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特許7603414無線通信システム、無線通信装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/76 20060101AFI20241213BHJP
   H04W 12/06 20210101ALI20241213BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20241213BHJP
【FI】
G01S13/76
H04W12/06
H04W4/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020181430
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072139
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-172851(JP,A)
【文献】特開2016-012918(JP,A)
【文献】特開2019-105881(JP,A)
【文献】特開2019-109846(JP,A)
【文献】特表2021-528922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0162321(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0332598(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
H04W 4/00-99/00
B60R 25/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う第1の無線通信装置および少なくとも1つの第2の無線通信装置、を備え、
前記第1の無線通信装置および前記第2の無線通信装置は、前記無線信号の送受信に基づく測距を複数回実施し、
複数回実施される前記測距において送受信される前記無線信号の各々は、互いに異なるセキュア情報を含み、
前記互いに異なるセキュア情報の各々は、前記測距の実施回数を示す情報を含む、
無線通信システム。
【請求項2】
複数の前記第2の無線通信装置を備え、
複数の前記第2の無線通信装置の各々は、互いに異なるセキュア情報が含まれる前記無線信号の送受信を行う、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1の無線通信装置は、ユーザにより携帯され、
前記第2の無線通信装置は、移動体に搭載される、
請求項1または請求項2のうちいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記規定の通信規格は、超広帯域無線通信を含む、
請求項1から請求項3までのうちいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
他の通信装置との間において規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う無線通信部と、
前記無線通信部による前記無線信号の送受信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記無線信号の送受信に基づく測距の複数回の実施を制御し、複数回実施される前記測距において互いに異なるセキュア情報が含まれる前記無線信号を前記無線通信部に送信させ、
複数回実施される前記測距において前記無線通信部が受信する前記無線信号は、互いに異なるセキュア情報を含み、
前記互いに異なるセキュア情報の各々は、前記測距の実施回数を示す情報を含む、
無線通信装置。
【請求項6】
他の通信装置との間において規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う無線通信部と、
前記無線通信部による前記無線信号の送受信を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記無線信号の送受信に基づく測距の複数回の実施を制御し、前記無線通信部が受信した前記無線信号に含まれるセキュア情報が、前記測距の実施回数ごとに予め定められた正規のセキュア情報であると認められる場合、該当する前記測距の実施回数に対応する前記セキュア情報が含まれる前記無線信号を前記無線通信部に返送させる、
無線通信装置。
【請求項7】
コンピュータに、
無線通信部による規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を制御する制御機能、
を実現させ、
前記制御機能に、前記無線信号の送受信に基づく測距の複数回の実施を制御させ、複数回実施される前記測距において互いに異なるセキュア情報が含まれる前記無線信号を前記無線通信部が送信するよう制御させ、
複数回実施される前記測距において前記無線通信部が受信する前記無線信号は、互いに異なるセキュア情報を含み、
前記互いに異なるセキュア情報の各々は、前記測距の実施回数を示す情報を含む、
プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を制御する制御機能、
を実現させ、
前記制御機能に、前記無線信号の送受信に基づく測距の複数回の実施を制御させ、受信された前記無線信号に含まれるセキュア情報が、前記測距の実施回数ごとに予め定められた正規のセキュア情報であると認められる場合、該当する前記測距の実施回数に対応する前記セキュア情報が含まれる前記無線信号が返送されるよう制御させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線通信装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置間で送受信された無線信号に基づいて、装置間の位置関係を推定する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、車載器と携帯機との間において送受信された無線信号に基づいて、車載器と携帯機との間の距離を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9566945号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、異なる移動体に搭載される車載器の各々から送信される無線信号が送信元を特定できる情報を含まない場合、携帯機が受信した無線信号がいずれの車載器から送信されたものであるかを判定できない状況が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、無線信号の送信元を明確に判定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う第1の無線通信装置および少なくとも1つの第2の無線通信装置、を備え、前記第1の無線通信装置および前記第2の無線通信装置は、前記無線信号の送受信に基づく規定の処理を複数回実施し、前記規定の処理ごとに、異なるセキュア情報が含まれる前記無線信号の送信または受信のうち少なくともいずれかを行う、無線通信システムが提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の通信装置との間において規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う無線通信部と、前記無線通信部による前記無線信号の送受信を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記無線信号の送受信に基づく規定の処理ごとに、異なるセキュア情報が含まれる前記無線信号を前記無線通信部に送信させる、無線通信装置が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、他の通信装置との間において規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う無線通信部と、前記無線通信部による前記無線信号の送受信を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記無線通信部が受信した前記無線通信に含まれるセキュア情報が、前記無線信号の送受信に基づく規定の処理ごとに予め定められた正規のセキュア情報であると認められる場合、該当する前記規定の処理に対応する前記セキュア情報が含まれる前記無線信号を前記無線通信部に返送させる、無線通信装置が提供される。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を制御する制御機能、を実現させ、前記制御機能に、前記無線信号の送受信に基づく規定の処理ごとに、異なるセキュア情報が含まれる前記無線信号が送信されるよう制御させる、プログラムが提供される。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を制御する制御機能、を実現させ、前記制御機能に、受信された前記無線信号に含まれるセキュア情報が、前記無線信号の送受信に基づく規定の処理ごとに予め定められた正規のセキュア情報であると認められる場合、該当する前記規定の処理に対応する前記セキュア情報が含まれる前記無線信号が返送されるよう制御させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、無線信号の送信元を明確に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システム1の構成例を示すブロック図である。
図2】同実施形態に係る無線通信システム1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<1.1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係る無線通信システム1の構成例について述べる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る無線通信システム1の構成例を示すブロック図である。
【0016】
本実施形態に係る無線通信システム1は、規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う第1の無線通信装置および少なくとも1つの第2の無線通信装置を備える。
【0017】
図1に示す携帯機10は、上記第1の無線通信装置の一例である。また、図1に示す車載器20は、上記第2の無線通信装置の一例である。
【0018】
(携帯機10)
本実施形態に係る携帯機10は、ユーザにより携帯される無線通信装置である。
【0019】
携帯機10は、例えば、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル装置、または無線通信システム1における利用に特化して製造される専用装置であってもよい。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る携帯機10は、無線通信部110、制御部120、および記憶部130を備えてもよい。
【0021】
(無線通信部110)
本実施形態に係る無線通信部110は、制御部120による制御に従い、少なくとも1つの車載器20との間において、規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0022】
本実施形態に係る規定の通信規格の一例としては、例えば、超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)無線通信が挙げられる。
【0023】
一方、本実施形態に係る規定の通信規格は、上記の一例に限定されるものではなく、装置間において送受信される無線信号に基づいて装置間の位置関係を推定することが可能な任意の通信規格が採用されてよい。
【0024】
本実施形態に係る規定の通信規格の他の例としては、Wi-Fi(登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)などが挙げられる。
【0025】
(制御部120)
本実施形態に係る制御部120は、無線通信部110による無線信号の送受信と、当該無線信号の送受信に基づく規定の処理を制御する。
【0026】
本実施形態に係る規定の処理は、携帯機10の無線通信部110または車載器20の無線通信部210の一方が規定の処理に係る要求を送信すること、および携帯機10の無線通信部110または車載器20の無線通信部210の他方が受信した上記要求に対する応答を送信すること、を少なくとも含む処理であってもよい。
【0027】
本実施形態に係る規定の処理の一例としては、送受信される無線信号に基づいて携帯機10と車載器20と(より正確には、携帯機10の無線通信部110と車載器20の無線通信部210と)の位置関係を推定する処理が挙げられる。
【0028】
なお、携帯機10と車載器20との位置関係には、携帯機10と車載器20との間における距離や角度が含まれる。
【0029】
一例として、本実施形態に係る規定の処理は、携帯機10と車載器20との間における距離の推定値である測距値を算出する処理(測距)であってもよい。
【0030】
また、別の例として、実施形態に係る規定の処理は、車載器20を基準とした携帯機10の角度を算出する処理(角度推定)であってもよい。
【0031】
本実施形態に係る制御部120は、車載器20の制御部220と協働して、上記のような規定の処理が複数回実行されるよう制御を行う。
【0032】
この際、本実施形態に係る制御部120は、規定の処理ごとに異なるセキュア情報が含まれる無線信号の送信または受信が行われるよう制御を行うことを特徴の一つとする。
【0033】
本実施形態に係るセキュア情報は、無線信号を送信する送信元を特定するために用いられる各種の情報であってよい。セキュア情報の一例としては、携帯機10や車載器20の識別子、ハッシュ演算に用いられる乱数、各種の鍵情報が挙げられる。
【0034】
例えば、本実施形態に係る制御部120は、規定の処理ごとに、異なるセキュア情報が含まれる無線信号を無線通信部110に送信させてもよい。
【0035】
また、例えば、本実施形態に係る制御部120は、無線通信部110が受信した無線信号に含まれるセキュア情報が、規定の処理ごとに予め定められた正規のセキュア情報であると認められる場合、該当する規定の処理に対応するセキュア情報が含まれる無線信号を無線通信部110に返送させてもよい。
【0036】
上記のような制御によれば、無線通信部110が受信した無線信号が予め設定された通信相手から送信された何回目の規定の処理に対応するものか、を明確に判定することができ、後続する処理(例えば、携帯機10と車載器20との位置関係に基づく移動体の制御)をよりセキュアに実施することが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態に係るセキュア情報は、少なくとも車載器20が搭載される移動体ごとに異なるものであってよい。
【0038】
これによれば、携帯機10の制御部120が、無線通信部110が受信した無線信号に含まれるセキュア情報に基づいて、当該無線信号を送信した車載器20(車載器が搭載される移動体)が、予め設定された正規の通信相手であるか否かを判定することができる。
【0039】
また、本実施形態に係るセキュア情報は、同一の移動体に搭載される車載器20ごとに異なるものであってもよい。
【0040】
これによれば、携帯機10の制御部120が、無線通信部110が受信した無線信号に含まれるセキュア情報に基づいて、当該無線信号を送信した車載器20が移動体に搭載される複数の車載器20のうちのいずれかであるかを特定することができ、より正確な規定の処理を実現することが可能となる。
【0041】
本実施形態に係る制御部120が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0042】
(記憶部130)
本実施形態に係る記憶部130は、携帯機10が備える各構成により用いられる各種の情報を記憶する。
【0043】
例えば、本実施形態に係る記憶部130は、制御部120により用いられるプログラムを記憶する。
【0044】
また、本実施形態に係る記憶部130は、予め定められた通信相手および通信シーケンスに対応するセキュア情報を記憶する。
【0045】
(車載器20)
本実施形態に係る車載器20は、車両などの移動体に搭載される無線通信装置である。
【0046】
車載器20は、移動体に少なくとも1つ以上搭載される。
【0047】
図1に示すように、本実施形態に係る車載器20は、無線通信部210、制御部220、および記憶部230を備えてもよい。
【0048】
(無線通信部210)
本実施形態に係る無線通信部210は、制御部220による制御に従い、携帯機10との間において、規定の通信規格に準拠した無線信号の送受信を行う。
【0049】
(制御部220)
本実施形態に係る制御部220は、無線通信部210による無線信号の送受信と、当該無線信号の送受信に基づく規定の処理を制御する。
【0050】
例えば、本実施形態に係る制御部220は、規定の処理ごとに、異なるセキュア情報が含まれる無線信号を無線通信部210に送信させてもよい。
【0051】
また、例えば、本実施形態に係る制御部220は、無線通信部210が受信した無線信号に含まれるセキュア情報が、規定の処理ごとに予め定められた正規のセキュア情報であると認められる場合、該当する規定の処理に対応するセキュア情報が含まれる無線信号を無線通信部210に返送させてもよい。
【0052】
上記のような制御によれば、無線通信部210が受信した無線信号が予め設定された通信相手から送信された何回目の規定の処理に対応するものか、を明確に判定することができ、後続する処理(例えば、携帯機10と車載器20との位置関係に基づく移動体の制御)をよりセキュアに実施することが可能となる。
【0053】
なお、移動体に複数の車載器20が搭載される場合、複数の車載器20の制御部220の各々は、互いに異なるセキュア情報が含まれる無線信号の送受信が行われるよう制御を行ってもよい。
【0054】
これによれば、携帯機10の制御部120が、無線通信部110が受信した無線信号に含まれるセキュア情報に基づいて、当該無線信号を送信した車載器20が移動体に搭載される複数の車載器20のうちのいずれかであるかを特定することができ、より正確な規定の処理を実現することが可能となる。
【0055】
本実施形態に係る制御部220が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0056】
(記憶部230)
本実施形態に係る記憶部230は、車載器20が備える各構成により用いられる各種の情報を記憶する。
【0057】
例えば、本実施形態に係る記憶部230は、制御部220により用いられるプログラムを記憶する。
【0058】
また、本実施形態に係る記憶部230は、予め定められた通信相手および通信シーケンスに対応するセキュア情報を記憶する。
【0059】
以上、本実施形態に係る無線通信システム1の構成例について述べた。なお、図1を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る無線通信システム1の構成は係る例に限定されない。
【0060】
例えば、本実施形態に係る無線通信システム1は、上記の規定の処理の結果と、当該規定の処理とは別途に実行される認証処理の結果とに基づいて、車載器20が搭載される移動体の制御を行う制御装置をさらに備えてもよい。
【0061】
上記移動体の制御には、例えば、移動体が備えるドアの解錠やエンジンの始動に係る制御が挙げられる。
【0062】
この場合、上記制御装置は、上記認証処理により携帯機10の真正性が認められ、かつ携帯機10と車載器20との位置関係が規定の範囲にあると認められる場合に、ドアの解錠やエンジンの始動を許可してもよい。
【0063】
なお、上記認証処理は、規定の処理に用いられる規定の通信規格とは異なる通信規格に準拠した無線信号の送受信に基づくものであってもよい。
【0064】
上記認証処理には、例えば、LF(Low Frequency)帯やUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号が用いられてもよい。
【0065】
<<1.2.処理の詳細>>
次に、本実施形態に係る無線通信システム1により処理について具体例を挙げながら詳細に説明する。
【0066】
上述したように、本実施形態に係る携帯機10および車載器20は、無線信号の送受信に基づく規定の処理を複数回実行し、規定の処理ごとに異なるセキュア情報が含まれる無線信号の送信または受信のうち少なくともいずれかを行うこと、を特徴の一つとする。
【0067】
上記のような制御によれば、受信した無線信号の送信元が予め設定された通信相手であるか否かを判定することができ、より正確かつセキュアな規定の処理を実現することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係る携帯機10および車載器20は、規定の処理において、互いに異なるセキュア情報が含まれる前記無線信号の送信または受信のうち少なくともいずれかを行ってもよい。
【0069】
この場合、一度の規定の処理において、同一の装置から複数の無線信号を受信する場合であっても、受信した無線信号の種別を特定することができ、予め定められたシーケンスに従った正確かつセキュアな規定の処理を実現することが可能となる。
【0070】
なお、携帯機10と車載器20のどちらが上述の要求を送信し、どちらが上述の応答を送信するかは、規定の処理や当該規定の処理におけるシーケンスにより柔軟に決定され得る。
【0071】
以下においては、本実施形態に係る規定の処理が、携帯機10と車載器20との間における距離の推定値である測距値を算出する測距である場合を想定する。
【0072】
また、以下においては、測距が、携帯機10が送信する測距トリガー、車載器20が受信した測距トリガーに基づいて送信する測距要求、携帯機10が受信した測距要求への応答として送信する測距応答に基づいて行われる場合を例示する。
【0073】
図2は、本実施形態に係る無線通信システム1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0074】
なお、図2においては、無線通信システム1が携帯機10と、2つの車載器20aおよび20bとを備える場合を例示する。車載器20aおよび20bは、共に同一の移動体に搭載されるものとする。
【0075】
図2に示す一例の場合、まず、携帯機10の無線通信部110が制御部120による制御に従い、予め定められたセキュア情報1Aが含まれる測距トリガーと、セキュア情報1Bが含まれる測距トリガーを送信する(S102およびS104)。
【0076】
次に、車載器20aの制御部220aは、ステップS102において無線通信部210aが受信した測距トリガーに含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された携帯機10から送信される1回目の測距トリガーに対応した正規のセキュア情報1Aであるか否かを判定する。
【0077】
ここで、測距トリガーに含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報1Aであることが認められる場合、車載器20aの制御部220aは、予め定められたセキュア情報1Cが含まれる測距要求を無線通信部210aに送信させる(S106)。
【0078】
次に、携帯機10の制御部120は、ステップS106において無線通信部110が受信した測距要求に含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された車載器20aから送信される1回目の測距要求に対応した正規のセキュア情報1Cであるか否を判定する。
【0079】
ここで、測距要求に含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報1Cであることが認められる場合、携帯機10の制御部120は、予め定められたセキュア情報1Dが含まれる測距応答を無線通信部110に送信させる(S108)。
【0080】
次に、車載器20aの制御部220aは、ステップS108において無線通信部210aが受信した測距応答に含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された携帯機10から送信される1回目の測距応答に対応した正規のセキュア情報1Dであるか否かを判定する。
【0081】
ここで、測距応答に含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報1Dあることが認められる場合、車載器20aの制御部220aは、ステップS106およびS108において送受信された測距要求および測距応答に基づいて測距値を算出する(図示しない)。
【0082】
一方、車載器20bの制御部220bは、ステップS104において無線通信部210bが受信した測距トリガーに含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された携帯機10から送信される1回目の測距トリガーに対応した正規のセキュア情報1Bであるか否かを判定する。
【0083】
ここで、測距トリガーに含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報1Bであることが認められる場合、車載器20bの制御部220bは、予め定められたセキュア情報1Eが含まれる測距要求を無線通信部210bに送信させる(S110)。
【0084】
次に、携帯機10の制御部120は、ステップS110において無線通信部110が受信した測距要求に含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された車載器20bから送信される1回目の測距要求に対応した正規のセキュア情報1Eであるか否を判定する。
【0085】
ここで、測距要求に含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報1Eであることが認められる場合、携帯機10の制御部120は、予め定められたセキュア情報1Fが含まれる測距応答を無線通信部110に送信させる(S112)。
【0086】
次に、車載器20bの制御部220bは、ステップS112において無線通信部210bが受信した測距応答に含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された携帯機10から送信される1回目の測距応答に対応した正規のセキュア情報1Fであるか否かを判定する。
【0087】
ここで、測距応答に含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報1Fあることが認められる場合、車載器20bの制御部220bは、ステップS110およびS112において送受信された測距要求および測距応答に基づいて測距値を算出する(図示しない)。
【0088】
次に、携帯機10の無線通信部110が制御部120による制御に従い、予め定められたセキュア情報2Aが含まれる測距トリガーと、セキュア情報2Bが含まれる測距トリガーを送信する(S202およびS204)。
【0089】
次に、車載器20aの制御部220aは、ステップS202において無線通信部210aが受信した測距トリガーに含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された携帯機10から送信される2回目の測距トリガーに対応した正規のセキュア情報2Aであるか否かを判定する。
【0090】
ここで、測距トリガーに含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報2Aであることが認められる場合、車載器20aの制御部220aは、予め定められたセキュア情報2Cが含まれる測距要求を無線通信部210aに送信させる(S206)。
【0091】
次に、携帯機10の制御部120は、ステップS206において無線通信部110が受信した測距要求に含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された車載器20aから送信される2回目の測距要求に対応した正規のセキュア情報2Cであるか否を判定する。
【0092】
ここで、測距要求に含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報2Cであることが認められる場合、携帯機10の制御部120は、予め定められたセキュア情報2Dが含まれる測距応答を無線通信部110に送信させる(S208)。
【0093】
次に、車載器20aの制御部220aは、ステップS208において無線通信部210aが受信した測距応答に含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された携帯機10から送信される2回目の測距応答に対応した正規のセキュア情報2Dであるか否かを判定する。
【0094】
ここで、測距応答に含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報2Dあることが認められる場合、車載器20aの制御部220aは、ステップS206およびS208において送受信された測距要求および測距応答に基づいて測距値を算出する(図示しない)。
【0095】
一方、車載器20bの制御部220bは、ステップS204において無線通信部210bが受信した測距トリガーに含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された携帯機10から送信される2回目の測距トリガーに対応した正規のセキュア情報2Bであるか否かを判定する。
【0096】
ここで、測距トリガーに含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報2Bであることが認められる場合、車載器20bの制御部220bは、予め定められたセキュア情報2Eが含まれる測距要求を無線通信部210bに送信させる(S210)。
【0097】
次に、携帯機10の制御部120は、ステップS210において無線通信部110が受信した測距要求に含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された車載器20bから送信される2回目の測距要求に対応した正規のセキュア情報2Eであるか否を判定する。
【0098】
ここで、測距要求に含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報2Eであることが認められる場合、携帯機10の制御部120は、予め定められたセキュア情報2Fが含まれる測距応答を無線通信部110に送信させる(S212)。
【0099】
次に、車載器20bの制御部220bは、ステップS212において無線通信部210bが受信した測距応答に含まれるセキュア情報が、予め正規の通信相手として設定された携帯機10から送信される2回目の測距応答に対応した正規のセキュア情報2Fであるか否かを判定する。
【0100】
ここで、測距応答に含まれるセキュア情報が正規のセキュア情報2Fあることが認められる場合、車載器20bの制御部220bは、ステップS210およびS212において送受信された測距要求および測距応答に基づいて測距値を算出する(図示しない)。
【0101】
以上、本実施形態に係る無線通信システム1による処理の流れについて一例を挙げて詳細に説明した。
【0102】
なお、図2では、携帯機10が測距トリガーを送信する場合を例示したが、測距トリガーは車載器20により送信されてもよい。
【0103】
この場合、携帯機10が測距要求を送信し、車載器20が測距応答を送信する。
【0104】
一方、本実施形態に係る測距は、必ずしも測距トリガーを含まなくてもよい。
【0105】
例えば、本実施形態に係る測距は、一方から送信される第1の測距用信号、第1の測距用信号への応答として他方が送信する第2の測距用信号、および第2の測距用信号への応答として一方が送信する第3の測距用信号により実現されてもよい。
【0106】
この場合、第1の測距用信号および第2の測距用信号に基づく測距値と、第2の測距用信号および第3の測距用信号に基づく測距値を算出することも可能である。
【0107】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0108】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1:無線通信システム、10:携帯機、110:無線通信部、120:制御部、130:記憶部、20:車載器、210:無線通信部、220:制御部、230:記憶部
図1
図2