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特許7603611誘導針および関連するカテーテル挿入装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】誘導針および関連するカテーテル挿入装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20241213BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
A61M5/158 500D
A61M25/06 500
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021561711
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 US2020028101
(87)【国際公開番号】W WO2020214581
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】62/834,233
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/846,956
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エス.レイ アイザックソン
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0065029(US,A1)
【文献】特開2016-101179(JP,A)
【文献】特表2006-517441(JP,A)
【文献】特開平11-089939(JP,A)
【文献】特開2009-233028(JP,A)
【文献】特開2002-291883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針およびカテーテルを含むカテーテル挿入装置であって、
前記針は、遠位端、近位端、および遠位端と近位端との間に延在する細長い本体を含み、前記遠位端は、
遠位先端と、
遠位先端から近位方向に延在する第1ベベル表面と、
遠位先端から近位方向に延在する第2ベベル表面と、
遠位先端から近位方向に延在する第3ベベル表面と、
を含み、
第1ベベル表面は第2ベベル表面と収束して第1切縁を形成し、第2ベベル表面は第3ベベル表面と収束して第2切縁を形成し、第3ベベル表面は第1ベベル表面と収束して第3切縁を形成し、
第1切縁は、第2切縁から約120度オフセットしており、第2切縁は、第3切縁から約120度オフセットしており、第3切縁は、第1切縁から約120度オフセットしており、
前記カテーテルは、遠位端と、近位端と、前記カテーテルの遠位端および前記カテーテルの近位端を通って延在する内腔とを含み、
前記針は、前記カテーテルを貫いて延在しており、
第1ベベル表面の外周は、第1切縁、第3切縁、および第1切縁と第3切縁との間に延在する第1近位縁を含み、第2ベベル表面の外周は、第1切縁、第2切縁、および第1切縁と第2切縁との間に延在する第2近位縁を含み、および第3ベベル表面の外周は、第2切縁、第3切縁、および第2切縁と第3切縁との間に延在する第3近位縁を含み、および
第1近位縁と第2近位縁との間に配置される、前記細長い本体の第1部分が面取りされているか、第2近位縁と第3近位縁との間に配置される、前記細長い本体の第2部分が面取りされているか、または、第3近位縁と第1近位縁との間に配置される、前記細長い本体の第3部分が面取りされている
ことを特徴とするカテーテル挿入装置。
【請求項2】
前記針が、流出溝をさらに含み、
前記流出溝は、第1ベベル表面、第2ベベル表面、または第3ベベル表面に近接した遠位端を含み、
前記流出溝が、前記カテーテルの遠位端に近接して配置された近位端をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項3】
前記針は、前記針の近位端を通って延在する内腔を含み、
第1ベベル表面、第2ベベル表面、または第3ベベル表面は、針の内腔と流体連通する穴を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項4】
前記遠位先端から第1近位縁の頂点までの第1ベベル表面の長さが、前記遠位先端から第2近位縁の頂点までの第2ベベル表面の長さと等しく、前記遠位先端から第3近位縁の頂点までの第3ベベル表面の長さと等しいことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項5】
第1ベベル表面の外周長、第2ベベル表面の外周長、および第3ベベル表面の外周長が等しいことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項6】
前記遠位先端から第1近位縁の頂点までの第1ベベル表面の長さが、前記遠位先端から第2近位縁の頂点までの第2ベベル表面の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項7】
第1ベベル表面、第2ベベル表面、および第3ベベル表面は、それぞれ平面であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項8】
前記針は、第1ベベル表面、第2ベベル表面、または第3ベベル表面が下向きになるように前記カテーテル内で配向されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル挿入装置。
【請求項9】
遠位端、近位端、および遠位端と近位端との間に延在する細長い本体を含む針であって、
前記遠位端は、
遠位先端と、
遠位先端から近位方向に延在する第1ベベル表面と、
遠位先端から近位方向に延在する第2ベベル表面と、
遠位先端から近位方向に延在する第3ベベル表面と、
を含み、
第1ベベル表面は第2ベベル表面と収束して第1切縁を形成し、第2ベベル表面は第3ベベル表面と収束して第2切縁を形成し、第3ベベル表面は第1ベベル表面と収束して第3切縁を形成し、
第1切縁は、第2切縁から約120度オフセットしており、第2切縁は、第3切縁から約120度オフセットしており、第3切縁は、第1切縁から約120度オフセットしている
第1ベベル表面の外周は、第1切縁、第3切縁、および第1切縁と第3切縁との間に延在する第1近位縁を含み、第2ベベル表面の外周は、第1切縁、第2切縁、および第1切縁と第2切縁との間に延在する第2近位縁を含み、および第3ベベル表面の外周は、第2切縁、第3切縁、および第2切縁と第3切縁との間に延在する第3近位縁を含み、
第1近位縁と第2近位縁との間に配置される、前記細長い本体の第1部分が面取りされているか、第2近位縁と第3近位縁との間に配置される、前記細長い本体の第2部分が面取りされているか、または、第3近位縁と第1近位縁との間に配置される、前記細長い本体の第3部分が面取りされている
ことを特徴とする針。
【請求項10】
中実であることを特徴とする請求項9に記載の針。
【請求項11】
前記針は、第1ベベル表面、第2ベベル表面、または第3ベベル表面から近位方向に延在する流出溝をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の針。
【請求項12】
前記針は、前記針の近位端を通って延在する内腔を備え、第1ベベル表面、第2ベベル表面、または第3ベベル表面は、前記針の内腔と流体連通する穴を含むことを特徴とする請求項9に記載の針。
【請求項13】
第1ベベル表面の外周長、第2ベベル表面の外周長、および第3ベベル表面の外周長が等しく、前記遠位先端が前記針の中心軸と整列していることを特徴とする請求項9に記載の針。
【請求項14】
第1ベベル表面の外周長、第2ベベル表面の外周長、および第3ベベル表面の外周長が等しくなく、前記遠位先端が、前記針の中心軸と整列していないことを特徴とする請求項9に記載の針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、血管アクセスシステム、血管アクセス装置、および血管アクセス方法に関する。より詳細には、いくつかの実施形態において、本開示は、針および関連する装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、非経口的栄養補給、静脈内補液、鎮痛剤および抗生物質の投与に一般的に使用される。また、カテーテルは採血にも使用される。カテーテルは、滅菌技術を用いて病床にて挿入することができ、数週間にわたって留置することができる。
【0003】
一般的なカテーテルは、オーバー・ザ・ニードル型カテーテルである。その名が示すように、「オーバー・ザ・ニードル」カテーテルは、鋭利な遠位端を有する誘導針を覆って取り付けられる。鋭利な先端部を用いて、患者の皮膚および静脈を穿刺してもよい。オーバー・ザ・ニードル型カテーテルの静脈への挿入は、誘導針による静脈の穿刺に引き続いてもよい。典型的には、患者の皮膚および静脈を最小限の抵抗で突き刺して、患者の痛みを最小限とするために、誘導針は鋭利な遠位先端を有する。
【0004】
誘導針は、一般的に、皮膚の表面および穿刺される静脈の長手方向の寸法に対して急な傾斜角で配置されて、皮膚および静脈壁への侵入を可能にする。針およびカテーテルは、誘導針のベベル面が患者の皮膚から離れるようにして挿入される。誘導針の先端が壁を貫通した後に挿入角を減少させて、カテーテルを静脈内に適切に配置するのに充分な距離だけ、誘導針およびカテーテルを静脈内へと滑入させることができる。静脈内への誘導針の配置を確認したならば、使用者は静脈内の流れを一時的に閉塞して誘導針を引き抜き、将来の液体注入および/または血液採取のためにオーバー・ザ・ニードル・カテーテルを所定の位置に残すことができる。
【0005】
最初の試みでカテーテルを挿入して適切に配置することは、一般的に、一部の使用者が持っていない技術レベルを必要とする。最初の試みにおけるカテーテルの静脈内への正確な配置は、静脈および/または周辺組織の損傷の発生率を減少させるために大きな利点である。カテーテルおよび針の適切な配置は、患者の不快感および痛みを最小限とし、静脈への損傷および傷を減らすために重要である。カテーテルの挿入および留置中に静脈に生じた損傷は、血液凝固の促進、血栓形成、その他の健康問題を引き起こす可能性がある。
【0006】
本願で特許請求される内容は、何らかの欠点を解決する実施形態、あるいは、上述のような環境でのみ稼働する実施形態に限定されるものではない。むしろ、この背景は、本明細書に記載されているいくつかの実施態様が実施され得る1つの例示的な技術分野を説明するために提供されているに過ぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態において、針は誘導針を含んでもよい。いくつかの実施形態において、針の先端形状は、針が患者の静脈に挿入されたときに、患者の静脈を刺し貫く(transfixing)リスクの低減を提供することができる。いくつかの実施形態において、針の先端形状は、静脈内でのカテーテルのより確実な配置を提供することができる。いくつかの実施形態において、針は、カテーテルを前進させるために、患者にガイドワイヤを挿入するために使用されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、針は、遠位端と、近位端と、遠位端と近位端との間に延在する細長い本体とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、針の遠位端は、遠位先端と、遠位先端から近位方向に延在する第1ベベル表面と、遠位先端から近位方向に延在する第2ベベル表面と、遠位先端から近位方向に延在する第3ベベル表面とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端は、患者の皮膚および静脈に侵入するための鋭利な尖端(sharp point)を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1ベベル表面は、第2ベベル表面と収束して第1切縁を形成してもよい。いくつかの実施形態において、第2ベベル表面は、第3ベベル表面と収束して、第2切縁を形成してもよい。いくつかの実施形態において、第3ベベル表面は、第1ベベル表面と収束して、第3切縁を形成してもよい。いくつかの実施形態において、第1切縁は、第2切縁から約120度オフセットしてもよい。いくつかの実施形態において、第2切縁は、第3切縁から約120度オフセットしてもよい。いくつかの実施形態において、第3切縁は、第1切縁から約120度オフセットしていてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、針は中実であってもよい。いくつかの実施形態において、針は、1つまたは複数の流出溝を含んでもよい。いくつかの実施形態において、流出溝は、第1ベベル表面、第2ベベル表面、および第3ベベル表面のうちの1つまたは複数から近位方向に延在してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、針は、針の近位端を通って延在する内腔を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面、第2ベベル表面、または第3ベベル表面のうちの1つまたは複数は、針の内腔と流体連通する1つまたは複数の穴を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤは、針の内腔内に配置されてもよく、穴のうちの特定の1つを通り、針の遠位先端を超えて、遠位方向に進んでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1ベベル表面の外周(本開示では第1外周と呼ばれることがある)は、第1切縁、第3切縁、および第1近位縁を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1近位縁は、第1切縁と第3切縁との間に延在していてもよい。いくつかの実施形態において、第2ベベル表面の外周(本開示では第2外周と呼ばれることがある)は、第1切縁、第2切縁、および第2近位縁を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2近位縁は、第2切縁と第3切縁との間に延在していてもよい。いくつかの実施形態において、第3ベベル表面の外周(これは、本開示において第3外周と呼ばれることがある)は、第2切縁、第3切縁、および第3近位縁を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第3近位縁は、第2切縁と第3切縁との間に延在していてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1近位縁と第2近位縁との間に配置された細長い本体の第1部分は、面取りされていてもよい。いくつかの実施形態において、第2近位縁と第3近位縁との間の細長い本体の第2部分は、面取りされていてもよい。いくつかの実施形態において、第2近位縁と第3近位縁との間に配置された細長い本体の第3部分は、面取りされていてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、針の遠位端は対称的であってもよい。いくつかの実施形態において、第1外周、第2外周、および第3外周は、等しくてもよい。これらの実施形態および他の実施形態において、遠位先端は、針の中心軸と整列していてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端から第1近位縁の頂点までの第1ベベル表面の長さは、遠位先端から第2近位縁の頂点までの第2ベベル表面の長さと等しくてもよく、これは、遠位先端から第3近位縁の頂点までの第3ベベル表面の長さと等しくてもよい。いくつかの実施形態において、第1切縁の近位端から第3切縁の近位端までの第1ベベル表面の長さは、第1切縁の近位端から第2切縁の近位端までの第2ベベル表面の長さと等しくてもよく、これは、第2切縁の近位端から第3切縁の近位端までの第3ベベル表面の長さと等しくてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、針の遠位端は非対称であってもよい。いくつかの実施形態において、第1外周、第2外周、および第3外周のうちの1つまたは複数が互いに等しくなくてもよい。これらの実施形態および他の実施形態において、遠位先端は、針の中心軸と整列していなくてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端から第1近位縁の頂点までの第1ベベル表面の長さは、遠位先端から第2近位縁の頂点までの第2ベベル表面の長さおよび/または遠位先端から第3近位縁の頂点までの第3ベベル表面の長さよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端から第2近位縁の頂点までの第2ベベル表面の長さは、遠位先端から第1近位縁の頂点までの第1ベベル表面の長さおよび/または遠位先端から第3近位縁の頂点までの第3ベベル表面の長さよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端から第3近位縁の頂点までの第3ベベル表面の長さは、遠位先端から第2近位縁の頂点までの第2ベベル表面の長さおよび/または遠位先端から第1近位縁の頂点までの第1ベベル表面の長さよりも大きくてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、針は、カテーテル挿入装置のカテーテルを通って延在していてもよい。しかしながら、針は、カテーテル以外の医療機器とともに使用されてもよいこと、および/または、脊髄針を含む任意の医療目的のために使用されてもよいことが企図されている。いくつかの実施形態において、カテーテルは、末梢静脈内カテーテル(PIVC)、正中カテーテル、または末梢挿入型中心カテーテル(PICC)を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、カテーテルは、遠位端と、近位端と、カテーテルの遠位端およびカテーテルの近位端を通って延在する内腔とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、流出溝はそれぞれ、第1ベベル表面、第2ベベル表面、または第3ベベル表面に近接した遠位端を含んでもよい。いくつかの実施形態において、流出溝はそれぞれ、カテーテルの遠位端に近接して配置された近位端を含んでもよい。いくつかの実施形態において、流出溝は、カテーテルの内腔と流体連通していてもよい。いくつかの実施形態において、流出溝を通過してカテーテルの内腔に入る血液は、使用者に視認可能であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1ベベル表面、第2ベベル表面、および第3ベベル表面のうちの1つまたは複数は、略平面であってもよい。いくつかの実施形態において、針は、第1ベベル表面、第2ベベル表面、または第3ベベル表面が、下向きに、または、針の静脈への進入点とは反対側の静脈の内壁に向くように、カテーテル内で配向されてもよい。これらの実施形態において、カテーテルの上部に向かっている特定の刃縁は、カテーテル挿入装置の中心軸と整列していてもよい。いくつかの実施形態において、特定のベベル表面が下向きになっている状態で針が静脈に挿入されると、静脈を刺し貫くリスクが低減される可能性がある。
【0019】
いくつかの実施形態において、針先端形状は、針の内腔を通して真空管または他の適切な血液収集装置に血液を抜き取るための採血用瀉血針に使用することができる。いくつかの実施形態において、針先端形状は、たとえば、ロングベベル針に起因する針の曲がりを低減することが望まれる処置など、他の処置にも使用することができる。いくつかの実施形態において、針は、患者への流体の導入および/または患者からの流体の引き抜きのために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、針の先端形状は、患者からの血液、髄液、または他の流体の吸引に使用されてもよい。
【0020】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものであり、特許請求される本発明を制限するものではないことを理解されたい。種々の実施形態は、図面に示された配置および器具に限定されないことを理解すべきである。また、本発明の種々の実施形態の範囲から逸脱することなしに、実施形態を組み合わせたり、他の実施形態を利用したり、特許請求の範囲に記載されていないとしても構造的な変更を行ったりすることができることを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるべきではない。
【0021】
例示的な実施形態は、以下の添付図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】いくつかの実施形態にしたがう例示的な針の上側透視図である。
図1B】いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の下側透視図である。
図1C】いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の側面図である。
図1D】いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の反対側の側面図である。
図1E】いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針を針の遠位端から見た透視図である。
図1F】別の針と比較して針を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の上側透視図である。
図1G】他の針と比較して針を例示する、いくつかの実施形態にしたがい、静脈に挿入された図1Aの針の上側透視図である。
図2A】流出溝の例を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の上側透視図である。
図2B】複数の流出溝を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の側面図である。
図2C】複数の流出溝を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針を針の遠位端からみた透視図である。
図3A】面取り部の例を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の上側透視図である。
図3B】複数の面取り部を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の遠位端からの透視図である。
図4A】例示的な穴を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の上側透視図である。
図4B】いくつかの実施形態にしたがい、例示的なカテーテルを貫いて挿入された図1Aの針の上側透視図である。
図5】例示的なノッチを例示する、いくつかの実施形態にしたがい、カテーテルを貫いて挿入された図1Aの針の上側透視図である。
図6A】非対称の遠位端を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の上側透視図である。
図6B】別の非対称な遠位端を例示する、いくつかの実施形態にしたがう図1Aの針の上側透視図である。
図7A】いくつかの実施形態にしたがう、例示的なカテーテルアセンブリの分解図である。
図7B】いくつかの実施形態にしたがう、カテーテルアセンブリの部分断面図である。
図7C】例示的な逆血を例示する、いくつかの実施形態にしたがうカテーテルアセンブリの上側透視図である。
図7D】いくつかの実施形態にしたがう、別のカテーテルアセンブリの上側透視図である。
図7E】いくつかの実施形態にしたがう、他のカテーテルアセンブリの断面図である。
図8A】2つのベベル表面を例示する、いくつかの実施形態にしたがう針の上面図である。
図8B】2つのベベル表面を例示する、いくつかの実施形態にしたがう針の底面図である。
図8C】2つのベベル表面を例示する、いくつかの実施形態にしたがう針の側面図である。
図8D】2つのベベル表面を例示する、いくつかの実施形態にしたがう針の遠位端からの透視図である。
図9A】4つのベベル表面を例示する、いくつかの実施形態にしたがう針の側面図である。
図9B】4つのベベル表面を例示する、いくつかの実施形態にしたがう針の遠位端からの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示で使用する場合、「遠位」という用語は、針またはカテーテルアセンブリまたはその構成要素の、使用者からより遠い部分を指し、「近位」という用語は、針またはカテーテルアセンブリまたはその構成要素の、使用者により近い部分を指す。本開示で使用する場合、用語「使用者」は、臨床医、医師、看護師、またはその他のケア提供者を指してもよく、サポート要員を含んでもよい。
【0024】
図1A図1Eを参照して、いくつかの実施形態において、針10は誘導針を含んでもよい。いくつかの実施形態において、針10は、遠位端12、近位端、および遠位端12と近位端との間に延在する細長い本体14を含んでもよい。いくつかの実施形態において、細長い本体14は、引っかかりを防止することができる略円筒形、または別の適切な形状であってもよい。いくつかの実施形態において、遠位端12は、たとえば、図1A図1Eに示されるように、略対称であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、針10の遠位端12は、遠位先端16、遠位先端16から近位方向に延在する第1ベベル表面18、遠位先端16から近位方向に延在する第2ベベル表面20、および遠位先端16から近位方向に延在する第3ベベル表面22を含んでもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端16は、患者の皮膚および静脈に侵入するための鋭利な尖端を含んでもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端16は、細長い本体14の外面から径方向内側に向かって配置されていてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18は、第2ベベル表面20に収束して、第1切縁24を形成してもよい。いくつかの実施形態において、第2ベベル表面20は、第3ベベル表面22と収束して第2切縁26を形成してもよい。いくつかの実施形態において、第3ベベル表面22は、第1ベベル表面18と収束して第3切縁28を形成してもよい。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、および第3ベベル表面22のうちの1つまたは複数が対称的であってもよい。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、および第3ベベル表面22のうちの2つは、逆ベベル(inverted bevel)であってもよい。
【0027】
図1Eに示されるように、いくつかの実施形態において、第1切縁24は、第2切縁26から約120度オフセットしてもよい。いくつかの実施形態において、第2切縁26は、第3切縁28から約120度オフセットしてもよい。いくつかの実施形態において、第3切縁28は、第1切縁24から約120度オフセットしていてもよい。いくつかの実施形態において、第1切縁24、第2切縁26、および第3切縁28は、細長い本体14の外周を3つの等しい部分に3分割してもよく、それぞれの部分は、同じ形状を有してもよいし、異なる形状を有してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18の外周は、第1切縁24、第3切縁28、および第1近位縁30を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18の外周は、第1切縁24、第3切縁28、および第1近位縁30以外のもの含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、第1近位縁30は、第1切縁24と第3切縁28との間に延在していてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、第2ベベル表面20の外周は、第1切縁24、第2切縁26、および第2近位縁32を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第2ベベル表面20の外周は、第1切縁24、第2切縁26、および第2近位縁32以外のものを含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、第2近位縁32は、第2切縁26と第3切縁28との間に延在していてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、第3ベベル表面22の外周は、第2切縁26、第3切縁28、および第3近位縁34を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第3ベベル表面22の外周は、第2切縁26、第3切縁28、および第3近位縁34以外のものを含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、第3近位縁34は、第2切縁26と第3切縁28との間に延在していてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、第1切縁24、第2切縁26、および第3切縁28は、直線状または線状であってもよい。いくつかの実施形態において、第1切縁24、第2切縁26、および第3切縁28は、遠位先端16で交差してもよい。いくつかの実施形態において、第1近位縁30、第2近位縁32、または第3近位縁34のうちの1つまたは複数が、略近位縁形状であってもよい。いくつかの実施形態において、第1近位縁30、第2近位縁32、または第3近位縁34のうちの1つまたは複数が円弧を含んで、皮膚および静脈を通した針10の円滑な侵入を促進してもよい。いくつかの実施形態において、第1近位縁30、第2近位縁32、および第3近位縁34の1つまたは複数が、直線状または線状であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1外周、第2外周、および第3外周のうちの1つまたは複数が等しくてもよい。いくつかの実施形態において、たとえば図1A図1Eに示されるように、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、および第3ベベル表面22のうちの1つまたは複数は、等しい形状または輪郭を有してもよい。これらの実施形態および他の実施形態において、遠位先端16は、針10の中心軸36と整列してもよい。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、および第3ベベル表面22のうちの1つまたは複数が同一であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、遠位先端から第1近位縁30の頂点までの第1ベベル表面18の長さ38は、遠位先端16から第2近位縁32の頂点までの第2ベベル表面20の長さ40と等しくてもよく、それは、遠位先端16から第3近位縁34の頂点までの第3ベベル表面22の長さ42と等しくてもよい。いくつかの実施形態において、第1切縁24の近位端から第3切縁28の近位端までの第1ベベル表面18の長さ44は、第1切縁24の近位端から第2切縁26の近位端までの第2ベベル表面20の長さ46と等しく、それは、第2切縁26の近位端から第3切縁28の近位端までの第3ベベル表面22の長さ48と等しくてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、遠位端12の対称的な性質は、患者への挿入のための針の配向に不慣れな使用者を補助することができる。いくつかの実施形態において、針10は中実であってもよい。いくつかの実施形態において、針10は、金属、鋼、または他の適切な材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態において、針10は、単一ユニットとして一体構造として形成されてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端12は、針10の中心軸36と整列した開口部を含まなくてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端12を閉止して、流体がそこを通って流れないようにしてもよい。
【0035】
図1F図1Gを参照して、いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18の長さ38、第2ベベル表面20の長さ40、および第2ベベル表面20の長さ46は、サイズ比較のために破線で図示されている別の針52のベベル面の長さと比較して短くてもよい。他の針52はISO 10555標準の針に対応していてもよく、当該技術分野で知られているように、他の針52はリバースグラインド尖端形状またはB-ベベル尖端形状を含んでいてもよい。他の針52は、他の針52の中心軸に沿った開口部53を含んでいてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18の長さ38、第2ベベル表面20の長さ40、および第2ベベル表面20の長さ46は、他の針52の面取りの長さの約半分以下であってもよい。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18の長さ38、第2ベベル表面20の長さ40、および第2ベベル表面20の長さ46は、遠位先端16が静脈49への針10の進入点と反対側の静脈49の壁の内面を刺し貫くまたは損傷させる前に、カテーテル50の遠位端54が静脈49へ進入することを容易にすることができる。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18の長さ38、第2ベベル表面20の長さ40、および第2ベベル表面20の長さ46が、他の針52のベベル面の長さの約半分であってもよいため、遠位先端16は、カテーテル50の遠位端54が静脈49に侵入するときに、進入点とは反対側の静脈49の壁の内面から2倍離れていてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、針10の遠位端12は、静脈の損傷および刺し貫きを発生させない、直径が小さい静脈への困難なアクセスのために構成されてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル50の遠位端54の最上表面と針10の遠位端12の最下表面との間の距離55は、カテーテル50の遠位端54の最上表面と他の針52の遠位端の最下表面との間の距離の半分であってもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル50の遠位端54の最上面と針10の遠位端12の最下面との間の距離55は、針10が20ゲージであり、20~30度の挿入角度で挿入される18ゲージのカテーテルと共に使用するように構成されている場合、約1.1mmまたは1.0~1.2mmであってもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル50の遠位端54の最上面と針10の遠位端12の最下面との間の距離55は、ヒトの静脈の直径の正規分布の標準偏差の3倍以内であってもよい。
【0038】
対照的に、他方の針48のベベル面は、静脈49の損傷および刺し貫きなしに、使用者がカテーテル50の遠位端54を静脈49に挿入することを困難にするほど長い可能性がある。刺し貫きは、針が静脈49の頂部に入り、次いで静脈49の底部も穿刺する場合に生じる可能性がある。静脈49の刺し貫きを含む静脈49の損傷は、凝固および血栓形成を促進する可能性がある。いくつかの実施形態において、記載されているような針10の針先端形状は、針10が患者の静脈49に挿入される際に、患者の静脈49を刺し貫くリスクの低減を提供し、静脈49内でのカテーテル50のより信頼性の高い配置を提供することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、他方の針52が皮膚を通って静脈49に挿入される際に、他方の針52のベベル面によって、他方の針52をより急な挿入角度で下降または急降下させるおそれがある。使用者は、挿入角度をどの程度下降するかを推測して、急な挿入角度を補償しようとすることがある。いくつかの実施形態において、針10の遠位端12は対称的であってもよく、これにより、患者への針10の挿入時に降下しないこと(zero drop)を提供することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、および第3ベベル表面22のうちの1つまたは複数は、略平面であってもよい。いくつかの実施形態において、針10は、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、または第3ベベル表面22が、下向きに、または針10の静脈49への進入点とは反対側の静脈49の内壁に向かうように、カテーテル50内で配向されてもよく、これにより、静脈49を刺し貫くリスクを低減することができる。さらに、いくつかの実施形態において、針10の使用により、皮膚および静脈49に、他の針52の寸法と同一または同等のサイズの切り口またはスリットを生じさせてもよい。
【0041】
図2A図2Cを参照すると、いくつかの実施形態において、針10は、1つまたは複数の流出溝56を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、流出溝56は、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、および第3ベベル表面22のうちの1つまたは複数から近位方向に延在してもよい。いくつかの実施形態において、流出溝56は、逆血(blood flashback)の通路の機能を提供してもよい。いくつかの実施形態において、針10が静脈49を貫通することに応じて、血液が、流出溝56を通って、カテーテル50の内面(たとえば、図1Gに例示されている)、および/または、静脈内での針10の配置の指示として使用者が血液を視認できる別の場所または装置に移動することがある。
【0042】
図3A図3Bを参照すると、いくつかの実施形態において、第1近位縁30と第2近位縁32との間に配置された細長い本体14の第1部分58が面取りされてもよい。いくつかの実施形態において、第2近位縁32と第3近位縁34との間の細長い本体14の第2部分60が面取りされてもよい。いくつかの実施形態において、第2近位縁32と第3近位縁34との間に配置された細長い本体14の第3部分62が面取りされてもよい。いくつかの実施形態において、第1部分58、第2部分60、および第3部分62の面取りまたは丸めは、静脈への針10の進入点の反対側にある静脈の内壁を誤って削いでしまうことを防止することができる。
【0043】
図4A図4Bを参照すると、いくつかの実施形態において、針10は、開口部、ノッチなどを介して針10の近位端65(たとえば、図7Eを参照)を通って延在する内腔64を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、または第3ベベル表面22のうちの1つまたは複数は、針10の内腔64と流体連通する1つまたは複数の穴66を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ68は、針10の内腔64内に配置されてもよく、穴66の特定の1つを通って延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ68は、穴66のうちの特定の1つを通って、針10の遠位先端16を超えて遠位方向に進んでもよい。いくつかの実施形態において、針10は、カテーテル50を前進させるためにガイドワイヤ68を患者の中に挿入するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端12は、穴66を除いて閉止されていてもよく、穴66を除いてそこから流体が流れないようにしてもよい。いくつかの実施形態において、穴66は、中心軸36からオフセットされていてもよい。
【0044】
図5を参照すると、いくつかの実施形態において、針10は、たとえばノッチ70のような開口部を含み、針10が静脈に侵入したときに逆血を提供して、遠位先端16が静脈内に位置していることを示すことができる。いくつかの実施形態において、針10が静脈49に侵入したことに応じて、血液は、穴66を通って針10の内腔64中へ、次いでノッチ70からカテーテル50の内面へと近位方向に移動してもよく、および/または、静脈内に針10が配置されたことの指示として使用者が血液を視認できる別の場所または装置へと近位方向に移動してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、流出溝56はそれぞれ、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、または第3ベベル表面22に近接した遠位端71を含んでもよい。いくつかの実施形態において、遠位端71は、特定の近位縁の特定の頂点と交差してもよい。いくつかの実施形態において、流出溝56はそれぞれ、カテーテル50の遠位端54に対して近位に配置された近位端73を含んでもよい。いくつかの実施形態において、流出溝56は、カテーテル50の内腔と流体連通していてもよい。いくつかの実施形態において、流出溝56を通過してカテーテル50の内腔に入る血液は、使用者に視認されてもよい。
【0046】
図5に示されるように、いくつかの実施形態において、針10は、第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、または第3ベベル表面22が、下向きに、または針10の静脈49への進入点とは反対側の静脈49の内壁に向くように、カテーテル50内で配向されてもよく、これにより、静脈49を刺し貫くリスクを低減することができる。これらの実施形態において、ノッチ70は、カテーテル50の上部に面して、かつ、下方に面する第1ベベル表面18、第2ベベル表面20、または第3ベベル表面22の略反対側に配置されてもよい。
【0047】
図6A図6Bを参照すると、いくつかの実施形態において、針10の遠位端12は非対称であってもよい。いくつかの実施形態において、第1外周、第2外周、および第3外周のうちの1つまたは複数は、互いに等しくなくてもよい。これらの実施形態および他の実施形態において、遠位先端16は、針10の中心軸36と整列していなくてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、遠位先端から第1近位縁30の頂点までの第1ベベル表面18の長さ38は、遠位先端16から第2近位縁32の頂点までの第2ベベル表面20の長さ40および/または遠位先端16から第3近位縁の頂点までの第3ベベル表面22の長さ42よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端16から第2近位縁32の頂点までの第2ベベル表面20の長さ40は、遠位先端16から第1近位縁30の頂点までの第1ベベル表面18の長さ38、および/または遠位先端16から第3近位縁34の頂点までの第3ベベル表面22の長さよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態において、遠位先端16から第3近位縁34の頂点までの第3ベベル表面22の長さ42は、遠位先端16から第2近位縁32の頂点までの第2ベベル表面20の長さ42、および/または遠位先端16から第1近位縁30の頂点までの第1ベベル表面18の長さ38よりも大きくてもよい。
【0049】
図6Aに例示されるように、遠位先端から第1近位縁30の頂点までの第1ベベル表面18の長さ38が、遠位先端16から第2近位縁32の頂点までの第2ベベル表面20の長さ40および/または遠位先端16から第3近位縁の頂点までの第3ベベル表面22の長さ42よりも小さいことに応じて、遠位先端16は、中心軸36からオフセットされてもよい。図6Bに例示されるように、遠位先端から第1近位縁30の頂点までの第1ベベル表面18の長さ38が、遠位先端16から第2近位縁32の頂点までの第2ベベル表面20の長さ40および/または遠位先端16から第3近位縁の頂点までの第3ベベル表面22の長さ42よりも大きいことに応じて、遠位先端16は、中心軸36からオフセットしてもよい。
【0050】
図7A図7Dを参照すると、いくつかの実施形態にしたがって、例示的なカテーテルアセンブリ72を含むカテーテル挿入装置における例示的な逆血の特徴が図示されている。いくつかの実施形態において、針10は、カテーテルアセンブリ72で使用されてもよい。いくつかの実施形態によれば、針10は、任意のカテーテルアセンブリで使用されてもよいことが理解される。
【0051】
いくつかの実施形態において、カテーテルアセンブリ72は、直線状または非一体型のカテーテルアセンブリを含んでもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルアセンブリ72は、一体型カテーテルアセンブリを含んでいてもよい。さらに詳細には、いくつかの実施形態において、カテーテルアセンブリ72のカテーテルアダプタ74は、たとえば、BD NEXIVA(商標)クローズドIVカテーテルシステム、BD NEXIVA(商標)DIFFUSICS(商標)クローズドIVカテーテルシステム、またはBecton Dickinson PEGASUS(商標)セーフティ・クローズドIVカテーテルシステムのような、一体型の延長管を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、カテーテルアダプタ74は、遠位端76と、近位端78と、遠位端76と近位端78との間に延在する内腔80とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル50は、カテーテルアダプタ74に固定されてもよく、カテーテルアダプタ74から遠位方向に延在してもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル50は、ウェッジ87または他の適切な手段を介してカテーテルアダプタ74内の所定の位置に保持されてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル50は、PIVC、正中カテーテル、またはPICCを含んでもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル50は、遠位端54、近位端84、およびカテーテル50の遠位端82とカテーテル50の近位端84を通って延在する内腔86を含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、カテーテルアセンブリ72は、針10の近位端65が固定されている針基88を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルアセンブリ72が、患者への挿入準備が整った挿入位置にあるとき、針10は、カテーテル50を貫いて延在して、針10の遠位端12がカテーテル50の遠位端54に対して遠位にあるようにしてもよい。いくつかの実施形態において、カテーテル50が患者の静脈に挿入された後、針10および針基88は、カテーテルアダプタ74から取り外して、針10が廃棄される際にカテーテル50を静脈内に残置してもよい。いくつかの実施形態において、セプタム91および/またはセプタムアクチュエータ92が、カテーテルアダプタ74の内腔80内に配置されてもよい。
【0054】
逆血は、遠位先端16の静脈への進入を確認する血液の可視性である。いくつかの実施形態において、逆血は、血液が流出溝56(たとえば、図2A図2Cを参照)を通って、針10とカテーテル50との間の空間に移動するときに、カテーテル50を通して認識されてもよい。この逆血は、「Quickflash」と呼ばれることがある。また、一部の実施形態において、逆血がノッチ70(たとえば、図5参照)から出て、針10とカテーテル50との間の空間に入ることにより認識されてもよい。これは、「Instaflash」と呼ばれることがある。追加的または代替的に、いくつかの実施形態において、逆血が流出チャンバー内で視認されてもよく、この流出チャンバーは、針基88またはカテーテルアセンブリ72内の他の適切な場所に配置されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、針10は、非カテーテル医療機器と一緒に、および/または、脊髄針などを含む任意の医療目的で使用することができる。いくつかの実施形態において、針10は、ロングベベル針に起因する針の曲がりを低減することが望まれる処置など、他の処置にも使用することができる。いくつかの実施形態において、針10は、患者への流体の導入および/または患者からの流体の引き抜きのために使用することができる。いくつかの実施形態において、針10は、患者からの血液、髄液、または他の流体の吸引に使用されてもよい。
【0056】
図7D図7Eを参照すると、いくつかの実施形態にしたがって、針10を使用することができる別のカテーテルアセンブリ94が図示されている。いくつかの実施形態において、カテーテルアセンブリ94は、カテーテルアセンブリ72を含むか、またはカテーテルアセンブリ72に対応していてもよい。図7Eに例示されるように、いくつかの実施形態において、流出チャンバーは、針基88内に配置されてもよく、これは通気孔を有してもよい。いくつかの実施形態において、針10は中実であってもよい。他の実施形態において、穴66(たとえば、図4A図4B参照)が、針10の内腔64へのアクセスを提供してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、針10は、様々な技術と連携して使用されてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、遠位先端12は、磁性を有するか、または磁化されていてもよく、遠位先端12の位置を追跡するための超音波システムを用いる、超音波誘導および相互作用を可能にしてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、針10は、参照によりその全体が本明細書の一部をなすものとする、2016年10月5日に出願された「COMPLIANT CATHETER ADAPTER HAVING SELF-SLITTING NEEDLE」の名称を有する米国特許出願第15/286223号にさらに記載された1つまたは複数の特徴を含んでもよい。いくつかの実施形態において、針10は、参照によりその全体が本明細書の一部をなすものとする、2016年10月5日に出願された「INTEGRATED CATHETER WITH INDEPENDENT FLUID PATHS」の名称を有する米国特許出願第15/286162号にさらに記載された1つまたは複数の特徴を含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、針10は、たとえば、参照によりその全体が本明細書の一部をなすものとする、2016年10月5日に出願された「CATHETER WITH AN ASYMMETRIC TIP」の名称を有する米国特許出願第15/286261号にさらに記載される非対称先端を有するカテーテルとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態において、針10は、たとえば、参照によりその全体が本明細書の一部をなすものとする、2016年10月5日に出願された「CATHETER ADAPTER WITH DISTAL INNER DIAMETER CURVATURE PROVIDING KINK RESISTANCE」の名称を有する米国特許出願第15/285061号にさらに記載される歪除去機能と一緒に使用されてもよい。
【0060】
図8A図8Dを参照すると、いくつかの実施形態において、ベベル表面の数を変化させてもよい。たとえば、図8A図8Dに例示されるように、針10は、第1ベベル表面18および第2ベベル表面20の2つのベベル表面を含んでもよい。これらの実施形態および他の実施形態において、針10は、2つの切縁(第1切縁24および第2切縁26)を含んでもよく、これらの切縁は、互いに約180度オフセットしてもよい。前述のように、いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18および第2ベベル表面20は、等しい形状または輪郭を有してもよい。いくつかの実施形態において、遠位端12は、対称的であってもよい。他の実施形態において、遠位端12は、非対称であってもよい。たとえば、記載されるように、遠位先端から第1近位縁30の頂点までの第1ベベル表面18の長さ38は、遠位先端16から第2近位縁32の頂点までの第2ベベル表面20の長さ40よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態において、第1ベベル表面18および/または第2ベベル表面20は、特定の穴66を含んでもよい。
【0061】
図9A図9Bを参照すると、いくつかの実施形態において、針10は、4つ以上のベベル表面を含んでもよい。たとえば、図9A図9Bに例示されるように、針10は、4つのベベル表面と、遠位先端16で収束してもよい4つの切縁とを含んでもよい。図9Bは、いくつかの実施形態による、第4ベベル表面96を例示している。いくつかの実施形態において、4つのベベル表面は、互いに約90度オフセットされてもよい。別の例として、針10は、遠位先端16で収束してもよい5つのベベル表面および5つの切縁を含んでもよい。いくつかの実施形態において、5つのベベル表面は、互いに約72度オフセットされてもよい。さらに別の例として、針10は、6つのベベル表面と、遠位先端16で収束してもよい6つの切縁とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、6つのベベル表面は、互いに約60度オフセットされてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、4つのベベル表面、5つのベベル表面、または6つのベベル表面は、等しい形状または輪郭を有してもよい。いくつかの実施形態において、遠位端12は、対称的であってもよい。他の実施形態において、遠位端12は、たとえば、4つのベベル表面、5つのベベル表面、または6つのベベル表面の1つのベベル表面が、4つのベベル表面、5つのベベル表面、または6つのベベル表面の別のベベル表面よりも長くなっているような、非対称であってもよい。いくつかの実施形態において、4つのベベル表面、5つのベベル表面、または6つのベベル表面のうちの1つまたは複数の特定のベベル表面が、穴66を含んでもよい。
【0063】
本明細書に記載されているすべての例および条件法の記載は、本発明および本発明者が技術の促進に寄与する本発明および本発明者が提供する概念を読者が理解するのを助けるための教育的な目的のためのものであり、それら具体的に記載された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、本発明の真意および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および改変が本明細書で行われ得ることを理解すべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B