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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/14 20060101AFI20241213BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20241213BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20241213BHJP
   B29C 48/285 20190101ALI20241213BHJP
   B29C 48/40 20190101ALI20241213BHJP
   B29C 48/55 20190101ALI20241213BHJP
   B29C 48/57 20190101ALI20241213BHJP
   B29C 48/30 20190101ALI20241213BHJP
【FI】
B29B9/14
C08J3/20 B CES
B29B9/06
B29C48/285
B29C48/40
B29C48/55
B29C48/57
B29C48/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021056852
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154027
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】505130112
【氏名又は名称】株式会社プライムポリマー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 聡
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 秀峰
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-120271(JP,A)
【文献】特開2011-178937(JP,A)
【文献】特公昭41-020738(JP,B1)
【文献】特開平11-077672(JP,A)
【文献】特開2012-158648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00-11/14
13/00-15/06
B29C 31/00-31/10
37/00-37/04
48/00-48/96
71/00-71/02
C08J 3/00-3/28
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一混練部、および該第一混練部よりも出口側に設けられた、切欠きを有する逆送りスクリューエレメント、および/または、逆送りを含むニーディングディスクを備える第二混練部を有する二軸押出機と、該二軸押出機の出口に設けられた、ノズルを備えるダイスとを用い、
樹脂を前記第一混練部よりも入口側から前記二軸押出機内に供給して、前記第一混練部で前記樹脂を溶融混練する工程と、
強化繊維を前記第一混練部よりも出口側、かつ前記第二混練部よりも入口側から前記二軸押出機内に供給し、前記強化繊維の存在下でさらに前記樹脂を溶融混練する工程と、
前記ダイスのノズル出口から溶融混練された強化繊維を含む樹脂を、強化繊維含有樹脂のストランドとして押出する工程と、
を備える強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法であって、
前記ノズルが下記要件(1)~(4)を満たし、
前記樹脂が、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが20~500g/10分であるプロピレン系重合体であり、
前記強化繊維の繊維長が2.5mm以上8mm以下であり、
前記強化繊維の繊維径が5μm以上17μm未満であり、
前記強化繊維含有樹脂ペレットが、前記強化繊維を5質量%以上50質量%以下含み、前記樹脂を50質量%以上95質量%以下(強化繊維と樹脂との合計が100質量%である)含むことを特徴とする強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
(1)ノズル流路長が60mm以上150mm以下である。
(2)ノズル入口の断面積(S1)が6mm2以上80mm2である。
(3)ノズル出口の断面積(S0)が3mm2以上20mm2以下である。
(4)S1≧S0の関係が成立する。
【請求項2】
前記プロピレン系重合体がアイソタクティックプロピレン単独重合体である、請求項1に記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【請求項3】
前記強化繊維がガラス繊維または炭素繊維である、請求項1または2に記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【請求項4】
前記二軸押出機のスクリュー回転数が250rpm以上800rpm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【請求項5】
前記二軸押出機の第一混練部からノズルまでの設定温度が240℃以上290℃以下である、請求項1~4のいずれかに記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【請求項6】
前記切り欠きを有する逆送りスクリューエレメントが、1条ネジであり、L/D=1であり、リードが0.25D以上0.5D以下である、請求項1~5のいずれかに記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法に関し、詳しくは、生産性に優れ、長繊維強化樹脂ペレットと同等の機械的物性を有する、短繊維を含有する強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
強化繊維含有樹脂ペレットは、その優れた機械的性質を活かして、自動車部品やOA機器等の種々の用途に使用されている。強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法としては、押出機に熱可塑性樹脂を供給して熱可塑性樹脂を溶融させ、次いで、溶融させた熱可塑性樹脂に繊維を供給し、押出機内で熱可塑性樹脂とガラス繊維とを混合混練し、最後に、混合混練物をダイスのノズルからストランドとして押出し、これをカッティングしてペレット化する方法が一般的である。押出機において、混練にはニーディングディスク等のスクリューを用いるのが一般的であるが、特許文献1に開示されるような、逆送りのフライトディスクに多数の切欠け部を設けたスクリューを用いると、混練性能を向上させながら、混練部のスクリュー構成を簡素化できる等の利点があることが知られている。
【0003】
強化繊維含有樹脂ペレットは、該ペレット中に存在する残存繊維の繊維長が長いほうが高強度の成形品が得られることが知られている。しかし、強化繊維含有樹脂ペレットの製造時に繊維長の長い強化繊維を配合すると、混練時やダイスでストランド化する際において強化繊維が破損し、ペレット中の残存繊維の繊維長が短くなり、十分な機械的性質を得ることができない場合があった。
【0004】
繊維長が長い残存繊維を含む強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法としては、特許文献2に開示されるような、円錐形の一部の形状を有するダイスホールをもつ押出用ダイスを用いてストランドを製造する方法や、特許文献3に開示されるような、高ガラス繊維含有率のガラス繊維強化熱可塑性樹脂ペレットをガラスマスターバッチとし、これに他の樹脂を加える方法などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-120271号公報
【文献】特開平08-001662号公報
【文献】特開2003-183411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のとおり、ペレット中に存在する残存繊維の繊維長が長いほうが優れた機械的物性が得られるが、その一方、繊維長が長い残存繊維を含む強化繊維含有樹脂ペレットは、通常のダイスでは、ストランドを安定して製造できないなど生産性が低下するという問題点や、成形時にホッパーから落ちにくいことから射出成形が難しいという問題点、繊維の一部が成形時に開繊せず、成形体の外観が低下するといった問題点を有する。特許文献2に記載のダイスを用いても、射出成形性や外観を改善することはできなかった。また、特許文献2に記載のスクリュー凹凸面形成部を有するニュートラルエレメントを用いて溶融混練すると、押出機内で繊維が折れてしまい、ペレット中に残存する強化繊維長が短くなっていた。また、ペレット長とペレット中の繊維長とが等しい長繊維強化樹脂ペレットを製造するためには、高価な専用の製造装置を必要とする。
【0007】
このため、長繊維強化樹脂ペレット専用の製造装置を必要とせず、ペレット中に存在する残存繊維の繊維長が長くても、射出成形しやすく、外観に優れ、優れた機械的物性を発現できる強化繊維含有樹脂ペレット製造方法の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は、残存繊維の繊維長が長くても、強化繊維樹脂ペレットを製造する際に安定して連続生産が可能であり、成形時にホッパーから落ちやすく射出成形が容易であり、成形体の外観に優れ、優れた機械的物性を発現できる強化繊維含有樹脂ペレットを製造する製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、たとえば下記の[1]~[6]に関する。
[1] 第一混練部、および該第一混練部よりも出口側に設けられた、切欠きを有する逆送りスクリューエレメント、および/または、逆送りを含むニーディングディスクを備える第二混練部を有する二軸押出機と、該二軸押出機の出口に設けられた、ノズルを備えるダイスとを用い、
樹脂を前記第一混練部よりも入口側から前記二軸押出機内に供給して、前記第一混練部で前記樹脂を溶融混練する工程と、
強化繊維を第一混練部よりも出口側、かつ前記第二混練部よりも入口側から前記二軸押出機内に供給し、前記強化繊維の存在下でさらに前記樹脂を溶融混練する工程と、
前記ダイスのノズル出口から溶融混練された強化繊維を含む樹脂を、強化繊維含有樹脂のストランドとして押出しする工程と、
を備える強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法であって、
前記ノズルが下記要件(1)~(4)を満たし、
前記樹脂が、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが20~500g/10分であるプロピレン系重合体であり、
前記強化繊維の繊維長が2.5mm以上8mm以下であり、
前記強化繊維の繊維径が5μm以上17μm未満であり、
前記強化繊維含有樹脂ペレットが、前記強化繊維を5質量%以上50質量%以下含み、前記樹脂を50質量%以上95質量%以下(強化繊維と樹脂との合計が100質量%)含むことを特徴とする強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
(1)ノズル流路長が60mm以上150mm以下である。
(2)ノズル入口の面積(S1)が6mm2以上80mm2以下である。
(3)ノズル出口の面積(S0)が3mm2以上20mm2以下である。
(4)S1≧S0の関係が成立する。
【0010】
[2] 前記プロピレン系重合体がアイソタクティックプロピレン単独重合体である、[1]に記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【0011】
[3] 前記強化繊維がガラス繊維または炭素繊維である、[1]または[2]に記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【0012】
[4] 前記二軸押出機のスクリュー回転数が250rpm以上800rpm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【0013】
[5] 前記二軸押出機の第一混練部からノズルまでの設定温度が240℃以上290℃以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【0014】
[6] 前記切欠きを有する逆送りスクリューエレメントが、1条ネジであり、L/D=1であり、切り欠きを有し、リードが0.25D以上0.5D以下である、[1]~[5]のいずれかに記載の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法は、残存繊維の繊維長が長い短繊維強化樹脂ペレットを製造することができ、生産性に優れ、長繊維強化樹脂ペレットと同等の優れた機械的物性を有する強化繊維含有樹脂ペレットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法で用いられる二軸押出機およびダイスの一具体例である二軸押出機1およびダイス2の水平方向から見た縦断面の概略図である。
図2図2は、図1に示したダイス2を拡大した図である。
図3図3は、図1に示したダイス2をノズル出口11側から見た図である。
図4図4は、テーパ部を有さず、平行部9aAのみを有するノズル9Aを備えたダイス2Aの、水平方向から見た、ノズルを含む縦断面の概略図である。
図5図5は、平行部を有さず、テーパ部9bBのみを有するノズル9Bを備えたダイス2Aの、水平方向から見た、ノズルを含む縦断面の概略図である。
図6図6は、実施例1および実施例2で用いたスクリューの構造を示す説明図である。
図7図7は、比較例1で用いたスクリューの構造を示す説明図である。
図8図8は、逆送りを含むニーディングディスクの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法は、二軸押出機およびダイスを用いる。 前記二軸押出機は、第一混練部、および該第一混練部よりも出口側に設けられた、逆送りスクリューエレメント、および/または、逆送りを含むニーディングディスクを備える第二混練部を有する。前記ダイスは、前記二軸押出機の出口に設けられており、ノズルを備える。本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法で用いられる二軸押出機およびダイスの一具体例の水平方向から見た縦断面の概略図を図1に示す。
【0018】
図1に示される二軸押出機1は、シリンダー3およびシリンダー3の内孔部に収容されたスクリュー4を有する。二軸押出機1は、水平方向に2本のスクリュー4を有する。二軸押出機1は、第一混練部5と、第一混練部5より出口B側に設けられた第二混練部6とを有する。第二混練部6は、逆送りスクリューエレメント、および/または、逆送りを含むニーディングディスクを備えている(図示せず)。さらに二軸押出機1は、第一混練部より入口A側に設けられた樹脂供給部7と、第一混練部5より出口B側、かつ第二混練部6より入口A側に設けられた繊維供給部8とを有する。
【0019】
二軸押出機1の出口Bにダイス2が装着されている。ダイス2には、シリンダー3の内孔部と直結するノズル9が設けられている。図1に示したダイス2を拡大した図を図2に示す。ノズル9は、ダイス2を水平方法に貫く断面円形の孔であり、二軸押出機1側にノズル入口10が形成され、二軸押出機1とは反対側にノズル出口11が形成されている。
【0020】
ノズル9は、ノズル入口10側に、同一径で水平方向に伸びる平行部9bと、ノズル出口11側に、ノズル出口11に向かって一定比率で径が小さくなるテーパ部9aとを有する。図2では、ノズル9の水平方向の長さであるノズル流路長をL1と表示し、平行部9bの水平方向の長さである平行流路長をL2と表示している。
【0021】
図3は、ダイス2を、ノズル出口11側から見た図である。ダイス2にはノズル出口11が水平方向に5個設けられている。つまり、ダイス2には5個のノズル9が設けられている。ただし、本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法で用いられるダイスにおいては、ノズルの数に制限はない。
【0022】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法に用いられるノズルは、以下の要件(1)~(4)を満たす。
(1)ノズル流路長が60mm以上150mm以下である。
ノズル流路長は、図1~3に示されたノズル9においては、図2においてL1で示される長さである。
ノズル流路長は60mm以上150mm以下であり、好ましくは80mm以上140mm以下、より好ましくは100mm以上130mm以下である。
【0023】
ノズル流路長が60mmより短いと、本発明のような繊維長を有する強化繊維を用いた場合、繊維が流れ方向に配向せず、ダイス出口で繊維がストランドから飛び出し、ストランドを安定して連続的に押出および引取ができない。製造されたペレットからも繊維が飛び出すことがある。このため、ペレットを射出成形機のホッパーに投入すると、ブリッジを起こし、安定的にバレルおよびスクリューに落ちていかないことがある。
ノズル流路長が150mmより長いと樹脂圧力が高くなり生産性に影響を及ぼすということがある。
【0024】
(2)ノズル入口の面積(S1)が6mm2以上80mm2以下である。
ノズル入口の面積(S1)は、図1~3に示されたノズル9においては、図2に示されたノズル入口10の面積である。
ノズル入口の面積(S1)は6mm2以上80mm2mm以下であり、好ましくは10mm2以上60mm2以下、より好ましくは12mm2以上50mm2以下である。ノズル入口の面積(S1)が前記範囲内であるとペレット形状という点で好ましい。
【0025】
(3)ノズル出口の面積(S0)が3mm2以上20mm2以下である。
ノズル出口の面積(S0)は、図1~3に示されたノズル9においては、図2および図3に示されたノズル出口11の面積である。
ノズル出口の面積(S0)は3mm2以上20mm2mm以下であり、好ましくは4mm2以上15mm2以下、より好ましくは5mm2以上10mm2以下である。ノズル出口の面積(S0)が前記範囲内であるとペレット形状という点で好ましい。
【0026】
(4)S1≧S0の関係が成立する。
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法に用いられるノズルにおいては、ノズル出口の面積(S0)がノズル入口の面積(S1)より小さいか、またはノズル入口の面積(S1)と同じである。S1≧S0の関係が成立すると吐出量とペレット形状という点で好ましい。
【0027】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法に用いられるノズルにおいては、ノズルの断面積は、ノズル入口からノズル出口に向かって同じであるか、またはノズル入口からノズル出口に向かって小さくなっている。
図1~3に示されたノズル9は、平行部9bとテーパ部9aとを有しているので、S1>S0の関係が成立する。
【0028】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法に用いられるノズルは、平行部およびテーパ部の両方を有していることが好ましいが、平行部およびテーパ部の両方を有している必要はなく、図4に示すダイス2Aのノズル9Aのように、テーパ部を有さず、平行部9bAのみを有していてもいいし、図5に示すダイス2Bのノズル9Bのように、平行部を有さず、テーパ部9aBのみを有していてもよい。ノズルが平行部のみを有している場合にはL1=L2、S1=S0となり、ノズルがテーパ部のみを有している場合にはS1>S0となる。
【0029】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法は、樹脂を第一混練部よりも入口側から二軸押出機内に供給して、第一混練部で樹脂を溶融混練する工程(工程1)と、強化繊維を第一混練部よりも出口側、かつ前記第二混練部よりも入口側から二軸押出機内に供給し、強化繊維の存在下でさらに樹脂を溶融混練する工程(工程2)と、ダイスのノズル出口から溶融混練された強化繊維を含む樹脂を、強化繊維含有樹脂のストランドとして押出しする工程(工程3)とを有する。
【0030】
以下、図1~3に示した二軸押出機1およびダイス2を例にして、前記工程1~工程3を説明する。
工程1では、樹脂を樹脂供給部7から二軸押出機1のシリンダー3の内孔部に供給する。供給された樹脂は、スクリュー4の作用によりシリンダー3内を移動し、第一混練部5に運ばれる。第一混練部5に至るまでのスクリュー4の構造は例えばフルフライトなどである。第一混練部5に運ばれた樹脂は、第一混練部5で溶融混練される。
【0031】
本発明において混練部とは、二軸押出機において、材料を練り込み、均質化する機能を有する部位を意味する。本発明における混練部は、二種以上の材料を混合し、練り込み、均質化する部位だけでなく、単一の材料であっても、均一な物性となるように混ぜ合わせ、練り込み、均質化する部位も含む。本発明における混練部は、たとえば、スクリュー構造として、フルフライトではなく、ニーディングディスク等となっている部位である。
【0032】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法において使用される樹脂は、プロピレン系重合体である。前記プロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体である。プロピレン共重合体の場合、プロピレン由来の構造単位の含有量は好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、プロピレン以外の単量体由来の構造単位となるモノオレフィンとしては、好ましくはエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン等が挙げられ、より好ましくはエチレン、1-ブテンである。重合様式はランダム型でもブロック型でもよい。これらの樹脂の中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体およびプロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体等が好ましく、プロピレン単独重合体がより好ましい。前記プロピレン系重合体としては、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれでもよいが、アイソタクティックプロピレンが好ましい。つまり、本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法において使用される樹脂としては、アイソタクティックプロピレン単独重合体が特に好ましい。これらの重合体は、単独で用いても、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0033】
前記プロピレン系重合体は、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが20~500g/10分であり、好ましくは30~200g/10分、より好ましくは30~150g/分である。プロピレン系重合体のメルトフローレートが前記範囲内であると樹脂の溶融粘度が低くなるため、強化繊維が二軸押出機中のせん断を受けにくくなり、強化繊維の破断が抑制されるという点で好ましい。
【0034】
工程2では、強化繊維を繊維供給部8から二軸押出機1のシリンダー3の内孔部に供給する。供給された強化繊維は、第一混練部5から運ばれた、溶融混練された樹脂に混ぜられ、スクリュー4の作用によりシリンダー3内を移動し、第二混練部6に運ばれる。第一混練部5から第二混練部6に至るまでのスクリュー4の構造は例えばフルフライトなどである。第二混練部6に運ばれた、強化繊維が混合された樹脂は、第二混練部6でさらに溶融混練される。
【0035】
前記強化繊維としては、通常樹脂の補強用として用いられているものならば特に限定されず、ガラス繊維,炭素繊維,金属繊維および有機繊維(ポリアミド、ポリエステル、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、アクリル等)等を使用することが可能である。これらの中でも、ガラス繊維、炭素繊維が特に望ましい。ガラス繊維としては、一般に使用されているEガラスや高強度・高弾性率のTガラスが好適である。
【0036】
強化繊維の繊維長は、2.5mm以上8mm以下であり、好ましくは3mm以上7mm以下、より好ましくは3mm以上6mm以下である。強化繊維の繊維長が前記範囲内であると生産性という点で好ましい。
【0037】
強化繊維の繊維径は、5μm以上17μm未満であり、好ましくは10μm以上17μm以下、より好ましくは10μm以上13μm以下である。強化繊維の繊維径が前記範囲内であると機械物性という点で好ましい。
【0038】
強化繊維の集束本数には特に制限はなく、単繊維やモノフィラメントを10~20000本集束すると、ハンドリングが良好になり、望ましい。通常、強化繊維は、樹脂との界面接着性向上のためのシランカップリング剤等の表面処理を行って使用することもできる。
【0039】
供給される前記樹脂と強化繊維との比率としては、強化繊維を5質量%以上50質量%以下、好ましくは15質量%以上50質量%以下、より好ましくは25質量%以上45質量%以下含み、樹脂を50質量%以上95質量%以下、好ましくは50質量%以上85質量%以下、より好ましくは55質量%以上75質量%以下(強化繊維と樹脂との合計が100質量%である)含むことが好ましい。
【0040】
第二混練部6は、前述のとおり、切欠きを有する逆送りスクリューエレメント、および/または、逆送りを含むニーディングディスクを備える。残留繊維長がより長くなるなどのため、切欠きを有する逆送りスクリューエレメントが好ましい。第二混練部6が逆送りスクリューエレメントを備えると、混練性能および分散性能を向上させることができ、消費エネルギーが低くなり、熱効率が改善され、合成樹脂原料の溶融温度を低く押さえることが可能となり、ガラス繊維が折れにくく、原料の特性が確保されやすくなる。
【0041】
逆送りスクリューエレメントとしては、フライトスクリューのフライトの先端部に、複数個の切欠き部が形成されているスクリューエレメントが好ましい。逆送りスクリューエレメントは、逆リード(逆方向)に1条または2条で構成されていることが好ましい。前記逆送りスクリューエレメントのリードは、0.15xD~1.0xD(D:スクリュの直径)に構成されていることが好ましい。前記切欠き部は、前記逆送りスクリューエレメントの1リードの間に2~30箇所形成されていることが好ましく、スクリューの軸方向に対して平行でも、どちらかの方向に捩じれてもよい。逆送りスクリューエレメントは、1条ネジであり、L/D=1であり、切り欠きを有し、リードが0.25D以上0.5D以下であることが好ましい。具体的には(株)日本製鋼所製BMSが挙げられる。切り欠きを有する逆送りスクリューエレメントを使用することで、強化繊維をあまり折らずに樹脂中の強化繊維長が長く、かつ、開繊性よく均一に溶融樹脂中に分散させることができる。
【0042】
逆送りを含むニーディングディスクは、例えば図8に示す構造であり、市販のニーディングディスクを用いることが出来る。
工程3では、ダイス2のノズル出口11から、溶融混練された強化繊維を含む樹脂を、強化繊維含有樹脂のストランドとして押出しする。第二混練部6からダイス2に至るまでのスクリュー4の構造は例えばフルフライトなどである。
【0043】
工程3で使用するダイスは、以下の(1)~(4)を満たす。
(1)ノズル流路長が60mm以上150mm以下である。
(2)ノズル入口の断面積(S1)が6mm2以上80mm2である。
(3)ノズル出口の断面積(S0)が3mm2以上20mm2以下である。
(4)S1≧S0の関係が成立する。
【0044】
工程3のノズルを使用することで、樹脂中の強化繊維長が長くても、ストランドからの強化繊維の飛び出しが無く、連続生産が可能となる。得られたペレットからも強化繊維の飛び出しが無いため、射出成形する際、射出成形機のホッパー内でブリッジすることなく、安定的に射出成形が可能となる。
【0045】
工程1~工程3における二軸押出機のスクリュー回転数は、250rpm以上800rpm以下であることが好ましい。
工程1~工程3における二軸押出機の第一混練部からノズルまでの設定温度は、残存ガラス繊維長を長くし、樹脂の熱劣化を防止する観点から230℃以上290℃以下であることが好ましく、240℃以上290℃以下であることがより好ましい。
【0046】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法においては、上記工程1~3により得られた強化繊維含有樹脂のストランドを公知の方法でペレタイズすることよって強化繊維含有樹脂ペレットを得る。ペレタイズとしては、例えば特公昭41-20738号公報に開示されたように、ストランドを冷却し、カッターによりペレタイズする方法やダイスから押し出された直後に所定寸法に切断する方法が好ましい。
【0047】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法により製造される強化繊維含有樹脂ペレットの形状および大きさには特に制限はない。たとえば、強化繊維含有樹脂ペレットの、ストランドの伸長方向における長さは3mm以上10mm以下とすることができる。前記長さが3mm未満だとペレット中の残存繊維長を短くなり、所定の強度が発現しないことがある。前記長さが10mmを超えると、射出成形時の計量が不安定になり、成形サイクルに支障をきたすことがある。
【0048】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法により得られる強化繊維含有樹脂ペレットは、強化繊維を5質量%以上50質量%以下、好ましくは15質量%以上50質量%以下、より好ましくは25質量%以上45質量%以下含み、樹脂を50質量%以上95質量%以下、好ましくは50質量%以上85質量%以下、より好ましくは55質量%以上75質量%以下(強化繊維と樹脂との合計が100質量%である)含む。本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法においては、強化繊維含有樹脂ペレットにおける強化繊維および樹脂の含有比が上記範囲内になるように、上記工程1および工程2において、強化繊維および樹脂の供給量が決定される。
【0049】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法により製造される強化繊維含有樹脂ペレットに含有される強化繊維(残存繊維)の繊維長はペレット長よりも短く、たとえば1.5mm以上8mm以下であり、1.5mm以上3.0mm以下とすることもできる。本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法では、このように短繊維を含有する強化繊維含有樹脂ペレットを製造することができる。本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法により製造される強化繊維含有樹脂ペレットは、短繊維を含有する場合であっても、長繊維を含有する強化繊維含有樹脂ペレットと同等の機械的物性を有することを特徴とする。本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法において、短繊維を含有する場合であっても長繊維を含有する場合と同等の機械的物性を有する強化繊維含有樹脂ペレットを製造できる理由は、ペレット中の残存繊維が長いため、優れた機械強度を発現するためと推測される。
【0050】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法により製造される強化繊維含有樹脂ペレットには、目的に応じ所望の特性を付与するため、一般に熱可塑性樹脂に用いられる公知の物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤などの公知の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料や含量等の着色剤、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤等を配合することができる。また、ガラスフレーク、ガラス粉、ガラスビーズ、シリカ,モンモリナイト、石英、タルク,クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウオラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム、金属粉等の無機充填剤を同時に配合することも可能である。
【0051】
本発明の強化繊維含有樹脂ペレットの製造方法により製造される強化繊維含有樹脂ペレットは、射出成形、インジェクションプレス成形、チューブ、パイプやシート等の押出成形、ブロー成形等、公知の成形法で成形できる。成形の際は、強化繊維の破損を押さえるため、ノズルやゲート形状を大きくし、成形機スクリューの溝深さをペレットサイズ以上とすることが望ましい。
【実施例
【0052】
実施例および比較例で行った物性測定方法を下記に示す。
(メルトフローレート(MFR))
メルトフローレートは、ISO1133に準拠し、温度230℃、2.16kg荷重で測定した。
【0053】
(残存繊維長)
ペレット1gを600℃、75分で灰化した。灰化した試料をマイクロカメラにて撮影し、その画像を画像ソフトにより繊維1000本以上の長さを測定した。その長さ平均を残存繊維長とした。
【0054】
(ダイス出口でのGF飛び出し)
ダイス出口でのガラス繊維の飛び出しを目視により下記の基準で評価した。
無し:ガラス繊維の飛び出しが観察されない。
やや有り:ガラス繊維の飛び出しがときどき観察される。
有り:ガラス繊維の飛び出しが常に観察される。
【0055】
(連続生産性)
強化繊維含有樹脂の連続生産性を下記の基準で評価した。
〇:ストランドを連続的に引き取ることが可能で、安定的にペレット化出来る。
×:ストランドを連続的に引き取ることが出来ず、安定的にペレット化が出来ない。
【0056】
[実施例1]
二軸押出機は、図1に示す構造を有する(株)日本製鋼所製TEX30(シリンダーブロック数:15)を用いた。以下各シリンダーブロックを押出機の上流側からC1,C2,C3,・・・,C13,C14,C15とした。樹脂供給部はC1に、繊維供給部はC11に設けられていた。設定温度は、C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/C9/C10/C11/C12/C13/C14/C15=通水冷却/100/260/260/260/260/260/260/260/260/260/260/260/260/260℃とした。
【0057】
第二混練部に、切り欠きを有する逆送りスクリューエレメントとして図6に示す構造を有する(株)日本製鋼所製BMSを1つ組み入れた。
スクリュー回転数は、300rpmとした。
【0058】
前記二軸押出機の出口部に、図2に示すような形状を有するダイスを装着した。前記ダイスは断面円形のノズルを有し、該ノズルは平行部およびテーパ部を有し、ノズル流路長(L1)が125mmであり、平行流路長(L2)が85mmであった。また、前記ダイスにおいては、ノズル入口の面積(S1)は20mm2であり、ノズル出口の面積(S0)は7mm2であった。ダイス温度は280℃とした。
【0059】
(株)プライムポリマー製、MFR:210g/10分のプライムポリプロ、(株)プライムポリマー製、MFR:30g/10分のプライムポリプロ、およびAddivant社製Polybond3200を60/10/1の質量比に事前混合したものを、重量式フィーダーを用いて、前記二軸押出機の樹脂供給部から49kg/hの速度で供給した。ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、6T-480H、繊維径:10μm)のモノフィラメントを4000本束ねて長さ6mmにカットしたものを繊維供給部から21kg/hの速度で供給した。上記の条件にて二軸押出機を運転し、溶融混練物をノズル出口から強化繊維含有樹脂のストランドとして押出した。
【0060】
得られたストランドをカッターによりペレタイズして、長さ6mmの強化繊維含有樹脂のペレットを得た。該ペレットの時間当たりの生産量は70kg/hであり、前記ペレットにおけるガラス繊維の含有量は30質量%であった。
【0061】
[実施例2]
ダイスを、図4に示すような形状を有するダイスに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。前記ダイスは断面円形のノズルを有し、該ノズルは平行部のみを有し、テーパ部を有さず、ノズル流路長(L1)が210mmであった。また、前記ダイスにおいては、ノズル入口の面積(S1)およびノズル出口の面積(S0)は20mm2であった。
【0062】
[実施例3]
ガラス繊維の供給量を変更し、得られたペレットにおけるガラス繊維の含有量を35質量%とした以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。
【0063】
[実施例4]
ダイスを、図4に示すような形状を有するダイスに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。前記ダイスは断面円形のノズルを有し、該ノズルは平行部のみを有し、テーパ部を有さず、ノズル流路長(L1)が65mmであった。また、前記ダイスにおいては、ノズル入口の面積(S1)およびノズル出口の面積(S0)は20mm2であった。
【0064】
[実施例5]
ダイスを、図5に示すような形状を有するダイスに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。前記ダイスは断面円形のノズルを有し、該ノズルはテーパ部のみを有し、平行部を有さず、ノズル流路長(L1)が125mmであった。また、前記ダイスにおいては、ノズル入口の面積(S1))は20mm2、ノズル出口の面積(S0)は7mm2であった。
【0065】
[実施例6]
切り欠きを有する逆送りスクリューエレメントに代えて、切り欠きを有さない、図8に示すような形状を有する逆送りニーディングディスクを用いた以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。
【0066】
[実施例7]
押出機設定温度を、C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/C9/C10/C11/C12/C13/C14/C15=通水冷却/100/230/230/230/230/230/230/230/230/230/230/230/230/230℃とした以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。
【0067】
[実施例8]
ポリプロピレン系樹脂((株)プライムポリマー製、MFR:210g/10分)と三井化学(株)製アドマーQX100とを79/1の質量比に事前混合したものを、重量式フィーダーを用いて、前記二軸押出機の樹脂供給部から56kg/hの速度で供給し、東レ(株)社製炭素繊維(トレカカットファイバー TV14-006、カット長6mm)を繊維供給部から14kg/hの速度で供給した以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。
【0068】
[比較例1]
第二混練部にBMSの代わりに、図7に示すような形状を有する順送りのフルフライトを組み入れたこと以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。
【0069】
[比較例2]
ダイスを、図4に示すような形状を有するダイスに変更した以外は、実施例1と同様に行い、ペレットを得た。前記ダイスは断面円形のノズルを有し、該ノズルは平行部のみを有し、テーパ部を有さず、ノズル流路長(L1)が20mmであった。また、前記ダイスにおいては、ノズル入口の面積(S1)およびノズル出口の面積(S0)は13mm2であった。
【0070】
[比較例3]
ガラス繊維を、ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、9T-480、繊維径:13μm)のモノフィラメントを4000本束ねて長さ9mmにカットしたものとした以外は、実施例1と同様に行ったところ、ダイス出口でストランドからのガラス繊維飛び出しが発生し、連続生産が出来なかった。
【0071】
[比較例4]
ポリプロピレン系樹脂((株)プライムポリマー製、MFR:210g/10分)と三井化学(株)製アドマーQX100とを79/1の質量比に事前混合したものを、重量式フィーダーを用いて、前記二軸押出機の樹脂供給部から56kg/hの速度で供給し、東レ(株)社製炭素繊維 トレカカットファイバー TV14-006 カット長 6mmを繊維供給部から14kg/hの速度で供給したこと、および、ダイスを、図4に示すような形状を有するダイスに変更したこと以外は、実施例1と同様に行った。前記ダイスは断面円形のノズルを有し、該ノズルは平行部のみを有し、テーパ部を有さず、ノズル流路長(L1)が20mmであった。また、前記ダイスにおいては、ノズル入口の面積(S1)およびノズル出口の面積(S0)は13mm2であった。
前記強化繊維含有樹脂ペレットの製造における評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
[実施例9]
実施例1で得られた強化繊維含有樹脂ペレットを使用して、下記の射出成形方法で成形体(機械的物性測定用試験片)を製造した。
射出成形機:NEX110、日精樹脂工業(株)製
成形温度:250℃
金型温度:40℃
機械的物性測定用試験片形状:ISO 1Aダンベル
【0074】
また、実施例1で得られた強化繊維含有樹脂ペレットを使用して、下記の射出成形方法で外観観察用成形体を製造した。
射出成形機:EC100 東芝機械(株)製
成形温度:240℃
金型温度:40℃
外観観察用成形体形状:80mm×240mm×2mm
【0075】
以下の条件にしたがい、成形体の評価を行った。
(引張試験)
引張試験は、ISO 527に準拠して行った。
上記の機械的物性測定用試験片を用いて、引張り速度5mm/minで23℃にて引張試験を行い、引張破壊応力および引張破壊ひずみを求めた。
【0076】
(曲げ強度、曲げ弾性率)
曲げ強度および曲げ弾性率を3点曲げ試験により測定した。島津製作所社製オートグラフAG-Xを用い、上記機械的物性測定用試験片を用いて、ISO 178に準拠して、試験片寸法に切削して、23℃、試験速度2mm/分で曲げ強度および曲げ弾性率の測定を行った。
【0077】
(シャルピー衝撃強度)
上記機械的物性測定用試験片を用いて、ISO 179に準拠して、機械加工でノッチを設けた衝撃強度測定用試験片を作成し、シャルピー衝撃試験を行い、23℃におけるシャルピー衝撃強度(kJ/m2)を求めた。
【0078】
(荷重たわみ温度)
上記機械的物性測定用試験片を用いて、ISO 75―1,2に準拠して、試験片寸法に切削して、荷重1.8MPaにて荷重たわみ温度を測定した。
【0079】
(成形体の外観評価)
外観観察用成形体の外観を目視により下記基準で評価した。
○:試験片上にガラス繊維の開繊不良由来の白斑が目立たない。
△:試験片上にガラス繊維の開繊不良由来の白斑が若干目立つ。
×:試験片上にガラス繊維の開繊不良由来の白斑がはっきり目立つ。
【0080】
[実施例10]
実施例1で得られた強化繊維含有樹脂ペレットの代わりに、実施例6で得られた強化繊維含有樹脂ペレットを使用したこと以外は実施例9と同様の方法で成形体を製造した。
【0081】
[実施例11]
実施例1で得られた強化繊維含有樹脂ペレットの代わりに、実施例8で得られた強化繊維含有樹脂ペレットを使用したこと以外は実施例9と同様の方法で成形体を製造した。
【0082】
[比較例5]
実施例1で得られた強化繊維含有樹脂ペレットの代わりに、比較例1で得られた強化繊維含有樹脂ペレットを使用したこと以外は実施例9と同様の方法で成形体を製造した。
得られた成形体の評価結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
【符号の説明】
【0084】
1 二軸押出機
2 ダイス
3 シリンダー
4 スクリュー
5 第一混練部
6 第二混練部
7 樹脂供給部
8 繊維供給部
9 ノズル
9a 平行部
9b テーパ部
10 ノズル入口
11 ノズル出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8