(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】識別装置、識別方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/017 20060101AFI20241213BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G08G1/017
G08G1/04 C
(21)【出願番号】P 2021116961
(22)【出願日】2021-07-15
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小島 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】尾張 伸行
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰弘
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-184312(JP,A)
【文献】特開平08-044847(JP,A)
【文献】特開2021-071768(JP,A)
【文献】特開2021-092850(JP,A)
【文献】特開2020-154959(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112818744(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G07B 11/00 - 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口料金所の第1前撮カメラおよび第1後撮カメラのそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得する第1取得部と、
前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を
前後につなげて、前記ナンバープレートの倍の文字数を有する文字列である第1ナンバープレート情報を生成する第1画像認識部と、
出口料金所の第2前撮カメラおよび第2後撮カメラのそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得する第2取得部と、
前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を
前後につなげて、前記ナンバープレートの倍の文字数を有する文字列である第2ナンバープレート情報を生成する第2画像認識部と、
前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択する選択部と、
を備える識別装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との一致度を求め、前記一致度が所定の閾値以上である前記第1ナンバープレート情報のうち、最も一致度が高い第1ナンバープレート情報を選択する、
請求項1に記載の識別装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記第1ナンバープレート情報および前記第2ナンバープレート情報に含まれる複数の項目それぞれの誤認識率に応じた重みを付けて、前記一致度を求める、
請求項2に記載の識別装置。
【請求項4】
前記第1ナンバープレート情報および前記第2ナンバープレート情報は、読み取ったナンバープレートの文字ごとの認識の信頼度を表すスコアをさらに含み、
前記選択部は、前記スコアに応じた重みを付けて、前記一致度を求める、
請求項2または3に記載の識別装置。
【請求項5】
入口料金所の第1前撮カメラおよび第1後撮カメラのそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得するステップと、
前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を
前後につなげて、前記ナンバープレートの倍の文字数を有する文字列である第1ナンバープレート情報を生成するステップと、
出口料金所の第2前撮カメラおよび第2後撮カメラのそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得するステップと、
前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を
前後につなげて、前記ナンバープレートの倍の文字数を有する文字列である第2ナンバープレート情報を生成するステップと、
前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択するステップと、
を有する識別方法。
【請求項6】
入口料金所の第1前撮カメラおよび第1後撮カメラのそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得するステップと、
前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を
前後につなげて、前記ナンバープレートの倍の文字数を有する文字列である第1ナンバープレート情報を生成するステップと、
出口料金所の第2前撮カメラおよび第2後撮カメラのそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得するステップと、
前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を
前後につなげて、前記ナンバープレートの倍の文字数を有する文字列である第2ナンバープレート情報を生成するステップと、
前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択するステップと、
を識別装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、識別装置、識別方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車種判別、個体識別などを行うため、車両のナンバープレートを読み取る技術が用いられている。たとえば、特許文献1には、車両の前方側および後方側のナンバープレートから読み取ったナンバープレート情報のうち、いずれか一方を用いて、車両の車種を判別する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有料道路の入口料金所と出口料金所とのそれぞれで取得したナンバープレート情報を用いて個々の車両を識別し、各車両が走行した距離(入口料金所から出口料金所までの距離)に応じた通行料金を課金するシステムが考えられている。しかしながら、従来の料金所で用いられているシステムでは、車両の前方側のナンバープレート情報のみを採用している。そうすると、入口料金所または出口料金所でナンバープレート情報の誤認識が生じた場合に、これら入口料金所および出口料金所に到来した車両が同一の車両であると識別することが困難となる。そうすると、この車両の走行区間を特定し、通行料金を課金することができない可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであって、ナンバープレート情報の誤認識による車両の個体識別精度の低下を抑制可能な識別装置、識別方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、識別装置は、入口料金所の第1前撮カメラおよび第1後撮カメラのそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得する第1取得部と、前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第1ナンバープレート情報を生成する第1画像認識部と、出口料金所の第2前撮カメラおよび第2後撮カメラのそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得する第2取得部と、前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第2ナンバープレート情報を生成する第2画像認識部と、前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択する選択部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様によれば、識別方法は、入口料金所の第1前撮カメラおよび第1後撮カメラのそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得するステップと、前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第1ナンバープレート情報を生成するステップと、出口料金所の第2前撮カメラおよび第2後撮カメラのそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得するステップと、前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第2ナンバープレート情報を生成するステップと、前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択するステップと、を有する。
【0008】
本開示の一態様によれば、プログラムは、入口料金所の第1前撮カメラおよび第1後撮カメラのそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得するステップと、前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第1ナンバープレート情報を生成するステップと、出口料金所の第2前撮カメラおよび第2後撮カメラのそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得するステップと、前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第2ナンバープレート情報を生成するステップと、前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択するステップと、を識別装置のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る識別装置、識別方法、及びプログラムによれば、ナンバープレート情報の誤認識による車両の個体識別精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る識別システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態に係る識別装置の機能構成を示す図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態に係る識別装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図4】本開示の第1の実施形態に係る第1ナンバープレート情報の一例を示す図である。
【
図5】本開示の第1の実施形態に係る識別装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図6】本開示の第1の実施形態に係る識別装置の機能を説明するための図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態に係る識別装置の機能を説明するための図である。
【
図8】本開示の第3の実施形態に係る識別装置の機能を説明するための図である。
【
図9】本開示の変形例に係る識別装置の機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本開示の第1の実施形態に係る識別システム1および識別装置10について、
図1~
図6を参照しながら説明する。
【0012】
(全体構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る識別システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、識別システム1は、入口料金所ENに設置された第1前撮カメラ21および第1後撮カメラ22と、出口料金所EXに設置された第2前撮カメラ31および第2後撮カメラ32と、識別装置10とを備えている。
【0013】
第1前撮カメラ21は、入口料金所ENの車線L1の所定位置において、ガントリ上に設置される。第1前撮カメラ21は、車線L1の上空から、車線L1を走行する車両Aの前方側ナンバープレートNP1を撮影する。第1前撮カメラ21が撮影した画像(第1前撮画像F1)は、通信回線を介して識別装置10に送信される。
【0014】
第1後撮カメラ22は、第1前撮カメラ21よりも車線方向の上流側(-X側)において、ガントリ上に設置される。第1後撮カメラ22は、車線L1の上空から、車線L1を走行する車両Aの後方側ナンバープレートNP2を撮影する。第1後撮カメラ22が撮影した画像(第1後撮画像R1)は、通信回線を介して識別装置10に送信される。
【0015】
第2前撮カメラ31は、出口料金所EXの車線L2の所定位置において、ガントリ上に設置される。第2前撮カメラ31は、車線L2の上空から、車線L2を走行する車両Aの前方側ナンバープレートNP1を撮影する。第2前撮カメラ31が撮影した画像(第2前撮画像F2)は、通信回線を介して識別装置10に送信される。
【0016】
第2後撮カメラ32は、第2前撮カメラ31よりも車線方向の上流側(-X側)において、ガントリ上に設置される。第2後撮カメラ32は、車線L2の上空から、車線L2を走行する車両Aの後方側ナンバープレートNP2を撮影する。第2後撮カメラ32が撮影した画像(第2後撮画像R2)は、通信回線を介して識別装置10に送信される。
【0017】
たとえば、第1前撮カメラ21および第1後撮カメラ22は、常時、車線L1を撮影し、車両Aの所定の画像処理により、撮影した画像から車両Aのナンバープレートが検出された場合に、この画像を識別装置10に送信する。また、第1前撮カメラ21および第1後撮カメラ22は、たとえば、車両検知器(不図示)により、車両Aの車頭または車尾が車線L1の所定位置に存在することを検知されたタイミングで、第1前撮画像F1および第1後撮画像R1を撮影するようにしてもよい。第2前撮カメラ31および第2後撮カメラ32についても同様である。
【0018】
識別装置10は、通信回線を介して複数の入口料金所ENそれぞれに設置された第1前撮カメラ21および第1後撮カメラ22から第1前撮画像F1および第1後撮画像R1を収集する。また、識別装置10は、通信回線を介して複数の出口料金所EXそれぞれに設置された第2前撮カメラ31および第2後撮カメラ32から第2前撮画像F2および第2後撮画像R2を収集する。識別装置10は、収集した画像から読み取ったナンバープレート情報に基づいて、入口料金所ENおよび出口料金所EXに到来した個々の車両を識別する。
【0019】
(機能構成)
図2は、本開示の第1の実施形態に係る識別装置の機能構成を示す図である。
図2に示すように、識別装置10は、CPU11と、記憶媒体12と、出力装置13と、入力装置14と、通信インタフェース(I/F)15とを備えている。
【0020】
CPU11は、識別装置10の動作全体を司るプロセッサである。CPU11は、所定のプログラムにしたがって動作することにより、第1取得部110、第1画像認識部111、第2取得部112、第2画像認識部113、選択部114、処理部115としての機能を発揮する。
【0021】
第1取得部110は、入口料金所ENの第1前撮カメラ21および第1後撮カメラ22のそれぞれから、入口料金所ENに到来した車両Aの前方側ナンバープレートNP1を含む第1前撮画像F1と、当該車両Aの後方側ナンバープレートNP2を含む第1後撮画像R1と、を取得する。
【0022】
第1画像認識部111は、第1前撮画像F1および第1後撮画像R1のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第1ナンバープレート情報(第1NP情報)D1を生成する。
【0023】
第2取得部112は、出口料金所EXの第2前撮カメラ31および第2後撮カメラ32のそれぞれから、出口料金所EXに到来した車両Aの前方側ナンバープレートNP1を含む第2前撮画像F2と、当該車両Aの後方側ナンバープレートNP2を含む第2後撮画像R2と、を取得する。
【0024】
第2画像認識部113は、第2前撮画像F2および第2後撮画像R2のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第2ナンバープレート情報(第2NP情報)D2を生成する。
【0025】
選択部114は、第1NP情報D1と第2NP情報D2との対比に基づいて、複数の第1NP情報D1のうち、出口料金所EXに到来した車両と同一の車両に関連する第1NP情報D1を選択する。
【0026】
処理部115は、第2画像認識部113が生成した第2NP情報D2と、選択部114が選択した第1NP情報D1とに基づいて、これらNP情報に関連する車両Aに対する処理を実行する。たとえば、処理部115は、第1NP情報D1および第2NP情報D2から、車両Aがどの入口料金所ENから有料道路に進入し、どの出口料金所EXから退出したかを特定する。そして、処理部115は、この車両Aに関する情報として、入口料金所ENの識別情報(料金所ID)および第1NP情報D1と、出口料金所EXの識別情報(料金所ID)および第2NP情報D2とを、上位装置(不図示)に送信する。上位装置は、識別装置10から受信した情報に基づいて、車両Aの走行距離(入口料金所ENから出口料金所EXまでの距離)に応じた通行料金を車両Aに課金する課金処理を行うことができる。
【0027】
記憶媒体12は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等であってよい。記憶媒体12には、CPU11の各部が取得、生成した各種データが記憶される。たとえば、記憶媒体12には、第1取得部110および第2取得部112が収集した第1前撮画像F1、第1後撮画像R1、第2前撮画像F2、第2後撮画像R2が記憶される。また、記憶媒体12には、第1画像認識部111および第2画像認識部113が生成した第1NP情報D1および第2NP情報D2が記憶される。
【0028】
出力装置13は、識別装置10のオペレータに対して各種情報を提示する表示装置である。また、出力装置13は、プリンタ等であってもよい。
【0029】
入力装置14は、識別装置10のオペレータからの操作を受け付けるキーボード、マウス等の入力機器である。なお、出力装置13および入力装置14はタッチパネルとして一体に設けられていてもよい。
【0030】
通信I/F15は、インターネット等の広域通信ネットワークを介して、上位装置との間でデータの送受信を行う。
【0031】
(処理フロー)
図3は、本開示の第1の実施形態に係る識別装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
以下、
図3を参照しながら、識別装置10が入口料金所ENに到来した車両の第1NP情報D1を収集する処理の流れについて説明する。
【0032】
車両Aが入口料金所ENに到来すると、第1前撮カメラ21により、当該車両Aの前方側ナンバープレートNP1が撮影される。識別装置10の第1取得部110は、第1前撮カメラ21が撮影した第1前撮画像F1を取得する(ステップS100A)。
【0033】
続いて、第1後撮カメラ22により車両Aの後方側NP2が撮影される。そうすると、第1取得部110は、第1後撮カメラ22が撮影した第1後撮画像R1を取得する(ステップS100B)。
【0034】
次に、第1画像認識部111は、第1前撮画像F1に所定の画像処理を施すことにより、車両Aの前方側ナンバープレートNP1のNP情報(文字情報)を読み取る(ステップS101)。
【0035】
また、第1画像認識部111は、第1後撮画像R1に所定の画像処理を施すことにより、車両Aの後方側ナンバープレートNP2のNP情報(文字情報)を読み取る(ステップS102)。
【0036】
第1画像認識部111は、第1前撮画像F1および第1後撮画像R1のそれぞれから読み取ったNP情報を統合してなる第1NP情報D1を生成する(ステップS103)。
【0037】
図4は、本開示の第1の実施形態に係る第1ナンバープレート情報の一例を示す図である。
図4に示すように、第1前撮画像F1および第1後撮画像R1から読み取ったNP情報には、「地名(最大4文字)」、「分類番号(最大3文字)」、「用途コード(最大1文字)」、「一連番号(最大4文字)」が含まれる。第1画像認識部111は、第1前撮画像F1のNP情報と、第1後撮画像R1のNP情報とをつなぎ合わせた第1NP情報D1を生成する。
図4の例では、第1NP情報D1は、24文字の文字列からなる情報である。また、第1画像認識部111は、生成した第1NP情報D1に、画像の取得日時と、画像の送信元である入口料金所ENを特定可能な情報(料金所ID)と、第1前撮画像F1および第1後撮画像R1とを関連付けて、記憶媒体12に記憶して蓄積する。
【0038】
識別装置10は、第1前撮画像F1および第1後撮画像R1を取得する度に、
図3の一連の処理を実行する。
【0039】
図5は、本開示の第1の実施形態に係る識別装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
以下、
図5を参照しながら、識別装置10が出口料金所EXに到来した車両の個体識別を行う処理の流れについて説明する。
【0040】
車両Aが出口料金所EXに到来すると、第2前撮カメラ31により、当該車両Aの前方側ナンバープレートNP1が撮影される。識別装置10の第2取得部112は、第2前撮カメラ31が撮影した第2前撮画像F2を取得する(ステップS110A)。
【0041】
続いて、第2後撮カメラ32により車両Aの後方側ナンバープレートNP2が撮影される。そうすると、第2取得部112は、第2後撮カメラ32が撮影した第2後撮画像R2を取得する(ステップS110B)。
【0042】
次に、第2画像認識部113は、第2前撮画像F2に所定の画像処理を施すことにより、車両Aの前方側ナンバープレートNP1のNP情報(文字情報)を読み取る(ステップS111)。
【0043】
また、第2画像認識部113は、第2後撮画像R2に所定の画像処理を施すことにより、車両Aの後方側ナンバープレートNP2のNP情報(文字情報)を読み取る(ステップS112)。
【0044】
第2画像認識部113は、第2前撮画像F2および第2後撮画像R2のそれぞれから読み取ったNP情報を統合してなる第2NP情報D2を生成する(ステップS113)。
【0045】
次に、選択部114は、第1NP情報D1と第2NP情報D2とを対比して、各入口料金所ENを通過した複数の車両のうち、出口料金所EXに到来した車両Aと同一の車両を識別する。具体的には、まず、選択部114は、記憶媒体12から、第2NP情報D2と同一の車両Aに関連する第1NP情報D1の候補を抽出し、各候補の一致度を求める(ステップS114)。
【0046】
図6は、本開示の第1の実施形態に係る識別装置の機能を説明するための図である。
ステップS113において、第2画像認識部113が
図6に示すような第2NP情報D2を生成したとする。選択部114は、たとえば第2NP情報D2に含まれる前撮画像の「一連番号」を検索キーとして、記憶媒体12に記憶された複数の第1NP情報D1から、同一または類似した一連番号を有する第1NP情報D1を抽出する。なお、選択部114は、後撮画像の「一連番号」や、「地名」、「分類番号」等の他の項目を検索キーとしてもよいし、複数の項目を組み合わせて検索キーとしてもよい。選択部114が、一つまたは複数の検索キーを用いて同一または類似した情報を検索する方法は、既存の技術を利用可能であるため、説明を省略する。
【0047】
図6の例では、選択部114が第1NP情報D1_1および第1NP情報D1_2を抽出したとする。選択部114は、抽出した第1NP情報D1_1、D1_2それぞれの一致度を求める。一致度は、たとえば第1NP情報D1および第2NP情報D2に含まれる24文字の文字列のうち、一致する文字の数、または割合で表される。
図6の例では、第1NP情報D1_1の一致度(たとえば一致した文字数)は、「23文字」であり、第1NP情報D1_2の一致度は「20文字」である。
【0048】
また、
図6の例では、第1NP情報D1_1について、前撮画像の「分類番号」を誤認識していたとする。このため、第1NP情報D1_1は、第2NP情報D2と完全には一致しない。従来の有料道路の課金システムにおいては、前撮画像から取得したNP情報のみに基づいて、個々の車両の識別を行うことが一般的である。そうすると、
図6の例のように、誤認識により入口料金所と出口料金所とで異なるNP情報が記録されてしまった場合、これらを同一の車両に関連するNP情報であると識別することが困難であった。
【0049】
このため、本実施形態に係る選択部114は、前撮画像のNP情報および後撮画像のNP情報を一つの文字列として統合した第1NP情報D1および第2NP情報D2を対比し、全体として最も第2NP情報D2との一致度が高い第1NP情報D1を選択する。具体的には、選択部114は、抽出した複数の第1NP情報D1のうち、第2NP情報D2との一致度が閾値以上、かつ、最大のものが一つに絞り込めるか判断する(ステップS115)。なお、閾値は、各カメラ21、22、31、32の性能、第1画像認識部111および第2画像認識部113の認識精度等に応じて任意に設定される。
【0050】
上記したように、第1NP情報D1および第2NP情報D2は、前撮画像および後撮画像それぞれから読み取ったNP情報を統合したものであるので、従来の前撮画像および後撮画像の一方のNP情報のみ(12文字)で個体識別を行う手法に比べ、情報量が倍(24文字)に増加している。そうすると、
図6の例のように前撮画像のNP情報の一部を誤認識したとしても、後撮画像のNP情報が一致していれば、全体としては一致度が高くなり、誤認識の影響を受けにくくなる。
【0051】
図6の例では、第1NP情報D1_1の一致度(たとえば一致した文字数)は、「23文字」であり、第1NP情報D1_2の一致度は「20文字」である。この場合、選択部114は、一致度が閾値以上、且つ、最大であるものを、第1NP情報D1_1のみに絞り込むことができる(ステップS115:YES)。この場合、選択部114は、ステップS113で生成した第2NP情報D2と同一の車両に関連する第1NP情報として、この第1NP情報D1_1を選択する(ステップS116)。
【0052】
一方、一致度が閾値以上となる第1NP情報D1が存在しない場合、または、一致度が閾値以上かつ最大の第1NP情報D1が複数存在する場合(ステップS115:NO)、選択部114は、識別装置10のオペレータによる第1NP情報D1の選択を受け付ける(ステップS117)。たとえば、選択部114は、識別装置10の出力装置13に、抽出した複数の第1NP情報D1と、これら第1NP情報D1それぞれに紐づけられた第1前撮画像F1および第1後撮画像R1と、第2NP情報D2と、第2NP情報D2に紐づけられた第2前撮画像F2および第2後撮画像R2とを表示する。オペレータは、各画像およびNP情報を見比べて、第2NP情報D2に対応する第1NP情報D1を選択する操作を、入力装置14を介して行う。
【0053】
また、処理部115は、生成した第2NP情報D2と、選択された第1NP情報D1とを含む情報を上位装置に送信する(ステップS118)。なお、上位装置に送信される情報には、
図6に示す取得日時及び料金所IDが含まれる。上位装置は、識別装置10から受信した情報に基づいて、車両Aの走行距離に応じた通行料金を課金することができる。また、処理部115は、第1NP情報D1を上位装置に送信した後、この第1NP情報D1を記憶媒体12から削除するようにしてもよい。
【0054】
識別装置10は、第2前撮画像F2および第2後撮画像R2を取得する度に、
図5の一連の処理を実行する。なお、他の実施形態では、識別装置10は、取得した第2前撮画像F2および第2後撮画像R2を記憶媒体12に蓄積しておき、所定のタイミングで(たとえば、1時間ごとに)、記憶媒体12に蓄積された複数組の画像について、
図5の一連の処理を実行するようにしてもよい。
【0055】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る識別装置10は、入口料金所ENの第1前撮カメラ21および第1後撮カメラ22のそれぞれから第1前撮画像F1および第1後撮画像R1を取得する第1取得部110と、第1前撮画像F1および第1後撮画像R1のそれぞれから読み取ったNP情報を統合してなる第1NP情報D1を生成する第1画像認識部111と、出口料金所EXの第2前撮カメラ31および第2後撮カメラ32のそれぞれから第2前撮画像F2および第2後撮画像R2を取得する第2取得部112と、第2前撮画像F2および第2後撮画像R2のそれぞれから読み取ったNP情報を統合してなる第2NP情報D2を生成する第2画像認識部113と、第1NP情報D1と第2NP情報との対比に基づいて、第1NP情報D1のうち、出口料金所EXに到来した車両Aと同一の車両に関する第1NP情報D1を選択する選択部114と、を備える。
【0056】
上記したように、従来の有料道路の課金システムにおいては、前撮画像から取得したNP情報のみに基づいて、個々の車両の識別を行うことが一般的である。そうすると、誤認識により入口料金所と出口料金所とで異なるNP情報が記録されてしまった場合、これらを同一の車両に関連するNP情報であると識別することが困難であった。これに対し、本実施形態に係る識別装置10は、入口料金所ENおよび出口料金所EXのそれぞれにおいて、前撮画像および後撮画像それぞれから読み取ったNP情報を一つの文字列として統合して対比している。これにより、たとえば前撮画像および後撮画像のいずれか一方のNP情報の一部を誤認識したとしても、他方のNP情報が一致していれば、全体としては一致度が高くなり、誤認識の影響を受けにくくなる。したがって、識別装置10は、NP情報の誤認識による車両の個体識別精度の低下を抑制することができる。
【0057】
また、選択部114は、第1NP情報D1と第2NP情報D2との一致度(一致した文字の数、または割合)を求め、一致度が所定の閾値以上である第1NP情報D1のうち、最も一致度が高い第1NP情報D1を選択する。
【0058】
このようにすることで、識別装置10は、第1NP情報D1および第2NP情報D2に誤認識された文字が含まれていたとしても、複数の第1NP情報D1の中から、最も第2NP情報D2に近しいものを適切に選択することができる。
【0059】
また、選択部114は、第2NP情報D2の少なくとも一つの項目を検索キーとして、複数の第1NP情報から検索キーに一致又は類似する第1NP情報D1を抽出し、抽出された第1NP情報D1の一致度を求める。
【0060】
識別装置10は、このように、第2NP情報D2と一致度の高そうな第1NP情報D1を予め抽出しておくことにより、一致度を求める処理にかかる時間を低減させることができる。
【0061】
また、選択部114は、一致度が閾値以上となる第1NP情報D1が存在しない場合、または、一致度が閾値以上かつ最大の第1NP情報D1が複数存在する場合、抽出した第1NP情報D1を候補としてオペレータに提示してもよい。
【0062】
これにより、誤認識された文字数が多い場合等であっても、オペレータに適切な第1NP情報D1を選択させることができる。
【0063】
<第2の実施形態>
次に、本開示の第2の実施形態に係る識別システム1および識別装置10について、
図7を参照しながら説明する。
第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。本実施形態では、選択部114が、第1NP情報D1の一致度を求める際に、項目別の重みを用いる点において、第1の実施形態と異なっている。
【0064】
本実施形態に係る識別装置10は、過去に読み取られたNP情報と、その正解情報(たとえば、撮影された画像に基づきオペレータが入力したNP情報)とに基づく、NP情報の項目毎の誤認識率を示す統計情報を予め与えられている。選択部114は、この統計情報に基づいて、NP情報の項目毎の誤認識率に応じた重みを設定する。
【0065】
たとえば、選択部114は、誤認識率が高い(誤認識しやすい)項目の文字が一致しなかった場合の一致度よりも、誤認識率が低い(誤認識しにくい)項目の文字が一致しなかった場合の一致度の方が低くなるように、項目別の重みを設定する。或いは、選択部114は、誤認識率が高い項目の文字が一致した場合の一致度よりも、誤認識率が低い項目の文字が一致した場合の一致度の方が高くなるように、項目別の重みを設定する。
【0066】
図7は、本開示の第2の実施形態に係る識別装置の機能を説明するための図である。
図7には、
図5のステップS113~S114において、第2画像認識部113が生成した第2NP情報D2と、選択部114が抽出した第1NP情報D1(D1_3、D1_4)の例が示されている。
【0067】
たとえば、統計情報より、「分類番号」の誤認識率が所定値以上、「用途コード」の誤認識率が所定値未満であることが分かっているとする。この場合、選択部114は、第1NP情報D1と第2NP情報D2とで「用途コード」が一致しなかった場合の一致度が、「分類番号」が一致しなかった場合の一致度よりも低くなるように、重みを設定する。すなわち、選択部114は、誤認識率が高い項目については文字が一致しなくても許容するが、誤認識率が低い項目については文字が一致しないものが選択されなくなるように、一致度に対する重みを設定する。
【0068】
図7の例では、抽出された第1NP情報D1_3、D1_4は、第2NP情報D2と一致した文字数が同数の「22文字」である。この場合、一致した文字数のみに基づいて判断すると、これら第1NP情報D1_3、D1_4のうちいずれかを自動的に選択することができず、オペレータによる確認、操作が必要となってしまう可能性があった。
【0069】
これに対し、本実施形態に係る選択部114は、さらに項目別の重みを用いて一致度を求めることにより、いずれかの第1NP情報D1を自動的に選択することが可能となる。
図7の例では、選択部114は、誤認識率の高い「分類番号」と、誤認識率の低い「用途コード」とのそれぞれに対して重みを与えて一致度を求める。これにより、「分類番号」が不一致となる第1NP情報D1_3よりも、「用途コード」が不一致となる第1NP情報D1_4の方が、全体として一致度が低くなる。したがって、選択部114は、第1NP情報D1_3を、閾値以上、かつ、最大の一致度を有するものとして選択することができる。
【0070】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る識別装置10において、選択部114は、第1NP情報D1および第2NP情報D2に含まれる複数の項目それぞれの誤認識率に応じた重みを付けて、第1NP情報D1と第2NP情報D2との一致度を求める。
【0071】
このようにすることで、識別装置10は、誤認識率が高い項目については文字が一致しなくても許容するが、誤認識率が低い項目については文字が一致しないものが選択されなくなるように、適切な一致度を求めることができる。また、識別装置10は、第2NP情報D2と一致する文字数が同数となる第1NP情報D1が複数存在した場合であっても、項目別の重みにより一致度を異ならせることができるので、何れか一の第1NP情報D1を自動的に選択できる可能性を向上させることができる。
【0072】
<第3の実施形態>
次に、本開示の第3の実施形態に係る識別システム1および識別装置10について、
図8を参照しながら説明する。
第1および第2の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。本実施形態では、選択部114が、第1NP情報D1の一致度を求める際に、読み取った文字ごとの認識精度を表すスコアを用いる点において、第1および第2の実施形態と異なっている。
【0073】
本実施形態に係る第1画像認識部111は、
図3のステップS101~S103において、第1前撮画像F1および第1後撮画像R1から読み取ったナンバープレートの文字と、各文字の認識の信頼度を表すスコアとを対応付けた第1NP情報D1を生成する。同様に、第2画像認識部113は、
図5のステップS111~S113において、第2前撮画像F2および第2後撮画像R2から読み取ったナンバープレートの文字と、各文字のスコアとを対応付けた第2NP情報D2を生成する。
【0074】
たとえば第1画像認識部111および第2画像認識部113は、テンプレートマッチングにより各文字の認識を行う場合、テンプレートとの類似度をスコアとして用いる。また、第1画像認識部111および第2画像認識部113は、機械学習(深層学習を含む)により各文字の認識を行う場合、認識結果の信頼度をスコアとして用いる。
【0075】
同一の車両Aに関する第1NP情報D1および第2NP情報D2であれば、スコアの高い文字については一致する可能性が高い。一方、スコアの低い文字については、誤認識のため一致しない可能性がある。このため、本実施形態に係る選択部114は、スコアが低い(誤認識の可能性が高い)文字が一致しなかった場合の一致度よりも、スコアが高い(誤認識の可能性が低い)文字が一致しなかった場合の一致度の方が低くなるように、スコア別の重みを設定する。或いは、選択部114は、スコアが低い文字が一致した場合の一致度よりも、スコアが高い文字が一致した場合の一致度の方が高くなるように、スコア別の重みを設定する。つまり、選択部114は、誤認識の可能性がある低スコア文字については不一致を許容し、誤認識の可能性が低い高スコア文字については不一致を許容しないように、低スコア文字と高スコア文字との重みに差をつけている。
【0076】
図8は、本開示の第3の実施形態に係る識別装置の機能を説明するための図である。
図8には、
図5のステップS113~S114において、第2画像認識部113が生成した第2NP情報D2と、選択部114が抽出した第1NP情報D1(D1_5、D1_6)の例が示されている。
図8に示すように、第1NP情報D1及び第2NP情報D2のそれぞれには、認識した文字毎のスコアが付されている。スコアは、たとえば0~1の間の数値であり、1が最も信頼度が高く、0が最も信頼度が低いことを示す。
【0077】
たとえば、選択部114は、第1NP情報D1及び第2NP情報D2の対応する文字のスコアを乗算した値を重みとする。具体的には、選択部114は、認識結果が一致する場合はスコアを乗算した値をプラスの重みとし、認識結果が一致しない場合はスコアを乗算した値をマイナスの重みとする。以下、
図8の例を参考に、スコアの重み付けの求め方について詳しく説明する。
【0078】
(1)両方のスコアが高く、認識結果が一致する場合
第1NP情報D1_5及び第2NP情報D2の前撮画像の用途コードCH53、CH23の認識結果(「あ」)は一致しており、スコアはいずれも高い値(「1」)である。この場合、第1NP情報D1_5の用途コードのスコアの重みは、CH53のスコア(「1」)とCH23のスコア(「1」)とを乗じたプラスの値である「+1」となる。
【0079】
(2)両方のスコアが高く、認識結果が一致しない場合
第1NP情報D1_6の前撮画像の用途コードCH60の認識結果(「お」)は、第2NP情報D2の用途コードCH23の認識結果(「あ」)と一致しない。また、これらのスコアはいずれも高い値(「1」)である。この場合、第1NP情報D1_6の用途コードのスコアの重みは、CH63のスコア(「1」)とCH23のスコア(「1」)とを乗じたマイナスの値である「-1」となる。
【0080】
(3)一方のスコアが低く、認識結果が一致する場合
第1NP情報D1_6及び第2NP情報D2の前撮画像の分類番号について、1文字目CH60、CH20の認識結果(「3」)は一致している。また、第1NP情報D1_6(CH60)のスコアは「0.5」であり、第2NP情報D2(CH20)のスコアは「1」である。つまり、両者のスコアは、一方が高く、一方が低い値となっている。この場合、第1NP情報D1_6の分類番号(1文字目)のスコアの重みは、CH60のスコア(「0.5」)とCH20のスコア(「1」)とを乗じたプラスの値である「+0.5」となる。
【0081】
(4)一方のスコアが低く、認識結果が一致しない場合
第1NP情報D1_5の前撮画像の分類番号について、1文字目CH50の認識結果(「8」)は、第1NP情報NPの対応する文字CH20の認識結果(「3」)と一致していない。また、第1NP情報D1_5(CH50)のスコアは「0.5」であり、第2NP情報D2(CH20)のスコアは「1」である。つまり、両者のスコアは、一方が高く、一方が低い値となっている。この場合、第1NP情報D1_5の分類番号(1文字目)のスコアの重みは、CH50のスコア(「0.5」)とCH20のスコア(「1」)とを乗じたマイナスの値である「-0.5」となる。
【0082】
(5)両方のスコアが低く、認識結果が一致する場合
第1NP情報D1_6及び第2NP情報D2の前撮画像の分類番号について、2文字目CH61、CH21の認識結果(「1」)は一致している。また、これら文字CH61、CH21のスコアはいずれも低い値(「0.5」)である。この場合、第1NP情報D1_6の分類番号(2文字目)のスコアの重みは、CH61のスコア(「0.5」)とCH21のスコア(「0.5」)とを乗じたプラスの値である「+0.25」となる。
【0083】
(6)両方のスコアが低く、認識結果が一致しない場合
第1NP情報D1_5の前撮画像の分類番号について、2文字目CH51の認識結果(「0」)は、第1NP情報NPの対応する文字CH21の認識結果(「1」)と一致していない。また、これら文字CH51、CH21のスコアはいずれも低い値(「0.5」)である。この場合、第1NP情報D1_5の分類番号(2文字目)のスコアの重みは、CH51のスコア(「0.5」)とCH21のスコア(「0.5」)とを乗じたマイナスの値である「-0.25」となる。
【0084】
このように、選択部114は、第1NP情報D1および第2NP情報D2の対応する各文字について、認識結果が一致するか否か、および、認識結果のスコアに基づいて、各文字の重みを計算し、これらの合計を一致度として求める。重みを考慮すると、一致度の最高値は「24」(前撮画像のNP情報12文字+後撮画像のNP情報12文字全てが一致)であり、最低値は「-24」(前撮画像のNP情報12文字+後撮画像のNP情報12文字全てが不一致)である。これにより、認識結果のスコアが高い文字同士は、認識結果が一致しない場合に大きく一致度が下がるようになっている。また、認識結果のスコアが低い文字については、認識結果が一致しないときの一致度への影響が小さくなる。このようにすることで、ナンバープレートの汚れなどによる認識精度の低下に影響されて、同一車両のNP情報が適切に選択されなくなる可能性を低減することが可能となる。
【0085】
選択部114は、一致度が所定の閾値(たとえば、20以上)であり、かつ最大である第1NP情報D1を選択する。
図8の例では、第2NP情報D2の、第1NP情報D1_5との一致度は「21.25」であり、第1NP情報D1_6との一致度は「18.75」である。したがって、選択部114は、第1NP情報D1_5を選択する。
【0086】
なお、本実施形態では、第1NP情報D1および第2NP情報D2それぞれに含まれる文字毎に重みを計算する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、文字毎ではなく、文字列毎に重みを計算してもよい。たとえば、地名は「神戸」、「姫路」など、複数の文字全体(文字列)で一つの意味(地名)を表すものであるから、一文字ずつ照合せずに、文字列全体で照合した方が合理的である。このため、選択部114は、地名に含まれる四文字を一つの文字列として扱い、この文字列全体に対する重みを一つのみ計算する。このとき、選択部114は、地名の各文字のスコアの平均値を、文字列全体のスコアとする。選択部114は、第1NP情報D1及び第2NP情報D2の地名を示す文字列が一致するか否か、および、文字列のスコアに基づいて、地名を示す文字列の重みを計算する。この場合、NP情報の一致度は「-18」~「+18」の範囲となる。
【0087】
また、さらに他の実施形態では、選択部114は、地名の各文字のスコアのうち最小値、または最大値を、地名を示す文字列全体のスコアとしてもよい。
【0088】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る識別装置10において、選択部114は、第1NP情報D1および第2NP情報D2に含まれる文字それぞれのスコアに応じた重みを付けて、第1NP情報D1と第2NP情報D2との一致度を求める。
【0089】
このようにすることで、識別装置10は、誤認識の可能性がある低スコア文字については第2NP情報D2の対応する文字と一致しなくても許容するが、誤認識の可能性が低い高スコア文字については第2NP情報D2の対応する文字と一致しないものが選択されなくなるように、適切な一致度を求めることができる。また、識別装置10は、第2NP情報D2と一致する文字数が同数となる第1NP情報D1が複数存在した場合であっても、スコア別の重みにより一致度を異ならせることができるので、何れか一の第1NP情報D1を自動的に選択できる可能性を向上させることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、第1画像認識部111および第2画像認識部113が、ナンバープレートの文字を一つ一つ分割して認識し、各文字にスコアを付す態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、第1画像認識部111および第2画像認識部113は、特定の項目については、文字ごとに分割せず、文字列のまま認識するようにしてもよい。たとえば、
図8の例では、第1画像認識部111および第2画像認識部113は、地名を表す「神戸」という文字列について、「神」および「戸」の2文字に分割して認識し、これら2つの文字それぞれにスコアを付していた。しかしながら、他の実施形態では、「神戸」を分割せずに一つの文字列として認識し、この文字列全体に対するスコアを一つのみ付してもよい。
【0091】
上述の各実施形態においては、識別装置10の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0092】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0093】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0094】
たとえば、上述の各実施形態に係る識別システム1において、識別装置10が第1取得部110、第1画像認識部111、第2取得部112、第2画像認識部113の機能を有している態様について説明したが、これに限られることはない。たとえば、以下に説明する変形例のように、これらの機能部は識別装置10以外の他の装置が有していてもよい。
【0095】
<変形例>
図9は、本開示の変形例に係る識別装置の機能構成を示す図である。
図9に示すように、本変形例に係る識別システム1は、入口料金所ENに設置された第1ナンバープレート認識装置(第1NP認識装置)20と、出口料金所EXに設置された第2ナンバープレート認識装置(第2NP認識装置)30と、をさらに備える。
【0096】
第1NP認識装置20は、入口料金所ENに到来した車両Aの第1NP情報D1を生成するための装置である。第1NP認識装置20は、第1の実施形態と同じ第1前撮カメラ21及び第1後撮カメラ22と、CPU23とを備える。
【0097】
CPU23は、第1NP認識装置20の動作全体を司るプロセッサである。CPU23は、所定のプログラムにしたがって動作することにより、第1取得部230、第1画像認識部231としての機能を発揮する。なお、第1取得部230、第1画像認識部231の機能は、それぞれ、第1~第3の実施形態に係る第1取得部110、第1画像認識部111の機能と同様である。
【0098】
第2NP認識装置30は、出口料金所EXに到来した車両Aの第2NP情報D2を生成するための装置である。第2NP認識装置30は、第1の実施形態と同じ第2前撮カメラ31及び第2後撮カメラ32と、CPU33とを備える。
【0099】
CPU33は、第2NP認識装置30の動作全体を司るプロセッサである。CPU33は、所定のプログラムにしたがって動作することにより、第2取得部330、第2画像認識部331としての機能を発揮する。なお、第2取得部330、第2画像認識部331の機能は、それぞれ、第1~第3の実施形態に係る第2取得部112、第2画像認識部113の機能と同様である。
【0100】
また、本実施形態に係る識別装置10のCPU11は、ナンバープレート情報取得部(NP情報取得部)116をさらに有している。NP情報取得部116は、第1NP認識装置20から第1NP情報D1を取得し、第2NP認識装置30から第2NP情報D2を取得する。なお、識別装置10の選択部114および処理部115の機能は、上述の各実施形態と同様である。
【0101】
識別システム1は、本変形例のような機器構成を有していても、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
<付記>
上述の実施形態に記載の識別装置、識別方法、及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0103】
本開示の第1の態様によれば、識別装置(10)は、入口料金所の第1前撮カメラ(21)および第1後撮カメラ(22)のそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得する第1取得部(110、230)と、前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第1ナンバープレート情報を生成する第1画像認識部(111、231)と、出口料金所の第2前撮カメラ(31)および第2後撮カメラ(32)のそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得する第2取得部(112、330)と、前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第2ナンバープレート情報を生成する第2画像認識部(113、331)と、前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択する選択部(114)と、を備える。
【0104】
識別装置は、入口料金所ENおよび出口料金所EXのそれぞれにおいて、前撮画像および後撮画像それぞれから読み取ったNP情報を一つの文字列として統合して対比することにより、たとえば前撮画像および後撮画像のいずれか一方のNP情報の一部を誤認識したとしても、他方のNP情報が一致していれば、全体としては一致度が高くなり、誤認識の影響を受けにくくなる。したがって、識別装置は、NP情報の誤認識による車両の個体識別精度の低下を抑制することができる。
【0105】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る識別装置(10)において、前記選択部(114)は、前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との一致度を求め、前記一致度が所定の閾値以上である前記第1ナンバープレート情報のうち、最も一致度が高い第1ナンバープレート情報を選択する。
【0106】
このようにすることで、識別装置は、第1ナンバープレート情報および第2ナンバープレート情報に誤認識された文字が含まれていたとしても、複数の第1ナンバープレート情報の中から、最も第2ナンバープレート情報に近しいものを適切に選択することができる。
【0107】
本開示の第3の態様によれば、第2の態様に係る識別装置(10)において、前記選択部(114)は、前記第1ナンバープレート情報および前記第2ナンバープレート情報に含まれる複数の項目それぞれの誤認識率に応じた重みを付けて、前記一致度を求める。
【0108】
このようにすることで、識別装置は、誤認識率が高い項目については文字が一致しなくても許容するが、誤認識率が低い項目については文字が一致しないものが選択されなくなるように、適切な一致度を求めることができる。また、識別装置は、第2ナンバープレート情報と一致する文字数が同数となる第1ナンバープレート情報が複数存在した場合であっても、項目別の重みにより一致度を異ならせることができるので、何れか一の第1ナンバープレート情報を自動的に選択できる可能性を向上させることができる。
【0109】
本開示の第4の態様によれば、第1の態様に係る識別装置(10)において、前記第1ナンバープレート情報および前記第2ナンバープレート情報は、読み取ったナンバープレートの文字ごとの認識の信頼度を表すスコアをさらに含み、前記選択部(114)は、前記スコアに応じた重みを付けて、前記一致度を求める。
【0110】
このようにすることで、識別装置は、誤認識の可能性がある低スコア文字については第2ナンバープレート情報の対応する文字と一致しなくても許容するが、誤認識の可能性が低い高スコア文字については第2ナンバープレート情報の対応する文字と一致しないものが選択されなくなるように、適切な一致度を求めることができる。また、識別装置は、第2ナンバープレート情報と一致する文字数が同数となる第1ナンバープレート情報が複数存在した場合であっても、スコア別の重みにより一致度を異ならせることができるので、何れか一の第1ナンバープレート情報を自動的に選択できる可能性を向上させることができる。
【0111】
本開示の第5の態様によれば、識別方法は、入口料金所の第1前撮カメラ(21)および第1後撮カメラ(22)のそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得するステップと、前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第1ナンバープレート情報を生成するステップと、出口料金所の第2前撮カメラ(31)および第2後撮カメラ(32)のそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得するステップと、前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第2ナンバープレート情報を生成するステップと、前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択するステップと、を有する。
【0112】
本開示の第6の態様によれば、プログラムは、入口料金所の第1前撮カメラ(21)および第1後撮カメラ(22)のそれぞれから、前記入口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第1前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第1後撮画像と、を取得するステップと、前記第1前撮画像および前記第1後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第1ナンバープレート情報を生成するステップと、出口料金所の第2前撮カメラ(31)および第2後撮カメラ(32)のそれぞれから、前記出口料金所に到来した車両の前方側ナンバープレートを含む第2前撮画像と、前記車両の後方側ナンバープレートを含む第2後撮画像と、を取得するステップと、前記第2前撮画像および前記第2後撮画像のそれぞれから読み取ったナンバープレートの文字列を統合してなる第2ナンバープレート情報を生成するステップと、前記第1ナンバープレート情報と前記第2ナンバープレート情報との対比に基づいて、前記第1ナンバープレート情報のうち、前記出口料金所に到来した車両と同一の車両に関連する第1ナンバープレート情報を選択するステップと、を識別装置(10)のコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0113】
1 識別システム
10 識別装置
11 CPU
110 第1取得部
111 第1画像認識部
112 第2取得部
113 第2画像認識部
114 選択部
115 処理部
116 ナンバープレート情報取得部(NP情報取得部)
12 記憶媒体
13 出力装置
14 入力装置
20 第1ナンバープレート認識装置(第1NP認識装置)
21 第1前撮カメラ
22 第1後撮カメラ
23 CPU
230 第1取得部
231 第1画像認識部
30 第2ナンバープレート認識装置(第2NP認識装置)
31 第2前撮カメラ
32 第2後撮カメラ
33 CPU
330 第2取得部
331 第2画像認識部