IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アシュフォードジャパン株式会社の特許一覧

特許7603358積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法
<>
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図1
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図2
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図3
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図4
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図5
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図6
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図7
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図8
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図9
  • 特許-積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/20 20060101AFI20241213BHJP
   E04F 13/02 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
B32B37/20
E04F13/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024178472
(22)【出願日】2024-10-10
【審査請求日】2024-10-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598160889
【氏名又は名称】AFJ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(72)【発明者】
【氏名】小川 久
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-92104(JP,A)
【文献】特許第7350393(JP,B1)
【文献】特開2005-161585(JP,A)
【文献】特開平11-268485(JP,A)
【文献】特開2003-213883(JP,A)
【文献】特開2007-162236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
E04F 13/00-13/30
B65H 35/00-47/00
B43L 19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層テープ作製用治具であって、
本体カバーと蓋体カバーとで構成されており、かつテープ引き出し口を有する筐体と、
該本体カバー内に並列して配置された、第1の基材層および第1の粘着層を有する第1のテープから構成される第1のテープロール、および第2の基材層および第2の粘着層を有する第2のテープから構成される第2のテープロールと、
を備え、
該本体カバー内に、該第1のテープロールを回転可能な状態に保持する第1の支柱と、該第2のテープロールを回転可能な状態に保持する第2の支柱とが並列して配置されており、そして
該第1のテープロールおよび該第2のテープロールが、該第1のテープロールから引き出された第1のテープ上に該第2のテープロールから引き出された第2のテープが貼着するように配置されている、治具。
【請求項2】
前記第1のテープ上への前記第2のテープの貼着が、前記本体カバー内に設けられた積層ガイドによって強化される、請求項1に記載の積層テープ作製用治具。
【請求項3】
前記蓋体カバーが透明な材料で構成されている、請求項1に記載の積層テープ作製用治具。
【請求項4】
前記第1のテープにおける前記第1の基材層と、前記第2のテープにおける前記第2の基材層とがそれぞれ独立して繊維性材料の絡合体から構成されている、請求項1に記載の積層テープ作製用治具。
【請求項5】
前記第2のテープにおける前記第2の粘着層が弱粘着性接着剤で構成されている、請求項1に記載の積層テープ作製用治具。
【請求項6】
前記積層テープが目地模様形成用積層体である、請求項1に記載の積層テープ作製用治具。
【請求項7】
積層テープの製造方法であって、請求項1から6のいずれかに記載の積層テープ作製用治具の前記テープ引き出し口から、前記第1のテープと前記第2のテープを一緒に引き出す工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート、セメント、石膏、石材などのカルシウム系無機質部材は、常に風化、コケなどによる汚染、あるいは老朽化による摩耗、ひび割れ、剥離などの経年劣化の問題を抱えており、様々な補修技術が確立かつ提案されている。
【0003】
これに対し、近年では、例えばシラノール基またはシラノール基に変換可能な基を有する樹脂と水溶性珪酸アルカリ化合物とケイ砂または炭酸カルシウムとの混合物から構成される表面改質用組成物が開発されている(特許文献1)。こうした表面改質用組成物は、当該カルシウム系無機質部材に対して厚みのある塗膜を提供することにより、上記経年劣化に対する補修に加え、カルシウム無機質部材に新たな意匠性を付与することもできる。
【0004】
一方、カルシウム系無機質部材を建築物等の所定の位置に配置するにあたり、互いに隣接する部材の間に平行または交差する直線等で構成される多数の目地が設けられることがある。目地は木板や木質ボードの配置にも設けられることがある。こうした目地は、部材の接合部分の目隠しとして機能するとともに配置された平面全体に新たな意匠性を付与できるという役割を果たす。
【0005】
しかし、一般に部材上に塗膜を設けつつ所定の目地を設けるには煩雑な作業が必要とされている。例えば、目地部分を避けながら塗膜を形成し、目地部分にはコーキング材などの別の材料を別途配置することが求められるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-084439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、カルシウム系無機質部材などの種々の部材に対して、塗膜間に簡便に目地様模様を形成することのできる、積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、積層テープ作製用治具であって、
本体カバーと蓋体カバーとで構成されており、かつテープ引き出し口を有する筐体と、
該本体カバー内に並列して配置された、第1の基材層および第1の粘着層を有する第1のテープから構成される第1のテープロール、および第2の基材層および第2の粘着層を有する第2のテープから構成される第2のテープロールと、
を備え、
該本体カバー内に、該第1のテープロールを回転可能な状態に保持する第1の支柱と、該第2のテープロールを回転可能な状態に保持する第2の支柱とが並列して配置されており、そして
該第1のテープロールおよび該第2のテープロールが、該第1のテープロールから引き出された第1のテープ上に該第2のテープロールから引き出された第2のテープが貼着するように配置されている、治具である。
【0009】
1つの実施形態では、上記第1のテープ上への上記第2のテープの貼着は、上記本体カバー内に設けられた積層ガイドによって強化される。
【0010】
1つの実施形態では、上記蓋体カバーは透明な材料で構成されている。
【0011】
1つの実施形態では、上記第1のテープにおける上記第1の基材層と、上記第2のテープにおける上記第2の基材層とはそれぞれ独立して繊維性材料の絡合体から構成されている。
【0012】
1つの実施形態では、上記第2のテープにおける上記第2の粘着層は弱粘着性接着剤で構成されている。
【0013】
1つの実施形態では、上記積層テープは目地模様形成用積層体である。
【0014】
本発明はまた、積層テープの製造方法であって、上記積層テープ作製用治具の上記テープ引き出し口から、上記第1のテープと上記第2のテープを一緒に引き出す工程を含む、方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カルシウム系無機質部材などの種々の部材に対して塗膜間に所望の目地様模様を簡便に形成することができる。本発明では、目地様模様の形成のためのカッター入れ(溝切り)や、コーキング材の配置および乾燥を特に必要とせず、コーキング材を使用する場合と比較して施工時間を短縮することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の積層テープ作製用治具の一例を示す当該治具の平面図である。
図2図1に示す積層テープ作製用治具の分解斜視図である。
図3図1に示す積層テープ作製用治具のA-A方向断面図である。
図4】(a)は図1に示す積層テープ作製用治具を構成する第1のテープロールの一例を示す当該テープロールの平面図であり、(b)は図1に示す積層テープ作製用治具を構成する第2のテープロールの一例を示す当該テープロールの平面図である。
図5図1に示す積層テープ作製用治具から得られた積層テープを使用して目地様模様を有する塗工部材を作製する手順を説明するための図である。
図6図1に示す積層テープ作製用治具から得られた積層テープを使用して目地様模様を有する塗工部材を作製する手順を説明するための図であって、図5の(a)~(d)に対応する断面図である。
図7図5の(a)~(d)を通じて作製された塗工部材を用いて現れる目地様模様の一例を説明するための図である。
図8】本発明の積層テープ作製用治具の他の例を示す当該治具の分解斜視図である。
図9】本発明の積層テープ作製用治具のさらに別の例を示す当該治具の分解斜視図である。
図10図8および図9にそれぞれ示す積層テープ作製用治具を用いてカルシウム系無機質部材上に配置された積層テープの例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を、添付の図面を参照して説明する。なお、以下のすべての図面に共通して同様の参照番号を付した構成は、他の図面に示したものと同様である。
【0018】
(1)積層テープ作製用治具
図1に示すように、本発明の積層テープ作製用治具100は、筐体110、第1のテープロール120、第2のテープロール130、第1の支柱140、および第2の支柱150を備える。
【0019】
(筐体)
図2は、図1に示す積層テープ作製用治具100の分解斜視図である。
【0020】
図2において、筐体110は、本体カバー112および蓋体カバー114を備える。本体カバー112および蓋体カバー114はいずれも内側が窪んだ形状を有し、例えば嵌合により互いに合わさって1つの筐体110として一体化することができる。一体化した本体カバー112および蓋体カバー114(すなわち、筐体110)は、第1のテープロール120および第2のテープロール130を内部に収容することができる。
【0021】
本体カバー112および蓋体カバー114は、プラスチック、金属、木材、複合系材料などの所定の強度を有する材料で構成されている。
【0022】
プラスチックの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂;およびエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;ならびにそれらの組み合わせ;が挙げられる。
【0023】
金属の例としては、鋼(スチール)、工具鋼、炭素鋼、含鉄合金、ステンレススチールなどの鉄鋼類;アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、チタン、銅、これらを含む合金などの非鉄金属類;ならびにそれらの組み合わせ;が挙げられる。
【0024】
複合系材料の例としては、繊維強化プラスチック(FRP)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミック(FRC)、および金属基複合材(MMC)、木質系樹脂組成物(例えば木粉含有樹脂組成物)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
本発明においては、例えば、筐体110内の第1のテープロール120および第2のテープロール130の残量を適宜目視により容易に確認することができるとの理由から、蓋体カバー114が透明な材料(例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂)で構成されている。本発明においては、本体カバー112および蓋体カバー114のいずれか一方、またはそれらの両方が当該透明な材料で構成されていてもよい。あるいは、本体カバー112および蓋体カバー114の少なくとも一方に設けられた小窓部分(図示せず)に当該透明な材料を配置してもよい。
【0026】
本体カバー112および蓋体カバー114の大きさは特に限定されない。例えば、図3に示すように、本体カバー112および蓋体カバー114が内部に第1のテープロール120および第2のテープロール130を収容した際に、本体カバー112と蓋体カバー114との間で隙間が生じないような十分な高さ(あるいは深さ)を有する。
【0027】
再び図2を参照すると、本体カバー112および蓋体カバー114は、互いに合わさった際に1つのテープ引き出し口160を構成することができるように一部に切欠162,164が設けられている。テープ引き出し口160は、第1のテープロール120および第2のテープロール130を用いて得られた積層テープ170を筐体110の内部から外部に引き出すことができる大きさを有している。テープ引き出し口160には図示しないテープカッターが設けられていてもよい。
【0028】
本発明においては、例えば本体カバー112内に積層ガイド116が設けられていてもよい。積層ガイド116は、適宜湾曲していてもよい長細い形態を有し、第1のテープロール120から引き出された第1のテープ122と、第2のテープロール130から引き出された第2のテープ132との積層による貼着を補助して強化することができる。例えば、図2において、積層ガイド116は本体カバー112内の切欠164の近傍に設けられており、第1のテープロール120から引き出された第1のテープ122および第2のテープロール130から引き出された第2のテープ132は、切欠164の近い側の積層ガイド116の端部に設けられたショルダー部分166で第1のテープ122が近接し、かつ当該ショルダー部分166で第2のテープ132が当接することにより、第1のテープ122と第2のテープ132とが互いに接触し、強固に貼着するように積層されて積層テープ170を形成することができる。
【0029】
なお、図2では、積層ガイド116は本体カバー112内に設けられた例が記載されているが、本発明はこれに限定されない。積層ガイドは、本体カバー112の代わりに蓋体カバー114の内部に設けられていてもよい。あるいは、積層ガイドは、本体カバー112および蓋体カバー114のそれぞれの内部に設けられた凸部を有する構造体が、本体カバー112および蓋体カバー114を互いに合わせることにより当接し、1つの構造体を形成するものであってもよい。
【0030】
(第1のテープロールおよび第2のテープロール)
図2に示す本発明の積層テープ作製用治具100において、第1のテープロール120と第2のテープロール130とは、本体カバー112内に並列して配置されている。
【0031】
図4の(a)は図1に示す積層テープ作製用治具100を構成する第1のテープロール120の一例を示す平面図である。
【0032】
第1のテープロール120は、中心が開口した紙管、プラスチック管などの筒状芯材124の周囲に、例えば略一定の幅を有する長尺のテープ(第1のテープ122)を巻回して構成されている。第1のテープ122の幅は、形成される目地様模様の幅に相当する長さであり、例えば2mm~30mm、好ましくは3mm~15mmである。
【0033】
ここで、本明細書に用いられる用語「目地様模様」とは、2つの部材を隣接して配置した際にその間に形成される目地に擬態した模様(いわゆる目地模様)、および文字、図形、およびその他任意の幾何学的形状の輪郭に沿って、平面に対して凹凸または段差を生じるように高低差が設けられた模様(いわゆる、凹凸模様または段差模様)、ならびにそれらの組み合わせを包含していう。
【0034】
第1のテープ122は、第1の基材層122aおよび第1の粘着層122bを備える。
【0035】
第1の基材層122aは、例えばシート、布帛などの薄い構造物で構成されている。第1の基材層122aは、柔軟かつ伸縮性に富み、最終的に凹凸や角、湾曲面を有する様々な塗工用部材(例えば、カルシウム系無機質部材)に対して、隙間や空隙をほとんど形成することなく貼着することができるとの理由から、繊維性材料の絡合体で構成されていることが好ましい。
【0036】
第1の基材層122aは、例えば、紙(例えば、和紙、クリープ紙)、布(例えば、合成繊維および/または天然繊維で構成される織布、網布、不織布)、ポリエステル(例えば、ポリエステルフィルム、ポリエステルシート)、ポリプロピレン(例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリプロピレンシート)、ポリ塩化ビニル(例えば、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニルシート)、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム、PTFEシート、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)フィルム、PFAシート、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)フィルム、FEPシート、シリコーン樹脂(例えばシリコーンフィルム、シリコーンシート)および金属箔(例えば、アルミニウムテープ、銅箔、金箔)などの材料で構成されている。
【0037】
第1の基材層122aの厚みは特に限定されず、当業者によって適切な厚みが選択され得る。
【0038】
第1の粘着層122bは塗工用部材に対して接着可能な粘着性接着剤で構成される層であり、当該塗工用部材に対して強粘着性または弱粘着性のいずれの性質を有するものであってもよい。
【0039】
第1の粘着層122bを構成し得る接着剤としては、特に限定されないが、例えば合成系接着剤、天然系接着剤およびそれらの組み合わせが挙げられる。合成系接着剤の具体的な例としては、アクリル樹脂系接着剤、α-オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エチレン-酢酸ビニル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、ニトロセルロース系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリスチレン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤、ポリビニルブチラール樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤、およびゴム系接着剤(例えば、クロロプレンゴム系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム系接着剤、およびニトリルゴム系接着剤)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。天然接着剤の具体的な例としては、カゼイン接着剤、ゴム系接着剤(例えば、天然ゴム系接着剤および天然ゴムラテックス接着剤)、デンプン接着剤、膠、および松脂、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
第1の粘着層122bの厚みは特に限定されず、当業者によって適切な厚みが選択され得る。
【0041】
第1のテープ122は、第1の基材層122aと第1の粘着層122bとの間には図示しない他の中間層を含んでいてもよい。中間層は、例えば、紙、布、金属メッシュ、合成樹脂などの材料で構成されており、好ましくは上記第1の基材層122aを構成する材料とは異なる材料が使用され得る。
【0042】
図4の(a)において、第1のテープ122は、第1の粘着層122bが第1の基材層122aよりも内側に(すなわち、第1のテープ122中、第1の粘着層122bが第1の基材層122aよりも筒状芯材124側に配置されるように)積層されている。
【0043】
しかし、本発明において、第1のテープ122を構成する第1の基材層122aと第1の粘着層122bとの積層順序はこれに特に限定されない。例えば、第1のテープ122において、第1の基材層が第1の粘着層よりも内側に(すなわち、第1のテープ122中、第1の基材層が第1の粘着層よりも筒状芯材側に配置されるように)積層されていてもよい(以下、このような積層順序を有する第1のテープを「逆巻きの第1のテープ」という)。
【0044】
なお、本発明において逆巻きの第1のテープを用いる場合は、後述の逆巻きの第2のテープとセットにして使用することが必要である。その場合、図1における第1のテープ120と第2のテープ130との配置順序を入れ替える(すなわち、筐体110中、テープ引き出し口160の近位側に第2のテープ130を配置し、かつ当該テープ引き出し口160の遠位側に第1のテープ120を配置する)ことに留意すべきである。
【0045】
図4の(b)は図1に示す積層テープ作製用治具100を構成する第2のテープロール130の一例を示す平面図である。
【0046】
第2のテープロール130は、中心が開口した紙管、プラスチック管などの筒状芯材134の周囲に、例えば略一定の幅を有する長尺のテープ(第2のテープ132)を巻回して構成されている。第2のテープ132の幅は、上記第1のテープ122の幅と略同一になるように設計されている。
【0047】
第2のテープ132は、第2の基材層132aおよび第2の粘着層132bを備える。
【0048】
第2の基材層132aは、例えばシート、布帛などの薄い構造物で構成されている。第2の基材層132aは、柔軟かつ伸縮性に富み、上記第1の基材層122aに追随して第2のテープ132と第1のテープ122との間に隙間や空隙をほとんど形成することなく両者を積層することができるとの理由から、繊維性材料の絡合体で構成されていることが好ましい。
【0049】
第2の基材層132aを構成する材料は、上記第1の基材層122aを構成する材料として例示したものと同様である。1つの積層テープ作製用治具において、第2の基材層132aを構成する材料と、上記第1の基材層122aを構成する材料とは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0050】
第2の基材層132aの厚みは特に限定されず、当業者によって適切な厚みが選択され得る。
【0051】
第2の粘着層132bは第1のテープロール120(例えば、第1の基材層122a)から剥離可能な粘着性接着剤で構成される層であり、例えば第1のテープロール120の第1の基材層122aに対して弱粘着性の性質を有するもの(すなわち、弱粘着性接着剤層)で構成されている。
【0052】
第2の粘着層132bを構成し得る接着剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤(例えば、クロロプレンゴム系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、天然ゴム系接着剤および天然ゴムラテックス接着剤)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
第2の粘着層132bの厚みは特に限定されず、当業者によって適切な厚みが選択され得る。
【0054】
第2のテープ132は、第2の基材層132aと第2の粘着層132bとの間には図示しない他の中間層を含んでいてもよい。中間層は、例えば、紙、布、金属メッシュ、合成樹脂などの材料で構成されており、好ましくは上記第2の基材層132aを構成する材料とは異なる材料が使用され得る。
【0055】
図4の(b)において、第2のテープ132は、第2の粘着層132bが第2の基材層132aよりも内側に(すなわち、第2のテープ132中、第2の粘着層132bが第2の基材層132aよりも筒状芯材134側に配置されるように)積層されている。
【0056】
しかし、本発明において、第2のテープ132を構成する第2の基材層132aと第2の粘着層132bとの積層順序はこれに特に限定されない。例えば、第2のテープ132において、第2の基材層が第2の粘着層よりも内側に(すなわち、第2のテープ132中、第2の基材層が第2の粘着層よりも筒状芯材側に配置されるように)積層されていてもよい(このような積層順序を有する第2のテープを「逆巻きの第2のテープ」という)。
【0057】
なお、上述したように、本発明において逆巻きの第2のテープを用いる場合は、逆巻きの第1のテープとセットにして使用することが必要である。さらに上述したように、その場の、図1における第1のテープ120と第2のテープ130との配置順序を入れ替えることに留意すべきである。
【0058】
さらに、本発明において、第1のテープロール120を構成する第1のテープ122および第2のテープロール130を構成する第2のテープ132はいずれも市販のマスキングテープ類であってもよい。特に本発明においては、第1のテープ122からの剥離を容易に行うことができるという理由から、第2のテープ132はマスキングテープ類であることが好ましい。
【0059】
マスキングテープ類は、形態の観点から言えば、例えば、細長いテープ状のもの(例えばマスキングテープ)、ならびに文字、記号、その他幾何学的形状、ならびにそれらの組み合わせからなるもの(例えばマスキングシールおよびラベル)が包含される。
【0060】
本発明において、マスキングテープ類は、例えば塗装用マスキングテープ類および装飾用マスキングテープ類のいずれであってもよい。
【0061】
塗装用マスキングテープ類には、塗装やシーリング作業に用いられるマスキングテープが挙げられ、養生テープとも呼ばれる。塗装用マスキングテープ類には、例えば基材層に和紙や合成樹脂を使用し、粘着層にゴム系接着剤やアクリル系接着剤を使用したものがある。
【0062】
装飾用マスキングテープ類には、様々な模様や色彩を印刷し、従来のマスキングとは異なる目的で使用される装飾目的のテープ、シールおよびラベルが挙げられる。装飾用マスキングテープ類には、例えば基材層に和紙を使用し、粘着層にゴム系接着剤やアクリル系接着剤を使用したものがある。
【0063】
再び図2を参照すると、本発明においては、第1のテープロール120を構成する第1のテープ122および第2のテープロール130を構成する第2のテープ132として、塗装用マスキングテープ類および装飾用マスキングテープ類のいずれをも使用することができる。
【0064】
例えば、マスキングテープ類としてマスキングテープを使用する場合について説明すると、本発明では、第1のテープ122として装飾用マスキングテープを使用し、その上に第2のテープ132として塗装用マスキングテープを配置してもよい。
【0065】
図2に示す本発明の積層テープ作製用治具100では、筐体110内に2つのテープロール(すなわち、第1のテープロール120および第2のテープロール130)が配置される場合について説明したが、本発明に使用され得るテープロールの数はこれに限定されない。
【0066】
例えば、第1のテープロールおよび第2のテープロールとともに、図示しない第3のテープロールが筐体110内に並列して配置されていてもよい。その場合、第3のテープロールを構成する第3のテープ(図示せず)は、第1のテープロールを構成する第1のテープおよび第2のテープロールを構成する第2のテープとともに筐体内で積層され、3重の積層テープとして筐体の外に排出することができる。
【0067】
(第1の支柱および第2の支柱)
図2に示すように、本発明の積層テープ作製用治具100において、第1の支柱140および第2の支柱150は本体カバー112内に並列して配置されている。
【0068】
第1の支柱140および第2の支柱150はそれぞれ本体カバー112の内側に突出する円柱状の外観を有し、本体カバー112の内側に固定されているか、当業者に公知の手段(例えばベアリング)を用いてそれら自体が本体カバー112内で回転可能となるように配置されている。
【0069】
第1の支柱140が本体カバー112の内側に固定されている場合、当該第1の支柱140の外径は、第1のテープロール120を構成する筒状芯材124の開口部の直径よりも小さく設計されている。これにより、第1の支柱140に第1のテープロール120が配置された状態で、第1のテープロール120から第1のテープ122が引き出されると、この引き出しに追随して第1のテープロール120は、第1の支柱140の周りを回転することができる。
【0070】
同様に、第2の支柱150が本体カバー112の内側に固定されている場合、当該第2の支柱150の外径は、第2のテープロール130を構成する筒状芯材134の開口部の直径よりも小さく設計されている。これにより、第2の支柱150に第2のテープロール130が配置された状態で、第2のテープロール130から第2のテープ132が引き出されると、この引き出しに追随して第2のテープロール130は、第2の支柱150の周りを回転することができる。
【0071】
あるいは、第1の支柱140が本体カバー112内で回転可能となるように配置されている場合、当該第1の支柱140の外径は、第1のテープロール120を構成する筒状芯材124の開口部の直径と略同一となるように設計されている。これにより、第1の支柱140に第1のテープロール120が配置された状態で、第1のテープロール120から第1のテープ122が引き出されると、この引き出しに追随して第1のテープロール120は第1の支柱140とともに回転することができる。
【0072】
同様に、第2の支柱150が本体カバー112内で回転可能となるように配置されている場合、当該第2の支柱150の外径は、第2のテープロール130を構成する筒状芯材134の開口部の直径と略同一となるように設計されている。これにより、第2の支柱150に第2のテープロール130が配置された状態で、第2のテープロール130から第2のテープ132が引き出されると、この引き出しに追随して第2のテープロール130は第2の支柱150とともに回転することができる。
【0073】
このように第1の支柱140および第2の支柱150は、本体カバー112を通じて筐体110内で、第1のテープ122および第2のテープ132のそれぞれの引き出しに対応して、第1の支柱140および第2の支柱150のそれぞれを軸中心として、第1のテープロール120および第2のテープロール130の個々の独立した回転を可能にすることができる。
【0074】
なお、第1の支柱140および第2の支柱150のそれぞれの高さは、特に限定されず、筐体110内に収容され得る任意の高さを有する。
【0075】
(積層テープの製造方法)
図1において、本発明の積層テープ作製用治具100では、筐体110のテープ引き出し口160から第1のテープロール120を構成する第1のテープ122と、第2のテープロール130を構成する第2のテープ132とが一緒に引き出される。この引き出しによって、筐体110内で第1のテープロール120および第2のテープロール130がそれぞれ、第1の支柱140および第2の支柱150を軸中心として回転する。そして筐体110内で第1のテープロール120および第2のテープロール130からそれぞれ新たな第1のテープ122および第2のテープ132が引き出されることになる。
【0076】
ここで、筐体110では、第2のテープロール130から引き出された第2のテープ132が、例えば、積層ガイド116のショルダー部分166と当接する際に第1のテープロール120から引き出された第1のテープ122と接触し、第1のテープ122と第2のテープ132とが貼着されて積層テープ170が形成される。その後、積層テープ170の必要な長さが筐体110のテープ引き出し口160から引き出される。
【0077】
得られた積層テープ170は、例えば目地模様形成用積層体として塗工部材のような部材に対して目地模様を形成するために使用される。
【0078】
(目地様模様を有する塗工部材の作製方法)
次に、本発明の積層テープ作製用治具から得られた積層テープを使用して目地様模様を有する塗工部材を作製する方法の一例を、図面を用いて説明する。なお、以下では図1に示す積層テープ170を目地様模様形成用積層体として使用する場合について図5および図6を用いて説明する。
【0079】
本発明においては、まず図5の(a)に示すように塗工用部材210に上記積層テープ170が配置される。
【0080】
塗工用部材は、目地様模様の形成が所望される部材であり、例えば板状、柱状、円盤状、その他の立体的形状のいずれであってもよい。塗工用部材の例としては、コンクリート、セメント、石膏、石材、人工スレート(単にスレートと呼ぶことがある)などのカルシウム系無機質部材;タイル、ブロック、石膏または木質ボード、床材(例えば木製、石材製、合成樹脂製のいずれをも包含する)、ガラス板、合成樹脂板(例えば、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、ポリ塩化ビニル製、ポリスチレン製、ABS(アクリトニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂製のいずれをも包含する)、木製または金属製の柱類、門扉、外壁材、内壁材などの建築用の外装材および内装材;自動車、列車、船舶、航空機などの乗物用の外装材および内装材;冷蔵庫、洗濯機、テレビ、電子レンジなどの家庭用電化製品の筐体;滑り台、ジャングルジムなどの遊具;自動車おもちゃ、ミニハウスおもちゃ(例えばドールハウス)などの玩具;などが挙げられる。塗工用部材には、シーラーやフィラーなどのプライマー、錆止め剤、その他の当業者に公知の下塗り塗料が予め付与されていてもよい。
【0081】
塗工用部材210への積層テープ170の配置は、積層テープ170を構成する第1テープの第1の粘着層を塗工用部材210と貼り合わせることにより行われる。その際、積層テープ170は、本発明の積層テープ作製用治具から所定の長さを引き出して予め切断したものを使用してもよく、あるいは本発明の積層テープ作製用治具から積層テープ170を引き出しながら塗工用部材210と貼り合わせ、その後積層テープ作製用治具から積層テープ170を切断してもよい。例えば、塗工用部材210が平板状のタイルである場合、積層テープ170は、塗工用部材210の平面212から突出した状態で配置される(図6の(a))。
【0082】
次いで、図5の(b)に示すように、塗工用部材210の積層テープ170の配置面側に塗膜220が形成される。
【0083】
塗膜220は、例えば塗工用部材210に配置した積層テープ170と略同じ高さとなるように設けられてもよい(図6の(b))が、本発明における塗膜の配置はこれに限定されない。例えば、塗膜の表面が積層体の表面よりも低くなるように配置されてもよく、あるいは塗膜の表面が積層体の表面よりも高くなるように(例えば積層体を覆うように)に配置されてもよい。
【0084】
このような塗膜220を形成し得る塗料の種類は特に限定されないが、厚塗りまたは適度な膜厚を形成し得る塗料であることが好ましい。このような厚塗りまたは適度な膜厚を形成し得る塗料の例としては、アクリル系塗料、スチレン-アクリル系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗料、およびホビー用塗料(例えば、ラッカーやエナメル塗料)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、特許文献1に記載されるような表面改質用組成物が塗料として用いられてもよい。
【0085】
その後、図5の(c)に示すように、塗膜220から積層テープ170の第2のテープ132が分離される。
【0086】
具体的には、塗膜220が形成された後、積層テープ170の第1のテープ122を塗工用部材210に配置した状態で、第2のテープ132がゆっくりと剥離される。
【0087】
例えば、図6の(b)のように塗膜220が積層テープ170の第2のテープ132の最上面と略同じ高さとなるように形成された場合、この第2のテープ132の剥離によって、塗工用部材210上に残った第1のテープ122の最上面と塗膜220の最上面とは、剥離した第2のテープ132の厚みに相当する高さの相違を生じる(図6の(c))。また、第1のテープ122の最上面には、当該第1のテープ122を構成する第1の基材層122aが現われる。
【0088】
これにより、塗工用部材210の表面には、塗膜220と、剥離した第2のテープ132の厚みに相当する深さの目地224が形成され(図6の(c))、当該目地224が模様(目地様模様)となって図5の(d)に示すように塗工用部材210の表面に現われる。
【0089】
一方、塗膜が積層テープ170を覆って形成された場合には、第2のテープ132の剥離によって、残存する塗膜表面と第2テープ132の剥離により現れる第1テープ122の構成面との間に当該第2テープ132の厚み以上に相当する高さの相違が生じる。このように積層テープ170に対し、塗膜をどのように形成するかによって、残存する塗膜表面と第1テープ122の構成面との間の高さを変動させることができる。
【0090】
その後、塗膜220および目地224には、所望の光沢を提供しかつ表面保護の目的で必要に応じて当業者に公知のクリア塗料が付与され、クリアコート層230が付与されてもよい(図6の(d))。
【0091】
このようにして、目地様模様を有する塗工部材200を作製することができる。
【0092】
上記にて作製された目地様模様を有する塗工部材200は、例えば図7に示すように、その表面に現れた目地224を利用して複数配置される。
【0093】
上記方法では、カッター入れ(溝切り)やコーキング材のような目地形成のための特別な作業および/または材料を使用することなく簡単に塗膜上に目地様模様を形成することができる。
【0094】
なお、上記図5および図6では、目地様模様形成用積層体としてテープ状の積層体を用いる場合について説明したが、本発明は当該実施形態にのみ限定されない。例えば、テープ状の目地様模様形成用積層体に代えて、第1のテープおよび第2のテープとして、文字や記号、その他の任意の幾何学的形状を有する、細長いマスキングシールまたはラベルの積層体を用いた場合、上記塗工部材上には、このマスキングシールまたはラベルの形状(例えば輪郭)に対応する目地様模様(いわゆる、凹凸模様または段差模様)も簡単に作成することができる。さらに第1のテープにおける第1の基材層として装飾用マスキングシールまたはラベルを使用した場合には、当該第1の基材層の装飾用マスキングシールまたはラベルに施された色彩や図形、模様が、当該目地様模様の一部を構成するものとして表面に現れることも可能である。
【0095】
(2)その他の積層テープ作製用治具
図8は、本発明の積層テープ作製用治具の他の例を示す当該治具の分解斜視図である。
【0096】
図8に示す積層テープ作製用治具300は、筐体110を構成する本体カバー112と蓋体カバー114との間に、3つの第1のテープロール320A,320B,320Cと、幅広の第2のテープロール330とがそれぞれ第1の支柱340および第2の支柱350を軸中心として回転可能となるように収容されている。
【0097】
第1のテープロール320A,320B,320Cはそれぞれ、図1に示す第1のテープロール120と同様の材料で構成されており、それぞれの幅は互いに同一であっても異なっていてもよい。第2のテープロール330は、図1に示す第2のテープロール130と同様の材料で構成されている。
【0098】
図8に示す積層テープ作製用治具300では、3つの第1のテープロール320A,320B,320Cを構成する第1のテープ320A,320B,320Cの幅の合計が、第2のテープロール330を構成する第2のテープ332の幅と略同一となるように設計されている。さらに、第1のテープ322A,322B,322Cには各々が独立して任意の色彩、模様、図形等が表示されている。
【0099】
このような構成では、積層テープ作製用治具300のテープ引き出し口160から引き出される積層テープ(図示せず)は、上方に配置される第2のテープ332が下方に配置される3つの第1のテープ322A,322B,322Cを各々並べて配置した状態で、当該第1のテープ322A,322B,322C上に貼着されている。このため、得られた積層テープを例えば、上述の塗工用部材210に貼り付け、第2のテープ332のみをゆっくりと剥離することにより、塗工用部材210の上に3つの第1のテープ322A,322B,322Cが平行に並んだ状態で構成される目地様模様を形成することができる(図10の目地様模様380を参照のこと)。
【0100】
図8に示す実施形態では、3つの第1のテープロール320A,320B,320Cを用いる場合について説明したが、本発明は特にこれに限定されない。第1のテープロールを複数重ねて使用する場合、好ましくは2つ~7つ、より好ましくは2つ~4つのテープロールが重ねて使用され得る。
【0101】
図9は、本発明の積層テープ作製用治具のさらに別の例を示す当該治具の分解斜視図である。
【0102】
図9に示す積層テープ作製用治具400は、筐体110を構成する本体カバー112と蓋体カバー114との間に、3つの第1のテープロール420A,420B,420Cと、幅広の第2のテープロール430とがそれぞれ第1の支柱440および第2の支柱450を軸中心として回転可能となるように収容されている。また、第1のテープロール420Aと420Bとの間には環状のスペーサ460が配置されており、第1のテープロール420Bと420Cとの間には環状のスペーサ470が配置されている。
【0103】
環状のスペーサ460,470は中央に第1の支柱440の直径よりも大きく設計された円形の孔が設けられており、環状のスペーサ460の厚さと環状のスペーサ470の厚さは同一であっても異なっていてもよい。環状のスペーサ460,470はそれぞれ独立して上述のプラスチック、金属、複合系材料などの材料で構成されている。
【0104】
環状のスペーサ460,470は、第1のテープロール420A,420B,420Cにおける第1のテープ422Aと422Bとの間、ならびに第1のテープ422Bと422Cとの間に、当該スペーサ460,470の各厚さに対応する隙間を設けるために使用される。
【0105】
一方、第1のテープロール420A,420B,420Cはそれぞれ、図1に示す第1のテープロール120と同様の材料で構成されており、それぞれの幅は互いに同一であっても異なっていてもよい。第2のテープロール430は、図1に示す第2のテープロール130と同様の材料で構成されている。
【0106】
図9に示す積層テープ作製用治具400では、3つの第1のテープロール420A,420B,420Cを構成する第1のテープ422A,422B,422Cの幅と、環状のスペーサ460,470の幅との合計が、第2のテープロール430を構成する第2のテープ432の幅と略同一となるように設計されている。さらに、第1のテープ422A,422B,422Cには各々が独立して任意の色彩、模様、図形等が表示されている。
【0107】
このような構成では、積層テープ作製用治具400のテープ引き出し口160から引き出される積層テープ(図示せず)は、上方に配置される第2のテープ432が、下方に配置される3つの第1のテープ422A,422B,422Cを、環状スペーサ460,470の厚さに相当する間隔を空けて配置した状態で、当該第1のテープ422A,422B,422C上に貼着されている。このため、得られた積層テープを、例えば上述の塗工用部材210に貼り付け、第2のテープ432のみをゆっくりと剥離することにより、塗工用部材210の上に3つの第1のテープ320A,320B,320Cが間隔452,454を空けて平行に並んだ状態で構成される目地様模様を形成することができる(図10の目地様模様480を参照のこと)。
【0108】
図9に示す実施形態では、3つの第1のテープロール420A,420B,420Cと、2つの環状のスペーサ460,470を用いる場合について説明したが、本発明は特にこれに限定されない。第1のテープロールを複数重ねて使用する場合、好ましくは2つ~7つ、より好ましくは2つ~4つのテープロールが重ねて使用され得る。また、これに対応して好ましくは1つ~6つ、より好ましくは1つ~3つの環状のスペーサが、第1のテープロールの間に挟持された状態で使用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明によれば、例えば、様々な塗工用部材に塗膜を形成する際に所望の形状で構成される目地様模様を形成することができる。あるいは、当該塗膜を形成することなく、所定の基材表面に積層テープを直接貼着することにより、自動車、オートバイ、鉄道列車、船舶などの乗り物や住宅の内壁への装飾等にも使用できる。このように本発明は、建築分野、自動車分野、電気分野などの技術分野において有用である。
【符号の説明】
【0110】
積層テープ作製用治具 100,300,400
筐体 110
本体カバー 112
蓋体カバー 114
積層ガイド 116
第1のテープロール 120,320A,320B,320C,420A,420B,420C
第1のテープ 122,322A,322B,322C,422A,422B,422C
第1の基材層 122a
第1の粘着層 122b
第2のテープロール 130,330,430
第2のテープ 132,332,432
第2の基材層 132a
第2の粘着層 132b
筒状芯材 124,134
第1の支柱 140,340,440
第2の支柱 150,350,450
テープ引き出し口 160
切欠 164
ショルダー部分 166
積層テープ 170
塗工部材 200
塗工用部材 210
塗膜 220
目地 224
クリアコート層 230
目地様模様 380,480
環状のスペーサ 460,470
【要約】
【課題】 カルシウム系無機質部材などの種々の部材に対して、塗膜間に簡便に目地様模様を形成することのできる、積層テープ作製用治具およびそれを用いた積層テープの製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の積層テープ作製用治具は、本体カバーと蓋体カバーとで構成されており、かつテープ引き出し口を有する筐体と、該本体カバー内に並列して配置された、第1の基材層および第1の粘着層を有する第1のテープから構成される第1のテープロール、および第2の基材層および第2の粘着層を有する第2のテープから構成される第2のテープロールとを備える。ここで、本体カバー内に、第1のテープロールを回転可能な状態に保持する第1の支柱と、第2のテープロールを回転可能な状態に保持する第2の支柱とが並列して配置されており、そして第1のテープロールおよび第2のテープロールが、第1のテープロールから引き出された第1のテープ上に第2のテープロールから引き出された第2のテープが貼着するように配置されている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10