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特許7603446コラーゲンケーシングに風味付けを行う方法
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  • 特許-コラーゲンケーシングに風味付けを行う方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】コラーゲンケーシングに風味付けを行う方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 13/00 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
A22C13/00 C
A22C13/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020541643
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018054282
(87)【国際公開番号】W WO2019079038
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-08-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】62/572,601
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/627,970
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520132481
【氏名又は名称】ビスコファン・コラーゲン・ユーエスエー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン・ゴールドファーブ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・マシューズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ハッチ
(72)【発明者】
【氏名】岸本 真徳
【合議体】
【審判長】八木 誠
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-012257(JP,A)
【文献】米国特許第3451827(US,A)
【文献】米国特許第4038438(US,A)
【文献】特開昭49-130954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 5/00 - 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンケーシングに2種以上の風味成分を導入することを含む、肉製品用の風味付けされたコラーゲンの管状ケーシングを製造するための方法であって、
(a)動物ハイドの銀面層から真皮層を分離させる工程;並びに
(b)前記真皮層を加工してコラーゲンケーシングを製造する工程であって、前記真皮層を加工する工程が、
(i)1種又は複数の動物ハイドの前記真皮層を粉砕し、前記粉砕された真皮を水中に分散させる工程;
(ii)水中に分散させた前記粉砕された真皮材料を、セルロース及び酸の分散物とブレンドして、コラーゲンゲルを製造する工程;
(iii)前記コラーゲンゲルに風味成分を添加する工程;並びに
(iv)風味付けされたコラーゲンゲルを押し出して、乾燥、前記コラーゲンケーシングに水分を加えるための加湿、及びシャーリングに供されるコラーゲンケーシングを形成する工程であって、別の風味成分が、シャーリング中にマンドレルを介して内側から前記コラーゲンケーシングに更に添加され、前記風味成分が、水溶性燻製風味成分である、工程
を含む、工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記工程iv)において前記風味付けされたコラーゲンゲルを押し出した後且つ乾燥させる前に、前記コラーゲンケーシングを風味成分を含む可塑剤溶液に曝露させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記風味成分が、前記セルロース及び酸の分散物前記粉砕された真皮材料とブレンドする前記工程ii)前に、前記セルロース及び酸の分散物に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記風味成分が、前記粉砕された真皮材料を前記セルロース及び酸の分散物とブレンドする前記工程ii)中に添加される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその双方の全体の内容が、本明細書全体に組み込まれている、米国特許法第119条(e)に従って2018年2月8日に出願した米国仮出願第62/627970号及び2017年10月16日に出願した米国仮出願第62/572601号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一態様において、コラーゲンケーシングを製造するための、コラーゲンの加工中に;コラーゲンケーシングの乾燥前、乾燥中、若しくは乾燥後に;コラーゲンケーシングに水分を加えるための、加湿前、加湿中、若しくは加湿後に;コラーゲンケーシングのシャーリング(shirring)前、シャーリング中、若しくはシャーリング後に;ケーシングに肉製品を詰める前若しくは後に;肉製品が詰められたコラーゲンケーシングの調理中に;及び/又は肉製品のパッケージングの前に、1種又は複数の風味成分を添加することによって、コラーゲンケーシングに風味付けを行う方法を対象とする。別の態様において、本発明は、コラーゲンケーシングに配合されて風味成分が添加されているコラーゲンケーシングを対象とする。
【背景技術】
【0003】
復元させたコラーゲンは、肉用、例えばソーセージ用の管状ケーシングの製造に使用される。これらのケーシングに使用されるコラーゲンは、典型的には牛ハイドの真皮層に由来する。コラーゲンの原料は、破砕され、酸と混合されて、コラーゲンゲルを形成する。コラーゲンゲルは、押し出されて、連続する管の形状にケーシングを形成する。ケーシングは、ガス状のアンモニアの注入又は液状塩溶液との接触により、中和されうる。ケーシングは、水で洗浄されて中和塩を除去し、連続する溶液槽を通過させることによって可塑化され、膨張しながら乾燥される。このようなプロセスの実施例は、米国特許第3535125号、米国特許第3821439号、米国特許第4388331号、及び米国特許第5820812号で開示され、そのそれぞれの全体の内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第3535125号
【文献】米国特許第3821439号
【文献】米国特許第4388331号
【文献】米国特許第5820812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1種又は複数の風味料をケーシングに添加して、所望の風味を肉製品に提供することが望ましい場合がある。例えば、「燻製(smoked)」の風味及び香りを肉製品に付与するための、典型的には燻製成分と称される組成物によって、コラーゲンケーシングに風味付けを行うことが望ましい場合がある。風味成分は、典型的にはコラーゲンケーシングの表面に添加される。例えば、水系(water based)風味成分は、典型的には、押し出し後及び乾燥前にコラーゲンケーシングの表面に添加される。油系(Oil based)風味成分は、典型的には、ケーシングの乾燥後及び巻き取り前に添加される。風味がその中に配合されているコラーゲンケーシングを有することは望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一態様において、コラーゲンケーシングを製造するための、コラーゲンの加工中に;コラーゲンケーシングの乾燥前、乾燥中、若しくは乾燥後に;コラーゲンケーシングに水分を加えるための、加湿前、加湿中、若しくは加湿後に;コラーゲンケーシングのシャーリング前、シャーリング中、シャーリング後に;ケーシングに肉製品を詰める前若しくは後に;肉製品が詰められたコラーゲンケーシングの調理中に;及び/又は肉製品のパッケージングの前に、1種又は複数の風味成分を添加することによって、コラーゲンケーシングに風味付けを行う方法を対象とする。別の態様において、本発明は、コラーゲンケーシングに配合された風味成分を有するコラーゲンケーシングを対象とする。
【0007】
可食性コラーゲンの管状ケーシングは、動物ハイド(animal hides)の真皮層を加工することによって製造される。真皮層は、皮剥機で動物ハイドの銀面層(grain layer)から分離される。一実施形態において、真皮層は、硫酸アンモニウム溶液、水洗浄で処理され、更に、クエン酸/クエン酸ナトリウム溶液で、その後、水洗浄で処理される。処理された真皮層は、細断され、粉砕されて、真皮材料の粒径を縮小させる。一実施形態において、真皮材料は、約1/4インチの粒径を有する1/4インチ粉砕物(quarter grind)に粉砕される。1種又は複数の風味成分が、硫酸アンモニウム溶液、洗浄水、又はクエン酸/クエン酸ナトリウム溶液に添加されてもよい。
【0008】
粉砕された真皮材料は、水中に分散され、細断されて含水塊を形成する。細断された真皮材料は、酸及びセルロースの分散物とブレンドされる。一実施形態において、1種又は複数の風味成分は、セルロース-酸分散物に添加され、次いでその分散物は、粉砕された真皮材料とブレンドされる。別の実施形態において、風味は、セルロース-酸分散物と粉砕された真皮材料とのブレンド中に添加される。
【0009】
ブレンド後に、細断された真皮材料と酸-セルロース分散物の混合物は、エージングタンクで貯蔵され、ここで、粉砕された真皮材料はコラーゲンゲルに変換される。粉砕された真皮材料が、エージングタンクでコラーゲンゲルに変換された後に、コラーゲンゲルは、エージングタンクから汲み出され、ホモジナイズされ、貯蔵タンク内に貯蔵される。1種又は複数の風味成分が、エージングタンク内又はコラーゲンゲルのホモジナイズ中に、コラーゲンゲルに添加されてよい。
【0010】
コラーゲンゲルは、押し出されてコラーゲンゲルを形成する。一実施形態において、コラーゲンゲルは、押し出される前に、貯蔵タンクから汲み出され、ろ過される。1種又は複数の風味成分が、汲み出し及びフィルタリングの後、押し出し前にコラーゲンゲルに添加されてもよい。或いは、1種又は複数の風味成分は、押し出し後にコラーゲンケーシングに添加されてもよい。
【0011】
押し出し後、コラーゲンケーシングは、酸を中和化し、コラーゲンを凝固させるために処理される。1種又は複数の風味成分が、中和中、又は中和後に、コラーゲンに添加されてもよい。
【0012】
中和後、コラーゲンケーシングは、洗浄され、可塑化剤溶液を通して送られる。可塑化剤溶液は、コラーゲンケーシングに風味付けを行うために、1種又は複数の風味成分を含有してよい。
【0013】
コラーゲンケーシングは乾燥され、次いで1種又は複数の加湿チャンバを通して送られる。乾燥工程後又は加湿工程中若しくは加湿工程後に、1種又は複数の風味成分が、コラーゲンケーシングに添加されてもよい。
【0014】
仕上がったコラーゲンケーシングは、シャーリングされる。1種又は複数の風味成分が、シャーリング加工前、シャーリング加工中、又はシャーリング加工後に、コラーゲンケーシングに添加されてよい。シャーリング中に、1種又は複数の風味成分が、マンドレル(mandrel)を介して内部でコラーゲンケーシングに添加されてよい。
【0015】
1種又は複数の風味成分は又、コラーゲンケーシングに肉をパッキングする前又はパッキングする間にコラーゲンケーシングに添加されてよい。風味成分は又、調理済の肉製品の調理中、燻製サイクルの間、又は肉製品のパッキング直前に、添加されてよい。
【0016】
コラーゲンケーシングを製造するプロセスの間、上記のうちの複数の工程中で、1種又は複数の風味成分が、添加されてよい。
【0017】
コラーゲンゲルに添加される1種又は複数の風味成分は、水系風味成分、油系風味成分、粉末状風味成分、マイクロカプセル化風味成分、又はこれらの成分の2種以上の組合せであり得る。例えば、メープル風味、ペパロニ風味、甘酸っぱい風味、ランチドレッシング風味、ニンニク、カレー、ハラペーニョ、タマネギ、ベーコン、マスタード、塩、コショウ、又はこれらの風味の組合せが、コラーゲンゲルに添加されてよい。本発明は、この点に関して限定されることなく、風味付けされたコラーゲンケーシングを製造するために、任意の種類の所望の風味成分が、コラーゲンゲルに添加されてよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される方法によって製造されるコラーゲンケーシングは、コラーゲンを押し出してコラーゲンケーシングにする前にコラーゲンに配合される風味成分を含む。これらの実施形態において、1種又は複数の風味成分は、コラーゲン全体に均一に分布している。コラーゲン全体に分布している1種又は複数の風味成分を有するコラーゲンケースは、コラーゲンケーシングの表面のみに風味成分が添加されているコラーゲンケーシングに比べ、優れている。
【0019】
記載され特許請求されるプロセス及び製品の利点には、風味付けされたコラーゲンケーシングが、その中に風味がコラーゲンに配合されて製造されることによって、コラーゲンケーシングにパッキングされる肉製品の風味付けを改良することができるという利点がある。プロセス及び得られる製品の他の利点は、下記に示された、本発明の実施形態の説明を基にすれば、当分野の当業者には明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】石灰処理されたハイドが、それによって可食性コラーゲンケーシングに加工されるプロセスの一実施形態を示し、プロセスの種々の実施形態において、どこで風味成分がコラーゲンゲルに注入されうるかを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、コラーゲンケーシングを製造するための、コラーゲンの加工中に;コラーゲンケーシングの乾燥前、乾燥中、若しくは乾燥後に、コラーゲンケーシングに水分を加えるための、加湿前、加湿中、若しくは加湿後に;コラーゲンケーシングのシャーリング前、シャーリング中、若しくはシャーリング後に、ケーシングに肉製品を詰める前若しくは後に;肉製品が詰められたコラーゲンケーシングの調理中に;及び/又は肉製品のパッケージングの前に、1種又は複数の風味成分を添加することによってコラーゲンケーシングに風味付けを行う方法を対象とする。
【0022】
風味成分は、水系溶液、油系溶液、粉末状成分、マイクロカプセル化風味成分、又はこれらの種類の風味成分の2種以上の組合せであり得る。いくつかの実施形態において、風味成分は、燻製風味、ペパロニ風味、甘酸っぱい風味、メープル風味、ランチドレッシング風味、ニンニク、カレー、ハラペーニョ、タマネギ、ベーコン、マスタード、塩、コショウ、又はこれらの風味の組合せが、コラーゲンゲルに添加されてよい。本発明はこれらの風味成分の添加に限定されず、下記に記載される方法で本発明を使用し、他の種類の風味成分も、押し出しの前にコラーゲンゲルに添加されてよいことを理解されたい。
【0023】
可食性コラーゲンケーシングを製造するための従来のプロセスは公知であり、例えば、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5820812号において記載されている。典型的なプロセスの一実施形態において使用される工程及び装置は、図1に概略図で示されている。本発明はこの点に関して限定されることはなく、風味成分は、コラーゲンケーシングを製造するためにコラーゲンゲルを押し出す前の、任意のプロセスによって作製されるコラーゲンゲルに添加されてよい。
【0024】
コラーゲンケーシングを製造するための典型的な1つのプロセスにおいて、屠殺されたばかりの動物由来の動物ハイドは、肉を削り取り、水洗浄され、石灰で処理をされて毛を除去する。石灰処理された動物ハイドは、皮剥機で細断されて、真皮層から銀面層を分離し、真皮層は、コラーゲンケーシングを製造するために使用される。図1を参照すると、石灰処理された真皮層1は、下記の通り更に加工されるまで、0~4℃に保持される冷蔵貯蔵室で貯蔵される。
【0025】
図1に示されるプロセスの実施形態において、真皮層はまず加工されて、押し出してケーシングにするための真皮材料を準備する。真皮層は、その重量を計測され2、バッファリンドラム3で処理されるが、そのドラムは、最大3000Kgの製品を扱うことができる。バッファリングドラム内では、真皮層は、硫酸アンモニウム溶液で処理され、次いで水洗浄される。一実施形態において、硫酸アンモニウム濃度は、約0.5~2.2%(w/w)の範囲内である。真皮層は、次いで、クエン酸/クエン酸ナトリウム溶液で更に処理され、その後再度水で洗浄される。一実施形態において、クエン酸/クエン酸ナトリウム濃度は、約0.0725~0.29%(w/w)の範囲内である。1種又は複数の風味成分が、硫酸アンモニウム溶液、クエン酸/クエン酸ナトリウム溶液、及び/又は洗浄水に添加されてよい。バッファリング加工によって、真皮層のpHは、約4.3~4.9に下げられる。製品が確実に適切なpHに達するように、アッセイが行われる。バッファリングされた真皮層は、排出され4、バッファリングされた真皮層は、更に加工が必要になるまで冷蔵保存5に置かれる。
【0026】
追加の原料が加工に必要とされる場合、真皮層は、コンベヤで送られて6、細断され7、約25℃未満で1/4インチ粉砕物(すなわち、約1/4インチの粒径を有する真皮層)に粉砕される8。1種又は複数の風味成分は、真皮層の細断前又は細断中に真皮に添加されてよい。1/4インチ粉砕物の真皮材料は、合成され(composited)9、冷却され10、約18℃の温度に保持される。
【0027】
冷却された、1/4インチ粉砕物の真皮材料は、パイプで押し出し準備ラインに運ばれる。固体はサイズを計測され11、重量を計測され12、1/4インチ粉砕物の真皮材料は、水中に分散される13。1種又は複数の風味成分が、1/4インチ粉砕物の分散物を作製するために使用される水に添加されてよい。分散された1/4インチ粉砕物の真皮材料は、高速切削用ミル15に汲み出され14、そこで真皮材料は、更に細断されて含水塊を形成する。含水塊は、パルプ分散物タンク16に貯蔵され、混合された状態に保たれる。1種又は複数の風味成分は、パルプ分散物タンク内の含水真皮塊に添加されてよい。別個のブレンドタンク18において、セルロース、HCl、及び水の分散物が、0~10℃で調製される。分散物は、例えば、5℃で調製されてよい。一実施形態において、1種又は複数の風味成分は、セルロース-酸分散物に添加される40。
【0028】
パルプ分散物タンク16からの1/4インチ粉砕物の含水真皮材料の量が計測され17、ブレンダー20に入れられる。同時に、ブレンドタンク18からのセルロース-酸分散物の量が計測され19、ブレンダー20に入れられ、1/4インチ粉砕物の含水真皮材料とブレンドされて、ゲル製品を形成する。或いは、1種又は複数の風味成分がブレンダー20中に添加され41、真皮材料とセルロース-酸分散物に混合されてよい。
【0029】
約15~60分間の初回ブレンド期間の後に、ゲル製品は真空下で約20時間、エージングタンク21に貯蔵される。ゲル製品がエージングタンク21に貯蔵されている間、1種又は複数の風味成分が、ゲル製品に添加されてよい。エージングタンクの温度は、20℃未満に保持される。次いで、ゲル製品は、ホモジナイザー23に汲み出される22。一実施形態において、ホモジナイズ中に、1種又は複数の風味成分が、コラーゲンに添加される。コラーゲンゲルは、ホモジナイズされた後に、脱気/貯蔵タンク24に送られ、そこで真空下で脱気される。1種又は複数の風味成分が、脱気/貯蔵タンク24に貯蔵されている間に、ゲル製品に添加されてよい。このようにして得られるゲル製品は、以下のおよその組成を有する。
【0030】
【表1】
【0031】
ゲル製品は、貯蔵タンク25に約25℃で保持される。ゲル製品が、脱気/貯蔵タンク25に貯蔵されている間に、1種又は複数の風味成分が、ゲル製品に添加されてよい。ゲル製品は、貯蔵タンクから一連のフィルターを通して汲み出される26が、これらのフィルターは、任意の適切な種類のフィルターであってよい。自動セルフクリーニングフィルターが使用されてよい。一実施形態において、押し出しの前及びポンプとフィルター43の後に、1種又は複数の風味成分が、コラーゲンゲルに添加される42。ろ過されたゲル製品は、計測され27、押し出し機28に送られ、コラーゲンケーシングを形成する。押し出し機は、好ましくはディスク押し出し機である。押し出し機では、ゲルは、典型的には、0.075~1.2サウ(thousands)の厚さに押し出され、形成され、所望の直径、典型的には約13~34mmに空気で膨張される。
【0032】
押し出し後、コラーゲンケーシングは、中和セクション29で、無水アンモニアで処理される。アンモニアは、製品中のHClと反応し、HClを中和させるため、コラーゲンの凝固が生じる。押し出し後及び中和前に、コラーゲンケーシングに1種又は複数の風味成分が添加されてよい。或いは、1種又は複数の風味成分が、中和工程中又は中和工程後に添加されてよい。
【0033】
中和されたコラーゲンケーシングは、新水浴槽で洗浄されて30、アンモニウム塩を除去する。1種又は複数の風味成分が、新水浴槽の水に添加されてよい。次いで、洗浄されたコラーゲンケーシングは、可塑化剤を含有する一連のバスケット31を通過して移動する。可塑化剤溶液は、約2%~6%のグリセリン、約0.20%~1.6%のカルボキシメチルセルロースナトリウム又はアルギン酸ナトリウム、及び約0~20ppmの次亜塩素酸ナトリウムを含有する水性(aqueous)溶液である。この加工は、乾燥させる目的でケーシングを脱水し、且つこの加工によって、弾性を与える目的でグリセリンを導入することができる。コラーゲンケーシングに風味付けを行うために、1種又は複数の風味成分が、可塑化剤溶液に添加されてよい。
【0034】
コラーゲンケーシングは、乾燥機32を通過して移動するが、この乾燥機は、最大205°Fの乾式加熱を使用する。乾燥機は、異なる温度の多段階を有してよい。1種又は複数の風味成分が、乾燥工程前、乾燥工程中、又は乾燥工程後に、コラーゲンケーシングに添加されてよい。乾燥後、コラーゲンケーシングは、約85%の相対湿度の加湿チャンバ(示されていない)を通して送られる。1種又は複数の風味成分が、加湿工程前、加湿工程中、又は加湿工程後に、コラーゲンケーシングに添加されてよい。
【0035】
コラーゲンケーシングは、折りたたまれ、リールに巻き取られる33。1種又は複数の風味成分が、巻き取り前にコラーゲンケーシングに添加されてよい。巻き取られたコラーゲンケーシングは、ケーシングに最終水分が加えられる、第2の加湿チャンバに通される。最終水分がケーシングに加えられるときに、1種又は複数の風味成分が、コラーゲンケーシングに添加されてよい。次いで、ケーシングは、仕上げ加工及び出荷に向けて送られる。
【0036】
仕上げ加工中、加湿34によって、水分が再度ケーシングに加えられる。次いで、製品は、個々の長さにシャーリングされ36、箱に入れられ、箱はオーバーラッピングされ真空パックにされる37。1種又は複数の風味成分が、シャーリング工程前、シャーリング工程中、若しくはシャーリング工程後に、コラーゲンケーシングに添加されてよい。シャーリング加工中には、1種又は複数の風味成分が、シャーリング加工に使用されるマンドレルを介して、内部でコラーゲンケーシングに添加されてよい。
【0037】
次いで、仕上げられたコラーゲンケーシングは、FDA承認済の段ボール箱に入れられ38、箱にはラベルが付けられ、バーコード化され、トレサビリティ用の、会社のロットコントロールシステムにスキャンされる。次いで、スラグの換気用箱は、加湿チャンバに置かれてよく、そこで製品の含水量を仕様範囲内に設定するために、強制加湿空気が使用される。
【0038】
1種又は複数の風味成分が、コラーゲンケーシングに肉をパッキングする前又はパッキングする間にコラーゲンケーシングに添加されてよい。風味成分は、調理済の肉製品の調理中、燻製サイクル中、又は肉製品のパッケージング直前に添加されてもよい。
【0039】
本明細書に記載される方法によって製造されるコラーゲンケーシングは、コラーゲンに配合された風味成分を有する。その結果、風味成分は、より安定性があり、損なわれないまま保たれるので、コラーゲンケーシングに詰められた肉製品に、より良い風味を提供する。特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本発明は、これらの実施形態に限定されることなく、風味成分は、コラーゲンケーシングを製造するプロセスの、所望される任意の工程で添加されてよい。
【0040】
本明細書における教示に基づいて当業者には理解されるであろうが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で、本発明の、上述された及び他の実施形態に多数の変更及び変更形態がなされてよい。例えば、当業者には理解されるであろうが、ゲル製品のための多重押し出し準備ライン及び多重貯蔵タンクが、連続する押し出しラインへの一定供給を確実にするために使用されてよい。したがって、好ましい実施形態のこの詳細な説明は、限定的な意味ではなく例示として理解されるべきである。
【符号の説明】
【0041】
1 石灰処理スプリット
2 重量を計測
3 バッファリング
4 排出
5 冷蔵保存
6 運搬
7 予備破砕
8 粉砕
9 合成
10 冷却
11 固体測定
12 重量を計測
13 粉砕分散
14 汲み出し
15 微細化
16 パルプ分散
17 計測
18 セルロース-酸分散
19 計測
20 ブレンド
21 エージング
22 汲み出し
23 ホモジナイズ
24 脱気-貯蔵
25 貯蔵
26 汲み出し、フィルタリング
27 計測
28 押し出し
29 中和
30 洗浄
31 可塑化
32 乾燥
33 巻き取り
34 加湿
35 油/ポリソルベート
36 シャーリング
37 オーバーラッピング
38 梱包
39 出荷
40 添加
図1