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特許7603466バルーンカテーテル及びカテーテルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル及びカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20241213BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10 520
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021016482
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119398
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】早川 浩一
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-536534(JP,A)
【文献】特許第3921108(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2020/0330082(US,A1)
【文献】特開2015-181674(JP,A)
【文献】国際公開第2020/216087(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する外管と、前記外管に対して当該外管の軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔に配設された内管と、前記内管の先端部に設けられて前記外管の径方向内方に膨らむ管状の内側バルーン部と、を有し、
前記内側バルーン部は、当該内側バルーン部を膨らませた状態で前記内管から前記内側バルーン部へと押込み力が伝達されることで前記内側バルーン部の先端部が捲り返されながら前記外管の先端開口から先端方向に突出するバルーンカテーテルであって、
前記内管の外周面と前記外管の内周面との間には、前記内側バルーン部を拡張させるためのバルーン拡張流体が流通する外側ルーメンが設けられ、
前記内側バルーン部の外周面と前記外管の内周面との間には、前記バルーン拡張流体が流入する外側空間が形成され、
前記内側バルーン部は、前記外側ルーメンから前記外側空間に前記バルーン拡張流体が流入することによって前記外管の径方向内方に膨らみ、
前記外管の外周面には、前記外管の径方向外方に膨らむ環状の外側バルーン部が設けられ、
膨らんだ状態の前記内側バルーン部を前記先端開口から突出させた状態で、前記先端開口よりも前記先端方向には、当該内側バルーン部が径方向に折り重なった突出部が形成され、
膨らんだ状態の前記外側バルーン部の外径は、前記突出部の外径よりも大きく、
前記バルーンカテーテルは、前記外管よりも前記先端方向で前記内側バルーン部の一端部と前記外側バルーン部の一端部とを互いに連結するバルーン連結部を有し、
前記内側バルーン部の他端部は、前記内管の先端部に設けられ、
前記外側バルーン部の他端部は、前記外管の外周面に設けられている、バルーンカテーテル。
【請求項2】
請求項1記載のバルーンカテーテルであって、
前記外側バルーン部は、前記外管の先端部に設けられている、バルーンカテーテル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバルーンカテーテルであって、
前記内側バルーン部、前記外側バルーン部及び前記バルーン連結部は、一体成形品であるバルーンに設けられている、バルーンカテーテル。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルと、
前記内管の内腔を介して前記内側バルーン部の内腔に挿入可能な線状のバルーン支持部と、を備える、カテーテルシステム。
【請求項5】
請求項記載のカテーテルシステムであって、
前記バルーン支持部は、内視鏡の挿入部である、カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテル及びカテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、卵管の病変部(狭窄部又は閉塞部)を治療するためのバルーンカテーテルと、内視鏡(卵管鏡)とを備えるカテーテルシステムが開示されている。バルーンカテーテルは、可撓性を有する外管と、外管に対して軸線方向に移動可能なように外管の内腔に配設された内管と、外管の先端部と内管の先端部とを互いに繋ぐ管状のバルーンとを備える。
【0003】
卵管鏡下卵管形成術において、バルーンは、バルーンの内腔に挿入される卵管鏡の挿入部(線状部)で膨らんだ状態のバルーンを支持した状態で、先端方向への押込み力が内管からバルーンへと伝達されることでバルーンの先端部が捲り返されながら外管の先端開口から突出して卵管口に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3921108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した卵管鏡下卵管形成術において、卵管の病変部が完全に閉塞しているような症例では、病変部をバルーンによって押し広げる際にバルーンには比較的大きな反力(基端方向の力)が作用する。この際、外管がバルーンに対して後退すると、バルーンから病変部に押込み力を効率的に作用させることができないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、バルーンを生体管内で安定して前進させることができるとともにバルーンから病変部に押込み力を効率的に作用させることができるバルーンカテーテル及びカテーテルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、可撓性を有する外管と、前記外管に対して当該外管の軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔に配設された内管と、前記内管の先端部に設けられて前記外管の径方向内方に膨らむ管状の内側バルーン部と、を有し、前記内側バルーン部は、当該内側バルーン部を膨らませた状態で前記内管から前記内側バルーン部へと押込み力が伝達されることで前記内側バルーン部の先端部が捲り返されながら前記外管の先端開口から先端方向に突出するバルーンカテーテルであって、前記内管の外周面と前記外管の内周面との間には、前記内側バルーン部を拡張させるためのバルーン拡張流体が流通する外側ルーメンが設けられ、前記内側バルーン部の外周面と前記外管の内周面との間には、前記バルーン拡張流体が流入する外側空間が形成され、前記内側バルーン部は、前記外側ルーメンから前記外側空間に前記バルーン拡張流体が流入することによって前記外管の径方向内方に膨らみ、前記外管の外周面には、前記外管の径方向外方に膨らむ環状の外側バルーン部が設けられ、膨らんだ状態の前記内側バルーン部を前記先端開口から突出させた状態で、前記先端開口よりも前記先端方向には、当該内側バルーン部が径方向に折り重なった突出部が形成され、膨らんだ状態の前記外側バルーン部の外径は、前記突出部の外径よりも大きく、前記バルーンカテーテルは、前記外管よりも前記先端方向で前記内側バルーン部の一端部と前記外側バルーン部の一端部とを互いに連結するバルーン連結部を有し、前記内側バルーン部の他端部は、前記内管の先端部に設けられ、前記外側バルーン部の他端部は、前記外管の外周面に設けられている、バルーンカテーテルである。
【0008】
本発明の他の態様は、上述したバルーンカテーテルと、前記内管の内腔を介して前記内側バルーン部の内腔に挿入可能な線状のバルーン支持部と、を備える、カテーテルシステムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、膨らんだ状態の外側バルーン部の外径が突出部の外径よりも大きいため、外側バルーン部を生体管の内面に押し当てることができる。これにより、内側バルーン部を生体管内で安定して前進させることができる。また、病変部を内側バルーン部(突出部)によって押し広げる際に内側バルーン部に比較的大きな反力が作用した場合であっても、当該反力を外側バルーン部と生体管の内面との接触部で受けることができる。従って、外管が反力によって基端方向に押し戻されることが抑えられるため、内側バルーン部から病変部に押込み力を効率的に作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルシステムの概略構成図である。
図2図1のカテーテルシステムの一部省略縦断面図である。
図3図2のバルーンカテーテルの先端側の拡大断面図である。
図4図2のカテーテルシステムにおいて、内側バルーン部及び外側バルーン部を膨らませた状態を示す拡大断面説明図である。
図5図1のカテーテルシステムを用いた卵管鏡下卵管形成術の第1説明図である。
図6】前記卵管鏡下卵管形成術の第2説明図である。
図7】前記卵管鏡下卵管形成術の第3説明図である。
図8】前記卵管鏡下卵管形成術の第4説明図である。
図9】前記卵管鏡下卵管形成術の第5説明図である。
図10】前記卵管鏡下卵管形成術の第6説明図である。
図11】第1変形例に係るバルーンカテーテルの断面説明図である。
図12図11のバルーンカテーテルを備えたカテーテルシステムを用いた卵管鏡下卵管形成術の説明図である。
図13図12のバルーンカテーテルの内側バルーンを前進させた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るバルーンカテーテル及びカテーテルシステムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るカテーテルシステム10は、バルーンカテーテル12と、医療機器である内視鏡14(卵管鏡)とを備える。図5図10に示すように、カテーテルシステム10は、例えば、卵管202の病変部204(狭窄部又は閉塞部等)を治療する卵管鏡下卵管形成術に用いられる。ただし、カテーテルシステム10は、卵管202以外のもの、例えば、血管、胆管、気管、食道、尿道、大腸、その他の臓器等の生体管内の病変部を治療するためのものでもよい。
【0013】
カテーテルシステム10に関する以下の説明では、図1中の左側(矢印X1方向)を「先端」、図1中の右側(矢印X2方向)を「基端」という。
【0014】
図1及び図2に示すように、バルーンカテーテル12は、外側カテーテル16と、外側カテーテル16に設けられたスライダ18と、外側カテーテル16内に挿入された内側カテーテル20と、バルーン22とを備える。
【0015】
外側カテーテル16は、可撓性を有する長尺な外管24と、外管24の基端部に設けられた外管ハブ26(外管操作部)と、外管ハブ26に設けられた固定ねじ28とを有する。外管24の全長は、100mm以上1500mm以下に設定するのが好ましく、200mm以上1000mm以下に設定するのがより好ましい。
【0016】
外管24の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、エラストマー樹脂(ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー等)、可撓性を有する高分子材料(ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等)、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0017】
図3において、外管24には、先端から基端まで貫通した第1内腔30が形成されている。外管24の先端部の外周面には、環状の凹部32が形成されている。凹部32は、外管24の先端面まで延在している。外管24の先端側のうち凹部32よりも基端側は、軸線方向に円弧状に湾曲するように形状付けられている。外管24の先端面には、外周面から内周面に向かって先端方向に傾斜したテーパ面34が形成されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、外管ハブ26は、硬質樹脂又は金属(ステンレス鋼、チタン、チタン合金等)によって構成されている。硬質樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0019】
図2において、外管ハブ26は、人手によって操作し易い大きさに中空状に形成されている。外管ハブ26には、外管24の第1内腔30に連通する第1空間36と、第1空間36の基端側に位置して内側カテーテル20が挿通する第1挿通孔38と、第1空間36にバルーン拡張流体を導入するための第1導入ポート部40とが設けられている。バルーン拡張流体は、図2に示すバルーン22を膨らませるためのものである。バルーン拡張流体は、例えば、生理食塩水である。外管ハブ26には、第1空間36内のバルーン拡張流体が第1挿通孔38を介して外部に漏出することを防止する第1シール部材42が設けられている。
【0020】
固定ねじ28は、外管ハブ26に対して内側カテーテル20を固定するためのものである。固定ねじ28の構成材料は、外管ハブ26と同様のものが挙げられる。
【0021】
スライダ18は、外管24の外周面に対して外管24の軸線方向に移動可能(スライド可能)な状態で設けられている。スライダ18の全長は、外管24の全長よりも短い。スライダ18は、長尺な管状のスライダ本体44と、スライダ本体44の基端部に設けられたスライダハブ46(スライダ操作部)とを有する。スライダ本体44及びスライダハブ46のそれぞれは、上述した外管ハブ26と同様の材料によって構成される。スライダハブ46は、人手によって操作し易い大きさに環状に形成されている。
【0022】
スライダ18を外管24に対して最も基端側(矢印X2方向)に移動させた状態(スライダ18の基端を外管ハブ26の先端に位置させた状態)で、外管24の先端側は、スライダ18よりも先端側に露出するとともにその一部が円弧状に湾曲する。スライダ18を外管24に対して最も先端側(矢印X1方向)に移動させた状態で、外管24の先端側は、スライダ本体44の形状に沿って直線状に延在する。
【0023】
図1及び図2に示すように、内側カテーテル20は、長尺な内管48と、内管48の基端部に設けられた内管ハブ50(内管操作部)とを備える。内管48の全長は、100mm以上1500mm以下に設定するのが好ましく、200mm以上1000mm以下に設定するのがより好ましい。
【0024】
図2において、内管48の構成材料としては、比較的硬質な樹脂(例えば、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK樹脂等)又は金属(例えば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金等)が挙げられる。内管48には、先端から基端まで貫通した第2内腔52が形成されている。
【0025】
内管48は、外管ハブ26を挿通するとともに外管24の第1内腔30に配設されている。内管48の先端は、外管24の先端よりも基端方向(矢印X2方向)に位置している。内管48の外周面と外管24の内周面との間には、バルーン拡張流体が流通する外側ルーメンSa(拡張用ルーメン)が設けられている。
【0026】
内管48の第2内腔52には、バルーン支持部としても機能する内視鏡14の長尺な挿入部80(線状部)が挿入される。内管48の第2内腔52に挿入部80が挿入された状態で、内管48と挿入部80との間には、灌流液が流通する内側ルーメンSb(灌流用ルーメン)が形成される。灌流液は、例えば、生理食塩水である。
【0027】
内管ハブ50は、外管ハブ26と同様の材料によって構成される。内管ハブ50は、中空状に形成されている。内管ハブ50には、内管48の第2内腔52に連通する第2空間54と、第2空間54の基端側に位置して挿入部80が挿通する第2挿通孔56と、第2空間54に灌流液を導入するための第2導入ポート部58とが設けられている。内管ハブ50には、第2空間54内の灌流液が第2挿通孔56を介して外部に漏出することを防止する第2シール部材60が設けられている。
【0028】
図2及び図3に示すように、バルーン22は、内管48の先端部に設けられた管状の内側バルーン部62と、外管24の外周面に設けられた環状の外側バルーン部64と、内側バルーン部62の一端部と外側バルーン部64の一端部とを外管24よりも先端方向で互いに連結するバルーン連結部66とを含む。内側バルーン部62、外側バルーン部64及びバルーン連結部66は、一体成形品であるバルーン22に設けられている。
【0029】
バルーン22(内側バルーン部62、外側バルーン部64及びバルーン連結部66)は、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、エラストマー樹脂(ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー等)、可撓性を有する高分子材料(天然ゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム等)、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイソプレン、ポリエステル、フッ素樹脂等で構成するのが好ましい。
【0030】
内側バルーン部62の外周面と外管24の内周面との間には、バルーン拡張流体が流入する外側空間Scが形成されている。内側バルーン部62は、外側空間Scに流入したバルーン拡張流体によって外管24の径方向内方に膨らむ(図4参照)。換言すれば、内側バルーン部62は、径方向に弾性変形可能に形成されている。
【0031】
内側バルーン部62の他端部は、バルーン固定部材68によって内管48の先端部の外周面に固定されている(図2参照)。バルーン固定部材68は、円環状に形成されている。バルーン固定部材68は、外管24の第1内腔30に配設されている。なお、内側バルーン部62の他端部は、内管48の内周面の先端部に固着(接着又は融着)されてもよい。内側バルーン部62は、内視鏡14の挿入部80が挿入可能な内腔70を有する。
【0032】
外側バルーン部64は、バルーン拡張流体によって外管24の径方向外方に膨らむ(図4参照)。換言すれば、外側バルーン部64は、径方向に弾性変形可能に形成されている。外側バルーン部64の他端部は、外管24の外周面に形成された凹部32の底面に固着(接着又は融着)されている。具体的に、外側バルーン部64は、その他端部のみが凹部32の底面における基端部に固着(接着又は融着)されている。外側バルーン部64の他端部以外の部分は、外管24に対して固定されていない。外側バルーン部64の内周面のうち他端部以外の部分は、外側バルーン部64を膨らませていない状態で、凹部32の底面に接触又は近接している。
【0033】
外側バルーン部64は、内側バルーン部62の径方向外方に位置する。外側バルーン部64と内側バルーン部62との間には、外管24の先端部が位置する。図3において、外側バルーン部64の全長L1(矢印X方向に沿った長さ)は、5mm以上30mm以下に設定されるのが好ましい。ただし、外側バルーン部64の全長L1は、適宜設定可能である。
【0034】
外側バルーン部64を膨らませていない状態で、外側バルーン部64の外径D1は、1mm以上3mm以下に設定するのが好ましい。この場合、外管24の外周面の先端部に設けられた外側バルーン部64を卵管202内に挿入することができる(図5参照)。外側バルーン部64の肉厚は、外管24の凹部32の深さと略同一に設定されるのが好ましい。これにより、外側バルーン部64を膨らませていない状態で、外管24の外周面のうち凹部32よりも基端側の部分と外側バルーン部64の外周面とが面一になる。
【0035】
バルーン連結部66は、円環状に延在している。バルーン連結部66の横断面は、バルーンカテーテル12の初期状態(内側バルーン部62を外管24の先端開口72よりも先端側に突出させていない状態)で、先端方向に向かって円弧状に湾曲するように形成されている。バルーン連結部66は、バルーン拡張流体によって外管24の先端方向に膨らむ(図4参照)。バルーン連結部66の内面は、バルーン連結部66を膨らませていない状態で、外管24のテーパ面34に接触又は近接している。
【0036】
図4において、外側空間Scにバルーン拡張流体が供給されると、内側バルーン部62が外管24の径方向内方に膨出するとともにバルーン連結部66が外管24の先端方向に膨出する。バルーン連結部66が膨出すると、外側空間Sc内のバルーン拡張流体は、外管24とバルーン連結部66との間に形成された空間Sdを介して外側バルーン部64の内周面に導かれる。これにより、外側バルーン部64が径方向外方に膨出して外側バルーン部64と外管24の外周面(凹部32の底面)との間に空間Seが形成される。
【0037】
図7に示すように、このようにバルーン22(内側バルーン部62、外側バルーン部64及びバルーン連結部66)を膨らませた状態で、内管48から内側バルーン部62へと押込み力(先端方向の押込み力)が伝達されると、バルーン22の先端部(内側バルーン部62の先端部)が捲り返されながら外管24の先端開口72から先端方向に突出する。この際、先端開口72よりも先端方向には、内側バルーン部62が径方向に二重に折り重なった突出部22bが形成される。膨らんだ状態の外側バルーン部64の外径D2は、突出部22bの外径D3よりも大きい。
【0038】
図2及び図3において、内視鏡14は、卵管202(図5参照)を観察するための卵管鏡である。内視鏡14は、バルーンカテーテル12の内管48の第2内腔52と内側バルーン部62の内腔70とに挿入された可撓性を有する長尺な挿入部80を備える。また、図示は省略するが、内視鏡14は、ディスプレイ等の表示部と、撮像した画像(内視鏡画像)を表示部に表示させるための撮像制御装置とを備える。挿入部80の基端には、挿入部80を操作するための図示しない操作部が設けられている。挿入部80の全長は、例えば、約2000mmに設定される。ただし、挿入部80の全長は、適宜設定可能である。
【0039】
次に、このように構成されるカテーテルシステム10を用いた卵管鏡下卵管形成術について説明する。
【0040】
卵管鏡下卵管形成術では、準備工程において、上述したカテーテルシステム10を準備する。準備工程において、ユーザは、内管48を基端側(矢印X2方向)に完全に引いた状態で固定ねじ28によって固定しておく。さらに、スライダ本体44の先端を外管24の先端部に位置させる。これにより、外管24の先端側がスライダ本体44によって真直ぐに延在する。
【0041】
続いて、挿入工程において、ユーザは、バルーンカテーテル12を経頸管的に子宮底200まで挿入する。そして、図5に示すように、スライド工程において、スライダ18を外管24に対して基端方向(矢印X2方向)に引き戻す。これにより、外管24の先端側のうち凹部32よりも基端側は、スライダ18から露出して湾曲形状になる。この際、ユーザは、内視鏡14の挿入部80の先端を外管24の先端開口72に位置させて内視鏡画像により卵管口202aを確認しながら卵管口202aに外管24の先端部を挿入する。この際、外側バルーン部64が卵管202内に位置するようにする。
【0042】
その後、バルーン導出工程を行う。具体的に、バルーン導出工程では、図6に示すように、第1導入ポート部40にバルーン拡張流体を供給する(加圧工程)。そうすると、バルーン拡張流体は、第1導入ポート部40から外側ルーメンSaを介して内側バルーン部62の外側空間Scに供給される。そのため、内側バルーン部62は、外側空間Scに供給されたバルーン拡張流体によって径方向内方に押圧されて弾性変形する。つまり、内側バルーン部62のうち挿入部80の外周側に位置する部位は、挿入部80の外周面に密着する。内側バルーン部62のうち挿入部80の先端よりも先端側に位置する部位は、内面同士が互いに接触する。
【0043】
また、バルーン連結部66は、外側空間Scに供給されたバルーン拡張流体によって先端方向に押圧されて弾性変形する。すなわち、バルーン連結部66は、バルーン拡張流体によって先端方向に円弧状に膨らむ。これにより、外側空間Scのバルーン拡張流体は、バルーン連結部66と外管24の先端との間に形成された空間Sdに導かれる。そして、外側バルーン部64は、当該空間Sdに導かれたバルーン拡張流体によって外管24の径方向外方に押圧されて弾性変形する。換言すれば、外側バルーン部64は、バルーン拡張流体によって外管24の径方向外方に膨らむ。これにより、外側バルーン部64の外周面は、卵管202の内面のうち卵管口202aの近傍に押し付けられる。そのため、外側バルーン部64(バルーンカテーテル12の先端部)は、卵管202に対して固定される。
【0044】
その後、ユーザは、固定ねじ28を緩めた状態で内管ハブ50を操作して内管48を外管24に対して前進させる(前進工程)。そうすると、図7に示すように、内管48によって先端方向に押された内側バルーン部62は、挿入部80とともに外管24に対して前進する。つまり、内側バルーン部62は、押込み力が内管48から内側バルーン部62に伝達されることにより、挿入部80とともに外管24の先端開口72から先端方向(矢印X1方向)に突出する。
【0045】
前進工程では、内側バルーン部62の一端部がバルーン連結部66及び外側バルーン部64を介して外管24の外周面に固定されているため、内側バルーン部62は、その先端部22aが捲り返されながら前進する。すなわち、内側バルーン部62は、その先端部22aで内面が外側を向くように捲り返される。そのため、内側バルーン部62は、挿入部80の前進距離の半分の距離相当前進する。この際、バルーン連結部66の一端部(内側バルーン部62側の端部)は、バルーン連結部66の他端部(外側バルーン部64側の端部)よりも先端方向に移動する。そのため、バルーン連結部66は、先端方向に向かって縮径するように傾斜した形状になる。
【0046】
また、先端開口72よりも先端方向(バルーン連結部66の一端部よりも先端側)には、内側バルーン部62が径方向に二重に折り重なって形成された突出部22bが形成される。突出部22bの外径D3は、外側バルーン部64の外径D2よりも小さい。これにより、突出部22bが卵管202の内面に当たることが抑えられる。つまり、卵管202の内面が突出部22bによって過剰に押圧されることが防止される。
【0047】
このような前進工程では、外側バルーン部64が卵管202の内面のうち卵管口202aの近傍に押し付けられることにより外側バルーン部64が卵管202に対して固定されるため、内側バルーン部62を卵管202内で安定して前進させることができる。
【0048】
続いて、ユーザは、内視鏡画像に基づいてバルーン22が病変部204に到達したか否かを判断する。バルーン22が病変部204の手前に位置していた場合には、バルーン拡張流体を減圧するとともに第2導入ポート部58に灌流液(灌流用流体)を供給する(減圧工程)。これにより、内側ルーメンSbを介してバルーン22と内視鏡14の挿入部80との間に灌流液が流通する。次いで、ユーザは、図8に示すように、内視鏡14を所定距離だけ後退させる(後退工程)。その後、上述した加圧工程及び前進工程を再度行う。
【0049】
そして、図9に示すように、内側バルーン部62の先端部22aが病変部204に接触すると、ユーザが内管48を先端方向(矢印X1方向)に押し込んだ際に、内側バルーン部62の先端部22aには基端方向(矢印X2方向)の反力が作用する。しかしながら、前記の通り、外側バルーン部64が卵管202の内面に対して固定されている(押し付けられている)ため、病変部204から内側バルーン部62の先端部22aに作用する基端方向の反力を、外側バルーン部64と卵管202の内面との接触部で受けることができる。これにより、外管24がバルーン22に対して基端方向に移動することが抑えられる。すなわち、外管24の先端開口72が卵管202の外側に押し戻されることがないため、バルーン22(内側バルーン部62)から病変部204に押込み力を効率的に作用させることができる。
【0050】
その後、図10に示すように、バルーン22が病変部204を完全に通過すると、バルーン22によって病変部204が押し広げられる。すなわち、卵管202の狭窄又は閉塞が改善される。
【0051】
病変部204を広げた後、ユーザは、バルーン拡張流体を減圧してからバルーンカテーテル12及び内視鏡14を抜去する(抜去工程)。なお、バルーンカテーテル12の抜去前に、第2導入ポート部58を介して灌流液を注入しつつ内管48を引いてバルーン22を後退させ、同時に内視鏡14をバルーン22の先端部22aに位置するよう操作することで、抜去工程の際に卵管202内を観察しながらバルーンカテーテル12を抜去してもよい。これにより、卵管鏡下卵管形成術が終了する。
【0052】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0053】
本実施形態によれば、膨らんだ状態の外側バルーン部64の外径D2が突出部22bの外径D3よりも大きいため、外側バルーン部64を卵管202の内面に押し当てて固定することができる。これにより、内側バルーン部62を卵管202内で安定して前進させることができる。また、病変部204を内側バルーン部62(突出部22b)によって押し広げる際に内側バルーン部62に比較的大きな反力が作用した場合であっても、当該反力を外側バルーン部64と卵管202の内面との接触部で受けることができる。従って、外管24が反力によって基端方向に押し戻されることが抑えられるため、内側バルーン部62から病変部204に押込み力を効率的に作用させることができる。
【0054】
外側バルーン部64は、外管24の先端部に設けられている。
【0055】
このような構成によれば、外管24の先端部を卵管202内に挿入することにより卵管202の内面のうち卵管口202a(バルーン挿入口)の近傍に外側バルーン部64を位置させることができる。これにより、内側バルーン部62から病変部204に押込み力を一層効率的に作用させることができる。
【0056】
バルーンカテーテル12は、外管24よりも先端方向で内側バルーン部62の一端部と外側バルーン部64の一端部とを互いに連結するバルーン連結部66を有する。内側バルーン部62の他端部は、内管48の先端部に設けられ、外側バルーン部64の他端部は、外管24の外周面に設けられている。
【0057】
このような構成によれば、内側バルーン部62、外側バルーン部64及びバルーン連結部66を1つの部材として構成することができる。
【0058】
内側バルーン部62、外側バルーン部64及びバルーン連結部66は、一体成形品であるバルーン22に設けられている。
【0059】
このような構成によれば、バルーン22の構成を簡素化することができる。
【0060】
カテーテルシステム10は、バルーンカテーテル12と、内管48の第2内腔52を介してバルーン22の内腔70に挿入可能な内視鏡14の挿入部80(バルーン支持部)とを備える。
【0061】
このような構成によれば、バルーン22を内視鏡14の挿入部80で支持することができるため、バルーン22から病変部204に押込み力を一層効率的に作用させることができる。
【0062】
上述したバルーンカテーテル12において、外管24及びスライダ18の少なくともいずれかには、スライダ18の外管24に対する先端方向への移動を制限する移動制限部(例えば、凸部等)が設けられてもよい。この場合、移動制限部は、スライダ18の先端が外側バルーン部64の基端の直前の位置で停止するように設けられる。また、移動制限部は、スライダ18の先端がバルーン連結部66の直前の位置で停止するように設けられてもよい。
【0063】
(第1変形例)
次に、第1変形例に係るバルーンカテーテル12Aについて図11図13を参照しながら説明する。なお、本変形例に係るバルーンカテーテル12Aにおいて、上述したバルーンカテーテル12と同一の構成については同一の参照符号を付し、その説明については省略する。
【0064】
図11に示すように、バルーンカテーテル12Aは、外側カテーテル16a、スライダ18、内側カテーテル20(図1及び図2参照)及びバルーン23を備える。外側カテーテル16aは、外管24aと、上述した外管ハブ26及び固定ねじ28(図1及び図2参照)とを有する。外管24aの先端部の外周面には、環状の凹部32aが形成されている。凹部32aの先端は、外管24aの先端よりも基端側に位置する。凹部32aの底面には、外管24aの内周面に開口する貫通孔90が形成されている。貫通孔90は、凹部32aの底面における外管24aの軸線方向(矢印X方向)の中央に位置する。本実施形態において、貫通孔90は1つである。ただし、貫通孔90の数、位置及び大きさは、適宜変更可能である。
【0065】
外管24aの外周面のうち凹部32aよりも先端側には、外管24aの最先端に向かって径方向内方に傾斜するテーパ面92が形成されている。外管24aの最先端部には、第1内腔30よりも縮径したバルーン導出孔94が形成されている。外管24aの内周面には、バルーン導出孔94と第1内腔30との境界部に段差部96が形成されている。
【0066】
バルーン23は、内側バルーン部62a及び外側バルーン部64aを有する。内側バルーン部62aと外側バルーン部64aとは、互いに別部材として形成されている。内側バルーン部62a及び外側バルーン部64aの構成材料は、上述したバルーン22の構成材料と同様のものが挙げられる。
【0067】
内側バルーン部62aは、内管48(図2参照)の先端部と外管24aの先端部とを互いに繋ぐ。具体的に、内側バルーン部62aの一端部は、段差部96に対して固着(接着又は融着)されている。内側バルーン部62aの一端部は、外管24aの凹部32aの先端よりも先端方向(矢印X1方向)に位置している。内側バルーン部62aの他端部は、上述した内側バルーン部62の他端部と同じようにして内管48に対して固定される(図2参照)。
【0068】
内側バルーン部62aの外周面と外管24aの内周面との間には、先端が閉じた袋状の外側空間Scが形成されている。外側空間Scには、貫通孔90が連通している。内側バルーン部62aは、外側空間Scに供給されたバルーン拡張流体によって外管24aの径方向内方に膨らむ(図12参照)。換言すれば、内側バルーン部62aは、径方向に弾性変形可能に形成されている。
【0069】
外側バルーン部64aは、凹部32aに設けられている。外側バルーン部64aは、外側空間Scから貫通孔90を介して外側バルーン部64aの内周面に導かれたバルーン拡張流体によって外管24aの径方向外方に膨らむ(図12参照)。換言すれば、外側バルーン部64aは、径方向に弾性変形可能に形成されている。外側バルーン部64aは、外側バルーン部64aの軸線方向の中間部が膨らむように外側バルーン部64aの軸線方向の両端部が凹部32aの底面に対して固着(接着又は融着)されている。外側バルーン部64aの中間部は、外側バルーン部64aを膨らませていない状態で、凹部32aの底面に接触又は近接している。
【0070】
外側バルーン部64aは、内側バルーン部62aの径方向外方に位置する。外側バルーン部64aと内側バルーン部62aとの間には、外管24aの先端部が位置する。外側バルーン部64aの全長L2(矢印X方向に沿った長さ)は、上述した外側バルーン部64の全長L1と同様に設定される。
【0071】
外側バルーン部64aを膨らませていない状態で、外側バルーン部64aの外径D4は、上述した外側バルーン部64の外径D1と同様に設定される。外側バルーン部64aの肉厚は、外管24aの凹部32aの深さと略同一に設定されるのが好ましい。これにより、外側バルーン部64aを膨らませていない状態で、外管24aの外周面のうち凹部32aよりも基端側の部分と外側バルーン部64aの外周面とが面一になる。
【0072】
図13に示すように、バルーン23(内側バルーン部62a及び外側バルーン部64a)を膨らませた状態で、内管48から内側バルーン部62aへと押込み力(先端方向の押込み力)が伝達されると、バルーン23の先端部(内側バルーン部62の先端部)が捲り返されながら外管24aの先端開口72から先端方向に突出する。この際、先端開口72よりも先端方向には、内側バルーン部62aが径方向に二重に折り重なった突出部22bが形成される。膨らんだ状態の外側バルーン部64aの外径D5は、突出部22bの外径D6よりも大きい。
【0073】
本変形例に係るバルーンカテーテル12Aでは、図12に示すように、加圧工程において、外側空間Scにバルーン拡張流体が供給されると、内側バルーン部62aが外管24aの径方向内方に膨出する。また、外側空間Scのバルーン拡張流体は、貫通孔90を介して外側バルーン部64aの内周面に導かれる。そのため、外側バルーン部64aは、外管24aの径方向外方に膨出する。これにより、外側バルーン部64aが卵管202の内面のうち卵管口202aの近傍に押し付けられる。すなわち、外側バルーン部64aは、卵管202に対して固定される。
【0074】
また、図13に示すように、前進工程において、内管48を外管24に対して前進させると、内管48によって先端方向に押圧された内側バルーン部62aは、挿入部80とともに外管24に対して前進する。この際、前進工程では、内側バルーン部62aの一端部が外管24aの先端部に固定されているため、内側バルーン部62aは、その先端部22a(突出端部)が捲り返されながら前進する。すなわち、内側バルーン部62aは、その先端部22a(突出端部)で内面が外側を向くように捲り返される。そのため、内側バルーン部62aは、挿入部80の前進距離の半分の距離相当前進する。また、外側バルーン部64aが卵管202に対して固定されているため、内側バルーン部62aを卵管202内で安定して前進させることができる。
【0075】
このようなバルーンカテーテル12Aにおいて、上述したバルーンカテーテル12と同様の構成については同様の効果を奏する。また、本変形例は、以下の効果を奏する。
【0076】
内側バルーン部62aと外側バルーン部64aとは、互いに別部材として形成されている。
【0077】
このような構成によれば、外管24aに対する外側バルーン部64aの位置を内側バルーン部62aによらずに比較的自由に設定することができる。また、図12に示すように、加圧工程においてバルーン23(内側バルーン部62a及び外側バルーン部64a)を膨張させた際に、内側バルーン部62aが外管24aの先端よりも先端方向に膨出(突出)することを防止することができる。
【0078】
内側バルーン部62aの一端部は、外管24aの先端部に固着され、内側バルーン部62aの他端部は、内管48の先端部に固定されている。
【0079】
このような構成によれば、内側バルーン部62aの先端部が捲り返されるように内側バルーン部62aを外管24aの先端開口72から先端方向に突出させることができる。
【0080】
外側バルーン部64aは、当該外側バルーン部64aの軸線方向の中間部が膨らむように外側バルーン部64aの軸線方向の両端部が外管24aに固着されている。
【0081】
このような構成によれば、外側バルーン部64aの軸線方向の中間部を効果的に膨らませることができる。
【0082】
外管24aには、内側バルーン部62aの外周面と外管24aの内周面との間に形成された外側空間Scのバルーン拡張流体を外側バルーン部64aの内周面に導く貫通孔90が形成されている。
【0083】
このような構成によれば、バルーン拡張流体を外側空間Scから貫通孔90を介して外側バルーン部64aの内周面に導き、外側バルーン部64aを外管24aの径方向外方に膨らませることができる。
【0084】
本変形例は、上述した構成に限定されない。バルーンカテーテル12Aにおいて、外側バルーン部64aは、外管24aの基端部に配置されてもよい。この場合、例えば、外側バルーン部64aを外管24aの径方向外方に膨らませて子宮口の近傍に固定することができる。また、バルーンカテーテル12Aにおいて、外側バルーン部64aは、外管24aの軸線方向の中央部分又はその近傍に配置されてもよい。これにより、例えば、外側バルーン部64aを子宮底200と子宮口との中間部分に固定することができる。この場合、バルーンカテーテル12Aは、スライダ18を外管24aに対して基端方向に引くことで外側バルーン部64aがスライダ18から露出するように設計される。また、スライダ18は、外管24aの先端部の形状を直線状に維持するための機能に加えて外側バルーン部64aを拡張させるためのトリガーとしての機能を兼ねてもよい。
【0085】
上述したバルーンカテーテル12Aにおいて、外管24a及びスライダ18の少なくともいずれかには、スライダ18の外管24aに対する先端方向への移動を制限する移動制限部(例えば、凸部等)が設けられてもよい。この場合、移動制限部は、スライダ18の先端が外側バルーン部64aの基端の直前の位置で停止するように設けられる。また、移動制限部は、スライダ18の先端がテーパ面92の直前の位置で停止するように設けられてもよい。
【0086】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。バルーン支持部は、内視鏡14の挿入部80に限定されず、ガイドワイヤ又はカテーテル等の線状部材であってもよい。また、本発明に係るカテーテルシステムが大腸を治療するものである場合、外側バルーン部は大腸の内面のうち肛門の近傍に固定される。さらに、本発明に係るカテーテルシステムが血管を治療するものである場合、外側バルーン部は血管の内面に固定される。
【0087】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0088】
上記実施形態は、可撓性を有する外管(24、24a)と、前記外管に対して当該外管の軸線方向に移動可能なように前記外管の内腔(30)に配設された内管(48)と、前記内管の先端部に設けられて前記外管の径方向内方に膨らむ管状の内側バルーン部(62、62a)と、を有し、前記内側バルーン部は、当該内側バルーン部を膨らませた状態で前記内管から前記内側バルーン部へと押込み力が伝達されることで前記内側バルーン部の先端部が捲り返されながら前記外管の先端開口(72)から先端方向に突出するバルーンカテーテル(12、12A)であって、前記外管の外周面には、前記外管の径方向外方に膨らむ環状の外側バルーン部(64、64a)が設けられ、膨らんだ状態の前記内側バルーン部を前記先端開口から突出させた状態で、前記先端開口よりも前記先端方向には、当該内側バルーン部が径方向に折り重なった突出部(22b)が形成され、膨らんだ状態の前記外側バルーン部の外径(D2、D5)は、前記突出部の外径(D3、D6)よりも大きい、バルーンカテーテルを開示している。
【0089】
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記外側バルーン部は、前記外管の先端部に設けられてもよい。
【0090】
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記バルーンカテーテルは、前記外管よりも前記先端方向で前記内側バルーン部の一端部と前記外側バルーン部の一端部とを互いに連結するバルーン連結部(66)を有し、前記内側バルーン部の他端部は、前記内管の先端部に設けられ、前記外側バルーン部の他端部は、前記外管の外周面に設けられてもよい。
【0091】
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記内側バルーン部、前記外側バルーン部及び前記バルーン連結部は、一体成形品であるバルーン(22)に設けられてもよい。
【0092】
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記内側バルーン部と前記外側バルーン部とは、互いに別部材として形成されてもよい。
【0093】
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記内側バルーン部の一端部は、前記外管の先端部に固定され、前記内側バルーン部の他端部は、前記内管の先端部に固定されてもよい。
【0094】
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記外側バルーン部は、当該外側バルーン部の軸線方向の中間部が膨らむように前記外側バルーン部の軸線方向の両端部が前記外管に固着されてもよい。
【0095】
上記のバルーンカテーテルにおいて、前記外管には、前記内側バルーン部の外周面と前記外管の内周面との間に形成された外側空間(Sc)のバルーン拡張流体を前記外側バルーン部の内周面に導く貫通孔(90)が形成されてもよい。
【0096】
上記実施形態は、上述したバルーンカテーテルと、前記内管の内腔(52)を介して前記内側バルーン部の内腔(70)に挿入可能な線状のバルーン支持部(80)と、を備える、カテーテルシステム(10)を開示している。
【0097】
上記のカテーテルシステムにおいて、前記バルーン支持部は、内視鏡(14)の挿入部(80)であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
10…カテーテルシステム 12、12A…バルーンカテーテル
14…内視鏡 22、23…バルーン
22a…先端部 22b…突出部
24、24a…外管 30…第1内腔
48…内管 52…第2内腔
62、62a…内側バルーン部 64、64a…外側バルーン部
66…バルーン連結部 72…先端開口
80…挿入部(バルーン支持部) 90…貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13