(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】マスクシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132742
(22)【出願日】2021-08-17
(62)【分割の表示】P 2020016999の分割
【原出願日】2009-02-27
【審査請求日】2021-09-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-08
(32)【優先日】2008-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2008-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2008-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ・エヌジー
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・ジェームズ・ロックウッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイミー・グレアム・ウェビー
(72)【発明者】
【氏名】ゾラン・ヴァルチック
(72)【発明者】
【氏名】エロル・サヴィオ・アレックス・ドゥソウザ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・イーヴス
(72)【発明者】
【氏名】マフシタ・サリ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】安井 寿儀
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-505373(JP,A)
【文献】国際公開第2007/048174(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションモジュールであって、該クッションモジュールは、
柔軟な材料から構成されて、使用時に患者の顔とシールを形成するクッションであって、該クッションは、使用時に患者の顔の鼻梁領域に沿って係合するように構成されており、前記クッションは、該クッションの鼻梁領域内に設けられた蛇腹セクションを含み、該蛇腹セクションは、前記クッションにある程度の柔軟性または動きを提供する1つ以上のひだを含んだ、クッションと、
該クッションに接続されて、呼吸室を画定したフレームであって、前記クッションよりも高剛性の材料から構成され、使用時に呼吸可能なガスを前記呼吸室内に流すことが可能なように構成された、円形のフレーム開口部を含んだフレームと、
を備えたクッションモジュールと、
前記クッションよりも高剛性の材料から構成されて、円形の開口部を含んだシュラウドモジュールであって、該シュラウドモジュールは、前記患者の頬と接触するように適合された一対の上側ヘッドギアコネクタであって、該上側ヘッドギアコネクタは、細長いアームおよび該細長いアームの自由端のスロットを含んだ、一対の上側ヘッドギアコネクタを含み、かつ前記シュラウドモジュールは、一対の下側ヘッドギアコネクタを含んだ、シュラウドモジュールと、
前記患者の気道に送達される陽圧の空気を供給することを可能にするために、密封位置に前記クッションモジュールを保持するためのヘッドギアであって、該ヘッドギアは、
前記患者の耳の上側において前記患者の頭と接触するように適合された一対の上側ストラップであって、該一対の上側ストラップの各上側ストラップは、前記スロットの1つに取り外し可能に接続するように適合された、一対の上側ストラップと、
前記患者の耳の下側において前記患者の顔と接触するように適合された一対の下側ストラップであって、該一対の下側ストラップは、直接的または間接的に、前記一対の下側ヘッドギアコネクタに取り外し可能に接続される、一対の下側ストラップと、
を備えたヘッドギアと、
前記クッションよりも高剛性の材料から構成されたエルボモジュールであって、該エルボモジュールは、
前記シュラウドモジュールに回転可能に係合されて、前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間において360度の相対回転を可能にした第1の端部と、
空気送達管に接続されて、呼吸可能なガスを前記患者へと送達するように適合された第2の端部と、
を備えたエルボモジュールと、
を備えたマスクシステム。
【請求項2】
前記クッションは鼻クッションである、請求項1に記載のマスクシステム。
【請求項3】
前記クッションは、全体的に前記患者の顔の鼻梁、頬、および下唇領域に沿って前記患者の顔と係合するように適合されたフルフェイスクッションであり、前記エルボモジュールのポートは、加圧されたガスの存在に応じて、窒息防止弁のフラップ部分により選択的に閉じられる、請求項1に記載のマスクシステム。
【請求項4】
前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項5】
前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、前記シュラウドモジュールの一対の下側ヘッドギアコネクタの1つの下側ヘッドギアコネクタと連結するように適合されたクリップを含んでいる、請求項4に記載のマスクシステム。
【請求項6】
前記フレームおよび前記クッションは、互いに一体にモールド成型されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項7】
前記一対の下側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールにモールド成型されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項8】
前記エルボモジュールの第1の端部は、前記フレームの縁の下に延びて前記エルボモジュールを前記フレームに保持するように適合された遠位側ショルダを備えている、請求項1から7のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項9】
前記シュラウドモジュールはタング突起を含み、使用時に前記患者とは反対になるフレームの側は、前記タング突起を受け入れるように構成されたスロットを含んでいる、請求項1から8のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項10】
前記シュラウドモジュールは、第1のタング突起と、該第1のタング突起に対して全体的に横向きに突出した第2のタング突起と、を含み、使用時に前記患者とは反対になるフレームの側は、前記第1のタング突起を受け入れるように構成された第1のスロットと、前記第2のタング突起を受け入れるように構成された第2のスロットとを含んでいる、請求項1または2に記載のマスクシステム。
【請求項11】
前記タング突起は、前記スロットとスナップばめにより係合するように構成されている、請求項9に記載のマスクシステム。
【請求項12】
前記フレームは、該フレームの表面から突出し且つ前記円形のフレーム開口部を取り囲んだカラーをさらに含み、前記エルボモジュールの第1の端部は、前記カラーと取り外し可能に且つ回転可能にスナップばめにより係合されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項13】
前記ヘッドギアは、前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップをさらに含んでいる、請求項1から12のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項14】
細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われている、請求項1から13のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項15】
細長いアームの各々は半剛性であり、上方向または下方向への曲げを防止している、請求項1から14のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項16】
細長いアームの各々は、前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされており、使用時に視線を避ける、請求項1から15のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項17】
細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項18】
細長いアームの各々は、水平に対して約10°から約25°の間の角度で延びている、請求項1から17のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項19】
前記一対の上側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの頂部に配置され、前記一対の下側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの底部に配置されている、請求項1から18のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項20】
前記シュラウドモジュールは、前記フレームの外側面に密着してフィットするように装着されている、請求項1から19のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項21】
前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでいない、請求項1から20のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項22】
前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間の境界面に設けられた境界面シールをさらに備えている、請求項1から21のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項23】
前記境界面シールは、前記エルボモジュールおよび前記シュラウドモジュールとは別個に形成されており、前記境界面シールは、前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間に挟まれている、請求項22に記載のマスクシステム。
【請求項24】
スナップばめにより前記フレームと係合するように構成された、前記シュラウドモジュールの下側のスナップフィンガをさらに備え、該スナップフィンガは、前記円形の開口部を取り囲んでいる、請求項1から23のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項25】
前記円形のフレーム開口部を取り囲んだカラー上の突起をさらに備え、前記スナップフィンガは、スナップばめにより前記カラー上の突起と係合するように構成されている、請求項24に記載のマスクシステム。
【請求項26】
睡眠時呼吸障害を治療するための装置であって、
請求項1から25のいずれか一項に記載のマスクシステムと、
前記第2の端部に接続された空気送達管と、
該空気送達管を通じて、加圧された呼吸可能なガスを前記患者が着用した前記マスクシステムに送達するためのフロージェネレータであって、大気圧よりも
約2から約30cmH
2
O高い圧力において前記加圧された呼吸可能なガスを前記患者の気道へと送達する、フロージェネレータと、
を備えている装置。
【請求項27】
前記クッションは鼻クッションであり、
前記フレームおよび前記鼻クッションは、互いに一体にモールド成型されており、
前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでおらず、
前記一対の上側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの頂部に配置され、細長いアームの各々は前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされて、且つ使用時に視線を避け、細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されており、細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われており、
前記一対の下側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの底部に配置されており、
前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含んでおり、
前記ヘッドギアは、前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップをさらに含んでいる、請求項1に記載のマスクシステム。
【請求項28】
前記クッションは、全体的に前記患者の顔の鼻梁、頬、および下唇領域に沿って前記患者の顔と係合するように適合されたフルフェイスクッションであり、
前記フレームおよび前記フルフェイスクッションは、互いに一体にモールド成型されており、
前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでおらず、
前記エルボモジュールのポートは、加圧されたガスの存在に応じて、窒息防止弁のフラップ部分により選択的に閉じられ、
前記一対の上側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの頂部に配置され、細長いアームの各々は前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされて、且つ使用時に視線を避け、細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されており、細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われており、
前記一対の下側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの底部に配置されており、
前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含んでおり、
前記ヘッドギアは、前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップをさらに含んでいる、請求項1に記載のマスクシステム。
【請求項29】
前記クッションモジュールは、
鼻クッションである前記クッションと、
前記フレームの表面から突出し且つ前記円形のフレーム開口部を取り囲んだカラーと、
をさらに備え、
前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでおらず、前記フレームの外側面に密着してフィットするように装着されており、前記シュラウドモジュールは、
該シュラウドモジュールの頂部に配置された前記一対の上側ヘッドギアコネクタと、細長いアームであって、細長いアームの各々は、前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされており、使用時に視線を避け、細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されており、細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われた、細長いアームと、前記シュラウドモジュールの底部に配置された一対の下側ヘッドギアコネクタと、
タング突起と、
をさらに備え、
前記フレームは、使用時に前記患者とは反対になるフレームの側にスロットをさらに含み、該スロットは前記タング突起を受け入れるように構成されており、
前記ヘッドギアは、
前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップと、
前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップであって、前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含んだ、前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップと、
をさらに備え、
前記エルボモジュールは、
前記シュラウドモジュールの円形の開口部を通じた第1の端部であって、前記円形のフレーム開口部を通じており、前記フレームのカラーに取り外し可能に且つ回転可能にスナップばめにより係合されており、前記フレームの縁の下に延びて前記エルボモジュールを前記フレームに保持するように適合された遠位側ショルダを備えた第1の端部をさらに備えている、請求項1に記載のマスクシステム。
【請求項30】
前記クッションモジュールは、
フルフェイスクッションである前記クッションであって、前記フルフェイスクッションは、全体的に前記患者の顔の鼻梁、頬、および下唇領域に沿って前記患者の顔と係合するように適合された、クッションと、
前記フレームの表面から突出し且つ前記円形のフレーム開口部を取り囲んだカラーと、
を備え、
前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでおらず、前記フレームの外側面に密着してフィットするように装着されており、前記シュラウドモジュールは、
タング突起と、
細長いアームであって、細長いアームの各々は、前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされており、使用時に視線を避け、細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されており、細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われた、細長いアームと、前記シュラウドモジュールの底部に配置された前記一対の下側ヘッドギアコネクタと、
をさらに備え、
前記フレームは、使用時に前記患者とは反対になるフレームの側にスロットをさらに含み、該スロットは前記タング突起を受け入れるように構成されており、
前記ヘッドギアは、
前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップと、
前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップであって、前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含んだ、前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップと、
をさらに備え、
前記エルボモジュールは、
加圧されたガスの存在に応じて、窒息防止弁のフラップ部分により選択的に閉じられる、エルボモジュールのポートと、
前記シュラウドモジュールの円形の開口部を通じた前記第1の端部であって、前記円形のフレーム開口部を通じており、前記フレームのカラーに取り外し可能に且つ回転可能にスナップばめにより係合されており、前記フレームの縁の下に延びて前記エルボモジュールを前記フレームに保持するように適合された遠位側ショルダを備えた前記第1の端部と、をさらに備えている、請求項1に記載のマスクシステム。
【請求項31】
前記クッションモジュールは、
鼻クッションである前記クッションと、
該鼻クッションと一体に成型されて、前記呼吸室を形成したフレームと、
を備え、
前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでおらず、前記シュラウドモジュールは、スナップばめにより前記フレームと係合するように構成された、前記シュラウドモジュールの下側のスナップフィンガであって、円形の前記開口部を取り囲んだスナップフィンガをさらに備え、前記マスクシステムは、前記円形のフレーム開口部を取り囲んだカラー上の突起をさらに備え、前記スナップフィンガは、スナップばめにより前記突起と係合するように構成されており、
前記一対の上側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの頂部に配置されており、細長いアームの各々は、前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされており、使用時に視線を避け、細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されており、細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われており、前記一対の下側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの底部に配置されており、
前記ヘッドギアは、
前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップと、
前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップであって、前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含んだ、前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップと、
をさらに備え、
前記マスクシステムは、前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間の境界面に設けられた境界面シールをさらに備えている、請求項1に記載のマスクシステム。
【請求項32】
前記クッションモジュールは、
フルフェイスクッションである前記クッションであって、前記フルフェイスクッションは、全体的に前記患者の顔の鼻梁、頬、および下唇領域に沿って前記患者の顔と係合するように適合された、クッションと、
前記フルフェイスクッションと一体に成型されて、呼吸室を形成したフレームと、
を備え、
前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでおらず、前記シュラウドモジュールは、スナップばめにより前記フレームと係合するように構成された、前記シュラウドモジュールの下側のスナップフィンガであって、円形の前記開口部を取り囲んだスナップフィンガをさらに備え、前記マスクシステムは、前記円形のフレーム開口部を取り囲んだカラー上の突起をさらに備え、前記スナップフィンガは、スナップばめにより前記突起と係合するように構成されており、
前記一対の上側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの頂部に配置されており、細長いアームの各々は、前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされており、使用時に視線を避け、細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されており、細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われており、前記一対の下側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの底部に配置されており、
前記ヘッドギアは、
前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップと、
前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップであって、前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含んだ、前記一対の上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップと、
をさらに備え、
前記エルボモジュールは、加圧されたガスの存在に応じて、窒息防止弁のフラップ部分により選択的に閉じられる、エルボモジュールのポートをさらに備え、
前記マスクシステムは、前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間の境界面に設けられた境界面シールをさらに備えている、請求項1に記載のマスクシステム。
【請求項33】
睡眠時呼吸障害を治療するための装置であって、
請求項27から32のいずれか一項に記載のマスクシステムと、
前記第2の端部に接続された空気送達管と、
該空気送達管を通じて、加圧された呼吸可能なガスを前記患者が着用した前記マスクシステムに送達するためのフロージェネレータであって、大気圧よりも
約2から約30cmH
2
O高い圧力において前記加圧された呼吸可能なガスを前記患者の気道へと送達する、フロージェネレータと、
を備えている装置。
【請求項34】
クッションモジュールであって、
柔軟な材料から構成されて、使用時に患者の顔とシールを形成するクッションであって、該クッションは、使用時に、前記患者の顔の鼻梁領域に沿って係合するように構成されており、前記クッションは、該クッションの鼻梁領域内に設けられた蛇腹セクションを含み、該蛇腹セクションは、前記クッションにある程度の柔軟性または移動を提供する1つ以上のひだを含んだ、クッションと、
該クッションに接続されて、呼吸室を画定したフレームであって、前記クッションよりも高剛性の材料から構成され、使用時に呼吸可能なガスを前記呼吸室内に流すことが可能なように構成された、円形のフレーム開口部を含んだフレームと、
を備えたクッションモジュールと、
前記クッションよりも高剛性の材料から構成されて、円形の開口部を含んだシュラウドモジュールであって、該シュラウドモジュールは、前記患者の頬と接触するように適合された一対の上側ヘッドギアコネクタであって、該一対の上側ヘッドギアコネクタの各上側ヘッドギアコネクタが、細長いアームおよび該細長いアームの自由端のスロットを含んだ、一対の上側ヘッドギアコネクタを含み、かつ前記シュラウドモジュールは、一対の下側ヘッドギアコネクタを含んだ、シュラウドモジュールと、
前記患者の気道に送達される陽圧の空気を供給することを可能にするために、密封位置に前記クッションモジュールを保持するためのヘッドギアであって、該ヘッドギアは、
前記患者の耳の上側において前記患者の頭と接触するように適合された一対の上側ストラップであって、該一対の上側ストラップの各上側ストラップは、前記スロットの1つに取り外し可能に接続するように適合された、一対の上側ストラップと、
前記患者の耳の下側において前記患者の顔と接触するように適合された一対の下側ストラップであって、前記一対の下側ヘッドギアコネクタに、直接的または間接的に、取り外し可能に接続される、一対の下側ストラップと、
を備えたヘッドギアと、
前記クッションよりも高剛性の材料から構成されたエルボモジュールであって、該エルボモジュールは、
前記円形の開口部を通じており、前記シュラウドモジュールに回転可能に係合されて、前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間において360度の相対回転を可能にした第1の端部であって、前記円形のフレーム開口部を通じており、前記フレームに取り外し可能に且つ回転可能にスナップばめにより係合された、第1の端部と、
空気送達管に接続されて、呼吸可能なガスを前記患者へと送達するように適合された第2の端部と、
を備えたエルボモジュールと、
を備えたマスクシステム。
【請求項35】
前記クッションは鼻クッションである、請求項34に記載のマスクシステム。
【請求項36】
前記クッションは、全体的に前記患者の顔の鼻梁、頬、および下唇領域に沿って前記患者の顔と係合するように適合されたフルフェイスクッションであり、前記エルボモジュールのポートは、加圧されたガスの存在に応じて、窒息防止弁のフラップ部分により選択的に閉じられる、請求項34に記載のマスクシステム。
【請求項37】
前記フレームおよび前記クッションは、互いに一体にモールド成型されており、
前記フレームは、該フレームの表面から突出し且つ前記円形のフレーム開口部を取り囲んだカラーをさらに含み、前記エルボモジュールの第1の端部は、前記カラーと取り外し可能に且つ回転可能にスナップばめにより係合されており、
前記シュラウドモジュールは、前記フレームの外側面に密着してフィットするように装着されており、前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでおらず、且つタング突起を含み、
前記フレームは、使用時に前記患者とは反対になるフレームの側にスロットをさらに含み、該スロットは前記タング突起を受け入れるように構成されており、
前記一対の上側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの頂部に配置され、細長いアームの各々は、前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされており、使用時に視線を避け、細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されており、細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われており、
前記エルボモジュールの第1の端部は、前記フレームの縁の下に延びて前記エルボモジュールを前記フレームに保持するように適合された遠位側ショルダを備え、
前記一対の下側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの底部に配置されており、
前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含み、
前記ヘッドギアは、前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップをさらに含んでいる、請求項34から36のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項38】
睡眠時呼吸障害を治療するための装置であって、
請求項34から36のいずれか一項に記載のマスクシステムと、
前記第2の端部に接続された空気送達管と、
該空気送達管を通じて、加圧された呼吸可能なガスを前記患者が着用した前記マスクシステムに送達するためのフロージェネレータであって、大気圧よりも約2から約30cmH
2O高い圧力において前記加圧された呼吸可能なガスを前記患者の気道へと送達する、フロージェネレータと、
を備えている装置。
【請求項39】
マスクシステムであって、
クッションモジュールであって、
柔軟な材料から構成されて、使用時に患者の顔とシールを形成するクッションであって、該クッションは、使用時に、前記患者の顔の鼻梁領域に沿って係合するように構成されており、前記クッションは、該クッションの鼻梁領域内に設けられた蛇腹セクションを含み、該蛇腹セクションは、前記クッションにある程度の柔軟性または移動を提供する1つ以上のひだを含んだ、クッションと、
該クッションに接続されて、呼吸室を画定したフレームであって、前記クッションよりも高剛性の材料から構成され、使用時に呼吸可能なガスを前記呼吸室内に流すことが可能なように構成された、円形のフレーム開口部を含んだフレームと、
を備えたクッションモジュールと、
前記クッションよりも高剛性の材料から構成されて、円形の開口部を含んだシュラウドモジュールであって、該シュラウドモジュールは、使用時に前記フレームに面し、且つスナップばめにより前記フレームと係合するように構成されたスナップフィンガを含んだ側を備え、前記スナップフィンガは、前記円形の開口部を取り囲んでおり、前記マスクシステムは、前記円形のフレーム開口部を取り囲んだカラー上の突起をさらに備え、前記スナップフィンガは、スナップばめにより前記突起と係合するように構成された、シュラウドモジュールと、
前記患者の頬に接触するように適合された一対の上側ヘッドギアコネクタであって、該一対の上側ヘッドギアコネクタの各上側ヘッドギアコネクタは、細長いアームおよび該細長いアームの自由端のスロットを含んだ、一対の上側ヘッドギアコネクタと、前記シュラウドモジュールに含まれた一対の下側ヘッドギアコネクタと、
前記患者の気道に送達される陽圧の空気を供給することを可能にするために、密封位置に前記クッションモジュールを保持するためのヘッドギアであって、該ヘッドギアは、
前記患者の耳の上側において前記患者の頭と接触するように適合された一対の上側ストラップであって、該一対の上側ストラップの各上側ストラップは、前記スロットの1つに取り外し可能に接続するように適合された、一対の上側ストラップと、
前記患者の耳の下側において前記患者の顔と接触するように適合された一対の下側ストラップであって、前記一対の下側ヘッドギアコネクタに、直接的または間接的に、取り外し可能に接続される、一対の下側ストラップと、
を備えたヘッドギアと、
前記クッションよりも高剛性の材料から構成されたエルボモジュールであって、該エルボモジュールは、
前記シュラウドモジュールに回転可能に係合されて、前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間において360度の相対回転を可能にした第1の端部と、
空気送達管に接続されて、呼吸可能なガスを前記患者へと送達するように適合された第2の端部と、
を備えたエルボモジュールと、
を備えたマスクシステム。
【請求項40】
前記クッションは鼻クッションである、請求項39に記載のマスクシステム。
【請求項41】
前記クッションは、全体的に前記患者の顔の鼻梁、頬、および下唇領域に沿って前記患者の顔と係合するように適合されたフルフェイスクッションであり、前記エルボモジュールのポートは、加圧されたガスの存在に応じて、窒息防止弁のフラップ部分により選択的に閉じられる、請求項39に記載のマスクシステム。
【請求項42】
前記フレームおよび前記クッションは、互いに一体にモールド成型されており、
前記シュラウドモジュールは、前記患者の額と係合するように適合された額サポートを含んでおらず、
前記一対の上側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの頂部に配置され、細長いアームの各々は、前記患者の顔の輪郭に追従した輪郭とされており、使用時に視線を避け、細長いアームの各々はアーチ形状とされ、前記患者の頬を横断する方向に延びるように適合されており、細長いアームの各々は、織物スリーブにより覆われており、
前記一対の下側ヘッドギアコネクタは、前記シュラウドモジュールの底部に配置されており、
前記一対の上側ストラップの各上側ストラップおよび前記一対の下側ストラップの各下側ストラップは、フック材料およびループ材料を含み、
前記ヘッドギアは、前記患者の頭の後を通るように適合された一対の後部ストラップをさらに含んでおり、
前記マスクシステムは、前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間の境界面に設けられた境界面シールをさらに備えている、請求項39から41のいずれか一項に記載のマスクシステム。
【請求項43】
前記境界面シールは、前記エルボモジュールおよび前記シュラウドモジュールとは別個に形成されており、前記境界面シールは、前記エルボモジュールと前記シュラウドモジュールとの間に挟まれている、請求項42に記載のマスクシステム。
【請求項44】
睡眠時呼吸障害を治療するための装置であって、
請求項39から41のいずれか一項に記載のマスクシステムと、
前記第2の端部に接続された空気送達管と、
該空気送達管を通じて、加圧された呼吸可能なガスを前記患者が着用した前記マスクシステムに送達するためのフロージェネレータであって、大気圧よりも
約2から約30cmH
2
O高い圧力において前記加圧された呼吸可能なガスを前記患者の気道へと送達する、フロージェネレータと、
を備えている装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療、例えば持続的気道陽圧法(CPAP)または非侵襲的陽圧換気法(NIPPV)を用いた睡眠時呼吸障害(SDB)の治療に使用されるマスクシステムに関する。
【0002】
本出願は、参照によってそれぞれその全体が本明細書に組み込まれる2008年3月4日に出願された米国特許仮出願第61/064,406号、2008年5月23日に出願された第61/071,893号および2008年9月19日に出願された第61/136,617号の恩典を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
睡眠時呼吸障害(SDB)の治療においてブロワおよびフロージェネレータとともに使用されるフルフェースマスクシステム、鼻マスクシステムなどの患者インタフェースは一般に、クッションなどの顔に接する軟らかい部分と、硬質または半硬質のシェルまたはフレームとを含む。陽圧(例えば2~30cm H2O)の給気を患者の気道に送達することができるように、使用時、このインタフェースは、ヘッドギアによって密封位置に保持される。
【0004】
治療の効能および治療に対する患者の順応性における1つの因子は、患者インタフェースの快適性および密着性(fit)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許仮出願第61/064,406号
【文献】米国特許仮出願第61/071,893号
【文献】米国特許仮出願第61/136,617号
【文献】米国特許出願公開第2007/0144525号
【文献】米国特許出願公開第2006/0283461号
【文献】PCT出願第PCT/AU2006/000031号
【文献】米国特許第6,561,190号
【文献】米国特許第6,561,191号
【文献】米国特許第7,207,335号
【文献】米国特許出願第12/230,120号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、治療の効能および治療に対する患者の順応性を向上させるマスクシステムの代替構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、患者の額と係合するように適合された額サポートのないマスクシステムに関する。
【0008】
本発明の他の態様は、フレームと、フレームに取外し可能に接続されたシュラウドであり、ヘッドギアを取り付けるように適合されたシュラウドとを含むマスクシステムに関する。
【0009】
本発明の他の態様は、呼吸室を画定するフレームと、フレームに提供されたクッションであり、患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションと、フレームに提供されたシュラウドとを含むマスクシステムに関する。シュラウドとフレームは互いに共成形される。フレームは、比較的に軟らかいエラストマーの第1の材料から製作され、シュラウドは、フレームよりも硬い第2の材料から製作される。フレームの少なくとも一部分は、複数のひだを有する蛇腹セクションを含む。ひだはそれぞれ側壁を有し、ひだの側壁は、患者の顔から離れるにつれて次第に長くなる。
【0010】
本発明の他の態様は、呼吸室を画定するフレームと、患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションとを含むクッションモジュールに関する。フレームとクッションは互いに共成形される。クッションは、比較的に軟らかいエラストマーの第1の材料から製作され、フレームは、クッションよりも硬い第2の材料から製作される。フレームの少なくとも一部分は蛇腹セクションを含む。
【0011】
本発明の他の態様は、クッションモジュールを製作する方法に関する。この方法は、比較的に軟らかいエラストマーの第1の材料を用いて、クッションモジュールの第1の部分を成形する段階と、第1の材料よりも硬い第2の材料を用いて、クッションモジュールの第2の部分を第1の部分に共成形する段階と、第2の部分の少なくとも一部分を、蛇腹セクションを含むように成形する段階とを含む。
【0012】
本発明の他の態様は、マスクシステム用のシュラウドであって、フレームを保持するように構築された保持部分と、細長いアーム、およびアームの自由端にあって、ヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロットをそれぞれが含む一対の上ヘッドギアコネクタと、ヘッドギアストラップに取り付けるようにそれぞれが適合された一対の下ヘッドギアコネクタとを備え、保持部分、上ヘッドギアコネクタおよび下ヘッドギアコネクタが、単一片構造として一体に形成されたシュラウドに関する。
【0013】
本発明の他の態様は、呼吸室を画定するフレームと、フレームに提供されたクッションであり、患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションと、フレームに提供されたシュラウドであり、ヘッドギアを取り付けるように適合されたシュラウドと、フレームに提供されたエルボであり、呼吸に適したガスを患者に送達する空気送達管に接続されるように適合されたエルボとを含むマスクシステムに関する。シュラウドは、シュラウドとフレームとの間に確実接続を確立するように構築された保持機構を含む。
【0014】
本発明の他の態様は、呼吸室を画定するフレームと、フレームに提供されたクッションとを含むマスクシステムに関する。クッションは本体およびクッションを含み、クッションは、患者の顔の少なくとも一部分と係合するように適合される。クッションは、アンダークッション層および膜に接続された基部壁を含み、膜は、クッションの周囲を囲んで延び、患者の顔と接触する。アンダークッション層は、膜の下に配置され、膜を支持する。アンダークッション層は、顔の所定の領域において、他と異なる支持を膜に提供する。
【0015】
本発明の他の態様は、医療用のマスクアセンブリであって、患者の顔に対するその位置によって定義される上端および下端を有し、患者の頭と係合するように適合された柔軟な複数のストラップに接続されたマスクアセンブリに関する。柔軟なストラップは、マスクアセンブリの一部分に一体に成形された少なくとも2つの細長く硬いアームと係合し、これらの細長いアームは、マスクアセンブリの上端の近くでマスクアセンブリに成形される。
【0016】
本発明の他の態様は、医療用のマスクアセンブリであって、鼻および/または口を覆うように適合されたクッションに接続された本体を含み、顔に対して実質的に垂直な力によって取り付けられ、この力が、マスクアセンブリの全長に沿ってほぼ一定であり、患者の頬と係合するクッションの部分によってこの力の釣合いが保たれるマスクアセンブリに関する。
【0017】
本発明の他の態様は、医療用マスクとともに使用するクッションであって、顔と密封可能に係合するように適合された外側膜層と、膜層を支持するように適合されたアンダークッション層とを含むクッションに関する。膜層またはアンダークッション層は、これら2つの層間に位置する表面を含み、この表面は、それぞれの表面に対してこれらの層が滑ることを可能にするように適合される。
【0018】
本発明の他の態様は、マスクシステムであって、呼吸室を画定するフレームと、フレームに提供されたクッションであり、患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションと、フレームの外面の一部分と係合するように適合されたリリース可能なシュラウドとを含み、マスクシステムを配置するために、シュラウドがストラップに接続されたマスクシステムに関する。
【0019】
本発明の他の態様は、医療用のマスクアセンブリであって、上端および下端を備え、上端が、患者の鼻を覆うように適合され、下端が、患者の口を覆うように適合されたマスクアセンブリに関する。このマスクアセンブリは、額サポートを含まず、マスクアセンブリの上端の反対側に取り付けられた2つの硬い部材を含み、この硬い部材は、全体に湾曲した形状を含み、患者の視野を覆うことを防ぐように適合される。
【0020】
本発明の他の態様は、医療用マスクに取り付ける柔軟なクッションであって、クッションの周囲に取り付けられた膜であり、患者の顔に対して密封するように適合された膜と、使用中に膜が潰れるのを防ぐために、膜を支持するように適合され、膜の下に配置された少なくとも1つのアンダークッションとを含むクッションに関する。膜はアンダークッションよりも軟らかい。アンダークッションの基部と先端の間で測定した、鼻梁または頤の領域のアンダークッションの高さは0mmから30mmである。
【0021】
本発明の他の態様は、医療用のマスクアセンブリであって、上端および下端を備え、上端が、患者の鼻を覆うように適合され、下端が、患者の口を覆うように適合されたマスクアセンブリに関する。このマスクアセンブリは、額サポートを含まず、マスクアセンブリの上端の反対側に取り付けられた2つの硬い部材を含み、この硬い部材は、全体に湾曲した形状を含み、患者の視野を覆うことを防ぐように適合される。
【0022】
代替実施形態では、マスクシステムが、スナップばめ、機械式相互ロック、摩擦ばめおよび/または(例えばゴム製の)グロメット構成によってフレームに取り付けるように構築されたヘッドギアコネクタまたはリジダイザを含むことができる。
【0023】
代替実施形態では、マスクシステムが、シリコーンおよび/またはBreath-O-Prene(商標)材料から製作されたストラップの構成を有するヘッドギアを含むことができる。
【0024】
本発明の他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明を、添付図面とともに検討したときにより明白になる。添付図面は、本開示の一部であり、本発明の原理を例示する。
【0025】
[付記項1]
呼吸室を画定するフレームと、
前記フレームに提供されたクッションであり、患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションと、
前記フレームに提供されたシュラウドと
を備え、
前記シュラウドと前記フレームが互いに共成形され、前記フレームが、比較的に軟らかいエラストマーの第1の材料から製作され、前記シュラウドが、前記フレームよりも硬い第2の材料から製作され、
前記フレームの少なくとも一部分が、複数のひだを有する蛇腹セクションを含み、前記ひだがそれぞれ側壁を有し、前記ひだの前記側壁が、患者の顔から離れるにつれて次第に長くなる
マスクシステム。
[付記項2]
前記フレームがシリコーン製である、付記項1に記載のマスクシステム。
[付記項3]
前記シュラウドがポリカーボネート製である、付記項1から2のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項4]
前記蛇腹セクションが、前記フレームの鼻梁領域に形成された、付記項1から3のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項5]
前記クッションがフルフェースクッションである、付記項1から4のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項6]
前記蛇腹セクションの柔軟性が可変である、付記項1から5のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項7]
ひだの数、それぞれのひだの壁厚およびそれぞれのひだの深さのうちの少なくとも1つを変更することによって、前記蛇腹セクションの柔軟性を変化させることができる、付記項6に記載のマスクシステム。
[付記項8]
呼吸室を画定するフレームと、
患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションと
を備え、
前記フレームと前記クッションが互いに共成形され、前記クッションが、比較的に軟らかいエラストマーの第1の材料から製作され、前記フレームが、前記クッションよりも硬い第2の材料から製作され、前記フレームの少なくとも一部分が蛇腹セクションを含む
クッションモジュール。
[付記項9]
前記蛇腹セクションが、1つまたは複数のひだを有する蛇腹構造を含む、付記項8に記載のクッションモジュール。
[付記項10]
前記蛇腹セクションの柔軟性が可変である、付記項9に記載のクッションモジュール。
[付記項11]
ひだの数、それぞれのひだの壁厚およびそれぞれのひだの深さのうちの少なくとも1つを変更することによって、前記蛇腹セクションの柔軟性を変化させることができる、付記項10に記載のクッションモジュール。
[付記項12]
前記蛇腹セクションが、前記フレームの鼻梁領域に形成された、付記項8から11のいずれか一項に記載のクッションモジュール。
[付記項13]
前記クッションがフルフェースクッションである、付記項8から12のいずれか一項に記載のクッションモジュール。
[付記項14]
シュラウドと、
前記シュラウドに提供された、付記項8から13のいずれか一項に記載のクッションモジュールと
を備えるマスクシステム。
[付記項15]
前記シュラウドが、ヘッドギアのそれぞれのヘッドギアストラップに取外し可能に取り付けるように適合されたヘッドギアコネクタを含む、付記項14に記載のマスクシステム。
[付記項16]
前記シュラウドが、前記シュラウドの両側に、上および下ヘッドギアコネクタを含む、付記項15に記載のマスクシステム。
[付記項17]
それぞれの上ヘッドギアコネクタが、細長いアームと、前記アームの自由端にあって、使用時にそれぞれのヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロットとを含む、付記項16に記載のマスクシステム。
[付記項18]
それぞれの下ヘッドギアコネクタが、それぞれのヘッドギアストラップに結合されたヘッドギアクリップと取外し可能に相互ロックするように適合されたクリップレセプタクルを含む、付記項16から17のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項19]
前記シュラウドが、前記フレームを保持するように構築された環状保持部分を提供する開口構造を含む、付記項14から18のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項20]
呼吸に適したガスを患者に送達する空気送達管に接続されるように適合されたエルボをさらに備える、付記項14から19のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項21]
前記エルボが前記フレームに提供された、付記項20に記載のマスクシステム。
[付記項22]
前記エルボが、ガスウォシュアウト用のベント構成を含み、前記ベント構成が、前記エルボに取外し可能に取り付けることができるように適合されたベントインサートの形態を有する、付記項20から21のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項23]
前記エルボが窒息防止弁を含み、前記窒息防止弁が、前記エルボに取外し可能に取り付けることができるように適合されたインサートの形態を有する、付記項20から22のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項24]
前記窒息防止弁が、前記エルボに形成されたポートを選択的に閉じるように適合されたフラップ部分と、前記エルボに取外し可能に取り付けるように適合されたクリップ部分とを含む、付記項23に記載のマスクシステム。
[付記項25]
前記フラップ部分と前記クリップ部分が互いに共成形された、付記項24に記載のマスクシステム。
[付記項26]
前記エルボが、少なくとも第1および第2のエルボを含み、前記少なくとも第1および第2のエルボの少なくとも1つの態様が互いに異なる、付記項20から25のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項27]
前記フレームが、前記シュラウドに提供されるように適合された少なくとも第1および第2のフレームを含み、前記少なくとも第1および第2のフレームの少なくとも1つの態様が互いに異なる、付記項14から26のいずれか一項に記載のマスクシステム。 [付記項28]
クッションモジュールを製作する方法であって、
比較的に軟らかいエラストマーの第1の材料を用いて、前記クッションモジュールの第1の部分を成形する段階と、
前記第1の材料よりも硬い第2の材料を用いて、前記クッションモジュールの第2の部分を前記第1の部分に共成形する段階と、
前記第2の部分の少なくとも一部分を、蛇腹セクションを含むように成形する段階と
を含む方法。
[付記項29]
マスクシステム用のシュラウドであって、
フレームを保持するように構築された保持部分と、
細長いアームと、前記アームの自由端にあって、ヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロットとをそれぞれが含む一対の上ヘッドギアコネクタと、
ヘッドギアストラップに取り付けるようにそれぞれが適合された一対の下ヘッドギアコネクタと
を備え、
前記保持部分、前記上ヘッドギアコネクタおよび前記下ヘッドギアコネクタが、単一片構造として一体に形成された
シュラウド。
[付記項30]
それぞれの下ヘッドギアコネクタが、短いアームと、前記アームの自由端にあって、前記ヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロットとを含む、付記項29に記載のシュラウド。
[付記項31]
それぞれの下ヘッドギアコネクタが、前記ヘッドギアストラップに結合されたヘッドギアクリップと取外し可能に相互ロックするように適合されたクリップレセプタクルを含む、付記項29に記載のシュラウド。
[付記項32]
前記細長いアームが、使用時に、患者の耳の上側を通って延び、前記ヘッドギアストラップを、患者の耳の上側の患者の耳から離隔した位置に保持するのに適した輪郭に形成された、付記項29に記載のシュラウド。
[付記項33]
接着または縫合によって、前記細長いアームをヘッドギアストラップに固定することができる、付記項29に記載のシュラウド。
[付記項34]
それぞれの細長いアームを、上ヘッドギアストラップに固定することができ、前記細長いアームのそれぞれのスロットが、後部ヘッドギアストラップを受け取るように適合され、それぞれの下ヘッドギアコネクタが、下ヘッドギアストラップに取り付けるように適合された、付記項33に記載のシュラウド。
[付記項35]
前記下ストラップおよび後部ストラップが、ある角度で結合し、使用時に患者の頭の後ろを通るように適合された、付記項34に記載のシュラウド。
[付記項36]
呼吸室を画定するフレームと、
前記フレームに提供されたクッションであり、患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションと、
前記フレームに提供されたシュラウドであり、ヘッドギアを取り付けるように適合されたシュラウドと、
前記フレームに提供されたエルボであり、呼吸に適したガスを患者に送達する空気送達管に接続されるように適合されたエルボと
を備え、
前記シュラウドが、前記シュラウドと前記フレームとの間に確実接続を確立するように構築された保持機構を含む
マスクシステム。
[付記項37]
前記フレームが、前記エルボと連通するように適合された開口を取り囲むカラーを含む、付記項36に記載のマスクシステム。
[付記項38]
前記保持機構が、前記エルボと前記フレームの間に挟まれるように配置された1つまたは複数のタブを含む、付記項37に記載のマスクシステム。
[付記項39]
前記エルボが環状突起を含み、前記環状突起が、前記1つまたは複数のタブを前記カラーと前記環状突起の間に挟み込むように構築された、付記項38に記載のマスクシステム。
[付記項40]
前記カラーが、前記シュラウドに形成されたそれぞれのタブを受け取るように適合された1つまたは複数の凹みを含む、付記項39に記載のマスクシステム。
[付記項41]
前記保持機構がさらに、スナップばめによって前記カラーと係合するように構築された1つまたは複数のスナップフィンガを含む、付記項37から40のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項42]
前記カラーが、前記シュラウドに形成されたそれぞれのスナップフィンガと係合するように適合された1つまたは複数の突起を含む、付記項41に記載のマスクシステム。
[付記項43]
前記エルボが、前記開口の縁の下に延びて前記エルボを前記フレームに保持するように適合された遠位側ショルダを含む、付記項37から42のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項44]
前記フレームが、ガスウォシュアウト用のベント構成を含む、付記項36から43のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項45]
前記クッションがフルフェースクッションである、付記項36から44のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項46]
前記シュラウドが、上ヘッドギアストラップを取り付けるように適合された一対の上ヘッドギアコネクタと、下ヘッドギアストラップを取り付けるように適合された一対の下ヘッドギアコネクタとを含む、付記項36から45のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項47]
それぞれの上ヘッドギアコネクタが、細長いアームと、前記アームの自由端にあって、それぞれの上ヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロットとを含む、付記項46に記載のマスクシステム。
[付記項48]
それぞれの下ヘッドギアコネクタが、それぞれの下ヘッドギアストラップに結合されたヘッドギアクリップと取外し可能に相互ロックするように適合されたクリップレセプタクルを含む、付記項46から47のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項49]
それぞれの上ヘッドギアコネクタが、使用時に患者の顔の輪郭に従い、患者の視線を避けるのに適した形態、形状または輪郭に形成された、付記項46から48のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項50]
前記フレームの上端が、前記シュラウドの裏面に配置されたそれぞれのタング突起を受け取るように適合された1つまたは複数のスロットを含む、付記項36から49のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項51]
前記エルボが窒息防止弁を含む、付記項36から50のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項52]
呼吸室を画定するフレームと、前記フレームに提供されたクッションとを備え、前記クッションが本体およびクッションを含み、前記クッションが、患者の顔の少なくとも一部分と係合するように適合され、前記クッションが、アンダークッション層および膜に接続された基部壁を含み、前記膜が、前記クッションの周囲を囲んで延び、患者の顔と接触し、さらに前記アンダークッション層が、前記膜の下に配置され、前記膜を支持し、さらに前記アンダークッション層が、顔の所定の領域において、他と異なる支持を前記膜に提供するマスクシステム。
[付記項53]
他と異なる支持を提供するため、前記アンダークッション層の厚さまたは剛性が異なる、付記項52に記載のマスクシステム。
[付記項54]
他と異なる支持を提供するため、前記膜の下の所定の領域に前記アンダークッション層がない、付記項52に記載のマスクシステム。
[付記項55]
顔の前記所定の領域が鼻梁および/または頤を含む、付記項52から54のいずれか一項に記載のマスクシステム。
[付記項56]
前記フレームモジュールが、患者の頭と係合するように適合されたヘッドギアに取り付けられた、付記項55に記載のマスクシステム。
[付記項57]
前記フレームモジュールがナイロン製である、付記項55に記載のマスクシステム。
[付記項58]
前記本体がポリカーボネート製である、付記項55に記載のマスクシステム。
[付記項59]
前記クッションがつや消しシリコーン製である、付記項55に記載のマスクシステム。
[付記項60]
医療用のマスクアセンブリであって、患者の顔に対するその位置によって定義される上端および下端を有し、患者の頭と係合するように適合された柔軟な複数のストラップに接続され、前記柔軟なストラップが、マスクアセンブリの一部分に一体に成形された少なくとも2つの細長く硬いアームと係合し、前記細長いアームが、マスクアセンブリの前記上端の近くでマスクアセンブリに成形されたマスクアセンブリ。
[付記項61]
前記アームが全体に弓形である、付記項60に記載のマスクアセンブリ。
[付記項62]
前記アームが、前記マスクアセンブリから、患者の頬に平行な方向に、患者の視野よりも下に延びるように適合された、付記項61に記載のマスクアセンブリ。
[付記項63]
患者の鼻および口を覆う、付記項60に記載のマスクアセンブリ。
[付記項64]
医療用のマスクアセンブリであって、鼻および/または口を覆うように適合されたクッションに接続された本体を含み、顔に対して実質的に垂直な力によって取り付けられ、前記力が、マスクアセンブリの全長に沿ってほぼ一定であり、患者の頬と係合する前記クッションの部分によって前記力の釣合いが保たれるマスクアセンブリ。
[付記項65]
前記クッションの前記部分が、前記クッションの他の領域よりも比較的に硬い、付記項64に記載のマスクアセンブリ。
[付記項66]
前記クッションの前記部分が前記クッションの側面によって画定される、付記項65に記載のマスクアセンブリ。
[付記項67]
前記クッションの側面が、使用時に前記患者の頬と係合し、前記マスクアセンブリを安定させる、付記項66に記載のマスクアセンブリ。
[付記項68]
前記クッションの側面と比べたときに、鼻梁または頤と係合するように適合された前記クッションの領域が比較的に軟らかい、付記項67に記載のマスクアセンブリ。
[付記項69]
患者の頬に沿った方向に、前記マスクアセンブリから遠ざかるように延びる少なくとも2つの細長いアームに取り付けることによって前記マスクアセンブリと係合したストラップにより、前記力が供給される、付記項68に記載のマスクアセンブリ。
[付記項70]
前記アームが、患者の眼の領域を避けることにより患者の視野を限定することを防ぐ形状に形成された、付記項69に記載のマスクアセンブリ。
[付記項71]
パッド入りのスリーブが、前記アームの少なくとも一部分を覆う、付記項70に記載のマスクアセンブリ。
[付記項72]
前記スリーブが、比較的に弾力性に富む柔軟な管である、付記項71に記載のマスクアセンブリ。
[付記項73]
医療用マスクとともに使用するクッションであって、
顔と密封可能に係合するように適合された外側膜層と、
前記膜層を支持するように適合されたアンダークッション層と
を備え、
前記膜層またはアンダークッション層が、これら2つの層間に位置する表面を含み、前記表面が、それぞれの前記表面に対してこれらの層が滑ることを可能にするように適合された
クッション。
[付記項74]
前記膜層が、前記アンダークッション層よりも柔軟である、付記項73に記載のクッション。
[付記項75]
前記膜層が、つや消しポリマーまたはシリコーン製である、付記項74に記載のクッション。
[付記項76]
前記アンダークッション層が、つや消しポリマーまたはシリコーン製である、付記項75に記載のクッション。
[付記項77]
マスクシステムであって、
呼吸室を画定するフレームと、
前記フレームに提供されたクッションであり、患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションと、
前記フレームの外面の一部分と係合するように適合されたリリース可能なシュラウドと
を備え、
マスクシステムを配置するために、前記シュラウドがストラップに接続された
マスクシステム。
[付記項78]
コネクタの使用によって前記シュラウドが前記フレームと係合する、付記項77に記載のマスクシステム。
[付記項79]
前記シュラウドが、一体に成形された少なくとも2つの細長いアームを含む、付記項78に記載のマスクシステム。
[付記項80]
医療用のマスクアセンブリであって、
上端および下端を備え、前記上端が、患者の鼻を覆うように適合され、前記下端が、患者の口を覆うように適合され、
マスクアセンブリが、額サポートを含まず、マスクアセンブリの前記上端の反対側に取り付けられた2つの硬い部材を含み、前記硬い部材が、全体に湾曲した形状を含み、患者の視野を覆うことを防ぐように適合された
マスクアセンブリ。
[付記項81]
前記硬い部材が、水平軸から10°から20°の角度で湾曲した、付記項80に記載のマスクアセンブリ。
[付記項82]
前記硬い部材が、水平軸から約17°の角度で湾曲した、付記項80に記載のマスクアセンブリ。
[付記項83]
医療用マスクに取り付ける柔軟なクッションであって、前記クッションの周囲に取り付けられた膜であり、患者の顔に対して密封するように適合された膜と、使用中に前記膜が潰れるのを防ぐために、前記膜を支持するように適合され、前記膜の下に配置された少なくとも1つのアンダークッションとを備え、前記膜が前記アンダークッションよりも軟らかく、前記アンダークッションの基部と先端の間で測定した、鼻梁または頤の領域の前記アンダークッションの高さが0mmから30mmであるクッション。
[付記項84]
前記アンダークッションの高さが前記膜の高さよりも小さい、付記項83に記載のクッション。
[付記項85]
前記膜の基部と先端の間で測定した前記膜の高さが1mmから40mmである、付記項84に記載のクッション。
[付記項86]
前記アンダークッションおよび前記膜を形成するために2つに分岐した、付記項85に記載のクッション。
[付記項87]
医療用のマスクアセンブリであって、
上端および下端を備え、前記上端が、患者の鼻を覆うように適合され、前記下端が、患者の口を覆うように適合され、
マスクアセンブリが、額サポートを含まず、マスクアセンブリの前記上端の反対側に取り付けられた2つの硬い部材を含み、前記硬い部材が、全体に湾曲した形状を含み、患者の視野を覆うことを防ぐように適合されたマスクアセンブリ。
【0026】
添付図面は、本発明のさまざまな実施形態の理解を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に基づくマスクシステムの正面透視図である。
【
図1B】
図1のマスクシステムおよび患者の頭部に配置されたヘッドギアを示す透視図である。
【
図1D】
図1のマスクシステムの別の断面図である。
【
図2】
図1のマスクシステムのフレームおよびクッションを示す正面透視図である。
【
図3】フレーム、クッション、シュラウドおよびエルボを示す、
図1のマスクシステムの分解透視図である。
【
図4】フレーム、クッションおよびシュラウドを示す、
図1のマスクシステムの別の分解透視図である。
【
図5】シュラウドおよび組み立てられたフレーム/クッションを示す、
図1のマスクシステムの分解透視図である。
【
図6】
図1のマスクシステムのシュラウドを示す正面透視図である。
【
図7】
図1のマスクシステムのクッションを示す正面透視図である。
【
図8】
図7のクッションの一部分を示す断面図である。
【
図8B】
図7のクッションの鼻梁領域および頤領域の断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に基づく平らに広げたヘッドギアの平面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの正面透視図である。
【
図11】
図10のマスクシステムのフレームを示す正面透視図である。
【
図12】
図10のマスクシステムのフレームを示す正面図である。
【
図13】
図10のマスクシステムのフレームを示す側面図である。
【
図14】
図10のマスクシステムのシュラウドを示す正面透視図である。
【
図15】
図10のマスクシステムのシュラウドを示す正面図である。
【
図16】
図10のマスクシステムのシュラウドを示す側面図である。
【
図17】
図10のマスクシステムのシュラウドを示す背面透視図である。
【
図18-1】
図10のマスクシステムのシュラウドとフレームの取付けを順番に示す断面図である。
【
図18-2】
図10のマスクシステムのシュラウドとフレームの取付けを順番に示す断面図である。
【
図19-1】
図10のマスクシステムのシュラウドとフレームの取付けを順番に示す断面図である。
【
図19-2】
図10のマスクシステムのシュラウドとフレームの取付けを順番に示す断面図である。
【
図19-3】
図10のマスクシステムのシュラウドとフレームの取付けを順番に示す断面図である。
【
図19-4】
図10のマスクシステムのシュラウドとフレームの取付けを順番に示す断面図である。
【
図20】フレームにシュラウドを取り付けるための代替構成を示す透視図である。
【
図21】
図10のマスクシステムのシュラウドを示す背面透視図である。
【
図22】
図10のマスクシステムのシュラウドとフレームの取付けを示す断面図である。
【
図23】図 10のマスクシステムのシュラウド、フレームおよびエルボの取付けを示す断面図である。
【
図24】フレームにシュラウドを取り付けるための代替構成を示す断面図である。
【
図25】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの正面透視図である。
【
図27】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの正面透視図である。
【
図29】
図27に示したマスクシステムの拡大正面透視図である。
【
図31-1】本発明の一実施形態に基づくクッションの背面図である。
【
図31-2】
図31-1に示したクッションの正面図/部分破断図である。
【
図31-3】
図31-1の線31-3-31-3で切った断面図である。
【
図31-4】
図31-1の線31-4-31-4で切った断面図である。
【
図31-5】
図31-1の線31-5-31-5で切った断面図である。
【
図32-1】本発明の一実施形態に基づく蛇腹セクションの上面図である。
【
図33】本発明の一変形実施形態に基づくマスクシステムの側面図である。
【
図34】本発明の一実施形態に基づく蛇腹セクションを含むクッションを示す図である。
【
図35-1】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの正面図である。
【
図36】本発明の一実施形態に基づくマスクシステムのシュラウドの透視図である。
【
図37-1】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの透視図である。
【
図38-1】
図37-1から37-3に示したマスクシステムのシュラウドの透視図である。
【
図39-1】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの透視図である。
【
図39-2】
図39-1のマスクシステムの別の透視図である。
【
図40-1】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの透視図である。
【
図40-3】
図40-1および40-2に示したマスクシステムのフレームの透視図である。
【
図40-4】
図40-3に示したフレームの保持部材を示す図である。
【
図40-5】
図40-3に示したフレームの保持部材を示す図である。
【
図40-6】
図40-1および40-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図40-7】
図40-1および40-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図41-1】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの背面透視図である。
【
図41-2】
図41-1のマスクシステムの正面透視図である。
【
図41-3】
図41-1および41-2に示したマスクシステムの分解図である。
【
図41-4】
図41-1および41-2に示したマスクシステムの分解図である。
【
図41-5】
図41-1および41-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図41-6】
図41-1および41-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図41-7】
図41-1および41-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図41-8】
図41-1および41-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図41-9】
図41-1および41-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図41-10】
図41-1および41-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図41-11】
図41-1および41-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図41-12】
図41-1および41-2に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図42-1】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの背面透視図である。
【
図42-2】
図42-1に示したマスクシステムの分解図である。
【
図42-3】
図42-1に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図42-4】
図42-1に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図42-5】
図42-1に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図42-6】
図42-1に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図42-7】
図42-1に示したマスクシステムのクリップ留め上ヘッドギアコネクタを示す図である。
【
図43-1】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムの透視図である。
【
図44】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムを示す図である。
【
図45】本発明の他の実施形態に基づくマスクシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明は、共通の特性および特徴を持つことがあるいくつかの実施形態または例に関するものである。任意の1つの実施形態または例の1つまたは複数の特徴を、別の実施形態または例の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。さらに、これらの実施形態または例のうちの任意の実施形態または例の任意の単一の特徴または特徴の組合せが、追加の実施形態または例を構成することもある。
【0029】
本明細書では、語「備える/含む(comprising)」を、その「開いた(open)」意味、すなわち「含む(including)」の意味で理解するものとし、したがって、この語は、その「閉ざされた(closed)」意味、すなわち「だけからなる(consisting only of)」の意味に限定されない。関連語「comprise」、「comprised」および「comprises」が使用される場合、これらの語も、対応する意味を有する。
【0030】
用語「空気(air)」は、呼吸に適したガス、例えば酸素が加えられた空気を含むものと理解されたい。
【0031】
用語「シュラウド(shroud)」は、例示する実施形態内の第2の構成要素を部分的にまたは完全に覆う構成要素を含むものと理解されたい。一実施形態では、シュラウドが、例示する実施形態のフレーム構成要素を部分的に覆う、またはフレーム構成要素上に取り付けられた構成要素を含むことがある。
【0032】
用語「確実接続(positive connection)」は、それぞれの構成要素上に取り付けられたコネクタがそれぞれ互いにかみ合うように適合された、例示する実施形態の構成要素間の接続を含むものと理解されたい。
【0033】
1. マスクシステム
本発明の実施形態は、患者の額と係合するように適合された額サポートのないマスクシステムを対象とする。このような構成は、患者の視野にあまり影響を及ぼさない目障りとなりにくい構成を有するマスクシステムを提供する。このシステムは、額サポートが必要ないように設計されるが、所望ならば、このような額サポートを追加することもできる。
【0034】
後により詳細に説明するとおり、このマスクシステムは、フレームと、フレームに提供されたクッションであり、患者の顔との間にシールを形成するように適合されたクッションと、フレームに提供されたシュラウドであり、ヘッドギアを取り付けるように適合されたシュラウドと、フレームに提供されたエルボであり、呼吸に適したガスを患者に送達する空気送達管に接続されるように適合されたエルボとを含む。患者の顔の表面の調整された所望の位置にマスクシステムを維持するため、シュラウドにヘッドギアを取外し可能に取り付けることができる。このマスクシステムは、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)または他の呼吸障害を持つ使用者に対する陽圧療法で使用することが意図されている。
【0035】
以下の実施形態はそれぞれ、フルフェースインタフェース型ないし口鼻インタフェース型を含むとして説明されるが、他の適当なインタフェース型とともに使用するように、それぞれの実施形態を適合させることもできる。すなわち、このインタフェース型は単なる例であり、他のインタフェース型、例えば鼻インタフェース、鼻マスク、鼻プロング(prong)などを含むように、それぞれの実施形態を適合させることもできる。
【0036】
2. 安定化機構
本発明の実施形態に基づくマスクシステムの安定化機構(例えばフレーム、シュラウド、関連ヘッドギアベクトルを有するヘッドギア)は、フルフェース型インタフェースからの額サポートの排除に対応するように構築される。例えば、額サポートは一般に、矢状面および前頭面におけるマスクシステムの回転を排除するものであり、したがって、本発明の実施形態に基づくマスクシステムおよびヘッドギアはこの額サポートを持たないため、これらの機能を受け継ぐように構築される。
【0037】
ヘッドギアは、フレームの頂部および底部に直接に、またはシュラウドを介して接続され、シュラウドは、患者の顔の表面の適当な位置にマスクシステムを安定的に維持するように位置決めされ、配置された、ヘッドギアに対するヘッドギア接続点を提供する。
【0038】
2.1 フレーム
図1、1B~1Eおよび2~5に示すように、マスクシステム1010のフレーム1040は、患者の顔に対する機能位置にクッション1060、シュラウド1020およびエルボ1070を維持するように構築される。フレーム1040は、クッション1060(例えばシリコーン製)よりも硬い材料(例えばポリウレタン)から製作(例えば射出成形)されるが、他の材料(例えばポリカーボネート)もおそらくは機能することがある。一実施形態では、フレームの全体的な壁厚が約1~2mm、例えば1.5mmである。
【0039】
フレーム1040は、患者の鼻および口を受け入れ、患者との空気連通を提供するように適合された呼吸室ないし呼吸空洞を画定する。フレーム1040の一部分すなわち下部は、エルボ1070(例えばスイベルエルボ)を受け取り、または他の方法でエルボ1070と連通するように適合された開口1046を含み、フレーム1040の別の部分すなわち上部は、ガスウォシュアウト(gas washout)用のベント構成1076を含む。さらに、フレーム1040の上部は、シュラウド1020とインタフェースし、または他の方法でシュラウド1020に取外し可能に接続するインタフェース構造1048を含む。
【0040】
図27~30は、患者の鼻および/または口との間にシールを形成するように適合された密封部分または密封リングを提供するクッション44を備えたフレーム40を含むマスクシステム10を示す。フレーム40はさらに、エルボ70と連通するように適合された開口46を含む。
【0041】
2.2 シュラウド
図1および3~6に示すように、シュラウド1020はフレーム1040に接続され、マスクシステムにヘッドギアを取り付けるように構築される。一実施形態では、シュラウド1020が、限定はされないがプラスチックまたはナイロン(例えばNylon 12)を含む弾性材料から製作(例えば射出成形)される。しかしながら、シュラウドは、他の適当な材料、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー(TPE)、Pocan(登録商標)などから製作することもできる。一実施形態では、シュラウドの全体的な壁厚が約1~2mm、例えば1.3mmである。
【0042】
シュラウド1020の上端は、患者の鼻梁領域または鼻の近くに配置されるように適合され、下端は、患者の口または頤(おとがい)の近くに配置されるように適合される。シュラウドの上端は、フレーム1040から突き出すベント構成1076を収容する開口ないしベント受取り穴1021を含み、下端は、エルボ1070およびフレーム1040のエルボ開口(例えば、組み立てられたときにシュラウドがエルボと接触しない)を収容する開口ないしエルボ穴1032を含む。
【0043】
上端の両側から上ヘッドギアコネクタ1024が延び、下端の両側から下ヘッドギアコネクタ1025が延びる。ヘッドギアコネクタ1024、1025はシュラウドと一体に成形し、または他の方法でシュラウドに取り付けることができる。
【0044】
2.2.1 上ヘッドギアコネクタ
上ヘッドギアコネクタ1024はそれぞれ、細長いアーム1026と、アーム1026の自由端にあって、それぞれのヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロットないし受取り穴1027とを含む。患者の視野を避けるため、すなわちヘッドギアを患者の眼から離して誘導するため、使用時、アーム1026は、患者の顔を巻いて、全体に凹形の角度で、患者の眼よりも下に延びる。例えば、
図1Eに示すように、アーム1026はそれぞれ、水平に対して約10~25°(例えば17°)の角度αで延びることができる。すなわち、アーム1026はそれぞれ、使用時に患者の顔の輪郭に従い、視線を避けるのに適した形態、形状または輪郭に形成される。一実施形態では、アームの形状を、全体に弓形とし、患者の頬を横断する方向に延び、眼を避け、すなわち視野を限定することを避けるように適合させることができる。一実施形態では、アームを、マスクシステムのシュラウドに一体に成形することができる。シュラウド上にアームを成形する1つの可能な利点は、マニュファクチャビリティ(manufacturability)が大幅に増大することであり、さらに、アームが偶発的に破損した場合に、マスクシステム全体を取り替えるのではなく、シュラウドを容易に取り替えることができる。さらに、シュラウド上にアームを成形すると、接続の強度を大幅に高め、アームが破損する実際の可能性を低下させまたは限定することができる。
【0045】
一実施形態では、患者の顔に対するアームの上下動または屈曲を防ぐため、アーム1026が少なくとも半硬質である(例えば比較的に硬い)。したがって、アーム1026は、安定した構成として有効に機能し、マスクシステムの上端に加わる圧力または力が、マスクシステムの上端と下端の間の釣合いの中心付近にある支点に対して再調整されるという機械的な利点を生み出すリジダイザ(rigidizer)の役目を果たすことができる。この構成をさらに安定にするため、一実施形態では、マスクシステムに対する可能な最も高い点に、アームが取り付けられる。一実施形態では、ピボット回転の支点またはモーメントが、ストラップの上接続点と下接続点の間に配置され、アーム1026の設計、角度、長さおよび/または形状が、この支点を効果的に調整することができる。示した実施形態では、この支点が、マスクシステムのベント構成とエルボの間にあるように示されている。さらに、顔に配置されたとき、マスクシステムは、患者の鼻の底部と唇領域の間の領域の周囲または付近に支点を有することができる。この特徴は、伝統的に必要な額サポートなしで、患者の顔の表面のマスクシステムを効果的に安定化する。
【0046】
マスクシステムの上端から患者の顔の周囲に延びる位置に取り付けられたアーム1026の正味の結果は、使用中に、マスクシステムがより安定し、マスクシステムのx軸1001(
図1参照)を軸として受ける正味のねじり力を低減させることである。アーム1026を、マスクシステムの別の適当な位置にしっかりと接続して、同様の結果を生み出すこともできることに留意されたい。
【0047】
一実施形態では、アーム1026を使用し、患者の頬に接触させることによって、マスクシステムを安定させることができる。使用中に患者の頬に対してアームを支持するために、アームの内面に頬パッドを配置することができる。また、患者の頬に対する追加のパッドの働きをする軟らかい織物スリーブでアーム1026を覆うこともできる。この軟らかい織物スリーブは、アーム1026の一部分を覆う弾力性のある管の形態を有することができる。
【0048】
2.2.2 下ヘッドギアコネクタ
下ヘッドギアコネクタ1025はそれぞれ、短いアームと、このアームの自由端にあって、それぞれのヘッドギアストラップに結合されたヘッドギアクリップと取外し可能に相互ロック(interlock)するように適合されたクリップレセプタクル1031とを含む。このクリップは、マスクシステムの配置または装着/取外しをより容易にすることを可能にする。一実施形態では、使用中にアームが、マスクシステムに対してy軸1002に沿って横方向に移動することを防ぐために、この短いアームおよびクリップも比較的に硬い。
【0049】
図27~30は、クリップレセプタクル31と取外し可能に相互ロックするように適合された例示的なヘッドギアクリップ33を示す。
図28に最もよく示されているように、クリップ33はそれぞれ、それぞれのクリップレセプタクル31とスナップばめによって相互ロックするように適合された2つのばねアーム35と、使用時にそれぞれのヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロット37とを含む。
【0050】
2.2.3 代替ヘッドギアコネクタ
図27~30に示すように、アーム26をシュラウドに取外し可能に結合することができ、例えば、アーム26は、シュラウドに配置されたクリップレセプタクルと取外し可能に相互ロックするように適合されたクリップ構造を含む。この構成は、さまざまな型式の上および下ヘッドギアコネクタ、例えば上ヘッドギアコネクタと下ヘッドギアコネクタ両用のアーム、上ヘッドギアコネクタと下ヘッドギアコネクタ両用のクリップ、上ヘッドギアコネクタと下ヘッドギアコネクタで長さが異なるアームなどを、シュラウドとともに使用することを可能にする。
【0051】
しかしながら、シュラウドは、ヘッドギアのヘッドギアストラップを取り付ける別の適当な構成を提供することができる。さらに、シュラウドは、1つまたは複数の追加の構成要素、例えば額サポートを含むことができる。
【0052】
2.2.4 ヘッドギアコネクタの位置
図1~6の実施形態では、(例えばマスクシステムの頂部および底部における調整を可能にする)より大きな調整性および(例えばアンカー点がマスクシステム全体に分布し、そのため患者の顔の表面でより安定する)安定性を可能にするため、上および下ヘッドギアコネクタ1024、1025が、互いから可能な限り遠いヘッドギア接続点(すなわちフレームの頂部と底部)を提供する。さらに、上ヘッドギアコネクタは、使用中に患者の眼を遮らない限りにおいて、マスクシステムの頂部にできるだけ近い位置に配置される。
【0053】
2.2.5 分離型シュラウド
図1~6の実施形態では、シュラウド1020が別個に形成(例えば成形)され、フレーム1040に取り付けられる。このような構成は、シュラウドの成形を容易にし、フレームとシュラウドに対して異なる材料を使用することを可能にし(例えば、フレームは、安定性のため半硬質または硬質とすることができ、ヘッドギアリジダイザを備えるシュラウドは、調整のため柔軟とすることができ)、シュラウドが、エルボをフレームに保持するエルボ/フレーム開口の周囲のエルボ保持フィーチャを隠すことを可能にし(例えば、見た目をよくするため視覚に訴えるシュラウドを提供し)、下クリップレセプタクルのないフレームを可能にし、シュラウドを、さまざまなサイズのフレームとともに使用することを可能にし、マスクシステムができるだけ目障りにならないようにシュラウドを設計し、型式化することを可能にする。この分離型シュラウドはさらに、ヘッドギア、フレーム、クッションおよび/またはエルボを独立に取り替え、洗浄することを可能にする。
【0054】
2.2.6 スリーブ
一実施形態では、上および/または下ヘッドギアコネクタに、軟らかい織物スリーブを取り付けることができる。例えば、このスリーブは弾力性を有することができ、このスリーブを、ヘッドギアコネクタのアームの上に滑らせて締りばめを形成するように適合させることができる。一実施形態では、このスリーブが弾力性のある管を形成する。このスリーブにパッドを入れて、使用中のマスクシステムの快適性を増大させることができる。このスリーブは、ヘッドギアコネクタのアームが患者の皮膚と接触する場合に、例えば患者の皮膚を刺激から守るのに特に有用なことがある。
【0055】
2.2.7 患者の耳の上側を通って延びるアーム
図35-1から35-3および36は、本発明の他の実施形態に基づくマスクシステム210用のシュラウド220を示す。シュラウド220は、フレーム240を保持するように構築された環状保持部分222と、保持部分222の両側の上および下ヘッドギアコネクタ224、225とを含む。示した実施形態では、シュラウド220が、単一片として一体に形成される(例えば
図36参照)。
【0056】
示した実施形態では、上ヘッドギアコネクタ224がそれぞれ、細長いアーム226と、アーム226の自由端にあって、使用時にそれぞれの後部ストラップ298を受け取るように適合されたスロット227とを含む。示されているように、アーム226は、頬に沿い、患者のこめかみのすぐ前方で患者の耳の上側を通って延び、例えば、使用中にストラップが患者の耳をこすり、または刺激することを防ぐために、それぞれの後部ストラップ298を、患者の耳の上側の患者の耳から離隔した位置に保持するのに適した輪郭に形成される。
【0057】
さらに、アーム226はそれぞれ、使用時にヘッドギアの上ストラップ292に沿って延び、上ストラップ292と係合するように構築される。ストラップに剛性を追加し、使用中に患者の顔の表面でマスクシステムを安定させるため、示されているように、アーム226はそれぞれ上ストラップ292に固定される。さらに、ストラップ292は、使用時に、患者の顔の表面のアーム226に対するパッドを提供する。一実施形態では、例えば接着または縫合によって、上ストラップ292をアーム226に固定することができる。あるいは、アーム226を、それぞれのストラップ292によって包み込み、またはそれぞれのストラップ292に挿入して、アーム226が実質的に見えないようにすることもできる。
【0058】
下ヘッドギアコネクタ225はそれぞれ、短いアーム228を含み、その自由端には、使用時にそれぞれの下ストラップ294を受け取るように適合されたスロット229を有する。示されているように、アーム228は、例えば、使用中にストラップが患者の耳をこすり、または刺激することを防ぐために、それぞれの下ストラップ294を、患者の耳の下側の患者の耳から離隔した位置に保持する適当な向きに配置される。
【0059】
一実施形態では、アームをそれぞれ、マスクシステムの上端に取り付けることができ、アームはそれぞれ、患者の視野または眼よりも下に湾曲し、水平軸から約10度から20度までのある角度で上方へ湾曲する。
【0060】
代替実施形態では、
図36に示すように、下ヘッドギアコネクタ225がそれぞれ、それぞれの下ストラップ294に結合されたヘッドギアクリップ(図示せず)と取外し可能に相互ロックするように適合されたクリップレセプタクル231を含むことができる。一実施形態では、ヘッドギアクリップレセプタクルおよびクリップを、ResMed社のMirage Liberty(商標)マスクのそれらと同様のものとすることができる。例示的なクリップ構成が、参照によってそれぞれその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2007/0144525号および第2006/0283461号に開示されている。
【0061】
2.2.8 上ヘッドギアコネクタのないシュラウド
図37-1から37-3は、本発明の他の実施形態に基づくマスクシステム310を示す。示されているとおり、マスクシステム310は、シュラウド320、フレーム340、クッション344およびエルボ370を含む。
【0062】
図38-1から38-5に最もよく示されているとおり、シュラウド320は、エルボ370を受け取るように構築された開口322と、その両側のヘッドギアコネクタ325とを含む。示した実施形態では、ヘッドギアコネクタ325がそれぞれ、それぞれの下ヘッドギアストラップに結合されたヘッドギアクリップ(図示せず)と取外し可能に相互ロックするように適合されたクリップレセプタクル331を含む。
【0063】
フレーム340は、シュラウド320、例えばフレーム340のカラーと係合するように適合された開口322から延びるフィンガおよびタブ345に、取外し可能に取り付けられる。
【0064】
フレーム340は、その上部の両側に、上ヘッドギアコネクタ324を含む。ヘッドギアコネクタ324はそれぞれ、それぞれの上ヘッドギアストラップに結合されたヘッドギアクリップ(図示せず)と取外し可能に相互ロックするように適合されたクリップリテーナ333を含む。
【0065】
図39-1から39-6は、同様の参照符号によって指示されたマスクシステム310の代替形態を示す。示されているとおり、フレーム340は上ヘッドギアコネクタを持たず、クリップレセプタクル331はそれぞれ、代替構成(例えばクリップ上のスナップばめタブのための穴)を含む。さらに、
図39-1から39-6のシュラウド320は、それぞれの補助ポート343を巻くように構築された支持バー329を含み、
図37-1から38-5のシュラウド320は、それぞれの補助ポート343の前に延びる支持バー329を含む。
【0066】
2.3 ヘッドギア
患者の顔の表面の所望の位置にマスクシステム1010を維持するため、シュラウド1020のヘッドギアコネクタ1024、1025に、ヘッドギアを取外し可能に取り付けることができる。例えば
図1Bを参照されたい。
【0067】
図9に示すように、ヘッドギア1090は、一対の上および下ストラップ1092、1094を含み、上ストラップ1092は、それぞれの上ヘッドギアコネクタ1024に取外し可能に取り付けられ、下ストラップ1094は、それぞれの下ヘッドギアコネクタ1025に取外し可能に取り付けられる。それぞれのストラップの自由端は、ストラップの残りの部分と係合してストラップを所定の位置に固定するように構築されたVelcro(登録商標)タブを含むことができる。このようなVelcro(登録商標)による取付けはさらに、ストラップの長さを調整することを可能にする。しかしながら、上および下ヘッドギアストラップは、他の適当な方法、例えば調整可能なラダーロック(ladder-lock)構成などでシュラウドに固定することもできる。
【0068】
上ストラップ1092は、患者の頭冠において、使用時に患者の頭の上を通るように適合された(例えばバックルによって互いに接続された)頂部ストラップ1096と、使用時に患者の頭の後ろを通るように適合された後部ストラップ1098とに分かれる。一実施形態では、ヘッドギア1090が、自立するように構築される。
【0069】
図9では、頂部ストラップ1096が、バックルによって互いに接続されるように適合されている。代替実施形態では、
図27~30に示すように、ヘッドギア90が、上および下ストラップ92、94、頂部ストラップ96および後部ストラップ98を含み、頂部ストラップ96を互いに一体とすることができる。
【0070】
上ストラップ1092は、調整可能な額サポートがマスクシステムの位置を変更する、すなわちマスクシステムの頂部を患者の鼻梁に近づけまたは患者の鼻梁から遠ざけるのと同様の方法で、マスクの位置を調整するように設計される。
【0071】
額サポートがないため、このヘッドギアは、マスクフレーム1040の頂部および底部にシュラウド1020を介して接続され、眼および耳を避けるため、上ヘッドギアコネクタのアーム1026はある角度で延びる。こうすると、マスクシステムが患者の顔の表面でずり上がる傾向を有するように、ヘッドギアベクトルV1とV2(
図1および1B参照)が整列する(すなわち、上ヘッドギアコネクタが上ヘッドギアベクトルを水平から上方へ向け、下ヘッドギアコネクタが下ヘッドギアベクトルを概ね水平に向ける)。患者の頭冠において上ヘッドギアストラップ1092を分割する(すなわち頂部および後部ストラップ1096、1098)ことによって、上ヘッドギアベクトルが、マスクシステムが患者の顔の表面でずり上がることを防ぐように再整列される。
【0072】
2.3.1 ヘッドギアの調整
図35-1から35-3は、患者の顔の表面の所望の位置にマスクシステムを維持するためにシュラウド220のヘッドギアコネクタ224、225に取り付けられたヘッドギア290を示す。
【0073】
示した実施形態では、ヘッドギア290が、一対の上ないし頂部ストラップ292、一対の下ないし底部ストラップ294、および一対の後部ストラップ298を含む。使用時、上ストラップ292は、それぞれの上コネクタないしアーム226に固定され、下ストラップ294は、スロット229/クリップ構成231を介してそれぞれの下コネクタに取外し可能に取り付けられ、後部ストラップ298は、スロット227を介してそれぞれの上コネクタに取外し可能に取り付けられる。上ストラップ292は、患者の頭の上を通り、例えばヘッドギアバックルまたは調整可能なラダーロック構成299を介して互いに結合するように適合された上ストラップ部分を含むことができる。示した実施形態では、下ストラップ294と後部ストラップ298とが単一片として形成される。
【0074】
このヘッドギア構成は、3つの位置での調整、すなわちヘッドギアバックル299での上ストラップ292の調整、スロット229/クリップ231接続での下ストラップ294の調整、およびスロット227接続での後部ストラップ298の調整を可能にする。
【0075】
示されているように、それぞれのストラップの自由端は、ストラップの残りの部分と係合してストラップを所定の位置に取外し可能に固定するように構築された面ファスナタブ295(例えばVelcro(登録商標))を含むことができる。このような面ファスナ取付けはさらに、ストラップの長さの調整を容易にする。
【0076】
示した実施形態では、下ストラップ294および後部ストラップ298が結合し、使用時に患者の頭の後ろを通るように適合される(例えば
図35-3参照)。示されているように、下ストラップ294は、角度α(例えばResMed社のMirage Libertyマスクの底部ストラップと同様の角度)で結合して、ストラップが患者の首を刺激することを防ぎ、かつ/または使用中に患者の首が動くことによってストラップが移動することを防ぐ。
【0077】
一実施形態では、ヘッドギアを、ResMed社のMirage Libertyマスクのヘッドギアと同様のものとすることができるが、頂部ストラップは変更されており、リジダイザシステムが追加されている。頂部ストラップは、側面に沿ってリジダイザが延びるResMed社のSwift型ヘッドギアと同様のものとすることができる。
【0078】
2.3.2 代替ヘッドギア材料
図43-1から43-4は、本発明の他の実施形態に基づくマスク615およびヘッドギア690を含むマスクシステム610を示す。示した実施形態では、ヘッドギア690が、一部のストラップがシリコーンから製作され、一部のストラップがBreath-O-Prene(商標)材料から製作されたストラップの構成を含む。しかしながら、ストラップが完全にシリコーンから製作され、または完全にBreath-O-Prene(商標)から製作されるように、ヘッドギアを製作することもできる。
【0079】
示されているように、このヘッドギアの下ストラップ部分692は、Breath-O-Prene(商標)から製作され、頬に沿い、患者の後頭部を巻いて延びる。このヘッドギアの上ストラップ部分694は、シリコーンから製作され、上頬に沿って延び、患者の耳の上側を通るサイドストラップ694(1)と、患者の頭の上を横切って延びる頂部ストラップ694(2)と、患者の頭の後ろを横切って延び、下ストラップ部分692に接続する(
図43-4参照)後部ストラップ694(3)と、それぞれのサイドストラップ694(1)から患者の耳の前に延び、下ストラップ部分692に接続する接続部分694(4)とを含む。
【0080】
ヘッドギアストラップは、適当な任意の方法でマスクに接続することができる。例えば、示した実施形態では、下ストラップ部分692が、ヘッドギアクリップ配置によってマスクに接続され、上ストラップ部分694が、両端にバックル部分を有する細長いバックル695を使用してマスクに接続される。
【0081】
一実施形態では、ヘッドギアによってマスクに加えられる力ベクトルが、(例えば
図43-2の矢印によって示されているように)マスクに対しては実質的に垂直、互いに対しては実質的に平行になるように、ヘッドギアストラップが構成される。この構成は、ヘッドギアがマスクを患者の顔に直接に押し付けるため、マスクの密封を強化する。
【0082】
3. シール
マスクシステムのシール(すなわちクッション)は、フルフェース型インタフェースからの額サポートの排除に対応するように構築される。
【0083】
3.1 クッション
図1~5および7~8に示すように、クッション1060は、フレーム1040とインタフェースし、使用時に患者の鼻および口との間にシールを形成するように構築される。示した実施形態では、クッションが、概ね患者の顔の鼻梁、頬および下唇/頤領域に沿って患者の顔と係合するように適合されたフルフェースクッションである。しかしながら、他のクッションインタフェース、例えば鼻インタフェースも可能である。
【0084】
額サポートがないことで一部の安定性が失われることにより生じる動きをより多く吸収するため、クッション1060は、(例えば特に鼻梁領域において)よりしなやかまたは柔軟であるように構築される。
【0085】
クッション1060は、例えばシリコーンなどの軟らかく柔軟な生体適合材料から製作される。示した実施形態では、クッション1060が、
図8に示すように膜1064の下にアンダークッション(undercushion)ないし支持壁1062を備える2重壁構成を含む。
【0086】
膜1064は一般に、アンダークッション1062よりも軟らかく、剛性が小さく、使用時に、患者の顔に対するシールを提供する。額サポートがないことによるより小さなマスク安定性を考慮して、患者の顔に対するより幅広い密着範囲およびより良好な一致(conformance)を可能にするため、膜は、比較的に薄くすることができる。アンダークッションは、膜を全般的に支持するように構築され、マスクシステムが取り付けられ、ヘッドギアを使用してしっかりと締められたときに、膜が潰れることを防ぐ。
【0087】
膜1064は全体に凹形であり、呼吸室に向かって内側へ湾曲する。アンダークッション1062も内側へ湾曲するが、膜よりも全体に短く、厚く、硬い。
【0088】
一実施形態では、患者の鼻梁および/または頤領域のアンダークッション1062がより低いか、または全くなく、アンダークッション1062の先端から基部までの高さは約0mmから30mmとすることができる。膜は、所与の断面においてアンダークッション1062よりも全体に長く、約1mmから40mmとすることができる。例えば、
図8Bは、クッションの鼻梁および頤領域にアンダークッションがない膜1064を示すために、これらの領域を通る線で切った断面を示す。
【0089】
一実施形態では、マスクシステムの選択された領域、例えばマスクシステムを患者の顔から押し離す領域にだけ、アンダークッション1062を提供することができる。患者の顔のある所定の領域では、ヘッドギアを締めることによって圧力を加えることを避けることが好ましい。示した実施形態では、患者の鼻梁および頤領域がアンダークッション1062を含まない。これらの領域では、使用中にマスクシステムが加える力ベクトルをより均一に分布させるため、患者の頬を押圧するクッションの側面に沿った部分にだけ、アンダークッションが提供される(例えば
図7参照)。一実施形態では、頬領域に沿った部分のアンダークッションの剛性を比較的に高くすることができる。これは、これらの接触点がアンカー点の働きをしている、すなわち、これらの接触点が、効果的なシールを提供する適当な位置にマスクシステムを保持するためである。
【0090】
患者の鼻梁および頤を避けるこの構成は、患者の顔の敏感な領域または相対的に高い接触圧を受ける突出した領域に加わる圧力または力を低減させることにより、患者が感じるマスクシステムの快適性を増大させることができる。さらに、この構成は、マスクシステムを調整するときに、クッションが患者の鼻梁を挟みつけることを防ぐ。さらに、アンダークッションが存在しないことにより、この実施形態のクッションの鼻梁および頤の領域を、著しく軟らかくすることができる。
【0091】
一実施形態では、より軽い支持を必要とする前述の顔の所定の領域において可変の軟らかさを生み出すため、アンダークッションが、可変の高さ、剛性および/または厚さを含むことができる。
【0092】
示した実施形態では、クッションが目障りになりにくくなるように、患者の鼻梁および眼窩のより下方で密封するように、クッションを構築することができる。
【0093】
一実施形態では、つや出し加工される患者に接する面を除き、クッションを全体につや消し加工することができる。一実施形態では、クッションのつや消しが、顔と膜の間および/または膜とアンダークッションの間の拘束(restriction)を低減させることができる。つや消しは、つや消し加工されていないシリコーンと同じ拘束を引き起こすことなく、膜およびアンダークッションの表面を互いの表面に対して滑らせることを可能にする。この特徴はさらに、膜構成要素とアンダークッション構成要素とのくっつきを防止または限定することができ、さらに、一般に、クッションの全体的な快適性および密封特性を向上させることができる。さらに、クッションのつや消しは製造を容易にし、製造コストの低減につながることがある。クッションは、つや消しシリコーンまたは他の適当な材料から製作することができる。
【0094】
3.2 鼻梁上においてより低いクッション
図31-1から31-5は、本発明の一実施形態に基づく(例えばシリコーン製の)クッション44の各種図を示す。示されているとおり、クッション44は、フレームに提供された基部壁44(1)と、基部壁44(1)から遠ざかるように延びるアンダークッション層(UCL)44(2)と、UCL44(2)を実質的に覆い、密封構造を提供するように提供された膜44(3)とを含む。示した実施形態では、使用時にマスクが目障りになりにくくなるように、また「視線」を改善するために、クッション44が、鼻梁上により低く着座するように構築される。
【0095】
さらに、
図31-3および31-5に最もよく示されているように、鼻梁領域のUCL44(2)の設計は、使用時に、鼻梁を横切る安定性が向上するように構築される。
図31-1および31-3に示すように、下唇/頤領域にUCLは提供されない。しかしながら、UCLの他の配置、例えば全周にUCLを配置することも可能である。
【0096】
図31-1から31-5に示すクッションの一実施形態では、D1を約15~20mm、例えば18.2mm、D2を約53~59mm、例えば55.8mm、D3を約88~93mm、例えば90mm、D4を約78~83mm、例えば81.1mm、D5を約58~63mm、例えば60mm、D6を約95~100mm、例えば98.1mm、D7を約57~62mm、例えば59.7mm、D8を約77~82mm、例えば79mm、D9を約88~93mm、例えば90.7mm、D10を約30~35mm、例えば33.1mm、D11を約14~19mm、例えば16.4mm、D12を約8~13mm、例えば9.6mm、D13を約0.3~0.5mm、例えば0.35mm、D14を約0.4~0.6mm、例えば0.5mm、D15を約0.3~0.5mm、例えば0.4mmとすることができる。特定の寸法および範囲を示したが、これらの寸法および範囲は単なる例であり、用途に応じた他の寸法および範囲も可能であることを理解されたい。例えば、用途に応じて、これらの例示的な寸法を、10~20%変更し、あるいはそれよりも大幅にまたはそれよりも小幅に変更することができる。
【0097】
3.3 鼻梁上においてより高いクッション
図35-1および35-2は、概ね患者の顔の鼻梁、頬および下唇/頤領域に沿って患者の顔と係合するように適合されたフルフェースクッション244を示す。この実施形態では、密封性および快適性のため(例えば上述のクッション44に比べて)鼻梁上のクッションがより高く配置されるように、クッション244が構築される。クッション244はさらに、人体計測学(anthropometrics)に関してより好適であることがある。すなわち、このクッションはより多くの人に適合する。
【0098】
一実施形態では、使用中のクッションの柔軟性を高めるため、クッション244が、後述する蛇腹セクション(concertina section)を(例えば鼻梁領域に)含むことができる。
【0099】
3.4 蛇腹セクション
図30および33に最もよく示されているように、クッションおよび/またはフレームの鼻梁領域に、蛇腹セクション50を形成することができる。示されているとおり、蛇腹セクション50は、より高度の柔軟性を提供し、または動きを増大させる1つまたは複数のひだ52を有する蛇腹構造を含む。すなわち、蛇腹セクション50は、使用中に、患者の顔のより敏感な領域であるクッション/フレームの鼻梁領域に、より高いレベルの適合性または柔軟性を提供する。さらに、蛇腹セクション50は、不利な影響をシールに及ぼすことなく動きを増大させる。
【0100】
図32-1から32-3は、1つまたは複数のひだ52を有する本発明の一実施形態に基づく蛇腹セクション50(クッション/フレームの残りの部分からは分離されている)の各種図を示す。
図32-3に最もよく示されているように、ひだは、蛇腹効果を最適化するため、例えば不利な影響をシールに及ぼすことなく十分な程度の動きを提供するために、互いに対してさまざまな長さ、深さおよび/または輪郭を有することができる。例えば、
図32-3に示すように、ひだ52はそれぞれ、第1の側壁52(1)と、隣接する側壁52(1)と相互接続した第2の側壁52(2)とを含む。
【0101】
示した実施形態では、第1の側壁52(1)および/または第2の側壁52(2)を、患者の顔から離れるにつれて次第に長くすることができる。例えば、患者の顔に隣接する第1の側壁52(1)および/または第2の側壁52(2)、あるいは側壁52(1)と52(2)の組合せは、隣接する側壁52(1)および/または52(2)よりも長い、いくつかのケースでは隣接する側壁52(1)および/または52(2)よりもかなり長い長さを有することができる(例えば、一方の側壁を、もう一方の側壁よりも少なくとも25%大きくすることができ、もう一方の側壁の最大5倍、例えば1倍、2倍、3倍または4倍とすることができる)。
【0102】
所定の順序で動きまたは折り畳まれるように、ひだを構築し、構成することができ、例えば、1つのひだが潰れた後に隣接するひだが潰れる逐次的ないし段階的な方法で折り畳まれるように、ひだを構築することができる。例えば、力が加わると、患者の顔から遠い方のひだよりも前に、患者の顔に近い方のひだが折り畳まれ、または潰れる。さらに、さまざまな程度に折り畳まれまたは潰れるようにひだを構築し、構成することができ、例えば、あるひだが、他のひだよりも多く折り畳まれ、または潰れるようにすることができる。
【0103】
図32-1から32-3に示す蛇腹セクションの一実施形態では、D1を約50~60mm、例えば55.7mm、D2を約5~15mm、例えば9.7mm、D3を約0.3~0.5mm、例えば0.4mmとすることができる。特定の寸法および範囲を示したが、これらの寸法および範囲は単なる例であり、用途に応じた他の寸法および範囲も可能であることを理解されたい。例えば、用途に応じて、これらの例示的な寸法を、10~20%変更し、あるいはそれよりも大幅にまたはそれよりも小幅に変更することができる。
【0104】
例えば患者快適性に従って、蛇腹セクション50を、クッションおよび/またはフレームの他の領域に配置することもできることを理解されたい。例えば、クッションおよび/またはフレームの全周に蛇腹セクション50を配置することができ、あるいは、クッションおよび/またはフレームの選択した領域に蛇腹セクション50を配置することができる。
【0105】
さらに、蛇腹セクション50の柔軟性を変更することができ、クッションおよび/またはフレームの異なる領域における蛇腹セクション50の柔軟性を、例えば患者快適性に従って変更することができる。例えば、クッションおよび/またはフレームは、比較的に高い柔軟性を有する蛇腹セクションを鼻梁領域に含み、比較的に低い柔軟性を有する蛇腹セクションを下唇/頤領域に含むことができる。蛇腹セクション50の柔軟性は、ひだ52の数(例えば1~5個)、ひだ52の壁の長さおよび厚さ、ひだ52の深さなどを変更することによって変化させることができる。
【0106】
前述のとおり、クッションとフレームを、異なる材料/剛性を有する2つの部分から共成形することができ、または同じ材料から一体に形成することができる。両方の実施形態で、フレームおよび/またはクッションに蛇腹セクションを配置することができる。
【0107】
図27~30では、クッション44とフレーム40が2つの部分から共成形されており、フレーム40に蛇腹セクション50が配置されている。それぞれの部分の機能を最適化するため、フレーム40とクッション44は異なる剛性を含む。例えば、一方の部分(すなわちクッション44)を、密封効果を最適化するために比較的に軟らかいしなやかな材料から製作し、もう一方の部分(すなわちフレーム40)を、クッションに対する十分な支持を提供し、同時に蛇腹効果を最適化するのに十分な程度の動きを可能にするために、より硬い材料から製作することができる。フレームはクッションよりも硬いが、蛇腹効果を可能にするため、フレームを柔軟な材料から製作することができる。
【0108】
図33では、フレーム40とクッション44が単一片として一体に形成されており、フレーム40に蛇腹セクション50が配置されている。密封効果および蛇腹効果を最適化するため、材料特性および/または寸法を選択的に変更することができる。
【0109】
図27~30と
図33の両方の実施形態に関して、蛇腹セクションをあるいは、クッション44に配置し、またはフレーム40とクッション44の両方に配置することもできることを理解されたい。例えば、
図34は、クッション44と一体に形成された鼻梁領域の蛇腹セクション50を示す。
【0110】
4. エルボ
図3に示すように、エルボ1070(例えばポリカーボネート、ポリプロピレンなどの比較的に硬い材料から製作される)は、第1の端部1074(1)および第2の端部1074(2)を含む。第1の端部1074(1)は、フレーム1040とインタフェースし、または他の方法でフレーム1040に接続するように構築されたインタフェース構造を提供する。第2の端部1074(2)は、空気送達管に接続されるように適合される。
【0111】
4.1 エルボとフレームの接続
フレーム1040は、患者の顔に対する機能位置にエルボ1070を維持するように構築される。すなわち、フレームは、エルボを担持、支持する表面の役目を果たす。フレームとエルボは、摩擦ばめ、スナップばめ、機械式相互ロックまたは他の適当な取付け機構によって接続することができる、しかしながら、フレームにエルボを取り付ける他の適当な構成も可能である。
【0112】
示した実施形態では、エルボ1070が、フレーム1040の開口1032と例えばスナップばめによってリリース可能に係合するように適合された一連のタング(tang)1075を含む。タング1075は、エルボを所定の位置に(好ましくは例えば比較的に気密性の接続で)保持し、エルボがフレームに対して回転または旋回することを可能にする。
【0113】
すなわち、エルボは、使用中にエルボをフレームに対して例えば360°回転させることができるように、フレームに回転可能に取り付けられる。この構成は、使用中に、例えば患者の好みに応じて、エルボをさまざまな方向に向けることを可能にする。例えば、使用中に空気送達管を患者の頭の下に誘導するため、エルボがマスクから概ね下方へ延びるように、エルボを第1の方向に向けることができる。あるいは、使用中に空気送達管を患者の頭の上に誘導するため、エルボがマスクから上方へ延びるように、エルボを回転させ、第2の方向に向けることもできる。一実施形態では、使用中のフレームとエルボの間のきしみを防ぎ、または少なくとも低減させるため、フレームとエルボを異なる材料から製作することができる。
【0114】
エルボの第2の端部は、空気送達管に接続されるように適合されたスイベル管継手に提供することができる。例えば、
図27~30は、エルボ70の第2の端部74(2)に提供されたスイベル管継手80を示す。示した実施形態では、スイベル管継手80が、エルボと空気送達管とを相互接続する短い管82(例えば伸縮可能な管)に提供されている。一実施形態では、スイベル管継手80と短い管82を単一片として一体に形成することができる。
【0115】
4.2 AAV
エルボ1070は、窒息防止弁(AAV)を受け取るスロット1081と、(加圧されたガスの存在の有無に応じて)AAVのフラップ部分により選択的に閉じられるポート1079と、AAVを例えばスナップばめによって取り付けるための構造とを含む。
【0116】
図27~30は、エルボ70のポート79を選択的に閉じるフラップ部分86を含む例示的なAAV85を示す。この実施形態では、フラップ部分86に、AAV85をエルボ70に取り付けるためのクリップ部分88が提供される。示した実施形態では、単一片からなる一体の構成要素を形成するため、フラップ部分86とクリップ部分88が互いに共成形される。しかしながら、他の適当な方法、例えば機械式相互ロックで、フラップ部分86とクリップ部分88を互いに固定することもできる。
【0117】
一実施形態では、フラップ部分86を、比較的に軟らかいエラストマー材料(例えばシリコーン)から製作し、クリップ部分88を、エルボ70とインタフェースするために、より硬い材料(例えば硬質プラスチック)から製作することができる。
【0118】
AAV85のクリップ部分88は、例えばスナップばめによってエルボ70と取外し可能に相互ロックするための構造を含む。例えば、クリップ部分88は、エルボに形成されたそれぞれの凹み/突起と相互ロックするように構築されたタブを含むことができる。
【0119】
図35-1および35-2は、(加圧されたガスの存在の有無に応じて)AAV285のフラップ部分286によって選択的に閉じられるポート279を含むエルボ270を示す。また、
図37-1から37-3は、ポート379と、AAVを保持するスロット381とを含むエルボ370を示す。
【0120】
AAVの代替実施形態が、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるPCT出願第PCT/AU2006/000031号に開示されている。
【0121】
4.3 大径の端部
図27~30に示すように、エルボ70の第1の端部74(1)は、よりすっきりした/より滑らかなラインの可能性を与え、それによってマスク全体の見栄えをよくし、マスクが目障りになりにくくなるようにするのに貢献する、比較的に大きな直径を有することができる。さらに、この比較的に大径のエルボは、患者の鼻がエルボの空洞内へ突き出す可能性を提供し、それによりマスクが患者の顔により近づく(すなわち目障りになりにくくする)こと、マスクの重心が患者の顔に近づくことによるより小さいモーメント、および/または視線の改善を可能にする。
【0122】
5. モジュール設計
このマスクシステムは、さまざまな型式および/またはサイズのフレーム(フレームモジュールとも呼ぶ)、シュラウド(シュラウドモジュールとも呼ぶ)、クッション(クッションモジュールとも呼ぶ)および/またはエルボ(エルボモジュールとも呼ぶ)を交換または混合し、互いに適合させて、よりカスタマイズされたマスクシステムを患者に提供することを可能にするモジュール設計を提供する。さらに、このような設計は、例えば治療要件の変化、摩損または破損などに際して、選択したモジュールを容易に取り替えることを可能にする。
【0123】
一実施形態では、マスクシステムが、例えば(例えば患者の好みおよび/または密着性に応じた)異なる型式および/またはサイズのクッションをそれぞれが有するいくつかの異なるクッションを備えることができる。例えば、それぞれのクッションの顔に接しない側が、フレームとインタフェースする共通構成ないし汎用構成を含み、そのクッションの顔に接する側が、異なる型式および/またはサイズを含むことができる。これは、複数のクッションのうちの1つのクッションにフレームを選択的に(例えば取外し可能に)結合することを可能にするモジュール構成を提供する。これらの異なるクッションは例えば、異なるサイズ(例えば小、中および大)のクッションを含み、異なるクッション構造を含むことができる。
【0124】
一実施形態では、マスクシステムが、異なるシュラウド、例えば異なる型式および/またはサイズを有するシュラウド(例えばヘッドギアコネクタの構成/型式が異なるシュラウド、額サポートを有するシュラウド、異なるヘッドギアベクトルを有するシュラウドなど)を備えることができる。
【0125】
一実施形態では、マスクシステムが、異なるフレーム、例えば異なる型式および/またはサイズを有するフレーム(例えば異なるベント構成を有するフレーム、小、中および大サイズのフレームなど)を備えることができる。
【0126】
一実施形態では、マスクシステムが、いくつかの異なるエルボ、例えばそれぞれがベント構成を有し、AAV(口鼻マスクの場合)を有し、ならびに/あるいは異なる型式および/またはサイズを有するエルボを備えることができる。
図27~30に示す実施形態では、ベント構成76およびAAV85が、エルボ70に取外し可能に取り付けることができるように構築される。これは、複数のベント構成および/またはAAVのうちの1つにエルボを選択的に、および取外し可能に結合することを可能にするモジュール構成を提供する。これはさらに、ベント構成およびAAVを、例えばこれらが破損した場合に、容易に取り替えることを可能にする。
【0127】
5.1 シュラウドとフレームの接続
シュラウドは、フレームの外面に、好ましくは例えばフレーム上への一致した締りばめによって取り付けられる。
【0128】
5.1.1 上保持機構
図1~5に示す実施形態では、フレームの上端に位置する上保持機構ないしインタフェース構造1048によって、シュラウド1020がフレーム1040に接続される。
【0129】
図2から5に示すように、上保持機構1048は、フレーム1040上にシュラウド1020を固定し、特にヘッドギアの力による意図しない分解を防ぐように構築された2つのテーパロック(taper lock)の形態を有する。この実施形態では、フレームの両側が、シュラウド1020の裏面の(その長さに沿ってテーパを有する)それぞれのタング突起を受け取るように適合された雌型スロット1055を含む。このテーパの付いた突起は、例えば摩擦ばめによって、それぞれの雌型スロットと係合する。
【0130】
図10から19-4は、テーパロックの一実施形態をより明瞭に示す、マスクシステム1110の他の実施形態を示す。
図10から17は、マスクシステム1110のフレーム1140、シュラウド1120およびエルボ1170の各種図を示す。
【0131】
図11から13に最もよく示されているように、フレーム1140の上端の両側は、第1の雌型スロット1155(1)を提供するプラットホーム1154を含む。さらに、プラットホーム1154とフレーム1140の外面との間の空間が、第2の雌型スロット1155(2)を画定する。
図17に最もよく示されているように、シュラウド1120の上端の両側は、シュラウド1120の裏面にタング突起1156を含む。タング突起1156は、第1のタング1156(1)と、第1のタング1156(1)に対して概ね直角に延びる第2のタング1156(2)とを含む。
図18-1および18-2に示すように、タングはそれぞれ、その長さに沿ってテーパを有する。すなわちその自由端に向かってより薄くなる。
【0132】
図18-1および18-2ならびに19-1から19-4は、シュラウド1120のフレーム1140への取付けを順番に示す。示されているとおり、それぞれのタング突起1156のタング1156(1)、1156(2)は、それぞれのスロット1155(1)、1155(2)と、例えば摩擦ばめによって係合するように構築される。
図19-1から19-4に最もよく示されているように、スロット1155(2)はそれぞれ、タング1156(2)をスロット1155(2)内へ誘導し、組立てを助けるためにその長さに沿って湾曲する(すなわち垂直および水平方向に広がる)リードイン(lead-in)ないし案内1157を含む。
図18-2および19-4は、それぞれのスロット1155(1)、1155(2)に完全に挿入されたときのタング1156(1)、1156(2)を示す。
【0133】
代替実施形態では、
図20に示すように、上保持機構がクリップ型構成を含むことができる。示されているように、フレーム1240の上端の両側が、ショルダ1255(1)およびテーパの付いた突起1255(2)を提供する。シュラウド1220の上端の両側は、シュラウド1220の裏面に、第1のタング1256(1)および第2のタング1256(2)を含む。使用時、第1のタング1256(1)はそれぞれ、それぞれのショルダ1255(1)と係合し、第2のタング1256(2)は、テーパの付いた突起1255(2)と、例えばスナップばめによって係合し、またはクリップ留めされる。
【0134】
5.1.2 下保持機構
一実施形態では、フレームおよびシュラウドの下端に位置する下保持機構によっても、シュラウドをフレームに接続することができる。例えば、フレームの開口と相互ロックし、または他の方法で係合するように構築された保持機構を、シュラウドの開口に提供することができる。
【0135】
例えば、
図14、15、17および21に示すように、シュラウド1120の開口1132は、フレームの開口1146を取り囲むカラー1149と、スナップばめによって係合するように適合された構造を含むことができる。示されているように、シュラウド1120は、開口1132から延びるスナップフィンガ1145(1)(例えば3つのスナップフィンガ)およびサンドイッチタブ1145(2)(例えば3つのサンドイッチタブ)を含む。スナップフィンガとサンドイッチタブは、開口の周囲に間隔を置いて交互に配置される。
【0136】
使用時、スナップフィンガ1145(1)は(例えば0.5mm)弾性偏向し、カラー1149に形成されたそれぞれの部分環状突起1149(1)と係合して(例えば
図22および23参照)、例えば組立ておよび分解を容易にするフレーム1140に対するシュラウド1120の(例えば許容応力での)最初の保持を提供する。さらに、スナップフィンガ1145(1)がそれぞれの突起1149(1)と係合すると、サンドイッチタブ1145(2)が、カラー1149の端に形成されたそれぞれの凹み1149(2)に受け取られる(例えば
図22および23参照)。エルボ1170をフレーム1140と係合させると(例えば
図23参照)、エルボ1170の環状突起1171がサンドイッチタブ1145(2)の反対側の面に配置され、その結果、サンドイッチタブ1145(2)はカラー1149とエルボ1170の間に挟まれる。このように、サンドイッチタブはエルボの保持力を利用して、使用中、シュラウドをフレーム上に保持する。エルボ1170は、フレーム1140の縁の下に延びてエルボをフレームに保持するように適合された遠位側ショルダ1173を有する。スナップフィンガ1145(1)は、エルボとは無関係に、シュラウドがフレームに接続することを可能にする。
【0137】
代替実施形態では、
図24に示すように、シュラウドの下部を、カラーの下方の単一の点にクリップ留めされるように構築することができる。示されているように、シュラウド1320の下端は、フレーム1340のカラー1349の下方に間隔を置いて配置された突起1349(1)と例えばスナップばめによって係合し、またはクリップ留めされるスナップフィンガ1345を含む。この実施形態では、突起1349(1)が、補助ポートを囲うカバーから延びる。この構成は、フレーム上のカラーの成形を容易にすることがあり、例えば、均一な厚さのカラーは成形の歪みを防ぐ。さらに、カラーから突起1149(1)/凹み1449(2)を除去することによって、漏れの危険が低減することがある。
【0138】
5.1.3 指グリップ
一実施形態では、フレーム1040の外面が、シュラウド1020の下で露出するように配置された指グリップないし凹部1097を含むことができる。指グリップは、フレームおよび/またはシュラウドを把持する改良された能力を患者に与えるように適合され、この能力は、フレームからシュラウドを分離するときに特に有用である。
【0139】
5.1.4 代替インタフェース構造
代替実施形態では、
図27~30に示すように、シュラウド20が、フレーム40およびエルボ70を保持するように構築された環状または部分環状保持部分22を提供する開口構造を含む。示されているように、環状保持部分22は、フレーム40の外周に沿ったインタフェース構造48(例えば
図28参照)とインタフェースし、または他の方法でインタフェース構造48に取外し可能に接続するように適合されたインタフェース構造23を、内縁に沿って含む。示した実施形態では、インタフェース構造23が、フレーム40の両側に配置されたそれぞれのロック構造48(1)と相互ロックするように適合された対向するフランジ23(1)の形態を有する。しかしながら、フレーム40をシュラウド20に取り付ける他の適当な構成、例えば摩擦ばめ、スナップばめ、機械式相互ロックまたは他の適当な取付け機構も可能である。
【0140】
例えば、シュラウド20、例えばピボット回転するように取り付けられたシュラウド20に対するさまざまな角度位置に、フレーム40をロックすることができるある方法で、フレーム40をシュラウド20に結合することもできる。
【0141】
5.1.5 代替上ヘッドギアコネクタ
図40-1から40-7は、本発明の他の実施形態に基づくフレームおよびクリップ留め上ヘッドギアコネクタないしリジダイザを示す。
【0142】
フレーム442は、シュラウドおよび/またはエルボと係合するように適合された開口449を含む。開口449の周囲および下には、ガスウォシュアウト用のu字形スロット402があり、開口449の両側には補助ポート443がある。
【0143】
この実施形態では、フレーム442の上部の両側がそれぞれ保持部材433を含み、フレーム442の上部の中間部分が、上ヘッドギアコネクタないしリジダイザ424を保持するように構築され、構成された保持溝435を含む。
【0144】
図40-6および40-7に最もよく示されているとおり、上ヘッドギアコネクタ424は、一対のワイヤ部材428によって結合された一対の細長いアームないしリジダイザ426を含む。リジダイザ426はそれぞれその自由端に、使用時にそれぞれのヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロット427を含む。
【0145】
上ヘッドギアコネクタ424は、使用時にフレーム442上にクリップ留めされるように適合される(例えば
図40-1および40-2参照)。具体的には、ワイヤ部材428の中間部分が、フレーム442のそれぞれの溝435の中に受け取られ、ワイヤ部材428の端部が、それぞれの保持部材433を貫いて延び、リジダイザ426が、それぞれの保持部材433と相互ロックするショルダを提供する。それぞれのワイヤを受け取るように適合された溝433(1)を示すため、
図40-4および40-5に保持部材433の上部を示す。示されているように、溝433(1)の端は、テーパの付いた側壁433(2)を含み、保持部材433と相互ロック係合するようにリジダイザ426を配置するため、背面433(3)に向かって落ち込む。
【0146】
図41-1から41-12は、本発明の他の実施形態に基づくフレームの上部およびクリップ留め上ヘッドギアコネクタないしリジダイザを示す。
【0147】
示されているように、フレーム542の上部は、上ヘッドギアコネクタないしリジダイザ524を保持するように構築され、構成された、フレーム542の両側の保持部材533と、フレーム542の中間部分に沿った保持溝535とを含む。
【0148】
図41-5および41-12に最もよく示されているとおり、上ヘッドギアコネクタ524は、接続部分528によって結合された一対の細長いアームないしリジダイザ526を含む。リジダイザ526はそれぞれその自由端に、使用時にそれぞれのヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロット527を含む。上ヘッドギアコネクタ524はさらに、接続部分528の両側にクリップ構造525を含む。
【0149】
上ヘッドギアコネクタ524は、使用時にフレーム542上にクリップ留めされるように適合される(例えば
図41-1および41-2参照)。具体的には、接続部分528が、フレーム542の溝535の中に受け取られ、クリップ構造525が、それぞれの保持部材533とリリース可能に相互ロックする。
図41-3および41-4に最もよく示されているとおり、保持部材533はそれぞれクロスバーを提供し、クリップ構造525はそれぞれ、クロスバーを貫通して弾性偏向し、クロスバーとリリース可能に相互ロックするショルダを提供するように適合されたv字形の外形を提供する。
【0150】
図42-1から42-7は、上ヘッドギアコネクタをフレームと係合させる代替実施形態を示す。示されているとおり、保持部材533はそれぞれ開端型のクロスバーを提供し、クリップ構造525はそれぞれ細長いアームを提供する。この実施形態では、クリップ構造525が、クロスバーを貫通して延び、クロスバーと例えば摩擦ばめによってリリース可能に係合することを可能にするため、クロスバーが、弾性偏向するように構築される。さらに、
図42-1から42-7の上ヘッドギアコネクタ524は、フレーム542に形成されたタブ549(
図42-1および42-2参照)と相互ロックするように適合されたc字形クリップ構造529を含む。
【0151】
5.1.6 グロメット取付け
図44および45は、グロメット(grommet)によってシュラウドがフレームに取り付けられる代替マスク構成を示す。
【0152】
例えば、
図44に示すように、フレーム740が、(例えばゴム製の)グロメット745を含み、シュラウド720が、グロメット745を受け取ってシュラウド720をフレーム740に固定するように適合された開口725を含む。示されているように、シュラウド720は、細長い上および下アーム724、726を含み、アーム724、726はそれぞれその自由端に、使用時にそれぞれのヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロット727を含む。
【0153】
図45は、単一のアームを含む代替シュラウド820を示し、この単一のアームはその両端に、使用時にそれぞれのヘッドギアストラップを受け取るように適合されたスロット827を含む。シュラウド820はさらに、フレーム740のグロメット745を受け取るように適合された細長い内側スロット825を提供する。単一の固定位置を提供するシュラウド720とは対照的に、細長いスロット825は、スロット825の全長に沿った複数の位置のうちの1つの位置にグロメット745を固定することを可能にする。一実施形態では、フレーム740に対する無数の位置を可能にするため、シュラウド820をグロメット745に対してスライド可能とすることができる。
【0154】
それぞれの実施形態では、(例えばゴム製の)グロメット745がシュラウドを適当な位置に固定するが、グロメットの固有の柔軟性は、フレームからシュラウドを分離し、例えば玉継手またはジンバルのように、これらの2つの構成要素間のある移動範囲を可能にする柔軟な接続を提供する。このような構成は、患者の顔に対するマスクの密着および密封に役立つ。すなわち、この柔軟な接続は、マスクが選択的に調整され、かつ/または患者の顔に自動的に密着することを可能にする。
【0155】
5.2 クッションとフレームの接続
図1~8では、クッション1060の顔に接しない側がフレーム1040に、溝形(tongue and groove)関係で接続される。クッション1060のトング(tongue)1066(
図1C、1Dおよび8参照)が、フレーム1040の周囲に沿って形成された溝1041(
図1Cおよび1D参照)に挿入される。この溝形関係はさらに、フレームの溝の中のアンダーカットされたビード1042(
図1Cおよび1D参照)と相互ロックして、クッションをフレームに対して固定可能に保持するように適合されたロックリップないし密封リップ1068(
図1C、1Dおよび8参照)をクッション上に含むことができる。
【0156】
示した実施形態では、クッション1060がさらに、クッションとフレーム1040の適正な位置合せの助けとなるようにクッションの周囲に配置された1つまたは複数の位置決めフィーチャを含む。
図7に示すように、クッション1060は、フレームの相補フィーチャと例えば相互ロック関係で係合するように適合された切欠きおよび/または突起(例えば2つの切欠き1067および1つの突起1069)を含む。
【0157】
5.2.1 フレームとクッションの共成形
一実施形態では、
図27~30に示すように、フレーム40とクッション44を互いに共成形して、単一片からなる一体の構成要素を形成することができる。例えば、シュラウド20とインタフェースするように適合された第1の材料からフレーム40を成形し、患者の顔とインタフェースするように適合された第2の材料のクッション44を、フレーム40上に共成形することができる。
【0158】
このような実施形態では、密封のため、クッション44を、比較的に軟らかいエラストマー材料(例えばシリコーン)から製作し、シュラウドとインタフェースするため、フレーム40を、クッション44よりも硬い材料(例えばポリカーボネート、ポリプロピレン)から製作することができる。
【0159】
フレーム40とクッション44の共成形は化学結合を提供し、機械式相互ロックを形成する必要は必ずしもない。その結果、この接続は亀裂を含まず、気密シールおよび滑らかな境界面を含む。さらに、共成形されたこのような接続は、成形材料が、フレーム40とクッション44の境界面の隙間を埋める十分な柔軟性を有するため、許容差を緩和する。さらに、共成形されたフレーム/クッションは、部品数を減らし(コストを低減させ)、シュラウド20との組立て/分解を容易にする。
【0160】
代替実施形態では、
図33に示すように、フレーム40とクッション44を、例えばシリコーン材料から、単一片として一体に形成することができる。すなわち、フレーム40は、上述のフレームと同じ形状および構造を有するが、同じ材料、例えばシリコーンから成形することができる。
【0161】
一実施形態では、一体に形成されたフレーム40/クッション44を、例えばポリカーボネートまたはポリプロピレンから製作されたシュラウド20に共成形することができる。例えば、比較的に硬い材料(例えばポリカーボネートまたはポリプロピレン)からシュラウド20を製作し、比較的に軟らかいエラストマー材料(例えばシリコーン)のフレーム40/クッション44を、シュラウド20上に共成形することができる。
【0162】
5.3 ベント構成
図1、1B、1C、1Dおよび2~5では、フレームにベント構成1076が提供され、ベント構成1076は、患者が寝ているときに、排出された空気が、患者および好ましくは患者と一緒に寝ている人から遠ざかるように誘導されることが保証されるように、フレームの外面に対してある角度(例えば45度)で配置された複数の穴1077(例えば5~100個、例えば20~50個または約35個)を含む。
図1Cおよび1Dに示すように、穴1077はそれぞれ、その長さに沿って輪郭またはテーパを含むことができる。しかしながら、ベント構成は、例えば穴の数や、穴の構成、フレーム上の位置が異なったり、ベントがシュラウドとの相互ロック構造の一部を構成したりするなど、他の適当な構成を含むこともできることを理解されたい。
【0163】
図35-1は、フレーム240に提供されたガスウォシュアウト用のベント構成276を示す。示した実施形態では、ベント構成276が、フレーム240の出口開口内に取外し可能に支持されるように適合されたベントインサート(例えばエラストマーベントインサート)の形態を有する。このベントインサートは、参照によってそれぞれその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,561,190号、第6,561,191号および第7,207,335号に記載されているものと同様のものとすることができる。しかしながら、このベント構成は、(例えば本体にあけられたベント穴など)他の適当な形態を有することができることを理解されたい。
【0164】
図37-3、39-2および39-4は、ガスウォシュアウト用のu字形栓型ベント305を受け取るu字形スロット302を含むフレーム340を示す。示されているように、栓型ベント305は、エルボ370のためのフレーム340の開口の周囲および下に位置する。栓型ベント305は、その両側面に複数のトラックないし溝307を含む。使用時、溝付き栓型ベント305は、スロット302との間に、排出された空気が、スロットの壁と栓型ベント305上の溝307との間から外へ出ることができるようなシールを形成する。一実施形態では、ポートキャップ347を、栓型ベント305と一体化し、または栓型ベント305に組み込む(例えば単一片として一体に形成する)ことができる。このような栓型ベント構成のさらなる詳細が、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる2008年8月22日に出願された米国特許出願第12/230,120号において提供されている。
図39-2から39-6は、u字形スロット302およびフレーム340の両側の補助ポート343をより明瞭に示すために、溝付き栓型ベント305が取り外されたフレーム340を示す。
【0165】
エルボにベント構成を提供することもできることに留意されたい。例えば、
図27~30に示すように、ベント構成76は、エルボ70の出口開口の中で取外し可能に支持されるように適合されたベントインサートの形態を有する。一実施形態では、ベント構成76が、出口開口の中で支持されるように適合されたベースと、ベースに提供され、ベント流を拡散させるように構築された1つまたは複数の格子構成要素ないし媒体(例えばフィルタ、膜または他の多孔質材料)と、格子構成要素/媒体をベース内に維持するカバーとを含む。
図27~30では、ベント構成76のカバー77だけが見えている。
【0166】
このようなベント構成の例示的な実施形態が、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる2008年8月22日に出願された米国特許出願第12/230,120号に開示されている。
【0167】
しかしながら、ベント構成は、他の適当な構成、例えば1つまたは複数のベント穴を有するベントインサートを含むことができることを理解されたい。
【0168】
エルボは、ベントインサートに代わる代替ベント構成を提供することもできる。例えば、
図30に破線で示されているように、エルボ70の第1の端部74(1)は、(例えばインタフェース構造75に沿って)ガスウォシュアウト用の1つまたは複数のベント穴276を含むことができる。この1つまたは複数の穴276は、エルボの軟らかい部分(例えば後述するシリコーンシール)および/または硬い部分(例えばポリカーボネート、ポリプロピレン)に形成することができる。穴276は、第1の端部74(1)の全周に沿って、あるいは第1の端部74(1)の1つまたは複数の部分に沿って分布することができる。エルボの全周に沿ってベント穴を配置することが、使用中にベント流を分散させるのに役立つことがあることに留意されたい。しかしながら、第1の端部74(1)および/またはエルボの他の部分に沿った他の適当な穴の配置、穴の数および/または穴の形状も可能である。
【0169】
5.4 ポート
図1~5では、フレーム1040の基部が、使用中に、酸素または他の呼吸に適したガスを患者の鼻孔の近くに送達することができるように、あるいは圧力監視機器を取り付けることができるように配置された2つのポート1043を含む。ポート1043を使用して、圧力センサ、流量センサなどの追加の医療機器を取り付けることもできる。これらのポートは、ポートキャップによって選択的に閉じまたは密封することができる。
【0170】
代替実施形態では、
図25および26に示すように、フレーム1040が、例えばポート1043に加えて、またはポート1043の代わりに、サイドポート1043.1を含むことができる。
【0171】
図35-1および35-2は、例えば補充用酸素、測定装置などのための補助ポートないしスピゴット(spigot)243をその上部に含むフレーム240を示す。
【0172】
図37-1から37-3および39-1から39-6では、フレーム340が、例えば補充用酸素、測定装置などのための補助ポートないしスピゴット343をその両側に含む。それぞれのポート343を密封するためにポートキャップ347が提供される。
【0173】
6. 境界面シール
一実施形態では、エルボとシュラウドの境界面、フレームとシュラウドの境界面および/またはエルボとフレームの境界面に、シールを提供することができる。例えば、これらのモジュールとは別個にシール(例えばリング形エラストマーシール)を形成し、(例えばモジュール間に挟み込む、接着するなどによって)境界面に取り付けることができる。あるいは、これらのモジュールのうちの1つまたは複数のモジュールにシールを共成形することもできる。一実施形態では、シリコーンのリップシールをフレームに取り付けて、エルボに対して密封し、それにより漏れを低減させることができる。
【0174】
他の実施形態では、
図27~30に示すように、エルボ70のインタフェース構造75を、エルボ70とシュラウド20の境界面にシールを提供するように構築された比較的に軟らかい密封材料(例えばシリコーン。これをエルボのより硬い材料に共成形することができる)から製作することができる。さらに、この比較的に軟らかいインタフェース構造75(例えばシリコーン)は、締りばめ型のはめあいを可能にすることがある、比較的に硬いシュラウド20(例えばポリカーボネート、ポリプロピレン)への「軟らかい」取付けを提供する。前述のとおり、このより軟らかいインタフェース構造および/またはより硬いエルボには、1つまたは複数のベント穴を形成することができる。
【0175】
現時点の最も実際的で好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、反対に、本発明の趣旨および範囲に含まれるさまざまな変更および等価の構成をカバーすることが意図されていることを理解されたい。上記のさまざまな実施形態は、他の実施形態と関連させて実現することもでき、例えば、ある1つの実施形態の諸態様を、別の実施形態の諸態様と組み合わせて、これらとは別の実施形態を実現することもできる。また、任意の所与のアセンブリの独立したそれぞれのフィーチャまたは構成要素が追加の実施形態を構成することがある。さらに、任意の所与のアセンブリの個々のそれぞれの構成要素、任意の所与のアセンブリの個々の構成要素の1つまたは複数の部分、および1つまたは複数の実施形態からの構成要素のさまざまな組合せは、1つまたは複数の装飾的設計フィーチャを含むことがある。加えて、本発明は特に、OSAに苦しんでいる患者に対して適用できるが、他の疾患(例えばうっ血性心不全、糖尿病、病的肥満、脳卒中、肥満手術など)に罹っている患者も、上記の教示から利益を得ることができることを理解されたい。さらに、上記の教示は、非医療用途において、患者および非患者に等しく適用することができる。
【符号の説明】
【0176】
10 マスクシステム
20 シュラウド
22 シュラウドの環状保持部分
26 アーム
31 クリップレセプタクル
33 ヘッドギアクリップ
40 フレーム
44 クッション
50 蛇腹セクション
70 エルボ
74(1) エルボの第1の端部
74(2) エルボの第2の端部
75 エルボのインタフェース構造
76 ベント構成
77 ベント構成のカバー
79 エルボのポート
80 スイベル管継手
82 短い管
85 窒息防止弁(AAV)
86 AAVのフラップ部分
88 AAVのクリップ部分
90 ヘッドギア
92 上ストラップ
94 下ストラップ
276 ベント穴