(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】改善された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
H10K 59/122 20230101AFI20241213BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241213BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241213BHJP
H10K 50/19 20230101ALI20241213BHJP
H10K 50/826 20230101ALI20241213BHJP
H10K 50/858 20230101ALI20241213BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20241213BHJP
H10K 102/10 20230101ALN20241213BHJP
【FI】
H10K59/122
G02B5/20 101
G09F9/30 365
H10K50/19
H10K50/826
H10K50/858
H10K59/38
H10K102:10
(21)【出願番号】P 2021567891
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 US2020032840
(87)【国際公開番号】W WO2020232225
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521493640
【氏名又は名称】コーピン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ツァウル、ボリュー
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0357388(US,A1)
【文献】特開2014-082132(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135189(WO,A1)
【文献】特開2012-190626(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069565(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0130989(KR,A)
【文献】特表2009-545117(JP,A)
【文献】特開2018-181620(JP,A)
【文献】特開2015-191739(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
H05B 33/00-33/28
G02B 5/20
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置であって、
OLEDデバイスであって、前記OLEDデバイスは、第1
のOLEDスタック、電荷発生層(CGL)、第2のOLEDスタック、及び色フィルタで形成され、前記OLEDデバイスは、
3つの副画素であって、各副画素は別個のアノードを有し、前記3つの副画素は共通のカソードを共有し、前記共通のカソードは、
第1層であって、金属で形成された薄層である第1層と、
第2層であって、前記第2層は透明酸化物で形成されたより厚い層であり、前記共通のカソードが前記別個のアノードに近い下面と前記別個のアノードから遠い上面とを有し、前記別個のアノードは外周を有する、3つの副画素と、
誘電体バリアであって、前記誘電体バリアは、前記3つの副画素の前記別個のアノード間及び各別個のアノードの前記外周の周りに配設され、前記誘電体バリアは、前記3つの副画素の前記別個のアノードを超えて前記第1のOLEDスタックと前記第2のOLEDスタックの両方に延び、
前記誘電体バリアは特定の起伏のある形状となり、前記特定の起伏のある形状は以下のように特徴づけられ、
1.前記誘電体バリアは、前記別個のアノードの上の最高高さが、前記別個のアノードの上に位置する前記共通のカソードの前記上面の最小高さより小さく、
2.前記誘電体バリアの最高高さは、前記別個のアノードの上に位置する前記共通のカソードの前記下面の最小高さよりも低く、
これによりCGLが
前記特定の起伏のある形状となり、それにより、動作中、電流が前記3つの副画素のうちの所望の副画素に流れるとき、前記CGLを通した隣接する副画素への横方向電流フローが妨げられ、その結果、前記所望の副画素による光の発生がもたらされ、前記所望の副画素に隣接する副画素での不必要な光の発生が低減される、誘電体バリアと、
をさらに備える、OLEDデバイス
を備える、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記色フィルタは、前記3つの副画素の各副画素に異なる色フィルタを提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記異なる色フィルタの色は、赤、青、及び緑である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
行及び列の配置で配設された複数のOLEDデバイスであって、各行に2560個のOLEDデバイスを少なくとも2560行提供する、複数のOLEDデバイス
をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記装置はマイクロディスプレイである、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
3つのマイクロレンズであって、前記3つのマイクロレンズの各マイクロレンズは、前記OLEDデバイスの異なる副画素の上方に位置しており、動作中、前記副画素から光が発せられたとき、前記マイクロレンズは、前記発せられた光をコリメートする、3つのマイクロレンズ
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
カバー層であって、前記カバー層は、ギャップを形成するように前記マイクロレンズの上方に配設される、カバー層
をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ギャップに不活性ガスが充填されているか、又は前記ギャップに真空が作成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
カバー層と、
充填材料であって、前記充填材料は、前記マイクロレンズと前記カバー層との間に配設され、前記充填材料の屈折率は、前記カバー層の屈折率よりも小さい、充填材料と、
をさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記CGLは、前記誘電体バリアの近傍で薄くなっている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記誘電体バリアは、実質的に非平行な側面を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記CGLは、前記誘電体バリアの近傍で不連続である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記誘電体バリアは、2つの異なる材料から作られており、第1の材料は、前記別個のアノードから上へ延びて、第1の幅によって特徴づけられる第1の領域を画定し、第2の材料は、前記第1の材料に添付され、前記第2の材料は、上へ延びて、第2の幅によって特徴づけられる第2の領域を画定し、前記2つの異なる材料は、前記第2の幅を前記第1の幅よりも広くするために加工される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の材料は、二酸化ケイ素(SiO
2)から作られており、前記第2の材料は、一窒化ケイ素(SiN)から作られている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
有機発光ダイオード(OLED)画素微細構造であって、
複数の画素素子であって、前記複数の各画素素子は、
3つの副画素であって、前記3つの副画素の各副画素は、基板の上方に、以下の順序で、垂直スタックで、
アノードと、
第1
のOLEDスタックと、
電荷発生層(CGL)と、
第2
のOLEDスタックと、
前記アノードに近い下面と前記アノードから遠い上面とを有するカソードと、
誘電体バリアであって、前記誘電体バリアは、前記アノード間及び各アノードの外周の周りに配設され、前記誘電体バリアは、前記アノードを超えて前記第1のOLEDスタックと前記第2のOLEDスタックの両方に延び、
前記誘電体バリアは特定の起伏のある形状となり、前記特定の起伏のある形状は以下のように特徴づけられ、
1.前記誘電体バリアは、前記アノードの上の最高高さが、前記アノードの上に位置する前記カソードの前記上面の最小高さより小さく、
2.前記誘電体バリアの最高高さは、前記アノードの上に位置する前記カソードの前記下面の最小高さよりも低く、
これによりCGLが
前記特定の起伏のある形状となり、それにより、動作中、電流が前記3つの副画素のうちの所望の副画素に流れるとき、前記CGLを通した隣接する副画素への横方向電流フローが妨げられ、その結果、前記所望の副画素による光の発生がもたらされ、前記所望の副画素に隣接する副画素での不必要な光の発生が低減される、誘電体バリアと、
をさらに備える、3つの副画素
をさらに備える、複数の画素素子
を備える、有機発光ダイオード(OLED)画素微細構造。
【請求項16】
前記誘電体バリアは、2つの異なる材料から作られており、前記第1の材料は、前記アノードから上へ延びて、第1の幅によって特徴づけられる第1の領域を画定し、前記第2の材料は、前記第1の材料に添付され、前記第2の材料は、上へ延びて、第2の幅によって特徴づけられる第2の領域を画定し、前記2つの異なる材料は、前記第2の幅を前記第1の幅よりも広くするために加工される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前
記カソードは、
第1層であって、金属で形成された薄層である第1層と、
第2層であって、前記第2層は透明酸化物で形成されたより厚い層である第2層と、を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記金属は、銀及び銀/マグネシウムで構成される群から選択される、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記透明酸化物は、酸化インジウムスズ及びインジウム亜鉛酸化物で構成される群から選択される、請求項
17に記載の装置。
【請求項20】
前記CGLは、前記誘電体バリアの近傍で薄くなっている、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記CGLは、前記誘電体バリアの近傍で不連続である、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
色フィルタであって、前記色フィルタは、各アノードの上方に配設され、前記色フィルタは、赤、青、及び緑で構成される群から選択された色を有する光を通過させる、色フィルタ
をさらに備える、請求項15に記載の装置。
【請求項23】
マイクロレンズであって、前記マイクロレンズは、前記色フィルタの上方に配設され、動作中、前記マイクロレンズは、前記マイクロレンズの平面に実質的に垂直な方向に光をコリメートし、それによって、発せられた光の口径を減少させる、マイクロレンズ
をさらに備える、請求項
22に記載の装置。
【請求項24】
OLED微細構造内の隣接する副画素での望まれない光の発生を低減する方法であって、
前記OLED微細構造内に誘電体バリアを作成することであって、前記誘電体バリアは、各別個のアノード間及び各別個のアノードの外周の周りに作成され、起伏パターンを、
1.第1のOLEDスタックと、
2.前記OLED微細構造の電荷発生層(CGL)と、
3.第2のOLEDスタックと、
4.下面と上面とを有するカソードと、に作成することを含み、前記誘電体バリアは、各別個のアノードを超えて前記第1のOLEDスタックと前記第2のOLEDスタックの両方に延び、
前記誘電体バリアは特定の起伏のある形状となり、前記特定の起伏のある形状は以下のように特徴づけられ、
a.前記誘電体バリアは、前記別個のアノードのそれぞれの上の最高高さが、前記別個のアノードのそれぞれの上に位置する前記カソードの前記上面の最小高さより小さく、
b.前記誘電体バリアの最高高さは、各別個のアノードの上に位置する前記カソードの前記下面の最小高さよりも低く、これによってCGLが
前記特定の起伏のある形状となり、それにより、動作中、電流が所望の副画素に流れるとき、前記CGLを通した隣接する副画素への横方向電流フローが妨げられ、その結果、前記所望の副画素による光の発生がもたらされ、前記所望の副画素に隣接する副画素での不必要な光の発生が低減される、OLED微細構造内の隣接する副画素での望まれない光の発生を低減する方法。
【請求項25】
前記CGLは、前記誘電体バリアの近傍で薄くなっている、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記CGLは、前記誘電体バリアの近傍で不連続である、請求項
24に記載の方法。
【請求項27】
色フィルタを各別個のアノードの上方に付加することであって、前記色フィルタは、赤、青、及び緑で構成される群から選択された色を有する光を通過させることをさらに含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項28】
各別個のアノードの上にマイクロレンズを形成することであって、動作中、各マイクロレンズは、前記マイクロレンズの平面に実質的に垂直な方向に光をコリメートし、それによって、発せられた光の口径を減少させることをさらに含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項29】
前記形成は、前記マイクロレンズを形成するためのレンズ材料の加熱及びメルトバックを含む、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
前記形成は、前記マイクロレンズを形成するための
レンズ材料のエッチングを含む、請求項
28に記載の方法。
【請求項31】
前記誘電体バリアは、2つの異なる材料から作られており、第1の材料は、各別個のアノードから上へ延びて、第1の幅によって特徴づけられる第1の領域を画定し、第2の材料は、前記第1の材料に添付され、前記第2の材料は、上へ延びて、第2の幅によって特徴づけられる第2の領域を画定し、前記2つの異なる材料は、前記第2の幅を前記第1の幅よりも広くするために加工される、請求項
24に記載の方法。
【請求項32】
前記カソードは、
第1層であって、金属で形成された薄層である第1層と、
第2層であって、前記第2層は透明酸化物で形成されたより厚い層である第2層と、を有する、請求項
24に記載の方法。
【請求項33】
前記金属は、銀及び銀/マグネシウムで構成される群から選択される、請求項
32に記載の方法。
【請求項34】
前記透明酸化物は、酸化インジウムスズ及びインジウム亜鉛酸化物で構成される群から選択される、請求項
32に記載の方法。
【請求項35】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置であって、
OLEDデバイスであって、前記OLEDデバイスは、第1
のOLEDスタック、電荷発生層(CGL)、第2
のOLEDスタック、及び色フィルタで形成され、前記OLEDデバイスは、
3つの副画素であって、各副画素は別個のアノードを有し、前記別個のアノードは外周を有する、3つの副画素と、
共通のカソードであって、前記共通のカソードは、前記別個のアノードに近い下面と前記別個のアノードから遠い上面とを有し、
誘電体バリアであって、前記誘電体バリアは、前記3つの副画素の前記別個のアノード間及び各別個のアノードの前記外周の周りに配設され、前記誘電体バリアは、前記3つの副画素の前記別個のアノードを超えて前記第1のOLEDスタックと前記第2のOLEDスタックの両方に延び、
前記誘電体バリアは特定の起伏のある形状となり、前記特定の起伏のある形状は以下のように特徴づけられ、
1.前記誘電体バリアは、前記別個のアノードの上の最高高さが、前記別個のアノードの上に位置する前記共通のカソードの前記上面の最小高さより小さく、
2.前記誘電体バリアの最高高さは、前記別個のアノードの上に位置する前記共通のカソードの前記下面の最小高さよりも低く、
これによりCGLが
前記特定の起伏のある形状となる、誘電体バリアと、
マイクロレンズであって、前記マイクロレンズは、平面を有し、前記マイクロレンズは、各副画素の上に構成され、動作中、各マイクロレンズは、平面に垂直な方向に光をコリメートし、それによって迷光を最小化し、電流が前記3つの副画素のうちの所望の副画素に流れるとき、前記CGLを通した隣接する副画素への横方向電流フローが妨げられ、その結果、前記所望の副画素による光の発生がもたらされ、前記所望の副画素に隣接する副画素での不必要な光の発生が低減される、マイクロレンズと、
をさらに備える、OLEDデバイス
を備える、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置。
【請求項36】
カバーであって、前記カバーは、前記マイクロレンズの上方に配設され、前記マイクロレンズと前記カバーの下面との間にギャップを作成する、カバーをさらに備える、請求項
35に記載の装置。
【請求項37】
前記ギャップに不活性ガスが含まれている、請求項
36に記載の装置。
【請求項38】
前記ギャップに真空が作成されている、請求項
36に記載の装置。
【請求項39】
前記ギャップに樹脂が充填されており、マイクロレンズ材料の屈折率が前記樹脂の屈折率よりも大きい、請求項
36に記載の装置。
【請求項40】
前記CGLは、前記誘電体バリアの近傍で薄くなっている、請求項
35に記載の装置。
【請求項41】
前記誘電体バリアは、実質的に垂直の側面を有する、請求項
40に記載の装置。
【請求項42】
前記CGLは、前記誘電体バリアの近傍で不連続である、請求項
35に記載の装置。
【請求項43】
前記誘電体バリアは、2つの異なる材料から作られており、第1の材料は、前記別個のアノードから上へ延びて、第1の幅によって特徴づけられる第1の領域を画定し、第2の材料は、前記第1の材料に添付され、前記第2の材料は、上へ延びて、第2の幅によって特徴づけられる第2の領域を画定し、前記2つの異なる材料は、前記第2の幅を前記第1の幅よりも広くするために加工される、請求項
42に記載の装置。
【請求項44】
前記第1の材料は、二酸化ケイ素(SiO
2)から作られており、前記第2の材料は、一窒化ケイ素(SiN)から作られている、請求項
43に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年5月14日に申請され、「OLED LIGHT ENHANCEMENT」と題された米国仮特許出願第62/847,856号からの優先権を主張し、本出願は、2019年10月7日に申請され、「BACKPLANE FOR ORGANIC LIGHT EMITTING DIODE(OLED)DISPLAYS,APPARATUSES,SYSTEMS,AND METHODS」と題された米国仮特許出願第62/911,905号からの優先権を主張する。
【0002】
米国仮特許出願第62/847,856号は、参照により本明細書に援用される。米国仮特許出願第62/911,905号は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、一般にディスプレイに関し、より具体的には、高輝度有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ及びOLEDディスプレイにおける色純度に関する。
【0004】
2.技術背景
OLEDディスプレイ技術が急速なペースで進歩している。特に、高効率OLED材料及び高生産性OLED堆積設備の開発がOLEDディスプレイの大規模な商業化につながった。OLEDデバイスは、2つの電極、アノードとカソードとの間に位置している有機半導体層を有する。電極は、通常、無機材料から作られる。正孔及び電子がそれぞれアノード及びカソードから有機層に注入される。電子及び正孔が活性有機層内で再結合するとき、光子が放出される。
【0005】
OLEDディスプレイのサブセットは、一般に対角線サイズが1インチよりも小さい、マイクロOLEDディスプレイである。マイクロOLEDディスプレイは、通常、単結晶シリコン(Si)基板上に製造されたバックプレーン集積回路を有する。Siトランジスタが高性能であるため、小さいサイズで高解像度ディスプレイを作るために使用される画素サイズは、非常に小さく、通常15マイクロメートル(μm)以下とすることができる。バックプレーン回路構成は、画素配列、行/列ドライバ、ビデオ入力、ビデオ処理、及びプログラマブル制御を含む。
【0006】
画素サイズが小さいため、フルカラーマイクロOLEDディスプレイは、通常、白色発光OLED構造及びその上の色フィルタを使用して作られる。各画素は、赤(R)、緑(G)、及び青(B)の副画素で構成される。各副画素は、固有の別個のアノードを有するが、すべての副画素は、共通の半透明のカソードを共有する。最大2560×2560画素までの非常に高解像度のディスプレイが、そのようなOLED構成を使用して実証されている。
【0007】
マイクロOLEDディスプレイは、サイズが小さく解像度が高く、低消費電力が低く、ビデオフレームレートが高いため、仮想現実感(VR)、拡張現実感(AR)、及び複合現実感(MR)アプリケーションなどの次世代ウェアラブル製品の主導的なディスプレイ候補と考えられている。これらのアプリケーションにおけるマイクロOLEDの1つの主要な性能課題は、許容可能な存続期間での高輝度動作である。ほとんどのアプリケーションは、1000ニットを上回る、場合によっては5000~10,000ニットのディスプレイ輝度を必要とする。OLED材料の進歩がOLED輝度の顕著な改善をもたらしたとはいえ、そのような高輝度を得ることは非常に困難である。これは問題を起こす可能性がある。
【0008】
OLEDディスプレイ輝度を高める試みは、タンデムOLED構造102などのマルチスタックOLED構造をもたらしており、その実施例は、
図1に全体として100で示されている。しかしながら、マイクロディスプレイに適用される白色発光タンデムOLED設計は、重大な欠点を有する。副画素アノード、110、112、114などは、共通のカソード116を共有するので、1つのアノードから共通のカソード116へ流れる電流は、特に2つのダイオード104と106との間の高導電性の電荷発生層(CGL)108に沿って、隣接する画素へと横方向に広がる可能性がある。横方向電流フローは、122/124及び/又は126/128で指示される「クロストーク」又は光漏れとして現れ、それは、画像鮮明度の劣化、及びより深刻な色純度の劣化につながる可能性がある。例えば、赤の副画素120は、いくらか青128及び緑124の色が混ざり込むおそれがあり、その結果、赤の色純度が低下する。この問題は、タンデムOLEDマイクロディスプレイがほとんどのアプリケーションで受け入れられなくなる程度まで、ディスプレイの色域を大幅に劣化させる可能性がある。これは問題を起こす可能性がある。
【0009】
マイクロOLEDディスプレイ輝度もまた、OLED発光素子からの光出力が本質的にランバーシアンであるという事実を抱えており、それは、通常プラス又はマイナス50度よりも大きい、広い出力角度にわたって光出力が発せられることを意味する。結果として、光の一部は、ウェアラブル製品で使用される光学素子によって効果的に収集されず、不十分な性能につながる。これは問題を起こす可能性がある。
【0010】
図面の簡単な説明
本発明は、本発明の実施形態を例示するために使用される以下の説明及び添付図面を参照することによって、最もよく理解することができる。本発明は、実施形態で例として例示されており、添付図面の図に限定されるものではなく、図中で同様の参照符号は類似の要素を指示している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】既存の2スタックタンデムOLEDディスプレイ横断面を例示する。
【
図2A】本発明の実施形態による、副画素アノードの作成中の工程段階に対応するさまざまな横断面を例示する。
【
図2B】本発明の実施形態による、副画素アノードの作成中の工程段階に対応するさまざまな横断面を例示する。
【
図2C】本発明の実施形態による、副画素アノードの作成中の工程段階に対応するさまざまな横断面を例示する。
【
図2D】本発明の実施形態による、副画素アノードの作成中の工程段階に対応するさまざまな横断面を例示する。
【
図3A】本発明の実施形態による、誘電体バリアを横断面で例示する。
【
図3B】本発明の実施形態による、
図3Aからの誘電体バリアの一部の拡大図を横断面で例示する。
【
図4A】本発明の実施形態による、別の誘電体バリアを横断面で例示する。
【
図4B】本発明の実施形態による、
図4Aからの誘電体バリアの一部の拡大図を横断面で例示する。
【
図5】本発明の実施形態による、微細構造製造を通してOLEDディスプレイ上に表現される画像を改善するプロセスを例示する。
【
図6】本発明の実施形態による、OLEDディスプレイにおける副画素のためのマイクロレンズ製造を横断面で例示する。
【
図7】本発明の実施形態による、単一スタックOLEDディスプレイにおける副画素のためのマイクロレンズ製造を横断面で例示する。
【
図8】本発明の実施形態による、OLEDディスプレイからの光コリメーションを改善するプロセスを例示する。
【
図9】本発明の実施形態による、OLEDディスプレイにおいて副画素用のマイクロレンズを
図3A及び
図3Bで説明される誘電体バリアと組み合わせることを横断面で例示する。
【
図10】本発明の実施形態による、OLEDディスプレイにおいて副画素用のマイクロレンズを
図4A及び
図4Bで説明される誘電体バリアと組み合わせることを横断面で例示する。
【
図11】本発明の実施形態による、OLEDディスプレイからの画像品質及び輝度を改善するプロセスを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明の実施形態の以下の詳細な説明では、添付図面を参照しており、この添付図面では、同様の参照符号が類似の要素を指示しており、本発明が実践され得る具体的な実施形態が実例として示されている。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践することを可能にするように十分詳細に説明される。他の事例では、本発明の理解を曖昧にしないために、周知の回路、構造、及び技法は、詳細に示されていない。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定的な意味に取られるべきでなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定められる。
【0013】
鮮明な画像と広い色域の両方とともに優れた色純度を作り出す高輝度OLEDディスプレイを提供するための装置、方法、及びシステムについて説明する。実施形態のこの説明で使用されるとき、ディスプレイ及びマイクロディスプレイは、広い意味を与えられるべきであり、互換的に使用され得る。本発明の実施形態は、ディスプレイの対角線を横切って測定される1.5インチ以下のマイクロディスプレイからディスプレイの対角線を横切って複数フィートを測定する大型フラットパネルディスプレイまでを含む、さまざまなサイズのディスプレイに適用可能であることに留意されたい。したがって、本発明の実施形態は、任意のサイズのディスプレイに適用可能である。同様に、実施形態のこの説明で使用されるとき、OLEDディスプレイの画素は、複数の副画素から作ることができ、各副画素は、画素に別個の色の光を与えるために使用されることが理解されよう。用語「画素」、「表示画素」、「表示素子」、又は「OLEDデバイス」は、同じ意味で使用され、これらの用語のすべて、すなわち、「画素」、「表示画素」、「表示素子」、又は「OLEDデバイス」は、「副画素」と区別されるべきであることに留意されたい。加えて、例示を明瞭にするために後続の図では1つ又は複数のOLED画素について説明するが、かかる説明は、一行に構成された多くの表示画素と、画像がユーザに提供される一般的な数のm行及びn列のOLED表示素子を有するディスプレイを提供するように構成された多くの行とを有する、ディスプレイ全体に及ぶことが理解されよう。
【0014】
図2A~
図2Dは、本発明の実施形態による、副画素アノードの作成中の工程段階に対応するさまざまな横断面を例示する。
図2A~
図2Dをまとめて参照すると、さまざまな実施形態で、マイクロOLEDディスプレイが、ディスプレイのバックプレーンのためにシリコン(Si)半導体製造技術を使用して製造される。Si製造技術がバックプレーンのために利用されるとき、Si集積回路加工で一般的に使用されるアノード材料を使用することが望ましい場合が多い。さまざまな実施形態で、アノードがアルミニウム(Al)上の窒化チタン(TiN)の薄層を利用して作られる。TiNは、酸化インジウムスズ(ITO)の仕事関数(約4.5eV)に類似した高い仕事関数(約4.6eV)を有し、それゆえ正孔注入を促進する。TiN薄膜を3ナノメートル(nm)のように十分に薄くすると、TiN/Alの反射率を非常に高く、90パーセント(90%)に近くすることができ、それによって高い発光効率を提供することができる。TiN/Alアノードを使用するOLEDデバイスは、低いOLEDダイオード電圧及び高いOLED電流効率に関して良好な性能で達成される。
【0015】
1つ又は複数の実施形態で、本明細書の図のいずれかに例示されるような、TiNアノードを形成する方法は、次のものを含む。
【0016】
1.OLEDディスプレイを駆動するためにSi上にバックプレーン集積回路を製造するために、典型的な相補型金属酸化膜半導体(CMOS)加工が使用される。これは、6つの金属加工(アノード金属を含まない)で構成され得、その代表的な実施例が226で例示される。
【0017】
2.この加工されたウエハの上に、アノード金属加工は行われる。二酸化ケイ素(SiO2)などの厚い誘電体層202が最上部の金属層の上方に堆積され、化学機械研磨(CMP)ステップによって平坦化される。「ビア」ホール206が誘電体層202にエッチングされ、タングステンなどの金属で充填される。
【0018】
3.さまざまな実施形態で、TiN/Al/TiN/Ti(218、216、214、212で指示される)又はTiN/Al/Tiで構成される金属スタックがアノード金属層としてSiO2の上に堆積される。アノード用の代表的な金属スタックが210で示される。最上部のTiNの厚さは、2~5nmの範囲にある。Alの厚さは30~60nmの範囲にある。最下部のTiN/Ti又はチタン(Ti)層は、アノード金属層の下の酸化物への接着層である。最下部のTiNの厚さは、5~10nmの範囲にあり、Tiの厚さは1~10nmの範囲にある。
【0019】
4.金属スタックは、それから、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、赤(R)、緑(G)及び青(B)の副画素220用の個々のアノードへとパターン形成される。
【0020】
さまざまな実施形態で、発光効率、副画素間のクロストーク、色域の縮小、画像鮮明度の欠如などであるがこれらに限定されない、OLEDディスプレイに関する既存の問題は、複数スタックOLED構造とともにOLED副画素間のバリアを作成することによって解消される。例えば、タンデムOLED構造は、直列に接続された2つのOLEDダイオードで構成され、ここで、電流1アンペアあたりのカンデラ(Cd/A)で測定される発光効率は、単一接合OLEDダイオードと比較して理論的に2倍となり得る。2スタックタンデムOLED構造で、一方のダイオードから他方に電流が流れるとき2つのダイオード間の電圧降下を最小化するために、大抵は、高導電性の「電荷発生層」(CGL)が2つのOLEDダイオード間に挿入される。理想的には、2スタックタンデムOLEDの電圧は、単一接合OLEDの電圧の2倍だけであるべきである。このCGL層は、タンデムOLEDデバイスの両端間の過電圧を回避してOLED消費電力を最小にするために、非常に重要である。
【0021】
図3Aは、本発明の実施形態による、誘電体バリアを全体として300で横断面で例示する。
図3Bは、
図3Aの一部の詳細図を350で例示する。
図3A及び
図3Bをともに参照すると、タンデム又は2スタックOLEDデバイスの横方向電流フローを低減又は防止するために副画素間に「バリア」を構築する方法から生じる、結果として得られるOLEDデバイスの横断面が例示されている。2スタックOLEDデバイスは、第1の発光OLEDスタック310、電荷発生層312、及び第2の発光OLEDスタック314で作られている。
図3A/
図3Bに示されるように、誘電体「バリア」が各副画素のアノード間に形成される。かかる構造は、誘電体層堆積と、その後に続くアノード金属を露出させるためのマスクされたエッチングによって形成される。352でh
DBによって表される誘電体の厚さは、354でh
Sによって表される下側OLEDスタック310の厚さよりも実質的に大きくなるように選択される。h
DBの厚さ範囲は1000オングストローム(A)~5000Aであり、好ましい範囲は1500A~3000Aの間である。下側OLEDスタック310の上に配置されているCGL層312は、「バリア」308a、308b、308c、308dなどの上で著しく「非平面」になることになる。結果として、CGL層312は、356でのCGLの厚さに対して、「バリア」308bの上の358/360で指示されるように、厚さが大きく減少する可能性があり、これらの領域で不連続にさえなり得る。CGL層312のこれらの変化は、コンダクタンスの低減及び横方向電流フローの低減につながる。コンダクタンスの低減及び横方向電流フローの低減は、OLED構造の332、336、及び340によって指示される副画素間のクロストークを低減及び/又は解消し、それによって、画像の明瞭さを改善し、適切な色域を維持する。これらの両方が、OLEDディスプレイ上の高品質画像作成に寄与する。
【0022】
さまざまな実施形態で、
図3Aに例示された横断面を作成する方法が次のように進行する。
【0023】
1.さまざまな実施形態で、OLED表示素子を駆動するためのバックプレーン集積回路(226で指示される)を製造するために典型的なCMOS加工が使用される。これは、6つの金属加工(アノード金属を含まない)で構成され得る。
【0024】
2.この加工されたウエハの上に、アノード金属加工は行われる。SiO2などの厚い誘電体層202が最上部の金属層の上方に堆積され、化学機械研磨(CMP)ステップによって平坦化される。ビアホール206が誘電体層202にエッチングされ、タングステンなどの金属で充填される。
【0025】
3.個々のアノードが、金属堆積及びエッチングによって副画素ごとに製造される。1つ又は複数の実施形態で、ディスプレイが赤、青、緑、(RGB)色マップに基づいており、画素が個々の副画素を用いて実装されているとき、各副画素は、所与の画素への特定の色、すなわち、赤、青、又は緑の寄与のために使用される。したがって、アノード金属層210は、TiN/Al/TiN/Ti又はTiN/Al/Tiで構成されるスタックであり得、202で指示されるSiO
2の上に堆積される(例えば、
図2A他を参照)。アノード金属層は、個々の副画素アノード302、304、306などを作り出すためにフォトリソグラフィ及びドライエッチングによって副画素間でエッチングされる。
【0026】
4.SiO2で構成される誘電体層が表面全体の上に堆積される。誘電体層の厚さは、100nm~500nm、好ましくは200nm~300nmに及ぶ。
【0027】
5.さまざまな実施形態で、アノードの上方に開口部を画定するためにフォトプロセスが使用され、それから、誘電体を除去してアノード金属を露出させるためにエッチングが行われる。エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチング又はドライエッチングとウェットエッチングの組み合わせによってなされ得る。加工は、副画素アノード302と304との間に配置された誘電体バリア308b及び副画素アノード304と306との間の誘電体バリア308cなどをもたらす。類似の構造が画素の行全体に対して繰り返され、
図3A/3Bはその一部分を例示するにすぎない。同じく、類似の構造が、OLED画素を使用してm行×n列のディスプレイを作成する複数行の画素に対して繰り返される。各画素が必要とされる色を作り出すために固有の3つの副画素を利用することに留意されたい。
【0028】
実施形態のこの説明で使用されるとき、2つの発光OLEDスタック310及び314は、310と314との間に配設されたCGL層312とともに使用される。本明細書で教示される実施形態は、既存のOLEDスタック及びCGL層で容易に使用される。例示のためにだけ使用され、それによって暗示される限定がない、OLEDスタックの非限定的な実施例は、正孔注入層、正孔輸送層、ホストドーパントを有する発光層、電子輸送層を含む層で作られたスタックである。OLEDスタック310は、主に赤などの1つの色又は赤及び緑などの2つの色で発光することができる。OLEDスタック314は、主に青などの別の色又は緑及び青などの2つの色で発光することができる。2つのOLEDスタック310及び314からの全体的な発光は、白色に似た広域スペクトルで発光する。例示のためにだけ使用され、それによって暗示される限定がない、CGL層の非限定的な実施例は、Li:トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq3)/FeCl3:4,4’-N,N’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、及び4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BPhen):Rb2CO3/NPB:ReO3などの、n型ドープされた有機材料及びp型ドープされた有機材料で作られたCGLである。
【0029】
さまざまな実施形態で、3つ以上のOLEDスタックが使用され、例えば、トリプル発光OLEDスタックが2つのCGL層を介して直列に接続される。この場合、各OLEDスタックは、主に赤、緑、及び青などの1つの波長で発光することができる。代替として、1つのOLEDスタックが、主に赤及び緑などの2つの波長で発光することができ、2つのスタックが、主に青の波長で発光することができる。
【0030】
さまざまな実施形態で、OLEDディスプレイの場合、カソード316への接点は、ディスプレイの外周囲に配置されたカソードリング接点から作られる(図示されない)。発光中に、電子はカソード層を介して画素エリアに輸送される。誘電体バリアから生じるデバイス構造の起伏が大きいため、銀(Ag)又は銀/マグネシウム(Ag/Mg)で作られた薄い金属カソード層は、高い誘電体バリア308a、308b、308c、308dなどを越えて連続的でないことがある。他方、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明な導電性材料で作られた、より厚いカソードは、連続的な層を形成し得るが、そのコンダクタンスは十分に高くないことがあり、それにより、ディスプレイのサイズが対角線で0.5インチよりも大きい場合、ディスプレイの中央部で大幅な電圧降下が引き起こされることがある。ディスプレイの中央部で実効電圧が低くなると、そのエリアのディスプレイの輝度が下がることになり、ディスプレイエリア全体にわたる均一性は悪化することになる。金属(Ag又はAg/Mg)の薄層と透明な酸化物層(ITO又はInZnO)のより厚い層の組み合わせで構成されるカソード316が、問題を克服するために使用され得る。さまざまな実施形態で、OLED層は水に対して非常に損傷を受けやすいので、水分浸透からOLED層を保護するために層317が必要とされる。層317は、原子層堆積又は化学蒸着によって堆積された窒化ケイ素又は酸化ジルコニウムなどの誘電体層を含み得、追加の有機層を同様に含み得る。317の上に、色フィルタ330、334、及び338が製造される。上述のように、OLEDスタック310及び314は白色光を発する。
【0031】
色フィルタ330、334、及び338がそれに応じて白色光をフィルタ処理し、それらの特定の色の光を発する。1つ又は複数の実施形態で単に例示のために提供される、非限定的な実施例で、典型的な色フィルタは、感光性着色材料のフォトパターニングを使用することによって作られる。材料は、一般に、特別な色の色素(赤、緑、青など)が混ざり込んだネガティブ・トーン・フォトレジストである。加えて、色素のない透明材料が、接着改善のための下層材料及び/又は色フィルタ層の保護のための上層材料として同様に使用される。色フィルタの加工は、以下のステップを含み得る。
1.透明感光材料をスピンオンし、プリベークし、UV光で露光して材料を安定した層に変換し、ポストベークを行う。典型的なポストベーク温度は100℃である。
2.青の色素を含む感光材料をスピンオンし、プリベークし、青の副画素パターン用のフォトマスクを使用して材料を露光し、溶剤で現像して未露光材料を除去し、ポストUVキュアリング及びポストベークする。
3.青の色素を含む感光材料をスピンオンし、プリベークし、緑の副画素パターン用のフォトマスクを使用して材料を露光し、溶剤で現像して未露光材料を除去し、ポストUVキュアリング及びポストベークする。
4.青の色素を含む感光材料をスピンオンし、プリベークし、赤の副画素パターン用のフォトマスクを使用して材料を露光し、溶剤で現像して未露光材料を除去し、ポストUVキュアリング及びポストベークする。
5.透明感光材料をスピンオンし、プリベークし、UV光で露光して材料を安定した層に変換し、ポストベークする。
【0032】
図4Aは、本発明の実施形態による、別の誘電体バリアを横断面で全体として400で例示する。
図4Bは、
図4Aの一部の詳細図を450で例示する。
図4A及び
図4Bをともに参照すると、2スタックOLEDデバイスの横方向電流フローを低減又は防止するために副画素間に「バリア」を構築する方法から生じる、結果として得られるOLEDデバイスの横断面が例示されている。2スタックOLEDデバイスは、第1の白色発光OLEDスタック410、電荷発生層412、及び第2の白色発光OLEDスタック414で作られている。
図4A/
図4Bに示されるように、誘電体「バリア」が各副画素のアノード間に形成される。かかる構造は、誘電体層堆積と、その後に続くアノード金属を露出させるためのマスクされたエッチングによって形成される。452でh
DBによって表される誘電体の厚さは、454でh
Sによって表される下側OLEDスタック410の厚さよりも大きくなるように選択される。したがって、h
DBはh
Sよりも大きい。下側OLEDスタック
410の上に配置されているCGL412は、「バリア」408a/409a、408b/409b、408c/409c、408d/409dなどの上で著しく「非平面」になることになる。結果として、CGL412は、アノード302の上のCGLの厚さ456に対して、「バリア」408b/409bの上の458/460で指示されるように、厚さが大きく減少し、これらの領域で不連続になる可能性がある。CGL412のこれらの変化は、コンダクタンスの低減及び隣接する副画素への横方向電流フローの低減につながる。コンダクタンスの低減及び横方向電流フローの低減は、OLED構造の432、436、及び440によって指示される副画素間のクロストークを低減及び/又は解消し、それによって、画像の明瞭さを改善し、適切な色域を維持する。それらの両方が、OLEDディスプレイ上の高品質画像作成に寄与する。
【0033】
図4Aは、本発明の実施形態による、別の誘電体バリアを横断面で全体として400で例示する。
図4Bは、
図4Aの一部の詳細図を450で例示する。
図4A及び
図4Bをともに参照すると、2スタックOLEDデバイスの横方向電流フローを低減又は防止するために副画素間に「バリア」を構築する方法から生じる、結果として得られるOLEDデバイスの横断面が例示されている。2スタックOLEDデバイスは、第1の白色発光OLEDスタック410、電荷発生層412、及び第2の白色発光OLEDスタック414で作られている。
図4A/
図4Bに示されるように、誘電体「バリア」が各副画素のアノード間に形成される。かかる構造は、誘電体層堆積と、その後に続くアノード金属を露出させるためのマスクされたエッチングによって形成される。452でh
DBによって表される誘電体の厚さは、454でh
Sによって表される下側OLEDスタック410の厚さよりも大きくなるように選択される。したがって、h
DBはh
Sよりも大きい。下側OLEDスタック310の上に配置されているCGL412は、「バリア」408a/409a、408b/409b、408c/409c、408d/409dなどの上で著しく「非平面」になることになる。結果として、CGL412は、アノード302の上のCGLの厚さ456に対して、「バリア」408b/409bの上の458/460で指示されるように、厚さが大きく減少し、これらの領域で不連続になる可能性がある。CGL412のこれらの変化は、コンダクタンスの低減及び隣接する副画素への横方向電流フローの低減につながる。コンダクタンスの低減及び横方向電流フローの低減は、OLED構造の432、436、及び440によって指示される副画素間のクロストークを低減及び/又は解消し、それによって、画像の明瞭さを改善し、適切な色域を維持する。それらの両方が、OLEDディスプレイ上の高品質画像作成に寄与する。
【0034】
さまざまな実施形態で、
図4A~
図4Bに例示された横断面を作成する方法が次のように進行する。
【0035】
1.
図4A~
図4Bのバリアが最上部でより広く、「キノコ」形状に類似しているという点で、
図4A~
図4Bのバリアの形状は、
図3A~
図3Bのバリアの形状と異なることに留意されたい。
図4Bに450で例示されるように、上部バリア409bの幅W
db2がバリアの下部408bの幅W
db1よりも広い。それゆえ、W
db2はW
db1よりも大きい。
【0036】
2.バリア用の誘電体層は、SiO2とその後に続く最上部のSiNを堆積させることによって形成される。SiO2の厚さは100~500nmに及び、SiNの厚さは10~100nmに及ぶ。
【0037】
3.通常ドライエッチングによって、SiO2/SiN誘電体層がエッチングされた後、後続のウェットエッチングが、緩衝フッ化水素(BHF)又は希釈HFなどの酸化物エッチング化学薬品を使用して行われて、SiN最上層が大部分エッチングされないままでありながら酸化物を「アンダーカット」し、それによって、上部領域がより広く、下部領域がより狭い形状を作り出す。
【0038】
4.この「キノコ」形状のバリア、すなわち、408a/409a、408b/409b、408c/409c、408d/409dなどは、誘電体バリアの上のCGL458/460の厚さを減少させ、それによって、領域458、460など、隣接する副画素アノード間に製造された誘電体バリアの上をCGLが横断するところでCGLを不連続にするのに非常に効果的である。
【0039】
さまざまな実施形態で、OLEDディスプレイの場合、カソード416への接点は、ディスプレイの外周囲に配置されたカソードリング接点から作られる(図示されない)。発光中に、電子はカソード層を介して画素エリアに輸送されるべきである。誘電体バリアから生じるデバイス構造の起伏が大きいため、銀(Ag)又は銀/マグネシウム(Ag/Mg)で作られた薄い金属カソード層は、高いバリア、例えば、408a/409a、408b/409b、408c/409c、408d/409dなどを越えて連続的でないことがある。他方、ITOなどの透明な導電性材料で作られた、より厚いカソードは、連続的な層を形成し得るが、そのコンダクタンスは十分に高くないことがあり、それにより、ディスプレイのサイズが対角線で0.5インチよりも大きい場合、ディスプレイの中央部で大幅な電圧降下が引き起こされることがある。ディスプレイの中央部で実効電圧が低くなると、そのエリアのディスプレイの輝度が下がることになり、ディスプレイエリア全体にわたる均一性は悪化することになる。金属(Ag又はAg/Mg)の薄層と透明な酸化物層(ITO又はInZnO)のより厚い層の組み合わせで構成されるカソードが、問題を克服するために使用され得る。
【0040】
カソード416より上の層は、
図3A及び
図3Bに関連して上で説明した順序及び方法に従う。例えば、さまざまな実施形態で、不活性化層417及び色フィルタ430、434、及び438がカソード416の上に製造される。上述のように、第1及び第2のOLEDスタック410及び414は白色発光構造である。色フィルタ430、434、及び438がそれに応じて白色光をフィルタ処理し、それらの特定の色の光を発する。典型的な色フィルタが、
図3A及び
図3Bに関連して上述したように430、434、438で製造される。赤、緑、青(RGB)色マップで作成されたディスプレイの場合、1つの実施形態で、色フィルタ430は、OLEDが発した白色光をフィルタ処理して可視青色光の出力を提供し、色フィルタ434は、OLEDが発した白色をフィルタ処理して可視赤色光の出力を提供し、色フィルタ438は、OLEDが発した白色光をフィルタ処理して緑色光の出力を提供する。各有色副画素432、436、及び440は、それらがその一部である所与の表示画素へのそれぞれの有色光の寄与を提供する。動作中、ユーザは表示画素の出力を観察し、表示画素の全体的な色を知覚する。誘電体バリアは、OLED表示画素の副画素からの正確なR、G、及びBの寄与を最初に提供することによって、表示画素レベルで正確な色生成を提供する。動作中、任意の表示素子の3つの副画素のうちの所望の副画素に電流が流れるとき、電荷発生層(CGL)を通した隣接する副画素への横方向電流フローが妨げられ、その結果、所望の副画素による光の発生がもたらされ、所望の副画素に隣接する副画素での不必要な光の発生が低減される。説明された構造は、OLEDディスプレイによる所望の色の正確な再現をもたらす。
【0041】
図5は、本発明の実施形態による、微細構造製造を通してOLEDディスプレイ上に表現される画像を改善するプロセスを全体として500で例示する。
図5を参照すると、ブロック502においてプロセスが始まる。ブロック504において、OLED副画素が製造される。OLEDディスプレイ用の副画素の製造が、
図2A~
図4Bなどであるがこれらに限定されない、さまざまな図に関連して本明細書に説明される。さまざまな実施形態で、OLED副画素は、シリコン加工技術を使用して製造される。ブロック506において、誘電体バリアが副画素間に作成される。さまざまな実施形態で、副画素間の誘電体バリアの作成が、
図3A~
図4Bなどであるがこれらに限定されない、さまざまな図に関連して本明細書に説明される。プロセスは、ブロック508において終了する。
【0042】
OLEDスタックから発せられ、色フィルタから出力される光は、通常、プラス又はマイナス50度よりも大きい、広い出力角度を有する。光出力を増加させ、より狭い角度に「コリメート」することができるように、各色フィルタの上方に屈折マイクロレンズ素子が微細加工によって追加される。光コリメーションの効率は、色フィルタ(CF)とマイクロレンズ界面との間の光結合効率、及びマイクロレンズの形状に依存する。
【0043】
図6は、本発明の実施形態による、OLEDディスプレイにおける副画素のためのマイクロレンズ製造を全体として600で横断面で例示する。
図6を参照すると、さまざまな実施形態で、マイクロレンズ製造は、熱流法又はエッチバック法で遂行することができる。熱流法で、レンズ基材は、フォトレジスト機能を有する。レンズ材料は、感光性にするために光開始剤を用いたアクリル樹脂を含む。604で指示されるように、レンズ基材を鋭い側壁を有する形状にパターン形成した後、それは、高温でのポストキュアリングでレンズ形状に変形される。ポストキュアリング温度は、120℃未満、好ましくは100℃未満であることが望ましい。ポストキュアされたレンズ形状の一例が単に例示のために606で定性的に例示される。レンズ基材は、上述の色フィルタプロセスと同様に、フォトリソグラフィ及び現像によって表面602の上に製造される。
【0044】
代替として、エッチバック法を使用して、色フィルタの上方にレンズを製造することができる。さまざまな実施形態で、エッチバック法では、レンズ基材はフォトレジスト機能を有さないため、より高い屈折率の材料をレンズに利用することができる。製造プロセスは、次のように進行する。
【0045】
1.レンズ材料が、色フィルタの上方のOLED微細構造602の表面に最初にコーティングされる。
【0046】
2.フォトレジスト材料が、レンズ材料上にコーティングされ、露光及び現像を通して正方形パターンに形成される。パターンを丸くするために熱流プロセスが使用される。
【0047】
その後、フォトレジストの下のレンズ材料は、ドライエッチング技術を使用してエッチングされる。フォトレジスト及びレンズ材料のエッチング速度を意図的に調節することによって、マイクロレンズにレンズ形状606が形成される。
【0048】
上記の技法の説明に従って、マイクロレンズの配列が、m行及びn列を有するマイクロディスプレイ用に製造される。そのようなディスプレイは、一般に、608で表される画素1,1から610で表される画素m,nで例示される。さまざまな実施形態で、OLEDディスプレイは、一般的な数のm行及びn列で作られている。m及びnは同じ値を有してもよく、又は異なる値を有してもよいことに留意されたい。したがって、ディスプレイは、2560未満、2560に等しい、又は2560よりも大きい、m及び又はnの値で作ることができる。
【0049】
図7は、本発明の実施形態による、単一スタックOLEDディスプレイにおける副画素のためのマイクロレンズ製造を全体として700で横断面で例示する。
図7を参照すると、マイクロレンズ702、704、706などが、OLEDディスプレイで色フィルタ330、334、338などの上に製造されている。前と同じように、実施形態のこの説明で、3つの副画素を持つ1つの画素が、例示を明瞭にするために使用される。OLEDデバイスには、副画素アノード302、304、306などの上に製造された白色発光OLED単一スタック310が含まれている。共通のカソードが316で指示される。
【0050】
OLEDディスプレイからの最大光出力を達成するために、真空キャビティ又は不活性ガスを充填されたキャビティがマイクロレンズ702、704、706などの上方で使用される。そのようなキャビティは708で指示される。さまざまな実施形態で、キャビティ708に不活性ガスを充填することができ、又は真空を作成することができる。代替として、マイクロレンズは、より高い屈折率(約1.6以上)を持つ材料を使用して製造することができ、より低い屈折率(約1.5以下)を持つ樹脂が、マイクロレンズとカバー710との間のギャップに充填するために使用される。カバー710は、ガラスなどであるがこれに限定されない、透明材料から作られている。動作中、副画素712、714、716などから発せられる光は、OLEDディスプレイ輝度を高めるために、色フィルタより上の構造(さまざまな実施形態におけるマイクロレンズとギャップ充填材料のさまざまな組み合わせ)によってコリメートされる。
【0051】
図8は、本発明の実施形態による、OLEDディスプレイからの光コリメーションを改善するプロセスを全体として800で例示する。
図8を参照すると、ブロック802においてプロセスが始まる。ブロック804においてOLEDデバイスが作成される。さまざまな実施形態で、OLEDデバイスは、単一スタック白色発光OLED、又はタンデムスタックの白色発光OLED層を使用して製造することができる。マイクロレンズ製造は、誘電体バリア(
図3A~
図4B)を含むOLED微細構造、及び誘電体バリアを含まないOLED微細構造のいずれにも適用され得ることに留意されたい。ブロック806において、マイクロレンズの配列は、ブロック804において製造されたOLEDデバイスの上に作成される。OLEDデバイスが「オン」状態のとき、OLEDディスプレイの光出力のコリメーションは、ユーザに対するディスプレイの輝度を高める。プロセスは、ブロック810において停止する。
【0052】
図9は、本発明の実施形態による、OLEDディスプレイにおいて副画素用のマイクロレンズを
図3A及び
図3Bで説明される誘電体バリアと組み合わせることを全体として900で横断面で例示する。
図9を参照すると、上述のマイクロレンズ製造は、
図3A及び
図3Bで説明されたOLED微細構造と組み合わされている。結果として得られるOLED構造は、誘電体バリアの適用を通した色純度の向上と、出力光のコリメーションの向上を通したディスプレイ強度の向上の利益を兼ね備える。それによって、明瞭で、色が純粋で、明るい画像を作り出すOLEDディスプレイを提供する。
【0053】
図11は、本発明の実施形態による、OLEDディスプレイからの画像品質及び輝度を改善するプロセスを全体として1100で例示する。
図11を参照すると、ブロック1102においてプロセスが始まる。ブロック1104において、OLED副画素が製造される。OLEDディスプレイ用の副画素の製造が、
図2A~
図4Bなどであるがこれらに限定されない、さまざまな図に関連して本明細書に説明される。さまざまな実施形態で、OLED副画素は、シリコン加工技術を使用して製造される。ブロック1106において、誘電体バリアが副画素間に作成される。さまざまな実施形態で、副画素間の誘電体バリアの作成が、
図3A~
図4Bなどであるがこれらに限定されない、さまざまな図に関連して本明細書に説明される
。OLED層堆積、カソード層形成、不活性化、及び色フィルタステップを含むOLED加工ステップが行われる。
【0054】
図11は、本発明の実施形態による、OLEDディスプレイからの画像品質及び輝度を改善するプロセスを全体として1100で例示する。
図11を参照すると、ブロック1102においてプロセスが始まる。ブロック1104において、OLED副画素が製造される。OLEDディスプレイ用の副画素の製造が、
図2A~
図4Bなどであるがこれらに限定されない、さまざまな図に関連して本明細書に説明される。さまざまな実施形態で、OLED副画素は、シリコン加工技術を使用して製造される。ブロック1106において、誘電体バリアが副画素間に作成される。さまざまな実施形態で、副画素間の誘電体バリアの作成が、
図3A~
図4Bなどであるがこれらに限定されない、さまざまな図に関連して本明細書に説明される。ブロック1107において、OLED層堆積、カソード層形成、不活性化、及び色フィルタステップを含むOLED加工ステップが行われる。
【0055】
ブロック1108において、マイクロレンズの配列が、ブロック1104及び1106において加工の対象であったOLEDデバイスの上に作成される。プロセスは、ブロック1110において終了する。OLEDデバイスが「オン」状態のとき、OLEDディスプレイからの光出力のコリメーションは向上し、それによってユーザに対するディスプレイの輝度を改善する。
図11のプロセスは、明瞭で、色が純粋で、明るい画像を作り出すOLEDディスプレイを提供する。
【0056】
さまざまな実施形態で、前の図で説明されたOLEDシステムと同様、OLEDシステムの構成要素は集積回路が含まれている集積回路パッケージを含み得る、集積回路デバイスに実装される。いくつかの実施形態で、システムと同様、システムの構成要素は、単一集積回路ダイに実装される。他の実施形態で、システムと同様、システムの構成要素は、集積回路が含まれているマルチチップパッケージを含み得る集積回路デバイスの2つ以上の集積回路ダイに実装される。
【0057】
本発明の実施形態を議論し理解する目的で、技術及び手法を説明するために当技術分野の有識者によってさまざまな用語が使用されることを理解すべきである。さらにまた、説明では、解説の目的で、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために多数の具体的詳細が明記される。しかしながら、本発明の実施形態がこれらの具体的詳細なしで実践され得ることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、本発明の実施形態を曖昧にすることを回避するために、周知の構造及びデバイスは、詳細ではなくブロック図形式で示される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践することを可能にするのに十分詳細に説明されており、他の実施形態が利用され得ること、及び本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく、論理的、機械的、電気的、及び他の変更がなされ得ることを理解すべきである。
【0058】
したがって、本発明の実施形態を使用して、高輝度OLEDディスプレイを提供することができる。本発明の実施形態は、画像鮮明度を改善するため、及び色域を維持するために同様に使用される。本発明の実施形態が使用されるOLEDシステムのいくつかの非限定的な実施例は、携帯電話、大画面ディスプレイ、ニアツーアイ(NTE)ディスプレイでの使用又はヘッドセット・コンピューティング・デバイスであるがこれらに限定されない。本発明の他の実施形態は、仮想現実感(VR)、拡張現実感(AR)、複合現実感(MR)などのウェアラブル製品、リストバンド、腕時計、眼鏡、ゴーグル、バイザ、ヘッドバンド、ヘルメットなど、又は同種のものなどであるがこれらに限定されない、一般的な構成のウェアラブル又はヘッド・ウェアラブル・デバイスに容易に実装される。実施形態のこの説明で使用されるとき、ウェアラブルは、ヘッドウェアラブル、リストウェアラブル、ネックウェアラブル、ひいてはユーザに装着することができる任意の形態のウェアラブルを包含する。
【0059】
本発明をいくつかの実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、本発明は、説明された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内で修正及び変更とともに実践され得ることを認識するであろう。したがって、説明は、限定的である代わりに例示的であると見なされるべきである。