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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】電磁波検出装置及び電磁波検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20241213BHJP
   G02B 6/35 20060101ALN20241213BHJP
   G02B 7/40 20210101ALN20241213BHJP
   G03B 13/36 20210101ALN20241213BHJP
   H04N 23/55 20230101ALN20241213BHJP
   H04N 23/56 20230101ALN20241213BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G02B6/35
G02B7/40
G03B13/36
H04N23/55
H04N23/56
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020203689
(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公開番号】P2022091023
(43)【公開日】2022-06-20
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】星野 晃一
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/195054(WO,A1)
【文献】特開2017-143064(JP,A)
【文献】特開2022-003344(JP,A)
【文献】特開2005-010094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 -17/95
G02B 7/40
G02B 6/35
G03B 13/36
H04N 23/55
H04N 23/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象が存在する空間に向けて照射電磁波を照射する放射部と、
前記空間から入射する電磁波に含まれる、前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波の検出結果を出力する複数の検出素子を有する第1検出部と、
前記反射電磁波を前記第1検出部へ進行させる第1状態、及び、前記反射電磁波を前記第1検出部へ進行させない第2状態のうち、いずれかの状態に切り替え可能な複数の進行素子を有する進行部と、
前記複数の進行素子のうち前記反射電磁波が入射する第1進行素子の状態を前記第1状態に切り替え、前記複数の進行素子のうち前記反射電磁波が入射しない第2進行素子の状態を前記第2状態に切り替える制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記照射電磁波の照射方向と前記反射電磁波が入射する検出素子との間の対応関係に基づいて、前記反射電磁波が入射する第1検出素子を特定し、
前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射したと特定した前記第1検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得し、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射したと特定しなかった検出素子であって、前記空間から入射する電磁波に含まれる背景電磁波の一部の装置内部での散乱に起因する電磁波が入射する第2検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しない、電磁波検出装置。
【請求項2】
検出対象が存在する空間に向けて電磁波を照射する放射部と、
前記空間から入射する電磁波の検出結果を出力する複数の検出素子を有する第1検出部と、
前記放射部から照射される照射電磁波の照射方向と、前記空間から入射する電磁波に含まれる、前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波が入射する検出素子との間の対応関係に基づいて、前記反射電磁波が入射する第1検出素子を特定し、前記複数の検出素子のうち、前記反射電磁波が入射したと特定した前記第1検出素子から出力される検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得し、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射したと特定しなかった検出素子であって、前記空間から入射する電磁波に含まれる背景電磁波の一部の装置内部での散乱に起因する電磁波が入射する第2検出素子から出力される検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しない、制御部と
を備える電磁波検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記反射電磁波が入射している前記第1検出素子に検出結果を出力させる一方で、前記反射電磁波が入射していない前記第2検出素子に検出結果を出力させない、請求項1又は2に記載の電磁波検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記反射電磁波が入射していない前記第2検出素子から出力された検出結果を取得しない、請求項1又は2に記載の電磁波検出装置。
【請求項5】
前記第1検出部は、前記検出素子の各々からの前記検出結果の出力の可否を切り替えるスイッチを有し、
前記制御部は、前記スイッチを制御して、前記反射電磁波が入射した前記第1検出素子からの検出結果を取得し、前記反射電磁波が入射していない前記第2検出素子からの検出結果を取得しない、請求項1から4までのいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記反射電磁波が入射したと特定した前記第1検出素子のうち、前記反射電磁波の入射値が所定値より多くなる検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
【請求項7】
反射面を有し、前記反射面の向きを変化させながら前記放射部が照射する前記照射電磁波の照射方向を変化させて前記空間に出力する走査部と、
前記走査部の前記反射面の向きと前記反射電磁波が入射する検出素子との間の対応関係を格納する記憶部
を更に備え、
前記制御部は、前記対応関係に更に基づいて、前記反射電磁波が入射する前記第1検出素子を特定する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
【請求項8】
前記第1検出部に向けて進行する前記反射電磁波を前記検出素子に収束させるマイクロレンズアレイを更に備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記反射電磁波が前記第1検出部に入射する時点において、前記反射電磁波が入射していない前記第2検出素子からの検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しない、請求項1から8までのいずれか一項に記載の電磁波検出装置
【請求項10】
前記反射電磁波の検出結果として取得した検出結果に基づいて、前記検出対象との距離を測定する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の電磁波検出装置
【請求項11】
検出対象が存在する空間に向けて照射電磁波を照射することと、
前記空間から入射する電磁波に含まれる、前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波を、前記反射電磁波を検出する第1検出部へ進行させる進行部に含まれる複数の進行素子のうち、前記反射電磁波が入射する第1進行素子の状態を、前記反射電磁波を前記第1検出部へ進行させる第1状態に切り替え、前記反射電磁波が入射しない第2進行素子の状態を、前記反射電磁波を前記第1検出部へ進行させない第2状態に切り替えることと、
前記照射電磁波の照射方向と前記反射電磁波が入射する検出素子との間の対応関係に基づいて、前記反射電磁波が入射する第1検出素子を特定することと、
前記第1検出部に含まれる複数の検出素子のうち、前記反射電磁波が入射したと特定した前記第1検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得し、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射したと特定しなかった検出素子であって、前記空間から入射する電磁波に含まれる背景電磁波の一部の装置内部での散乱に起因する電磁波が入射する第2検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しないことと
を含む、電磁波検出方法。
【請求項12】
検出対象が存在する空間に向けて照射電磁波を照射することと、
前記空間から入射する電磁波を検出する第1検出部に含まれる複数の検出素子のうち、前記照射電磁波の照射方向と、前記空間から入射する電磁波に含まれる、前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波が入射する検出素子との間の対応関係に基づいて前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波が入射したと特定した第1検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得し、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射したと特定しなかった検出素子であって、前記空間から入射する電磁波に含まれる背景電磁波の一部の装置内部での散乱に起因する電磁波が入射する第2検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しないことと
を含む、電磁波検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁波検出装置及び電磁波検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁波の進行方向を切り替えて所定の方向に進行した電磁波を検出する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-200927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出対象から到来する電磁波を複数の検出素子で検出する場合、検出対象から到来する電磁波が入射していない検出素子でノイズが生じ得る。ノイズの影響を低減することが求められる。
【0005】
本開示は、検出対象から到来する電磁波が入射していない検出素子で生じるノイズの影響を低減できる電磁波検出装置及び電磁波検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る電磁波検出装置は、放射部と、第1検出部と、進行部と、制御部とを備える。前記放射部は、検出対象が存在する空間に向けて照射電磁波を照射する。前記第1検出部は、前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波の検出結果を出力する複数の検出素子を有する。前記進行部は、前記反射電磁波を前記第1検出部へ進行させる第1状態、及び、前記反射電磁波を前記第1検出部へ進行させない第2状態のうち、いずれかの状態に切り替え可能な複数の進行素子を有する。前記制御部は、前記複数の進行素子のうち前記反射電磁波が入射する第1進行素子の状態を前記第1状態に切り替え、前記複数の進行素子のうち前記反射電磁波が入射しない第2進行素子の状態を前記第2状態に切り替える。前記制御部は、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射した検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得する。前記制御部は、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射しなかった検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しない。
【0007】
本開示の一実施形態に係る電磁波検出装置は、放射部と、第1検出部と、制御部とを備える。前記放射部は、検出対象が存在する空間に向けて照射電磁波を照射する。前記第1検出部は、前記空間から入射する電磁波の検出結果を出力する複数の検出素子を有する。前記制御部は、前記複数の検出素子のうち、前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波が入射した検出素子から出力される検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得する。前記制御部は、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射しなかった検出素子から出力される検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しない。
【0008】
本開示の一実施形態に係る電磁波検出方法は、検出対象が存在する空間に向けて照射電磁波を照射することを含む。前記電磁波検出方法は、前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波を、前記反射電磁波を検出する第1検出部へ進行させる進行部に含まれる複数の進行素子の状態を切り替えることを含む。前記電磁波検出方法は、前記複数の進行素子のうち、前記反射電磁波が入射する第1進行素子の状態を、前記反射電磁波を前記第1検出部へ進行させる第1状態に切り替えることを含む。前記電磁波検出方法は、前記複数の進行素子のうち、前記反射電磁波が入射しない第2進行素子の状態を、前記反射電磁波を前記第1検出部へ進行させない第2状態に切り替えることを含む。前記電磁波検出方法は、前記第1検出部に含まれる複数の検出素子のうち、前記反射電磁波が入射した検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得することを含む。前記電磁波検出方法は、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射しなかった検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しないことを含む。
【0009】
本開示の一実施形態に係る電磁波検出方法は、検出対象が存在する空間に向けて照射電磁波を照射することを含む。前記電磁波検出方法は、前記空間から入射する電磁波を検出する第1検出部に含まれる複数の検出素子のうち、前記照射電磁波が前記検出対象で反射されて生じた反射電磁波が入射した検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得し、前記複数の検出素子のうち前記反射電磁波が入射しなかった検出素子から出力された検出結果を前記反射電磁波の検出結果として取得しないことを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態に係る電磁波検出装置及び電磁波検出方法によれば、検出対象から到来する電磁波が入射していない検出素子で生じるノイズの影響が低減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る電磁波検出装置の構成例を示す図である。
図2】検出部の構成例を示す図である。
図3】進行素子と検出素子との対応の一例を示す図である。
図4】反射電磁波が入射する位置と、進行素子及び検出素子の状態との対応の一例を示す図である。
図5】放射部の反射面の向きと、駆動信号、検出素子及び進行素子それぞれとの関係を定める表である。
図6】一実施形態に係る調整方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図7】各検出素子の出力がスイッチで切り替えられる構成例を示す図である。
図8】検出素子に入射する電磁波を収束させるマイクロレンズの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態が、図面を参照しながら詳細に説明される。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0013】
(電磁波検出装置10の構成例)
図1に示されるように、一実施形態に係る電磁波検出装置10は、検出部11と、放射部12と、走査部13と、制御部14とを備える。電磁波検出装置10は、放射部12によって電磁波を放射する。放射部12から放射した電磁波は、走査部13によって電磁波の進行方向を変化させて、検出対象obが存在する空間に放射される。空間に放射された電磁波が、走査部13によって進行方向を変化されることにより、検出対象obを走査する。図1において検出対象obに照射される電磁波は、実線の矢印で表され、照射電磁波200とも称される。照射電磁波200の進行方向は、照射方向とも称される。照射電磁波200の少なくとも一部は、検出対象obで反射されて検出部11に向けて進行する。電磁波検出装置10は、検出対象obで反射された電磁波の少なくとも一部を検出部11によって検出し、検出対象obに関する情報を取得する。照射電磁波200が検出対象obで反射されて生じる電磁波は、破線の矢印で表され、反射電磁波210とも称される。
【0014】
制御部14は、放射部12及び走査部13を制御することによって、電磁波の照射方向を決定できる。つまり、制御部14は、放射部12から放射される電磁波を所定方向に照射できる。検出対象obに照射された照射電磁波200は、検出対象obの所定部分に到達して検出対象obで反射され、反射電磁波210として検出部11に向けて進行する。制御部14は、検出対象obの所定部分に照射された照射電磁波200によって生じた反射電磁波210を検出部11で検出することによって、検出対象obの所定部分の情報を取得できる。つまり、制御部14は、照射電磁波200の照射方向を決定することによって、検出対象obの任意の部分の情報を取得できる。制御部14は、照射電磁波200で検出対象obを走査することによって、検出対象obの情報を、二次元にマッピングした情報として取得できる。
【0015】
以下、電磁波検出装置10の各構成部が詳細に説明される。
【0016】
<制御部14>
制御部14は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサの少なくとも一方を含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部14は、1つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及びSiP(System-in-a-Package)の少なくとも一方を含んでよい。
【0017】
<放射部12及び走査部13>
放射部12は、電磁波を放射する。放射部12は、赤外線、可視光線、紫外線、及び電波の少なくとも1つを放射してよい。放射部12は、例えば、LED(Light Emitting Diode)又はLD(Laser Diode)等を含んでよい。
【0018】
走査部13は、放射部12から放射される電磁波の進行方向を変化させることによって、検出対象obを電磁波で走査する。走査部13は、放射部12が放射する電磁波を反射する走査反射面を有し、走査反射面の向きを変更することによって電磁波で検出対象obを走査してよい。走査部13は、MEMSミラー、ポリゴンミラー、及びガルバノミラーの少なくとも1つを含んでよい。走査部13は、放射部12に含まれてもよい。
【0019】
放射部12は、放射する電磁波の位相を制御することによって電磁波の放射方向を変化させうるフェイズドスキャン方式によって電磁波で検出対象obを走査してもよい。この場合、電磁波検出装置10は、走査部13を備えなくてもよい。
【0020】
<検出部11>
検出部11は、図2に示されるように、進行部18と、第1検出部20とを備える。
【0021】
進行部18は、基準面18aに沿って配置されている複数の進行素子180を有する。各進行素子180は、反射電磁波210を互いに異なる方向に進行させる2つの状態のいずれかの状態に切り替え可能に構成される。具体的には、各進行素子180は、入射してきた反射電磁波210等の電磁波が第1検出部20に入射する方向に電磁波を進行させる第1状態に切り替え可能に構成される。各進行素子180は、入射してきた反射電磁波210等の電磁波を第1検出部20に入射しない方向に進行させる第2状態に切り替え可能に構成される。つまり、各進行素子180は、第1状態及び第2状態のいずれかの状態に切り替え可能に構成される。
【0022】
制御部14は、各進行素子180の状態を第1状態及び第2状態のいずれかの状態に決定することによって、各進行素子180に入射する反射電磁波210の進行方向を制御できる。第1状態に切り替えられている進行素子180は、第1進行素子181として表されている。第2状態に切り替えられている進行素子180は、第2進行素子182として表されている。
【0023】
図2において、反射電磁波210は、実線の矢印で表されている。反射電磁波210が進行部18に向けて入射する方向は、D0で表されている。反射電磁波210が第1進行素子181に入射した場合、反射電磁波210の進行方向は、第1進行素子181によってD1で表される方向に変更される。第1進行素子181において進行方向が変更された反射電磁波210は、第1検出電磁波212として第1検出部20に向けて進行する。
【0024】
検出部11には、検出対象obが存在する空間からの電磁波が入射しうる。検出部11に入射する電磁波は、反射電磁波210だけでなく、背景電磁波220も含み得る。背景電磁波220は、照射電磁波200の照射方向にかかわらず検出対象ob又はその背景から検出部11に入射する電磁波である。背景電磁波220は、太陽等の光源からの光、又は、光源からの光が検出対象obで反射した光等を含み得る。背景電磁波220は、破線の矢印で表されており、検出部11に入射している。背景電磁波220がD0で表される方向に沿って第2進行素子182に入射した場合、背景電磁波220の進行方向は、第2進行素子182によって、D2で表される方向に変更される。その結果、第2進行素子182に入射した背景電磁波220は、非検出電磁波224として検出部11の外へ向けて進行してよい。仮に反射電磁波210が第2進行素子182に入射した場合、反射電磁波210の進行方向は、第2進行素子182によって、D2で表される方向に変更される。
【0025】
第2進行素子182に入射した背景電磁波220の一部は、進行部18における散乱等に起因して、ノイズ電磁波226として第1検出部20に入射することがある。ノイズ電磁波226は、二点鎖線の矢印で表されている。
【0026】
第1検出部20は、検出面20aに沿って配置されている複数の検出素子22を有する。進行部18の第1進行素子181から入射してくる第1検出電磁波212(反射電磁波210)は、少なくとも1つの検出素子22に入射する。検出素子22は、第1検出電磁波212を検出して検出結果を制御部14に出力する。検出素子22は、第1検出電磁波212の強度を検出して制御部14に出力してよい。制御部14は、検出素子22から検出結果を取得できる。
【0027】
第1検出部20は、放射部12又は走査部13から検出対象obに照射された照射電磁波200が検出対象obで反射して生じる反射電磁波210を検出するアクティブセンサであるとする。
【0028】
検出部11は、プリズム16と、第2検出部17とを更に備えてよい。プリズム16は、反射面16aを有する。検出部11に入射してきた反射電磁波210は、プリズム16の外側から反射面16aに入射する。反射電磁波210の少なくとも一部は、反射面16aを透過して進行部18に進行する。反射電磁波210の一部は、反射面16aで反射して第2検出部17に入射し得る。第1検出電磁波212は、プリズム16の内側から反射面16aに入射し、反射面16aで反射されて第1検出部20に向けて進行する。
【0029】
検出部11に入射してきた背景電磁波220は、プリズム16の外側から反射面16aに入射する。背景電磁波220の少なくとも一部は、反射面16aで反射して第2検出電磁波222として第2検出部17に入射する。第2検出部17は、背景電磁波220を検出する。第2検出部17は、第2検出電磁波222(反射された背景電磁波220)によって形成される画像を撮影してよい。
【0030】
検出部11は、第1結像部15を更に備えてよい。第1結像部15は、反射電磁波210が進行部18に入射する場合に進行部18の基準面18aで結像するように構成される。また、第1結像部15は、背景電磁波220が第2検出部17に入射する場合に第2検出部17の検出面で結像するように構成される。逆に言えば、進行部18の基準面18a及び第2検出部17の検出面は、第1結像部15の結像点に配置される。
【0031】
第1結像部15は、入射してくる電磁波を基準面18aで結像する。第1結像部15は、その結像点が基準面18aに位置する光学部材であってよい。第1結像部15は、レンズ及びミラーの少なくとも一方を含む光学部材であってよい。
【0032】
検出部11は、第2結像部19を更に備えてよい。第2結像部19は、第1検出部20に入射する第1検出電磁波212が第1検出部20の検出素子22の検出面20aで結像するように構成される。言い換えれば、第1検出部20の検出素子22は、第2結像部19の結像点に配置される。
【0033】
(電磁波検出装置10の動作例)
制御部14は、検出対象obの情報を取得するために、放射部12又は走査部13と、進行部18と、第1検出部20とを以下に説明するように制御してよい。
【0034】
制御部14は、放射部12を制御して電磁波を照射する。制御部14は、走査部13を制御することによって、照射電磁波200を検出対象obの所定部分に照射できる。制御部14は、照射電磁波200が検出対象obの所定部分で反射することによって生じた反射電磁波210を検出部11で検出することによって、検出対象obの所定部分に関する情報を取得できる。制御部14は、照射電磁波200で検出対象obが存在する空間を走査することによって、空間の広い範囲にわたって存在する検出対象obの情報を取得できる。
【0035】
反射電磁波210は、進行部18の少なくとも1つの進行素子180に入射する。進行素子180には反射電磁波210の入射と同時に、背景電磁波220も入射する。制御部14は、反射電磁波210が入射する進行素子180の状態をあらかじめ第1状態に切り替えている。反射電磁波210が入射する進行素子180の状態が第1状態に切り替えられていることによって、反射電磁波210が第1検出部20に向けて進行できる。制御部14は、反射電磁波210が入射しない進行素子180の状態を第2状態に切り替える。反射電磁波210が入射しない進行素子180の状態が第2状態に切り替えられていることによって、進行部18に入射した反射電磁波210以外の電磁波が第1検出部20に向けて進行しにくくなる。例えば、第2進行素子182に入射した反射電磁波210とは異なる背景電磁波220は、D2で表される方向に進行する。D2で表される方向に進行した電磁波は非検出電磁波224としてその大部分が第1検出部20に入射しない。非検出電磁波224は、第2進行素子182によってD2で表される方向に進行することで、検出部11の外へ向けて進行させてよい。
【0036】
上述のように各々の進行素子180の状態が、第1状態又は第2状態に切り替えられることによって、第1検出部20が反射電磁波210以外の電磁波を検出することによって生じるノイズが低減され得る。これにより、背景電磁波220の大部分は、第1検出部20に入射しない。しかし、第2進行素子182に入射した背景電磁波220の一部は、散乱成分として第1検出部20に入射する場合がある。第1検出部20に入射する背景電磁波220は、第1検出部20が反射電磁波210を検出する際のノイズとなりうる。
【0037】
制御部14は、第1検出電磁波212が入射する検出素子22から出力された検出結果を、反射電磁波210の検出結果として取得するように構成される。一方で、制御部14は、第1検出電磁波212が入射しない検出素子22から出力された検出結果を、反射電磁波210の検出結果として取得しないように構成される。また、制御部14は、第1検出電磁波212(反射電磁波210)が第1検出部20に入射する時点において、第1検出電磁波212(反射電磁波210)が入射していない検出素子22から出力された検出結果を、反射電磁波210の検出結果として取得しないように構成される。より具体的には、検出素子22へ電磁波が入射した場合、検出結果が検出信号として制御部14へ供給される。第1検出部20の複数の検出素子22の各々には検出対象obが存在する空間からの電磁波が同時に入射する。制御部14は、反射電磁波210が入射することになる検出素子22からの検出信号のみを反射電磁波210の検出結果として取得し、それ以外の検出素子22からの検出信号を取得しない。もしくは、制御部14は、反射電磁波210が入射することになる検出素子22からの検出信号のみを、検出信号に基づく処理には用いるようにする。例えば、電磁波検出装置10が測距装置である場合には、反射電磁波210が入射することになる検出素子22からの検出信号に基づいて、検出対象obとの間の距離を測定し、それ以外の検出素子22からの検出信号を距離の測定に用いない。なお、いずれの検出素子22に反射電磁波210が入射することになるかは、後述するテーブルによって判断することができる。制御部14は、検出結果を選択的に取得することによって、反射電磁波210以外の電磁波の検出結果を取得しにくくなる。その結果、制御部14が取得する反射電磁波210の検出結果に対するノイズの影響が低減され得る。
【0038】
具体的には、制御部14は、以下に説明するように動作することによって、第1検出電磁波212が入射しない検出素子22から出力された検出結果を、反射電磁波210の検出結果として取得しないように構成されてよい。例えば、制御部14は、第1検出電磁波212が入射しない検出素子22から出力された検出結果を取得しないように構成されてよい。言い換えれば、制御部14は、第1検出電磁波212が入射しない検出素子22から出力された検出結果を、取得しないように構成されてよい。例えば、制御部14は、第1検出電磁波212が入射する検出素子22に検出結果を出力させる一方で、第1検出電磁波212が入射しない検出素子22に検出結果を出力させない制御をするように構成されてもよい。例えば、制御部14は、第1検出電磁波212が入射しない検出素子22から出力された検出結果を取得するものの、その検出結果を反射電磁波210の検出結果として取得しないように構成されてもよい。
【0039】
図3は、反射電磁波210が入射する進行素子180の位置と、第1状態である進行素子180によって反射電磁波210が入射する検出素子22の位置関係を示している。図3において、反射電磁波210a、210b、210c及び210xは、それぞれ第1結像部15による反射電磁波210の進行部18上での結像である。図3に例示されるように、進行部18の各進行素子180に入射する反射電磁波210と、進行部18から第1検出部20の各検出素子22に入射する第1検出電磁波212とは、対応づけられる。言い換えれば、第1検出電磁波212が入射した第1状態の進行素子180と、その進行素子180が第1検出電磁波212を入射させる検出素子22とはあらかじめ定まっている。例えば、進行部18に入射する反射電磁波210aは、第1検出部20に入射する第1検出電磁波212aに対応する。また、反射電磁波210b、210c及び210xはそれぞれ、第1検出電磁波212b、212c及び212xに対応する。
【0040】
制御部14は、反射電磁波210が入射する進行部18の位置に基づいて、各進行素子180の状態を制御するとともに、第1検出部20の各検出素子22から出力される検出結果の取り扱いを決定する。以下、図4を参照して、制御部14の動作が説明される。
【0041】
図4において、反射電磁波210aが進行部18の複数の進行素子180のうち、左から1列目及び2列目、かつ、上から1行目から4行目までに位置する進行素子180に入射している。制御部14は、反射電磁波210aが入射する進行素子180の状態をあらかじめ第1状態に切り替えている。つまり、制御部14は、反射電磁波210が入射する進行素子180を第1進行素子181に切り替えている。第1進行素子181は、斜線のハッチングが付されたセルに対応する。一方で、制御部14は、反射電磁波210が入射しない進行素子180の状態を第2状態に切り替える。つまり、制御部14は、反射電磁波210が入射しない進行素子180を第2進行素子182に切り替えている。第2進行素子182は、ハッチングが付されていないセルに対応する。
【0042】
ここで、反射電磁波210aとは異なる背景電磁波220が、第2進行素子182に入射することがある。第2進行素子182が入射してきた電磁波を第1検出部20に向けて進行させないことによって、背景電磁波220が第1検出部20に入射しにくくなる。その結果、反射電磁波210aの検出結果において、背景電磁波220に起因するノイズが低減され得る。
【0043】
図4において、第1進行素子181に入射した反射電磁波210aは、第1検出電磁波212aとして第1検出部20に入射している。第1検出電磁波212aは、第1検出部20の複数の検出素子22のうち、左から1列目及び2列目に位置する検出素子22に入射している。第1検出電磁波212aが入射する検出素子22は、検出素子22aとも称され、斜線のハッチングが付されたセルに対応する。一方で、第1検出電磁波212aが入射しない検出素子22は、検出素子22bとも称され、ハッチングが付されていないセルに対応する。
【0044】
制御部14は、第1検出電磁波212aが入射する検出素子22aから出力される検出結果を反射電磁波210aの検出結果として取得する。一方で、制御部14は、第1検出電磁波212aが入射しない検出素子22bから出力される検出結果を反射電磁波210aの検出結果として取得しない。制御部14は、検出素子22bから出力される検出結果を取得しなくてもよい。制御部14は、検出素子22bに検出結果を出力させないように検出素子22bを制御してもよい。言い換えれば、制御部14は、第1検出電磁波212が入射する検出素子22aの状態を、検出結果を出力する状態に切り替えてよい。制御部14は、第1検出電磁波212が入射しない検出素子22bの状態を、検出結果を出力しない状態に切り替えてよい。なお、検出結果を出力する状態に切り替える検出素子22は、第1検出電磁波212が入射する全ての検出素子22でなくてよい。検出素子22のうち第1検出電磁波212の入射量が所定値より多くなる1又は複数の検出素子を、検出結果を出力する状態に切り替えてよい。同様に、検出結果を出力しない状態に切り替える検出素子22は、第1検出電磁波212が入射しない全ての検出素子22でなくてよい。検出素子22のうち第1検出電磁波212の入射量が所定値より小さくなる検出素子を、検出結果を出力しない状態に切り替えてよい。
【0045】
ここで、第2進行素子182に入射した背景電磁波220の一部が散乱等に起因してノイズ電磁波226として第1検出部20に入射することがある。検出素子22bから出力される検出結果が反射電磁波210aの検出結果として取得されないことによって、反射電磁波210aの検出結果において、ノイズ電磁波226に起因するノイズが低減され得る。
【0046】
電磁波検出装置10は、照射電磁波200の照射方向に基づいて、反射電磁波210が入射する進行素子180及び第1検出電磁波212が入射する検出素子22が定まるように構成される。制御部14は、照射電磁波200の照射方向に基づいて、各進行素子180を第1進行素子181にすべきか第2進行素子182にすべきかを特定してよい。制御部14は、特定した結果に基づいて、放射部12による電磁波の放射に先立って各進行素子180の状態を切り替えてよい。制御部14は、照射電磁波200の照射方向に基づいて、各検出素子22が、第1検出電磁波212が入射する検出素子22に該当するか第1検出電磁波212が入射しない検出素子22に該当するかを特定してよい。制御部14は、特定した結果に基づいて、各検出素子22から出力される検出結果の取り扱いを決定してよい。
【0047】
制御部14は、照射電磁波200の照射方向と、その照射電磁波200が検出対象obで反射して生じる反射電磁波210が入射する検出素子22との対応関係を特定するテーブルをあらかじめ取得してよい。制御部14は、記憶部にテーブルを格納してよい。制御部14は、テーブルに更に基づいて、各検出素子22が、第1検出電磁波212が入射する検出素子22に該当するか第1検出電磁波212が入射しない検出素子22に該当するかを特定してよい。
【0048】
制御部14は、図5に例示されるテーブルを取得してよい。図5に例示されるテーブルは、左から1列目に記載されている走査反射面の向きと、左から3列目に記載されている検出素子22の位置との対応関係を特定している。走査反射面の向きは、照射電磁波200の照射方向を決定する。したがって、図5に例示されるテーブルは、照射電磁波200の照射方向と、その照射電磁波200によって生じる第1検出電磁波212が入射する検出素子22とを対応づける。テーブルにおいて、走査反射面の向きは、球面座標系で方向を特定する、θ及びφの2つの角度によって表されている。また、検出素子22は、第1検出部20の検出面20aに設定されている平面座標系上の位置を特定するx座標及びy座標によって表されている。制御部14は、図5に例示されるテーブルに基づいて、第1検出電磁波212が入射する検出素子22を特定できる。
【0049】
図5に例示されるテーブルは、左から1列目に記載されている走査反射面の向きと、左から2列目に記載されている走査部13の駆動信号の信号値との対応関係を更に特定している。駆動信号の信号値は、走査反射面の向きを制御するために放射部12又は走査部13に出力する信号値に対応する。テーブルにおいて、駆動信号の信号値は、2進数でカウントアップする値で表されている。制御部14は、図5に例示されるテーブルに基づいて、照射電磁波200を所定方向に照射できるように、走査部13を制御できる。
【0050】
図5に例示されるテーブルは、左から1列目に記載されている走査反射面の向きと、左から4列目に記載されている進行素子180の位置との対応関係を更に特定している。テーブルにおいて、進行素子180は、進行部18の基準面18aに設定されている平面座標系上の位置を特定するx座標及びy座標によって表されている。進行素子180の座標を表す文字に対して、検出素子22の座標を表す文字と区別するために、ダッシュ(’)が付されている。制御部14は、図5に例示されるテーブルに基づいて、反射電磁波210が入射する進行素子180を特定できる。
【0051】
以上述べてきたように、制御部14がテーブルに基づいて第1検出電磁波212が入射する検出素子22を特定できることによって、制御部14の処理負荷が低減され得る。
【0052】
<電磁波検出方法の手順例を示すフローチャート>
電磁波検出装置10の制御部14は、図6に例示されるフローチャートの手順を含む電磁波検出方法を実行してもよい。電磁波検出方法は、制御部14を構成するプロセッサに実行させる電磁波検出プログラムとして実現されてもよい。電磁波検出プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0053】
制御部14は、照射電磁波200の照射方向を決定する(ステップS1)。
【0054】
制御部14は、照射電磁波200の照射方向に対応する進行素子180及び検出素子22を特定する(ステップS2)。制御部14は、反射電磁波210が入射する進行素子180を特定してよい。制御部14は、第1検出電磁波212が入射する検出素子22を特定してよい。
【0055】
制御部14は、特定した進行素子180及び検出素子22の状態を切り替える(ステップS3)。制御部14は、反射電磁波210が入射する進行素子180の状態を第1状態に切り替える一方で、反射電磁波210が入射しない進行素子180の状態を第2状態に切り替える。制御部14は、第1検出電磁波212が入射する検出素子22の状態を、検出結果を出力する状態に切り替えてよい。制御部14は、第1検出電磁波212が入射しない検出素子22の状態を、検出結果を出力しない状態に切り替えてよい。
【0056】
制御部14は、放射部12及び走査部13を制御して照射電磁波200をステップS1で決定した照射方向に向けて照射する(ステップS4)。制御部14は、決定した照射方向に基づいて、走査部13の走査反射面の向きを制御してよい。
【0057】
制御部14は、検出対象obで反射された反射電磁波210の検出結果を取得する(ステップS5)。制御部14は、ステップS5の手順の終了後、図6のフローチャートに示される手順の実行を終了する。制御部14は、ステップS5の手順の終了後、ステップS1の手順に戻ってもよい。
【0058】
<小括>
以上述べてきたように、本実施形態に係る電磁波検出装置10は、検出対象obに照射電磁波200を照射し、検出対象obで反射されて生じる反射電磁波210を検出することによって、検出対象obの情報を取得する。
【0059】
電磁波検出装置10の制御部14は、反射電磁波210の検出結果として、第1検出部20の検出素子22から出力される検出結果を選択的に取得する。具体的には、制御部14は、反射電磁波210が入射する検出素子22から出力される検出結果を反射電磁波210の検出結果として取得する。一方で、制御部14は、反射電磁波210が入射しない検出素子22から出力される検出結果を反射電磁波210の検出結果として取得しない。このようにすることで、背景電磁波220等の他の電磁波が第1検出部20に入射したとしても、その検出結果が無視され得る。一方で、反射電磁波210の検出結果が選択的に取得される。その結果、反射電磁波210の検出結果からノイズが低減され得る。
【0060】
また、制御部14は、進行部18を制御することによって、反射電磁波210を第1検出部20に入射させる一方で、背景電磁波220等の他の電磁波を第1検出部20に入射させにくくできる。このようにすることで、第1検出部20にノイズの原因となる電磁波が入射しにくくなる。その結果、第1検出部20における反射電磁波210の検出結果からノイズが低減され得る。
【0061】
(他の構成例)
以下、電磁波検出装置10の各構成部として採用され得る種々の構成例が説明される。
【0062】
<進行部18>
進行部18は、DMD又はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等のミラーデバイスを備えてよい。進行素子180は、ミラー素子であってよい。基準面18aは、ミラー素子の配列面であってよい。
【0063】
進行素子180は、基準面18aに入射する電磁波を反射する反射面を有してよい。進行部18は、各進行素子180の反射面の向きを制御することによって、基準面18aに入射する電磁波を反射する方向を決定してよい。各進行素子180の反射面の向きは、第1状態及び第2状態それぞれに対応づけられてよい。つまり、進行部18は、第1状態に切り替えられている場合と、第2状態に切り替えられている場合とで、進行素子180の反射面の向きを異ならせることによって、電磁波を反射する方向を決定してよい。第1状態は、電磁波を第1方向に反射する第1反射状態に対応づけられてよい。第2状態は、電磁波を第2方向に反射する第2反射状態に対応づけられてよい。
【0064】
進行素子180は、電磁波を反射する反射面を含むシャッタを有してよい。シャッタが開いている場合、電磁波が透過し、所定方向へ進行するものとする。シャッタが開いている状態は、第1状態に対応づけられるものとする。シャッタが閉じている場合、電磁波が反射し、所定方向とは異なる方向へ進行するものとする。シャッタが閉じている状態は、第2状態に対応づけられるものとする。進行素子180がシャッタを有する場合、進行部18は、基準面18aに沿ってアレイ状に配列されている開閉制御可能なシャッタを有するMEMSシャッタ等を備えてよい。
【0065】
進行素子180は、液晶シャッタを有してよい。液晶シャッタは、液晶の配向状態を制御することによって、電磁波を透過する透過状態と、電磁波を反射する反射状態とのいずれかの状態に遷移する。透過状態及び反射状態はそれぞれ、第1状態及び第2状態に対応づけられるとする。
【0066】
<第1検出部20>
第1検出部20は、検出結果を制御部14に選択的に出力する構成を備えてよい。図7に示されるように、第1検出部20は、検出結果を制御部14に出力するアンプ24と、検出素子22とアンプ24との間に接続されるスイッチ26とを更に備えてよい。スイッチ26は、オンになっている場合に検出素子22が出力する信号をアンプ24に出力し、オフになっている場合に検出素子22が出力する信号をアンプ24に出力しないように構成される。言い換えれば、スイッチ26がオンになっている場合、そのスイッチ26に接続される検出素子22の状態は、検出結果を出力する状態になっている。一方で、スイッチ26がオフになっている場合、そのスイッチ26に接続される検出素子22の状態は、検出結果を出力しない状態になっている。言い換えれば、スイッチ26は、各検出素子22からの検出結果の出力の可否を切り替え得る。制御部14は、スイッチ26の状態をオン又はオフに切り替えることによって、各検出素子22の状態を切り替えることができる。
【0067】
第1検出部20の各検出素子22は、入射する電磁波に応じた信号を出力するオン状態と、電磁波が入射するか否かにかかわらず信号を出力しないオフ状態とのいずれかの状態に切り替え可能に構成されてよい。制御部14は、検出素子22をオン状態に切り替えることによって、検出素子22がアンプ24に検出結果を出力する状態に切り替えてもよい。制御部14は、検出素子22をオフ状態に切り替えることによって、検出素子22がアンプ24に検出結果を出力しない状態に切り替えてもよい。
【0068】
制御部14は、検出素子22を同時に2個ずつオン状態にして、他の検出素子22をオフ状態にしてよい。このようにすることで、第1検出部20から検出結果として出力される信号が安定し、かつ、所定値以上の強度を有し得る。同時にオン状態にされる検出素子22の数は、2個に限られず、回路構成に応じて変更され得る。
【0069】
第1検出部20は、図8に示されるように、マイクロレンズアレイ30を備えてよい。マイクロレンズアレイ30は、複数のマイクロレンズ32を含む。各マイクロレンズ32は、各検出素子22に対応づけられ、各検出素子22に入射する第1検出電磁波212を収束させるように構成されてよい。このようにすることで、検出素子22における第1検出電磁波212の検出効率が高まり得る。その結果、反射電磁波210(第1検出電磁波212)の検出結果からノイズが低減され得る。
【0070】
第1検出部20の検出素子22は、APD(Avalanche Photo-Diode)、PD(Photo-Diode)、又はSPAD(Single Photon Avalanche Diode)等を含んで構成されてよい。検出素子22は、ミリ波センサ、サブミリ波センサ、又は測距イメージセンサ等を含んで構成されてよい。
【0071】
検出素子22は、1列に並ぶように構成されてもよいし、二次元のアレイ状に並ぶように構成されてもよい。
【0072】
第1検出部20は、測距センサとして構成されてもよい。第1検出部20が測距センサとして構成される場合、電磁波検出装置10は、第1検出部20によって、画像状の距離情報を取得しうる。
【0073】
第1検出部20が測距センサである場合、制御部14は、距離情報を取得してよい。制御部14は、第1検出部20から取得する検出結果に基づいて、ToF(Time of Flight)方式によって、検出対象obに関する距離情報を取得してよい。制御部14は、ToF方式として、電磁波を放射してから反射波を検出するまでの時間を直接測定するDirectToF方式を実行してよい。制御部14は、ToF方式として、電磁波を周期的に放射し、放射した電磁波の位相と反射波の位相とに基づいて、電磁波を放射してから反射波を検出するまでの時間を間接的に測定するFlashToF方式を実行してよい。制御部14は、ToF方式として、PhasedToF等の他の方式を実行してもよい。制御部14は、放射部12に電磁波を放射させることによって、ToF方式を実行してよい。
【0074】
制御部14は、例えば、時間計測LSI(Large Scale Integrated circuit)を含んでよい。制御部14は、放射部12に電磁波を放射させた時刻から、第1検出部20で検出対象obからの反射波を検出した時刻までに経過した時間を応答時間として算出してよい。制御部14は、応答時間に基づいて検出対象obまでの距離を算出してよい。制御部14は、放射部12又は走査部13に電磁波で検出対象obを走査させている場合、電磁波の放射方向と第1検出部20から取得する検出結果とを同期させることによって、画像状の距離情報を作成してよい。
【0075】
第1検出部20がサーモセンサである場合、制御部14は、温度情報を取得してよい。制御部14は、第1検出部20から取得した電磁波の検出結果に基づいて、電磁波検出装置10の周囲に関する情報を取得してよい。周囲に関する情報は、画像情報、距離情報、及び温度情報の少なくとも1つを含んでよい。
【0076】
<プリズム16>
プリズム16の反射面16aは、入射する電磁波に対して波長に応じて異なる透過率又は反射率を有するように構成されてよい。反射面16aは、電磁波がプリズム16の外側から反射面16aに入射する場合の透過率又は反射率と、電磁波がプリズム16の内側から反射面16aに入射する場合の透過率又は反射率とが互いに異なるように構成されてよい。
【0077】
反射面16aは、所定の反射率で電磁波を反射してよい。仮に、電磁波の波長にかかわらず所定の反射率が一定である場合、第2検出部17の検出面に結像される像は、進行部18の基準面18aに結像される像に対して、像全体として電磁波の強度が所定の比率で変化しただけの像でありうる。
【0078】
反射面16aは、例えば、所定範囲内の波長を有する電磁波を所定値以上の反射率で反射し、所定範囲外の波長を有する電磁波を所定値未満の反射率で反射してよい。このようにすることで、所定範囲内の波長を有する電磁波は、第2検出部17に向けて反射されて第2検出部17に入射しやすくなる。一方で、所定範囲外の波長を有する電磁波は、反射面16aを透過して進行部18に入射しやすくなる。結果として、電磁波は、波長に基づいて分離されうる。つまり、反射面16aは、電磁波の波長に基づいて、電磁波を分離し得る。所定範囲は、所定波長以上の値、又は、所定波長より大きい値として特定される範囲であってよい。所定範囲は、所定波長以下の値、又は、所定波長未満の値として特定される範囲であってよい。所定範囲は、第1所定波長以上且つ第2所定波長以下の値として特定される範囲であってよい。所定範囲は、第1所定波長以下又は第2所定波長以上の値として特定される範囲であってよい。
【0079】
反射面16aが電磁波を波長に基づいて分離することで、第2検出部17の検出面、及び、進行部18の基準面18aそれぞれにおいて、異なる波長の電磁波で構成されているものの、像内の座標が一致している像が結像される。第2検出部17の検出面、及び、進行部18の基準面18aに結像される像の座標が一致することによって、第1検出部20で検出した画像情報、又は、画像状の距離情報若しくは温度情報が、第2検出部17で検出した画像情報に、容易に重畳され得る。また、反射面16aが電磁波を波長に基づいて分離することで、第1検出部20及び第2検出部17はそれぞれ、特定の波長の電磁波を検出するセンサとして構成され得る。
【0080】
反射面16aは、可視光反射コーティング、ハーフミラー、ビームスプリッタ、ダイクロイックミラー、コールドミラー、ホットミラー、メタサーフェス、及び偏向素子の少なくとも1つを含んでよい。
【0081】
<第2検出部17>
第2検出部17は、検出面に沿ってアレイ状に配列されている検出素子を備えてよい。第2検出部17は、例えばイメージセンサ又はイメージングアレイなどの撮像素子を含んでよい。この場合、第2検出部17は、検出面に入射してきた電磁波で構成されている像を撮像し、画像情報を生成してよい。
【0082】
第2検出部17は、可視光で構成されている像を撮像してよい。第2検出部17は、可視光に限られず、赤外線、紫外線、又はその他の電波等で構成されている像を撮像してもよい。第2検出部17は、測距センサを含んでもよい。第2検出部17が測距センサを含む場合、電磁波検出装置10は、第2検出部17によって、画像状の距離情報を取得しうる。第2検出部17は、サーモセンサを含んでもよい。第2検出部17がサーモセンサを含む場合、電磁波検出装置10は、第2検出部17によって画像状の温度情報を取得しうる。
【0083】
第2検出部17は、単一の検出素子を含んでよい。単一の検出素子は、APD(Avalanche Photo-Diode)、PD(Photo-Diode)、又はSPAD(Single Photon Avalanche Diode)等を含んでよい。単一の検出素子は、ミリ波センサ、サブミリ波センサ、又は測距イメージセンサ等を含んでよい。第2検出部17は、検出素子アレイを含んでよい。検出素子アレイは、APDアレイ、PDアレイ、MPPC(Multi Photon Pixel Counter)、測距イメージングアレイ、又は測距イメージセンサ等であってよい。
【0084】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施されうる。
【0085】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1結像部15は、第2結像部19と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0086】
10 電磁波検出装置(12:放射部、13:走査部、14:制御部)
11 検出部(15:第1結像部、19:第2結像部)
16 プリズム(16a:反射面)
17 第2検出部
18 進行部(18a:基準面、180:進行素子、181:第1進行素子、182:第2進行素子)
20 第1検出部(20a:検出面、22:検出素子、24:アンプ、26:スイッチ)
30 マイクロレンズアレイ(32:マイクロレンズ)
200 照射電磁波
210(210a、210b、210c、212x) 反射電磁波
212(212a、212b、212c、212x) 第1検出電磁波
220 背景電磁波
222 第2検出電磁波
224 非検出電磁波
226 ノイズ電磁波
ob 検出対象
図1
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