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特許7603483制御システム、学習システム、機器制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】制御システム、学習システム、機器制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241213BHJP
   F24F 11/56 20180101ALN20241213BHJP
【FI】
G06F3/01 570
F24F11/56
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021033841
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134602
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】関 孝司
(72)【発明者】
【氏名】長沢 雅人
(72)【発明者】
【氏名】貴島 淳子
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197450(JP,A)
【文献】特開2020-160815(JP,A)
【文献】特開2017-138881(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0391666(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344859(US,A1)
【文献】国際公開第2021/028970(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06N 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器それぞれに対応する、利用者の同種のジェスチャを示すジェスチャ画像情報から前記同種のジェスチャ画像に対応する1種類の操作内容を特定するためのニューラルネットワークを記憶するニューラルネットワーク記憶部と、
前記複数の機器それぞれに設けられ前記複数の機器それぞれの利用者を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された前記利用者のジェスチャを示すジェスチャ画像情報を前記撮像装置から取得する画像取得部と、
前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶するニューラルネットワークの中から、前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器に対応するニューラルネットワークを選出する選出部と、
前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報から、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを用いて、前記ジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出するニューラルネットワーク計算部と、
前記ニューラルネットワーク計算部により算出された前記判定値に対応づけられた前記機器に対する操作を識別する操作識別情報を特定する操作特定部と、
前記操作特定部により特定された前記操作識別情報に基づいて、前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器を制御する機器制御部と、
前記画像取得部が前記ジェスチャ画像情報を取得する毎に、前記ジェスチャ画像情報と、前記画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを更新するとともに、予め設定されたニューラルネットワーク更新時期が到来する毎に、前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶する前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定し、前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新するニューラルネットワーク更新部と、を備える、
制御システム。
【請求項2】
前記選出部は、前記操作特定部が前記判定値に対応づけられた前記機器に対する操作識別情報の特定に失敗した場合、他の機器に対応するニューラルネットワークを新たに選出し、
前記ニューラルネットワーク計算部は、前記ジェスチャ画像情報から、新たに選出したニューラルネットワークを用いて、前記ジェスチャ画像情報に対応する判定値を再度算出し、
前記操作特定部は、前記ニューラルネットワーク計算部により再度算出された判定値に対応づけられた操作識別情報を特定し、
前記ニューラルネットワーク更新部は、前記ジェスチャ画像情報と、再度算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器に対応するニューラルネットワークを更新する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記利用者が操作機器に対して行った操作の内容を受け付ける操作受付部を更に備え、
前記ニューラルネットワーク更新部は、前記操作受付部が前記画像取得部により取得されたジェスチャ画像に対応する操作内容を修正するための修正操作を受け付けると、前記ジェスチャ画像情報と、前記修正操作による修正後の操作識別情報と、に基づいて、前記複数の機器それぞれのニューラルネットワーク全てを更新する、
請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記利用者が操作機器に対して新たな機器に対応するニューラルネットワークを新規に登録するための新規登録操作を受け付ける操作受付部を更に備え、
前記選出部は、前記操作受付部が前記新規登録操作を受け付けると、前記ニューラルネットワーク記憶部が既に記憶する複数の機器についてのニューラルネットワークの中から少なくとも1つのニューラルネットワークを選出し、
前記ニューラルネットワーク更新部は、前記選出部により選出された少なくとも1つのニューラルネットワークを新たに登録される少なくとも1つの機器それぞれについてのニューラルネットワークとして前記ニューラルネットワーク記憶部に記憶させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワークであり、
前記ニューラルネットワーク更新部は、前記ニューラルネットワーク更新時期が到来する毎に、前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶する複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの中から畳み込み層とプーリング層との少なくとも一方における計算量が最も少ないニューラルネットワークを特定し、前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの全てを特定したニューラルネットワークで更新する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記撮像装置の性能と、前記撮像装置の設置位置と、前記撮像装置の周囲の明るさと、前記撮像装置により撮像される利用者のジェスチャ画像の背景画像と、のうちの少なくとも1つを含む撮像条件に基づいて、前記画像取得部が取得したジェスチャ画像情報を補正する画像補正部を更に備え、
前記ニューラルネットワーク計算部は、前記画像補正部による補正後の前記ジェスチャ画像情報から、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを用いて、前記補正後のジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記利用者が操作機器に対して行った操作の内容を受け付ける操作受付部を更に備え、
前記ニューラルネットワーク更新部は、前記操作受付部が新たなジェスチャに対応する画像情報を登録するためのジェスチャ登録操作を受け付けると、前記画像取得部が取得した前記利用者の少なくとも1種類のジェスチャに対応する画像情報と、前記操作受付部が受け付けた操作の内容を識別する操作識別情報と、に基づいて、前記ニューラルネットワークを更新する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記撮像装置は、熱画像センサを有し、
前記撮像装置により撮像された利用者の熱画像に基づいて、利用者を特定する利用者特定部を更に備え、
前記ニューラルネットワーク計算部は、前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報と、前記利用者特定部が特定した利用者を識別する利用者識別情報と、から、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを用いて、前記ジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
複数の機器それぞれに対応する、利用者の同種のジェスチャを示すジェスチャ画像情報から前記同種のジェスチャ画像に対応する1種類の操作内容を特定するためのニューラルネットワークを記憶するニューラルネットワーク記憶部と、
前記複数の機器それぞれに設けられ前記複数の機器それぞれの利用者を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された前記利用者のジェスチャを示すジェスチャ画像情報を前記撮像装置から取得する画像取得部と、
前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶するニューラルネットワークの中から、前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器に対応するニューラルネットワークを選出する選出部と、
前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報から、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを用いて、前記ジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出するニューラルネットワーク計算部と、
前記ニューラルネットワーク計算部により算出された前記判定値に対応づけられた前記機器に対する操作を識別する操作識別情報を特定する操作特定部と、
前記操作特定部により特定された前記操作識別情報に基づいて、前記操作識別情報を特定するための前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器を制御する機器制御部と、
前記画像取得部が前記ジェスチャ画像情報を取得する毎に、前記ジェスチャ画像情報と、前記画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを更新するとともに、予め設定されたニューラルネットワーク更新時期が到来する毎に、前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶する前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定し、前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新するニューラルネットワーク更新部と、を備える、
学習システム。
【請求項10】
制御システムが、複数の機器それぞれに設けられ前記複数の機器それぞれの利用者を撮像する撮像装置により撮像された前記利用者のジェスチャを示すジェスチャ画像情報を前記撮像装置から取得するステップと、
前記制御システムが、前記複数の機器それぞれに対応する、利用者の同種のジェスチャを示すジェスチャ画像情報から前記同種のジェスチャ画像に対応する1種類の操作内容を特定するためのニューラルネットワークを記憶するニューラルネットワーク記憶部が記憶するニューラルネットワークの中から、取得した前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器に対応するニューラルネットワークを選出するステップと、
前記制御システムが、取得した前記ジェスチャ画像情報から、選出されたニューラルネットワークを用いて、前記ジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出するステップと、
前記制御システムが、算出した前記判定値に対応づけられた前記機器に対する操作を識別する操作識別情報を特定するステップと、
前記制御システムが、特定した前記操作識別情報に基づいて、前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器を制御するステップと、
前記制御システムが、前記ジェスチャ画像情報を取得する毎に、前記ジェスチャ画像情報と、前記画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、選出されたニューラルネットワークを更新するステップと、
前記制御システムが、予め設定されたニューラルネットワーク更新時期が到来する毎に、前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶する前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定し、前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新するステップと、を含む、
機器制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、
複数の機器それぞれに対応する、利用者の同種のジェスチャを示すジェスチャ画像情報から前記同種のジェスチャ画像に対応する1種類の操作内容を特定するためのニューラルネットワークを記憶するニューラルネットワーク記憶部、
前記複数の機器それぞれに設けられ前記複数の機器それぞれの利用者を撮像する撮像装置、
前記撮像装置により撮像された前記利用者のジェスチャを示すジェスチャ画像情報を前記撮像装置から取得する画像取得部、
前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶するニューラルネットワークの中から、前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器に対応するニューラルネットワークを選出する選出部、
前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報から、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを用いて、前記ジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出するニューラルネットワーク計算部、
前記ニューラルネットワーク計算部により算出された前記判定値に対応づけられた前記機器に対する操作を識別する操作識別情報を特定する操作特定部、
前記操作特定部により特定された前記操作識別情報に基づいて、前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器を制御する機器制御部、
前記画像取得部が前記ジェスチャ画像情報を取得する毎に、前記ジェスチャ画像情報と、前記画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを更新するとともに、予め設定されたニューラルネットワーク更新時期が到来する毎に、前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶する前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定し、前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新するニューラルネットワーク更新部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、学習システム、機器制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
操作者が電子キーを携帯した状態で操作対象を操作するために行う間接的操作を行ったときの電子キーの軌跡に基づいて間接的操作データを生成する間接的操作部と、電子キーの軌跡のグラフをテンプレート化した教師データと間接的操作データとが許容範囲内で一致する場合、間接的操作がなされたと判定する制御部と、を備える操作判定装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。ここで、制御部は、間接的操作データが教師データの許容範囲からずれており、間接的操作が行われなかったと判定したにも関わらず、予め設定された期間内に、その間接的操作と同じ指示を行うことができる直接的操作が行われた場合、操作者が操作をやり直したと判定して当該間接的データによって間接的操作ができるように学習して教師データを更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-197450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたような間接的操作、即ち、ジェスチャ操作に対応する操作内容を判定する操作判定装置では、ジェスチャ操作の認識精度を向上させることにより操作対象を適切に操作することができるようにすることが要請されている。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされたものであり、ジェスチャ操作により機器を適切に制御することができる制御システム、学習システム、機器制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る制御システムは、
複数の機器それぞれに対応する、利用者の同種のジェスチャを示すジェスチャ画像情報から前記同種のジェスチャ画像に対応する1種類の操作内容を特定するためのニューラルネットワークを記憶するニューラルネットワーク記憶部と、
前記複数の機器それぞれに設けられ前記複数の機器それぞれの利用者を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された前記利用者のジェスチャを示すジェスチャ画像情報を前記撮像装置から取得する画像取得部と、
前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶するニューラルネットワークの中から、前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器に対応するニューラルネットワークを選出する選出部と、
前記画像取得部が取得した前記ジェスチャ画像情報から、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを用いて、前記ジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出するニューラルネットワーク計算部と、
前記ニューラルネットワーク計算部により算出された前記判定値に対応づけられた前記機器に対する操作を識別する操作識別情報を特定する操作特定部と、
前記操作特定部により特定された前記操作識別情報に基づいて、前記ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器を制御する機器制御部と、
前記画像取得部が前記ジェスチャ画像情報を取得する毎に、前記ジェスチャ画像情報と、前記画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、前記選出部により選出されたニューラルネットワークを更新するとともに、予め設定されたニューラルネットワーク更新時期が到来する毎に、前記ニューラルネットワーク記憶部が記憶する前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定し、前記複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新するニューラルネットワーク更新部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ニューラルネットワーク更新部が、画像取得部がジェスチャ画像情報を取得する毎に、ジェスチャ画像情報と、画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、選出部により選出されたニューラルネットワークを更新する。また、ニューラルネットワーク更新部は、予め設定されたニューラルネットワーク更新時期が到来する毎に、ニューラルネットワーク記憶部が記憶する複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定し、複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新する。これにより、複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークが、定期的にそれらの中で最も計算量が少ない、即ち、計算効率が良いニューラルネットワークに更新されるので、利用者が行うジェスチャに対応する操作内容を特定するまでの時間の短縮並びに操作内容を特定する精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係る制御システムの概略構成図
図2】実施の形態に係る制御システムのハードウェア構成を示すブロック図
図3】実施の形態に係る空気調和機の機能構成を示すブロック図
図4】(A)は利用者のジェスチャを示す画像の一例を示す図、(B)は他の利用者のジェスチャを示す画像の一例を示す図、
図5】実施の形態に係るクラウドサーバの機能構成を示すブロック図
図6】実施の形態に係る制御システムの動作説明図
図7】実施の形態に係る制御システムの動作説明図
図8】実施の形態に係る操作識別情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図
図9】実施の形態に係る制御システムの動作を示すシーケンス図
図10】実施の形態に係る制御システムの動作を示すシーケンス図
図11】実施の形態に係る制御システムの動作を示すシーケンス図
図12】実施の形態に係る空気調和機が実行する機器制御処理の流れの一例を示すフローチャート
図13】実施の形態に係る空気調和機が実行する機器制御処理の流れの一例を示すフローチャート
図14】実施の形態に係るクラウドサーバが実行する操作決定処理の流れの一例を示すフローチャート
図15】実施の形態に係るクラウドサーバが実行する重み係数決定処理の流れの一例を示すフローチャート
図16】実施の形態に係るクラウドサーバが実行する操作決定処理の流れの一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る制御システムについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る制御システムは、ニューラルネットワーク記憶部と、撮像装置と、画像取得部と、選出部と、ニューラルネットワーク計算部と、操作特定部と、機器制御部と、ニューラルネットワーク更新部と、を備える、ニューラルネットワーク記憶部は、複数の機器それぞれに対応する、利用者の同種のジェスチャを示すジェスチャ画像情報から同種のジェスチャ画像に対応する1種類の操作内容を特定するためのニューラルネットワークを記憶する。撮像装置は、複数の機器それぞれに設けられ複数の機器それぞれの利用者を撮像する。画像取得部は、撮像装置により撮像された利用者のジェスチャを示すジェスチャ画像情報を撮像装置から取得する。選出部は、ニューラルネットワーク記憶部が記憶するニューラルネットワークの中から、画像取得部が取得したジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器に対応するニューラルネットワークを選出する。ニューラルネットワーク計算部は、画像取得部が取得したジェスチャ画像情報から、選出したニューラルネットワークを用いて、ジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出する。操作特定部は、ニューラルネットワーク計算部により算出された判定値に対応づけられた機器に対する操作を識別する操作識別情報を特定する。機器制御部は、操作特定部により特定された操作識別情報に基づいて、ジェスチャ画像情報を生成した撮像装置が設けられた機器を制御する。ニューラルネットワーク更新部は、画像取得部がジェスチャ画像情報を取得する毎に、ジェスチャ画像情報と、画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、選出部により選出されたニューラルネットワークを更新する。また、ニューラルネットワーク更新部は、予め設定されたニューラルネットワーク更新時期が到来する毎に、ニューラルネットワーク記憶部が記憶する複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定し、複数の機器それぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新する。
【0010】
本実施の形態に係る制御システムは、図1に示すように、建物Hに設置された複数(図1では2つ)の空気調和機1A、1Bと、クラウドサーバ2と、を備える。建物Hには、空気調和機1A、1Bそれぞれを操作するための操作機器6A、6Bが設置されている。ここで、空気調和機1A、1Bは、それぞれ、建物H内の部屋に設置されている。また、建物Hには、建物H内に構築された局所ネットワークNW2に接続されたルータ82と、ルータ82および広域ネットワークNW1に接続されたデータ回線終端装置81と、が設置されている。広域ネットワークNW1は、例えばインターネットである。また、局所ネットワークNW2は、例えば有線LAN(Local Area Network)または無線LANである。データ回線終端装置81は、モデム、ゲートウェイ等である。
【0011】
本実施の形態に係る空気調和機1A、1Bは、図2に示すように、制御ユニット100と、撮像装置181と、を有する。また、空気調和機1は、制御ユニット100から入力される制御信号に基づいて動作する圧縮機(図示せず)と送風ファン(図示せず)とを有する。クラウドサーバ2と空気調和機1A、1Bの撮像装置181および制御ユニット100とから、後述のように、ニューラルネットワークの重み係数を更新する、即ち、ニューラルネットワークを学習させる学習システムが構成される。撮像装置181は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等を用いたカメラを有する。撮像装置181は、カメラにより撮像した画像に対応する画像信号を生成して、後述の制御ユニット100の撮像インタフェース108へ出力する。
【0012】
制御ユニット100は、CPU(Central Processing Unit)101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、ニューロエンジン104と、計時部105と、局所通信部106と、無線モジュール107と、撮像インタフェース108と、これらを相互に接続するバス109と、を備える。主記憶部102は、揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として用いられる。補助記憶部103は、半導体フラッシュメモリのような不揮発性メモリから構成され、制御ユニット100の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。ニューロエンジン104は、予め設定されたノード数および層数を有するニューラルネットワークを用いた演算処理専用のハードウェアである。計時部105は、例えばリアルタイムクロックである。局所通信部106は、局所ネットワークNW2に接続されており、CPU101から通知される各種情報を局所ネットワークNW2へ送出したり、局所ネットワークNW2から受信した各種情報をCPU101へ通知したりする。無線モジュール107は、操作機器6A、6Bとの間でBluetooth(登録商標)のような短距離無線通信規格に適合した通信方式で無線通信し、操作機器6A、6Bから利用者が操作機器6A、6Bに対して行った操作内容を示す操作情報を受信すると、その操作情報をCPU101へ通知する。なお、無線モジュール107は、例えばIrDA(Infrared Data Association)規格に基づいて操作機器6A、6Bとの間で赤外線通信を実行するものであってもよい。撮像インタフェース108は、撮像装置181から画像信号が入力されると、それに応じた画像情報を生成してCPU101へ通知する。
【0013】
CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み出して実行することにより、図3に示すように、画像取得部111、画像補正部112、操作受付部113、機器制御部114、操作識別情報送信部115、操作モード設定部116、利用者特定部117、画像送信部118および機器設定部119として機能する。また、補助記憶部103は、画像記憶部131と、利用者情報記憶部132と、操作モード記憶部133と、機器設定記憶部134と、操作情報記憶部135と、を有する。画像記憶部131は、撮像装置181で撮像された利用者のジェスチャを示すジェスチャ画像情報を記憶する。画像記憶部131は、例えば図4(A)に示すように、例えば「空気調和機ON」の操作に対応するジェスチャ画像GE11を示すジェスチャ画像情報、「空気調和機OFF」の操作に対応するジェスチャ画像GE12を示すジェスチャ画像情報、「空気調和機の温度設定変更」の操作に対応するジェスチャ画像GE13を示すジェスチャ画像情報、または「空気調和機の温度設定維持」の操作に対応するジェスチャ画像GE14を示すジェスチャ画像情報を記憶する。或いは、画像記憶部131は、例えば図4(B)に示すように、例えば「空気調和機ON」の操作に対応するジェスチャ画像GE21を示すジェスチャ画像情報、「空気調和機OFF」の操作に対応するジェスチャ画像GE22を示すジェスチャ画像情報、「空気調和機の温度設定変更」の操作に対応するジェスチャ画像GE23を示すジェスチャ画像情報、または「空気調和機の温度設定維持」の操作に対応するジェスチャ画像GE24を示すジェスチャ画像情報を記憶する。
【0014】
図3に戻って、利用者情報記憶部132は、撮像装置181により利用者を撮像したときの利用者の画像に現れる利用者の輪郭、寸法等における特徴を示す画像特徴情報を、利用者を識別する利用者識別情報と対応づけて記憶している。操作モード記憶部133は、空気調和機1A、1Bを操作するときの操作モードを示す操作モード情報を記憶する。ここで、操作モードには、利用者の操作機器6A、6Bに対する操作のみにより空気調和機1A、1Bの動作設定を変更することができる通常操作モードと、撮像装置181により撮像された利用者のジェスチャに応じても空気調和機1A、1Bの動作設定が変更されるジェスチャ操作モードと、が含まれている。また、操作モードには、空気調和機1A、1Bに新たに利用者のジェスチャを登録する、即ち、後述するクラウドサーバ2の操作識別情報記憶部233が記憶する操作識別情報と判定値情報との対応関係を更新するためのジェスチャ登録モードも含まれている。機器設定記憶部134は、空気調和機1A、1Bの機器設定パラメータを示す機器設定情報を記憶する。
【0015】
図3に戻って、画像取得部111は、撮像装置181により撮像されたジェスチャ画像を示すジェスチャ画像情報を取得し、取得した画像情報を画像記憶部131に記憶させる。画像取得部111は、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報がジェスチャ登録モードを示す場合、操作モード記憶部133にジェスチャ登録モードを示す操作モード情報が記憶された後、計時部105が計時する時刻に基づいて予め設定された待ち時間だけ待機した後、撮像装置181により撮像された利用者のジェスチャに対応するジェスチャ画像情報を撮像装置181から取得する。
【0016】
画像補正部112は、画像取得部111が取得したジェスチャ画像情報を補正する。ここで、画像補正部112は、撮像装置181の性能、撮像装置181の設置位置、撮像装置181の周囲の明るさ、撮像装置181により撮像される利用者のジェスチャ画像の背景画像等の撮像条件に基づいて、ジェスチャ画像情報を補正する。画像補正部112は、例えば、ジェスチャ画像情報の中央部に利用者の画像が存在するとして利用者のジェスチャ画像を含む画像部分と背景画像部分との境界を大まかに設定し、次に、各画像部分の色分布に基づいて、グラフカットを実行することにより新たな境界を算出し、新たな境界により区画された各画像部分の色分布に基づいて、再度グラフカットを実行することにより新たな境界を算出することを繰り返すことにより利用者のジェスチャ画像を背景画像から抽出する。そして、画像補正部112は、抽出した利用者のジェスチャ画像を示すジェスチャ画像情報について、撮像装置181の設置位置に基づく画角補正を行った後、撮像装置181の画素数に基づいてジェスチャ画像の画素数を予め設定された基準画素数に変換するための平均化処理または補完処理を行い、その後、撮像装置181の周囲の明るさに基づく輝度補正(例えば逆光補正)を行った上で画像記憶部131に記憶させる。
【0017】
操作受付部113は、操作機器6A、6Bから送信された操作情報を無線モジュール107が受信すると、受信した操作情報を受け付ける。そして、操作受付部113は、操作情報が空気調和機1A、1Bの機器設定パラメータの更新に関するものである場合、その操作情報を操作識別情報送信部115および機器設定部119に通知する。また、操作受付部113は、操作情報が空気調和機1A、1Bの操作モードの変更に関するものである場合、操作情報を操作モード設定部116に通知する。
【0018】
操作モード設定部116は、操作受付部113から操作情報が通知されると、通知された操作情報に基づいて、操作モード情報を特定し、特定した操作モード情報を操作モード記憶部133に記憶させる。
【0019】
利用者特定部117は、画像取得部111が取得した画像情報に基づいて、利用者の画像に現れる利用者の輪郭、寸法等における特徴を抽出する。そして、利用者特定部117は、利用者情報記憶部132が記憶する利用者識別情報の中から、抽出した特徴と同一の特徴を示す画像特徴情報に対応する利用者識別情報を、空気調和機1A、1Bの利用者の利用者識別情報として特定する。また、利用者特定部117は、特定した空気調和機1A、1Bの利用者の利用者識別情報を、利用者情報記憶部132に記憶させる。
【0020】
機器設定部119は、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報がジェスチャ操作モードを示す場合、クラウドサーバ2から送信される操作識別情報を取得すると、取得した操作識別情報に基づいて、機器設定パラメータを算出する。そして、機器設定部119は、算出した機器設定パラメータを示す機器設定情報を機器設定記憶部134に記憶させる。また、機器設定部119は、操作受付部113から操作識別情報が通知されると、その操作識別情報に基づいて機器設定パラメータを算出し、算出した機器設定パラメータを示す機器設定情報を機器設定記憶部134に記憶させる。そして、機器制御部114は、機器設定記憶部134が記憶する機器設定情報に基づいて、圧縮機および送風ファンの動作を制御する。
【0021】
操作識別情報送信部115は、操作受付部113から操作情報を取得すると、操作情報記憶部135が記憶する操作識別情報の中から、取得した操作情報に対応する操作識別情報を選出する。そして、操作識別情報送信部115は、選出した操作識別情報をクラウドサーバ2へ送信するとともに、操作識別情報を送信する旨を通知する操作識別情報送信通知情報を画像送信部118に通知する。
【0022】
画像送信部118は、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報がジェスチャ操作モードを示す場合、画像記憶部131に新たなジェスチャ画像情報が記憶されると、そのジェスチャ画像情報と、利用者情報記憶部132が記憶するそのジェスチャ画像情報に対応する利用者情報と、空気調和機1A、1Bを識別する機器識別情報と、をクラウドサーバ2へ送信する。また、画像送信部118は、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報がジェスチャ登録モードを示す場合、操作識別情報送信部115から操作識別情報送信通知情報が通知されると、画像記憶部131が記憶する新たに記憶されたジェスチャ画像情報と、空気調和機1A、1Bを識別する機器識別情報と、をクラウドサーバ2へ送信する。
【0023】
登録要求部120は、操作受付部113がクラウドサーバ2に対して空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークを新規に登録するための新規登録操作を受け付けると、新規登録操作の操作内容に基づいて、利用者を特定する。ここで、登録要求部120は、操作機器6A、6Bに対して利用者が新たに建物H内に設置した空気調和機1A、1Bを登録するために新たに設置した空気調和機1A、1Bの機器識別情報と利用者に関する情報を登録する新規機器登録操作を行うと、新規登録操作を受け付ける。そして、登録要求部120は、特定した利用者の利用者情報と空気調和機1A、1Bの機器識別情報とを含む登録要求情報をクラウドサーバ2へ送信する。
【0024】
図2に戻って、クラウドサーバ2は、CPU201と、主記憶部202と、補助記憶部203と、計時部205と、広域通信部206と、これらを相互に接続するバス209と、を備える。CPU201は、例えばマルチコアプロセッサである。主記憶部202は、揮発性メモリから構成され、CPU201の作業領域として用いられる。補助記憶部203は、大容量の不揮発性メモリから構成され、クラウドサーバ2の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。計時部205は、例えばリアルタイムクロックである。広域通信部206は、広域ネットワークNW1に接続されている。
【0025】
CPU201は、補助記憶部203が記憶するプログラムを主記憶部202に読み出して実行することにより、図5に示すように、画像取得部211、選出部212、ニューラルネットワーク計算部(以下、「NN計算部」と称する。)213、操作特定部214、操作識別情報通知部215、ニューラルネットワーク更新部(以下、「NN更新部」と称する。)216および操作識別情報取得部217として機能する。また、補助記憶部203は、ニューラルネットワーク記憶部(以下、「NN記憶部」と称する。)231と、画像記憶部232と、操作識別情報記憶部233と、を有する。画像記憶部232は、空気調和機1A、1Bから取得したジェスチャ画像情報と利用者情報と空気調和機1A、1Bの機器識別情報とを、互いに対応づけて記憶する。
【0026】
NN記憶部231は、空気調和機1A、1Bそれぞれに対応する、利用者の同種のジェスチャを示すジェスチャ画像情報から同種のジェスチャ画像に対応する1種類の操作内容を特定するためのニューラルネットワークを記憶する。具体的には、NN記憶部231は、利用者のジェスチャ画像情報から利用者が行う操作を特定するためのニューラルネットワークの構造を示す情報と、そのニューラルネットワークにおける重み係数を示す情報と、を、対応する空気調和機1A、1Bの機器識別情報に対応づけて記憶する。ここで、ニューラルネットワークの構造を示す情報には、ニューラルネットワークのノード数、層数、各ノードに対応する重み係数および活性化関数それぞれを示す情報が含まれる。このニューラルネットワークは、図6に示すように入力層L10、隠れ層L20および出力層L30を有する。入力層L10は、ジェスチャ画像情報に含まれる画素位置情報および画素値情報を隠れ層L20へ入力する。
【0027】
隠れ層L20は、予め設定された数M[j]のノードx[j,i](1≦i≦M[j]、M[j]は正の整数)を含むN(Nは正の整数)個の層から構成されている。即ち、隠れ層L20は、各ノード列同士が繋がれた構造を有する。ここで、各ノードx[j,i]の出力y[j,i]は、下記式(1)の関係式で表される。
【数1】
ここで、W[j,i,k]は、重み係数を示し、f(*)は、活性化関数を示す。この重み係数W[j,i,k]が、前述のニューラルネットワークの構造を決めるニューラルネットワーク係数に相当する。また、活性化関数としては、シグモイド関数、ランプ関数、ステップ関数、ソフトマックス関数等の非線形関数が用いられる。隠れ層L20は、ノードに入力される情報が前の層の各ノードの出力にそれぞれに重み係数を乗じたものの総和となっている。そして、総和を引数とする活性化関数の出力が次の層へ伝達される。出力層L30は、隠れ層L20の最終層からの出力y[j,i]をそのまま出力する。 そして、ニューラルネットワーク記憶部134は、式(1)で表されるニューラルネットワークの構造を示す情報と、ニューラルネットワークの重み係数W[j,i,k]を示す情報と、を記憶する。
【0028】
また、このニューラルネットワークは、いわゆる畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であって、隠れ層L20が、畳み込み層と、プーリング層と、全結合層と、判定層と、を含む。畳み込み層では、複数の予め設定された幅の畳み込みフィルタを用いて畳み込み演算が行われる。この畳み込み層では、ジェスチャ画像情報が示す画像の部分的な領域における特徴の適合度合が算出されることで、どの特徴の画像がどこに位置するかを示す情報に変換される。また、畳み込み層では、例えば、2次元配列構造を有するフィルタと同数の情報が出力される。プーリング層では、畳み込み層からの出力に対する予め設定された幅での平均プーリング処理が行われる。また、プーリング層では、畳み込み層から入力される2次元配列構造を有する情報が2次元方向に平均化されて圧縮されることで、ジェスチャを判別するのに有効な情報だけが残される。これにより、ジェスチャ画像に含まれる利用者のオブジェクトの形状に多少の差異が存在していてもその差異によるジェスチャの判別への影響を取り除くことができる。そして、畳み込み層とプーリング層とが組み合わされて、入力層から入力される画像情報からその画像情報に対応する特徴量が算出される。特に、畳み込み層の計算とプーリング層の計算とが交互に複数回実行されるようにすることで、計算量を軽減することができる。全結合層は、複数の特徴量それぞれに重み係数を掛けて得られる値の総和を算出し、算出した総和を活性化関数により特徴変数に変換して出力する。ここで、活性化関数としては、例えばシグモイド関数が採用される。全結合層では、最終段のプーリング層が出力した情報が全て入力されて1次元構造の情報として出力する。なお、全結合層では、最終段のプーリング層に対応するノードの数が増加すると、その分、特徴量空間の分割数が増加し、その分、特徴量空間を分割してなる各領域を特徴づける特徴関数の数が増加する。判定層は、全結合層からの出力される特徴変数を、例えばソフトマックス関数を用いて予め設定された数値範囲内の判定値に変換することにより、画像情報に対応する操作内容を推定する。なお、図7に示すように、NN計算部213で処理する情報量は、入力層において情報量ND1だったものが、畳み込み層、プーリング層の後段に進むにつれて減少して全結合層の直前では情報量ND2まで減少する。これは、プーリング処理において、複数の特徴量を平均化して1つの特徴量に集約する処理が実行されることに起因する。そして、ニューラルネットワークの構造を示す情報には、畳み込みフィルタの幅を示す情報と、平均プーリング処理における幅を示す情報と、が含まれる。また、重み係数を示す情報には、畳み込み層で用いられる複数の畳み込みフィルタそれぞれの重み係数を示す情報と、全結合層における重み係数を示す情報と、が含まれる。また、NN記憶部231は、ニューラルネットワークの重み係数を決定する際に用いられる重み係数の初期値を示す情報も記憶する。
【0029】
操作識別情報記憶部233は、利用者が行う各種操作に付与された判定値の範囲を示す判定値情報を、利用者が行う操作内容を識別する操作識別情報に対応づけて記憶する。例えば図8に示すように、「空気調和機ON」の操作を識別する操作識別情報に対応する判定値の範囲がNUM11以上NUM12未満に設定され、「空気調和機OFF」の操作を識別する操作識別情報に対応する判定値の範囲がNUM21以上NUM22未満に設定されている。また、「空気調和機の温度設定変更」の操作を識別する操作識別情報に対応する判定値の範囲がNUM31以上NUM32未満に設定され、「空気調和機の温度設定維持」の操作を識別する操作識別情報に対応する判定値の範囲がNUM41以上NUM42未満に設定されている。そして、各判定値の範囲は、互いに重複しないように設定されている。
【0030】
図5に戻って、画像取得部211は、空気調和機1A、1Bから送信されるジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報を取得すると、これらを互いに対応づけて画像記憶部232に記憶させる。また、画像取得部211は、取得した機器識別情報を選出部212に通知する。この機器識別情報は、画像取得部211が取得したジェスチャ画像情報を生成した撮像装置181が設けられた空気調和機1A、1Bを識別する情報である。
【0031】
選出部212は、NN記憶部231が記憶するニューラルネットワークの中から、画像取得部211から通知される機器識別情報に対応するニューラルネットワークを選出する。具体的には、選出部212は、画像取得部211から通知される機器識別情報に対応するニューラルネットワークの構造を示す情報と重み係数を示す情報とを選出する。そして、選出部212は、選出した複数の畳み込みフィルタそれぞれの重み係数を、選出したニューラルネットワークの複数の畳み込みフィルタに設定する。また、選出部212は、選出したニューラルネットワークの全結合層における重み係数を、選出したニューラルネットワークの全結合層に相当する部分に設定する。
【0032】
NN計算部213は、選出部212が機器識別情報に基づいて選出したニューラルネットワークを用いて、画像記憶部232が記憶するジェスチャ画像情報と利用者識別情報とから判定値を算出する。また、NN計算部213は、ニューラルネットワークにおける畳み込み層とプーリング層とに相当する部分を用いた演算処理を行うことにより、ジェスチャ画像情報および利用者情報とから特徴量を算出する。ここで、NN計算部213は、ジェスチャ画像情報および利用者情報に対して、複数の畳み込みフィルタを用いた畳み込み演算とプーリング処理とを予め設定された回数だけ繰り返すことにより特徴量を算出する。そして、NN計算部213は、ジェスチャ画像情報および利用者情報に対応する特徴量について、ニューラルネットワークにおける全結合層と判定層とに相当する部分を用いた演算処理を行うことにより判定値を算出する。NN計算部213は、選出部212が選出したニューラルネットワークを用いて、例えば図4(A)および(B)に示すような「空気調和機ON」に対応する同種のジェスチャの画像GE11、GE21を示す画像情報から「NUM11」以上「NUM12」未満の範囲に含まれる判定値を算出し、「空気調和機OFF」に対応する同種のジェスチャの画像GE12、GE22を示す画像情報から「NUM21」以上「NUM22」未満の範囲に含まれる判定値を算出する。また、NN計算部213は、選出部212が選出したニューラルネットワークを用いて、例えば図4(A)および(B)に示す「温度設定変更」に対応する同種のジェスチャの画像GE13、GE23を示す画像情報から「NUM31」以上「NUM32」未満の範囲に含まれる判定値を算出し、「温度設定維持」に対応する同種のジェスチャの画像GE14、GE24から「NUM41」以上「NUM42」未満の範囲に含まれる判定値を算出する。NN計算部213は、算出した判定値を示す判定値情報を操作特定部214およびNN更新部216に通知する。このように、NN計算部213は、ジェスチャ画像情報が示す利用者が異なっている場合であってもそのジェスチャ画像情報が示すジェスチャが同種のジェスチャ操作に対応するものである場合、同一の判定値の範囲内に含まれる判定値を算出する。
【0033】
操作特定部214は、NN計算部213から判定値情報が通知されると、操作識別情報記憶部233が記憶する操作識別情報の中から、通知された判定値情報に対応する操作識別情報を特定する。そして、操作特定部214は、特定した操作識別情報を操作識別情報送信部215に通知する。操作識別情報送信部215は、画像記憶部232が記憶する機器識別情報に基づいて、操作特定部214から通知される操作識別情報を、その操作識別情報対応するジェスチャ画像情報の送信元の空気調和機1A、1Bへ送信する。
【0034】
NN更新部216は、画像取得部211がジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報を取得する毎に、ジェスチャ画像情報と、ジェスチャ画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、選出部212により選出されたニューラルネットワークを更新する。具体的には、NN更新部216は、まず、NN計算部213から通知される判定値と、操作識別情報記憶部233が記憶する操作識別情報に対応する判定値情報が示す判定値の範囲の中央値と、の誤差を算出し、算出された誤差に基づく誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)によりニューラルネットワークの重み係数を決定する。ここで、NN更新部216は、ニューラルネットワークの畳み込み層で用いられる複数の畳み込みフィルタそれぞれの重み係数およびニューラルネットワークの全結合層の重み係数を決定する。そして、NN更新部216は、決定した重み係数を示す情報で、NN記憶部231が記憶する選出部212により選出されたニューラルネットワークの重み係数を示す情報を更新する。
【0035】
また、NN更新部216は、予め設定されたニューラルネットワーク更新時期(以下、「NN更新時期」と称する。)が到来する毎に、NN記憶部231が記憶する空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定する。そして、NN更新部216は、空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新する。
【0036】
次に、本実施の形態に係る制御システムの動作について図9および図10を参照しながら説明する。まず、図9に示すように、空気調和機1A、1Bが利用者によりジェスチャ登録モードに設定されたとする(ステップS1)。次に、空気調和機1A、1Bは、操作モードがジェスチャ登録モードに設定された後、予め設定された待ち時間だけ経過したと判定すると(ステップS2)、待ち時間の間に利用者が操作機器6A、6Bに対して行った操作に基づいて操作識別情報を特定する(ステップS3)。続いて、空気調和機1A、1Bは、利用者が行う空気調和機1A、1Bを操作するためのジェスチャを撮像して得られるジェスチャ画像情報を取得する(ステップS4)。このとき、空気調和機1A、1Bは、空気調和機1に設けられたLED(Light Emitting Diode)ランプ(図示せず)を点滅させたり、空気調和機1A、1Bに設けられたブザー(図示せず)を鳴動させたりすることにより利用者のジェスチャを撮像する旨を利用者に報知するようにしてもよい。その後、空気調和機1A、1Bは、取得したジェスチャ画像情報を補正する(ステップS5)。次に、空気調和機1A、1Bは、補正後のジェスチャ画像情報に基づいて、空気調和機1A、1Bの利用者を特定する(ステップS6)。続いて、空気調和機1A、1Bが取得したジェスチャ画像情報と、特定した利用者を示す利用者情報と、空気調和機1A、1Bが特定した操作識別情報と、空気調和機1A、1Bの機器識別情報と、が、空気調和機1A、1Bからクラウドサーバ2へ送信される(ステップS7)。
【0037】
一方、クラウドサーバ2は、ジェスチャ画像情報と利用者情報と操作識別情報と機器識別情報とを取得すると、取得したジェスチャ画像情報と利用者情報と機器識別情報とを互いに対応づけて画像記憶部232に記憶させる。次に、クラウドサーバ2は、機器識別情報に基づいて、ジェスチャ画像情報、操作識別情報および機器識別情報の送信元の空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークを選出する(ステップS8)。続いて、クラウドサーバ2は、選出したニューラルネットワークを用いて、ジェスチャ画像情報および利用者情報から判定値を算出する(ステップS9)。その後、クラウドサーバ2は、算出した判定値を示す判定値情報を、空気調和機1A、1Bから取得した操作識別情報に対応づけて操作識別情報記憶部233に記憶させる(ステップS10)。
【0038】
次に、利用者が空気調和機1A、1Bの操作モードをジェスチャ操作モードに変更するための操作モード変更操作を行ったとする。この場合、空気調和機1の操作モードが、ジェスチャ操作モードに設定される(ステップS11)。続いて、空気調和機1A、1Bは、利用者が行う空気調和機1A、1Bを操作するためのジェスチャを撮像して得られるジェスチャ画像情報を取得すると(ステップS12)、取得したジェスチャ画像情報を補正する(ステップS13)。その後、空気調和機1A、1Bは、ジェスチャ画像情報に基づいて、空気調和機1A、1Bの利用者を特定する(ステップS14)。次に、空気調和機1A、1Bが取得したジェスチャ画像情報と、特定した利用者を示す利用者情報と、空気調和機1A、1Bの機器識別情報と、が、空気調和機1A、1Bからクラウドサーバ2へ送信される(ステップS15)。続いて、クラウドサーバ2は、機器識別情報に基づいて、ジェスチャ画像情報、操作識別情報および機器識別情報の送信元の空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークを選出する(ステップS16)。その後、クラウドサーバ2は、選出したニューラルネットワークを用いて、ジェスチャ画像情報および利用者情報から判定値を算出する(ステップS17)。
【0039】
次に、クラウドサーバ2は、操作識別情報記憶部233が記憶する操作識別情報の中から、算出した判定値に対応する操作識別情報を特定する(ステップS18)。続いて、特定された操作識別情報が、クラウドサーバ2からジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報の送信元の空気調和機1A、1Bへ送信される(ステップS19)。一方、空気調和機1A、1Bは、操作識別情報を取得すると、取得した操作識別情報に対応する機器設定パラメータを算出し、算出した機器設定パラメータを示す機器設定情報を生成して機器設定記憶部131が記憶する機器設定情報を更新する(ステップS20)。このとき、空気調和機1A、1Bは、機器設定記憶部134が記憶する更新後の機器設定情報に基づいて、圧縮機および送風ファンの動作を制御する。
【0040】
また、クラウドサーバ2は、操作識別情報記憶部233が記憶する特定した操作識別情報に対応する判定値と、ジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報から算出した判定値と、に基づいて、選出したニューラルネットワークの重み係数を決定する(ステップS21)。その後、クラウドサーバ2は、決定した重み係数を示す情報でNN記憶部231が記憶する選出したニューラルネットワークについての重み係数情報を更新する(ステップS22)。
【0041】
また、図10に示すように、予め設定されたNN更新時期が到来すると、クラウドサーバ2は、NN記憶部231が記憶する空気調和機1A、1Bそれぞれのニューラルネットワークにおける計算量を比較する(ステップS23)。次に、クラウドサーバ2は、計算量が最も少ないニューラルネットワークを特定する(ステップS24)。続いて、クラウドサーバ2は、空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワークの重み係数情報の全てを特定したニューラルネットワークの重み係数情報に更新する(ステップS25)。
【0042】
また、前述のステップS12からS17までの一連の処理が実行された後、クラウドサーバ2が、操作識別情報の特定に失敗したと判定したとする(ステップS26)。ここで、クラウドサーバ2は、選出したニューラルネットワークを用いて算出した判定値が、操作識別情報記憶部233が記憶する操作識別情報それぞれに対応する判定値情報が示す判定値の範囲から大きくずれており、いずれの判定値の範囲にも含まれない場合、操作識別情報の特定に失敗したと判定する。この場合、クラウドサーバ2は、選出したニューラルネットワークとは異なる他の空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークを新たに選出する(ステップS27)。そして、クラウドサーバ2は、新たに選出したニューラルネットワークを用いて、空気調和機1A、1Bから取得したジェスチャ画像情報および利用者情報から判定値を算出する(ステップS28)。その後、クラウドサーバ2が、算出した判定値に基づいて、操作識別情報が特定できた場合(ステップ29)、特定した操作識別情報が、クラウドサーバ2からジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報の送信元の空気調和機1A、1Bへ送信される(ステップS19)。
【0043】
また、クラウドサーバ2は、操作識別情報記憶部233が記憶する特定した操作識別情報に対応する判定値と、先に選出したニューラルネットワークを用いてジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報から算出された判定値と、に基づいて、先に選出したニューラルネットワークの重み係数を決定する(ステップS30)。次に、クラウドサーバ2は、決定した重み係数を示す情報でNN記憶部231が記憶する先に選出したニューラルネットワークについての重み係数情報を更新する(ステップS31)。
【0044】
また、利用者が新たに建物H内に設置した空気調和機1A、1Bを登録するための新規機器登録操作を行ったとする。この場合、空気調和機1A、1Bの操作モードが、新規登録モードに設定される(ステップS32)。続いて、空気調和機1A、1Bは、新規登録操作の操作内容に基づいて、利用者を特定する(ステップS33)。その後、特定された利用者情報と空気調和機1A、1Bの機器識別情報とが、空気調和機1A、1Bからクラウドサーバ2へ送信される(ステップS34)。一方、クラウドサーバ2は、特定された利用者情報と空気調和機1A、1Bの機器識別情報とを取得すると、NN記憶部231が記憶するニューラルネットワークの中から、利用者情報に基づいて1つのニューラルネットワークを選出する(ステップS35)。次に、クラウドサーバ2は、選出したニューラルネットワークの構造を示すNN構造情報および重み係数を示す重み係数情報を、取得した機器識別情報に対応づけてNN記憶部231に新たに記憶させる(ステップS36)。
【0045】
また、図11に示すように、ステップS12からS22までの一連の処理が実行されることにより機器設定情報が更新された後予め設定された基準時間内において、利用者が、空気調和機1A、1Bの機器設定を変更するために空気調和機1A、1Bをジェスチャ操作モードから手動操作モードに切り替える切替操作を行ったとする。即ち、利用者が、ジェスチャ操作により設定された空気調和機1A、1Bの機器設定を修正するための修正操作を行ったとする。この場合、空気調和機1A、1Bは、取得したジェスチャ画像に対応する操作内容を修正するための修正操作を受け付けて、空気調和機1A、1Bの操作モードが、手動操作モードに設定される(ステップS37)。続いて、空気調和機1A、1Bは、操作モードが手動操作モードに設定された後、予め設定された待ち時間だけ経過したと判定すると(ステップS38)、待ち時間の間に利用者が操作機器6A、6Bに対して行った操作に基づいて操作識別情報を特定する(ステップS39)。その後、特定された操作識別情報と空気調和機1A、1Bの機器識別情報とが、空気調和機1A、1Bからクラウドサーバ2へ送信される(ステップS40)。一方、クラウドサーバ2は、操作識別情報と空気調和機1A、1Bの機器識別情報とを取得すると、空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワークを選出する(ステップS41)。次に、クラウドサーバ2は、操作識別情報記憶部233が記憶する特定した操作識別情報に対応する判定値と、ステップS17において算出した判定値と、に基づいて、選出したニューラルネットワークそれぞれの重み係数を決定する(ステップS42)。続いて、クラウドサーバ2は、各ニューラルネットワークについて決定した重み係数を示す情報で、NN記憶部231が記憶するニューラルネットワークの重み係数情報を更新する(ステップS43)。
【0046】
次に、本実施の形態に係る空気調和機1A、1Bが実行する機器制御処理について図12および図13を参照しながら説明する。この機器制御処理は、例えば空気調和機1A、1Bへ電源が投入されたことを契機として開始される。また、操作受付部113は、利用者が操作機器6A、6Bに対して操作モードを変更するための操作を行うことにより、操作機器6A、6Bから操作モード情報を変更するための操作情報を受信すると、その操作情報を操作モード設定部116に通知するものとする。そして、操作モード設定部116は、操作受付部113から操作モード情報を変更するための操作情報が通知される毎に、通知された操作情報に基づいて、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報を更新するものとする。
【0047】
まず、操作受付部113は、空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークをクラウドサーバ2のNN記憶部231に新規に登録するための新規登録操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、操作受付部113が、新規登録操作を受け付けていないと判定すると(ステップS101:No)、後述のステップS104の処理が実行される。一方、操作受付部113が、新規登録操作を受け付けたと判定すると(ステップS101:Yes)、登録要求部120は、新規登録操作の操作内容に基づいて、利用者を特定する(ステップS102)。次に、登録要求部120は、特定した利用者の利用者情報と空気調和機1A、1Bの機器識別情報とをクラウドサーバ2へ送信する(ステップS103)。
【0048】
続いて、操作受付部113は、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報を参照して空気調和機1がジェスチャ登録モードに設定されているか否かを判定する(ステップS104)。操作受付部113が、空気調和機1A、1Bがジェスチャ登録モードに設定されていないと判定すると(ステップS104:No)、後述のステップS111の処理が実行される。一方、操作受付部113は、空気調和機1A、1Bがジェスチャ登録モードに設定されていると判定すると(ステップS104:Yes)、ジェスチャ登録モードに設定された後予め設定された待ち時間だけ経過したか否かを判定する(ステップS105)。操作受付部113は、ジェスチャ登録モードに設定された後、未だ前述の待ち時間を経過していないと判定する限り(ステップS105:No)、ステップS105の処理を繰り返し実行する。一方、操作受付部113は、空気調和機1A、1Bがジェスチャ登録モードに設定された後、前述の待ち時間だけ経過したと判定すると(ステップS105:Yes)、操作機器6A、6Bから受信した操作情報が空気調和機1A、1Bの機器設定パラメータの更新に関するものである場合、操作情報に対応する操作識別情報を特定する(ステップS106)。このとき、操作受付部113は、特定した操作識別情報を操作識別情報送信部115に通知する。
【0049】
その後、画像取得部111は、撮像装置181により撮像して得られる登録対象となるジェスチャのジェスチャ画像情報を取得する(ステップS107)。このとき、画像取得部111は、空気調和機1に設けられたLEDランプを点滅させるための指令情報を、LEDランプを点灯させる点灯装置(図示せず)に通知したり、または、空気調和機1に設けられたブザーを鳴動させるための指令情報を、ブザーを駆動するブザー駆動部(図示せず)に通知したりすることにより利用者のジェスチャを撮像する旨を利用者に報知してもよい。次に、画像補正部112は、画像取得部111が取得したジェスチャ画像情報を補正する(ステップS108)。このとき、画像補正部112は、補正したジェスチャ画像情報を画像記憶部131に記憶させる。続いて、利用者特定部117は、画像記憶部131が記憶するジェスチャ画像情報に基づいて、利用者を特定する(ステップS109)。このとき、利用者特定部117は、特定した利用者の利用者情報を利用者記憶部132に記憶させる。その後、画像送信部118が、ジェスチャ画像情報、利用者情報および空気調和機1A、1Bの機器識別情報をクラウドサーバ2へ送信するとともに、操作識別情報送信部115が、操作受付部113から通知される操作識別情報をクラウドサーバ2へ送信する(ステップS110)。
【0050】
次に、画像取得部111は、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報が示す操作モードがジェスチャ操作モードであるか否かを判定する(ステップS111)。画像取得部111が、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報がジェスチャ操作モードを示すものではないと判定すると(ステップS111:No)、再びステップS101の処理が実行される。一方、画像取得部111は、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報がジェスチャ操作モードを示すと判定すると(ステップS111:Yes)、利用者が空気調和機1A、1Bを操作するためのジェスチャに対応するジェスチャ画像情報を取得したか否かを判定する(ステップS112)。ここで、画像取得部111が、ジェスチャ画像情報を取得していないと判定すると(ステップS112:No)、再びステップS101の処理が実行される。
【0051】
一方、画像取得部111が、利用者が空気調和機1A、1Bを操作するためのジェスチャ画像情報を取得したと判定すると(ステップS112:Yes)、画像補正部112が、そのジェスチャ画像情報を補正する(ステップS113)。続いて、利用者特定部117は、画像記憶部131が記憶するジェスチャ画像情報に基づいて、利用者を特定する(ステップS114)。その後、画像送信部118が、ジェスチャ画像情報、利用者情報および空気調和機1A、1Bの機器識別情報をクラウドサーバ2へ送信する(ステップS115)。次に、機器設定部119は、図13に示すように、クラウドサーバ2から送信される操作識別情報を予め設定された待ち時間内に取得したか否かを判定する(ステップS116)。ここで、待ち時間は、例えば数secに設定される。機器設定部119が、操作識別情報を前述の待ち時間内に取得できなかったと判定すると(ステップS116:No)、ジェスチャ操作は行われなかったものとして再びステップS101の処理が実行される。一方、機器設定部119は、クラウドサーバ2から送信される操作識別情報を取得したと判定すると(ステップS116:Yes)、取得した操作識別情報に基づいて、機器設定パラメータを算出し、算出した機器設定パラメータを示す機器設定情報を機器設定記憶部134に記憶させる(ステップS117)。そして、機器制御部114は、機器設定記憶部134が記憶する機器設定情報に基づいて、圧縮機および送風ファンの動作を制御する。
【0052】
その後、操作受付部113は、計時部105により計時される時刻情報に基づいて、機器設定記憶部134が記憶する機器設定情報が更新されてからの経過時間が予め設定された基準時間を経過したか否かを判定する(ステップS118)。操作受付部113により機器設定情報が更新されてからの経過時間が前述の基準時間を経過したと判定すると(ステップS118:Yes)、再びステップS101の処理が実行される。一方、操作受付部113は、機器設定情報が更新されてからの経過時間が未だ前述の基準時間を経過していないと判定すると(ステップS118:No)、操作モード記憶部133が記憶する操作モード情報がジェスチャ操作モードから手動操作モードへ変更されたか否かを判定する(ステップS119)。即ち、操作受付部113は、画像取得部111により取得されたジェスチャ画像に対応する操作内容を修正するための修正操作を受け付けたか否かを判定する。操作受付部113が、未だ手動操作モードへ変更されていないと判定すると(ステップS119:No)、再びステップS118の処理が実行される。
【0053】
一方、操作受付部113は、手動操作モードに変更されたと判定すると(ステップS119:Yes)、手動操作モードに変更された後予め設定された待ち時間だけ経過したか否かを判定する(ステップS120)。操作受付部113は、手動操作モードに変更された後、未だ前述の待ち時間を経過していないと判定する限り(ステップS120:No)、ステップS120の処理を繰り返し実行する。一方、操作受付部113は、手動操作モードに変更された後、前述の待ち時間だけ経過したと判定すると(ステップS120:Yes)、操作機器6A、6Bから受信した操作情報に対応する操作識別情報を特定する(ステップS121)。このとき、操作受付部113は、特定した操作識別情報を操作識別情報送信部115に通知する。次に、操作識別情報送信部115が、操作受付部113から通知される操作識別情報と空気調和機1A、1Bの機器識別情報とをクラウドサーバ2へ送信する(ステップS122)。続いて、再びステップS101の処理が実行される。
【0054】
次に、本実施の形態に係るクラウドサーバ2が実行する操作決定処理について図14から図16を参照しながら説明する。この操作決定処理は、例えばクラウドサーバ2へ電源が投入された後、操作決定処理を実行するためのプログラムが起動したことを契機として開始される。まず、画像取得部211が、空気調和機1A、1Bからジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報を取得し、操作識別情報取得部117が、空気調和機1A、1Bから操作識別情報を取得したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、画像取得部211が、空気調和機1A、1Bからジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報を取得していない、或いは、操作識別情報取得部117が、空気調和機1A、1Bから操作識別情報を取得していないと判定すると(ステップS201:No)、後述のステップS204の処理が実行される。一方、画像取得部211が、空気調和機1A、1Bからジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報を取得し、且つ、操作識別情報取得部117が、空気調和機1A、1Bから操作識別情報を取得したと判定したとする(ステップS201:Yes)。この場合、選出部212は、NN記憶部231が記憶するニューラルネットワークの中から、画像取得部211から通知される機器識別情報に対応するニューラルネットワークを選出する(ステップS202)。次に、NN計算部213は、選出部212が機器識別情報に基づいて選出したニューラルネットワークを用いて、画像記憶部232が記憶するジェスチャ画像情報と利用者識別情報とから判定値を算出し、操作特定部214が、算出した判定値を示す判定値情報を、空気調和機1A、1Bから取得した操作識別情報に対応づけて操作識別情報記憶部233に記憶させる(ステップS203)。
【0055】
続いて、画像取得部211は、空気調和機1A、1Bからジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報を取得したか否かを判定する(ステップS204)。ここで、画像取得部211が、空気調和機1A、1Bからジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報を取得していないと判定すると(ステップS204:No)、後述のステップS214の処理が実行される。一方、画像取得部211が、空気調和機1A、1Bからジェスチャ画像情報、利用者情報および機器識別情報を取得したと判定したとする(ステップS204:Yes)。この場合、選出部212は、NN記憶部231が記憶するニューラルネットワークの中から、画像取得部211から通知される機器識別情報に対応するニューラルネットワークを選出する(ステップS205)。次に、NN計算部213は、選出部212が機器識別情報に基づいて選出したニューラルネットワークを用いて、画像記憶部232が記憶するジェスチャ画像情報と利用者識別情報とから判定値を算出する(ステップS206)。続いて、操作特定部214は、算出された判定値に基づいて操作識別情報の特定に成功したか否かを判定する(ステップS207)。ここで、操作特定部214が、操作識別情報の特定に失敗したと判定すると(ステップS207:No)、選出部212は、選出したニューラルネットワークとは異なる他の空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークの中に選出可能なニューラルネットワークが存在するか否かを判定する(ステップS208)。ここで、「選出可能なニューラルネットワーク」とは、操作識別情報の特定に失敗したニューラルネットワークに対応する空気調和機1A、1Bと同種の他の空気調和機に対応するニューラルネットワークであり、ステップS207において操作機器識別情報の特定に失敗した後において選出部212により選出された履歴のないニューラルネットワークに相当する。そして、選出部212が、選出可能なニューラルネットワークが存在しないと判定すると(ステップS208:No)、操作識別情報を特定する処理が終了し、そのまま後述のステップS214の処理が実行される。一方、選出部212は、選出可能なニューラルネットワークが存在すると判定すると(ステップS208:Yes)、先に選出したニューラルネットワークとは異なる他の空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークを新たに選出する(ステップS209)。その後、NN計算部213は、新たに選出したニューラルネットワークを用いて、空気調和機1A、1Bから取得したジェスチャ画像情報および利用者情報から新たに判定値を算出する(ステップS210)。次に、再び、ステップS207の処理が実行される。
【0056】
一方、操作特定部214が、ステップS207において、算出された判定値に基づいて操作識別情報の特定に成功したと判定すると(ステップS207:Yes)、操作識別情報送信部215は、特定された操作識別情報を空気調和機1A、1Bへ送信する(ステップS211)。その後、NN更新部216およびNN計算部213は、重み係数決定処理を実行する(ステップS212)。
【0057】
ここで、本実施の形態に係るクラウドサーバ2が実行する重み係数決定処理について図15を参照しながら詳細に説明する。まず、NN計算部213が、画像記憶部131が記憶するジェスチャ画像情報に対して、選出部212により選出された重み係数が設定された複数の畳み込みフィルタを用いた畳み込み演算とプーリング処理とを予め設定された回数だけ繰り返す計算を実行する(ステップS301)。これにより、NN計算部213は、画像記憶部131が記憶するジェスチャ画像情報に対応する特徴量を算出する。次に、NN計算部213、算出した特徴量に対して、選出部212により選出された重み係数が設定された全結合層および判定層に相当する部分の計算を実行することにより判定値を算出する(ステップS302)。続いて、NN更新部216は、算出された判定値と操作識別情報記憶部233が記憶する判定値情報が示す判定値の範囲の中央値との誤差を算出する(ステップS303)。その後、NN更新部216は、算出された誤差に基づいて、誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)によりニューラルネットワークの重み係数を新たに決定する(ステップS304)。
【0058】
図14に戻って、次に、NN更新部216は、重み係数決定処理により決定された重み係数を示す重み係数情報で、NN記憶部231が記憶する選出部212により選出されたニューラルネットワークの重み係数情報を更新する(ステップS213)。続いて、NN更新部216は、計時部205が計時する時刻情報に基づいて、予め設定されたNN更新時期が到来したか否かを判定する(ステップS214)。NN更新部216が、未だNN更新時期が到来していないと判定すると(ステップS214:No)、再びステップS201の処理が実行される。一方、NN更新部216は、NN更新時期が到来したと判定すると(ステップS214:Yes)、図16に示すように、NN記憶部231が記憶する空気調和機1A、1Bそれぞれのニューラルネットワークにおける計算量を比較する(ステップS215)。その後、NN更新部216は、計算量が最も少ないニューラルネットワークを特定する(ステップS216)。次に、NN更新部216は、空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワーク全てを特定したニューラルネットワークに更新する(ステップS217)。具体的には、NN更新部216が、空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワークの重み係数情報の全てを、特定したニューラルネットワークの重み係数情報に更新する。
【0059】
続いて、操作識別情報取得部217は、空気調和機1A、1Bから操作識別情報および機器識別情報を取得したか否かを判定する(ステップS218)。ここで、操作識別情報取得部217が、空気調和機1A、1Bから操作識別情報および機器識別情報を取得していないと判定すると(ステップS218:No)、前述のステップS201の処理が実行される。一方、操作識別情報取得部217が、空気調和機1A、1Bから操作識別情報および機器識別情報を取得したと判定したとする(ステップS218:Yes)。この場合、選出部212は、NN記憶部231が記憶するニューラルネットワークの全てを選出する(ステップS219)。その後、NN更新部216およびNN計算部213は、全てのニューラルネットワークについて重み係数決定処理を実行する(ステップS220)。次に、NN更新部216は、重み係数決定処理により決定されたニューラルネットワークそれぞれの重み係数を示す重み係数情報で、NN記憶部231が記憶する対応するニューラルネットワークの重み係数情報を更新する(ステップS221)。続いて、再びステップS201の処理が実行される。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態に係る制御システムでは、NN更新部216が、画像取得部111がジェスチャ画像情報を取得する毎に、ジェスチャ画像情報と、ジェスチャ画像情報から算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、選出部212により選出されたニューラルネットワークの重み係数情報を更新する。また、NN更新部216は、予め設定されたNN更新時期が到来する毎に、NN記憶部231が記憶する空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワークの中から最も計算量が少ないニューラルネットワークを特定し、空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワークの重み係数情報の全てを特定したニューラルネットワークの重み係数情報に更新する。これにより、空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワークの重み係数が、定期的にそれらの中で最も計算量が少ない、即ち、計算効率が良いニューラルネットワークの重み係数に更新されるので、利用者が行うジェスチャに対応する操作内容を特定するまでの時間の短縮並びに操作内容を特定する精度の向上を図ることができる。
【0061】
ところで、ニューラルネットワークは、ディープラーニング技術の発達により、音声認識、画像認識等に利用されるようになってきており、パターン認識機能、自動推定機能等を備えた機器にも活用されつつある。また、近年のニューラルネットワーク計算専用のCPUの出現に伴い、ニューラルネットワークの計算機能をエッジ側、即ち、機器に搭載することも可能となってきており、機器においてニューラルネットワークの計算を実行するシステムも構築できるようになってきている。また、従来は利用者が機器に接続された操作機器の操作ボタンを押下することにより機器を操作することが一般的であったが、近年では、前述のパターン認識機能、自動推定機能を利用して、利用者による音声入力による操作、ジェスチャ操作を行うことができる機器も増加しつつある。本実施の形態に係る制御システムは、この種のシステムであり、空気調和機1A、1Bが、それらに搭載された撮像装置181により利用者を撮影して得られたジェスチャ画像情報をクラウドサーバ2へ送信し、クラウドサーバ2においてニューラルネットワークを用いてジェスチャ画像情報から判定値を算出し、算出した判定値に基づいて操作識別情報を特定する。そして、特定した操作識別情報を空気調和機1A、1Bへ送信することで空気調和機1A、1Bが操作されるものが提供されつつある。このような制御システムにおいては、クラウドサーバ2が利用するニューラルネットワークの学習効果を高めて操作識別情報の特定における精度を向上させることが要請されている。そこで、本実施の形態に係る制御システムでは、ジェスチャ操作の内容が共通する空気調和機1A、1Bにおいて、各空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークの性能、具体的には、それらにおける計算量を比較し、計算量が少なく判定値の算出効率が良い方を特定して、他方のニューラルネットワークをそれに更新するといういわゆるニューラルネットワーク対戦方式を採用することで、ニューラルネットワークの学習効果を高める。
【0062】
また、本実施の形態に係る選出部212は、操作特定部214がNN計算部213により算出された判定値に対応づけられた操作識別情報の特定に失敗した場合、他の空気調和機1A、1Bに対応するニューラルネットワークを新たに選出する。そして、操作特定部214が、NN計算部213により新たに選出したニューラルネットワークを用いてジェスチャ画像情報から新に算出された判定値に対応づけられた操作識別情報の特定に成功したとする。この場合、NN更新部216は、ジェスチャ画像情報と、新たに算出された判定値に対応する操作識別情報と、に基づいて、選出部212が先に選出したニューラルネットワークの重み係数情報を更新する。これにより、操作特定部214が操作識別情報の特定に失敗したジェスチャ画像情報を教師データとしてニューラルネットワークを学習、即ち、重み係数情報の更新を行うことができるので、その分、ニューラルネットワークの重み係数の最適化を促進することができる。
【0063】
更に、本実施の形態に係るNN更新部216は、空気調和機1A、1Bの操作受付部113が前述の修正操作を受け付けると、ジェスチャ画像情報と、修正操作による修正後の操作識別情報と、に基づいて、空気調和機1A、1Bそれぞれのニューラルネットワークの重み係数情報の全てを更新する。これにより、操作識別情報との対応関係の修正が必要なジェスチャ画像情報を教師データとしてニューラルネットワークを学習、即ち、重み係数情報の更新を行うことができるので、その分、ニューラルネットワークの重み係数の最適化を促進することができる。
【0064】
また、本実施の形態に係る選出部212は、操作受付部113が前述の新規登録操作を受け付けると、NN記憶部231が既に記憶する空気調和機1A、1Bについてのニューラルネットワークの中から1つのニューラルネットワークを選出する。そして、NN更新部216は、選出した1つのニューラルネットワークを新たに登録される空気調和機についてのニューラルネットワークとしてNN記憶部231に記憶させる。これにより、新たに登録される空気調和機についてニューラルネットワークの重み係数を早期に最適化することができるので、空気調和機の使用開始当初から利用者のジェスチャ画像情報に基づく操作識別情報の特定における精度を高めることができる。
【0065】
更に、本実施の形態では、空気調和機1A、1Bの画像補正部112が、撮像装置181の撮像条件に基づいて、画像取得部111が取得したジェスチャ画像情報を補正する。そして、クラウドサーバ2のNN計算部213は、画像補正部112による補正後のジェスチャ画像情報から、選出部212により選出されたニューラルネットワークを用いて、補正後のジェスチャ画像情報に対応する判定値を算出する。これにより、操作特定部214の操作識別情報の特定における精度を高めることができる。
【0066】
また、本実施の形態に係るNN更新部216は、空気調和機1A、1Bの操作受付部113が前述のジェスチャ登録操作を受け付けると、画像取得部111が取得した利用者の少なくとも1種類のジェスチャに対応する画像情報と、操作受付部113が受け付けた操作の内容を識別する操作識別情報と、に基づいて、ニューラルネットワークを更新する。これにより、利用者はジェスチャと操作内容との対応関係を自由に変更することができるので、利用者の利便性を高めることができる。
【0067】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は前述の実施の形態によって限定されるものではない。例えば、NN計算部213が、選出部212が機器識別情報に基づいて選出したニューラルネットワークを用いて、画像記憶部232が記憶するジェスチャ画像情報のみから判定値を算出するものであってもよい。この場合、空気調和機1A、1Bにおいて、利用者を特定する必要が無くなるので、その分、空気調和機1A、1Bにおける処理負荷が軽減されるという利点がある。
【0068】
実施の形態では、クラウドサーバ2において、畳み込み層、プーリング層、全結合層および判定層の全ての計算を実行する例について説明した。但し、これに限らず、例えばクラウドサーバ2において、畳み込み層およびプーリング層の計算のみを実行し、空気調和機1A、1Bにおいて、全結合層および判定層の計算を実行するようにしてもよい。この場合、クラウドサーバ2のNN更新部216は、例えば、NN更新時期が到来する毎に、NN記憶部231が記憶する空気調和機1A、1Bそれぞれに対応するニューラルネットワークの中から畳み込み層とプーリング層との少なくとも一方における計算量が最も少ないニューラルネットワークを特定するようにしてもよい。
【0069】
本構成によれば、クラウドサーバ2がニューラルネットワークの畳み込み層およびプーリング層の計算のみを実行する構成であっても、ニューラルネットワークの重み係数の最適化を促進することができる。
【0070】
実施の形態において、撮像装置181が、熱画像センサを備えるものであってもよい。この場合、利用者情報記憶部132は、撮像装置181により得られる利用者の熱画像が示す利用者の表面の温度分布から算出される利用者の表面における熱の発散が多い領域の位置を示す熱発散領域情報を、利用者識別情報と対応づけて記憶するようにすればよい。そして、利用者特定部117は、画像取得部111が取得した画像情報に含まれる熱画像が示す利用者の表面の温度分布から、利用者表面における熱の発散が多い領域を特定し、利用者情報記憶部132が記憶する熱発散領域情報と、特定した熱の発散が多い領域の位置と、に基づいて、空気調和機1A、1Bの利用者を特定するものであってもよい。また、実施の形態において、撮像装置181が、例えば携帯端末等に搭載されているカメラであってもよい。この場合、撮像装置181により撮像された画像から利用者の画像を抽出する方法としては、周知の画像処理技術を採用すればよい。
【0071】
実施の形態では、ステップS212、S213の処理において、教師データを操作識別情報記憶部233が記憶する判定値情報が示す判定値の範囲の中央値に設定してニューラルネットワークをいわゆる教師有りの学習をさせる例について説明した。但し、これに限らず、例えばNN計算部213が過去に算出した判定値をクラスタリングして判定値についての教師データを自動的に生成するいわゆる教師なしの学習を採用してもよい。
【0072】
実施の形態において、空気調和機1A、1Bがそれぞれ異なるメーカにより製造されたものであってもよい。
【0073】
実施の形態では、NN計算部213が用いるニューラルネットワークが畳み込みニューラルネットワークである例について説明したが、これに限らず、NN計算部213が用いるニューラルネットワークが、例えば回帰型ニューラルネットワークのような他の構造のニューラルネットワークであってもよい。
【0074】
また、本開示に係る空気調和機1A、1Bおよびクラウドサーバ2の各種機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。この場合、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、プログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)およびMO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、前述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを記録媒体に格納してもよい。
【0075】
さらに、搬送波に各プログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(BBS,Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前述の処理を実行できるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示は、利用者が行うジェスチャに応じて空気調和機を制御することが可能な制御システムに好適である。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B 空気調和機、2 クラウドサーバ、6A,6B 操作機器、81 データ回線終端装置、82 ルータ、100 制御ユニット、101,201 CPU、102,202 主記憶部、103,203 補助記憶部、104 ニューロエンジン、105,205 計時部、106 局所通信部、107 無線モジュール、108 撮像インタフェース、109,209 バス、111,211 画像取得部、112 画像補正部、113 操作受付部、114 機器制御部、115,215 操作識別情報送信部、116 操作モード設定部、117 利用者特定部、118 画像送信部、119 機器設定部、120 登録要求部、131,232 画像記憶部、132 利用者情報記憶部、133 操作モード記憶部、134 機器設定記憶部、135 操作情報記憶部、181 撮像装置、212 選出部、213 NN計算部、214 操作特定部、216 NN更新部、217 操作識別情報取得部、231 NN記憶部、233 操作識別情報記憶部、H 建物、L10 入力層、L20 隠れ層、L30 出力層、NW1 広域ネットワーク、NW2 局所ネットワーク
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