(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】飛行体制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/46 20240101AFI20241213BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20241213BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20241213BHJP
B64D 45/00 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G05D1/46
B64C13/18 Z
B64C39/02
B64D45/00 Z
(21)【出願番号】P 2020186726
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】椋田 千聖
(72)【発明者】
【氏名】池永 紗耶
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 大祐
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202682(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033976(WO,A1)
【文献】特表2018-505089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/46
B64C 13/18
B64C 39/02
B64D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリア内の設備の周囲に設定される飛行ルートに沿って飛行体を飛行させ、前記設備を点検するための飛行体制御システムであって、
前記飛行体の飛行を管理する飛行管理部と、
前記飛行体の飛行に影響を与える飛行影響情報を取得する飛行影響情報取得部と、
前記飛行影響情報取得部で取得した飛行影響情報を基に、現在の前記飛行ルートに沿って前記飛行体を飛行させて点検を継続するか否かを判断する点検継続可否判断部と、
前記飛行体の侵入によって問題が生じる、または問題が生じる虞がある危険エリアを避ける前記飛行ルートとしての回避飛行ルートを生成するか否かを判断するルート生成要否判断部と、
前記ルート生成要否判断部において、前記回避飛行ルートを生成すると判断した場合に、ルート生成情報を基にして前記回避飛行ルートを生成するルート生成部と、を備えており、
前記点検継続可否判断部は、前記飛行影響情報取得部で取得した飛行影響情報が、現在の前記飛行ルートに沿って前記飛行体を飛行させることができないことを示す飛行継続不可情報である場合に、現在の前記飛行ルートに沿って前記飛行体を飛行させた状態での点検を継続しないと判断し、
前記ルート生成要否判断部は、前記点検継続可否判断部において、前記飛行ルートに沿って前記飛行体を飛行させた状態での点検を継続しないと判断した場合に、前記回避飛行ルートを生成すると判断し、
前記飛行影響情報は、外部から送信される気象情報、シミュレーションにより得られる気象情報、前記監視エリア内の風向及び風速に関する風情報、並びに外部から送信される災害情報のうちの少なくともいずれか一つであり、
前記飛行体が前記危険エリアに落下する、または落下する虞がある回避エリアを設定する回避エリア設定部を備えており、
前記飛行体の位置を検出する飛行体位置検出部と、
前記監視エリア内の風向及び風速を検出する風向風速検出部と、
前記飛行体の加速度を導出する飛行体加速度導出部と、を備えており、
前記回避エリア設定部は、前記飛行体位置検出部での検出結果、前記飛行体加速度導出部での導出結果、前記風向風速検出部での検出結果、前記飛行体の重量及び前記飛行体の受風面積を基に、前記回避エリアを前記危険エリアの周囲に設定し、
前記ルート生成情報は、前記危険エリアと前記回避エリア設定部で設定された前記回避エリアを含む飛行体制御システム。
【請求項2】
前記飛行継続不可情報は、気象情報としての降雨情報、降雪情報及び濃霧情報、風情報としての強風情報、並びに災害情報としての危険災害情報のうちのいずれかである請求項1に記載の飛行体制御システム。
【請求項3】
前記飛行体の落下予測エリアを算出する落下予測エリア算出部と、
前記落下予測エリア算出部で算出された前記落下予測エリアが、前記危険エリア内であるか否かを判断する落下エリア判断部と、を備えており、
前記飛行管理部は、
前記落下エリア判断部において、前記落下予測エリアが前記危険エリア内であると判断した場合に、前記危険エリアへの前記飛行体の接近を回避する接近回避対応をとる請求項1
または2に記載の飛行体制御システム。
【請求項4】
前記接近回避対応は、前記危険エリアに前記飛行体が近づかないように、前記ルート生成部で生成された前記回避飛行ルートを修正しつつ、当該回避飛行ルートに沿って前記飛行体を自動操縦により飛行させる対応である請求項
3に記載の飛行体制御システム。
【請求項5】
前記飛行体の遠隔操縦に関する指令を送受信可能に構成された操縦機器を備え、
前記接近回避対応は、前記危険エリアに前記飛行体が近づかないように操縦者による前記飛行体の遠隔操縦に制限を加える対応である請求項
3に記載の飛行体制御システム。
【請求項6】
前記飛行体の位置を検出する飛行体位置検出部と、
前記監視エリア内の風向及び風速を検出する風向風速検出部と、
前記飛行体の加速度を導出する飛行体加速度導出部と、を備えており、
前記落下予測エリア算出部は、前記飛行体位置検出部での検出結果、前記飛行体加速度導出部での導出結果、前記風向風速検出部での検出結果、前記飛行体の重量及び前記飛行体の受風面積を基に、前記落下予測エリアを算出する請求項
3~5のいずれか一項に記載の飛行体制御システム。
【請求項7】
前記飛行管理部は、前記ルート生成部で生成された前記回避飛行ルートに沿って前記飛行体を自動操縦により飛行させる請求項1~
6のいずれか一項に記載の飛行体制御システム。
【請求項8】
前記飛行体の遠隔操縦に関する指令を送受信可能に構成された操縦機器を備え、
前記飛行管理部は、前記ルート生成部で生成された前記回避飛行ルートを前記操縦機器を通じて操縦者に提示する請求項1~
7のいずれか一項に記載の飛行体制御システム。
【請求項9】
前記ルート生成部は、
前記回避飛行ルートとして、発着場又は操縦者のもとに帰還する帰還飛行ルート、及び点検を継続する点検継続飛行ルートのうちのいずれか一方を生成する請求項1~
8のいずれか一項に記載の飛行体制御システム。
【請求項10】
前記ルート生成部は、
前記帰還飛行ルートとして、元来た飛行ルートに沿って現在地から発着場へ向かう第1帰還飛行ルート、及び前記第1帰還飛行ルートとは異なる経路で現在地から操縦者のもとへ向かう第2帰還飛行ルートのうちのいずれか一方を生成する請求項
9に記載の飛行体制御システム。
【請求項11】
前記危険エリアの設定が必要となる状況に関する情報を取得する状況情報取得部と、
前記状況情報取得部で取得した状況情報を基に、前記危険エリアを設定する危険エリア設定部と、を備えている請求項1~
10のいずれか一項に記載の飛行体制御システム。
【請求項12】
前記状況情報取得部は、少なくとも前記設備の破損状況、並びに前記監視エリア内の火災状況及び浸水状況のうちのいずれかを取得する請求項
11に記載の飛行体制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視エリア内の設備の周囲に設定される飛行ルートに沿って飛行体を飛行させ、設備を点検する飛行体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス製造プラントや発電プラントなどのインフラ施設の健全性を維持する上で、これらの施設に設けられた各種設備の点検が必要不可欠である。近年、インフラ施設などの大規模施設の点検を行う際に、所謂ドローンを利用する試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、監視エリアに設けられた設備を点検して当該監視エリアを監視する無人飛行体及びその飛行制御方法が提案されている。
【0004】
この飛行制御方法は、設備を点検するために予め設定された飛行ルートに従って無人飛行体を飛行させるステップや、設備から漏洩した漏洩対象を無人飛行体に設けられたセンサにより検知するステップ、漏洩対象が漏洩したと判断された場合に無人飛行体の飛行が危険な危険エリアを決定するステップ、決定された危険エリアを回避する新たな飛行ルートを設定するステップ、設定された新たな飛行ルートに従って無人飛行体を飛行させるステップなどを行うようになっている。
【0005】
この飛行制御方法によれば、漏洩対象が漏洩した場合に、無人飛行体の飛行が危険な危険エリアを回避する新たな飛行ルートに従って無人飛行体を飛行させることができるため、例えば、漏洩対象が爆発性を有するガスである場合に、無人飛行体が防爆構造を有していなくとも、無人飛行体がガスの爆発を発生させることなく、簡単な構成で漏洩対象が漏洩しても安全に設備を点検することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インフラ施設などの大規模施設における設備の点検を飛行体によって行う場合、点検途中で天候が悪化する、或いは地震などの自然災害が発生すると、飛行体が設備に落下したり、爆発性ガスが存在するエリアへ飛行体が侵入したりすることで、甚大な災害が引き起こされる虞がある。
【0008】
そのため、点検途中で飛行体の飛行に影響を及ぼし得る事象が発生した際に、当該事象による飛行体への影響を考慮して、飛行体を安全な飛行ルートで飛行させることが肝要である。
【0009】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、飛行体を安全な飛行ルートで飛行させることができる飛行体制御システムの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る飛行体制御システムの特徴構成は、
監視エリア内の設備の周囲に設定される飛行ルートに沿って飛行体を飛行させ、前記設備を点検するための飛行体制御システムであって、
前記飛行体の飛行を管理する飛行管理部と、
前記飛行体の飛行に影響を与える飛行影響情報を取得する飛行影響情報取得部と、
前記飛行影響情報取得部で取得した飛行影響情報を基に、現在の前記飛行ルートに沿って前記飛行体を飛行させて点検を継続するか否かを判断する点検継続可否判断部と、
前記飛行体の侵入によって問題が生じる、または問題が生じる虞がある危険エリアを避ける前記飛行ルートとしての回避飛行ルートを生成するか否かを判断するルート生成要否判断部と、
前記ルート生成要否判断部において、前記回避飛行ルートを生成すると判断した場合に、ルート生成情報を基にして前記回避飛行ルートを生成するルート生成部と、を備えており、
前記点検継続可否判断部は、前記飛行影響情報取得部で取得した飛行影響情報が、現在の前記飛行ルートに沿って前記飛行体を飛行させることができないことを示す飛行継続不可情報である場合に、現在の前記飛行ルートに沿って前記飛行体を飛行させた状態での点検を継続しないと判断し、
前記ルート生成要否判断部は、前記点検継続可否判断部において、前記飛行ルートに沿って前記飛行体を飛行させた状態での点検を継続しないと判断した場合に、前記回避飛行ルートを生成すると判断し、
前記飛行影響情報は、外部から送信される気象情報、シミュレーションにより得られる気象情報、前記監視エリア内の風向及び風速に関する風情報、並びに外部から送信される災害情報のうちの少なくともいずれか一つであり、
前記飛行体が前記危険エリアに落下する、または落下する虞がある回避エリアを設定する回避エリア設定部を備えており、
前記飛行体の位置を検出する飛行体位置検出部と、
前記監視エリア内の風向及び風速を検出する風向風速検出部と、
前記飛行体の加速度を導出する飛行体加速度導出部と、を備えており、
前記回避エリア設定部は、前記飛行体位置検出部での検出結果、前記飛行体加速度導出部での導出結果、前記風向風速検出部での検出結果、前記飛行体の重量及び前記飛行体の受風面積を基に、前記回避エリアを前記危険エリアの周囲に設定し、
前記ルート生成情報は、前記危険エリアと前記回避エリア設定部で設定された前記回避エリアを含む点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、飛行体の飛行に影響を与える可能性がある天候や災害に関する飛行影響情報(気象情報、風情報及び災害情報)が飛行継続不可情報である場合に、現在の飛行ルートに沿って飛行体を飛行させた状態での点検を継続しないと判断する。そして、回避飛行ルートを生成する必要があると判断して当該回避飛行ルートを生成し、この回避飛行ルートに沿って飛行体を飛行させることができる。回避エリアを、飛行体位置検出部での検出結果、飛行体加速度導出部での導出結果、風向風速検出部での検出結果、飛行体の重量及び飛行体の受風面積を基に危険エリアの周囲に設定する。このことにより回避エリアを精度良く設定できる。また、回避飛行ルートの生成に危険エリアと回避エリアを使用する。そのため、ルート生成部で生成される回避飛行ルートは、当該回避飛行ルートに沿って飛行体が飛行している際に、飛行体が落下したとしても危険エリアに落下し難いルートになる。したがって、飛行体の飛行に影響を与える事象を考慮して、飛行体を安全な飛行ルートで飛行させることができる。
【0012】
尚、本願において、「飛行体を飛行させる」とは、飛行管理部による自動操縦により飛行体を飛行させる態様、及び操縦者による遠隔操縦により飛行体を飛行させる態様の双方を含む概念である。
【0013】
本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記飛行継続不可情報は、気象情報としての降雨情報、降雪情報及び濃霧情報、風情報としての強風情報、並びに災害情報としての危険災害情報のうちのいずれかである点にある。
【0014】
降雨情報、降雪情報、濃霧情報、強風情報及び危険災害情報は、飛行体の飛行に特に影響を与える可能性が高い事象に関する情報である。したがって、上記特徴構成によれば、飛行体の飛行に特に影響を与える可能性が高い事象が発生した際に、現在の飛行ルートに沿って飛行体を飛行させた状態での点検を継続しないと判断し、回避飛行ルートを生成する必要があると判断して、回避飛行ルートを生成することができる。即ち、上記特徴構成によれば、飛行体の飛行に影響を与える事象を考慮し、飛行体を安全な飛行ルートで飛行させることができる。
【0019】
本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記飛行体の落下予測エリアを算出する落下予測エリア算出部と、
前記落下予測エリア算出部で算出された前記落下予測エリアが、前記危険エリア内であるか否かを判断する落下エリア判断部と、を備えており、
前記飛行管理部は、
前記落下エリア判断部において、前記落下予測エリアが前記危険エリア内であると判断した場合に、前記危険エリアへの前記飛行体の接近を回避する接近回避対応をとる点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、飛行途中で落下予測エリアが危険エリア内となるような事態が生じた場合に、接近回避対応をとって飛行体を危険エリアに近づけないようにできる。そのため、実際に飛行体が落下するような事態が発生しても、飛行体が危険エリア内に落下する可能性を低くできる。
【0021】
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記接近回避対応は、前記危険エリアに前記飛行体が近づかないように、前記ルート生成部で生成された前記回避飛行ルートを修正しつつ、当該回避飛行ルートに沿って前記飛行体を自動操縦により飛行させる対応である点にある。
【0022】
飛行体を飛行させている途中で、強風が吹き始めたこと等に起因して落下予測エリアが危険エリア内となるような事態が生じる場合がある。上記特徴構成によれば、落下予測エリアが危険エリアに入らないように修正した回避飛行ルートに沿って自動操縦により飛行体を飛行させることができる。そのため、飛行体を危険エリアに近づけないようにしつつ、飛行体を飛行させることができる。例えば、操縦者による遠隔操縦によって飛行体を飛行させている場合であれば、修正した回避飛行ルートに沿った自動操縦に切り替わることで、操縦者の誤操作等に起因する危険エリアへの飛行体の接近を防止できる。したがって、飛行体を危険エリアに近づけないようにしつつ、飛行体を飛行させることができる。
【0023】
尚、回避飛行ルートを修正する態様としては、ルート生成部が生成した回避飛行ルートに可能な限り沿いつつ、当該回避飛行ルートのうち、飛行体の落下予測エリアが危険エリア内となるような部分を危険エリアから遠ざけるように修正する態様を例示できる。
【0024】
請求項7
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記飛行体の遠隔操縦に関する指令を送受信可能に構成された操縦機器を備え、
前記接近回避対応は、前記危険エリアに前記飛行体が近づかないように操縦者による前記飛行体の遠隔操縦に制限を加える対応である点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、操縦者による遠隔操縦によって飛行体を飛行させている途中で落下予測エリアが危険エリア内となるような事態が生じた場合に、遠隔操縦に制限が加えられる。そのため、操縦者が誤って飛行体を危険エリアに接近させるような操作を行ったとしても、当該操作が制限され、危険エリアへの飛行体の接近を防止でき、飛行体を危険エリアに近づけないように飛行させることができる。
【0026】
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記飛行体の位置を検出する飛行体位置検出部と、
前記監視エリア内の風向及び風速を検出する風向風速検出部と、
前記飛行体の加速度を導出する飛行体加速度導出部と、を備えており、
前記落下予測エリア算出部は、前記飛行体位置検出部での検出結果、前記飛行体加速度導出部での導出結果、前記風向風速検出部での検出結果、前記飛行体の重量及び前記飛行体の受風面積を基に、前記落下予測エリアを算出する点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、落下予測エリアを精度良く算出できる。
【0028】
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記飛行管理部は、前記ルート生成部で生成された前記回避飛行ルートに沿って前記飛行体を自動操縦により飛行させる点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、回避飛行ルートに沿った自動操縦によって、飛行体を飛行させることができる。
【0030】
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記飛行体の遠隔操縦に関する指令を送受信可能に構成された操縦機器を備え、
前記飛行管理部は、前記ルート生成部で生成された前記回避飛行ルートを前記操縦機器を通じて操縦者に提示する点にある。
【0031】
上記特徴構成によれば、回避飛行ルートを提示された操縦者による当該回避飛行ルートに沿った遠隔操縦によって、飛行体を安全に飛行させることができる。
【0032】
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記ルート生成部は、
前記回避飛行ルートとして、発着場又は操縦者のもとに帰還する帰還飛行ルート、及び点検を継続する点検継続飛行ルートのうちのいずれか一方を生成する点にある。
【0033】
上記特徴構成によれば、状況に応じて、飛行体を帰還させるために帰還飛行ルートを生成する、或いは危険エリアを避けながら点検を継続させるために点検継続飛行ルートを生成することができる。
【0034】
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記ルート生成部は、
前記帰還飛行ルートとして、元来た飛行ルートに沿って現在地から発着場へ向かう第1帰還飛行ルート、及び前記第1帰還飛行ルートとは異なる経路で現在地から操縦者のもとへ向かう第2帰還飛行ルートのうちのいずれか一方を生成する点にある。
【0035】
飛行体を帰還させる場合、元来た飛行ルートに沿って発着場へ帰還させるようにすれば、既存の飛行ルートを利用することができ、比較的簡単に飛行ルートを生成できる。しかしながら、元来た飛行ルート上や発着場が危険エリアになり、元来た飛行ルートに沿って発着場へ帰還できない場合や、緊急性が高く、早急に飛行体を回収する必要があるが、元来た飛行ルートに沿って発着場へ帰還させると時間が掛かりすぎる場合がある。上記特徴構成によれば、状況に応じて、元来た飛行ルートに沿って帰還するための第1帰還飛行ルートを生成する、或いは、これとは異なる経路で帰還するための第2帰還飛行ルートを生成することができる。
【0036】
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記危険エリアの設定が必要となる状況に関する情報を取得する状況情報取得部と、
前記状況情報取得部で取得した状況情報を基に、前記危険エリアを設定する危険エリア設定部と、を備えている点にある。
【0037】
上記特徴構成によれば、危険エリアの設定が必要となる状況が発生している場合に、危険エリアを設定することができる。
【0038】
また、本発明に係る飛行体制御システムの更なる特徴構成は、
前記状況情報取得部は、少なくとも前記設備の破損状況、並びに前記監視エリア内の火災状況及び浸水状況のうちのいずれかを取得する点にある。
【0039】
上記特徴構成によれば、設備の破損や監視エリア内で火災や浸水が発生している場合に、破損した設備がある箇所や火災や浸水が発生している箇所を危険エリアとして設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本実施形態に係る飛行体制御システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る飛行体制御システムの概略構成を示す図である。
【
図5】落下予測エリアの位置が変化する一例を示す図である。
【
図6】発着場の一部が危険エリア内である場合の一例を示す図である。
【
図10】飛行体制御システムにおける処理フローを説明するためのフローチャートである。
【
図11】飛行体制御システムにおける処理フローを説明するためのフローチャートである。
【
図12】飛行体制御システムにおける処理フローを説明するためのフローチャートである。
【
図13】飛行体制御システムにおける処理フローを説明するためのフローチャートである。
【
図14】飛行体制御システムにおける処理フローを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る飛行体制御システムについて説明する。
【0042】
〔飛行体制御システムの概要〕
本実施形態に係る飛行体制御システムは、
図1に示すように、監視エリアA内の設備Bの周囲に設定される飛行ルートに沿って飛行体10を飛行させ、設備Bを点検するためのシステムであって、飛行影響情報を取得し、当該飛行影響情報が飛行継続不可情報である場合には、危険エリアDを回避する回避飛行ルートRaを生成し、既存飛行ルートReに代えて、生成した回避飛行ルートRaに沿って飛行体10を飛行させるシステムである。
【0043】
尚、本実施形態において、監視エリアAはガス関連プラントであるが、これに限られるものではなく、発電プラントなどのインフラ施設といった大規模施設が広く監視エリアとなり得る。また、既存飛行ルートReは、設備Bを点検するためのルートであって、点検する設備Bの数や種類、位置に応じて予め設定されるものであり、本実施形態では、1つの設備Bを点検するために予め設定されたものである。また、危険エリアDとは、設備Bの種類や人・車両の有無によって当該設備Bの周囲に予め設定されるエリアや、後述するように、危険エリア設定部23によって設定されるエリアの双方を含むものである。既存飛行ルートRe及び回避飛行ルートRaは、飛行体10が危険エリアD内に侵入しないように、設備Bに対して少なくとも所定の離隔距離以上離れた位置を通るように設定・生成される。
【0044】
〔飛行体制御システムの構成〕
図1及び
図2に示すように、本実施形態における飛行体制御システムは、監視エリアA内を飛行する飛行体10と、外部から飛行体10を制御する管理サーバ20と、飛行体10の遠隔操縦が可能な操縦機器40とを備えており、飛行体10と管理サーバ20と操縦機器40との間では各種情報や操作指令に係る信号を送受信できるようになっている。
【0045】
また、監視エリアA内には、監視エリアA内の風向及び風速を検出する3つの風向風速計17a,17b,17c(風向風速検出部)が設置されている。風向風速計17a,17b,17cと管理サーバ20及び操縦機器40との間では各種情報に係る信号を送受信できるようになっている。
【0046】
図2に示すように、飛行体10は、飛行体10の位置を検出するための衛星測位用受信機12(飛行体位置検出部)と、飛行体10の加速度を導出するための加速度センサ13(飛行体加速度導出部)と、管理サーバ20及び操縦機器40と無線通信可能な飛行体側通信ユニット14と、各種情報処理を行う飛行体側制御部15とを備えている。
【0047】
衛星測位用受信機12は、全球測位衛星システムからの信号を受信して、受信した信号に基づく飛行体10の位置(平面位置及び高度)を示す測位データを飛行体側制御部15に送信する。尚、本実施形態における全球測位衛星システムとしては、飛行体10の平面位置及び高度を示す測位データを生成可能であれば、特に制限されるものではない。
【0048】
加速度センサ13は、飛行体10の加速度を導出して飛行体側制御部15に送信する。
【0049】
飛行体側通信ユニット14は、管理サーバ20及び操縦機器40にそれぞれ設けられた各通信ユニット21,42と各種通信を相互に行うように構成されている。
【0050】
飛行体側制御部15は、衛星測位用受信機12が生成した測位データに基づいて、飛行体10の空間座標を経時的に算出し、算出した空間座標及び時刻を含む位置情報を生成する機能部や、加速度センサ13での検出データを基に飛行体10の速度を算出する機能部の他、飛行体の飛行に必要なロータなどの動作部を制御する機能部などを備えている。つまり、飛行体側制御部15は、各機能部に対応するプログラムを記憶するROMやRAMなどのメモリと、このプログラムを実行するCPUとを備えており、プログラムがCPUによって実行されることにより、各機能部の機能が実現される。後述するサーバ側制御部22及び機器側制御部43についても同様である。
【0051】
このように、本実施形態において、飛行体位置検出部としての衛星測位用受信機12及び飛行体加速度導出部として加速度センサ13は、飛行体10に設けられている。
【0052】
図2に示すように、監視エリアA内に設けられた各風向風速計17a,17b,17cは、風向及び風速を検出する検出部や、風向風速情報を管理サーバ20や操縦機器40へ送信する通信ユニットなどを備えている。この風向風速計17a,17b,17cによれば、検出した風向及び風速が風向風速情報として管理サーバ20や操縦機器40へ適宜送信される。
【0053】
図2に示すように、管理サーバ20は、飛行体10及び操縦機器40と無線通信可能なサーバ側通信ユニット21と、各種情報処理を行うサーバ側制御部22とを備えている。サーバ側通信ユニット21は、飛行体側通信ユニット14と同様の構成を備えており、飛行体10及び操縦機器40の各通信ユニット14,42と各種通信を相互に行う。
【0054】
サーバ側制御部22は、飛行影響情報取得部28と、状況情報取得部34と、危険エリア設定部23と、点検継続可否判断部29と、ルート生成要否判断部24と、落下予測エリア算出部25と、回避エリア設定部26と、落下エリア判断部27と、ルート生成部31と、飛行管理部32と、記憶部33とを備えている。
【0055】
飛行影響情報取得部28は、飛行体10の飛行に影響を与える飛行影響情報を取得する機能部である。尚、飛行影響情報とは、外部から送信される気象情報、シミュレーションにより得られる気象情報、監視エリアA内の風向及び風速に関する風情報、並びに外部から送信される災害情報のうちのいずれかである。具体的に、本実施形態における飛行影響情報取得部28は、外部の情報サービスから送信される情報や当該情報を基に行ったシミュレーション結果を気象情報や災害情報として取得するとともに、上記風向風速計17a,17b,17cにより得られる風向風速情報を風情報として取得する。
【0056】
状況情報取得部34は、危険エリアDの設定が必要となる状況に関する情報(状況情報)を取得する機能部であり、本実施形態においては、少なくとも設備Bの破損状況、並びに監視エリアA内の火災状況及び浸水状況のうちのいずれかに関する情報を状況情報として取得する。具体的に、本実施形態における状況情報取得部34は、監視エリアA内に常設されているカメラの映像、ガスセンサや炎検知器、低温検知器の検知結果、施設の人間からの連絡を基に、上記破損状況や火災状況、浸水状況に関する情報を取得する。
【0057】
危険エリア設定部23は、危険エリアDを設定する機能部である。具体的に、本実施形態における危険エリア設定部23は、状況情報取得部34で取得した情報を基に危険エリアDを設定でき、この場合、破損した設備Bがある箇所や火災や浸水が発生している箇所を危険エリアDとして設定する。即ち、本実施形態においては、設備Bの種類によって当該設備Bの周囲に予め設定されるエリア、及び危険エリア設定部23によって設定されるエリアが危険エリアDとなる。尚、
図3には、設備Bの周辺に予め設定されたエリアと、設備Bの一部が破損し、当該破損した箇所の周囲に設定されたエリアとからなる危険エリアDの一例を示した。同
図3において、符号Baは、設備Bにおける破損した部材である。
【0058】
点検継続可否判断部29は、飛行影響情報取得部28で取得した飛行影響情報を基に、現在の飛行ルート(既存飛行ルートReまたは、点検継続飛行ルートRcが生成されている場合には当該点検継続飛行ルートRc)に沿って飛行体10を飛行させて点検を継続するか否かを判断する機能部である。点検継続可否判断部29は、飛行影響情報取得部28で取得した飛行影響情報が、現在の飛行ルートに沿って飛行体を飛行させることができないことを示す飛行継続不可情報である場合に、現在の飛行ルートに沿って飛行体10を飛行させた状態での点検を継続しないと判断する。具体的に、本実施形態における点検継続可否判断部29は、飛行影響情報取得部28で取得した飛行影響情報が、気象情報としての降雨情報、降雪情報及び濃霧情報、風情報としての強風情報、並びに災害情報としての危険災害情報の少なくともいずれかである場合に、現在の飛行ルートに沿って飛行体10を飛行させた状態での点検を継続しないと判断する。尚、降雨情報の一例としては、雨が降っている又は降りそうな場合であることを知らせる情報、降雪情報の一例としては、雪が降っている又は降りそうな場合であることを知らせる情報、濃霧情報の一例としては、十分な視程が確保できない霧が発生していることを知らせる情報、強風情報の一例としては、風速5m/s以上の風が吹いていることを知らせる情報、危険災害情報の一例としては、設備Bの損壊や炎上、浸水が発生する可能性があることを示す情報である。
【0059】
ルート生成要否判断部24は、危険エリアを避ける飛行ルートとしての回避飛行ルートRaを生成するか否かを判断する機能部である。このルート生成要否判断部24では、点検継続可否判断部29において、飛行ルート(既存飛行ルートRe、または、点検継続飛行ルートRcが生成されている場合には当該点検継続飛行ルートRc)に沿って飛行体10を飛行させた状態での点検を継続しないと判断した場合に、回避飛行ルートRaを生成すると判断する。即ち、ルート生成要否判断部24は、雨が降っている(或いは降る可能性がある)場合や、雪が降っている(或いは降る可能性がある)場合、所定風速以上の風が吹いている場合、十分な視程が確保できない霧が発生している場合、設備Bの破損や監視エリアA内に火災や浸水が発生し得るような災害が起こった場合に、回避飛行ルートRaを生成すると判断する。
【0060】
落下予測エリア算出部25は、飛行体10の落下予測エリアEを算出する機能部である。本実施形態において、落下予測エリア算出部25は、飛行体10の位置情報、速度、重量及び受風面積、並びに風向風速情報に基づいて、落下予測エリアEを算出する。尚、飛行体10の重量及び受風面積は、記憶部33に予め記憶されているものを適宜使用する。このように、本実施形態においては、落下予測エリアEを算出する際に複数の情報を使用しているため、落下予測エリアEを精度良く算出することができる。
【0061】
ここで、落下予測エリアEの算出は、以下の式1~式3を用いて行うことができる。尚、式1において、Fは飛行体10が受ける空気抵抗、ρは風の密度、Cは抵抗係数、(v-u)は相対速度、Aは飛行体10の受風面積であり、式2において、aは飛行体10の加速度、mは飛行体10の重量であり、式3において、tは時間(秒)、Lはt秒間で飛行体10が移動する水平距離である。
(式1)
F=ρC(v-u)2×A/2
(式2)
a=F/m
(式3)
L=(at2)/2
【0062】
具体的に、本実施形態の落下予測エリア算出部25は、飛行体10の高度や加速度センサ13により導出された加速度を基に、上記式3を基に落下予測エリアEを算出する。即ち、落下予測エリア算出部25は、飛行体10の高度を基に上記式3におけるtを自由落下の場合或いは空気抵抗を加味した場合の少なくともいずれかの場合について算出した上で、式3を基に飛行体10が水平移動する距離を算出する。そして、落下予測エリア算出部25は、地表における、算出した水平距離分だけ飛行体10が移動した地点の真下を落下予測点とし、その周辺を落下予測エリアEとして算出する。尚、本実施形態における落下予測エリア算出部25は、回避飛行ルートRaに沿って飛行している飛行体10が所定の場所に帰還するまで一定間隔で落下予測エリアEを算出する。また、本実施形態において、加速度センサ13により得られる加速度には、上記式1や式2のパラメータの影響が加味されており、落下予測エリアEの算出に位置情報、重量及び受風面積、並びに風向風速情報が実質的に用いられた状態となっている。
【0063】
回避エリア設定部26は、飛行体10が危険エリアDに落下する、または落下する虞がある回避エリアFを設定する機能部である。また、本実施形態において、回避エリア設定部26は、飛行体10の位置情報、加速度、重量、及び受風面積、並びに風向風速情報に基づいて、回避エリアFを設定する。このように、本実施形態においては、回避エリアFを設定する際に複数の情報を使用しているため、回避エリアFを精度良く設定することができる。尚、落下予測エリアEの算出と同様に、飛行体10の重量及び受風面積は、記憶部33に予め記憶されているものを適宜使用する。
【0064】
具体的に、本実施形態における回避エリア設定部26は、回避エリアF設定時点での状況(飛行体10の高度や風速、風向等)の下で飛行体10が飛行した場合に、上記式1~式3を基に算出される落下予測エリアEが、危険エリアD又は進入禁止エリアCと少なくとも被る状態で飛行体10が飛行することになるエリアを回避エリアFとして、危険エリアD及び進入禁止エリアCの周囲に設定する。尚、回避エリアFを設定するために算出される落下予測エリアEは、回避エリアF設定時点での飛行体10の位置情報や、加速度、風向風速情報に基づいて算出される。
【0065】
より具体的に、本実施形態における回避エリア設定部26により設定される回避エリアFは、
図4に示すように、危険エリア設定部23で設定された危険エリアDの周囲に設定される。例えば、
図4には、紙面に向かって左斜め上から右斜め下に向かって所定風速の風W(
図4中の矢印)が吹いている場合に設定される回避エリアFを例示した。この場合、飛行体10は風Wの風下に流され易いため、回避エリアFは、危険エリアDの紙面に向かって左斜め上側ほど大きくなるように設定される。
【0066】
本実施形態においては、後述するように、回避エリア設定部26によって設定された回避エリアFがルート生成情報として利用され、ルート生成部31によって回避飛行ルートRaが生成される。即ち、ルート生成部31で生成される回避飛行ルートRaは、当該回避飛行ルートRaに沿って飛行する飛行体10が落下したとしても危険エリアDに落下し難いルートになる。したがって、本実施形態に係る飛行体制御システムによれば、落下したとしても危険エリアD内への侵入が起こり難い安全なルートで飛行体10を飛行させることができる。
【0067】
落下エリア判断部27は、落下予測エリア算出部25で算出された落下予測エリアEが、危険エリアD内であるか否かを判断する機能部である。例えば、
図5に示すように、飛行体10が回避飛行ルートRaに沿って飛行している最中に、風向や風速が回避エリアF設定時(
図4参照)から変化し、回避エリアFの外側を飛行しているにもかかわらず、落下予測エリアEが危険エリアDに位置してしまう場合がある。このような場合に、落下エリア判断部27は、落下予測エリアEが危険エリアD内であると判断する。
【0068】
帰還先決定部30は、発着場P及び操縦者Hのうちいずれか一方を飛行体10の帰還先として決定する機能部である。具体的に、本実施形態における帰還先決定部30は、発着場Pが危険エリアD内であるか否かを判断し、危険エリアD内でないと判断した場合に、発着場Pを帰還先として決定する。一方、発着場Pが危険エリアD内であると判断した場合に、操縦者Hを帰還先として決定する。例えば、
図6に示すように、発着場Pの一部が浸水し、当該発着場Pの一部に危険エリアDが設定された場合、発着場Pに帰還すると飛行体10が危険エリアD内に侵入することになる。したがって、発着場Pが危険エリアD内でない場合には帰還先を発着場Pとし、危険エリアD内である場合(
図6に示した状態の場合)には帰還先を操縦者Hとする。
【0069】
ルート生成部31は、ルート生成要否判断部24において、回避飛行ルートRaを生成すると判断した場合に、ルート生成情報を基にして回避飛行ルートRaを生成する機能部である。本実施形態において、ルート生成部31は、ルート生成情報として、危険エリアDに加え、回避エリアFや、飛行体10の位置(平面位置及び高度)、風向風速情報、飛行体10が飛行してきたルート(既存飛行ルートReを飛行しているのであれば当該既存飛行ルートRe、回避飛行ルートRaを飛行しているのであれば、当該回避飛行ルートRa)などを基に回避飛行ルートRaを生成する。また、ルート生成部31は、回避飛行ルートRaを生成する際に、予め記憶部33に記憶された3Dマップを基に、設備Bなどの位置座標を3Dマップから参照し、これをルート生成情報として利用する。
【0070】
具体的に、本実施形態におけるルート生成部31は、回避飛行ルートとして、発着場Pに帰還する帰還飛行ルートRr、及び点検を継続する点検継続飛行ルートRcのいずれか一方を生成し、更に、帰還飛行ルートRrとして、元来た飛行ルートに沿って現在地から発着場Pへ向かう第1帰還飛行ルートRr1、及び第1帰還飛行ルートRr1とは異なる経路で現在地から操縦者Hのもとへ向かう第2帰還飛行ルートRr2のいずれか一方を生成する。尚、元来た飛行ルートとは、これまで飛行してきたルート(既存飛行ルートReを飛行していた場合には当該既存飛行ルートRe、回避飛行ルートRaを飛行していた場合には当該回避飛行ルートRa)のうち、発着場Pから現在地までの部分である。
図7~
図9には、網掛け部分に火災が発生し、当該火災が発生したエリアも危険エリアDとして設定された場合に生成される点検継続飛行ルートRc、第1帰還飛行ルートRr1及び第2帰還飛行ルートRr2の一例を示した。また、
図7~
図9において、既存飛行ルートRe上におけるX地点が各飛行ルートRc,Rr1,Rr2の始点である場合を例示し、回避エリアFについては図示を省略したが、点検継続飛行ルートRc、第1帰還飛行ルートRr1及び第2帰還飛行ルートRr2は、当然のことながら、回避エリアFが設定されている場合、回避エリアFの外側を通るルートとして生成される。
【0071】
尚、本実施形態において、点検継続飛行ルートRc、第1帰還飛行ルートRr1及び第2帰還飛行ルートRr2のいずれを生成するかは、点検継続可否に関するサーバ側制御部22への操縦者Hによる入力や、帰還先決定部30で決定された帰還先などを基に判断する。例えば、操縦者Hが点検を継続すると判断して、サーバ側制御部22にその旨を入力した場合、点検継続飛行ルートRcを生成すると判断する。また、操縦者Hが点検を継続しないと判断して、サーバ側制御部22にその旨を入力した場合、発着場Pが危険エリアD内でなく、発着場Pが帰還先として決定されていれば、第1帰還飛行ルートRr1を生成すると判断し、発着場Pが危険エリア内であり、操縦者Hが帰還先として決定されていれば、第2帰還飛行ルートRr2を生成すると判断する。
【0072】
このように、本実施形態においては、ルート生成部31が、点検継続飛行ルートRc、第1帰還飛行ルートRr1及び第2帰還飛行ルートRr2のいずれを生成するのが最適かを判断した上で、危険エリアDを回避しながら点検する、或いは帰還するための最適な飛行ルートを生成できる。
【0073】
飛行管理部32は、飛行体10の飛行を管理する機能部である。本実施形態において、飛行管理部32は、ルート生成部31で生成された回避飛行ルートRaや予め規定された既存飛行ルートReに沿って飛行体を自動操縦により飛行させる場合と、当該回避飛行ルートRaや既存飛行ルートReを操縦機器40を通じて操縦者Hに提示する場合とを、操縦者Hによるサーバ側制御部22への入力や、落下エリア判断部27での判断結果等を基に適宜変更する。例えば、設備Bの点検を飛行体10の自動操縦により行うために、操縦者Hがその旨をサーバ側制御部22に入力した場合、飛行管理部32は、飛行体10の自動操縦に係る信号を適宜飛行体10に送信し、飛行体10を自動操縦により飛行させる。一方、操縦者Hによる遠隔操縦を主として飛行体10を飛行させて設備Bの点検を行う場合、飛行管理部32は、点検開始前に、操縦者Hが飛行体10を既存飛行ルートReに沿って飛行させるために、当該既存飛行ルートReを操縦者Hに提示し、また、ルート生成部31で回避飛行ルートRaが生成されると、操縦者Hが飛行体10を回避飛行ルートRaに沿って飛行させるために、当該回避飛行ルートRaを操縦者Hに提示する。
【0074】
また、本実施形態における飛行管理部32は、落下エリア判断部27において、落下予測エリアEが危険エリアD内であると判断した場合に、危険エリアD内への飛行体10の接近を回避する接近回避対応をとる。このように、飛行管理部32が接近回避対応をとるように構成されていることで、飛行途中で落下予測エリアEが危険エリアD内となるような事態が生じた場合に、接近回避対応をとって飛行体10を危険エリアDに近づけないようにできる。そのため、実際に飛行体10が落下するような事態が発生しても、飛行体10が危険エリアD内に落下する可能性を低くできる。
【0075】
尚、接近回避対応とは、危険エリアDに飛行体10が近づかないように、ルート生成部31で生成された回避飛行ルートRaを修正しつつ、当該回避飛行ルートRaに沿って飛行体10を自動操縦により飛行させる対応であり、本実施形態において、回避飛行ルートRaが生成されていない場合には、現在飛行している飛行ルート(即ち、既存飛行ルートRe)を修正しつつ、当該飛行ルートに沿って飛行体10を自動操縦により飛行させる。このようにすれば、操縦者Hによる遠隔操縦によって飛行体10を飛行させている場合であっても、回避飛行ルートRaや既存飛行ルートReを修正しつつ、修正したこれらの飛行ルートRa,Reに沿った自動操縦に切り替わり、操縦者Hの誤操作等に起因する危険エリアDへの飛行体10の接近を防止して、飛行体10を飛行させることができる。
【0076】
記憶部33は、各種情報を記憶する機能部である。本実施形態において、記憶部33には、既存飛行ルートReや、監視エリアの3Dマップ、設備Bの周囲に予め設定される危険エリアDの大きさ、飛行体10に関する情報(重量や受風面積)などが予め記憶されている。また、記憶部33には、危険エリア設定部23によって設定された危険エリアDや回避エリアFの位置・大きさ、生成された回避飛行ルートRaなどが適宜記憶される。
【0077】
図1及び
図2に示すように、操縦機器40は、所定の情報を表示可能な表示部41や、管理サーバ20及び飛行体10と無線通信可能な機器側通信ユニット42、表示部41に所定の情報を表示させるための機能部や飛行体10を遠隔操作するための機能部の他、操縦機器40に必要な各種動作を行うための機能を実行する機能部を有した機器側制御部43を備えている。機器側通信ユニット42は、飛行体側通信ユニット14及びサーバ側通信ユニット21と同様の構成を備えており、飛行体10及び管理サーバ20の各通信ユニット14,21と相互に各種通信を行う。また、本実施形態において、操縦機器40の機器側制御部43は、操縦機器40に設けられる衛星測位用受信機(図示せず)が生成した測位データを基に、当該操縦機器40の位置情報を生成する機能部(図示せず)を備えている。そして、生成された位置情報は管理サーバ20に送信される。
【0078】
本実施形態において、表示部41には、監視エリアAの二次元マップや三次元マップ、サーバ側制御部22から送信された回避飛行ルートRa、危険エリアDや回避エリアFの位置・範囲、遠隔操縦に必要な操作画面、点検継続の可否をサーバ側制御部22に送信するための入力画面などが表示される。
【0079】
〔飛行体制御システムの処理フロー〕
次に、以上の構成を備えた飛行体制御システムの処理フローについて、
図10~
図14を参照しつつ説明する。尚、以下においては、主として飛行管理部32による自動操縦によって飛行体10を飛行させて設備Bの点検を行う場合を例にとって説明する。また、監視エリアA内における爆発性ガス(或いは可燃性ガス)を取り扱っているエリア、及び飛行体10の落下により設備Bへ影響を及ぼす可能性があるエリアが予め危険エリアDとして設定されているものとする。
【0080】
まず、既存飛行ルートReに沿った飛行体10の飛行を開始させる(工程#1)。次に、飛行影響情報が取得されたか否かが判断される(工程#2)。そして、飛行影響情報が取得されている場合(工程#2:Yes)には工程#3へ移行し、飛行影響情報が取得されていない場合(工程#2:No)には、現在飛行している飛行ルートに沿った飛行が継続され(工程#4)、工程#32へ移行する。
【0081】
飛行影響情報が取得されている場合、当該飛行影響情報が気象情報、風情報及び災害情報のいずれであるかが判断される(工程#3)。
【0082】
飛行影響情報が気象情報であると判断された場合(工程#3:気象情報)、点検継続可否判断部29において、当該気象情報が飛行継続不可情報としての降雨情報、降雪情報及び濃霧情報のいずれかであるか否かが判断される(工程#5)。そして、気象情報が降雨情報、降雪情報及び濃霧情報のいずれかであると判断された場合(工程#5:Yes)には、ルート生成要否判断部24において、回避飛行ルートRaを生成する必要があると判断される。そして、回避飛行ルートRaを生成する必要があると判断された場合、飛行体10の位置情報、速度、重量及び受風面積、並びに、風向風速情報を基に、回避エリア設定部26によって回避エリアFが設定された後(工程#6)、発着場Pが危険エリアD内であるか否かが判断される(工程#7)。そして、発着場Pが危険エリアD内でない場合(工程#7:No)には、ルート生成部31において、第1帰還飛行ルートRr1を生成すると判断され(工程#8)、回避飛行ルートRaとして第1帰還飛行ルートRr1が生成される(工程#10)。一方、発着場Pが危険エリアD内である場合(工程#7:Yes)には、ルート生成部31において、第2帰還飛行ルートRr2を生成すると判断され(工程#9)、回避飛行ルートRaとして第2帰還飛行ルートRr2が生成される(工程#10)。また、気象情報が飛行継続不可情報でないと判断された場合(工程#5:No)には、ルート生成要否判断部24において、回避飛行ルートRaを生成する必要がないと判断され、現在飛行している飛行ルートに沿った飛行が継続され(工程#11)、工程#32へ移行する。
【0083】
また、飛行影響情報が風情報であると判断された場合(工程#3:風情報)、点検継続可否判断部29において、当該風情報が飛行継続不可情報としての強風情報であるか否かが判断される(工程#12)。そして、風情報が強風情報であると判断された場合(工程#12:Yes)には、ルート生成要否判断部24において、回避飛行ルートRaを生成する必要があると判断される。回避飛行ルートRaを生成する必要があると判断された場合、飛行体10の位置情報、速度、重量及び受風面積、並びに、風向風速情報を基に、回避エリア設定部26によって回避エリアFが設定された後(工程#13)、発着場Pが危険エリアD内であるか否かが判断される(工程#14)。そして、発着場Pが危険エリアD内でない場合(工程#14:No)には、ルート生成部31において、第1帰還飛行ルートRr1を生成すると判断され(工程#15)、回避飛行ルートRaとして第1帰還飛行ルートRr1が生成される(工程#17)。一方、発着場Pが危険エリアD内である場合(工程#14:Yes)には、ルート生成部31において、第2帰還飛行ルートRr2を生成すると判断され(工程#16)、回避飛行ルートRaとして第2帰還飛行ルートRr2が生成される(工程#17)。また、風情報が飛行継続不可情報でないと判断された場合(工程#12:No)には、ルート生成要否判断部24において、回避飛行ルートRaを生成する必要がないと判断され、現在飛行している飛行ルートに沿った飛行が継続され(工程#18)、工程#32へ移行する。
【0084】
一方、飛行影響情報が災害情報であると判断された場合(工程#3:災害情報)、点検継続可否判断部29において、当該災害情報が飛行継続不可情報としての危険災害情報であるか否かが判断される(工程#19)。そして、災害情報が危険災害情報であると判断された場合(工程#19:Yes)には、ルート生成要否判断部24において、回避飛行ルートRaを生成する必要があると判断され、工程#20へ移行する。一方、災害情報が飛行継続不可情報でないと判断された場合(工程#19:No)には、ルート生成要否判断部24において、回避飛行ルートRaを生成する必要がないと判断され、現在飛行している飛行ルートに沿った飛行が継続され(工程#30)、工程#32へ移行する。
【0085】
工程#20では、設備Bの周囲に予め設定される危険エリアDとは別の危険エリアDの設定が必要であるか否かが判断される。そして、危険エリアDの設定が必要であると判断された場合(工程#20:Yes)には、設備Bの破損状況や監視エリアA内の火災や浸水の発生状況を基に、危険エリア設定部23によって危険エリアDが設定され(工程#21)、工程#22へ移行する。一方、危険エリアDの設定が必要でないと判断された場合(工程#20:No)には、工程#22へ移行する。尚、工程#21では、設備Bの破損や監視エリアA内の火災や浸水によって設定が必要となったエリアと、設備Bの周囲に予め設定されている危険エリアDとを含むように危険エリアDが再設定される。
【0086】
工程#22では、飛行体10の位置情報、速度、重量及び受風面積、並びに、風向風速情報を基に、回避エリア設定部26によって回避エリアFが設定され、工程#23へ移行する。
【0087】
工程#23では、操縦者Hによって、点検を継続するか否かが判断される。例えば、災害による被害の拡大を防止する観点から被害状況の確認が必要であると判断した場合には、操縦者Hは点検を継続すると判断する。一方、そのような事情がない場合には、操縦者Hは安全面を考慮して点検を継続しないと判断する。そして、点検を継続しないと判断された場合(工程#23:No)には、ルート生成部31において、帰還飛行ルートRrを生成すると判断される(工程#24)。一方、点検を継続すると判断された場合(工程#25:Yes)には、ルート生成部31において、点検継続飛行ルートRcを生成すると判断され(工程#25)、回避飛行ルートRaとして点検継続飛行ルートRcが生成される(工程#29)。
【0088】
帰還飛行ルートRrを生成すると判断された場合、その後、ルート生成部31によって、発着場Pが危険エリアD内であるか否かが判断される(工程#26)。発着場Pが危険エリアD内でない場合(工程#26:No)には、ルート生成部31において、第1帰還飛行ルートRr1を生成すると判断され(工程#27)、回避飛行ルートRaとして第1帰還飛行ルートRr1が生成される(工程#29)。一方、発着場Pが危険エリアD内である場合(工程#26:Yes)には、ルート生成部31において、第2帰還飛行ルートRr2を生成すると判断され(工程#28)、回避飛行ルートRaとして第2帰還飛行ルートRr2が生成される(工程#29)。
【0089】
回避飛行ルートRaが生成された後、飛行管理部32によって当該回避飛行ルートRa(即ち、点検継続飛行ルートRc、第1帰還飛行ルートRr1及び第2帰還飛行ルートRr2のいずれか一の飛行ルート)に沿った飛行体10の飛行が開始され(工程#31)、工程#32へ移行する。
【0090】
回避飛行ルートRaに沿った飛行体10の飛行が開始された場合や現在の飛行ルートに沿った飛行を継続した場合、その後、落下予測エリア算出部25によって落下予測エリアEが算出される(工程#32)。次に、落下エリア判断部27によって、算出された落下予測エリアEが危険エリアD内であるか否かが判断される(工程#33)。そして、落下予測エリアEが危険エリアD内であると判断された場合(工程#33:Yes)には、飛行管理部32が、回避飛行ルートRa(回避飛行ルートRaが生成されていない場合には既存飛行ルートRe)を修正しつつ、当該回避飛行ルートRa(又は既存飛行ルートRe)に沿って自動操縦により飛行体10を飛行させ(工程#34)、工程#36へ移行する。一方、落下予測エリアEが危険エリアD内でないと判断された場合(工程#33:No)には、飛行管理部32が、回避飛行ルートRa(又は既存飛行ルートRe)に沿った飛行体10の飛行を継続させ(工程#35)、工程#36へ移行する。
【0091】
工程#36では、飛行管理部32によって、飛行体10が着陸したか否かが判断される。そして、飛行体10が着陸したと判断された場合(工程#36:Yes)には、処理を終了する。一方、飛行体10が着陸していないと判断された場合(工程#36:No)には、工程#2へ戻り、当該工程#2以降の処理を引き続き実行する。
【0092】
以上のように、本実施形態に係る飛行体制御システムによれば、飛行体10の飛行に影響を与える可能性がある天候や災害に関する飛行影響情報(気象情報、風情報及び災害情報)が、飛行継続不可情報(降雨情報、降雪情報、濃霧情報、強風情報及び危険災害情報)である場合に、現在の飛行ルートに沿って飛行体10を飛行させた状態での点検を継続しないと判断して、回避飛行ルートRa(点検継続飛行ルートRc、第1帰還飛行ルートRr1及び第2帰還飛行ルートRr2)を生成し、当該回避飛行ルートRaに沿って飛行体10を飛行させることができる。したがって、飛行体10の飛行に影響を与える事象を考慮して、飛行体10を安全な飛行ルートで飛行させることができる。
【0093】
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態では、飛行体10を自動操縦により飛行させる場合と、回避飛行ルートRaや既存飛行ルートReを操縦者Hに提示する場合とを飛行管理部32が適宜変更する態様としたが、これに限られるものではない。例えば、常に飛行体10を自動操縦により飛行させるようにしてもよいし、常に所定の飛行ルートを操縦者Hに提示するようにしてもよい。
【0094】
〔2〕上記実施形態では、回避飛行ルートRaが、点検継続飛行ルートRc、第1帰還飛行ルートRr1及び第2帰還飛行ルートRr2のいずれかである態様としたが、これに限られるものではなく、危険エリアDを回避する飛行ルートであれば、特に限定されるものではない。
【0095】
〔3〕上記実施形態では、飛行影響情報が気象情報又は風情報である場合に、点検継続飛行ルートRcを生成しない態様としたが、これに限られるものではない。例えば、気象情報や風情報が飛行継続不可情報(降雨情報、降雪情報、濃霧情報及び強風情報)である場合に、飛行影響情報が災害情報である場合と同様に、操縦者Hによって点検を継続するか否かを判断して、点検を継続すると判断した場合に点検継続飛行ルートRcを生成すると判断し、点検を継続しないと判断した場合に第1帰還飛行ルートRr1や第2帰還飛行ルートRr2を生成すると判断するようにしてもよい。
【0096】
〔4〕上記実施形態では、飛行影響情報が気象情報、風情報及び災害情報である態様としたが、これに限られるものではなく、例えば、飛行影響情報が気象情報のみ、風情報のみ、或いは災害情報のみである態様であってもよい。
【0097】
〔5〕上記実施形態では、飛行継続不可情報が、気象情報としての降雨情報、降雪情報及び濃霧情報、風情報としての強風情報、並びに災害情報としての危険災害情報の少なくともいずれかである態様としたが、これに限られるものではない。例えば、飛行体10を飛行させることができないことを示す情報であれば、降雨情報、降雪情報、濃霧情報、強風情報及び危険災害情報以外であってもよいし、5つの情報のいずれか1つのみであってもよい。
【0098】
〔6〕上記実施形態では、状況情報が、設備Bの破損状況、並びに監視エリアA内の火災状況及び浸水状況のいずれかに関する情報である態様としたが、これに限られるものではなく、危険エリアDの設定が必要となる状況に関する情報であれば、これらの状況に関する情報以外であってもよい。
【0099】
〔7〕上記実施形態では、第2帰還飛行ルートRr2の帰還先が操縦者Hのもとである態様としたが、これに限られるものではなく、発着場Pが危険エリアD内でなければ、帰還先が発着場Pである第2帰還飛行ルートRr2を生成することも可能である。帰還先が発着場Pである第2帰還飛行ルートRr2を生成すると判断する場合としては、発着場Pが危険エリアD内でないことを前提とした上で、元来た飛行ルート上に危険エリアDが設定された場合や、操縦者Hの下に戻るよりも発着場Pに戻る方が飛行距離が短くなる場合などである。
【0100】
〔8〕上記実施形態では、サーバ側制御部22が、飛行影響情報取得部28、状況情報取得部34、危険エリア設定部23、点検継続可否判断部29、ルート生成要否判断部24、落下予測エリア算出部25、回避エリア設定部26、落下エリア判断部27、ルート生成部31、飛行管理部32及び記憶部33を備える態様としたが、これらの機能部のうち、一部又は全部を飛行体側制御部15や機器側制御部43が備えていてもよい。例えば、これらサーバ側制御部22が備える機能部の全てを飛行体側制御部15及び機器側制御部43が分担して備える構成を採用し、管理サーバ20を設けることなく、飛行体10と操縦機器40とで設備Bの点検を行うようにしてもよい。
【0101】
〔9〕上記実施形態では、接近回避対応として、ルート生成部31で生成された回避飛行ルートRaや予め規定された既存飛行ルートReを修正しつつ、当該回避飛行ルートRaや既存飛行ルートReに沿って飛行体10を自動操縦により飛行させる対応を採用したが、これに限られるものではない。例えば、接近回避対応として、ジオフェンス等を利用し、危険エリアDに飛行体10が侵入しないように操縦者Hによる飛行体10の遠隔操縦に制限を加える対応を採用してもよい。この場合、操縦者Hによる遠隔操縦により飛行体10を飛行させている途中で、落下予測エリアEが危険エリアD内となるような事態が生じた場合に、遠隔操縦に制限が加えられる。そのため、操縦者Hが誤って飛行体10を危険エリアDに接近させるような操作を行ったとしても、当該操作が制限され、危険エリアDへの飛行体10の接近を防止でき、飛行体10を危険エリアDに可能な限り近づけないように飛行させることができる。
【0102】
〔10〕上記実施形態では、衛星測位用受信機12や加速度センサ13、風向風速計17a,17b,17c、状況情報取得部34、危険エリア設定部23、回避エリア設定部26、落下予測エリア算出部25、落下エリア判断部27を備える態様としたが、これらの一部又は全部を備えない態様であってもよい。
【0103】
〔11〕上記実施形態では、落下予測エリアEを算出する際に、飛行体10に設けられた加速度センサ13によって導出された加速度を用いるようにしていたが、これに限られるものではない。例えば、加速度センサ13から加速度が得られないような場合には、上記式1及び式2を基に加速度を算出し、この算出した加速度を用いて落下予測エリアEを算出するようにしてもよい。尚、この場合における飛行体10の速度は、例えば、飛行体10の位置情報を基に算出することができ、より具体的には、飛行体10の移動距離と当該距離だけ移動するのに要した時間とから算出することができる。
【0104】
〔12〕上記実施形態では、ルート生成部31で回避飛行ルートRaを生成する際に、記憶部33に記憶された3Dマップを利用する態様としたが、これに限られるものではない。例えば、電気通信回線を通じて外部から取得した3Dマップを利用してもよい。また、3Dマップを利用せずに、回避飛行ルートRaを生成するようにしてもよい。
【0105】
〔13〕上記実施形態では、監視エリアA内の1つの設備Bを点検する態様としたが、これに限られるものではなく、2以上の設備を同時に点検するようにしてもよい。尚、この場合、既存飛行ルートReは、全ての設備を同時に点検できるように設定される。
【0106】
〔14〕上記実施形態では、風向風速計17a,17b,17cを3つ設置する態様としたが、設置数は特に限定されない。
【0107】
〔15〕上記実施形態では、全球測位衛星システムを利用して飛行体10の平面位置及び高度を取得する態様としたが、これに限られるものではない。例えば、飛行体10の平面位置は、全球測位衛星システムを利用して取得し、飛行体10の高度は、飛行体10に気圧センサや超音波センサを設け、これを利用して取得するようにしてもよい。また、飛行体10の平面位置のみを取得するようにしてもよい。
【0108】
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、所定の飛行ルートに沿って飛行体を飛行させ、設備を点検する飛行体制御システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
10:飛行体
12:衛星測位用受信機(飛行体位置検出部)
13:加速度センサ(飛行体加速度導出部)
17a,17b,17c:風向風速計(風向風速検出部)
23:危険エリア設定部
24:ルート生成要否判断部
25:落下予測エリア算出部
26:回避エリア設定部
27:落下エリア判断部
28:飛行影響情報取得部
29:点検継続可否判断部
30:帰還先決定部
31:ルート生成部
32:飛行管理部
34:状況情報取得部
40:操縦機器
A:監視エリア
B:設備
D:危険エリア
E:落下予測エリア
F:回避エリア
P:発着場
H:操縦者
Re:既存飛行ルート
Ra:回避飛行ルート
Rc:点検継続飛行ルート
Rr:帰還飛行ルート
Rr1:第1帰還飛行ルート
Rr2:第2帰還飛行ルート