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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】処理プログラム、処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/56 20140101AFI20241213BHJP
   A63F 13/573 20140101ALI20241213BHJP
【FI】
A63F13/56
A63F13/573
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021088091
(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公開番号】P2022181258
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】595000427
【氏名又は名称】株式会社コーエーテクモゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 翔
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-251076(JP,A)
【文献】特開2007-185476(JP,A)
【文献】特開2010-233936(JP,A)
【文献】特開2004-062590(JP,A)
【文献】特開2008-123235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98,9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間上のオブジェクトを表示部に表示させ、ゲームを処理するコンピュータに実行させる処理プログラムであって、
前記仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報を取得する処理と、
前記吸着力を発生する第1オブジェクトを表示させる処理と、
取得した前記吸着情報を参照して、前記仮想空間上のオブジェクトのうち前記第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する処理と、
特定した前記第2オブジェクトが複数の場合、オブジェクト毎に予め設定された吸着の優先順位に従い、予め設定された上限個数まで、順番に前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着する処理と、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた状態を表示させる処理と、を含む処理プログラム。
【請求項2】
仮想空間上のオブジェクトを表示部に表示させ、ゲームを処理するコンピュータに実行させる処理プログラムであって、
前記仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報を取得する処理と、
前記吸着力を発生する第1オブジェクトを表示させる処理と、
取得した前記吸着情報を参照して、前記仮想空間上のオブジェクトのうち前記第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する処理と、
特定した前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた状態を表示させる処理と、
前記仮想空間上に発生する吸着力による反射の可否をオブジェクト毎に示す反射情報を取得する処理と、
取得した前記反射情報を参照して、前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた前記第2オブジェクトのうち反射すべき前記第2オブジェクトを反射させるように表示させる処理と、を含む処理プログラム。
【請求項3】
仮想空間上のオブジェクトを表示部に表示させ、ゲームを処理するコンピュータに実行させる処理プログラムであって、
前記仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報を取得する処理と、
前記吸着力を発生する第1オブジェクトを表示させる処理と、
取得した前記吸着情報を参照して、前記仮想空間上のオブジェクトのうち前記第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する処理と、
特定した前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた状態を表示させる処理と、
ユーザの操作に応じて前記第1オブジェクトの前記吸着力を消滅させ、前記第1オブジェクトに吸着する前記第2オブジェクトをリリースするように表示させる処理と、を含み、
前記リリースするように表示させる処理は、前記第1オブジェクトに吸着する複数の前記第2オブジェクトの中心を特定し、前記第2オブジェクト及び/又は前記第2オブジェクトを破壊した破片を前記中心から外側へ軌跡を描くように表示させる、処理プログラム。
【請求項4】
仮想空間上のオブジェクトを表示部に表示させ、ゲームを処理するコンピュータに実行させる処理プログラムであって、
前記仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報を取得する処理と、
前記吸着力を発生する第1オブジェクトを表示させる処理と、
取得した前記吸着情報を参照して、前記仮想空間上のオブジェクトのうち前記第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する処理と、
特定した前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた状態を表示させる処理と、
ユーザの操作に応じて前記第1オブジェクトの前記吸着力を消滅させ、前記第1オブジェクトに吸着する前記第2オブジェクトをリリースするように表示させる処理と、を含み、
前記第1オブジェクトからリリースした前記第2オブジェクトの中心を通る前記第2オブジェクトに垂直な仮想線が、前記第2オブジェクトが落下する前記仮想空間上の地面の法線ベクトルに近づくように前記第2オブジェクトが落下する動作を表示させる、処理プログラム。
【請求項5】
特定した前記第2オブジェクトは、ゲームのフィールドに配置された金属を含むオブジェクト及び敵のキャラクタが有する金属を含む武器オブジェクトの少なくともいずれかである、
請求項1~4のいずれか一項に記載の処理プログラム。
【請求項6】
予め設定された探索範囲を探索して前記第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する処理を前記コンピュータに実行させる、
請求項1~のいずれか一項に記載の処理プログラム。
【請求項7】
ユーザの操作に応じて前記第1オブジェクトの前記吸着力を消滅させ、前記第1オブジェクトに吸着する前記第2オブジェクトをリリースするように表示させる処理を前記コンピュータに実行させる、
請求項1又は2に記載の処理プログラム。
【請求項8】
仮想空間上のオブジェクトを表示部に表示させ、ゲームを処理するコンピュータが実行する処理方法であって、
前記仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報を取得する処理と、
前記吸着力を発生する第1オブジェクトを表示させる処理と、
取得した前記吸着情報を参照して、前記仮想空間上のオブジェクトのうち前記第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する処理と、
特定した前記第2オブジェクトが複数の場合、オブジェクト毎に予め設定された吸着の優先順位に従い、予め設定された上限個数まで、順番に前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着する処理と、
前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた状態を表示させる処理と、を含む処理方法。
【請求項9】
仮想空間上のオブジェクトを表示部に表示させ、ゲームを処理する処理装置であって、
前記仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報を取得する取得部と、
前記吸着力を発生する第1オブジェクトを表示させる表示制御部と、
取得した前記吸着情報を参照して、前記仮想空間上のオブジェクトのうち前記第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する特定部と、
特定した前記第2オブジェクトが複数の場合、オブジェクト毎に予め設定された吸着の優先順位に従い、予め設定された上限個数まで、順番に前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着する判定部と、を有し、
前記表示制御部は、前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた状態を表示させる、処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理プログラム、処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
球体オブジェクトを転がすことで球体のオブジェクトに接触した他の物体を球体オブジェクトの表面上に結合して雪ダルマ式に巨大化することをモチーフとしたゲームが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-100133号公報
【文献】特開2003-251068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、球体オブジェクトを転がすことで球体オブジェクトに接触した他の物体をその表面上に結合する手法は一様で興趣性に欠けていた。また、かかるオブジェクトを結合する技術が攻撃に応用されることはなかった。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、仮想空間上で発生する吸着力によるダイナミックな攻撃を可能とするゲームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施態様では、仮想空間上のオブジェクトを表示部に表示させ、ゲームを処理するコンピュータに実行させる処理プログラムであって、前記仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報を取得する処理と、前記吸着力を発生する第1オブジェクトを表示させる処理と、取得した前記吸着情報を参照して、仮想空間上のオブジェクトのうち前記第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する処理と、特定した前記第2オブジェクトを前記第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた状態を表示させる処理と、を含む処理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本開示は、仮想空間上で発生する吸着力によるダイナミックな攻撃を可能とするゲームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るゲームシステムを示す図。
図2】実施形態に係るサーバのハードウェア構成を示す図。
図3】実施形態に係る端末装置のハードウェア構成を示す図。
図4】実施形態に係るサーバの機能構成を示す図。
図5】実施形態に係る端末装置の機能構成の一例を示す図
図6】実施形態に係るゲーム処理を示すフローチャート。
図7】実施形態に係る吸着処理を示すフローチャート。
図8】実施形態に係るオブジェクトテーブルの一例を示す図。
図9】実施形態に係る金属オブジェクトの吸着前の表示画面の一例を示す図。
図10】実施形態に係る金属オブジェクトの吸着時の表示画面の一例を示す図。
図11】実施形態に係るリリース処理を示すフローチャート。
図12】実施形態に係るオブジェクトのリリース時の表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合もある。
【0010】
[ゲームシステム]
図1は、実施形態におけるゲームシステム1の構成を示す図である。実施形態のゲームシステム1は、ネットワークN(例えば、インターネット等)を介してゲームに関する各種サービスをユーザに提供する。ゲームシステム1は、サーバ10と端末装置30とを有する。サーバ10は、ゲームに関する各種サービスを端末装置30に提供する情報処理装置(処理装置)の一例である。サーバ10は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、クラウドコンピュータ等であってよい。
【0011】
端末装置30は、ゲームをプレイする際にユーザが使用する情報処理装置(処理装置)の一例である。端末装置30は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム装置、ゲームコントローラ、タブレット型コンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、業務用ゲーム装置であってよい。
【0012】
端末装置30は、サーバ10に対してゲームに関する各種情報(ゲームプログラムやゲーム画面等)の配信要求を行う。サーバ10は、端末装置30から各種情報の配信要求を受け付けると、端末装置30においてプレイするゲームプログラムやゲーム画面のWebページを配信する。
【0013】
端末装置30は、ユーザにゲーム画面を表示するWebページを閲覧させるためのWebブラウザ機能を有する。これにより、端末装置30は、サーバ10から配信されたゲーム画面等のWebページを表示することができる。
【0014】
端末装置30の接続個数は3つに限られず、1又は複数の端末装置30がサーバ10に接続され得る。複数のサーバが連携してサーバ10の機能を実現してもよい。サーバ10は、ネットワークNに接続された複数の端末装置30が敵及び味方に分かれて対戦するオンラインゲームを提供してもよい。ただし、サーバ10は、これに限られず、バスケットやテニス等のスポーツゲーム、レーシングゲーム、街づくりゲーム等、あらゆるゲームを提供できる。また、サーバ10は、ガチャ等によりゲームを提供できる。サーバ10が提供するゲームは、複数のユーザが共同して参加するゲームを含む。なお、サーバ10を有さず、端末装置30が、サーバ10の後述する機能を有し、ネットワークNに接続されずに単独でゲームを実行できるようにしてもよい。このように図1のゲームシステム1は一例であり、用途や目的に応じて様々なシステム構成例が考えられる。
【0015】
[サーバのハードウェア構成]
次に、サーバ10のハードウェア構成について、図2を参照して説明する。図2は、実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成を示す図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)126、メモリ127及び通信装置128を有する。CPU126は、サーバ10を制御する。メモリ127は、例えば、CPU126が直接アクセス可能なサーバ10内の記憶媒体である。通信装置128は、通信を制御するネットワークカードなどの通信デバイスである。
【0016】
サーバ10は、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、VRAMやRAM、ROM等の各種メモリを搭載してもよい。
【0017】
サーバ10は、演算処理により端末装置30を用いてプレイするために必要な各種ゲームデータを端末装置30に提供し、端末装置30にて行うゲーム処理の実行を制御及び管理するゲーム管理機能を有する。CPU126が所定のゲームプログラム及びデータに基づいて演算処理を行うことにより、ゲーム処理が実行される。
【0018】
[端末装置のハードウェア構成]
次に、端末装置30のハードウェア構成について、図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る端末装置30のハードウェア構成を示す図である。端末装置30は、CPU121、メモリ122、通信装置123、入力装置124及び表示装置125を有する。CPU121は、端末装置30を制御する。メモリ122は、例えば、CPU121が直接アクセス可能な端末装置30内の記憶媒体である。通信装置123は、通信を制御するネットワーク回路などの通信デバイスである。入力装置124は、カメラ又はタッチパネルなどの入力デバイスである。表示装置125は、ディスプレイなどの出力デバイスである。
【0019】
端末装置30は、サーバ10が提供するゲームを実行する。一例では、ユーザは、端末装置30を使用して敵キャラクタと争う対戦ゲームを行う。他の端末装置30と連携して敵キャラクタと対戦してもよい。
【0020】
[サーバの機能構成]
次に、サーバ10の機能構成について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係るサーバ10の機能構成を示す図である。サーバ10は、制御部11、記憶部12及び通信部13を有する。
【0021】
制御部11は、各部間のデータの受け渡しを行うと共にサーバ10の制御を行う。制御部11は、CPU126が所定のメモリ127に格納されたゲームプログラムを実行することによって実現される。
【0022】
記憶部12は、ゲームをコンピュータに実行させるゲームプログラム、各種のデータ及び各種の情報を記憶している。記憶部12は、例えばメモリ127によって実現される。記憶部12は、ゲームプログラムが記憶された読み取り専用の記憶領域であるROM(Read Only Memory)と、制御部11による演算処理のワーク領域として使用される書き換え可能な記憶領域であるRAM(Random Access Memory)とを有している。記憶部12は、例えば、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置によって実現される。ゲームプログラムの一部又は全部はRAMに格納されてもよい。
【0023】
更に、記憶部12は、オブジェクトテーブル21を記憶する。オブジェクトテーブル21は、オブジェクト毎の材質、種類、吸着レベル、優先順位、オブジェクトを所有するキャラクタ、反射特性に関する情報を記憶する(図8参照)。オブジェクトテーブル21に記憶した情報のうちオブジェクト毎の材質、種類、吸着レベル、優先順位、オブジェクトを所有するキャラクタは、仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報の一例である。オブジェクトテーブル21に記憶した情報のうち反射特性に関する情報は、仮想空間上に発生する吸着力による反射の可否をオブジェクト毎に示す反射情報の一例である。
【0024】
通信部13は、端末装置30及びその他の機器との間で通信を行うための機能を有する。通信部13は、端末装置30から送信される各種データを受信する受信部として機能と、制御部11の指令に応じて各種データを端末装置30へ送信する送信部として機能とを有する。通信部13は、例えば、NIC(Network Interface Card)によって実現される。
【0025】
制御部11は、ゲーム実行処理部14、取得部15、判定部16、探索部17、特定部18及び表示制御部19を有する。ゲーム実行処理部14は、例えばユーザが操作するキャラクタが敵キャラクタと対戦する対戦ゲームを実行する。例えば、ゲーム実行処理部14が行うゲームは、ユーザが操作するキャラクタが持つ磁力球のオブジェクト(以下、単に「磁力球」ともいう。)の吸着力により敵キャラクタを攻撃するゲームであってもよい。ただし、ゲーム実行処理部14が行うゲームは、これに限られず、ゲームに登場する複数のオブジェクトに対する吸着力による攻撃が行えるゲームであれば、対戦ゲームに限らない。なお、ユーザの操作には、コントローラの操作、タッチ操作、ジェスチャ操作等が含まれる。ユーザが操作するキャラクタが持つ磁力球のオブジェクトに変えて、他のオブジェクトを用いることもできる。
【0026】
なお、本明細書におけるオブジェクトは、仮想空間に表示される表示部品であり、フィールドに配置された例えば鉄箱のようなオブジェクト(以下、「ステージ部品」ともいう。)、敵キャラクタが持つ武器等のオブジェクト(以下、「武器オブジェクト」又は「金属武器」ともいう。)が含まれる。磁力球もオブジェクトの一つである。金属のステージ部品及び金属武器を総称して金属オブジェクトともいう。
【0027】
キャラクタが行うモーションに応じて吸着力を発生させるオブジェクトは吸着力を発生する第1オブジェクトの一例であり、以下、磁力球を一例として挙げて説明する。第1オブジェクトは、キャラクタが有するオブジェクトに限られず、吸着力を発生させるオブジェクトであればよい。
【0028】
ステージ部品及び武器オブジェクトのうち、吸着力による吸着が可能なオブジェクトは第2オブジェクトの一例である。第2オブジェクトは、ゲームのフィールドに配置された金属を含むオブジェクト(例えば金属の鉄箱等のステージ部品)及び敵キャラクタが有する金属を含む武器オブジェクトの少なくともいずれかであってもよい。
【0029】
取得部15は、仮想空間上に発生する吸着力による吸着の可否をオブジェクト毎に示す吸着情報を取得する。取得部15は、仮想空間上に発生する吸着力による反射の可否をオブジェクト毎に示す反射情報を取得してもよい。
【0030】
判定部16は、特定の第2オブジェクトを第1オブジェクトに吸着させる処理、特定の第2オブジェクトを第1オブジェクトから反射させる処理、特定の第2オブジェクトを第1オブジェクトからリリースさせる処理において、吸着、反射、リリースの各動作を行うかの判定をする。例えば、特定した第2オブジェクトが複数の場合、判定部16は、オブジェクト毎に予め設定された吸着の優先順位に従い第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させる第2オブジェクトの順番を判定してもよい。また、図4に示す記憶部12に記憶した上限個数22に従い、吸着させる第2オブジェクトの上限を判定してもよい。なお、「リリース」とは吸着を解除することである。
【0031】
探索部17は、予め設定された探索範囲に従い、第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを探索する。探索範囲は、第1オブジェクトを持つキャラクタの種類やパラメータに応じて異なる範囲に設定されてもよい。探索範囲の一例としては、例えば磁力球から半径xm以内(x>0)に存在するオブジェクトに対して吸着の可否の判定を行う、等が挙げられる。
【0032】
特定部18は、取得した吸着情報を参照して、探索部17が探索した探索範囲の仮想空間上のオブジェクトのうち第1オブジェクトに吸着する第2オブジェクトを特定する。
【0033】
表示制御部19は、吸着力を発生する第1オブジェクトの表示を制御する。表示制御部19は、ユーザ操作に応じたキャラクタのモーションに応じて吸着力を発生する第1オブジェクトの表示を制御してもよい。表示制御部19は、特定部18が特定した第2オブジェクトを第1オブジェクトが発生する吸着力により吸着させた状態を表示させる。
【0034】
表示制御部19は、第1及び第2オブジェクトを含むオブジェクトが登場する仮想空間を表示装置125に表示させる。表示制御部19は、ゲーム画面のWebページを制御し、ゲーム画面のWebページを通信部13により端末装置30に送信し、端末装置30の画面に表示する。
【0035】
[端末装置の機能構成]
次に、端末装置30の機能構成について図5を参照して説明する。図5は、実施形態に係る端末装置の機能構成の一例を示す図である。端末装置30は、制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34及び表示部35を有する。
【0036】
制御部31は、各部間のデータの受け渡しを行うと共に端末装置30の制御を行う。制御部31は、CPU121が所定のメモリ122に格納されたプログラムを実行することによって実現される。
【0037】
記憶部32は、バスを介して制御部31に接続され、制御部31からの指令に応じて記憶されているデータを参照、読み出し、書き換える処理が行われる。記憶部32は、例えば、フラッシュメモリやハードディスク等によって実現される。
【0038】
通信部33は、ネットワークNを介してサーバ10との間で通信を行う。通信部33は、サーバ10から送信される各種データを受信する受信部としての機能と、
制御部31の指令に応じて各種データをサーバ10へ送信する送信部として機能とを有する。通信部13は、例えば、NIC(Network Interface Card)によって実現される。
【0039】
入力部34は、ユーザが各種操作(ゲーム操作等)を行うためのものであり、例えば、操作ボタン、タッチパネル等によって実現される。表示部35は、制御部31からの指令によりゲーム画面を表示するためのものであり、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。表示部35は、サーバ10が生成し、通信部33により受信したゲーム画面のWebページを端末装置30の画面に表示する。
【0040】
[ゲーム処理]
次に、本開示のゲーム処理について図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、実施形態に係るゲーム処理を示すフローチャートである。図7は、実施形態に係る吸着処理を示すフローチャートである。図6及び図7の処理はサーバ10によって実行される。
【0041】
図6のゲーム処理では、ステップS1においてゲーム実行処理部14が、ユーザが操作するキャラクタ及び敵キャラクタを含む複数のキャラクタを例えば端末装置30の表示装置125の仮想空間に表示し、対戦ゲームを実行する。
【0042】
ステップS2において、判定部16は、ユーザ操作による吸着攻撃の指示があったかを判定する。判定部16は、ユーザ操作により吸着攻撃の指示がなかったと判定した場合、ステップS1に戻り、ゲームを続ける。判定部16は、ユーザ操作により吸着攻撃の指示があったと判定した場合、ステップS3において表示制御部19は、磁力球を表示する。例えば、ユーザが操作するキャラクタのモーションに応じて発生する磁力球を表示してもよい。これにより、磁力球による吸着攻撃動作により敵キャラクタを攻撃することができる。
【0043】
ステップS4において探索部17は、予め設定された探索範囲を探索して、金属のステージ部品及び/又は金属武器(金属オブジェクト)を見つける。予め設定された探索範囲は、吸着範囲ともいえる。磁力球が持つ磁力がどれくらい強いかで探索範囲が変わるようにしてもよい。磁力球を持つキャラクタの属性によって探索範囲が変わるようにしてもよい。探索範囲によって吸着可能なステージ部品及び武器を取り込む範囲が変わる。
【0044】
図8の例では、「敵ボス」のキャラクタの吸着レベルはレベル2、「敵兵2~3」のキャラクタの吸着レベルはレベル1に設定され、敵のキャラクタに応じて吸着範囲を変えている。これにより、磁力球による吸着攻撃範囲を変化させることができる。吸着レベルは、吸着されやすさを表す値であり、例えばレベル1は「探索範囲にキャラクタが入った場合無条件で武器の吸着が可能」、レベル2は「探索範囲にキャラクタが入った場合であっても、武器を投げるなど手放す攻撃動作中のみ吸着が可能(武器を落とさない)」というように予め定義されている。本例では、レベルが高いほど吸着されにくいと定義されるが、これに限らない。
【0045】
図6に戻り、ステップS4において探索部17は、探索の結果、金属のステージ部品及び/又は金属武器がなかった場合、ステップS1に戻り、ゲームを続ける。探索部17は、探索の結果、金属のステージ部品及び/又は金属武器があった場合、ステップS5において吸着処理を実行する。ステップS5の吸着処理の詳細は、図7を参照して説明する。
【0046】
(吸着処理)
図7の吸着処理では、まず、ステップS11において表示制御部19は、探索範囲で見つけた金属オブジェクトのうちの金属武器を敵キャラクタの手から離して、フィールド上に落下させ、敵キャラクタを素手にするように表示を制御する。これにより、素手になった敵キャラクタの攻撃種類を変えることができる。
【0047】
ステップS12において判定部16は、オブジェクト毎に予め設定された吸着の優先順位に従い磁力球が発生する吸着力により吸着させる金属のステージ部品及び金属武器の順番を判定する。その際、判定部16は、予め設定された上限個数22に従い、上限個数22まで吸着させる金属のステージ部品及び金属武器を判定する。
【0048】
ステップS13において判定部16は、磁力球に吸着すると判定した複数の金属のステージ部品及び金属武器を、判定した順番で吸着し、金属オブジェクトの塊にする。例えば最初に吸着した金属オブジェクトの中心(例えば図10の中心O)に対して順次定められた順番に従い次の金属オブジェクトを吸着させてもよい。ステップS14において表示制御部19は、吸着された金属オブジェクトの塊を表示し、本処理を終了し、図6の処理に戻る。
【0049】
優先順位は、例えばステージ部品、金属武器の順に設定されてもよい。図9は、実施形態に係る金属のステージ部品及び金属武器の吸着前の表示画面の一例を示す図である。図10は、実施形態に係る金属のステージ部品及び金属武器の吸着時の表示画面の一例を示す図である。
【0050】
ユーザ操作による吸着攻撃の指示(敵キャラクタに武器を落とさせる指示)があったと判定されると(図6のステップS2)、図9に示すように、ユーザが操作するキャラクタ100が磁力球105を持つ様子が表示される(図6のステップS3)。図9の例では、キャラクタ100の周囲に敵キャラクタ200~204が金属武器200a~204aを持っている。また、金属のステージ部品110が地面に置かれている。
【0051】
図10では、図6のステップS4にて探索した結果見つかった金属のステージ部品110及び金属武器200a~204aを優先順位に従い磁力球105から発生する吸着力により順番に吸着させた状態が表示されている。図10の例では、最も優先順位の高い金属のステージ部品110が最初に吸着され、ステージ部品110の周りに優先順位に従い金属武器200a~203aが順番に吸着されている状態が表示されている。図10の例では、上限個数が5のため、ステージ部品110及び金属武器200a~203aの5つの金属オブジェクトが表示され、優先順位が最も低い金属武器204aは吸着されていない。吸着されなかった金属武器204a等のオブジェクトについて、落ちているままでもよく、武器を落とした敵が拾ってもよい。また、金属武器を取られた敵キャラクタ200は素手になっている。これにより、磁力の作用で金属のオブジェクトを集める攻撃アクションを行うことができ、仮想空間上で発生する吸着力により広範囲な攻撃を行うダイナミックなゲームを提供できる。また、次に説明する反射処理及びリリース処理等、攻撃手法が多様で興趣性の高いゲームを提供できる。
【0052】
図6に戻り、ステップS5の吸着処理(図7参照)の後、ステップS6にて判定部16は、吸着した金属オブジェクトのうち、反射させるオブジェクトが存在するかを判定する。判定部16は、図8のオブジェクトテーブル21に設定された各オブジェクトの反射特性の情報(反射情報)を取得し、吸着した金属オブジェクトのうち反射特性のあるオブジェクトを判定する。
【0053】
判定部16は、取得した反射情報を参照して、吸着している金属オブジェクトのうち反射させるオブジェクトがあると判定した場合、表示制御部19は、磁力球105が発生する吸着力により吸着させた金属オブジェクトのうちの反射対象のオブジェクトを反射させるように表示を制御する。これにより、吸着された金属オブジェクトのうち、反射特性のある金属オブジェクトは吸着直後、吸着した瞬間に反射動作を行う。
【0054】
この反射動作を使用することで新たな攻撃を行うことができる。例えば、図10に示すキャラクタ100が、敵ボスキャラクタが投げてくる金属斧のオブジェクトを磁力球105の吸着力でキャッチし、直後に金属斧のオブジェクトを敵ボスキャラクタに投げ返すという反射動作の攻撃を行うことも可能である。
【0055】
ステップS6において反射させるオブジェクトがないと判定された場合及びステップS7における反射処理の後ステップS8に進み、判定部16は、磁力球を破棄したかを判定する。判定部16は、磁力球が破棄されるまで待ち、磁力球を破棄したと判定した場合、ステップS9においてリリース処理を行った後、ステップS1に戻り、ゲームを続ける。ステップS9のリリース処理の詳細は、図11を参照して説明する。図11は、実施形態に係るリリース処理を示すフローチャートである。
【0056】
(リリース処理)
図11のリリース処理では、まず、ステップS21において特定部18は、金属オブジェクトの種類を特定する。特定部18は、金属オブジェクトの種類がステージ部品であると特定した場合、ステップS22に進み、表示制御部19は図10に示した磁力球105と磁力球105から出ている吸着力を模式的に示す表示(図10では点線で示す)を消滅させ、特定したステージ部品が破壊されるアニメーションを表示する。
【0057】
次に、ステップS25において判定部16は、吸着されていた他の金属オブジェクトがあるかを判定し、他の金属オブジェクトがない場合、本処理を終了し、他の金属オブジェクトがある場合、ステップS21に戻り他の金属オブジェクトの種類を判定する。
【0058】
特定部18は、金属オブジェクトの種類が武器であると特定した場合、ステップS23に進み、表示制御部19は吸着力の表示を消滅させ、吸着していた金属オブジェクトの塊の中心Oから外側へ、例えば放射状の軌跡を描くようにリリースし、落下させる表示を行う。
【0059】
図12は、実施形態に係るオブジェクトのリリース時の表示画面の一例を示す図である。例えば、ユーザの操作に応じてキャラクタ100の手から磁力球105を落下させると、磁力球105から発せられる吸着力が消滅し、吸着していた金属のステージ部品及び武器のすべてが図12に示すようにリリースされる。このとき、ステージ部品110が破壊されるアニメーションが表示され、金属武器200a~204aが放射状に落下するように表示される。
【0060】
図11に戻り、リリースされた武器が落下する際、ステップ24において表示制御部19は、武器の垂直軸を地面の法線方向に徐々に合わせて落下させるように表示する。「武器の垂直軸を地面の法線方向に徐々に合わせて落下」とは、フレームごとにベクトルWと垂直軸とのなす角度が小さくなるようにすることをいう。ステップS25において判定部16は、他の金属オブジェクトがないと判定したとき、本処理を終了する。
【0061】
図10に示すように、磁力球105に吸着する金属オブジェクトの塊の中心Oに対して、このリリース動作では、中心から外側に向かう軌跡を描くように複数の金属武器の落下状態を表示させてもよい。その軌跡は放射状であってもよい。
【0062】
図12に、リリースした金属武器200a~203aのそれぞれの中心を通る各金属武器の垂直軸Z0~Z3示す。表示制御部19は、金属武器200a~203aのそれぞれの垂直軸Z0~Z3が、落下する仮想空間上の地面の法線方向のベクトルWに近づくように金属武器200a~203aのそれぞれが落下する動作を表示する。
【0063】
このようにして、磁力球が破棄(消失)されたら、吸着されていた金属オブジェクトはリリースされる。このとき、金属オブジェクトの塊は中心から外側に向かって飛び散る。このように金属武器の落下は、物理シミュレーションではなく、金属武器の直下の地面の法線方向に金属武器の垂直軸の方向を補間的に合わせることで落下の見た目を自然にすることができる。これにより、徐々に地面の法線方向に金属武器の垂直軸が沿うように金属武器が落ち、落下の最終点でベクトルWと垂直軸が一致するため、仮想空間の地面への金属武器の落下の描画をより自然に表示できる。さらに、物理シミュレーションを行わないため処理負荷が軽減できる。
【0064】
敵キャラクタの武器は、武器自体の形やコリジョンの形や寸法が武器によって様々に異なっている。そこで、武器の形状によって、落下の最終点を調整してもよい。例えば、武器の中心点又は重心点が地面と平行な位置まで落下したときに落下の最終点であると判定する場合、持ち手が太い武器では落下の最終点を地面から浮かせる処理を行うことで、武器が地面に埋まらないように落下させることができる。
【0065】
以上に説明したように、一実施形態に係る処理プログラム、処理方法及び処理装置によれば、金属の武器とステージ部品を選択し、任意の個数だけ磁力球に吸着させることができる。これにより、仮想空間上で発生する吸着力によるダイナミックな攻撃を可能とするゲームを提供することができる。
【0066】
以上、処理プログラム、処理方法及び処理装置を上記実施形態により説明したが、本開示に係る処理プログラム、処理方法及び処理装置は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上記実施形態及び変形例が複数存在する場合、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 ゲームシステム
10 サーバ
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 ゲーム実行処理部
15 取得部
16 判定部
17 探索部
18 特定部
19 表示制御部
21 オブジェクトテーブル
30 端末装置
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 入力部
35 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12