(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】硬化性シリコーンベースの組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
C08G 59/20 20060101AFI20241213BHJP
C08G 59/50 20060101ALI20241213BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20241213BHJP
C08K 5/5419 20060101ALI20241213BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241213BHJP
H01B 5/16 20060101ALI20241213BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
C08G59/20
C08G59/50
C08L63/00 C
C08K5/5419
C08K3/013
H01B5/16
H05K9/00 X
(21)【出願番号】P 2021537769
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 US2019067015
(87)【国際公開番号】W WO2020139639
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】モンダル,ティタシュ
(72)【発明者】
【氏名】ムグ,ムラリ
(72)【発明者】
【氏名】バート,シュリードハー
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-217741(JP,A)
【文献】特開2005-200948(JP,A)
【文献】特開昭63-161014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00-59/72
C08L 63/00-63/10
C08K 3/013
C08K 5/5419
H01B 5/16
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性シリコーン組成物であって、
(i)式1のエポキシ官能性ポリマーA;
(ii)1つまたは複数のアミン官能基を含む式2のアミン官能性ポリマーB;および
(iii)電気導電性充填剤、を含み、
ここで硬化性シリコーン組成物は、エポキシアミン硬化システムであり;そして
ここで硬化性組成物の硬化形態は導電性材料であり、そして
ここでポリマー(A)は式1のものであり、
(R)
a(W)
b(R)
a’’ 式(1)
ここでbは0より大きく、aとa’’は0またはそれよりも大きく、そして(a+a’’)は1より大きく、
Rは式(1a)で表すことができ、
(L
1)
c[(CH
2)
d(CH
2O)
eX]
f 式(1a)
ここでL
1は酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、そしてここでc、eは0またはそれよりも大であり得、そしてd、fは0より大きく、但し(d+e)は0より大きいという条件であり;
Xは、式(1b)で表される官能部分のいずれかから独立して選択され、
【化1】
ここでg、h、iは0またはそれよりも大きく;
jおよびkは0またはそれよりも大きく、但し(j+k)は0よりも大きいという条件であり;
R
1は、脂肪族または芳香族置換炭化水素、または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であって1-20個の炭素原子を有し、そして任意選択でエステルに結合しているものから選択され、
式1のWは、式(1c)で表すことができ、
(Y)
l(Z)
m 式(1c)
ここでl+m>0という条件でlとmはゼロまたはそれよりも大きく;
式(1c)のYは、式(1d)で表され、
(M
1)
n’’(D
1)
n(D
2)
o(T
1)
p(Q
1)
q(M
2)
n’’’ 式(1d)
ここで、n、o、p、q、n’’、およびn’’’はゼロまたはそれよりも大きく、但しn+o+p+q+n’’+n’’’>0という条件であり、
M
1は式(1e)から選択され、
R
2R
3R
4SiO
1/2 式(1e)
D
1は式(1f)から選択され、
R
5R
6SiO
2/2 式(1f)
D
2は式(1g)から選択され、
R
7R
8SiO
2/2 式(1g)
T
1は式(1h)から選択され、
R
9SiO
3/2 式(1h)
Q
1は式(1i)から選択され、
SiO
4/2 式(1i)
M
2は式(1j)から選択され、
R
10R
11R
12SiO
1/2 式(1j)
ここでR
2-R
12は(a)c=0という条件であるRから独立して選択され、または(b)R
2-R
12は、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択され;
Zは式(1k)で表され
(A’)
r(B’)
s 式(1k)
ここでrおよびsはゼロであり得るが、但し(r+s)は常にゼロより大きいという条件であり、
A’は、式(1l)から選択され、
R
13(J)
s’’R
14 式(1l)
ここでJはR
15およびR
16から独立して選択され、そしてs’’≧0であり;
R
13-R
16は、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であって1-20個の炭素原子を有するものから独立して選択され;
B’は式(1m)の構造から選択され、
(CH
2)
t[(CHOH)
u((CHR
17)(CH
2)
vO))
w((CH
2)
xL
2)
yR
18R
19R
20CR
21]
z 式(1m)
ここでR
17-R
21は、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択することができ、L
2は、酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、そしてt、u、v、w、x、y、zは整数であり、但しt+u+v+w+x+y+z>0という条件であり、
ポリマーBは式2のものであり、
(R’)
a’(W’)
b’(R’)
a’ 式(2)
ここでa’およびb’は独立して0またはそれよりも大きく、但し(a’+b’)は0より大きいという条件であり、R’は式(2a)のものであり、
(CH
2)
c’(OCH
2CHR
22)
d’(R
23L
3R
24)
e’ 式(2a)
ここでc’およびe’は独立して0より大きく、そしてd’はゼロまたはそれよりも大であり得、但しc’+d’+e’>0という条件であり;
L
3は窒素であり、L
3は0またはそれよりも大であり得、
R
22-R
24は、水素、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択され、
R
23、R
24は独立して0またはそれよりも大きく、但し(R
23+R
24)は0より大きいという条件であり、
W’は式(2b)のものであり、
(Y’)
f’(Z’)
g’ 式(2b)
ここでf’およびg’は0またはそれよりも大きく、そして(f’+g’)は0より大きく;
Y’は式2cのものであり、
(M
3)
r’(D
3)
h’(D
4)
i’(T
2)
j’(Q
2)
k’(M
4)
s’ 式(2c)
ここでh’、i’、r’、s’、j’、およびk’はゼロまたはそれよりも大であり得、但し(h’+i’+r’+s’+j’+k’)>0という条件であり、
M
3は式(2d)から選択され、
R
25R
26R
27SiO
1/2 式(2d)
D
3は式(2e)から選択され、
R
28R
29SiO
2/2 式(2e)
D
4は式(2f)から選択され、
R
30R
31SiO
2/2 式(2f)
T
2は式(2g)から選択され、
R
32SiO
3/2 式(2g)
Q
2は式(2h)から選択され、
SiO
4/2 式(2h)
M
4は式(2i)から選択され
R
33R
34R
35SiO
1/2 式(2i)
R
25-R
35は、R’、水素、ヒドロキシルラジカル、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択され、
Z’は式(2j)のものであり、
R
36L
4(CH
l’)
m’R
37L
5(CH
n’)
o’L
6R
38(CH
p’)
q’ 式(2j)
ここでZ’は直鎖状または環状であり、
R
36-R
38は、R’または水素、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であって任意選択でヘテロ原子を介して結合されたC
1-C
20炭素原子またはハロゲンを有するものから独立して選択され、
L
4、L
5、またはL
6は、酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、
L
4、L
5、またはL
6は0またはそれよりも大であり得、但し(L
4+L
5+L
6)は0以上という条件であり、そして
l’、m’、n’、o’、p’、q’は正の整数から独立して選択され、但しl’+m’+n’+o’+p’+q’>0という条件であり、
ここで、硬化性組成物の硬化形態は、50から170dBの間の電磁干渉(EMI)シールド効果を有する、
硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
ポリマーBの1つまたは複数のアミン官能基が、末端位置、ペンダント位置、または末端位置とペンダント位置の両方に位置する、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
ポリマーAが、組成物の総重量に基づいて約5重量%から約60重量%の範囲で存在する、請求項1または2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
ポリマーBが、組成物の総重量に基づいて約5重量%から約30重量%の範囲で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
電気導電性充填剤が、グラファイト、グラフェン、金属被覆グラファイト、金属被覆グラフェン、アルミニウム粉末、銅粉末、青銅粉末、真ちゅう粉末、炭素の繊維またはウィスカー、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、銀、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノシート、酸化亜鉛ナノチューブ、黒色リン、銀被覆アルミニウム、銀被覆ガラス、銀メッキアルミニウム、ニッケルメッキ銀、ニッケルメッキアルミニウム、異なる構造のカーボンブラック、モネルメッシュおよびワイヤ、またはそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
組成物に加えられる充填剤の重量比が、組成物の総重量に基づいて約5重量%から80重量%の範囲である、請求項5に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
ポリマーBが、直鎖状ポリマー、分岐状ポリマー、または環状構造から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
ポリマーBが分岐状ポリマーである、請求項1から7のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
酸、塩基、ルイス酸、アンモニウム塩、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される触媒または担持触媒をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
トリアルコキシエポキシシラン、トリアルコキシ第一級アミノシラン、第一級および第二級アミン含有トリアルコキシシランの組み合わせ、トリス-(トリアルコキシ)イソシアヌレートベースのシラン、アルキルチオカルボキシル化トリアルコキシシラン、アルケニルシラン、アクリレート化シラン、アクリレート化アルコキシシラン、フマル酸塩ベースのアルコキシシラン、カルボキシル官能性シラン、エポキシ-ビニルシラン、ヒドロキシ官能性オルガノシラン、無水官能性シラン、アミド官能性アルコキシシラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、有機無水物およびカルボン酸塩、ハロゲン化有機化合物、有機アクリレート、またはそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される接着促進剤をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
置換グリシジルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、ポリジオルガノシロキサン、またはそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される反応性希釈剤をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項12】
アルカン、シラン、シリコーン、アクリル共重合体、グリコール、ポリオール、エーテル、エステル、ポリエステル、アルコール、アミド、ポリアミド、アミン、ポリアミン、イミン、ポリイミン、ウレタン、ポリウレタン、ケトン、ポリケトン、糖類、多糖類、セルロース、フッ素化化合物、熱可塑性または熱硬化性樹脂、ポリビニル化合物、合成油または天然油、天然添加剤、グアー、キサンタン、アルギン酸塩、乳酸塩、ラクチド、無水物、ガム、ケイ酸塩、ホウ酸塩、酸化物、硫化物、硫酸塩、またはそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるレオロジー改質剤をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物から形成された硬化材料。
【請求項14】
硬化材料が、熱伝導性、導電性、またはそれらの組み合わせである、請求項13に記載の硬化材料。
【請求項15】
硬化材料は、50から170dBの間の電磁干渉(EMI)シールド効果を有する、請求項13に記載の硬化材料。
【請求項16】
硬化材料が、コーティング、接着剤、シーラント、電極、インク、熱伝導性材料、導電性材料、センサー、アクチュエーター、加熱パッド、抗菌包装材料、導電性プラスチック、または電磁シールド材料の形態である、請求項13に記載の硬化材料。
【請求項17】
請求項1から
12のいずれかの組成物を混合すること、混合物を均質化して均質化された混合物を形成すること、およびエポキシアミン硬化によって均質化された混合物を硬化することを含み、ここでポリマーAおよびポリマーBはシリコーンポリマーである、シリコーン組成物を作製する方法。
【請求項18】
(i)2つ以上のエポキシ官能基を含むポリマーA、2つ以上のアミン官能基を含むポリマーB、および1つまたは複数の電気導電性充填剤を、ポリマーAのエポキシ当量およびポリマーBのアミン当量に関して共に混合して混合物を形成すること;
(ii)次に、混合物を均質化して、均質化された混合物を形成すること;および
(iii)次に、均質化された混合物は、エポキシアミン硬化によって硬化されることを含む、
請求項1から
12のいずれかのシリコーン組成物を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月26日に提出されたインド仮出願第201821049326号の優先権および利益を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、硬化性シリコーンベースの組成物に関する。特に本技術は、エポキシ官能化ポリマー、アミン官能化ポリマー、および充填剤を含む硬化性シリコーンベースの組成物に関する。この組成物は、硬化にてシリコーン複合材料を提供する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンは、高い熱安定性、柔軟性、および/または耐薬品性などの固有の特性で知られている。シロキサンは、上記のような特性に基づいて、電子または電気用途に使用される。導電性が重要となり得る用途ではシロキサンを使用することが望ましいことがあり得るが、導電性シロキサン材料の開発は困難である。
【0004】
電気的特性は、シリコーンマトリックスに充填剤を添加することによってシリコーンで達成することができ、そして所望の導電率は、組成物中の充填剤の充填を増加させることによって達成することができる。しかしながら、より高い充填では、充填剤粒子は、ある期間にて組成物から分離し得る。したがって、シロキサンマトリックスへの充填が高い充填剤の分散は大きな課題である。組成物中の充填剤のより高い充填はまた、組成物の硬化速度論および加工性に悪影響を与え得る。その他の一般的な課題には、これらに限定されないが、可変接触抵抗および体積抵抗率が含まれる。
【0005】
これらの技術的問題を解決するために、所望の機械的および化学的特性を備えた硬化性シリコーン組成物を開発するための努力がなされた。
【発明の概要】
【0006】
良好な導電性とともに、所望の接着性および他の機械的および化学的特性を提供することができる硬化性シリコーン組成物が提供される。いくつかの実施形態では、本技術は、ポリマーA、ポリマーB、および1つまたは複数の充填剤を含む硬化性組成物を提供し、ここでポリマーAは、有機分子またはシロキサン分子であって2つ以上のエポキシ官能基を含むものを含み、ポリマーBは、有機アミンまたはハイブリッドシリコーンアミンを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、ポリマーA、ポリマーB、および1つまたは複数の充填剤を含む。硬化性シリコーン組成物は、エポキシアミン硬化システムであり:ここで硬化性組成物の硬化形態は導電性材料である。ポリマーAは、式1で表すことができ、
(R)
a(W)
b(R)
a’’ 式1
ここでbは0より大きく、aはa’’と同等であり、(a+a’’)は1より大きい。Rは式(1a)で表すことができ、
(L
1)
c[(CH
2)
d(CH
2O)
eX]
f 式(1a)
ここでL
1は酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、そしてここでc、eは0またはそれより大であり得、そしてd、fは0より大きく、但し(d+e)は0より大きいという条件である。さらに式(1a)において、Xは、式(1b)によって表される官能部分のいずれかから独立して選択することができ、
【化1】
ここでg、h、iは、0またはそれよりも大であり得、j、kは、0またはそれよりも大であり得、但し(j+k)は0より大きいという条件である。R
1は、脂肪族または芳香族置換炭化水素、または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有し、そして任意選択でエステルに結合されたものから選択される。
式1のWは、式(1c)で表すことができ、
(Y)
l(Z)
m 式(1c)
ここでl、mはゼロまたはそれよりも大であり得、但しl+m>0という条件である。さらに式(1c)のYは、式(1d)で表すことができ、
(M
1)
n’’(D
1)
n(D
2)
o(T
1)
p(Q
1)
q(M
2)
n’’’ 式(1d)
ここで、n、o、p、q、n’’、n’’’はゼロまたはそれよりも大であり得、但しn+o+p+q+n’’+n’’’>0という条件である。
さらに式(1d)のM
1は、式(1e)によって表され、
R
2R
3R
4SiO
1/2 式(1e)
ここでD
1は式(1f)で表され、
R
5R
6SiO
2/2 式(1f)
ここでD
2は式(1g)で表され
R
7R
8SiO
2/2 式(1g)
ここでT
1は式(1h)で表され、
R
9SiO
3/2 式(1h)
ここでQ
1は式(1i)で表され、
SiO
4/2 式(1i)
ここでM
2は式(1j)で表され、
R
10R
11R
12SiO
1/2 式(1j)
ここでR
2-R
12は、c=0という条件のRから独立して選択でき、またはR
2-R
12は、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択することができる。
式(1c)のZは、式(1k)で表すことができ、
(A’)
r(B’)
s 式(1k)
ここでrおよびsはゼロまたはそれよりも大であり得、但しr+sは常にゼロより大きいという条件であり、
ここでA’は、式(1l)によって表される構造のビスエポキシドから選択することができ、
R
13(J)
s’’R
14 式(1l)
ここでJは、R
15、R
16から独立して選択することができ、そしてs’’≧0である。さらに、R
13-R
16は、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択することができる。式(1k)のB’は、式(1m)によって表される構造から選択することができ、
(CH
2)
t[(CHOH)
u(OCHR
17(CH
2)
vO
w[(CH
2)
xL
2]
yR
18R
19R
20CR
21]z 式(1m)
ここでR
17-R
21は、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択することができる。L
2は、酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子である。ここでt、u、v、w、x、y、zは整数であり、但しt+u+v+w+x+y+z>0という条件である。
【0008】
いくつかの実施形態において、ポリマーBは、式2によって表すことができ、
(R’)a’(W’)b’(R’)a’ 式(2)
ここでa’、b’は0であり得、但し(a’+b’)は0より大きいという条件であり、
R’は式(2a)で表すことができ、
(CH2)c’(OCH2CHR22)d’(R23L3R24)e’ 式(2a)
c’、e’は0より大きく、そしてd’はゼロまたはそれよりも大であり得、但しc’+d’+e’>0という条件であり、
L3は窒素であり、そしてL3は窒素であり、そしてL3、R23、R24は0であり得、但しe’は0という条件である。R22は、水素、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC1-C20炭素原子を有するものから独立して選択され得、
R23、R24は独立して0であり得、但し(R23+R24)は0より大きいという条件であり、
W’は式(2b)で表すことができ、
(Y’)f(Z’)g’ 式(2b)
f’およびg’が0またはそれよりも大きく、そして(f’+g’)は0より大きい。ここでY’は式2cで表すことができ、
(M3)r’(D3)h’(D4)i’(T2)j’(Q2)k’(M4)s’ 式2(c)
h’、i’、r’、s’、j’、およびk’はゼロまたはそれよりも大であり得、但し(h’+i’+r’+s’+j’+k’)>0という条件であり、
M3は式(2d)で表され、
R25R26R27SiO1/2 式(2d)
D3は式(2e)で表され、
R28R29Si2/2 式(2e)
D4は式(2f)で表され
R30R31SiO2/2 式(2f)
T2は式(2g)で表され、
R32SiO3/2 式(2g)
Q2は式(2h)で表され、
SiO4/2 式(2h)
M4は式(2i)で表され、
R33R34R35SiO1/2 式(2i)
R25-R35は、R’から、あるいは水素、ヒドロキシルラジカル、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC1-C20炭素原子を有するものから独立して選択することができる。
式(2b)のZ’は式(2j)で表すことができ、
R36L4(CHl’)m’R37L5(CHn’)o’L6R38(CHp’)q’ 式(2j)
式(2j)のZ’は直鎖状または環状であり得る。式(2j)において、R36-R38は、水素、または一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であって1-20個の炭素原子またはヘテロ原子を介して任意に結合されたハロゲンを有するものから独立して選択することができる。
L4、L5、またはL6は、酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、
L4、L5、またはL6は0またはそれよりも大であり得、但し(L4+L5+L6)は0より大きいという条件であり、そして
l’、m’、n’、o’、p’、q’は整数であり、但しl’+m’+n’+o’+p’+q’>0という条件である。
【0009】
これらおよび他の実施形態および態様は、以下の詳細な説明を参照してさらに理解される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の明細書および以下の特許請求の範囲では、以下の意味を有するように定義されなければならないいくつかの用語が参照される。
【0011】
単数形の「a」、「an」、および「the」には、文脈で明確に指示されていない限り、複数の指示対象が含まれる。「任意選択の」または「任意選択で」は、その後に説明される事象または状況が生じても生じなくても良く、そしてその記載には、事象が生じる例と事象が生じない例が含まれることを意味する。
【0012】
ここでの明細書および特許請求の範囲全体で使用される近似言語は、それが関連する基本機能の変更をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」などの1つまたは複数の用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されないことになる。いくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「芳香族」、「芳香族基」、および「芳香族ラジカル」という用語は交換可能に使用され、少なくとも1つの芳香族基を含む少なくとも1つの原子価を有する原子の配列を指す。少なくとも1つの芳香族基を含む少なくとも1つの原子価を有する原子の配列は、窒素、硫黄、セレン、ケイ素および酸素などのヘテロ原子を含み得る、または炭素および水素のみから構成され得る。本明細書で使用される場合、「芳香族ラジカル」という用語は、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、フェニレン、およびビフェニルラジカルを含むが、これらに限定されない。前述のように、芳香族ラジカルは少なくとも1つの芳香族基を含む。芳香族基は、常に4n+2の「非局在化」電子を有する環状構造であり、ここで「n」は1またはそれより大きい整数であり、フェニル基(n=1)、チエニル基(n=1)、フラニル基(n=1)、ナフチル基(n=2)、アズレニル基(n=2)、アントラセネイル基(n=3)などで示される。芳香族ラジカルはまた、非芳香族構成要素を含み得る。例えば、ベンジル基は、フェニル環(芳香族基)およびメチレン基(非芳香族成分)を含む芳香族ラジカルである。同様に、テトラヒドロナフチルラジカルは、非芳香族構成要素-(CH2)4-に縮合した芳香族基(C6H3)を含む芳香族ラジカルである。便宜上、「芳香族ラジカル」という用語は、本明細書では、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロ芳香族基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルおよびアミドなどのカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基などの広範囲の官能基を包含するように定義されている。例えば、4-メチルフェニルラジカルは、メチル基を含むC7芳香族ラジカルであり、メチル基は、アルキル基である官能基である。同様に、2-ニトロフェニル基は、ニトロ基を含むC6芳香族ラジカルであり、ニトロ基は官能基である。芳香族ラジカルには、4-トリフルオロメチルフェニル、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4-フェン-1-イルオキシ)(すなわち、-OPhC(CF3)2PhO-)、4-クロロメチルフェン-1-イル、3-トリフルオロビニル-2-チエニル、3-トリクロロメチルフェン-1-イル(すなわち、3-CCl3Ph-)、4-(3-ブロモプロプ-1-イル)フェン-1-イル(すなわち、4-BrCH2CH2CH2Ph-)などのハロゲン化芳香族ラジカルが含まれる。芳香族ラジカルのさらなる例には、4-アリルオキシフェン-1-オキシ、4-アミノフェン-1-イル(すなわち、4-H2NPh-)、3-アミノカルボニルフェン-1-イル(すなわち、NH2COPh-)、4-ベンゾイルフェン-1-イル、ジシアノメチリデンビス(4-フェン-1-イルオキシ)(すなわち、-OPhC(CN)2PhO-)、3-メチルフェン-1-イル、メチレンビス(4-フェン-1-イルオキシ)(すなわち、-OPhCH2PhO-)、2-エチルフェン-1-イル、フェニルエテニル、3-ホルミル-2-チエニル、2-ヘキシル-5-フラニル、ヘキサメチレン-1,6-ビス(4-フェン-1-イルオキシ)(すなわち、-OPh(CH2)6PhO-)、4-ヒドロキシメチルフェン-1-イル(すなわち、4-HOCH2Ph-)、4-メルカプトメチルフェン-1-イル(すなわち、4-HSCH2Ph-)、4-メチルチオフェン-1-イル(すなわち、4-CH3SPh-)、3-メトキシフェン-1-イル、2-メトキシカルボニルフェン-1-イルオキシ(例えば、メチルサリチル)、2-ニトロメチルフェン-1-イル(すなわち、2-NO2CH2Ph)、3-トリメチルシリルフェン-1-イル、4-t-ブチルジメチルシリルフェン-1-イル、4-ビニルフェン-1-イル、ビニリデンビス(フェニル)などが含まれる。「C3-C10芳香族ラジカル」という用語は、少なくとも3個だが10個以下の炭素原子を含む芳香族ラジカルを含む。芳香族ラジカル1-イミダゾリル(C3H2N2-)は、C3芳香族ラジカルを表す。ベンジルラジカル(C7H7-)はC7芳香族ラジカルを表す。1つまたは複数の実施形態では、芳香族基は、C6-C30芳香族基、C10-C30芳香族基、C15-C30芳香族基、C20-C30芳香族基を含み得る。いくつかの特定の実施形態において、芳香族基は、C3-C10芳香族基、C5-C10芳香族基、またはC8-C10芳香族基を含み得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、「脂環式」、「脂環式基」および「脂環式ラジカル」という用語は交換可能に使用され、そして少なくとも1つの原子価を有し、そして環状であるが芳香族ではない原子の配列を含むラジカルを指す。本明細書で定義されるように、「脂環式ラジカル」は芳香族基を含まない。「脂環式ラジカル」は、1つまたは複数の非環状構成要素を含み得る。例えば、シクロヘキシルメチル基(C6H11CH2-)は、シクロヘキシル環(環状であるが芳香族ではない原子の配列)とメチレン基(非環状構成要素)を含む脂環式ラジカルである。脂環式ラジカルは、窒素、硫黄、セレン、ケイ素、および酸素などのヘテロ原子を含み得る、または炭素および水素のみから構成され得る。便宜上、「脂環式ラジカル」という用語は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルやアミドなどのカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基などの広範囲の官能基を包含するように本明細書で定義される。例えば、4-メチルシクロペント-1-イルラジカルは、メチル基を含むC6脂環式ラジカルであり、メチル基は、アルキル基である官能基である。同様に、2-ニトロシクロブト-1-イルラジカルは、ニトロ基を含むC4脂環式ラジカルであり、ニトロ基は官能基である。脂環式ラジカルは、同じであっても異なっていてもよい1つまたは複数のハロゲン原子を含み得る。ハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が含まれる。1つまたは複数のハロゲン原子を含む脂環式ラジカルには、2-トリフルオロメチルシクロへクス-1-イル、4-ブロモジフルオロメチルシクロオクト-1-イル、2-クロロジフルオロメチルシクロへクス-1-イル、ヘキサフルオロイソプロピリデン-2,2-ビス(シクロへクス-4-イル)(すなわち、-C6H10C(CF3)2C6H10-)、2-クロロメチルシクロへクス-1-イル、3-ジフルオロメチレンシクロへクス-1-イル、4-トリクロロメチルシクロへクス-1-イルオキシ、4-ブロモジクロロメチルシクロへクス-1-イルチオ、2-ブロモエチルシクロペント-1-イル、2-ブロモプロピルシクロへクス-1-イルオキシ(例えば、CH3CHBrCH2C6H10O-)などが含まれる。脂環式ラジカルのさらなる例には、4-アリルオキシシクロへクス-1-イル、4-アミノシクロへクス-1-イル(すなわち、H2C6H10-)、4-アミノカルボニルシクロペント-1-イル(すなわち、NH2COC5H8-)、4-アセチルオキシシクロへクス-1-イル、2,2-ジシアノイソプロピリデンビス(シクロへクス-4-イルオキシ)(すなわち、-OC6H10C(CN)2C6H10O-)、3-メチルシクロヘクス-1-イル、メチレンビス(シクロへクス-4-イルオキシ)(すなわち、-OC6H10CH2C6H10O-)、1-エチルシクロブト-1-イル、シクロプロピルエテニル、3-ホルミル-2-テラヒドロフラニル、2-ヘキシル-5-テトラヒドロフラニル、ヘキサメチレン-1,6-ビス(シクロへクス-4-イルオキシ)(すなわち、-OC6H10(CH2)6C6H10O-)、4-ヒドロキシメチルシクロへクス-1-イル(すなわち、4-HOCH2C6H10-)、4-メルカプトメチルシクロへクス-1-イル(すなわち、4-HSCH2C6H10-)、4-メチルチオシクロへクス-1-イル(すなわち、4-CH3SC6H10-)、4-メトキシシクロへクス-1-イル、2-メトキシカルボニルシクロへクス-1-イルオキシ(2-CH3OCOC6H10O-)、4-ニトロメチルシクロへクス-1-イル(すなわち、NO2CH2C6H10-)、3-トリメチルシリルシクロヘキサ-1-イル、2-t-ブチルジメチルシリルシクロペント-1-イル、4-トリメトキシシリルエチルシクロヘキサ-1-イル(例えば、(CH3O)3SiCH2CH2C6H10-)、4-ビニルシクロヘキセン-1-イル、ビニリデンビス(シクロヘキシル)などが含まれる。「C3-C10脂環式ラジカル」という用語は、少なくとも3個だが10個以下の炭素原子を含む脂環式ラジカルを含む。脂環式ラジカル2-テトラヒドロフラニル(C4H7O-)は、C4脂環式ラジカルを表す。シクロヘキシルメチルラジカル(C6H11CH2-)は、C7脂環式ラジカルを表す。いくつかの実施形態において、脂環式基は、C3-C20環状基、C5-C15環状基、C6-C10環状基、またはC8-C10環状基を含み得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「脂肪族」、「脂肪族基」および「脂肪族ラジカル」という用語は交換可能に使用され、環状ではない原子の直鎖状または分岐状配列からなる少なくとも1つの原子価を有する有機ラジカルを指す。脂肪族ラジカルは、少なくとも1つの炭素原子を含むと定義されている。脂肪族ラジカルを含む原子の配列は、窒素、硫黄、ケイ素、セレン、および酸素などのヘテロ原子を含み得る、または炭素および水素のみから構成され得る。便宜上、「脂肪族ラジカル」という用語は、「環状ではない原子の線形または分岐配列」の一部として、アルキル基、アルケニル基、アルケニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルおよびアミドなどのカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基などの広範囲の官能基を包含するように本明細書で定義される。例えば、4-メチルペント-1-イルラジカルは、メチル基を含むC6脂肪族ラジカルであり、メチル基は、アルキル基である官能基である。同様に、4-ニトロブト-1-イル基は、ニトロ基を含むC4脂肪族ラジカルであり、ニトロ基は官能基である。脂肪族ラジカルは、同じであっても異なっていてもよい1つまたは複数のハロゲン原子を含むハロアルキル基であり得る。ハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が含まれる。1つまたは複数のハロゲン原子を含む脂肪族ラジカルには、ハロゲン化アルキル トリフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ヘキサフルオロイソプロピリデン、クロロメチル、ジフルオロビニリデン、トリクロロメチル、ブロモジクロロメチル、ブロモエチル、2-ブロモトリメチレン(例えば、-CH2CHBrCH2-)などが含まれる。脂肪族ラジカルのさらなる例には、アリル、アミノカルボニル(すなわち、-CONH2)、カルボニル、2,2-ジシアノイソプロピリデン(すなわち、-CH2C(CN)2CH2-)、メチル(すなわち、-CH3)、メチレン(すなわち、-CH2-)、エチル、エチレン、ホルミル(すなわち、-CHO)、ヘキシル、ヘキサメチレン、ヒドロキシメチル(すなわち、-CH2OH)、メルカプトメチル(すなわち、-CH2SH)、メチルチオ(すなわち、-SCH3)、メチルチオメチル(すなわち、-CH2SCH3)、メトキシ、メトキシカルボニル(すなわち、CH3OCO-)、ニトロメチル(すなわち、-CH2NO2)、チオカルボニル、トリメチルシリル(すなわち、(CH3)3Si-)、t-ブチルジメチルシリル、3-トリメトキシシリルプロピル(すなわち、(CH3O)3SiCH2CH2CH2-)、ビニル、ビニリデンなどが含まれる。さらなる例として、C1-C10脂肪族ラジカルは、少なくとも1つだが10以下の炭素原子を含む。メチル基(すなわち、CH3-)は、C1脂肪族ラジカルの例である。デシル基(すなわち、CH3(CH2)9-)は、C10脂肪族ラジカルの例である。1つまたは複数の実施形態において、脂肪族基または脂肪族ラジカルは、限定されないが、1-20個の炭素原子、2-15個の炭素原子、3-10個の炭素原子、または4-8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素を含み得る。
【0016】
本技術は、硬化性シリコーンベースの組成物および様々な用途におけるそのような組成物の使用を提供する。組成物中に本明細書に記載されるようなポリマーA、ポリマーB、および1つまたは複数の充填剤の選択は、多面的な特性を有するハイブリッド複合材料を提供する。さらに、本組成物は、組成物の硬化および処理条件に影響を与えることなく、シリコーンマトリックス中の比較的高い充填量の充填剤の使用を可能にする。非シリコーン有機単位の存在は、ハイブリッドシリコーン複合材料の全体的な特性にさらなる利点を提供するために使用することができる。硬化性シリコーン組成物は、エポキシアミン硬化システムあり;そしてここで硬化性組成物の硬化形態は導電性材料である。
【0017】
本技術の1つまたは複数の実施形態は、ポリマーA、ポリマーB、および1つまたは複数の充填剤を含む硬化性組成物を提供する。ポリマーAは、有機分子またはシロキサン分子であってエポキシ官能基を含むものを含む。ポリマーBは、有機分子、シロキサン分子、またはハイブリッドシロキサン分子であってアミン官能基を含むものを含む。これらの実施形態の硬化性組成物は、硬化にてハイブリッドシリコーン複合材料を形成し得る。ハイブリッドシリコーン複合材料は、エポキシアミン硬化によって形成され得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、ポリマーAは、1つまたは複数のエポキシ官能基を含む有機分子、1つまたは複数のエポキシ官能基を含むシロキサン分子、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーAは、1つまたは複数のエポキシ官能基を含む有機分子を含む。エポキシ官能化有機分子(非シロキサン)は、以下「有機エポキシ」と呼ばれる。いくつかの他の実施形態では、ポリマーAは、1つまたは複数のエポキシ官能基を含むシロキサン分子を含む。エポキシ官能化シロキサン分子は、以下「シロキサンエポキシ」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、シロキサンエポキシは直鎖状ポリマー鎖であり得、ここでエポキシ官能基はシロキサン直鎖状ポリマーの末端位置に結合している。いくつかの他の実施形態では、シロキサンエポキシは分岐状ポリマーであり得、ここでエポキシ官能基は、シロキサン分岐状ポリマーの1つまたは複数のペンダント位置に結合している。
【0019】
ポリマーAは、式1の化合物から選択することができ、
(R)
a(W)
b(R)
a’’ 式1
ここでaはa’’と同等であり、そして0またはそれよりも大であり得、そしてbは0より大きい。Rは式(1a)で表すことができ、
(L
1)
c[(CH
2)
d(CH
2O)
eX]
f 式(1a)
ここでL
1は、酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、そしてここでc、eは独立して0またはそれよりも大であり得、そしてd、fは独立して0より大きく、但し(d+e)は0より大きいという条件である。さらに、式(1a)において、Xは、式(1b)によって表される官能部分のいずれかから独立して選択することができ、
【化2】
ここでg、h、iは独立して0またはそれよりも大であり得;j、kは独立して0またはそれよりも大であり得、但し(j+k)は0より大きいという条件である。R
1は、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有し、そして任意選択でエステルに結合しているものから選択される。
ここで式1のWは式(1c)で表すことができ、
(Y)
l(Z)
m 式(1c)
ここでl、mは独立してゼロまたはそれよりも大であり得、但しl+m>0という条件である。さらに、式(1c)のYは、式(1d)で表すことができ、
(M
1)
n’’(D
1)
n(D
2)
o(T
1)
p(Q
1)
q(M
2)
n’’’ 式(1d)
ここでn、o、p、q、n’’、n’’’はゼロまたはそれよりも大であり得、但しn+o+p+q+n’’+n’’’>0という条件である。さらに、式(1d)のM
1は、式(1e)によって表され、
R
2R
3R
4SiO
1/2 式(1e)
ここでD
1は式(1f)で表され、
R
5R
6SiO
2/2 式(1f)
ここでD
2は式(1g)で表され
R
7R
8SiO
2/2 式(1g)
ここでT
1は式(1h)で表され、
R
9SiO
3/2 式(1h)
ここでQ
1は式(1i)で表され
SiO
4/2 式(1i)
ここでM
2は式(1j)で表され
R
10R
11R
12SiO
1/2 式(1j)
ここでR
2-R
12は、c=0の場合、Rから独立して選択でき、またはR
2-R
12は、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択することができる。
さらに、式(1c)のZは式(1k)で表すことができ、
(A’)
r(B’)
s 式(1k)
ここでrとsはゼロまたはそれよりも大であり得、但し(r+s)は常にゼロより大きいという条件であり、
A’は、式(1l)で表される構造から選択することができ、
R
13(J)
s’’R
14 式(1l)
ここでJはR
15、R
16から独立して選択でき、そしてs’’≧0であり、
R
13-R
16は、ゼロであり得るか、または一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択することができる。
式(1k)のB’は、式(1m)によって表される構造から選択することができ、
(CH
2)
t[(CHOH)
u((CHR
17)(CH
2)
vO))
w((CH
2)
xL
2)
yR
18R
19R
20CR
21]
z 式(1m)
ここでR
17-R
21は、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、水素、またはフッ素化炭化水素であってC
1-C
20炭素原子を有するものから独立して選択することができ、L
2は、酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、そしてt、u、v、w、x、y、zは整数であり、但しt+u+v+w+x+y+z>0という条件である。
【0020】
実施形態では、a、a’’は1であり;bは1であり;Rのc、d、e、fは、それぞれ独立して1、1-10、1-20、5-10である。g、h、i、j、kは、独立して0-1、0-5、または0-10である。Wのl、mは独立して0-5である。Yのn’’、n、o、p、q、n’’’は、独立して0、1-5、5-10、または10-20である。Zのr、sは、独立して0、1-5、5-10、または10-20である。A’のs’’は0-5または0、1-10である。B’のt、u、v、w、x、y、zは、独立して0、1-2、1-5、5-10、または10-20である。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマーAは、以下の構造によって表すことができ、ここでnは1-10であり得る。
【化3】
【0022】
例えば、n=1の場合、ポリマーAは、以下によって表すことができる。
【化4】
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマーAは、以下の構造によってさらに表すことができ、ここでn、oは1-10であり得る。
【化5】
【0024】
例示的な実施形態では、n=10、m=15の場合、ポリマーAは、以下によって表すことができる。
【化6】
【0025】
例示的な実施形態では、n=27の場合、ポリマーAは、以下によって表すことができる。
【化7】
【0026】
例示的な実施形態では、ポリマーAはまた、以下の構造によって表すことができる。
【化8】
【0027】
例示的な実施形態では、n、oが1-30、1-40、または1-50であり得る場合、ポリマーAは以下によって表すことができる。
【化9】
【0028】
例示的な実施形態では、ポリマーAはまた、以下の構造によって表すことができる。
【化10】
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマーBは、有機アミン、シリコーンアミン、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーBは、有機単位およびシリコーン単位であって2つ以上のアミン官能基を有するものの両方を含む。いくつかの実施形態において、シリコーンアミンは、ハイブリッドシリコーンアミンである。ハイブリッドシリコーンアミンは、一般に、2つ以上のアミン官能基を含む1つまたは複数のシリコーン単位と1つまたは複数の非シリコーン(有機)単位との組み合わせを含む。ハイブリッドシリコーンアミンのそのような実施形態では、シリコーン単位のそれぞれおよび有機単位のそれぞれは、交互の様式で配置され得る。ハイブリッドシリコーンアミンの別の実施形態では、2つ以上のシリコーン単位は、1つまたは複数の有機単位によって分離されている。いくつかの実施形態において、アミン官能基は、末端位置にあり得る。いくつかの他の実施形態では、アミン官能基は、シリコーンアミンのシロキサンポリマー鎖、またはハイブリッドシリコーンアミンポリマーのペンダント位置にあり得る。
【0030】
硬化性組成物のポリマーBは、実施形態では、式2の化合物によって表すことができ、
(R’)a’(W’)b’(R’)a’ 式(2)
ここで、a’、b’は0またはそれよりも大であり得、そして(a’+b’)は0より大きく、
R’は式(2a)で表すことができ、
(CH2)c’(OCH2CHR22)d’(R23L3R24)e’ 式(2a)
c’、e’は0より大きく、そしてd’はゼロまたはそれよりも大であり得、但しc’+d’+e’>0という条件であり、
L3は窒素であり、そしてe’が0であるという条件で、L3は無しとなり得;R22-R24は、水素、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC1-C20炭素原子を有するものから独立して選択することができ、
R23、R24は独立して0またはそれよりも大であり得、但し(R23+R24)が0より大きいという条件であり、
式2のW’は式(2b)で表すことができ、
(Y’)f’(Z’)g’ 式(2b)
f’およびg’が0より大きく、そして(f’+g’)が0より大きい。Y’は式2cで表すことができ、
(M3)r’(D3)h’(D4)i’(T2)j’(Q2)k’(M4)s’ 式(2c)
h’、i’、r’、s’、j’、およびk’はゼロまたはそれよりも大であり得、但し(h’+i’+r’+s’+j’+k’)>0という条件である。
M3は式(2d)で表され、
R25R26R27SiO1/2 式(2d)
D3は式(2e)で表され、
R28R29SiO2/2 式(2e)
D4は式(2f)で表され、
R30R31SiO2/2 式(2f)
T2は式(2g)で表され、
R32SiO3/2 式(2g)
Q2は式(2h)で表され、
SiO4/2 式(2h)
M4は式(2i)で表され、
R33R34R35SiO1/2 式(2i)
ここでR25-R35は、R’、または水素、ヒドロキシル、一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であってC1-C20炭素原子を有するものから独立して選択することができる。
式(2b)のZ’は式(2j)で表すことができ、
R36L4(CHl’)m’R37L5(CHn’)o’L6R38(CHp’)q’ 式(2j)
式(2j)のZ’は直鎖形または環状であり得、ここで式(2j)のR36-R38は、R’または水素、または一価の環状または非環状、脂肪族または芳香族、置換または非置換炭化水素、またはフッ素化炭化水素であって任意にてヘテロ原子を介して結合したC1-C20炭素原子またはハロゲンを有するものから独立して選択することができ、
L4、L5、またはL6は、酸素または窒素から独立して選択されたヘテロ原子であり、
L4、L5、またはL6は0またはそれよりも大であり得、但し(L4+L5+L6)が0以上であるという条件であり、
l’、m’、n’、o’、p’、q’は整数であり、但しl’+m’+n’+o’+p’+q’>0という条件である。
【0031】
実施形態では、a’、b’は1であり、R’のc’、e’、d’はそれぞれ独立して1-10、1-10、0-10である。Wのf’、g’は独立して0-10である。Y’のh’、i’、r’、s’、j’、k’は独立して0-10である。Z’のl’、m’、n’、o’、p’、q’は独立して0-10である。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマーBは、以下によって表すことができ、ここでnは、1-5、1-10、1-20であり得る。
【化11】
【0033】
式2では、a’は0であり、そしてb’は1である。また式2aでは、c’およびd’は0であり、そしてe’は2である。式2bでは、f’は0であり、そしてg’は1である。式2jでは、R36はR’であり、そして制約としてR’ではd’は3であり、R22はメチルであり、そしてc’およびe’は0である。さらに式2jでは、L4、L5およびL6は無く、一方、i’、m’、n’、o’は1であり、そしてR37はメチルである。R38は、R’から選択され、そして制約としてc’、d’、およびe’が0である。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、ポリマーBは、以下の構造によって表すことができ、ここでmまたはnは、1-5、1-10、または1-20であり得る。
【化12】
【0035】
ポリマーAとポリマーBのさまざまな重量比を組成物に添加して、ハイブリッド複合材料に望ましい特性を達成する。1つまたは複数の実施形態では、硬化性組成物は、約5%から60%の範囲のポリマーAを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約8%から50%の範囲のポリマーAを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約10%から60%の範囲のポリマーAを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約20%から50%の範囲のポリマーAを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約15%から60%の範囲のポリマーAを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約25%から50%の範囲のポリマーAを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約5%から25%の範囲のポリマーAを含む。本明細書で使用される場合、ポリマーAのパーセンテージは、組成物の総重量に基づく重量パーセントである。1つまたは複数の実施形態では、硬化性組成物は、約5%から30%の範囲のポリマーBを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約8%から30%の範囲のポリマーBを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約10%から20%の範囲のポリマーBを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約7%から20%の範囲のポリマーBを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約5%から20%の範囲のポリマーBを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約8%から18%の範囲のポリマーBを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、約5%から15%の範囲のポリマーBを含む。本明細書で使用される場合、ポリマーBのパーセンテージは、組成物の総重量に基づく重量パーセントである。
【0038】
前述のように、組成物は、1つまたは複数の充填剤を含み、ここで充填剤は、限定されるものではないが、アルミナ、ケイ素、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、ジルコニア、シリコンアルミニウム酸窒化物、ボロケイ酸塩ガラス、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、二ホウ化チタン、十二ホウ化アルミニウム、重晶石、硫酸バリウム、アスベスト、バライト、ダイアトマイト、長石、石膏、ホルマイト、カオリン、雲母、霞石閃石、パーライト、フィロフィライト、スメクタイト、タルク、バーミキュライト、ゼオライト、方解石、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、メタケイ酸カルシウム、粘土、ケイ酸アルミニウム、タルク、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、水和アルミナ、水和酸化アルミニウム、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラスフレーク、粘土、剥離粘土、またはその他の高アスペクト比の繊維、ロッド、またはフレーク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マグネシア、チタニア、炭酸カルシウム、タルク、雲母、ウォラストナイト、アルミナ、窒化アルミニウム、グラファイト、グラフェン、金属被覆グラファイト、金属被覆グラフェン、アルミニウム粉末、銅粉末、青銅粉末、真ちゅう粉末、炭素の繊維またはウィスカー、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、銀、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノシート、酸化亜鉛ナノチューブ、黒色リン、銀被覆アルミニウム、銀被覆ガラス、銀メッキアルミニウム、ニッケルメッキ銀、ニッケルメッキアルミニウム、異なる構造のカーボンブラック、モネルメッシュおよびワイヤ、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0039】
1つまたは複数の実施形態では、充填剤は、グラファイト、ニッケル被覆グラファイト、銀、銅、またはそれらの組み合わせを含む。1つまたは複数の実施形態では、充填剤は、グラファイト、ニッケル被覆グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、充填剤はニッケル被覆グラファイトである。
【0040】
ハイブリッド複合材料に望ましい特性を達成するために、さまざまな重量比の充填剤が組成物に加えられる。1つまたは複数の実施形態では、硬化性組成物は、約5%から80%の範囲の充填剤を含む。いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、約20%から80%の範囲の充填剤を含む。いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、約20%から60%の範囲の充填剤を含む。いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、約30%から80%の範囲の充填剤を含む。いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、約30%から60%の範囲の充填剤を含む。いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、約50%から80%の範囲の充填剤を含む。いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、約60%から80%の範囲の充填剤を含む。本明細書に記載の充填剤の量は、組成物の総重量に基づく重量パーセントを指す。
【0041】
いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、トリアルコキシエポキシシラン、トリアルコキシ第一級アミノシラン、第一級および第二級アミン含有トリアルコキシシランの組み合わせ、トリス-(トリアルコキシ)イソシアヌレートベースのシラン、アルキルチオカルボキシル化トリアルコキシシラン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される接着促進剤をさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、反応性希釈剤をさらに含む。反応性希釈剤には、置換グリシジルエーテルが含まれ得るが、これに限定されない。反応性希釈剤は、1つまたは複数の溶媒を含み得る。適切な溶媒には、液体炭化水素またはシリコーン流体が含まれ得るが、これらに限定されない。炭化水素溶媒はヘキサンまたはヘプタンを含み得、シリコーン流体はポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、レオロジー改質剤または流動添加剤をさらに含む。レオロジー改質剤には、テトラヒドロリナロール、熱可塑性樹脂、およびポリビニルアセタールが含まれ得るが、これらに限定されない。流動添加剤には、シリコーン流体またはアクリレート共重合体が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0044】
いくつかの実施形態において、異なる鎖長のシリコーンマルチエポキシ化合物は、90℃でテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを使用して、塩基性条件下で適切な量のオクタメチルシクロテトラシロキサンでSilforce*UV9315(Momentive Performance Materials)を再平衡化することによって合成された。いくつかの実施形態において、異なる鎖長のシリコーンマルチエポキシ化合物(ペンダント)は、75℃でKarstedt触媒を使用して、ペンダントにヒドリドを有する適切な量のシリコーン流体でビニルシクロヘキセンオキシドをヒドロシリル化することによって合成された。
【0045】
いくつかの実施形態では、ポリマーA、ポリマーB、および充填剤は、それらのエポキシおよびアミンの当量に関して共に混合される。Hauschildスピードミキサーを使用して混合物が2350rpmで120秒間にて均質化される。1つまたは複数の実施形態では、組成物は、40-80℃の間でエポキシアミン硬化することによって硬化される。一実施形態では、均質化された混合物は、熱風オーブン内で60℃で硬化される。
【0046】
いくつかの実施形態では、硬化材料の用途およびその最終用途は、コーティング、接着剤、シーラント、電極、インク、熱伝導性材料、導電性材料、センサー、アクチュエーター、加熱パッド、抗菌包装材料、導電性プラスチック、電磁シールド材である。
【0047】
この記載による説明は、最良の態様を含む本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用し、任意の組み込み方法を実行することを含む、当業者が本発明を実施できるようにするため、例を使用している。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、そして当業者に生じる他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが請求項の文字通りの言語と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが請求項の文字通りの言語と実質的に異ならない均等の構造要素を含む場合、請求項の範囲内にあることを意図している。
【実施例】
【0048】
例1:マルチエポキシシロキサン(ポリマーA)の合成
10gのSilforce*UV9315(Momentive Performance Materials)を3つ口丸底フラスコに入れた。それに、130gのD4を加えた。さらにそれに、2500ppmのテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを入れた。反応混合物を室温から90℃まで穏やかに加熱し、1mbarの高真空を最初の30分間適用した。次に、真空をオフにし、93%の固形分が達成されるまで、90℃で6時間撹拌しながら加熱した。内容物を135℃に加熱して触媒を失活させ、過剰なD4を除去した。生成物(A3)をさらに単離して保存した。
【0049】
例2:ペンダントエポキシシロキサン(ポリマーA)の合成
重合度に基づいて、10個のペンダント水素、15個のSiOMe
2単位、およびSiMe
3キャッピングを有するシロキサンベースのシリコーンポリマーを3つ口丸底フラスコに入れ、そして75℃以上で撹拌し続けた。所望の温度で、10ppmのPt触媒を丸底フラスコに加え、均質に混合させた。次に、4-ビニル-1-シクロヘキサン1,2-エポキシドを滴下漏斗に入れ、そしてヒドリドと触媒の反応混合物に滴下して加えた。ビニルとヒドリドの比率は1.05:1であると見なした。生成物A4をさらに単離して保存した。
【化13】
【0050】
例3:末端エポキシシロキサン(ポリマーA)の合成
重合度に基づいて、ビス末端水素、27個のSiOMe
2単位を有するシロキサンベースのシリコーンポリマーを3つ口丸底フラスコに入れ、75℃以上で撹拌し続けた。所望の温度で、10ppmのPt触媒を丸底フラスコに加え、そして均質に混合させた。次に、4-ビニル-1-シクロヘキサン1,2-エポキシドを滴下漏斗に入れ、そしてヒドリドと触媒の反応混合物に滴下して加えた。ビニルとヒドリドの比率は1.05:1であると見なされた。生成物A5はさらに分離され、そして保管された。
【化14】
【0051】
例4:環状エポキシシロキサン(ポリマーA)の合成
重合度に基づいて、テトラメチルシクロテトラシロキサンを3つ口丸底フラスコに入れ、75℃以上で攪拌し続けた。所望の温度で、10ppmのPt触媒を丸底フラスコに加え、そして均質に混合させた。次に、アリルグリシジルエーテルを滴下漏斗に入れ、そしてヒドリドと触媒の反応混合物に滴下して加えた。ビニルとヒドリドの比率は1.05:1であると見なされた。生成物A6をさらに単離して保存した。
【化15】
【0052】
表1は、前述の構造(1-III)に加えて、配合物に使用される様々な材料の説明および供給元を提供する。
【表1】
**標識は、配合物を説明するために本明細書で使用される。
*Momentiveの市販製品。
【0053】
様々な配合物の調製
1つまたは複数のエポキシ官能基を含むポリマーAおよび2つ以上のアミン官能基を含むポリマーBを使用して、1つまたは複数の充填剤の存在下でハイブリッドシリコーン複合材料を調製した。ここで、アミン官能基は、シロキサン分子の末端またはペンダントのいずれかにあることができる。ポリマーAとポリマーBの混合物にさまざまな重量比の充填剤を添加した。ポリマーA、ポリマーBおよび充填剤を混合した後、60℃で硬化させた。エポキシ官能性ポリマーAとアミン官能性ポリマーBの両方を、それらの当量に基づいて等モルの比率で添加した。さまざまな配合物の詳細を以下の表1に示す。さまざまな配合物に対して、さまざまなタイプのシリコーンエポキシ、有機エポキシ、シリコーンアミン、ハイブリッドシリコーンアミン、および有機アミン、およびさまざまなタイプの充填剤が選択された。例えば、配合物1および2では、充填剤としてニッケル被覆グラファイトの存在下でポリマーBとしてのペンダントアミノシリコーンにて、有機ビスエポキシ分子であるEPON828(Hexion)がポリマーAとして使用された。同様に、配合物3から6については、充填剤としてのニッケル被覆グラファイトの存在下でポリマーBとしてペンダントアミノシリコーンにて、有機モノエポキシ分子であるHeloxy62(Hexion)をポリマーAとしてEPON828と共に使用した。配合物7および8では、トリメトキシエポキシシランが、EPON828、ペンダントアミノシリコーン、およびニッケル被覆グラファイトなどの成分への接着促進剤として添加された。配合物9および10において、充填剤としてのグラファイトの存在下で、ポリマーBとしてのペンダントアミノシリコーンにて、EPON828がポリマーAとして使用された。配合11では、充填剤としてのニッケル被覆グラファイトの存在下、ポリマーBとしてのJeffamineD230(Huntsman)にて、ビニルシクロヘキサンマルチエポキシPDMS(SE2)をポリマーAとして使用した。さまざまな配合物を表2に示す。さまざまなタイプのエポキシ官能化シリコーン、エポキシ官能化有機ポリマー、および有機アミン、またはシリコーンアミンを使用し、これらを以下に示す。
【化16】
【0054】
さまざまな配合物の詳細を以下の表2に示す。さまざまな配合物について、さまざまなタイプのシリコーンエポキシ、有機エポキシ、ハイブリッドシリコーンエポキシ、シリコーンアミン、およびハイブリッドシリコーンアミンが選択された。
【表2】
【0055】
物理機械的特性の試験方法論
電気伝導率測定:さまざまな形態のサンプルの電気抵抗率測定は、4プローブ装置を使用してASTMD257規格に従って行われた。得られた電気抵抗値を電気伝導率に換えた。開発された配合物のラップ剪断は、ASTMD3163規格を使用して測定された。インストロン機器も同様に使用された。硬度測定:開発された複合材料の硬度は、ASTMD2240規格に従って測定された。
【表3】
N.D.:測定されず
【0056】
EMIシールド測定:さまざまな形態のサンプルのEMIシールド測定は、IEEE299規格に従って行われた。開発した配合物のEMIシールド能力はまた6GHzから12GHzの範囲で確認された。サンプルの厚さは、0.5mmから1.5mmの間であった。選択サンプルのEMIシールド効果を表4に示す。
【表4】
【0057】
熱伝導率:サンプルの熱伝導率測定は、ASTME1530規格に従って行われた。選択サンプルの熱伝導率を表5に示す。
【表5】
【0058】
比較例1
ハイブリッドシリコーンベースの配合物と純粋な有機ベースの配合物との比較を示すため、対照サンプル(配合物F7と比較)を作製して試験した。
【表6】
【0059】
本技術の実施形態は上記で説明されており、本明細書を読み理解すると、他者に修正および変更が生じ得る。以下の特許請求の範囲は、特許請求の範囲またはその均等の範囲内にある限り、すべての修正および変更を含むことを意図している。