(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】供試体撮影装置、供試体撮影システム、供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/02 20060101AFI20241213BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20241213BHJP
G01M 5/00 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C19/00 H
G01M5/00
(21)【出願番号】P 2021095583
(22)【出願日】2021-06-08
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】戸中 英樹
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161341(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103411551(CN,A)
【文献】特開2019-052919(JP,A)
【文献】特開2007-333531(JP,A)
【文献】特開2001-356081(JP,A)
【文献】特開2021-043089(JP,A)
【文献】特開2021-039035(JP,A)
【文献】特開2003-185536(JP,A)
【文献】特開平02-205742(JP,A)
【文献】実開平03-002237(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0298887(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111442944(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/02
G01M 5/00
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の軸線周りに回転可能に設けられ、供試体を支持する供試体支持部と、
前記供試体支持部を前記軸線周りに回転駆動させる駆動部と、
前記供試体支持部に設けられ、前記供試体を撮影するカメラと
、
前記カメラを前記供試体支持部から前記回転軸の軸線方向に離間した位置で支持するカメラ支持部材と、を備え、
前記カメラ支持部材は、
前記軸線方向に延びる筒状に形成され、前記供試体支持部から前記軸線方向に延びる第一支持部と、
前記第一支持部から前記径方向外側に拡径して設けられ、前記第一支持部から前記回転軸の径方向に延び、前記カメラを支持する第二支持部と、を一体に備え
、
前記供試体は、前記第一支持部の径方向外側に配置される
供試体撮影装置。
【請求項2】
前記カメラは、
前記第二支持部に設けられ、前記供試体を撮影する撮影部と、
前記第一支持部の径方向内側に設けられ、前記撮影部で撮影された画像のデータを受け取る本体部と、を備えている
請求項
1に記載の供試体撮影装置。
【請求項3】
前記供試体支持部に設けられ、前記カメラを作動させるための電力を供給する電源部、
をさらに備える
請求項1
又は2に記載の供試体撮影装置。
【請求項4】
前記カメラで撮影された画像のデータを無線通信により外部に出力するデータ出力部、
をさらに備える
請求項1から
3の何れか一項に記載の供試体撮影装置。
【請求項5】
請求項1から
4の何れか一項に記載の供試体撮影装置と、
前記カメラで撮影された画像のデータに基づき、前記供試体の状態を監視する監視装置と、を備える
供試体撮影システム。
【請求項6】
前記監視装置は、
前記画像のデータに基づき、前記供試体の状態変化を検出する状態変化検出部と、
前記状態変化検出部で検出された前記供試体の状態変化の検出結果に基づき、前記供試体の状態についての判定を行う判定部と、をさらに備える
請求項
5に記載の供試体撮影システム。
【請求項7】
前記監視装置は、
前記供試体の初期状態が記録された初期画像を記憶する画像記憶部、をさらに備え、
前記状態変化検出部は、前記画像記憶部に記憶された前記供試体の初期画像と、前記画像のデータに基づく画像とを比較することで、前記供試体の状態変化を検出する
請求項
6に記載の供試体撮影システム。
【請求項8】
請求項
5から7のいずれか一項に記載の供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法であって、
前記供試体を前記供試体支持部とともに回転させるステップと、
前記供試体支持部に設けられた前記カメラで、回転中の前記供試体を撮影するステップと、
撮影された前記供試体の画像に基づき、前記供試体の状態を監視するステップと、を含む
供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、供試体撮影装置、供試体撮影システム、供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばタイヤの耐久試験機は、負荷を掛けた状態で高速回転させたタイヤをカメラで撮影し、撮影された画像(映像)に基づいて、タイヤの変形や損傷等の発生による状態変化を監視する。このようなタイヤをはじめとする各種の供試体を回転させながら供試体の撮影を行う場合、静止状態にあるカメラで、回転中の供試体を撮影している。すると、カメラと供試体との間に相対的な速度差が生じるため、供試体の撮影画像において、供試体の像のブレが生じやすい。これに対し、高速度カメラやストロボを用いた撮影を用いれば、撮影画像中における供試体の像のブレが抑えられる。しかしながら、高速度カメラやストロボを用いた撮影を行うには、コストが掛かる。
【0003】
例えば特許文献1には、カメラ等の機器を取り付ける取付台を、360度旋回する旋回機構によって回転軸周りに回転させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、回転中の供試体を、容易かつ低コストで撮影し、供試体の状態変化を効率良く監視することができる技術の開発が望まれている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、回転中の供試体を、容易かつ低コストで撮影し、供試体の状態変化を効率良く監視することができる供試体撮影装置、供試体撮影システム、供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る供試体撮影装置は、回転軸の軸線周りに回転可能に設けられ、供試体を支持する供試体支持部と、前記供試体支持部を前記軸線周りに回転駆動させる駆動部と、前記供試体支持部に設けられ、前記供試体を撮影するカメラと、を備える。
【0008】
本開示に係る供試体撮影システムは、上記したような供試体撮影装置と、前記カメラで撮影された画像のデータに基づき、前記供試体の状態を監視する監視装置と、を備える。
【0009】
本開示に係る供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法は、上記したような供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法であって、前記供試体を前記供試体支持部とともに回転させるステップと、前記供試体支持部に設けられた前記カメラで、回転中の前記供試体を撮影するステップと、撮影された前記供試体の画像に基づき、前記供試体の状態を監視するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の供試体撮影装置、供試体撮影システム、供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法によれば、回転中の供試体を、容易かつ低コストで撮影し、供試体の状態変化を効率良く監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る供試体撮影装置の斜視図である。
【
図2】本開示の第二実施形態に係る供試体撮影装置の立断面図である。
【
図3】本開示の第二実施形態に係る供試体撮影装置の平面図である。
【
図4】本開示の第三実施形態に係る供試体撮影システムの構成を示す図である。
【
図5】本開示の第三、第四実施形態に係る供試体撮影システムの監視装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】本開示の第三実施形態に係る監視装置の機能ブロック図である。
【
図7】本開示の第三実施形態に係る供試体システムの表示装置に表示される供試体の像の一例を示す図である。
【
図8】本開示の第三実施形態に係る供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法の手順を示すフローチャートである。
【
図9】本開示の第四実施形態に係る監視装置の機能ブロック図である。
【
図10】本開示の第四実施形態に係る供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法の手順を示すフローチャートである。
【
図11】本開示の第四実施形態に係る供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法における、供試体の状態を監視するステップの詳細な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る供試体撮影装置について、
図1~
図11を参照して説明する。
<第一実施形態>
(供試体撮影装置の構成)
図1に示すように、供試体撮影装置1は、供試体支持部2と、駆動部3と、カメラ5と、カメラ支持部材7と、を備えている。
【0013】
供試体支持部2は、供試体100Aを支持する。供試体支持部2は、例えば円板状に形成されている。供試体支持部2は、軸線O方向に延びる回転軸2sに直交する面に沿って設けられている。本実施形態において、回転軸2sは、軸線Oを鉛直上下方向に沿わせて設けられている。これにより、供試体支持部2は、水平面に沿って設けられている。供試体支持部2は、回転軸2sの一端に固定されている。供試体支持部2は、回転軸2sと一体に軸線O回りに回転可能に設けられている。供試体支持部2の一面側は、供試体支持面2fとされている。供試体支持部2は、例えば、供試体支持面2fを鉛直上方に向けている。供試体支持部2は、供試体支持面2fを、例えば水平方向に向けて配置してもよい。供試体100Aは、供試体支持面2fに、固定金具(図示なし)等を用いて固定される。
【0014】
駆動部3は、供試体支持部2を軸線O周りに回転駆動させる。駆動部3は、例えばモータであり、回転軸2sの他端に設けられている。駆動部3は、回転軸2s、及び供試体支持部2を、軸線O回りに所定の回転数で回転させる。
【0015】
カメラ5は、供試体支持部2に設けられている。カメラ5は、供試体支持部2の供試体支持面2fに支持された供試体100Aを撮影する。カメラ5は、カメラ支持部材7を介して、供試体支持部2に設けられている。カメラ支持部材7に支持されたカメラ5は、供試体100Aに対し、軸線Oを中心とした径方向の内側に配置されている。カメラ支持部材7は、供試体支持部2から回転軸2sの軸線O方向に離間した位置でカメラ5を支持する。カメラ5は、径方向外側に向かって供試体支持面2f側に傾斜した方向を撮影するように設けられている。カメラ5は、径方向内側から供試体100Aを撮影する。カメラ5は、供試体支持部2、および供試体100Aとともに、軸線O回りに回転する。
【0016】
カメラ5で撮影された画像のデータは、データ出力部(図示なし)によって外部に出力される。データ出力部(図示なし)は、画像のデータを、例えば、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信によって、外部に出力する。外部に出力された画像のデータは、外部のモニター等の表示装置によって取得される。外部のモニター等の表示装置では、取得した画像のデータに基づき、カメラ5で撮影された画像を表示する。これにより、表示された画像に基づいて、供試体100Aを回転させたときに生じる供試体100Aの状態変化を観察することができる。
【0017】
(作用効果)
本実施形態では、供試体撮影装置1のカメラ5が、供試体100Aを支持する供試体支持部2に設けられている。このため、駆動部3で供試体支持部2を回転軸2sの軸線O周りに回転させると、供試体支持部2とともに、供試体100Aとカメラ5とが一体に回転する。これにより、カメラ5と供試体100Aとの間に相対的な速度差が存在せず、カメラ5では回転中の供試体100Aを静止させたような状態で撮影することができる。したがって、高速度カメラやストロボを用いずに、回転中の供試体100Aを良い画質で撮影でき、供試体100Aの状態変化を容易に監視できる。その結果、回転中の供試体100Aを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100Aの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【0018】
また、カメラ支持部材7によって、供試体支持部2に支持された供試体100Aから回転軸2sの軸線O方向に離間した位置にカメラ5を配置することができる。したがって、回転中の供試体100Aを、軸線方向に離間した位置から見た、観察しやすい画像を撮影することができる。
【0019】
<第二実施形態>
次に本発明の第二実施形態に係る供試体撮影装置について、
図2,
図3を参照して説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
(供試体撮影装置の構成)
図2、
図3に示すように、供試体撮影装置11は、供試体支持部12と、駆動部13と、カメラ15と、カメラ支持部材17と、データ出力部19と、を備えている。
【0020】
供試体支持部12は、供試体100Bを支持する。本実施形態において、供試体100Bは、タイヤであり、例えば、中央部に開口100gが形成された円環状である。供試体支持部12は、例えば円板状に形成されている。供試体支持部12は、軸線O方向に延びる回転軸12sに直交する面に沿って設けられている。本実施形態において、回転軸12sは、軸線Oを鉛直上下方向に沿わせて設けられている。これにより、供試体支持部12は、水平面に沿って設けられている。供試体支持部12は、回転軸12sの一端に固定されている。供試体支持部12は、回転軸12sと一体に軸線O回りに回転可能に設けられている。供試体支持部12の一面側は、供試体支持面12fとされている。供試体支持部12は、例えば、供試体支持面12fを鉛直上方に向けている。供試体支持部12は、供試体支持面12fを、例えば水平方向に向けて配置してもよい。供試体100Bは、供試体支持面12fに、固定金具(図示なし)等を用いて固定される。
【0021】
駆動部13は、供試体支持部12を軸線O周りに回転駆動させる。駆動部13は、例えばモータであり、回転軸12sの他端に設けられている。駆動部13は、回転軸12s、及び供試体支持部12を、軸線O回りに所定の回転数で回転させる。
【0022】
カメラ15は、撮影部15aと、本体部15bと、を備えている。撮影部15aは、撮像素子を備え、画像の撮影を行う。撮影部15aは、画像として、静止画を撮影するものであってもよいし、動画を撮影するものであってもよい。本体部15bは、接続ケーブル15cを介して撮影部15aに接続されている。本体部15bは、撮影部15aの動作を制御する。本体部15bは、撮影部15aで撮影した画像を受け取る。本体部15bは、撮影部15aで撮影した画像を記録するメモリ(図示なし)を有している。カメラ15は、供試体支持部12に設けられている。カメラ15は、カメラ支持部材17を介して、供試体支持部12に設けられている。
【0023】
カメラ支持部材17は、供試体支持部12の供試体支持面12fに基台17dを介して取り付けられている。カメラ支持部材17は、第一支持部17aと、第二支持部17bと、を一体に有している。
【0024】
第一支持部17aは、供試体支持部12から軸線O方向に突出して延びている。第一支持部17aは、軸線O方向に延びる円筒状に形成されている。第一支持部17aは、供試体支持部12の中央部に設けられている。供試体100Bは、第一支持部17aの径方向Dr外側に配置される。第一支持部17aは、供試体100Bよりも軸線O方向に突出している。
【0025】
第二支持部17bは、第一支持部17aから連続して径方向Dr外側に拡径して設けられている。第二支持部17bは、軸線O方向において供試体支持面12fから離間するにしたがって、径方向Dr外側に湾曲して延びている。第二支持部17bは、供試体支持面12f上に配置された供試体100Bにおいて上方を向く側面(タイヤサイドウォール面)100sに対し、軸線O方向で対向する対向部17tを有している。対向部17tは、軸線O方向に交差する面に沿って形成されている。本実施形態において、対向部17tは、軸線O方向に直交する水平面に沿って形成されている。これにより、対向部17tは、供試体100Bの側面100sを、上方から覆うように配置されている。
【0026】
第二支持部17bは、カメラ15の撮影部15aを支持する。撮影部15aは、第二支持部17bの対向部17tに固定されている。これにより、撮影部15aは、供試体100Bの側面100sに対し、軸線O方向で対向する位置に配置されている。このような撮影部15aは、軸線O回りの周方向に間隔をあけて複数台が設けられている。各撮影部15aは、供試体100Bの側面100sを、軸線O方向に離れた位置から撮影する。複数台の撮影部15aは、供試体100Bの全体を撮影できるよう、それぞれの撮影部15aにおける撮影範囲の少なくとも一部が互いに重なり合うように配置されている。本実施形態では、撮影部15aは、例えば4台設けられている。
【0027】
カメラ15の本体部15bは、筒状の第一支持部17aの径方向Dr内側に配置されている。本体部15bは、第一支持部17aの径方向Dr内側で、供試体支持部12に固定されている。
【0028】
また、第一支持部17aの径方向Dr内側には、供試体100Bを回転させて行う試験の際に用いる機器類(図示なし)や、これらの機器類や本体部15bに電力を供給する電源部20が配置されている。これらの機器類や電源部20は、第一支持部17aの径方向Dr内側で、供試体支持部12に固定されている。
ここで、電源部20としては、電力を蓄えるバッテリーを用いることができる。電源部20にバッテリーを用いることで、外部から機器類や本体部15bに給電するための配線を設ける必要がない。また、電源部20として、バッテリーに加えて、外部への配線を用いない無線給電によりバッテリーに蓄電する構成を備えても良い。バッテリーに無線給電する手段としては、例えば、第二支持部17b等に太陽光発電パネルを設け、太陽光発電パネルに光を照射することで生成された電力をバッテリーに蓄電するようにしてもよい。
【0029】
データ出力部19は、カメラ15で撮影された画像のデータを、例えば、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信によって、外部に出力する。外部に出力された画像のデータは、外部のモニター等の表示装置によって取得される。外部のモニター等の表示装置では、取得した画像のデータに基づき、カメラ15で撮影された画像を表示する。これにより、表示された画像に基づいて、供試体100Bを回転させたときに生じる供試体100Bの状態変化を観察することができる。
【0030】
(作用効果)
本実施形態では、供試体撮影装置11のカメラ15が、供試体100Bを支持する供試体支持部12に設けられている。このため、駆動部13で供試体支持部12を回転軸12sの軸線O周りに回転させると、供試体支持部12とともに、供試体100Bとカメラ15とが一体に回転する。これにより、カメラ15と供試体100Bとの間に相対的な速度差が存在せず、カメラ15では回転中の供試体100Bを静止させたような状態で撮影することができる。したがって、高速度カメラやストロボを用いずに、回転中の供試体100Bを良い画質で撮影でき、供試体100Bの状態変化を容易に監視できる。その結果、回転中の供試体100Bを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100Bの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【0031】
また、カメラ支持部材17によって、供試体支持部12に支持された供試体100Bから回転軸12sの軸線O方向に離間した位置にカメラ15を配置することができる。したがって、回転中の供試体100Bを、軸線O方向に離間した位置から見た、観察しやすい画像を撮影することができる。
【0032】
また、カメラ支持部材17は、第一支持部17aと、第二支持部17bと、を一体に備えている。これにより、カメラ15を支持する第二支持部17bが、供試体100Bに対して軸線O方向に離間した位置で対向することになる。これにより、カメラ15を供試体100Bに対して軸線O方向から正対させることができ、回転中の供試体100Bを効率良く観察することが可能となる。
【0033】
また、筒状の第一支持部17aの径方向Dr内側に、カメラ15に関連する本体部15bや、その他の機器、電源部20等を配置することができる。また、回転中の供試体100Bが万が一破損した場合、供試体100Bの破片は、遠心力により、主に径方向Dr外側に飛散する。供試体100Bは、筒状の第一支持部17aの径方向Dr外側に配置されているので、供試体100Bの破片が筒状の第一支持部17aの径方向Dr内側に侵入するのを抑えることができる。
また、第一支持部17aから径方向Dr外側に拡径する第二支持部17bによって、供試体100Bが軸線O方向に離間した位置で覆われる。回転中の供試体100Bが万が一破損した場合等に、第二支持部17bによって供試体100Bの破片に軸線O方向に飛散するのを抑えることができる。
【0034】
また、カメラ15の撮影部15aのみを第二支持部17bに設けることで、供試体支持部12とともに回転するカメラ支持部材17に対し、カメラ15の質量によって作用する回転モーメントを小さくすることができる。また、撮影部15aをなるべく軽量に構成し、本体部15bを重くして第一支持部17aの径方向Dr内側に設けることで、撮影部15a、本体部15bの重量による回転モーメントの影響を抑えることができる。
【0035】
また、供試体支持部12に電源部20を備えることで、供試体支持部12に設けられたカメラ15に対して電力を供給するための配線を、供試体撮影装置11の外部から設ける必要がなく、配線の手間を抑えることができる。
【0036】
<第三実施形態>
次に本発明の第三実施形態に係る供試体撮影装置、供試体撮影システムについて、
図4~
図8を参照して説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
(供試体撮影システムの構成)
図4に示すように、供試体撮影システム10Cは、供試体撮影装置11と、監視装置60Cと、表示装置90と、を備えている。
【0037】
供試体撮影装置11は、上記第二実施形態と同様、供試体100Bを支持する供試体支持部12に設けられたカメラ15で、供試体100Bを撮影する。供試体撮影装置11のデータ出力部19は、カメラ15で撮影した画像のデータを、無線通信により外部の監視装置60Cに転送する。
カメラ15は、カメラ15で撮影した画像の画質(画素数)を低画質(画素数が少ない)に変換し、変換後の画像のデータを、監視装置60Cに転送するようにしてもよい。これにより、データ出力部19から監視装置60Cへのデータ転送量が少なくなり、より高速な通信を行うことができる。この場合、カメラ15は、内蔵のメモリ(図示なし)に、返還前の高画質の画像のデータを記憶させておく。
【0038】
(ハードウェア構成図)
監視装置60Cは、カメラ15で撮影された画像のデータに基づき、供試体100Bの状態を監視する。
図5に示すように、監視装置60Cは、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD64(Hard Disk Drive)、信号受信モジュール65を備えるコンピュータである。信号受信モジュール65は、データ出力部19からのデータを受信する。
【0039】
(機能ブロック図)
図6に示すように、監視装置60CのCPU61が予め自装置で記憶するプログラムを実行することにより、監視装置60Cは、画像取得部81、領域指定受付部82、監視部83の各構成を備える。
画像取得部81は、ハードウェア的には信号受信モジュール65であり、各カメラ15からの画像のデータを取得(受信)する。
【0040】
領域指定受付部82は、画像取得部81で受信したデータに基づき、カメラ15で撮影した供試体100Bの画像を表示装置90に表示させる。領域指定受付部82は、監視装置60Cのオペレータが所定の操作を行った場合に、
図7に示すように、表示装置90に表示された画像上において、監視対象とする領域Aの指定を受け付ける。指定する領域Aは、供試体100Bの画像上の一部であってもよいし、表示装置90に表示された全域であってもよい。領域Aの指定は、例えば、供試体100Bを回転させている間に、表示装置90に表示される画像を目視しているオペレータが、供試体100Bに例えば傷や亀裂等が生じたことを認識した場合に、傷や亀裂等が生じた部位を含むように行ってもよい。また、領域指定受付部82は、例えば、オペレータが、領域A内で監視すべき項目として、例えば、傷や亀裂、変形の幅や長さ、変位量等の指定を受け付けるようにしても良い。
【0041】
監視部83は、画像取得部81でデータが取得された画像のうち、領域指定受付部82で指定された領域Aについて、適宜の画像処理技術によって、回転中の供試体100Bの状態変化を監視する。例えば、領域Aにおいて、供試体100Bに生じた傷や亀裂、変形等の状態変化を監視する。これには、監視部83は、例えば、所定の時間間隔毎に撮影される複数の画像同士を比較し、時間的に前後する複数の画像間で、領域A内で生じる変化を検出する。また、監視部83は、領域A内で監視すべき項目の指定を領域指定受付部82で受け付けた場合、領域A内の傷や亀裂100K、変形100Fの幅や長さ、変位量等が、予め定めた管理値(閾値)を越えた場合に、アラームの発報、供試体撮影装置11の緊急停止等を実施してもよい。
【0042】
(供試体の撮影方法の手順)
図8に示すように、本開示の実施形態に係る供試体撮影システム10Cにおける供試体100Bの撮影方法S1は、供試体100Bを回転させるステップS3と、供試体100Bを撮影するステップS4と、供試体100Bの状態を監視するステップS5と、を含んでいる。
【0043】
供試体100Bを回転させるステップS3では、駆動部13により、供試体支持部12を、軸線O回りに所定の回転数で回転させる。これにより、供試体100Bが、供試体支持部12とともに回転される。
【0044】
供試体100Bを撮影するステップS4では、供試体支持部12に設けられた複数のカメラ15のそれぞれで、回転中の供試体100Bを撮影する。各カメラ15で撮影された供試体100Bの画像のデータは、データ出力部19に転送される。データ出力部19では、転送された画像のデータを、例えば、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信によって、外部の監視装置60Cに出力する。
【0045】
供試体100Bの状態を監視するステップS5では、撮影された供試体100Bの画像に基づき、供試体100Bの状態を監視する。
このステップS5では、監視装置60Cの画像取得部81で、データ出力部19から出力された画像のデータを取得(受信)する。監視装置60Cは、画像取得部81で受信したデータに基づき、カメラ15で撮影した供試体100Bの画像を表示装置90に表示させる。監視装置60Cのオペレータが所定の操作を行った場合、領域指定受付部82は、表示装置90に表示された画像上において、監視対象とする領域Aの指定を受け付ける。
監視部83では、画像のうち、領域指定受付部82で指定された領域Aについて、適宜の画像処理技術によって、回転中の供試体100Bの状態変化を監視する。監視部83では、領域A内の傷や亀裂100K、変形100Fの幅や長さ、変位量等が、予め定めた管理値(閾値)を越えた場合に、アラームの発報、供試体撮影装置11の緊急停止等を実施する。
【0046】
(作用効果)
本実施形態では、供試体撮影システム10Cは、カメラ15で撮影された画像のデータに基づき、供試体100Bの状態を監視する監視装置60Cを備える。
これにより、高速度カメラやストロボ撮影を用いることなく、供試体撮影装置11で撮影された画像に基づいて、回転中の供試体100Bの状態を容易に監視することができる。
【0047】
また、上記第二実施形態と同様、供試体撮影装置11のカメラ15が、供試体100Bを支持する供試体支持部12に設けられている。このため、駆動部13で供試体支持部12を回転軸12sの軸線O周りに回転させると、供試体支持部12とともに、供試体100Bとカメラ15とが一体に回転する。これにより、カメラ15と供試体100Bとの間に相対的な速度差が存在せず、カメラ15では回転中の供試体100Bを静止させたような状態で撮影することができる。したがって、高速度カメラやストロボを用いずに、回転中の供試体100Bを良い画質で撮影でき、供試体100Bの状態変化を容易に監視できる。その結果、回転中の供試体100Bを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100Bの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態の供試体撮影システム10Cにおける供試体100Bの撮影方法S1では、供試体100Bを供試体支持部12とともに回転させる。これにより、供試体撮影装置11の供試体100Bと一体に回転するカメラ15で撮影された画像に基づいて、回転中の供試体100Bの状態変化を容易に監視することができる。その結果、回転中の供試体100Bを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100Bの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【0049】
<第四実施形態>
次に本発明の第四実施形態に係る供試体撮影装置、供試体撮影システムについて、
図4、
図5、
図9~
図11を参照して説明する。第四実施形態において、第一~第三の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
(供試体撮影システムの構成)
図4に示すように、供試体撮影システム10Dは、供試体撮影装置11と、監視装置60Dと、を備えている。
供試体撮影装置11は、上記第二、第三実施形態と同様、供試体100Bを支持する供試体支持部12に設けられたカメラ15で、供試体100Bを撮影する。供試体撮影装置11のデータ出力部19は、カメラ15で撮影した画像のデータを、無線通信により、外部の監視装置60Dに転送する。
【0050】
(ハードウェア構成図)
監視装置60Dは、カメラ15で撮影された画像のデータに基づき、供試体100Bの状態を監視する。
図5に示すように、監視装置60Dは、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD64(Hard Disk Drive)、信号受信モジュール65を備えるコンピュータである。信号受信モジュール65は、各センサー51からの検出信号を受信する。
【0051】
(機能ブロック図)
図9に示すように、監視装置60DのCPU61が予め自装置で記憶するプログラムを実行することにより、監視装置60Dは、画像取得部71、画像記憶部72、状態変化検出部73、判定部75、結果出力部76の各構成を備える。
【0052】
画像取得部71は、ハードウェア的には信号受信モジュール65であり、各カメラ15からの画像のデータを取得(受信)する。
画像記憶部72は、ハードウェア的にはHDD64であり、供試体100Bの初期状態が記録された初期画像を記憶する。
【0053】
状態変化検出部73は、画像取得部71でデータが取得された画像に基づき、回転中の供試体100Bの状態変化を検出する。本実施形態において、状態変化検出部73は、画像記憶部72に記憶された供試体100Bの初期画像と、画像のデータに基づく画像とを比較することで、供試体100Bの状態変化を検出する。
【0054】
判定部75は、状態変化検出部73で検出された供試体100Bの状態変化の検出結果に基づき、供試体100Bの状態についての判定を行う。例えば、判定部75は、状態変化検出部73で検出された供試体100Bの状態変化の検出結果において、供試体100Bに、例えば亀裂が生じた場合、供試体100Bに異常が生じている、との判定を行うことができる。判定部75でなされた判定結果は、供試体100Bの画像と共に、画像記憶部72に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
結果出力部76は、判定部75による判定の結果を、外部の表示装置90に出力する。
【0055】
(供試体の撮影方法の手順)
図10に示すように、本開示の実施形態に係る供試体撮影システム10Dにおける供試体100Bの撮影方法S10は、初期画像を撮影するステップS20と、供試体100Bを回転させるステップS30と、供試体100Bを撮影するステップS40と、供試体100Bの状態を監視するステップS50と、を含んでいる。
【0056】
初期画像を撮影するステップS20では、供試体100Bを、供試体撮影装置11の供試体支持部12に支持させる。次いで、供試体支持部12に設けられた複数のカメラ15のそれぞれで、供試体100Bを撮影する。各カメラ15で撮影された供試体100Bの画像のデータは、データ出力部19に転送される。データ出力部19では、転送された画像のデータを、例えば、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信によって、外部の監視装置60Dに出力する。監視装置60Dの画像取得部71では、データ出力部19から出力された画像のデータを取得(受信)する。取得された画像のデータは、画像記憶部72により、供試体100Bの初期状態が記録された初期画像として記憶される。
【0057】
供試体100Bを回転させるステップS30では、駆動部13により、供試体支持部12を、軸線O回りに所定の回転数で回転させる。これにより、初期画像の撮影が完了した供試体100Bが、供試体支持部12とともに回転される。
【0058】
供試体100Bを撮影するステップS40では、供試体支持部12に設けられた複数のカメラ15のそれぞれで、回転中の供試体100Bを撮影する。各カメラ15で撮影された供試体100Bの画像のデータは、データ出力部19に転送される。データ出力部19では、転送された画像のデータを、例えば、ブルートゥース(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信によって、外部の監視装置60Dに出力する。
【0059】
供試体100Bの状態を監視するステップS50では、撮影された供試体100Bの画像に基づき、供試体100Bの状態を監視する。
図11に示すように、ステップS50では、監視装置60Dの画像取得部71で、データ出力部19から出力された画像のデータを取得(受信)する(ステップS51)。
【0060】
続いて、状態変化検出部73では、画像取得部71でデータが取得された画像に基づき、回転中の供試体100Bの状態変化を検出する(ステップS52)。状態変化検出部73では、画像記憶部72に記憶された供試体100Bの初期画像と、取得された画像のデータに基づく画像とを比較することで、供試体100Bの状態変化を検出する。このとき、状態変化検出部73では、画像差分フィルタによる画像処理により、初期画像と、新たに撮影された画像との差分を抽出してもよい。状態変化検出部73では、抽出された画像の差分を比較分析することによって、供試体100Bに生じた傷や亀裂100K、変形100F等を検出する。
【0061】
次いで、判定部75では、状態変化検出部73で検出された供試体100Bの状態変化の検出結果に基づき、供試体100Bの状態についての判定を行う(ステップS53)。例えば、判定部75は、状態変化検出部73で検出された供試体100Bの状態変化の検出結果において、供試体100Bに生じた例えば傷や亀裂100K、変形100F等が、予め定めた管理値(閾値)を越えていなければ、供試体100Bが通常である、との「通常判定」を行う。また、判定部75は、供試体100Bに生じた例えば傷や亀裂100K、変形100F等が、予め定めた管理値(閾値)を越えた場合に、供試体100Bに異常が生じている、との「異常判定」を行うことができる。また、判定部75では、供試体100Bに生じた異常が、予め設定した上限値を超えた場合に、供試体撮影装置11の動作を緊急停止させる必要がある非常レベルである、との「非常判定」を行うことができる。結果出力部76は、判定部75による判定の結果を、外部の供試体撮影装置11に出力する。
【0062】
次いで、判定部84では、ステップS53における判定結果を確認する(ステップS55)。判定部85による判定の結果が、異常が発生していない「通常判定」であった場合、ステップS51に戻り、新たな画像が供試体撮影装置11から送信されてくる毎に、上記一連の処理を繰り返す。
【0063】
また、ステップS55において、判定部85による判定が、供試体100Bに生じた例えば傷や亀裂100K、変形100F等が管理値(閾値)を越えた「異常判定」であった場合、音、ランプの点灯、モニター等の表示装置90上への情報表示等によって、異常が生じていることを示す警報を発令する(ステップS55)。また、ステップS55において、供試体100Bに生じた例えば傷や亀裂100K、変形100F等が、予め定めた上限値を越えた「非常判定」であった場合には、供試体撮影装置11の動作を緊急停止させる(ステップS56)。
【0064】
(作用効果)
本実施形態では、供試体撮影システム10Dは、カメラ15で撮影された画像のデータに基づき、供試体100Bの状態を監視する監視装置60Dを備える。
これにより、高速度カメラやストロボ撮影を用いることなく、供試体撮影装置11で撮影された画像に基づいて、回転中の供試体100Bの状態を容易に監視することができる。
【0065】
また、監視装置60Dは、状態変化検出部73と、判定部75と、をさらに備える。
これにより、供試体撮影装置11の供試体100Bと一体に回転するカメラ15で撮影された画像に基づいて、回転中の供試体100Bの状態変化を検出することによって、供試体100Bの状態を判定することができる。その結果、回転中の供試体100Bを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100Bの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【0066】
また、状態変化検出部73は、画像記憶部72に記憶された供試体100Bの初期画像と、画像のデータに基づく画像とを比較することで、供試体100Bの状態変化を検出する。
これにより、供試体撮影装置11で撮影された画像と、初期画像とを比較することによって、供試体100Bの初期状態からの状態変化を容易に検出することができる。
【0067】
また、上述したような供試体撮影システム10Dにおける供試体100Bの撮影方法S10によれば、供試体撮影装置11の供試体100Bと一体に回転するカメラ15で撮影された画像に基づいて、高速度カメラやストロボ撮影を用いることなく、回転中の供試体100Bの状態変化を容易に監視することができる。その結果、回転中の供試体100Bを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100Bの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【0068】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
上記の手順は適宜順番を入れ替えることが可能である。
【0069】
<付記>
各実施形態に記載の供試体撮影装置1、11、供試体撮影システム10C、10D、供試体撮影システム10C、10Dにおける供試体100Bの撮影方法S1、S10は、例えば以下のように把握される。
【0070】
(1)第1の態様に係る供試体撮影装置1、11は、回転軸2s、12sの軸線O周りに回転可能に設けられ、供試体100A、100Bを支持する供試体支持部2、12と、前記供試体支持部2、12を前記軸線O周りに回転駆動させる駆動部3、13と、前記供試体支持部2、12に設けられ、前記供試体100A、100Bを撮影するカメラ5、15と、を備える。
供試体100A、100Bの例としては、タイヤや各種のロータが挙げられる。
駆動部3、13の例としては、モータが挙げられる。
【0071】
この供試体撮影装置1、11のカメラ5、15は、供試体100A、100Bを支持する供試体支持部2、12に設けられている。このため、駆動部3、13で供試体支持部2、12を回転軸2s、12sの軸線O周りに回転させると、供試体支持部2、12とともに、供試体100A、100Bとカメラ5、15とが一体に回転する。これにより、カメラ5、15と供試体100A、100Bとの間に相対的な速度差が存在せず、カメラ5、15では回転中の供試体100A、100Bを静止させたような状態で撮影することができる。したがって、高速度カメラやストロボを用いずに、回転中の供試体100A、100Bを良い画質で撮影でき、供試体100A、100Bの状態変化を容易に監視できる。その結果、回転中の供試体100A、100Bを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100A、100Bの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【0072】
(2)第2の態様に係る供試体撮影装置1、11は、(1)の供試体撮影装置1、11であって、前記カメラ5、15を前記供試体支持部2、12から前記回転軸2s、12sの軸線O方向に離間した位置で支持するカメラ支持部材7,17、をさらに備える。
【0073】
これにより、カメラ支持部材7,17によって、供試体支持部2、12に支持された供試体100A、100Bから回転軸2s、12sの軸線O方向に離間した位置にカメラ5、15を配置することができる。したがって、回転中の供試体100A、100Bを、軸線O方向に離間した位置から見た、観察しやすい画像を撮影することができる。
【0074】
(3)第3の態様に係る供試体撮影装置11は、(2)の供試体撮影装置11であって、前記カメラ支持部材17は、前記供試体支持部12から前記軸線O方向に延びる第一支持部17aと、前記第一支持部17aから前記回転軸12sの径方向Drに延び、前記カメラ15を支持する第二支持部17bと、を一体に備える。
【0075】
これにより、カメラ15を支持する第二支持部17bが、供試体100Bに対して軸線O方向に離間した位置で対向することになる。これにより、カメラ15を供試体100Bに対して軸線O方向から正対させることができ、回転中の供試体100Bを効率良く観察することが可能となる。
【0076】
(4)第4の態様に係る供試体撮影装置11は、(3)の供試体撮影装置11であって、前記第一支持部17aは、前記軸線O方向に延びる筒状に形成され、前記供試体100Bは、前記第一支持部17aの径方向Dr外側に配置され、前記第二支持部17bは、前記第一支持部17aから前記径方向Dr外側に拡径して設けられている。
【0077】
これにより、筒状の第一支持部17aの径方向Dr内側に、カメラ15に関連する機器等を配置することができる。また、回転中の供試体100Bが万が一破損した場合、供試体100Bの破片は、遠心力により、主に径方向Dr外側に飛散する。供試体100Bは、筒状の第一支持部17aの径方向Dr外側に配置されているので、供試体100Bの破片が筒状の第一支持部17aの径方向Dr内側に侵入するのを抑えることができる。
また、第一支持部17aから径方向Dr外側に拡径する第二支持部17bによって、供試体100Bが軸線O方向に離間した位置で覆われる。回転中の供試体100Bが万が一破損した場合等に、第二支持部17bによって供試体100Bの破片に軸線O方向に飛散するのを抑えることができる。
【0078】
(5)第5の態様に係る供試体撮影装置11は、(4)の供試体撮影装置11であって、前記カメラ15は、前記第二支持部17bに設けられ、前記供試体100Bを撮影する撮影部15aと、前記第一支持部17aの径方向Dr内側に設けられ、前記撮影部15aで撮影された画像のデータを受け取る本体部15bと、を備えている。
【0079】
これにより、カメラ15の撮影部15aのみを第二支持部17bに設けることで、供試体支持部12とともに回転するカメラ支持部材17に、カメラ15の質量によって作用する回転モーメントを小さくすることができる。
【0080】
(6)第6の態様に係る供試体撮影装置11は、(1)から(5)の何れか一つの供試体撮影装置11であって、前記供試体支持部12に設けられ、前記カメラ15を作動させるための電力を供給する電源部20、をさらに備える。
電源部20の例としては、バッテリーが挙げられる。
【0081】
これにより、供試体支持部12に設けられたカメラ15に対して電力を供給するための配線を、供試体撮影装置11の外部から設ける必要がなく、配線の手間を抑えることができる。
【0082】
(7)第7の態様に係る供試体撮影装置11は、(1)から(6)の何れか一つの供試体撮影装置11であって、前記カメラ15で撮影された画像のデータを無線通信により外部に出力するデータ出力部19、をさらに備える。
【0083】
これにより、データ出力部19から画像のデータを外部に出力するためのケーブルが不要となる。回転する供試体支持部12から外部に導出されるケーブルを設ける手間を抑えることができる。
【0084】
(8)第8の態様に係る供試体撮影システム10C、10Dは、(1)から(7)の何れか一つの供試体撮影装置11と、前記カメラ15で撮影された画像のデータに基づき、前記供試体100Bの状態を監視する監視装置60C、60Dと、を備える。
【0085】
これにより、高速度カメラやストロボ撮影を用いることなく、供試体撮影装置11で撮影された画像に基づいて、回転中の供試体100Bの状態を容易に監視することができる。
【0086】
(9)第9の態様に係る供試体撮影システム10Dは、(8)の供試体撮影システム10Dであって、前記監視装置60Dは、前記画像のデータに基づき、前記供試体100Bの状態変化を検出する状態変化検出部73と、前記状態変化検出部73で検出された前記供試体100Bの状態変化の検出結果に基づき、前記供試体100Bの状態についての判定を行う判定部75と、をさらに備える。
【0087】
これにより、供試体撮影装置11の供試体100Bと一体に回転するカメラ15で撮影された画像に基づいて、回転中の供試体100Bの状態変化を検出することによって、供試体100Bの状態を判定することができる。その結果、回転中の供試体100Bを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100Bの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【0088】
(10)第10の態様に係る供試体撮影システム10Dは、(9)の供試体撮影システム10Dであって、前記監視装置60Dは、前記供試体100Bの初期状態が記録された初期画像を記憶する画像記憶部72、をさらに備え、前記状態変化検出部73は、前記画像記憶部72に記憶された前記供試体100Bの初期画像と、前記画像のデータに基づく画像とを比較することで、前記供試体100Bの状態変化を検出する。
【0089】
これにより、供試体撮影装置11で撮影された画像と、初期画像とを比較することによって、供試体100Bの初期状態からの状態変化を容易に検出することができる。
【0090】
(11)第11の態様に係る供試体撮影システム10C、10Dにおける供試体100Bの撮影方法S1、S10は、(8)から(10)の何れか一つの供試体撮影システム10C、10Dにおける供試体100Bの撮影方法S1、S10であって、前記供試体100Bを前記供試体支持部12とともに回転させるステップS3、S30と、前記供試体支持部12に設けられた前記カメラ15で、回転中の前記供試体100Bを撮影するステップS4、S40と、撮影された前記供試体100Bの画像に基づき、前記供試体100Bの状態を監視するステップS5、S50と、を含む。
【0091】
これにより、供試体撮影装置11の供試体100Bと一体に回転するカメラ15で撮影された画像に基づいて、高速度カメラやストロボ撮影を用いることなく、回転中の供試体100Bの状態変化を容易に監視することができる。その結果、回転中の供試体100Bを、容易かつ低コストで撮影し、供試体100Bの状態変化を効率良く監視することが可能となる。
【符号の説明】
【0092】
1…供試体撮影装置
2、12…供試体支持部
2f、12f…供試体支持面
2s、12s…回転軸
3、13…駆動部
5、15…カメラ
7、17…カメラ支持部材
10C、10D…供試体撮影システム
11…供試体撮影装置
15a…撮影部
15b…本体部
15c…接続ケーブル
17a…第一支持部
17b…第二支持部
17d…基台
17t…対向部
19…データ出力部
20…電源部
60C、60D…監視装置
61…CPU
62…ROM
63…RAM
64…HDD
65…信号受信モジュール
71…画像取得部
72…画像記憶部
73…状態変化検出部
75…判定部
76…結果出力部
81…画像取得部
82…領域指定受付部
83…監視部
85…判定部
90…表示装置
100A、100B…供試体
100F…変形
100K…亀裂
100g…開口
100s…側面
A…領域
Dr…径方向
O…軸線
S1、S10…供試体撮影システムにおける供試体の撮影方法
S20…初期画像を撮影するステップ
S3、S30…供試体を回転させるステップ
S4、S40…供試体を撮影するステップ
S5、S50…供試体の状態を監視するステップ
S51…画像のデータを取得するステップ
S52…回転中の供試体の状態変化を検出するステップ
S53…供試体の状態についての判定を行うステップ
S54…判定結果を確認するステップ
S55…警報を発令するステップ
S56…供試体撮影装置を緊急停止させるステップ