(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】固体撮像素子及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241213BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20241213BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20241213BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L27/146 A
H04N25/77
H04N25/70
(21)【出願番号】P 2021574687
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2021001979
(87)【国際公開番号】W WO2021153404
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2020012994
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】定榮 正大
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐太
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-187565(JP,A)
【文献】特開2016-033981(JP,A)
【文献】特開2019-091733(JP,A)
【文献】特開2006-032715(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017305(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/186192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/77
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に設けられ、光を電荷に変換する第1の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の上方に設けられ、光を電荷に変換する第2の光電変換部と、
を備え、
前記第1及び第2の光電変換部は、互いに向かい合う接合面において接合されており、
前記第1及び第2の光電変換部のそれぞれは、
上部電極と、
下部電極と、
前記上部電極及び前記下部電極に挟まれた光電変換膜と、
前記上部電極と、前記光電変換膜及び絶縁膜を介して対向する蓄積電極と、
を含む積層構造を有し、
前記第1の光電変換部の前記下部電極は、
前記半導体基板を貫く第1の貫通電極を介して、前記半導体基板内に設けられた電荷蓄積部に電気的に接続され、
前記第2の光電変換部の前記下部電極は、
前記第2の光電変換部の接合面上に設けられた第2の電極と、
前記第1の光電変換部の接合面上に前記第2の電極と対向するように設けられ、前記第2の電極と接合する第1の電極と、
前記第1の光電変換部を貫く第2の貫通電極と、
前記第1の貫通電極と、
を介して、前記電荷蓄積部に電気的に接続される、
固体撮像素子。
【請求項2】
前記第1及び第2の電極は、透明導電材料で形成される、
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1及び第2の電極は、前記積層構造の積層方向に対して前記固体撮像素子を切断した断面において、略円形である、
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記第1及び第2の光電変換部は、前記接合面にそれぞれ少なくとも1つのダミー電極を有する、
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記第1及び第2の電極は、少なくとも1つの開口部が形成される、
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記第1及び第2の電極は、それぞれ大きさが異なる、
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記第1及び第2の光電変換部の前記接合面のうちの少なくとも一方には、前記第1の電極又は前記第2の電極を取り囲み、硬質絶縁材料からなるストッパー層が設けられる、
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記第1の電極と前記第1の光電変換部の前記上部電極との間に、第1の配線層が設けられ、
前記第1の電極と前記第1の配線層との間に、硬質絶縁材料からなる前記ストッパー層が設けられる、
請求項7に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記第1の電極、前記ストッパー層及び前記第1の配線層の順に屈折率が大きい、
請求項8に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記第2の電極と前記第2の光電変換部の前記上部電極との間に、第2の配線層が設けられ、
前記第2の電極と前記第2の配線層との間に、硬質絶縁材料からなる前記ストッパー層が設けられる、
請求項7に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記第2の電極、前記ストッパー層及び前記第2の配線層の順に屈折率が大きい、
請求項10に記載の固体撮像素子。
【請求項12】
前記第1及び第2の光電変換部の前記接合面に前記第1の電極又は前記第2の電極を取り囲むように設けられ、硬質絶縁材料からなるストッパー層と、
前記ストッパー層及び前記第1及び第2の電極を覆うように設けられ、前記ストッパー層とは異なる材料からなる絶縁膜と、
をさらに備え、
前記第1及び第2の電極は、前記絶縁膜を介して電気的に接続される、
請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項13】
前記絶縁膜は、前記第1及び第2の電極が電気的に導通する厚さを持つ、
請求項12に記載の固体撮像素子。
【請求項14】
前記第1の貫通電極は、前記第1及び第2の光電変換部に共通して設けられた共通貫通電極であり、
前記電荷蓄積部は、前記第1及び第2の光電変換部に共通して設けられた共通電荷蓄積部である、
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項15】
前記第1及び第2の光電変換部の前記下部電極のそれぞれは、前記半導体基板内に前記第1及び第2の光電変換部に共通して設けられた共通画素トランジスタに、前記共通貫通電極を介して電気的に接続される、請求項14に記載の固体撮像素子。
【請求項16】
前記光電変換膜は、有機系材料からなる、請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項17】
前記半導体基板内に設けられた、前記光を電荷に変換する第3の光電変換部をさらに備える、請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項18】
固体撮像素子と、
入射光を前記固体撮像素子の受光面に結像する光学系と、
前記固体撮像素子を制御するプロセッサと、
を備え、
前記固体撮像素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に設けられ、光を電荷に変換する第1の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の上方に設けられ、光を電荷に変換する第2の光電変換部と、
を備え、
前記第1及び第2の光電変換部は、互いに向かい合う接合面において接合されており、
前記第1及び第2の光電変換部のそれぞれは、
上部電極と、
下部電極と、
前記上部電極及び前記下部電極に挟まれた光電変換膜と、
前記上部電極と、前記光電変換膜及び絶縁膜を介して対向する蓄積電極と、
を含む積層構造を有し、
前記第1の光電変換部の前記下部電極は、
前記半導体基板を貫く第1の貫通電極を介して、前記半導体基板内に設けられた電荷蓄積部に電気的に接続され、
前記第2の光電変換部の前記下部電極は、
前記第2の光電変換部の接合面上に設けられた第2の電極と、
前記第1の光電変換部の接合面上に前記第2の電極と対向するように設けられ、前記第2の電極と接合する第1の電極と、
前記第1の光電変換部を貫く第2の貫通電極と、
前記第1の貫通電極と、
を介して、前記電荷蓄積部に電気的に接続される、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal‐Oxide‐Semiconductor)イメージセンサ(固体撮像装置)では、各単位画素(固体撮像素子)において、それぞれ赤色光、緑色光及び青色光により光電変換を行うことができる光電変換膜を縦方向に3層積層し、1つの単位画素で3色の光を検出することができるイメージセンサが提案されている(例えば、下記特許文献1、5)。また、1つの単位画素で3色の光を検出することができる他のイメージセンサとしては、以下のようなものが挙げられる。例えば、下記特許文献2に開示されているように、赤色光及び青色光をそれぞれ検出する2つのフォトダイオード(Photo Diode;PD)(光電変換素子)が積層された半導体基板と、当該半導体基板の上方に設けられ、緑色光による光電変換を行うことができる光電変換膜とを有するイメージセンサを挙げることができる。
【0003】
さらに、2つのPDが積層された半導体基板と、当該半導体基板の上方に設けられた光電変換膜とを有するイメージセンサにおいて、画素信号を取り出すための回路構成については、以下のようなものが挙げられる。例えば、下記特許文献3に開示されるように、上記回路が形成された回路形成層が、イメージセンサの受光面の反対側に形成された、裏面照射型構造を挙げることができる。
【0004】
また、その他のイメージセンサとしては、下記特許文献4に開示されるようなイメージセンサを挙げることができる。下記特許文献4では、半導体基板の上方に設けられた光電変換膜の直下に、光電変換によって得られた電荷を蓄積し、転送を行うための半導体層と、絶縁膜を介して上記半導体層と対向する蓄積電極とが設けられた構造が開示されている。当該構造においては、光電変換膜による光電変換によって発生した電荷を、1種のキャパシタのように光電変換膜に効率的に蓄えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-51115号公報
【文献】特開2003-332551号公報
【文献】特開2011-29337号公報
【文献】特開2017-157816号公報
【文献】国際公開第2016/002576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したイメージセンサ(固体撮像素子)においては、基板上方に設けられた光電変換膜で発生した電荷を画素信号として出力するために、複数の画素トランジスタ(例えば、増幅トランジスタ、転送トランジスタ、リセットトランジスタ等)と、これら画素トランジスタを接続するための配線とを設けることとなる。イメージセンサの特性を向上させ、且つ、製造コストの増加を抑えるためには、配線を、好適な構成で配置することが求められる。しかしながら、従来の提案においては、配線の好適な構成については、具体的に検討されてはいなかった。
【0007】
そこで、このような状況を鑑みて、本開示では、製造コストの増加を抑えつつ、画素信号を効率的に出力、転送することが可能な、新規且つ改良された固体撮像素子及び電子機器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、半導体基板と、前記半導体基板の上方に設けられ、光を電荷に変換する第1の光電変換部と、前記第1の光電変換部の上方に設けられ、光を電荷に変換する第2の光電変換部と、を備え、前記第1及び第2の光電変換部は、互いに向かい合う接合面において接合されており、前記第1及び第2の光電変換部のそれぞれは、上部電極と、下部電極と、前記上部電極及び前記下部電極に挟まれた光電変換膜と、前記上部電極と、前記光電変換膜及び絶縁膜を介して対向する蓄積電極と、を含む積層構造を有し、前記第1の光電変換部の前記下部電極は、前記半導体基板を貫く第1の貫通電極を介して、前記半導体基板内に設けられた電荷蓄積部に電気的に接続され、前記第2の光電変換部の前記下部電極は、前記第2の光電変換部の接合面上に設けられた第2の電極と、前記第1の光電変換部の接合面上に前記第2の電極と対向するように設けられ、前記第2の電極と接合する第1の電極と、前記第1の光電変換部を貫く第2の貫通電極と、前記第1の貫通電極と、を介して、前記電荷蓄積部に電気的に接続される、固体撮像素子が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、固体撮像素子と、入射光を前記固体撮像素子の受光面に結像する光学系と、前記固体撮像素子を制御するプロセッサと、を備え、前記固体撮像素子は、半導体基板と、前記半導体基板の上方に設けられ、光を電荷に変換する第1の光電変換部と、前記第1の光電変換部の上方に設けられ、光を電荷に変換する第2の光電変換部と、を備え、前記第1及び第2の光電変換部は、互いに向かい合う接合面において接合されており、前記第1及び第2の光電変換部のそれぞれは、上部電極と、下部電極と、前記上部電極及び前記下部電極に挟まれた光電変換膜と、前記上部電極と、前記光電変換膜及び絶縁膜を介して対向する蓄積電極と、を含む積層構造を有し、前記第1の光電変換部の前記下部電極は、前記半導体基板を貫く第1の貫通電極を介して、前記半導体基板内に設けられた電荷蓄積部に電気的に接続され、前記第2の光電変換部の前記下部電極は、前記第2の光電変換部の接合面上に設けられた第2の電極と、前記第1の光電変換部の接合面上に前記第2の電極と対向するように設けられ、前記第2の電極と接合する第1の電極と、前記第1の光電変換部を貫く第2の貫通電極と、前記第1の貫通電極と、を介して、前記電荷蓄積部に電気的に接続される、電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る固体撮像装置の平面構成例を示す説明図である。
【
図2】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図3】本実施形態に係る固体撮像素子の断面図の一部を示す説明図である。
【
図4】
図3のA-A´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図5】
図3のB-B´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図6】
図3のC-C´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図7】
図3のD-D´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図8】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための図である。
【
図9】
図3のA-A´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図10】
図3のB-B´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図11】
図3のC-C´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図12】
図3のD-D´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図13】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図14】
図13のD1-D1´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図15】
図13のD1-D1´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図16】本実施形態に係る固体撮像素子のPDの等価回路図である。
【
図17】本実施形態に係る固体撮像素子に含まれるPDの等価回路図である。
【
図18】本実施形態に係る固体撮像素子の読み出し方法を説明するための説明図である。
【
図19】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図20】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図21】
図20のD2-D2´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図22】
図20のA2-A2´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図23】本実施形態に係る電極の形状を説明するための図である。
【
図24】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図25】
図24のB3-B3´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図26】本実施形態に係るダミー電極を設けることによる効果を説明するための図である。
【
図27】本実施形態に係るダミー電極を設けることによる効果を説明するための図である。
【
図28】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図29】
図28のB4-B4´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図30】
図28のB4-B4´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図31】
図28のB4-B4´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図32】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図33】
図32のB5-B5´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図34】
図32のC5-C5´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図35】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図36】
図35のB6-B6´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図37】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための図である。
【
図38】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図39】
図38のB7-B7´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図40】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための図である。
【
図41】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図42】
図41のB8-B8´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図43】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図44】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図45】
図44のB9-B9´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図46】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図47】本実施形態の変形例1に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図48】本実施形態の変形例2に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図49】本実施形態に係る画素アレイ部の断面図である。
【
図50】2画素共有における、
図49のE-E´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面図である。
【
図51】4画素共有における、
図49のE-E´線に沿って固体撮像素子を切断した際の断面斜視図である。
【
図52】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図53】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図54】本実施形態の変形例1に係る画素アレイ部の要部の断面図である。
【
図55】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図56】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図57】本実施形態の変形例2に係る画素アレイ部の要部の断面図である。
【
図58】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図59】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図60】本実施形態の変形例3に係る画素アレイ部の要部の断面図である。
【
図61】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図62】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図63】本実施形態の変形例4に係る画素アレイ部の要部の断面図である。
【
図64】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図65】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図66】本実施形態の変形例5に係る画素アレイ部の要部の断面図である。
【
図67】本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図68】上記実施形態及びその変形例に係る固体撮像装置(撮像装置)を備えた撮像システムの概略構成の一例を表したものである。
【
図69】撮像システムにおける撮像動作のフローチャートの一例を表す図である。
【
図70】本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図71】
図70に示すカメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図72】本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【
図74】比較例に係る画素アレイ部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
また、本明細書及び図面において、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、類似する構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0013】
また、以下の説明で参照される図面は、本開示の実施形態の説明とその理解を促すための図面であり、わかりやすくするために、図中に示される形状や寸法、比などは実際と異なる場合がある。さらに、図中に示される固体撮像素子及び固体撮像装置は、以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。また、固体撮像素子の断面図を用いた説明における、固体撮像素子の積層構造の上下方向は、固体撮像素子に対して光が入射する入射面を上とした場合の相対方向に対応し、実際の重力加速度に従った上下方向とは異なる場合がある。
【0014】
さらに、以下の回路構成の説明においては、特段の断りがない限りは、「電気的に接続」とは、複数の要素の間を電気が導通するように接続することを意味する。加えて、以下の説明における「電気的に接続」には、複数の要素を直接的に、且つ、電気的に接続する場合だけでなく、他の要素を介して間接的に、且つ、電気的に接続する場合も含むものとする。
【0015】
また、以下の説明においては、「共有」とは、互いに異なる要素(例えば、PD等)間で1つの他の要素(例えば、電極等)を共に利用することであり、より具体的には、異なる要素の両者が1つの他の要素に電気的に接続されることにより、1つの他の要素を共に利用する状態のことをいう。
【0016】
また、以下の説明においては、「ゲート」とは、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)のゲート電極を表す。「ドレイン」とは、FETのドレイン電極またはドレイン領域を表し、「ソース」とは、FETのソース電極またはソース領域を表す。
【0017】
また、以下の説明においては、具体的な長さ(数値)や形状についての記載は、数学的に定義される数値と同一の値や幾何学的に定義される形状だけを意味するものではない。詳細には、以下の説明における具体的な長さ(数値)や形状についての記載は、撮像装置、その製造工程、及び、その使用・動作において許容される程度の違い(誤差・ひずみ)がある場合やその形状に類似する形状をも含むものとする。例えば、以下の説明において「円形状」と表現した場合には、真円に限定されるものではなく、楕円形等といった真円に類似する形状をも含むことを意味することとなる。
【0018】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1. 本発明者らが本開示の実施形態を創作するに至った背景
2. 第1の実施形態
2.1 固体撮像装置1の概略構成について
2.2 固体撮像素子100の積層構造について
2.3 固体撮像素子100のレイアウト構成について
2.4 固体撮像素子100の製造方法について
3. 第1の実施形態の変形例
4. 第2の実施形態
4.1 固体撮像素子100aの積層構造について
4.2 固体撮像素子100aのレイアウト構成について
4.3 固体撮像素子100aの等価回路について
4.4 固体撮像素子100aの読み出し方法について
5. 第3の実施形態
6. 第4の実施形態
7. 第5の実施形態
8. 第6の実施形態
9. 第7の実施形態
10. 第8の実施形態
11. 第9の実施形態
12. 第10の実施形態
13. 第11の実施形態
14. 第12の実施形態
15. 第13の実施形態
16. 第14の実施形態
17. 第15の実施形態
18. 適用例
19. 内視鏡手術システムへの応用例
20. 移動体への応用例
21. まとめ
22. 補足
【0019】
<<1. 本発明者らが本開示の実施形態を創作するに至った背景>>
まずは、本開示の各実施形態の詳細を説明する前に、本発明者らが本開示の実施形態を創作するに至った背景について、
図74を参照して説明する。
図74は、比較例に係る画素アレイ部80の断面図である。ここで、比較例とは、本発明者らが本開示の実施形態をなす前に、検討を重ねていた固体撮像装置(イメージセンサ)のことを意味するものとする。
【0020】
近年、イメージセンサにおいて、画素サイズの縮小が求められているが、画素サイズが縮小されることに伴って、単位画素に入射する光量が減少することから、感度が低下し、S/N(Signal/Noise)比の低下が生じるようになった。
【0021】
また、イメージセンサにおいては、原色カラーフィルタを用いた、赤色、緑色及び青色の光をそれぞれ検出する各画素を平面上に配列させた構成(例えば、ベイヤー配列)が広く用いられている。このような構成の場合、例えば、赤色光を検出する画素においては、緑色光及び青色光は、当該画素の有するカラーフィルタを透過し難いことから、当該画素において光電変換されることはなく、すなわち、検出されることはない。従って、上述のような構成の場合には、画素毎に、特定の1つの色の光を検出し、他の色の光を検出することができないことから、各画素に入射した光を十分に利用しているとは言えず、言い換えると、画素感度の観点からは損失が生じていると言える。また、上述のような構成の場合には、画素間の補間処理を行うことから、補間的に色信号を生成することに伴う、偽色も生じる。
【0022】
上述のような状況を解決する方法としては単位画素において、それぞれ赤色光、緑色光及び青色光により光電変換を行うことができる光電変換膜を縦方向に3層積層し、1つの単位画素で3色の光を検出することができるイメージセンサを挙げることができる(例えば、上記特許文献1、5)。また、1つの単位画素で3色の光を検出することができる他のイメージセンサとしては、以下のようなものが挙げられる。例えば、上記特許文献2に開示されているように、赤色光及び青色光をそれぞれ検出する2つのPDが積層された半導体基板と、当該半導体基板の上方に設けられ、緑色光による光電変換を行うことができる光電変換膜とを有するイメージセンサを挙げることができる。
【0023】
さらに、2つのPDが積層された半導体基板と、当該半導体基板の上方に設けられた光電変換膜とを有するイメージセンサにおいて、画素信号を取り出すための回路構成については、以下のようなものが挙げられる。例えば、先に説明したように、上記特許文献3に開示されるように、上記回路が形成された回路形成層が、イメージセンサの受光面の反対側に形成された、裏面照射型構造を挙げることができる。上記構造の場合には、半導体基板内のPDと、半導体基板の上方に設けられた光電変換膜との間には、回路や配線等が設けられていない。従って、当該構造によれば、同一画素内の積層方向(縦方向)において、PDと光電変換膜との間の距離を短くすることが可能となる。その結果、当該構造においては、各色のF値依存を抑制することができ、各色間の感度の違いを小さくすることができる。
【0024】
また、その他のイメージセンサとしては、上記特許文献4に開示されるようなイメージセンサを挙げることができる。上記特許文献4では、半導体基板の上方に設けられた光電変換膜の直下に、光電変換によって得られた電荷を蓄積し、転送を行うための半導体層と、絶縁膜を介して上記半導体層と対向する蓄積電極とが設けられた構造が開示されている。当該構造においては、光電変換膜による光電変換によって発生した電荷を、1種のキャパシタのように光電変換膜に効率的に蓄えることができる。さらに、上記構造においては、光電変換膜に電荷を蓄積することができることから、露光開始時に、半導体基板内に設けられた電荷蓄積部(フローティングディフュージョン部)を完全空乏化し、電荷を消去することが可能となる。その結果、当該構造によれば、上記電荷蓄積部の電荷によるkTC雑音(電荷の熱的な揺らぎによって生じる雑音)の増加により、ランダムノイズが悪化し、イメージセンサの撮像画質が低下するといった現象の発生を抑制することができる。
【0025】
ところで、上述のように複数のPDを単位画素に設けた場合(例えば、上記特許文献5)、PDごとの光電変換により生成した電荷を取り出すために、半導体基板内には、PDごとに電荷蓄積部が設けられる。さらに、PDごとの光電変換により生成した電荷を各電荷蓄積部に転送するために、上記半導体基板を貫通する貫通電極や配線等が、PDごとに設けられることとなる。このような構造を持つ固体撮像素子800を、
図74を参照して説明する。
図74は、比較例に係る固体撮像装置の、半導体基板300上にマトリックス状に2次元配置された複数の固体撮像素子800を有する画素アレイ部80の断面図である。
図74においては、固体撮像素子800に対して光が入射する入射面が上となるように固体撮像素子800が図示されている。
【0026】
詳細には、比較例においては、
図74に示すように、PD802、804、806が、半導体基板300上に積層されている。さらに、比較例においては、各PD802、804、806は、生成した電荷を一時的に蓄積するために、半導体基板300内に設けられた各フローティングディフュージョン部(電荷蓄積部)814に電気的に接続されている。より具体的には、比較例においては、各PD802、804、806は、各貫通電極807及び半導体基板300を貫くように設けられた各貫通電極860を介して、各フローティングディフュージョン部814に電気的に接続されている。
【0027】
かかる比較例では、貫通電極807及び貫通電極860をどう接続するのか、具体的な構成について検討がされていなかった。例えば、貫通電極807及び貫通電極860の接続が積層方向に対して垂直な方向に沿ってずれると、各PD802、804、806から電荷(画素信号)を出力することができない。このように、比較例では、各PD802、804、806で生成された画素信号を効率よく出力することができない恐れがあった。
【0028】
そこで、上述のような状況を鑑みて、本発明者らは、製造コストの増加を避けつつ、画素信号を効率よく出力することができる固体撮像素子について、鋭意検討を行っていた。検討を進める中で、本発明者らは、光電変換膜を貫通する貫通電極と、該光電変換膜の上方に配置された他の光電変換膜の下部電極から延びる配線とを電極を介して接続する構成を独自に着想した。本発明者らの着想によれば、他の光電変換膜の下部電極から延びる配線と、貫通電極とをより確実に接続することができれば、他の光電変換膜で発生した画素信号を効率よくフローティングディフュージョン部に出力、転送することができる。
【0029】
すなわち、本発明者らは、上述の着想を一着眼点にして、本開示の実施形態を創作するに至ったのである。以下に、本開示の実施形態の詳細を順次説明する。
【0030】
<<2. 第1の実施形態>>
<2.1 固体撮像装置1の概略構成について>
まずは、
図1を参照して、本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1の概略構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る固体撮像装置1の平面構成例を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置1は、例えばシリコンからなる半導体基板300上に設けられた、画素アレイ部10、垂直駆動回路部32、カラム信号処理回路部34、水平駆動回路部36、出力回路部38、制御回路部40等を含む。以下に、本実施形態に係る固体撮像装置1の各ブロックの詳細について説明する。
【0031】
(画素アレイ部10)
画素アレイ部10は、半導体基板300上にマトリックス状に2次元配置された複数の固体撮像素子(画素)100を有する。なお、ここで固体撮像素子100とは、各色の光を検出し、検出結果を出力する際に、色ごとに1つの結果を出力する1つのユニットとしてとらえることができる固体撮像素子(単位画素)のことを意味する。各固体撮像素子100は、複数の光電変換素子(PD)(図示省略)と、複数の画素トランジスタ(例えばMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ)(図示省略)とを有している。さらに詳細には、当該画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、選択トランジスタ、リセットトランジスタ、及び、増幅トランジスタ等を含むことができる。なお、これら画素トランジスタによる回路(接続構成)の詳細については、後述する。
【0032】
(垂直駆動回路部32)
垂直駆動回路部32は、例えばシフトレジスタによって形成され、画素駆動配線42を選択し、選択された画素駆動配線42に固体撮像素子100を駆動するためのパルスを供給し、行単位で固体撮像素子100を駆動する。すなわち、垂直駆動回路部32は、画素アレイ部10の各固体撮像素子100を行単位で順次垂直方向(
図1中の上下方向)に選択走査し、各固体撮像素子100のPDの受光量に応じて生成された電荷に基づく画素信号を、垂直信号線44を通して後述するカラム信号処理回路部34に供給する。
【0033】
(カラム信号処理回路部34)
カラム信号処理回路部34は、固体撮像素子100の列ごとに配置されており、1行分の固体撮像素子100から出力される画素信号に対して画素列ごとにノイズ除去等の信号処理を行う。例えば、カラム信号処理回路部34は、画素固有の固定パターンノイズを除去するためにCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)及びAD(Analog-Degital)変換等の信号処理を行う。
【0034】
(水平駆動回路部36)
水平駆動回路部36は、例えばシフトレジスタによって形成され、水平走査パルスを順次出力することによって、上述したカラム信号処理回路部34の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路部34の各々から画素信号を水平信号線46に出力させることができる。
【0035】
(出力回路部38)
出力回路部38は、上述したカラム信号処理回路部34の各々から水平信号線46を通して順次に供給される画素信号に対し、信号処理を行い出力することができる。出力回路部38は、例えば、バッファリング(buffering)を行う機能部として機能してもよく、もしくは、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等の処理を行ってもよい。なお、バッファリングとは、画素信号のやり取りの際に、処理速度や転送速度の差を補うために、一時的に画素信号を保存することをいう。また、入出力端子48は、外部装置との間で信号のやり取りを行うための端子である。
【0036】
(制御回路部40)
制御回路部40は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受け取り、また固体撮像素子100の内部情報等のデータを出力することができる。すなわち、制御回路部40は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路部32、カラム信号処理回路部34及び水平駆動回路部36等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路部40は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路部32、カラム信号処理回路部34及び水平駆動回路部36等に出力する。
【0037】
なお、本実施形態に係る固体撮像装置1の平面構成例は、
図1に示される例に限定されるものではなく、例えば、他の回路等を含んでもよく、特に限定されるものではない。
【0038】
<2.2 固体撮像素子100の積層構造について>
以上、本実施形態に係る固体撮像装置1の概略構成について説明した。つぎに、
図2を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100の積層構造について説明する。
図2は、本実施形態に係る画素アレイ部10の断面図である。
図2においては、固体撮像素子100に対して光が入射する入射面が上となるように固体撮像素子100が図示されている。以下の説明においては、固体撮像素子100の下側に位置する半導体基板300から、半導体基板300の上方に設けられたPD500(第1の光電変換部)、PD500の上方に設けられたPD600(第2の光電変換部)に向かう順に従って、固体撮像素子100における積層構造を説明する。
【0039】
詳細には、
図2に示すように、固体撮像素子100においては、例えばシリコンからなる半導体基板300の第1の導電型(例えばP型)を持つ半導体領域310に、第2の導電型(例えばN型)を持つ半導体領域410が設けられている。このような半導体領域410によるPN接合によって、光を電荷に変換するPD400が半導体基板300内に形成される。なお、本実施形態においては、PD400は、例えば、赤色光(例えば、600nm~700nmの波長を持つ光)を吸収して電荷を発生する光電変換素子である。
【0040】
また、半導体基板300の、入射面に対して反対側には(
図2の下側)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)等によって形成される配線230と、酸化シリコン(SiO
2)等によって形成される層間絶縁膜240とを含む配線層200が設けられている。さらに、当該配線層200には、PD400、500、600で発生した電荷の読み出しを行うための複数の画素トランジスタのゲート電極として、W、Al、Cu等によって形成される複数の電極232が設けられている。具体的には、当該電極232は、絶縁膜450を介して、半導体基板300内の第1の導電型(例えばP型)を持つ半導体領域310と対向するように設けられている。さらに、半導体基板300内には、第1の導電型を持つ上記半導体領域310と隣り合うようにして第2の導電型(例えばN型)を持つ半導体領域312が設けられており、当該半導体領域312は、上記画素トランジスタのソース/ドレイン領域として機能する。
【0041】
さらに、半導体基板300内には、第2の導電型(例えばN型)を持つ半導体領域であるフローティングディフュージョン部(電荷蓄積部)314が設けられている。当該フローティングディフュージョン部314は、PD400、500、600で生成された電荷を、一時的に蓄積することができる。また、本実施形態においては、半導体基板300内には、上記フローティングディフュージョン部314や各画素トランジスタのソース/ドレイン領域である半導体領域312と隣り合うように、SiO2等によって形成される分離絶縁膜342が設けられていてもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、
図2に示されるように、後述するPD500、600で生成された電荷を配線230に取り出すための貫通電極(第1の貫通電極)460A、460Bが、半導体基板300を貫通するように設けられている。当該貫通電極460A、460Bは、Cu、W、Al等の金属膜等から形成することができる。また、貫通電極460A、460Bと半導体基板300との短絡を防ぐために、SiO
2等からなる絶縁膜462A、462Bが貫通電極460A、460Bの外周を覆うように設けられている。さらに、本実施形態においては、貫通電極460A、460Bと、当該貫通電極460A、460Bの外周を取り囲む絶縁膜462A、462Bとの間には、バリアメタル膜(図示省略)が設けられていてもよい。当該バリアメタル膜は、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、Ru、Co等の材料から形成することができる。
【0043】
上記貫通電極460A、460Bは、後述するPD500、600の読み出し電極(下部電極)508A、608を、上述の配線層200に設けられた配線230を介して、半導体基板300に設けられたフローティングディフュージョン部314に電気的に接続することができる。従って、上記フローティングディフュージョン部314は、貫通電極460A、460Bにより、PD500、600における光電変換によって生成された電荷を一時的に蓄積することができる。さらに、当該貫通電極460A、460Bは、PD500、600の読み出し電極508A、608を、半導体基板300に設けられた画素トランジスタに電気的に接続することができる。
【0044】
なお、上記貫通電極460A、460Bは、以下のようにして形成することができる。例えば、半導体基板300を貫く貫通孔を作成し、当該貫通孔の内壁を覆うように、絶縁膜462A、462B及び上記バリアメタルを、物理的気相成長法(PVD(Physical Vapor Deposition)法)、化学的気相成長法(CVD(Chemical Vapor Deposition)法)又は原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法等により成膜する。さらに、例えば、成膜した絶縁膜462A、462B及び上記バリアメタルをエッチングした後に、貫通孔を埋めるように、Cu、W、Al等の金属膜等をめっき法、CVD法、PVD法又はALD法により成膜する。このようにして、貫通電極460A、460Bを形成することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、半導体基板300の入射面には、第1の導電型(例えばP型)を持つ半導体領域(図示省略)が設けられてもよく、さらに当該半導体領域上には、酸化アルミニウム(Al2O3)からなる反射防止膜402が設けられていてもよい。
【0046】
そして、本実施形態においては、
図2に示すように、半導体基板300とPD500とに挟まれるようにして、例えば、SiO
2等からなる、光を透過することができる絶縁膜540と、W等によって形成される配線530とを含む配線層520が設けられている。当該絶縁膜540は、光を透過させることができることから、絶縁膜540の下方に設けられたPD400は、光を受光し、光電変換を行うこと、すなわち、光を検出することができる。また、後述するPD500、600の読み出し電極508A、608は、配線530を介して、上述の貫通電極460A、460Bにそれぞれ電気的に接続される。
【0047】
そして、本実施形態においては、配線層520の上には、光電変換膜504が、隣り合う(詳細には、
図2中の左右方向に隣り合う)固体撮像素子100間で共有する共通電極(上部電極)502と、光電変換膜504で発生した電荷を読み出す読み出し電極508Aと、に挟まれるようにして設けられる。共通電極502と、光電変換膜504と、読み出し電極508Aとは、光を電荷に変換するPD500(第1の光電変換部)の積層構造の一部を構成する。本実施形態においては、当該PD500は、例えば、緑色光(例えば500nm~600nmの波長を持つ光)を吸収して電荷を発生(光電変換)する光電変換素子である。なお、共通電極502、光電変換膜504及び読み出し電極508Aを構成する材料の詳細については、後述する。
【0048】
さらに、本実施形態においては、
図2に示すように、PD500は、光電変換膜504で発生した電荷を光電変換膜504において一時的に蓄積するために、光電変換膜504及び絶縁膜506を介して共通電極502と対向する蓄積電極510を有する。本実施形態においては、蓄積電極510は、光電変換膜504と絶縁膜506とに挟まれるように設けられた半導体層(図示省略)をさらに介して、共通電極502と対向してもよい。上記半導体層は、電荷の蓄積をより効率的に行うために設けられ、光を透過することができる酸化物半導体材料から形成されることが好ましい。なお、蓄積電極510、絶縁膜506及び半導体層を構成する材料の詳細については、後述する。
【0049】
図2に示すように、光電変換膜504に接している読み出し電極508Aは、貫通電極460Aを介して、半導体基板300に設けられたフローティングディフュージョン部314と電気的に接続されている。また、共通電極502は、当該共通電極502に所望の電位を印加する配線570と電気的に接続されている。さらに、蓄積電極510は、当該蓄積電極510に所望の電位を印加する配線572と電気的に接続されている。
【0050】
従って、本実施形態においては、共通電極502、読み出し電極508A及び蓄積電極510に印加される電位を制御することにより、光電変換膜504で発生した電荷を当該光電変換膜504又は光電変換膜504の界面に蓄積したり、当該電荷をフローティングディフュージョン部314に取り出したりすることができる。言い換えると、蓄積電極510は、印加される電位に応じて、光電変換膜504で発生した電荷を引き寄せて、当該電荷を光電変換膜504に蓄積するための電荷蓄積用電極として機能することができる。なお、本実施形態においては、固体撮像素子100に入射した光を効果的に利用するために、入射面の上方から固体撮像素子100を見た場合、蓄積電極510は、読み出し電極508Aよりも面積が広くなるように設けられることが好ましい。
【0051】
そして、本実施形態においては、
図2に示すように、PD500とPD600とに挟まれるようにして、例えば、SiO
2等からなる、光を透過することができる絶縁膜580、640と、W等によって形成される配線とを含む配線層620が設けられている。当該絶縁膜580、640も、光を透過させることができることから、絶縁膜580、640の下方に設けられたPD500は、光を受光し、光電変換を行うこと、すなわち、光を検出することができる。また、後述するPD600の読み出し電極608は、貫通電極630を介して、後述する貫通電極(第2の貫通電極)560に電気的に接続される。貫通電極630は、PD600の読み出し電極608から電極673まで、絶縁膜640を貫通するように設けられている。
【0052】
そして、本実施形態においては、
図2に示すように、絶縁膜580、640が互いに接合面JSにおいて接合されている。また、貫通電極560と貫通電極630とが、電極(第1の電極、第2の電極)573、673を介して電気的に接続される。本実施形態においては、電極573は、PD500の接合面JS上に設けられ、電極673は、PD600の接合面JS上に設けられる。電極573、673は、接合面JSで互いに向かい合い接合している。従って、本実施形態において、PD500及びPD600は、互いに向かい合う接合面JSにおいて接合されていると言える。
【0053】
また、貫通電極560は、
図2に示すように、電極573からPD500の読み出し電極508Aまで、絶縁膜580の一部及びPD500を貫通するように設けられている。詳細には、PD600の読み出し電極608は、貫通電極560、630を介して、貫通電極460Bに電気的に接続されている。さらに、PD600の読み出し電極608は、貫通電極560と貫通電極460Bとを介して、半導体基板300に設けられたフローティングディフュージョン部314と電気的に接続されている。従って、上記フローティングディフュージョン部314は、貫通電極460B、560により、PD600における光電変換によって生成された電荷を一時的に蓄積することができる。さらに、PD600の読み出し電極608は、貫通電極560と貫通電極460Bとを介して、半導体基板300に設けられた画素トランジスタに電気的に接続される。
【0054】
本実施形態においては、貫通電極560は、Cu、W、Al等の金属膜等から形成することができる。さらに、貫通電極560は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明導電膜で形成してもよい。また、当該貫通電極560の外周には、貫通電極560とPD500との短絡を防ぐために、SiO2等からなる絶縁膜562が設けられていてもよい。さらに、本実施形態においては、貫通電極560と、当該貫通電極560の外周を取り囲む絶縁膜562との間に、バリアメタル膜(図示省略)が設けられていてもよい。当該バリアメタル膜は、例えばTiN等の材料から形成することができる。
【0055】
なお、上記貫通電極560は、以下のようにして形成することができる。例えば、PD500を貫く貫通孔を作成し、当該貫通孔の内壁を覆うように、絶縁膜562を、PVD法、CVD法、又はALD法等により成膜する。さらに、例えば、成膜した絶縁膜562をエッチングした後に、貫通孔を埋めるように、Cu等の金属膜等をめっき法、CVD法、PVD法又はALD法により成膜する。このようにして、貫通電極560を形成することができる。
【0056】
本実施形態においては、貫通電極630は、Cu、W、Al等の金属膜等から形成することができる。さらに、貫通電極630は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の透明導電膜で形成してもよい。
【0057】
なお、上記貫通電極630は、以下のようにして形成することができる。例えば、絶縁膜640を貫く貫通孔を作成し、貫通孔を埋めるように、Cu等の金属膜等をめっき法、CVD法、PVD法又はALD法により成膜する。このようにして、貫通電極630を形成することができる。
【0058】
さらに、本実施形態においては、配線層620の上に、光を電荷に変換するPD600(第2の光電変換部)が設けられている。当該PD600は、例えば、青色光(例えば、400nmから500nmの波長を持つ光)を吸収して電荷を発生(光電変換)する光電変換素子である。詳細には、PD600として、共通電極(上部電極)602と、光電変換膜604と、絶縁膜606と、読み出し電極(下部電極)608と、蓄積電極610とが順次積層されている。
【0059】
また、光電変換膜604に接している読み出し電極608は、貫通電極560を介して、貫通電極460Bと電気的に接続されている。また、共通電極602は、当該共通電極602に所望の電位を印加する配線670と電気的に接続されている。さらに、蓄積電極610は、当該蓄積電極610に所望の電位を印加する配線672と電気的に接続されている。
【0060】
すなわち、
図2に示すように、PD500及びPD600は、共通電極502、602、光電変換膜504、604及び読み出し電極508A、608をそれぞれ有する。さらに、PD500及びPD600のそれぞれが有する積層構造においては、上述の各層が積層する順序が同一である。言い換えると、PD500、600の光電変換積層構造においては、下方から、読み出し電極508A、608、光電変換膜504、604、及び共通電極502、602が順次積層されている。
【0061】
なお、本実施形態においては、PD500及びPD600は、各層の積層の順序が上述した順序でなくてもよく、積層方向において対称関係となる順序で各層が積層されていてもよい。また、本実施形態においては、入射面の上方から固体撮像素子100を見た場合、PD500及びPD600の読み出し電極508A、608及び蓄積電極510、610等が互いに完全に重なっていなくてもよい。すなわち、本実施形態においては、入射面の上方から固体撮像素子100を見た場合、PD500、600の有する各層のレイアウトは特に限定されるものではない。
【0062】
上述の光電変換膜504、604は、有機材料(有機系光電変換膜)又は無機材料(無機系光電変換膜)から形成することができる。例えば、光電変換膜を有機材料から形成する場合には、(a)P型有機半導体材料、(b)N型有機半導体材料、(c)P型有機半導体材料層、N型の有機半導体材料層、及び、P型有機半導体材料とN型有機半導体材料との混合層(バルクヘテロ構造)のうちの少なくとも2つの積層構造、(d)P型有機半導体材料とN型有機半導体材料との混合層の4態様のいずれかを選択することができる。なお、有機材料を用いた光電変換膜は、例えば、読み出し電極508A、608に接する電子ブロッキング膜兼バッファ膜と、光電変換膜と、正孔ブロッキング膜と、正孔ブロッキング兼バッファ膜と、仕事関数調整膜のように積層された積層構造等も含むものとする。
【0063】
詳細には、P型有機半導体材料として、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピロメテン誘導体、ピラン誘導体、フェノキサゾン誘導体、チオフェン誘導体、チエノチオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、ベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)誘導体、ジナフトチエノチオフェン(DNTT)誘導体、ジアントラセノチエノチオフェン(DATT)誘導体、ベンゾビスベンゾチオフェン(BBBT)誘導体、ナフタレンビスベンゾチオフェン(NBBT)、チエノビスベンゾチオフェン(TBBT)誘導体、ジベンゾチエノビスベンゾチオフェン(DBTBT)誘導体、ジチエノベンゾジチオフェン(DTBDT)誘導体、ジベンゾチエノジチオフェン(DBTDT)誘導体、ベンゾジチオフェン(BDT)誘導体、ナフトジチオフェン(NDT)誘導体、アントラセノジチオフェン(ADT)誘導体、テトラセノジチオフェン(TDT)誘導体、ペンタセノジチオフェン(PDT)誘導体、トリアリルアミン誘導体、カルバゾール誘導体、ピセン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、サブポルフィラジン誘導体、複素環化合物を配位子とする金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリベンゾチアジアゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体等を挙げることができる。
【0064】
また、N型有機半導体材料として、フラーレン及びフラーレン誘導体(例えば、C60や、C70、C74等のフラーレン(高次フラーレン)、内包フラーレン等)又はフラーレン誘導体(例えば、フラーレンフッ化物やPCBM(Phenyl-C61-Butyric Acid Methyl Ester)フラーレン化合物、フラーレン多量体等))、P型有機半導体よりもHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)及びLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い有機半導体、光を透過することができる無機金属酸化物等を挙げることができる。より具体的には、N型有機半導体材料としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する複素環化合物、例えば、ピリジン誘導体、ピロメテン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、イソキノリン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、フェノキサゾン誘導体、ペリレン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、フェナントロリン誘導体、テトラゾール誘導体、ピラゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、サブポルフィラジン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリベンゾチアジアゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体等を分子骨格の一部に有する有機分子、有機金属錯体やサブフタロシアニン誘導体を挙げることができる。また、フラーレン誘導体に含まれる基等として、分岐若しくは環状のアルキル基若しくはフェニル基;直鎖若しくは縮環した芳香族化合物を有する基;ハロゲン化物を有する基;パーシャルフルオロアルキル基;パーフルオロアルキル基;シリルアルキル基;シリルアルコキシ基;アリールシリル基;アリールスルファニル基;アルキルスルファニル基;アリールスルホニル基;アルキルスルホニル基;アリールスルフィド基;アルキルスルフィド基;アミノ基;アルキルアミノ基;アリールアミノ基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アシルアミノ基;アシルオキシ基;カルボニル基;カルボキシ基;カルボキソアミド基;カルボアルコキシ基;アシル基;スルホニル基;シアノ基;ニトロ基;カルコゲン化物を有する基;ホスフィン基;ホスホン基;これらの誘導体を挙げることができる。なお、有機材料から形成された光電変換膜の膜厚は、限定されるものではないが、例えば、1×10-8m~5×10-7m、好ましくは2.5×10-8m~3×10-7m、より好ましくは2.5×10-8mから2×10-7mとすることができる。また、上記説明においては、有機半導体材料をP型、N型に分類したが、ここでは、P型とは正孔を輸送し易いという意味であり、N型とは電子を輸送し易いという意味である。すなわち、有機半導体材料においては、無機半導体材料のように、熱励起の多数キャリアとして正孔又は電子を有しているというという解釈に限定されるものではない。
【0065】
さらに、光電変換膜504、604は、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、ジアセチレン等の重合体やその誘導体により形成されてもよい。
【0066】
また、光電変換膜504、604を無機材料から形成する場合には、無機半導体材料としては、結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、結晶セレン、アモルファスセレン、及び、カルコパライト系化合物であるCIGS(CuInGaSe)、CIS(CuInSe2)、CuInS2、CuAlS2、CuAlSe2、CuGaS2、CuGaSe2、AgAlS2、AgAlSe2、AgInS2、AgInSe2、あるいは、III-V族化合物であるGaAs、InP、AlGaAs、InGaP、AlGaInP、InGaAsP、更には、CdSe、CdS、In2Se3、In2S3、Bi2Se3、Bi2S3、ZnSe、ZnS、PbSe、PbS等の化合物半導体を挙げることができる。加えて、本実施形態においては、上述のこれらの材料から成る量子ドットを、光電変換膜504、604として使用することも可能である。
【0067】
さらに、光電変換膜504、604は、青色光、緑色光を検出するために、例えば、金属錯体色素、ローダミン系色素、キナクリドン系色素、シアニン系色素、メラシアニン系色素、フェニルキサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、ロダシアニン系色素、キサンテン系色素、大環状アザアヌレン系色素、アズレン系色素、ナフトキノン、アントラキノン系色素、アントラセン、ピレン等の縮合多環芳香族及び芳香環ないし複素環化合物が縮合した鎖状化合物、または、スクアリリウム基及びクロコニツクメチン基を結合鎖として持つキノリン、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール等の2つの含窒素複素環、または、スクアリリウム基及びクロコニツクメチン基により結合したシアニン系類似の色素等を好ましく用いることができる。また、上記金属錯体色素では、ジチオール金属錯体系色素、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素、またはルテニウム錯体色素が好ましく、ルテニウム錯体色素が特に好ましいが、上記に限定するものではない。
【0068】
なお、本実施形態においては、光電変換膜504、604は、特性向上のため、数種類の材料を混合して形成したり、積層したりすることができる。さらに、本実施形態においては、光電変換膜504、604は、特性向上のために、直接光電変換に寄与しない材料を積層したり、混合したりして形成することができる。
【0069】
また、本実施形態においては、共通電極502、602、読み出し電極508A、608、電極573、673及び蓄積電極510、610は、例えば、スズ-酸化インジウム(ITO、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)膜等の光を透過することができる透明導電膜で形成されることができる。しかしながら、本実施形態においては、共通電極502、602、読み出し電極508A、608及び蓄積電極510、610は、上述のようなITOに限定されるものではなく、他の材料であってもよい。例えば、透明導電膜は、バンドギャップとしては2.5eV以上好ましくは3.1eV以上の材料であることが好ましい。例えば、透明導電膜としては、酸化スズ系材料では、酸化スズ、アンチモン-酸化スズ(SnO2にSbをドーパンとして添加、例えばATO)、フッ素-酸化スズ(SnO2にFをドーパンとして添加、例えばFTO)等を挙げることができる。酸化亜鉛系材料では、アルミニウム-亜鉛酸化物(ZnOにAlをドーパントとして添加、例えばAZO)、ガリウム-亜鉛酸化物(ZnOにGaをドーパントとして添加、例えばGZO)、インジウム-亜鉛酸化物(ZnOにInをドーパントとして添加、例えばIZO)、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(ZnO4にIn及びGaをドーパントとして添加、例えば、IGZO)、インジウム-スズ-亜鉛酸化物(ZnOにIn及びSnをドーパントとして添加、例えば、ITZO)等を挙げることができる。また、他には、インジウム-ガリウム酸化物(Ga2O3にInをドーパントして添加、例えば、IGO)や、CuInO2、MgIn2O4、CuI、InSbO4、ZnMgO、CdO、ZnSnO3、グラフェン等を挙げることができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、電極573、673は、透明導電材料以外の材料で構成することもできる。例えば、電極573、673は、Cu、W、Al等の金属膜等から形成することができる。
【0071】
また、本実施形態においては、絶縁膜506、606は、例えば、光を透過することができる、SiO2、Al2O3、窒化シリコン(Si3N4)等によって形成することができ、特に限定されるものではない。
【0072】
さらに、本実施形態においては、PD500、600に含まれる半導体層(図示省略)は、光電変換膜504、604よりも電荷の移動度が高く、且つ、バンドギャップが大きな材料を用いて形成されていることが好ましい。例えば、当該半導体層の構成材料のバンドギャップは、3.0eV以上であることが好ましい。このような材料としては、例えば、IGZO等の酸化物半導体材料及び有機半導体材料等が挙げられる。有機半導体材料としては、例えば、遷移金属ダイカルコゲナイド、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、グラフェン、カーボンナノチューブ、縮合多環炭化水素化合物及び縮合複素環化合物等が挙げられる。当該半導体層は、単膜により構成してもよく、あるいは複数の膜を積層して構成するようにしてもよい。
【0073】
そして、本実施形態においては、
図2に示すように、PD600の上には、例えば、光を透過することができる、SiO
2膜等の材料からなる絶縁膜780が設けられている。さらに、絶縁膜780の上には、オンチップレンズ790が固体撮像素子100ごとに設けられている。オンチップレンズ790は、例えば、Si
3N
4、又は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン-アクリル共重合系樹脂、若しくはシロキサン系樹脂等の樹脂系材料によって形成することができる。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る固体撮像素子100は、3色の光にそれぞれを検出するPD400、PD500、PD600が積層された積層構造を持つ。すなわち、上述の固体撮像素子100は、例えば、青色光については半導体基板300の上方に形成された光電変換膜604(PD600)で光電変換し、緑色光については、PD600の下方に設けられた光電変換膜504(PD500)で光電変換し、赤色光については半導体基板300内に設けられたPD400で光電変換する、縦方向分光型の固体撮像素子であるといえる。なお、本実施形態においては、上述の固体撮像素子100は、上述のような縦方向分光型の積層構造に限定されるものではない。例えば、緑色光については半導体基板300の上方に形成された光電変換膜604(PD600)で光電変換し、青色光については、PD600の下方に設けられた光電変換膜504(PD500)で光電変換してもよい。
【0075】
<2.3 固体撮像素子100のレイアウト構成について>
以上、本実施形態に係る固体撮像素子100の積層構造について説明した。次に、
図3から
図7を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100のレイアウト構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る固体撮像素子100の断面図の一部を示す説明図である。
図4は、
図3のA-A´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。
図5は、
図3のB-B´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。
図6は、
図3のC-C´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。
図7は、
図3のD-D´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。なお
図4から
図7では、4画素(4つの固体撮像素子100)の断面を示している。
【0076】
先に説明したように、
図3に示すように、本実施形態においては、PD500及びPD600は、共通電極502、602、光電変換膜504、604、読み出し電極508A、608、絶縁膜506、606及び蓄積電極510、610が順次積層された構造を有する。また、PD600の読み出し電極608は、貫通電極630、電極573、673及び貫通電極560を介して貫通電極420Bと電気的に接続される。また、PD500の読み出し電極508は、貫通電極420Aと電気的に接続される。
【0077】
ここで、
図4では、
図3に示すA-A´線(絶縁膜606と蓄積電極610との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の上方から見た場合の断面を示している。
図4に示すように、読み出し電極608は、貫通電極630と電気的に接続されている。
【0078】
また、
図5では、
図3に示すB-B´線(絶縁膜640と電極673との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の上方から見た場合の断面を示している。
図5に示すように、貫通電極630は、電極673と電気的に接続されている。電極673の大きさは、1画素のサイズより小さい。
【0079】
また、
図6では、
図3に示すC-C´線(絶縁膜580と電極573との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の下方から見た場合の断面を示している。
図6に示すように、貫通電極560は、電極573と電気的に接続されている。電極573の大きさは、電極673と略同一であり、1画素のサイズより小さい。
【0080】
また、
図7では、
図3に示すD-D´線(絶縁膜506と蓄積電極510との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の上方から見た場合の断面を示している。
図7に示すように、読み出し電極508Aは、貫通電極460Aと接続する配線530Aと電気的に接続される。また、貫通電極560と電気的に接続される電極508Bは、貫通電極460Bと接続する配線530Bと電気的に接続される。
【0081】
<2.4 固体撮像素子100の製造方法について>
以上、本実施形態に係る固体撮像素子100のレイアウト構成について説明した。次に、
図8を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100の製造方法について説明する。
図8は、本実施形態に係る固体撮像素子100の製造方法を説明するための図である。なお、
図8では、説明に使用する符号のみを付し、それ以外の符号を省略している。
【0082】
まず、
図8(a)に示すように、電極573が形成された半導体基板300と、半導体基板900とを接合する。半導体基板300は、ロジック回路が形成される半導体基板920の上方に形成される。また半導体基板900は、シリコン基板910に配線層620が形成されたものであり、電極673が接合面に形成されている。
【0083】
次に、
図8(b)に示すように、半導体基板900が薄肉化され、シリコン基板910が除去される。続いて、薄肉化された半導体基板900上に、光電変換膜604、共通電極502、絶縁膜780及びオンチップレンズ790を形成することにより、
図8(c)に示す固体撮像素子100を得ることができる。
【0084】
以上のように、本実施形態によれば、PD600の読み出し電極608に電気的に接続される貫通電極630と、貫通電極560とが電極573、673を介して電気的に接続される。また、電極573、673は、それぞれPD500、600における接合面JS上に設けられ、該接合面JSで互いに接合する。従って、電極573、673に接合ずれ(積層方向に対して垂直な方向において、電極573、673の位置が互いにすれること)が発生しても、電極573、673の少なくとも一部が接合していれば、貫通電極630及び貫通電極560を電気的に接続することができる。その結果、本実施形態によれば、製造コストの増加を抑えつつ、画素信号を効率的に出力、転送することが可能となる。
【0085】
<<3. 第1の実施形態の変形例>>
上述の第1の実施形態においては、読み出し電極508A、608を1画素(固体撮像素子100)ごとに設けていた。しかしながら、本開示の実施形態においては、読み出し電極508A、608を1画素ごとに設けるものに限定されるものではない。例えば、複数画素ごとに読み出し電極508A、608を共有してもよい。そこで、
図9から
図12を参照して、第1の実施形態の変形例として読み出し電極508A、608を4つの画素で共有する場合について説明する。
【0086】
図9は、
図3のA-A´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。
図10は、
図3のB-B´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。
図11は、
図3のC-C´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。
図12は、
図3のD-D´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。なお、
図9から
図12では、4画素(4つの固体撮像素子100)の断面を示している。
【0087】
ここで、
図9では、
図3に示すA-A´線(絶縁膜606と蓄積電極610との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の上方から見た場合の断面を示している。
図9に示すように、読み出し電極608は、4つの画素に対して1つ設けられている。読み出し電極608は、貫通電極630と電気的に接続されている。
【0088】
また、
図10では、
図3に示すB-B´線(絶縁膜640と電極673との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の上方から見た場合の断面を示している。
図10に示すように、貫通電極630は、電極673と電気的に接続されている。電極673は、4つの画素ごとに1つ形成される。電極673の大きさは、4画素を合わせたサイズより小さい。
【0089】
また、
図11では、
図3に示すC-C´線(絶縁膜580と電極573との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の下方から見た場合の断面を示している。
図11に示すように、貫通電極560は、電極573と電気的に接続されている。電極673は、4つの画素ごとに1つ形成される。電極573の大きさは、電極673と略同一であり、4画素を合わせたサイズより小さい。
【0090】
また、
図12では、
図3に示すD-D´線(絶縁膜506と蓄積電極510との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の上方から見た場合の断面を示している。
図12に示すように、読み出し電極508Aは、貫通電極460Aと接続する配線530Aと電気的に接続される。また、貫通電極560と電気的に接続される電極508Bは、貫通電極460Bと接続する配線530Bと電気的に接続される。読み出し電極508A及び電極508Bは、4つの画素ごとに1つ形成される。
【0091】
<<4. 第2の実施形態>>
上述の第1の実施形態においては、固体撮像素子100は、PD500の読み出し電極508が貫通電極460Aに電気的に接続し、PD600の読み出し電極608が貫通電極460Bに電気的に接続している固体撮像素子であった。しかしながら、本開示の実施形態においては、このような構成に限定されるものではなく、貫通電極(共有貫通電極)460を、PD500、600で共有する固体撮像素子100aであってもよい。そこで、
図13から
図18を参照して、本開示の第2の実施形態として、貫通電極460を、PD500、600で共有する固体撮像素子100aについて説明する。
【0092】
<4.1 固体撮像素子100aの積層構造について>
まず、
図13を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100aの積層構造について説明する。
図13は、本実施形態に係る画素アレイ部10aの断面図である。
図13に示すように、本実施形態に係る固体撮像素子100aは、PD500、600で貫通電極460を共有していることを除けば、上述した第1の実施形態と同様の構成を持つ。従って、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。本実施形態においては、半導体基板300内に設けられた画素トランジスタの一部は、半導体基板300の上方に設けられたPD500、600によって共有されることとなる。すなわち、本実施形態においては、複数の画素トランジスタの一部については、PD500、600に共有される共通画素トランジスタであると言える。
【0093】
また、本実施形態においては、複数のフローティングディフュージョン部(共通電荷蓄積部)314の一部は、PD500、600で生成された電荷を一時的に蓄積するために、PD500、600に共通して、言い換えると、PD500、600が共有するように設けられる。
【0094】
また、本実施形態においては、
図13に示されるように、PD500、600で生成された電荷を配線230に取り出すための、PD500、600が共有する貫通電極460が、半導体基板300を貫通するように設けられている。当該貫通電極460は、Cu、W、Al等の金属膜等から形成することができる。また、貫通電極460と半導体基板300との短絡を防ぐために、SiO
2等からなる絶縁膜462が貫通電極460の外周を覆うように設けられている。さらに、本実施形態においては、貫通電極460と、当該貫通電極460の外周を取り囲む絶縁膜462との間には、バリアメタル膜(図示省略)が設けられていてもよい。当該バリアメタル膜は、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、Ru、Co等の材料から形成することができる。
【0095】
上記貫通電極460は、PD500、600の読み出し電極(下部電極)508、608を、上述の配線層200に設けられた配線230を介して、半導体基板300に設けられたフローティングディフュージョン部314に電気的に接続することができる。従って、上記フローティングディフュージョン部314は、貫通電極460により、PD500、600における光電変換によって生成された電荷を一時的に蓄積することができる。さらに、当該貫通電極460は、PD500、600の読み出し電極508、608を、半導体基板300に設けられた画素トランジスタに電気的に接続することができる。
【0096】
なお、上記貫通電極460は、以下のようにして形成することができる。例えば、半導体基板300を貫く貫通孔を作成し、当該貫通孔の内壁を覆うように、絶縁膜462及び上記バリアメタルを、物理的気相成長法(PVD(Physical Vapor Deposition)法)、化学的気相成長法(CVD(Chemical Vapor Deposition)法)又は原子層堆積(Atomic Layer Deposition;ALD)法等により成膜する。さらに、例えば、成膜した絶縁膜462及び上記バリアメタルをエッチングした後に、貫通孔を埋めるように、Cu、W、Al等の金属膜等をめっき法、CVD法、PVD法又はALD法により成膜する。このようにして、貫通電極460を形成することができる。
【0097】
<4.2 固体撮像素子100aのレイアウト構成について>
以上、本実施形態に係る固体撮像素子100aの積層構造について説明した。次に、
図14を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100aのレイアウト構成について説明する。
図14は、
図13のD1-D1´線に沿って固体撮像素子100aを切断した際の断面図である。なお、
図14では、4画素(4つの固体撮像素子100a)の断面を示している。
【0098】
ここで、
図14では、
図13に示すD1-D1´線(絶縁膜506と蓄積電極510との界面)に沿って固体撮像素子100aを切断し、切断面を固体撮像素子100aの上方から見た場合の断面を示している。
図14に示すように、読み出し電極508は、貫通電極460と接続する配線530と電気的に接続される。また、読み出し電極508は、貫通電極560と電気的に接続される。
【0099】
図15は、
図13のD1-D1´線に沿って固体撮像素子100aを切断した際の断面図である。
図14では、1画素ごとに読み出し電極508を設ける場合について示したが、第1の実施形態の第1の変形例で示したように読み出し電極508を複数の画素で共有することもできる。
図15では、4つの画素で1つの読み出し電極508を共有する場合について示している。
【0100】
以上のように、本実施形態においては、異なるPD500、600が、1つのフローティングディフュージョン部314、及び、1つの貫通電極460を共有している。従って、本実施形態によれば、貫通電極460の形成による半導体基板300の加工面積の増加を避け、PD400の入射面の縮小を避けることができることから、PD400に入射する光量が減少せず、PD400の感度特性の低下を避けることができる。さらに、本実施形態によれば、異なるPD500、600が、フローティングディフュージョン部314及び貫通電極460を共有していることから、固体撮像装置1が搭載されるチップの面積の増加を避けることができる。その結果、本実施形態によれば、固体撮像装置1の製造コストの増加を避けることができる。加えて、本実施形態によれば、異なるPD500、600において、1つの貫通電極460を共有することから、半導体基板300を貫通する貫通電極460の数を少なくすることができる。その結果、本実施形態によれば、半導体基板300の結晶性が低下することに起因する固体撮像装置1の暗電流特性の劣化を避けることができる。
【0101】
<4.3 固体撮像素子100aの等価回路について>
以上、本実施形態に係る固体撮像素子100aのレイアウト構成について説明した。次に、本実施形態に係る固体撮像素子100aの等価回路、詳細には、PD500、600の等価回路について、
図16を参照して説明する。
図16は、本実施形態に係る固体撮像素子100aのPD500、600の等価回路図である。
【0102】
先に説明したように、本実施形態においては、PD500、600は、共通電極502、602と、読み出し電極508、608と、これらに挟まれた光電変換膜504、604とを有する。さらに、PD500、600は、絶縁膜506、606を介して光電変換膜504、604と接する蓄積電極510、610を有する。
【0103】
図16に示されるように、読み出し電極508、608は、蓄積した電荷をリセットするためのリセットトランジスタTR1
rstのドレイン/ソースの一方に配線等を介して電気的に接続される。リセットトランジスタTR1
rstのゲートは、リセット信号線RST1に電気的に接続され、さらに上述した垂直駆動回路部32に電気的に接続される。また、リセットトランジスタTR1
rstのドレイン/ソースの他方(読み出し電極508、608に接続されていない側)は、電源回路(電源電位V
DD)に電気的に接続される。すなわち、本実施形態においては、
図16に示すように、リセットトランジスタTR1
rstは、PD500、600が共有する共通画素トランジスタであると言える。
【0104】
さらに、読み出し電極508、608は、電荷を電圧に変換して画素信号として出力する増幅トランジスタTR1ampのゲートに配線を介して電気的に接続される。また、読み出し電極508、608、増幅トランジスタTR1ampのゲート及びリセットトランジスタTR1rstのドレイン/ソースの一方を接続するノードFD1は、リセットトランジスタTR1rstの一部を構成する。さらに、ノードFD1は、PD500、600が共有するフローティングディフュージョン部314としても機能する。読み出し電極508、608からの電荷は、ノードFD1の電位を変化させ、増幅トランジスタTR1ampによって電圧に変換される。また、増幅トランジスタTR1ampのソース/ドレインの一方は、選択信号に従って、変換によって得た上記画素信号を信号線VSL1に出力する選択トランジスタTR1selのソース/ドレインの一方に配線を介して電気的に接続される。さらに、増幅トランジスタTR1ampのソース/ドレインの他方(選択トランジスタTR1selに接続されていない側)は、電源回路(電源電位VDD)に電気的に接続される。すなわち、本実施形態においては、増幅トランジスタTR1amp及び選択トランジスタTR1selは、PD500、600が共有する共通画素トランジスタであると言える。
【0105】
さらに、選択トランジスタTR1selのソース/ドレインの他方(増幅トランジスタTR1ampと接続されていない側)は、変換された電圧を画素信号として伝達する上記信号線VSL1に電気的に接続され、さらに上述したカラム信号処理回路部34に電気的に接続される。また、選択トランジスタTR1selのゲートは、画素信号を出力する行を選択する選択線SEL1に電気的に接続され、さらに上述した垂直駆動回路部32に電気的に接続される。
【0106】
また、
図16に示すように、蓄積電極510、610は、電圧印加線ASE1、ASE2にそれぞれ電気的に接続される。先に説明したように、蓄積電極510、610は、印加される電位に応じて、光電変換膜504、604で発生した電荷を引き寄せて、当該電荷を光電変換膜504、604に蓄積し、もしくは、当該電荷を読み出し電極508、608へ転送することができる。さらに、共通電極502、602は、画素信号を出力する列を選択する選択線(図示省略)に電気的に接続されている。
【0107】
次に、参考として、PD400の等価回路についても、
図17を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る固体撮像素子100aに含まれるPD400の等価回路図である。
【0108】
半導体基板300内に設けられたPD400は、
図17に示すように、半導体基板300内に設けられた画素トランジスタ(増幅トランジスタTR2
amp、転送トランジスタTR
trs、リセットトランジスタTR2
rst、選択トランジスタTR2
sel)に配線を介して接続されている。詳細には、PD400の一方は、電荷を転送する転送トランジスタTR
trsのソース/ドレインの一方と配線を介して電気的に接続される。さらに、転送トランジスタTR
trsのソース/ドレインの他方(PD400と接続されていない側)は、リセットトランジスタTR2
rstのソース/ドレインの一方と配線を介して電気的に接続される。また、転送トランジスタTR
trsのゲートは、転送ゲート線TGに電気的に接続され、さらに上述した垂直駆動回路部32に接続される。そして、リセットトランジスタTR2
rstのソース/ドレインの他方(転送トランジスタTR
trsと接続されていない側)は、電源回路(電源電位V
DD)に電気的に接続される。さらに、リセットトランジスタTR2
rstのゲートは、リセット線RST2に電気的に接続され、さらに上述した垂直駆動回路部32に接続される。
【0109】
さらに、転送トランジスタTRtrsのソース/ドレインの他方(PD400と接続されていない側)は、電荷を増幅(変換)して画素信号として出力する増幅トランジスタTR2ampのゲートにも配線を介して電気的に接続される。また、増幅トランジスタTR2ampのソース/ドレインの一方は、選択信号に従って上記画素信号を信号線VSL2に出力する選択トランジスタTR2selのソース/ドレインの一方に、配線を介して電気的に接続される。そして、増幅トランジスタTR2ampのソース/ドレインの他方(選択トランジスタTR2selと接続されていない側)は、電源回路(電源電位VDD)に電気的に接続される。また、選択トランジスタTR2selのソース/ドレインの他方(増幅トランジスタTR2ampと接続されていない側)は、上記信号線VSL2に電気的に接続され、さらに上述したカラム信号処理回路部34に電気的に接続される。そして、選択トランジスタTR2selのゲートは、選択線SEL2に電気的に接続され、さらに上述した垂直駆動回路部32に電気的に接続される。
【0110】
<4.4 固体撮像素子100aの読み出し方法について>
以上、本実施形態に係る固体撮像素子100aの等価回路について説明した。次に、本実施形態に係る固体撮像素子100aの読み出し方法について、
図18を参照して説明する。
図18は、本実施形態に係る固体撮像素子100aの読み出し方法を説明するための説明図である。
【0111】
まずは、本実施形態においては、
図18の左側に示されるように、リセット動作を行う。当該リセット動作においては、選択線SEL1の電位を0Vとし、リセット線RST1の電位を、開始時においては0Vとするものの、電源電位V
DDに切り替える。次いで、リセット線RST1の電位を電源電位V
DDに切り替えると同時に、PD500の蓄積電極510の電位を、電圧印加線ASE1を介して電源電位V
DDから0Vに切替え、所定の時間経過後、電源電位V
DDに再び戻す。そして、PD500の蓄積電極510の電位を電源電位V
DDに再び戻したと同時に、PD600の蓄積電極610の電位を、電圧印加線ASE2を介して電源電位V
DDから0Vに切替え、所定の時間経過後、電源電位V
DDに再び戻す。さらに、PD600の蓄積電極610の電位を電源電位V
DDに再び戻したと同時に、リセット線RST1の電位を0Vに再び戻す。このようなリセット動作により、PD500、600の光電変換膜504、604に蓄積された電荷をリセットすることができる。
【0112】
次に、本実施形態においては、
図18の中央に示されるように、露光、すなわち、PD500、600の光電変換膜504、604に光電変換によって電荷が蓄積される露光動作を行う。当該露光動作においては、選択線SEL1及びリセット線RST1の電位を、0Vに維持する。一方、PD500の蓄積電極510及びPD600の蓄積電極610の電位を、電圧印加線ASE1、ASE2を介して、電源電位V
DDに維持する。このような露光動作により、蓄積電極510、610に引き寄せられるようにして、PD500、600の光電変換膜504、604に電荷が蓄積される。
【0113】
さらに、本実施形態においては、
図18の右側に示されるように、PD500、600の光電変換膜504、604に蓄積された電荷の読み出し動作を行う。当該読み出し動作においては、選択線SEL1の電位を、電源電位V
DDに維持し、読み出しを行う固体撮像素子100aを選択する。次いで、リセット線RST1の電位を0Vから電源電位V
DDに切替え、所定の時間経過後、0Vに再び戻す。このようにすることで、フローティングディフュージョン部314に蓄積された電荷をリセットする。次いで、PD500の蓄積電極510の電位を、電圧印加線ASE1を介して電源電位V
DDから0Vに切替え、所定の時間経過後、電源電位V
DDに再び戻す。このようにすることで、蓄積電極510に引き寄せられるようにして光電変換膜504に蓄積された電荷が、読み出し電極508を介して、フローティングディフュージョン部314に転送される。そして、フローティングディフュージョン部314に転送された電荷は、さらに上記増幅トランジスタTR1
ampによって電圧に変換されることにより、画素信号として読み出される。
【0114】
次に、リセット線RST1の電位を0Vから電源電位VDDに切替え、所定の時間経過後、0Vに再び戻す。このようにすることで、フローティングディフュージョン部314に蓄積された電荷をリセットする。そして、PD600の蓄積電極610の電位を、電圧印加線ASE2を介して電源電位VDDから0Vに切替え、所定の時間経過後、電源電位VDDに再び戻す。このようにすることで、蓄積電極610に引き寄せられるようにして光電変換膜604に蓄積された電荷が、読み出し電極608を介して、フローティングディフュージョン部314に転送される。このようにして、PD600の光電変換膜604に蓄積された電荷が読み出されることとなる。そして、フローティングディフュージョン部314に転送された電荷は、さらに上記増幅トランジスタTR1ampによって電圧に変換されることにより、画素信号として読み出される。
【0115】
以上のようにして、リセット動作、露光動作、読み出し動作といった一連の動作が完了する。すなわち、本実施形態に係る読み出し方法においては、蓄積電極510、610に印加する電位をそれぞれ制御して、光電変換膜504、604のそれぞれに蓄積した電荷を、読み出し電極508、608のそれぞれへ時間差を持って順次転送することができる。さらに、本実施形態においては、読み出し電極508、608に順次転送された電荷を、フローティングディフュージョン部314に順次蓄積し、順次読み出すことができる。
【0116】
以上のように、本実施形態においては、上述のような動作を行うことにより、各PD500、600の光電変換膜504、604に電荷を一時的に蓄積することが可能である。そして、本実施形態においては、上述のような動作を行うことにより、各光電変換膜504、604のそれぞれに蓄積した電荷を、読み出し電極508、608のそれぞれへ時間差を持って順次転送し、時間差を持ってフローティングディフュージョン部314に順次蓄積することができる。従って、本実施形態によれば、順次時間差をもって電荷を転送することができることから、異なるPD500、600において、1つのフローティングディフュージョン部314、及び、1つの貫通電極460を共有することができる。
【0117】
その結果、本実施形態においては、異なるPD500、600が、1つのフローティングディフュージョン部314、及び、1つの貫通電極460を共有することができる。従って、本実施形態によれば、貫通電極460の形成による半導体基板300の加工面積の増加を避け、PD400の入射面の縮小を避けることができることから、PD400に入射する光量が減少せず、PD400の感度特性の低下を避けることができる。さらに、本実施形態によれば、異なるPD500、600が、フローティングディフュージョン部314及び貫通電極460を共有していることから、固体撮像装置1が搭載されるチップの面積が増加することを避けることができる。その結果、本実施形態によれば、固体撮像装置1の製造コストの増加を避けることができる。加えて、本実施形態によれば、異なるPD500、600において、貫通電極460を共有することから、半導体基板300を貫通する貫通電極460の数を少なくすることができる。その結果、本実施形態によれば、半導体基板300の結晶性が低下することに起因する固体撮像装置1の暗電流特性の劣化を避けることができる。
【0118】
<<5. 第3の実施形態>>
上述の第2の実施形態においては、固体撮像素子100aは、青色光については半導体基板300の上方に形成された光電変換膜604で光電変換し、緑色光については、PD600の下方に設けられた光電変換膜504で光電変換し、赤色光については半導体基板300内に設けられたPD400で光電変換する固体撮像素子であった。しかしながら、本開示の実施形態においては、このような構成に限定されるものではなく、青色光、緑色光、及び赤色光を半導体基板300上に積層された3つの光電変換膜で光電変換する固体撮像素子100bであってもよい。そこで、
図19を参照して、本開示の第3の実施形態として、半導体基板300上に積層された3つの光電変換膜504、604、704を有する固体撮像素子100bの積層構造を説明する。
図19は、本実施形態に係る画素アレイ部10bの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10bには、半導体基板300上に積層された3つの光電変換膜504、604、704を有する固体撮像素子100bがマトリックス状に配列される。
【0119】
詳細には、
図19に示されるように、本実施形態に係る固体撮像素子100bは、半導体基板300内にPD400が設けられていないこと除けば、配線層200からPD600までは、上述した第2の実施形態と同様の構成を持つ。従って、ここでは、配線層200からPD600までの詳細構成については、説明を省略する。
【0120】
本実施形態においては、貫通電極660は、
図19に示すように、電極674からPD600の読み出し電極608まで、絶縁膜650の一部及びPD600を貫通するように設けられている。そして、本実施形態においては、電極674、774が互いに接合面JS2において接合されている。また、貫通電極660と配線730とが、電極674、774を介して電気的に接続される。本実施形態においては、電極674は、PD600の接合面JS2上に設けられ、電極774は、PD700の接合面JS2上に設けられる。従って、本実施形態において、PD600及びPD700は、互いに向かい合う接合面JS2において接合されていると言える。
【0121】
そして、本実施形態において、PD700の読み出し電極708は、配線730及び貫通電極660を介して、PD600の読み出し電極608に電気的に接続されている。さらに、PD700の読み出し電極708は、貫通電極460、560、660を介して、半導体基板300に設けられたフローティングディフュージョン部314と電気的に接続されている。従って、上記フローティングディフュージョン部314は、貫通電極460、560、660により、PD700における光電変換によって生成された電荷を一時的に蓄積することができる。さらに、当該貫通電極660は、PD700の読み出し電極708を、貫通電極560と貫通電極460とを介して、半導体基板300に設けられた画素トランジスタに電気的に接続することができる。なお、本実施形態においては、貫通電極660は、絶縁膜650の一部及びPD600を貫通してもよく、もしくは、PD600のみを貫通してもよく、特に限定されるものではない。
【0122】
また、本実施形態においては、貫通電極660は、上述の貫通電極560と同様に、Cu等の金属膜等から形成することができる。また、当該貫通電極660の外周には、上述の貫通電極560と同様に、貫通電極660とPD600との短絡を防ぐために、SiO2等からなる絶縁膜662が設けられていてもよい。なお、貫通電極660は、上述の貫通電極560と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0123】
さらに、本実施形態においては、配線層720の上には、光を電荷に変換するPD700が設けられている。詳細には、PD700として、上述のPD500、600と同様に、共通電極(上部電極)702と、光電変換膜704と、絶縁膜706と、読み出し電極(下部電極)708と、蓄積電極710とが順次積層されている。なお、共通電極702、光電変換膜704、絶縁膜706、読み出し電極708、及び蓄積電極710は、上述のPD500、600と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0124】
また、
図19に示すように、読み出し電極708は、配線730及び貫通電極660を介して、貫通電極560と電気的に接続されている。共通電極702は、当該共通電極702に所望の電位を印加する配線770と電気的に接続されている。さらに、蓄積電極710は、当該蓄積電極710に所望の電位を印加する配線772と電気的に接続されている。
【0125】
本実施形態に係る固体撮像素子100bは、例えば、青色光については半導体基板300の上方に形成された光電変換膜704(PD700)で光電変換し、緑色光については、PD700の下方に設けられた光電変換膜604(PD600)で光電変換し、赤色光については、PD600の下方に設けられた光電変換膜504(PD500)で光電変換することができる。
【0126】
なお、光電変換膜504を、赤色光を検出する光電変換膜として機能させる場合には、当該光電変換膜504は、例えば、フタロシアニン系色素、サブフタロシアニン系色素(サブフタロシアニン誘導体)等を含むことができる。
【0127】
本実施形態によれば、半導体基板300上に積層された3つの光電変換膜504、604、704を有する固体撮像素子100bであっても、第2の実施形態と同様に、製造コストの増加を避けつつ、特性の劣化を避けることができる。
【0128】
詳細には、本実施形態においても、上述の第2の実施形態の固体撮像素子100aの読み出し方法のような動作を行うことにより、蓄積電極510、610、710によって、各PD500、600、700の光電変換膜504、604、704に電荷を一時的に蓄積することが可能である。従って、本実施形態によれば、異なるPD500、600、700において、フローティングディフュージョン部314及び貫通電極460を共有することができる。
【0129】
その結果、本実施形態においても、貫通電極460の形成による半導体基板300の加工面積の増加を避け、PD400の入射面の縮小を避けることができることから、PD400の感度特性の低下を避けることができる。さらに、本実施形態によれば、異なるPD500、600、700が、フローティングディフュージョン部314及び貫通電極460を共有していることから、固体撮像装置1が搭載されるチップの面積が増加することを避け、ひいては製造コストの増加を避けることができる。加えて、本実施形態によれば、異なるPD500、600、700において、貫通電極460を共有することから、半導体基板300を貫通する貫通電極460の数を少なくすることができる。その結果、本実施形態によっても、半導体基板300の結晶性が低下することに起因する固体撮像装置1の暗電流特性の劣化を避けることができる。
【0130】
なお、本実施形態においては、半導体基板300上に積層された3つの光電変換膜504、604、704を有する固体撮像素子100aに限定されるものではなく、例えば、半導体基板300上に積層された4つ以上の光電変換膜を有する固体撮像素子であってもよい。
【0131】
また、本実施形態では、第2の実施形態に係る固体撮像素子100aにPD700を追加する構成について示したが、これに限定されない。同様に、第1の実施形態に係る固体撮像素子100にPD700を追加するようにしてもよい。
【0132】
<<6. 第4の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、PD500、600は、転送電極512、612及びシールド電極514、614を有していてもよい。そこで、
図20を参照して、本開示の第4の実施形態として、転送電極512、612及びシールド電極514、614を持つPD500、600を有する固体撮像素子100cの積層構造を説明する。
図20は、本実施形態に係る画素アレイ部10cの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10cには、転送電極512、612及びシールド電極514、614を持つPD500、600を含む固体撮像素子100cがマトリックス状に配列されている。
【0133】
詳細には、本実施形態においては、
図20に示すように、PD500、600は、読み出し電極508、608と蓄積電極510、610との間に設けられ、共通電極502、602と、光電変換膜504、604及び絶縁膜506、606を介して対向する転送電極512、612をさらに有している。上記転送電極512、612は、読み出し電極508、608と蓄積電極510、610との間に設けられ、電荷の転送を制御する電極である。より具体的には、当該転送電極512、612は、光電変換膜504、604に電荷を蓄積する蓄積期間の間には、所定の電位が印加され、蓄積電極510、510に引き寄せられるようにして蓄積された電荷をせき止めることができる。さらに、当該転送電極512、612は、電荷を転送する転送期間の間には、開放状態になって、蓄積された電荷を読み出し電極508、608により容易に転送することができる。
【0134】
さらに、本実施形態においては、
図20に示すように、PD500、600は、読み出し電極508、608と蓄積電極510、610との間に設けられ、共通電極502、602と、光電変換膜504、604及び絶縁膜506、606を介して対向するシールド電極514、614をさらに有している。上記シールド電極514、614は、例えば、所定の電位に維持され、隣り合う固体撮像素子100bから、又は、隣り合う固体撮像素子100bへの電荷のリークを抑制する電極である。
【0135】
なお、転送電極512、612及びシールド電極514、614は、上述した読み出し電極508、608及び蓄積電極510、610と同様の材料で形成することが可能である。さらに、転送電極512、612及びシールド電極514、614は、上述した読み出し電極508、608及び蓄積電極510、610と同時に形成することが可能である。
【0136】
ここで、
図21を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100cのレイアウト構成について説明する。
図21は、
図20のD2-D2´線に沿って固体撮像素子100cを切断した際の断面図である。なお、
図21では、4画素(4つの固体撮像素子100c)の断面を示している。
【0137】
ここで、
図21では、
図20に示すA2-A2´線(絶縁膜606と蓄積電極610との界面)に沿って固体撮像素子100cを切断し、切断面を固体撮像素子100cの上方から見た場合の断面を示している。
図21に示すように、シールド電極614は、蓄積電極610及び読み出し電極608の周囲を取り囲むように配置されている。また、転送電極612は、蓄積電極610と読み出し電極608との間に配置されている。なお、転送電極512及びシールド電極514も、シールド電極614と同様に配置されるため、図示を省略する。
【0138】
図22は、
図20のA2-A2´線に沿って固体撮像素子100cを切断した際の断面図である。
図20では、1画素ごとに読み出し電極608を設ける場合について示したが、第1の実施形態の第1の変形例で示したように読み出し電極608を複数の画素で共有することもできる。
図20では、4つの画素で1つの読み出し電極608を共有する場合について示している。この場合においては、
図22に示すように、シールド電極614は、読み出し電極608に近い部分が開いた状態で蓄積電極610を取り囲んでいる。このように、4つの画素で1つの読み出し電極608を共有している場合、シールド電極614は一部が開口した状態で蓄積電極610を取り囲むように配置され、シールド電極614の開口部に読み出し電極608が配置される。また、転送電極612は、蓄積電極610と読み出し電極608との間に、読み出し電極608を取り囲むように配置されている。なお、転送電極512及びシールド電極514も、シールド電極614と同様に配置されるため、図示を省略する。
【0139】
以上、本実施形態によれば、PD500、600が、シールド電極514、614を有することにより、各PD500、600の特性をより向上させることができる。
【0140】
また、本実施形態では、第2の実施形態に係る固体撮像素子100aにシールド電極514、614を追加する構成について示したが、これに限定されない。同様に、第1の実施形態に係る固体撮像素子100にシールド電極514、614を追加するようにしてもよい。
【0141】
<<7. 第5の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、電極573、673の形状は、四角形に限定されない。そこで、本開示の第5の実施形態として、
図23を参照して、電極573、673が略円形である場合について説明する。
図23は、本実施形態に係る電極673の形状を説明するための図である。
図23は、例えば第1の実施形態における
図3のB-B´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。
【0142】
ここで、
図23では、
図3に示すB-B´線(絶縁膜640と電極673との界面)に沿って固体撮像素子100を切断し、切断面を固体撮像素子100の上方から見た場合の断面を示している。本実施形態においては、
図23に示すように、電極673の形状を略円形としている。なお、電極573の形状は、電極673の形状と略同一であるため、図示を省略する。
【0143】
電極573、673を略円形とすることで、四角形の場合と比べて四隅がリセスにより窪むことを防止することができ、空洞(Void)が生成されることを避けることができる。
【0144】
なお、ここでは、第1の実施形態における電極573、673の形状を略円形としたが、第2から第4の実施形態における電極573、673、674、774も同様に略円形とすることができる。
【0145】
なお、ここでは、電極573、673の形状を略円形にするとしたが、これに限定されない。本実施形態においては、電極573、673の形状は、例えば多角形など、種々の形状を取り得る。
【0146】
<<8. 第6の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、PD500、600は、ダミー電極575、675を有していてもよい。そこで、
図24を参照して、本開示の第6の実施形態として、ダミー電極575、675を持つPD500、600を有する固体撮像素子100dの積層構造を説明する。
図24は、本実施形態に係る画素アレイ部10dの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10dには、ダミー電極575、675を持つPD500、600を含む固体撮像素子100dがマトリックス状に配列されている。
【0147】
詳細には、本実施形態においては、
図24に示すように、PD500は、接合面JS上であって、各固体撮像素子100dの電極573の間に、ダミー電極575をさらに有している。同様に、PD600は、接合面JS上であって、各固体撮像素子100dの電極673の間に、ダミー電極675をさらに有している。
【0148】
なお、ダミー電極575、675は、上述した電極573、673と同様の材料で形成することが可能である。さらに、ダミー電極575、675は、上述した電極573、673と同時に形成することが可能である。
【0149】
ここで、
図25を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100cのレイアウト構成について説明する。
図25は、
図24のB3-B3´線に沿って固体撮像素子100dを切断した際の断面図である。なお、
図25では、4画素(4つの固体撮像素子100d)で1つの読み出し電極508、608を共有する場合の断面を示している。
【0150】
本実施形態においては、
図25に示すように、電極673の周囲に複数のダミー電極675を配置している。本実施形態においては、電極673は、例えば
図5に示す固体撮像素子100の電極673の大きさより小さく形成される。なお、ダミー電極575は、ダミー電極675と同様に形成されるため、図示を省略する。
【0151】
ここで、
図26及び
図27を用いて本実施形態におけるダミー電極575、675を設けることによる効果について説明する。
図26及び
図27は、本実施形態に係るダミー電極575、675を設けることによる効果を説明するための図である。
【0152】
まず、
図26を用いて、ダミー電極675を設けていない場合において、電極673を形成する場合について説明する。電極673を形成する場合、絶縁膜640上に形成される透明導電層676を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法やドライエッチング法によって平坦化することで、電極673を形成する。このとき、研磨レートが絶縁膜640より大きい電極673の面積が大きく、絶縁膜640と電極673との粗密差が大きいと、電極673の平坦化が進み、ディッシングやエロージョンにより絶縁膜640及び電極673に段差が発生してしまう。
【0153】
一方、ダミー電極675を設けると、電極673及びダミー電極675と絶縁膜640との粗密差を低くすることができ、
図27に示すように、電極673のディッシングやエロージョンを抑制することができる。これにより、絶縁膜640、電極673及びダミー電極675の段差を抑えることができる。
【0154】
なお、本実施形態においては、電極673の周囲に複数のダミー電極675を配置するとしたが、これに特に限定されず、ダミー電極675の数は1つであってもよい。
【0155】
<<9. 第7の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、電極573a、673aが開口部を有していてもよい。そこで、
図28を参照して、本開示の第7の実施形態として、電極573a、673aを持つPD500、600を有する固体撮像素子100eの積層構造を説明する。
図28は、本実施形態に係る画素アレイ部10eの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10eには、電極573a、673aを持つPD500、600を含む固体撮像素子100eがマトリックス状に配列されている。
【0156】
ここで、
図29を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100eのレイアウト構成について説明する。
図29は、
図28のB4-B4´線に沿って固体撮像素子100eを切断した際の断面図である。なお、
図29では、4画素(4つの固体撮像素子100e)で1つの読み出し電極508、608を共有する場合の断面を示している。
【0157】
本実施形態においては、
図29に示すように、電極673aは4つの四角い開口部が形成された格子状を有する。このように、電極673aを格子状に形成することで、絶縁膜640と電極673aとの粗密差を低減することができ、第6の実施形態と同様に、電極673aを形成する際のエロージョンを抑制することができる。なお、電極573aも電極673aと同様の形状であるため、図示を省略する。
【0158】
以上、本実施形態によれば、電極573a、673aを格子状に形成することで、絶縁膜640と電極573a、673aとの粗密差(電極573a、673aの面積率)を極力抑えながらも、接合面JSでの接合ずれが発生した場合でも電極573a、673aが接合しやすく、貫通電極630と貫通電極560とをより確実に電気的に接続することができる。また、電極573a、673aを格子状に形成することで、接合面JSでの接合ずれが発生した場合でも、固体撮像素子100eに光が入射する方向(
図28の上方)から見て、電極573a、673aの面積密度が均一になるため、固体撮像素子100eに入射する光が光学的に均一になる。さらに、電極573a、673aの面積密度が均一であることから、電極573a、673aを精度よく、且つ、均一に形成することができる。
【0159】
なお、電極573a、673aの形状は、
図29に示す形状に限定されない。
図30は、
図28のB4-B4´線に沿って固体撮像素子100eを切断した際の断面図であり、
図31は、
図28のB4-B4´線に沿って固体撮像素子100eを切断した際の断面図である。
図30に示すように、電極673aが8つの四角い開口部がマトリクス状に形成された格子状であってもよい。あるいは、
図31に示すように、電極673aが、
図29に示す電極673aより大きな開口部が形成され、格子の幅が細い形状であってもよい。なお、電極573aは、電極673aと同じ形状であるため、図示を省略する。このように、本実施形態における電極573a、673aの開口部の数や格子の幅は、種々の値を取り得る。
【0160】
なお、電極573a、673aの形状や、電極573a、673aに形成される開口部の形状は四角形に限定されない。電極573a、673aの形状は、第5の実施形態で示したように略円形であってもよい。また、電極573a、673aに形成される開口部の形状が略円形であってもよい。このように、電極573a、673aや該電極573a、673aに形成される開口部は、種々の形状を取り得る。
【0161】
<<10. 第8の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、電極573f、673fの大きさが異なっていてもよい。そこで、
図32を参照して、本開示の第8の実施形態として、大きさが異なる電極573f、673fを持つPD500、600を有する固体撮像素子100fの積層構造を説明する。
図32は、本実施形態に係る画素アレイ部10fの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10fには、電極573f、673fを持つPD500、600を含む固体撮像素子100fがマトリックス状に配列されている。
【0162】
ここで、
図33及び
図34を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100fのレイアウト構成について説明する。
図33は、
図32のB5-B5´線に沿って固体撮像素子100fを切断した際の断面図である。
図34は、
図32のC5-C5´線に沿って固体撮像素子100fを切断した際の断面図である。なお、
図33及び
図34では、4画素(4つの固体撮像素子100f)で1つの読み出し電極508、608を共有する場合の断面を示している。
【0163】
本実施形態においては、
図33及び
図34に示すように、電極673fの固体撮像素子100fの光が入射する方向から見た一辺の長さd1は、電極573fの固体撮像素子100fの光が入射する方向から見た一辺の長さd2より短い。このように、本実施形態においては、電極673fが、電極573fと接する面(接合面JS)において電極573fより小さく形成される。
【0164】
以上、本実施形態によれば、電極573f、673fを異なる大きさに形成することで、例えば電極573f、673fで製造プロセスに適したサイズが異なる場合であっても、該製造プロセスに適したサイズをそれぞれ選択することができるようになる。
【0165】
<<11. 第9の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、PD500、600がストッパー層577、677を有していてもよい。そこで、
図35を参照して、本開示の第9の実施形態として、ストッパー層577、677を持つPD500、600を有する固体撮像素子100gの積層構造を説明する。
図35は、本実施形態に係る画素アレイ部10gの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10gには、ストッパー層577、677を持つPD500、600を含む固体撮像素子100gがマトリックス状に配列されている。
【0166】
本実施形態においては、
図35に示すように、ストッパー層577は、共通電極502に絶縁膜580を介して対向するように形成される。また、ストッパー層677は、蓄積電極610に絶縁膜640を介して対向するように形成される。ストッパー層577、677は、例えば接合面JS上の電極573、673が形成される領域を除いた領域に形成される。ストッパー層577、677は、電極573、673と比較して研磨レートが例えば0.1倍以下であればよく、例えばSiNx(窒化シリコン膜)で形成される。このように、ストッパー層577、677は、硬質絶縁材料で形成される。
【0167】
ここで、
図36を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100gのレイアウト構成について説明する。
図36は、
図35のB6-B6´線に沿って固体撮像素子100gを切断した際の断面図である。なお、
図36では、4画素(4つの固体撮像素子100g)で1つの読み出し電極508、608を共有する場合の断面を示している。本実施形態においては、
図36に示すように、電極673の周囲にストッパー層677が形成される。なお、ストッパー層577も、ストッパー層677と同様に配置されるため、図示を省略する。
【0168】
次に、
図37を用いて、本実施形態に係る固体撮像素子100gの製造方法について説明する。
図37は、本実施形態に係る固体撮像素子100gの製造方法を説明するための図である。なお、
図37では、説明に使用する符号のみを付し、それ以外の符号の図示を省略している。
【0169】
まず、
図37(a)に示すように、絶縁膜580が形成された半導体基板300に、ストッパー層577が成膜される。続いて、
図37(b)に示すように、ドライエッチングにより、ストッパー層577の一部が開口される。その後、
図37(c)に示すように、半導体基板300のストッパー層577の上方に透明導電層578が形成され、かかる透明導電層578を例えば法やドライエッチング法によって平坦化することで、
図37(d)に示すように、電極573が形成される。このとき、ストッパー層577が形成されていることで、電極573の膜減りを抑制することができ、電極573と絶縁膜580との段差を低減することができる。
【0170】
図37(d)に示すように、ストッパー層677及び電極673が配線層620に形成された半導体基板900が、半導体基板300に接合される。なお、ストッパー層677及び電極673は、ストッパー層577及び電極573と同様に構成することができる。また、以降の製造方法は、
図8に示す製造方法と同じであるため、説明を省略する。
【0171】
以上のように、本実施形態に係る固体撮像素子100gは、接合面JS上にストッパー層577、677を設けることで、電極573、673の平坦化処理において電極573、673の膜減りを抑制することができ、接合面JSをより平坦に形成することができる。
【0172】
なお、ここでは、
図9から
図12に示す固体撮像素子100にストッパー層577、677を追加する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、
図3から
図7に示す固体撮像素子100や、他の実施形態に示す固体撮像素子100a~100fにストッパー層577、677を追加してもよい。なお、例えば、
図29から
図31に示すように、電極573a、673aに穴を形成することで電極573a、673aの面積率を抑えた固体撮像素子100eにストッパー層577、677を追加することで、接合面JSにおけるストッパー層577、677の面積率を増加させることができ、ストッパーとしての性能を向上させることができる。
【0173】
<<12. 第10の実施形態>>
第9の実施形態においては、固体撮像素子100gがストッパー層577、677を備える点について説明したが、さらに、本開示の実施形態においては、PD500がストッパー層579を有していてもよい。そこで、
図38を参照して、本開示の第10の実施形態として、ストッパー層579を持つPD500を有する固体撮像素子100hの積層構造を説明する。
図38は、本実施形態に係る画素アレイ部10hの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10hには、ストッパー層579を持つPD500を含む固体撮像素子100hがマトリックス状に配列されている。
【0174】
本実施形態においては、
図38に示すように、ストッパー層579は、絶縁膜580と電極573との間に形成される。ストッパー層579は、ストッパー層577、677と同様に、電極573、673と比較して研磨レートが例えば0.1倍以下であればよく、例えばSiNxで形成される。
【0175】
ここで、絶縁膜580、ストッパー層579及び電極573の屈折率は、絶縁膜580、ストッパー層579及び電極573の順で大きくなる。これにより、ストッパー層579がない場合に比べて、電極573の界面における屈折率差を小さくすることができ、固体撮像素子100hに入射する光の集光特性を向上させることができる。
【0176】
ここで、
図39を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100gのレイアウト構成について説明する。
図39は、
図38のB7-B7´線に沿って固体撮像素子100hを切断した際の断面図である。なお、
図38では、4画素(4つの固体撮像素子100h)で1つの読み出し電極508、608を共有する場合の断面を示している。本実施形態においては、
図38に示すように、電極673の周囲にストッパー層677が形成される。また、ストッパー層679は、積層構造の積層方向に対して固体撮像素子100hを切断した断面において電極673と略同一の形状を有する。
【0177】
次に、
図40を用いて、本実施形態に係る固体撮像素子100hの製造方法について説明する。
図40は、本実施形態に係る固体撮像素子100hの製造方法を説明するための図である。なお、
図40では、説明に使用する符号のみを付し、それ以外の符号の図示を省略している。
【0178】
まず、
図40(a)に示すように、ドライエッチングによって、絶縁膜580の一部がエッチングされる。
図40(b)に示すように、エッチングされた絶縁膜580に、ストッパー層577、579が成膜される。続いて、
図40(c)に示すように、ドライエッチングにより、電極573と貫通電極560とを接続するために、ストッパー層577の一部が開口される。その後、
図40(d)に示すように、半導体基板300のストッパー層577、579の上方に透明導電層578が形成され、かかる透明導電層578を例えばCMP法やドライエッチング法によって平坦化することで、
図40(e)に示すように、電極573が形成される。このとき、ストッパー層577が形成されていることで、電極573の膜減りを抑制することができ、電極573と絶縁膜580との段差を低減することができる。
【0179】
図40(e)に示すように、ストッパー層677及び電極673が配線層620に形成された半導体基板900が、半導体基板300に接合される。なお、ストッパー層677及び電極673は、ストッパー層577及び電極573と同様に構成することができる。また、以降の製造方法は、
図8に示す製造方法と同じであるため、説明を省略する。
【0180】
以上のように、本実施形態に係る固体撮像素子100hは、絶縁膜580と電極573との間にストッパー層579を設けることで、電極573の界面における屈折率差を抑制することができ、固体撮像素子100hに入射する光の集光特性を向上させることができる。
【0181】
なお、ここでは、絶縁膜580と電極573との間にストッパー層579を設ける場合について説明したが、これに限定されない。例えば、絶縁膜640と電極673との間にストッパー層679(図示省略)を設けてもよい。
【0182】
<<13. 第11の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、電極573b、673bの大きさを小さくしてもよい。そこで、
図41を参照して、本開示の第11の実施形態として、電極573b、673bを持つPD500、600を有する固体撮像素子100iの積層構造を説明する。
図41は、本実施形態に係る画素アレイ部10iの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10iには、電極573b、673bを持つPD500、600を含む固体撮像素子100iがマトリックス状に配列されている。
【0183】
本実施形態においては、
図41に示すように、電極573b、673bは、例えば、
図35に示す電極573、673と比較して小さく形成される。
【0184】
ここで、
図42を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100gのレイアウト構成について説明する。
図42は、
図41のB8-B8´線に沿って固体撮像素子100iを切断した際の断面図である。なお、
図41では、4画素(4つの固体撮像素子100i)で1つの読み出し電極508、608を共有する場合の断面を示している。本実施形態においては、
図42に示すように、積層構造の積層方向に対して固体撮像素子100iを切断した断面において電極673bは、面積が例えば
図36に示す電極673より小さく形成される。なお、電極573bの形状は、電極673bと同じであるため図示を省略する。
【0185】
このように、電極573b、673bを小さく形成することで、接合面JSにおけるストッパー層577、677の面積率を増加させることができ、ストッパーとしての性能を向上させることができる。
【0186】
<<14. 第12の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、ストッパー層677をPD600に設け、ストッパー層577を省略してもよい。そこで、
図43を参照して、本開示の第12の実施形態として、ストッパー層677を持つPD600を有する固体撮像素子100jの積層構造を説明する。
図43は、本実施形態に係る画素アレイ部10jの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10jには、ストッパー層677を持つPD600を含む固体撮像素子100jがマトリックス状に配列されている。
【0187】
本実施形態においては、
図43に示すように、PD600の接合面JSにおいてストッパー層677が形成される。一方、PD500の接合面JSにはストッパー層577は形成されていない。換言すると、本実施形態における固体撮像素子100jは、第1の実施形態におけるPD500と、第9の実施形態におけるPD600とを接合した固体撮像素子であるとも言える。
【0188】
このように、ストッパー層677が形成されたPD600と、ストッパー層577が形成されていないPD500とを接合面JSで接合することで、固体撮像素子100jの接合強度を向上させることができる。
【0189】
なお、ここでは、PD600にストッパー層677を設けるとしたが、これに限定されない。ストッパー層を設けるPDは、PD500、600のいずれか一方であればよく、例えばPD500にストッパー層577を設け、PD600のストッパー層677を省略してもよい。
【0190】
<<15. 第13の実施形態>>
さらに、本開示の実施形態においては、ストッパー層577、677の間に絶縁膜681を形成してもよい。そこで、
図44を参照して、本開示の第13の実施形態として、絶縁膜681を有する固体撮像素子100kの積層構造を説明する。
図44は、本実施形態に係る画素アレイ部10kの断面図であり、詳細には、当該画素アレイ部10kには、絶縁膜681を有する固体撮像素子100kがマトリックス状に配列されている。
【0191】
本実施形態においては、
図44に示すように、接合面JS全体に渡って、絶縁膜681が形成される。本実施形態においては、絶縁膜681は、ストッパー層577、677とは異なる材料で形成される。詳細には、絶縁膜681は、膜厚の制御が容易な成膜方法を用いて形成されることが好ましく、例えばALD酸化膜あるいはTEOS膜(すなわち、原料ガスにtetraethylorthosilicateを用いた酸化シリコン膜)等によって形成することができ、特に限定されるものではない。絶縁膜681をTEOS膜で形成する場合、絶縁膜681は酸素供給源になることもできる。
【0192】
ここで、
図45を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100kのレイアウト構成について説明する。
図45は、
図44のB9-B9´線に沿って固体撮像素子100kを切断した際の断面図である。なお、
図45では、4画素(4つの固体撮像素子100k)で1つの読み出し電極508、608を共有する場合の断面を示している。本実施形態においては、
図45に示すように、ストッパー層677及び電極673を覆うように絶縁膜681が形成される。
【0193】
このように、本実施形態においては、絶縁膜681は、電極573、673の間にも形成されるが、電極573、673が導通する程度の膜厚で成膜されるため、電極573、673は、互いに電気的に接続された状態となる。ここで、電極573、673が導通するとは、電極573、673は、互いに電気的に接続された状態、すなわち、PD600からフローティングディフュージョン部314に電荷が蓄積できることを意味する。また、電極573、673が導通する程度の膜厚は、例えば数nm程度、より具体的には5nm以下の膜厚が好ましく、このように薄く形成することにより、電極573、673の間の導通を確保しつつ、ストッパー層577、677の間の接合強度を向上させることができる。従って、先に説明したように、絶縁膜681は、膜厚の制御が容易な成膜方法を用いて形成されることが好ましい。
【0194】
このように、ストッパー層577、677の間に絶縁膜681を形成することで、固体撮像素子100jの接合強度を向上させることができる。
【0195】
<<16. 第14の実施形態>>
ところで、上述した本開示の実施形態においては、複数の光電変換素子400、500、600を積層することにより、固体撮像装置1を小型化していた(例えば、
図13 参照)。しかしながら、このような構造においては、複数の光電変換素子400、500、600を積層していることから、固体撮像装置1が積層方向に沿って高くなる(厚みが増す)こととなる。その結果、このような構造においては、上方に位置する光電変換素子600を透過した光を、下方に位置する光電変換素子500、400において十分に取り込むことが難しい場合がある。また、このような構造においては、積層方向に沿って高くなることに起因して、斜入射光による隣接する固体撮像素子(画素)100へのクロストークが発生しやすくなる場合もある。
【0196】
そこで、以下においては、本開示の第14の実施形態として、上方に位置する光電変換素子600を透過した光を、下方に位置する光電変換素子500、400に高効率で集光することができる構造を提案する。詳細には、以下に説明する本実施形態においては、積層方向における、複数の光電変換素子400、500、600の間に、集光するための集光要素(具体的には、導波路、インナーレンズ、隔壁等)を設ける。本実施形態によれば、このような集光要素を複数の光電変換素子400、500、600の間に設けることにより、下方に位置する光電変換素子500、400に高効率で集光することが可能となる。その結果、本実施形態によれば、固体撮像装置1の感度特性を向上させることができ、さらには上述のクロストークの発生を抑えることができる。以下、本実施形態の詳細について順次説明する。
【0197】
まず、
図46を参照して本実施形態の構造例の1つを説明する。
図46は、本実施形態に係る画素アレイ部10lの断面図である。具体的には、本実施形態においては、
図46に示すように、反射防止膜402上の、SiO2等からなる、光を透過することができる絶縁膜540内に、上記集光要素として導波路404aを設ける。さらに、本実施形態においては、光電変換素子500上の絶縁膜580内にも、上記集光要素として導波路404bを設ける。すなわち、本実施形態においては、下方に位置する光電変換素子500、400に集光することが可能な導波路404a、404bは、固体撮像素子100の積層方向における、光電変換素子400、500、600の間に設けられている。導波路404a、404bとしては、例えばSi3N4(屈折率1.9程度)を用いて形成することが好ましく、この場合、絶縁膜540、580をSiO2(屈折率1.4程度)によって形成することにより、屈折率差により、導波路404a、404bに集光することが可能となる。なお、本実施形態においては、導波路404a、404b及び絶縁膜540、580の材料は特に限定されるものではない。しかしながら、本実施形態においては、導波路404a、404bの材料の屈折率と絶縁膜540、580の材料の屈折率の差が0.2程度以上にすることが好ましく、このようにすることで、導波路404a、404bの集光効率をより向上させることができる。さらに、
図46に示す構造例は、各種の半導体プロセス技術により形成することが可能である。
【0198】
以上のように、本実施形態によれば、上述のような導波路404a、404bを複数の光電変換素子400、500、600の間に設けることにより、下方に位置する光電変換素子500、400に高効率で集光することが可能となる。その結果、本実施形態によれば、固体撮像装置1の感度特性を向上させることができ、さらには、上述したようなクロストークの発生を抑えることができる。
【0199】
また、本実施形態は、
図47に示すように変形してもよい。次に、
図47を参照して、本実施形態の構造例の変形例1を説明する。
図47は、本実施形態の変形例1に係る画素アレイ部10mの断面図である。具体的には、本変形例1においては、上述の導波路404a、404bの代わりに、下方に位置する光電変換素子500、400に集光することが可能なインナーレンズ406a、406bを設けている。当該インナーレンズ406a、406bは、絶縁膜540、580の材料の屈折率1.4~1.6程度に比べて高い屈折率を有する材料で形成することが好ましく、1.8以上の屈折率を有する材料で形成することがより好ましい。当該インナーレンズ406a、406bの材料としては、塗布系の高屈折率材料、例えば、TiOx、ZnOx等の透明金属酸化膜微粒子が含有されたシロキサン系樹脂の材料膜や、CVD法により形成するSiN膜、SiON膜、TiOx膜等を挙げることができる。
【0200】
図47に示す構造は、例えば以下のようにして形成することができる。反射防止膜402上に高屈折率材料からなる高屈折率層(図示省略)を形成し、当該高屈折率層上にインナーレンズ406a、406bを形成するためのレジストを形成する。そして、レジスト形成後、リソグラフィによってレンズパターンを形成し、熱処理(リフロー)を行うことで、インナーレンズ406a、406bの外形に対応する円丘状のレジストが形成される。その後、ドライエッチングにより全面エッチバックを行うことにより、上記レジストの形状が高屈折率層に転写されることにより、インナーレンズ406a、406bが形成される。なお、上記エッチングに用いるエッチングガスとしては、CF4、C4F8等のフロロカーボンガスやO2等を挙げることができる。
【0201】
以上のように、
図47に示す構造例によれば、インナーレンズ406a、406bを複数の光電変換素子400、500、600の間に設けることにより、下方に位置する光電変換素子500、400に高効率で集光することができる。その結果、本変形例によれば、固体撮像装置1の感度特性を向上させることができ、さらには上述したようなクロストークの発生を抑えることができる。
【0202】
また、本実施形態は、
図48に示すように変形することもできる。次に、
図48を参照して、本実施形態の構造例の変形例2を説明する。
図48は、本実施形態の変形例2に係る画素アレイ部10nの断面図である。具体的には、本変形例2においては、上述の導波路404a、404bの代わりに、隔壁408a、408b、408cを設けている。例えば、絶縁膜540、580、640をSiO2(屈折率1.4程度)で形成する場合には、隔壁408a、408b、408cはSi3N4(屈折率1.9程度)を用いて形成することが好ましい。本変形例においては、隔壁408a、408b、408cの材料は特に限定されるものではないが、隔壁408a、408b、408cの材料の屈折率と絶縁膜540、580、640の材料の屈折率の差が0.2程度以上にすることが好ましく、このようにすることで、集光効率をより向上させることができる。また、隔壁408a、408b、408cの材料としては、メタル材料(Al、W、Ti、TiN、TiAl(チタン-アルミニウム)、Cu、Ta(タンタル)、TaN、Co、Ru等、もしくはこれらの元素を含む材料)を用いてもよい。
【0203】
以上のように、
図48に示す構造例によれば、このような隔壁408a、408b、408cを複数の光電変換素子400、500、600の間に設けることにより、下方に位置する光電変換素子500、400に高効率で集光することができる。その結果、本変形例によれば、固体撮像装置1の感度特性を向上させることができ、さらには上述のクロストークの発生を抑えることができる。
【0204】
さらに、本開示においては、上述した本実施形態及び変形例1、2を適宜組み合わせて実施することも可能である。また、本実施形態においては、導波路404a、404b、インナーレンズ406a、406b、隔壁408a、408b、408cを設ける位置は、上述した位置に限定されるものではなく、他の位置に設けられてもよく、特に限定されるものではない。
【0205】
<<17. 第15の実施形態>>
ところで、上述した本開示の実施形態においては、複数の光電変換素子500、600を積層し、これらの光電変換素子500、600を電気的に接続する貫通電極560が設けられている。そして、上述した本開示の実施形態においては、例えば1つの貫通電極560が、これら光電変換素子500、600の間で共有されることにより、加工面積の縮小や、画素トランジスタの面積の拡大を図ることができる。しかしながら、上述した本開示の実施形態においては、
図13からわかるように、光電変換素子600に接続する貫通電極560と、光電変換素子500(具体的には、開口から露出する光電変換膜504)との電気的接続を確保するために、読み出し電極508のサイズが大きくなってしまうことを避けることが難しい。その結果、上述した本開示の実施形態においては、読み出し電極508のサイズが大きくなることに起因して、光電変換素子500、400に光が入射するための入射面のサイズが縮小してしまうことを避けることが難しい場合がある。
【0206】
そこで、以下において、光電変換素子500、400に光が入射するための入射面のサイズが縮小することを避けることを可能にする、本開示の第15の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態においては、光電変換素子500(詳細には、光電変換膜504)と電気的に接続された透明導電層480を設けるような構造を提案する。なお、ここでは、光電変換素子500と電気的に接続された透明導電層480を備えるとしたが、光電変換素子600(詳細には、光電変換膜604)と電気的に接続された透明導電層582を設けるような構造を有していてもよい。なお、透明導電層582は、透明導電層480と同様の構成を有することができるため、ここでの説明は省略する。
【0207】
さらに、本実施形態においては、貫通電極560aは、上記透明導電層480を介して、半導体基板300を貫く貫通電極460aと電気的に接続されているような構造を提案する(
図49 参照)。このような構造によれば、貫通電極560a及び透明導電層480を介して、光電変換素子500、600間の電気的接続を確保することができる。さらに、このような構造によれば、画素アレイ部10oを上方から見た場合、貫通電極560aと貫通電極460aとを、同じ位置、すなわち、これらの貫通電極560a、460aを重ねるように配置することが可能となる。従って、上記電気的接続を確保するための、光電変換膜504の表面を露出する開口を不要とすることができることから、読み出し電極508のサイズが大きくなることを避けたり、読み出し電極508自体を不要にしたりすることができる。その結果、本実施形態によれば、読み出し電極508のサイズが大きくなることを避けたり、不要にしたりすることができることから、上記入射面が縮小することを避けることができる。以下に、本実施形態の詳細について順次説明する。
【0208】
まずは、
図49を参照して本実施形態の構造例の1つを説明する。
図49は、本実施形態に係る画素アレイ部10oの断面図であり、わかりやすくするために、本実施形態の要部のみを示している。詳細には、本実施形態においては、光電変換膜504の下方に、当該光電変換膜504と電気的に接続された透明導電層480が設けられている。当該透明導電層480は、半導体基板300を貫く貫通電極460aと電気的に接続されている。さらに、上述の貫通電極560aは、当該透明導電層480を介して貫通電極460aと電気的に接続されている。加えて、本実施形態においては、画素アレイ部10oを上方から見た場合、貫通電極560aと貫通電極460aとは、同じ位置、すなわち、これらの貫通電極560a、460aが重なるように配置されている。
【0209】
本実施形態においては、透明導電層480は、IGZO(インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物)等の酸化物半導体材料及び有機半導体材料等から形成することができる。さらに、他の酸化物半導体材料としては、IGZO以外にも、ZTO(亜鉛-スズ酸化物)、IGZTO(インジウム-ガリウム-亜鉛-スズ酸化物)、GTO(ガリウム-スズ酸化物)、及びIGO(インジウム-ガリウム酸化物)等を挙げることができる。なお、本実施形態においては、特性や作成のしやすさの観点で、IGZOを選択することが好ましい。なお、透明導電層480における、貫通電極560aとの接続領域は、低抵抗であることが好ましい。そこで、本実施形態においては、例えば、貫通電極560aと電気的に接続するために透明導電層480に開口を設けた際には、開口後に、当該開口から露出した透明導電層480の表面に対して水素プラズマ処理を施すことが好ましい。
【0210】
また、本実施形態においては、貫通電極560aに用いられる金属材料としては、W、TiN/W、Co、CoWB(コバルト-タングステン-ボロン)、CoBP(コバルト-ボロン-リン)等を挙げることができる。
【0211】
次に、
図50を参照して、本実施形態における、2つの画素(固体撮像素子)100において貫通電極460a、560aを共有する場合(2画素共有)のレイアウト構成について説明する。
図50は、2画素共有における、
図49のE-E´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面図である。詳細には、
図50に示すように、本実施形態においては、2つの蓄積電極510の間には、透明導電層480を介して貫通電極460aと電気的に接続されるコンタクト領域508bが設けられている。
【0212】
次に、
図51を参照して、本実施形態における、4つの画素100において貫通電極460a、560aを共有する場合(4画素共有)のレイアウト構成について説明する。
図51は、4画素共有における、
図49のE-E´線に沿って固体撮像素子100を切断した際の断面斜視図である。本実施形態においては、
図51に示すように、4つの画素100の蓄積電極510を囲むようにシールドパターン590が設けられており、4つの蓄積電極510に取り囲まれる中心の下方には、下方に向かって延伸する貫通電極460aが設けられている。そして、本実施形態においては、貫通電極560aと貫通電極460aとは、画素アレイ部10oを上方から見た場合に重なるように配置されている。
【0213】
なお、
図50及び
図51に示すレイアウト構成は、本実施形態の一例であり、例えば、後述する本実施形態の各変形例においては、各変形例に応じて、
図50及び
図51に示すレイアウト構成を適宜変更することが可能である。
【0214】
次に、
図52及び
図53を参照して、本実施形態に係る固体撮像素子100の製造方法を説明する。
図52及び
図53は、本実施形態に係る固体撮像素子100の製造方法を説明するための断面図であり、これらの図においては、本実施形態の要部のみを図示している。
【0215】
まずは、
図52(a)に示すように、反射防止膜402が形成された半導体基板300(図示省略)上に、絶縁膜540を堆積し、蓄積電極510を絶縁膜540上に形成する。さらに、蓄積電極510間に絶縁膜540を埋め込んだ後に、表面に対してCMP法を施し、平坦化を行う。次に、
図52(b)に示すように、貫通電極460aのための、絶縁膜540を貫通するビアを形成し、当該ビアを埋め込むように、金属膜(例えば、W膜)250を堆積する。そして、
図52(c)に示すように、蓄積電極510の表面までCMP法による平坦化を行うことにより、上記ビアから突出した金属膜250を除去することにより、貫通電極460aを形成する。
【0216】
さらに、蓄積電極510上に絶縁膜540を堆積し、堆積した絶縁膜540をフォトリソグラフィー及びドライエッチングによってパターニングし、貫通電極460a上に絶縁膜540から貫通電極460aが露出する開口を形成する。そして、開口を埋め、且つ、絶縁膜540を覆うように、透明導電層480を堆積する。さらに、
図52(d)に示すように、透明導電層480上に、光電変換膜504、共通電極502、有機膜150を順次堆積する。
【0217】
次に、
図53(a)に示すように、貫通電極560aのための、共通電極502及び光電変換膜504を貫通するビアを、フォトリソグラフィー及びドライエッチング(詳細には、透明導電層480の表面までのエッチング)によって形成し、当該ビアの側壁及び共通電極502の表面を覆うように、絶縁膜580を堆積する。
【0218】
そして、
図53(b)に示すように、上記ビアの底に堆積した絶縁膜580をドライエッチングにより除去し、当該ビアを埋め込むように、金属膜(例えば、W膜)252を堆積する。さらに、
図53(c)に示すように、CMP法又はドライエッチング法を用いて、上記ビアから突出した金属膜252を除去することにより、貫通電極560aを形成する。その後、電極573を形成することにより、
図49に示すような画素アレイ部10oを得ることができる。
【0219】
以上のように、本実施形態によれば、読み出し電極508のサイズが大きくなることを避けたり、不要にしたりすることができることから、上記入射面が縮小することを避けることができる。
【0220】
また、本実施形態は、
図54に示すように変形してもよい。次に、
図54を参照して、本実施形態の構造例の変形例1を説明する。
図54は、本実施形態の変形例1に係る画素アレイ部10oの要部の断面図である。詳細には、本変形例1においては、
図54に示すように、読み出し電極508を設けており、読み出し電極508及び透明導電層480を介して、貫通電極560aと貫通電極460aとは電気的に接続されている。
図54に示す本変形例1に係る構造は、上述の実施形態と同様に、入射面が縮小することを避けることができるだけでなく、さらには形成が容易である。
【0221】
次に、
図55及び
図56を参照して、本実施形態の変形例1に係る固体撮像素子100の製造方法を説明する。
図55及び
図56は、本実施形態の変形例1に係る固体撮像素子100の製造方法を説明するための断面図であり、これらの図においては、本実施形態の要部のみを図示している。
【0222】
まずは、本実施形態と同様に、反射防止膜402が形成された半導体基板300(図示省略)上に、絶縁膜540を堆積し、蓄積電極510を絶縁膜540上に形成する。さらに、絶縁膜540を堆積した後に、貫通電極460aのための、絶縁膜540を貫通するビアを形成し、当該ビアを埋め込むように、金属膜を堆積する。そして、
図55(a)に示すように、蓄積電極510の表面までCMP法による平坦化を行うことにより、上記ビアから突出した金属膜を除去することにより、貫通電極460aを形成する。次に、
図55(b)に示すように、読み出し電極508及び蓄積電極510を形成し、その上に絶縁膜540を堆積する。さらに、
図55(c)に示すように、読み出し電極508及び蓄積電極510の表面が露出するまで、CMP法を施し、平坦化を行う。
【0223】
さらに、読み出し電極508及び蓄積電極510上に絶縁膜540を堆積し、堆積した絶縁膜540に、貫通電極460a上の読み出し電極508の表面が絶縁膜540から露出する開口を形成する。そして、上記開口を埋め、且つ、絶縁膜540を覆うように、透明導電層480を堆積する。さらに、
図55(d)に示すように、透明導電層480上に、光電変換膜504、共通電極502、有機膜150を順次堆積する。
【0224】
次に、
図56(a)に示すように、貫通電極560aのための、共通電極502及び光電変換膜504を貫通するビアを、フォトリソグラフィー及びドライエッチング(詳細には、透明導電層480の表面までのエッチング)によって形成し、当該ビアの側壁及び共通電極502の表面を覆うように、絶縁膜580を堆積する。
【0225】
そして、
図56(b)に示すように、上記ビアの底に堆積した絶縁膜580を除去し、当該ビアを埋め込むように、金属膜254を堆積する。さらに、
図56(c)に示すように、上記ビアから突出した金属膜254を除去することにより、貫通電極560aを形成する。その後、電極573を形成することにより、
図54に示すような画素アレイ部10oを得ることができる。
【0226】
また、本実施形態は、
図57に示すように変形してもよい。次に、
図57を参照して、本実施形態の構造例の変形例2を説明する。
図57は、本実施形態の変形例2に係る画素アレイ部10oの要部の断面図である。詳細には、本変形例2においては、貫通電極560aは、貫通電極560aの底面ではなく、側面で、透明導電層480と接することにより、電気的に接続している。
図57に示す本変形例2に係る構造は、上述の実施形態と同様に、入射面が縮小することを避けることができる。
【0227】
次に、
図58及び59を参照して、本実施形態の変形例2に係る固体撮像素子100の製造方法を説明する。
図58及び59は、本実施形態の変形例2に係る固体撮像素子100の製造方法を説明するための断面図であり、これらの図においては、本実施形態の要部のみを図示している。なお、本変形例2の製造方法は、先に説明した変形例1の
図55(a)から
図55(c)に対する説明を共通することから、共通する部分については説明を省略する。
【0228】
本変形例においては、
図55(a)から
図55(c)に示す工程を経た後、
図58(a)に示すように、読み出し電極508及び蓄積電極510上に、絶縁膜540、透明導電層480、光電変換膜504、共通電極502、有機膜150を順次堆積する。次に、
図58(b)に示すように、貫通電極560aのための、共通電極502及び光電変換膜504を貫通するビアを、フォトリソグラフィー及びドライエッチング(詳細には、透明導電層480の表面までのエッチング)によって形成し、当該ビアの側壁及び共通電極502の表面を覆うように、絶縁膜580を堆積する。
【0229】
そして、
図59(a)に示すように、読み出し電極508上に堆積した絶縁膜580を、透明導電層480の一部とともに、ドライエッチングにより除去し、当該ビアを埋め込むように、金属膜256を堆積する。さらに、
図59(b)に示すように、上記ビアから突出した金属膜256を除去することにより、貫通電極560aを形成する。その後、電極573を形成することにより、
図57に示すような画素アレイ部10oを得ることができる。
【0230】
また、本実施形態は、
図60に示すように変形してもよい。次に、
図60を参照して、本実施形態の構造例の変形例3を説明する。
図60は、本実施形態の変形例3に係る画素アレイ部10oの要部の断面図である。詳細には、本変形例においては、読み出し電極508の代わりに、抵抗が低い金属膜からなる読み出し電極518を設けている。従って、
図60に示す本変形例3に係る構造は、上述の実施形態と同様に、入射面が縮小することを避けることができるだけでなく、貫通電極560aと貫通電極460aとの間の接続抵抗を小さくすることができる。
【0231】
次に、
図61及び
図62を参照して、本実施形態の変形例3に係る固体撮像素子100の製造方法を説明する。
図61及び
図62は、本実施形態の変形例3に係る固体撮像素子100の製造方法を説明するための断面図であり、これらの図においては、本実施形態の要部のみを図示している。
【0232】
まずは、本実施形態と同様に、反射防止膜402が形成された半導体基板300(図示省略)上に、絶縁膜540を堆積し、蓄積電極510の一部を絶縁膜540上に形成する。さらに、貫通電極460aのための、絶縁膜540を貫通するビアを形成し、当該ビアを埋め込むように、金属膜を堆積して、貫通電極460aを形成する。そして、
図61(a)に示すように、貫通電極460a上に、フォトリソグラフィー及びドライエッチングを用いて、金属膜からなる読み出し電極518を形成する。
【0233】
次に、
図61(b)に示すように、絶縁膜540を堆積した後、蓄積電極510を形成し、その上に絶縁膜540をさらに堆積する。さらに、
図61(c)に示すように、蓄積電極510の表面が露出するまで、CMP法を施し、平坦化を行う。そして、
図61(d)に示すように、蓄積電極510上に、絶縁膜540、透明導電層480、光電変換膜504、共通電極502、有機膜150を順次堆積する。
【0234】
次に、
図62(a)に示すように、貫通電極560aのための、共通電極502及び光電変換膜504を貫通するビアを、フォトリソグラフィー及びドライエッチング(詳細には、透明導電層480の表面までのエッチング)によって形成し、当該ビアの側壁及び共通電極502の表面を覆うように、絶縁膜580を堆積する。
【0235】
そして、
図62(b)に示すように、上記ビアの底に堆積した絶縁膜580を、透明導電層480の一部とともに除去し、当該ビアを埋め込むように、金属膜258を堆積する。さらに、
図62(c)に示すように、上記ビアから突出した金属膜258を除去することにより、貫通電極560aを形成する。その後、電極573を形成することにより、
図60に示すような画素アレイ部10oを得ることができる。
【0236】
また、本実施形態は、
図63に示すように変形してもよい。次に、
図63を参照して、本実施形態の構造例の変形例4を説明する。
図63は、本実施形態の変形例4に係る画素アレイ部10oの要部の断面図である。詳細には、本変形例においては、貫通電極560aの下端が細くなっており、当該下端が読み出し電極508を介して貫通電極460aと電気的に接続している。
図63に示す本変形例4に係る構造は、上述の実施形態と同様に、入射面が縮小することを避けることができる。
【0237】
次に、
図64及び
図65を参照して、本実施形態の変形例4に係る固体撮像素子100の製造方法を説明する。
図64及び
図65は、本実施形態の変形例4に係る固体撮像素子100の製造方法を説明するための断面図であり、これらの図においては、本実施形態の要部のみを図示している。なお、本変形例4の製造方法は、先に説明した変形例1の
図55(a)から
図55(c)に対する説明、及び、変形例2の
図58(a)に対する説明と共通することから、共通する部分については説明を省略する。
【0238】
本変形例においては、
図55(a)から
図55(c)に示す工程、及び
図58(a)に示す工程を経た後、
図64(a)に示すように、貫通電極560aのための、共通電極502及び光電変換膜504を貫通するビアを、フォトリソグラフィー及びドライエッチング(詳細には、透明導電層480の表面までのエッチング)によって形成する。
【0239】
次に、
図64(b)に示すように、形成したビアを埋め込み、且つ、共通電極502上の有機膜350を形成して、表面を平坦化し、平坦化した表面に、パターニングされたフォトレジスト352を形成する。さらに、
図64(c)に示すように、パターニングされたフォトレジスト352に従って、有機膜350、透明導電層480及び絶縁膜540を貫くビアを、ドライエッチングを用いて形成する。
【0240】
次に、
図64(d)に示すように、フォトレジスト352及び有機膜350を除去した後、読み出し電極508の表面、ビアの側壁及び共通電極502の表面を覆うように、絶縁膜580を堆積する。そして、
図65(a)に示すように、上記ビアの底に堆積した絶縁膜580をドライエッチングにより除去し、当該ビアを埋め込むように、金属膜260を堆積する。さらに、
図65(b)に示すように、上記ビアから突出した金属膜260を除去することにより、貫通電極560aを形成する。その後、電極573を形成することにより、
図63に示すような画素アレイ部10oを得ることができる。
【0241】
また、本実施形態は、
図66に示すように変形してもよい。次に、
図66を参照して、本実施形態の構造例の変形例5を説明する。
図66は、本実施形態の変形例5に係る画素アレイ部10oの要部の断面図である。詳細には、本変形例においては、貫通電極560aの下端が細くなっており、当該下端が、低抵抗な金属膜からなる読み出し電極518を介して貫通電極460aと電気的に接続している。
図66に示す本変形例5に係る構造は、上述の実施形態と同様に、入射面が縮小することを避けることができる。
【0242】
次に、
図67を参照して、本実施形態の変形例5に係る固体撮像素子100の製造方法を説明する。
図67は、本実施形態の変形例5に係る固体撮像素子100の製造方法を説明するための断面図であり、これらの図においては、本実施形態の要部のみを図示している。なお、本変形例5の製造方法は、先に説明した変形例3の
図61(a)から
図61(d)に対する説明と共通することから、共通する部分については説明を省略する。
【0243】
本変形例においては、
図61(a)から
図61(d)に示す工程を経た後、貫通電極560aのための、共通電極502及び光電変換膜504を貫通するビアを、フォトリソグラフィー及びドライエッチング(詳細には、透明導電層480の表面までのエッチング)によって形成する。さらに、形成したビアを埋め込み、且つ、共通電極502上の有機膜350を形成して、表面を平坦化し、平坦化した表面に、パターニングされたフォトレジスト352を形成する。そして、
図67(a)に示すように、パターニングされたフォトレジスト352に従って、有機膜350、透明導電層480及び絶縁膜540を貫くビアを形成する。
【0244】
次に、
図67(b)に示すように、フォトレジスト352及び有機膜350を除去した後、読み出し電極518の表面、ビアの側壁及び共通電極502の表面を覆うように、絶縁膜580を堆積する。そして、
図67(c)に示すように、上記ビアの底に堆積した絶縁膜580をドライエッチングにより除去し、当該ビアを埋め込むように、金属膜262を堆積する。さらに、
図67(d)に示すように、上記ビアから突出した金属膜262を除去することにより、貫通電極560aを形成する。その後、電極573を形成することにより、
図66に示すような画素アレイ部10oを得ることができる。
【0245】
<<18. 適用例>>
図68は、上記実施形態及びその変形例に係る固体撮像装置(撮像装置)1を備えた撮像システムSの概略構成の一例を表したものである。
【0246】
撮像システムSは、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末装置などの電子機器である。撮像システムSは、例えば、上記実施形態及びその変形例に係る固体撮像装置1、DSP回路2430、フレームメモリ2440、表示部2450、記憶部2460、操作部2470及び電源部2480を備えている。撮像システムSにおいて、上記実施形態及びその変形例に係る撮像装置1、DSP回路2430、フレームメモリ2440、表示部2450、記憶部2460、操作部2470及び電源部2480は、バスライン2490を介して相互に接続されている。
【0247】
上記実施形態及びその変形例に係る撮像装置1は、入射光に応じた画像データを出力する。DSP回路2430は、上記実施形態及びその変形例に係る撮像装置1から出力される信号(画像データ)を処理する信号処理回路である。フレームメモリ2440は、DSP回路2430により処理された画像データを、フレーム単位で一時的に保持する。表示部2450は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、上記実施形態及びその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画又は静止画を表示する。記憶部2460は、上記実施形態及びその変形例に係る撮像装置1で撮像された動画又は静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。操作部2470は、ユーザによる操作に従い、撮像システムSが有する各種の機能についての操作指令を発する。電源部2480は、上記実施形態及びその変形例に係る撮像装置1、DSP回路2430、フレームメモリ2440、表示部2450、記憶部2460及び操作部2470の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0248】
次に、撮像システムSにおける撮像手順について説明する。
【0249】
図69は、撮像システムSにおける撮像動作のフローチャートの一例を表す。ユーザは、操作部2470を操作することにより撮像開始を指示する(ステップS101)。すると、操作部2470は、撮像指令を撮像装置1に送信する(ステップS102)。撮像装置1は、撮像指令を受けると、所定の撮像方式での撮像を実行する(ステップS103)。
【0250】
撮像装置1は、撮像により得られた画像データをDSP回路2430に出力する。ここで、画像データとは、フローティングディフュージョン部314に一時的に保持された電荷に基づいて生成された画素信号の全画素分のデータである。DSP回路2430は、撮像装置1から入力された画像データに基づいて所定の信号処理(例えばノイズ低減処理など)を行う(ステップS104)。DSP回路2430は、所定の信号処理がなされた画像データをフレームメモリ2440に保持させ、フレームメモリ2440は、画像データを記憶部2460に記憶させる(ステップS105)。このようにして、撮像システムSにおける撮像が行われる。
【0251】
本適用例では、上記実施形態及びその変形例に係る撮像装置1が撮像システムSに適用される。撮像装置1は製造コストの増加を抑えつつ、画素信号を効率的に出力、転送することができるので、製造コストの増加を抑えつつ、画素信号を効率的に出力、転送することが可能な撮像システムSを提供することができる。
【0252】
<<19. 内視鏡手術システムへの応用例>>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0253】
図70は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0254】
図70では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0255】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0256】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0257】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0258】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0259】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0260】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0261】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0262】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0263】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザー光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザー光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザー光源それぞれからのレーザー光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0264】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0265】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0266】
図71は、
図70に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0267】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0268】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0269】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0270】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0271】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0272】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0273】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0274】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0275】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0276】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0277】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0278】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0279】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0280】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0281】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0282】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0283】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100や、カメラヘッド11102(の撮像部11402)、CCU11201(の画像処理部11412)等に適用され得る。
【0284】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0285】
<<20. 移動体への応用例>>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0286】
図72は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0287】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図72に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0288】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムに従って車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0289】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムに従って車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0290】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0291】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であってもよいし、赤外線等の非可視光であってもよい。
【0292】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0293】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0294】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0295】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0296】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図72の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0297】
図73は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0298】
図73では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0299】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0300】
なお、
図73には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0301】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0302】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0303】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0304】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0305】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031等に適用され得る。
【0306】
<<21. まとめ>>
以上説明したように、本開示の各実施形態によれば、製造コストの増加を避けつつ、画素信号を効率的に出力、転送することが可能な、固体撮像素子100及び電子機器を提供することができる。
【0307】
なお、上述した本開示の各実施形態においては、第1の導電型をP型とし、第2の導電型をN型とし、電子を信号電荷として用いた固体撮像素子100について説明したが、本開示の実施形態はこのような例に限定されるものではない。例えば、各実施形態は、第1の導電型をN型とし、第2の導電型をP型とし、正孔を信号電荷として用いる固体撮像素子100に適用することが可能である。
【0308】
また、上述した本開示の各実施形態においては、半導体基板300は、必ずしもシリコン基板でなくてもよく、他の基板(例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板やSiGe基板等)でもよい。また、上記半導体基板300は、このような種々の基板上に半導体構造等が形成されたものでもよい。
【0309】
さらに、本開示の各実施形態に係る固体撮像素子100は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像素子に限定されるものではない。例えば、本実施形態は、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像素子や、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像素子(物理量分布検知装置)に対して適用することができる。
【0310】
また、本開示の各実施形態に係る固体撮像素子100は、一般的な半導体装置の製造に用いられる、方法、装置、及び条件を用いることで製造することが可能である。すなわち、各実施形態に係る固体撮像素子100は、既存の半導体装置の製造工程を用いて製造することが可能である。
【0311】
なお、上述の方法としては、例えば、PVD法、CVD法及びALD法等を挙げることができる。PVD法としては、真空蒸着法、EB(電子ビーム)蒸着法、各種スパッタリング法(マグネトロンスパッタリング法、RF-DC結合形バイアススパッタリング法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法、高周波スパッタリング法等)、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシー法(MBE法)、レーザー転写法を挙げることができる。また、CVD法としては、プラズマCVD法、熱CVD法、有機金属(MO)CVD法、光CVD法を挙げることができる。さらに、他の方法としては、電解メッキ法や無電解メッキ法、スピンコート法;浸漬法;キャスト法;マイクロコンタクトプリント法;ドロップキャスト法;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法といった各種印刷法;スタンプ法;スプレー法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法といった各種コーティング法を挙げることができる。さらに、パターニング法としては、シャドーマスク、レーザー転写、フォトリソグラフィー等の化学的エッチング、紫外線やレーザー等による物理的エッチング等を挙げることができる。加えて、平坦化技術としては、CMP法、レーザー平坦化法、リフロー法等を挙げることができる。
【0312】
<<22. 補足>>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0313】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0314】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に設けられ、光を電荷に変換する第1の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の上方に設けられ、光を電荷に変換する第2の光電変換部と、
を備え、
前記第1及び第2の光電変換部は、互いに向かい合う接合面において接合されており、
前記第1及び第2の光電変換部のそれぞれは、
上部電極と、
下部電極と、
前記上部電極及び前記下部電極に挟まれた光電変換膜と、
前記上部電極と、前記光電変換膜及び絶縁膜を介して対向する蓄積電極と、
を含む積層構造を有し、
前記第1の光電変換部の前記下部電極は、
前記半導体基板を貫く第1の貫通電極を介して、前記半導体基板内に設けられた電荷蓄積部に電気的に接続され、
前記第2の光電変換部の前記下部電極は、
前記第2の光電変換部の接合面上に設けられた第2の電極と、
前記第1の光電変換部の接合面上に設けられた第1の電極と、
前記第1の光電変換部を貫く第2の貫通電極と、
前記第1の貫通電極と、
を介して、前記電荷蓄積部に電気的に接続される、
固体撮像素子。
(2)
前記第1及び第2の電極は、透明導電材料で形成される、
(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記第1及び第2の電極は、前記積層構造の積層方向に対して前記固体撮像素子を切断した断面において、略円形である、
(1)又は(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記第1及び第2の光電変換部は、前記接合面にそれぞれ少なくとも1つのダミー電極を有する、
(1)~(3)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(5)
前記第1及び第2の電極は、少なくとも1つの開口部が形成される、
(1)~(4)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(6)
前記第1及び第2の電極は、それぞれ大きさが異なる、
(1)~(5)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(7)
前記第1及び第2の光電変換部の前記接合面のうちの少なくとも一方には、前記第1の電極又は前記第2の電極を取り囲み、硬質絶縁材料からなるストッパー層が設けられる、
(1)~(6)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(8)
前記第1の電極と前記第1の光電変換部の前記上部電極との間に、第1の配線層が設けられ、
前記第1の電極と前記第1の配線層との間に、硬質絶縁材料からなるストッパー層が設けられる、
(7)に記載の固体撮像素子。
(9)
前記第1の電極、前記ストッパー層及び前記第1の配線層の順に屈折率が大きい、
(8)に記載の固体撮像素子。
(10)
前記第2の電極と前記第2の光電変換部の前記上部電極との間に、第2の配線層が設けられ、
前記第2の電極と前記第2の配線層との間に、硬質絶縁材料からなるストッパー層が設けられる、
(7)に記載の固体撮像素子。
(11)
前記第2の電極、前記ストッパー層及び前記第2の配線層の順に屈折率が大きい、
(10)に記載の固体撮像素子。
(12)
前記第1及び第2の光電変換部の前記接合面に前記第1の電極又は前記第2の電極を取り囲むように設けられ、硬質絶縁材料からなるストッパー層と、
前記ストッパー層及び前記第1及び第2の電極を覆うように設けられ、前記ストッパー層とは異なる材料からなる絶縁膜と、
をさらに備え、
前記第1及び第2の電極は、前記絶縁膜を介して電気的に接続される、
(1)~(6)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(13)
前記絶縁膜は、前記第1及び第2の電極が電気的に導通する厚さを持つ、
(12)に記載の固体撮像素子。
(14)
前記第1の貫通電極は、前記第1及び第2の光電変換部に共通して設けられた共通貫通電極であり、
前記電荷蓄積部は、前記第1及び第2の光電変換部に共通して設けられた共通電荷蓄積部である、
(1)~(13)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(15)
前記第1及び第2の光電変換部の前記下部電極のそれぞれは、前記半導体基板内に前記第1及び第2の光電変換部に共通して設けられた共通画素トランジスタに、前記共通貫通電極を介して電気的に接続される、(14)に記載の固体撮像素子。
(16)
前記光電変換膜は、有機系材料からなる、(1)~(15)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(17)
前記半導体基板内に設けられた、前記光を電荷に変換する第3の光電変換部をさらに備える、(1)~(16)のいずれか1つに記載の固体撮像素子。
(18)
固体撮像素子と、
入射光を前記固体撮像素子の受光面に結像する光学系と、
前記固体撮像素子を制御するプロセッサと、
を備え、
前記固体撮像素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に設けられ、光を電荷に変換する第1の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の上方に設けられ、光を電荷に変換する第2の光電変換部と、
を備え、
前記第1及び第2の光電変換部は、互いに向かい合う接合面において接合されており、
前記第1及び第2の光電変換部のそれぞれは、
上部電極と、
下部電極と、
前記上部電極及び前記下部電極に挟まれた光電変換膜と、
前記上部電極と、前記光電変換膜及び絶縁膜を介して対向する蓄積電極と、
を含む積層構造を有し、
前記第1の光電変換部の前記下部電極は、
前記半導体基板を貫く第1の貫通電極を介して、前記半導体基板内に設けられた電荷蓄積部に電気的に接続され、
前記第2の光電変換部の前記下部電極は、
前記第2の光電変換部の接合面上に設けられた第2の電極と、
前記第1の光電変換部の接合面上に設けられた第1の電極と、
前記第1の光電変換部を貫く第2の貫通電極と、
前記第1の貫通電極と、
を介して、前記電荷蓄積部に電気的に接続される、
電子機器。
【符号の説明】
【0315】
1 固体撮像装置
10、80 画素アレイ部
32 垂直駆動回路部
34 カラム信号処理回路部
36 水平駆動回路部
38 出力回路部
40 制御回路部
42 画素駆動配線
44 垂直信号線
46 水平信号線
48 入出力端子
100、800 固体撮像素子
150、350 有機膜
200、520、620、720 配線層
230、530、570、572、670、672、730、770、772 配線
232、573、673、674 電極
240 層間絶縁膜
250、252、254、256、258、260、262 金属膜
300 半導体基板
310、312、410 半導体領域
314、814 フローティングディフュージョン部
342 分離絶縁膜
352 フォトレジスト
400、500、600、700、802、804、806 光電変換素子
402 反射防止膜
404a、404b 導波路
406a、406b インナーレンズ
408a、408b 隔壁
480、578、676 透明導電層
450、462、506、540、562、580、606、640、662、681、706、780 絶縁膜
460、460a、560、560a、630、660、807、860 貫通電極
502、602、702 共通電極
504、604、704 光電変換膜
508、518、608、708 読み出し電極
508b コンタクト領域
512、612 転送電極
514、614 シールド電極
510、610、710 蓄積電極
590 シールドパターン
575、675 ダミー電極
577、579、677 ストッパー層