(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】農薬の散布計画を決定および提供するための方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20241213BHJP
【FI】
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2022502206
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2020069785
(87)【国際公開番号】W WO2021009135
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-11
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521508254
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ アグロ トレードマークス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】パソリウス,ヴェクセル,ヴァグナー
(72)【発明者】
【氏名】イルバシ,ウミット バラン
(72)【発明者】
【氏名】キーペ,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ザニ,ヒラン
(72)【発明者】
【氏名】デ エウスタキオ レセンデ,ファブリシオ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス アグネセ,マウリシオ
(72)【発明者】
【氏名】バルダシン,サミラ
(72)【発明者】
【氏名】サルバドール,アンドレ
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106959(JP,A)
【文献】特開平11-313594(JP,A)
【文献】国際公開第2016/178268(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0287082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬の散布計画を決定および提供するためのコンピュータによって実行される方法であって、
農地に植え付けられ、または植え付けが予定されている農作物種に関する情報を含む農作物データを取得するステップ(S10)と、
前記農地に農薬を散布する少なくとも1つの予定されている散布時期に関する情報を含む散布時期データを取得するステップ(S20)と、
前記農地に存在し、または予想される少なくとも1つの雑草または病原体指定子に関する情報を含む雑草および/または病原体指定子データを取得するステップ(S30)と、 取得した前記農作物データ、取得した前記散布時期データ、取得した前記雑草および/または病原体指定子データに少なくとも基づいて農薬製品データベース内でデータベース検索を実行し、前記農作物、前記散布時期、および前記雑草または病原体指定子の1つ、に合致する複数の農薬製品を決定するステップであって、前記農薬製品データベースは、複数の農薬製品に関する農薬製品情報を含み、前記農薬製品情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、各農薬製品の適切な散布時期、ならびに雑草および/または病原体に対する前記農薬製品の有効性に関する情報を少なくとも含むステップ(S50)と、
生成された複数の散布計画をランク付けするステップ(S70)であって、前記農薬製品情報に基づいて、決定された前記複数の農薬製品から、全ての雑草および/または病原体インジケータがカバーされるように、前記農薬製品を組み合わせることで複数の異なる散布計画(S60)が生成されるステップと、
を備え、
前記ランク付けするステップは、
j)散布計画ごとの農薬の数、
k)定義された閾値を上回る有効性でカバーされる主要なまたは優先的な雑草および/または病原体の数、一例においては、前記定義された閾値は80%を上回り、一例においては、前記定義された閾値は散布計画ごとに最も重み付けされた統計を表し、
l)定義された閾値を上回る有効性でカバーされる全ての雑草および/または病原体の数、
m)所与の農薬により雑草および/または病原体全体に対して実現される最大の有効性、
n)散布の時期での既知の好適な用法の前記散布計画での農薬の割合、
o)主要なまたは優先的な雑草および/または病原体に対する前記散布計画における全ての農薬で実現される有効性の合計、
p)全ての雑草および/または病原体に対する前記散布計画における全ての農薬で実現される有効性の合計、
q)該当する場合、土壌における残りの有効性持続時間の平均的に予想される制御、および/または
r)それまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを示す指標、
、の散布計画ごとの1以上の統計、ならびに雑草および/または病原体に対する前記農薬製品の有効性に基づいて、ランク付けをし、
雑草および/または病原体指定子ごとの最も高い有効性を最小限の農薬製品数で見つけるために、複数の異なる前記散布計画の中から1つの農薬の散布計画を決定および提供する方法。
【請求項2】
前記方法が、散布計画ごとに統計を算出するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1ステップにおいて、前記ランク付けは、定義された閾値を上回る有効性でカバーされる全ての病原体の数および所与の農薬により病原体全体に対して実現される最大の有効性に基づき、第2ステップにおいて、前記ランク付けはさらに、
a)散布計画ごとの農薬の数、
b)所与の農薬により病原体全体に対して実現される最大の有効性、
c)散布の時期での既知の好適な用法の前記散布計画での農薬の割合、
d)主要なまたは優先的な病原体に対する前記散布計画における全ての農薬で実現される有効性の合計、
e)全ての病原体に対する前記散布計画における全ての農薬の実現された有効性の合計、
f)該当する場合、土壌における残りの有効性持続時間の平均的に予想される制御、および/または
g)それまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを示す指標、の散布計画ごとの1以上の統計を考慮し、または基づいて規定されることが好ましい、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記農作物データが、ユーザインタフェースによってまたはデータ処理ユニットによって提供される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記雑草および/または病原体指定子が、ユーザインタフェースによってまたは前記農地の画像認識によって提供される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
散布計画が、農薬製品ごとの用量範囲および閾値に関する情報をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、農地データと散布計画とを組み合わせることで散布マップを提供するステップをさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記農薬製品情報が、特定の農薬製品を混合した際の悪影響に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記特定の農薬製品を混合した際の悪影響にさらに基づく、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記提供された農作物データが、作物の成長段階または植え付け日に関する情報をさらに含み、
前記農薬製品情報が、前記作物の成長段階または前記植え付け日を考慮に入れた前記農薬製品の有効性に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記作物の成長段階または前記植え付け日を考慮に入れた前記農薬製品の有効性にさらに基づく、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記提供された農作物データが、前記農地で育てられた過去の農作物および/または前記農地で次に育てられる予定の農作物に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記農地で育てられた過去の農作物および/または前記農地で次に育てられる予定の農作物に関する情報にさらに基づく、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記雑草および/または前記病原体指定子データが、前記雑草または病原体の成長段階に関する情報をさらに含み、
前記農薬製品情報は、前記雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた前記有効性に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた前記農薬製品の有効性にさらに基づく、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記雑草および/または病原体指定子データが、処置優先度に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記処置優先度に関する情報にさらに基づく、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記データベース検索および/または前記散布計画が、あらかじめ設定された農薬製品に限定されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
散布計画は、前記農薬製品の用量に関する混合の指示と、前記混合に有用であるかまたは要求される添加剤に関する情報を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、農業機器で使用されるように構成された制御データを生成するステップをさらに備え、
前記制御データは、最も高くランク付けされた散布計画またはユーザにより選択された散布計画に基づく、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
農作物データ、雑草および/または病原体指定子、および散布時期データを提供するための少なくとも1つのインタフェースと、
複数の農薬製品に関する情報を含む農薬製品データベースを含み、前記農薬製品に関する情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、各農薬製品の適切な散布時期、ならびに雑草および/または病原体に対する前記農薬製品の有効性に関する情報を少なくとも含む少なくとも1つのメモリユニットと、
前記提供された農作物データ、前記提供された散布時期データ、前記提供された雑草および/または病原体指定子データに少なくとも基づいて前記農薬製品データベース内でデータベース検索を実行するように構成され、農作物、前記散布時期、および前記雑草または病原体指定子の1つに合致する複数の前記農薬製品を決定する少なくとも1つの処理ユニットと、
前記農薬製品に関する情報に基づいて、決定された前記複数の農薬製品から、全ての雑草および/または病原体インジケータがカバーされるように、前記農薬製品を組み合わせることで複数の異なる散布計画を生成するように構成されている少なくとも1つの処理ユニットと、
雑草および/または病原体指定子ごとの最も高い有効性を最小限の農薬製品数で実現する1つの散布計画を決定するために、散布計画ごとの農薬製品の数ならびに雑草および/または病原体に対する前記農薬製品の有効性に少なくとも従って、前記生成された複数の散布計画をランク付けするように構成されている少なくとも1つの処理ユニットと、
を備える、農薬の散布計画を決定および提供するためのシステム。
【請求項17】
プロセッサにより実行されると、請求項1から1
5のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されているコンピュータプログラム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬の散布計画を決定および提供するための方法に関し、農業機器を制御するための制御データを提供するためのこのような散布計画の使用および農薬の散布計画を決定および提供するための方法における農薬製品データベースの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一度の散布に際して、すなわちタンク内で2つ以上の農薬製品を混合することによって、複数の農薬製品を使用することは日常的な手順であり、このことは散布コストを削減し、特定の製品の活性を高め、一度の散布での処置の範囲を広げることができる。
【0003】
しかしながら、実際には、ユーザはどの農薬製品がタンクで混合でき、どの農薬製品が一度の散布において散布できるのかを決定する際にいくつかの不確実性に直面することとなる。その不確実性の1つは、各農薬製品には考慮しなくてはならない許可された/適用可能な散布時期があるという事実から引き起こされ、発芽後であれば、所与の作物の特徴に関しても考慮しなくてはならない。さらに、農薬製品を混合する際、各農薬製品がどの農作物、種類/特徴、雑草および/または病原体に対して最も効率的な方法で使用できるかも考慮しなくてはならない。この点に関する目標は、存在しまたは予想される雑草/病原体スペクトルに対する、環境的および経済的な影響は最小ながら十分な有効性を持つ農薬製品の混合および用量を選択することである。しかしながら、上記の要因は、所与の散布時期における農薬製品の組み合わせを考慮して、季節を通してこれらをローテーションする場合に可能性のある農薬製品の組み合わせが季節を通して多数になることにつながる。
【0004】
このため、一度の散布で、すなわち一度のタンク混合での使用の場合に、このような農薬製品の選択を簡略化するニーズがさらにあることが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の観点から、ユーザによって簡単に適用でき、かつそれによってユーザに対して各農薬混合の推奨が提供できる農薬の散布計画を決定および提供するための方法を提供することが本発明の目的である。以下の説明を読むことで明らかとなるこれらおよびその他の目的は、独立請求項の主題によって解決される。従属請求項は本発明の好適な実施形態を参照する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様によれば、農薬の散布計画を決定および提供するための方法が提供され、
・農地に植え付けられ、または植え付けが予定されている農作物種に関する情報を含む農作物データを提供/受け付けるステップと、
・前記農地に農薬を散布する少なくとも1つの予定されている散布時期に関する情報を含む散布時期データを提供/受け付けるステップと、
・前記農地に存在し、または予想される少なくとも1つの雑草または病原体指定子に関する情報を含む雑草および/または病原体指定子データを提供するステップと、
・複数の農薬製品に関する情報を含む農薬製品データベースを提供/受付することであって、前記農薬製品に関する情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期に関する情報を少なくとも含むステップと、
・前記提供された農作物データ、前記提供された散布時期データ、前記提供された雑草および/または病原体指定子データに少なくとも基づいて前記農薬製品データベースでデータベース検索を実行し、前記農作物、前記散布時期、および前記雑草または病原体指定子の少なくとも1つに合致する農薬製品を決定するステップと、
・全ての雑草および/または病原体インジケータがカバーされるように前記決定された農薬製品を組み合わせることで異なる散布計画を生成するステップと、
・散布計画ごとの農薬製品の数に少なくとも従って前記生成された散布計画をランク付けすることであって、前記生成された散布計画はさらなるパラメータ/統計/変数を考慮してランク付けされることが好ましいステップと、
を少なくとも含む。
【0007】
本開示の第2態様によれば、農薬の散布計画を決定および提供するための方法は、
・農地に植え付けられ、または植え付けが予定されている農作物種に関する情報を含む農作物データを提供するステップと、
・前記農地に農薬を散布する少なくとも1つの予定されている散布時期に関する情報を含む散布時期データを提供するステップと、
・前記農地に存在し、または予想される少なくとも1つの雑草または病原体指定子に関する情報を含む雑草および/または病原体指定子データを提供するステップと、
・前記提供された農作物データ、前記提供された散布時期データ、前記提供された雑草および/または病原体指定子データに少なくとも基づいて農薬製品データベースでデータベース検索を実行し、農作物、前記散布時期、および前記雑草または病原体指定子の1つに合致する農薬製品を決定し、前記農薬製品データベースは、複数の農薬製品に関する情報を含み、前記農薬製品に関する情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期に関する情報を少なくとも含むステップと、
・生成された散布計画をランク付けするステップであって、前記決定された農薬製品を全ての雑草および/または病原体インジケータがカバーされるように組み合わせることで異なる散布計画が生成されるステップと、
を備え、
・前記ランク付けステップは、
a)散布計画ごとの農薬の数、
b)定義された閾値を上回る有効性でカバーされる主要なまたは優先的な雑草および/または病原体の数、一例においては、前記定義された閾値は80%を上回り、一例においては、前記定義された閾値は散布計画ごとに最も重み付けされた統計を表し、
c)定義された閾値を上回る有効性でカバーされる全ての雑草および/または病原体の数、
d)所与の農薬により雑草および/または病原体全体に対して実現される最大の有効性、
e)散布の時期での既知の好適な用法の前記散布計画での農薬の割合、
f)主要なまたは優先的な雑草および/または病原体に対する前記散布計画における全ての農薬で実現される有効性の合計、
g)全ての雑草および/または病原体に対する前記散布計画における全ての農薬で実現される有効性の合計、
h)該当する場合、土壌における残りの有効性持続時間の平均的な予想される制御、および/または
i)それまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを示す指標、の散布計画ごとの1以上の統計に基づく、農薬の散布計画を決定および提供する。
【0008】
例においては、散布計画ごとの上記の統計の全てが散布計画のランク付けステップで使用され、好適には上記の統計の少なくとも2つが散布計画のランク付けステップで使用され、好適には上記の統計の少なくとも3つが散布計画のランク付けステップで使用され、好適には上記の統計の少なくとも4つが散布計画のランク付けステップで使用され、好適には上記の統計の少なくとも5つが散布計画のランク付けステップで使用され、好適には上記の統計の少なくとも6つが散布計画のランク付けステップで使用され、好適には上記の統計の少なくとも7つが散布計画のランク付けステップで使用され、および/または好適には上記の統計の少なくとも8つが散布計画のランク付けステップで使用される。
【0009】
例においては、本発明は、特に各農薬製品の有効成分、それらのインジケータおよびそれらの許容される散布時期等の各農薬製品の詳細の全てについて知らせる必要なしに、それによって散布計画のランク付けが最小限の要求される情報に基づいて行える解決手段を提供する。このような散布計画は、散布のための混合物中に組み合わせることができる農薬製品の一覧を含み、散布計画によって、全ての指定された雑草および/または病原体は提供された散布時期内に使用することが許可される農薬製品のみを含む提供された混合によってカバーされる。
【0010】
農地に農薬を散布する提供された散布時期は日付または時間窓であることができ、すなわち、特定の農地に農薬を拡散する予定の日付または時間窓であることができる。農地に植え付けられ、または植え付けが予定されている農作物種は、作物の通称名もしくは学名または、たとえば、製品製造番号等のその他の識別子によって提供可能である。農地に存在し、または予想される雑草または病原体指定子は雑草の種類/才能の通称名もしくは学名、EPPOコード(https://gd.eppo.int/)、または、たとえば、識別番号等のその他の識別子によっても提供可能である。この点において重要なことは、このような情報が直接的または間接的に農薬製品データベースでのデータベース検索のために使用できることのみである。最後に、データベース検索の実行という用語は、広範囲に理解されるべきであり、すでに農薬製品データベースでデータベース検索クエリの入力/提供を包含している。本開示のさらなる態様では、統計に従った生成された散布計画のランク付けステップが、散布計画ごとの農薬製品の数に従ってランク付けされた生成された散布計画の出力/提供/表示するステップに置き換えられてもよい。
【0011】
農薬製品データベースは、農薬製品が雑草または病原体に対して使用されるのかおよび/またはどの雑草または病原体に対して農薬製品が通常使用されるのか等の、各農薬製品の有効成分、各農薬製品の適切な散布時期、および各農薬製品の散布エリアに関する情報を含む。このような農薬製品データベースは、一般的な農薬製品の全てまたはほとんどをカバーしてもよいし、特定のプロバイダの農薬製品に限定されていてもよい。さらに、農薬製品データベースをそれぞれの法域で許可されている農薬製品に限定することも可能である。農薬製品データベースは、第三者機関により提供されてもよい。しかしながら、ユーザが使用しようとする各農薬製品のラベルをスキャンし、サプライヤのデータベースから各農薬製品に関する各情報を得ることで、ユーザに応じた農薬製品データベースをユーザが作成することも可能である。後者によると、ユーザは、さらなる農薬製品に関する情報を追加して、農薬製品データベースを補うことも可能である。とりわけ、本発明による農薬という用語は、広範囲に理解されるべきであり、雑草および/または病原体等に対して使用できてもよい任意の除草剤、殺菌剤、殺虫剤またはそれらの混合物であってもよい。さらに、病原体という用語は、任意の生命体として理解され、植物に対して損害を引き起こすことができるまたは植物の成長もしくは健康状態に悪影響をおよぼすことができるものである。病原体には、菌類、細菌、ウイルス、害虫、クモ形類、線虫類、軟体動物および齧歯動物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある好適な実施形態では、病原体は菌類である。またある好適な実施形態では、病原体は害虫である。
【0012】
本発明による生成された散布計画は、提供された農作物および散布時期および1つの雑草指定子または1つの病原体指定子のどちらかに合致する決定された農薬製品の組み合わせを提供する任意の可視化または不可視化データ/情報であることができ、決定された農薬製品は、全ての雑草および病原体指定子がカバーされるように散布計画で組み合わされる。散布計画を生成するステップでは、農薬製品の各組み合わせによって全ての雑草および病原体指定子がカバーされるように、決定された農薬製品を組み合わせることで全てまたは所定の数の散布計画が提供される。続いて、特に全ての雑草および病原体指定子をカバーするために要求される農薬製品の数を考慮してこれらの生成された散布計画がランク付けされる。散布計画のランク付けされた一覧は、データ処理システムによりまたはディスプレイを備えるデータ処理システムによりさらに処理できるデータセットによって等の可視化および/または不可視化形態で提供できる。
【0013】
その結果、本発明は、それによって提供された散布時期と合致する全ての雑草および病原体指定子をカバーする散布計画のランク付け番号をユーザが受け取る解決手段を提供する。このように、本発明の適用により農薬製品混合を簡略化し、より確実に決定することが提供できる。
【0014】
農作物データは、ユーザインタフェースによってまたはデータ処理ユニットによって提供されることが好ましい。たとえば、各ユーザインタフェースは、それによってユーザがそれぞれの情報を提供できる各入力手段を備える、たとえば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のデータ処理システムによって提供可能である。しかしながら、農作物データは、たとえば、農地に農作物を植え付けるように使用される種まき機のデータ処理ユニットまたは農作物データが記憶されているその他のデータ処理ユニット等のデータ処理ユニットによって提供可能である。
【0015】
好適には、雑草および/または病原体指定子は、ユーザインタフェースによってまたは農地の画像認識によって提供される。また、ここでは、各ユーザインタフェースは、それによってユーザがそれぞれの情報を提供できる各入力手段を備える、たとえば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のデータ処理システムによって提供可能である。しかしながら、各農地の画像認識から導かれるデータを使用することで、多かれ少なかれ自動処理を構築することも可能であり、これらのデータは衛星またはドローン画像等の各画像を第三者機関が分析することにより提供可能である。
【0016】
散布計画は農薬製品ごとの用量範囲および閾値に関する情報をさらに含むことがさらに好ましく、閾値は予め定義または手入力されてよく、所定の閾値はユーザ定義の可変閾値と組み合わされてもよい。この点において、農薬製品ごとの用量範囲に関する提供された情報は、作物の成長段階および/または繁殖段階を考慮した農薬製品ごとの異なる用量範囲を含んでもよい。さらに、特に、散布計画による混合が第三者機関により提供される場合、散布前または最中に、タンク混合上に提供されて、実際の混合が使用されている散布計画と比較できるように対応する読出手段によってスキャンできる、たとえば、バーコード、RFID等によって混合が確認されることがさらに好ましい。
【0017】
好適には、方法は、農地データと散布計画とを組み合わせることで散布マップを提供するステップをさらに備える。農地データは、境界等の地理的な詳細および農地の特徴、配置および作物の成長段階および/または雑草および/または病原体の分布/位置に関する情報を含んでもよい。このような農地データを提供し、それを散布計画と組み合わせることで、農地のどこにどの用量が拡散されるべきかに関する情報を含んで空間的に分解された散布マップが提供可能である。とりわけ、農地データは、ユーザインタフェースによってまたは各農地の画像認識によって提供可能である。また、ここでは、それぞれの画像は衛星またはドローンシステムによって提供可能である。加えて、農地データは、サービスプロバイダ等の第三者機関が各画像および散布計画を分析することによって提供可能である。
【0018】
好適には、農薬製品情報は、雑草および/または病原体に対する農薬製品の有効性に関する情報をさらに含み、生成された散布計画のランク付けステップは雑草および/または病原体に対する農薬製品の有効性にさらに基づく。その結果、生成される散布計画のランク付けに全ての雑草および/または病原体指定子をカバーするために必要な農薬製品の数が使用できるだけでなく、農薬製品の有効性もまた使用できる。有効性は、市販または公的に入手可能なデータベースおよびまたは専門家による改訂から取得でき、専門家によって改訂された有効性が手元にある場合はこのようなデータが好ましい。さらに、有効性は、たとえば、野焼き、2度目の野焼き、植え付け頃、出芽、収穫等それぞれの散布に応じて重み付けできる。この点において、有効性は1つの有効性において平均化されるか、散布計画における農薬製品の数によりさらに重み付けされるかのいずれかでよい。このようなランク付けによって、雑草および/または病原体指定子ごとの最も高い有効性を最小限の農薬製品数で潜在的に見つけることができる。より詳細には、ランク付けは、散布計画ごとの以下の統計に基づいてもよい。
1.散布計画ごとの農薬の数、
2.定義された閾値を上回る有効性でカバーされる主要なまたは優先的な雑草および/または病原体の数、一例においては、定義された閾値は80%を上回り、
3.定義された閾値を上回る有効性でカバーされる全ての雑草および/または病原体の数、
4.所与の農薬により雑草および/または病原体全体に対して実現される最大の有効性、
5.散布の時期での既知の好適な用法の散布計画での農薬の割合、
6.主要なまたは優先的な雑草および/または病原体に対する散布計画における全ての農薬で実現される有効性の合計、
7.全ての雑草および/または病原体に対する散布計画における全ての農薬で実現される有効性の合計、
8.該当する場合、土壌における残りの有効性持続時間の平均的に予想される制御、および/または
9.それまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを説明する指標。
【0019】
これらの統計は、各散布計画に起因してもよいランク値を算出するために使用されてもよい。この処理では、散布計画ごとの農薬の数(すなわち上記の番号1)は、散布計画ごとに多数の農薬にペナルティーを科すために使用されてもよく、すなわち、結果的により低いランク値となる。同様に、それまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを説明する指標が、それまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しにペナルティーを科すために使用されてもよく、このことは結果的により低いランク値となり得る。これとは逆に、有効性に関する統計は、高い有効性の散布計画を支持するために使用され、結果的により大きなランク値となる。統計および結果として生じるランク値は、散布計画をランク付けするために使用されてもよい。この目的で、統計および結果として生じるランク値は、決定された順序で段階的にランク付けするために使用されてもよい。例においては、ランク付けは、まず、定義された閾値を上回る有効性でカバーされる主要なまたは優先的な雑草および/または病原体の数に関連してランク付けされ(すなわち上記の番号2)、その後、それまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを説明する指標に応じて同じランクの散布計画をランク付けし、その後、他の統計またはランク値によってランク付けすることにより行うことができる。
【0020】
さらなる例においては、第1ステップで、番号2(すなわち定義された閾値を上回る有効性でカバーされる主要なまたは優先的な雑草および/または病原体の数)のもとに上記で言及された統計を考慮して第1/大まかなランク付けが行われて、第1/大まかなランク付けが出力されてもよい。続いて、この第1/大まかなランク付けのランク付け/結果は、番号1(すなわち散布計画ごとの農薬の数)および3から9(すなわちそれまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを説明する指標)のもとに上記で言及された1以上の統計を考慮して、第2ステップにおいてより正確にランク付けされる。
【0021】
さらなる例においては、第1ステップで、番号3(すなわち定義された閾値を上回る有効性でカバーされる全ての雑草および/または病原体の数)のもとに上記で言及された統計を考慮して第1/大まかなランク付けが行われて、第1/大まかなランク付けが出力されてもよい。続いて、この第1/大まかなランク付けのランク付け/結果は、番号1(すなわち散布計画ごとの農薬の数)、2および4から9(すなわちそれまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを説明する指標)のもとに上記で言及された1以上の統計を考慮して、第2ステップにおいてより正確にランク付けされる。
【0022】
またさらなる例においては、第1ステップで、番号1(すなわち散布計画ごとの農薬の数)のもとに上記で言及された統計を考慮して第1/大まかなランク付けが行われて、第1/大まかなランク付けが出力されてもよい。続いて、この第1/大まかなランク付けのランク付け/結果は、番号2(すなわち定義された閾値を上回る有効性でカバーされる主要なまたは優先的な雑草および/または病原体の数)から9(すなわちそれまでの散布と比較した、作用形態および/または有効成分の繰り返しを説明する指標)のもとに上記で言及された1以上の統計を考慮して、第2ステップにおいてより正確にランク付けされる。
【0023】
とりわけ、上記の統計は、生成された散布計画をランク付けするために考慮/使用される好適なパラメータ/統計に関する。しかしながら、さらなるパラメータ/統計/情報が生成された散布計画をランク付けするために考慮/使用されてもよい。
【0024】
農薬製品情報が、特定の農薬製品を混合した際の悪影響に関する情報をさらに含み、生成された散布計画のランク付けステップが、特定の農薬製品を混合した際の悪影響にさらに基づいていることがさらに好ましい。その結果、有意でない農薬製品の組み合わせまたは拮抗作用を有する農薬製品の組み合わせは、排除されるか、各拮抗作用に応じて生成された散布計画の最後に記載されるかのいずれかが可能となる。
【0025】
提供された農作物データが、実際に観察されたまたはモデル化された作物の成長段階および植え付け日に関する情報をさらに含み、農薬製品情報が、作物の成長段階および植え付け日を考慮に入れた農薬製品の有効性に関する情報をさらに含み、生成された散布計画のランク付けステップが、作物の成長段階または植え付け時期を考慮に入れた農薬製品の有効性にさらに基づくことが好ましい。特に、各農薬製品の有効性は、実際の作物の成長段階を考慮して各有効性を検討できるように、種子、始原細胞、幼植物、成熟/開花等の異なる作物の成長段階に対して提供可能である。
【0026】
好適には、提供された農作物データは、農地で育てられた過去の農作物および/または農地で次に育てられる予定の農作物に関する情報をさらに含み、生成された散布計画のランク付けステップは、農地で育てられた過去の農作物および/または農地で次に育てられる予定の農作物に関する情報にさらに基づく。その結果、生成される散布計画のランク付けの際に農作物の輪作を考慮でき、同じ農薬製品または同じ作用形態での繰り返しの散布が回避できる。従って、同じ作用形態で農薬製品を繰り返し散布することおよび/または同じ農薬製品の繰り返し散布を含む組み合わせはより低くランク付けでき、ここでは、耐性を回避するために同じ農薬製品の繰り返し散布が繰り返しの作用形態よりも低くランク付けされる。
【0027】
雑草および/または病原体指定子データが、雑草または病原体の成長段階に関する情報をさらに含み、農薬製品情報が、雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた有効性に関する情報をさらに含み、生成された散布計画のランク付けステップが、雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた農薬製品の有効性にさらに基づくことが好ましい。その結果、農地での実際の状況に対して散布計画をさらに個別化することが可能である。雑草または病原体の成長段階に関する情報は、ユーザインタフェースによってまたは各農地の画像認識によって提供可能である。また、ここでは、それぞれの画像は衛星またはドローンシステムによって提供可能である。加えて、雑草または病原体の成長段階に関する情報は、サービスプロバイダ等の第三者機関が各画像を分析することによって提供可能である。
【0028】
散布時期のために気象データが得られ、農薬製品情報が農薬製品の散布に関する天候的要件および/または天候条件を考慮に入れた農薬製品の有効性に関する情報をさらに含み、生成された散布計画のランク付けステップが、農薬製品の散布に関する天候的要件および/または気象データを考慮に入れた農薬製品の有効性にさらに基づくことがさらに好ましい。とりわけ、気象データは、サービスプロバイダ等の第三者機関によってまたはオンサイドセンサによって提供可能である。
【0029】
好適には、雑草および/または病原体指定子データは、処置優先度に関する情報をさらに含み、生成された散布計画のランク付けステップは、処置優先度に関する情報にさらに基づく。このような処置優先度情報によって、どの雑草および/または病原体が農作物にとって例外的に有害となり得、優先度をもって処置すべきか示すことができる。たとえば、優先度情報は、ユーザインタフェースによってまたは各農地の画像認識によって提供可能である。また、ここでは、それぞれの画像は衛星またはドローンシステムによって提供可能である。加えて、処置優先度に関する情報は、サービスプロバイダ等の第三者機関が各画像を分析することによって提供可能である。
【0030】
データベース検索および/または散布計画は、あらかじめ設定された農薬製品に限定できることが好ましい。たとえば、ユーザは、すでに利用できる/貯蔵済みの農薬製品をあらかじめ設定して、これらの農薬製品を主に使用できるようにしてもよい。
【0031】
好適には、散布計画は、農薬製品の用量および混合に有用または要求される添加物に関する情報を含む混合の指示を含む。たとえば、除草剤および添加剤の両方が投与のロジックを有するように除草剤および添加剤の最小、最大および推奨される用量率(L/ha)を提供することが可能である。さらに、特定の農地に対するレシピとしての詳細なタンク混合が提供可能である(たとえば、除草剤1xL、除草剤2xL、添加剤1zL、水3000L)。その結果、散布計画で言及された農薬製品の混合は簡略化でき、たとえば、不適切な混合順序、短すぎる攪拌時間等の農薬製品の混合時の失敗は回避できる。
【0032】
最後に、方法が、農業機器で使用されるように構成された制御データを生成するステップをさらに備え、制御データは最も高くランク付けされた散布計画またはユーザにより選択された散布計画に基づくことが好ましい。たとえば、ユーザは、たとえば、コンピュータ、タブレット、スマートフォン等のデータ処理ユニットの各入力手段によって各散布計画を選択することにより、ユーザ自身の考えまたは優先度によって散布計画を選択してもよい。
【0033】
本発明はまた、農業機器の制御のために制御データを提供するため、上述のような農薬の散布計画を決定および提供するための方法により受け付けられる散布計画の使用にも関する。この点において、農業機器という用語は、広範囲に理解されるべきであり、農薬混合物を調製するための混合機械/システム、農薬混合物を農地へとまたは農地において輸送および噴霧するための輸送および噴霧機械等の全ての機械、データ処理ユニット、車両、船舶または航空機を指す。
【0034】
本発明はまた、上述のような農薬の散布計画を決定および提供するための方法における農薬製品データベースの使用にも関し、農薬製品データベースは、複数の農薬製品に関する情報を含み、農薬製品に関する情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期に関する情報を少なくとも含む。また、ここでは、散布エリアという用語は、広範囲に理解されるべきであり、農薬製品データベースの散布情報に関する任意の情報を含む。さらに、全てのデータベースエントリが同じように構造化されている必要もない。
【0035】
さらに、本発明はまた、農作物データ、雑草および/または病原体指定子および散布時期データをユーザが入力できるように構成された少なくとも1つのユーザインタフェースと、複数の農薬製品に関する情報を含む農薬製品データベースとを含み、農薬製品に関する情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期に関する情報を少なくとも含む少なくとも1つのメモリ部と、提供された農作物データ、提供された散布時期データ、提供された雑草および/または病原体指定子データに少なくとも基づく農薬製品データベースでデータベース検索を実行するように構成され、農作物および散布時期および雑草または病原体指定子の1つに合致する農薬製品を決定する処理装置と、全ての雑草および/または病原体インジケータがカバーされるように決定された農薬製品を組み合わせることで異なる散布計画を生成するように構成されている少なくとも1つの処理装置と、散布計画ごとの農薬製品の数に従って生成された散布計画をランク付けするように構成されている少なくとも1つの処理装置と、を含む、農薬の散布計画を決定および提供するためのシステムにも関する。農薬の散布計画を決定および提供するためのシステムに関しては、システムに対しても適用される方法に関する上記の説明を参照する。
【0036】
最後に、本発明はまた、適切な装置またはシステム上における、上記で説明されている方法を実施するように構成されたコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム要素にも関する。
【0037】
従って、コンピュータプログラム要素は、実施形態の一部であってもよいコンピュータユニット上に記憶されてもよい。このコンピューティングユニットは、上述の方法のステップを実行するように構成または実行を誘導してもよい。さらに、上述の装置および/またはシステムのコンポーネントを作動するように構成されていてもよい。コンピューティングユニットは、自動的に動作および/またはユーザの命令を実施するように構成されることが可能である。コンピュータプログラムは、データ処理ユニットのワークメモリへとロードされてもよい。データ処理ユニットはこのように、先の実施形態の1つによる方法を行うように備えられていてもよい。
【0038】
本発明のこの実施形態例は、最初から発明を使用するコンピュータプログラムと、更新によって既存のプログラムを、発明を使用するプログラムに変化させるコンピュータプログラムと、の両方をカバーしている。
【0039】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上記のような方法の実施形態例の手順を満たすために必要な全てのステップを提供することができるようにしてもよい。
【0040】
本発明のさらなる実施形態例によれば、CD-ROM、USBスティック等のコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体はコンピュータ可読媒体上にコンピュータプログラム要素を記憶している。コンピュータプログラム要素は先のセクションで説明されている。
【0041】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共にまたは一部として供給される光学記憶媒体または固体媒体等の適切な媒体上に記憶および/または分散されてもよいが、インターネットまたは他の有線もしくは無線通信システムを介して等の他の形態で分散されてもよい。
【0042】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提示されてもよく、このようなネットワークからデータ処理ユニットのワークメモリにダウンロードされることも可能である。本発明のさらなる実施形態例によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロード可能にするための媒体が提供され、コンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態の1つによる方法を実行するように構成されている。
【0043】
以下、実施形態AからRとして、非限定的な例の非包括的な一覧を提供する。これらの例の任意の1以上の特徴は、本明細書中に記載の他の例、実施形態または態様の任意の1以上の特徴と組み合わせてもよい。
A.農薬の散布計画を決定および提供するための方法であって、
農地に植え付けられ、または植え付けが予定されている農作物種に関する情報を含む農作物データを提供するステップ(S10)と、
前記農地に農薬を散布する少なくとも1つの予定されている散布時期に関する情報を含む散布時期データを提供するステップ(S20)と、
前記農地に存在し、または予想される少なくとも1つの雑草または病原体指定子に関する情報を含む雑草および/または病原体指定子データを提供するステップ(S30)と、
複数の農薬製品に関する情報を含む農薬製品データベースを提供し(S40)、前記農薬製品に関する情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期に関する情報を少なくとも含むステップと、
前記提供された農作物データ、前記提供された散布時期データ、前記提供された雑草および/または病原体指定子データに少なくとも基づいて前記農薬製品データベース内でデータベース検索を実行し(S50)、前記農作物、前記散布時期、および前記雑草または病原体指定子の1つに合致する農薬製品を決定するステップと、
全ての雑草および/または病原体インジケータがカバーされるように前記決定された農薬製品を組み合わせることで異なる散布計画を生成するステップ(S60)と、
散布計画ごとの農薬製品の数に従って前記生成された散布計画をランク付けするステップ(S70)と、
を備える農薬の散布計画を決定および提供する方法。
B.前記農作物データが、ユーザインタフェースによってまたはデータ処理ユニットによって提供される、実施形態Aに記載の方法。
C.前記雑草および/または病原体指定子が、ユーザインタフェースによってまたは前記農地の画像認識によって提供される、実施形態AまたはBのいずれか1つに記載の方法。
D.散布計画が、農薬製品ごとの用量範囲および閾値に関する情報をさらに含む、先行の実施形態AからCのいずれか1つに記載の方法。
E.前記方法が、農地データと散布計画とを組み合わせることで散布マップを提供するステップをさらに備える、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
F.前記農薬製品情報が、雑草および/または病原体に対する前記農薬製品の有効性に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、雑草および/または病原体に対する前記農薬製品の有効性にさらに基づく、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
G.前記農薬製品情報が、特定の農薬製品を混合した際の悪影響に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記特定の農薬製品を混合した際の悪影響にさらに基づく、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
H.前記提供された農作物データが、作物の成長段階または植え付け日に関する情報をさらに含み、
前記農薬製品情報が、前記作物の成長段階または前記植え付け日を考慮に入れた前記農薬製品の有効性に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記作物の成長段階または前記植え付け時期を考慮に入れた前記農薬製品の有効性にさらに基づく、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
I.前記提供された農作物データが、前記農地で育てられた過去の農作物および/または前記農地で次に育てられる予定の農作物に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記農地で育てられた過去の農作物および/または前記農地で次に育てられる予定の農作物に関する情報にさらに基づく、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
J.前記雑草および/または前記病原体指定子データが、前記雑草または病原体の成長段階に関する情報をさらに含み、
前記農薬製品情報は、前記雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた前記有効性に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた前記農薬製品の有効性にさらに基づく、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
K.前記雑草および/または病原体指定子データが、処置優先度に関する情報をさらに含み、
前記生成された散布計画のランク付けステップが、前記処置優先度に関する情報にさらに基づく、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
L.前記データベース検索および/または前記散布計画が、あらかじめ設定された農薬製品に限定される、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
M.散布計画は、前記農薬製品の用量に関する混合の指示と、前記混合に有用または要求される添加剤に関する情報を含む、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
N.前記方法が、農業機器で使用されるように構成された制御データを生成するステップをさらに備え、
前記制御データは、最も高くランク付けされた散布計画またはユーザにより選択された散布計画に基づく、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
O.農業機器の制御のために制御データを提供するため、実施形態AからNのいずれか1つに記載の方法により受け付けられる散布計画の使用。
P.前記農薬製品データベースは、複数の農薬製品に関する情報を含み、
前記農薬製品に関する情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期に関する情報を少なくとも含む、実施形態AからNのいずれか1つに記載の方法での農薬製品データベースの使用。
Q.実施形態AからNのいずれか1つに記載の農薬の散布計画を決定および提供するためのシステムであって、
農作物データ、雑草および/または病原体指定子および散布時期データをユーザが入力できるように構成された少なくとも1つのユーザインタフェースと、
複数の農薬製品に関する情報を含む農薬製品データベースを含み、前記農薬製品に関する情報は、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期に関する情報を少なくとも含む少なくとも1つのメモリユニットと、
前記提供された農作物データ、前記提供された散布時期データ、前記提供された雑草および/または病原体指定子データに少なくとも基づく前記農薬製品データベースでデータベース検索を実行するように構成され、農作物、前記散布時期、および前記雑草または病原体指定子の1つに合致する前記農薬製品を決定する少なくとも1つの処理ユニットと、
全ての雑草および/または病原体インジケータがカバーされるように前記決定された農薬製品を組み合わせることで異なる散布計画を生成するように構成されている少なくとも1つの処理ユニットと、
散布計画ごとの農薬製品の数に従って前記生成された散布計画をランク付けするように構成されている少なくとも1つの処理ユニットとを備える、農薬の散布計画を決定および提供するためのシステム。
R.プロセッサにより実行されると、実施形態AからNのいずれか1つに記載の請求項の方法を行うように構成されているコンピュータプログラム要素。
【図面の簡単な説明】
【0044】
以下、添付の図面を参照して本発明が例示されている。
【
図1】本発明の好適な実施形態による方法の概略図である。
【
図2】それによって本発明による方法を実施するために要求される情報をユーザが提供しうる模式的な入力画面の一例である。
【
図5】
図4に示されている農地に対するタンク混合レシートの一例である。
【
図6】農地の画像を取得するロボット車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、本発明の好適な実施形態による方法の概略図である。以下、本発明によるステップの順序の一例が説明されている。しかしながら、提供されている順序は必須ではなく、すなわち、全てまたはいくつかのステップが異なる順序または同時に実施されてもよい。
【0046】
ステップS10では、農地に植え付けられ、または植え付け予定の農作物種に関する情報を含む農作物データが提供される。たとえば、この情報は、ユーザがそれによって作物の通称名もしくは学名またはその他の識別子、たとえば、製品製造番号等を提供できる、ユーザインタフェース(
図2参照)によって提供することが可能である。このようなユーザインタフェースはデータ処理システム、たとえば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等によって提供することが可能である。代替的にまたは追加的に、農作物データは、農地に農作物を植え付けるように使用される種まき機のデータ処理ユニットまたは農作物データが記憶されているその他のデータ処理ユニット(たとえば、各農作物を発注するために使用される発注システム)等のデータ処理ユニットによって提供されてもよい。この点において、農作物の種類および/または品種が分かっていることだけは本発明の目的のために要求される。しかしながら、好適な実施形態では、作物の成長段階および/もしくは植え付け日に関する付加情報ならびに/またはその農地で育てられた過去の農作物および/もしくはその農地で次に育てられる予定の農作物に関する情報が提供される。このような情報は、生成された散布計画をランク付けするため、および/または散布計画におけるさらなる情報を提供するために、さらに使用されることが可能なためである。
【0047】
ステップS20では、農地に農薬を散布する少なくとも1つの予定されている散布時期に関する情報を含む散布時期データが提供される。各散布時期は、日付または時間窓、すなわち、ユーザが特定の農地に農薬を拡散する予定の日付または時間窓として提供可能である。この情報は、それによってユーザが予定されている散布時期を入力できるユーザインタフェースによって提供可能である(
図2参照)。散布時期のために気象データが得られることがより好ましい。とりわけ、気象データは、サービスプロバイダ等の第三者機関によってまたはオンサイドセンサによって提供可能である。さらに、散布時期までの残り時間によっては、時間的に後の時点での気象データを追加することおよび/または散布時期前の所定の時間間隔ごとの気象データを含ませる/更新することが可能である。
【0048】
ステップS30では、その農地に存在し、または予想される雑草または病原体の指定子に関する情報を含む雑草および/または病原体指定子データが提供される。雑草および/または病原体指定子は、ユーザインタフェースによってまたは農地の画像認識によって提供可能である。また、ここでは、各ユーザインタフェース(
図2参照)は、それによってユーザがそれぞれの情報を提供できる各入力手段を備える、たとえば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のデータ処理システムによって提供可能である。農地に存在し、または予想される雑草または病原体指定子は、雑草の種類/才能の通称名もしくは学名によってまたはその他の識別子、たとえば、識別番号等によっても提供可能である。この点において重要なことは、このような情報が直接的または間接的に農薬製品データベース内でのデータベース検索のために使用できることのみである。しかしながら、各農地の画像認識から導かれるデータを使用することで、多かれ少なかれ自動処理を構築することも可能であり、これらのデータは衛星またはドローン画像等の各画像を第三者機関が分析することにより提供可能である。好適な実施形態では、処置優先度に関するおよび/または雑草および/または病原体の成長段階に関する付加情報が提供される。このような情報は散布計画をランク付けするためおよび/または散布計画におけるさらなる情報を提供するためにさらに使用されることが可能なためである。
【0049】
ステップS40では、複数の農薬製品に関する情報を含む農薬製品データベースが提供され、農薬製品に関する情報は、少なくとも、各農薬製品の散布エリア、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期に関する情報を含む。このように、農薬製品データベースは、農薬製品が雑草または病原体に対して使用されるのか、および/またはどの雑草または病原体に対して農薬製品が通常使用されるのか等、各農薬製品の有効成分、および各農薬製品の適切な散布時期および各農薬製品の散布エリアに関する情報を含む。このような農薬製品データベースは、一般的な農薬製品の全てまたはほとんどをカバーしてもよいし、特定のプロバイダの製品に限定されていてもよい。さらに、農薬製品データベースをそれぞれの法域で許可されている農薬製品に限定することも可能である。農薬製品データベースは、第三者機関により提供されてもよい。しかしながら、ユーザが使用しようとする各農薬製品のラベルをスキャンし、サプライヤのデータベースから各農薬製品に関する各情報を得ることで、ユーザに応じた農薬製品データベースをユーザが作成することも可能である。後者によると、ユーザは、さらなる農薬製品に関する情報を追加して、農薬製品データベースを補うことも可能である。とりわけ、本発明による農薬製品は、任意の除草剤、殺菌剤、殺虫剤またはそれらの混合物であることができ、すなわち、本発明は具体的な種類の農薬製品に限定されない。
【0050】
好適な実施形態では、農薬製品データベースは、雑草および/または病原体に対する農薬製品の有効性、特定の農薬製品を混合した場合の悪影響、作物の成長段階または植え付け日を考慮に入れた農薬製品の有効性、雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた有効性、農薬製品の散布に関する天候的要件、および/または天候条件を考慮に入れた農薬製品の有効性に関する情報をさらに含む。
【0051】
ステップS50では、少なくとも、提供された農作物データ、提供された散布時期データ、提供された雑草および/または病原体指定子データに基づいて農薬データベース内でのデータベース検索が実施され、農作物および散布時期および少なくとも1つの雑草または病原体指定子と合致する農薬製品が決定される。このように、ステップS50の出力は、農作物および散布時期および少なくとも1つの雑草または病原体指定子と合致する全ての農薬製品である。
【0052】
ステップS60では、各組み合わせにおいて、たとえば、生成される散布計画のそれぞれにおいて、組み合わされた農薬製品により全ての雑草および/または病原体インジケータがカバーされるように、ステップS50で決定された農薬製品を組み合わせることで、異なる散布計画が生成される。とりわけ、生成される散布計画の数は、所定の数の散布計画を生成するのみに制限されてもよい。この点において、生成される散布計画はさらに、各農薬製品の用量範囲および閾値に関する情報を含んでもよく、閾値は予め定義または手入力されてよく、所定の閾値はユーザ定義の可変閾値と組み合わされてもよい。農薬製品ごとの用量範囲に関する提供される情報はまた、作物の成長段階および/または繁殖段階を考慮した農薬製品ごとの異なる用量範囲を含んでもよい。この点において、散布計画が農薬製品の用量に関する混合の指示および混合に有用または要求される添加物に関する情報を含むことは更に好ましい。その結果、散布計画で言及される農薬製品の混合は簡略化でき、たとえば、不適切な混合順序、短すぎる攪拌時間等の農薬製品の混合時の失敗は回避できる。とりわけ、データベース検索および/または散布計画は、あらかじめ設定された農薬製品に限定できる。たとえば、ユーザは、すでに利用できる/貯蔵済みの農薬製品をあらかじめ設定して、これらの農薬製品を主に使用できるようにしてもよい。
【0053】
ステップS70では、生成される散布計画が、散布計画ごとに農薬製品の数に従ってランク付けされ、すなわち、全ての雑草および/または病原体インジケータをカバーするために必要とする農薬製品がより少ない散布計画がより多くの農薬製品を必要とする散布計画より高くランク付けされる。しかしながら、散布計画のランク付けは、付加情報/要件に別途基づくことができる。この点において、生成される散布計画をランク付けするステップはさらに、雑草および/または病原体に対する農薬製品の有効性、特定の農薬製品を混合した際の悪影響、作物の成長段階または植え付け時期を考慮に入れた農薬製品の有効性、その農地で育てられた過去の農作物および/またはその農地で次に育てられる予定の農作物、雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた農薬製品の有効性、処置優先度、農薬製品の散布に関する天候的要件および/または気象データを考慮に入れた農薬製品の有効性に基づくことが好ましい。
【0054】
雑草および/または病原体に対する農薬製品の有効性に関する情報によって、生成される散布計画のランク付けに全ての雑草および/または病原体指定子をカバーするために必要な農薬製品の数が使用できるだけでなく、農薬製品の有効性もまた使用できる。有効性は、市販または公的に入手可能なデータベースおよび/または専門家による改訂から取得でき、専門家によって改訂された有効性が手元にある場合はこのようなデータが好ましい。さらに、有効性は、たとえば、野焼き、2度目の野焼き、植え付け頃、出芽、収穫等それぞれの散布に応じて重み付けできる。この点において、有効性は1つの有効性において平均化されるか、散布計画における農薬製品の数によりさらに重み付けされるかのいずれかでよい。このようなランク付けによって、雑草および/または病原体指定子ごとの最も高い有効性を最小限の農薬製品数で潜在的に見つけることができる。
【0055】
特定の農薬製品を混合した際の潜在的な悪影響に関する情報によって、拮抗作用を有する農薬製品の組み合わせが、排除されるか、生成される散布計画の最後に記載されるかのいずれかが可能である。
【0056】
作物の成長段階または植え付け時期を考慮に入れた農薬製品の有効性に関する情報によって、種子、始原細胞、幼植物、成熟/開花等の実際の作物の成長段階を考慮して、各有効性を検討できる。
【0057】
その農地で育てられた過去の農作物および/またはその農地で次に育てられる予定の農作物に関する情報によって、生成される散布計画のランク付けの際に農作物の輪作を考慮でき、同じ農薬製品または同じ作用形態の繰り返しの散布が回避できる。従って、同じ作用形態で農薬製品を繰り返し散布することおよび/または同じ農薬製品の繰り返し散布をより低くランク付けでき、ここでは、耐性を回避するために同じ農薬製品の繰り返し散布が繰り返しの作用形態よりも低くランク付けされる。
【0058】
雑草または病原体の成長段階を考慮に入れた農薬製品の有効性に関する情報によって、農地の実際の状況に対して散布計画をさらに個別化することが可能である。雑草または病原体の成長段階に関する情報は、ユーザインタフェースによってまたは各農地の画像認識によって提供可能である。また、ここでは、それぞれの画像は衛星またはドローンシステムによって提供可能である。加えて、雑草または病原体の成長段階に関する情報は、サービスプロバイダ等の第三者機関が各画像を分析することによって提供可能である。
【0059】
処置優先度に関する情報によって、どの雑草および/または病原体が農作物にとって例外的に有害となり得、優先度をもって処置すべきか示すことができる。優先度情報は、ユーザインタフェースによってまたは各農地の画像認識によって提供可能である。また、ここでは、それぞれの画像は衛星またはドローンシステムによって提供可能である。加えて、処置優先度に関する情報は、サービスプロバイダ等の第三者機関が各画像を分析することによって提供可能である。
【0060】
ステップS80では、散布計画のランク付けされた一覧が提供される。しかしながら、このような散布計画のランク付けされた一覧を出力することはオプションにすぎない。出力されたランク付けされた一覧に基づき、ユーザは提供された散布計画の1つを選択でき、これは、農業機器で使用されるように構成された制御データの準備等のさらなる手順に使用できる。
【0061】
最後に、方法は農業機器で使用されるように構成された制御データを生成するステップを備えることが好ましく、制御データは最も高くランク付けされた散布計画またはユーザにより選択された散布計画に基づく。たとえば、ユーザは、たとえば、コンピュータ、タブレット、スマートフォン等のデータ処理ユニットの各入力手段によって各散布計画を選択することにより、ユーザ自身の考えまたは優先度によって散布計画を選択してもよい。
【0062】
図2は、それによってユーザが本発明による方法を実施するために要求される情報を提供し得る模式的な入力画面の一例である。
図2から分かるように、この好適な実施形態では、植え付け日と2つの散布期間、すなわち2018年9月1日の植え付け日、6月1日から8月12日の間の第1散布期間および8月12日から9月29日の間の第2散布期間が提供されている。散布期間の右側には、各雑草種の欄が提供され、ここに実際のまたは予想される雑草種を含むことができる。入力画面の下側エリアには、作物、作物の種類および予定されている次の作物に関する情報が、プルダウンメニューによってユーザにより選択されている。とりわけ、出力画面(不図示)が
図1に示される方法によって受け付けられた散布計画をユーザに可視化してもよく、このような出力画面には許可される散布時期および農薬製品ごとの潜在的な残り時間が可視化されてもよい。
【0063】
図3は、推奨される散布計画に基づく模式的な用量率出力計画の一例である。
図4は、農地データと散布計画を組み合わせた散布マップの一例である。農地データは、境界等の地理的な詳細および農地の特徴、配置および作物の成長段階および/または雑草および/または病原体の分布/位置に関する情報を含んでもよい。このような農地データを提供し、それを散布計画と組み合わせることで、農地のどこにどの用量が拡散されるべきかに関する情報を含んで空間的に分解された散布マップが提供可能である。とりわけ、農地データは、ユーザインタフェースによってまたは各農地の画像認識によって提供可能である。また、ここでは、それぞれの画像は衛星またはドローンシステムによって提供可能である。加えて、農地データは、サービスプロバイダ等の第三者機関が各画像および散布計画を分析することによって提供可能である。
図5は、
図4に示される農地に対するタンク混合レシートの一例を示す。
【0064】
図6は、作物を有する農地の上空を飛んでいるドローン等の無人航空機(UAV)を示し、これは雑草および/または病原体指定子データを提供/取得するために使用できる。作物には、多数の雑草/病原体があり得、
図6では2つの特定で異なる雑草タイプが例として示されている。1つの雑草タイプ、
図6で示される背丈のより高い雑草は、とくに悪性であり、多数の種子を作り出し、作物収量に著しい影響を及ぼし得る。この雑草は、この作物を有する農地で許容されるべきではない。しかしながら、
図6で背丈のより低い雑草として示される第2タイプの雑草は、単位面積あたりのこの雑草の数密度が閾値を下回るという条件で、農地の作物にとって全体的な生物学的多様性に有益となり得ることも可能である。
【0065】
UAVはカメラを有し、農地の上空を飛びながら画像が取得される。UAVはGPSおよび慣性航行システムも有し、これはUAVの位置の決定とカメラの配向の決定との両方を可能にする。この情報から、地上の画像のフットプリントが決定でき、その画像の特定部分、たとえば第1タイプの雑草例を絶対的地理空間的座標で位置づけることができる。カメラにより得られる画像データは、UAV外部の処理装置に転送されることが好ましい。処理装置は、異なるタイプ雑草の多数の画像例で訓練された人工神経ネットワークに基づく機械学習アルゴリズムを使用して画像を画像処理し、雑草が存在するかを決定し、雑草のタイプも決定する。処理装置はその後、世界のこの地域のこの作物に対するおよび播種と収穫の間の成長の段階における生物学的多様性の設定を利用してもよい。生物学的多様性の設定は、処理装置によって使用されて、特定の雑草が許容できないのか、または他の特定の雑草が許容できるのか決定でき、そうである場合、単位面積あたりの閾値数密度等の何か関連する条件があるのかどうか決定することができる。雑草および/または病原体指定子データを提供するために、処理装置は第1の雑草タイプの全ての検出例が破壊される必要があると決定する。
【0066】
本発明を例として好適な実施形態も併せて説明した。しかしながら、図面、本開示および特許請求の範囲を研究することで、当業者および請求項に係る発明を実施する者によって他の変形も理解され、達成できる。とりわけ、特にステップS10からS40は任意の順序で行うことができ、すなわち、本発明は、これらのステップの特定の順序に限定されない。さらに、異なるステップが特定の場所または1つの場所で行われることは要求されず、すなわち、各ステップが異なる機器/データ処理ユニットを使用して異なる場所で行われてもよい。明細書だけでなく請求項における「comprising」という単語は、他の要素またはステップを排除せず、「a」または「an」という不定冠詞は複数を排除しない。単一要素または他の単位体は、請求項で列挙されるいくつかの実体または項目の機能を満たしてもよい。互いに異なる従属請求項で特定の手段が列挙されるという事実だけでは、これらの手段の組み合わせが有利な実装において使用できないということを示唆しない。
【符号の説明】
【0067】
S10 農作物データの提供
S20 散布時期データの提供
S30 雑草および/または病原体指定子データの提供
S40 農薬製品データベースの提供
S50 農薬製品データベースでのデータベース検索の実行
S60 異なる散布計画の生成
S70 生成された散布計画のランク付け
S80 散布計画のランク付けされた一覧の提供