(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】脱硝装置及びセメントキルン排ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/86 20060101AFI20241213BHJP
B01J 21/06 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
B01D53/86 222
B01D53/86 ZAB
B01J21/06 A
(21)【出願番号】P 2020113575
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】永井 良憲
(72)【発明者】
【氏名】桐山 恒一
(72)【発明者】
【氏名】石崎 昌典
(72)【発明者】
【氏名】烏谷 尚志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和典
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸久
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-115719(JP,A)
【文献】特開2002-095919(JP,A)
【文献】中国実用新案第209348422(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106996572(CN,A)
【文献】中国実用新案第203478209(CN,U)
【文献】国際公開第2014/178337(WO,A1)
【文献】特開2010-046579(JP,A)
【文献】国際公開第2006/073083(WO,A1)
【文献】特開2017-060905(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110075681(CN,A)
【文献】中国実用新案第204438065(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 50/00、
53/34-53/96
F23J 15/00
B01J 21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口ダクト、脱硝反応器および出口ダクトを有し、
窯炉からの排ガスを入口ダクト、脱硝反応器および出口ダクトにこの順で流すことができ、
脱硝反応器は、排ガスがほぼ垂直方向に線速度5~8m/秒にて流れる流路を有し、該流路内にスクリーンプレートと脱硝触媒を含む固定床とが流れ方向に沿ってこの順で設けられており、且つ固定床は目開きが7mm以上であり、
入口ダクトは、入口側に排ガスが上向きに流れる流路を有し、出口側に排ガスが下向きに流れる流路を有し、
上向きに流れる流路の流路断面の面積が前記流れ方向に沿って狭まり、下向きに流れる流路の流路断面の面積が前記流れ方向に沿って拡がり、上向きに流れる流路の下部にホッパが設けられており、且つ下向きに流れる流路に近い側のホッパの縁辺りに堰が設けられており、且つ
入口ダクトおよび/または脱硝反応器においてダストが堆積しやすい箇所に、スートブロワが設けられている、
脱硝装置。
【請求項2】
セメントキルン排ガス中のダストを集塵するための集塵装置と、
セメントキルン排ガス中の窒素酸化物を除去するための請求項1に記載の脱硝装置と
を具備し、
集塵装置および脱硝装置にセメントキルンからの排ガスをこの順で流すことができる、セメントキルン排ガス処理装置。
【請求項3】
セメントキルン排ガス中の窒素酸化物を除去するための請求項1に記載の脱硝装置と、
セメントキルン排ガス中のダストを集塵するための集塵装置と
を具備し、
脱硝装置および集塵装置にセメントキルンからの排ガスをこの順で流すことができる、セメントキルン排ガス処理装置。
【請求項4】
脱硝装置の後流側に排ガスの熱を回収するための排熱回収ボイラをさらに具備する、請求項2または3に記載のセメントキルン排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硝装置及びセメントキルン排ガス処理装置に関する。より具体的に、本発明は、付着性の高いダストを含むガスを排出するセメントプラントなどに適した脱硝装置及びセメントキルン排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントキルンから排出されるガスには、塩化水素、SOx、NOx等の酸性ガスが含まれている。そこで、排ガス中のNOx濃度を低減するために、アンモニアや尿素などの脱硝剤を添加して、排ガスの脱硝が行われている。これは、脱硝剤によりNOx(NO及びNO2)を窒素(N2)と水(H2O)に分解するものである。
【0003】
例えば、特許文献1は、セメントキルンの排ガス中のダストを集塵する集塵装置と、該集塵装置によってダストが集塵された後の排ガスに、発酵処理装置から排出されるアンモニアを含むガスを添加するガス添加装置と、該ガス添加装置によってアンモニアを含むガスが添加された後の排ガスを脱硝する触媒装置とを備えることを特徴とするセメントキルン排ガス処理装置を開示している。
【0004】
特許文献2は、セメントキルン排ガス中のダストを集塵する集塵装置と、該集塵装置を通過したセメントキルン排ガスから触媒被毒物質を除去する触媒被毒物質除去装置と、該触媒被毒物質除去装置を通過したセメントキルン排ガスを予熱する予熱装置と、該予熱装置によって予熱したセメントキルン排ガス中の窒素酸化物、揮発性有機化合物、一酸化炭素、残留性有機汚染物質、炭化水素及び臭気物質から選択される一以上を除去する触媒装置とを備えることを特徴とするセメントキルン排ガス処理装置を開示している。
【0005】
集塵装置を通過した後の排ガスには、ダストが少なからず残っており、それが脱硝装置に堆積することがある。その対策として種々の技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献3は、石炭焚ボイラあるいはセメントキルン排ガスボイラなど排ガス中に多くの灰分を含むボイラにおいて、ボイラ出口から煙突までの煙道の流れのよどみの生じやすい部分や、流速の遅い部分で灰が堆積しやすい箇所に、煙道を貫通させて灰の飛散ノズルを取付け、同ノズルを手動または自動的に回転させる機構を設けて空気の噴射方向を変化させることにより、灰を飛散させることを特徴とする灰飛散ノズル構造を開示している。
【0007】
特許文献4は、アンモニアの存在下に排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒を備えた触媒反応器を排ガスの入口煙道に配置し、該触媒反応器の上流側の水平方向に排ガスが流れる入口煙道領域に複数のアンモニア水注入ノズルを配置した排煙脱硝装置において、アンモニア水注入ノズルの後流部の水平煙道領域の下部壁面上にスートブロワを設置することを特徴とする排煙脱硝装置を開示している。
【0008】
特許文献5は、横方向に延在する排ガスダクト内に、該排ガスダクトの上方から挿入されるアンモニア注入管と、該アンモニア注入管に備えられアンモニア水を噴霧するアンモニア水注入ノズルと、前記アンモニア注入管の排ガスの流れ方向の後流に設けられる脱硝触媒層を有する脱硝装置であって、前記アンモニア注入管の下方の前記排ガスダクトの底面に向けて気体を噴射する気体噴射手段を有することを特徴とする脱硝装置を開示している。
【0009】
特許文献6は、反応器の上端に入口、反応器の下端に排気ポート、および触媒層と入口との間に設けられている灰受槽が設けられており、灰受槽にその一端が連通する灰受入通路が設けられており、灰受入通路の他端は排気ポートと連通しており、灰受入通路の途中にフラップと灰排出口が設けられており、触媒層に圧縮空気ノズルが配置されている、排煙窒素酸化物処理システムを開示している。
【0010】
また、特許文献7は、石炭焚ボイラから排出される排ガス中の窒素酸化物を脱硝装置によって還元する排ガス処理装置であって、略水平方向に延びる水平ダクトと略鉛直方向に延びる垂直ダクトとを有し、前記水平ダクトの前端が前記石炭焚ボイラの排ガス出口に連通し、前記水平ダクトの後端が前記垂直ダクトの下端に連通し、前記石炭焚ボイラから排出される排ガスを前記水平ダクトから前記垂直ダクトの上方へ流通させて前記脱硝装置に導くダクト内空間を区画するダクトと、前記垂直ダクトの下方に設けられ、ホッパ上端開口を介して前記ダクト内空間と連通するホッパと、前記ホッパ上端開口の後端縁から連続して上方に延びて前記ダクト内空間の後方を区画する前記ダクトの後面に固定され、前記後面から前下方へ傾斜して延びる傾斜衝突板と、を備えることを特徴とする排ガス処理装置を開示している。
【0011】
特許文献8は、石炭焚ボイラから排出される排ガス中の窒素酸化物を還元する脱硝触媒を有してなる脱硝装置と、該脱硝装置に前記石炭焚ボイラから前記排ガスを導くダクトとを備え、前記ダクトは、前記ボイラの排ガス出口に接続された水平ダクトと、該水平ダクトに接続された垂直ダクトと、前記水平ダクトと前記垂直ダクトの接続部の下部に設けられたホッパとを有してなる排ガス処理装置において、前記ホッパの上端開口部に、前記排ガス中の灰粒子を衝突させて前記ホッパ内に落下させる衝突板を設けてなることを特徴とする排ガス処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2013-169495号公報
【文献】WO 2006/073083 A1
【文献】特開昭60―57117号号公報
【文献】特開2010-46579号公報
【文献】特開2010―54083号公報
【文献】CN 109731462 A
【文献】特開2019-147142号公報
【文献】特開2016-198701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、付着性の高いダストを含むガスを排出するセメントプラントなどに適
した脱硝装置及びセメントキルン排ガス処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は以下の態様を包含する。
【0015】
〔1〕 入口ダクト、脱硝反応器および出口ダクトを有し、
窯〔キルン〕炉〔ファーネス〕からの排ガスを入口ダクト、脱硝反応器および出口ダクトにこの順で流すことができ、
脱硝反応器は、排ガスがほぼ垂直方向に線速度5~8m/秒にて流れる流路を有し、該流路内にスクリーンプレートと脱硝触媒を含む固定床とが流れ方向に沿ってこの順で設けられており、且つ固定床は目開きが7mm以上であり、
入口ダクトは、入口側に排ガスが上向きに流れる流路を有し、出口側に排ガスが下向きに流れる流路を有し、上向きに流れる流路の流路断面の面積が前記流れ方向に沿って狭まり、下向きに流れる流路の流路断面の面積が前記流れ方向に沿って拡がり、上向きに流れる流路の下部にホッパが設けられており、且つ下向きに流れる流路に近い側のホッパの縁辺りに堰が設けられており、且つ
入口ダクトおよび/または脱硝反応器においてダストが堆積しやすい箇所に、スートブロワが設けられている、
脱硝装置。
【0016】
〔2〕 セメントキルン排ガス中のダストを集塵するための集塵装置と、
セメントキルン排ガス中の窒素酸化物を除去するための〔1〕に記載の脱硝装置と
を具備し、
集塵装置および脱硝装置にセメントキルンからの排ガスをこの順で流すことができる、セメントキルン排ガス処理装置。
〔3〕 セメントキルン排ガス中の窒素酸化物を除去するための〔1〕に記載の脱硝装置と、
セメントキルン排ガス中のダストを集塵するための集塵装置と
を具備し、
脱硝装置および集塵装置にセメントキルンからの排ガスをこの順で流すことができる、セメントキルン排ガス処理装置。
〔4〕 脱硝装置の後流側に排ガスの熱を回収するための排熱回収ボイラをさらに具備する、〔2〕または〔3〕に記載のセメントキルン排ガス処理装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明の脱硝装置およびセメントキルン排ガス処理装置は、付着性の高いダストが堆積などして排ガスの流路を詰まらせることがほとんどないので、高稼働率で運用できる。本発明の脱硝装置およびセメントキルン排ガス処理装置は、メンテナンスが楽であり、ランニングコストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のセメントキルン排ガス処理装置の一例を示す図である。
【
図3】本発明の脱硝装置の別の一例を示す図である。
【
図4】本発明の脱硝装置の別の一例を示す図である。
【
図5】
図4に示した脱硝装置の固定床上方におけるスートブロワの配置を示す図である。
【
図6】本発明の脱硝装置の別の一例を示す図である。
【
図7】
図6に示した脱硝装置の固定床上方におけるスートブロワの配置を示す図である。
【
図8】脱硝装置の固定床上方におけるスートブロワの配置の別の一例を示す図である。
【
図9】脱硝装置の固定床上方におけるスートブロワの配置の別の一例を示す図である。
【
図10】本発明のセメントキルン排ガス処理装置の別の一例を示す図である。
【
図11】本発明のセメントキルン排ガス処理装置の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施形態によって本発明の範囲は制限されない。
【0020】
本発明の脱硝装置は、入口ダクト2、脱硝反応器1および出口ダクト3を有し、入口ダクト、脱硝反応器および出口ダクトに窯炉〔キルンkilnまたはファーネスfurnace)からの排ガスGをこの順で流すことができる。
入口ダクト、脱硝反応器および出口ダクトは、ガス流れ方向から見た流路断面の形状が、矩形、台形、円形、楕円形などであることができる。これらのうち、加工の易しさの点で矩形が好ましい。
【0021】
入口ダクト2は、入口側に排ガスが上向きに流れる流路を有し、出口側に排ガスが下向きに流れる流路を有する。上向きに流れる流路と下向きに流れる流路との間には、実際上、水平に流れる流路があるが、水平に流れる流路を構成する壁は、
図2に示すように上向きに流れる流路を構成する上向きの壁と下向きに流れる流路を構成する下向きの壁とが直接につながったものであってもよいし、
図3に示すように上向きの壁と下向きの壁との間に水平な壁がつながったものであってもよい。入口ダクト2の出口は、脱硝反応器1の入口に接続されている。
【0022】
上向きに流れる流路と下向きに流れる流路との間にある流路の断面の面積は上向きに流れる流路断面の面積より小さい。上向きに流れる流路と下向きに流れる流路との間にある流路の断面の面積は下向きに流れる流路断面の面積より小さいことがさらに好ましい。例えば、上向きに流れる流路の流路断面の面積が流れ方向に沿って狭まり、下向きに流れる流路の流路断面の面積が流れ方向に沿って拡がるようにしてもよい。その結果、上向きに流れる流路と下向きに流れる流路との間にある流路では線流速が高まり、ダストの沈降を抑制することができる。
【0023】
上向きに流れる流路は、その下部にホッパ16が設けられている。ホッパ16によって上向きに流れる流路の断面の面積が広くなり、排ガスの線流速が低くなるので、ダストがホッパに沈降しやすくなる。さらに、下向きに流れる流路に近い側のホッパの縁辺りに堰15を設けている。この堰15によって、排ガスの流れに渦を生じさせてホッパにダストが落ちやすくするとともに、ホッパにて取り除き損ねたダストが下向きに流れる流路の側に溢れ出ることを防ぐことができる。
【0024】
上向きに流れる流路の手前に水平に流れる流路が必要に応じてさらにあってもよい。上向きに流れる流路の手前に在る水平に流れる流路は、セメントキルンやボイラなどからの排ガスを上向きに流れる流路に導き入れるためのものである。
【0025】
脱硝反応器1は、排ガスがほぼ垂直方向に流れる流路を有する。脱硝反応器は、排ガスが、線速度で、4~8m/秒にて流れるように、流路断面の面積が設定されている。
脱硝反応器の出口は、通常、出口ダクトの入口に接続されている。
【0026】
脱硝反応器の流路内にスクリーンプレート13と脱硝触媒を含む固定床12とが流れ方向に沿ってこの順で設けられている。
【0027】
スクリーンプレート13は、通常、脱硝反応器の入口側に設けられる。脱硝反応器の入口側にスクリーンプレートを支える構造物、例えば、脱硝反応器内に渡されたビームなどを設置することができる。スクリーンプレート支持構造物によってスクリーンプレートを脱硝反応器内で支える。
【0028】
スクリーンプレートは、好ましくは複数の羽板を含んでなるものである。複数の羽板は、通常、主面どうしが相互に平行になるように配置される。複数の羽板のそのような配置を固定するために、各羽板の主面に直交する方向に沿って線材または板材(クロス部材)が各羽板に接合され、格子を成していてもよい。また、複数の羽板の両端に外枠材(エンド部材)を設けてもよい。
スクリーンプレートは、脱硝反応器の流路の入口側に、流路断面の全部に亘って、羽板の長手が入口ダクトにおける水平なガス流れ方向に実質的に直交するようにスクリーンプレートを設置することが好ましい。
【0029】
触媒固定床12は、通常、脱硝反応器の出口側に設けられる。脱硝反応器の出口側に触媒固定床を支える構造物、例えば、脱硝反応器内に渡されたビームなどを設置することができる。触媒固定床支持構造物によって触媒固定床を脱硝反応器内で支える。触媒固定床は、
図2においては単数段設けているだけだが、必要に応じて複数段設けてもよい。
【0030】
脱硝反応器に設けられた固定床は、格子状、コルゲート状、ハニカム状、プレート状などの形を成した触媒体を装填して成る。触媒体は、脱硝触媒の活性成分を含む。脱硝触媒の活性成分としては、チタンの酸化物、モリブデンおよび/またはタングステンの酸化物、ならびにバナジウムの酸化物を含有して成るもの(チタン系触媒); CuやFeなどの金属が担持されたゼオライトなどのアルミノケイ酸塩を主に含有して成るもの(ゼオライト系触媒); チタン系触媒とゼオライト系触媒とを混合して成るものなどを挙げることができる。
【0031】
固定床は、目開きが、7mm以上、好ましくは10mm以上である。目開きの上限は、好ましくは20mmである。目開きは、格子状、コルゲート状、またはハニカム状の形を成した触媒体においては、それらの目の大きさであり、プレート状の形を成した触媒体においては、プレート間の隙間の大きさである。
【0032】
入口ダクトおよび/または脱硝反応器においてダストが堆積しやすい箇所に、スートブロワ14が設けられている。
スートブロワは、噴射媒体を吹き付けて、付着したダストを吹き飛ばすものである。噴射媒体としては、例えば、水、水蒸気、圧縮空気(若しくは圧力波)などが用いられる。ランスと呼ばれる管にノズルが設置されていて、そのノズルから噴射媒体が噴出する。ランスの動作によって、往復動式スートブロワ、定置式スートブロワ、長抜差式スートブロワ、回転式スートブロワなどと呼ばれることがある。ランスの長さおよび形ならびにノズルの数は、入口ダクトおよび/または脱硝反応器における流路の大きさに応じて適宜設定できる。
【0033】
スートブロワの設置場所のひとつとしては、入口ダクトの上向きに流れる流路と下向きに流れる流路との間にある流路を挙げることができる。ここには、アンモニアや尿素などの脱硝剤の注入装置を設けることがあるので、注入装置とスートブロワとを一体化したものを設置してもよい(例えば、特許文献4、5など参照)。
【0034】
スートブロワの設置場所の別のひとつとしては、脱硝反応器にあるスクリーンプレートまたは固定床のガス流入側を挙げることができる。スクリーンプレートまたは固定床のガス流入側にはダストが付着しやすい。スートブロワは、脱硝反応器内に、例えば、
図5、7、8または9に示すように配置することができる。ダストの堆積しやすい場所(具体的には、壁際、水平部など)に、ランス若しくはノズルを高密度で配置することが好ましい。また、
図7に示すように、ランスの長手が入口ダクトにおける水平なガス流れ方向に実質的に直交するようにスートブロワを設置することが好ましい。さらに、
図9に示すように、ソニックホーン17を併用することもできる。
【0035】
本発明の脱硝装置においては、入口ダクトに設けた、ホッパ、堰およびスートブロワによって、排ガスからダストを効果的に取り除くことができる。本発明の脱硝装置においては、脱硝反応器に設けたスクリーンプレートおよび固定床にダストが堆積し難い。その結果、ダストの堆積による脱硝率の低下を抑制できる。
【0036】
本発明のセメントキルン排ガス処理装置は、集塵装置5と脱硝装置とを具備する。集塵装置5は、
図1に示すように脱硝装置の前流側に設けてもよいし、
図11に示すように脱硝装置の後流側に設けてもよい。脱硝装置の後流側に設けることができる集塵装置は低温ガス用の電気集塵機であることができる。低温ガス用の電気集塵機は、高温ガス用の電気集塵機に比べて設備費が安価である。
【0037】
また、本発明のセメントキルン排ガス処理装置は、排熱回収ボイラをさらに具備することが好ましい。排熱回収ボイラ18は脱硝装置の前流側に設けてもよいし、
図11に示すように脱硝装置の後流側に設けてもよい。排熱回収ボイラ18と集塵装置5は
図11に示す順で配置してもよいし、その逆の順で配置してもよい。排熱回収ボイラによって熱を有効利用することができる。ボイラで生成したスチームはスートブロワの噴射媒体として使用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1:脱硝反応器
2:入口ダクト
3:出口ダクト
4:脱硝剤添加装置
5:集塵装置
6:セメント原料
7:仮焼炉
8:セメントキルン
9:クリンカクーラ
10:煙突
11:プレヒータ
12:触媒固定床
13:スクリーンプレート
14:スートブロワ
15:堰
16:ホッパ
17:ソニックホーン(Sonic Horn)
18:排熱回収ボイラ
G:排ガス