。また、イベント表示要素W12A~12Eはイベントの発生日時順(時系列順)に接続して表示され、イベント表示要素W12C(第1のイベント表示要素)とイベント表示要素W12D(第2のイベント表示要素)の間には「SANUS dev 全てテストすること」という件名のメールの受信(イベントEC)から「給与送金設定」という件名のメールの受信(イベントED)までの時間の差分(4分56秒)など、イベント表示要素の間にはそれぞれのイベント表示要素におけるイベントの発生日時の間の差分(所要時間)が表示される。
【0074】
また、特定条件入力要素W11において、特定条件が入力され、検索ボタンが押下されると、特定処理部12は、特定条件に該当するイベント履歴情報を特定する。表示処理部16は、特定処理部12によって特定された特定条件に該当するイベント履歴情報に基づくイベント表示要素を表示させ、特定条件に該当しないイベント履歴情報が表示されないようにする。このとき、イベント表示要素の間に表示される時間の差分は、画面に表示されているイベントの間の時間の差分であるが、特定条件に該当せず、画面に表示されないイベント履歴情報におけるイベント発生日時との差分が表示されてもよい。
【0075】
<勤怠管理画面>
図5に示す勤怠管理画面W2は、表示処理部16によって表示される、ユーザの勤務状況を一覧表示するための画面であって、勤務特定条件入力要素W21と、勤務一覧W22と、を含む。なお、本実施形態では、勤怠管理画面W2の表示を行う際には、事前に活動時間特定部14における勤務日ごとの活動開始時間、活動終了時間、活動時間の特定に係る処理が行われる。
【0076】
勤務特定条件入力要素W21は、勤務を特定するための勤務特定条件を入力するための画面要素であって、本実施形態では、部門、ユーザ名/電子メールアドレス、開始日、終了日を含む勤務特定条件を入力する入力欄と、検索ボタンと、を含む。なお、開始日、終了日についてはカレンダーアイコンを押下することで表示されるカレンダーの日付を押下することで開始日又は終了日を入力することができる。本実施形態では、ユーザ名と電子メールアドレスに関する条件を入力するための入力欄において、文字列が入力されると、その文字列をユーザ名やメールアドレスの一部又は全部として含むユーザが特定処理部12により特定され、そのユーザの勤務日についての情報が勤務一覧W22に表示される。
【0077】
勤務一覧W22は、勤務の状況を表示するための一覧であって、それぞれの勤務日について、日付、ユーザの部門、ユーザの職種及びユーザ名を含むユーザ情報、活動時間、開始時間の差分(活動開始時間と勤務開始申告時間の差分)、終了時間の差分(活動終了時間と勤務終了申告時間の差分)、活動時間特定部14により特定された活動開始時間及び活動終了時間、取得部11が取得した勤務開始申告時間及び勤務終了申告時間を表示させる。
【0078】
また、勤務特定条件入力要素W21において、勤務特定条件が入力され、検索ボタンが押下されると、特定処理部12は、勤務特定条件に該当する勤務日を特定する。表示処理部16は、特定処理部12により特定された勤務特定条件に該当する勤務日を勤務一覧W22に表示させる。
【0079】
<ダッシュボード画面>
図6及び7を用いて、指標算出部15が算出した活動指標に基づいて、表示処理部16により表示されるダッシュボード画面の画面表示例について説明を行う。ダッシュボード画面は、指標算出部15により算出された活動指標に基づくグラフ及び表を表示するための画面である。なお、
図6におけるダッシュボード画面W3は、作業者等のユーザ端末2に表示され、特定のユーザの活動指標について表示する画面であって、
図7に示すダッシュボード画面W3’は、管理者等のユーザ端末2に表示される、複数のユーザの詳細な活動指標が確認できる画面である。なお、
図6及び7における画面の表示はあくまで例であって、例えば、図に示す例とは異なる活動指標を利用したグラフや一覧等が表示されてもよい。
【0080】
図6におけるダッシュボード画面W3は、条件入力要素W31と、レーダーチャート表示領域W32と、部門傾向表示領域W33と、時系列チャート表示領域W34と、を含む。
【0081】
条件入力要素W31は、ダッシュボードの表示に利用されるイベント履歴情報を特定するための条件(特定条件)を入力するための画面要素であって、本実施形態では、開始日、終了日、キーワード、開始時間を含む各種条件を入力するための入力要素と、検索ボタンと、を含む。条件入力要素W31において条件が入力された後、検索ボタンが押下されると、特定処理部12が、条件入力要素W31において入力された特定条件に該当するイベント履歴情報を特定し、指標算出部15が、特定処理部12において特定された条件入力要素W31において入力された特定条件に該当するイベント履歴情報を利用して活動指標を算出する。なお、本実施形態では、指標算出部15は、開始日が指定された場合、その開始日以降に発生したイベントに関するイベント履歴情報を利用して活動指標を算出するなど、条件入力要素W31において入力された条件に該当するイベント履歴情報を利用して活動指標を算出する。また、検索ボタンが押下されると、表示処理部16は、条件入力要素W31におい入力された条件に該当するイベント履歴情報を利用して指標算出部15により算出された活動指標に基づくダッシュボード画面W3を表示させる。
【0082】
レーダーチャート表示領域W32は、複数の活動指標を示すレーダーチャートを表示するための領域である。
図6に示す例では、レーダーチャート表示領域W32に表示されるレーダーチャートは、対応速度(1÷対応時間)、メッセージ送信速度(1÷メッセージ返答時間)、メール送信速度(1÷メール返答時間)、Githubへの貢献(ツール種別がGithubであるイベント履歴情報のうち、有益な活動(特定のイベント種別のイベント履歴情報)の数)を含む活動指標についてのグラフである。本実施形態におけるGithubへの貢献は、ツール種別がGithubであるイベント履歴のうち、プルリクエストのマージなど、開発者の活動として有益な活動と判断できるイベント種別のイベント履歴情報の数である。このように、指標算出部15は、ツール種別とイベント種別とに基づいて特定のツールに係る特定のイベントの件数を活動指標として算出する。また、指標算出部15は、ステータス特定部が特定したイベントのステータスに基づいて、活動指標を算出してもよい。
【0083】
部門傾向表示領域W33は、部門ごとの活動量を表示するための表示領域である。
図6に示す例では、部門ごとに活動量の棒グラフが表示される。なお、棒グラフは、ツール種別ごとの活動量(能動的なイベントに関するイベント履歴情報の数)を表示する。本実施形態における部門傾向表示領域W33は、ツール種別がGithub、チャットツール、メールであるイベント履歴情報の数に関する棒グラフを示している。なお、
図6に示す例では、ツール種別ごとに、特定のイベント種別のイベント履歴情報の数(例えば、イベント種別がチャットの送信であるイベント履歴情報の数)を活動指標として表示している。また、
図6に示す例では、活動量を示すグラフにおいて、メールの返信数を活動量として示しているが、メールの送信数(ツール種別がメールアプリケーションであり、かつイベント種別がメール送信であるイベント履歴情報の件数)を示すグラフを表示してもよい。
【0084】
時系列チャート表示領域W34は、時系列ごとの活動量を表示するためのグラフを表示するための領域である。
図6に示す例では、時系列チャート表示領域W34に表示されるグラフは、日毎の活動量を示す折れ線グラフである。
【0085】
図6に示すダッシュボード画面W3は、特定のユーザの活動指標を表示するための画面であるが、特定の部門に所属するユーザなど、条件入力要素W31において入力された条件に該当する複数のユーザのイベント履歴情報に基づく活動指標を表示するための画面であってもよい。
【0086】
また、
図7におけるダッシュボード画面W3’は、条件入力要素W31と、部門傾向表示領域W33と、パフォーマンスチャート表示領域W35と、活動一覧W36と、を含む。
【0087】
パフォーマンスチャート表示領域W35は、ユーザごとの活動指標の値を表示するためのグラフである。
図6に示す例では、パフォーマンスチャート表示領域W35に示すパフォーマンスチャートは、メッセージの平均応答速度(1÷メッセージの平均返答時間)と、平均所要時間と、が横軸と縦軸に設定されたグラフである。また、それぞれのユーザの活動指標に基づいて点がプロットされる位置にはそれぞれのユーザのアイコンが表示されるが、更にユーザ名が表示されてもよい。
【0088】
活動一覧W36は、特定の期間におけるユーザごとの活動の履歴を表示するための一覧であって、期間と、ユーザの部門、職種、ユーザ名を含むユーザ情報と、平均返答時間、平均所要時間、総活動量、平均活動量、メールの送信数、メールの未返信数を含む、指標算出部15が算出した活動指標を表示させる。
【符号の説明】
【0089】
0 履歴管理システム
1 履歴管理装置
11 取得部
12 特定処理部
13 ステータス特定部
14 活動時間特定部
15 指標算出部
16 表示処理部
101 処理部
102 記憶部
103 通信部
2 ユーザ端末
3 ツール提供システム
31 ツール提供装置
4 ネットワーク
【要約】
【課題】
ユーザ個人の利用するウェブツールの履歴を取得してユーザの業務の状況を示す履歴管理システムを提供することを課題とする。
【解決手段】
履歴管理システムであって、
ユーザが利用する複数のウェブツールのクレデンシャルをユーザ情報と関連付けて記憶する記憶部と、
前記ユーザ情報と関連付けられた前記クレデンシャルに基づいて、複数のツールより前記ユーザのツールよりイベント履歴情報を取得する取得部と、
取得した前記イベント履歴情報に基づいて、履歴を表示させる表示処理部と、
を備え、
前記イベント履歴情報は、前記ユーザの作業により発生した能動的なイベントを含むイベントの履歴に関する情報である、
履歴管理システム。
【選択図】
図1