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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20241213BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20241213BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20241213BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
H01L23/28 J
H01L25/04 C
H01L23/36 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021193302
(22)【出願日】2021-11-29
(65)【公開番号】P2023079704
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大曲 湧也
(72)【発明者】
【氏名】横山 脩平
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-083927(JP,A)
【文献】特開2021-144984(JP,A)
【文献】特開2017-034079(JP,A)
【文献】特開2020-065078(JP,A)
【文献】特開2013-258321(JP,A)
【文献】特開2019-075476(JP,A)
【文献】特開2003-124437(JP,A)
【文献】特開2013-161956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 25/07
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体素子と、
前記パワー半導体素子を封止しているモールド樹脂とを備え、
前記モールド樹脂は、平面視において、第1方向に沿って延びている第1辺及び第2辺と前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びている第3辺及び第4辺とにより構成されている矩形状であり、
前記第1辺の長さは、前記第3辺の長さよりも大きく、
前記モールド樹脂には、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に沿って前記モールド樹脂を貫通している第1ねじ穴及び第2ねじ穴が形成されており、
前記第1ねじ穴の前記第2方向における中央及び前記第2ねじ穴の前記第2方向における中央を通る第1仮想直線は、前記第1方向に沿って延びており、かつ前記第2方向における前記モールド樹脂の中央よりも前記第2辺側にあり、
前記パワー半導体素子の前記第2方向における中央を通り、かつ前記第1方向に沿って延びている第2仮想直線と前記第1仮想直線との間の距離は、2mm以下であ
前記モールド樹脂により封止されているブートストラップダイオード、第1端子及び第2端子をさらに備え、
前記第1端子の一部は、前記第1辺から前記第2方向に沿って突出しており、
前記第2端子の一部は、前記第3辺から前記第1方向に沿って突出しており、
前記第1端子及び前記第2端子は、前記ブートストラップダイオードを介して互いに電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
前記第2端子と前記第1仮想直線との間の距離は、3mm以上である、請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記モールド樹脂は、硬化収縮系の樹脂材料により形成されている、請求項1又は請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
パワー半導体素子と、
前記パワー半導体素子を封止しているモールド樹脂とを備え、
前記モールド樹脂は、平面視において、第1方向に沿って延びている第1辺及び第2辺と前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びている第3辺及び第4辺とにより構成されている矩形状であり、
前記第1辺の長さは、前記第3辺の長さよりも大きく、
前記モールド樹脂には、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に沿って前記モールド樹脂を貫通している第1ねじ穴及び第2ねじ穴が形成されており、
前記第1ねじ穴の前記第2方向における中央及び前記第2ねじ穴の前記第2方向における中央を通る第1仮想直線は、前記第1方向に沿って延びており、かつ前記第2方向における前記モールド樹脂の中央よりも前記第2辺側にあり、
前記パワー半導体素子の前記第2方向における中央を通り、かつ前記第1方向に沿って延びている第2仮想直線と前記第1仮想直線との間の距離は、2mm以下であり、
放熱板と、
前記放熱板上に配置されている絶縁シートと、
前記絶縁シート上に配置されているダイパッドを有するリードフレームと、
前記ダイパッド上に配置されている接合材とをさらに備え、
前記放熱板、前記絶縁シート及び前記リードフレームは、前記放熱板が前記モールド樹脂の底面から露出するように前記モールド樹脂により封止されており、
前記パワー半導体素子は、前記接合材上に配置されており、
前記放熱板の前記第2方向における中央を通り、かつ前記第1方向に沿っている第3仮想直線と前記第1仮想直線との間の距離は、2mm以下である半導体装置。
【請求項5】
パワー半導体素子と、
前記パワー半導体素子を封止しているモールド樹脂とを備え、
前記モールド樹脂は、平面視において、第1方向に沿って延びている第1辺及び第2辺と前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びている第3辺及び第4辺とにより構成されている矩形状であり、
前記第1辺の長さは、前記第3辺の長さよりも大きく、
前記モールド樹脂には、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に沿って前記モールド樹脂を貫通している第1ねじ穴及び第2ねじ穴が形成されており、
前記第1ねじ穴の前記第2方向における中央及び前記第2ねじ穴の前記第2方向における中央を通る第1仮想直線は、前記第1方向に沿って延びており、かつ前記第2方向における前記モールド樹脂の中央よりも前記第2辺側にあり、
前記パワー半導体素子の前記第2方向における中央を通り、かつ前記第1方向に沿って延びている第2仮想直線と前記第1仮想直線との間の距離は、2mm以下であり、
放熱板と、
前記放熱板上に配置されている絶縁層と、
前記絶縁層上に配置されている導体パターンと、
前記導体パターン上に配置されている接合材とをさらに備え、
前記放熱板、前記絶縁層及び前記導体パターンは、前記放熱板が前記モールド樹脂の底面から露出するように前記モールド樹脂により封止されており、
前記パワー半導体素子は、前記接合材上に配置されており、
前記放熱板の前記第2方向における中央を通り、かつ前記第1方向に沿っている第3仮想直線と前記第1仮想直線との間の距離は、2mm以下である半導体装置。
【請求項6】
前記パワー半導体素子は、逆導通IGBTである、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2018-107364号公報(特許文献1)には、半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と、フリーホイールダイオードと、封止体とを有している。
【0003】
IGBT及びフリーホールダイオードは、封止体により封止されている。封止体は、平面視において、第1方向に沿って延びている第1辺及び第2辺と第1方向に直交する第2方向に沿って延びている第3辺及び第4辺とにより構成されている矩形状になっている。封止体には、第1ねじ穴及び第2ねじ穴が形成されている。第1ねじ穴の第2方向における中央及び第2ねじ穴の第2方向における中央を通る仮想直線(第1仮想直線)は、第1方向に沿っており、かつ第2方向における封止体の中央を通っている。特許文献1に記載の半導体装置は、第1ねじ穴及び第2ねじ穴にねじが通されるとともに、ねじが放熱装置に螺合されることにより、放熱装置に取り付けられる。
【0004】
IGBTは、平面視において、第1仮想直線の近傍に配置されている。他方で、フリーホールダイオードは、平面視において、IGBTよりも第1仮想直線から第2辺側に離れた位置にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-107364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
IGBT及びフリーホイールダイオードは、1チップ化されることがある。すなわち、IGBT及びフリーホールダイオードに代えて、逆導通IGBT(Reverse Conducting IGBT:RC-IGBT)が用いられることがある。この場合、特許文献1に記載の半導体装置は、逆導通IGBTの第2方向における中央を通り、かつ第1方向に沿っている仮想直線(第2仮想直線)が第1仮想直線からずれてしまい、放熱装置にねじ止めされた際の放熱性が不十分となるおそれがある。
【0007】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、放熱装置にねじ止めされた際の放熱性を改善可能な半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の半導体装置は、パワー半導体素子と、パワー半導体素子を封止しているモールド樹脂とを備えている。モールド樹脂は、平面視において、第1方向に沿って延びている第1辺及び第2辺と第1方向に直交する第2方向に沿って延びている第3辺及び第4辺とにより構成されている矩形状である。第1辺の長さは、第3辺の長さよりも大きい。モールド樹脂には、第1方向及び第2方向に直交する第3方向に沿ってモールド樹脂を貫通している第1ねじ穴及び第2ねじ穴が形成されている。第1ねじ穴の第2方向における中央及び第2ねじ穴の第2方向における中央を通る第1仮想直線は、第1方向に沿って延びており、かつ第2方向におけるモールド樹脂の中央よりも第2辺側にある。パワー半導体素子の第2方向における中央を通り、かつ第1方向に沿って延びている第2仮想直線と第1仮想直線との間の距離は、2mm以下である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の半導体装置によると、放熱装置にねじ止めされた際の放熱性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】半導体装置100の概略構成図である。
図2】半導体装置100の平面図である。
図3図2中のIII-IIIにおける断面図である。
図4】半導体装置200の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る半導体装置を説明する。実施の形態1に係る半導体装置を、半導体装置100とする。
【0012】
(半導体装置100の構成)
以下に、半導体装置100の構成を説明する。
【0013】
図1は、半導体装置100の概略構成図である。図1に示されるように、半導体装置100は、インバータ回路10と、制御素子20と、制御素子30と、複数のブートストラップダイオード40とを有している。
【0014】
インバータ回路10は、例えば3相インバータ回路である。インバータ回路10は、複数の逆導通IGBT11を有している。図1に示される例では、逆導通IGBT11の数は、6つである。逆導通IGBT11は、IGBT12と、フリーホイールダイオード13とを有している。IGBT12及びフリーホイールダイオード13は、1つの半導体基板にモノリシックに形成されている。フリーホイールダイオード13は、IGBT12に逆バイアスされるように接続されている。
【0015】
インバータ回路10は、インバータ電源端子10aと、出力端子10b、出力端子10c及び出力端子10dと、出力端子10e、出力端子10f及び出力端子10gとを有している。インバータ回路10が有している6つの逆導通IGBT11を、それぞれ、逆導通IGBT11a、逆導通IGBT11b、逆導通IGBT11c、逆導通IGBT11d、逆導通IGBT11e及び逆導通IGBT11fとする。逆導通IGBT11aのコレクタ電極、逆導通IGBT11bのコレクタ電極及び逆導通IGBT11cのコレクタ電極は、インバータ電源端子10aに接続されている。
【0016】
逆導通IGBT11aのエミッタ電極及び逆導通IGBT11dのコレクタ電極は、出力端子10bに接続されている。逆導通IGBT11bのエミッタ電極及び逆導通IGBT11eのコレクタ電極は、出力端子10cに接続されている。逆導通IGBT11cのエミッタ電極及び逆導通IGBT11fのコレクタ電極は、出力端子10dに接続されている。
【0017】
逆導通IGBT11dのエミッタ電極、逆導通IGBT11eのエミッタ電極及び逆導通IGBT11fのエミッタ電極は、それぞれ、出力端子10e、出力端子10f及び出力端子10gに接続されている。なお、出力端子10b及び出力端子10eは例えばU相の出力端子であり、出力端子10c及び出力端子10fは例えばV相の出力端子であり、出力端子10d及び出力端子10gはW相の出力端子である。
【0018】
逆導通IGBT11aのゲート電極、逆導通IGBT11bのゲート電極及び逆導通IGBT11cのゲート電極は、制御素子20に接続されている。逆導通IGBT11dのゲート電極、逆導通IGBT11eのゲート電極及び逆導通IGBT11fのゲート電極は、制御素子30に接続されている。このことを別の観点から言えば、制御素子20は高圧側の制御回路であり、制御素子30は低圧側の制御回路である。
【0019】
制御素子20は、制御電源端子20aと、駆動電源端子20b、駆動電源端子20c及び駆動電源端子20dとを有している。制御電源端子20aからは、制御素子20の制御電源電圧が供給される。駆動電源端子20b、駆動電源端子20c及び駆動電源端子20dからは、制御素子20の駆動電源電圧が供給される。駆動電源端子20b、駆動電源端子20c及び駆動電源端子20dは、それぞれU相用、V相用及びW相用である。なお、制御素子20のその他の端子及び制御素子30の端子は、図示を省略している。
【0020】
制御素子20は、レベルシフト回路及びゲート駆動回路を有しており、各端子からの入力に基づいて、逆導通IGBT11a、逆導通IGBT11b及び逆導通IGBT11cへのゲート駆動信号を出力する。制御素子30は、レベルシフト回路及びゲート駆動回路を有しており、各端子からの入力に基づいて、逆導通IGBT11d、逆導通IGBT11e及び逆導通IGBT11fへのゲート駆動信号を出力する。
【0021】
図1に示される例では、ブートストラップダイオード40の数は、3つである。これら3つのブートストラップダイオード40を、ブートストラップダイオード40a、ブートストラップダイオード40b及びブートストラップダイオード40cとする。ブートストラップダイオード40aは、制御電源端子20aと駆動電源端子20bとの間に接続されている。ブートストラップダイオード40bは、制御電源端子20aと駆動電源端子20cとの間に接続されている。ブートストラップダイオード40cは、制御電源端子20aと駆動電源端子20dとの間に接続されている。
【0022】
図2は、半導体装置100の平面図である。図2中では、モールド樹脂50が点線により示されている。図2中では、放熱板70が一点鎖線により示されている。図3は、図2中のIII-IIIにおける断面図である。図2及び図3に示されるように、半導体装置100は、モールド樹脂50と、リードフレーム60と、放熱板70と、絶縁シート80とを有している。
【0023】
モールド樹脂50は、複数の逆導通IGBT11、制御素子20、制御素子30、複数のブートストラップダイオード40、リードフレーム60、放熱板70及び絶縁シート80を封止している。モールド樹脂50は、樹脂材料により形成されている。モールド樹脂50は、好ましくは、硬化収縮系の樹脂材料により形成されている。硬化収縮系の樹脂材料は、硬化に伴い収縮する樹脂材料である。硬化収縮系の樹脂材料の具体例としては、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0024】
モールド樹脂50は、平面視において、第1方向DR1に沿って延びている第1辺50a及び第2辺50bと第2方向DR2に沿って延びている第3辺50c及び第4辺50dとから構成されている矩形状である。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交する方向である。第1辺50aの長さ及び第2辺50bの長さは、第3辺50cの長さよりも大きく、第4辺50dの長さよりも大きい。
【0025】
モールド樹脂50には、第1ねじ穴51及び第2ねじ穴52が形成されている。第1ねじ穴51及び第2ねじ穴52は、第3方向DR3に沿ってモールド樹脂50を貫通している。このことを別の観点から言えば、第1ねじ穴51及び第2ねじ穴52は、厚さ方向に沿ってモールド樹脂50を貫通している。第3方向DR3は、第1方向DR1及び第2方向DR2に直交する方向である。第1ねじ穴51は、第3辺50cの近くに配置されている。第1ねじ穴51は、第3辺50cに達していてもよい。第2ねじ穴52は、第4辺50dの近くに配置されている。第2ねじ穴52は、第4辺50dに達していてもよい。
【0026】
第1ねじ穴51の第2方向DR2における中央及び第2ねじ穴52の第2方向DR2における中央を通る仮想直線を、第1仮想直線L1とする。第1仮想直線L1は、第1方向DR1に沿っている。第1仮想直線L1は、第2方向DR2におけるモールド樹脂50の中央よりも第2辺50b側にある。
【0027】
リードフレーム60は、複数のフレーム61を有している。フレーム61は、ダイパッド部62と、リード部63とを有している。リードフレーム60は、さらに、複数のリード64を有している。逆導通IGBT11a、逆導通IGBT11b及び逆導通IGBT11cが配置されるフレーム61を、フレーム61aとする。
【0028】
逆導通IGBT11dが配置されるフレーム61、逆導通IGBT11eが配置されるフレーム61及び逆導通IGBT11fが配置されるフレーム61を、それぞれ、フレーム61b、フレーム61c及びフレーム61dとする。制御素子20及び制御素子30が配置されるフレーム61を、フレーム61eとする。ブートストラップダイオード40aが配置されるフレーム61、ブートストラップダイオード40bが配置されるフレーム61及びブートストラップダイオード40cが配置されるフレーム61を、それぞれ、フレーム61f、フレーム61g及びフレーム61hとする。
【0029】
フレーム61aのダイパッド部62上には、逆導通IGBT11a、逆導通IGBT11b及び逆導通IGBT11cが配置されている。フレーム61aのダイパッド部62と逆導通IGBT11aとの間、フレーム61aのダイパッド部62と逆導通IGBT11bとの間及びフレーム61aのダイパッド部62と逆導通IGBT11cとの間には、接合材65が配置されている。これにより、逆導通IGBT11aのコレクタ電極、逆導通IGBT11bのコレクタ電極及び逆導通IGBT11cのコレクタ電極は、フレーム61aのダイパッド部62に接続される。接合材65は、例えば、はんだ合金により形成されている。
【0030】
なお、フレーム61aのリード部63は、インバータ電源端子10aに対応している。フレーム61aのリード部63は、平面視において、第2辺50bから突出している。
【0031】
フレーム61b、フレーム61c及びフレーム61dのダイパッド部62上には、それぞれ逆導通IGBT11d、逆導通IGBT11e及び逆導通IGBT11fが配置されている。フレーム61bのダイパッド部62と逆導通IGBT11dとの間、フレーム61cのダイパッド部62と逆導通IGBT11eとの間及びフレーム61dのダイパッド部62と逆導通IGBT11fとの間には、接合材65が配置されている。これにより、逆導通IGBT11dのコレクタ電極、逆導通IGBT11eのコレクタ電極及び逆導通IGBT11fのコレクタ電極は、それぞれ、フレーム61b、フレーム61c及びフレーム61dのダイパッド部62に接続される。
【0032】
逆導通IGBT11aのエミッタ電極、逆導通IGBT11bのエミッタ電極及び逆導通IGBT11cのエミッタ電極は、それぞれ、図示しないボンディングワイヤにより、フレーム61b、フレーム61c及びフレーム61dに接続されている。
【0033】
なお、フレーム61b、フレーム61c及びフレーム61dのリード部63は、それぞれ、出力端子10b、出力端子10c及び出力端子10dに対応している。フレーム61b、フレーム61c及びフレーム61dのリード部63は、平面視において、第2辺50bから突出している。
【0034】
逆導通IGBT11a、逆導通IGBT11b、逆導通IGBT11c、逆導通IGBT11d及び逆導通IGBT11eは、第1方向DR1に沿って列をなすように並んでいる。逆導通IGBT11a、逆導通IGBT11b、逆導通IGBT11c、逆導通IGBT11d及び逆導通IGBT11eの第2方向DR2における中央を通る仮想直線を、第2仮想直線L2とする。第2仮想直線L2は、第1方向DR1に沿っている。第1仮想直線L1と第2仮想直線L2との間の距離は、2mm以下である。第1仮想直線L1及び第2仮想直線L2は、同一直線上にあることが好ましい。
【0035】
フレーム61eのダイパッド部62上には、制御素子20及び制御素子30が配置されている。制御素子20及び制御素子30は、平面視において、第1方向DR1に沿って並んでいる。制御素子20及び制御素子30は、平面視において、第1仮想直線L1よりも第1辺50a側にある。フレーム61のリード部63は、平面視において、第1辺50aから突出している。
【0036】
フレーム61f、フレーム61g及びフレーム61hのダイパッド部62上には、それぞれ、ブートストラップダイオード40a、ブートストラップダイオード40b及びブートストラップダイオード40cが配置されている。ブートストラップダイオード40a、ブートストラップダイオード40b及びブートストラップダイオード40cは、平面視において、第1方向DR1に沿って並んでいる。ブートストラップダイオード40a、ブートストラップダイオード40b及びブートストラップダイオード40cは、平面視において、制御素子20及び制御素子30よりも第1辺50a側にある。
【0037】
図示されていないが、フレーム61fのダイパッド部62とブートストラップダイオード40aとの間、フレーム61gのダイパッド部62とブートストラップダイオード40bとの間及びフレーム61hのダイパッド部62とブートストラップダイオード40cとの間には、接合材65が配置されている。これにより、ブートストラップダイオード40aのアノード電極、ブートストラップダイオード40bのアノード電極及びブートストラップダイオード40cのアノード電極は、それぞれ、フレーム61f、フレーム61g及びフレーム61hのダイパッド部62に接続される。
【0038】
なお、フレーム61f、フレーム61g及びフレーム61hのリード部63は、それぞれ、駆動電源端子20b、駆動電源端子20c及び駆動電源端子20dに対応している。フレーム61f、フレーム61g及びフレーム61hのリード部63は、平面視において第1辺50aから突出している。
【0039】
リード64の一部は、平面視において、第1辺50a、第2辺50b又は第3辺50cから突出している。複数のリード64のうちの平面視において第2辺50bから突出しているものを、リード64a、リード64b及びリード64cとする。逆導通IGBT11dのエミッタ電極、逆導通IGBT11eのエミッタ電極及び逆導通IGBT11fのエミッタ電極は、それぞれ、図示しないボンディングワイヤにより、リード64a、リード64b及びリード64cに接続されている。リード64a、リード64b及びリード64cは、それぞれ、出力端子10e、出力端子10f及び出力端子10gに対応している。
【0040】
複数のリード64のうちの1つを、リード64dとする。リード64dは、平面視において第1方向DR1に沿って延びている第1部分64daと、平面視において第2方向DR2に沿って延びている第2部分64dbとを有している。第1部分64daは、平面視においてフレーム61f、フレーム61g及びフレーム61hとフレーム61eとの間を通過している。第2部分64dbとは反対側の第1部分64daの端部は、平面視において、第3辺50cから突出している。第1部分64daとは反対側の第2部分64dbの端部は、平面視において第1辺50aから突出している。
【0041】
リード64dは、図示しないボンディングワイヤにより、制御素子20に接続されている。リード64dは、図示しないボンディングワイヤにより、ブートストラップダイオード40aのカソード電極、ブートストラップダイオード40bのカソード電極及びブートストラップダイオード40cのカソード電極にも接続されている。モールド樹脂50から突出している第1部分64daの端部は、制御電源端子20aに対応している。
【0042】
モールド樹脂50から突出している第1部分64daの端部(制御電源端子20a)と第1仮想直線L1との間の距離を、距離DISとする。距離DISは、3mm以上であることが好ましい。
【0043】
放熱板70は、熱伝導率の高い材料により形成されている。放熱板70は、例えば、銅(Cu)又は銅合金により形成されている。放熱板70の第2方向DR2における中央を通り、かつ第1方向DR1に沿って延びている仮想直線を、第3仮想直線L3とする。第3仮想直線L3と第1仮想直線L1との間の距離は、2mm以下であることが好ましい。第3仮想直線L3は、第1仮想直線L1と同一直線上にあることがさらに好ましい。
【0044】
放熱板70は、第1主面70aと、第2主面70bとを有している。第1主面70a及び第2主面70bは、放熱板70の第3方向DR3における端面である。第2主面70bは、第1主面70aの反対面である。放熱板70は、第2主面70bがモールド樹脂50の底面から露出した状態で、モールド樹脂50に封止されている。なお、第2主面70bは、半導体装置100が放熱フィン等の放熱装置に取り付けられた状態で、放熱装置に接触する。
【0045】
絶縁シート80は、放熱板70上に配置されている。より具体的には、絶縁シート80は、第1主面70a上に配置されている。絶縁シート80は、電気絶縁性の材料により形成されている。絶縁シート80は、例えば、セラミック製のフィラーが混ぜられたシリコーン樹脂等により形成されている。絶縁シート80上には、フレーム61a、フレーム61b、フレーム61c及びフレーム61dが配置されている。
【0046】
(半導体装置100の効果)
以下に、半導体装置100の効果を説明する。
【0047】
半導体装置100は、第1ねじ穴51及び第2ねじ穴にねじが通されるとともに、ねじが放熱装置に螺合されることにより、放熱装置に取り付けられる。そのため、半導体装置100と放熱装置との間の密着性は、第1仮想直線L1上において、最も高くなる。半導体装置100では、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2との間の距離が2mm以下になっているため、逆導通IGBT11の第2方向DR2における中央が、平面視において、半導体装置100と放熱装置との間の密着性が最も高くなる箇所に重なることになる。このように、半導体装置100によると、放熱装置にねじ止めされた際の放熱性を改善することができる。
【0048】
第1仮想直線L1と第3仮想直線L3との間の距離が2mm以下である場合、放熱板70の第2方向DR2における中央が、平面視において、半導体装置100と放熱装置との間の密着性が最も高くなる箇所に重なることになる。そのため、この場合には、放熱板70と放熱装置との密着性が高まり、放熱装置にねじ止めされた際の放熱性をさらに改善することができる。
【0049】
モールド樹脂50が硬化収縮系の樹脂材料により形成されている場合には、硬い材料により形成されている逆導通IGBT11を中心として、半導体装置100が反ってしまうことがある。半導体装置100では、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2との間の距離が2mm以下となっているため、モールド樹脂50に硬化収縮系の樹脂材料が用いられても半導体装置100の反りが放熱装置へのねじ止めに際して矯正されるため、放熱装置にねじ止めされた際の放熱性を改善することができる。
【0050】
第1部分64daの端部を第3辺50cから突出させて制御電源端子20aとすることにより、半導体装置100の小型化が可能になる。しかしながら、制御電源端子20aには正の電圧が印加されるため、制御電源端子20a、すなわちモールド樹脂50から露出している第1部分64daの端部と第1ねじ穴51に通されるねじとの間の空間距離及び沿面距離を確保する必要がある。半導体装置100では、第1仮想直線L1がモールド樹脂50の第2方向DR2における中央よりも第2辺50b側にずれているため、3mm以上の距離DISを確保することができる。そのため、半導体装置100によると、制御電源端子20aと第1ねじ穴51に通されるねじとの間の絶縁性を確保することができる。
【0051】
(変形例)
上記の例では、半導体装置100が有するパワー半導体素子が逆導通IGBT11である場合を説明した。しかしながら、半導体装置100は、逆導通IGBT11に代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を有していてもよい。また、ブートストラップダイオード40に代えて、コンデンサが用いられてもよい。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態2に係る半導体装置を説明する。実施の形態2に係る半導体装置を、半導体装置200とする。ここでは、半導体装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0053】
(半導体装置200の構成)
以下に、半導体装置200の構成を説明する。
【0054】
半導体装置200は、半導体装置100と同様に、複数の逆導通IGBT11と、制御素子20と、制御素子30と、複数のブートストラップダイオード40と、モールド樹脂50と、放熱板70とを有している。また、半導体装置100でも、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2と間の距離が2mm以下になっており、第1仮想直線L1と第3仮想直線L3との間の距離が2mm以下になっている。
【0055】
図4は、半導体装置200の断面図である。図4には、図2中のIII-IIIに対応する位置における断面が示されている。図4に示されるように、半導体装置200は、リードフレーム60及び絶縁シート80に代えて、複数の導体パターン66と、絶縁層81とを有している。この点に関して、半導体装置200の構成は、半導体装置100の構成と異なっている。
【0056】
絶縁層81は、放熱板70上に配置されている。より具体的には、絶縁層81は、第1主面70a上に配置されている。絶縁層81は、第1主面81aと、第2主面81bとを有している。第1主面81a及び第2主面81bは、第3方向DR3における絶縁層81の端面である。第2主面81bは、第1主面81aの反対面であり、放熱板70に対向している。絶縁層81は、電気絶縁性の材料により形成されている。絶縁層81は、例えばセラミックにより形成されている。
【0057】
導体パターン66は、絶縁層81上に配置されている。より具体的には、導体パターン66は、第1主面81a上に配置されている。複数の導体パターン66のうちの逆導通IGBT11a、逆導通IGBT11b及び逆導通IGBT11cが配置されるものを、導体パターン66aとする。複数の導体パターン66のうちの逆導通IGBT11dが配置されるもの、逆導通IGBT11eが配置されるもの及び逆導通IGBT11fが配置されるものを、それぞれ、導体パターン66b、導体パターン66b及び導体パターン66cとする。
【0058】
導体パターン66aと逆導通IGBT11aとの間、導体パターン66aと逆導通IGBT11bとの間及び導体パターン66aと逆導通IGBT11cとの間には、接合材65が配置されている。導体パターン66bと逆導通IGBT11dとの間、導体パターン66cと逆導通IGBT11eとの間及び導体パターン66dと逆導通IGBT11fとの間にも、接合材65が配置されている。
【0059】
(半導体装置200の効果)
以下に、半導体装置200の効果を説明する。
【0060】
半導体装置200では、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2と間の距離が2mm以下になっており、第1仮想直線L1と第3仮想直線L3との間の距離が2mm以下になっている。そのため、半導体装置200でも、逆導通IGBT11の第2方向DR2における中央及び放熱板70の第2方向DR2における中央が、平面視において半導体装置200と放熱装置との間の密着性が最も高くなる箇所に重なることになる。このように、半導体装置200によっても、放熱装置にねじ止めされた際の放熱性を改善することができる。
【0061】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であり、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の基本的な範囲は、上記の実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
100,200 半導体装置、10 インバータ回路、10a インバータ電源端子、10b,10c,10d,10e,10f,10g 出力端子、11,11a,11b,11c,11d,11e,11f 逆導通IGBT、12 IGBT、13 フリーホイールダイオード、20,30 制御素子、20a 制御電源端子、20b,20c,20d 駆動電源端子、40,40a,40b,40c ブートストラップダイオード、50 モールド樹脂、50a 第1辺、50b 第2辺、50c 第3辺、50d 第4辺、51 第1ねじ穴、52 第2ねじ穴、60 リードフレーム、61,61a,61b,61c,61d,61e,61f,61g,61h フレーム、62 ダイパッド部、63 リード部、64,64a,64b,64c,64d リード、64da 第1部分、64db 第2部分、65 接合材、66,66a,66b,66c,66d 導体パターン、70 放熱板、70a 第1主面、70b 第2主面、80 絶縁シート、81 絶縁層、81a 第1主面、81b 第2主面、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向、L1 第1仮想直線、L2 第2仮想直線、L3 第3仮想直線、DIS 距離。
図1
図2
図3
図4