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特許7603360長尺物巻き付けボビン及び長尺物装填方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】長尺物巻き付けボビン及び長尺物装填方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/22 20060101AFI20241213BHJP
   B65H 75/40 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
B65H75/22
B65H75/40 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024553367
(86)(22)【出願日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2024017672
【審査請求日】2024-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2023146017
(32)【優先日】2023-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000134534
【氏名又は名称】株式会社トヨックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 智明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 広大朗
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-085558(JP,U)
【文献】実開昭55-096865(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/22
B65H 75/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱部と第一フランジ部と第二フランジ部を有し、長尺物を、前記円柱部の母線に沿って螺旋となるように、かつ、層状となるように巻き付けるボビンであって、
前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の一方に、前記円柱部の全部又は略全部に等しい部分を成す第一部品が固定されており、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の他方に前記第一部品に挿入可能な第二部品が固定されており、
前記第一部品と前記第二部品の一方は、溝を有し、
前記第一部品と前記第二部品の他方は、前記溝に侵入する凸部を有し、
前記溝は、その始端に前記凸部を侵入させた状態で、前記第二フランジ部を前記第一フランジ部に対し所定方向に回転させると、前記第二部品の前記第一部品に対しての挿入が完了するものであって、かつ
前記溝は、その終端に挿入方向に反する方向に向けて返し部を有する
ことを特徴とする長尺物巻き付けボビン。
【請求項2】
円柱部と第一フランジ部と第二フランジ部を有し、長尺物を、前記円柱部の母線に沿って螺旋となるように、かつ、層状となるように巻き付けるボビンであって、
前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の一方に、前記円柱部の全部又は略全部に等しい部分を成す第一部品が固定されており、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の他方に前記第一部品に挿入可能な第二部品が固定されており、
前記第一部品と前記第二部品の一方は、溝を有し、
前記第一部品と前記第二部品の他方は、前記溝に侵入する凸部を有し、
前記第一部品は、母線方向に対して、複数の同一部材を繰り返して接続させることによって、前記ボビンの幅を異ならせることが可能とされており、
前記溝は、その始端に前記凸部を侵入させた状態で、前記第二フランジ部を前記第一フランジ部に対し所定方向に回転させると、前記第二部品の前記第一部品に対しての挿入が完了する
ことを特徴とする長尺物巻き付けボビン。
【請求項3】
円柱部と第一フランジ部と第二フランジ部を有し、長尺物を、前記円柱部の母線に沿って螺旋となるように、かつ、層状となるように巻き付けるボビンであって、
前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の一方に、前記円柱部の全部又は略全部に等しい部分を成す第一部品が固定されており、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の他方に前記第一部品に挿入可能な第二部品が固定されており、
前記第一部品と前記第二部品の一方は、溝を有し、
前記第一部品と前記第二部品の他方は、前記溝に侵入する凸部を有し、
前記第一部品は、周方向に分割される複数の分割部材から構成されており、
前記溝は、その始端に前記凸部を侵入させた状態で、前記第二フランジ部を前記第一フランジ部に対し所定方向に回転させると、前記第二部品の前記第一部品に対しての挿入が完了する
ことを特徴とする長尺物巻き付けボビン。
【請求項4】
前記溝は、その終端に挿入方向に反する方向に向けて返し部を有する
ことを特徴とする請求項に記載の長尺物巻き付けボビン。
【請求項5】
前記溝は、その終端に挿入方向に反する方向に向けて返し部を有する
ことを特徴とする請求項に記載の長尺物巻き付けボビン。
【請求項6】
前記第一部品と前記第二部品の他方は、前記凸部の前記溝への侵入方向側にリブを有し、
前記リブは、前記第一部品と前記第二部品の他方の内径側に変位可能であり、
前記リブを変位させることにより、前記凸部は前記溝に侵入可能となり、前記リブの変位が解消されることにより、前記凸部は前記返し部において固定される
ことを特徴とする請求項1,4及び5の何れか一項に記載の長尺物巻き付けボビン。
【請求項7】
前記リブは、その高さが前記凸部よりも低く、かつ、前記溝の深さでの下端の高さよりも高い
ことを特徴とする請求項に記載の長尺物巻き付けボビン。
【請求項8】
前記リブは、半円凸形状であり、かつ、上面が傾斜している
ことを特徴とする請求項に記載の長尺物巻き付けボビン。
【請求項9】
前記溝は、母線に対して斜めとなる勾配が略全長に亘って付されている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の長尺物巻き付けボビン。
【請求項10】
円柱部付きボビン部品と、円柱部無しボビン部品と、螺旋状及び層状に巻回され、かつ、結束された長尺物と、を用意する工程、
前記円柱部付きボビン部品の円柱部に、前記長尺物を装填する工程、
前記長尺物が装填された前記円柱部付きボビン部品に対し、前記円柱部無しボビン部品を、両ボビン部品の溝と凸部が対向させるように位置させる工程、
前記溝に前記凸部を侵入させた状態で、前記円柱部付きボビン部品に対して前記円柱部無しボビン部品を周方向に回転させて、前記溝の終端に挿入方向に反する方向に向けて設けられた返し部に前記凸部を侵入させることによって、両ボビンの係合を完了させる工程、
を含むことを特徴とする長尺物装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回されたホースやチューブ、信号線ケーブル等の長尺物を所定長さで引き出して切断して販売するために用いられる長尺物巻き付けボビン及び長尺物装填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メーカーからホームセンターや金物屋等の販売店にホースやチューブ、信号線ケーブル等といった長尺物が配達される際は、例えば紙や木材、プラスチック製のボビンに50m或いは25mの長さ等の定尺とする長尺物が巻かれるようにして届けられるのが一般的である。そして、ボビンは販売店で陳列用棚に回転可能に陳列され、顧客の要望に応じて必要な長さの販売対象の長尺物を引き出し、切断して販売するようになっている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術は、ボビンを交換する際のボビンの設置や交換をスムーズに行うことを可能としている。また、特許文献2には、一対のローラーにボビンを載せて支持させ、ボビンを回転させて、ホースを引き出すようにした陳列用棚が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-165868号公報
【文献】特許第5348637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術において、販売対象の長尺物が全て引き出された際には、空になったボビンは販売店では長尺物を巻き直しする補充は行わずに長尺物が装填されたボビンと交換することになるが、この空のボビンは、メーカーに返却されるか、若しくは、廃棄される必要がある。空のボビンを受け取ったメーカーは、空のボビンの破損状況を確認し再利用可能なものは清掃後に長尺物を巻き付けて、再度、販売店に配送することになる。空のボビンをメーカーに返却することは輸送コストの無駄に繋がるし、破損確認や清掃または廃棄する場合であっても、費用や環境負荷といった問題がある。このことは、特許文献2に記載の技術についても、同様に当て嵌まる。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、巻回される長尺物の交換を販売店が容易に行うことを可能とし、もって、輸送の無駄を省き、破損確認や清掃または廃棄の費用や環境負荷低減を実現することのできる長尺物巻き付けボビン及び長尺物装填方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明は、円柱部と第一フランジ部と第二フランジ部を有し、長尺物を、前記円柱部の母線に沿って螺旋となるように、かつ、層状となるように巻き付けるボビンであって、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の一方に、前記円柱部の全部又は略全部に等しい部分を成す第一部品が固定されており、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の他方に前記第一部品に挿入可能な第二部品が固定されており、前記第一部品と前記第二部品の一方は、溝を有し、前記第一部品と前記第二部品の他方は、前記溝に侵入する凸部を有し、前記溝は、その始端に前記凸部を侵入させた状態で、前記第二フランジ部を前記第一フランジ部に対し所定方向に回転させると、前記第二部品の前記第一部品に対しての挿入が完了するものであって、かつ前記溝は、その終端に挿入方向に反する方向に向けて返し部を有することを特徴とする。
また、このような目的を達成するために本発明は、円柱部付きボビン部品と、円柱部無しボビン部品と、螺旋状及び層状に巻回され、かつ、結束された長尺物と、を用意する工程、前記円柱部付きボビン部品の円柱部に、前記長尺物を装填する工程、前記長尺物が装填された前記円柱部付きボビン部品に対し、前記円柱部無しボビン部品を、両ボビン部品の溝と凸部が対向させるように位置させる工程、前記溝に前記凸部が侵入させた状態で、前記円柱部付きボビン部品に対して前記円柱部無しボビン部品を周方向に回転させて、前記溝の終端に挿入方向に反する方向に向けて設けられた返し部に前記凸部を侵入させることによって、両ボビンの係合を完了させる工程、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンの全体構成を示す説明図であり、図1(a)が左側面図、図1(b)が正面図、図1(c)が斜視図である。
図2】本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンを説明する斜視図であり、図2(a)がホースの巻き付けられた状態のボビンを、図2(b)が空のボビンを、図2(c)が空のボビンに装填されるホースを、それぞれ示している。
図3】本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンを説明する分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態A及びBに係る長尺物巻き付けボビンにつき、その構成部品を説明する図であり、図4(a)が実施形態Aとその構成部品を、図4(b)が実施形態Bとその構成部品を、図4(c)が構成部品の単体を示している。
図5】本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンにおいて、第二部品が第一部品に取付けられる際の作用機序を説明する図である。
図6】本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンにおいて、空のボビンにホースを装填する際の作業の流れを説明する写真図である。
図7】本発明の実施形態C及びDを理解するために、第一部品のみを示した説明図である。
図8】本発明の実施形態Eに係る長尺物巻き付けボビンにつき、その構成部品とともに説明する図であり、図8(a)が構成部品の単体を示す図であり、図8(b)が第二部品が第一部品に取付けられる前の段階を示す図であり、図8(c)が図8(b)のP部分の拡大図である。
図9】本発明の実施形態Eに係る長尺物巻き付けボビンにつき、第二部品が第一部品に取付けられた様子を説明する図であり、図9(a)が取付完了の状態を示す図であり、図9(b)が図9(a)のR部分の拡大図であり、図9(c)が図9(a)のR部分での内径側に向かう断面図である。
図10】本発明の実施形態Eに係る長尺物巻き付けボビンにつき、第二部品を第一部品から取り外すための操作を説明する図であり、図10(a)が取外しのための最初の操作がされた状態を示す図であり、図10(b)が図10(a)のT部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。特に、一つの図において、部分拡大図でなくとも、部品によって、異なる縮尺とされている場合がある。
<実施形態A>
(ボビン全体の構成)
本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンは、巻回されたホースを所定長さで引き出して切断して販売するために用いられるホース用ボビンであって、ホースが全て引き出されて空となった場合に、販売店等において、ホースを装填できるようにしたボビンである。
【0009】
図1は、本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンの全体構成を示す説明図であり、図1(a)が左側面図、図1(b)が正面図、図1(c)が斜視図である。図2は、本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンを説明する斜視図であり、図2(a)がホースの巻き付けられた状態のボビンを、図2(b)が空のボビンを、図2(c)が空のボビンに装填されるホースを、それぞれ示している。図3は、本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビンを説明する分解斜視図である。
【0010】
本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビン100は、図1及び図3に示されるように、円柱部と2つのフランジから構成されるものである。具体的な構造として、第一フランジ部1に第一部品11が固定されており、第二フランジ部2に第二部品21が固定されている。第二部品21は、第一部品11に挿入可能となっており、挿入がされた際、第一部品11と第二部品21はボビンの円柱部を構成することになる。第一部品11は、軸方向に2分割、周方向に4分割された8つのパーツが組付けられたものである。第二部品21も4つのパーツが組付けられたものである。ただし、分割する/しないの別や分割数は任意に設定し得るものである。
【0011】
第一フランジ部1と第二フランジ部2、第一部品11と第二部品21の構成部品は、例えば熱可塑性樹脂から成るポリオレフィン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール樹脂、ビニル系樹脂やアルミニウム等の軽量の金属製部品、紙、木材などで形成できるが、堅牢な部材であれば任意の材質のものを採用できる。構成上表面に種々の凹凸部分が形成される必要があることから、熱可塑性樹脂では射出成形により製造される。しかし、鋳造やプレス加工、切削加工など凹凸部分の加工を行うことができれば、他の材料の採用が妨げられるものではない。また、部品毎に材質を替え組み合せたり、複合されるものであっても良い。具体的には熱可塑性樹脂が適しており、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(ABS)、アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体(AES)、ポリアセタール、硬質ポリ塩化ビニル、が好ましく、より好ましくはポリプロピレンが適している。
【0012】
図2(a)に示されるホースHの装填されたボビン100は、顧客の要望に応じて必要な長さのホースHが引き出され、切断されて販売されるため、やがて、図2(b)に示されるように、空のボビン100となる。この後、従前は、ホース装填済みのボビンと交換していたのであるが、図3(c)に示されるように、ホースHだけが、メーカーや卸売店等から配送され、このホースHを、販売店において、空のボビン100に装填できるように構成されている。このための構造的特徴について、説明する。
【0013】
第一部品11は、第一部品表面111と、溝112と、返し部113を有している。第二部品21は、外側表面211と、凸部212と、挿入側表面213を有している。第二部品21の第一部品11への挿入が完了した際、第一部品表面111と外側表面211とは、略同面となり、共に、ボビン100の円柱部表面を担うことになる。
【0014】
図3に示されるように、第一部品表面111が円柱部の略全部を構成し、第二部品21の多くの領域を占める挿入側表面213は第一部品11に覆われることになる。しかし、第二部品21の外側表面211も円柱部の表面を僅かに構成することにはなる。ただし、第二部品21の全部が第一部品11に挿入される態様、すなわち、第一部品表面111が円柱部表面の全部を成す態様となるように構成しても良い。
【0015】
第一部品11の溝112は、第二部品21の凸部212を侵入させるために平行な間隔に形成されたものである。実施形態Aにおいて、溝112は、フランジの面に沿った方向に対して、14度±2度の勾配を有する斜め形状とされており、周方向における25度±2度となる長さに設定されている。このことから、凸部212が溝112に侵入するように、第一部品11に第二部品21を合わせながら、順方向(侵入が進む方向)へ回転させることによって、自然に第一部品11への第二部品21の挿入が進行して、やがて挿入が完了するようにされている。なお、操作者の目線では、円柱部の付いたフランジに、円柱部の付いていないフランジを合わせるような感覚での操作となる。なお、図示での凸部212の形状は円柱状であるが、溝112に侵入できればよく形状は限られるものではない。
【0016】
溝112の終端には、挿入方向に反する方向に向けて切り返す形状での返し部113が設けられている。このため、第二部品21を第一部品11に対して25度回転させて凸部212が溝112の終端まで達した状態で、ボビン100の幅方向に開く力が生じた場合には、凸部212が返し部113に侵入することになる。この状態になると、逆方向(侵入が後退する方向)へ回転させようとしても、それが妨げられることになる。図1(b)等に示される空のボビン100では、幅方向に開く力が自然に生じることはないものの、図2(a)に示されるホースHがフルに装填されている状態であれば、ホースHが広がろうとする力が、ボビン100を開かせようとする力として働くことになる。なお、図示での返し部113の形状は略半円状の溝であるが、ボビン100を開かせる作用があればよく形状は限られるものではない。
【0017】
先に、第一部品11は、8つのパーツが組付けられたものであると述べたが、そのことについて説明する。図4は、本発明の実施形態A及びBに係る長尺物巻き付けボビン100につき、その構成部品を説明する図であり、図4(a)が実施形態Aとその構成部品を、図4(b)が実施形態Bとその構成部品を、図4(c)、図4(d)及び図4(e)が構成部品の単体を示している。第一部品11を構成するパーツの説明は、実施形態Bを用いた方が分かり易いので、先に、実施形態Bを参考にして説明する。
【0018】
図4(a)と図4(b)を比べると分かるように、実施形態Bは、実施形態Aの半分の幅のボビンである。実施形態Bに係る長尺物巻き付けボビン100は、第一部品11が周方向に4分割される4つのパーツで構成されている。それぞれのパーツは同一部材であり、図4(c)に示されるように、それぞれに溝112が設けられている。すなわち、第一部品11には、4つの溝112が具備されることになる。
【0019】
また、第二部品21も第一部品11と同様に周方向に4分割される4つのパーツで構成されている。それぞれのパーツは同一部材であり、図4(d)に示されるように、それぞれに凸部212が設けられている。すなわち、第二部品21も第一部品11と同様に、4つの凸部212が具備されることになる。
【0020】
実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビン100は、実施形態Bにおける第一部品11が円柱部の母線方向に2組連結した構成のものである。ただし、2組の連結は、図4(a)に示されるように、周方向に22.5度ずらした状態とされている。すなわち、図4(c)に示されるように、一方の係合爪114が、当該係合爪114から周方向に22.5度離間した位置に配置されている他方の係合孔115に嵌入させられることによって、係合がなされる。このようにして、実施形態Aにおいては、8つの溝112が具備されることになるが、このうち、第二部品21の凸部212との係り合いに寄与するのは4つだけである。第一フランジ部1への連結は、第一部品11の一方の係合爪114が第一フランジ部1の係合孔FHに嵌入させられることによって、係合がなされる(図4(e)も参照)。このようにして、図3に示されるように、4つの溝112が具備されることになる。
第二フランジ部2の連結は、図4(d)に示されるように、第二部品21の一方の係合爪214は第二フランジ部2の係合孔FHに嵌入させられることによって、係合がなされる(図4(e)も参照)。このようにして、図3に示されるように、4つの凸部212が具備されることになる。
なお、本実施形態において、第一フランジ部1と第二フランジ部2は、共通部品であり、それぞれに設けられる係合孔FHも同一形状のものであって、第一部品11の係合爪114と第二部品21の係合爪214も同一の形状とされている。しかし、第一フランジ部1と第一部品11との係合態様と、第二フランジ部2と第二部品21の係合態様とを異なるように構成しても良い。
【0021】
第一部品11と第二部品21の組み立ては、係合爪を係合孔に嵌入する工程を周方向に隣り合う順序で行い、隣り合う部品は係止手段を用いて例えば弾性を有する係止爪と掛け部の係止方法により互いに篏合され容易に外れないように構成されている。この係合手段は、ビスやピン、接着など互いに固定が達成できれば、他の方法の採用が妨げられるものではない。
第一フランジ部1と第二フランジ部2の係合孔FHは外径方向に向け複数の周回に配列され、この各周回の配列径に応じた第一部品11と第二部品21を準備することで第一部品表面111と第二部品21の外側表面211からなる円柱部を構成することが可能である。これにより、外径の大きい又は硬度のある長尺物を大きな曲げ半径で巻くことにより、折れや潰れを防止または軽減する効果が期待できる。
【0022】
このように、第一部品11が分割構成とされていること、特に、母線方向に繰り返して連結できるように構成されていることから、幅の異なる複数種類のボビンを用意することが可能となる。ホースはアイテムによってサイズや重量が異なり定尺も異なる。ホースのサイズに応じる巻き長さ(定尺)や重量を勘案しボビンの幅を変えボビンのフランジ外径にホースが収まる様に選択する。
販売対象となるホースには、様々な種類のホースがあり、売れ筋商品と然程でもないが一部の顧客にとっては必要な商品というものも存在する。第一部品11をパーツ化することによって、商品毎の事情に応じたボビンを用意することができ、便利である。
【0023】
(ホースの補充・交換の仕方)
ホースが全て引き出されて空となった場合に、販売店等において、ホースをどのように装填するかにつき、説明する。補充ないし交換操作につき述べる前に、まず、本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビン100を構成する2部材が、どのように取付けられるかについての作用機序について述べる。
【0024】
図5は、本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビン100において、第二部品21が第一部品11に取付けられる際の作用機序を説明する図である。図5(a)では、第二部品21の凸部212が第一部品11の縁に突き当てられており、第二部品21の挿入側表面213が視認できる状態となっている。この状態で、第二部品21を紙面右方向に僅かに回転させて、第二部品21の凸部212が、第一部品11の溝112の入口に向き合うようにすると、凸部212が溝112に侵入できるようになる。この状態で、第二部品21を少し押し込んだ後に、紙面左方向に回転させていくと、凸部212の溝112への侵入が進行し、それに伴って、第二部品21の第一部品11への挿入も進行することになる。
【0025】
図5(b)は、凸部212が溝112の終端まで侵入した状態を示したものである。この状態で、ボビンを、幅方向(円柱の母線方向)へ広げようとする力が働けば、凸部212は返し部113に侵入することになる。そして、図5(c)に示されるように、凸部212が返し部113に一旦侵入したならば、第二部品21を紙面右方向に回転させることは、もはやできなくなる。
【0026】
図5からは、第二部品21の紙面左方向への回転により、第二部品21の第一部品11への挿入が自然に進行することを理解することができる。一方で、ボビンを幅方向へ広げる力は、図5のような空のボビンについて、自然に発生することはない。しかしながら、ボビンに対して、螺旋状かつ層状に巻回されたホースが装填されている際には、ホースに自身が広がろうとする力が発生するため、図5(c)の状態は自然に発生することになる。
【0027】
このことにつき、図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態Aに係る長尺物巻き付けボビン100において、空のボビンにホースを装填する際の作業の流れを説明する写真図である。
【0028】
先ず、Aに示すように、ホースと円柱部付きのボビン部品(第一フランジ部1に第一部品11が取り付けられた部材)を用意する。ホースは、図2(c)に描かれたものと同じ長尺物巻き付けボビン100の円柱部外径を略内径としフランジ外周を略外径となるように螺旋状且つ層状に梱包される状態のものであるが、輸送時や保管時にホースが崩れ落ちないようにするために、最内径部分に紙製の中芯が嵌めこまれていると共に、樹脂等からなる結束帯により、中芯を含めた状態で、数箇所(図6では三箇所)が結束されている。
【0029】
次に、Bに示すように、円柱部付きのボビン部品(第一フランジ部1に第一部品11が取り付けられた部材)にホースを落とし込むようにし、結束帯を切断して、ホースの結束帯による結束を解除する(不図示)。また、円柱部の付いていないボビン部品(第二フランジ部2に第二部品21が取り付けられた部材)を用意する。
【0030】
最後に、Cに示すように、円柱部付きのボビン部品に対して、円柱部無しのボビン部品を挿入する。挿入のさせ方は、先に説明したように、第二フランジ部2を回転させることによって、凸部212と溝112が対向することになって、一旦、凸部212が溝112に侵入したならば、第二フランジ部2に少し力をかけつつ、回転を続ければ、第二部品21の第一部品11への挿入も進行し、やがて完了する。すなわち、挿入部を目視により確認しなくても、操作する際の手などでの感覚だけで、挿入操作を完了させることが可能となる。そして、挿入が完了した後は、返し部113が凸部212に作用することにより、逆方向へ回転することはない。なお、結束帯の切断は、第二フランジ2を定位置に組み付け後であっても作用は同じである。また、結束帯を切断することで荷が解けホースが広がる力が付勢してボビン部品同士を開かせる力となる。
【0031】
元より、ホースは、引き出して計測され販売されることから、ホースの引出方向と凸部212の溝112への侵入方向は同一方向となるように設定されている。しかし、引き出し過ぎたホースを戻すために、逆に回転させるという状況が、発生することがある。そのような場合には、返し部113と凸部212とが、回転抑止手段として有効に機能することになる。もし、当該機能が備えられていなければ、凸部212の溝112からの脱落を防止するための特別な手段や、そのための操作が求められることになる。特に、第一フランジ1と第二フランジ2の外周を一対のローラーに載せ支持させホースを引き出す際にボビンが回転する陳列用棚(特許第5348637号アンダーローラー什器)においてはボビン回転での部品同士の外れを防止できる効果は大きい。
なお、ホースが全て引き出されて、ボビンが空となった後は、円柱部付きのボビン部品に対し円柱部無しのボビン部品を押し込めば、凸部212が返し部113から外れる。その状態で逆方向へ回転させれば、円柱部無しのボビン部品を外すことができる。
【0032】
<実施形態B>
本発明の実施形態Bに係る長尺物巻き付けボビン100は、巻回されたホースを所定長さで引き出して切断して販売するために用いられるホース用ボビンであって、ホースが全て引き出されて空となった場合に、販売店等において、ホースを装填できるようにしたボビンであるが、実施形態Aの半分の幅のボビンである。すなわち、既に説明した図4(b)に示されるボビンである。
【0033】
ホースはアイテムによってサイズや重量が異なり定尺も異なる。ホースのサイズに応じる巻き長さ(定尺)や重量を勘案しボビンの幅を変えボビンのフランジ外径にホースが収まる様に選択する。半分の幅のボビンは設定された売り場スペースで多くの種類を陳列することができる。
また、売れ筋商品がある一方で、頻繁には売れない商品もある。しかし、そのような商品であっても、一部の顧客にとっては必要な商品という場合がある。また、ホースの品揃えを豊富にしておくことは、顧客吸引力の観点から望ましいことであるところ、売れ筋の商品は、幅の広いボビンに装填し、そうではない商品は幅の狭いボビンに装填し、スペースを確保して、多くの種類のホースを揃えて展示販売できることは、便利であること、この上ない。この点において、実施形態Aと実施形態Bを、併用して用いることのできる本発明は、従来のホース用ボビンに比して、有利である。
【0034】
<実施形態C及びD>
本発明の実施形態C及びDに係る長尺物巻き付けボビン100は、巻回されたホースを所定長さで引き出して切断して販売するために用いられるホース用ボビンであって、ホースが全て引き出されて空となった場合に、販売店等において、ホースを装填できるようにしたボビンであるが、実施形態Aや実施形態Bとは、溝の形状が異なるものである。
【0035】
図7は、本発明の実施形態C及びDを理解するために、第一部品のみを示した説明図であり、図7(a)は、実施形態Cの溝を、図7(b)は、実施形態Dの溝を、示したものである。また、参考として、図7(c)には、実施形態A又はBの溝を示している。なお、各図面は、部品の正面図、或いは、展開図に近いものであるが、飽くまで、説明のために用意したものである。したがって、係合爪や係合孔など、一部の要素については捨象されて描かれている。
【0036】
実施形態Cは、図7(a)に示すように、実施形態AやBとは異なり、母線に対して斜めとなる勾配を有していない形状となる。回転により、第二部品が自然に第一部品へ挿入されるというメリットはなくなるが、実施形態Cの形状であっても、最初に深く押し込み挿入して突き当りを感じたら回転させることで、操作を行うことが可能となる。すなわち、実施形態Cであっても、巻回される長尺物の交換を販売店が容易に行うことを可能とするという課題は、十分に達成されるものである。なお、実施形態Cも返し部は有しているため、返し部と凸部との協働作用により、逆方向への回転が防止されるという効果は奏せられる。
【0037】
実施形態Dは、図7(b)に示すように、実施形態A~Cとは異なり、返し部を有していない形状であり、かつ、周方向の分割数は4つではなく、2つとなっている。このため、溝の長さが長いものとされている。最初は、回転操作により、第二部品の第一部品への挿入が進行するが、途中からは、挿入度合いは変わらず、単に、回転だけが続くことになる。返し部は有していないものの、ホースが広がろうとする力が第二部材を第一部材に押し付ける力として働くことにはなるため、その摩擦によって、逆方向の回転は困難なものとはなる。万が一、逆回転が若干許容されたとしても、溝の長さが長いため、引き出し過ぎたホースを戻すために、逆回転させたとしても凸部が溝から抜けるまでには至らない。そして、再び、ホースを引き出す方向へと順回転させれば、溝に対する凸部の侵入は再び深い状態となる。すなわち、実施形態Dであっても、巻回される長尺物の交換を販売店が容易に行うことを可能とするという課題は、十分に達成されるものである。
【0038】
<実施形態E>
本発明の実施形態Eに係る長尺物巻き付けボビン100は、巻回されたホースを所定長さで引き出して切断して販売するために用いられるホース用ボビンであって、ホースが全て引き出されて空となった場合に、販売店等において、ホースを装填できるようにしたボビンである。これまで説明した実施形態A~Cは、返し部を有しており、返し部と凸部との協働作用により、逆方向への回転が防止され、第二部品の第一部品からの脱落防止が図れるように構成されているものであったが、実施形態Eは、脱落防止を一層推し進めたものである。
【0039】
長尺物を補充した際に、第二フランジ部の第二部品が第一フランジ部の第一部品へ完全に嵌合していない状態、すなわち、凸部が返し部に十分に侵入していない状態では、第二フランジ部が第一フランジ部に対して逆方向に回転を始め、やがて、脱落してしまう虞があった。また、第二部品の第一部品への嵌合が完全に完了した後であっても、何らかの原因で、第二フランジ部に対して母線方向内側への押圧力が生じたような場合には、凸部が返し部から退出し、そのまま溝部の斜め部分に侵入してしまうことがあり、第二フランジ部は逆回転をし始め、やがて、第一フランジ部から脱落してしまう虞があった。そこで、実施形態Eでは、凸部の返し部への確実な侵入状態が維持され、不用意に凸部が返し部から退出してしまうことが生じない工夫がされている。
【0040】
図8は、本発明の実施形態Eに係る長尺物巻き付けボビンにつき、その構成部品とともに説明する図であり、図8(a)が構成部品の単体を示す図であり、図8(b)が第二部品が第一部品に取付けられる前の段階を示す図であり、図8(c)が図8(b)のP部分の拡大図である。図9は、本発明の実施形態Eに係る長尺物巻き付けボビンにつき、第二部品が第一部品に取付けられた様子を説明する図であり、図9(a)が取付完了の状態を示す図であり、図9(b)が図9(a)のR部分の拡大図であり、図9(c)が図9(a)のR部分での内径側に向かう断面図である。図10は、本発明の実施形態Eに係る長尺物巻き付けボビンにつき、第二部品を第一部品から取り外すための操作を説明する図であり、図10(a)が取外しのための最初の操作がされた状態を示す図であり、図10(b)が図10(a)のT部分の拡大図である。
【0041】
実施形態Eにおいて、第二フランジ部の第二部品21’は、外側表面211と、凸部212と、挿入側表面213を有している。ここまでの構成は、実施形態A~Cと同じである。実施形態Eは、さらに、リブ215を有している。リブ215は、内径側に向かって変位可能であり、凸部212を第一フランジ部の返し部113で固定する機能を果たす。
【0042】
図8(a)に示すように、リブ215は、凸部212に対して母線に沿った内側に設けられている。凸部212とリブ215が配置される両側には、図示されるように切込みが設けられているため、リブ215は内径側に変位することが可能である。
【0043】
図8(b)及び図8(c)に示すように、凸部212を第一部品の溝112に侵入させようとしても、凸部212とリブ215を合わせた幅は溝112の幅よりも大きく、かつ、リブ215は溝112の深さでの下端の高さよりも高いため、凸部212は溝212内に侵入できない。しかし、リブ215は、その高さが凸部212よりも低くされており、かつ、リブ215は、半円凸形状であり、かつ、上面が傾斜しているため、多少の力を加えて押し込めば、リブ215は変位して第一部品の下側に潜り込むことになる。そうすると、凸部212は溝112に侵入することができるようになる。
【0044】
この状態から、第二部品21’を回転させていくと、凸部212の溝112への侵入が進行し、それに伴って、第二部品21’の第一部品11への挿入も進行することになる。図9(a)及び図9(b)は、凸部212を溝112の終端まで侵入させた後、第二フランジ部を母線方向外側に向けて引き上げて、凸部212を返し部113に侵入させた状態を示している。第二フランジの引き上げは、変位しているリブ215が復帰しようとする力も加わるため、楽に行うことができる。そして、凸部212が返し部に侵入した時は、リブ215の変位は解消されているため、図9(c)の断面図が示すように、凸部212とリブ215は、返し部113の位置でしっかりと固定されることになる。
【0045】
ホースが全て引き出されて、ボビンが空となった後は、第二フランジ部を母線方向内側に押し込めば、図10(a)及び図10(b)に示すように、リブ215は変位して第一部品の下側に再び潜り込み、凸部212が返し部113から外れる。その状態で逆方向へ回転させれば、円柱部無しのボビン部品を外すことが可能となる。
【0046】
このように、リブ215を備える実施形態Eにおいて、ボビン装着の完了後に、リブ215の変位が解消することで、第二フランジは第一フランジに完全に固定されることになる。また、リブ215の変位が解消されることを、作業者はクリック感のような手の感覚で判断することが可能であるため、未装着のまま、長尺物巻き付けボビンが使用される事態を確実に防止することができる。さらに、リブ215による固定は、使用中にイレギュラーに発生する応力に十分に対抗することができ、ボビンが不用意に外れてしまう事態を生じさせない。
【0047】
(付記)
上記(ホースの補充・交換の仕方)の項で説明したように、本発明の実施形態に係る長尺物巻き付けボビンに装填するホースとして、輸送や保管に適した態様についても、本発明者らは考案しているので、このような観点で観念することのできるホースの発明(長尺物の発明)や、ホースの保管方法の発明(長尺物の保管方法の発明)についても、以下に、示しておく。
【0048】
(付記1)
ボビン円柱部の母線に沿って螺旋となるように、かつ、層状となるように巻き付けるようにして販売される長尺物であって、ボビン円柱部と同等の長さの中芯に対して巻回された上で、前記長尺物と前記中芯とが、結束手段により一体的に結束されたことを特徴とする長尺物である。
【0049】
(付記2)
中芯と長尺物を用意する工程、前記中芯に前記長尺物を巻回する工程、前記巻回された前記長尺物を結束手段により一体的に結束する工程、を含む長尺物の保管方法。
【0050】
以上、本発明の各実施形態に係る長尺物巻き付けボビンについて、図面を参照して詳述し、その構造について説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更があっても本発明に含まれる。例えば、第一フランジ部1には円柱部を成す第一部品11が固定され溝112を有し、第二フランジ部2には第二部品21が固定され溝112に侵入する凸部212を有し、第二フランジ部2を回転させると第二部品21の第一部品11に対しての挿入が完了する構成で説明したが、第一フランジ部1には円柱部を成す第一部品11が固定され凸部212を有し、第二フランジ部2には一定程度の幅に余裕を持たせた第二部品21が固定され凸部212が侵入する溝112を有し、第二フランジ部を回転させると第二部品21の第一部品11に対しての挿入が完了する、構成であってもよい。
また、第一部品11と第二部品21の周方向の分割の数として、4つと2つの類型につき、説明したが、分割の数は、周方向に3つとしても良い。また、製造上での困難さを克服できるのであれば、分割しない構造であっても良い。そして、長尺物としては、ホースやチューブでなくても、例えば、通信ケーブル等も対象となる。すなわち、ボビンの円柱部の母線に沿って螺旋となるように、かつ、層状となるように巻き付けることによって、保持され、必要な長さだけを引き出して販売される長尺物であれば、あらゆるものが対象となるものである。
【符号の説明】
【0051】
100 長尺物巻き付けボビン(ボヒン)
1 第一フランジ部
11 第一部品
111 第一部品表面
112 溝
113 返し部
2 第二フランジ部
21 第二部品
21’ 第二部品
211 外側表面
212 凸部
213 挿入側表面
214 係合爪
215 リブ
【要約】
巻回される長尺物の交換を販売店が容易に行うことを可能とし、もって、輸送の無駄を省き、廃棄費用や環境負荷低減を実現することのできる長尺物巻き付けボビンを提供することを課題とする。
円柱部と第一フランジ部と第二フランジ部を有し、長尺物を、前記円柱部の母線に沿って螺旋となるように、かつ、層状となるように巻き付けるボビンであって、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の一方に、前記円柱部の全部又は略全部に等しい部分を成す第一部品が固定されており、前記第一フランジ部と前記第二フランジ部の他方に前記第一部品に挿入可能な第二部品が固定されており、前記第一部品と前記第二部品の一方は、溝を有し、前記第一部品と前記第二部品の他方は、前記溝に侵入する凸部を有し、前記溝は、その始端に前記凸部を侵入させた状態で、前記第二フランジ部を前記第一フランジ部に対し所定方向に回転させると、前記第二部品の前記第一部品に対しての挿入が完了することを特徴とする長尺物巻き付けボビンによって、課題を解決した。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10