(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】非接触通信媒体
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
G06K19/077 160
G06K19/077 200
G06K19/077 156
(21)【出願番号】P 2020191454
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2019215841
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019239800
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕一
(72)【発明者】
【氏名】草野 一英
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昭彦
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-170592(JP,A)
【文献】特開2009-282688(JP,A)
【文献】国際公開第2006/126524(WO,A1)
【文献】特開平03-027598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触通信を行う電子部品と、
セラミックスからなり、前記電子部品を収容する収容体と、
前記収容体の少なくとも一部を覆うダンパと
を有
し、
前記収容体は、上面と、下面と、前記上面と前記下面とを繋ぐ側面とを有し、
前記ダンパは、前記側面の一部を覆っており、
前記側面のうち、少なくとも前記下面側の側面は、露出している、非接触通信媒体。
【請求項2】
前記収容体は、接着層を介して互いに接合される第1基材および第2基材を有し、接合された前記第1基材および前記第2基材の内部空間に前記電子部品を収容し、
前記接着層は、前記内部空間に露出した、前記第1基材および前記第2基材の壁面の少なくとも一部を覆っており、
前記ダンパは、前記接着層を覆う、請求項1に記載の非接触通信媒体。
【請求項3】
前記収容体は、
前記第2基材との接合端部の外周に位置する第1鍔部と、
前記第1基材との接合端部の外周に位置する第2鍔部と
を有し、
前記ダンパは、前記第1鍔部、前記第2鍔部および前記接着層を覆う、請求項2に記載の非接触通信媒体。
【請求項4】
前記ダンパは、湾曲した角部を有する、請求項2または3に記載の非接触通信媒体。
【請求項5】
前記第1基材および前記第2基材は、前記接着層との界面端部に湾曲した角部を有する、請求項2~4のいずれか一つに記載の非接触通信媒体。
【請求項6】
前記接着層は、前記第1基材および前記第2基材からはみ出ている、請求項2~5のいずれか一つに記載の非接触通信媒体。
【請求項7】
前記収容体は、
前記収容体の全周にわたって延在する凹部を有し、
前記ダンパは、前記凹部に位置する、請求項1~6のいずれか一つに記載の非接触通信媒体。
【請求項8】
前記収容体は、球形状である、請求項1~
7のいずれか一つに記載の非接触通信媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触通信媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency Identifier)タグを用いた物品管理が行われている。
【0003】
特許文献1には、工場等において高温で処理される部品の管理にRFIDタグを用いるために、断熱性を有する収容体でRFIDタグを封止する技術が開示されている。RFIDタグを封止した収容体は、部品に取り付けられ、部品とともに製造工程を流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した収容体には、たとえば製造工程を流れるうちに、欠けや割れなどの損傷が生じるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、収容体の損傷を抑制することができる非接触通信媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による非接触通信媒体は、電子部品と、収容体と、ダンパを有する。電子部品は、非接触通信を行う。収容体は、セラミックスからなり電子部品を収容する。ダンパは、収容体の少なくとも一部を覆う。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、収容体の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る非接触通信媒体の側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る非接触通信媒体の平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すIII-III線矢視における断面図である。
【
図4】
図4は、第1変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。
【
図5】
図5は、第2変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。
【
図6】
図6は、第2変形例に係る非接触通信媒体の平面図である。
【
図7】
図7は、第3変形例に係る非接触通信媒体の側面図である。
【
図8】
図8は、第3変形例に係る非接触通信媒体の平面図である。
【
図9】
図9は、第4変形例に係る非接触通信媒体の側面図である。
【
図10】
図10は、第4変形例に係る非接触通信媒体の平面図である。
【
図12】
図12は、第5変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。
【
図13】
図13は、第6変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。
【
図14】
図14は、第7変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。
【
図15】
図15は、第8変形例に係る非接触通信媒体の側面図である。
【
図16】
図16は、第8変形例に係る非接触通信媒体の平面図である。
【
図18】
図18は、第9変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図19】
図19は、第10変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図20】
図20は、第11変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図21】
図21は、第12変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図22】
図22は、第13変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図23】
図23は、第14変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図24】
図24は、第15変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図25】
図25は、第16変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図27】
図27は、第17変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【
図28】
図28は、第18変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示による非接触通信媒体を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示による非接触通信媒体が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。
【0013】
<非接触通信媒体の構成>
図1~
図3を参照して、実施形態に係る非接触通信媒体の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る非接触通信媒体の側面図である。
図2は、実施形態に係る非接触通信媒体の平面図である。
図3は、
図2に示すIII-III線矢視における断面図である。
【0014】
図1~
図3に示すように、実施形態に係る非接触通信媒体1は、電子部品10と、収容体20とを有する。電子部品10は、たとえばRFIDタグである。
【0015】
RFIDとしての電子部品10は、たとえばLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等からなる基板上に、非接触通信用のアンテナと、このアンテナを介して非接触通信を行うICチップと、識別情報を記憶したメモリとを有する。RFIDとしての電子部品10は、電磁誘導、電波等を用いた非接触通信により、メモリに記憶された識別情報を外部機器(たとえば、RFIDリーダー)に送信することができる。
【0016】
実施形態に係る非接触通信媒体1は、たとえば、電子部品10の耐熱温度を超える高温環境下において使用されることがある。たとえば、実施形態に係る非接触通信媒体1は、めっき処理される部品に取り付けられ、この部品とともにめっき処理される。めっき処理の温度は、たとえば、75℃~500℃である。また、実施形態に係る非接触通信媒体1は、部品とともに酸性の薬品やアルカリ性の薬品によって処理される場合がある。すなわち、実施形態に係る非接触通信媒体1は、電子部品10の耐薬品性を超える酸・アルカリ環境下において使用されることもある。
【0017】
そこで、実施形態に係る非接触通信媒体1では、電子部品10を高温環境、酸・アルカリ環境から保護するために、電子部品10を収容体20で封止することとした。
【0018】
収容体20は、セラミックスからなる第1基材21および第2基材22と、接着層23とを有しており、第1基材21と第2基材22とは、接着層23を介して互いに接合される。そして、収容体20は、接合された第1基材21と第2基材22とによって形成される内部空間26に電子部品10を収容する。
【0019】
第1基材21および第2基材22を構成するセラミックスとしては、たとえばコージュライトを用いることができる。コージュライトは、熱膨張係数が小さいことから、耐熱衝撃性に優れており、また、熱伝導率が低いことから、電子部品10に熱を伝え難い。このように、コージュライトを使用することで、電子部品10を高温環境から適切に保護することができる。なお、第1基材21および第2基材22を構成するセラミックスは、必ずしもコージュライトであることを要しない。この点については、後述する。
【0020】
接着層23は、接着剤からなる。接着剤は、非接触通信媒体1の使用環境に耐え得る耐熱性を有していればよい。このような接着剤としては、たとえば無機系の接着剤を用いることができる。また、接着剤としては、無機系の接着剤にセラミックス粉末を添加したものを用いてもよい。
【0021】
第1基材21および第2基材22は、円柱形状を有する。具体的には、第1基材21および第2基材22は、両端に平面視円形の平坦面(上端面および下端面)を有するとともに、上端面および下端面を繋ぐ曲面(外周面)を有する。接着層23は、第1基材21の下端面21aと第2基材22の上端面22aとの間に位置しており、接着層23によって接合された第1基材21および第2基材22は、全体として円柱形状(所謂コイン型)を有する。
【0022】
第2基材22の上端面22aには、凹部22bが位置しており、電子部品10は、かかる凹部22b内に収容される。凹部22bの大きさは、特に限定されるものではなく、少なくとも電子部品10よりも寸法の大きいものであればよい。凹部22bは、第1基材21および第2基材22が接着層23を介して接合されることにより密閉される。これにより、電子部品10は封止される。
【0023】
実施形態に係る非接触通信媒体1は、さらに、ダンパ28を有する。ダンパ28は、収容体20の外表面の少なくとも一部を覆う。ダンパ28は、たとえばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、シリコーンなどの耐熱性を有する樹脂で形成される。なお、ダンパ28は、少なくとも収容体20よりも靱性が高い材質からなるものであればよく、必ずしも樹脂からなることを要しない。
【0024】
このように、実施形態に係る非接触通信媒体1は、収容体20の少なくとも一部をダンパ28で覆うこととした。これにより、たとえば監視対象となる部品とともに製造工程を流れる間に収容体20が受ける物理的な衝撃をダンパ28により吸収することができる。したがって、実施形態に係る非接触通信媒体1によれば、収容体20の損傷を抑制することができる。
【0025】
また、ダンパ28は、収容体20と別体であるため交換が容易である。したがって、ダンパ28を取り替えることで、非接触通信媒体1を長期にわたって使用することができる。
【0026】
実施形態に係るダンパ28は、収容体20の外周面に沿って延在する帯形状を有しており、接着層23を全周にわたって覆っている。このように、接着層23をダンパ28で覆うことにより、第1基材21と第2基材22との剥がれを抑制することができる。
【0027】
<製造方法>
ここで、実施形態に係る非接触通信媒体1の製造方法の一例について説明する。
【0028】
まず、コージュライトの粉末および焼結助剤の粉末を準備する。焼結助剤は、たとえば、希土類酸化物(酸化イットリウム、酸化セリウムなど)、アルカリ金属酸化物(酸化リチウム、酸化ナトリウムなど)、アルカリ土類金属(酸化カルシウム)である。なお、コージェライトの粉末の代わりに、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素を所望のコージェライトの組成比に混合したものを用いても良い。つづいて、準備した粉末を溶媒である水とともに振動ミルに投入して、粉砕・混合して原料を得る。
【0029】
つづいて、粉砕・混合して得られた原料に対し、バインダー、可塑剤および離型剤などの有機成分を添加した後、これらを撹拌することによってスラリーを作製し、作製したスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥することによってセラミックス顆粒を作製する。
【0030】
つづいて、作成したセラミックス顆粒に対して粉末プレス成形を行って、第1基材21および第2基材22の成形体を得る。なお、凹部22b(
図3参照)もこの工程において金型により成形される。
【0031】
つづいて、大気雰囲気中、真空雰囲気中または窒素ガス雰囲気中にて成形体を熱処理することにより脱脂を行なった後、成形体の焼成を行なうことにより、第1基材21および第2基材22が得られる。
【0032】
つづいて、第2基材22の凹部22bに電子部品10を収容した後、第1基材21および第2基材22を接着剤を用いて接合することにより、電子部品10を収容した収容体20を得る。その後、この収容体20にダンパ28を取り付ける。たとえば、帯状のダンパ28を予め用意しておき、このダンパ28を収容体20に取り付けてもよい。また、収容体20に金型を取り付けて、かかる金型に樹脂を流し込むことにより、収容体20に取り付けられた帯状のダンパ28を作成してもよい。以上により、実施形態に係る非接触通信媒体1が得られる。
【0033】
<収容体およびダンパの角部に関する変形例>
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。まず、収容体およびダンパの角部に関する変形例について
図4を参照して説明する。
図4は、第1変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。
【0034】
図4に示すように、第1変形例に係る非接触通信媒体1Aは、収容体20Aを有する。収容体20Aは、第1基材21A、第2基材22Aおよび接着層23Aを有する。
【0035】
第1基材21Aおよび第2基材22Aは、円柱形状を有し、その角部はR状に湾曲している。具体的には、第1基材21Aは、上端面の周縁に、R状に湾曲した角部21A1を有する。同様に、第2基材22Aは、下端面の周縁にR状に湾曲した角部22A1を有する。
【0036】
このように、第1変形例に係る第1基材21Aおよび第2基材22Aは、湾曲した角部21A1,22A1を有する。したがって、第1変形例に係る非接触通信媒体1Aによれば、第1基材21Aおよび第2基材22Aの欠けを生じ難くすることができる。
【0037】
また、第1基材21Aは、接着層23Aとの界面端部である下端面21Aaの周縁にも、R状に湾曲した角部21A2を有する。同様に、第2基材22Aは、接着層23Aとの界面端部である上端面22Aaの周縁にも、R状に湾曲した角部22A2を有する。
【0038】
このように、第1変形例に係る第1基材21Aおよび第2基材22Aは、接着層23Aとの界面端部に湾曲した角部21A2,22A2を有する。これにより、界面端部における接着層23Aの厚みが厚くなるため、第1基材21Aと第2基材22Aとの剥がれを抑制することができる。たとえば、第1基材21Aと第2基材22Aとの剪断方向における剥がれ、すなわち、第1基材21Aと第2基材22Aとが接合面に沿って互いにずれることによる剥がれを好適に抑制することができる。
【0039】
また、第1変形例に係るダンパ28Aも、R状に湾曲した角部28A1,28A2を有する。具体的には、ダンパ28Aは、収容体20Aからの張り出し方向における先端部に、R状に湾曲した角部28A1,28A2を有する。このように、ダンパ28Aの角部28A1,28A2を湾曲させることにより、ダンパ28Aの損傷を抑制することができる。
【0040】
<ダンパの変形例>
次に、ダンパの変形例について
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、第2変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。また、
図6は、第2変形例に係る非接触通信媒体の平面図である。
【0041】
図5および
図6に示すように、第2変形例に係る非接触通信媒体1Bは、収容体20の全体を覆うダンパ28Bを有する。このように、収容体20の全体をダンパ28Bで覆ってもよい。これにより、収容体20の損傷をより確実に抑制することができる。また、接着層23が覆われるだけでなく、第1基材21と第2基材22とがダンパ28Bで固定されるようになるため、第1基材21と第2基材22との剥がれもより確実に抑制することができる。
【0042】
なお、第2変形例に係る非接触通信媒体1は、たとえば、作製した収容体20を溶融状の樹脂にディップ(浸漬)することにより得ることができる。
【0043】
<収容体の全体形状に関する変形例>
次に、収容体の全体形状に関する変形例について説明する。
図7は、第3変形例に係る非接触通信媒体の側面図である。また、
図8は、第3変形例に係る非接触通信媒体の平面図である。
【0044】
図7および
図8に示すように、第3変形例に係る非接触通信媒体1Cは、電子部品10と、収容体20Cと、ダンパ28Cとを有する。収容体20Cは、第1基材21C、第2基材22Cおよび接着層23Cを有する。
【0045】
第3変形例に係る収容体20Cは、球形状を有する。具体的には、第1基材21Cおよび第2基材22Cは、半球形状を有しており、これらが接着層23Cを介して接合されることにより、収容体20Cは球形状となる。
【0046】
第3変形例に係るダンパ28Cは、帯形状を有しており、接着層23Cを覆う。なお、ダンパ28Cは、収容体20Cの全体を覆ってもよい。
【0047】
このように、収容体20Cを球形状とすることで、収容体20Cの欠けや割れなどの損傷をより確実に抑制することができる。
【0048】
図9は、第4変形例に係る非接触通信媒体の側面図であり、
図10は、第4変形例に係る非接触通信媒体の平面図であり、
図11は、
図10に示すXI-XI矢視断面図である。
【0049】
図9~
図11に示すように、第4変形例に係る非接触通信媒体1Dは、電子部品10(
図11参照)と、収容体20Dと、ダンパ28Dとを有する。
【0050】
収容体20Dは、第1基材21Dと、第2基材22Dと、接着層23Dと、第1鍔部24Dと、第2鍔部25Dとを有する。第1基材21D、第2基材22Dおよび接着層23Dは、たとえば、第3変形例に係る第1基材21C、第2基材22Cおよび接着層23Cと同様、全体として球形状を有する。なお、第1基材21D、第2基材22Dおよび接着層23Dは、実施形態に係る第1基材21、第2基材22および接着層23のように、全体として円柱形状を有していてもよい。
【0051】
第1鍔部24Dは、第1基材21Dの外周面から鍔状に張り出した部位であり、第1基材21Dの全周にわたって延在する円環形状を有する。同様に、第2鍔部25Dは、第2基材22Dの外周面から鍔状に張り出した部位であり、第2基材22Dの全周にわたって延在する円環形状を有する。
【0052】
第1鍔部24Dおよび第2鍔部25Dは、第1基材21Dおよび第2基材22Dと同一のセラミックス(たとえば、コージュライト)からなる。同一のセラミックスで形成することで、熱膨張係数が同一となるため、たとえば急激な温度変化が生じとしても、第1基材21Dおよび第2基材22Dと第1鍔部24Dおよび第2鍔部25Dとの間で、熱膨張係数の違いによるクラック等が発生し難い。具体的には、第1鍔部24Dは、第1基材21Dと一体に形成され、第2鍔部25Dは、第2基材22Dと一体に形成される。
【0053】
第1鍔部24Dは、その下端面が第1基材21Dの下端面21aと面一になるように、第1基材21Dの下端面21Da側の端部の外周に位置する。また、第2鍔部25Dは、その上端面が第2基材22Dの上端面22Daと面一になるように、第2基材22Dの上端面22Da側の端部の外周に位置する。
【0054】
このように、第4変形例に係る非接触通信媒体1Dは、第1基材21Dにおける第2基材22Dとの接合端部の外周に第1鍔部24Dを有するとともに、第2基材22Dにおける第1基材21Dとの接合端部の外周に第2鍔部25Dを有する。
【0055】
接着層23Dは、第1基材21Dと第2基材22Dとの間だけでなく、第1鍔部24Dと第2鍔部25Dとの間にも位置する。これにより、第1鍔部24Dおよび第2鍔部25Dを有しない場合と比較して接合領域が広がることから、第4変形例に係る非接触通信媒体1Dによれば、第1基材21Dと第2基材22Dとの接合をより確実なものとすることができる。すなわち、収容体20Dの接合部分を剥がれ難くすることができる。
【0056】
また、第4変形例に係るダンパ28Dは、帯形状を有しており、第1鍔部24D、第2鍔部25Dおよび接着層23Dを覆う。
【0057】
第1鍔部24Dおよび第2鍔部25Dは、第1基材21Dおよび第2基材22Dの外表面から張り出しているため、欠けや割れなどの損傷が生じ易い。これに対し、第4変形例に係る非接触通信媒体1Dのように、第1鍔部24Dおよび第2鍔部25Dをダンパ28Dで覆うことにより、第1鍔部24Dおよび第2鍔部25Dの損傷を抑制することができる。
【0058】
このように、第4変形例に係る非接触通信媒体1Dによれば、第1鍔部24Dおよび第2鍔部25Dを有する収容体20Dを適切に保護することができる。
【0059】
図12は、第5変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。
図12に示すように、第5変形例に係る非接触通信媒体1Eは、電子部品10と、収容体20Eと、ダンパ28Eとを有する。
【0060】
第5変形例に係る収容体20Eは、収容体20Eの全周にわたって延在する凹部29を有する。具体的には、凹部29は、第1基材21Eの第2基材22Eとの接合端部における外周部21E5と、第2基材22Eの第1基材21Eとの接合端部における外周部22E5とに跨がるように位置している。
【0061】
第5変形例に係るダンパ28Eは、帯形状を有しており、収容体20Eが有する凹部29に位置する。
【0062】
このように、収容体20Eにダンパ28Eを嵌め込むための凹部29を設けることで、ダンパ28Eの位置が固定されるため、たとえば非接触通信媒体1Eの使用中にダンパ28Eが収容体20Eから外れることを抑制することができる。また、収容体20Eに凹部29があることで、ダンパ28Eを収容体20Eに取り付ける作業を容易化することができる。
【0063】
なお、ここでは、ダンパ28Eが矩形状を有しており、収容体20Eからはみ出す場合の例を示したが、ダンパ28Eの形状はこれに限定されない。たとえば、
図13に示す第6変形例に係る非接触通信媒体1Fが有するダンパ28Fは、収容体20Eの外表面と面一になるように湾曲した外表面を有する。ダンパ28Fをかかる形状とすることにより、非接触通信媒体1Fの使用中にダンパ28Fが収容体20Eから外れることをより確実に抑制することができる。
【0064】
また、ここでは、収容体20Eが球形状である場合の例を示したが、収容体20Eの形状は球形状に限定されず、たとえば円柱形状等であってもよい。
【0065】
<接着層に関する変形例>
次に、接着層に関する変形例について
図14を参照して説明する。
図14は、第7変形例に係る非接触通信媒体の断面図である。
【0066】
図14に示すように、第7変形例に係る非接触通信媒体1Gは、収容体20Gを有する。第7変形例に係る収容体20Gの接着層23Gは、第1基材21および第2基材22の間からはみ出している。具体的には、接着層23Gは、収容体20Gの全周にわたってはみ出している。ただし、接着層23Gは、収容体20Gの周方向のうち一部からはみ出した構成であってもよい。
【0067】
このように、接着層23Gが第1基材21および第2基材22からはみ出ていることにより、第1基材21と第2基材22とをより強固に接合することができる。したがって、第1基材21と第2基材22とをより確実に抑制することができる。
【0068】
また、第7変形例に係るダンパ28Gは、帯形状を有しており、第1基材21および第2基材22からはみ出した接着層23Gを覆う。したがって、第1基材21と第2基材22との剥がれを抑制することができるとともに、はみ出した接着層23Gによってダンパ28Gを収容体20Gにより強固に固定しておくことができる。
【0069】
なお、ここでは、円柱形状の収容体20Gを例に挙げて説明したが、これに限らず、たとえば、
図7等に示す球形状の収容体20C~20Eにおいて接着層23Gがはみ出ていてもよい。
【0070】
<電子部品の押さえ込み構造に関する変形例>
ところで、従来技術には、RFIDタグ等の電子部品が収容空間内で動くことによって電子部品に欠けなどの損傷が生じることを抑えるという点でさらなる改善の余地がある。そこで、非接触通信媒体は、電子部品の押さえ込み構造を有していてもよい。
【0071】
<第8変形例>
まず、
図15~
図17を参照して、上記押さえ込み構造を有する第8変形例に係る非接触通信媒体の構成について説明する。
図15は、第8変形例に係る非接触通信媒体の側面図である。また、
図16は、第8変形例に係る非接触通信媒体の平面図である。また、
図17は、
図16に示すXVII-XVII線矢視における断面図である。
【0072】
なお、以下の第8変形例~第10変形例に示す電子部品10の押さえ込み構造は、上述した実施形態および第1変形例~第7変形例に係る非接触通信媒体に適宜組み込むことが可能である。
【0073】
図15~
図17に示すように、第8変形例に係る非接触通信媒体1Lは、電子部品10と、収容体200とを有する。電子部品10は、たとえばRFIDタグである。
【0074】
収容体200は、セラミックスからなる第1基材210および第2基材220と、接着層230とを有しており、第1基材210と第2基材220とは、接着層230を介して互いに接合される。具体的には、第1基材210および第2基材220は、互いに対向する略同径の平坦面210a,220aを有しており、これら平坦面210a,220aが接着層230を介して接合される。以下では、第1基材210の平坦面210aを「第1平坦面210a」と記載し、第2基材220の平坦面220aを「第2平坦面220a」と記載する。
【0075】
第1基材210は、電子部品10を収容する収容凹部250を有する。収容凹部250は、第1平坦面210aの中央部に開口する。第1平坦面210aは、第2基材220の第2平坦面220aによって閉塞される。これにより、電子部品10は、収容体200の内部に封止される。
【0076】
接着層230は、接着剤からなる。接着剤は、非接触通信媒体1Lの使用環境に耐え得る耐熱性を有していればよい。
【0077】
第1基材210および第2基材220は、ともに円柱形状を有する。具体的には、第1基材210および第2基材220は、両端に平面視円形の平坦面(上端面および下端面)を有するとともに、上端面および下端面を繋ぐ曲面(外周面)を有する。接着層230は、第1基材210の上端面である第1平坦面210aと第2基材220の下端面である第2平坦面220aとの間に位置しており、接着層230によって接合された第1基材210および第2基材220は、全体として円柱形状(所謂コイン型)を有する。
【0078】
第1基材210の第1平坦面210aには、収容凹部250が位置しており、電子部品10は、かかる収容凹部250内に収容される。収容凹部250の内部は空間であり、充填剤などは位置していない。
【0079】
図17に示すように、第2基材220は、第2平坦面220aから突出して収容凹部250に入り込む収容凸部260を有する。
【0080】
このように、収容凹部250の内部に収容凸部260を入り込ませることで、収容凹部250の内部空間を狭めることができる。収容凹部250の内部空間が狭まることで、仮に収容凹部250の内部空間において電子部品10が動いたとしても、その移動量は少なくなる。したがって、第8変形例に係る非接触通信媒体1Lによれば、電子部品10が収容凹部250内で動くことによって電子部品10に欠けなどの損傷が生じることを抑えることができる。
【0081】
また、第8変形例に係る非接触通信媒体1Lは、収容凸部260の先端面260aと収容凹部250の底面250aとで電子部品10を挟み込むこととしている。これにより、収容凹部250内での電子部品10の移動を抑制することができる。また、収容凹部250の内部は空間であり、電子部品10は、収容凸部260の先端面260aおよび収容凹部250の底面250a以外の部材(たとえば充填剤など)には接していない。したがって、たとえば電子部品10を充填剤等によって固定した場合と比較して、外部からの熱が電子部品10に伝わり難くなっている。
【0082】
このように、収容凸部260の先端面260aと収容凹部250の底面250aとで電子部品10を挟み込む構造とすることで、電子部品10への熱伝導を抑制しつつ、電子部品10に欠けなどの損傷が生じることを抑えることができる。
【0083】
また、第8変形例に係る収容凸部260の先端面260aは、収容凹部250の底面250aに向かって、言い換えれば、電子部品10に向かって湾曲している。これにより、収容凸部260と電子部品10との接触面積を小さくすることができる。したがって、第2基材220から電子部品10への熱伝導を抑制することができる。
【0084】
<第9変形例>
図18は、第9変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図18に示すように、第9変形例に係る非接触通信媒体1Mが有する収容体200Mは、第2基材220Mを有する。
【0085】
第2基材220Mが有する収容凸部260Mの先端面は曲面状に凹んでおり、この凹んだ部分に電子部品10の少なくとも一部が収まっている。第9変形例において、電子部品10は、収容凸部260Mの凹み面260M1に点接触しており、かかる凹み面260M1と収容凹部250の底面250aとで挟み込まれた状態となっている。
【0086】
このように、収容凸部260Mの先端面は凹んでいてもよい。この場合も、電子部品10と収容凸部260Mとの接触面積を小さくすることができる。したがって、第2基材220Mから電子部品10への熱伝導を抑制しつつ、電子部品10の動きを抑制することができる。
【0087】
<第10変形例>
図19は、第10変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図19に示すように、第10変形例に係る非接触通信媒体1Nが有する収容体200Nは、第2基材220Nを有する。
【0088】
第2基材220Nが有する収容凸部260Nの先端面は凹んでおり、その凹み面260N1はたとえば平坦面となっている。電子部品10は、かかる凹み面260N1に面接触しており、かかる凹み面260N1と収容凹部250の底面250aとで挟み込まれた状態となっている。
【0089】
このように、電子部品10と収容凸部260Nとを面接触させることで、電子部品10の動きをより確実に抑制することができる。また、凹み面260N1の外周に位置する縁部260N2は、凹み面260N1よりも収容凹部250の底面250aに向かって突出している。このため、仮に電子部品10が動いたとしても、縁部260N2に電子部品10が突き当たることで、電子部品10の移動量を少なくすることができ、電子部品10に欠けなどの損傷が生じることを抑えることができる。
【0090】
<第11変形例>
図20は、第11変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図20に示すように、第11変形例に係る非接触通信媒体1Pが有する収容体200Pは、第2基材220Pを有する。
【0091】
第2基材220Pが有する収容凸部260Pの先端面は凹んでおり、その凹み面260P1は、平坦面となっている。
【0092】
第11変形例において、凹み面260P1の外周に位置する縁部260P2は、収容凹部250の底面250aに接触しており、電子部品10は、収容凸部260Pの凹んだ部分に完全に収まった状態となっている。
【0093】
このように、収容凸部260Pの縁部260P2は、収容凹部250の底面250aに接触してもよい。この場合、収容凸部260Pは、第1平坦面210aと第2平坦面220aとの間隔を規定するスペーサとしても機能する。したがって、第11変形例に係る非接触通信媒体1Pによれば、複数の非接触通信媒体1P間で接着層230の厚みがばらつくことを抑制することができる。言い換えれば、複数の非接触通信媒体1P間における品質のばらつきを抑えることができる。
【0094】
<第12変形例>
図21は、第12変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図21に示すように、第12変形例に係る非接触通信媒体1Qが有する収容体200Qは、第2基材220Qを有する。
【0095】
第2基材220Qが有する収容凸部260Qは、先端面から突出する複数の突起260Q1を有する。第12変形例において、電子部品10は、これら複数の突起260Q1と収容凹部250の底面250aとで挟み込まれた状態となっている。
【0096】
ここでは、収容凸部260Qの先端面に複数の突起260Q1が設けられる場合の例を示したが、収容凸部260Qは、少なくとも1つの突起260Q1を有していればよい。
【0097】
このように、収容凸部260Qは、先端面から突出する少なくとも1つの突起260Q1を有していてもよい。この場合も、電子部品10と収容凸部260Qとの接触面積を小さくすることができる。したがって、第2基材220Qから電子部品10への熱伝導を抑制しつつ、電子部品10の動きを抑制することができる。
【0098】
また、複数の突起260Q1を設けることで、収容凸部260Qと電子部品10とが多点で接触するようになるため、電子部品10と収容凸部260Qとの接触面積を小さくしつつも、電子部品10の動きをより確実に抑制することができる。
【0099】
<第13変形例>
図22は、第13変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図22に示すように、第13変形例に係る非接触通信媒体1Rが有する収容体200Rは、たとえば第12変形例と同様の第2基材220Qを有する。
【0100】
また、第13変形例に係る収容体200Rは、第1基材210Rを有する。第1基材210Rは、収容凹部250Rを有する。収容凹部250Rは、底面250aから突出する複数の突起250R1を有する。第13変形例において、電子部品10は、収容凸部260Qに設けられた複数の突起260Q1と、収容凹部250Rに設けられた複数の突起250R1とで挟み込まれた状態となっている。
【0101】
ここでは、収容凹部250Rの底面250aに複数の突起250R1が設けられる場合の例を示したが、収容凹部250Rは、少なくとも1つの突起250R1を有していればよい。
【0102】
このように、収容凹部250Rは、底面250aから突出する少なくとも1つの突起250R1を有していてもよい。この場合も、電子部品10と収容凹部250Rとの接触面積を小さくすることができる。したがって、第1基材210Rから電子部品10への熱伝導を抑制しつつ、電子部品10の動きを抑制することができる。
【0103】
また、複数の突起250R1を設けることで、収容凹部250Rと電子部品10とが多点で接触するようになるため、電子部品10と収容凹部250Rとの接触面積を小さくしつつも、電子部品10の動きをより確実に抑制することができる。
【0104】
また、2つの突起250R1の間に電子部品10が収まるように突起250R1同士の間隔を設定することで、電子部品10の位置決めを容易化することができる。
【0105】
<第14変形例>
図23は、第14変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図23に示すように、第14変形例に係る非接触通信媒体1Sが有する収容体200Sは、収容凸部260の先端面260aにクッション材270S1を有する。また、収容体200Sは、収容凹部250の底面250aにもクッション材270S2を有する。
【0106】
クッション材270S1,270S2は、セラミックスからなる第1基材210および第2基材220よりも柔軟性が高い材料、たとえば樹脂等で形成される。このような樹脂としては、たとえば、シリコーン、アミド系、イミド系、アミド・イミド系の樹脂が好適に用いられ得る。また、クッション材270S1,270S2は、耐熱性を有することが好ましい。
【0107】
第14変形例において、電子部品10は、クッション材270S1,270S2を介して収容凸部260と収容凹部250とに挟み込まれる。このため、たとえば収容体200Sが衝撃を受けた場合であっても、クッション材270S1,270S2が衝撃を吸収することで、電子部品10に衝撃が伝わることを抑制することができる。したがって、第14変形例に係る非接触通信媒体1Sによれば、電子部品10の損傷をより確実に抑制することができる。
【0108】
ここでは、収容凸部260および収容凹部250の両方にクッション材270S1,270S2が設けられる場合の例を示したが、クッション材270S1,270S2は、収容凸部260および収容凹部250の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0109】
<第15変形例>
図24は、第15変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図24に示すように、第15変形例に係る非接触通信媒体1Tが有する収容体200Tは、第2基材220Tを有する。
【0110】
第15変形例に係る第2基材220Tが有する収容凸部260Tは、第1基材210および第2基材220Tよりも柔軟性が高いクッション材からなる。
【0111】
このように、収容凸部260T全体がクッション材で形成されてもよい。これにより、たとえば電子部品10の寸法に応じて収容凸部260Tを取り替えることができる。
【0112】
<第16変形例>
図25は、第16変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。また、
図26は、
図25に示すXXVI-XXVI線矢視における断面図である。
図25に示すように、第16変形例に係る非接触通信媒体1Uが有する収容体200Uは、第2基材220Uを有する。
【0113】
図25および
図26に示すように、第2基材220Uが有する収容凸部260Uは、先端面から周状に突出する突起260U1を有する。第16変形例において、電子部品10は、かかる周状の突起260U1と収容凹部250の底面250aとで挟み込まれた状態となっている。
【0114】
このように、収容凸部260Uは、先端面から周状に突出する突起260U1を有していてもよい。これにより、電子部品10と収容凸部260Uとの接触面積を小さくしつつも、電子部品10の動きをより確実に抑制することができる。
【0115】
<第17変形例>
図27は、第17変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図27に示すように、第17変形例に係る非接触通信媒体1Vが有する収容体200Vは、接着層230Vを有する。
【0116】
第17変形例に係る接着層230Vは、第1基材210および第2基材220の間からはみ出している。接着層230Vは、収容体200Vの全周にわたってはみ出している。なお、接着層230Vは、少なくとも収容体200Vの周方向のうち一部からはみ出していればよい。
【0117】
このように、接着層230Vが第1基材210および第2基材220からはみ出していることにより、第1基材210と第2基材220とをより強固に接合することができる。
【0118】
<第18変形例>
図28は、第18変形例に係る非接触通信媒体の拡大断面図である。
図28に示すように、第18変形例に係る非接触通信媒体1Wが有する収容体200Wは、球形状を有する。具体的には、第1基材210Wおよび第2基材220Wは、半球形状を有しており、これらが接着層230Wを介して接合されることにより、球形状の収容体200Wが得られる。
【0119】
このように、収容体200Wを角部がない球形状とすることで、収容体200Wの欠けや割れなどの損傷をさらに抑制することができる。
【0120】
<その他の変形例>
第1基材および第2基材を構成するセラミックスは、コージェライトに限定されない。たとえば、第1基材および第2基材を構成するセラミックスは、Al2O3(アルミナ)、Si3N4(窒化ケイ素)、SiC(炭化ケイ素)、Al2TiO5(チタン酸アルミニウム)であってもよい。また、第1基材および第2基材を構成するセラミックスは、Li2O-Al2O3-SiO2等の結晶化ガラスであってもよい。
【0121】
収容体は、明度指数L*(Lab色空間における明度を表す次元Lの値)が50以上であることが好ましい。これにより、収容体に付着した汚れが目立ちやすくなるため、交換時期を容易に判断することができる。また、明度指数L*を50未満とした場合(すなわち、暗色とした場合)と比べて熱がこもりにくいため、電子部品に熱が伝わりにくくすることができる。なお、収容体の明度は、たとえば顔料によって調整することができる(たとえば、特許第5762522号公報、特許第5744045号公報参照)。
【0122】
また、第1基材と第2基材とで、色を異ならせてもよい。これにより、上下の視認性が高まるため、監視対象となる部品等に非接触通信媒体を取り付ける作業を容易化することができる。たとえば、作業者は、監視対象となる部品等により近い位置に電子部品を配置させたい場合に、第1基材および第2基材のうち、電子部品が収容されている第1基材を容易に特定することができ、かかる第1基材を監視対象となる部品等の近くに配置させることができる。
【0123】
第1基材と第2基材とで、色を異ならせる場合、電子部品が収容される第1基材の色を第2基材よりも明るくしてもよい。これにより、上下の視認性を高めつつ、電子部品に熱が伝わりにくくすることができる。その他、電子部品は、明度指数が低い部材から遠く離れていることが好ましい。これにより、電子部品により熱が伝わりにくくすることができる。
【0124】
電子部品は、RFIDタグに限定されるものではなく、非接触通信を行うものであれば他の電子部品であってもよい。たとえば、電子部品は、非接触通信機能を有するセンサであってもよい。また、センサは、たとえば温度センサなど、監視対象となる部品の処理環境を測定するセンサであってもよい。
【0125】
本開示による非接触通信媒体が取り付けられる部品は、めっき処理される部品に限定されない。
【0126】
たとえば、本開示による非接触通信媒体は、金属材料の鋳造工場において製造される鋳片等の部品に取り付けられてもよい。
【0127】
また、本開示による非接触通信媒体は、ゴム製品の製造工程における加硫工程での物品管理に用いられてもよい。
【0128】
加硫工程とは、ゴム系の原材料の弾性限界を高めるために、上記原材料に配合した硫黄や過酸化物などを温度および時間をかけて化学反応させて分子の架橋を行う工程である。なお、加硫工程では、圧力も加えられる場合もある。加硫工程における温度は、たとえば100℃~200℃である。また、加硫工程における圧力は、たとえば0.5MPa~2MPaである。
【0129】
一例として、本開示による非接触通信媒体は、リトレッドタイヤとして再生される使用済みタイヤに取り付けられてもよい。リトレッドタイヤは、使用済みタイヤの表面を削り、その上に新品のゴムシートを貼り付けた後、加硫することにより得られる。
【0130】
リトレッドタイヤの加硫工程としては、リモールド方式とプレキュア方式とが知られている。リモールド方式は、使用済みタイヤの表面に未加硫のゴムシートを貼り合わせた後、金型を用いて高温・高圧で加硫する方式である。また、プレキュア方式は、使用済みタイヤの表面に加硫済みのゴムシートを貼り合わせた後、加硫缶内において低温・低圧で加硫する方式である。本開示による非接触通信媒体は、リモールド方式およびプレキュア方式のいずれにも適用可能である。特に、プレキュア方式は、少量多品種生産向けであることから、人手を介した検査工程が比較的多い。これに対し、本開示による非接触通信媒体による物品管理を行うことで、人的コストを削減することができ、リトレッドタイヤの生産効率を高めることができる。
【0131】
本開示による非接触通信媒体は、ゴムシートが貼り付けられるトレッド部以外の場所に取り付けられることが好ましい。たとえば、本開示による非接触通信媒体は、使用済みタイヤの内部に配置されてもよい。
【0132】
また、本開示による非接触通信媒体は、医療器具(たとえば、鉗子、持針器など)に取り付けられてもよい。
【0133】
医療の分野では、医療器具の体内遺残の防止、医療器具の管理の合理化、手術中における医療器具の取り違えの防止等を如何にして実現するかが課題となっている。これに対し、本開示による非接触通信媒体を医療器具に取り付けることで、個々の医療器具をRFIDタグにより管理することが可能となることから、上記課題の解決に貢献し得る。
【0134】
また、本開示による非接触通信媒体は、体内の病変部位を特定するためのマーキングに用いられてもよい。
【0135】
従来のマーキング方法としては、生体用色素着色法が知られている。生体用色素着色法は、検査時に発見された体内の病変部位を色素で着色するものである。しかしながら、生体用色素着色法は、着色範囲が広く、また、時間の経過とともに色素が拡散することから、病変部位を精緻に特定することが困難である。また、その他のマーキング方法として、金属製の針やクリップを病変部位に留置する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、手術の際にCTスキャン装置を用意する必要があることや必要以上の放射線被曝が発生するおそれがあること等が課題となっている。
【0136】
本開示による非接触通信媒体をマーキングに用いる場合、まず、手術前に、本開示による非接触通信媒体を病変部位に留置する。その後、手術中において、センサアンテナを用い、たとえばRFIDタグおよびセンサアンテナ間の距離等を測定することにより、RFIDの位置すなわち病変部位の位置を推定する。
【0137】
このように、本開示による非接触通信媒体をマーキングに用いる場合、本開示による非接触通信媒体は、体内に留置されることから、できるだけ小型であることが望ましい。この点、本開示の収容体を構成するセラミックスは、たとえば樹脂と比べて誘電率が高く、RFIDによる通信を阻害しにくい。このため、本開示の非接触通信媒体は、たとえば樹脂製の収容体を有する非接触通信媒体と比べて小型化することが可能である。
【0138】
上述してきたように、実施形態に係る非接触通信媒体(一例として、非接触通信媒体1,1A~1G)は、電子部品(一例として、電子部品10)と、収容体(一例として、収容体20,20A,20C~20E)と、ダンパ(一例として、ダンパ28,28A~28G)を有する。電子部品は、非接触通信を行う。収容体は、セラミックスからなり電子部品を収容する。ダンパは、収容体の少なくとも一部を覆う。これにより、収容体の損傷を抑制することができる。
【0139】
収容体は、接着層(一例として、接着層23,23A,23C~23E,23G)を介して互いに接合される第1基材(一例として、第1基材21,21A,21C~21E)および第2基材(一例として、第2基材22,22A,22C~22E)を有し、接合された第1基材および第2基材の内部空間(一例として、内部空間26)に電子部品を収容する。この場合、ダンパは、接着層を覆ってもよい。これにより、第1基材と第2基材との剥がれを抑制することができる。
【0140】
収容体は、第2基材との接合端部の外周に位置する第1鍔部(一例として、第1鍔部24D)と、第1基材との接合端部の外周に位置する第2鍔部(一例として、第2鍔部25D)とを有していてもよい。この場合、ダンパは、第1鍔部、第2鍔部および接着層を覆ってもよい。第1鍔部および第2鍔部により接合領域が広がるため、第1基材と第2基材との接合をより確実なものとすることができる。また、第1鍔部および第2鍔部をダンパで覆うことにより、第1鍔部および第2鍔部の損傷を抑制することができる。
【0141】
ダンパは、湾曲した角部(一例として、角部28A1,28A2)を有していてもよい。これにより、ダンパの損傷を抑制することができる。
【0142】
第1基材および第2基材は、接着層との界面端部に湾曲した角部(一例として、角部21A2,22A2)を有していてもよい。これにより、界面端部における接着層の厚みを増すことができるため、第1基材と第2基材との剥がれを抑制することができる。
【0143】
接着層は、第1基材および第2基材からはみ出ていてもよい。これにより、第1基材と第2基材とをより強固に接合することができる。
【0144】
収容体は、収容体の全周にわたって延在する凹部(一例として、凹部29)を有していてもよい。この場合、ダンパは、凹部に位置していてもよい。これにより、ダンパの位置ずれを抑制することができる。また、ダンパの取り付け容易性を高めることができる。
【0145】
ダンパは、収容体の全体を覆ってもよい。これにより、収容体の損傷をより確実に抑制することができる。
【0146】
収容体は、球形状であってもよい。これにより、収容体の欠けや割れなどの損傷をより確実に抑制することができる。
【0147】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0148】
1 :非接触通信媒体
10 :電子部品
20 :収容体
21 :第1基材
22 :第2基材
23 :接着層
26 :内部空間
28 :ダンパ