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特許7603627複合材プリフォームに樹脂注入するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】複合材プリフォームに樹脂注入するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20241213BHJP
   B29C 43/12 20060101ALI20241213BHJP
   B29C 70/44 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
B29C43/34
B29C43/12
B29C70/44
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022011744
(22)【出願日】2022-01-28
(62)【分割の表示】P 2017097027の分割
【原出願日】2017-05-16
(65)【公開番号】P2022062727
(43)【公開日】2022-04-20
【審査請求日】2022-02-10
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】2016203289
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ, リチャード
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】橿本 英吾
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-45924(JP,A)
【文献】特開2012-86547(JP,A)
【文献】特表2010-512257(JP,A)
【文献】特開2013-154494(JP,A)
【文献】特開2010-131991(JP,A)
【文献】特開2005-271248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材プリフォーム(10)を、ツール(110)の上側ツール表面(111)上に置くことと、
樹脂リザーバエレメント(120)を前記複合材プリフォーム(10)の下流側の前記上側ツール表面(111)上に設置することであって、前記樹脂リザーバエレメント(120)及び前記上側ツール表面(111)は樹脂リザーバ(121)を規定し、前記樹脂リザーバ(121)は、リザーバ出口(122)及び、前記上側ツール表面(111)と前記リザーバ出口(122)の間に位置するリザーバ入口(123)を有する、設置することと、
前記複合材プリフォーム(10)及び前記樹脂リザーバエレメント(120)を覆うため、真空バギングフィルム(130)を前記上側ツール表面(111)上に置くことと、
前記上側ツール表面(111)と前記真空バギングフィルム(130)との間に密封された樹脂注入チャンバ(140)を規定するため、前記真空バギングフィルム(130)を前記上側ツール表面(111)に対して密封することであって、前記複合材プリフォーム(10)及び前記樹脂リザーバエレメント(120)は前記樹脂注入チャンバ(140)内に置かれている、密封することと、
樹脂供給部(141)を提供することと、
前記複合材プリフォーム(10)の上流側の、前記樹脂注入チャンバ(140)への前記樹脂供給部(141)から、前記複合材プリフォーム(10)を通り、前記リザーバ入口(123)を通って前記樹脂リザーバ(121)まで、樹脂流動経路(142)を提供することと、
前記リザーバ入口から前記複合材プリフォームに向かって延在する第1の浸透性流動媒体であって、前記樹脂流動経路の一部を形成する第1の浸透性流動媒体を提供することと、
前記樹脂供給部から前記複合材プリフォームにわたり前記樹脂リザーバに向かって延在する第2の浸透性流動媒体であって、前記樹脂流動経路の一部を形成する第2の浸透性流動媒体を提供することと、
前記樹脂供給部(141)と前記リザーバ出口(122)との間に圧力差を設けることによって、前記樹脂供給部(141)から前記樹脂流動経路(142)を通って樹脂を動かして前記複合材プリフォーム(10)を樹脂で満たすため、前記リザーバ出口(122)に少なくとも不完全な真空圧を印加することであって、余剰樹脂は前記樹脂リザーバ(121)内で回収される、印加することと、
を含み、
その下流部分がリザーバ入口(123)を画定する間隙内に延在し、樹脂流動経路(142)の一部を形成する浸透性剥離プライ(145)が、複合材プリフォーム(10)の全体にわたって延在し、樹脂流動制御閉塞部(244)が、第1の浸透性流動媒体と第2の浸透性流動媒体との間の樹脂の流動を閉塞するとともに、浸透性剥離プライ(145)における樹脂の流動を許容する機能を有する、複合材プリフォーム(10)に樹脂注入する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記樹脂リザーバエレメント(120)は、前記複合材プリフォーム(10)の方に位置する第1の下側端部(126)と、前記複合材プリフォーム(10)から離れて位置する反対側の第2の下側端部(127)とを有するチャネル部分(124)を備え、前記方法は、前記第1の下側端部(126)と前記上側ツール表面(111)との間に、前記リザーバ入口(123)を形成する間隙を形成することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記間隙を少なくとも部分的に規定するため、第1の下側端部(126)と前記上側ツール表面(111)との間に、第1の浸透性流動媒体を設置することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リザーバ出口(122)と、前記上側ツール表面(111)から前記ツール(110)を通って延在し真空流動経路(150)を形成する真空出口ポート(113)と、の間に第の浸透性流動媒体を提供することであって、前記真空流動経路(150)に前記少なくとも不完全な真空が印加される、提供することをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
樹脂注入された複合材プリフォームを形成するための請求項1から4のいずれか一項に記載の方法にしたがって、複合材プリフォーム(10)に樹脂注入することと、
前記樹脂注入された複合材プリフォームを硬化すること
を含む、複合品を形成する方法。
【請求項6】
複合材プリフォーム(10)に樹脂注入するための樹脂注入システム(100)であって、
樹脂注入される複合材プリフォーム(10)を受容する上側ツール表面(111)を有するツール(110)と、
樹脂供給部(141)と、
前記複合材プリフォーム(10)の下流側の前記上側ツール表面(111)上に設置された樹脂リザーバエレメント(120)であって、前記樹脂リザーバエレメント(120)と前記上側ツール表面(111)が、リザーバ出口(122)及び、前記上側ツール表面(111)と前記リザーバ出口(122)との間に位置するリザーバ入口(123)を有する樹脂リザーバ(121)を規定する、樹脂リザーバエレメント(120)と、
前記複合材プリフォーム(10)及び前記樹脂リザーバエレメント(120)を覆う真空バギングフィルム(130)であって、前記真空バギングフィルム(130)と前記上側ツール表面(111)との間に密封樹脂注入チャンバ(140)が規定され、前記複合材プリフォーム(10)と前記樹脂リザーバエレメント(120)が前記樹脂注入チャンバ(140)内に置かれる、真空バギングフィルム(130)と、
前記複合材プリフォーム(10)の上流側の、前記樹脂注入チャンバ(140)への前記樹脂供給部(141)から、前記複合材プリフォーム(10)を通り、及び、前記リザーバ入口(123)を通って前記樹脂リザーバ(121)まで延在する樹脂流動経路(142)と、
前記リザーバ入口から前記複合材プリフォームに向かって延在する第1の浸透性流動媒体であって、前記樹脂流動経路の一部を形成する第1の浸透性流動媒体と、
前記樹脂供給部から前記複合材プリフォームにわたり前記樹脂リザーバに向かって延在する第2の浸透性流動媒体であって、前記樹脂流動経路の一部を形成する第2の浸透性流動媒体と、
真空流動経路(150)を介して前記リザーバ出口(122)と連通する真空源(151)と、を備え、
その下流部分がリザーバ入口(123)を画定する間隙内に延在し、樹脂流動経路(142)の一部を形成する浸透性剥離プライ(145)が、複合材プリフォーム(10)の全体にわたって延在し、樹脂流動制御閉塞部(244)が、第1の浸透性流動媒体と第2の浸透性流動媒体との間の樹脂の流動を閉塞するとともに、浸透性剥離プライ(145)における樹脂の流動を許容する機能を有する、システム(100)。
【請求項7】
前記樹脂リザーバエレメント(120)は、閉じられた両端部(125)を有する細長転置チャネル区域(124)を備える、請求項6に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記チャネル区域(124)は、前記複合材プリフォーム10の方に位置する第1の下側端部(126)と、前記複合材プリフォーム(10)から離れて位置する反対側の第2の下側端部(127)とを有し、前記リザーバ入口(123)は、前記第1の下側端部(126)と前記上側ツール表面(111)との間に間隙を備える、請求項7に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記チャネル部分(124)の前記第2の下側端部(127)が、前記上側ツール表面(111)に取り外し可能に密封される、請求項8に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記樹脂流動経路(142)内、前記複合材プリフォーム(10)と前記樹脂リザーバ(121)の間に設置された浸透性樹脂流動制御閉塞部(244)をさらに備える、請求項6から9のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記真空流動経路(150)は、前記上側ツール表面(111)から前記ツール(110)を通って延在する真空出口ポート(113)を通って延在し、前記システムは、前記リザーバ出口(122)から前記真空出口ポート(113)へと延在する第の浸透性流動媒体をさらに備え、前記真空バギングフィルム(130)は、前記第の浸透性流動媒体及び前記真空出口ポート(113)の上に延在する、請求項6から10のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して複合材構造体の製造に関し、具体的には複合材プリフォームに樹脂注入するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材構造体の現行の製造方法は、複合材繊維から形成された複数のプライから形成された複合材プリフォームに、樹脂の注入を行い、続いて樹脂の硬化を行って複合材構造体を形成する、樹脂注入処理を使用する。現行の方法によると、複合材プリフォームは上側ツール表面上に置かれ、複合材プリフォームを覆うため、上側ツール表面上に真空バギングフィルムが置かれ、密封されて、上側ツール表面と真空バギングフィルムとの間に密封チャンバが形成される。密封チャンバの下流端に真空圧を印加することによって、複合材プリフォームを通って樹脂が注入され、樹脂は、上流の樹脂供給部から複合材プリフォームを通って引き入れられる。樹脂がプリフォーム全体に注入されると、通常はオーブンで組立品全体が加熱され、樹脂が硬化されて複合材構造体が形成される。
【0003】
樹脂は、ある波面で複合材プリフォームを通って注入が進むが、その波面は、プリフォームの横方向の範囲にわたって、均等に進んでもよく、均等に進まなくてもよい。プリフォーム全体に注入が行きわたる一方で、プリフォームを通過した樹脂が、波面の先行エリアで真空源内に引き入れられないことを、確保するのが重要である。樹脂が真空源内に引き入れられた場合、真空源を損傷するリスクがある。硬化した樹脂を、真空源や、ツールと真空源の間の関連の真空配管から除去するコスト、または真空源や配管を交換するコストが法外なものであるということも、またあり得る。
【0004】
この問題に対する様々な解決策がこれまで提案されてきたが、その効果は、効率性や完成品の質、改造可能性、及び費用という点でまちまちであった。
【0005】
本開示は、上記の問題を念頭に置いて行われる。
【発明の概要】
【0006】
本開示は概して、複合材プリフォームに樹脂注入する方法と、複合材プリフォームに樹脂注入するための樹脂注入システムを対象とする。本開示の実施形態によると、複合材プリフォームを越えて、樹脂流動経路を通過した真空源の上流の余剰樹脂を回収するため、樹脂リザーバエレメントが使用される。樹脂リザーバエレメントは、複合材プリフォームが置かれる、ツールの上側ツール表面上に設置され、余剰樹脂の回収のための樹脂リザーバを規定する。
【0007】
一態様によると、本開示は、複合材プリフォームに樹脂注入する方法を提供する。複合材プリフォームは、ツールの上側ツール表面上に置かれる。樹脂リザーバエレメントは、複合材プリフォームの下流側の上側ツール表面上に設置される。樹脂リザーバエレメントと上側ツール表面は、樹脂リザーバを規定する。樹脂リザーバは、リザーバ出口及び、上側ツール表面とリザーバ出口との間に位置するリザーバ入口を有する。複合材プリフォーム及び樹脂リザーバエレメントを覆うため、上側ツール表面上に真空バギングフィルムが置かれる。真空バギングフィルムは、上側ツール表面に対して密封され、上側ツール表面と真空バギングフィルムとの間に密封樹脂注入チャンバが規定される。複合材プリフォームと樹脂リザーバエレメントが、樹脂注入チャンバ内に置かれる。樹脂供給部が提供される。複合材プリフォームの上流側の、樹脂注入チャンバへの樹脂供給部から、複合材プリフォームを通り、リザーバ入口を通って樹脂リザーバまで、樹脂流動経路が提供される。リザーバ出口に少なくとも不完全な真空圧が印加され、樹脂供給部とリザーバ出口との間に圧力差を設けることによって、樹脂供給部から樹脂流動経路を通って樹脂を動かして複合材プリフォームを樹脂で満たし、余剰樹脂を樹脂リザーバ内で回収する。
【0008】
1つ以上の好適な実施形態では、樹脂リザーバエレメントは、複合材プリフォームの方に位置する第1の下側端部と、複合材プリフォームから離れて位置する反対側の第2の下側端部を有する、チャネルを備える。第1の下側端部と上側ツール表面の間に、リザーバ入口を画定する間隙が形成される。
【0009】
方法は、間隙を少なくとも部分的に規定するため、第1の下側端部と上側ツール表面との間に、第1の浸透性流動媒体を設置することをさらに含み得る。
【0010】
方法は、第2の下側端部を上側ツール表面に対して取り外し可能に密封することを含むことをさらに含み得る。
【0011】
1つ以上の好適な実施形態では、樹脂リザーバエレメントは、複合材プリフォームの下流端部の長さの少なくとも過半に沿って延在するようにして設置される。
【0012】
樹脂流動制御閉塞部が、樹脂流動経路内、複合材プリフォームと樹脂リザーバの間に設置されてよい。
【0013】
方法は、リザーバ出口と、上側ツール表面からツールを通って延在し真空流動経路を規定する真空出口ポートの間に、第の浸透性流動媒体を提供することをさらに含み得る。真空流動経路を通じて、少なくとも不完全な真空圧が印加され得る。
【0014】
第2の態様によると、本開示は、複合品を形成する方法を提供する。方法は、樹脂注入複合材プリフォームを形成するために、上記で規定された方法に従って複合材プリフォームに樹脂注入することと、樹脂注入された複合材プリフォームを硬化することを含む。
【0015】
樹脂注入された複合材プリフォームの硬化に続いて、樹脂リザーバエレメントが上側ツール表面から取り外され得る。次に、リザーバ内で回収された余剰樹脂が樹脂リザーバエレメントから取り除かれ得る。
【0016】
第3の態様によると、本開示は、複合材プリフォームに樹脂注入する樹脂注入システムを提供する。システムは、樹脂注入される複合材プリフォームを受容する上側ツール表面を有するツールと、樹脂供給部を含む。樹脂リザーバエレメントは、複合材プリフォームの下流側の上側ツール表面上に設置される。樹脂リザーバエレメントと上側ツール表面は、リザーバ出口及び、上側ツール表面とリザーバ出口との間に位置するリザーバ入口を有する、樹脂リザーバを規定する。真空バギングフィルムが複合材プリフォームと樹脂リザーバエレメントを覆い、真空バギングフィルムと上側ツール表面の間に密封樹脂注入チャンバを規定する。複合材プリフォームと樹脂リザーバエレメントが、樹脂注入チャンバ内に置かれる。複合材プリフォームの上流側の、樹脂注入チャンバへの樹脂供給部から、複合材プリフォームを通り、リザーバ入口を通って樹脂リザーバまで、樹脂流動経路が延在する。真空源は、真空流動経路を介してリザーバ出口と連通する。
【0017】
1つ以上の好適な実施形態では、樹脂リザーバエレメントは、閉じられた両端を有する、細長転置チャネル区域を備える。
【0018】
このチャネル区域は、複合材プリフォームの方に位置する第1の下側端部と、複合材プリフォームから離れて位置する反対側の第2の下側端部を有し得る。この構成では、リザーバ入口は、第1の下側端部と上側ツール表面との間に間隙を含み得る。
【0019】
システムは、間隙を少なくとも部分的に規定するため、第1の下側端部と上側ツール表面との間に設置された、第1の浸透性流動媒体をさらに含み得る。
【0020】
チャネル区域の第2の下側端部は、上側ツール表面に対して取り外し可能に密封されていてよい。
【0021】
好適な実施形態では、チャネル区域は、概して半円形の断面を有する。
【0022】
リザーバ出口は、有利には、樹脂リザーバエレメントの最上部に、またはその付近に、位置していてよい。
【0023】
好適な実施形態では、樹脂リザーバエレメントは、複合材プリフォームの下流端部の長さの少なくとも過半に沿って延在する。
【0024】
システムは、流動経路内の、複合材プリフォームと樹脂リザーバの間に設置された、浸透性樹脂流動制御閉塞部をさらに備え得る。
【0025】
1つ以上の好適な実施形態では、真空流動経路は、上側ツール表面からツールを通って延在する真空出口ポートを通って延在し、第の浸透性流動媒体は、リザーバ出口から真空出口ポートを通って延在する。この構成では、真空バギングフィルムは、第の浸透性流動媒体と真空出口ポートの上に延在する。
【0026】
1つ以上の実施形態では、樹脂リザーバエレメントに沿って、複数のリザーバ出口が間隔を空けて配置されている。
【0027】
当業者に理解されるように、上記の特徴は、本開示の様々な実施形態において独立して実装されてもよく、またはさらに別の実施形態において、組み合わされてもよい。
【0028】
ここで、本開示の好適な実施形態が、添付図面を参照して例示のみの目的で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施形態による、複合材プリフォームに樹脂注入するシステムの概観図である。
図2図1のシステムの部分的概略斜視図である。
図3】断面3-3で切られた、図1のシステムの概略断面図である。
図4】断面4-4で切られた、図1のシステムの概略断面図である。
図5図1のシステムの変更形態の、部分的概略斜視図である。
図6図3に相当する断面で切られた、第2の実施形態による複合材に樹脂注入するシステムの概略断面図である。
図7図4に相当する断面で切られた、第2の実施形態による複合材に樹脂注入するシステムの概略断面図である。
図8】第3の実施形態による、複合材プリフォームに樹脂注入するシステムの概観図である。
図9】複合材プリフォームに樹脂注入する例示の方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の例示の実施形態によるシステム及び方法が、ここで詳細に記載される。概して、本開示による複合材プリフォームに樹脂注入する方法は、ツールの上側ツール表面上に複合材プリフォームを置くことを含む。樹脂リザーバエレメントは、複合材プリフォームの下流側の上側ツール表面上に設置される。樹脂リザーバエレメントと上側ツール表面は、リザーバ出口及び、上側ツール表面とリザーバ出口との間に位置するリザーバ入口を有する樹脂リザーバを規定し、それによってリザーバ出口は、リザーバ入口よりも高い位置に位置している。複合材プリフォームと樹脂リザーバエレメントの両方を覆うため、上側ツール表面上に真空バギングフィルムが置かれる。真空バギングフィルムは上側ツール表面に対して密封され、上側ツール表面と真空バギングフィルムとの間に密封樹脂注入チャンバが規定される。複合材プリフォームと樹脂リザーバエレメントは、樹脂注入チャンバ内に置かれる。シングルの真空バギングフィルムが使用され得る。外側真空バギングフィルムが内側真空バギングフィルムの上に置かれ、その中間に通気材が置かれた、ダブルの真空バギングフィルムの構成もまた想定される。複合材プリフォームの上流側の、樹脂注入チャンバへの樹脂供給部から、複合材プリフォームを通り、リザーバ入口を通って樹脂リザーバまで、樹脂流動経路が提供される。リザーバ出口に少なくとも不完全な真空圧が印加され、樹脂供給部とリザーバ出口との間に圧力差を設けることによって、樹脂供給部から、具体的には樹脂流動経路を通って樹脂が動かされ、複合材プリフォームが樹脂で満たされる。ダブルの真空バギングフィルムの構成では、内側真空バギングフィルムと外側真空バギングフィルムの間の空洞に、少なくとも不完全な真空圧が印加されてもまたよい。真空源の停止に先立って複合材プリフォームを通過する余剰樹脂は、樹脂リザーバ内で回収される。樹脂注入された複合材プリフォームは、次に、通常は加熱されたオーブンの中で、硬化され得る。リザーバ内で回収された余剰樹脂は、通常、樹脂リザーバ内で硬化される。硬化、並びに、真空バギングフィルム及び関連する消耗品の取り外しによるシステムの解体に続いて、樹脂リザーバエレメントがツールから取り外され得、廃棄されるか、または樹脂リザーバ内に回収された硬化樹脂を洗浄され得る。
【0031】
ここで添付の図1から図4を参照して、第1の実施形態による複合材プリフォーム10に樹脂注入するためのシステム100が記載される。システム100は、樹脂注入される複合材プリフォーム10が置かれる上側ツール表面111を有する、ツール110を有する。樹脂リザーバエレメント120は、複合材プリフォーム10の下流側の上側ツール表面111上に設置される。以下でさらに記載されるように、本書の文脈では、複合材プリフォーム10の上流側と下流側は、樹脂の流動方向に関連して特定される。具体的には図3を参照すると、リザーバエレメント120は、上側ツール表面111と共に、樹脂リザーバ121を規定する。樹脂リザーバ121は、リザーバ出口122及び、上側ツール表面111とリザーバ出口122の間に位置するリザーバ入口123を有する。真空バギングフィルム130が複合材プリフォーム10と樹脂リザーバエレメント120を覆い、真空バギングフィルム130と上側ツール表面111との間に、密封樹脂注入チャンバ140を規定する。複合材プリフォーム10と樹脂リザーバエレメント120が、樹脂注入チャンバ140内に置かれる。システム100は、複合材プリフォーム10の上流側の、樹脂注入チャンバ140への樹脂供給部141から、複合材プリフォーム10を通り、リザーバ入口123を通って樹脂リザーバ121まで延在する樹脂流動経路142を伴う、樹脂供給部141をさらに備える。図4を参照すると、第1の真空源151は、真空流動経路150を介してリザーバ出口122と連通する。
【0032】
ツール110は、軟鋼、ステンレス鋼、インバー、または硬化に関連づけられた高温下で形状を維持する炭素複合材料を含む、様々な構造材料のうちの任意のものから形成されていてよく、それによって、樹脂硬化処理を通じて幾何学的に安定した上側ツール表面111が提供される。翼や胴体の外板パネルといったほぼ平坦な下側表面を有する複合材構造体を製造するため、上側ツール表面111はほぼ平坦であってよいか、さもなければ、非平面の複合材構造体の賦形された表面を提供するため、所望の形状をしていてよい。
【0033】
複合材プリフォーム10は、樹脂注入に適切で、製作される積層複合材構造体の幾何学的要件及び構造要件によって決定される、任意の形態を取り得る。複合材プリフォーム10は、それぞれが、織り繊維もしくは編み繊維、及び/またはチョップドストランドマットで形成された、補強材の複数のプライのレイアップを含み得る。プリフォームのプライは、炭素、グラファイト、ガラス、芳香族ポリアミド、または樹脂強化積層複合材構造体の形成に適切な任意の他の材料といった、様々な強化用繊維のうちの任意のもので形成されていてよい。プライは、樹脂をまったく含まないドライプリフォームを形成してもよく、代わりに、プリフォームが、樹脂注入プロセスに先立っていくらかの既存の樹脂含有量を有していてもよい。複合材プリフォーム10は、プリフォーム10の下側表面が上側ツール表面111上になる配向で上側ツール表面111上に置かれ、それによって、硬化の結果生じる複合材構造体の下側表面は、上側ツール表面111の形態に適合する。上側ツール表面上111に置かれた複合材プリフォーム10は、横方向に延在する下流端部11、反対側で横方向に延在する上流端部12、及び縦方向に対向して延在する側方端部(複数)13を有する。プリフォーム10は、形成される積層複合材構造体の形状に対応する、任意の所望の形状を取り得る。
【0034】
示される例示の第1の実施形態で示される樹脂リザーバエレメント120は、閉じられた両端125を有する、細長転置チャネル区域124を備える。チャネル区域124は、示される第1の実施形態では概して半円形の断面を有するが、長方形、正方形、三角形、半六角形、または様々な他の断面形状のうちの任意のものを含む、様々な代わりの形態のうちの任意のものを取り得ることが想定される。半円形の断面は、その外表面に、真空バギングフィルム130に穴を開け得るか密封を困難にし得る、鋭角部がないという点で有利である。半円形の断面を持つチャネル区域124はまた、通常、形成するのが安価であり得、管状の断面を半分に且つ所定の長さにカットすることによって形成され得る。樹脂リザーバエレメント120は、ステンレス鋼もしくはアルミニウムといった金属材料、または樹脂硬化処理に関連した高温下で形状を好適に維持する複合材料もしくは熱硬化性プラスチックを含む他の非金属材料を含む、様々な材料のうちの任意のものから形成されていてよい。樹脂リザーバエレメント120の閉じられた両端部125は、チャネル区域124と一体成形されていてよいか、またはさもなければ、接着及び/または機械的締着などによって、チャネル区域124の端部に固定されていてよい。樹脂リザーバエレメント120の両端125は、チャネル区域124と同一の材料で形成されていてよい。代わりに、樹脂リザーバエレメント120の両端125は、チャネル部分124が形成されているものとは異なる材料で形成されていてもよい。
【0035】
図5に示す第1の実施形態のシステム100の一変更形態100’では、変更された樹脂リザーバエレメント120’の両端125’は、以下でさらに記載されるように、さもなければ真空バギングフィルム130及びシステムの他の構成要素を密封するのに使用される、密封用テープの複数の片から形成される。この変更形態では、樹脂リザーバエレメント120’は、単にチャネル区域124’のカットされた部分から形成されていてよい。チャネル区域124’は、規定された樹脂リザーバの両端と共に上側ツール表面111上に設置され、次いで、密封テープを使用して密封され、樹脂リザーバエレメント120’の閉じた両端125’を形成していてよい。
【0036】
図1を参照すると、第1の実施形態では、樹脂リザーバエレメント120は、複合材プリフォーム10の下流端部11の長さの少なくとも過半に沿って延在するようにして、上側ツール表面111上に設置される。樹脂リザーバエレメント120が、複合材プリフォーム10の下流端部11の少なくとも過半の長さに沿って延在するのに十分な長さで形成されているため、複合材プリフォーム10の下流端部11沿いから、下流端部11沿いの樹脂リザーバ121への、比較的ダイレクトな流動経路が提供される。複合材プリフォーム10の下流端部11が直線である構成では、樹脂リザーバエレメント120は、有利には、複合材プリフォーム10の下流端部11に概して平行に配設されていてよい。
【0037】
図1及び図2に示すように、第1の実施形態では、チャネル区域124に沿って間隔を空けて配置された、2つのリザーバ出口122が提供される。単一のリザーバ出口122だけが提供され得るということもまた、想定される。代わりに、チャネル区域124に沿って間隔を空けて配置された、3つまたはそれよりも多いリザーバ出口122も提供され得る。リザーバ出口122は、有利には、樹脂リザーバエレメント120の最上部に、またはその付近に、位置していてよい。示される実施形態では、リザーバ出口122は、図1及び図3で最もよく示されるように、チャネル区域124の頂部に位置している。それによって、リザーバ入口123とリザーバ出口122の間の縦方向の分離が最大化される。
【0038】
図3及び図4を参照すると、第1の実施形態のシステム100では、樹脂リザーバエレメント120のチャネル区域124は、複合材プリフォーム10の下流端部11の方に位置する第1の下側端部126と、複合材プリフォーム10から離れて位置する反対側の第2の下側端部127とを有し、それによって、第1の下側端部126は実質的な上流端部であり、第2の下側端部127は実質的な下流端部である。示される具体的な構成では、リザーバ入口123は、第1の下側端部126と上側ツール表面111との間に形成された間隙によって規定される。示される実施形態では、横方向に延在する浸透性流動媒体の第1の帯143と、プリフォーム10上に置かれた(これ自体が浸透性流動媒体を構成する)浸透性剥離プライ145の下流部分144は、(以下でさらに記載するように)リザーバ入口123を画定する間隙内に延在し、この間隙を規定する。第1の帯143及び剥離プライ145の下流部分144は、チャネル区域124の第1の下側端部126を支持する。浸透性流動媒体の第1の帯143及び剥離プライ145の下流部分144は、樹脂がその中を通って樹脂リザーバ入口123へと通過可能なように、十分な浸透性を有する。浸透性流動媒体の第1の帯143は、適切には、Airtech International Incから入手可能なPLASTINET(登録商標)15231、または樹脂の通過が可能な任意の他の高浸透性の媒体といった、ナイロンメッシュ材料の形態であってよい。剥離プライ145もまた浸透性流動媒体を構成しており、適切には、同様にAirtech International Incから入手可能なRELEASE EASE(登録商標)234、または任意の他の浸透性剥離プライ材料といった、PTFE被覆されたファイバーガラス織物の形態であってよい。
【0039】
浸透性流動媒体の第1の帯143または剥離プライ145の下流部分144のうちのいずれかが割愛されてよく、単一の浸透性流動媒体がリザーバ入口123の間隙を規定することが想定される。リザーバ入口123が、樹脂リザーバエレメント120の長さに沿って提供された1つ以上の開口によって規定され得る
ことが引き続きさらに想定されるが、示される配設では、ドリル穿孔または他の方法によってそうした開口を樹脂リザーバエレメント120内に形成する必要性は、回避される。
【0040】
チャネル区域124の第2の下側端部127は、上側ツール表面111に対して取り外し可能に密封され得、示される実施形態では、便利には、Airtech International Incから入手可能な密封材テープGS-213-3といったマスチック密封材テープの形態であり得る密封テープの帯128によって、取り外し可能に密封される。
【0041】
樹脂供給部141から、樹脂注入チャンバ140、複合材プリフォーム10、及びリザーバ入口123を通って樹脂リザーバ121へと延在する樹脂流動経路142は、一連の配管要素及び消耗品のレイアップ材料からなる。樹脂流動経路142の上流部分は、複合材プリフォーム10の上流側でツール110を通って延在する1つ以上の樹脂注入入口112と連通し、複合材プリフォーム10の上流側で樹脂注入チャンバ140に樹脂を送達する、1つ以上の樹脂供給パイプ146を含み得る。樹脂供給パイプ146は通常、銅から形成されている。
【0042】
樹脂流動経路142の中間部分は、複合材プリフォーム10、剥離プライ145、及び浸透性流動媒体の層147によって形成される。剥離プライ145は、複合材プリフォーム10の各端部11、12、13を超えて、複合材プリフォーム10の全体にわたって延在する。剥離プライ145は、浸透性流動媒体の層147が複合材プリフォーム10に固着するのを防ぐのと、樹脂が複合材プリフォーム10内を満たす経路を提供するのとの両方の役割を果たし、このどちらもが、複合材プリフォーム10の上流端部12に沿って、複合材プリフォーム10の上側表面を通って行われる。示される実施形態では浸透性流動媒体の第1の帯143と同一の材料から形成されている浸透性流動媒体の層147は、剥離プライ145を超えて延在する。示される実施形態では、浸透性流動媒体の層147は、複合材プリフォーム10の上流端部12を超えて、1つ以上の樹脂注入入口ポート112の上を、且つ複合材プリフォーム10の下流端部11を超えて延在し、浸透性流動媒体の層147の下流端部と浸透性流動媒体の帯143との間に間隙が残される。樹脂注入チャンバ140を、ツール110を通って延在する樹脂入口ポート112を通過する樹脂流動経路142を通って、樹脂供給部141と連通させるのではなく、樹脂流動経路142が真空バギングフィルム130を貫通し得ることもまた、想定される。こうした構成では、真空バギングフィルム130内に開口が形成されてよく、開口は、開口の周囲を密封する樹脂供給部141と連通してよい。
【0043】
樹脂流動経路142の下流部分は、剥離プライ145の下流部分144、及び浸透性流動媒体の帯143によって形成される。
【0044】
第1の真空源151をリザーバ出口122と連通させる真空流動経路150は、一連の配管要素及び消耗品のレイアップ材料からなる。リザーバ出口122から延在する真空流動経路150の上流部分は、第2の浸透性流動媒体からなる。第2の浸透性流動媒体は、便利には、樹脂流動経路142内で使用されている浸透性流動媒体の層147及び帯143と同一の材料から形成されていてよいが、所望により、他の形態の浸透性流動媒体が使用され得ることもまた、想定される。第2の浸透性流動媒体は、ここでは、樹脂リザーバエレメント120上に設置された、それぞれ1つのリザーバ出口122を覆っている浸透性流動媒体の2つの帯152、及び、横方向に延在する浸透性流動媒体のさらなる帯153であって、帯(複数)152と、樹脂リザーバエレメント120の下流でツール110を通って延在する真空出口ポート113とを連通させる、帯153を含む。第2の浸透性流動媒体の帯152及び153が密封テープの帯128に固着するのを防止するため、樹脂リザーバエレメント120を上側ツール表面111に対して密封している密封テープの帯128の露出面に、テープ156が付けられてよい。真空出口ポート113は、1つ以上の真空出口パイプ154を経由して第1の真空源151と連通し、真空流動経路150の下流部分を形成している。真空出口パイプ154は通常、銅から形成されている。リザーバ出口122を、ツール110を通って延在する真空出口ポート113を貫通する真空流動経路150を通って、第1の真空源151と連通させるのではなく、真空流動経路150が真空バギングフィルム130を貫通し得ることもまた、想定される。こうした構成では、真空バギングフィルム130内に開口が形成されてよく、開口は、開口の周囲を密封する第1の真空源151と連通してよい。
【0045】
真空バギングフィルム130は、複合材プリフォーム10、剥離プライ145、及び浸透性流動媒体の層147によって形成されたレイアップ全体にわたって延在し、樹脂リザーバエレメント120及び第2の浸透性流動媒体の帯152、153の上にさらに延在する。限定しないが例として、Airtech International Incから入手可能なAirtech WL7400またはSL800真空バギングフィルムを含む、様々な真空バギングフィルム材料のうちの任意のものが使用され得る。真空バギングフィルム130は、真空バギングフィルム130の外面の周りを、密封テープのさらなる帯131によって、上側ツール表面111に対して密封されている。帯131は、通常、チャネル区域124の第2の下側端部127を上側ツール表面111に対して密封する密封テープの帯128と同じ材料から形成されている。樹脂注入流動経路142及び樹脂注入チャンバ140を真空流動経路150から隔離するため、密封テープのさらなる帯132が、第2の浸透性流動媒体の帯152の周りで、真空バギングフィルム130を樹脂リザーバ要素120に対して密封する。図3及び図4で最もよく理解され得るように、真空バギングフィルム130は、樹脂流動経路142の上側境界を規定する。浸透性流動媒体の層147の下流端部と浸透性流動媒体の帯143の上流端部との間で、真空バギングフィルム130は、樹脂流動経路142を、剥離プライ145の下流部分144に限定しており、それによって浸透性樹脂流動制御閉塞部が画定される。真空バギングフィルム130は、真空流動経路150の上側境界も、また規定する。
【0046】
実用の際は、システム100が上記のように組み立てられると、樹脂供給部141に触媒作用が及ぼされ、加熱されて、樹脂が適切な樹脂注入温度にされる。通常、システム全体がオーブン内で加熱され、このオーブンは、この後の硬化にも使用される。樹脂注入の温度は、使用される樹脂システムに依存し、通常、樹脂が樹脂流動経路142を通って注入されるのを可能にする適切な粘度が提供されるようにして、選択される。樹脂注入処理で使用するのに適切であり、且つ形成される複合材構造体の所望の特性によって決定される、任意の樹脂が使用され得る。適切な樹脂は、エポキシ、ビスマレイミド、ベンゾキサジン、ポリイミド、及びポリアミドイミド樹脂を含み得る。第1の真空源151及び真空流動経路150を介して、リザーバ出口123に少なくとも不完全な真空圧が印加される。図4で最もよく示されるように、第2の真空パイプ157に接続された第2の真空源155によって、樹脂供給部141に対して、より弱い不完全な真空(即ちより高い絶対圧)が印加されてもよい。第2の真空源155によって樹脂供給部141に不完全な真空が印加される場合、第1の真空源151によってリザーバ出口123に印加される絶対圧が、樹脂供給部141における絶対圧よりも低くなるように、第1の真空源151と第2の真空源155の間に圧力差が維持されてよい。一例では、第1の真空源151によって完全真空(0mBar/0kPA)が印加されてよく、第2の真空源155によって500~800mBar(50~80kPA)のより高い圧力/より弱い真空が印加されてよい。それによって、樹脂を樹脂供給部141から樹脂流動経路142を通って動かすのと同等の圧力差が提供される。樹脂を脱気するため、樹脂注入に先立って第2の真空源155にも完全真空が印加されてよい。
【0047】
樹脂供給部141で少なくとも不完全な真空を維持することによって、樹脂注入チャンバ140全体にわたって少なくとも不完全な真空を維持することが確保される。真空バギングフィルム130、浸透性流動媒体の層147、及び剥離プライ145を通じてプリフォーム10に作用する大気圧は、複合材プリフォーム10を固化するように作用する。樹脂は、波面に沿って樹脂注入チャンバ142を通り、浸透性流動媒体の層147を通って移動する。層147は、概して剥離プライ145及び複合材プリフォーム10のどちらよりも大きい浸透性を有し、それによって、最も抵抗が小さい経路が形成される。浸透性流動媒体の層147を通過する樹脂は、より浸透性が低い剥離プライ145を通って浸み込み、プリフォーム10内に浸み込む。樹脂の一部は横方向にも流れて、複合材プリフォーム10の上流端部12を通り、より小さい程度で、複合材プリフォーム10の両側の側面端部13を通る。浸透性流動媒体の層147の下流端部11が、浸透性流動媒体の帯123と剥離プライ145の下流部分144のどちらよりも手前で終わっていることによって、樹脂がプリフォーム10をバイパスして単に浸透性流動媒体の層147を通って直接樹脂リザーバ121内に引かれることが防止される。樹脂が複合材プリフォーム10の下流端部11及び浸透性流動媒体の層147の下流端部を通過した後、樹脂リザーバ121に到達するまで、樹脂が、剥離プライ145の下流部分144によって規定される浸透性樹脂流動制御閉塞部を通る縦方向下流への通過を強制されることによって、樹脂の波面の進行速度が抑制される。樹脂の波面の前進を制御するため、剥離プライ145の下流部分144で浸透性樹脂流動制御閉塞部を形成するのではなく、浸透性制御媒体の層147と比べて典型的にはより浸透性の低い浸透性媒体によって形成された、別個の浸透性樹脂流動制御閉塞部が、複合材プリフォーム10と樹脂リザーバ121の間で使用され得ることもまた、検討される。
【0048】
通常、樹脂の波面は、複合材プリフォーム10の横方向の範囲にわたって、均等に前進しない。複合材プリフォーム10の幾何学的形状または厚さの不均一が存在する箇所では、とりわけそうである。樹脂の波面の一部位が最初にリザーバ入口123に到達する箇所で、樹脂は、樹脂リザーバ121内に流入する。樹脂入口123よりも高い位置に位置する樹脂出口122を通じて真空が引かれるため、樹脂に重力が作用する結果、樹脂が、リザーバ出口122を通って、真空流動経路150に沿って、第1の真空源151に向かって引かれやすいということはない。こうして、樹脂注入は、樹脂の波面全体が複合材プリフォーム10の下流端部11に到達したという目視確認が受理され、複合材プリフォーム10の樹脂注入が完了したことが示されるまで、樹脂が真空パイプ154内に動かされることなしに、継続し得る。樹脂注入の完了が目視によって特定されると、樹脂のさらなる注入を防止するため、樹脂供給パイプ146の樹脂入口バルブ(図示せず)が閉じられ得る。樹脂注入の完了は、視覚的な特定に依存するよりもむしろ、既定の樹脂注入時間に基づいて判定されてよい。樹脂注入が完了すると、樹脂入口バルブを閉じるよりもむしろ、樹脂の硬化を開始するためオーブンの温度が上げられてよく、それによってさらなる注入は停止する。
【0049】
樹脂注入された複合材プリフォーム10は、樹脂の硬化に適切な温度までオーブンの温度を上げることによって硬化され得る。エポキシ樹脂に関しては、180°Cから200°Cといったオーダーの硬化温度が典型的であろう。硬化処理中は、通常、第1の真空源151に完全真空が維持される。それによって、樹脂注入された複合材プリフォーム10が固化されたままであることが確保され、樹脂の硬化に役立つ。
【0050】
樹脂が硬化され、システムが室温まで冷却されると、真空バギングフィルム130と、浸透性流動媒体の層147及び様々な帯143、152、153と、剥離プライ145とを含む様々な消耗品の層が、樹脂リザーバエレメント120と共に取り除かれる。樹脂リザーバエレメント120が上側ツール表面111から取り外され得、樹脂リザーバ121内で回収され硬化された余剰樹脂が取り除かれ得、樹脂リザーバエレメント120の再利用が可能になる。代わりに、樹脂リザーバエレメント120は廃棄されてもよい。樹脂リザーバエレメント120を廃棄することは、エレメント120が簡素な管状部分をカットすることで安価に形成されている場合には、特に適切であろう。
【0051】
真空バギングフィルムは、通常、具体的には樹脂注入及び/または樹脂硬化に関連づけられた高温下で、若干の空気浸透性を示す。その結果、第1の実施形態の樹脂注入システム100のシングルの真空バッグの構成においてあり得る欠点の1つとして、硬化プロセス中に真空が印加された状態で、空気が真空バギングフィルム130を通って複合材構造体10内に浸透し得、硬化された複合材積層板中に多孔性や樹脂欠乏が生じる可能性がある。こうして、第1の真空バギングフィルムを覆う第2の真空バギングフィルムを提供し、樹脂注入工程中と硬化工程中の両方で第2の真空バギングフィルムに真空圧を印加する、ダブルのバッグによる樹脂注入システムが、こうした空気の浸透を最小化または回避するための努力として想定されている。
【0052】
図6及び図7は、こうした第1の実施形態のシステム100のダブルバッグの構成であり、第2の実施形態のシステム200を形成する、(図3及び図4に相当する)概略断面図を示す。第2の実施形態のシステム200は、第1の実施形態のシステム100とほぼ同一であるが、第2の真空バギングフィルム160と、関連づけられた通気材層161を伴っている。その結果、第1の実施形態のシステム100の特徴と同一である第2の実施形態のシステム200の特徴には、同一の参照番号が付されており、さらなる検討はなされない。
【0053】
図6及び図7に示す第2の実施形態のシステム200では、複合材プリフォーム10、樹脂リザーバエレメント120、並びに、浸透性流動媒体の層147及び様々な帯143、152、153、剥離プライ145、並びに第1の真空バギングフィルム130といった関連する消耗品の層が、第1の実施形態のシステム100に関連して上記されたのと同様の手法で最初に組み立てられる。典型的には、ファイバーグラス、ポリエステルなどで形成された高度に浸透性のある織物である通気材層161が、次に、第1の真空バギングフィルム130の上に置かれ、第1の真空バギングフィルム130を完全に覆う。適切な通気材層は、Airtech International Incから入手可能なAIRWEAVE(登録商標) N10といった、ハイフィルム(high film)不織ポリエステル材料から形成された、通気材クロスである。通気材層161は、上側ツール表面111の外周の周りに延在する真空溝114の上に延在し、第3の真空パイプ158を経由して第1の真空源151(または別個の第3の真空源)に接続されている。次に、第2の真空バギングフィルム160が、通気材層161全体を覆って置かれ、密封テープのさらなる帯162によって上側ツール表面111に対して密封され、第1の真空バギングフィルム130と第2の真空バギングフィルム160との間に、密封空洞が形成される。複合材プリフォーム10は、第1の実施形態のシステム100に関連して上記されたのと同じプロセスを用いて樹脂注入され、続いて、硬化される。第1の真空バギングフィルム130と第2の真空バギングフィルム160の間の密封空洞には、樹脂注入中および硬化中ずっと、第1の真空源151(または別個の第3の真空源)によって、少なくとも不完全な真空が印加される。第2の真空バギングフィルム160と、これに関連して密封空洞に印加された真空とによって、第1の真空バッグ130に関連づけられたあらゆる微小な漏れが防護される。第2の真空バギングフィルム160を通り、通気材層161を通って複合材プリフォーム10に向かって浸透したあらゆる空気は、印加された真空によって空にされ、浸透して複合材プリフォーム10に至ることはできない。
【0054】
ここで、添付の図面中の図8を参照して、第3の実施形態による複合材プリフォーム20に樹脂注入するためのシステム300が記載される。システム300は、第1の実施形態によるシステム100と同じ基本的構成であり、同じ原理を採用している。しかし、翼のスパー及びdノーズ、可動後縁アセンブリ、可動前縁アセンブリ、並びに垂直及び水平安定板などといった、凹部を有する細長い複合品を製造するのに特に適切である。図8では、システム300の下流部分のみが示されているが、上流部分の基本的構成は、第1の実施形態のシステム100のものと同じである。第1の実施形態のシステム100の特徴と同一である第3の実施形態のシステム300の特徴には、添付の図中で、100大きくした同様の参照番号が付されている。
【0055】
具体的には可動後縁スパー用の複合材プリフォームを表す複合材プリフォーム20は、縦方向に延在する中央ウェブ25と、複合材プリフォーム20の両側側面端部23に沿って延在する両側のフランジ(複数)26を有する。最初にレイアップされるときに通常は可撓性である複合材プリフォーム20は、それぞれ、両側端部部分であって、上側ツール表面211の中央平坦部分217の側面に沿って延在する、対応する窪み216の側壁215に沿ってツール210の上側ツール表面211上にかかっているフランジ26を形成する、両側端部部分を有する。システム200の構成では、樹脂リザーバエレメント220は、ツール210を通って延在する真空出口213の下流に設置される。複合材プリフォーム20の下流端部21とリザーバ入口223との間に延在する樹脂流動経路の一部は、別個の浸透性樹脂流動制御閉塞部244、流動制御閉塞部244の下流部分にわたって横方向に延在する、浸透性流動媒体の横方向に延在する帯243、及び、浸透性流動媒体の帯243をリザーバ入口223と連通させる、浸透性流動媒体の一対の縦方向に延在するさらなる帯248であって、樹脂リザーバエレメント220のチャネル区域224の第1の下側端部226の下方に延在する帯248によって、規定される。
【0056】
樹脂リザーバエレメント220には、リザーバ出口222から延在し真空出口ポート213を覆っている、浸透性流動媒体のさらなる帯252を含む真空流動経路を介して第1の真空源(図示せず)と連通する、中央に位置する単一のリザーバ出口222が提供されている。密封テープ231の帯はまた、複合材プリフォーム20と、(図8には具体的に示されていないが、剥離プライと、その上に設置された浸透性流動媒体の層と、)樹脂リザーバエレメント220とを覆う、真空バギングフィルムを密封するために使用される。真空流動経路を樹脂注入チャンバから隔離するため、第1の実施形態のシステム100に関連して上記された手法に従って、密封テープのさらなる帯もまた同様に使用される。次に、複合材プリフォーム20は、第1の実施形態のシステム100に関連して上記されたのと概して同じ方法で、樹脂注入される。第3の実施形態のシステム300の変更形態では、複合材プリフォーム20の下、複合材プリフォーム20と上側ツール表面211との間にさらなる真空バギングフィルムが使用されてよく、それによって複合材プリフォーム20は上側ツール表面211上に間接的に置かれる。
【0057】
複合材プリフォームに樹脂注入する上記の一般的な方法が、図9のフロー図で概括的に示される。ブロック401で、上側ツール表面を有するツールが提供される。ブロック402で、複合材プリフォームが上側ツール表面上に置かれる。ブロック403で、樹脂リザーバエレメントが、複合材プリフォームの下流側の上側ツール表面上に設置される。樹脂リザーバエレメント及び上側ツール表面は、樹脂リザーバを規定し、樹脂リザーバは、リザーバ出口及び、上側ツール表面とリザーバ出口との間に位置するリザーバ入口を有する。ブロック403は、複合材プリフォーム及び樹脂リザーバエレメントを覆うため、上側ツール表面上に置かれた真空バッグを表す。ブロック405は、上側ツール表面に対して密封され、上側ツール表面と真空バギングフィルムとの間に密封樹脂注入チャンバを規定する、真空バギングフィルムを表す。複合材プリフォームと樹脂リザーバエレメントは、樹脂注入チャンバ内に置かれる。ブロック406は、樹脂供給部の提供を表す。ブロック407は、複合材プリフォームの上流側の、樹脂注入チャンバへの樹脂供給部から、複合材プリフォームを通り、リザーバ入口を通って樹脂リザーバまで延在する、樹脂流動経路の提供を表す。ブロック408は、樹脂供給部とリザーバ出口との間に圧力差を設けることによって、樹脂供給部から樹脂流動経路を通って樹脂を動かして複合材プリフォームを樹脂で満たし、余剰樹脂を樹脂リザーバ内で回収するための、リザーバ出口への少なくとも不完全な真空圧の印加を表す。
【0058】
本発明による発明対象の例示的、非排他的な例が、以下の条項A1からC20に記載される。
【0059】
A1.本開示の一態様によれば、複合材プリフォーム10に樹脂注入する方法であって、
複合材プリフォーム10を、ツール110の上側ツール表面111上に置くことと、
樹脂リザーバエレメント120を前記複合材プリフォーム10の下流側の前記上側ツール表面111上に設置することであって、前記樹脂リザーバエレメント120及び前記上側ツール表面111は樹脂リザーバ121を規定し、前記樹脂リザーバ121は、リザーバ出口122及び、前記上側ツール表面111と前記リザーバ出口122の間に位置するリザーバ入口123を有する、設置することと、
前記複合材プリフォーム10及び前記樹脂リザーバエレメント120を覆うため、真空バギングフィルム130を前記上側ツール表面111上に置くことと、
前記上側ツール表面111と前記真空バギングフィルム130との間に密封された樹脂注入チャンバ140を規定するため、前記真空バギングフィルム130を前記上側ツール表面111に対して密封することであって、前記複合材プリフォーム10及び前記樹脂リザーバエレメント120は前記樹脂注入チャンバ140内に置かれている、密封することと、
樹脂供給部141を提供することと、
前記複合材プリフォーム10の上流側の、前記樹脂注入チャンバ140への前記樹脂供給部141から、前記複合材プリフォーム10を通り、前記リザーバ入口123を通って前記樹脂リザーバ121まで、樹脂流動経路142を提供することと、
前記樹脂供給部131と前記リザーバ出口122との間に圧力差を設けることによって、前記樹脂供給部141から前記樹脂流動経路142を通って樹脂を動かして前記複合材プリフォーム10を樹脂で満たすため、前記リザーバ出口122に少なくとも不完全な真空圧を印加することであって、余剰樹脂は前記樹脂リザーバ121内で回収される、印加することと、を含む方法が提供される。
【0060】
A2.条項A1に記載の方法であって、前記樹脂リザーバエレメント120は、前記複合材プリフォーム10の方に位置する第1の下側端部126と、前記複合材プリフォーム10から離れて位置する反対側の第2の下側端部127とを有するチャンネル区域124を備え、前記方法は、前記第1の下側端部126と前記上側ツール表面111との間に、前記リザーバ入口123を規定する間隙を形成することをさらに備える、条項A1に記載の方法。
【0061】
A3.前記間隙を少なくとも部分的に規定するため、第1の下側端部126と前記上側ツール表面111との間に、第1の浸透性流動媒体を設置することをさらに含む、条項A2に記載の方法。
【0062】
A4.前記上側ツール表面111に対して、前記第2の下側端部127を取り外し可能に密封することをさらに含む、条項A1または条項A2に記載の方法。
【0063】
A5.前記樹脂リザーバエレメント120は、前記複合材プリフォーム10の下流端部の長さの少なくとも過半に沿って延在するようにして設置される、条項A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
A6.前記樹脂流動経路142内、前記複合材プリフォーム10と前記樹脂リザーバ121との間に樹脂流動制御閉塞部を設置することをさらに含む、条項A1からA5のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
A7.前記リザーバ出口122と、前記上側ツール表面111から前記ツール110を通って延在し真空流動経路150を形成する真空出口ポート113との間に第の浸透性流動媒体を提供することであって、前記真空流動経路150に前記少なくとも不完全な真空が印加される、提供することをさらに含む、条項A1からA6のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
B8.本開示のさらなる態様にしたがって、樹脂注入された複合材プリフォームを形成するための条項A1からA7のいずれか一項に記載の方法にしたがって、複合材プリフォーム10に樹脂注入することと、
前記樹脂注入された複合材プリフォームを硬化すること
を含む、複合品を形成する方法が提供される。
【0067】
B9.前記樹脂注入された複合材プリフォームの硬化に続いて、前記樹脂リザーバエレメント120を前記上側ツール表面から取り外すことと、
前記樹脂リザーバエレメント120から前記樹脂リザーバ121内に回収された余剰樹脂を取り除くことと
をさらに含む、条項B8に記載の方法。
【0068】
C10.本開示のさらなる態様によると、複合材プリフォーム10に樹脂注入するための樹脂注入システムであって、
樹脂注入される複合材プリフォーム10を受容する上側ツール表面111を有するツール110と、
樹脂供給部141と、
前記複合材プリフォーム10の下流側の前記上側ツール表面111上に設置された樹脂リザーバエレメント120であって、前記樹脂リザーバエレメント120と前記上側ツール表面111が、リザーバ出口122及び、前記上側ツール表面111と前記リザーバ出口122との間に設置されたリザーバ入口123を有する樹脂リザーバ121を画定する、樹脂リザーバエレメント120と、
前記複合材プリフォーム10及び前記樹脂リザーバエレメント120を覆う真空バギングフィルム130であって、前記真空バギングフィルム130と前記上側ツール表面111との間に密封樹脂注入チャンバ140が規定され、前記複合材プリフォーム10と前記樹脂リザーバエレメント120が前記樹脂注入チャンバ140内に置かれる、真空バギングフィルム130と、
前記複合材プリフォーム10の上流側の、前記樹脂注入チャンバ140への前記樹脂供給部141から、前記複合材プリフォーム10を通り、前記リザーバ入口123を通って前記樹脂リザーバ121まで延在する樹脂流動経路142と、
真空流動経路150を介して前記リザーバ出口122と連通する真空源151と、
を備えるシステム100が提供される。
【0069】
C11.前記樹脂リザーバエレメント120は、閉じられた両端部125を有する細長転置チャネル区域124を備える、条項C10に記載のシステム100。
【0070】
C12.前記チャネル区域124は、前記複合材プリフォーム10の方に位置する第1の下側端部126と、前記複合材プリフォーム10から離れて位置する反対側の第2の下側端部127とを有し、前記リザーバ入口123は、前記第1の下側端部126と前記上側ツール表面111との間に間隙を備える、条項C11に記載のシステム100。
【0071】
C13.前記間隙を少なくとも部分的に規定するため、第1の下側端部126と前記上側ツール表面111との間に設置された第1の浸透性流動媒体をさらに含む、条項C12に記載のシステム100。
【0072】
C14.前記チャネル部分124の前記第2の下側端部127が、前記上側ツール表面111に取り外し可能に密封される、条項C12またはC13に記載のシステム100。
【0073】
C15.前記チャネル部分124が概して半円形の断面を有する、条項C11からC14のいずれか一項に記載のシステム100。
【0074】
C16.前記リザーバ出口122が、前記樹脂リザーバエレメント120の最上部に、またはその付近に位置している、条項C10からC15のいずれか一項に記載のシステム100。
【0075】
C17.前記樹脂リザーバエレメント120は、前記複合材プリフォーム10の下流端部の長さの少なくとも過半に沿って延在する、条項C10からC16のいずれか一項に記載のシステム100。
【0076】
C18.前記樹脂流動経路142内、前記複合材プリフォーム10と前記樹脂リザーバ121の間に設置された浸透性樹脂流動制御閉塞部(244)をさらに備える、条項C10からC17のいずれか一項に記載のシステム100。
【0077】
C19.条項C10からC18のいずれか一項に記載のシステム100であって、前記真空流動経路150は、前記上側ツール表面111から前記ツール110を通って延在する真空出口ポート113を通って延在し、前記装置は、前記リザーバ出口122から前記真空出口ポート113へと延在する第の浸透性流動媒体をさらに備え、前記真空バギングフィルム130は、前記第の浸透性流動媒体及び前記真空出口ポート113の上に延在する、条項C10からC18のいずれか一項に記載のシステム100。
【0078】
C20.前記樹脂リザーバエレメント120に沿って間隔を空けて配置された複数の前記リザーバ出口122を備える、条項C10からC19のいずれか一項に記載の、システム100。
【0079】
上記の具体的な実施形態が本開示の単なる実施例であることは、当業者によって理解されるであろう。種々の実施形態に関して記載される様々な特徴が、組み合わせて、または代替形態として使用され得ることは、当業者によって理解されるであろう。記載された実施形態に対する、様々な変更形態及び代替実施例もまた、当業者によって理解されるであろう。
図1
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図9