(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】開裂性多価アルコール系マイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
B01J 13/16 20060101AFI20241213BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20241213BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20241213BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241213BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20241213BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20241213BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20241213BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
B01J13/16
C11B9/00 Z
C11D3/50
A61Q5/12
A61K8/02
A61Q5/02
A61Q15/00
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2021555843
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2020071627
(87)【国際公開番号】W WO2021023645
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-07-11
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン ベルティエ
(72)【発明者】
【氏名】セルジュ ランボレ
(72)【発明者】
【氏名】キティ ファン グルイトゥイセン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ パレ
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/002380(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/004166(WO,A1)
【文献】特表2018-518479(JP,A)
【文献】特表2003-509387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/16
C11B 9/00
C11D 3/50
A61Q 5/12
A61K 8/02
A61Q 5/02
A61Q 15/00
A61Q 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア・シェル型マイクロカプセルスラリーの製造方法であって、前記方法は、
a)疎水性材
料に少なくとも1つの多官能性モノマーを加えて、油相を形成するステップと、
b)前記油相と混和しない分散相を製造するステップと、
c)前記分散相に前記油相を加えて、二相分散液を形成するステップと、
d)任意に、ステップc)で得られた前記分散液に反応物を加えるステップと、
e)硬化ステップを行って、スラリーの形態のコア・シェル型マイクロカプセルを形成するステップと
を含み、
ステップa)および/またはステップb)において、安定剤を加え、
ステップa)および/またはステップb)および/またはステップc)および/またはステップd)において、少なくとも1つの開裂性多価アルコールを加え、
前記開裂性多価アルコールは
、以下のものからなる群から選択される化合物:
- 以下のものからなる群から選択されるジスルフィド:2,2’-ジスルファンジイルビス(エタン-1-オール)、2,2’-ジスルファンジイルビス(プロパン-1,3-ジオール)、3-(2,3-ジヒドロキシプロピルジスルファニル)プロパン-1,2-ジオール、2,2’-(ジスルファンジイルビス(メチレン))ビス(2-メチルプロパン-1,3-ジオール)、もしくは2,2’-(ジスルファンジイルビス(メチレン))ビス(2-エチルプロパン-1,3-ジオール)、ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)3,3’-ジスルファンジイルジプロピオネート、テトラキス(2-ヒドロキシエチル)2,2’-ジスルファンジイルジスクシネート、および/または
- 以下のものからなる群から選択されるオキサゾリジン:(3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン-2,2-ジイル)ジメタノール、オキサゾリジン-2,2,4-トリイルトリメタノール、2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(2-メチルオキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、(エタン-1,2-ジイルビス(2-メチルオキサゾリジン-2,4,4-トリイル))テトラメタノール、2,2’-(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(フラン-2,5-ジイルビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-4,12-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,4,4-トリイル))テトラメタノール、(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-3,3,11,11-テトライル)テトラメタノール、(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、(3,11-ジメチル-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、(1,4-フェニレンビス(4-エチルオキサゾリジン-2,4-ジイル))ジメタノール、(3,11-ジエチル-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、2,2’-(3,11-ビス(ヒドロキシメチル)-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-4,12-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、および/または
- 以下のものからなる群から選択される1,4-付加物:2-ヒドロキシエチル3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル3-((3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)チオ)-2-メチルプロパノエート、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル(S)-3-((2,3-ジヒドロキシプロピル)チオ)プロパノエート、2-エチル-2-(((3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート)、4-ヒドロキシブチル3-((1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)プロパノエート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-(ブチルアザンジイル)ジプロピオネート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ジプロピオネート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-(ピペラジン-1,4-ジイル)ジプロピオネート、テトラキス(2-ヒドロキシエチル)3,3’,3’’,3’’’-(プロパン-1,3-ジイルビス(アザントリイル))テトラプロピオネート、ビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)スクシネート
である、方法。
【請求項2】
前記多官能性モノマーは、少なくとも1つのポリイソシアネート、ポリ酸無水物、ポリアシルクロリド、ポリエポキシド、ポリアクリレートモノマー、ポリメタクリレート、およびポリアルコキシシラン、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
1記載の方法。
【請求項3】
前記反応物は、窒素求核性化合物、硫黄求核性化合物、エノール炭素求核性化合物、酸素求核性化合物、リン求核性化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1
または2記載の方法。
【請求項4】
前記反応物は、キシリレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、L-リジン、L-リジンエチルエステル、O,O’-ビス(2-アミノプロピル)ポリプロピレングリコールブロック-ポリエチレングリコールブロック-ポリプロピレングリコール、エチレンジアミン、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン、ジエチレントリアミン、スペルミン、スペルミジン、シスタミン、シスチン、シスチンジアルキルエステル、重炭酸アミノグアニジン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、ポリアミドアミン(PAMAM)、キトサン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、L-アルギニン、1,3-ジアミノプロパン、N-エチルグアニジンスルフェート、1,6-ジアミノヘキサン、グアニジン塩、N,N,N’,N’-テトラキス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、グアナゾール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、エタノールアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(3-アミノプロピル)アミン、トリス[2-(メチルアミノ)エチル]アミン、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、フタル酸二カリウム塩、コハク酸二ナトリウム塩、ジチオトレイトール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
3記載の方法。
【請求項5】
前記安定剤は、アラビアガム、化工デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アニオン性多糖類、アクリルアミドコポリマー、無機粒子、タンパク質、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から
4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
コア・シェル型マイクロカプセルであって、前記コア・シェル型マイクロカプセルは、
- 疎水性材
料を含む油性コアと、
- 多官能性モノマーと開裂性多価アルコールとの反応生成物を含むシェルと
を含み、前記開裂性多価アルコールは、
以下のものからなる群から選択される化合物:
- 以下のものからなる群から選択されるジスルフィド:2,2’-ジスルファンジイルビス(エタン-1-オール)、2,2’-ジスルファンジイルビス(プロパン-1,3-ジオール)、3-(2,3-ジヒドロキシプロピルジスルファニル)プロパン-1,2-ジオール、2,2’-(ジスルファンジイルビス(メチレン))ビス(2-メチルプロパン-1,3-ジオール)、もしくは2,2’-(ジスルファンジイルビス(メチレン))ビス(2-エチルプロパン-1,3-ジオール)、ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)3,3’-ジスルファンジイルジプロピオネート、テトラキス(2-ヒドロキシエチル)2,2’-ジスルファンジイルジスクシネート、および/または
- 以下のものからなる群から選択されるオキサゾリジン:(3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン-2,2-ジイル)ジメタノール、オキサゾリジン-2,2,4-トリイルトリメタノール、2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(2-メチルオキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、(エタン-1,2-ジイルビス(2-メチルオキサゾリジン-2,4,4-トリイル))テトラメタノール、2,2’-(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(フラン-2,5-ジイルビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-4,12-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,4,4-トリイル))テトラメタノール、(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-3,3,11,11-テトライル)テトラメタノール、(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、(3,11-ジメチル-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、(1,4-フェニレンビス(4-エチルオキサゾリジン-2,4-ジイル))ジメタノール、(3,11-ジエチル-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、2,2’-(3,11-ビス(ヒドロキシメチル)-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.4
8
.2
5
]テトラデカン-4,12-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、および/または
- 以下のものからなる群から選択される1,4-付加物:2-ヒドロキシエチル3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル3-((3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)チオ)-2-メチルプロパノエート、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル(S)-3-((2,3-ジヒドロキシプロピル)チオ)プロパノエート、2-エチル-2-(((3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート)、4-ヒドロキシブチル3-((1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)プロパノエート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-(ブチルアザンジイル)ジプロピオネート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ジプロピオネート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-(ピペラジン-1,4-ジイル)ジプロピオネート、テトラキス(2-ヒドロキシエチル)3,3’,3’’,3’’’-(プロパン-1,3-ジイルビス(アザントリイル))テトラプロピオネート、ビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)スクシネート
である、コア・シェル型マイクロカプセル。
【請求項7】
前記多官能性モノマーは、少なくとも1つのポリイソシアネート、ポリ酸無水物、ポリアシルクロリド、ポリエポキシド、ポリアクリレートモノマー、ポリメタクリレート、およびポリアルコキシシラン、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項
6記載のコア・シェル型マイクロカプセル。
【請求項8】
(i)請求項
6記載の香料マイクロカプセルであって、前記疎水性材料は香料を含むものとする、マイクロカプセルと、
(ii)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1つの成分と、
(iii)任意に、少なくとも1つの香料アジュバントと
を含む、芳香組成物。
【請求項9】
- パーソナルケア活性ベースと、
- 請求項
7記載のマイクロカプセル、または請求項
8記載の芳香組成物と
を含み、かつパーソナルケア組成物の形態である、消費者製品。
【請求項10】
- ホームケアまたはファブリックケア活性ベースと、
- 請求項
7記載のマイクロカプセル、または請求項
8記載の芳香組成物と
を含み、かつホームケア組成物またはファブリックケア組成物の形態である、消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開裂性多価アルコール系マイクロカプセルの新規の製造方法に関する。開裂性多価アルコール系マイクロカプセルも本発明の対象である。該カプセルを含む芳香組成物および消費者製品、特にホームケアまたはパーソナルケア製品の形態の付香消費者製品も本発明の一部である。
【0002】
発明の背景
香料産業が直面している問題の1つに、発香性化合物により提供される嗅覚的有益性が、その揮発性、特に「トップノート」の揮発性ゆえに比較的急速に失われてしまうことがある。揮発性物質の放出速度を調整するためには、香料を含むマイクロカプセルのような送達システムが必要であり、これによってコアのペイロードを保護し、後にトリガーが引かれた際にこれを放出することができる。こうしたシステムに関連する産業から主に求められていることは、扱いづらいベースにおいて、物理的な解離や劣化を生じることなく懸濁していられることである。これは、送達システムの安定性と呼ばれている。例えば、攻撃的な界面活性剤を高水準で含むパーソナルおよび家庭用着香洗剤は、マイクロカプセルの安定性にとって非常に扱いづらい。
【0003】
ポリウレアおよびポリウレタン系マイクロカプセルスラリーは、様々な基材に施与した後に心地よい嗅覚的効果を長期間持続させるため、香料産業などで広く使用されている。それらのマイクロカプセルは、従来技術で広く開示されている(例えば、本出願人による国際公開第2007/004166号または欧州特許第2300146号明細書を参照)。
【0004】
特に消費者製品のベースのような扱いづらい媒体における安定性の点でのカプセルの性能についても、有効成分の送達の点で良好な性能を提供すること、例えば芳香成分の場合には良好な嗅覚的性能を提供することについても妥協せずに新規のマイクロカプセルを提供することが依然として求められている。
【0005】
本発明は、可逆反応をベースとする共有結合適合性のネットワークを用いて新規の開裂性多価アルコール系マイクロカプセルを提供することにより、上記の課題に対する解決策を提案するものである。
【0006】
発明の概要
ここで、驚くべきことに、マイクロカプセルのポリマー壁を生成するための構成単位として開裂性多価アルコールを使用することにより、疎水性成分を封入した高性能のコア・シェル型マイクロカプセルが得られることが見出された。共有結合適合性のネットワークの存在により、高性能のマイクロカプセルが得られることが判明した。
【0007】
したがって、本発明の方法は、扱いづらいベースにおいて所望の安定性を示すマイクロカプセルを製造することができるため、上述の課題に対する解決策を提供するものである。
【0008】
第1の態様において、本発明は、コア・シェル型マイクロカプセルスラリーの製造方法であって、該方法は、
a)疎水性材料、好ましくは香料に少なくとも1つの多官能性モノマーを加えて、油相を形成するステップと、
b)油相と混和しない分散相を製造するステップと、
c)分散相に油相を加えて、二相分散液を形成するステップと、
d)任意に、ステップc)で得られた分散液に反応物を加えるステップと、
e)硬化ステップを行って、スラリーの形態のコア・シェル型マイクロカプセルを形成するステップと
を含み、
ステップa)および/またはステップb)において、安定剤を加え、
ステップa)および/またはステップb)および/またはステップc)および/またはステップd)において、少なくとも1つの開裂性多価アルコールを加え、
開裂性多価アルコールは、以下の式(I)
【化1】
[式中、
各R
1は、独立して、HまたはCH
2OHであり、pおよびqは、1~3の間で変化する整数であり、好ましくは、pおよびqは、1または2のいずれかであり、
Xは、C
2~C
30炭化水素基であり、該炭化水素基は、O、SおよびNから選択される1~10個のヘテロ原子を含んでいてもよく、それによりエーテル、エステル、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、アルコール、チオール、ジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、カルバメート、アミド、オキシム、イミン、アミンまたはニトリル官能基が形成される]を有する、方法に関する。
【0009】
第2の態様では、本発明は、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
- 多官能性モノマーと上記で定義した開裂性多価アルコールとの反応生成物を含むシェルと
を含むコア・シェル型マイクロカプセルに関する。
【0010】
本発明の第3の対象は、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
- 多官能性モノマーと上記で定義した開裂性多価アルコールとの反応生成物を含むシェルと
を有する少なくとも1つのマイクロカプセルを含むコア・シェル型マイクロカプセルスラリーである。
【0011】
本発明の第4の対象は、上記で定義した方法によって得られるコア・シェル型マイクロカプセルスラリーである。
【0012】
本発明のもう1つの対象は、
(i)上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、疎水性材料は香料を含むものとする、マイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと、
(ii)香料担体および香料ベースからなる群から選択される少なくとも1つの成分と、
(iii)任意に、少なくとも1つの香料アジュバントと
を含む芳香組成物である。
【0013】
本発明のもう1つの対象は、
- パーソナルケア活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルもしくはマイクロカプセルスラリー、または上記で定義した芳香組成物と
を含み、かつパーソナルケア組成物の形態である、消費者製品である。
【0014】
本発明のもう1つの対象は、
- ホームケアまたはファブリックケア活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルもしくはマイクロカプセルスラリー、または上記で定義した芳香組成物と
を含み、かつホームケア組成物またはファブリックケア組成物の形態である、消費者製品である。
【0015】
発明の詳細な説明
別段の記載がない限り、パーセンテージ(%)は、組成物に対する質量割合を示すことを意図している。
【0016】
「有効成分」とは、単一の化合物または複数成分の組み合わせを意味する。
【0017】
「香料またはフレーバー油」とは、単一の芳香もしくはフレーバー化合物、またはいくつかの芳香もしくはフレーバー化合物の混合物を意味する。
【0018】
「消費者製品」または「最終製品」とは、流通、販売および消費者によって使用される準備が整った製品を意味する。
【0019】
明確にするために述べると、本発明の「分散液」という表現は、異なる組成の連続相に粒子が分散している系を意味し、具体的には懸濁液またはエマルションが含まれる。
【0020】
本発明における「マイクロカプセル」またはそれに類似するものは、コア・シェル型マイクロカプセルが、ミクロン範囲の粒度分布(例えば、約1~3000ミクロン、好ましくは1~1000ミクロン、より好ましくは1~500ミクロン、さらにより好ましくは5~50ミクロンで構成される平均直径(d(v,0.5))を有し、かつポリマーベースの外部固体シェルと、この外部シェルに囲まれた内部の連続油相とを含むことを意味する。
【0021】
「マイクロカプセルスラリー」とは、液体中に分散されたマイクロカプセルを意味する。一実施形態によれば、スラリーは水性スラリーであり、すなわち、マイクロカプセルは水相に分散されている。
【0022】
「多官能性モノマー」とは、単位として化学的に反応または結合してポリマーまたは超分子ポリマーを形成する分子を意味する。本発明の多官能性モノマーは、他のモノマーの官能基と反応または結合して(ポリマー)マイクロカプセルシェルを形成することができる官能基を少なくとも2つ有する。本発明では、「シェル」および「壁」という用語は、区別なく用いられる。
【0023】
「開裂性多価アルコール」とは、以下の式
【化2】
[式中、
各R
1は、独立して、HまたはCH
2OHであり、pおよびqは、1~3の間で変化する整数であり、好ましくは、pおよびqは、1または2のいずれかであり、
Xは、C
2~C
30炭化水素基であり、該炭化水素基は、O、SおよびNから選択される1~10個のヘテロ原子を含んでいてもよく、それによりエーテル、エステル、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、アルコール、チオール、ジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、カルバメート、アミド、オキシム、イミン、アミンまたはニトリル官能基が形成される]を有するマルチオールまたはポリオールを意味する。
【0024】
本発明によれば、Xは、酸化還元反応、加水分解、レトロ-1,4-付加、光の作用および/またはそれらの組み合わせの結果として1つ以上の共有結合が開裂することにより、少なくとも2つの別個の部分に分割することができる。
【0025】
本発明によれば、「ポリ酸塩化物」および「ポリアシルクロリド」は、区別なく用いられる。
【0026】
ポリマーカプセルシェルを形成する過程で、開裂性多価アルコールを少なくとも1つの他の多官能性モノマーと反応させることにより、扱いづらいベースにおいて全体的に良好な性能を示すコア・シェル型マイクロカプセルが得られることが見出された。この開裂性多価アルコールは、コモノマーとしてシェル内に存在する場合、扱いづらいベースにおいて驚くほど安定していた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明によるポリ(ウレタン)コア・シェル型マイクロカプセルの光学顕微鏡写真を示す図である。
【0028】
マイクロカプセルスラリーの製造方法
本発明の第1の対象は、コア・シェル型マイクロカプセルスラリーの製造方法であって、該方法は、
a)疎水性材料、好ましくは香料に少なくとも1つの多官能性モノマーを加えて、油相を形成するステップと、
b)油相と混和しない分散相を製造するステップと、
c)分散相に油相を加えて、二相分散液を形成するステップと、
d)任意に、ステップc)で得られた分散液に反応物を加えるステップと、
e)硬化ステップを行って、スラリーの形態のコア・シェル型マイクロカプセルを形成するステップと
を含み、
ステップa)および/またはステップb)において、安定剤を加え、
ステップa)および/またはステップb)および/またはステップc)および/またはステップd)において、少なくとも1つの開裂性多価アルコールを加え、
開裂性多価アルコールは、以下の式(I)
【化3】
[式中、
各R
1は、独立して、HまたはCH
2OHであり、pおよびqは、1~3の間で変化する整数であり、好ましくは、pおよびqは、1または2のいずれかであり、
Xは、C
2~C
30炭化水素基であり、該炭化水素基は、O、SおよびNから選択される1~10個のヘテロ原子を含んでいてもよく、それによりエーテル、エステル、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、アルコール、チオール、ジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、カルバメート、アミド、オキシム、イミン、アミンまたはニトリル官能基が形成される]を有する、方法である。
【0029】
ステップa):疎水性材料、好ましくは香料に少なくとも1つの多官能性モノマーを加えて、油相を形成するステップ
疎水性材料
本発明による疎水性材料は、溶媒や有効成分のような「不活性な」材料であることができる。
【0030】
疎水性材料が有効成分である場合、これらは、好ましくは、フレーバー、フレーバー成分、香料、香料成分、栄養補助食品、化粧品、有害生物駆除剤、殺生物性活性物質、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0031】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料と、栄養補助食品、化粧品、有害生物駆除剤および殺生物性活性物質からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0032】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、殺生物性活性物質と、香料、栄養補助食品、化粧品、有害生物駆除剤からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0033】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、有害生物駆除剤と、香料、栄養補助食品、化粧品、殺生物性活性物質からなる群から選択される別の成分との混合物を含む。
【0034】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料を含む。
【0035】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、香料からなる。
【0036】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、殺生物性活性物質からなる。
【0037】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、有害生物駆除剤からなる。
【0038】
本明細書において「香料」(または「香油」とも呼ばれる)が意味するものは、約20℃で液体である成分または組成物である。上記の実施形態のいずれか1つによれば、前述の香油とは、芳香成分単独であってもよいし、芳香組成物の形態での各成分の混合物であってもよい。「芳香成分」とは、本明細書において、香りの付与または調節を主な目的として使用される化合物を意味する。言い換えれば、このような成分は、芳香成分であるとみなされるためには、単に香りを有するだけでなく、少なくとも組成物の香りをポジティブにまたは心地よいように付与または変調することができると当業者によって認識されなければならない。本発明において、香油には、芳香成分に加え、例えば香料前駆体、エマルションまたは分散液など、一緒になって芳香成分の送達を改善、増強または変調する物質との組み合わせや、長持ち性、ブルーミング、悪臭中和性、抗菌効果、微生物安定性、有害生物駆除性など、香りの変調または付与以外の付加的な有益性を付与する組み合わせも含まれる。
【0039】
油相に含まれる芳香成分の性質および種類については、本明細書における詳細な説明は保証されないが、いずれにしてもすべてを余すことなく網羅できるものではなく、当業者は自身の一般的な知識に基づいて、用途または適用、および所望の官能的効果に応じてそれらを選択することができる。一般的に、これらの芳香成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫黄複素環式化合物、および精油などの様々な化学的クラスに属し、前述の芳香補助成分は、天然由来のものであっても、合成由来のものであってもよい。これらの補助成分の多くは、いずれにせよ、S. Arctander著、Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USAまたはその最新版などの参考文献や、同様の性質を持つ他の著作物、さらに香料分野の豊富な特許文献に挙げられている。また、前述の成分は、プロパフュームまたはプロフレグランスとしても知られる様々な種類の芳香成分を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。適切なプロパフュームの非限定的な例としては、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノン、トランス-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノン、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェネトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェネトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
芳香成分は、香料産業で現在使用されている溶媒に溶解させてもよい。溶媒は、好ましくはアルコールではない。そのような溶媒の例は、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、Abalyn(登録商標)(ロジン樹脂、Eastmanより入手可能)、安息香酸ベンジル、クエン酸エチル、リモネンもしくは他のテルペン、またはイソパラフィンである。好ましくは、溶媒は、例えばAbalyn(登録商標)や安息香酸ベンジルのように、非常に疎水性が高く、かつ立体障害性が高い。好ましくは、香料は、30%未満の溶媒を含む。より好ましくは、香料は、20%未満、さらにより好ましくは10%未満の溶媒を含み、これらのパーセンテージはいずれも、香料の総質量に対する質量で定められる。最も好ましくは、香料は、実質的に溶媒を含まない。
【0041】
好ましい芳香成分は、立体障害性が高く、特に以下の群のうちの1つからのものである:
- 群1:少なくとも1つの直鎖状または分岐状のC1~C4アルキルまたはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンまたはシクロヘキセノン環を含む芳香成分、
- 群2:少なくとも1つの直鎖状または分岐状のC4~C8アルキルまたはアルケニル置換基で置換されたシクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタノンまたはシクロペンテノン環を含む芳香成分、
- 群3:フェニル環を含む芳香成分、または少なくとも1つの直鎖状もしくは分岐状のC5~C8アルキルもしくはアルケニル置換基で置換された、もしくは少なくとも1つのフェニル置換基および任意に1つ以上の直鎖状もしくは分岐状のC1~C3アルキルもしくはアルケニル置換基で置換されたシクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンもしくはシクロヘキセノン環を含む芳香成分、
- 群4:縮合または連結した少なくとも2つのC5および/またはC6環を含む芳香成分、
- 群5:カンファー様の環構造を含む芳香成分、
- 群6:少なくとも1つのC7~C20環構造を含む芳香成分、
- 群7:logP値が3.5超であり、かつ少なくとも1つのtert-ブチルまたは少なくとも1つのトリクロロメチル置換基を含む芳香成分。
【0042】
これらの各群からの成分の例は、以下のとおりである:
- 群1:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、イソシクロシトラール、メントン、イソメントン、メチル2,2-ジメチル-6-メチレン-1-シクロヘキサンカルボキシレート(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、ネロン、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、テルペニルアセテート、ジヒドロテルペニルアセテート、ジペンテン、ユーカリプトール、ヘキシレート、ローズオキシド、(S)-1,8-p-メンタジエン-7-オール(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、1-p-メンテン-4-オール、(1RS,3RS,4SR)-3-p-メンタニルアセテート、(1R,2S,4R)-4,6,6-トリメチル-ビシクロ[3,1,1]ヘプタン-2-オール、テトラヒドロ-4-メチル-2-フェニル-2H-ピラン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、シクロヘキシルアセテート、シクラノールアセテート、1,4-シクロヘキサンジエチルジカルボキシレート(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、(3ARS,6SR,7ASR)-パーヒドロ-3,6-ジメチルベンゾ[B]フラン-2-オン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、((6R)-パーヒドロ-3,6-ジメチルベンゾ[B]フラン-2-オン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、
- 群2:(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(供給元:Givaudan SA、スイス・ヴェルニエ)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、(1’R,E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、2-ヘプチルシクロペンタノン、メチル-シス-3-オキソ-2-ペンチル-1-シクロペンタンアセテート(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、2,2,5-トリメチル-5-ペンチル-1-シクロペンタノン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ペンタノール(供給元、Givaudan SA、スイス・ヴェルニエ)、
- 群3:ダマスコン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン(供給元,Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、ネクタラクトン((1’R)-2-[2-(4’-メチル-3’-シクロヘキセン-1’-イル)プロピル]シクロペンタノン)、α-イオノン、β-イオノン、ダマセノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンと1-(3,3-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オンとの混合物(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(供給元:International Flavors and Fragrances、米国)、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキシル)-3-ヘキサノール(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、トランス-1-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、テルペニルイソブチレート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、8-メトキシ-1-p-メンテン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、p-tert-ブチルシクロヘキサノン、メンテンチオール、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アリルシクロヘキシルプロピオネート、シクロヘキシルサリチレート、2-メトキシ-4-メチルフェニルメチルカーボネート、エチル2-メトキシ-4-メチルフェニルカーボネート、4-エチル-2-メトキシフェニルメチルカーボネート、
- 群4:メチルセドリルケトン(供給元:International Flavors and Fragrances、米国)、(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.0~2,6~]デカ-3-エン-8-イル2-メチルプロパノエートと(1RS,2SR,6RS,7RS,8SR)-トリシクロ[5.2.1.0~2,6~]デカ-4-エン-8-イル2-メチルプロパノエートとの混合物、ベチベロール、ベチベロン、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン(供給元:International Flavors and Fragrances、米国)、(5RS,9RS,10SR)-2,6,9,10-テトラメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、および(5RS,9SR,10RS)異性体、6-エチル-2,10,10-トリメチル-1-オキサスピロ[4.5]デカ-3,6-ジエン、1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4-インデノン(供給元:International Flavors and Fragrances、米国)、3-(3,3-ジメチル-5-インダニル)プロパナールと3(1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナールとの混合物(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、3’,4-ジメチルトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカ-4-エン-9-スピロ-2’-オキシラン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、9/10-エチルジエン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン、(パーヒドロ-5,5,8A-トリメチル-2-ナフタレニルアセテート(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、オクタリノール、ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルアセテート、およびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルアセテート、およびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-3-エン-8-イルプロパノエート、およびトリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカ-4-エン-8-イルプロパノエート、(+)-(1S,2S,3S)-2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3-スピロ-2’-シクロヘキセン-4’-オン、
- 群5:カンファー、ボルネオール、イソボルニルアセテート、8-イソプロピル-6-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルバルデヒド、ピネン、カンフェン、8-メトキシセドラン、(8-メトキシ-2,6,6,8-テトラメチルトリシクロ[5.3.1.0(1,5)]ウンデカン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、セドレン、セドレノール、セドロール、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンと10-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン-4-オンとの混合物(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、3-メトキシ-7,7-ジメチル-10-メチレンビシクロ[4.3.1]デカン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、
- 群6:(トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]-トリデカ-4,8-ジエン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、Ambrettolide LG((E)-9-ヘキサデセン-16-オリド、供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、ペンタデセノリド(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、ムセノン(3-メチル-(4/5)-シクロペンタデセノン、供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、3-メチルシクロペンタデカノン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、ペンタデカノリド(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、シクロペンタデカノン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、1-エトキシエトキシ)シクロドデカン(供給元:Firmenich SA、スイス・ジュネーヴ)、1,4-ジオキサシクロヘプタデカン-5,17-ジオン、4,8-シクロドデカジエン-1-オン、
- 群7:(+-)-2-メチル-3-[4-(2-メチル-2-プロパニル)フェニル]プロパナール(供給元:Givaudan SA、スイス・ヴェルニエ)、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート。
【0043】
好ましくは、香料は、上記で定義した群1~7から選択される成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。より好ましくは、前述の香料は、上記で定義した群3~7から選択される成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。最も好ましくは、前述の香料は、上記で定義した群3、4、6または7から選択される成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%含む。
【0044】
別の好ましい実施形態によれば、香料は、logPが3超、好ましくは3.5超、さらにより好ましくは3.75超である成分を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%含む。
【0045】
好ましくは、本発明で使用される香料は、自重の10%未満の第一級アルコール、自重の15%未満の第二級アルコール、および自重の20%未満の第三級アルコールを含む。有利には、本発明で使用される香料は、第一級アルコールを含まず、第二級アルコールおよび第三級アルコールを15%未満含む。
【0046】
一実施形態によれば、油相(または油性コア)は、
- Log T<-4である高インパクト香料原材料を少なくとも15質量%含む香油を25~100質量%と、
- 密度が1.07g/cm3である密度調整材料を0~75質量%と
を含む。
【0047】
Log T<-4である高インパクト香料原材料、および密度が1.07g/cm3である密度調整材料の性質は、国際公開第2018/115250号に記載されており、その内容は参照により含まれる。
【0048】
「殺生物剤」という用語は、生きている生物(例えば、微生物)を殺すことができる、またはその成長および/もしくは蓄積を低減もしくは防止することができる化学物質を指す。殺生物剤は、医療、農業、林業、および工業で一般的に使用されており、例えば、水、種子を含む農業製品、および石油パイプラインのファウリングを防止する。殺生物剤は、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、殺軟体動物剤、殺ダニ剤、および殺鼠剤を含む農薬、ならびに/または殺菌剤、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤および/もしくは抗寄生虫剤などの抗微生物剤であることができる。
【0049】
本明細書で使用する場合に、「有害生物駆除剤」とは、有害生物を忌避または誘引し、その成長、発達またはその活性を低減、抑制または促進する役割を果たす物質を示す。有害生物とは、動物、植物または菌類にかかわらず、植物や動物に侵入するまたは害を及ぼす、生きているあらゆる生物を指し、有害生物には、昆虫、特に節足動物、ダニ、クモ、真菌、雑草、細菌、および他の微生物が含まれる。
【0050】
特定の実施形態によれば、疎水性材料は、いかなる有効成分(香料など)も含まない。この特定の実施形態によれば、疎水性材料は、疎水性溶媒を含み、好ましくは疎水性溶媒からなり、疎水性溶媒は、好ましくは、ミリスチン酸イソプロピル、トリグリセリド(例えば、Neobee(登録商標)MCT油、植物油)、D-リモネン、シリコーン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択され、任意に、好ましくは、1,4-ブタンジオール、ベンジルアルコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、酢酸ベンジル、酢酸エチル、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、グリコールエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択される親水性溶媒を伴う。
【0051】
本発明の実施形態のいずれか1つによれば、疎水性材料は、ステップc)の後に得られる分散液の総質量に対して約10~60質量%、またはさらには約15~45質量%に相当する。
【0052】
特定の実施形態によれば、油相は実質的に、多官能性モノマー、開裂性多価アルコール、および香料またはフレーバー油からなる。
【0053】
多官能性モノマー
一実施形態によれば、多官能性モノマーは、少なくとも1つのポリイソシアネート、ポリ無水マレイン酸、ポリ酸塩化物、ポリエポキシド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアルコキシシラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0054】
本発明による方法で使用される多官能性モノマーは、油相の総量に対して、0.1~15質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.8~6質量%、さらにより好ましくは1~3質量%に相当する量で存在する。
【0055】
特定の実施形態によれば、ステップa)で加えられるモノマーは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートである。
【0056】
本発明により使用される適切なポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、およびそれらの混合物を含む。前述のポリイソシアネートは、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのイソシアネート官能基を含むが、イソシアネート官能基を最大で6つ、またはさらには4つのみ含むことができる。特定の実施形態によれば、トリイソシアネート(3つのイソシアネート官能基)が使用される。
【0057】
一実施形態によれば、前述のポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。
【0058】
「芳香族ポリイソシアネート」という用語は、本明細書において、芳香族部分を含む任意のポリイソシアネートを包含するものを意味する。好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、フェニル、トルイル、キシリル、ナフチル、またはジフェニル部分、より好ましくはトルイルまたはキシリル部分を含む。好ましい芳香族ポリイソシアネートは、ビウレット、ポリイソシアヌレート、およびジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物であり、より好ましくは、上記で挙げた特定の芳香族部分の1つを含む。より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(Bayerより商品名Desmodur(登録商標)RCで市販)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(Bayerより商品名Desmodur(登録商標)L75で市販)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社より商品名Takenate(登録商標)D-110Nで市販)である。最も好ましい実施形態では、芳香族ポリイソシアネートは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。
【0059】
もう1つの実施形態によれば、前述のポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」という用語は、いずれの芳香族部分も含まないポリイソシアネートとして定義される。好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学株式会社より入手可能)、またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(Bayerより商品名Desmodur(登録商標)N 100で市販)であり、中でもヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットがさらにより好ましい。
【0060】
もう1つの実施形態によれば、少なくとも1つのポリイソシアネートは、双方とも少なくとも2つまたは3つのイソシアネート官能基を含む、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物の形態であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレートとの混合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとトルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。最も好ましくは、これは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物との混合物である。好ましくは、混合物として使用される場合、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとのモル比は、80:20~10:90の範囲である。
【0061】
一実施形態によれば、本発明の方法で使用される少なくとも1つのポリイソシアネートは、油相の総量に対して、0.1~15質量%、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.8~6質量%、さらにより好ましくは1~3質量%に相当する量で存在する。
【0062】
もう1つの実施形態によれば、本発明で使用される多官能性ポリマーは、ポリ酸塩化物である。
【0063】
一実施形態によれば、ポリアシルクロリドは、ベンゼン-1,3,5-トリカルボニルクロリド、ベンゼン-1,2,4-トリカルボニルトリクロリド、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボニルトリクロリド、イソフタリオールジクロリド、ジグリコリルジクロリド、スクシニルジクロリド、テレフタロイルクロリド、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0064】
特定の実施形態によれば、ポリアシルクロリドは、1,3,5-ベンゼントリカルボニルクロリドである。
【0065】
特定の実施形態によれば、ポリアシルクロリドは、以下の式(II)
【化4】
[式中、
sは、1~8、好ましくは1~6、より好ましくは1~4の間で変化する整数であり、
Qは、(s+1)価のC
3~C
6アルキル基、または(i)~(vi)
【化5】
[式中、
Rは、水素原子またはメチルもしくはエチル基であり、好ましくは水素原子である]から選択される少なくとも1つの基を含む(s+1)価のC
2~C
45炭化水素基のいずれかである]を有する。
【0066】
一実施形態によれば、炭化水素基Qが、(i)~(vi)から選択される複数の基を含む場合、それらはQの少なくとも1つの炭素原子によってそれぞれ分離されている。
【0067】
「・・・炭化水素基・・・」とは、該基が水素原子および炭素原子からなり、脂肪族炭化水素、すなわち直鎖状または分岐状の飽和炭化水素(例えば、アルキル基)、直鎖状または分岐状の不飽和炭化水素(例えば、アルケニルまたはアルキニル基)、飽和環式炭化水素(例えば、シクロアルキル)、または不飽和環式炭化水素(例えば、シクロアルケニルまたはシクロアルキニル)の形態をとってもよいし、芳香族炭化水素、すなわちアリール基の形態をとってもよく、また前述の種類の基の混合物の形態をとってもよいことを意味すると理解され、例えば、特定の基は、1種類のみへの特定の限定について言及されない限り、直鎖アルキル、分岐アルケニル(例えば、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有するもの)、(ポリ)シクロアルキルおよびアリール部分を含むことができる。同様に、本発明のすべての実施形態において、ある基が2種類以上のトポロジー(例えば、直鎖状、環式または分岐状)の形態であること、および/または飽和もしくは不飽和(例えば、アルキル、芳香族またはアルケニル)であることが言及されている場合、これは、前述のトポロジーのいずれか1つを有するか、または上記で説明したように飽和もしくは不飽和である部分を含むことができる基をも意味する。同様に、本発明のすべての実施形態において、ある基が1種類の飽和または不飽和(例えば、アルキル)の形態であることが言及されている場合、該基は、いずれの種類のトポロジー(例えば直鎖状、環式または分岐状)であってもよく、また様々なトポロジーを有する複数の部分を有していてもよいことを意味している。
【0068】
「・・・炭化水素基であり、該炭化水素基は、・・・を含んでいてもよく」という用語は、前述の炭化水素基が任意にヘテロ原子を含み、それによりエーテル、チオエーテル、アミン、ニトリルまたはカルボン酸基が形成されることを意味すると理解される。これらの基は、炭化水素基の水素原子を置換して、その結果、前述の炭化水素の側方に結合することも、炭化水素基の炭素原子(化学的に可能な場合)を置換して、その結果、炭化水素の鎖または環に挿入されることもできる。
【0069】
一実施形態によれば、基(vi)が存在する場合、これは、基(i)~(v)のいずれか1つとの組み合わせでのみ存在する。
【0070】
特定の実施形態によれば、アシルクロリドは、プロパン-1,2,3-トリカルボニルトリクロリド、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボニルテトラクロリド、2,2’-ジスルファンジイルジスクシニルジクロリド、2-(2-クロロ-2-オキソエチル)スルファニルブタンジオイルジクロリド、(4-クロロ-4-オキソブタノイル)-L-グルタモイルジクロリド、(S)-4-((1,5-ジクロロ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブタン酸、2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソブタノイル)オキシメチル]ブチル4-クロロ-4-オキソブタノエート、[2-[2,2-ビス[(4-クロロ-4-オキソブタノイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(4-クロロ-4-オキソブタノイル)オキシメチル]ブチル]4-クロロ-4-オキソブタノエート、2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル2-クロロカルボニルベンゾエート、[2-[2,2-ビス[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブトキシメチル]-2-[(2-クロロカルボニルベンゾイル)オキシメチル]ブチル]2-クロロカルボニルベンゾエート、4-(2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾイル)オキシブチル2,4,5-トリクロロカルボニルベンゾエート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0071】
ステップb):油相と混和しない分散相を製造するステップ
ステップb)で使用できる溶媒の性質については、安定剤を溶解させ得るものであれば特に制限はない。
【0072】
特定の実施形態によれば、分散相は水を含み、好ましくは水からなる。
【0073】
別の特定の実施形態によれば、水の含有量は、分散相の総質量に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0074】
特定の実施形態によれば、分散相は水を含まない。
【0075】
一実施形態によれば、分散相は、グリセロール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含む。
【0076】
ステップc):分散相に油相を加えて、二相分散液を形成するステップ
本発明によれば、エマルションを安定化させるために、分散相および/または油相に安定剤を加える。
【0077】
前述の安定剤は、イオン性もしくは非イオン性の乳化剤またはコロイド性の安定剤であることができる。
【0078】
安定剤は、分子乳化剤(標準エマルション)または固体粒子乳化剤(ピッカリングエマルション)であることができる。
【0079】
本発明において、「安定剤」および「乳化剤」は、区別なく用いられる。
【0080】
一実施形態によれば、安定剤は、アラビアガム、化工デンプン、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アニオン性多糖類、アクリルアミドコポリマー、無機粒子、タンパク質、例えば、ダイズタンパク質、コメタンパク質、ホエイタンパク質、卵白アルブミン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、疑似コラーゲン、シルクタンパク質、セリシン粉末、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0081】
安定剤を油相に加える場合は、安定剤は好ましくは、タンパク質、例えば、ダイズタンパク質、コメタンパク質、ホエイタンパク質、卵白アルブミン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、疑似コラーゲン、シルクタンパク質、セリシン粉末、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0082】
油相に加える場合、安定剤は、安息香酸ベンジルなどの不活性溶媒に予め分散させておいてもよいし、好ましくは香油を含む有効成分に混合してもよい。
【0083】
安定剤を水相に加える場合には、安定剤は好ましくは、アラビアガム、化工デンプン、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アニオン性多糖類、アクリルアミドコポリマー、無機粒子、タンパク質、例えば、ダイズタンパク質、コメタンパク質、ホエイタンパク質、卵白アルブミン、カゼインナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、疑似コラーゲン、シルクタンパク質、セリシン粉末、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0084】
本発明の上記の実施形態のいずれか1つによれば、分散液は、約0.01~3.0%の安定剤を含み、ここで、パーセンテージは、ステップc)の後に得られる水中油型エマルションの総質量に対するw/wベースで表される。本発明のさらに別の態様では、分散液は、少なくとも約0.05~1.0%のコロイド安定剤を含む。本発明のさらに別の態様では、分散液は、約0.1~0.8%の安定剤を含む。
【0085】
ステップd):ステップc)で得られた分散液に反応物を加えるステップ
本発明において使用することができる反応物の中で、求核性化合物を挙げることができる。
【0086】
本発明によれば、求核性化合物とは、反応に関連して電子対を求電子体に供与して化学結合を形成する化学種と定義される。
【0087】
求核性化合物は、窒素求核性化合物、硫黄求核性化合物、酸素求核性化合物、炭素求核性化合物、リン求核性化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0088】
窒素求核性化合物は、アンモニア、アジド、アミン、亜硝酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、カルバジド、フェニルヒドラジン、セミカルバジド、およびアミド、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有することができる。
【0089】
硫黄求核性化合物は、硫化水素およびその塩、チオール(RSH)、チオレートアニオン(RS-)、チオールカルボン酸のアニオン(RC(O)-S-)、およびジチオカーボネートのアニオン(RO-C(S)-S-)およびジチオカルバメートのアニオン(R2N-C(S)-S-)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有することができる。
【0090】
酸素求核性化合物は、水、水酸化物アニオン、アルコール、アルコキシドアニオン、カルボキシレートアニオン、カーボネート、スルホネート、スルフェート、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ホウ砂、四ホウ酸ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有することができる。
【0091】
炭素求核性化合物は、エノール、エノール炭素求核性化合物、マロネートおよびアセトアセテートからなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有することができる。
【0092】
リン求核性化合物は、ホスフィン、亜リン酸アニオン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有することができる。
【0093】
特定の実施形態によれば、反応物は、キシリレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、L-リジン、L-リジンエチルエステル、O,O’-ビス(2-アミノプロピル)ポリプロピレングリコールブロック-ポリエチレングリコールブロック-ポリプロピレングリコール、エチレンジアミン、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン、ジエチレントリアミン、スペルミン、スペルミジン、シスタミン、シスチン、シスチンジアルキルエステル、重炭酸アミノグアニジン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、ポリアミドアミン(PAMAM)、キトサン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、L-アルギニン、1,3-ジアミノプロパン、N-エチルグアニジンスルフェート、1,6-ジアミノヘキサン、グアニジン塩、N,N,N’,N’-テトラキス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、グアナゾール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、エタノールアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(3-アミノプロピル)アミン、トリス[2-(メチルアミノ)エチル]アミン、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、フタル酸二カリウム塩、コハク酸二ナトリウム塩、ジチオトレイトール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0094】
本発明によれば、式(I)の少なくとも1つの開裂性多価アルコールを、ステップa)および/またはステップb)および/またはステップc)および/またはステップd)で加える。ステップa)で加えられる場合、多価アルコールは、別個の成分として多官能性モノマーとともに油相に加えてもよいし、少なくとも1つの開裂性多価アルコールと多官能性モノマーとの反応生成物の形態で油相に加えてもよい。
【0095】
一実施形態によれば、ステップa)は、前述の開裂性多価アルコールと少なくとも1つの多官能性モノマーとの反応生成物を疎水性材料に加えるステップからなる。
【0096】
もう1つの実施形態によれば、ステップa)は、少なくとも1つの開裂性多価アルコールと少なくとも1つの多官能性モノマーとを疎水性材料に加えるステップからなる。
【0097】
開裂性多価アルコール
本発明によれば、開裂性多価アルコールは、以下の式(I)
【化6】
[式中、
各R
1は、独立して、HまたはCH
2OHであり、pおよびqは、1~3の間で変化する整数であり、好ましくは、pおよびqは、1または2のいずれかであり、
Xは、C
2~C
30炭化水素基であり、該炭化水素基は、O、SおよびNから選択される1~10個のヘテロ原子を含んでいてもよく、それによりエーテル、エステル、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、アルコール、チオール、ジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、カルバメート、アミド、オキシム、イミン、アミンまたはニトリル官能基が形成される]を有する。
【0098】
本発明によれば、Xは、酸化還元反応、加水分解、レトロ-1,4-付加、光の作用および/またはそれらの組み合わせの結果として1つ以上の共有結合が開裂することにより、少なくとも2つの別個の部分に分割することができる。
【0099】
一実施形態によれば、Xは、ジスルフィド、オキサゾリジン、イミン、1,4-付加生成物、カーボネートおよびアリールケトン誘導体からなる群から選択される化合物である。
【0100】
好ましくは、Xは、以下
【化7】
からなる群から選択され、ここで、
Lは、OもしくはS原子またはNH基、好ましくはO原子であり、Mは、S原子またはNR
6基、好ましくはS原子であり、Yは、CH
2、CH
2-CH
2またはフェニル基であり、Zは、O(CH
2)
xOまたは(CH
2)
x基であり、ここで、xは、1~4の間で変化する整数であり、Aは、COOCH
2(CR
2R
2)
i、CHR
2OCH
2(CR
2R
2)
iまたは(CR
2R
2)(CHR
2)
x基であり、
各R
2は、独立して、H、CH
3、CH
2CH
3、CH
2OH、またはCH
2CH
2OH基であり、各R
3は、独立して、CH
3またはCH
2CH
3基であり、
R
4は、HもしくはCH
3であるか、またはYがフェニル基でない場合、2つのR
4が一緒になってCH
2もしくはCH
2-CH
2基を表すことができ、
R
5は、HまたはCH
3のいずれかであり、
R
6は、H、C
1~C
6アルキル基、またはCH
2-CH
2-(CH
2)
j-OH基のいずれかであり、t=1の場合、2つのR
6が一緒になってCH
2-CH
2-(CH
2)
i基を形成することがあり、
hは、1~6の間で変化する整数であり、各iは、互いに独立して0または1であり、 各jは、互いに独立して0~2の間で変化する整数であり、
kおよびlは、0~2の間で変化する整数であり、mおよびnは、1または2であるが、ただし、k+l+m+n=4であるものとし、
t、uおよびu’は、0または1であり、vおよびwは、1または2であるが、ただし、u+v+w=3(t=0の場合)またはu+u’+v+w=4(t=1の場合)であるものとし、
破線および太線は、水素原子に結合するか、または式(I)の多価アルコールの前述のXと(CHR
1OH)
p基(破線)もしくは(CHR
1OH)
q基(太線)との結合を示すが、ただし、Xの少なくとも1つの破線および少なくとも1つの太線は、CHR
1OH基に結合するものとする。
【0101】
一実施形態によれば、開裂性多価アルコールは、ジスルフィド、オキサゾリジン、イミン/シッフ塩基、1,4-付加生成物、カーボネート、アリールケトン誘導体、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物である。
【0102】
多価アルコールの非限定的な例は、以下のものからなる群から選択される化合物である:
- 以下のものからなる群から選択されるジスルフィド:2,2’-ジスルファンジイルビス(エタン-1-オール)、2,2’-ジスルファンジイルビス(プロパン-1,3-ジオール)、3-(2,3-ジヒドロキシプロピルジスルファニル)プロパン-1,2-ジオール、2,2’-(ジスルファンジイルビス(メチレン))ビス(2-メチルプロパン-1,3-ジオール)、もしくは2,2’-(ジスルファンジイルビス(メチレン))ビス(2-エチルプロパン-1,3-ジオール)、ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)3,3’-ジスルファンジイルジプロピオネート、テトラキス(2-ヒドロキシエチル)2,2’-ジスルファンジイルジスクシネート、および/または
- 以下のものからなる群から選択されるオキサゾリジン:(3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン-2,2-ジイル)ジメタノール、オキサゾリジン-2,2,4-トリイルトリメタノール、2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(2-メチルオキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、(エタン-1,2-ジイルビス(2-メチルオキサゾリジン-2,4,4-トリイル))テトラメタノール、2,2’-(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(フラン-2,5-ジイルビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)、2,2’-(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-4,12-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,4,4-トリイル))テトラメタノール、(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-3,3,11,11-テトライル)テトラメタノール、(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、(3,11-ジエチル-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、(1,4-フェニレンビス(4-エチルオキサゾリジン-2,4-ジイル))ジメタノール、(3,11-ジエチル-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール、2,2’-(3,11-ビス(ヒドロキシメチル)-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-4,12-ジイル)ビス(エタン-1-オール)、および/または
- 以下のものからなる群から選択されるイミンおよびシッフ塩基:2,2’-((1,4-フェニレンビス(メタニルイリデン))ビス(アザニルイリデン))ビス(プロパン-1,3-ジオール)、2,2’-((フラン-2,5-ジイルビス(メタニルイリデン))ビス(アザニルイリデン))ビス(プロパン-1,3-ジオール)、および/または
- 以下のものからなる群から選択される1,4-付加物:2-ヒドロキシエチル3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル3-((3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)チオ)-2-メチルプロパノエート、3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル(S)-3-((2,3-ジヒドロキシプロピル)チオ)プロパノエート、2-エチル-2-(((3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート)、4-ヒドロキシブチル3-((1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)プロパノエート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-(ブチルアザンジイル)ジプロピオネート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ジプロピオネート、ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-(ピペラジン-1,4-ジイル)ジプロピオネート、テトラキス(2-ヒドロキシエチル)3,3’,3’’,3’’’-(プロパン-1,3-ジイルビス(アザントリイル))テトラプロピオネート、ビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)スクシネート、および/または
- 以下のものからなる群から選択されるカーボネート:ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)カーボネート、ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)カーボネート、ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)トリカーボネート、および/または
- 以下のものからなる群から選択されるアリールケトン誘導体:ビス(2-ヒドロキシエチル)2,2’-(メチレンビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)、ビス(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブチル)2,2’-(メチレンビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)、ビス(2-ヒドロキシエチル)2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)、ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(2-オキソアセテート)、1,1’-(1,4-フェニレン)ビス(5-ヒドロキシペンタン-1-オン)、およびそれらの混合物。
【0103】
特定の実施形態によれば、開裂性多価アルコールは、トリメチロールプロパンではない。
【0104】
一実施形態によれば、モノマーは、0.01~50%、好ましくは0.02~20%、より好ましくは0.1~10%、さらにより好ましくは0.5~5%で構成される濃度で疎水性材料中に存在する。
【0105】
本発明の開裂性多価アルコール化合物は、該開裂性多価アルコール化合物のOH基と前述のモノマーの官能基とのモル比が0.01~10、より好ましくは0.1~5、より好ましくは0.2~1、さらにより好ましくは0.25~0.75となるようにスラリーに加えられる。
【0106】
所与のポリマーを製造するための式(I)による多価アルコールの構造の選択は、重合反応の条件に依存する。これは、どの多価アルコールもすべての種類の重合反応に最も適したモノマーであるとは限らないことを意味する。例えば、加水分解性の強い条件、すなわちpHが非常に高いあるいは低い条件で重合反応を行う場合には、容易に加水分解可能な多価アルコールは、その反応条件では容易に切断されない他のものよりも好ましくないことがある。このような場合には、光や酸化還元反応の作用下に開裂する多価アルコールが好ましい可能性がある。同様に、光誘起重合反応を用いる場合には、光感受性構造よりも加水分解性の開裂性多価アルコールが好ましい可能性がある。
【0107】
ステップe):硬化ステップを行って、スラリーの形態のコア・シェル型マイクロカプセルを形成するステップ
硬化ステップe)により、スラリーの形態のマイクロカプセルで終えることができる。
【0108】
好ましい実施形態によれば、キネティクスを高めるために、前述のステップは、60~80℃の温度で、場合によっては加圧下で、1~4時間行われる。より好ましくは、前述のステップは、50~90℃で30分~4時間行われる。しかし、硬化ステップは、室温で生じ得る。
【0109】
任意のステップ:任意の外部コーティングステップ
本発明の特定の実施形態によれば、ステップe)の終わりまたはステップe)の間に、非イオン性多糖類、カチオン性ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを本発明のスラリーに加えて、マイクロカプセルに外部コーティングを形成することもできる。
【0110】
非イオン性多糖類ポリマーは当業者によく知られており、例えば、国際公開第2012/007438号の第29頁第1行~第25行、および国際公開第2013/026657号の第2頁第12行~第19行、および第4頁第3行~第12行に記載されている。好ましい非イオン性多糖類は、ローカストビーンガム、キシログルカン、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される。
【0111】
カチオン性ポリマーは、当業者によく知られている。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも0.5meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gでかつ好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約6.2meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。カチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、米国薬局方の窒素測定のための化学試験に記載されているケルダール法によって求めることができる。好ましいカチオン性ポリマーは、主ポリマー鎖の一部を形成するか、またはそれに直接結合した側鎖置換基が有することができる第一級、第二級、第三級および/または第四級のアミノ基を含む単位を含むものから選択される。カチオン性ポリマーの質量平均(Mw)分子量は、好ましくは10,000~3.5Mダルトン、より好ましくは50,000~1.5Mダルトンである。特定の実施形態によれば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、第四級化N,N-ジメチルアミノメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、第四級化ビニルイミダゾール(3-メチル-1-ビニル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド)、ビニルピロリドン、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、またはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドをベースとするカチオン性ポリマーが使用される。好ましくは、コポリマーは、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、またはポリガラクトマンナン2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、およびセルロースヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択される。市販品の具体例としては、Salcare(登録商標)SC60(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドとアクリルアミドとのカチオン性共重合体、供給元:BASF)、またはLuviquat(登録商標)、例えば、PQ 11N、FC 550、またはStyle(ポリクオタニウム-11~68、またはビニルピロリドンの第四級化コポリマー 供給元:BASF)、あるいはまたJaguar(登録商標)(C13SまたはC17、供給元:Rhodia)を挙げることができる。
【0112】
本発明の上記の実施形態のいずれか1つによれば、約0~5質量%、さらには約0.1~2質量%で構成される量の上述のポリマーが加えられ、パーセンテージは、ステップd)の後に得られたスラリーの総質量に対するw/wベースで表される。前述の加えられたポリマーの一部のみが、マイクロカプセルシェル中に取り込まれる/マイクロカプセルシェル上に堆積されることは、当業者には明確に理解される。
【0113】
マイクロカプセル粉末の製造方法
本発明のもう1つの対象は、上記で定義したステップと、ステップe)またはf)で得られたスラリーを噴霧乾燥のような乾燥プロセスに供してマイクロカプセル自体、すなわち粉末状のマイクロカプセルを提供することからなる追加のステップとを含む、マイクロカプセル粉末の製造方法である。このような乾燥を行うために、当業者に知られているいずれの標準的な方法も適用可能であることが理解される。特に、スラリーを、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然もしくは化工デンプン、植物性ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラゲナン、またはセルロース誘導体などの高分子担体材料の存在下で噴霧乾燥することで、粉末状のマイクロカプセルを提供することができる。
【0114】
しかし、押出成形、めっき、噴霧造粒、流動床、またはさらには国際公開第2017/134179号に開示されているような特定の基準を満たす材料(担体、乾燥剤)を用いた室温での乾燥など、他の乾燥方法を挙げることもできる。
【0115】
特定の実施形態によれば、担体材料は、マイクロカプセルのコアの香料と同じまたは異なることができる自由な状態の香油を含む。
【0116】
特定の実施形態によれば、担体材料は、マイクロカプセルのコアの香料と同じまたは異なることができる自由な状態の香油を含む。
【0117】
本発明のもう1つの対象は、
- 担体材料、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デキストリン、天然または化工デンプン、植物性ガム、ペクチン、キサンタン、アルギン酸塩、カラゲナン、セルロース誘導体、およびそれらの混合物からなる群から選択される高分子担体材料と、
- 上記で定義したマイクロカプセルを前述の担体材料に封入したものと
- 任意に、前述の担体材料に封入された自由な状態の香料と
を含む、固体粒子である。
【0118】
本発明では、上記で定義した固体粒子とマイクロカプセル粉末とを区別せずに用いることができる。
【0119】
マルチカプセルシステム
一実施形態によれば、本発明のマイクロカプセル(第1のタイプのマイクロカプセル)は、第2のタイプのマイクロカプセルと組み合わせて使用することができる。
【0120】
本発明のもう1つの対象は、
- 第1のタイプのマイクロカプセルとしての本発明のマイクロカプセルと、
- 第2のタイプのマイクロカプセルと
を含むマイクロカプセル送達システムであって、第1のタイプのマイクロカプセルと第2のタイプのマイクロカプセルとは、その疎水性材料および/またはその壁材料および/またはそのコーティング材料が異なるものとする、マイクロカプセル送達システムである。
【0121】
マイクロカプセルスラリー
本発明のもう1つの対象は、上記の方法によって得られるマイクロカプセルスラリーである。
【0122】
シェルの組成により、製品ベースにおいて所望の安定性を示す(例えば、消費者製品の界面活性剤による香料の抽出を効率的に打ち消す)マイクロカプセルを提供することができる。
【0123】
よって、本発明のもう1つの対象は、コア・シェル型マイクロカプセル、または少なくとも1つのコア・シェル型マイクロカプセルを有するコア・シェル型マイクロカプセルスラリーであって、前述のコア・シェル型マイクロカプセルは、
- 疎水性材料、好ましくは香料を含む油性コアと、
- 多官能性モノマーと開裂性多価アルコールとの反応生成物を含むシェルと
を含み、開裂性多価アルコールは、以下の式(I)
【化8】
[式中、
各R
1は、独立して、HまたはCH
2OHであり、pおよびqは、1~3の間で変化する整数であり、好ましくは、pおよびqは、1または2のいずれかであり、
Xは、C
2~C
30炭化水素基であり、該炭化水素基は、O、SおよびNから選択される1~10個のヘテロ原子を含んでいてもよく、それによりエーテル、エステル、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、アルコール、チオール、ジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、カルバメート、アミド、オキシム、イミン、アミンまたはニトリル官能基が形成される]を有する、コア・シェル型マイクロカプセルまたはコア・シェル型マイクロカプセルスラリーである。
【0124】
方法に関して前述した実施形態および定義(例えば、疎水性材料、多官能性モノマー、開裂性多価アルコール)が、マイクロカプセルにも該当する。
【0125】
コポリマー
上記で定義した多官能性モノマーと少なくとも1つの開裂性多価アルコールとの反応生成物を含むコポリマーも本発明の対象である。
【0126】
前述した実施形態が、先に開示されたマイクロカプセルおよびコポリマーにも該当する。
【0127】
芳香組成物および消費者製品
本発明のマイクロカプセルは、有効成分と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の対象は、
(i)上記で定義したマイクロカプセルと、
(ii)有効成分であって、好ましくは、化粧品成分、スキンケア成分、香料成分、フレーバー成分、悪臭中和成分、殺菌剤成分、殺真菌剤成分、医薬または農薬成分、清浄化成分、昆虫忌避剤または誘引剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される有効成分と
を含む組成物である。
【0128】
本発明のカプセルは、扱いづらい媒体における安定性の点で良好な性能を示す。
【0129】
本発明のもう1つの対象は、
(i)上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、油は香料を含むものとする、マイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと、
(ii)香料担体、香料補助成分およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの成分と、
(iii)任意に、少なくとも1つの香料アジュバントと
を含む芳香組成物である。
【0130】
液体の香料担体としては、非限定的な例として、乳化系、すなわち、溶媒および界面活性剤の系、または香料に一般的に使用される溶媒を挙げることができる。香料に一般的に使用される溶媒の性質や種類の詳細な説明は、すべてを余すことなく網羅できるものではない。しかし、非限定的な例として、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、またはクエン酸エチルなどの溶媒を挙げることができ、これらは非常に一般的に使用されている。香料担体と香料補助成分との双方を含む組成物について、前述したもの以外の適切な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン、または他のテルペン、イソパラフィン、例えばIsopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)の商標で知られているもの、またはグリコールエーテル、およびグリコールエーテルエステル、例えばDowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)の商標で知られているものであり得る。「香料補助成分」とは、本明細書において、快楽的効果を付与するために芳香調製物や組成物に使用される化合物で、上記で定義したマイクロカプセルではないものを意味する。言い換えれば、このような補助成分は、芳香成分であるとみなされるためには、単に香りを有するだけでなく、少なくとも組成物の香りをポジティブにまたは心地よいように付与または変調することができると当業者によって認識されなければならない。
【0131】
芳香組成物に含まれる芳香補助成分の性質および種類については、本明細書における詳細な説明は保証されないが、いずれにしてもすべてを余すことなく網羅できるものではなく、当業者は自身の一般的な知識に基づいて、用途または適用、および所望の官能的効果に応じてそれらを選択することができる。一般的に、これらの芳香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、含窒素または含硫黄複素環式化合物、および精油などの様々な化学的クラスに属し、前述の芳香補助成分は、天然起源のものであっても、合成起源のものであってもよい。これらの補助成分の多くは、いずれにせよ、S. Arctander著、Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USAまたはその最新版などの参考文献や、同様の性質を持つ他の著作物、さらに香料分野の豊富な特許文献に挙げられている。また、補助成分は、様々な種類の芳香化合物を制御された様式で放出することが知られている化合物であってもよいことも理解される。
【0132】
「香料アジュバント」とは、本明細書において、色、特定の耐光性、化学的安定性などの付加的に加えられた有益性を付与することができる成分を意味する。芳香ベースで一般的に使用されているアジュバントの性質や種類の詳細な説明は、すべてを余すことなく網羅できるものではないが、前述の成分は当業者によく知られていることを言及しておく必要がある。
【0133】
好ましくは、本発明による芳香組成物は、上記で定義したマイクロカプセルを0.01~30質量%含む。
【0134】
本発明のマイクロカプセルは、有利にも多くの応用分野で使用することができ、消費者製品に使用することができる。マイクロカプセルは、液状の消費者製品に適用できる液体形態だけでなく、粉末状の消費者製品に適用できる粉末形態でも使用することができる。
【0135】
特定の実施形態によれば、上記で定義した消費者製品は液体であり、かつ
a)少なくとも1つの界面活性剤を、消費者製品の総質量に対して2~65質量%と、
b)水、または水と混和する親水性有機溶媒と、
c)上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと、
d)任意に、非封入香料と
を含む。
【0136】
特定の実施形態によれば、上記で定義した消費者製品は、粉末形態であり、かつ
a)少なくとも1つの界面活性剤を、消費者製品の総質量に対して2~65質量%と、
b)上記で定義したマイクロカプセル粉末と、
c)任意に、上記で定義したマイクロカプセルとは異なる香料粉末と
を含む。
【0137】
香料の油性コアを含むマイクロカプセルの場合、本発明の製品は、特に、ファインフレグランスや「機能性」香料に属する製品などの付香消費製品に使用することができる。機能性香料には、特に、ヘアケア、ボディクレンジング、スキンケア、衛生ケアなどのパーソナルケア製品や、ランドリーケア、表面ケア、およびエアケアなどのホームケア製品が含まれる。よって、本発明のもう1つの対象は、上記で定義したマイクロカプセル、または上記で定義した芳香組成物を芳香成分として含む付香消費者製品である。前述の消費者製品の香料要素は、上記で定義した香料マイクロカプセルと、自由な状態のまたは非封入香料との組み合わせのほか、本明細書に開示したもの以外の種類の香料マイクロカプセルであり得る。
【0138】
特に、液状の消費者製品であって、
a)少なくとも1つの界面活性剤を、消費者製品の総質量に対して2~65質量%と、
b)水、または水と混和する親水性有機溶媒と、
c)上記で定義した芳香組成物と
を含む液状の消費者製品が、本発明のもう1つの対象である。
【0139】
また、粉末状の消費者製品であって、
(a)少なくとも1つの界面活性剤を、消費者製品の総質量に対して2~65質量%と、
(b)上記で定義した芳香組成物と
を含む粉末状の消費者製品も、本発明の一部である。
【0140】
したがって、本発明のマイクロカプセルは、付香消費者製品にそのまま加えることも、本発明の芳香組成物の一部として加えることもできる。
【0141】
明確にするために述べると、「付香消費者製品」とは、施与される表面(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイル、紙、または家庭内の表面)や空気中(エアフレッシュナー、消臭剤など)に、様々な有益性のうち芳香効果を送達することが期待される消費者製品を意味することを言及しておく必要がある。言い換えれば、本発明による付香消費者製品とは、「ベース」とも呼ばれる機能性配合物を、有益剤、特に有効量の本発明によるマイクロカプセルと一緒に含む製造品である。
【0142】
付香消費者製品の他の構成要素の性質および種類については、本明細書における詳細な説明は保証されないが、いずれにしてもすべてを余すことなく網羅できるものではなく、当業者は自身の一般的な知識に基づいて、前述の製品の性質および所望の効果に応じてそれらを選択することができる。本発明のマイクロカプセルを組み込むことができる消費者製品のベース配合物は、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、本明細書における詳細な説明は保証されないが、いずれにしてもすべてを余すことなく網羅できるものではない。このような消費者製品を処方する当業者は、自身の一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を問題なく選択することができる。
【0143】
適切な付香消費者製品の非限定的な例は、香料、例えば、ファインパフューム、コロン、アフターシェーブローション、ボディスプラッシュ;ファブリックケア製品、例えば、液体もしくは固体の洗剤、タブレットおよびポッド、布地用柔軟剤、ドライヤーシート、ファブリックリフレッシャー、アイロニングウォーター、または漂白剤;パーソナルケア製品、例えば、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、カラーリング剤、またはヘアスプレー)、化粧品(例えば、バニシングクリーム、ボディローション、または制臭剤もしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば、付香石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、または衛生用品);エアケア製品、エアフレッシュナー、または「すぐに使える」粉末エアフレッシュナー;またはホームケア製品、例えば、汎用クリーナー、液体もしくは粉末もしくはタブレットの食器洗浄剤製品、トイレ用洗剤、または様々な表面を清浄化するための製品、例えば、テキスタイルもしくは硬質表面(床、タイル、石床など)の処理/リフレッシュを目的としたスプレーおよびワイプ;衛生用品、例えば、サニタリーナプキン、オムツ、トイレットペーパーであり得る。
【0144】
本発明のもう1つの対象は、
- パーソナルケア活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルもしくはマイクロカプセルスラリー、または上記で定義した芳香組成物と
を含む消費者製品であって、パーソナルケア組成物の形態である、消費者製品である。
【0145】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるパーソナルケア活性ベースは、そのような製品に関連する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、本明細書における詳細な説明は保証されないが、いずれにしてもすべてを余すことなく網羅できるものではない。このような消費者製品を処方する当業者は、自身の一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を問題なく選択することができる。
【0146】
パーソナルケア組成物は、好ましくは、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、ヘアコンディショナー、カラーリング剤、またはヘアスプレー)、化粧品(例えば、バニシングクリーム、ボディローション、または制臭剤もしくは制汗剤)、またはスキンケア製品(例えば、付香石鹸、シャワーもしくはバスムース、ボディウォッシュ、オイルもしくはジェル、バスソルト、または衛生用品)からなる群から選択される。
【0147】
本発明のもう1つの対象は、
- ホームケアまたはファブリックケア活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルもしくはマイクロカプセルスラリー、または上記で定義した芳香組成物と
を含む消費者製品であって、ホームケアまたはファブリックケア組成物の形態である、消費者製品である。
【0148】
本発明のマイクロカプセルを組み込むことができるホームケアまたはファブリックケア活性ベースは、そのような製品に関する豊富な文献に見出すことができる。これらの配合物は、本明細書における詳細な説明は保証されないが、いずれにしてもすべてを余すことなく網羅できるものではない。このような消費者製品を処方する当業者は、自身の一般的な知識および利用可能な文献に基づいて、適切な成分を問題なく選択することができる。
【0149】
好ましくは、消費者製品は、本発明のマイクロカプセルを0.1~15質量%、より好ましくは0.2~5質量%含み、これらのパーセンテージは、消費者製品の総質量に対する質量で定められる。当然のことながら、上述の濃度は、各製品において望まれる有益な効果に応じて適合させることができる。
【0150】
布地用柔軟剤
本発明の一対象は、布地用柔軟剤組成物の形態の消費者製品であって、
- 布地用柔軟剤活性ベースであって、好ましくは、ジアルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキルエステル第四級アンモニウム塩(エステルクワット)、ハンブルグエステルクワット(HEQ)、TEAQ(トリエタノールアミンクワット)、シリコーンおよびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、組成物の総質量に対して85~99.95質量%で構成される量である、布地用柔軟剤活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総質量に対して0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%で構成される量である、マイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと
を含む、消費者製品である。
【0151】
液体洗剤
本発明の一対象は、液体洗剤組成物の形態の消費者製品であって、
- 液体洗剤活性ベースであって、好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)、ならびに非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群から選択され、好ましくは、組成物の総質量に対して85~99.95質量%で構成される量である、液体洗剤活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総質量に対して0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%で構成される量である、マイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと
を含む、消費者製品である。
【0152】
固体洗剤
本発明の一対象は、固体洗剤組成物の形態の消費者製品であって、
- 固体洗剤活性ベースであって、好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、第二級アルキルスルホン酸塩(SAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、ラウリルエーテル硫酸塩(LES)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)、ならびに非イオン性界面活性剤、例えば、アルキルアミン、アルカノールアミド、脂肪アルコールポリ(エチレングリコール)エーテル、脂肪アルコールエトキシレート(FAE)、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)コポリマー、アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、アルキルポリグルコサミドからなる群から選択され、好ましくは、組成物の総質量に対して85~99.95質量%で構成される量である、固体洗剤活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総質量に対して0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%で構成される量である、マイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと
を含む、消費者製品である。
【0153】
シャンプー/シャワージェル
本発明の一対象は、シャンプーまたはシャワージェル組成物の形態の消費者製品であって、
- シャンプーまたはシャワージェル活性ベースであって、好ましくは、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアンホアセテート、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、アルキルグルコシド、およびアミノ酸系界面活性剤、およびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、組成物の総質量に対して85~99.95質量%で構成される量である、シャンプーまたはシャワージェル活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総質量に対して0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%で構成される量である、マイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと
を含む、消費者製品である。
【0154】
リンスオフコンディショナー
本発明の一対象は、リンスオフコンディショナー組成物の形態の消費者製品であって、
- リンスオフコンディショナー活性ベースであって、好ましくは、塩化セチルトリモニウム、塩化ステアリルトリモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘントリモニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、組成物の総質量に対して85~99.95質量%で構成される量である、リンスオフコンディショナー活性ベースと、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総質量に対して0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%で構成される量である、マイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと
を含む、消費者製品である。
【0155】
ヘアカラーリング剤
本発明の一対象は、酸化性ヘアカラーリング組成物の形態の消費者製品であって、
- 酸化剤を含む酸化相と、アルカリ剤、染料前駆体、およびカップリング化合物を含むアルカリ相とを含み、前述の染料前駆体および前述のカップリング化合物は、酸化剤の存在下で、好ましくは組成物の総質量に対して85~99.95質量%で構成される量で酸化性染毛剤を形成するものとする、酸化相およびアルカリ相と、
- 上記で定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーであって、好ましくは、組成物の総質量に対して0.05~15質量%、より好ましくは0.1~5質量%で構成される量である、マイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーと
を含む、消費者製品である。
【0156】
「酸化性ヘアカラーリング組成物」とは、染料前駆体およびカップリング剤という2つの無色染料分子の群を含む組成物を意味する。これらは、酸化プロセスによって互いに反応すると、広範囲の着色分子(染料)を形成し、その大きさによって毛髪に捕捉される。言い換えれば、染料前駆体およびカップリング化合物は、酸化剤の存在下で酸化性染毛剤を形成する。
【0157】
「染料前駆体」および「酸化性染料前駆体」は、本発明では区別なく用いられる。
【0158】
染料前駆体は、容易に酸化される性質を付与するために、パラ位またはオルト位でNH2やOHなどの少なくとも2つの電子供与基で置換されたベンゼンから誘導される芳香族化合物であり得る。
【0159】
一実施形態によれば、染料前駆体は、p-フェニレンジアミン、2,5-ジアミノトルエン、N,N-ビス(2-ヒドロキシメチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェノール、1,4-ジアミノベンゼン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0160】
一次染料前駆体は、カップリング剤と組み合わせて使用される。カップリング剤は、好ましくは、ベンゼンから誘導され、メタ位でNH2やOHなどの基で置換された芳香族化合物であり、単独では発色しないが、染料前駆体によって発せられる色の色彩、色合いまたは濃さを変更する。
【0161】
一実施形態によれば、カップリング剤は、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2,5-ジアミノトルエン、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノフェノキシエタノールHCl、2-アミノヒドロキシエチルアミノアニソールスルフェート、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0162】
酸化性染料前駆体は、好ましくは、組成物の総質量に対して0.001~5質量%、好ましくは0.1~4質量%で構成される量で使用される。
【0163】
ヘアカラーリング配合物における酸化性染料前駆体およびカップリング剤の使用は、従来技術で広く開示されており、当業者にはよく知られている。例えば、欧州特許出願公開第0946133号明細書を挙げることができ、その内容は参照により組み込まれる。
【0164】
アルカリ相は、アルカリ剤を含み、アルカリ剤は好ましくは、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、エタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエタノールアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0165】
アルカリ剤は、好ましくは、組成物の総質量に対して1~10質量%、好ましくは3~9質量%で構成される量で使用される。
【0166】
本発明によれば、アルカリ性媒体中のカップリング剤および染料前駆体は、酸化剤の存在下で酸化性染毛剤を形成する。
【0167】
酸化剤は、着色分子を生じさせるために必要な酸素ガスを供給し、毛髪の色の変化を生じさせる。
【0168】
酸化剤は、本明細書に記載の組成物における使用に安全かつ効果的であるべきである。
【0169】
好ましくは、本発明での使用に適した酸化剤は、液体形態および/または使用を意図した形態である場合に、本発明による組成物に可溶である。
【0170】
好ましくは、本発明での使用に適した酸化剤は、水溶性である。本発明での使用に適した酸化剤は、無機ペルオキシジェン酸化剤、予備形成された有機ペルオキシ酸酸化剤および有機過酸化物酸化剤、またはそれらの混合物から選択される。
【0171】
酸化剤は、好ましくは、組成物の総質量に対して5~30質量%、好ましくは5~25質量%で構成される量で使用される。
【0172】
本発明で定義されるヘアカラーリング組成物には、化粧品組成物で一般的に使用される成分を添加することができる。例えば、界面活性剤、カチオン性ポリマー、油性物質、シリコーン誘導体、自由な状態の香料、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、推進剤、増粘剤が挙げられる。
【0173】
特定の実施形態によれば、ヘアカラーリング組成物は、ヘアコンディショナーの有益性を付与するために1つ以上の第四級アンモニウム化合物を含み、これは好ましくは、塩化セチルトリモニウム、塩化ステアリルトリモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘントリモニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0174】
芳香組成物
特定の実施形態によれば、消費者製品は、以下のものを含む芳香組成物の形態である:
芳香組成物の総質量に対して、
- 先に定義したマイクロカプセルまたはマイクロカプセルスラリーを、0.1~30質量%、好ましくは0.1~20質量%、
- 香料を、0~40質量%、好ましくは3~40質量%、および
- エタノールを、20~90質量%、好ましくは40~90質量%。
【0175】
次に、本発明を実施例によってさらに説明する。これらの実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明を何ら限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0176】
実施例
以下、本発明を以下の実施例により、より詳細に説明する。ここで、略語は当技術分野における通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で示される。NMRスペクトルデータは、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO)-d6を用いて、Bruker AMX 500スペクトロメーターで、他に指示がない場合、1Hについては500MHzで、13Cについては125.8MHzで記録し、化学的変位δは、標準物質としてのSi(CH3)4を基準にしてppmで示し、結合定数Jは、Hzで示した(br.=ブロードピーク)。反応は、N2下で標準的なガラス器具を用いて行った。市販の試薬や溶媒は、特に断りのない限り、精製せずに使用した。
【0177】
いくつかの化合物について、特定の立体配座または立体配置が示されているが、これは、これらの化合物の使用を記載された異性体に限定することを意味するものではない。本発明によれば、考え得るすべての立体配座または立体配置の異性体が同様の効果を有するものと予想される。
【0178】
2,2’-ジスルファンジイルビス(エタン-1-オール)(多価アルコール1)は市販されており、式(I)による多価アルコールの他の非限定的な例は、実施例1に記載したとおりに製造した。
【0179】
実施例1
式(I)による開裂性多価アルコールの製造
(a)2,2’-ジスルファンジイルビス(プロパン-1,3-ジオール)(多価アルコール2)の合成
Amberlyst 15H(3.0g)を、1,3-ジ(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-プロパン-2-チオール(38.1g、0.11mol、J. E. Casida et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2010, 18, 1942-1947に記載のとおりに製造)とメタノール(300mL)との二相混合物に加えた。室温で一晩撹拌した後、懸濁液を濾過し、メタノール(50mL)で洗浄し、濾液を濃縮して、25.0gの二相混合物を得た。アセトン(50mL)を加えて約50℃に加熱すると、溶液が得られた。これを室温まで放冷した後、冷凍庫に入れて結晶化させた。固体を濾別し、氷冷アセトンで洗浄し、真空(0.43mbar)下で乾燥させると、3.4gの白色の結晶が得られた。母液を濃縮し、アセトン(50mL)に懸濁させ、氷浴上に2時間置いた。濾過し、氷冷アセトン(25mL)で洗浄し、真空下で乾燥させると、さらに4.0gの白色の結晶が目的化合物(30%)として得られた。
【0180】
【0181】
(b)(±)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピルジスルファニル)プロパン-1,2-ジオール(多価アルコール3)の合成
水(35mL)中の3-メルカプトプロパン-1,2-ジオール(35mL、390.0mmol)の撹拌溶液に硫酸鉄水和物(FeSO4×7H2O、85mg、0.3mmol)を加えた。その後、過酸化水素(35%、29.15g、300.0mmol)を20分間かけて滴加した。反応は発熱性であり、H2O2の添加中に氷浴で温度を約40℃に保った。氷浴を取り除いた後、反応物を5時間撹拌し、次いで酢酸エチル(100mL)を入れた分離漏斗に注いだ。抽出後、相を分離し、水層を酢酸エチル(100mL)で再抽出し、有機層を水(50mL)で洗浄した。水相を濃縮した後、トルエン(250mL)を加え、混合物をさらに濃縮した。真空下(0.14mbar)で乾燥させると、44.0g(定量的)の粗生成物が得られた。
【0182】
【0183】
(c)2,2’-(ジスルファンジイルビス(メチレン))ビス(2-メチルプロパン-1,3-ジオール)(多価アルコール4)の合成
水(50mL)中の(2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタンチオール(8.81g、50.0mmol)の撹拌したエマルションに、室温で硫酸鉄水和物(FeSO4×7H2O、28mg、0.04mmol)を加えた。その後、過酸化水素(35%、3.7g、38.5mmol)を滴加した(発熱反応)。この混合物を一晩撹拌した後、酢酸エチル(100mL)を入れた分離漏斗に注いだ。抽出後、相を分離し、水層を酢酸エチル(100mL)で再抽出し、有機層を水(50mL)およびNaClの飽和水溶液(50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、目的化合物2.06g(30%)を得た。
【0184】
【0185】
(d)(3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン-2,2-ジイル)ジメタノール(多価アルコール5)の合成
1,3-ジヒドロキシプロパン-2-オン(4.06g、50.0mmol)をテトラヒドロフラン(THF、150mL)に懸濁させた。その後、2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)(6.31g、60.0mmol)および無水Na2SO4(10.0g)を加えた。室温で約90時間撹拌した後、この反応混合物を濾過し、濃縮した。生成物を、連続的に、シクロヘキサン(25mL)で処理し、50℃で15分間撹拌した後、傾瀉し、トルエン(50mL)で処理し、50℃で15分間撹拌した後、傾瀉した。残った生成物を濃縮し、真空下で乾燥させると、8.64gの粗生成物が得られた。
【0186】
【0187】
(e)(±)-オキサゾリジン-2,2,4-トリイルトリメタノール(多価アルコール6)の合成
2-アミノプロパン-1,3-ジオール(2.78g、30.0mmol)をTHF(75mL)に懸濁させた。次に、Na2SO4(2.00g、14.1mmol、予め150℃でオーブンにて乾燥させたもの)および1,3-ジヒドロキシプロパン-2-オン(2.70g、30.0mmol)を加えた。室温で約5日間撹拌した後、この反応混合物を濃縮し、真空下で乾燥させて、THFを約13質量%含む目的化合物2.93g(52%)を得た。
【0188】
【0189】
(f)(±)-2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(2-メチルオキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)(多価アルコール7)の合成
2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)(4.2g、39.9mmol)を、トルエン(50mL)中の2,5-ヘキサンジオン(1.17g、10.3mmol)の溶液に加えた。この反応混合物をディーン・スターク装置にて還流下で一晩加熱した。冷水浴上で室温まで冷却した後、二相混合物を得た。トルエン層を傾瀉し、遠心分離した。濃縮し、バルブ・トゥ・バルブ蒸留(室温および50℃で0.011mbar)を繰り返して残りのトルエンを除去すると、目的化合物1.70gがジアステレオ異性体の混合物として得られ、一部のモノ反応生成物および残りの2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)も一緒に得られた。
【0190】
【0191】
(g)(±)-2,2’-(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)(多価アルコール8)の合成
テレフタルアルデヒド(4.11g、30.0mmol)をトルエン(75mL)に溶解させた。その後、2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)(7.01g、66.0mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸一水和物(0.29g、1.5mmol)を加えた。この混合物を、水の共沸除去(ディーン・スターク)を行いながら、還流下で一晩加熱した。室温まで冷却した後、二相系が得られた。トルエン層を傾瀉し、油をトルエン(25mL)で洗浄した。この油を高温の2-プロパノール(10mL)に溶解させ、室温まで放冷し、冷蔵庫に保管した。数日後、結晶が生成し、これを低温の2-プロパノールで洗浄し、メタノールに溶解させて濃縮し、真空下で乾燥させると、白色の固体が得られた。2-プロパノール(15mL)で再結晶させ、室温まで冷却して冷蔵庫で保管したところ、白色の結晶が2.55g得られた。反応後に傾瀉したトルエンを濃縮して油を得た。この油を高温の2-プロパノール(5mL)に溶解させ、室温まで放冷し、冷蔵庫に保管すると、さらに1.07gの白色の結晶がジアステレオ異性体の混合物として得られた。合計3.62g(39%)の目的化合物が得られた。
【0192】
【0193】
(h)(±)-2,2’-(フラン-2,5-ジイルビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)(多価アルコール9)の合成
5-(ヒドロキシメチル)フラン-2-カルバルデヒド(5.04g、40.0mmol)をDMSO(80mL)に溶解させた。NaBr(1.24g、40.0mmol)を加え、混合物を150℃で18時間加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合物を酢酸エチル(100mL)に取り込み、水(100mL、3x)およびNaClの飽和溶液(100mL)で洗浄した。水相を酢酸エチル(100mL)で再抽出した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘプタン/酢酸エチル7:3)により、2.17g(44%)のフラン-2,5-ジカルバルデヒドを得た(例えば、C. Laugel et al., ChemCatChem, 2014, 6, 1195-1198参照)。
【0194】
【0195】
フラン-2,5-ジカルバルデヒド(0.75g、6.0mmol)をトルエン(50mL)に溶解させた。その後、2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)(1.51g、14.4mmol)およびさらに若干のトルエンを加えた。室温で5分間撹拌した後、水の共沸除去(ディーン・スターク)を行いながら還流下で15時間加熱し、褐色の固体と黄色の溶液との混合物を得た。この液体を傾瀉し、濃縮し、真空下で乾燥させて、目的化合物1.38g(77%)をジアステレオ異性体の混合物として、なおもトルエンと一部残った2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)とを含んだ状態で得た。
【0196】
【0197】
(i)(±)-2,2’-(シクロヘキサン-1,4-ジイルビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール)(多価アルコール10)の合成
シクロヘキサン-1,4-ジイルジメタノール(融解、13.24g、90.0mmol)を酢酸エチル(300mL)に溶解させた。固定化されたポリマー(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)(PIPO AF 944 974265、1.0g、4.9mmol)、KBr(0.1g、0.8mmol)、およびKHCO3(2.25g、22.5mmol)を加えた。その後、反応温度を28~30℃に保ちながら、NaOClの水溶液(10%、165mL)を2時間かけて滴加した。二相混合物を2時間撹拌した後、相を分離した。水層を酢酸エチル(150mL)で抽出し、合した有機相をNaClの飽和水溶液(150mL)で洗浄し、NaHCO3の飽和水溶液(2x)で洗浄し、再度NaClの飽和水溶液(150mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、4.12g(33%)のシクロヘキサン-1,4-ジカルバルデヒドがシス/トランス異性体の混合物(メジャー/マイナー約3:1)として得られ、分光データは以下のように割り当てられた。
【0198】
【0199】
シクロヘキサン-1,4-ジカルバルデヒド(1.00g、7.2mmol)をトルエン(25mL)に溶解させた。その後、2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)(1.82g、17.3mmol)を加えた。この混合物を、水の共沸除去(ディーン・スターク)を行いながら還流下で20時間加熱した。室温まで冷却した後、二相混合物が得られた。トルエンを傾瀉し、濃縮し、真空下で乾燥させて油を得た。油をエタノールに取り込み、冷凍庫で保存した。エタノールを濃縮すると、ようやく結晶が得られた。上澄み液をピペッティングし、残渣を低温のエタノールで洗浄すると、0.88g(12%)の目的化合物がジアステレオ異性体の混合物として得られた。
【0200】
【0201】
(j)(±)-2,2’-(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-4,12-ジイル)ビス(エタン-1-オール)(多価アルコール11)の合成
シクロヘキサン-1,4-ジオン(2.86g、25.0mmol)をトルエン(50mL)に溶解させた。室温で10分間撹拌した後、2,2’-アザンジイルビス(エタン-1-オール)(7.96g、75.0mmol)を加えた。この混合物を室温で5分間撹拌した後、水の共沸除去(ディーン・スターク)を行いながら還流下で3時間加熱し、室温で一晩撹拌した。結晶の生成が確認された。トルエンを傾瀉し、残渣を高温のエタノール(50mL)に溶解させた。室温まで冷却した後、生成物を冷蔵庫に入れ、次に冷凍庫に入れて結晶化させた。濾過し、残渣を氷低温のエタノールで洗浄すると、4.20gの結晶が得られた。母液を濃縮し、冷蔵庫に入れて再結晶させた。濾過の後、さらに1.56gの結晶が回収された。合計5.76g(80%)の目的化合物が得られた。
【0202】
【0203】
(k)(±)-(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,4,4-トリイル))テトラメタノール(多価アルコール12)の合成
2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(4.86g、40.0mmol)をエタノール(90mL)に懸濁させた。その後、テレフタルアルデヒド(2.74g、20.0mmol)を加え、混合物を還流で16時間加熱した。濃縮し、真空下で乾燥させると、白色の結晶性固体が得られた。高温のエタノール(30mL)に溶解させ、室温まで冷却し、冷蔵庫で保管すると、白色の結晶が得られた。これを濾過し、低温のエタノールで洗浄し、真空下で乾燥させると、目的化合物4.19g(62%)がジアステレオ異性体の混合物として、少量の(((1E,1’E)-1,4-フェニレンビス(メタニルイリデン))ビス(アザニルイリデン))ビス(2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール)(約10%)とともに得られた。
【0204】
【0205】
(l)(±)-(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-3,3,11,11-テトライル)テトラメタノール(多価アルコール13)の合成
シクロヘキサン-1,4-ジオン(3.96g、34.6mmol)をトルエン(90mL)に溶解させた。次に、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(7.27g、59.9mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸一水和物(0.1g、0.5mmol)を加えた。この混合物を、水の共沸除去(ディーン・スターク)を行いながら還流下で16時間加熱して、白色の懸濁液を得た。懸濁液を室温で1時間撹拌し、濾過した。固体をトルエン(20mL)で洗浄し、デシケーターにて真空下で乾燥させて、9.46g(99%)の目的化合物を得た。
【0206】
【0207】
(m)(±)-(1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール(多価アルコール14)の合成
シクロヘキサン-1,4-ジオン(2.28g、19.9mmol)をトルエン(50mL)に溶解させた。その後、2-アミノプロパン-1,3-ジオール(5.58g、60.0mmol)を加えた。この混合物を、水の共沸除去(ディーン・スターク)を行いながら還流下で一晩加熱した。析出物の形成が観察された。室温まで冷却した後、溶媒を傾瀉し、残渣をトルエンで洗浄し、高温のエタノール(30mL)に溶解させた。室温まで冷却し、冷蔵庫で保管したところ、結晶が生成した。濾過し、氷低温のエタノールで洗浄すると、3.87g(75%)の目的化合物が得られた。
【0208】
【0209】
(n)(±)-(3,11-ジメチル-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール(多価アルコール15)の合成
シクロヘキサン-1,4-ジオン(4.00g、35.0mmol)をトルエン(90mL)に溶解させた。次に、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール(6.31g、60.0mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸一水和物(0.1g、0.5mmol)を加えた。この混合物を、水の共沸除去(ディーン・スターク)を行いながら還流下で16時間加熱して、褐色の固体と淡黄色の溶液との混合物を得た。この液体を傾瀉して室温まで冷却すると、白色の析出物が形成された。この懸濁液を室温で1時間撹拌した後、濾過した。固体をトルエン(20mL)およびペンタン(20mL)で洗浄し、デシケーターにて真空下で乾燥させて、目的化合物5.74g(67%)をジアステレオ異性体の混合物として約2:1の割合で得た。
【0210】
【0211】
(o)(±)-(1,4-フェニレンビス(4-エチルオキサゾリジン-2,4-ジイル))ジメタノール(多価アルコール16)の合成
テレフタルアルデヒド(2.74g、20.0mmol)を50℃でエタノール(90mL)に溶解させた。次に、2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオール(4.91g、40.0mmol)を加えた。この混合物を室温で数日間撹拌した。濃縮し、真空下で乾燥させると、粘性のある薄黄色の油が得られた。この油は、ゆっくりと結晶化し、目的化合物と2,2’-(((1E,1’E)-1,4-フェニレンビス(メタニルイリデン))ビス(アザニルイリデン))-ビス(2-エチルプロパン-1,3-ジオール)とからなり、これはジアステレオ異性体の混合物として約4:1の割合で存在する。
【0212】
(p)(±)-(3,11-ジエチル-1,9-ジオキサ-4,12-ジアザジスピロ[4.2.48.25]テトラデカン-3,11-ジイル)ジメタノール(多価アルコール17)の合成
シクロヘキサン-1,4-ジオン(3.96g、34.6mmol)をトルエン(90mL)に溶解させた。次に、2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオール(7.34g、59.7mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸一水和物(0.1g、0.5mmol)を加えた。この混合物を、水の共沸除去(ディーン・スターク)を行いながら還流下で16時間加熱し、褐色の固体と褐色の溶液との混合物を得た。この液体を傾瀉して室温まで冷却すると、ベージュ色の析出物が形成された。この懸濁液を室温で1時間撹拌した後、濾過した。固体をトルエン(20mL)で洗浄し、デシケーターにて真空下で乾燥させると、2.58gの白色の結晶が得られた。母液を濃縮し、エタノール(10mL)に再溶解させて結晶化させると、さらに1.01gの結晶が得られた。合計3.59g(38%)の目的化合物が得られた。
【0213】
【0214】
(q)2,2’-(((1E,1’E)-1,4-フェニレンビス(メタニルイリデン))ビス(アザニルイリデン))ビス(プロパン-1,3-ジオール)(多価アルコール18)の合成
2-アミノプロパン-1,3-ジオール(3.72g、40.0mmol)をエタノール(90mL)に溶解させた。次に、テレフタルアルデヒド(2.74g、20.0mmol)およびエタノール(60mL)を加えた。この混合物を還流下で19時間加熱して、白色の懸濁液を得た。室温まで冷却し、濾過し、エタノール(15mL)で洗浄し、真空下で乾燥させると、4.95g(88%)の目的化合物が得られた。
【0215】
【0216】
(r)2,2’-(((1E,1’E)-フラン-2,5-ジイルビス(メタニルイリデン))ビス(アザニルイリデン))ビス(プロパン-1,3-ジオール)(多価アルコール19)の合成
2-アミノプロパン-1,3-ジオール(3.72g、40.0mmol)をエタノール(150mL)に溶解させた。その後、フラン-2,5-ジカルバルデヒド(2.48g、20.0mmol、実施例1hに記載の方法で製造)を加えた。この混合物を還流下で16時間加熱して、橙色の溶液を得た。室温まで冷却した後、生成物が結晶化した。氷浴で冷却し、濾過し、低温のエタノール(20mL)で洗浄すると、3.97gの生成物が得られ、濾液を濃縮すると、さらに1.42gの生成物が得られた。合計5.39g(99%)の目的化合物が得られた。
【0217】
【0218】
(s)2-ヒドロキシエチル3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート(多価アルコール20)の合成
窒素下の乾燥装置にて、2-メルカプトエタノール(9.3mL、132.0mmol)および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU、0.1mL、120.0mmol)を無水THF(150mL)に加えた。氷浴で0~5℃に冷却した後、撹拌した溶液に2-ヒドロキシエチルアクリレート(13.93g、120.0mmol)を20分間かけて滴加した。THF(15mL)ですすいだ後、この反応混合物を氷浴上で3時間、次いで室温で一晩撹拌した。その後、この反応混合物を濃縮し、HCl水溶液(1%)に注ぎ、酢酸エチル(100mL、2x)で抽出した。有機層を水(50mL、2x)およびNaClの飽和水溶液(50mL)で洗浄した。合した有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、6.11gの粗生成物を得た。次に、水層を酢酸エチルで抽出し、NaClを飽和させ、酢酸エチル(100mL)で再抽出した。乾燥させ(Na2SO4)、濃縮させて、7.59gの粗生成物を得た。生成物の第2の部分のカラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル/エタノール19:1)により、3.13gの目的化合物を得た。
【0219】
【0220】
(t)2-エチル-2-(((3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート)(多価アルコール21)の合成
窒素下の乾燥装置にて、2-メルカプトエタノール(16.0mL、228.0mmol)およびDBU(0.1mL、120.0mmol)を無水THF(150mL)に加えた。氷浴で0~5℃に冷却した後、撹拌した溶液に2-((アクリロイルオキシ)メチル)-2-エチルプロパン-1,3-ジイルジアクリレート(トリメチロールプロパントリアクリレート、22.00g、74.2mmol)を20分間かけて滴加した。THF(15mL)ですすいだ後、この反応混合物を氷浴上で3時間、次いで室温で一晩撹拌した。その後、この反応混合物を濃縮し、HCl水溶液(1%)に注ぎ、酢酸エチル(100mL、2x)で抽出した。有機層を水(50mL、2x)およびNaClの飽和水溶液(50mL)で洗浄した。合した有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、39.43g(定量的)の目的化合物を得た。
【0221】
【0222】
(u)4-ヒドロキシブチル3-((1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)プロパノエート(多価アルコール22)の合成
2-アミノプロパン-1,3-ジオール(1.86g、20.0mmol)を、アセトニトリル(250mL)中の4-ヒドロキシブチルアクリレート(2.97g、20.0mmol)の溶液に加えた。この反応混合物を室温で数日間撹拌した。この反応混合物を濃縮(0.4mbar、45℃)すると、4.75g(定量的)の目的化合物が、若干の残りの出発材料とともに得られた。
【0223】
【0224】
(v)ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-(ブチルアザンジイル)ジプロピオネート(多価アルコール23)の合成
アセトニトリル(10g)中のブタン-1-アミン(2.52g、34.5mmol)を、0℃でアセトニトリル(28g)中の2-ヒドロキシエチルアクリレート(8.00g、69.0mmol)の溶液に1時間かけて滴加した。室温で一晩撹拌した後、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル)により、5.60gの目的化合物が、部分的に加水分解された若干の生成物およびエタン-1,2-ジオールとともに得られた。
【0225】
【0226】
(w)ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ジプロピオネート(多価アルコール24)の合成
アセトニトリル(10g)中の4-アミノ-1-ブタノール(3.06g、34.3mmol)を、0℃でアセトニトリル(27g)中の2-ヒドロキシエチルアクリレート(8.02g、69.1mmol)の溶液に45分間かけて滴加した。室温で一晩撹拌した後、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル/エタノール4:1)により、9.25gの目的化合物が、部分的に加水分解された若干の生成物およびエタン-1,2-ジオールとともに得られた。
【0227】
【0228】
(x)ビス(2-ヒドロキシエチル)3,3’-(ピペラジン-1,4-ジイル)ジプロピオネート(多価アルコール25)の合成
アセトニトリル(35.9g)中の2-ヒドロキシエチルアクリレート(8.30g、71.5mmol)、ピペラジン(3.08g、35.8mmol)の溶液を、室温で4時間撹拌した。析出物が形成され、これを濾過し、新鮮なアセトニトリルで洗浄し、真空下で乾燥させたところ、9.15gの目的化合物が、部分的に加水分解された若干の生成物およびエタン-1,2-ジオールとともに得られた。
【0229】
【0230】
(y)テトラキス(2-ヒドロキシエチル)3,3’,3’’,3’’’-(プロパン-1,3-ジイルビス(アザントリイル))テトラプロピオネート(多価アルコール26)の合成
アセトニトリル(9g)中の1,3-ジアミノプロパン(1.44g、19.4mmol)を、0℃でアセトニトリル(30g)中の2-ヒドロキシエチルアクリレート(9.02g、77.7mmol)の溶液に45分間かけて滴加した。室温で一晩撹拌した後、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル/エタノール4:1)により、11.40gの目的化合物が、部分的に加水分解された若干の生成物およびエタン-1,2-ジオールとともに得られた。
【0231】
【0232】
(z)ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)3,3’-ジスルファンジイルジプロピオネート(多価アルコール27)の合成
トルエン(125mL)中の3-(2-カルボキシエチルジスルファニル)プロパン酸(10.73g、50.0mmol)、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン(18.39g、150.0mmol)およびトルエン-4-スルホン酸一水和物(0.30g、1.7mmol)の溶液を、ディーン・スターク装置にて還流下で24時間加熱した。室温まで冷却した後、不均一な混合物を得た。トルエン層を傾瀉し、残った固体を酢酸エチル(100mL)に取り込み、0℃で30分間撹拌した。固体を濾別し、低温の酢酸エチル(25mL)で洗浄し、濾液を濃縮して18.75gの粗化合物を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO2、酢酸エチル/エタノール95:5)を行い、高真空下(0.06mbar、穏やかな加熱下)で乾燥させると、11.41g(55%)の目的化合物が得られた。
【0233】
【0234】
(aa)(±)-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)2,2’-ジスルファンジイルジスクシネート(多価アルコール28)の合成
硫酸鉄水和物(FeSO4×7H2O、80mg、0.3mmol)を、水(250mL)中の2-メルカプトコハク酸(29.6g、197.1mmol)の撹拌溶液に加えた。次に、氷浴で温度を35℃未満に維持しながら、過酸化水素(35%、14.59g、150.1mmol)を5~10分間かけて滴加した。室温で一晩撹拌した後、この反応混合物を酢酸エチル(250mL、3x)で抽出した。水層を酢酸エチル(250mL)で再抽出し、合した有機層をNaClの飽和水溶液(100mL、2x)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して(45℃、5mbar)、23.40gの固体を得た。この固体(22.38g)を粉砕し、デシケーター(0.06mbar)で乾燥させて、22.10g(79%)の2,2’-ジスルファンジイルジコハク酸をジアステレオ異性体の混合物として得た。
【0235】
【0236】
エタン-1,2-ジオール(25mL)中の2,2’-ジスルファンジイルジコハク酸(1.00g、3.4mmol)とトルエン-4-スルホン酸一水和物(0.05g、0.3mmol)との混合物を、ディーン・スターク装置にて120℃で一晩加熱した。バルブ・トゥ・バルブ蒸留(0.067mbar、130℃)により過剰なエタン-1,2-ジオールを除去すると、1.78gの粗生成物が得られた。これを酢酸エチル(20mL)に取り込み、NaHCO3の飽和水溶液(5mL)で洗浄した。水相を酢酸エチル(25mL)で再抽出し、合した有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、0.087mbarの真空下で乾燥させて、1.04gの目的化合物をジアステレオ異性体の混合物として得た。
【0237】
【0238】
(ab)ビス(2-ヒドロキシエチル)2,2’-(メチレンビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)(多価アルコール29)の合成
窒素下、CH2Cl2(75mL)中のエチル2-クロロ-2-オキソアセテート(41.80g、306.2mmol)の溶液を、2~3℃でCH2Cl2(250mL)中のAlCl3(40.80g、306.0mmol)の懸濁液に40分間かけて滴加した。2~3℃で30分間撹拌した後、CH2Cl2(75mL)中のジフェニルメタン(16.80g、99.9mmol)の溶液を45分間かけて滴加した。この混合物を2~3℃で3時間撹拌し続けた後、一晩放置して室温に昇温させた。この反応混合物を氷(200g)上に注ぎ、傾瀉し、有機層を水(200mL、3x)で洗浄した。水相をCH2Cl2(50mL)で再抽出し、合した有機層を乾燥させ(Na2SO4)させ、濃縮して、35.52gの粗化合物を得た。27.77gのカラムクロマトグラフィー(SiO2、n-ヘプタン/酢酸エチル4:1)により、10.05g(35%)のジエチル2,2’-(メチレンビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)が得られた。
【0239】
【0240】
炭酸カリウム(0.50g)を、ジエチル2,2’-(メチレンビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)(10.19g、27.7mmol)とエタン-1,2-ジオール(75.00g)との混合物に加えた。この反応混合物を80℃で1時間撹拌した後、室温まで放冷し、一晩撹拌した。酢酸エチル(150mL)および水(250mL)で希釈した後、有機層を傾瀉し、水相を酢酸エチル(100mL、2x)で抽出した。合した有機層をNaClの飽和水溶液(100mL、3x)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。バルブ・トゥ・バルブ蒸留(70℃、0.057mbar)により残存する揮発性化合物を除去すると、8.00g(72%)の目的化合物が得られた。
【0241】
【0242】
(ac)ビス(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブチル)2,2’-(メチレンビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)(多価アルコール30)の合成
炭酸カリウム(0.05g)を、ジエチル2,2’-(メチレンビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)(1.00g、2.7mmol、実施例1abに記載のとおりに製造)と2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(5.00g)との混合物に加えた。この反応混合物を80℃で20時間撹拌し、室温まで冷却した後、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)および水で希釈した。水相を傾瀉し、MTBE(50mL)で再抽出した。有機層を水(25mL、3x)およびNaClの飽和水溶液(25mL)で洗浄した。合した有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、1.11g(74%)の目的化合物を得た。
【0243】
【0244】
(ad)ビス(2-ヒドロキシエチル)2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)(多価アルコール31)の合成
窒素下、CH2Cl2(75mL)中のエチル2-クロロ-2-オキソアセテート(41.80g、306.2mmol)の溶液を、2~3℃でCH2Cl2(250mL)中のAlCl3(40.80g、306.0mmol)の懸濁液に50分間かけて滴加した。2~3℃で30分間撹拌した後、CH2Cl2(75mL)中の1,2-ジフェニルエタン(18.60g、100.0mmol)の溶液を45分間かけて滴加した。この混合物を2~3℃で1時間、室温で4時間撹拌し続けた。この反応混合物を氷(200g)上にゆっくりと注ぎ、CH2Cl2(100mL)で希釈し、傾瀉し、有機層を水(150mL、3x)で洗浄した。水相をCH2Cl2(50mL)で再抽出し、合した有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、39.22gの粗化合物を淡黄緑色の固体として得た。-20℃でアセトン(2x)により、および室温でn-ヘプタン/ジエチルエーテル(2:1)により再結晶を繰り返し、合計22.69g(59%)のジエチル2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)を得た。
【0245】
【0246】
エタン-1,2-ジオール(144g)中のジエチル2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(2-オキソアセテート)(23.01g、60.2mmol)の懸濁液に炭酸カリウム(0.25g)を加えた。この反応混合物を80℃で20時間撹拌した。その後、さらに炭酸カリウム(0.75g)を加え、この反応物を80℃で8時間撹拌し続けた。一晩かけて室温に冷却した後、固体の生成物を得た。この反応混合物を加熱した後、酢酸エチル(150mL)および水(250mL)で希釈した。有機層を傾瀉し、水層を酢酸エチル(100mL、2x)で抽出した。合した有機層をNaClの飽和水溶液で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、22.33gの粗生成物を得た。冷蔵庫の中でアセトン(50mL)を用いて再結晶させると、3.25g(13%)の目的化合物が得られた。
【0247】
【0248】
(ae)ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)トリカーボネート(多価アルコール32)の合成
ベンゼン-1,3,5-トリオール(7g、55.6mmol)およびトリエチルアミン(24mL、172mmol)を、250mLの丸底フラスコ内のTHF(100mL)に溶解させた。この反応混合物の温度を氷で低下させ、アリルカルボノクロリデート(18mL、169mmol)を加えた。白色の析出物が形成され、この反応混合物を0℃で3時間撹拌した。白色の固体を濾過し、この反応混合物を減圧下で濃縮した。無色の油が得られ、酢酸エチル(100mL)に溶解させた。有機溶液をK2CO3の溶液(5%、x 3 100mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、トリアリルベンゼン-1,3,5-トリイルトリカーボネートを得た。
【0249】
【0250】
この油(6.0g、15.8mmol)および2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノン(0.1g、0.39mmol)を250mLの丸底フラスコ内のTHF(30mL)に溶解させて、無色の溶液を得た。その後、2-メルカプトエタノール(3.96g、50.7mmol)を加え、この反応混合物にUV-A光を2mW/cm2で5時間照射した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチル(40mL)で希釈し、K2CO3の溶液(水中5%、25mLx2)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)トリカーボネートを得た。
【0251】
【0252】
(af)ビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)スクシネート(多価アルコール33)の合成
100mLの丸底フラスコ内で、マレイン酸ジアリル(3mL、16.39mmol)およびトリエチルアミン(0.25mL、1.794mmol)をTHF(50mL)に溶解させて、無色の溶液を得た。2-メルカプトエタノール(1.4mL、19.98mmol)を加え、この反応混合物を0℃で撹拌した。2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1,2-a]アゼピン(0.1mL、16.39mmol)を加え、この反応混合物を室温で5時間撹拌し、最後に減圧下で濃縮して、ジアリル2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)スクシネートを得た。
【0253】
【0254】
100mLの丸底フラスコ内で、ジアリル2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)スクシネート(3.5g、12.7mmol)および2-メルカプトエタノール(1.9mL、27.1mmol)をTHF(50mL)に溶解させて、無色の溶液を得た。2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノン(0.1g、0.39mmol)を加え、この反応混合物にUV-A光を2mW/cm2で3時間照射した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチル(50mL)を加えた。有機溶液を、K2CO3の溶液(水中5%、25mL)および水(25mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、ビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)スクシネートを得た。
【0255】
【0256】
(ag)ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル)カーボネート(多価アルコール34)の合成
1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン(24.5g、200.0mmol)をTHF(250mL)に懸濁させた。その後、2,2-ジメトキシプロパン(32mL、0.84g・mL-1、258.1mmol)およびp-トルエンスルホン酸(50mg)を加えた。1時間撹拌した後、K2CO3(1.0g)を加え、この混合物を1時間撹拌した後、濾過し、減圧下(45℃、4mbar)で濃縮した。バラストとしてPrimol(商標)(5.06g)を加えた後、分留(0.2mbar、70℃)すると、合計31.0g(97%)の(2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノールが無色の油として得られた。
【0257】
【0258】
(2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メタノール(3.88g、24.2mmol)と、炭酸ジエチル(1.20g、10.0mmol)と、ナトリウムメチラート(11mg)との混合物を90℃で5時間、その後125℃で一晩加熱した。室温まで冷却した後、生成物が結晶化した。ヘプタン(10mL、加熱時)で再結晶させ、濾過し、ヘプタンで洗浄し、真空下で乾燥させると、1.02g(29%)のビス((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)カーボネートが白色の結晶として得られた。
【0259】
【0260】
メタノール(9mL)および水(1mL)中のビス((2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル)カーボネート(1.00g、2.9mmol)とKHSO4(33mg)との混合物を、室温で3時間撹拌した。その後、NaHCO3(250mg)を加え、溶媒を蒸発させた。この反応混合物を酢酸エチル(20mL)に取り込み、NaClの飽和水溶液(10mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。生成物をアセトン中で再結晶させた。冷凍庫に入れた後、結晶を濾過し、最低量の氷冷アセトンで洗浄して、0.06g(8%)の目的化合物を得た。
【0261】
【0262】
実施例2
式(I)による開裂性多価アルコールを含むポリウレタンコア・シェル型マイクロカプセルの製造、および擦った際に木綿にフレグランスを放出するその性能
(a)香料1の製造
香料1を、メチル2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキサンカルボキシレート(供給元:Firmenich SA)と、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート(供給元:International Flavors and Fragrances)と、4-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテートと、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナールと、(2Z)-2-フェニル-2-ヘキセンニトリル(供給元:Firmenich SA)との等質量混合物として製造した。
【0263】
(b)油-水界面での多価アルコールとイソシアネートとの共重合
香料の存在下での開裂性多価アルコールとイソシアネートとの共重合によるポリウレタンの形成を検証するために、水相と水相の上の油相との界面相で2Dアプローチにて膜を形成した。
【0264】
水(5g)中のポリビニルアルコール(PVOH)の1質量%溶液に、適量のクエン酸ナトリウム(約0.4当量)を加えて、多価アルコール(-OH基1当量)を溶解させた。市販のポリイソシアネートであるTakenate(登録商標)D-110N(供給元:三井化学株式会社、0.33g、0.86mmol、-NCO基0.7当量)を別途、香料1(4.7g)に溶解させ、30mLのバイアル内の水溶液の上に静かにピペッティングした。このバイアルを撹拌せずに水浴中に放置し、30分間にわたって25℃に保ち、1時間かけて4段階で70℃まで加熱し(40℃、50℃、60℃、70℃)、2時間にわたって70℃に保ち、最後に室温まで冷却した。
【0265】
界面相で形成された膜を、ピンセットを用いて重合瓶から慎重に取り出した。水相を丸底フラスコに慎重に移し、ドライアイスで凍結させた。凍結乾燥(Christ Alpha 1-4、Fischer Science)によりすべての水分を除去し、得られた粉末をD2O中でのNMR分光法により特性評価した。多価アルコールの13Cスペクトルにおける全トリプレットの平均シグナルをクエン酸の場合(47~49ppmのトリプレットピーク)と比較した比を用いて、水相に残っている、すなわちイソシアネートと反応しなかったモノマーの割合を算出した。
【0266】
以下の割合の開裂性多価アルコールがイソシアネートと反応し、その結果、ポリマー膜に取り込まれた:
【表1】
【0267】
このようにして、ポリイソシアネートとの界面反応により、異なる多価アルコールを2D膜に組み込むことに成功した。
【0268】
(c)マイクロカプセル1~3の製造
クエン酸ナトリウム(約0.91g)、および実施例1に記載のとおりに製造した式(I)による多価アルコール(-OH基1当量)のうちの1つを、水(35g)中のPVOHの1質量%溶液に溶解させた。Takenate(登録商標)D-110N -トリメチロールプロパン-キシリレンジイソシアネートの付加物、供給元:三井化学株式会社、日本、酢酸エチル中のポリイソシアネートの75%溶液(3.12g、8.2mmol、-NCO基0.7当量)を香料1(21g)に溶解させた。この油相を、Ultra-Turrax(登録商標)(IKA 25、最高速度で3分間)により、多価アルコールを含む1質量%PVOH溶液(35g)に乳化させた。このエマルションを、メカニカルスターラー(RW20、IKA Labortechnik)および水浴を備えた反応器に移した。25℃で1時間経過した後、この混合物を4段階で70℃まで1時間かけて加熱した(40℃、50℃、60℃、70℃)。水(10g)を加え、この混合物を70℃で2時間保った後、室温まで冷却して、マイクロカプセル1~3の分散液を得た。水浴を除去した約1時間後に、カプセルの顕微鏡写真を撮影した(
図1参照)。
【0269】
以下のコア・シェル型マイクロカプセルを製造した:
【表2】
【0270】
図1に示すように、コア・シェル型マイクロカプセルが形成された。
【0271】
(d)擦る場合と擦らない場合の木綿へのフレグランスの放出性能
マイクロカプセルの放出特性を実証するために、木綿薄織物に付着させたマイクロカプセルについて、擦る場合と擦らない場合のメチル2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキサンカルボキシレートのヘッドスペース濃度を測定した。メチル2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキサンカルボキシレートの放出を、香料1の他の香料分子を代表するものとみなす。
【0272】
約0.15gのマイクロカプセル1~3の分散液を、約15gの脱塩水で希釈した。各サンプルについて、3~4枚の木綿シートを予備洗浄し、12×12cm2に切断し、直径10cmの円の印をつけた。1枚の木綿シートにマイクロカプセルの希釈分散液(1mL)をピペッティングして、印をつけた円形の領域を埋めた。1時間かけてシートを吊り干しした後、アルミホイルに入れて保管した。翌日、アルミホイルをかぶせた1Lビーカーの中で、各木綿シートを5分間放置して平衡化させた。次に、メチル2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキサンカルボキシレートの量を、大気圧化学イオン化質量分析法により2分間測定した(例えば、O. Viry et al., Food Res. Int., 2018, 109, p. 52-58参照)。その後、木綿シートを手で10回擦り、ビーカー内でさらに5分間放置して平衡化させ、2分間再度測定した。1分間で記録した異なるフレグランスのプロトン化イオンのモル質量(139、172、183、191g/mol)の平均強度からバックグラウンドを差し引き、希釈分散液中のマイクロカプセルの濃度で割って、相対的ヘッドスペース強度を得た。
【0273】
以下の量のメチル2,2-ジメチル-6-メチリデンシクロヘキサンカルボキシレートがマイクロカプセルから放出された:
【表3】
【0274】
このように、式(I)による開裂性多価アルコールを含むマイクロカプセル1~3は、フレグランスを封入して木綿に送達するのに適している。
【0275】
実施例3
式(I)の開裂性多価アルコールを含むポリアミドマイクロカプセルの製造
【表4】
【0276】
多価アルコール1(ビス(2-ヒドロキシエチル)ジスルフィド)を用いたマイクロカプセル4の製造
丸底フラスコ内で、トリメソイルクロリド(TMCl、0.18g)を安息香酸ベンジル(0.5g)に溶解させた。ビス(2-ヒドロキシエチル)ジスルフィド(0.16g)を安息香酸ベンジル(5g)に溶解させ、この溶液を第1の溶液に加え、60℃で10分間撹拌した(溶液A)。カゼインナトリウム(1g)を香料2(25g)に分散させた。安息香酸ベンジル(2g)中のTMCl(1.56g)の第2の溶液を製造し、香料分散液に加えた。最後に、この分散液に溶液Aを加えて油相を得た。この油相を、水(95g)中のL-リジン(2.55g)の溶液に、Ultra Turrax T25(S 25 N - 10G)を用いて24,000rpmで5分間分散させた。水(5g)中のエチレンジアミン(EDA、0.22g)の溶液を5分間かけて滴加した。この反応混合物をオービタルシェーカー(IKA KS 3000)にて30℃、250rpmで4時間撹拌し、白色の分散液を得た。
【0277】
マイクロカプセル4のプロトコルに従って、ただし0.16gの多価アルコール1を用いて、マイクロカプセル5を製造した。
【0278】
多価アルコール2(2,2’-ジスルファンジイルビス(プロパン-1,3-ジオール))を用いたマイクロカプセル6の製造
マイクロカプセル6:丸底フラスコ内で、ウシ血清アルブミン(BSA、0.95g)を安息香酸ベンジル(5.00g)に60℃で分散させた。このBSA分散液に、安息香酸ベンジル(2.50g)中のTMCl(0.88g)の溶液を加えた。別の丸底フラスコ内で、アセトン(5.00g)中の多価アルコール2(0.38g)の溶液を、安息香酸ベンジル(2.50g)中のTMCl(0.88g)の溶液に加え、この反応混合物を数分間撹拌した。この溶液および分散液を香料2(25.14g)に室温で加え、油相を得た。この油相を、水(94.05g)中のL-リジン(2.50g)の溶液に、Ultra Turrax T25(S 25 N - 10G)を用いて24,000rpmで1分間分散させた。水(5.00g)中のEDA(0.48g)の溶液を5分間かけて滴加した。この反応混合物をオービタルシェーカー(IKA KS 3000)にて30℃、250rpmで4時間撹拌し、白色の分散液を得た。
【0279】
マイクロカプセル6のプロトコルに従って、ただしEDA溶液をグアニジンカーボネートの水溶液(30質量%、5.00g)中のシスタミン二塩酸塩(1.8g)の溶液に置き換えて、マイクロカプセル7を製造した。
【0280】
多価アルコール3(3-(2,3-ジヒドロキシプロピルジスルファニル)プロパン-1,2-ジオール)を用いたマイクロカプセル8~11の製造
マイクロカプセル8:丸底フラスコ内で、TMCl(0.89g)を安息香酸ベンジル(2.59g)に溶解させた。多価アルコール3(0.55g)を安息香酸ベンジル(2.51g)に溶解させ、この溶液を第1の溶液に加え、60℃で1時間撹拌した(溶液A)。カゼインナトリウム(1.94g)を香料2(24.92g)に分散させた。安息香酸ベンジル(2.49g)中のTMCl(1.76g)の第2の溶液を製造し、香料分散液に加えた後、この分散液に溶液Aを加えて油相を得た。この油相を、水(94.39g)中のL-リジン(2.57g)の溶液に、Ultra Turrax T25(S 25 N - 10G)を用いて24,000rpmで5分間分散させた。水(5.30g)中のEDA(0.24g)の溶液を5分間かけて滴加した。この反応混合物をオービタルシェーカー(IKA KS 3000)にて30℃、250rpmで4時間撹拌し、白色の分散液を得た。
【0281】
マイクロカプセル9:丸底フラスコ内で、TMCl(2.63g)を安息香酸ベンジル(2.53g)に溶解させた。多価アルコール3(0.22g)をアセトン(2.64g)に溶解させ、この溶液を第1の溶液に加え、60℃で1時間撹拌した(溶液A)。カゼインナトリウム(1.03g)を安息香酸ベンジル(5.03g、溶液B)に分散させた。溶液Aおよび溶液Bを香料2(25.6g)に加え、油相を得た。この油相を、水(94.27g)中のL-リジン(2.56g)の溶液に、Ultra Turrax T25(S 25 N - 10G)を用いて24,000rpmで5分間分散させた。水(5.15g)中のEDA(0.73g)の溶液を5分間かけて滴加した。この反応混合物をオービタルシェーカー(IKA KS 3000)にて30℃、250rpmで4時間撹拌し、白色の分散液を得た。
【0282】
マイクロカプセル8のプロトコルに従って、ただし0.31gの多価アルコール3を用いて、マイクロカプセル10を製造した。
【0283】
マイクロカプセル11:丸底フラスコ内で、TMCl(2.68g)を安息香酸ベンジル(2.62g)に溶解させた。多価アルコール3(0.34g)をアセトン(2.66g)に溶解させ、この溶液を第1の溶液に加え、60℃で1時間撹拌した(溶液A)。カゼインナトリウム(0.98g)を安息香酸ベンジル(5.09g、溶液B)に60℃で30分間分散させた。溶液Aおよび溶液Bを香料2(24.6g)に加え、油相を得た。この油相を、水(95.65g)中のL-リジン(2.49g)およびEDA(0.75g)の溶液に、Ultra Turrax T25(S 25 N - 10G)を用いて24,000rpmで5分間分散させた。この反応混合物をオービタルシェーカー(IKA KS 3000)にて30℃、250rpmで4時間撹拌し、白色の分散液を得た。
【0284】
多価アルコール8(2,2’-(1,4-フェニレンビス(オキサゾリジン-2,3-ジイル))ビス(エタン-1-オール))を用いたマイクロカプセル12~14の製造
マイクロカプセル12:丸底フラスコ内で、安息香酸ベンジル(2.50g)中のTMCl(0.88g)の溶液を、安息香酸ベンジル(5.00g)中のウシ血清アルブミン(BSA、0.95g)の分散液に60℃で10分間かけて加えた。別の丸底フラスコ内で、アセトン(5.00g)中の多価アルコール8(1.54g)の溶液を、安息香酸ベンジル(2.50g)中のTMCl(0.88g)の溶液に加え、この反応混合物を数分間撹拌した。この溶液および分散液を香料2(25.14g)に室温で加え、油相を得た。この油相を、水(94.05g)中のL-リジン(2.50g)の溶液に、Ultra Turrax T25(S 25 N - 10G)を用いて24,000rpmで1分間分散させた。水(5.00g)中のEDA(0.48g)の溶液を5分間かけて滴加した。この反応混合物をオービタルシェーカー(IKA KS 3000)にて30℃、250rpmで4時間撹拌し、白色の分散液を得た。
【0285】
マイクロカプセル12のプロトコルに従って、ただしEDA溶液をグアニジンカーボネートの水溶液(30質量%、5.00g)中のシスタミン二塩酸塩(1.8g)の溶液に置き換えて、マイクロカプセル13を製造した。
【0286】
マイクロカプセル12のプロトコルに従って、ただしEDA溶液を水(5.00g)中のジエチレントリアミン(0.83g)の溶液に置き換えて、マイクロカプセル14を製造した。
【0287】
水中の多価アルコール1(ビス(2-ヒドロキシエチル)ジスルフィド)および油中の多価アルコール3(3-(2,3-ジヒドロキシプロピルジスルファニル)プロパン-1,2-ジオール)を用いたマイクロカプセル15の製造
丸底フラスコ内で、TMCl(2.65g)を安息香酸ベンジル(5.00g)に溶解させた。多価アルコール3(1.14g)をアセトン(2.60g)に溶解させた。この溶液を第1の溶液に加え、60℃で1時間撹拌した。この溶液を香料2(25g)に加え、油相を得た。この油相を、アラビアガムの水溶液(セネガル、1質量%、95.22g)に、Ultra Turrax T25(S 25 N - 10G)を用いて24,000rpmで5分間分散させた。水(5.00g)中の多価アルコール1(0.78g)の溶液を5分間かけて滴加した。炭酸水素ナトリウムの水溶液(5質量%、70.77g)を加えることで、エマルションのpHを4.0の値に制御した。この反応混合物を90℃で4時間撹拌し、白色の分散液を得た。
【0288】
多価アルコール4 2,2’-(ジスルファンジイルビス(メチレン))ビス(2-メチルプロパン-1,3-ジオール)を用いたマイクロカプセル16~18の製造
ビーカー内で、カゼインナトリウム(2g)を香料2(25g)に分散させた。この分散液を60℃で1時間撹拌した。丸底フラスコ内で、TMCl(1.74g)を安息香酸ベンジル(5.14g)に溶解させた。多価アルコール4(0.68g)をアセトン(2.49g)に40℃で溶解させた。この溶液を第1の溶液に加え、RTで1時間撹拌した。この溶液を香料2分散液(25g)に加えて油相を得た。この油相を、水(95g)中のL-リジン(2.56g)の溶液に、Ultra Turrax T25(S 25 N - 10G)を用いて24,000rpmで5分間分散させた。水(5.00g)中のエチレンジアミン(0.12g)の溶液を5分間かけて滴加した。この反応混合物を30℃で4時間撹拌して、白色の分散液を得た。
【0289】
マイクロカプセル16のプロトコルに従って、ただし0.44gの多価アルコール4および0.17gのエチレンジアミンを用いて、マイクロカプセル17を製造した。
【0290】
マイクロカプセル16のプロトコルに従って、ただし0.28gの多価アルコール4および0.20gのエチレンジアミンを用いて、マイクロカプセル18を製造した。
【0291】
実施例4
式(I)の開裂性多価アルコールからの開裂性ポリイソシアネートの製造、およびそのコア・シェル型マイクロカプセルの製造
開裂性ポリイソシアネート1~5の製造
(((((ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(オキシ))トリス(カルボニル))トリス(オキシ))トリス(プロパン-3,1-ジイル))トリス(スルファンジイル))トリス(エタン-2,1-ジイル)トリス(3-(イソシアナトメチル)ベンジルカルバメート)(ポリイソシアネート1)の製造
1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(1.55mL、9.90mmol)およびスズ(II)2-エチルヘキサノエート(0.09g、0.011mmol)を50mLの丸底三ツ口フラスコに窒素下で導入して、無色の溶液を得た。酢酸エチル(4.4mL)中のベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)トリカーボネート(多価アルコール32、2.04g、3.33mmol)を5分間かけて滴加した。この反応混合物を50℃で3時間撹拌した後、この媒体を使用前に撹拌下で室温までゆっくりと冷却した。
【0292】
【0293】
2-エチル-2-(1-(3-(イソシアナトメチル)フェニル)-3,10-ジオキソ-4,11-ジオキサ-7-チア-2-アザドデカン-12-イル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-((2-(((3-(イソシアナトメチル)ベンジル)カルバモイル)オキシ)エチル)チオ)プロパノエート)(ポリイソシアネート2)の製造
1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(1.4mL、8.9mmol)および酢酸エチル中のスズ(II)2-エチルヘキサノエート(0.09g、0.34mmol)を50mLの丸底三ツ口フラスコに導入して、無色の溶液を得た。酢酸エチル(3.1mL)中の2-エチル-2-(((3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート)(多価アルコール21、1.54g、2.89mmol)の溶液を滴加した。この反応混合物を50℃で3時間撹拌した後、撹拌下でゆっくりと室温まで冷却した。
【0294】
【0295】
2-エチル-2-(1-(5-イソシアナト-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)-3,10-ジオキソ-4,11-ジオキサ-7-チア-2-アザドデカン-12-イル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-((2-((((5-イソシアナト-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバモイル)オキシ)エチル)チオ)プロパノエート)(ポリイソシアネート3)の製造
5-イソシアナト-1-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(3.1mL、14.63mmol)およびスズ(II)2-エチルヘキサノエート(0.09g、0.011mmol)を50mLの丸底三ツ口フラスコに導入して、無色の溶液を得た。この反応混合物を50℃で5分間撹拌した。酢酸エチル(6.3mL)中の2-エチル-2-(((3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロパノエート)(多価アルコール21、2.53g、4.77mmol)を、5分間かけて滴加した。この反応混合物を50℃で3時間撹拌し、反応生成物をさらに精製せずに使用した。
【0296】
【0297】
(((((ベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(オキシ))トリス(カルボニル))トリス(オキシ))トリス(プロパン-3,1-ジイル))トリス(スルファンジイル))トリス(エタン-2,1-ジイル)トリス(((5-イソシアナト-1,3,3-トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバメート)(ポリイソシアネート4)の製造
5-イソシアナト-1-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン(2.15mL、10.15mmol)およびスズ(II)2-エチルヘキサノエート(0.09g、0.011mmol)を窒素下で50mLの丸底三ツ口フラスコに加えて、無色の溶液を得た。酢酸エチル(3mL)中のベンゼン-1,3,5-トリイルトリス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)トリカーボネート(多価アルコール32、2.02g、3.30mmol)を5分間かけて滴加した。この反応混合物を50℃で3時間撹拌した後、撹拌下で室温までゆっくりと冷却した。
【0298】
【0299】
ビス(3-((2-(((3-(イソシアナトメチル)ベンジル)カルバモイル)オキシ)エチル)チオ)プロピル)2-((2-(((3-(イソシアナトメチル)ベンジル)カルバモイル)オキシ)エチル)チオ)スクシネート(ポリイソシアネート5)の製造
1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(1.4mL、8.94mmol)およびスズ(II)2-エチルヘキサノエート(0.09g、2.90mmol)を25mLの丸底三ツ口フラスコに入れ、無色の溶液を得た。酢酸エチル(0.28mL)中のビス(3-((2-ヒドロキシエチル)チオ)プロピル)2-((2-ヒドロキシエチル)チオ)スクシネート(多価アルコール33、1.25g、2.90mmol)の溶液を滴加した。この反応混合物を50℃で3時間撹拌した後、撹拌下で室温まで冷却した。
【0300】
【0301】
式(I)の開裂性多価アルコールを含む開裂性ポリイソシアネートを用いた本発明のマイクロカプセル19および20の製造
ポリイソシアネート4からのマイクロカプセル19の製造
ポリイソシアネート4(4.64g)を150mLのビーカー中で香油(香料1、20.01g)と混合して、黄色の溶液を得た。この混合物を5分間撹拌した。この混合物に、水中のPVOH 18-88(供給元、Aldrich、スイス)の溶液(1質量%、46.31g)を加えた。Ultra Turrax(S25N 10G)を用いて、この反応混合物を17,500rpmで3分間撹拌してエマルションを製造した。液滴サイズを光学顕微鏡法で制御した(pH=4.79)。この反応混合物を250mLの反応器に注入し、室温で350rpmにて1時間撹拌した。その後、1時間かけて70℃まで温度を上げ、最後に70℃で350rpmにて2時間撹拌した(pH=5.68)。水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.8に調整した。
【0302】
ポリイソシアネート3からのマイクロカプセル20の製造
マイクロカプセル19について記載したプロトコルに従って、ただし香油中のポリイソシアネート3(5.32g)からマイクロカプセル20を製造した。
【0303】
実施例5
布地用柔軟剤用途での香料の漏出
カプセルの保存安定性を、布地用柔軟剤配合物において評価した(表2の組成参照)。カプセル分散液を布地用柔軟剤(29.73g)で希釈し、香料2の最終濃度を0.20質量%とした。この柔軟剤を37℃で1ヶ月まで保存した。その後、カプセルから漏出した香料の量を、撹拌下でイソオクタン(10mL)による溶媒抽出で測定した。
【0304】
【0305】
安定性評価のプロトコル
マイクロカプセルを含む布地用柔軟剤ベース(2g)を20mLのバイアルに導入した。このサンプルを水(2mL)で希釈し、Socorex 10mLボトルトップディスペンサーを用いて粘度を低下させた。40rpmに設定したTurbulat Shakerを用いて、サンプルを5分間振とうした。このバイアル(10mL)に、内部標準物質として1,4-ジブロモベンゼンを約90ng/μLの正確な既知濃度で含むイソオクタンを加えた。このサンプルを40rpmで45分間振とうして自由な状態の香料を抽出した後、3.0Gで10分間遠心分離して2つの相を分離した。溶媒相を回収し、MgSO4上で乾燥させてGC分析を行った。
【0306】
【0307】
したがって、本発明によるマイクロカプセルは、布地用柔軟剤において良好な安定性を示す。
【0308】
実施例6
液体洗剤組成物
本発明のマイクロカプセル1~20を、表4に記載の液体洗剤ベースに分散させて、封入された香油の濃度を0.22%とした。
【0309】
【0310】
実施例7
リンスオフコンディショナー
本発明のマイクロカプセル1~20を、表5に記載されたリンスオフコンディショナーベースに分散させ、封入された香油の濃度を0.5%とする。
【0311】
【0312】
実施例8
シャンプー組成物
本発明のマイクロカプセル1~20を秤量してシャンプー組成物に混合することにより、0.2%相当の香料を加える。
【0313】
【0314】
実施例9
制汗剤ロールオンエマルション組成物
本発明のマイクロカプセル1~20を秤量して制汗剤ロールオンエマルション組成物に混合することにより、0.2%相当の香料を加える。
【0315】
【0316】
部分Aおよび部分Bを別々に75℃に加熱し、部分Aを部分Bに撹拌下で加え、この混合物を10分間ホモジナイズする。その後、この混合物を撹拌下で冷却し、この混合物が45℃に達したときに部分Cを、この混合物が35℃に達したときに部分Dを、撹拌しながらゆっくりと添加する。その後、この混合物を室温まで冷却する。
【0317】
実施例10
シャワージェル組成物
本発明のマイクロカプセル1~20を秤量して以下の組成物に混合することにより、0.2%相当の香料を加える。
【0318】