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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】光通信システム及びゲートウェイ
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20241213BHJP
   H04B 10/27 20130101ALI20241213BHJP
【FI】
H04L12/46 Z
H04L12/46 100C
H04B10/27
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021100305
(22)【出願日】2021-06-16
(65)【公開番号】P2022191842
(43)【公開日】2022-12-28
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083840
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 実
(72)【発明者】
【氏名】名取 英男
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-512633(JP,A)
【文献】特開2017-058792(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0125156(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートウェイ及び光回線終端装置を備える光通信システムであって、
前記ゲートウェイは、
前記光回線終端装置と通信を行う第1の通信インタフェースと、
前記ゲートウェイの動作モードを、第1のモードと、前記第1のモードよりも消費電力の少ない第2のモードとの間で切り替えるとともに、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える際に、前記第1の通信インタフェースを介して、前記第2のモードへの移行を示す第2のモード移行リクエストを前記光回線終端装置へ送る制御部と、を備え、
前記光回線終端装置は、
前記ゲートウェイと通信を行う第2の通信インタフェースと、
光回線との間で通信を行う光通信部と、
前記第2の通信インタフェースを介して、前記第2のモード移行リクエストを受け取ると、前記光通信部が受信したインターネットからの通信データであるインターネット通信データを廃棄する処理部と、を備えること
を特徴とする光通信システム。
【請求項2】
前記光回線終端装置は、通信データを一時的に記憶するバッファ部をさらに備え、
前記処理部は、前記第2の通信インタフェースを介して、前記第2のモード移行リクエストを受け取った後に、前記インターネット通信データ以外の通信データである対象通信データを前記光通信部が受信した場合には、前記対象通信データを前記バッファ部に一時的に記憶させ、前記第2の通信インタフェースを介して、前記第1のモードへの移行を示す第1のモード移行リクエストを前記ゲートウェイへ送り、
前記制御部は、前記第1の通信インタフェースを介して、前記第1のモード移行リクエストを受け取ると、前記動作モードを、前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えるとともに、前記第1のモード移行リクエストへの応答である第1のモード移行応答を、前記第1の通信インタフェースを介して、前記光回線終端装置へ送り、
前記処理部は、前記第2の通信インタフェースを介して、前記第1のモード移行応答を受け取ると、前記バッファ部に記憶されている前記対象通信データを、前記第2の通信インタフェースを介して、前記ゲートウェイへ送ること
を特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記ゲートウェイは、ユーザ端末と通信を行うためのユーザ側通信インタフェースをさらに備え、
前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記ユーザ側通信インタフェースが前記ユーザ端末から通信データを受信すると、前記動作モードを、前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えるとともに、前記第1の通信インタフェースを介して、前記第1のモードへの移行を示す第1のモード移行リクエストを前記光回線終端装置へ送り、
前記処理部は、前記第2の通信インタフェースを介して、前記第1のモード移行リクエストを受け取ると、前記光通信部が受信した通信データを、前記第2の通信インタフェースを介して、前記光回線終端装置へ送ること
を特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
【請求項4】
光回線に接続するための光回線終端部と、
動作モードを、第1のモードと、前記第1のモードよりも消費電力の少ない第2のモードとの間で切り替えるとともに、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える際に、前記第2のモードへの移行を示す第2のモード移行リクエストを前記光回線終端部へ送る制御部と、を備え、
前記光回線終端部は、
前記制御部と通信を行う接続インタフェースと、
前記光回線との間で通信を行う光通信部と、
前記接続インタフェースを介して、前記第2のモード移行リクエストを受け取ると、前記光通信部が受信したインターネットからの通信データであるインターネット通信データを廃棄する処理部と、を備えること
を特徴とするゲートウェイ。
【請求項5】
前記光回線終端部は、通信データを一時的に記憶するバッファ部をさらに備え、
前記処理部は、前記接続インタフェースを介して、前記第2のモード移行リクエストを受け取った後に、前記インターネット通信データ以外の通信データである対象通信データを前記光通信部が受信した場合には、前記対象通信データを前記バッファ部に一時的に記憶させ、前記接続インタフェースを介して、前記第1のモードへの移行を示す第1のモード移行リクエストを前記制御部へ送り、
前記制御部は、前記第1のモード移行リクエストを受け取ると、前記動作モードを、前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えるとともに、前記第1のモード移行リクエストへの応答である第1のモード移行応答を、前記光回線終端部へ送り、
前記処理部は、前記接続インタフェースを介して、前記第1のモード移行応答を受け取ると、前記バッファ部に記憶されている前記対象通信データを、前記接続インタフェースを介して、前記制御部へ送ること
を特徴とする請求項4に記載のゲートウェイ。
【請求項6】
前記ゲートウェイは、ユーザ端末と通信を行うためのユーザ側通信インタフェースをさらに備え、
前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記ユーザ側通信インタフェースが前記ユーザ端末から通信データを受信すると、前記動作モードを、前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えるとともに、前記第1のモードへの移行を示す第1のモード移行リクエストを前記光回線終端部へ送り、
前記処理部は、前記接続インタフェースを介して、前記第1のモード移行リクエストを受け取ると、前記光通信部が受信した通信データを、前記接続インタフェースを介して、前記制御部へ送ること
を特徴とする請求項4に記載のゲートウェイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光通信システム及びゲートウェイに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等へ接続するために、ゲートウェイが使用されており、近年では、省電力化を図るための機能を備えたゲートウェイが開発されている。例えば、非特許文献1には、無通信状態の検出等を契機に、動作クロック速度又は動作CPU(Central Processing Unit)コア数を制限する省電力モードに移行し、通信開始の検出を契機に通常モードへ復帰することで、省電力化を行うゲートウェイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication standardization sector) G.987.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゲートウェイは、通信データの検出を契機に省電力モードから通常モードへ復帰するため、インターネットからのDoS(Denial of Service)攻撃等の不正アクセスが行われた場合にも、通常モードへ復帰してしまい、不要な電力を消費してしまう。
【0005】
そこで、本開示の一又は複数の態様は、ゲートウェイにおいて、インターネットからアクセスによる無駄な電力の消費を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光通信システムは、ゲートウェイ及び光回線終端装置を備える光通信システムであって、前記ゲートウェイは、前記光回線終端装置と通信を行う第1の通信インタフェースと、前記ゲートウェイの動作モードを、第1のモードと、前記第1のモードよりも消費電力の少ない第2のモードとの間で切り替えるとともに、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える際に、前記第1の通信インタフェースを介して、前記第2のモードへの移行を示す第2のモード移行リクエストを前記光回線終端装置へ送る制御部と、を備え、前記光回線終端装置は、前記ゲートウェイと通信を行う第2の通信インタフェースと、光回線との間で通信を行う光通信部と、前記第2の通信インタフェースを介して、前記第2のモード移行リクエストを受け取ると、前記光通信部が受信したインターネットからの通信データであるインターネット通信データを廃棄する処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本開示の一態様に係るゲートウェイは、光回線に接続するための光回線終端部と、動作モードを、第1のモードと、前記第1のモードよりも消費電力の少ない第2のモードとの間で切り替えるとともに、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに切り替える際に、前記第2のモードへの移行を示す第2のモード移行リクエストを前記光回線終端部へ送る制御部と、を備え、前記光回線終端部は、前記制御部と通信を行う接続インタフェースと、前記光回線との間で通信を行う光通信部と、前記接続インタフェースを介して、前記第2のモード移行リクエストを受け取ると、前記光通信部が受信したインターネットからの通信データであるインターネット通信データを廃棄する処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一又は複数の態様によれば、ゲートウェイにおいて、インターネットからアクセスによる無駄な電力の消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る光通信システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】実施の形態1におけるONUの構成を概略的に示すブロック図である。
図3】実施の形態1におけるHGWの構成を概略的に示すブロック図である。
図4】実施の形態1において、通常モードから省電力モードへ切り替える際の動作を示すシーケンス図である。
図5】実施の形態1におけるユーザ端末からの通信データ受信時の省電力モードから通常モードへの切替動作を示すシーケンス図である。
図6】実施の形態1において、ONUが通信キャリア網からの通信データ受信したときの、省電力モードから通常モードへの切替動作を示すシーケンス図である。
図7】実施の形態2に係る光通信システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図8】実施の形態2におけるHGWの構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る光通信システム100の構成を概略的に示すブロック図である。
光通信システム100は、光回線終端装置としてのONU(Optical Network Unit)110と、ゲートウェイとしてのホームゲートウェイ(以下、HGWという)130とを備える。
【0011】
HGW130は、電話機101、スマートフォン102又はPC103といったユーザ端末を、インターネット104等へ接続する。ユーザ端末の接続先は、例えば、インターネット104及びキャリアサービス107である。HGW130は、例えば、ONU110、通信キャリア網105及びISP(Internet Service Provider)106を介して、インターネット104に接続することができる。また、HGW130は、例えば、ONU110及び通信キャリア網105を介して、キャリアサービス107に接続することができる。キャリアサービス107は、電話等の通信キャリアが提供するサービスである。
【0012】
HGW130は、動作モードとして、通常モードと、省電力モードとを有する。省電力モードは、通常モードよりも消費電力の少ない動作モードである。通常モードを第1のモードともいい、省電力モードを第2のモードともいう。
【0013】
インターネット104は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を使用し、全世界のコンピュータネットワークを相互接続した情報通信網である。インターネット104は、悪意あるユーザによるDOS攻撃等の発生源となる可能性がある。
【0014】
ISP106は、インターネット104へ接続するサービスを提供する設備である。
キャリアサービス107は、電話等を提供する通信キャリアがサービスを提供する設備である。キャリアサービス107は、インターネット104とは切り離されており、安全なデータ通信を提供する。
【0015】
通信キャリア網105は、ISP106及びキャリアサービス107と高速な通信を行う光回線を提供する設備である。
【0016】
図2は、ONU110の構成を概略的に示すブロック図である。
ONU110は、光トランシーバ111と、LSI(Large Scale Integration)112と、バッファメモリ113と、有線LANI/F(Local Area Network Interface)114とを備える。
ONU110は、HGW130を通信キャリア網105に接続するために光信号と、電気信号とを変換する。
【0017】
光トランシーバ111は、光回線である通信キャリア網105と通信を行う光通信部である。例えば、光トランシーバ111は、通信キャリア網105からの光信号を受信し、その光信号を電気信号に変換して、その電気信号をLSI112に与える。また、光トランシーバ111は、LSI112からの電気信号を光信号に変換して、その光信号を通信キャリア網105に送信する。
【0018】
LSI112は、ONU110での処理を実行する処理部である。例えば、LSI112は、HGW130の動作モードの移行を管理する。LSI112は、光トランシーバ111又は有線LANI/F114で受信されたパケットを解析する。LSI112は、バッファメモリ113を管理する。LSI112は、イーサOAM(Ethernet Operatios, Administration, Maintenance)を送受信する処理を制御する。
なお、「Ethernet」は、登録商標である。
【0019】
例えば、LSI112は、HGW130と連携して、HGW130の動作モードの移行を管理する。具体的には、HGW130が通常モードに移行するときに、有線LANI/F114を介して、HGW130からイーサOAMを利用して、省電力モードへの移行を示す省電力モード移行リクエストを受け取ると、HGW130が省電力モードに移行することを認識し、イーサOAMを利用して、省電力モード移行リクエストへの応答である省電力モード移行応答を、有線LANI/F114を介して、HGW130へ送る。なお、省電力移行リクエストを第2のモード移行リクエストともいい、省電力モード移行応答を第2のモード移行応答ともいう。
【0020】
LSI112は、有線LANI/F114を介して、省電力モード移行リクエストを受け取ると、光トランシーバ111が受信したインターネット104からの通信データを廃棄する。インターネット104からの通信データをインターネット通信データともいう。
言い換えると、HGW130が省電力モードになっている時には、LSI112は、ISP106を経由してインターネット104からHGW130へ送ることになっている通信データを廃棄する。
【0021】
ISP106を経由したインターネット104からの通信データであるか否かは、ISP106の接続方法がPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)の場合は、PPPoEヘッダの有無で判断することができる。なお、PPPoEヘッダの有無は、MAC(Media Access Control)ヘッダのType番号等で判断することができる。また、ISP106を経由したインターネット104からの通信データであるか否かは、接続方法がMAP-E(Mapping of Address and Port with Encapsulation)又はDS-Lite(Dual-Stack Lite)の場合は、IPv6(Internet Protocol version 6)ヘッダのネクストヘッダ値で判断することができる。
【0022】
一方、LSI112は、ISP106を経由したインターネット104からの通信データ以外の通信データは、キャリアサービス107からの通信データであると判断する。HGW130が省電力モードになっていると、LSI112は、キャリアサービス107からの通信データ、言い換えると、インターネット104からの通信データ以外の通信データについては、バッファメモリ113に一時的に記憶させ、イーサOAMを利用して、通常モードへの移行を示す通常モード移行リクエストを有線LANI/F114にHGW130へ送信させる。ISP106を経由したインターネット104からの通信データ以外の通信データを対象通信データともいう。また、通常モード移行リクエストを第1のモード移行リクエストともいう。
【0023】
そして、LSI112は、有線LANI/F114を介して、通常モード移行応答を受け取ると、バッファメモリ113に記憶されている通信データを、有線LANI/F114を介して、HGW130へ送る。なお、通常モード移行応答を第1のモード移行応答ともいう。
そして、HGW130が通常モードに復帰すると、LSI112は、HGW130への送信保留を解除して、ISP106を経由したインターネット104からの通信データ及びキャリアサービス107からの通信データの送信を再開する。
【0024】
また、HGW130が省電力モードであるときに、HGW130からイーサOAMを利用した通常モード移行リクエストを受け取った場合には、LSI112は、無条件で、ISP106を経由したインターネット104からの通信データ及びキャリアサービス107からの通信データの送信を再開する。
【0025】
バッファメモリ113は、通信キャリア網105から受信された通信データ又は通信キャリア網105へ送信する通信データを一時的に記憶するバッファ部である。
有線LANI/F114は、HGW130と通信を行うネットワーク通信部である。有線LANI/F114を第2の通信インタフェースともいう。
【0026】
図3は、実施の形態1におけるHGW130の構成を概略的に示すブロック図である。
HGW130は、WANI/F(Wide Area Network Interface)131と、ウェイクアップ回路132と、CPU133と、電話I/F(Interface)134と、無線LANI/F135と、有線LANI/F136とを備える。
ウェイクアップ回路132とCPU133とは、主データ通信線D1及び割込信号線S1で接続されている。また、電話I/F134とCPU133とも主データ通信線D2及び割込信号線S2で接続され、無線LANI/F135とCPU133とも主データ通信線D3及び割込信号線S3で接続され、有線LANI/F136とCPU133とも主データ通信線D4及び割込信号線S4で接続されている。
【0027】
HGW130は、ONU110と、LAN側端末であるユーザ端末との間でのNAT(Network Address Translation)又はルーティング等のデータ転送処理を行う。図1では、ユーザ端末として、電話端末である電話機101、無線LAN端末であるスマートフォン102又は有線LAN端末であるPC103が示されているが、ユーザ端末は、これらに限定されるものではない。
【0028】
WANI/F131は、ONU110と通信を行う通信インタフェースである。例えば、WANI/F131は、ONU110との接続終端処理を行い、ONU110を介して、ユーザ端末を通信キャリア網105に接続可能にする。なお、WANI/F131を、第1の通信インタフェースともいう。
【0029】
ウェイクアップ回路132は、ONU110及びCPU133と連携して、HGW130の通常モード及び省電力モードといった動作モードの移行の管理を行う。
ウェイクアップ回路132は、ONU110とはイーサOAM等を利用して、動作モードの移行を管理するために必要な情報を交換し、CPU133とは割込信号線S1を利用して、動作モードの移行を管理するために必要な情報を交換する。ここで、動作モードの移行を管理するために必要な情報としては、例えば、省電力モード移行リクエスト、省電力モード移行応答、通常モード移行リクエスト又は通常モード移行応答がある。
【0030】
CPU133は、HGW130での処理を制御する。例えば、CPU133は、HGW130の障害管理、設定管理又はメモリ管理等を行う。また、CPU133は、ONU110と、ユーザ端末との間のデータ転送処理を行う。
【0031】
具体的には、CPU133は、通常モード時に一定時間、ONU110と、ユーザ端末との間で通信が行われていない無通信状態を検出すると、ウェイクアップ回路132に対し、割込信号線S1により、省電力モード移行リクエストを通知する。そして、CPU133は、ウェイクアップ回路132を介して、ONU110からの省電力モード移行応答を受け取ると、省電力モードに移行する。
【0032】
CPU133は、省電力モードでは、HGW130での消費電力が、通常モードよりも少なくなるようにする。
例えば、CPU133は、省電力モードでは、CPU133の動作クロック周波数及びCPUコア数の少なくとも何れか一方を制限し、HGW130の消費電力を抑制する。また、CPU133は、省電力モード中に、電話I/F134、無線LANI/F135又は有線LANI/F136といった、ユーザ端末を接続するためのインタフェースであるユーザ側通信インタフェースからの通常モード移行リクエストを割込信号線S2~S4で通知された場合は、割込信号線S1を用いて、ウェイクアップ回路132に通常モード移行リクエストを通知し、通常モードへの復帰処理を行う。
【0033】
また、CPU133は、ウェイクアップ回路132から、割込信号線S1を用いて、通常モード移行リクエストを受け取った場合には、ウェイクアップ回路132へ通常モード移行応答を返し、通常モードへの復帰処理を行う。
【0034】
ここで、ウェイクアップ回路132及びCPU133を、制御部137ともいう。
制御部137は、HGW130の動作モードを、通常モードと、通常モードよりも消費電力の少ない省電力モードとの間で切り替える。
また、制御部137は、HGW130の動作モードを通常モードから省電力モードに切り替える際に、WANI/F131を介して、省電力モード移行リクエストをONU110へ送る。
【0035】
制御部137は、WANI/F131を介して、通常モード移行リクエストを受け取ると、HGW130の動作モードを、省電力モードから通常モードに切り替える。
また、制御部137は、通常モード移行リクエストへの応答である通常モード移行応答を、WANI/F131を介して、ONU110へ送る。
【0036】
また、制御部137は、省電力モードにおいて、電話I/F134、無線LANI/F135及び有線LANI/F136の何れかがユーザ端末から通信データを受信すると、動作モードを、省電力モードから通常モードに切り替える。そして、制御部137は、WANI/F131を介して、通常モード移行リクエストをONU110へ送る。
【0037】
電話I/F134は、電話機101を接続して、電話機101と通信を行うためのインタフェースであり、電話機101との接続終端処理を行う。また、電話I/F134は、電話機101からデータを受信すると、通常モード移行リクエストをCPU133へ割込信号線S2により送る。
【0038】
無線LANI/F135は、スマートフォン102等の無線を用いたユーザ端末を接続して、そのユーザ端末と通信を行うためのインタフェースであり、そのようなユーザ端末との接続終端処理を行う。また、無線LANI/F135は、接続されたユーザ端末からデータを受信すると、通常モード移行リクエストをCPU133へ割込信号線S3により送る。
【0039】
有線LANI/F136は、PC103等の有線を用いたユーザ端末を接続して、そのユーザ端末と通信を行うためのインタフェースであり、そのようなユーザ端末との接続終端処理を行う。また、有線LANI/F136は、接続されたユーザ端末からデータを受信すると、通常モード移行リクエストをCPU133へ割込信号線S4により送る。
【0040】
ここで、電話I/F134、無線LANI/F135及び有線LANI/F136の各々を、ユーザ端末と通信を行うためのユーザ側通信インタフェースともいう。
【0041】
次に、HGW130において動作モードを変える場合の動作について説明する。
まず、通常モード中の動作を説明する。
図4は、実施の形態1において、通常モードから省電力モードへ切り替える際の動作を示すシーケンス図である。
HGW130のCPU133は、予め定められた時間、無通信状態を検出すると、割込信号線S1により省電力モード移行リクエストをウェイクアップ回路132に通知する(S10)。
【0042】
そのような通知を受けたウェイクアップ回路132は、WANI/F131を介して、イーサOAMを利用して、省電力移行リクエストをONU110に通知する(S11)。
【0043】
そのような通知を受けると、ONU110のLSI112は、HGW130が省電力モードに移行することを認識し、ONU110からHGW130へのイーサOAMのフレーム以外のフレームの送信を停止する。
そして、LSI112は、イーサOAMを利用して、省電力モード移行応答をウェイクアップ回路132へ返す(S12)。
【0044】
省電力モード移行応答を受けるとHGW130のウェイクアップ回路132は、割込信号線S1により、CPU133に省電力モード移行応答を通知する(S13)。
【0045】
省電力モード移行応答の通知を受けたCPU133は、動作クロック周波数及びコア数の少なくとも何れか一方を制限することで、HGW130を省電力モードに移行させる。
【0046】
次に、省電力モード中の動作について説明する。
まず、省電力モード中にユーザ端末からの通信データ受信時の動作を説明する。
図5は、実施の形態1におけるユーザ端末からの通信データ受信時の省電力モードから通常モードへの切替動作を示すシーケンス図である。
ここでは、ユーザ端末として、スマートフォン102が用いられる場合を説明するが、他のユーザ端末が用いられても同様の動作が行われる。
【0047】
無線LANI/F135は、スマートフォン102からの通信データを受信すると、無線LANI/F135は、CPU133に、割込信号線S3を用いて、通常モード移行リクエストをCPU133に通知する(S20)。
【0048】
通常モード移行リクエストを受けると、CPU133は、動作クロック周波数及びコア数の少なくとも何れか一方の制限を解除することで、HGW130を通常モードに移行させる。さらに、CPU133は、割込信号線S1により、通常モード移行リクエストをウェイクアップ回路132に通知する(S21)。
【0049】
通常モード移行リクエストを受けると、ウェイクアップ回路132は、WANI/F131を介して、イーサOAMを利用して、通常モード移行リクエストをONU110に通知する(S22)。
【0050】
通常モード移行リクエストを受けると、ONU110のLSI112は、有線LANI/F114を介して、イーサOAMを利用し、ウェイクアップ回路132へ通常モード移行応答を返す(S23)。そして、LSI112は、ISP106を介したインターネット104からの通信データ及びキャリアサービス107からの通信データの送信を再開する。
【0051】
通常モード移行リクエストを受けると、ウェイクアップ回路132は、通常モード移行応答をCPU133に通知する(S24)。
【0052】
次に、HGW130が省電力モード中に、ONU110が通信キャリア網105から通信データを受信したときの動作を説明する。
【0053】
図6は、実施の形態1において、ONU110が通信キャリア網105からの通信データ受信したときの、省電力モードから通常モードへの切替動作を示すシーケンス図である。
【0054】
HGW130が省電力モード中に、ONU110のLSI112は、ISP106を経由して、インターネット104から受信した全ての通信データを廃棄する(S30)。
一方、LSI112は、キャリアサービス107からの通信データについては、バッファメモリ113に一時的に記憶させる(S31)。
【0055】
バッファメモリ113に通信データを記憶させると、LSI112は、有線LANI/F114を介して、イーサOAMを利用して、通常モード移行リクエストをHGW130に送る(S32)。
【0056】
通常モード移行リクエストを受けると、HGW130のウェイクアップ回路132は、その通常モード移行リクエストを割込信号線S1によりCPU133に通知する(S33)。
【0057】
通常モード移行リクエストを受けると、CPU133は、動作クロック周波数及びコア数の少なくとも何れか一方の制限を解除することで、HGW130を通常モードに移行させる。さらに、CPU133は、ウェイクアップ回路132に対し、割込信号線S1により通常モード移行応答を返す(S34)。
【0058】
通常モード移行応答を受けると、ウェイクアップ回路132は、WANI/F131を介して、イーサOAMを利用して、通常モード移行応答をONU110に送る(S35)。
【0059】
通常モード移行応答を受けると、ONU110のLSI112は、バッファメモリ113に一時的に記憶させた通信データを、有線LANI/F114を介して、HGW130に送る(S36)。
【0060】
そのような通信データを受けると、ONU110では、そのような通信データが、WANI/F131及びウェイクアップ回路132を介してCPU133に送られ(S36)、その宛先に応じて、電話I/F134、無線LANI/F135及び有線LANI/F136の少なくとも何れか1つから出力される。
【0061】
以降、ONU110のLSI112は、ISP106を経由した通信データを含め、通信キャリア網105からの通信データの転送を行う(S37~S40)。
【0062】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る光通信システム200の構成を概略的に示すブロック図である。
光通信システム200は、HGW230を備える。
【0063】
HGW230は、電話機101、スマートフォン102又はPC103といったユーザ端末を、インターネット104等へ接続するゲートウェイである。ユーザ端末の接続先は、インターネット104及びキャリアサービス107である。実施の形態1では、HGW130は、ONU110を介して、通信キャリア網105に接続していたが、実施の形態2におけるHGW230は、実施の形態1におけるONU110の機能を備え、直接、通信キャリア網105に接続している。
【0064】
例えば、実施の形態2におけるHGW230は、実施の形態1のONU110の機能を、SFP(Small Form Factor Pluggable)モジュールとして、実施の形態1におけるHGW130のWANI/F131の代わりに内蔵している。このため、HGW230は、通信キャリア網105及びISP106を介して、インターネット104に接続することができる。また、HGW230は、通信キャリア網105を介して、キャリアサービス107に接続することができる。
【0065】
図8は、実施の形態2におけるHGW230の構成を概略的に示すブロック図である。
HGW230は、ONU210と、ウェイクアップ回路132と、CPU133と、電話I/F134と、無線LANI/F135と、有線LANI/F136とを備える。
【0066】
実施の形態2におけるHGW230のウェイクアップ回路132、CPU133、電話I/F134、無線LANI/F135及び有線LANI/F136は、実施の形態1におけるHGW130のウェイクアップ回路132、CPU133、電話I/F134、無線LANI/F135及び有線LANI/F136と同様である。
但し、実施の形態2におけるウェイクアップ回路132及びCPU133は、ONU210と接続されている。
【0067】
ONU210は、光トランシーバ111と、LSI112と、バッファメモリ113と、SFPI/F215とを備える。
ここで、ONU210を、光回線に接続するための光回線終端部ともいう。
【0068】
実施の形態2におけるONU210の光トランシーバ111、LSI112及びバッファメモリ113は、実施の形態1におけるONU110の光トランシーバ111、LSI112及びバッファメモリ113と同様である。
但し、実施の形態2におけるLSI112は、SFPI/F215に接続されている。
【0069】
SFPI/F215は、実施の形態1におけるONU110の有線LANI/F114の代わりに設けられている機能部であり、SFPのフォーマットに従って、機器を接続することのできるモジュールである。
ここでは、SFPI/F215は、ウェイクアップ回路132及びCPU133に接続されており、これらと通信を行うことができる。言い換えると、SFPI/F215は、制御部137と通信を行う接続インタフェースである。このため、制御部137は、SFPI/F215を介して、LSI112と、省電力モード移行リクエスト、省電力モード移行応答、通常モード移行リクエスト、通常モード移行応答又は通信データの受け渡しを行う。
【0070】
例えば、実施の形態2のように、ONU210がHGW230にSFPモジュールとして内蔵される場合、SFPモジュールで規定されている、LOS又はTxdisable等の制御信号を一定周期で変化させて情報量を増やす等のマルチファンクション化を行うことにより、モードの移行を示す情報の通知を行ってもよい。
具体的には、省電力モード移行リクエスト=“0000”、省電力モード移行応答=“0001”、通常モード移行リクエスト=“0010”、通常モード移行応答=“0011”とすることで、必要な情報を伝達することができる。
【0071】
また、SFPモジュールの制御信号をマルチファンクション化することにより、モードの移行を通知する代わりに、SFPモジュールの内部レジスタへのアクセス用のI2Cにより、ONU210の内部レジスタへ設定すること、又は、周期監視により、モードの移行の通知が行われてもよい。
【0072】
以上説明したように、HGW130、230が省電力モード中にインターネット104からの通信データが廃棄されるため、DOS攻撃又はポートスキャン等の不正アクセスがあったとしても、HGW130、230は省電力モードを継続することができる。このため、HGW130、230の平均消費電力を抑制することができる。
【0073】
また、ウェイクアップ回路132をCPU133から独立させ、省電力モード中のキャリアサービス107からの通信データをONU110、210でバッファリングすることで、CPU133で電話サービス等の着信待受けが不要となり、平均消費電力をさらに抑制することができる。
【符号の説明】
【0074】
100,200 光通信システム、 110,210 ONU、 111 光トランシーバ、 112 LSI、 113 バッファメモリ、 114 有線LANI/F、
215 SFPI/F、 130,230 HGW、 131 WANI/F、 132 ウェイクアップ回路、 133 CPU、 134 電話I/F、 135 無線LANI/F、 136 有線LANI/F、 137 制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8