(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】ゲル微粒子および機能性ゲル微粒子
(51)【国際特許分類】
C08F 222/38 20060101AFI20241213BHJP
C08F 8/32 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
C08F222/38
C08F8/32
(21)【出願番号】P 2021043147
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 健吾
(72)【発明者】
【氏名】長澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】村井 将紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 明宏
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/152939(WO,A1)
【文献】特開平05-078600(JP,A)
【文献】特開2014-162862(JP,A)
【文献】特開2014-105265(JP,A)
【文献】特表2013-506019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00、301/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3~50質量%の下記式(1)または式(2)で示されるシクロカーボネート基含有モノマー(A)、
50~95質量%の下記式(3)で示されるアミド基含有モノマー(B)、および
0~20質量%の共重合可能なラジカル重合性モノマー(C)の組成
(前記シクロカーボネート基含有モノマー(A)、前記アミド基含有モノマー(B)および前記ラジカル重合性モノマー(C)の合計質量を100質量%とする)を有
しており、平均粒子径(25℃)が50nm以上、20μm以下であることを特徴とする、ゲル微粒子。
【化1】
(式(1)および式(2)中、
R
1は水素原子またはメチル基を示し、
Aは炭素数1以上、10以下のアルキレン基を示し、
Xは0または1を示す。)
【化2】
(式(3)中、
R
2は水素原子またはメチル基を示し、
R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を示す。)
【請求項2】
請求項1記載のゲル微粒子にアミンを反応させて得られることを特徴とする、機能性ゲル微粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボネート基とアミド基を有するゲル微粒子および機能性ゲル微粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微粒子は診断薬、化粧品、トナー添加剤、塗料などといった幅広い用途で用いられている。これらの分野では、安全性や揮発性有機溶媒削減の観点から水系化が進んでいる。塗料分野では、塗料の塗膜物性向上のために反応性のポリマーが用いられるが、反応性の高い官能基は保管時に水と反応するので、反応性と保管安定性の両立は困難であった。特許文献1では、水中でも反応可能な官能基としてカーボネート基を有する粒子が提案されており、水系塗料中で多官能のアミンを用いて架橋し、硬化可能な塗料として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの粒子はコアシェル構造であり、部分的にしか反応性基をもたないため、アミンとの反応時に、反応しない部位が残り、粒子全体の改質が困難という欠点がある。
このような問題を解決するべく、水中で粒子全体を機能化可能なゲル微粒子が求められる。
【0005】
本発明の課題は、水中での粒子全体の機能化が可能なゲル微粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決すべく検討した結果、構造中にシクロカーボネート基含有モノマーとアミド基含有水溶性アクリルアミドモノマーをともに有するポリマーからなる重合体により構成されるゲル微粒子が、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は以下のものである。
(1)
3~50質量%の下記式(1)または式(2)で示されるシクロカーボネート基含有モノマー(A)、
50~95質量%の下記式(3)で示されるアミド基含有モノマー(B)、および
0~20質量%の共重合可能なラジカル重合性モノマー(C)の組成
(前記シクロカーボネート基含有モノマー(A)、前記アミド基含有モノマー(B)および前記ラジカル重合性モノマー(C)の合計質量を100質量%とする)を有
しており、平均粒子径(25℃)が50nm以上、20μm以下であることを特徴とする、ゲル微粒子。
【化1】
(式(1)および式(2)中、
R
1は水素原子またはメチル基を示し、
Aは炭素数1以上、10以下のアルキレン基を示し、
Xは0または1を示す。)
【化2】
(式(3)中、
R
2は水素原子またはメチル基を示し、
R
3およびR
4はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を示す。)
(2) (1)のゲル微粒子にアミンを反応させて得られることを特徴とする、機能性ゲル微粒子。
【発明の効果】
【0008】
本発明のゲル微粒子は、シクロカーボネート基と親水性アクリルアミド構造を有するため、粒子全体の機能化が可能であり、単分散性が高く、温度応答性といった外部刺激応答性を有するゲル微粒子および機能性ゲル微粒子を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。
(シクロカーボネート基含有モノマー(A))
シクロカーボネート基含有モノマー(A)は、下記式(1)あるいは式(2)で示されるものである。モノマー(A)は、式(1)のモノマーのみからなっていてよく、式(2)のモノマーのみからなっていてよく、式(1)のモノマーと式(2)のモノマーとの両方からなっていてよい。
【化1】
【0010】
式(1)および式(2)中、R1は水素原子またはメチル基を示す。
また、Aは炭素数1以上、10以下のアルキレン基を示す。入手や合成のしやすさから、Aの炭素数は、2以上が好ましい。また、Aの炭素数は、8以下が更に好ましく、4以下が特に好ましい。
式(1)および式(2)中、xは0または1を示す。ここで、
入手や合成のしやすさからは、xが0であることが好ましい。
【0011】
式(1)、式(2)のシクロカーボネート基含有モノマー(A)は、分子内にシクロカーボネート基を有しており、これによって共重合体内にシクロカーボネート構造をもたらすものである。モノマー(A)のアクリレートまたはメタクリレート部分は重合反応に寄与するものである。また、ポリオキシアルキレン基部分は両者のリンカーとして作用する。
【0012】
モノマー(A)を製造するには、各種の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物を出発物質とし、0.05~0.3MPa程度で二酸化炭素を吹き込んで反応させることにより、得ることができる。このとき、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物としては、各種のモノマーを用いることができる。しかし、低粘度であり、反応にかかる時間が短く、得られるシクロカーボネート基含有モノマー(A)の色相が低く透明性の良好なモノマーを得られることから、(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレートなどを用いることが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートを用いることがさらに好ましい。
【0013】
シクロカーボネート基含有モノマー(A)は、エポキシ基に対して二酸化炭素を作用させ、シクロカーボネート基とすることで合成できる。二酸化炭素を反応系中に導入する方法としては、加圧条件、常圧下での吹込み等が選択できるが、加圧下条件下とすることが好ましい。このとき、圧力、温度を一定の範囲内でコントロールすることにより、目的物の収率を高め、副生物の含有率を低く抑えることができる。その場合の圧力としては、0.05~0.3MPaGであり、0.1~0.2MPaGであることが好ましい。0.3MPaGを超えて圧力を高く設定しても、シクロカーボネート体の収率は上がらず、副反応が進行しやすくなるために、ジ(メタ)アクリレートモノマーの含有量が多くなる恐れがある。
【0014】
合成時の反応温度は、圧力や触媒の条件にもよるが、40~70℃の範囲であり、50~60℃の範囲が好ましい。40℃未満であると、反応にかかる時間が長くなり過ぎる上に、未反応の原料が残存しやすくなる。また、着色が起こりやすくなる。一方、70℃を超えると、ジ(メタ)アクリレートモノマーが多く含有されてしまい、ポリマー化に際してゲル化などの不具合も起こりやすくなる。また、着色が起こりやすくなる。
【0015】
モノマー(A)、(B)および(C)の合計質量を100質量%としたとき、シクロカーボネート基含有モノマー(A)の質量は3~50質量%とする。モノマー(A)の質量が3質量%未満であると、アミン改質の効果が低下する。モノマー(A)の質量が50質量%を超えると、水溶性が低下する。モノマー(A)の質量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0016】
(アミド基含有モノマー(B))
アミド基含有モノマー(B)は、下記式(3)で示されるモノマーの1種または2種以上含んでも良い。
【化2】
【0017】
式(3)中、R2は水素原子またはメチル基を示す。
また、R3、R4はそれぞれ水素原子または炭素数1~8のアルキル基を示す。親水性の観点からは、R3、R4が水素原子であることが好ましく、またR3、R4を構成するアルキル基の炭素数は1~4が好ましく、1~3がさらに好ましく、1~2が特に好ましい。特には、R3が水素原子でありかつR4が炭素数1~4であることが好ましく、あるいはR3が水素原子でありかつR4が炭素数1~3のアルキル基であることが好ましく、あるいはR3およびR4がそれぞれ炭素数1~2のアルキル基であることが好ましい。
【0018】
アミド基含有モノマーとしては、例えばアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0019】
モノマー(A)、(B)および(C)の合計質量を100質量%としたとき、アミド基含有モノマー(B)の質量は50~95質量%とする。モノマー(B)の質量は、共重合体の親水性の観点からは、50質量%以上が好ましく、65質量%以上が更に好ましい。また、モノマー(B)の質量は、95質量%以下が更に好ましい。
【0020】
(その他の共重合可能なモノマー(C))
その他の共重合可能なモノマー(C)としては、モノマー(A)またはモノマー(B)と共重合が可能であるモノマーであれば特に限定されるものではなく、1種または2種以上含んでも良いが、(メタ)アクリル酸エステル単量体、芳香族ビニル化合物が好ましい。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリセリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物などを挙げられ、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルがより好ましい。
【0022】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-エチルスチレン、m-エチルスチレン、o-エチルスチレン、t-ブチルスチレン、クロルスチレン、ヒドロキシスチレン、t-ブトキシスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、スチレンが好ましい。
【0023】
モノマー(A)、(B)および(C)の合計質量を100質量%としたとき、モノマー(C)の質量比率は、ゲル微粒子の親水性の観点から、20質量%以下であり、15質量%が好ましく、10質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。
【0024】
(架橋剤)
本発明のゲル微粒子は、ゲル微粒子の分散液を作製する工程で架橋剤を使用してもよく、架橋剤には特に制限はなく、1種または2種以上含んでも良い。架橋剤としては、BIS: N,N’-メチレンビス(アクリルアミド); HMBA: N,N’-ヘキサメチレンビス(メタクリルアミド); DHEA: N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド; PEG:ポリエチレングリコールジメタクリレート; DVB:ジビニルベンゼン; EBA: N,N’-エチレンビス(アクリルアミド)が好ましい。
【0025】
(開始剤)
水溶性ラジカル重合開始剤としては特に制限はないが、KPS : Potassium peroxodisulfate、V-50 : 2,2-Azobis(2-methylpropanimidamide)
Dihydrochloride等が用いられる。
【0026】
(ゲル微粒子の製造方法)
ゲル微粒子の製造方法としては、例えば水系沈殿重合法を利用して製造することができる。具体的には、モノマー、架橋剤の混合液を撹拌し、その際、溶液内の溶存酸素を取り除くため窒素ガスによりフローあるいはバブリングを行う。その後、開始剤の水溶液を添加後、内温を上げ沈殿重合させる。所定の時間重合後、室温まで冷却してゲル微粒子が得られる。モノマーの組成や用いる開始剤により、昇温温度、昇温時間、重合時間等は適宜設定することができる。
【0027】
本発明のゲル微粒子の平均粒子径(25℃)は、20μm以下であり、5μm以下であることが好ましい。ゲル微粒子の平均粒子径(25℃)の下限は、通常は製造上の観点からは、50nm以上となる。ただし、ゲル微粒子の平均粒子径(25℃)は、粒子径測定機(マルバーン社製ゼータサイザーナノS)を用い、キュムラント法によって、25℃における平均粒子径Dhを測定するものとする。
【0028】
(ゲル微粒子の機能化)
本発明のゲル微粒子は、好ましくはアミンにより機能化することができる。機能化の例としては、蛍光などを示す官能基をもつアミンによる蛍光ラベル化、2つ以上のアミノ基を有するアミンを用いた架橋、アミンとチオールのような異なる官能基を有するアミンを用いた官能基変換、アミンとの反応を利用したアミンの選択的吸着などが挙げられる。
【0029】
ゲル微粒子の機能化に用いるアミンに特に制限はなく、1種または2種以上含んでも良く、カーボネート基との反応性の観点から1級あるいは2級アミンが好ましく、1級アミンがより好ましい。
好ましい具体例としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミンなどのアルキルアミン化合物; ベンジルアミンなどの芳香族アミン化合物; モルホリン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環式アミン化合物; メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-1.3-ジアミノプロパン、N-(2-ヒドロキシエチル)-エチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン化合物; フェニレンジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン化合物; シクロペンチルジアミン、シクロヘキシルジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン化合物; ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン及びその誘導体等を挙げることができる。
【0030】
機能化する条件に特に制限はないが、ゲル微粒子の水分散液にアミンを加え、撹拌することによりカーボネート基とアミンが反応し機能化することができ、そのときの温度は反応速度の観点から5~100℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。アミンの添加量に特に制限はないが、機能化の効率の観点から、カーボネート基1モルに対して0.1~5モルが好ましく、0.3~3モルがより好ましく、0.5~2モルがさらに好ましい。
【実施例】
【0031】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(微粒子の合成例)
以下の原料を3首丸底フラスコに入れ、スターラーを用いて攪拌(250rpm)し、窒素バブリング下で摂氏70度まで加熱した。各実施例および比較例における各原料の質量比率(質量%)は表1に示す。
・モノマー(A):式(1):「ブレンマーDOMA」(DOMA, 日油製)
・モノマー(B): N-イソプロピルアクリルアミド(N-Isopropylacrylamide (NIPAm, 和光純薬製))
・ モノマー(C): メチルメタクリレート
・ モノマー(C): スチレン
・ 架橋剤: N,N'-メチレンビス(アクリルアミド)(N,N’-methylenebis(acrylamide)
(BIS, 和光純薬製)
・ MOI:「カレンズMOI」:2-イソシアナトエチルメタクリレート(MOI,昭和電工製)
・ イオン交換水
次いで、原料混合物95gに対して、1wt%ペルオキソ二硫酸カリウム(potassium peroxodisulfate (KPS, 和光純薬製))水溶液5gを添加し、フリーラジカル重合を行った。反応は4時間行い、その後室温まで自然冷却し、遠心分離により精製を行った。得られたゲル微粒子は、粒子径測定機(マルバーン社製ゼータサイザーナノS)を用い、解析方法:キュムラント法によって、25℃と70℃における平均粒子径Dhを測定した。
【0032】
(アミンによる改質方法)
30mlスクリュー管中で0.1%のゲル微粒子分散液を調製し、エチレンジアミン(和光純薬製)を「ブレンマーDOMA」と等モル量添加し、室温でスターラーを用いて12時間撹拌(250rpm)を行い、カーボネート基のアミン改質を行い、遠心分離により精製を行った。得られた改質ゲル微粒子について、粒子径測定機(マルバーン社製ゼータサイザーナノS)を用い、解析方法:キュムラント法によって、25℃と70℃における平均粒子径Dhを測定した。
比較例1では、実施例1と同質量のエチレンジアミンを用いて、改質操作を実施した。また、比較例2および3では、実施例1と同様に、「ブレンマーDOMA」または「カレンズMOI」と等モル量のエチレンジアミンをそれぞれ用いて、改質操作を実施した。
【0033】
(温度応答性の評価)
各温度における平均粒径から、〔25℃の平均粒子径Dh〕/〔70℃の平均粒子径Dh〕の式より膨張率を計算し、下記の基準で評価した。
◎: 1.8以上
〇: 1.2以上~1.8未満
△: 1.2未満
【0034】
(ゲル微粒子の改質の評価)
改質前後の25℃の平均粒子径から、〔改質後の平均粒子径Dh〕/〔改質前の平均粒子径Dh〕の式より膨張率を計算し、改質の良否を下記の基準で評価した。
◎: 1.3以上
〇: 1.1以上~1.3未満
△: 1.1未満
【0035】
【0036】
実施例においては、温度応答性、改質特性ともに良好であった。特に、実施例1、4では、共重合体の構成単位がモノマー(A)に由来する構成単位およびモノマー(B)に由来する構成単位のみからなり、モノマー(C)を使用していないが、温度応答性が特に良好であった。
【0037】
比較例1、2においては、モノマー(A)を含有させていないが、改質特性が劣化していた。
比較例3では、モノマー(B)を含有させていないが、温度応答性、改質特性ともに劣っていた。