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特許7603569作業配分装置、作業配分方法、およびコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】作業配分装置、作業配分方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241213BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241213BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021182355
(22)【出願日】2021-11-09
(65)【公開番号】P2023070280
(43)【公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100182718
【弁理士】
【氏名又は名称】木崎 誠司
(72)【発明者】
【氏名】久保田 文子
(72)【発明者】
【氏名】桑野 義正
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英一
(72)【発明者】
【氏名】楯谷 洋介
(72)【発明者】
【氏名】桜井 豪人
(72)【発明者】
【氏名】山田 雄一
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-294952(JP,A)
【文献】特開2005-018596(JP,A)
【文献】特開2013-214261(JP,A)
【文献】特開2000-003349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業配分装置であって、
複数の要素作業と各前記要素作業に要する作業時間とを含む作業情報と、各前記要素作業が複数の工程のいずれかに配分される際に充足すべき制約情報と、を取得する情報取得部と、
各前記要素作業が前記工程に配分される際に用いられる評価値の算出に使用される複数の重みセットであって、互いに異なる指標値を有する前記複数の重みセットを取得する重み取得部と、
前記作業情報と、前記制約情報とを用いて、前記制約情報を充足した上で全ての各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、前記作業情報と、前記制約情報と、前記複数の重みセットが有する指標値とを用いて、各前記要素作業と各前記工程とに対する前記評価値を算出する配分工程決定部と、
を備え、
前記配分工程決定部は、
算出された前記評価値を用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程に配分する際の順番を決定し、
決定された順番に沿って1つの前記要素作業を前記工程に配分する毎に、前記評価値を更新し、
算出または更新が行われた前記評価値と、各前記要素作業を配分可能な前記工程とを用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程にそれぞれ配分した工程編成案を作成する、作業配分装置。
【請求項2】
業配分装置であって、
複数の要素作業と各前記要素作業に要する作業時間とを含む作業情報と、各前記要素作業が複数の工程のいずれかに配分される際に充足すべき制約情報と、を取得する情報取得部と、
各前記要素作業が前記工程に配分される際に用いられる評価値の算出に使用される複数の重みセットであって、互いに異なる指標値を有する前記複数の重みセットを取得する重み取得部と、
前記作業情報と、前記制約情報とを用いて、前記制約情報を充足した上で全ての各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、前記作業情報と、前記制約情報と、前記複数の重みセットが有する指標値とを用いて、各前記要素作業と各前記工程とに対する前記評価値を算出する配分工程決定部と、
を備え、
前記制約情報は、各前記要素作業間において、各前記要素作業の実施順に関して必ず充足しなければならない必達制約を含み、
前記配分工程決定部は、
前記必達制約と、各前記要素作業の作業時間とを用いて、各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、
算出された前記評価値と、算出された各前記要素作業を配分可能な前記工程とを用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程にそれぞれ配分した工程編成案を作成する、作業配分装置。
【請求項3】
請求項に記載の作業配分装置であって、
前記配分工程決定部は、
前記必達制約を用いて、特定の前記要素作業に先行して実施される前記要素作業の前記作業時間と、前記特定の要素作業の前記作業時間との合計である先行作業時間を求め、
前記必達制約を用いて、前記特定の要素作業の後に実施される前記要素作業の前記作業時間と、前記特定の要素作業の前記作業時間との合計である後行作業時間を求め、
前記先行作業時間と前記後行作業時間とを用いて、各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出する、作業配分装置。
【請求項4】
請求項または請求項に記載の作業配分装置であって、
前記配分工程決定部は、1つの前記要素作業を前記工程に配分する毎に、配分した前記要素作業に応じて、前記必達制約と各前記要素作業の作業時間とを用いて、各前記要素作業を配分可能な前記工程を更新する、作業配分装置。
【請求項5】
請求項から請求項までのいずれか一項に記載の作業配分装置であって、
前記制約情報は、前記必達制約とは別に、充足されることが好ましい情報として、前記要素作業で使用される工具についての充足制約を含み、
前記配分工程決定部は、前記充足制約の充足有無に応じて前記評価値を変化させる、作業配分装置。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の作業配分装置であって、さらに、
前記配分工程決定部が作成した前記工程編成案を出力する編成案出力部を備える、作業配分装置。
【請求項7】
作業配分方法であって、情報処理装置が、
複数の要素作業と各前記要素作業に要する作業時間とを含む作業情報と、各前記要素作業が複数の工程のいずれかに配分される際に充足すべき制約情報と、を取得する情報取得処理と、
各前記要素作業が前記工程に配分される際に用いられる評価値の算出に使用される複数の重みセットであって、互いに異なる指標値を有する前記複数の重みセットを取得する重み取得処理と、
前記作業情報と、前記制約情報とを用いて、前記制約情報を充足した上で全ての各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出する配分可能工程算出処理と、
前記作業情報と、前記制約情報と、前記複数の重みセットが有する指標値とを用いて、各前記要素作業と各前記工程とに対する前記評価値を算出する工程編成処理と、
を備え、
前記工程編成処理は、
算出された前記評価値を用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程に配分する際の順番を決定し、
決定された順番に沿って1つの前記要素作業を前記工程に配分する毎に、前記評価値を更新し、
算出または更新が行われた前記評価値と、各前記要素作業を配分可能な前記工程とを用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程にそれぞれ配分した工程編成案を作成する、作業配分方法。
【請求項8】
作業配分方法であって、情報処理装置が、
複数の要素作業と各前記要素作業に要する作業時間とを含む作業情報と、各前記要素作業が複数の工程のいずれかに配分される際に充足すべき制約情報と、を取得する情報取得処理と、
各前記要素作業が前記工程に配分される際に用いられる評価値の算出に使用される複数の重みセットであって、互いに異なる指標値を有する前記複数の重みセットを取得する重み取得処理と、
前記作業情報と、前記制約情報とを用いて、前記制約情報を充足した上で全ての各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出する配分可能工程算出処理と、
前記作業情報と、前記制約情報と、前記複数の重みセットが有する指標値とを用いて、各前記要素作業と各前記工程とに対する前記評価値を算出する工程編成処理と、
を備え、
前記制約情報は、各前記要素作業間において、各前記要素作業の実施順に関して必ず充足しなければならない必達制約を含み、
前記配分可能工程算出処理は、前記必達制約と、各前記要素作業の作業時間とを用いて、各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、
前記工程編成処理は、算出された前記評価値と、算出された各前記要素作業を配分可能な前記工程とを用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程にそれぞれ配分した工程編成案を作成する、作業配分方法。
【請求項9】
コンピュータプログラムであって、
複数の要素作業と各前記要素作業に要する作業時間とを含む作業情報と、各前記要素作業が複数の工程のいずれかに配分される際に充足すべき制約情報と、を取得する情報取得機能と、
各前記要素作業が前記工程に配分される際に用いられる評価値の算出に使用される複数の重みセットであって、互いに異なる指標値を有する前記複数の重みセットを取得する重み取得機能と、
前記作業情報と、前記制約情報とを用いて、前記制約情報を充足した上で全ての各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、前記作業情報と、前記制約情報と、前記複数の重みセットが有する指標値とを用いて、各前記要素作業と各前記工程とに対する前記評価値を算出する配分工程決定機能と、
をコンピュータに実行させ、
前記配分工程決定機能は、
算出された前記評価値を用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程に配分する際の順番を決定し、
決定された順番に沿って1つの前記要素作業を前記工程に配分する毎に、前記評価値を更新し、
算出または更新が行われた前記評価値と、各前記要素作業を配分可能な前記工程とを用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程にそれぞれ配分した工程編成案を作成する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業配分装置、作業配分方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品を生産するための複数の要素作業を複数の工程に自動的に配分する技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載された作業編成装置は、生産ラインに精通している作業者および生産設計者のノウハウやルールをアルゴリズムとして用いることにより、自動的に工程を編成している。特許文献2に記載された工程編成方法は、遺伝的アルゴリズムを用いることにより、工程編成時の制約を充足する工程を編成している。非特許文献1に記載されたpartitioning法では、製品の構造等から決定される作業の実施順(例えば、部品をはめ込んだ作業の後に、カバーをする作業が行われる)が充足されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平03-2594号公報
【文献】特開2000-40106号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】Gunawan Indra and Ahsan Kamrul, " Project Scheduling Improvement Using Design Structure Matrix", International Journal of Project Organisation and Management, January 2010, 2(4). pp. 311-327
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製品の構造および工程編成時の制約は多種多様に変化し、この変化の傾向は、今後、より強くなる。そのため、特許文献1に記載された作業編成装置では、起こりうる制約等の条件の全てに対処できないおそれがある。また、特許文献2に記載された遺伝的アルゴリズムを用いた方法では、充足すべき制約が多くなると、制約を充足しない致死遺伝子が発生しやすくなり、制約を充足する工程編成が難しくなる。
【0006】
非特許文献1に記載されたアルゴリズムでは、事前に実施するべき先行作業と、事後に実施するべき後行作業とのいずれもがない作業が、他の作業よりも優先的に工程に配分される。そのため、出力される複数の作業配分には、先行作業がない作業が前半の工程に配分される及び後行作業のない作業が後半の工程に配分される等のパターンの偏りが発生するおそれがある。この結果、生産設計者に多様な工程編成案を提供できず、生産設計者が最適な工程編成案にたどり着けないおそれがある。すなわち、特許文献1および非特許文献1に記載された技術では、生産設計者に多様な工程編成案を提供できないおそれがある。また、特許文献2に記載された技術では、制約を充足する作業配分の生成ができない恐れがある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、最適な工程編成案を作成するまでの時間を低減した上で、複数の工程編成案において偏りのない多様な工程編成案を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。作業配分装置であって、複数の要素作業と各前記要素作業に要する作業時間とを含む作業情報と、各前記要素作業が複数の工程のいずれかに配分される際に充足すべき制約情報と、を取得する情報取得部と、各前記要素作業が前記工程に配分される際に用いられる評価値の算出に使用される複数の重みセットであって、互いに異なる指標値を有する前記複数の重みセットを取得する重み取得部と、前記作業情報と、前記制約情報とを用いて、前記制約情報を充足した上で全ての各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、前記作業情報と、前記制約情報と、前記複数の重みセットが有する指標値とを用いて、各前記要素作業と各前記工程とに対する前記評価値を算出する配分工程決定部と、を備え、前記配分工程決定部は、算出された前記評価値を用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程に配分する際の順番を決定し、決定された順番に沿って1つの前記要素作業を前記工程に配分する毎に、前記評価値を更新し、算出または更新が行われた前記評価値と、各前記要素作業を配分可能な前記工程とを用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程にそれぞれ配分した工程編成案を作成する、作業配分装置。作業配分装置であって、複数の要素作業と各前記要素作業に要する作業時間とを含む作業情報と、各前記要素作業が複数の工程のいずれかに配分される際に充足すべき制約情報と、を取得する情報取得部と、各前記要素作業が前記工程に配分される際に用いられる評価値の算出に使用される複数の重みセットであって、互いに異なる指標値を有する前記複数の重みセットを取得する重み取得部と、前記作業情報と、前記制約情報とを用いて、前記制約情報を充足した上で全ての各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、前記作業情報と、前記制約情報と、前記複数の重みセットが有する指標値とを用いて、各前記要素作業と各前記工程とに対する前記評価値を算出する配分工程決定部と、を備え、前記制約情報は、各前記要素作業間において、各前記要素作業の実施順に関して必ず充足しなければならない必達制約を含み、前記配分工程決定部は、前記必達制約と、各前記要素作業の作業時間とを用いて、各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、算出された前記評価値と、算出された各前記要素作業を配分可能な前記工程とを用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程にそれぞれ配分した工程編成案を作成する、作業配分装置。そのほか、本発明は、以下の形態としても実現可能である。
【0009】
(1)本発明の一形態によれば、作業配分装置が提供される。この作業配分装置は、複数の要素作業と各前記要素作業に要する作業時間とを含む作業情報と、各前記要素作業が複数の工程のいずれかに配分される際に充足すべき制約情報と、を取得する情報取得部と、各前記要素作業が前記工程に配分される際に用いられる評価値の算出に使用される複数の重みセットであって、互いに異なる指標値を有する前記複数の重みセットを取得する重み取得部と、前記作業情報と、前記制約情報とを用いて、前記制約情報を充足した上で全ての各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出し、前記作業情報と、前記制約情報と、前記複数の重みセットが有する指標値とを用いて、各前記要素作業と各前記工程とに対する前記評価値を算出する配分工程決定部と、を備え、前記配分工程決定部は、算出された前記評価値と、各前記要素作業を配分可能な前記工程とを用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程にそれぞれ配分した工程編成案を作成する。
【0010】
この構成によれば、重みセットが有する指標値と、制約情報に基づく指標値とを用いて算出される評価値を用いた複数の工程編成案が作成される。各要素作業を配分可能な工程は、制約情報を充足するように算出されているため、作成された複数の工程編成案は制約情報を充足する。このように、制約情報を充足しない工程編成案が作成されないため、作業配分装置は、少ない時間で複数の工程編成案を作成できる。さらに、複数の重みセットが有する互いに異なる指標値を用いた評価値によって工程編成案が作成されているため、作業配分装置は、偏りのない多様な工程編成案を作成できる。すなわち、本構成によれば、品質等にかかる制約情報を最大限に充足し、多様かつ偏りによる見逃しのない生産性の高い工程編成案が作成される。この結果、工程編成を設計する生産設計者の負荷の低減、および生産性向上によるコスト削減を実現できる。すなわち、本構成によれば、最適な工程編成案を作成するまでの時間を低減した上で、複数の工程編成案において偏りのない多様な工程編成案を提供できる。
【0011】
(2)上記態様の作業配分装置において、前記配分工程決定部は、算出された前記評価値を用いて、各前記要素作業をいずれかの前記工程に配分する際の順番を決定し、決定された順番に沿って1つの前記要素作業を前記工程に配分する毎に、前記評価値を更新してもよい。
この構成によれば、重みセットを用いて算出された評価値を用いて各要素作業が工程にそれぞれ配分される。1つの要素作業が工程に配分された後に評価値が更新されることにより、更新後の評価値は、制約情報を充足した上で次に配分される要素作業が最適化された数値である。そのため、作業配分装置は、複数の重みセットが有する異なる指標値に応じて、多様でより生産性が高く、かつ、より適した工程編成案を作成できる。
【0012】
(3)上記態様の作業配分装置において、前記制約情報は、各前記要素作業間において、各前記要素作業の実施順に関して必ず充足しなければならない必達制約を含み、前記配分工程決定部は、前記必達制約と、各前記要素作業の作業時間とを用いて、各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出してもよい。
この構成によれば、算出された必達制約を充足する各要素作業が配分可能な工程から、各要素作業が配分される工程が決定される。そのため、必達制約を充足しない工程編成案が作成されないため、作業配分装置は、少ない時間で実現可能な複数の工程編成案を作成できる。
【0013】
(4)上記態様の作業配分装置において、前記配分工程決定部は、前記必達制約を用いて、特定の前記要素作業に先行して実施される前記要素作業の前記作業時間と、前記特定の要素作業の前記作業時間との合計である先行作業時間を求め、前記必達制約を用いて、前記特定の要素作業の後に実施される前記要素作業の前記作業時間と、前記特定の要素作業
の前記作業時間との合計である後行作業時間を求め、前記先行作業時間と前記後行作業時間とを用いて、各前記要素作業を配分可能な前記工程を算出してもよい。
この構成によれば、先行作業時間と後行作業時間とが用いられることにより、予め設定された工程の時間内に全ての要素作業が配分されるように、各要素作業を配分可能な工程が算出される。そのため、本構成によれば、必ず必達制約を充足する工程編成案を作成できる。
【0014】
(5)上記態様の作業配分装置において、前記配分工程決定部は、1つの前記要素作業を前記工程に配分する毎に、配分した前記要素作業に応じて、前記必達制約と各前記要素作業の作業時間とを用いて、各前記要素作業を配分可能な前記工程を更新してもよい。
配分される特定の要素作業が配分可能な工程に配分された場合に、特定の要素作業が配分された工程に応じて、特定の要素作業の先行作業および後行作業を配分可能な工程が変化する場合がある。本実施形態では、1つの要素作業がいずれかの工程に配分された後に、まだ配分されていない要素作業を配分可能な工程が更新される。そのため、本構成によれば、必ず必達制約を充足する工程編成案を作成できる。
【0015】
(6)上記態様の作業配分装置において、前記制約情報は、前記必達制約とは別に、充足されることが好ましい情報として、前記要素作業で使用される工具についての充足制約を含み、前記配分工程決定部は、前記充足制約の充足有無に応じて前記評価値を変化させてもよい。
この構成によれば、充足しなくてもよい充足制約を評価値として算出することにより、必達制約を充足した上で、充足制約の充足する工程編成案と充足しない工程編成案とを作成できる。さらに、作成された複数の工程編成案は、充足制約の充足有無に応じて評価値が変化する。すなわち、生産設計者は、充足制約の充足有無に応じた評価値を確認した上で、作成された多様な工程編成案から選択できる。
【0016】
(7)上記態様の作業配分装置において、さらに、前記配分工程決定部が作成した前記工程編成案を出力する編成案出力部を備えていてもよい。
この構成によれば、作成された複数の工程編成案および各工程編成案の評価値を、生産設計者等に認識しやすい態様で出力できる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、作業配分装置、工程編成装置、作業配分システム、およびこれらを備える装置およびシステム、および作業配分方法、工程編成方法、およびこれらシステムや方法を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態としての作業配分装置の概略ブロック図である。
図2】作業情報についての説明図である。
図3】作業情報についての説明図である。
図4】制約情報についての説明図である。
図5】各要素作業に対応する重みセットの説明図である。
図6】各工程に対応する重みセットの説明図である。
図7】作業情報から算出される各要素作業の指標値である。
図8】作業情報から算出される各工程の指標値である。
図9】各要素作業の先行作業時間と後行作業時間との説明図である。
図10】各要素作業の作業範囲時間についての説明図である。
図11】各要素作業が配分可能な工程の説明図である。
図12】各要素作業の評価値についての説明図である。
図13】各工程の評価値についての説明図である。
図14】更新後の各要素作業を配分可能な工程の説明図である。
図15】更新後の作業情報から算出される各工程の指標値である。
図16】更新後の各工程の評価値についての説明図である。
図17】更新後の各要素作業が配分可能な工程の説明図である。
図18】更新後の作業情報から算出される各工程の指標値である。
図19】更新後の各工程の評価値についての説明図である。
図20】工程編成案についての説明図である。
図21】工程編成案の評価の説明図である。
図22】工程作業時間の評価一例である。
図23】本実施形態の作業配分方法のフローチャートである。
図24】変形例の作業配分方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
1.作業配分装置の概略:
図1は、本発明の実施形態としての作業配分装置100の概略ブロック図である。本実施形態の工程編成装置100は、互いに異なる指標値を有する複数の重みセットと、各要素作業についての作業情報と、作業配分に充足すべき制約情報とを用いて、各要素作業が工程に配分された工程編成案を作成する。作業配分装置100は、各要素作業を工程に配分する際に、重みセットが有する指標値と作業情報とを用いた評価値を算出する。異なる指標値を有する重みセットを用いた評価値に応じて工程編成案が作成されることにより、重みセットの指標値に応じた偏りのない多様な工程編成案が作成される。また、制約情報を充足した上で各要素作業が配分されるため、作成された工程編成案は制約情報を充足し、最適な工程編成案を作成するまでの時間を低減できる。
【0020】
図1に示されるように、作業配分装置100は、ユーザである作業配分者の各種操作を受け付ける入力部40と、各種画像を表示するモニタ30と、CPU(Central Processing Unit)10と、ROM(Read Only Memory)21と、RAM(Random Access Memory)22と、各種情報を記憶する記憶部50と、を備えている。
【0021】
本実施形態の入力部40は、キーボードと、マウスと、音声入力を受け付けるマイクとにより構成されている。記憶部50は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などで構成されている。記憶部50は、作業情報を記憶する作業情報データベース(作業情報DB)51と、後述する配分決定部13により編成された工程編成案を記憶する工程編成データベース(工程編成DB)52と、を備えている。作業情報DB51には、製品を生産するための複数の要素作業と各要素作業に要する作業時間を含む作業情報と、各要素作業が工程に配分される際に充足すべき制約情報と、を含んでいる。
【0022】
図2および図3は、作業情報についての説明図である。図2には、ある製品を生産するための11個の要素作業(作業1~作業11)のそれぞれに対応付けられている作業ID、作業時間、および使用工具が表として示されている。要素作業は、作業ID「1」~「11」のそれぞれで識別される作業そのものを意味する。作業時間は、各要素作業が工程内で行われた場合に要する時間である。使用工具は、各要素作業が行われる場合に必要される特殊な工具である。例えば、作業ID「1」により識別される要素作業「作業1」であれば、当該要素作業を終了するために14(s)を要し、作業に工具Aが使用される。また、作業ID「6」により識別される要素作業「作業6」であれば、当該要素作業を終了するために8(s)を要し、作業を行うのに特殊な工具が使用されない。
【0023】
図3には、各要素作業に対して関連付けられた先行作業が一覧表で示されている。先行
作業とは、各要素作業が行われる前に先行して実施されなければならない要素作業を意味する。先行作業1~3の欄には、先行して実施されなければならない要素作業の作業IDが格納されている。例えば、作業IDが「1」である作業1は、先行作業を有していないため、全要素作業の中で最初に実施されてもよい要素作業である。一方で、作業IDが「6」である作業6が実施されるためには、先行して作業1および作業2の要素作業が実施されている必要がある。先行作業の前後に当たる要素作業の具体例としては、例えば、「カバーを取り付ける」という要素作業の前に、「部品を取り付ける」という要素作業が先行して実施される等である。
【0024】
図4は、制約情報についての説明図である。図4には、2つの制約に対して付された制約IDと、制約の名称と、制約の内容と、必達制約または充足制約の種別とが一覧表で示されている。本実施形態の必達制約は、各要素作業間において、各要素作業の実施順に関して必ず充足しなければならない制約である。充足制約は、充足されることが好ましい制約情報に含まれる制約である。配分決定部13は、充足制約の充足有無に応じて、後述するように評価値を増減させる。
【0025】
図4に示されるように、制約IDが「1」である作業順の制約は、必達制約であり、編成後の工程編成案が図3に示される各要素作業間の作業順先行情報に従うことである。制約IDが「2」である同一工程の制約は、充足制約であり、図2に示される使用工具に基づいて評価される制約である。具体的には、本実施形態の充足制約は、同一の工具を使用する各要素作業間で同一の工程に編成されることが望ましいとされる制約である。この充足制約は、必達制約とは異なり、充足されることが好ましいものの、必ずしも充足されなくてもよい制約である。
【0026】
図1に示されるCPU10は、ROM21に格納されているコンピュータプログラムをRAM22に展開する。これにより、CPU10は、作業情報DB51からの各種情報および入力部を介した入力情報を取得する情報取得部11と、各要素作業が工程に配分される際に用いられる複数の重みセットを生成する重み生成部(重み取得部)12と、作業情報と制約情報と重みセットとを用いて工程編成案を作成する配分決定部(配分工程決定部)13と、工程編成案をモニタ30へと出力する出力部14として機能する。重み生成部12により生成される重みセットは、要素作業が工程に配分される際に用いられる後述する評価値の算出に使用される。
【0027】
図5は、各要素作業に対応する重みセットの説明図である。図6は、各工程に対応する重みセットの説明図である。本実施形態の重み生成部12は、乱数を用いて、図5,6に示される複数の重みセットを生成する。図5には、各重みセットが有する「セットID」、「作業指数」、「工具A」、・・・、「作業1」等の指標値(例えば、作業指数の「12.70」)が表として示されている。指標値は、後述する評価値を算出するために用いられる数値である。図5に示されるように、重み生成部12は、複数の重みセットが有する指標値が互いに異なるように生成する。乱数を用いて生成される指標値として、例えば、「作業指数」の数値は、0以上20以下の範囲で生成される。「工具A」、「工具B」、および「工具C」の数値は、0以上10以下の範囲で生成される。「作業1」、「作業2」、・・・、および「作業11」の数値は、0以上1以下の範囲で生成される。
【0028】
図6に示される各項目の「工程指数」、「同一工具」、「工程1」、「工程2」、および「工程3」の各欄には、各重みセットが有する指標値が対応付けられている。なお、本実施形態では、タクトタイムが60(s)である場合の工程編成の例について説明する。図2に示される作業1~11までの合計の作業時間は、158(s)である。そのため、本実施形態では、3つ(≧158/60)の工程1~3に各要素作業が配分される。乱数を用いて生成される指標値として、例えば、「工程指数」および「同一工程」の数値は、
0以上10以下の範囲で設定される。「工程1」、「工程2」、および「工程3」の数値は、0以上1以下の範囲で設定される。
【0029】
図7は、作業情報から算出される各要素作業の指標値である。重み生成部12は、図2に示される各要素作業の作業情報を用いて、各要素作業の「平準化評価値」、「工具A」、・・・、「作業1」、・・・、および「作業11」に対応する指標値を算出する。平準化評価値は、各要素作業の作業時間を、最も長い作業時間である作業11の22(s)で除した値である。「工具A」、・・・、「作業1」、・・・、および「作業11」に対応する数値として、ゼロ又は1が割り当てられる。各要素作業を行うときに用いられる工具がある場合には、「工具A」、「工具B」、および「工具C」に1が割り当てられ、用いられない工具にはゼロが割り当てられる。「作業1」、・・・、および「作業11」には、各要素作業が対応する作業に「1」が割り当てられ、その他の場合にはゼロが割り当てられる。例えば、作業1の平準化評価値は、作業時間の14(s)を22(s)で除した0.64である。また、作業1では、工具Aを用いるため、「工具A」と「作業1」とに1が割り当てられる。
【0030】
図8は、作業情報から算出される各工程の指標値である。図8に示される各指標値は、工程1~3のいずれにも要素作業が配分されていない状態での初期値である。図8に示される各指標値は、工程1~3に1つの要素作業が配分される毎に更新されて変化する。重み生成部12は、要素作業が配分されていない初期状態において、各工程の「残り作業時間」を1(=100%)に設定する。残り作業時間が1である工程には、いずれの要素作業もまだ配分されていないことを意味する。「同一工具」には、既に工程に配分された要素作業に用いられる工具と同じ工具を使用する要素作業が配分される場合に1が割り当てられ、そうでない場合にはゼロが割り当てられる。例えば、工具Aを使用する作業1が工程1に配分された後に、同じ工具Aを使用する作業3が配分される場合には、工程1の「同一工具」の数値が1に割り当てられる。「工程1」、「工程2」、および「工程3」には、図7における「作業1」等と同じように、同じ工程の場合に1が割り当てられ、それ以外の工程の場合にゼロが割り当てられる。そのため、図8に示されるいずれの要素作業も配分されていない初期状態では、各工程の「同一工具」の指標値はゼロになる。
【0031】
配分決定部13は、作業情報と、制約情報に含まれる必達制約とを用いて、必達制約を充足した上で全ての各要素作業である作業1~11を配分可能な工程を算出する。そのために、配分決定部13は、各要素作業を工程に配分するために、図3に示される必達制約の作業順先行情報を用いて、各要素作業の先行作業時間と後行作業時間とを算出する。先行作業時間とは、特定の要素作業に先行して実施される要素作業の作業時間と、特定の要素作業の作業時間との合計の作業時間である。例えば、図3に示される例では、作業5は、作業1を先行作業としているため、作業5を終了するまでの先行作業時間は、作業1の作業時間と作業5の作業時間との合計である。
【0032】
後行作業時間とは、特定の要素作業の後に実施される要素作業の作業時間と、特定の要素作業の作業時間との合計の作業時間である。例えば、図3に示される例では、作業1を先行作業とする要素作業は作業5,6である。さらに、作業6は、作業9の先行作業であり、作業9は、作業10の先行作業であり、作業10は、作業11の先行作業である。そのため、作業1の後行作業時間は、作業1,5,6,9,10,11の作業時間を合計した時間である。
【0033】
図9は、各要素作業の先行作業時間と後行作業時間との説明図である。図9に示されるように、例えば、作業1~4の先行作業は、図3に示されるように存在しないため、作業1~4の先行作業時間は、各要素作業の作業時間と同じである。作業5の先行作業が作用1であるため、作業5の先行作業時間は、作業1の作業時間(14s)と作業5の作業時
間(10s)とを足した14(s)である。同じように、作業時間11の先行作業は、作業10である。さらに、作業10の先行作業は、作業9である。作業9の先行作業は、作業6~7である。作業6の先行作業が作業1,2であり、作業7の先行作業が作業3,4であり、作業8の先行作業が作業2である。このため、作業11の全ての先行作業は、作業1~4,6~10である。この結果、作業11の先行作業時間は、図9に示されるように、作業1~4および作業6~10の作業時間を含む148(s)である。
【0034】
作業1の後行作業は、作業5,6,9~11であるため、作業1の後行作業時間は、図9に示されるように、作業1と、作業5,6,9~11との作業時間を含む82(s)である。作業11の後行作業は存在しないため、作業11の後行作業時間は、作業11の作業時間である22(s)である。配分決定部13は、必達制約である各要素作業の実施順を用いて算出した先行作業時間と後行作業時間とを用いて、各要素作業を配分可能な工程を算出する。さらに、配分決定部13は、1つの要素作業がいずれかの工程に配分する毎に、配分した要素作業に応じて、必達制約と各要素作業の作業時間とを用いて、各要素作業を配分可能な工程を更新する。
【0035】
図10は、各要素作業の作業範囲時間についての説明図である。図10には、下限値を先行作業時間とし、上限値をタクトタイムの最大値(180=60s×3工程)から後行作業時間を引いた時間とする各要素作業の棒グラフが示されている。当該棒グラフの領域が、対応する要素作業の作業時間範囲である。例えば、作業1の作業範囲時間の下限値は、図9に示されるように14であり、作業1の上限値は、タクトタイムの最大値(180s)から後行作業時間(82s)を差し引いた98(s)である。なお、本実施形態では、工程1、工程2、工程3の順番に各要素作業が実施される。図10に示される棒グラフの作業時間範囲が、工程3までの間に全要素作業を終了し、かつ、要素作業が必達制約を充足した上で、配分可能な工程を示している。
【0036】
図11は、各要素作業が配分可能な工程の説明図である。図11には、図10から特定された各要素作業が配分可能な工程が表により示されている。図10に示されるように、例えば、配分決定部13は、まだいずれの要素作業も配分されていない初期状態で、作業1を工程1または工程2に配分できる。同じように、配分決定部13は、作業11を工程3のみに配分できる。配分決定部13は、図10および図11に示される各要素作業が配分可能な工程を、工程に1つの要素作業が配分される毎に変化させる。図11では、各要素作業について、最も先に作業が行われる工程が「最小工程」として表され、最も後に作業が行われる工程が「最大工程」として表されている。
【0037】
図12は、各要素作業の評価値についての説明図である。配分決定部13は、作業情報と、制約情報と、重みセットが有する各指標値とを用いて、各要素作業と各工程とに対する評価値を算出する。具体的には、配分決定部13は、要素作業を工程に配分する際に、図5に示される重みセットが有する指標値と、図7に示される各要素作業の指標値とを用いて図12に示される評価値を算出する。配分決定部13は、評価値を算出するために、図5に示される重みセットから1つの重みセット「1」を選択する。評価値は、図7に示される各評価値は、各要素作業の「指標評価値」、「工具A」、・・・、「作業1」、・・・、および「作業11」に対応する指標値と、図5に示される1つのセットIDの重みセットが有する指標値とを乗じた値である。配分決定部13は、各要素作業において算出された評価値を足した積算値和も算出する。なお、以降では、積算値和は、評価値に含まれる一要素として取り扱う。
【0038】
例えば、図12に示されるように、作業1の「指標評価値」は、図7に示される平準化評価値「0.64(=14/22)」と、図5に示される作業指数「12.70」とを乗じた8.08である。作業1の「工具A」の値は、図7に示される工具Aの値「1」と、
図5に示される工具Aの値「5.03」とを乗じた5.03である。作業1の「作業1」の値は、図7に示される作業1の値「1」と、図5に示される作業1の値「0.98」とを乗じた5.03である。作業1の積算値和は、以上の評価値を積算した14.09(=8.08+5.03+0.98)である。図12には、作業1と同じようにして算出された作業2~11の評価値が示されている。配分決定部13は、算出された図12に示される評価値と、図11に示される各要素作業を配分可能な工程とを用いて、各要素作業をそれぞれ配分した工程編成案を作成する。配分決定部13は、算出された積算値和を用いて、各要素作業を工程1~3に配分する際の要素作業の配分の順番を決定する。本実施形態では、配分決定部13は、積算値和が大きい要素作業から順番に工程に配分する。図12に示される例では、積算値和が最も大きい作業11から順番に、作業3,1,2,・・・,7,6の順に工程に配分される。
【0039】
図13は、各工程の評価値についての説明図である。配分決定部13は、要素作業を工程に配分する際に、図13に示される評価値を算出する。評価値は、図8に示される各工程の「残り作業時間」、「同一工具」、「工程1」、「工程2」、および「工程3」に対応する数値と、図6に示される1つの重みセットが有する指標値とを乗じた数値である。なお、図13の数値は、図12に示される評価値を算出するために用いられた重みセットID「1」と同じ、図6のセットIDが「1」の重みが用いられた場合の数値である。配分決定部13は、図12に示される評価値から決定された要素作業の配分の順番に沿って1つの要素作業がいずれかの工程に配分される毎に、図13に示される各工程に対する評価値を更新する。
【0040】
例えば、図13に示されるように、工程1の「残り作業時間」は、図8に示される残り作業時間「1」と、図6に示される工程指数「3.65」とを乗じた3.65である。工程1の「工程1」の値は、図8に示される工程1の値「1」と、図6に示される工程1の値「0.54」とを乗じた0.54である。工程1の積算値和は、以上の評価値を積算した4.19(=3.65+0.54)である。図13には、工程1と同じようにして算出された工程2,3の評価値が示されている。なお、図8に示される各指標値が1つの要素作業が配分される毎に変化するため、図13に示される評価値も、要素作業が配分される毎に変化する。換言すると、本実施形態では、図13に示される各工程の評価値は、要素作業が配分される毎に更新されるが、図12に示される各要素作業の評価値は、更新されない。
【0041】
図12,13に示される評価値では、配分決定部13は、初めに作業11を工程1~3のいずれかに配分する際の値である。図10,11に示されるように、作業11が配分可能な工程は「工程3」のみであるため、配分決定部13は、作業11を工程3に配分する。配分決定部13は、作業11の配分後に、図11に示される各要素作業を配分可能な工程を更新する。
【0042】
図14は、更新後の各要素作業を配分可能な工程の説明図である。図14の表は、図11の表と比較して、ハッチングで示されるように、既に工程3に配分された作業11が削除されている。なお、配分決定部13は、作業11の配分後に要素作業を配分可能な工程のいずれかが変化した場合には、当該変更を更新する。なお、図3に示されるように、作業11を先行作業とする要素作業が存在しないため、図14に示される各要素作業の最小工程および最大工程は変化しない。
【0043】
配分決定部13は、図14に示されるように各要素作業を配分可能な工程を更新すると、図8に示される各工程の指標値のうちの「残り作業時間」を更新する。図15は、更新後の作業情報から算出される各工程の指標値である。図15に示されるように、配分決定部13は、作業時間が22(s)の作業11を工程3に配分したため、工程3の残り作業
時間を0.63(=(60-22)/60)に更新する。配分決定部13は、更新した図15に示される指標値を用いて、図13に示される各工程の評価値を更新する。なお、図2に示されるように、作業11で使用される工具は工具Aである。作業11が配分される工程3で使用される工具Cは、作業11の次に配分される作業3では使用されないため、図16における「同一工具」の数値は、工程3を含むいずれの工程でもゼロのままである。
【0044】
図16は、更新後の各工程の評価値についての説明図である。作業11が工程3に配分されると、図15に示される工程3の指標値のうちの「残り作業時間」が0.63に減少するため、図16に示される工程3の「残り作業時間」の評価値と「積算値和」とが減少する。
【0045】
配分決定部13は、図14~16に示される表を更新すると、図12に示される積算値和のうち、既に配分された作業11の次に大きい作業3をいずれかの工程に配分する。配分決定部13は、図14に示される各要素作業を配分可能な工程から、作業3を工程1または工程2に配分する。本実施形態の配分決定部13は、図16に示される工程1の積算値和と、工程2の積算値和とのうちの大きい方の工程2に作業3を配分する。配分決定部13は、作業3を配分した後に、図14図16に示される表を更新する。
【0046】
図17は、更新後の各要素作業が配分可能な工程の説明図である。図17に示される表は、図14の表と比較して、図17においてハッチングで示されるように、既に配分された作業3,11が削除されている。さらに、図4に示されるように、作業3が作業7の先行作業であるため、作業7の「最小」の工程は工程1(図14)から工程2に変化する。
【0047】
図18は、更新後の作業情報から算出される各工程の指標値である。図18に示されるように、配分決定部13は、図15に示される状態から、作業時間が18(s)の作業3を工程2に配分したため、工程2の残り作業時間を0.70(=(60-18)/60)に更新する。さらに、図2に示されるように、作業3で使用される工具は工具Aであり、作業3の次に配分される作業1で使用される工具と同じである。そのため、配分決定部13は、作業3が配分される工程2における「同一工具」の指標値を1に更新する。配分決定部13は、更新した図18に示される指標値を用いて、図16に示される各工程の評価値を更新する。
【0048】
図19は、更新後の各工程の評価値についての説明図である。作業3が工程2に配分されると、図18に示される工程2の「残り作業時間」が0.70に減少するため、図19に示される工程2の「残り作業時間」が減少する。一方で、図18に示される工程2の「同一工具」の数値が1である。そのため、この数値「1」に図6に示される重みセット1の「同一工具」の数値である9.56を乗じた9.56が図19の「同一工具」の評価値として更新される。その結果、図19に示される工程2の積算値和は、13.01(=2.55+9.56+0.89)となる。配分決定部13は、以上のような未配分の各要素作業を工程1~3のいずれかに配分する処理を、全要素作業が配分されるまで繰り返す。
【0049】
図20は、工程編成案についての説明図である。図20には、配分決定部13により、各重みセットに対して各要素作業が工程1~3のいずれかに配分された工程編成案が示されている。図20に示されるように、各要素作業のいくつかは、選択された重みセットに応じて異なる工程に配分され得る。例えば、作業1は、重みセットIDが1の場合には工程2に配分されているが、重みセットIDが2または3の場合には工程1に配分されている。
【0050】
図21は、工程編成案の評価の説明図である。配分決定部13は、各重みセットに対応する各工程編成案を評価する。図21には、各工程編成案において、工程1~3の全作業
を終了するまでの作業時間と、工程間のばらつきを表す標準偏差と、制約情報の充足状況とが表により示されている。制約情報の充足状況では、図4に示される必達制約である作業順序と、充足することが好ましい同一工程に同一工具が用いられているか否かの判定と、が示されている。例えば、重みセットIDが「1」に対応する工程編成案では、工程間ばらつきが5.73で、必達制約である作業順先行情報を充足しており、同じ工具を使用する作業の全ては同じ工程に配分されている。一方で、重みセットIDが「2」に対応する工程編成案では、工程間ばらつきが3.77で、作業順先行情報を充足しており、工具Aを使用する作業の全ては同じ工程に配分され、工具Bを使用する作業2,4は別の工程1と工程2とに、工具Cを使用する作業5,11は別の工程1と工程3とに分けられている。配分決定部13は、作成した工程編成案を工程編成DB52に記憶させる。
【0051】
図1に示される出力部14は、図20,21に示される工程編成案および工程編成案の評価を画像としてモニタ30に表示する。図22は、工程作業時間の評価一例である。出力部14は、図22に示される各工程編成案における工程1~3の作業時間の合計を棒グラフとしてモニタ30に表示する。表示される一例としての棒グラフでは、各工程1~3に配分された各要素作業が作業時間に応じて区切られて表示される。出力部14およびモニタ30は、編成案出力部に相当する。
【0052】
2.作業配分フロー:
図23は、本実施形態の作業配分方法のフローチャートである。図23に示される作業配分フローでは、初めに、情報取得部11が、各要素作業の作業時間と、制約情報とを作業情報DB51から取得する(ステップS1)。重み生成部12は、乱数を用いて、図5,6に示される複数の重みセットを生成する(ステップS2)。配分決定部13は、重み生成部12により生成された複数の重みセットから、1つの重みセットを選択する(ステップS3)。以降では、重みセットID「1」が選択された場合について説明する。
【0053】
配分決定部13は、図2に示される各要素作業の作業時間と、図3に示される必達制約である各要素作業の作業先行情報とを用いて、図9に示される先行作業時間および後行作業時間を算出する(ステップS4)。配分決定部13は、算出された先行・後行作業時間から、図10に示される各要素作業の作業範囲時間と、図11に示される各要素作業が配分可能な工程(最小工程,最大工程)と、を算出する。
【0054】
配分決定部13は、各要素作業の評価値を算出して、算出した評価値に基づいて配分する工程を決定する(ステップS6)。配分決定部13は、工程に配分する1つの作業を決定するために、選択された1つの重みセットが有する指標値と、図7に示される各要素作業等の指標値とを用いて、図12に示される各要素作業の評価値を算出する。本実施形態では、配分決定部13は、図12に示される積算値和の評価値が高い要素作業から順番に工程に配分する。この結果、重みセットIDが1の場合には、配分決定部13は、作業11,3,1,・・・,7,6の順番に工程に配分する。配分決定部13は、図11に示される各要素作業を配分可能な工程を用いて、作業11を工程3に配分する。なお、図11に示される作業11の最小工程と最大工程とが異なる場合には、配分決定部13は、図13に示される評価値の積算値和が大きい工程に作業11を配分する。
【0055】
作業11が工程3に配分されると、配分決定部13は、図11に示される各要素作業を配分可能な工程を図14のように更新する(ステップS7)。配分決定部13は、作業11が工程3に配分された後に、図8に示される各工程の指標値を図15に示される指標値のように更新する。配分決定部13は、更新された指標値と、重みセットが有する指標値とを用いて、図13に示される各工程の評価値を図16に示される評価値へと更新する。
【0056】
配分決定部13は、全ての要素作業の配分が終了したか否かを判定する(ステップS8
)。全ての要素作業の配分が終了していない場合には(ステップS8:NO)、配分が終了していない各要素作業について、ステップS6以降の処理が行われる。配分決定部13は、作業11の配分終了後に、作業3を配分する工程を決定する(ステップS6)。図14に示されるように、作業3を配分可能な工程は、工程1と工程2とである。この場合に、配分決定部13は、図16に示される各工程の評価値において、工程1と工程2との積算値和のうち、積算値和が高い方の工程2に作業3を配分する。
【0057】
作業3が工程2に配分されると、配分決定部13は、図14に示される各要素作業を配分可能な工程を図17のように更新する(ステップS7)。図17に示されるように、作業3が作業7の先行作業であるため、作業7の最小工程は工程2に変化する。作業3が工程2に配分されると、図15に示される各工程の指標値は、図18に示される指標値へと更新される。ここで、作業3の次に工程に配分される作業1は、図2に示されるように、作業3と同じ工具Aが用いられる。そのため、図18に示される各工程の指標値のうちの第2工程の「同一工具」の指標値がゼロから1に更新される。この結果、配分決定部13は、図16に示される各工程の評価値を、図19に示される評価値へと更新する。
【0058】
ステップS8の処理において、作業11,3と同じように、全ての要素作業の配分が行われ、全要素作業の配分が終了したと判定された場合には(ステップS8:YES)、配分決定部13は、図5に示される全ての重みセットの選択を終了したか否かを判定する(ステップS9)。配分決定部13は、選択していない重みセットがある場合には(ステップS9:NO)、選択していない新たな重みセットを1つ選択し(ステップS3)、ステップS4以降の処理が行われる。
【0059】
ステップS9の処理において、全ての重みセットの選択が終了した場合には(ステップS9:YES)、出力部14は、各重みセットに対応して算出された工程編成案をモニタ30へと出力し(ステップS10)、作業配分フローが終了する。出力部14は、例えば、図20~22に示される表等を画像としてモニタ30に出力する。
【0060】
3.効果
以上説明したように、本実施形態の作業配分装置100は、各要素作業が工程に配分される際に用いられる複数の重みセットを生成する重み生成部12を備える。重みセットは、要素作業が工程に配分される際に用いられる後述する評価値の算出に使用される。複数の重みセットが有する指標値は、互いに異なる。配分決定部13は、作業情報と、制約情報に含まれる必達制約とを用いて、必達制約を充足した上で全ての各要素作業である作業1~11を配分可能な工程を算出する。配分決定部13は、作業情報と、制約情報と、重みセットが有する各指標値とを用いて、各要素作業と各工程とに対する評価値を算出する。配分決定部13は、算出された図12に示される評価値と、図11に示される各要素作業を配分可能な工程とを用いて、各要素作業をそれぞれ配分した工程編成案を作成する。本実施形態の作業配分装置100は、重みセットが有する指標値と、制約情報に基づく指標値とを用いて算出される評価値を用いた複数の工程編成案を作成する。各要素作業を配分可能な工程は、必達制約を充足するように算出されているため、作成された複数の工程編成案は必達情報を充足する。そのため、本実施形態では、必達制約を充足しない工程編成案が作成されないため、作業配分装置100は、少ない時間で複数の工程編成案を作成できる。さらに、複数の重みセットが有する互いに異なる指標値を用いた評価値によって工程編成案が作成されているため、作業配分装置100は、偏りのない多様な工程編成案を作成できる。すなわち、本実施形態の作業配分装置100によれば、品質等にかかる制約情報を最大限に充足し、多様かつ偏りによる見逃しのない生産性の高い工程編成案が作成される。この結果、工程編成を設計する生産設計者の負荷の低減、および生産性向上によるコスト削減を実現できる。すなわち、本実施形態によれば、最適な工程編成案を作成するまでの時間を低減した上で、複数の工程編成案において偏りのない多様な工程編成案
を提供できる。
【0061】
また、本実施形態の配分決定部13は、算出された評価値を用いて、各要素作業を工程1~3に配分する際の要素作業の配分の順番を決定する。配分決定部13は、決定された要素作業の配分の順番に沿って1つの要素作業がいずれかの工程に配分される毎に、評価値を更新する。本実施形態の作業配分装置100では、重みセットを用いて算出された評価値を用いて各要素作業が工程にそれぞれ配分される。1つの要素作業が工程に配分された後に評価値が更新されることにより、更新後の評価値は、制約情報を充足した上で次に配分される要素作業が最適化された数値である。そのため、本実施形態の作業配分装置100は、複数の重みセットが有する異なる指標値に応じて、多様でより生産性の高い工程編成案を作成できる。
【0062】
また、本実施形態の制約情報は、各要素作業間において、各要素作業の先行作業情報に関して必ず充足しなければならない必達制約を含んでいる。配分決定部13は、必達制約である各要素作業の実施順を用いて、各要素作業を配分可能な工程を算出する。すなわち、本実施形態では、算出された必達制約を充足する各要素作業が配分可能な工程から、各要素作業が配分される工程が決定される。そのため、必達制約を充足しない工程編成案が作成されないため、作業配分装置100は、少ない時間で複数の工程編成案を作成できる。
【0063】
また、本実施形態の配分決定部13は、各要素作業を工程に配分するために、必達制約を用いて、各要素作業の先行作業時間と後行作業時間とを算出する。配分決定部13は、先行作業時間と後行作業時間とを用いて、各要素作業を配分可能な工程を算出する。先行作業時間とは、特定の要素作業に先行して実施される要素作業の作業時間と、特定の要素作業の作業時間との合計の作業時間である。後行作業時間とは、特定の要素作業の後に実施される要素作業の作業時間と、特定の要素作業の作業時間との合計の作業時間である。本実施形態では、先行作業時間と後行作業時間とが用いられることにより、予め設定された工程のタクトタイム内に全ての要素作業が配分されるように、各要素作業を配分可能な工程が算出される。そのため、本実施形態の作業配分装置100は、必ず必達制約を充足する工程編成案を作成できる。
【0064】
また、本実施形態の配分決定部13は、1つの要素作業がいずれかの工程に配分する毎に、配分した要素作業に応じて、必達制約と各要素作業の作業時間とを用いて、各要素作業を配分可能な工程を更新する。配分される特定の要素作業が配分可能な工程に配分された場合に、特定の要素作業が配分された工程に応じて、特定の要素作業の先行作業および後行作業を配分可能な工程が変化する場合がある。本実施形態では、1つの要素作業がいずれかの工程に配分された後に、まだ配分されていない要素作業を配分可能な工程が更新される。そのため、本実施形態の作業配分装置100は、必ず必達制約を充足する工程編成案を作成できる。
【0065】
また、本実施形態の制約情報は、充足されることが好ましい制約情報として、要素作業で使用される工具A~Cについての充足制約を含んでいる。配分決定部13は、充足制約の充足有無に応じて、後述するように評価値を変化させる。本実施形態の作業配分装置100は、充足しなくてもよい充足制約を評価値として算出することにより、必達制約を充足した上で、充足制約の充足する工程編成案と充足しない工程編成案とを作成できる。すなわち、充足制約の充足有無に応じた評価値に応じて、多様でより生産性の高い工程編成案を作成できる。
【0066】
また、本実施形態の出力部14は、工程編成案および工程編成案の評価を画像としてモニタ30に表示する。そのため、本実施形態では、作成された複数の工程編成案および各
工程編成案の評価値を、生産設計者に認識しやすい態様で出力できる。
【0067】
<実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。また、上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0068】
[変形例1]
上記実施形態では、作業配分装置100の一例について説明したが、作業配分装置100が備える構成および実行する制御については、変形可能である。例えば、作業配分装置100は、モニタ30と、入力部40と、記憶部50とを備えていなくてもよい。この場合に、作業配分装置100は、工程編成案を出力しなくてもよいし、通信部を介して、異なる装置に工程編成案を送信してもよい。
【0069】
情報取得部11は、作業情報と制約情報とを記憶部50の作業情報DB51から取得したが、通信部を介した無線または有線の通信によって取得してもよい。本実施形態の制約情報は、必達情報と充足情報とを含んでいたが、例えば、充足情報を含んでおらず、必達情報のみを含んでいてもよい。制約情報は、作業順先行情報の代わりの必達情報を含んでいていてもよいし、複数の必達制約を含んでいてもよい。また、制約情報は、工具以外の要素に関連する充足情報を含んでいてもよい。
【0070】
重み生成部12は、乱数を用いて複数の指標値を有する重みセットを生成したが、他の方法によって重みセットの生成または取得を行ってもよい。例えば、重みセットは、入力部40を介して生産設計者により入力された数値であってもよい。重みセットは、以前の異なる要素作業が配分された工程編成案に用いられた重みセットと同じであってもよい。
【0071】
配分決定部13は、複数の重みセットが有する指標値を用いた評価値を算出し、算出した評価値を用いて各要素作業を工程に配分して工程編成案を作成する範囲で、変形可能である。例えば、上記実施形態では、評価値は、重みセットが有する指標値と、各要素作業により設定される指標値または各工程により設定される指標値とを乗じた値として算出されたが、周知技術の範囲で別の算出方法により算出されてもよい。
【0072】
上記実施形態では、配分決定部13は、1つの要素作業をいずれかの工程に配分した後に評価値を更新していたが、最初に算出した評価値を更新せずに、各要素作業をいずれかの工程に配分してもよい。配分決定部13は、先行作業時間と後行作業時間とを算出せずに、各要素作業を配分可能な工程を算出しなくてもよい。配分決定部13は、1つの要素作業がいずれかの工程に配分される毎に、残りの要素作業を配分可能な工程を更新していたが、これ以外の更新方法を行ってもよい。例えば、配分決定部13は、最初に算出された配分可能工程から更新しなくてもよいし、2つの要素作業がいずれかの工程に配分される毎に更新してもよい。作成された複数の工程編成案において、制約情報が必達制約を含む場合には、作成された工程編成案の評価に必達制約を充足しているか否かの判定が出力されてもよい。また、配分決定部13は、図12に示される各要素作業の評価値を更新しなかったが、所定の数の要素作業がいずれかの工程に配分される毎に、周知技術を用いて適宜更新してもよい。
【0073】
上記実施形態では、出力部14は、複数の工程編成案に対して、図21に示される制約情報の充足有無と、工程間ばらつきとについて評価したが、評価する項目については周知技術の範囲で変形可能である。
【0074】
[変形例2]
図24は、変形例の作業配分方法のフローチャートである。変形例の作業配分フローでは、初めに、情報取得部11が作業情報および制約情報を取得する情報取得処理を行う(ステップS11)。重み生成部12は、複数の重みセットを取得する重み取得処理を行う(ステップS12)。配分決定部13は、作業情報と、制約情報と、重みセットが有する指標値とを用いて、各要素作業と各工程とに対する評価値を算出する配分可能工程算出処理を行う(ステップS13)。配分可能工程算出処理では、さらに、配分決定部13が、算出された評価値を用いて、制約情報を充足した上で、全ての各要素作業を配分可能な工程を算出する。次に、配分決定部13は、算出された配分可能な工程を用いて各要素作業を、配分可能な工程のうちのいずれかの工程に配分した工程編成案を作成する(ステップS14)。
【0075】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0076】
10…CPU
11…情報取得部
12…重み生成部(重み取得部)
13…配分決定部(配分工程決定部)
14…出力部(編成案出力部)
21…ROM
22…RAM
30…モニタ(編成案出力部)
40…入力部
50…記憶部
51…作業情報DB
52…工程編成DB
100…作業配分装置
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