(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】ギヤオイル取替装置
(51)【国際特許分類】
F16N 33/00 20060101AFI20241213BHJP
F16N 39/04 20060101ALI20241213BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20241213BHJP
【FI】
F16N33/00
F16N39/04
F16H57/04 E
F16H57/04 G
(21)【出願番号】P 2021142086
(22)【出願日】2021-09-01
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭汰
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-238264(JP,A)
【文献】特開2002-106731(JP,A)
【文献】特開平07-167383(JP,A)
【文献】特開平04-213571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16N 33/00
F16N 39/04
F16H 57/02-57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤケースに取り付けられ、前記ギヤケースに形成された排出口から排出されたギヤオイルが流れる流路が形成された取付部と、
前記取付部に設けられ、前記流路を開閉する流路開閉部と、
前記ギヤケースに溜められている前記ギヤオイルを前記取付部の前記流路に向かって送り出す送出装置と、
を備え、
前記取付部は、前記ギヤケースの前記排出口に嵌められる嵌合部を有し、
前記嵌合部が前記排出口に嵌められることによって、前記取付部が前記ギヤケースに取り付けられ
、
前記送出装置は、前記取付部に設けられたファンを有し、
前記取付部が前記ギヤケースに取り付けられた場合に、前記ファンが前記ギヤケースの内側に配置され、前記ファンが回転することによって、前記ギヤケースに溜められている前記ギヤオイルが前記取付部の前記流路に向かって送り出されるギヤオイル取替装置。
【請求項2】
前記嵌合部は、円筒形状に形成されており、
前記嵌合部の外周面には、ねじ溝が形成されており、
前記嵌合部の中心軸線を中心に前記嵌合部が回転することによって、前記嵌合部の前記外周面が前記排出口の内周面に着脱される請求項1に記載のギヤオイル取替装置。
【請求項3】
前記流路開閉部は、前記流路の流路断面積の大きさの調節が可能となっている請求項1または請求項2に記載のギヤオイル取替装置。
【請求項4】
前記ギヤケースに溜められている前記ギヤオイルを加熱する加熱装置を備えている請求項1から請求項
3までの何れか一項に記載のギヤオイル取替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ギヤオイル取替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流路部と、電磁石装置と、ハンドルと、流路開閉部とを備えているギヤオイル取替装置が知られている。流路部には、ギヤケースの排出口から排出されたギヤオイルが流れる流路が形成されている。電磁石装置は、磁力を用いて、流路部をギヤケースに固定する。ハンドルは、流路部に設けられている。ハンドルは、ギヤケースの排出口に嵌められている蓋ねじに取り付けられる。作業者がハンドルを操作することによって、蓋ねじが排出口から取り外される。蓋ねじが排出口から取り外されることによって、ギヤケースの排出口からギヤオイルが排出され、ギヤケースの排出口から排出されたギヤオイルが流路部の流路に入る。流路開閉部は、流路部の流路を開閉する。流路部の流路が開くことによって、流路部の流路に入ったギヤオイルが流路部の流路を流れて流路部の流路から排出される。流路部の流路から排出されたギヤオイルは、流路部の外側に配置された貯留容器に溜められる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、流路部をギヤケースに固定するために電磁石装置が流路部に設けられている。また、ギヤケースの排出口に嵌められている蓋ねじをギヤケースから取り外すためにハンドルが流路部に設けられている。これにより、ギヤオイル取替装置の構成が複雑になってしまうという問題点があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ギヤオイル取替装置の構成を簡素化することができるギヤオイル取替装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るギヤオイル取替装置は、ギヤケースに取り付けられ、ギヤケースに形成された排出口から排出されたギヤオイルが流れる流路が形成された取付部と、取付部に設けられ、流路を開閉する流路開閉部と、ギヤケースに溜められているギヤオイルを取付部の流路に向かって送り出す送出装置と、を備え、取付部は、ギヤケースの排出口に嵌められる嵌合部を有し、嵌合部が排出口に嵌められることによって、取付部がギヤケースに取り付けられ、送出装置は、取付部に設けられたファンを有し、取付部がギヤケースに取り付けられた場合に、ファンがギヤケースの内側に配置され、ファンが回転することによって、ギヤケースに溜められているギヤオイルが取付部の流路に向かって送り出される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るギヤオイル取替装置によれば、ギヤオイル取替装置の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るギヤオイル取替装置が取り付けられるギヤ装置を示す正面図である。
【
図2】実施の形態1に係るギヤオイル取替装置を示す側面図である。
【
図3】
図2のギヤケースからギヤオイルが排出される様子を示す図である。
【
図4】実施の形態2に係るギヤオイル取替装置を示す側面図である。
【
図6】実施の形態3に係るギヤオイル取替装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るギヤオイル取替装置が取り付けられるギヤ装置を示す正面図である。ギヤ装置は、エレベーターの減速機に用いられている。ギヤ装置は、図示しないモータと図示しない巻上機とに接続されている。ギヤ装置は、モータに発生した回転力を巻上機に伝達する。モータに発生した回転力がギヤ装置を介して巻上機に伝達されることによって、巻上機が回転する。
【0010】
ギヤ装置は、ギヤケース1と、給油口蓋2と、ウォーム入力軸3と、図示しないウォームと、図示しないウォーム歯車とを備えている。
【0011】
ギヤケース1は、ウォーム収納部101と、ウォーム歯車収納部102とを有している。ウォーム収納部101の内部空間には、ウォームが回転可能に収納されている。ウォーム歯車収納部102の内部空間には、ウォーム歯車が回転可能に収納されている。ウォームとウォーム歯車は、互いに噛み合っている。ウォーム歯車の下部は、ウォーム収納部101に収納されている。
【0012】
ウォームには、ウォーム入力軸3が接続されている。ウォーム入力軸3には、モータの回転力が伝達される。ウォーム入力軸3にモータの回転力が伝達されることによって、ウォーム入力軸3が回転する。ウォーム入力軸3が回転することによって、ウォームが回転する。ウォームが回転することによって、ウォーム歯車が回転する。ウォーム歯車には、巻上機が接続されている。したがって、ウォーム歯車が回転することによって、巻上機が回転する。
【0013】
ウォーム収納部101の内部空間とウォーム歯車収納部102の内部空間とは、互いに繋がっている。ウォーム収納部101およびウォーム歯車収納部102のそれぞれの内部空間には、ギヤオイルが注入されている。
【0014】
ウォーム歯車収納部102は、ギヤケース本体103と、ギヤカバー104とを有している。ギヤケース本体103は、ウォーム収納部101に一体に形成されている。ギヤカバー104は、ギヤケース本体103よりも上方に配置されている。ギヤカバー104は、図示しない回転軸を中心に回転可能となっている。
【0015】
ギヤカバー104が回転軸を中心に回転することによって、ギヤカバー104は、開位置と閉位置との間で移動する。ギヤカバー104の位置が開位置である場合に、ウォーム歯車の上部が露出される。一方、ギヤカバー104の位置が閉位置である場合に、ウォーム歯車の上部がギヤカバー104によって覆われる。
【0016】
ウォーム歯車の保守点検が行われる場合には、作業者は、ギヤカバー104の位置を開位置にする。ウォーム歯車の保守点検が終了した場合には、作業者は、ギヤカバー104の位置を閉位置にする。
【0017】
ギヤカバー104には、図示しない給油口が形成されている。ギヤカバー104の給油口からギヤオイルが注入される。給油口蓋2は、ギヤカバー104の給油口に着脱可能に嵌められている。ギヤケース1にギヤオイルが注入される場合には、作業者は、ギヤカバー104の給油口から給油口蓋2を取り外す。ギヤケース1へのギヤオイルの注入が終了した場合には、作業者は、ギヤカバー104の給油口に給油口蓋2を嵌める。
【0018】
ウォーム収納部101には、排出口105が形成されている。ギヤケース1に溜められたギヤオイルが取り替えられる場合には、ギヤケース1に溜められている古いギヤオイルは、ギヤケース1の排出口105から排出される。
【0019】
図2は、実施の形態1に係るギヤオイル取替装置を示す側面図である。
図2には、ギヤケース1のウォーム収納部101の一部も示されている。実施の形態1に係るギヤオイル取替装置は、取付部4と、流路開閉部5と、貯留容器6とを備えている。
【0020】
取付部4は、ギヤケース1のウォーム収納部101に取り付けられる。取付部4には、ギヤケース1から排出されたギヤオイルが流れる流路401が形成されている。
【0021】
取付部4は、口径変更部402と、取付部本体403とを有している。口径変更部402は、ギヤケース1に取り付けられる。取付部本体403は、口径変更部402に取り付けられる。
【0022】
口径変更部402は、ギヤケース1の排出口105に嵌められる嵌合部404と、取付部本体403が取り付けられる第1流路部405とを有している。嵌合部404がギヤケース1の排出口105に嵌められることによって、口径変更部402がギヤケース1に取り付けられる。
【0023】
嵌合部404は、円筒形状に形成されている。嵌合部404の外周面には、ねじ溝406が形成されている。排出口105の内周面には、ねじ溝106が形成されている。嵌合部404の中心軸線L1を中心に嵌合部404が回転することによって、嵌合部404の外周面が排出口105の内周面に着脱される。
【0024】
第1流路部405には、貫通孔407が形成されている。貫通孔407は、流路401における第1流路部405に形成されている部分である。
【0025】
取付部本体403は、第1流路部405の貫通孔407に嵌められる嵌合部408と、流路開閉部5が設けられた第2流路部409とを有している。嵌合部408が貫通孔407に嵌められることによって、取付部本体403が口径変更部402に取り付けられる。
【0026】
嵌合部408は、円筒形状に形成されている。嵌合部408の外周面には、ねじ溝410が形成されている。第1流路部405の貫通孔407の内周面には、図示しないねじ溝が形成されている。嵌合部408の中心軸線L2を中心に嵌合部408が回転することによって、嵌合部408の外周面が貫通孔407の内周面に着脱される。
【0027】
嵌合部408の外径寸法は、嵌合部404の外径寸法よりも大きい。したがって、嵌合部408の外径寸法は、排出口105の直径寸法よりも大きい。口径変更部402は、嵌合部408の外径寸法が排出口105の直径寸法に一致していない場合に用いられる。したがって、嵌合部408の外径寸法が排出口105の直径寸法と一致している場合には、口径変更部402は用いられない。この場合に、嵌合部408の中心軸線L2を中心に嵌合部408が回転することによって、嵌合部408の外周面が排出口105の内周面に着脱される。
【0028】
流路開閉部5は、取付部本体403に設けられている。流路開閉部5は、流路401における取付部本体403に形成されている部分を開閉する。流路開閉部5は、ハンドル501と、図示しない開閉レバーとを有している。
【0029】
ハンドル501は、作業者によって操作される。ハンドル501が操作されることによって、開閉レバーが流路401を開閉する。開閉レバーによる流路401の流路断面積の大きさの調節は無段階に可能となっている。したがって、流路開閉部5は、流路401の流路断面積の大きさの調節が無段階に可能となっている。
【0030】
貯留容器6は、取付部4よりも下方に配置されている。貯留容器6には、取付部4から排出されたギヤオイルが溜められる。
【0031】
図3は、
図2のギヤケース1からギヤオイル7が排出される様子を示す図である。流路開閉部5が流路401を閉じている状態では、流路401における流路開閉部5の開閉レバーよりも上流側の部分にギヤオイル7が入っており、流路401における流路開閉部5の開閉レバーよりも下流側の部分にはギヤオイル7がない。
【0032】
ギヤケース1のギヤオイル7を取り替える保守作業では、まず、ギヤケース1に溜められている古いギヤオイル7をギヤケース1から排出する。
【0033】
ギヤケース1からギヤオイル7を排出する保守作業では、流路開閉部5が流路401を開くように、作業者がハンドル501を操作する。これにより、流路401に入っているギヤオイル7が流路401を流れて、流路401から排出される。また、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7が流路401に入り、流路401を流れて、流路401から排出される。
【0034】
流路401から排出されたギヤオイル7は、貯留容器6に溜められる。貯留容器6がギヤオイル7で満たされた場合には、作業者がハンドル501を操作して、流路開閉部5が流路401を閉じる。これにより、流路401からのギヤオイル7の排出が停止される。
【0035】
流路401からのギヤオイル7の排出が停止された状態で、貯留容器6に溜められたギヤオイル7を図示しないタンクに移す。その後、空になった貯留容器6を取付部4の下方に配置し、作業者がハンドル501を操作して、流路開閉部5が流路401を開く。ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の全てがギヤケース1から排出されるまで、流路開閉部5による流路401の開閉が繰り返される。
【0036】
ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の全てがギヤケース1から排出された場合には、流路開閉部5が流路401を閉じるように、作業者がハンドル501を操作する。
【0037】
その後、ギヤケース1に新しいギヤオイル7を注入する。ギヤケース1へのギヤオイル7の注入は、ギヤカバー104の給油口からギヤオイル7を注入することによって行われる。ギヤケース1へのギヤオイル7の注入が終了することによって、ギヤケース1のギヤオイルを取り替える保守作業が終了する。
【0038】
なお、ギヤケース1の内壁に汚れが付着している場合には、古いギヤオイル7がギヤケース1から排出された後であって、新しいギヤオイル7がギヤケース1に注入される前に、洗浄用オイルがギヤケース1に注入される。洗浄用オイルのギヤケース1への注入は、ギヤカバー104の給油口から洗浄用オイルを注入することによって行われる。洗浄用オイルがギヤケース1の内部に付着している汚れを取り除いた後、洗浄用オイルがギヤケース1から排出される。洗浄用オイルのギヤケース1からの排出は、古いギヤオイル7のギヤケース1からの排出と同様に、ギヤオイル取替装置を介して行われる。
【0039】
以上説明したように、実施の形態1に係るギヤオイル取替装置は、取付部4と、流路開閉部5とを備えている。取付部4は、ギヤケース1に取り付けられる。また、取付部4には、ギヤケース1から排出されたギヤオイル7が流れる流路401が形成されている。流路開閉部5は、取付部4に設けられている。また、流路開閉部5は、取付部4の流路401を開閉する。取付部4は、ギヤケース1に形成された排出口105に嵌められる嵌合部404を有している。嵌合部404が排出口105に嵌められることによって、取付部4がギヤケース1に取り付けられる。この構成によれば、取付部4をギヤケース1に取り付けるための部材が必要なくなり、また、排出口105を開閉する蓋ねじを操作するための部材が必要なくなる。これにより、ギヤオイル取替装置の構成を簡素化することができる。
【0040】
また、嵌合部404は、円筒形状に形成されており、嵌合部404の外周面には、ねじ溝406が形成されており、嵌合部404の中心軸線L1を中心に嵌合部404が回転することによって、嵌合部404の外周面が排出口105の内周面に着脱される。この構成によれば、簡単な構成で、取付部4をギヤケース1に取り付けることができる。
【0041】
また、流路開閉部5は、流路401の流路断面積の大きさを調節可能となっている。この構成によれば、流路401の流路断面積の大きさが調節されることによって、流路401を流れるギヤオイル7の流速を調節することができる。流路401の流路断面積が一定の場合には、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の量が減少するにつれて、流路401を流れるギヤオイル7の流速が低下する。したがって、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の量に対応して、流路401の流路断面積の大きさを調節することによって、流路401を流れるギヤオイル7の流速の低下を抑制することができる。
【0042】
なお、実施の形態1に係るギヤオイル取替装置では、貯留容器6がギヤオイル7で満たされたか否かを作業者が判断する構成について説明した。しかしながら、貯留容器6がギヤオイル7で満たされたか否かを判定する判定装置を備えてもよい。この場合に、判定装置は、貯留容器6に溜められているギヤオイル7の量を測定する油量測定装置と、油量測定装置の測定結果に基づいて、貯留容器6がギヤオイル7で満たされたか否かを判定する判定装置本体とを有してもよい。また、この場合に、判定装置の判定結果に基づいて、流路開閉部5に流路401を開閉させる開閉駆動装置を備えてもよい。具体的には、貯留容器6がギヤオイル7で満たされていると判定装置が判定した場合に、開閉駆動装置は、流路開閉部5に流路401を閉じさせる。これにより、貯留容器6がギヤオイル7で満たされたか否かについて作業者が判断する必要がなくなり、貯留容器6からギヤオイル7が溢れ出ることを抑制することができる。
【0043】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係るギヤオイル取替装置を示す側面図である。
図4には、ギヤケース1のウォーム収納部101の一部も示されている。実施の形態2に係るギヤオイル取替装置は、送出装置8を備えている。送出装置8は、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7を取付部4の流路401に向かって送り出す。
【0044】
図5は、
図4の送出装置8を示すブロック図である。送出装置8は、ファン801と、ファン801を回転させる駆動部802と、駆動部802の駆動を制御する送出制御部803と、作業者に操作される送出スイッチ804とを有している。
【0045】
ファン801は、取付部4に設けられている。取付部4がギヤケース1に取り付けられた場合に、ファン801がギヤケース1の内側に配置される。ファン801が回転することによって、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7が取付部4の流路401に向かって送り出される。
【0046】
駆動部802は、図示しないモータを有している。モータに電流が供給されることによって、モータの回転軸が回転する。モータの回転軸には、ファン801が接続されている。モータが回転することによって、ファン801が回転する。
【0047】
送出制御部803は、駆動部802への電流の供給を制御することによって、駆動部802の駆動を制御する。送出制御部803は、送出スイッチ804の状態に基づいて、駆動部802への電流の供給を制御する。
【0048】
具体的には、送出スイッチ804の状態がオフ状態である場合に、送出制御部803は、駆動部802の駆動を停止させる。これにより、ファン801が停止する。一方、送出スイッチ804の状態がオン状態である場合に、送出制御部803は、駆動部802を駆動させる。これにより、ファン801が回転する。
【0049】
ギヤケース1に溜められているギヤオイル7が長期間に渡って使用された場合には、ギヤオイル7の粘性が高くなる。また、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の温度が低い場合には、ギヤオイル7の粘性が高くなる。また、エレベーターの起動回数が多い場合には、ギヤオイル7の粘性が高くなる。この例では、エレベーターの起動回数とは、ギヤオイル7が交換されていない期間におけるエレベーターの巻上機が駆動する回数である。
【0050】
ギヤオイル7の粘性が高い場合には、ギヤケース1の排出口105からギヤオイル7が排出されにくくなる。したがって、ギヤオイル7の粘性が高い状態で、ギヤケース1の排出口105からギヤオイル7を排出するには、時間がかかってしまう。
【0051】
ギヤオイル7の粘性が高い場合には、作業者は、送出スイッチ804を操作して、送出スイッチ804の状態をオフ状態からオン状態に切り替える。これにより、送出制御部803が駆動部802の駆動を制御して、ファン801が回転する。ファン801が回転することによって、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7が取付部4の流路401に向かって送り出される。これにより、ギヤケース1の排出口105からギヤオイル7が排出されやすくなる。
【0052】
ギヤケース1の排出口105からギヤオイル7の排出が終了した場合には、作業者は、送出スイッチ804を操作して、送出スイッチ804の状態をオン状態からオフ状態に切り替える。これにより、送出制御部803が駆動部802の駆動を制御して、ファン801が停止する。
【0053】
実施の形態2に係るギヤオイル取替装置におけるその他の構成は、実施の形態1に係るギヤオイル取替装置の構成と同様である。
【0054】
以上説明したように、実施の形態2に係るギヤオイル取替装置は、送出装置8を備えている。送出装置8は、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7を取付部4の流路401に向かって送り出す。この構成によれば、送出装置8がギヤケース1に溜められているギヤオイル7を取付部4の流路401に向かって送り出す。これにより、ギヤオイル7の粘性が高い場合であっても、ギヤケース1からギヤオイル7を容易に排出することができる。
【0055】
なお、実施の形態2に係るギヤオイル取替装置では、作業者が送出スイッチ804を操作することによって、ファン801が回転する構成について説明した。しかしながら、送出装置8は、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の粘性を測定する粘性測定装置を有し、粘性測定装置の測定結果に基づいて、送出制御部803が駆動部802の駆動を制御して、ファン801が回転する構成であってもよい。この場合に、粘性測定装置は、ファン801を回転させることによって、ギヤオイル7の粘性を測定してもよい。また、この場合に、粘性測定装置の測定結果に基づいて、ファン801の回転数を調節してもよい。具体的には、ギヤオイル7の粘性が高い場合には、ファン801の回転数を高くし、ギヤオイル7の粘性が低い場合には、ファン801の回転数を低くしてもよい。
【0056】
また、実施の形態2に係るギヤオイル取替装置では、作業者が送出スイッチ804を操作することによって、ファン801が回転する構成について説明した。しかしながら、送出装置8は、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の温度を測定する温度測定装置を有し、温度測定装置の測定結果に基づいて、送出制御部803が駆動部802の駆動を制御して、ファン801が回転する構成であってもよい。この場合に、温度測定装置は、ギヤケース1の温度を測定することによって、ギヤオイル7の温度を測定してもよい。また、この場合に、温度測定装置の測定結果に基づいて、ファン801の回転数を調節してもよい。具体的には、ギヤオイル7の温度が低い場合には、ファン801の回転数を高くし、ギヤオイル7の温度が高い場合には、ファン801の回転数を低くしてもよい。
【0057】
また、実施の形態2に係るギヤオイル取替装置では、作業者が送出スイッチ804を操作することによって、ファン801が回転する構成について説明した。しかしながら、送出装置8は、エレベーターの起動回数に基づいて、送出制御部803が駆動部802の駆動を制御して、ファン801が回転する構成であってもよい。この場合に、図示しないエレベーター制御盤から送出装置8にエレベーターの起動回数を示す情報が入力される。また、この場合に、エレベーターの起動回数に基づいて、ファン801の回転数を調節してもよい。具体的には、エレベーターの起動回数が多い場合には、ファン801の回転数を高くし、エレベーターの起動回数が少ない場合には、ファン801の回転数を低くしてもよい。
【0058】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3に係るギヤオイル取替装置を示す側面図である。
図6には、ギヤケース1のウォーム収納部101の一部も示されている。実施の形態3に係るギヤオイル取替装置は、加熱装置9を備えている。加熱装置9は、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7を加熱する。
【0059】
図7は、
図6の加熱装置9を示すブロック図である。加熱装置9は、加熱部901と、加熱部901に電流を供給する電源部902と、電源部902から加熱部901への電流の供給を制御する加熱制御部903と、作業者に操作される加熱スイッチ904とを有している。
【0060】
加熱部901は、取付部4に設けられている。取付部4がギヤケース1に取り付けられた場合に、加熱部901がギヤケース1の内側に配置される。加熱部901は、電熱線から構成されている。加熱部901に電流が供給されることによって、加熱部901が発熱する。加熱部901が発熱することによって、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7が加熱される。
【0061】
電源部902は、図示しないバッテリを有している。電源部902は、バッテリに溜められた電流を加熱部901に供給する。
【0062】
加熱制御部903は、加熱スイッチ904の状態に基づいて、電源部902から加熱部901への電流の供給を制御する。
【0063】
具体的には、加熱スイッチ904の状態がオフ状態である場合に、加熱制御部903は、電源部902から加熱部901への電流の供給を停止させる。これにより、加熱部901の発熱が停止する。一方、加熱スイッチ904の状態がオン状態である場合に、加熱制御部903は、電源部902から加熱部901へ電流を供給させる。これにより、加熱部901が発熱する。
【0064】
ギヤオイル7の粘性が高い場合に、作業者は、加熱スイッチ904を操作して、加熱スイッチ904の状態をオフ状態からオン状態に切り替える。これにより、加熱制御部903が電源部902から加熱部901へ電流を供給させて、加熱部901が発熱する。加熱部901が発熱することによって、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7が加熱される。ギヤケース1に溜められているギヤオイル7が加熱されることによって、ギヤオイル7の粘性が低下する。これにより、ギヤオイル7に溜められているギヤオイル7がギヤケース1の排出口105から排出されやすくなる。
【0065】
ギヤケース1の排出口105からギヤオイル7の排出が終了した場合には、作業者は、加熱スイッチ904を操作して、加熱スイッチ904の状態をオン状態からオフ状態に切り替える。これにより、加熱制御部903が電源部902から加熱部901への電流の供給を停止させて、加熱部901の発熱が停止する。
【0066】
実施の形態3に係るギヤオイル取替装置におけるその他の構成は、実施の形態1に係るギヤオイル取替装置の構成と同様である。なお、実施の形態2に係るギヤオイル取替装置と同様に、実施の形態3に係るギヤオイル取替装置は、送出装置8を備えてもよい。
【0067】
以上説明したように、実施の形態3に係るギヤオイル取替装置は、加熱装置9を備えている。加熱装置9は、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7を加熱する。この構成によれば、加熱装置9がギヤケース1に溜められているギヤオイル7を加熱する。これにより、ギヤオイル7の粘性が高い場合に、加熱装置9がギヤオイル7を加熱して、ギヤオイル7の粘性を低下させることができる。これにより、ギヤケース1からギヤオイル7を容易に排出することができる。
【0068】
なお、実施の形態3に係るギヤオイル取替装置では、作業者が加熱スイッチ904を操作することによって、加熱部901が発熱する構成について説明した。しかしながら、加熱装置9は、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の粘性を測定する粘性測定装置を有し、粘性測定装置の測定結果に基づいて、加熱部901が加熱する構成であってもよい。加熱制御部903は、粘性測定装置の測定結果に基づいて、電源部902から加熱部901への電流の供給を制御する。この場合に、粘性測定装置の測定結果に基づいて、加熱部901の発熱量を調節してもよい。具体的には、ギヤオイル7の粘性が高い場合には、加熱部901の発熱量を多くし、ギヤオイル7の粘性が低い場合には、加熱部901の発熱量を少なくしてもよい。
【0069】
また、実施の形態3に係るギヤオイル取替装置では、作業者が加熱スイッチ904を操作することによって、加熱部901が発熱する構成について説明した。しかしながら、加熱装置9は、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7の温度を測定する温度測定装置を有し、温度測定装置の測定結果に基づいて、加熱部901が発熱する構成であってもよい。加熱制御部903は、温度測定装置の測定結果に基づいて、電源部902から加熱部901への電流の供給を制御する。この場合に、温度測定装置は、ギヤケース1の温度を測定することによって、ギヤオイル7の温度を測定してもよい。また、この場合に、温度測定装置の測定結果に基づいて、加熱部901の発熱量を調節してもよい。具体的には、ギヤオイル7の温度が低い場合には、加熱部901の発熱量を多くし、ギヤオイル7の温度が高い場合には、加熱部901の発熱量を少なくしてもよい。
【0070】
また、実施の形態3に係るギヤオイル取替装置では、作業者が加熱スイッチ904を操作することによって、加熱部901が発熱する構成について説明した。しかしながら、加熱装置9は、エレベーターの起動回数に基づいて、加熱制御部903が電源部902から加熱部901への電流の供給を制御して、加熱部901が発熱する構成であってもよい。この場合に、エレベーター制御盤から加熱装置9にエレベーターの起動回数を示す情報が入力される。また、この場合に、エレベーターの起動回数に基づいて、加熱部901の発熱量を調節してもよい。具体的には、エレベーターの起動回数が多い場合には、加熱部901の発熱量を多くし、エレベーターの起動回数が少ない場合には、加熱部901の発熱量を少なくしてもよい。
【0071】
また、実施の形態3に係るギヤオイル取替装置では、取付部4がギヤケース1に取り付けられた場合に、加熱部901がギヤケース1の内側に配置される構成について説明した。しかしながら、加熱部901は、ギヤケース1の外周面に配置される構成であってもよい。この場合に、加熱部901は、ギヤケース1を加熱することによって、ギヤケース1に溜められているギヤオイル7を加熱する。
【符号の説明】
【0072】
1 ギヤケース、2 給油口蓋、3 ウォーム入力軸、4 取付部、5 流路開閉部、6 貯留容器、7 ギヤオイル、8 送出装置、9 加熱装置、101 ウォーム収納部、102 ウォーム歯車収納部、103 ギヤケース本体、104 ギヤカバー、105 排出口、106 ねじ溝、401 流路、402 口径変更部、403 取付部本体、404 嵌合部、405 第1流路部、406 ねじ溝、407 貫通孔、408 嵌合部、409 第2流路部、410 ねじ溝、501 ハンドル、801 ファン、802 駆動部、803 送出制御部、804 送出スイッチ、901 加熱部、902 電源部、903 加熱制御部、904 加熱スイッチ。