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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】車両運転ロボット
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20241213BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G01M17/007 D
B60K26/02
G01M17/007 A
G01M17/007 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021131197
(22)【出願日】2021-08-11
(65)【公開番号】P2023025823
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2024-04-29
(73)【特許権者】
【識別番号】317005022
【氏名又は名称】独立行政法人自動車技術総合機構
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】奥井 伸宜
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-220117(JP,A)
【文献】実開昭61-053228(JP,U)
【文献】中国実用新案第207089006(CN,U)
【文献】特開2002-215250(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108572080(CN,A)
【文献】中国実用新案第207843100(CN,U)
【文献】米国特許第05430645(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102009048181(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K25/00-28/16
G01M17/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセルペダルとブレーキペダルとを備えた車両に着脱可能に搭載されて、前記車両の運転者に代わって前記アクセルペダルと前記ブレーキペダルとを操作する車両運転ロボットにおいて、
前記車両の運転座席の前側面に装着される基台部材と、
前記基台部材に対して進退動可能に設けられた可動部材と、
前記可動部材を進退動作せる進退動アクチュエータと、
前記可動部材の進退動によって前記アクセルペダルが操作されることとなるアクセル操作位置と、前記可動部材の進退動によって前記ブレーキペダルが操作されることとなるブレーキ操作位置とに切り換わるペダル操作部材と、
前記ペダル操作部材の位置を前記アクセル操作位置または前記ブレーキ操作位置に切り換える切換アクチュエータと
を備えることを特徴とする車両運転ロボット。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転ロボットにおいて、
前記可動部材は、前記進退動する方向が長手方向となる形状の部材であり、
前記ペダル操作部材は、前記可動部材の先端に取り付けられている
ことを特徴とする車両運転ロボット。
【請求項3】
請求項2に記載の車両運転ロボットにおいて、
前記ペダル操作部材は、前記可動部材の長手方向の回転軸を中心として回動することによって、前記アクセル操作位置または前記ブレーキ操作位置に移動可能な部材である
ことを特徴とする車両運転ロボット。
【請求項4】
請求項3に記載の車両運転ロボットにおいて、
前記ペダル操作部材は、
前記可動部材が前進した時に、前記回転軸に対してオフセットした位置で前記アクセルペダルに当接するアクセルペダル操作部材と、
前記可動部材が前進した時に、前記回転軸に対して前記アクセルペダル操作部材とは異なる方向にオフセットした位置で前記ブレーキペダルに当接するブレーキペダル操作部材と
を備えており、
前記切換アクチュエータは、前記アクセルペダル操作部材および前記ブレーキペダル操作部材を一体として回動させることによって、
前記可動部材が前進した時に、前記アクセルペダル操作部材は前記アクセルペダルに当接するが、前記アクセルペダル操作部材および前記ブレーキペダル操作部材は前記ブレーキペダルには当接しない前記アクセル操作位置と、
前記可動部材が前進した時に、前記ブレーキペダル操作部材は前記ブレーキペダルに当接するが、前記アクセルペダル操作部材および前記ブレーキペダル操作部材は前記アクセルペダルには当接しない前記ブレーキ操作位置とに切り換える
ことを特徴とする車両運転ロボット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の車両運転ロボットにおいて、
前記進退動アクチュエータは、
予め設定可能な前記アクセルペダル用の原点位置と、予め設定可能な前記ブレーキペダル用の原点位置と、前記アクセルペダル用の原点位置および前記ブレーキペダル用の原点位置の何れよりも後退した位置に設定されたペダル切換位置とに、前記可動部材を移動させることが可能であり、
前記切換アクチュエータは、前記可動部材が前記ペダル切換位置に移動した状態で、前記ペダル操作部材の位置を切り換える
ことを特徴とする車両運転ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に代わってアクセルペダルとブレーキペダルとを操作することによって、車両を運転する車両運転ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の車両には、動力性能の向上や、燃料消費量の低減や、排気ガス中の有害成分濃度の低減など、様々な面での改善が要請されている。そして、これらの要請は、細かな改良を積み重ねることによって実現されているのが実状である。このため、車両の開発に際しては、個々の改良による効果を正確に把握することが重要となる。
【0003】
ここで、車両を使って車両の性能を評価する方法には、シャーシダイナモメータと呼ばれる専用設備に車両を搭載して、シャーシダイナモメータ上で予め決められた走行パターンを走行することによって性能を評価する方法と、テストコースや公道で車両を走行させることによって性能を評価する方法とが存在する。従来は、何れの方法で評価する場合でも、車両にテストドライバが乗車して、実際に車両を運転することによって評価していたが、評価する度にアクセル操作やブレーキ操作のタイミングや操作量が少しずつ違うので、細かな改良による効果を正確に評価することが難しい。
【0004】
そこで、テストドライバに代わって、アクセルペダルやブレーキペダルを操作する車両運転ロボットが開発されている(たとえば特許文献1、特許文献2)。これらの車両運転ロボットを用いれば、アクセル操作やブレーキ操作のタイミングや操作量を揃えた状態で何度でも車両を評価することができるので、細かな改良による効果を正確に評価することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-248601号公報
【文献】特開2003-098048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、提案されている従来の車両運転ロボットには、適用可能な評価試験が、車両のハンドル操作を伴わない試験に限られるという問題があった。この理由は次のようなものである。車両運転ロボットで車両のアクセルを操作しようとするとアクセル操作用のアクチュエータが必要となり、車両のブレーキを操作しようとするとブレーキ操作用のアクチュエータが必要となる。このため、運転座席からアクセルペダルおよびブレーキペダルの間の空間が、アクセル操作用アクチュエータおよびブレーキ操作用アクチュエータでほとんど占有されてしまうため、テストドライバが運転席座席に座った時の足の置き場所を確保することが困難である。加えて、アクセル操作用とブレーキ操作用の2つのアクチュエータの動作を制御する必要があるので制御装置が大型となり、制御装置によって運転座席が占有されてしまうため、テストドライバが運転座席に座ることも困難となる。その結果、従来の車両運転ロボットを適用可能な評価試験は、ハンドル操作が不要な評価(たとえば、シャーシダイナモメータ上で決められた走行パターンを走行する評価)に限られてしまい、テストコースや公道で実際に車両を走行させての評価試験は行うことができないという問題があった。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するために成されたものであり、テストドライバによるハンドル操作が必要な評価試験にも適用することが可能な車両運転ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の車両運転ロボットは次の構成を採用した。すなわち、
アクセルペダルとブレーキペダルとを備えた車両に着脱可能に搭載されて、前記車両の運転者に代わって前記アクセルペダルと前記ブレーキペダルとを操作する車両運転ロボットにおいて、
前記車両の運転座席の前側面に装着される基台部材と、
前記基台部材に対して進退動可能に設けられた可動部材と、
前記可動部材を進退動作せる進退動アクチュエータと、
前記可動部材の進退動によって前記アクセルペダルが操作されることとなるアクセル操作位置と、前記可動部材の進退動によって前記ブレーキペダルが操作されることとなるブレーキ操作位置とに切り換わるペダル操作部材と、
前記ペダル操作部材の位置を前記アクセル操作位置または前記ブレーキ操作位置に切り換える切換アクチュエータと
を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる本発明の車両運転ロボットにおいては、アクセル操作位置またはブレーキ操作位置に切換可能なペダル操作部材を備えており、ペダル操作部材をアクセル操作位置に切り換えた状態で可動部材を進退動作せると、アクセルペダルを操作することが可能となる。また、ペダル操作部材をブレーキ操作位置に切り換えた状態で可動部材を進退動作せると、ブレーキペダルを操作することが可能となる。また、車両運転ロボットの基台部材は、運転座席の前側面に装着されるようになっている。
【0010】
こうすれば、アクセルペダルを操作する場合とブレーキペダルを操作する場合とを、ペダル操作部材の位置によって切り換えることができるので、アクセルペダルとブレーキペダルとを1つの可動部材および進退動アクチュエータを用いて操作することができる。このため、アクセルペダルおよびブレーキペダルのそれぞれに可動部材および進退動アクチュエータを搭載する場合のように、運転座席の前方の空間が可動部材および進退動アクチュエータで占有されてしまうことがないので、テストドライバの足の収容スペースを容易に確保することができる。加えて、車両運転ロボットは、基台部材を運転座席の前側に装着するようになっているので、運転座席の座面は空けておくことができる。このため、車両運転ロボットを車両に搭載した場合でも、テストドライバが運転座席に座ることができるので、アクセル操作およびブレーキ操作は車両運転ロボットによって行いながら、テストドライバがハンドル操作するような評価試験も行うことが可能となる。
【0011】
また、上述した本発明の車両運転ロボットにおいては、進退動する方向が長手方向となる形状に可動部材を形成しておき、可動部材の先端にペダル操作部材を取り付けることとしても良い。
【0012】
こうすれば、可動部材の両側が短手方向となるため、可動部材の両側にテストドライバの足を収容するスペースを容易に確保することができる。加えて、ペダル操作部材の位置を、アクセル操作位置とブレーキ操作位置とに切り換える場合には、可動部材の先端に取り付けられたペダル操作部材を切り換えれば良く、可動部材の位置を切り換える必要が無いので、切換に要する時間が短くなり、迅速に切り換えることが可能となる。
【0013】
また、上述した本発明の車両運転ロボットにおいては、可動部材の長手方向の回転軸を中心としてペダル操作部材が回動することによって、アクセル操作位置またはブレーキ操作位置に移動するようにしても良い。
【0014】
こうすれば、ペダル操作部材の位置を、単純な機構でアクセル操作位置またはブレーキ操作位置に切り換えることが可能となる。
【0015】
また、上述した本発明の車両運転ロボットにおいては、可動部材が前進した時に、回転軸に対してオフセットした位置でアクセルペダルに当接するペダル操作部材(アクセルペダル操作部材)と、回転軸に対してアクセルペダル操作部材とは異なる方向にオフセットした位置でブレーキペダルに当接するペダル操作部材(ブレーキペダル操作部材)とを備えるようにしても良い。そして、切換アクチュエータを用いて、アクセルペダル操作部材およびブレーキペダル操作部材を一体として回動させることによって、アクセル操作位置(可動部材が前進した時に、アクセルペダル操作部材はアクセルペダルに当接するが、アクセルペダル操作部材およびブレーキペダル操作部材はブレーキペダルに当接しない位置)と、ブレーキ操作位置(可動部材が前進した時に、ブレーキペダル操作部材はブレーキペダルに当接するが、アクセルペダル操作部材およびブレーキペダル操作部材はアクセルペダルには当接しない位置)とを切り換えるようにしても良い。
【0016】
こうすれば、1つのペダル操作部材を回転軸回りに回動させてアクセル操作位置とブレーキ操作位置とを切り換える場合に比べて、回動させる角度を小さくすることができるので、迅速に切り換えることが可能となる。
【0017】
また、上述した本発明の車両運転ロボットにおいては、アクセルペダル用の原点位置と、ブレーキペダル用の原点位置とを設定して、これらの位置に可動部材を移動可能としても良い。更に、アクセルペダル用の原点位置およびブレーキペダル用の原点位置の何れよりも後退した位置にペダル切換位置を設定しておき、ペダル操作部材をアクセル操作位置またはブレーキ操作位置に切り換える場合には、可動部材をペダル切換位置に移動させた状態で、ペダル操作部材を切り換えるようにしても良い。
【0018】
こうすれば、アクセルペダルやブレーキペダルから運転座席までの距離が異なる車両に車両運転ロボットを搭載した場合でも、アクセルペダル用の原点位置やブレーキペダル用の原点位置を適切に設定することで、同じようにアクセル操作やブレーキ操作を行うことができる。また、ペダル切換位置は、アクセルペダル用の原点位置およびブレーキペダル用の原点位置の何れよりも後退した位置に設定されているので、可動部材をペダル切換位置まで後退させてからペダル操作部材を切り換えれば、どのような車両でも同じように切り換えることができ、同じようにアクセル操作およびブレーキ操作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施例の車両運転ロボット1の大まかな構造を示した斜視図である。
図2】本実施例のロボット本体10の動作を示した説明図である。
図3】本実施例のロボット本体10を車両2に搭載した状態を示す説明図である。
図4】本実施例のロボット本体10を運転座席5aに固定した状態を示す説明図である。
図5】可動シリンダ12aの側から見て、ブレーキペダル3やアクセルペダル4に対するペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dの位置関係を示した説明図である。
図6】本実施例の車両運転ロボット1がブレーキペダル3およびアクセルペダル4を切り換えながらペダル操作を行う様子を示した説明図である。
図7】第1変形例のロボット本体10についての説明図である。
図8】第1変形例のロボット本体10がアクセル操作位置とブレーキ操作位置とを切り換える様子を示した説明図である。
図9】第2変形例のロボット本体10についての説明図である。
図10】第2変形例のロボット本体10がアクセル操作位置とブレーキ操作位置とを切り換える様子を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.本実施例 :
A-1.車両運転ロボット1の構造 :
図1は、本実施例の車両運転ロボット1の大まかな構造を示した斜視図である。図1に示すように、本実施例の車両運転ロボット1は、ロボット本体10と、コントローラ20とを備えている。ロボット本体10は、アルミニウム製で矩形形状のベース板11の上に、後述する各種の機構が搭載された構造となっている。ベース板11の後端には、矩形形状でベース板11よりも幅広の押付板11aが、ベース板11に対して直角に取り付けられている。また、ベース板11は、先端側が左右方向に拡幅されており、拡幅された位置には、円柱形状の取付棒11bが1本ずつ立設されている。押付板11aや取付棒11bは、ロボット本体10を車両に装着するために使用される。ロボット本体10を車両に装着する方法については後述する。尚、本実施例のベース板11は、本発明における「基台部材」に対応する。
【0021】
ベース板11の上には、ペダル操作機構12と、ペダル切換機構13とが搭載されている。ペダル操作機構12は、四角柱形状の可動シリンダ12aと、可動シリンダ12aを長手方向に進退動させる進退動アクチュエータ12bとを備えている。可動シリンダ12aは進退動アクチュエータ12bを介してベース板11に取り付けられており、可動シリンダ12aとベース板11との間には隙間が形成されている。また、進退動アクチュエータ12bには図示しないリニアエンコーダが内蔵されており、可動シリンダ12aの位置を検出しながら可動シリンダ12aを進退動(すなわち、前進あるいは後退)させることが可能となっている。尚、本実施例の可動シリンダ12aは、本発明における「可動部材」に対応する。
【0022】
ペダル切換機構13は、可動シリンダ12aの先端に取り付けられている。図示されるように、ペダル切換機構13は、可動シリンダ12aの先端に取り付けられた直方体形状の収容ケース13aと、収容ケース13aの中心位置から突出する回転軸13bと、回転軸13bの先端から側方に延設されて、その先端部分が屈曲されることによってL字形状に形成されたペダル操作アーム13cと、ペダル操作アーム13cの先端に取り付けられた当接ローラ13dとを備えている。収容ケース13aの内部には円板形状の回転ローラ13eが回転自在に搭載されており、回転軸13bは回転ローラ13eの回転軸上に立設されている。尚、本実施例のペダル操作アーム13cは、本発明における「ペダル操作部材」に対応する。
【0023】
可動シリンダ12aの側面には、切換アクチュエータ14が取り付けられている。切換アクチュエータ14は、直方体形状の収容ケース14aの内部に、円板形状の駆動ローラ14bと、図示しない直流モータとが搭載された構造となっており、駆動ローラ14bは直流モータの回転軸に取り付けられている。駆動ローラ14bと、収容ケース13a内の回転ローラ13eとは、ワイヤー14cによって接続されており、駆動ローラ14bが回転すると、その動きがワイヤー14cを介して回転ローラ13eに伝達されるようになっている。また、切換アクチュエータ14の収容ケース14aと収容ケース13aとの間では、ワイヤー14cは軟質樹脂製のガイドチューブ14dによって保護されている。このためワイヤー14cは、ガイドチューブ14d内を滑らかに摺動することによって、駆動ローラ14bの回転を回転ローラ13eに伝達することが可能となっている。
【0024】
A-2.車両運転ロボット1の動作 :
コントローラ20は、タッチパネル式の液晶画面20aや、各種の操作ボタン20bを備えており、コントローラ20の内部には、マイクロコンピュータや、メモリーや、ハードディスクや、通信カードなどが搭載されている。メモリーやハードディスクには、ロボット本体10を動作させるための各種のプログラムやデータなどが記憶されている。また、コントローラ20と進退動アクチュエータ12bおよび切換アクチュエータ14とは、通信ケーブル21によってデータを送受信可能に接続されている。マイクロコンピュータは、記憶されているプログラムやデータなどを読み出すと、プログラムを実行することによってロボット本体10の動作を制御する。また、進退動アクチュエータ12bや切換アクチュエータ14を動作させるための電力は、図示しない電力ケーブルを介して進退動アクチュエータ12bや切換アクチュエータ14に供給されている。
【0025】
図2は、ロボット本体10の動作を示した説明図である。図2(a)には、ペダル操作機構12による動作が示されており、図2(b)には、ペダル切換機構13および切換アクチュエータ14による動作が示されている。尚、図示が煩雑となることを避けるため、図2(a)および図2(b)では、ベース板11の先端部分および取付棒11bの図示が省略されている。
【0026】
進退動アクチュエータ12bを駆動すると、図2(a)に示したように、可動シリンダ12aを進退動させることができる。また、前述したように、進退動アクチュエータ12bには図示しないリニアエンコーダが内蔵されているため、可動シリンダ12aを正確な位置まで移動させたり、所望の移動量で正確に移動させたりすることができる。図2(a)中で斜線を付して示した矢印は、可動シリンダ12aが進退動する動作を表している。また、可動シリンダ12aの先端にはペダル切換機構13が取り付けられており、可動シリンダ12aの側面には切換アクチュエータ14が取り付けられている。このため、可動シリンダ12aを進退動作せると、ペダル切換機構13や切換アクチュエータ14も一緒に進退動することになる。
【0027】
一方、切換アクチュエータ14を駆動すると、駆動ローラ14bの回転がペダル切換機構13の回転ローラ13eに伝わって回転軸13bが回転し、回転軸13bの先端に形成されたペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dが、回転軸13bを中心として回動する。ここで、ペダル切換機構13には図示しない2つの接点スイッチが搭載されており、一方の接点スイッチは、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dが、図2(b)中に太い実線で示した位置まで回動するとONになり、他方の接点スイッチは、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dが、図2(b)中に細い破線で示した位置まで回動するとONになる。これら2つの接点スイッチの出力は切換アクチュエータ14に入力されており、切換アクチュエータ14は、これら接点スイッチがONになったことを検知することによって、図2(a)に示した位置と図2(b)に示した位置との間で、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dを回動させることが可能となっている。以上のような構造を有する本実施例の車両運転ロボット1は、次のようにして使用される。
【0028】
図3は、本実施例のロボット本体10を車両2に搭載した状態を示す説明図である。図示されるように、本実施例のロボット本体10は、ベース板11の後端に取り付けられた押付板11a(図1参照)を、運転座席5aの前側面に当接させた状態で車両2に搭載される。図1を用いて前述したように、ロボット本体10のベース板11の前側には左右の位置に取付棒11bが立設されている。そこで、図4に示したように、運転席の背もたれ部5bの後ろ側から廻した取付ベルト7を取付棒11bに掛けた状態で、取付棒11bと一緒に取付ベルト7を締める。こうすることによって、ベース板11の押付板11aを運転座席5aの前部に押し付けるようにして、ロボット本体10を固定することができる。また、この時、ロボット本体10の先端に突設された回転軸13b(図1参照)が、車両2のブレーキペダル3とアクセルペダル4との間の位置を向くようにしておく。尚、ロボット本体10を運転席の運転座席5aに固定した段階では、ロボット本体10の当接ローラ13dがブレーキペダル3やアクセルペダル4に当接している必要はなく、図2(a)に示したように可動シリンダ12aを前進させた時に、当接ローラ13dがブレーキペダル3あるいはアクセルペダル4に当接できるようにしておけばよい。
【0029】
本実施例のロボット本体10は、以上の方法で運転席の運転座席5aに取り付けられるので、運転座席5aの座面は空けておくことができる。加えて、後述するように、本実施例のロボット本体10は、ブレーキペダル3およびアクセルペダル4を1本の可動シリンダ12aで操作することができる。このため、ブレーキペダル3およびアクセルペダル4のそれぞれに可動シリンダを搭載する必要がないので、ロボット本体10の横幅は、運転席の運転座席5aの横幅よりも狭くなる。その結果、テストドライバは、ロボット本体10の左右の空間に足を入れた状態で運転席に座ることが可能となる。また、ロボット本体10とコントローラ20とは、通信ケーブル21で接続されているので、コントローラ20は助手席に、あるいはダッシュボード6の上に置いておけばよい。
【0030】
図5は、可動シリンダ12aの側から見て、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dと、ブレーキペダル3およびアクセルペダル4との位置関係を示した説明図である。図5(a)に示した状態では、当接ローラ13dがアクセルペダル4の上に存在している。この状態では、可動シリンダ12aを前進させると当接ローラ13dがアクセルペダル4に当接して、アクセルペダル4を操作することが可能となる。尚、図5(a)に示したようなペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dの位置を、以下では「アクセル操作位置」と称することにする。
【0031】
また、図5(a)に示した状態から、図中で破線の矢印で示したように、回転軸13bを中心としてペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dを回動させると、図5(b)に示したように、当接ローラ13dがブレーキペダル3の上に来る。この状態で可動シリンダ12aを前進させると、当接ローラ13dがブレーキペダル3に当接してブレーキペダル3を操作することが可能となる。尚、図5(b)に示したようなペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dの位置を、以下では「ブレーキ操作位置」と称することにする。このように、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dを回動させて、アクセル操作位置とブレーキ操作位置との何れかに切り換えた後、可動シリンダ12aを進退動させれば、ブレーキペダル3またはアクセルペダル4を切り換えながら操作することが可能となる。
【0032】
図6は、本実施例の車両運転ロボット1がブレーキペダル3およびアクセルペダル4を切り換えながらペダル操作を行う様子を示した説明図である。図6の横軸は時間の経過を表しており、縦軸は進退動アクチュエータ12bのストローク量を表している。図示されるように、本実施例の車両運転ロボット1は、進退動アクチュエータ12bが原点位置からストローク量aだけ前進した位置が、ペダル切換位置に設定されている。尚、本実施例では、進退動アクチュエータ12bの原点位置とペダル切換位置とは、別の位置に設定されているが、原点位置とペダル切換位置とを同じ位置に設定してもよい。
【0033】
また、進退動アクチュエータ12bの原点位置から、ストローク量aよりも大きなストローク量bだけ移動した位置が、ブレーキペダル3用の原点位置に設定されている。ここでブレーキペダル3用の原点位置とは、進退動アクチュエータ12bで可動シリンダ12aを前進させた時に、当接ローラ13d(図1参照)が、ブレーキペダル3にちょうど接触する位置(あるいは、ブレーキペダル3の遊びの範囲内で当接する位置)である。ブレーキペダル3用の原点位置となるストローク量bは、ロボット本体10を実際に車両2に装着して実測することによって決定される。
【0034】
更に、アクセルペダル4用の原点位置(すなわち、当接ローラ13dが、アクセルペダル4にちょうど接触する位置、あるいはアクセルペダル4の遊びの範囲内で当接する位置)となるストローク量cも、ロボット本体10を車両2に装着して実測することによって決定される。尚、本実施例では、アクセルペダル4用の原点位置となるストローク量cの方が、ブレーキペダル3用の原点位置となるストローク量bよりも大きくなっている。これは、ロボット本体10を装着した車両2では、ブレーキペダル3がアクセルペダル4よりも運転座席5aに近い位置に配置されていたことによる。従って、ロボット本体10を装着する車両2での、ブレーキペダル3とアクセルペダル4との配置によっては、ストローク量cの方がストローク量bよりも小さくなる場合もある。また、ペダル切換位置となるストローク量aは、ストローク量bまたはストローク量cの小さい方から、更に所定量だけ小さい値に設定されている。
【0035】
図6に示した例では、初めは、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dが、アクセル操作位置(図5(a)参照)に設定されている。そして、時刻t0で進退動アクチュエータ12bを駆動することによって、可動シリンダ12aをアクセルペダル4用の原点位置まで移動させた後、進退動アクチュエータ12bを予め設定されたパターンで駆動することによってアクセルペダル4を操作する。その後、時刻t1になると可動シリンダ12aをペダル切換位置まで戻した後、切換アクチュエータ14を駆動することによって、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dを、アクセル操作位置(図5(a)参照)からブレーキ操作位置(図5(b)参照)に切り換える。そして、時刻t2になったら、可動シリンダ12aをブレーキペダル3用の原点位置まで移動させた後、進退動アクチュエータ12bを予め設定されたパターンで駆動することによってブレーキペダル3を操作する。尚、図6中の太い実線は、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dがアクセル操作位置に切り換えられた状態での可動シリンダ12aの動きを表しており、5中の太い破線は、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dがブレーキ操作位置に切り換えられた状態での可動シリンダ12aの動きを表している。
【0036】
その後、時刻t3になったら、再び可動シリンダ12aをペダル切換位置まで戻した後、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dをブレーキ操作位置からアクセル操作位置に切り換える。そして、時刻t4になったら可動シリンダ12aをアクセルペダル4用の原点位置まで移動させた後、進退動アクチュエータ12bを駆動することによってアクセルペダル4を操作する。
【0037】
このように、本実施例の車両運転ロボット1は、ペダル操作アーム13cおよび当接ローラ13dを、アクセル操作位置またはブレーキ操作位置に切り換えることによって、アクセルペダル4またはブレーキペダル3を操作することができる。このため、アクセルペダル4用の可動シリンダとブレーキペダル3用の可動シリンダとを別々に搭載する必要が無く、1本の可動シリンダ12aで済ますことができるので、運転座席5aの前方にテストドライバが足を置く空間を確保することができる。その結果、テストドライバがハンドル操作しながら、ブレーキペダル3やアクセルペダル4は車両運転ロボット1で操作することができる。このため、テストコースや公道で実際に車両2を走行させながら、再現性の高い試験を行うことができ、細かな改良の効果を正確に評価することが可能となる。
【0038】
もちろん、ブレーキペダル3の操作およびアクセルペダル4の操作を1本の可動シリンダ12aで行うので、ブレーキペダル3とアクセルペダル4とを同時に操作することはできない。しかし、車両2の性能を評価するための試験ではブレーキペダル3とアクセルペダル4とを同時に操作する必要はないので、そのことが試験の制約となることはない。むしろ、テストドライバによるハンドル操作を伴う試験も、毎回、同じブレーキ操作およびアクセル操作で行うことができるので、評価試験の適用範囲を大幅に広げることが可能となる。
【0039】
また、図4を用いて前述したように、ロボット本体10は、取付ベルト7を用いて運転座席5aの前側に簡単に装着し、あるいは脱着することができる。このため、車両2を改修することなく容易に評価試験を行うことが可能となる。
【0040】
もちろん、ブレーキペダル3とアクセルペダル4との位置関係や、ブレーキペダル3やアクセルペダル4の運転座席5aに対する位置関係は車両2によって違うと考えられる。更には、ロボット本体10を装着する度に、装着位置は少しずつ異なっていると考えられる。しかし、図6を用いて前述したように、本実施例の車両運転ロボット1は、ロボット本体10を運転座席5aに装着した後、ブレーキペダル3用の原点位置と、アクセルペダル4用の原点位置とを別々に設定することができる。このため、車両2による違いや、ロボット本体10の装着の度に生じる違いを吸収することができるので、毎回、同じ条件で評価試験を行うことが可能となる。
【0041】
加えて、アクセル操作位置(図5(a)参照)と、ブレーキ操作位置(図5(b)参照)との切り換えは、可動シリンダ12aをペダル切換位置まで退避させてから行うので、ブレーキペダル3から運転座席5aまでの距離と、アクセルペダル4とから運転座席5aまでの距離とが違っていても、何ら問題なく切り換えることができる。また、本実施例の車両運転ロボット1では、ブレーキペダル3とアクセルペダル4とで運転座席5aまでの距離が近い方を基準として、そこから所定距離だけ運転座席5aに近い位置をペダル切換位置としている。このため、可動シリンダ12aを進退動アクチュエータ12bの原点位置まで退避させる場合に比べると、可動シリンダ12aの退避に要する時間を短縮することができるので、操作するペダルを迅速に切り換えることが可能となる。
【0042】
尚、ブレーキペダル3とアクセルペダル4との間隔は、車両2によって大きく異なることはないので、ほとんどの車両2では、運転座席5aにロボット本体10を装着して、アクセルペダル4用の原点位置およびブレーキペダル3用の原点位置を調節するだけで、アクセルペダル4およびブレーキペダル3を操作することが可能となる。しかし、ペダル操作アーム13cの長さを調整可能として、回転軸13bから当接ローラ13dまでの距離を変更できるようにしてもよい。こうすれば、たとえ、ブレーキペダル3とアクセルペダル4との間隔が大きく異なる車両2でも、ロボット本体10を用いてアクセルペダル4およびブレーキペダル3を操作することが可能となる。
【0043】
B.変形例 :
上述した本実施例の車両運転ロボット1には、いくつかの変形例が存在している。以下では、これらの変形例について説明する。尚、変形例は本実施例と共通する部分が多いので、共通する部分については本実施例と同じ番号を付すことによって説明を省略し、本実施例との相違点を中心として説明する。
【0044】
B-1.第1変形例 :
上述した本実施例では、ペダル切換機構13の回転軸13bから1本のペダル操作アーム13cが延設されているものとして説明した(図1参照)。しかし、回転軸13bから複数本のペダル操作アームを延設させても良い。
【0045】
図7は、回転軸13bから複数本のペダル操作アームが延設された第1変形例のロボット本体10についての説明図である。図示したように第1変形例のロボット本体10は、回転軸13bの先端部分の側面から2本のペダル操作アーム13c1,13c2が延設されている。2本のペダル操作アーム13c1,13c2の回転軸13bに対する角度は直角となっており、2本のペダル操作アーム13c1,13c2同士の角度も直角となっている。また、それぞれのペダル操作アーム13c1,13c2の形状は、先端部分が直角に折り曲げられることによってL字形状となっており、折り曲げられた部分の先端には、それぞれ当接ローラ13d1,13d2が取り付けられている。
【0046】
このように、第1変形例のロボット本体10には、2本のペダル操作アーム13c1,13c2および当接ローラ13d1,13d2を備えており、一方のペダル操作アーム13c1および当接ローラ13d1はブレーキペダル3を操作するために使用され、他方のペダル操作アーム13c2および当接ローラ13d2はアクセルペダル4を操作するために使用される。従って、本実施例では、ペダル操作アーム13c1が本発明における「アクセルペダル操作部材」に対応し、ペダル操作アーム13c2が本発明における「ブレーキペダル操作部材」に対応する。
【0047】
図8は、第1変形例のロボット本体10が、回転軸13bを回転させることによって、アクセル操作位置とブレーキ操作位置とを切り換える様子を示した説明図である。図8では、図5の場合と同様に、可動シリンダ12aの側から見た状態が示されている。図7を用いて前述したように、第1変形例のロボット本体10では、2本のペダル操作アーム13c1,2が直角に形成されているから、図8(a)に示すように、ペダル操作アーム13c1の当接ローラ13d1がアクセルペダル4の上に来る位置(アクセル操作位置)に回転軸13bを回転させると、ペダル操作アーム13c2および当接ローラ13d2は、ブレーキペダル3とアクセルペダル4との間の位置に来る。従って、この状態で可動シリンダ12aを前進させるとアクセルペダル4を操作することができる。
【0048】
また、図8(b)に示したように、ペダル操作アーム13c2の当接ローラ13d2がブレーキペダル3の上に来る位置(ブレーキ操作位置)に回転軸13bを回転させると、今度は、ペダル操作アーム13c1および当接ローラ13d1が、ブレーキペダル3とアクセルペダル4との間の位置に来る。従って、この状態で可動シリンダ12aを前進させるとブレーキペダル3を操作することができる。
【0049】
図8から明らかなように、第1変形例のロボット本体10では、回転軸13bを90度回転させるだけで、図8(a)のアクセル操作位置と、図8(b)のブレーキ操作位置とを切り換えることができる。従って、前述した本実施例では、アクセル操作位置とブレーキ操作位置とを切り換えるために回転軸13bを180度回転させる必要があった場合に比べると、切り換えに要する時間を短縮することが可能となる。
【0050】
B-2.第2変形例 :
前述した本実施例では、回転軸13bを回転させることによって、アクセル操作位置とブレーキ操作位置とを切り換えるものとして説明した。しかし、当接ローラ13d1がアクセルペダル4に当接可能な状態と、当接ローラ13d2がブレーキペダル3に当接可能な状態とに切り換えることが可能であれば、必ずしも回転軸13bを回転させる必要はない。例えば、棒状のペダル操作アーム13cの両端に当接ローラ13d1と当接ローラ13d2とを設けておき、ペダル操作アーム13cをスライド移動させることによって、当接ローラ13d1がアクセルペダル4に当接可能な状態と、当接ローラ13d2がブレーキペダル3に当接可能な状態とを切り換えるようにしてもよい。
【0051】
図9は、第2変形例のロボット本体10についての説明図である。図示されるように、第2変形例のロボット本体10は、可動シリンダ12aの先端に切換アクチュエータ14が取り付けられており、切換アクチュエータ14には、棒状のペダル操作アーム13cが取り付けられている。ペダル操作アーム13cは長手方向に摺動可能となっており、ペダル操作アーム13cの両端が直角に折り曲げられると共に、折り曲げられた部分の先頭には、それぞれ当接ローラ13d1および当接ローラ13d2が取り付けられている。そして、第2変形例では、切換アクチュエータ14を用いてペダル操作アーム13cを長手方向に移動させることによって、当接ローラ13d1がアクセルペダル4に当接可能な状態と、当接ローラ13d2がブレーキペダル3に当接可能な状態とに切り換えることが可能となる。
【0052】
図10は、第2変形例のロボット本体10が、ペダル操作アーム13cを移動させることによって、アクセル操作位置とブレーキ操作位置とを切り換える様子を示した説明図である。尚、図10でも、前述した図5あるいは図8と同様に、可動シリンダ12aの側から見た状態で示されている。図10(a)に示すように、ペダル操作アーム13cを、当接ローラ13d1が取り付けられた側に摺動させると、当接ローラ13d1がアクセルペダル4に当接可能な位置(アクセル操作位置)となり、この状態で可動シリンダ12aを前進させることによってアクセルペダル4を操作することが可能となる。これに対して、図10(b)に示すように、ペダル操作アーム13cを、当接ローラ13d2が取り付けられた側に摺動させると、当接ローラ13d2がブレーキペダル3に当接可能な位置(ブレーキ操作位置)となり、この状態で可動シリンダ12aを前進させることによってブレーキペダル3を操作することが可能となる。
【0053】
以上、本実施例および各種の変形例の車両運転ロボット1について説明したが、本発明は上記の実施例および各種の変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…車両運転ロボット、 2…車両、 3…ブレーキペダル、
4…アクセルペダル、 5a…運転座席、 5b…背もたれ部、
6…ダッシュボード、 7…取付ベルト、 10…ロボット本体、
11…ベース板、 11a…押付板、 11b…取付棒、
12…ペダル操作機構、 12a…可動シリンダ、
12b…進退動アクチュエータ、 13…ペダル切換機構、
13a…収容ケース、 13b…回転軸、 13c…ペダル操作アーム、
13d…当接ローラ、 13e…回転ローラ、 13c1…ペダル操作アーム、
13c2…ペダル操作アーム、 14…切換アクチュエータ、
14a…収容ケース、 14b…駆動ローラ、 14c…ワイヤー、
14d…ガイドチューブ、 20…コントローラ、 20a…液晶画面、
20b…操作ボタン、 21…通信ケーブル、 13d1…当接ローラ、
13d2…当接ローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10