IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機モビリティ株式会社の特許一覧

特許7603530自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法
<>
  • 特許-自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法 図1
  • 特許-自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法 図2
  • 特許-自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法 図3
  • 特許-自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法 図4
  • 特許-自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法 図5
  • 特許-自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/622 20240101AFI20241213BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241213BHJP
【FI】
G05D1/622
G05D1/43
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021094868
(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公開番号】P2022187062
(43)【公開日】2022-12-19
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】小川 文男
(72)【発明者】
【氏名】住本 勝之
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-235563(JP,A)
【文献】特開2006-259877(JP,A)
【文献】特開2019-090711(JP,A)
【文献】特開2005-001052(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068229(WO,A1)
【文献】特開昭59-153213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - G05D 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動を伴う所定の作業を行う複数種類の自律移動体であって、前記所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体と、
前記複数種類の自律移動体の作業領域に設置されたセンサが検出した情報に基づいて前記作業領域内における障害物を検知した場合に、前記障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業領域内の前記自律移動体に送信して、当該自律移動体に危険回避させる管制サーバと
を備え
前記複数種類の自律移動体のそれぞれは、前記危険回避指示情報に応じて、自らが検出した前記障害に基づく第1の危険回避処理と、受信した前記危険回避指示情報を自らが検出した前記障害に基づいて補正し、補正した前記危険回避指示情報に基づく第2の危険回避処理と、受信した前記危険回避指示情報に基づく第3の危険回避処理とのいずれかを、予め設定されている危険回避処理として実行する
律移動体運用システム。
【請求項2】
前記複数種類の自律移動体には、第1の検出手法により前記障害を検出する第1検出部を備える第1の自律移動体と、前記第1の検出手法とは異なる第2の検出手法により前記障害を検出する第2検出部を備える第2の自律移動体とが含まれ、
前記第1の自律移動体と、前記第2の自律移動体とのそれぞれは、前記危険回避指示情報に応じて、予め設定されている危険回避処理を実行する
請求項1に記載の自律移動体運用システム。
【請求項3】
前記センサには、前記作業領域の異なる場所に設置された複数のセンサが含まれ、
前記管制サーバは、前記異なる場所に設置された前記複数のセンサが検出した情報に基づいて前記作業領域内における障害物を検知する
請求項1又は請求項に記載の自律移動体運用システム。
【請求項4】
移動を伴う所定の作業を行う複数種類の自律移動体であって、前記所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体と、
前記複数種類の自律移動体の作業領域に設置されたセンサが検出した情報に基づいて前記作業領域内における障害物を検知した場合に、前記障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業領域内の前記自律移動体に送信して、当該自律移動体に危険回避させる管制サーバと
を備え、
前記複数種類の自律移動体は、それぞれ昇降機を用いて前記作業領域を移動可能であり、
前記センサは、前記昇降機から降りた直後に通過する領域を前記作業領域として監視するよう設置され、
前記管制サーバは、前記自律移動体が、前記昇降機を用いて前記作業領域を移動する際に、移動先の前記作業領域に設置された前記センサが、前記障害の発生を検出した場合に、前記昇降機から降りる前に、前記昇降機の昇降に関する前記危険回避指示情報を、前記昇降機を用いる前記自律移動体に送信する
律移動体運用システム。
【請求項5】
前記昇降機の昇降に関する前記危険回避指示情報には、前記昇降機の昇降を中止する指示情報が含まれる
請求項に記載の自律移動体運用システム。
【請求項6】
移動を伴う所定の作業を行う複数種類の自律移動体であって、前記所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体を運用する自律移動体運用方法であって、
管制サーバが、前記複数種類の自律移動体の作業領域に設置されたセンサが検出した情報に基づいて前記作業領域内における障害物を検知した場合に、前記障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業領域内の前記自律移動体に送信して、当該自律移動体に危険回避させ
前記複数種類の自律移動体のそれぞれが、前記危険回避指示情報に応じて、自らが検出した前記障害に基づく第1の危険回避処理と、受信した前記危険回避指示情報を自らが検出した前記障害に基づいて補正し、補正した前記危険回避指示情報に基づく第2の危険回避処理と、受信した前記危険回避指示情報に基づく第3の危険回避処理とのいずれかを、予め設定されている危険回避処理として実行する
自律移動体運用方法。
【請求項7】
移動を伴う所定の作業を行う複数種類の自律移動体であって、前記所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体を運用する自律移動体運用方法であって、
管制サーバが、前記複数種類の自律移動体の作業領域に設置されたセンサが検出した情報に基づいて前記作業領域内における障害物を検知した場合に、前記障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業領域内の前記自律移動体に送信して、当該自律移動体に危険回避させ、
前記複数種類の自律移動体は、それぞれ昇降機を用いて前記作業領域を移動可能であり、
前記センサは、前記昇降機から降りた直後に通過する領域を前記作業領域として監視するよう設置され、
前記管制サーバは、前記自律移動体が、前記昇降機を用いて前記作業領域を移動する際に、移動先の前記作業領域に設置された前記センサが、前記障害の発生を検出した場合に、前記昇降機から降りる前に、前記昇降機の昇降に関する前記危険回避指示情報を、前記昇降機を用いる前記自律移動体に送信する
自律移動体運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無人あるいは遠隔から操作可能な移動型ロボットなどの自律移動体は、現在、多方面で活用が進んでいる。その反面、自律移動体は、目的に合わせて設計・製造されるため、それぞれの自律移動体の仕様が異なっており、自律移動体の機種に応じて、異なった運用方法を計画する必要がある。
これに対して、自律移動体が移動可能な領域を示すマップデータを異なる自律移動体ごとに適用可能とする技術が、提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/171916号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自律移動体は、作業エリア内において作業遂行の妨げとなる障害を検知し、そのような障害を回避しながら作業を行ったり、適切な危険回避行動をとるようになっているが、自律移動体によって検出できる障害の種類や範囲は異なっている。例えば、周囲に人が接近してきたことを適切に検出し、危険回避行動を実施できる自律移動体がある一方で、必ずしも人の接近をすべての場合で検出できるとは限らない自律移動体も存在する。
【0005】
すなわち、障害検出能力が高く、且つ、危険回避行動を適切に行うことができる自律移動体であれば、運用範囲が広がるとともに、作業の自由度が高まる。一方、障害検出能力が不十分な自律移動体の場合は、人のいる領域や時間帯での作業を制限する必要がある。このように、従来技術の自律移動体を運用では、自律移動体の仕様や機能が異なるために同じような運用が行えず、結果的に運用範囲の広い自律移動体の使用頻度が上昇する。そのため、例えば、運用範囲の広い自律移動体の故障のリスクが高まり、メンテナンスの手間がかかるようになるなど、自律移動体を効率良く適切に運用することが困難であった。
【0006】
本開示は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、自律移動体を効率良く適切に運用することができる自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本開示の一態様は、移動を伴う所定の作業を行う複数種類の自律移動体であって、前記所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体と、前記複数種類の自律移動体の作業領域に設置されたセンサが検出した情報に基づいて前記作業領域内における障害物を検知した場合に、前記障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業領域内の前記自律移動体に送信して、当該自律移動体に危険回避させる管制サーバとを備え、前記複数種類の自律移動体のそれぞれは、前記危険回避指示情報に応じて、自らが検出した前記障害に基づく第1の危険回避処理と、受信した前記危険回避指示情報を自らが検出した前記障害に基づいて補正し、補正した前記危険回避指示情報に基づく第2の危険回避処理と、受信した前記危険回避指示情報に基づく第3の危険回避処理とのいずれかを、予め設定されている危険回避処理として実行する自律移動体運用システムである。
【0008】
また、本開示の一態様は、移動を伴う所定の作業を行う複数種類の自律移動体であって、前記所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体を運用する自律移動体運用方法であって、管制サーバが、前記複数種類の自律移動体の作業領域に設置されたセンサが検出した情報に基づいて前記作業領域内における障害物を検知した場合に、前記障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業領域内の前記自律移動体に送信して、当該自律移動体に危険回避させ、前記複数種類の自律移動体のそれぞれが、前記危険回避指示情報に応じて、自らが検出した前記障害に基づく第1の危険回避処理と、受信した前記危険回避指示情報を自らが検出した前記障害に基づいて補正し、補正した前記危険回避指示情報に基づく第2の危険回避処理と、受信した前記危険回避指示情報に基づく第3の危険回避処理とのいずれかを、予め設定されている危険回避処理として実行する自律移動体運用方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、自律移動体を効率良く適切に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態による自律移動体運用システムの構成例を示すシステム構成図である。
図2】第1の実施形態による作業区画と区画センサとの関係例を説明する概念図である。
図3】第1の実施形態による自律移動体運用システムの一例を示す機能ブロック図である。
図4】第1の実施形態における管制サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態による自律移動体運用システムの一例を示す概念図である。
図6】第2の実施形態における自律移動体のエレベータによる移動に関する管制サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態による自律移動体運用システム、及び自律移動体運用方法について、図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による自律移動体運用システム1の構成例を示すシステム構成図である。
図1に示すように、自律移動体運用システム1は、種類の異なる自律移動体(10、20)と、管制サーバ40と、区画センサ(31、32、・・・)とを備える。自律移動体運用システム1は、自律移動体(10、20)の運用計画の実施、及び自律移動体(10、20)の管制を行うために必要な各種処理を実行する。
【0013】
自律移動体10(第1の自律移動体の一例)は、例えば、移動型ロボットなどであり、自律して移動を伴う所定の作業を行う。自律移動体10は、例えば、前方又は斜め前方の画像を撮像するカメラ11(後述する図3参照)を備えており、前方にある障害物などを検出できるようになっている。
【0014】
自律移動体20(第2の自律移動体の一例)は、例えば、移動型ロボットなどであり、自律して移動を伴う所定の作業を行う。自律移動体20は、例えば、水平方向に略長方形の形状をしており、略長方形の形状の四隅に車輪を配置し、その上方に、例えば、焦電型の人感センサやソナーのようなセンサ部21(後述する図3参照)を備えている。自律移動体20は、センサ部21によって、物体までの距離を検出することができるものの、カメラ11を用いて幅広い障害物を識別できる自律移動体10のような障害物認識機能を有していない。すなわち、自律移動体20は、所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が自律移動体10とは異なる。自律移動体10と自律移動体20とでは、検出可能な障害の種類や範囲が異なる。
【0015】
なお、自律移動体10、及び自律移動体20の構成の詳細については、図3を参照して後述する。
また、自律移動体10と、自律移動体20とは、所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体の一例である。
【0016】
本実施形態において、自律移動体10と、自律移動体20と、管制サーバ40とは、通信ネットワークNW1に接続可能であり、自律移動体10と、自律移動体20と、管制サーバ40とは、通信ネットワークNW1を介して、各種通信を行う。
通信ネットワークNW1は、例えば、無線LAN(Local Area Network)などの無線ネットワークであり、管制サーバ40によって制御される自律移動体(10、20)との間で情報の送受信を可能にする。
【0017】
区画センサ31及び区画センサ32は、例えば、作業区画の天井付近に配置され、天井付近において作業区画を動画像として撮像できるように据え付けられたカメラである。区画センサ31及び区画センサ32は、自律移動体10及び自律移動体20の作業区画(作業領域)に設置されたセンサの一例である。ここで、図2を参照して、作業区画と区画センサ(31、32)との関係例について説明する。
【0018】
図2は、本実施形態による作業区画AR1と区画センサ(31、32)との関係例を説明する概念図である。
図2に示すように、区画センサ31と区画センサ32とは、異なる位置から同一の作業区画AR1を撮像しており、区画センサ31と区画センサ32とのそれぞれのカメラの視野角は、作業区画AR1内の物体を立体視する上で活用可能である。区画センサ31と区画センサ32とは、それぞれの視野角の画像により作業区画AR1内の物体の大きさや位置を動画像であるセンサ情報から抽出できるように配置されている。
【0019】
なお、本実施形態において、区画センサ31と区画センサ32とのそれぞれは、同一の構成であり、自律移動体運用システム1が備える任意の区画センサを示す場合、又は区別しない場合には、区画センサ30として説明する。自律移動体運用システム1は、複数の作業区画に対応した複数の区画センサ30を備えるようにしてもよい。
【0020】
また、区画センサ30(31、32、・・・)と、管制サーバ40とは、通信ネットワークNW2に接続可能であり、区画センサ30(31、32、・・・)と、管制サーバ40とは、通信ネットワークNW2を介して、各種通信を行う。通信ネットワークNW2は、例えば、区画センサ30の専用のネットワークとして設置されているセンサネットワークである。
【0021】
図1の説明に戻り、管制サーバ40は、複数種類の自律移動体(10、20)の作業区画内の移動、及び所定の作業を行う制御を行うサーバ装置である。管制サーバ40は、通信ネットワークNW1に接続し、当該通信ネットワークNW1を介して自律移動体10及び自律移動体20に接続可能である。また、管制サーバ40は、通信ネットワークNW2に接続し、当該通信ネットワークNW2を介して区画センサ31及び区画センサ32に接続可能である。
【0022】
管制サーバ40は、複数種類の自律移動体(10、20)の作業区画AR1(作業領域)に設置された区画センサ30(センサ)が検出した情報に基づいて作業区画AR1内における障害物を検知する。ここでの障害物には、作業区画内の人や装置、他の自律移動体(10、20)などが含まれる。
【0023】
管制サーバ40は、障害物を検知した場合に、障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業区画AR1内の自律移動体(10、20)に送信して、当該自律移動体(10、20)に危険回避させる。なお、管制サーバ40の詳細な構成については、図3を参照して後述する。
【0024】
次に、図3を参照して、自律移動体運用システム1の詳細な構成について説明する。
図3は、本実施形態による自律移動体運用システム1の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、自律移動体運用システム1は、自律移動体10と、自律移動体20と、管制サーバ40と、複数の区画センサ30(31、32、・・・)とを備える。
【0025】
自律移動体10は、カメラ11と、センサ部12と、NW(ネットワーク)通信部13と、移動機構14と、移動体制御部15と、移動体記憶部16とを備える。
カメラ11(第1検出部の一例)は、自律移動体10の前方又は斜め前方の画像を撮像する。カメラ11は、例えば、複数の撮像部を有しており、自律移動体10の前方にある物体の大きさや距離を検出可能である。
【0026】
センサ部12は、例えば、焦電型の人感センサやソナーのようなセンサである。センサ部12は、例えば、人などの物体が自律移動体10に接近するのを検出する。
NW通信部13は、例えば、無線LANなどの無線通信によって、通信ネットワークNW1に接続し、通信ネットワークNW1を介した情報通信を行う。NW通信部13は、管制サーバ40との間で、通信ネットワークNW1を介して各種通信を行う。
【0027】
移動機構14は、自律移動体10が自律移動するための車輪、モータなどの駆動機構である。移動機構14は、後述する移動体制御部15によって制御され、作業区画内の移動や所定の作業を実行する際の移動の際に使用される。
【0028】
移動体記憶部16は、自律移動体10が利用する各種情報を記憶する。移動体記憶部16は、例えば、管制サーバ40から取得した作業区画や移動経路を含む地図情報、所定の作業の内容(作業内容)、所定の作業の妨げとなる障害に対する対応処理情報などを記憶している。
【0029】
移動体制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサなどであり、自律移動体10を統括的に制御する。移動体制御部15は、例えば、NW通信部13を介した管制サーバ40との間の各種通信を制御するとともに、移動体記憶部16が記憶する情報に基づいて、自律移動体10の自律移動及び所定の作業の実行を制御する。
【0030】
移動体制御部15は、例えば、移動体記憶部16が記憶する地図情報、及び作業内容情報に基づいて、移動機構14を制御して、自律移動体10を自律移動させるとともに、所定の作業を実行させる。また、移動体制御部15は、例えば、カメラ11が撮像した撮像画像、及びセンサ部12が検出した検出情報に基づいて、所定の作業の妨げとなる障害物を検出し、検出した障害物に対する回避処理(危険回避処理)を実行する。
【0031】
また、移動体制御部15は、NW通信部13を介して、管制サーバ40から後述する危険回避指示情報を受信した場合に、危険回避指示情報に応じて、予め設定されている危険回避処理を実行する。具体的に、移動体制御部15は、危険回避指示情報に応じて、移動体記憶部16に予め記憶されている、以下の(1)~(3)のような危険回避処理を実行する。なお、危険回避指示情報には、例えば、管制サーバ40が区画センサ30の検出データに基づいて検知した作業区画内の危険物(障害物)の種類、大きさ、位置などの情報が含まれる。
【0032】
(1)移動体制御部15は、自ら(自律移動体10)が検出した障害に基づく危険回避処理(第1の危険回避処理)を実行する。この場合、移動体制御部15は、危険回避指示情報に応じて、カメラ11及びセンサ部12によって検出した障害物に対する回避処理を実行する。ここで、回避処理は、例えば、その場所で停止して障害物が移動するのを待つ処理、障害物を避けた別経路で移動する処理、障害物を避けて後退する処理などである。
【0033】
(2)移動体制御部15は、受信した危険回避指示情報を自ら(自律移動体10)が検出した障害に基づいて補正し、補正した危険回避指示情報に基づく危険回避処理(第2の危険回避処理)を実行する。この場合、移動体制御部15は、危険回避指示情報に含まれる危険物(障害物)の種類、大きさ、位置など情報を、カメラ11及びセンサ部12によって検出した障害物の位置情報により補正して、正確な情報に基づいて、障害物に対する回避処理を実行する。なお、回避処理は、上述した(1)と同様である。
【0034】
(3)移動体制御部15は、受信した危険回避指示情報に基づく危険回避処理(第3の危険回避処理)を実行する。この場合、移動体制御部15は、危険回避指示情報に含まれる危険物(障害物)の種類、大きさ、位置など情報に基づいて、障害物に対する回避処理を実行する。なお、回避処理は、上述した(1)と同様である。
【0035】
移動体記憶部16には、上述した(1)~(3)の危険回避処理のうちの1つが固定で予め記憶されていてもよいし、管制サーバ40からの指示により、(1)~(3)の危険回避処理のうちの1つを設定するように変更可能であってもよい。
また、移動体記憶部16には、例えば、障害物の種類や対象の作業区画の種類に応じて、上述した(1)~(3)のうちの異なる危険回避処理が設定されていてもよい。
【0036】
自律移動体20は、センサ部21と、NW通信部22と、移動機構23と、移動体制御部24と、移動体記憶部25とを備える。
センサ部21は、例えば、焦電型の人感センサやソナーのようなセンサである。センサ部21は、例えば、人などの物体が自律移動体20に接近するのを検出する。
【0037】
NW通信部22は、例えば、無線LANなどの無線通信によって、通信ネットワークNW1に接続し、通信ネットワークNW1を介した情報通信を行う。NW通信部13は、管制サーバ40との間で、通信ネットワークNW1を介して各種通信を行う。
【0038】
移動機構23は、自律移動体20が自律移動するための車輪、モータなどの駆動機構である。移動機構23は、後述する移動体制御部24によって制御され、作業区画内の移動や所定の作業を実行する際の移動の際に使用される。
【0039】
移動体記憶部25は、自律移動体20が利用する各種情報を記憶する。移動体記憶部25は、例えば、管制サーバ40から取得した作業区画や移動経路を含む地図情報、所定の作業の内容、所定の作業の妨げとなる障害に対する対応処理情報などを記憶している。
【0040】
移動体制御部24は、例えば、CPUを含むプロセッサなどであり、自律移動体20を統括的に制御する。移動体制御部24は、例えば、NW通信部22を介した管制サーバ40との間の各種通信を制御するとともに、移動体記憶部25が記憶する情報に基づいて、自律移動体20の自律移動及び所定の作業の実行を制御する。
【0041】
移動体制御部24は、例えば、移動体記憶部25が記憶する地図情報、及び作業内容情報に基づいて、移動機構23を制御して、自律移動体20を自律移動させるとともに、所定の作業を実行させる。また、移動体制御部24は、例えば、センサ部21が検出した検出情報に基づいて、所定の作業の妨げとなる障害物を検出し、検出した障害物に対する回避処理(危険回避処理)を実行する。
【0042】
また、移動体制御部24は、NW通信部22を介して、管制サーバ40から後述する危険回避指示情報を受信した場合に、危険回避指示情報に応じて、予め設定されている危険回避処理を実行する。具体的に、移動体制御部24は、危険回避指示情報に応じて、移動体記憶部25に予め記憶されている危険回避処理を実行する。
【0043】
なお、移動体記憶部25に予め記憶されている危険回避処理は、例えば、上述した(1)~(3)のような危険回避処理と同様である。また、危険回避指示情報には、例えば、管制サーバ40が区画センサ30の検出データに基づいて検知した作業区画内の危険物(障害物)の種類、大きさ、位置などの情報が含まれる。
【0044】
管制サーバ40は、NW通信部41と、センサ通信部42と、管制制御部43と、サーバ記憶部44とを備える。
NW通信部41は、例えば、無線LANなどの無線通信によって、通信ネットワークNW1に接続し、通信ネットワークNW1を介した情報通信を行う。NW通信部41は、自律移動体10又は自律移動体20との間で、通信ネットワークNW1を介して各種通信を行う。
【0045】
センサ通信部42は、例えば、無線LANや省電力広域無線などの無線通信によって、通信ネットワークNW2に接続し、通信ネットワークNW2を介した情報通信を行う。センサ通信部42は、区画センサ30(31、32、・・・)との間で、通信ネットワークNW2を介して各種通信を行う。
【0046】
サーバ記憶部44は、管制サーバ40が利用する各種情報を記憶する。サーバ記憶部44は、例えば、作業情報記憶部441と、区画情報記憶部442とを備える。
作業情報記憶部441は、自律移動体10及び自律移動体20の運用計画を示す運用計画ファイルを記憶する。ここで、運用計画ファイルには、例えば、移動体識別子、作業区画識別子、作業の開始時刻、及び周期(一日ごと、曜日、月の何日、年月日等)などの作業内容や、自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれの活動状況を把握する上で必要な情報などが含まれる。また、移動体識別子は、自律移動体10又は自律移動体20を識別する識別子を示し、作業区画識別子は、作業区画を識別する識別子を示している。
【0047】
区画情報記憶部442は、例えば、作業区画や移動経路を示す情報であり、作業区画を示す地図情報を記憶する。区画情報記憶部442が記憶する地図情報は、自律移動体10及び自律移動体20の作業区画や移動経路を求める際に利用される。
【0048】
管制制御部43は、例えば、CPUを含むプロセッサなどであり、管制サーバ40を統括的に制御する。管制制御部43は、例えば、区画センサ30(31、32、・・・)が検出した情報(例えば、撮像画像)を、センサ通信部42を介して、各区画センサ30(31、32、・・・)から取得し、取得した情報に基づいて、各作業区画における障害物(危険物)を検知する。
【0049】
管制制御部43は、例えば、作業情報記憶部441が記憶する運用計画ファイルを取得するとともに、区画情報記憶部442が記憶する地図情報を取得する。管制制御部43は、取得した運用計画ファイル及び地図情報から、各自律移動体(10、20)に対応する作業区画及び移動経路を確定する。管制制御部43は、確定した作業区画及び移動経路に対応する区画センサ30(31、32)が検出した情報(撮像画像)を取得する。
【0050】
管制制御部43は、例えば、図2に示すように、作業区画内の異なる場所に設置された複数の区画センサ30(31、32)が検出した情報(撮像画像)に基づいて作業区画内における障害物を検知する。
【0051】
また、管制制御部43は、例えば、作業区画における障害物を検知した場合に、検知した障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業区画内の自律移動体(10、20)に送信して、当該自律移動体(10、20)に危険回避させる。管制制御部43は、作業区画における障害物を検知した場合に、例えば、検知した障害物の種類、大きさ、位置などの情報を含む危険回避指示情報を、NW通信部41を介して、当該作業区画内に存在する自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれに送信する。
【0052】
次に、図面を参照して、本実施形態による自律移動体運用システム1の動作について説明する。
図4は、本実施形態における管制サーバ40の動作の一例を示すフローチャートである。
【0053】
図4に示すように、管制サーバ40は、まず、自律移動体(10、20)の作業情報を取得する(ステップS101)。管制サーバ40の管制制御部43は、作業情報記憶部441が記憶する運用計画ファイルから自律移動体(10、20)の作業情報を取得する。
【0054】
次に、管制制御部43は、作業情報から作業区画又は移動経路となる区画を特定する(ステップS102)。管制制御部43は、さらに、区画情報記憶部442から地図情報を取得し、取得した作業情報及び地図情報から、作業区画又は移動経路となる区画(作業区画)を対象区画として特定する。
【0055】
次に、管制制御部43は、作業区画又は移動経路となる区画の区画センサ30のセンサ情報を取得する(ステップS103)。すなわち、管制制御部43は、対象区画に対応する区画センサ30が検出したセンサ情報(撮像画像)を、センサ通信部42を介して、通信ネットワークNW2経由で取得する。
【0056】
次に、管制制御部43は、作業区画に障害物かあるか否かを判定する(ステップS104)。管制制御部43は、区画センサ30から取得したセンサ情報に基づいて、対象区画にある障害物を検知することにより、作業区画(対象区画)に障害物かあるか否かを判定する。管制制御部43は、作業区画に障害物かある場合(ステップS104:YES)に、処理をステップS105に進める。また、管制制御部43は、作業区画に障害物かない場合(ステップS104:NO)に、処理をステップS107に進める。
【0057】
ステップS105において、管制制御部43は、自律移動体(10、20)に危険回避指示情報を送信する。管制制御部43は、例えば、検知した障害物の種類、大きさ及び位置などを含む危険回避指示情報を、対象区画に存在する自律移動体10及び自律移動体20)の全てに送信する。ここで、管制制御部43は、NW通信部41を介して、通信ネットワークNW1経由で、自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれに、危険回避指示情報を送信する。
【0058】
次に、管制制御部43は、所定の期間待機する(ステップS106)。すなわち、管制制御部43は、危険回避指示情報を送信した自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれが、危険回避処理を実行できる所定の期間、待機する。ステップS106の処理後に、管制制御部43は、処理をステップS103に戻す。
【0059】
また、ステップS107において、管制制御部43は、自律移動体(10、20)の危険回避指示を解除する。管制制御部43は、NW通信部41を介して、通信ネットワークNW1経由で、自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれに、危険回避の解除指示を送信する。ステップS107の処理後に、管制制御部43は、処理をステップS101に戻す。
【0060】
なお、図4に示す例では、ステップS107において、管制制御部43は、毎回、自律移動体(10、20)の危険回避指示を解除する処理を実行しているが、危険回避指示情報を送信した場合にだけ、危険回避指示を解除する処理を実行するようにしてもよい。
【0061】
また、ステップS105において、危険回避指示情報を送信された自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれは、予め定められた危険回避処理を実行する。
例えば、自律移動体20は、管制サーバ40からの危険回避指示情報を受信すると、危険回避行動、すなわち危険回避指示情報に含まれている障害物の位置に対して一定距離を確保した状態で移動を一時停止する。
【0062】
一方、自律移動体10は、自身で障害検知が可能であるため、危険回避指示情報に応じて、例えば、上述した(1)~(3)の危険回避処理のうちの、予め設定されたいずれかの処理を実行する。
【0063】
このように、本実施形態による自律移動体運用システム1では、管制サーバ40が、自律移動体(10、20)の機種に依存せずに、危険回避指示情報を送信することで運用を単純化することが可能になる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態による自律移動体運用システム1は、複数種類の自律移動体(10、20)と、管制サーバ40とを備える。複数種類の自律移動体(10、20)は、移動を伴う所定の作業を行う複数種類の自律移動体(10、20)であって、所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる移動体である。管制サーバ40は、複数種類の自律移動体(10、20)の作業区画(作業領域、例えば、図2の作業区画AR1)に設置された区画センサ30(センサ)が検出した情報(センサ情報)に基づいて作業区画内における障害物を検知した場合に、危険回避指示情報を、当該作業区画内の自律移動体(10、20)に送信して、当該自律移動体(10、20)に危険回避させる。ここで、危険回避指示情報は、障害物に対する危険を回避させる情報である。
【0065】
これにより、本実施形態による自律移動体運用システム1では、管制サーバ40が、作業区画内における障害物を検知した場合に、障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体(10、20)に対して、同一の危険回避指示情報を自律移動体(10、20)のそれぞれに送信して、障害物に対する危険を回避させる。そのため、本実施形態による自律移動体運用システム1例えば、仕様や機能が異なる自律移動体(10、20)に対して同じような運用を行うことができる。
【0066】
すなわち、本実施形態による自律移動体運用システム1は、機種ごとに運用方法を変更する煩わしさを軽減することができる。また、本実施形態による自律移動体運用システム1は、障害物の検知能力が低い自律移動体20であっても、作業区画に設置した区画センサ30からの情報を組み合わせて障害物の検知を行い、適切に障害物を回避する動作を行わせることができるため、運用範囲が広げることが可能となる。
【0067】
その結果、本実施形態による自律移動体運用システム1は、例えば、運用範囲の広い一部の種類の自律移動体10の使用頻度が上昇することはなく、メンテナンスの手間が上昇することもない。よって、本実施形態による自律移動体運用システム1は、自律移動体(10、20)を効率良く適切に運用することができる。
【0068】
また、本実施形態では、複数種類の自律移動体(10、20)には、自律移動体10(第1の自律移動体)と、自律移動体20(第2の自律移動体)とが含まれる。自律移動体10は、画像の撮像による検出手法(第1の検出手法)により障害を検出するカメラ11(第1検出部)を備える。また、自律移動体20は、焦電型の人感センサによる検出手法(第2の検出手法)により障害を検出するセンサ部21(第2検出部)を備える。自律移動体10と、自律移動体20とのそれぞれは、危険回避指示情報に応じて、予め設定されている危険回避処理を実行する。
【0069】
これにより、本実施形態による自律移動体運用システム1は、自律移動体10と、自律移動体20とのそれぞれが、危険回避指示情報に応じて、予め設定されている危険回避処理を実行するため、障害の検出手法が異なっていても管制サーバ40が検出した障害物への対応を適切に行うことができる。
【0070】
また、本実施形態では、自律移動体10と、自律移動体20とのそれぞれは、危険回避指示情報に応じて、上述した(1)~(3)の危険回避処理のいずれかを、予め設定されている危険回避処理として実行する。ここで、(1)の危険回避処理は、自らが検出した障害に基づく第1の危険回避処理であり、(2)の危険回避処理は、受信した危険回避指示情報を自らが検出した障害に基づいて補正し、補正した危険回避指示情報に基づく第2の危険回避処理である。また、(3)の危険回避処理は、受信した危険回避指示情報に基づく第3の危険回避処理である。
【0071】
これにより、本実施形態による自律移動体運用システム1では、予め設定されている危険回避処理により、自律移動体10と、自律移動体20とのそれぞれは、適切に危険を回避することが出来る。
【0072】
また、本実施形態では、区画センサ30には、作業区画の異なる場所に設置された複数の区画センサ30(例えば、図2に示す区画センサ31及び区画センサ32)が含まれる。管制サーバ40は、異なる場所に設置された複数の区画センサ30(31、32)が検出した情報に基づいて作業区画内における障害物を検知する。
【0073】
これにより、本実施形態による自律移動体運用システム1では、複数の区画センサ30によって、さらに精度よく作業区画内における障害物を検知することができる。
【0074】
また、本実施形態による自律移動体運用方法は、上述した所定の作業の妨げとなる障害の検出手法が異なる複数種類の自律移動体(10、20)を運用する自律移動体運用方法である。本実施形態による自律移動体運用方法は、管制サーバ40が、複数種類の自律移動体(10、20)の作業区画に設置された区画センサ30が検出した情報に基づいて作業区画内における障害物を検知した場合に、障害物に対する危険を回避させる危険回避指示情報を、当該作業区画内の自律移動体(10、20)に送信して、当該自律移動体(10、20)に危険回避させる。
【0075】
これにより、本実施形態による自律移動体運用方法は、上述した自律移動体運用システム1と同様の効果を奏し、自律移動体(10、20)を効率良く適切に運用することができる。
【0076】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による自律移動体運用システム1aについて説明する。第2の実施形態による自律移動体運用システム1aは、自律移動体(10、20)が作業区画を昇降機により移動する場合に対応する変形例である。
【0077】
図5は、第2の実施形態による自律移動体運用システム1aの一例を示す概念図である。
図5に示すように、自律移動体運用システム1aは、エレベータ50を備えており、本実施形態は、フロア(階)の異なる作業区画において作業を行う自律移動体(10、20)を管制する場合の適用例である。
【0078】
エレベータ50は、自律移動体(10、20)又は人がフロア(階)の異なる作業区画を移動可能な昇降機である。エレベータ50は、例えば、人及び荷物兼用のエレベータである。ここでは、エレベータ50で移動可能な各フロア(各階)には、エレベータホールがあるものとする。また、本実施形態において、エレベータホールは、作業領域の一例である。
【0079】
図5に示す例では、例えば、エレベータホールEH1において、区画センサ31及び区画センサ32が、異なる位置に設置されており、双方の視野角を用いてエレベータホールEH1に存在する物体(人を含む)の位置や大きさを検出可能となっている。
【0080】
なお、本実施形態による自律移動体運用システム1aの構成は、図3に示す第1の実施形態による自律移動体運用システム1と同様であり、ここではその説明を省略する。また、第1の実施形態による自律移動体運用システム1aにおいて、第1の実施形態による自律移動体運用システム1と同一の構成には同一の符号を付与してその説明を省略する。
本実施形態では、管制サーバ40の管制制御部43の処理に、エレベータ50に関する処理が追加されている点が、第1の実施形態と異なり、ここでは、このエレベータ50に関する処理について説明する。
【0081】
本実施形態における管制制御部43は、エレベータ50に関する処理として、自律移動体(10、20)が、エレベータ50を用いて作業区画(作業領域内)を移動する際に、移動先のエレベータホールEH1に設置された区画センサ30(区画センサ31及び区画センサ32)が、障害の発生を検出した場合に、危険回避指示情報を、自律移動体(10、20)に送信する。この場合、管制制御部43は、エレベータ50から降りる前に、エレベータ50の昇降に関する危険回避指示情報を、エレベータ50を用いる自律移動体(10、20)に送信する。
【0082】
なお、管制制御部43は、エレベータ50から降りる前のタイミングとして、自律移動体(10、20)がエレベータ50に乗り込む前、もしくは目的階に到着する前に、危険回避指示情報を自律移動体(10、20)に送信することが望ましい。
また、エレベータ50の昇降に関する危険回避指示情報には、例えば、エレベータ50の昇降を中止する指示情報などが含まれる。
【0083】
次に、図面を参照して、本実施形態による自律移動体運用システム1aの動作について説明する。
ここでは、図6を参照して、本実施形態による自律移動体運用システム1aのエレベータ50による移動に関する管制サーバ40の動作について説明する。なお、本実施形態による自律移動体運用システム1aにおける通常の作業区画に関する動作は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0084】
図6は、本実施形態における自律移動体(10、20)のエレベータ50による移動に関する管制サーバ40の動作の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、自律移動体(10、20)が、図5におけるエレベータホールEH2からエレベータホールEH1に移動する場合の処理について説明する。
【0085】
図6に示すように、管制サーバ40の管制制御部43は、まず、自律移動体(10、20)が、エレベータ50で移動するか否かを判定する(ステップS201)。管制制御部43は、例えば、作業情報記憶部441が記憶する運用計画ファイル内の作業情報により、自律移動体(10、20)が、エレベータ50で移動るか否かを判定する。管制制御部43は、自律移動体(10、20)が、エレベータ50で移動する場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、管制制御部43は、自律移動体(10、20)が、エレベータ50で移動しない場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0086】
ステップS202において、管制制御部43は、移動先のエレベータホールEH1の区画センサ30(31、32)のセンサ情報を取得する。管制制御部43は、エレベータホールEH1に対応する区画センサ30が検出したセンサ情報(撮像画像)を、センサ通信部42を介して、通信ネットワークNW2経由で取得する。
【0087】
次に、管制制御部43は、移動先のエレベータホールEH1(移動先の作業領域)に障害物があるか否かを判定する(ステップS203)。管制制御部43は、区画センサ30から取得したセンサ情報に基づいて、エレベータホールEH1にある障害物を検知することにより、エレベータホールEH1に障害物かあるか否かを判定する。管制制御部43は、エレベータホールEH1に障害物かある場合(ステップS203:YES)に、処理をステップS204に進める。また、管制制御部43は、エレベータホールEH1に障害物かない場合(ステップS203:NO)に、処理をステップS206に進める。
【0088】
ステップS204において、管制制御部43は、自律移動体(10、20)に危険回避指示情報を送信する。管制制御部43は、例えば、検知した障害物の種類、大きさ及び位置などを含む危険回避指示情報を、エレベータホールEH1に移動する自律移動体10及び自律移動体20)のそれぞれに送信する。ここで、管制制御部43は、NW通信部41を介して、通信ネットワークNW1経由で、自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれに、危険回避指示情報を送信する。
【0089】
次に、管制制御部43は、所定の期間待機する(ステップS205)。すなわち、管制制御部43は、危険回避指示情報を送信した自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれが、危険回避処理を実行できる所定の期間、待機する。ステップS205の処理後に、管制制御部43は、処理をステップS202に戻す。
【0090】
また、ステップS206において、管制制御部43は、自律移動体(10、20)の危険回避指示を解除する。管制制御部43は、NW通信部41を介して、通信ネットワークNW1経由で、自律移動体10及び自律移動体20のそれぞれに、危険回避の解除指示を送信する。ステップS206の処理後に、管制制御部43は、処理をステップS201に戻す。
【0091】
なお、ステップS206の処理において、管制制御部43は、毎回、自律移動体(10、20)の危険回避指示を解除する処理を実行しているが、危険回避指示情報を送信した場合にだけ、危険回避指示を解除する処理を実行するようにしてもよい。
【0092】
以上説明したように、本実施形態による自律移動体運用システム1aでは、複数種類の自律移動体(10、20)は、それぞれエレベータ50(昇降機)を用いて作業区画を移動可能である。区画センサ30(例えば、区画センサ31及び区画センサ32)は、エレベータ50から降りた直後に通過する領域(エレベータホールEH1)を作業区画(作業領域)として監視するよう設置されている。管制サーバ40は、自律移動体(10、20)が、エレベータ50を用いてエレベータホール(EH1、EH2など)を移動する際に、移動先のエレベータホールEH1に設置された区画センサ30が、障害の発生(例えば、障害物)を検出した場合に、エレベータ50から降りる前に、エレベータ50の昇降に関する危険回避指示情報を、エレベータ50を用いる自律移動体(10、20)に送信する。
【0093】
これにより、本実施形態による自律移動体運用システム1aは、自律移動体(10、20)の運用範囲の拡大とともに安全性を向上させることができる。すなわち、本実施形態による自律移動体運用システム1aは、自律移動体(10、20)側の障害物の検知機能では、例えば、フロア(階)が異なる移動先のエレベータホールに到着するまで、当該エレベータホールの障害物を検知することが不可能である。これに対して、本実施形態による自律移動体運用システム1aでは、移動先のエレベータホールの障害物を、区画センサ30を用いて自律移動体(10、20)が移動先のエレベータホールに到着する前に検知できるため、自律移動体(10、20)の運用範囲の拡大とともに安全性を向上させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、エレベータ50の昇降に関する危険回避指示情報には、エレベータ50の昇降を中止する指示情報が含まれる。
これにより、本実施形態による自律移動体運用システム1aは、移動先のエレベータホールに障害物がある場合に、自律移動体(10、20)が、エレベータ50の昇降を中止するため、エレベータホールにおける障害物に対する危険をより確実に回避させることができる。
【0095】
なお、本開示は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、管制サーバ40は、通信ネットワークNW1と通信ネットワークNW2との2つの通信ネットワークに接続する例を説明したが、これに限定されるものではない。通信ネットワークNW1と通信ネットワークNW2とは、例えば、1つの通信ネットワークにより構成するようにしてもよい。すなわち、上記の各実施形態において、通信ネットワークNW2は、区画センサ30の専用のネットワークとして設置されている例を説明したが、これに限定されるものではなく、通信ネットワークNW1と共用されるようにしてもよい。
【0096】
また、上記の各実施形態において、区画センサ30は、動画像を撮像可能なカメラ(監視カメラなど)である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、焦電型の人感センサやソナーなどのセンサを配列状に配置する方法で区画センサ30を構成してもよい。
【0097】
また、上記の各実施形態において、管制サーバ40は、作業情報記憶部441及び区画情報記憶部442を備えるサーバ記憶部44を含む例を説明したが、これに限定されるものではない。管制サーバ40は、サーバ記憶部44の一部又は全部を外部のファイルサーバなどに備えるようにしてもよい。また、作業情報記憶部441が記憶する作業情報に、作業区画及び移動経路の地図情報が含まれる場合には、自律移動体運用システム1(1a)は、区画情報記憶部442を備えない形態であってもよい。
【0098】
また、上記の各実施形態において、管制サーバ40は、1台のサーバ装置で構成される例を説明したが、これに限定されるものではなく、複数台のサーバ装置で構成されてもよい。
【0099】
また、上記の各実施形態において、異なる種類の自律移動体の一例として、自律移動体運用システム1(1a)は、カメラ11及びセンサ部12を備える自律移動体10と、センサ部21を備える自律移動体20とを備える例を説明うぃたが、これに限定されるものでない。異なる種類の自律移動体は、他の検出手法によって障害を検出する自律移動体であってもよい。
【0100】
また、上記の第2の実施形態において、昇降機の一例として、エレベータ50を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、エスカレータなど他の昇降機を用いるようにしてもよい。
【0101】
なお、上述した自律移動体運用システム1(1a)が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した自律移動体運用システム1(1a)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した自律移動体運用システム1(1a)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0102】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0103】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に自律移動体運用システム1(1a)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1,1a…自律移動体運用システム、10,20…自律移動体、11…カメラ、12,21…センサ部、13,22,41…NW通信部、14,23…移動機構、15,24…移動体制御部、16,25…移動体記憶部、31,32…区画センサ、40…管制サーバ、42…センサ通信部、43…管制制御部、44…サーバ記憶部、50…エレベータ、441…作業情報記憶部、442…区画情報記憶部、NW1,NW2…通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6