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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20241213BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241213BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021024156
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126221
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-078785(JP,A)
【文献】特開2012-220785(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104898347(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0198433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
前記光学モジュールの光軸方向と交差する方向を回転軸として前記可動体を回転可能に支持する固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して回転移動させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記可動体に設けられる磁石と、前記固定体に設けられるコイルと、
前記コイルに接続されるフレキシブルプリント基板と、前記コイル及び前記フレキシブルプリント基板とが固定された複数の補強板と、を有し、
前記補強板の各々には前記光軸方向に突出する凸部が前記光軸方向と交差する方向の両端部に設けられ、前記固定体には前記凸部が接触する接触部が設けられ
前記固定体には、前記凸部が前記接触部に接触した際に前記補強板の前記凸部と反対側の領域に設けられた当接部が当接する、被当接部が設けられ、
前記補強板の各々は、前記当接部が前記被当接部に当接するとともに前記凸部が前記接触部に接触することで、前記固定体の一つの面ごとに固定されることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項に記載の光学ユニットにおいて、
前記凸部の前記接触部に対する接触方向は、前記光軸方向であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記凸部と前記接触部とは、前記凸部が圧入されることで前記接触部に接触していることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記補強板及び前記フレキシブルプリント基板の少なくとも一方は、前記固定体に接着剤で接着されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
光学モジュールを備える可動体と、前記光学モジュールの光軸方向と交差する方向を回転軸として前記可動体を回転可能に支持する固定体と、前記可動体を前記固定体に対して回転移動させる駆動機構と、を備え、
前記駆動機構は、前記可動体に設けられる磁石と、前記固定体に設けられるコイルと、
前記コイルに接続されるフレキシブルプリント基板と、前記コイル及び前記フレキシブルプリント基板とが固定された複数の補強板と、を有する光学ユニットの製造方法であって、
前記補強板の各々前記光軸方向に突出する凸部を前記光軸方向と交差する方向の両端部に設ける工程と、
前記コイル及び前記フレキシブルプリント基板を前記補強板に固定する工程と、
前記凸部を接触させることが可能な接触部と、前記補強板の前記凸部と反対側の領域に設けられた当接部を当接させることが可能な被当接部と、を有する前記固定体を形成する工程と、
前記補強板の各々を、前記当接部を前記被当接部に当接させつつ前記凸部を前記接触部に接触させることで、前記固定体の一つの面ごとに固定する工程と、を有することを特徴とする光学ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを備える可動体と、可動体を回転可能に支持する固定体と、可動体を固定体に対して回転移動させる駆動機構と、を備える様々な光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、光学モジュールを備える可動体と、可動体を回転可能に支持する固定体と、可動体を固定体に対して回転移動させる補正用駆動機構と、を備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】2020-160373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して回転移動させることが可能な従来の光学ユニットにおいては、磁石とフレキシブルプリント基板に接続されたコイルとを有する駆動機構を用いるのが一般的である。しかしながら、このような構成の光学ユニットにおいては、例えばコイルを固定体に対して位置決めする際に所望の位置からずれる場合がある。これは、コイルが固定されたフレキシブルプリント基板を固定体に対して接着剤などで貼り付けることでコイルを固定体に仮固定してから固定するので、フレキシブルプリント基板の製造公差や貼り付け位置のずれなどによりフレキシブルプリント基板の固定体に対する仮固定位置がずれ、固定体に対するコイルの固定位置にもずれが生じるためである。また、仮固定用の接着剤としてUV接着剤が使用される場合が多いが、UV接着剤を使用すると、UV照射装置などが必要となり高コスト化することに加え光学ユニットの製造工程が複雑化する場合があった。そこで、本発明は、可動体を固定体に対して回転移動させる駆動機構のコイルを正確かつ簡単に位置決めすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、前記光学モジュールの光軸方向と交差する方向を回転軸として前記可動体を回転可能に支持する固定体と、前記可動体を前記固定体に対して回転移動させる駆動機構と、を備え、前記駆動機構は、前記可動体に設けられる磁石と、前記固定体に設けられるコイルと、前記コイルに接続されるフレキシブルプリント基板と、前記コイル及び前記フレキシブルプリント基板とが固定された補強板と、を有し、前記補強板には凸部が設けられ、前記固定体には前記凸部が接触する接触部が設けられることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、コイル及びフレキシブルプリント基板は補強板に固定されており、補強板の凸部と固定体の接触部とを接触させることにより補強板を固定体に対して固定する。このため、補強板の凸部と固定体の接触部とにより補強板が固定体に対して正確かつ簡単に位置決めされ、そのことで、コイルも固定体に対して正確かつ簡単に位置決めされる。
【0007】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記固定体には、前記凸部が前記接触部に接触した際に前記補強板の前記凸部と反対側の領域に設けられた当接部が当接する、被当接部が設けられる構成とすることができる。このような構成とすることで、補強板の凸部と固定体の接触部とに加え、補強板の当接部と固定体の被当接部とにより、特に正確にコイルを固定体に対して位置決めすることができる。また、補強板の凸部と固定体の接触部とが接触する位置とは反対側の位置で補強板の当接部と固定体の被当接部とが当接することにより、補強板の凸部が固定体の接触部から外れることを抑制することもできる。
【0008】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記凸部の前記接触部に対する接触方向は、前記光軸方向である構成とすることができる。光軸方向と交差する方向を回転軸として可動体を固定体に対して回転可能に支持する構成の光学ユニットにおいては、特に光軸方向において磁石に対するコイルの位置の正確性が要求されるが、このような構成とすることで、光軸方向において特に磁石に対するコイルの位置を正確に位置決めすることができる。
【0009】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記凸部と前記接触部とは、前記凸部が圧入されることで前記接触部に接触している構成とすることができる。このような構成とすることで、補強板の凸部と固定体の接触部とを簡単かつガタつきなどを生じさせることなく正確に位置決め及び固定することができる。
【0010】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記補強板及び前記フレキシブルプリント基板の少なくとも一方は、前記固定体に接着剤で接着されている構成とすることができる。このような構成とすることで、固定体と補強板とをしっかりと固定でき、固定体に対する補強板の位置ずれを特に効果的に抑制することができ、固定体に対するコイルの位置ずれを特に効果的に抑制することができる。
【0011】
また、本発明の光学ユニットにおいては、前記補強板には前記凸部が複数設けられる構成とすることができる。このような構成とすることで、複数個所で固定体に対して補強板を位置決めすることができ、固定体に対して補強板を特に正確に位置決めすることができ、固定体に対してコイルを特に正確に位置決めすることができる。
【0012】
また、本発明の光学ユニットの製造方法においては、光学モジュールを備える可動体と、前記光学モジュールの光軸方向と交差する方向を回転軸として前記可動体を回転可能に支持する固定体と、前記可動体を前記固定体に対して回転移動させる駆動機構と、を備え、前記駆動機構は、前記可動体に設けられる磁石と、前記固定体に設けられるコイルと、前記コイルに接続されるフレキシブルプリント基板と、前記コイル及び前記フレキシブルプリント基板とが固定された補強板と、を有する光学ユニットの製造方法であって、前記補強板に凸部を設ける工程と、前記コイル及び前記フレキシブルプリント基板を前記補強板に固定する工程と、前記凸部を接触させることが可能な接触部と、前記補強板の前記凸部と反対側の領域に設けられた当接部を当接させることが可能な被当接部と、を有する前記固定体を形成する工程と、前記当接部を前記被当接部に当接させつつ前記凸部を前記接触部に接触させる工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、補強板の凸部と固定体の接触部とにより補強板が固定体に対して正確に位置決めされる。さらには、補強板の凸部と固定体の接触部とに加え、補強板の当接部と固定体の被当接部とにより、補強板が固定体に対して特に正確に位置決めされ、特に正確にコイルを固定体に対して位置決めすることができる。また、補強板の凸部を固定体の接触部に圧入することで、補強板の凸部と固定体の接触部とを簡単かつガタつきなどを生じさせることなく正確に位置決め及び固定することができる。さらに、UV接着剤などで仮固定する必要がないので、簡単にコイルを固定体に対して位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学ユニットは、可動体を固定体に対して回転移動させる駆動機構のコイルを正確かつ簡単に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例に係る光学ユニットを備えるスマートフォンの斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る光学ユニットの平面図である。
図3】本発明の一実施例に係る光学ユニットの斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図5図4とは異なる角度から見た、本発明の一実施例に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図6】本発明の一実施例に係る光学ユニットの正面図である。
図7】本発明の一実施例に係る光学ユニットの側面図である。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は各々直行する方向であり、+X方向及び-X方向に見た図を側面図、+Y方向に見た図を平面図、-Y方向に見た図を底面図、+Z方向に見た図を背面図、-Z方向に見た図を正面図とする。そして、+Y方向は、外部からの光束の入射方向D1に対応する。
【0017】
<光学ユニットを備える装置の概略>
最初に、本発明の実施例1の光学ユニット1について説明する。図1は、本実施例の光学ユニット1を備える装置の一例としてのスマートフォン100の概略斜視図である。本実施例の光学ユニット1は、スマートフォン100において好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1は、薄型に構成でき、スマートフォン100におけるY軸方向における厚さを薄く構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1は、スマートフォン100に限定されず、カメラやビデオなど、特に限定なく様々な装置に使用可能である。
【0018】
図1で表されるように、スマートフォン100は、光束を入射するカバーガラス101を備えている。スマートフォン100におけるカバーガラス101の内部に、光学ユニット1を備えている。スマートフォン100は、カバーガラス101を介して外部から入射方向D1に光束を入射し、入射光束に基づいて被写体像を撮像することが可能な構成となっている。
【0019】
<光学ユニットの全体構成の概略>
図2から図5を用いて、本実施例に係る光学ユニット1の構成についての概略を説明する。光学ユニット1は、レンズ12aなどの光学モジュール12及び撮像素子50を備える可動体14と、X軸方向を回転軸(揺動軸)とする方向(ピッチング方向)及びZ軸方向を回転軸(揺動軸)とする方向(ヨーイング方向)に変位可能な状態で保持する固定体16と、を備えている。また、可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に駆動する駆動機構18(駆動機構18A及び駆動機構18B)と、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回転(揺動)可能に支持する支持機構20とを備えている。
【0020】
<可動体について>
また、本実施例の光学ユニット1は、図4及び図5で表されるように、可動体14として、可動体本体部14Aとホルダ14Bとを有する。可動体本体部14Aは、光学モジュール12を有する。また、ホルダ14Bは、可動体本体部14Aを保持するとともに、駆動機構18を構成する磁石24(磁石24A及び磁石24B)が設けられている。なお、図4及び図5では、ホルダ14Bに撮像素子50と、撮像素子50に接続されるフレキシブルプリント基板51と、が固定された状態で光学ユニット1が表されている。しかしながら、撮像素子50は可動体本体部14Aに取り付けられており、撮像素子50及び撮像素子50に接続されるフレキシブルプリント基板51が可動体本体部14Aの一部を構成するとみなすこともできる。
【0021】
このように、可動体14は、光学モジュール12などが設けられる可動体本体部14Aと、磁石24などが設けられるホルダ14Bと、を備えている。ホルダ14Bは、光学モジュール12のレンズ12aが設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例のホルダ14Bは、一例として光学モジュール12を着脱可能に構成されている。ただし、光学モジュール12とホルダ14Bとが一体的に構成されていてもよい。ホルダ14Bにおいて固定体16と対向する2面を利用して、ピッチング及びヨーイングの補正用の磁石24A及び磁石24Bがこれらの外面に取り付けられている。
【0022】
また、本実施例の光学ユニット1は、図2から図5で表されるように、固定体16を備えている。図2から図5において、固定体16は、磁石24Aと対向する位置にコイル32Aを備え、磁石24Bと対向する位置にコイル32Bを備えている。図4及び図5では、コイル32A及びコイル32Bは固定体16から離れた位置に表されているが、コイル32Aは固定体16のコイル配置位置16f(図5参照)に配置され、コイル32Bは固定体16のコイル配置位置16g(図5参照)に配置されている。ただし、コイル32(コイル32A及びコイル32B)の固定体16に対する位置決めの詳細は後述する。なお、本実施例において、コイル32はコイル32A及びコイル32Bともに一例として巻線コイルとして構成されているが、コイル32をパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。
【0023】
<光学モジュールについて>
なお、本実施例の光学モジュール12は、スマートフォン100のほか、例えばスマートフォン以外のカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等に用いることができる。光学モジュール12は、被写体側にレンズ12aを備えるとともに、撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。
【0024】
ここで、本実施例の光学ユニット1は、一例として、光学モジュール12に生じたピッチングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)及びヨーイングの振れ(Z軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正を行う駆動機構18を内蔵し、ピッチングの振れの補正及びヨーイングの振れの補正が可能な構成となっている。なお、本実施例において、光学モジュール12は、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れの補正が可能な構成としたが、さらにローリング方向の振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正が可能な構成としてもよい。なお、撮像素子50も光学モジュール12の一部を構成するとみなすことができる。
【0025】
<駆動機構について>
本実施例において可動体14が固定体16内に配置された状態において、磁石24Aとコイル32A、磁石24Bとコイル32Bは、図4及び図5で表されるように、それぞれ対向状態となる。また、本実施例において、磁石24Aとコイル32Aとの対、磁石24Bとコイル32Bとの対は、それぞれ駆動機構18を構成している。駆動機構18により、可動体14のピッチング及びヨーイングの補正が行われる。
【0026】
また、ピッチング及びヨーイングの補正は以下のように行われる。光学ユニット1にピッチング方向とヨーイング方向の両方向又はいずれか一方向の振れが発生すると、磁気センサー(ホール素子33A及びホール素子33B:図4及び図5参照)によって振れを検出し、その結果に基づいて駆動機構18を駆動させる。或いは、振れ検出センサ(ジャイロスコープ)などを用いて、光学ユニット1の振れを検出してもよい。振れの検出結果に基づいて、駆動機構18がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット1の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32に電流が流され、これにより振れが補正される。なお、ホール素子33(ホール素子33A及びホール素子33B)も、駆動機構18の構成部材とみなすことができる。
【0027】
このように、本実施例の光学ユニット1においては、可動体14を固定体16に対して、ピッチングの軸方向及びヨーイングの軸方向を回転軸として、回転させる駆動機構18を備えている。ここで、駆動機構18は、可動体14に対してX軸方向のうちのフレキシブルプリント基板51が配置されている側(+Z方向側)以外の位置に配置されていることが好ましい。駆動機構18をフレキシブルプリント基板51が形成されていない側に配置できるので、駆動機構18とフレキシブルプリント基板51との接触を抑制するために光学ユニット1を大きくする必要が無くなり、光学ユニット1を小型化できるためである。なお、本明細書における「回転」とは、360°回転することを要せず、回転方向に揺動する場合を含む意味である。
【0028】
ここで、詳細は後述するが、コイル32A及びコイル32Bはともにフレキシブルプリント基板52に接続及び固定されている。そして、フレキシブルプリント基板52には補強板60が貼り付けられている。本実施例の光学ユニット1においては、補強板60が固定体16に対して固定されることで、フレキシブルプリント基板52とこれに固定されるコイル32A及びコイル32Bとが固定体16に対して固定される。
【0029】
<支持機構について>
本実施例の支持機構20は、金属製平板材料を折り曲げることによって形成されるバネ性を兼ね備えたジンバル機構である。具体的には、図4及び図5で表されるように、支持機構20は、一例として被写体側に設けられるジンバルフレーム部23と、ジンバルフレーム部23の四方のコーナー部から光軸方向に90°折り曲げられて形成される第1脚部21と、第2脚部22と、を備えることによって構成されている。なお、第1脚部21と第2脚部22については、必ずしもその全部が板状でなくてもよく、その一部のみを板状に形成してバネ性を発揮させるようにしてもよい。また、第1脚部21と第2脚部22の一方を板状以外の他の形状(例えばロッド形状等)にすることも可能である。なお、本実施例の支持機構20は、ピッチング方向及びヨーイング方向の2方向を回転軸の方向として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持する構成であるが、ピッチング方向またはヨーイング方向のいずれか1方向のみを回転軸の方向として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持する構成としてもよい。
【0030】
本実施例の支持機構20は、第1脚部21に内側に向けて凹んだ凹曲面21aが設けられており、第2脚部22に内側に向けて凹んだ凹曲面22aが設けられている。そして、第1脚部21は凹曲面21aが外側に向けて広がるように力がかかるように構成されており、第2脚部22は凹曲面22aが外側に向けて広がるように力がかかるように構成されている。
【0031】
なお、図4及び図5で表されるように、固定体16の凹曲面21aと対向する位置には、内側に突出するとともに凹曲面21aに嵌まる球面状の凸曲面41aが取り付けられた、固定体側支持部41が設けられている。また、図4及び図5で表されるように、ホルダ14Bの凹曲面22aと対向する位置には、内側に突出するとともに凹曲面22aに嵌まる球面状の凸曲面42aが取り付けられた、可動体側支持部42が設けられている。なお、固定体側支持部41は固定体16の取り付け位置16eに取り付けられ、可動体側支持部42はホルダ14Bの取り付け位置14aに取り付けられる。
【0032】
ここで、本実施例の光学ユニット1は、凸曲面41aを凹曲面21a内に配置させ凸曲面41aに凹曲面21aを押し付けることで、第1軸線L1(図2参照)を回転軸として固定体16に対して支持機構20を回転可能に支持させている。また、本実施例の光学ユニット1は、凸曲面42aを凹曲面22a内に配置させ凸曲面42aに凹曲面22aを押し付けることで、第2軸線L2(図2参照)を回転軸として支持機構20に対して可動体14を回転可能に支持させている。すなわち、本実施例の支持機構20は、第1軸線L1を回転軸として固定体16に対して支持機構20を回転可能に支持させるとともに第2軸線L2を回転軸として支持機構20に対して可動体14を回転可能に支持させることで、固定体16に対して可動体14を光軸方向(Y軸方向)と交差する方向すべてを回転軸として回転可能に支持する構成となっている。そして、本実施例の光学ユニット1は、駆動機構18を駆動することにより、ピッチング方向及びヨーイング方向を回転軸として、固定体16に対して可動体14を回転可能な構成となっている。
【0033】
<コイルの位置決め構造について>
以下に、コイル32の位置決め構造の詳細について、図2から図5に加えて、図6及び図7を参照して説明する。上記のように、本実施例の光学ユニット1においては、コイル32A及びコイル32Bはともにフレキシブルプリント基板52に接続及び固定され、フレキシブルプリント基板52に補強板60が貼り付けられている。すなわち、フレキシブルプリント基板52及び補強板60も駆動機構18の構成部材とみなすことができる。ここで、補強板60は、剛性の高いポリイミドで形成されている。このため、補強板60を固定体16に対して正確に位置決めして固定することで、フレキシブルプリント基板52とコイル32とを正確に位置決め及び固定することができる。ただし、補強板60の素材に特に限定はない。
【0034】
ここで一旦まとめると、上記のように、本実施例の光学ユニット1は、光学モジュール12を備える可動体14と、光学モジュール12の光軸方向(入射方向D1)と交差する方向を回転軸として支持機構20を介して可動体14を回転可能に支持する固定体16と、可動体14を固定体16に対して回転移動させる駆動機構18と、を備えている。そして、駆動機構18は、可動体14に設けられる磁石24と、固定体16に設けられるコイル32と、コイル32に接続されるフレキシブルプリント基板52と、コイル32とフレキシブルプリント基板52とが固定された補強板60と、を有している。
【0035】
ここで、図6及び図7などで表されるように、補強板60には凸部61が設けられ、固定体16には凸部61が接触する接触部161が設けられている。詳細には、本実施例の光学ユニット1は、補強板60として、コイル32Aと対向する位置に設けられる補強板60Aと、コイル32Bと対向する位置に設けられる補強板60Bとの、2つの補強板を有し、補強板60A及び補強板60Bのいずれにも、+Y方向側に突出する凸部61が2つ形成されている。そして、図6で表されるように補強板60Aの2つの凸部61が接触部161bに接触し、図7で表されるように補強板60Bの2つの凸部61が接触部161dに接触している。
【0036】
このように、本実施例の光学ユニット1は、コイル32とフレキシブルプリント基板52とは補強板60に固定されており、補強板60の凸部61と固定体16の接触部161とを接触させることにより補強板60を固定体16に対して固定している。このため、本実施例の光学ユニット1は、補強板60の凸部61と固定体16の接触部161とにより補強板60が固定体16に対して正確かつ簡単に位置決めされ、そのことで、コイル32も固定体16に対して正確かつ簡単に位置決めされている。
【0037】
また、本実施例の光学ユニット1においては、図6で表されるように、固定体16に、凸部61が接触部161bに接触した際に補強板60の凸部61と反対側の領域に設けられた当接部62が当接する、被当接部162(被当接部162a)が設けられている。そして、図7で表されるように、固定体16に、凸部61が接触部161dに接触した際に補強板60の凸部61と反対側の領域に設けられた当接部62が当接する、被当接部162(被当接部162c)が設けられている。
【0038】
本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、補強板60の凸部61と固定体16の接触部161とに加え、補強板60の当接部62と固定体16の被当接部162とにより、特に正確にコイル32を固定体16に対して位置決めすることができている。また、補強板60の凸部61と固定体16の接触部161とが接触する位置(補強板60の+Y方向側の位置)とは反対側の位置(補強板60の-Y方向側の位置)で補強板60の当接部62と固定体16の被当接部162とが当接することにより、補強板60が固定体16に対して-Y方向側にずれることが抑制され、補強板60の凸部61が固定体16の接触部161から外れることを抑制することもできている。
【0039】
なお、本実施例の光学ユニット1においては、固定体16の接触部161及び被当接部162はともに外側に突出するリブ状の形状をしている。そして、コイル32とフレキシブルプリント基板52とが固定された補強板60を外側から固定体16の接触部161及び被当接部162の間に挿入することで、固定体16に対して補強板60を位置決めする構成である。ただし、このような構成に限定されない。
【0040】
また、本実施例の光学ユニット1においては、凸部61の接触部161に対する接触方向は、光軸方向(Y軸方向)となっている。本実施例の光学ユニット1のように、光軸方向と交差する方向を回転軸として可動体14を固定体16に対して回転可能に支持する構成の光学ユニットにおいては、特に光軸方向において磁石24に対するコイル32の位置の正確性が要求される。そこで、本実施例の光学ユニット1は、このような構成とし、光軸方向において特に磁石24に対するコイル32の位置を正確に位置決めすることとしている。ただし、このような構成に限定されず、凸部61の接触部161に対する接触方向を光軸方向と交差する方向としてもよい。
【0041】
ここで、本実施例の光学ユニット1においては、凸部61と接触部161とは、固定体16の接触部161と被当接部162との間の領域に補強板60が外側から挿入される際に、凸部61が圧入されることで接触部161に接触する構成としている。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、補強板60の凸部61と固定体16の接触部161とを簡単かつガタつきなどを生じさせることなく正確に位置決め及び固定している。
【0042】
なお、補強板60及びフレキシブルプリント基板52の少なくとも一方が、例えば仮固定ではなく本固定として、固定体16に接着剤で接着されていてもよい。補強板60及びフレキシブルプリント基板52の少なくとも一方を固定体16に接着剤で接着することで、固定体16と補強板60とをしっかりと固定でき、固定体16に対する補強板60の位置ずれを特に効果的に抑制することができる。したがって、固定体16に対するコイル32の位置ずれを特に効果的に抑制することができる。ここで、使用する接着剤に特に限定は無い。
【0043】
また、図6及び図7で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、補強板60A及び補強板60Bには凸部61が2か所ずつ設けられている。このように、補強板60に凸部61複数設ける構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、複数個所で固定体16に対して補強板60を位置決めすることができ、固定体16に対して補強板60を特に正確に位置決めすることができ、固定体16に対してコイル32を特に正確に位置決めすることができるためである。
【0044】
以下に、本実施例の光学ユニット1の製造方法について説明する。本実施例の光学ユニット1の製造方法においては、補強板60に凸部61を設ける工程を実行する。なお、本工程は、凸部61が形成された補強板60を製造する工程に対応する。次に、コイル32及びフレキシブルプリント基板52を補強板60に固定する工程を実行する。次に、凸部61を接触させることが可能な接触部161と、補強板60の凸部61と反対側の領域に設けられた当接部62を当接させることが可能な被当接部162と、を有する固定体16を形成する工程を実行する。そして、次に、当接部62を被当接部162に当接させつつ補強板60の凸部61を接触部161に接触させる工程を実行する。
【0045】
本実施例の光学ユニット1の製造方法を実行することで、補強板60の凸部61と固定体16の接触部161とにより補強板60が固定体16に対して正確に位置決めされる。さらには、補強板60の凸部61と固定体16の接触部161とに加え、補強板60の当接部62と固定体16の被当接部162とにより、補強板60が固定体16に対して特に正確に位置決めされ、特に正確にコイル32を固定体16に対して位置決めすることができる。また、補強板60の凸部61を固定体16の接触部161に圧入することで、補強板60の凸部61と固定体16の接触部161とを簡単かつガタつきなどを生じさせることなく正確に位置決め及び固定することができる。さらに、UV接着剤などで仮固定する必要がないので、簡単にコイル32を固定体16に対して位置決めすることができる。しかしながら、例えば仮固定ではなく本固定として補強板60及びフレキシブルプリント基板52の少なくとも一方を固定体16に対して接着剤で接着する工程をさらに実行してもよい。
【0046】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…光学ユニット、12…光学モジュール、12a…レンズ、14…可動体、14A…可動体本体部、14B…ホルダ、14a…取り付け位置、16…固定体、16e…取り付け位置、16f…コイル配置位置、16g…コイル配置位置、18…駆動機構、18A…駆動機構、18B…駆動機構、20…支持機構、21…第1脚部、21a…凹曲面、22…第2脚部、22a…凹曲面、23…ジンバルフレーム部、24…磁石(駆動機構)、24A…磁石、24B…磁石、32…コイル(駆動機構)、32A…コイル、32B…コイル、33…ホール素子(駆動機構)、33A…ホール素子、33B…ホール素子、41…固定体側支持部、41a…凸曲面、42…可動体側支持部、42a…凸曲面、50…撮像素子、51…フレキシブルプリント基板、52…フレキシブルプリント基板(駆動機構)、60…補強板(駆動機構)、60A…補強板、60B…補強板、61…凸部、62…当接部、100…スマートフォン、101…カバーガラス、161…接触部、161b…接触部、161d…接触部、162…被当接部、162a…被当接部、162c…被当接部、D1…入射方向(光軸方向)、L1…第1軸線、L2…第2軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7