IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイエスピー インヴェストメンツ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7603651シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル
<>
  • 特許-シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル 図1
  • 特許-シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル 図2
  • 特許-シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル 図3
  • 特許-シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル 図4
  • 特許-シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル 図5
  • 特許-シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル 図6
  • 特許-シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】シリンジのための放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/04 20060101AFI20241213BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
G01T1/04
A61M5/31 520
A61M5/31 530
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022503584
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 US2020042792
(87)【国際公開番号】W WO2021011939
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】62/875,804
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596121138
【氏名又は名称】アイエスピー インヴェストメンツ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【弁理士】
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クローン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ケイ フッド
(72)【発明者】
【氏名】エミリー ジーン ドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マリア メンチョン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-147212(JP,U)
【文献】特表平05-504839(JP,A)
【文献】特開2007-190128(JP,A)
【文献】特表2012-516721(JP,A)
【文献】特表2014-500806(JP,A)
【文献】登録実用新案第3149156(JP,U)
【文献】米国特許第05084623(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0190617(US,A1)
【文献】国際公開第2015/156183(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/029716(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/04
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジ用の放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベルであって、前記シリンジは、前方部分及び後方部分があるバレルを有し、前記バレルは、前記前方部分における突端、前記後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を有し、前記ラベルは、前記シリンジにおける少なくとも一方の部分に付着し、また前記マーキングにオーバーラップしないものと
前記放射線は、X線又はガンマ線放射線であり、
前記放射線感受性インジケータは、放射線感受性リチウム・ポリアセチレン化合物及びポリアセチレン化合物より成るグループから選択される化学化合物を含む、
可撓性自己接着性ラベル。
【請求項2】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、さらに、接着層、リーダーバンド、及び剥離層を備え、
前記接着層、前記リーダーバンド又は前記剥離層の第1側面は、前記放射線感受性インジケータ、前記接着層、前記リーダーバンド、又は前記剥離層の第2側面に付着する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項3】
請求項2記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記放射線感受性インジケータは、前記接着層の前記第1側面上に位置決めされる、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項4】
請求項2記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記接着層の前記第2側面は、前記剥離層の前記第1側面に付着する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項5】
請求項2記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記剥離層の前記第2側面は前記リーダーバンドの前記第1側面に付着する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項6】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記放射線感受性インジケータは、少なくとも約40keV~約10MeVのエネルギーレベルに感受性がある、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項7】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記放射線感受性インジケータは、約2500rads~約5000radsの閾値感受性線量範囲を有する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項8】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記放射線は、約3000rads~約4500rads閾値感受性線量範囲を有する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項9】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記放射線は、約10-8J/cm~約10J/cmの閾値感受性線量範囲を有する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項10】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記放射線は、約10-3rads~10radsの閾値感受性線量範囲を有する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項11】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記シリンジの前記バレルにおけるマーキングは、量の数値表示を有する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項12】
請求項11記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記量の数値表示は、10ml~200mlである、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項13】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記シリンジは、小児又は新生児用のシリンジである、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項14】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記突端は円形開口を有する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項15】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記ピストンは軸線方向に移動可能なラムを有する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項16】
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、放射線インジケータは、表記目的のため、放射線感受性要素がない追加の表示部分を有する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項17】
シリンジ用の放射線感受性インジケータ及びバーコードを有する可撓性自己接着性ラベルであって、前記シリンジは、前方部分及び後方部分があるバレル部分を有し、前記バレル部分は、前記前方部分における突端、前記後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を有するものであり、前記ラベルは、前記シリンジにおける少なくとも一方の部分に付着し、また前記マーキングにオーバーラップしないものとし、また前記バーコードは情報を有して前記ラベルに印刷さ前記放射線は、X線又はガンマ線放射線である、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項18】
請求項17記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記バーコードは、放射線感受性の及び放射線非感受性の2-Dバーコードより成るグループから選択される、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項19】
請求項17記載の可撓性自己接着性ラベルにおいて、前記2-Dバーコードは、QRコード(クイックレスポンス・コード)、マイクロQR、改変QRコード、PDF-417、Maxiコード、Aztecコード、EANバーコード、及びデータマトリクスから成るグループから選択する、可撓性自己接着性ラベル。
【請求項20】
前方部分及び後方部分があるバレル部分であり、前記バレル部分は、前記前方部分における突端、前記後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を有する、該バレル部分を備えるシリンジにラベルを貼り付ける方法であって、前記ラベルは、前記シリンジにおける少なくとも一方の部分に付着し、また前記マーキングにオーバーラップしないものとする、該方法において、
請求項2記載の放射線インジケータを有する前記可撓性自己接着性ラベルを準備するステップと、
前記ラベルの前記剥離層を除去するステップと、及び
前記ラベルの前記接着層を、前記マーキングにオーバーラップしないよう前記シリンジに付着するステップと、
を備える、ラベル貼り方法。
【請求項21】
シリンジであり、前方部分及び後方部分があるバレル部分を有し、前記バレル部分は、前方部分における突端、後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を持つ、該シリンジと、並びに
請求項1記載の放射線インジケータを有して、前記シリンジに付着し得る可撓性自己接着性ラベルと、
の組合せを備えるキットであって、
前記ラベルは、前記シリンジの少なくとも一方の部分に、前記マーキングにオーバーラップしないよう付着可能である、キット。
【請求項22】
請求項1記載の放射線感受性インジケータを有する可撓性自己接着性ラベルのロールを収容する分配器であって、
請求項1記載の可撓性自己接着性ラベルのロールと、
保持ケースと、
前記ラベルを分配するための前記保持ケースにおける少なくとも1つの開口部と、及び随意的に、
前記保持ケースにおける外側頂部カバーと
を備える、分配器。
【請求項23】
請求項22記載の分配器において、前記保持ケースは、立方体、円筒形、半円筒形又は直方体の形状を有する、分配器。
【請求項24】
請求項22記載の分配器において、前記外側頂部カバーはラベルのロールを保護する、分配器。
【請求項25】
請求項22記載の分配器において、前記ラベルは、シリンジに付着させる前にロールから剥ぎ取る、分配器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示するプロセス、手順、方法、製品、成果物及び/又は概念(以下総称的に「本開示又は本発明」と称する)は、概して、シリンジのような血液収容製品のための可撓性自己接着性ラベル、方法、キット及びこのようなラベルを特徴とする分配器(ディスペンサー)に関する。
【背景技術】
【0002】
人物又は基板が受け取って付着されるイオン化放射線の吸収線量を決定する線量計は周知である。多くのタイプの線量計があり、最も一般的なものは空気キャパシタ線量計、フィルムバッジ及び熱ルミネッセンス線量計である。
【0003】
空気キャパシタ線量計は、イオンチャンバとしての機能を果たす内側チャンバと、中心収集電極とを有する。電荷は中心電極に寄せられる。帯電するときこのような線量計は基本的に空気キャパシタであり、また使用中の放電量は、受け取ったX線又はガンマ線による放射線の吸収線量に比例する。このような線量計使用には、本来的に電極とチャンバ壁との間に電圧を印加するための電源の必要性がある。
【0004】
フィルムバッジ線量計は1つ又はそれ以上のフィルムパケットを装填される。最も簡単なタイプのフィルムバッジは、歯科用X線写真のようなフィルムを収納する小さい紙封筒より成り、その半分は薄い鉛フォイルによって包囲される。バッジは1つ又はそれ以上のフィルタを収納しなければならず、これにより現像されたフィルムの相対的黒化を種々のフィルタの背後から比較できる。この比較は、様々なタイプの放射線の被曝程度を明らかにする。このようなバッジには、本来的に被曝フィルムの現像する現像プロセスの必要性がある。
【0005】
熱ルミネッセンス線量計は、熱ルミネッセンスの原理、すなわち、イオン化放射線を被曝した後に加熱する際に光を放出する若干の物質の特性で機能するものである。このタイプの線量計には、本来的に放出される光のピーク強度又は積分量のいずれかを測定する必要性がある。
【0006】
このような線量計は満足のいく実施を行うが、機能する及び/又は読取り易くするためには、外部装備又はプロセスを必要とする。すなわち、視覚的に被曝材料を観察するだけでは吸収放射線レベルを検出することができない。このことを理由として、様々な自己現像線量計が広範囲な市場容認が得られてきた。
【0007】
特許文献1(1977年1月4日ミトロファノヴィッチ・パンチェンコフ氏らに対する米国特許第4,001,587号)において、放射線被曝で色が変化する、様々な染料、幾つかは酸感受性及び幾つかは非酸感受性としての様々な染料を組み入れた線量計が開示されている。
【0008】
特許文献2及び3(米国特許第5,051,597号及び同第5,084,623号)は、放射線被曝に応答して不透明度が変化し、インジケータにおける指標の可視性が変化することができる放射線感受性ゾーンを有する放射線線量インジケータ、及びこのようなインジケータを製造する方法について開示している。
【0009】
特許文献4(米国公開特許公報第2016/0290859号)は、長波長紫外(UVA)光を測定するために特別に製造されたフィルムを開示している。より具体的には、長波長UV被曝線量を表す及び/又は測定するのに使用するよう製造され、一般的にUVによるコーティング硬化、病原菌不活化並びに他の工業向け及び医療向け用途に使用されるフィルムに関する。
【0010】
特許文献5(米国意匠特許第458,642号)は、放射線インジケータタグのための装飾的意匠について開示している。
【0011】
特許文献6(米国特許第4,536,450号)は、非線形の光学的、圧電性、焦電気性導波路について開示している。
【0012】
特許文献7(米国特許第7,445,880号)は、カルボン酸又はカルボン酸塩末端基を有する共役重合可能なポリアセチレンのリチウム塩から成る光発色性フィラメントについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第4,001,587号明細書
【文献】米国特許第5,051,597号明細書
【文献】米国特許第5,084,623号明細書
【文献】米国公開特許公報第2016/0290859号明細書
【文献】米国意匠特許第458,642号明細書
【文献】米国特許第4,536,450号明細書
【文献】米国特許第7,445,880号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
血液製剤をシリンジ内に投入した時点で考慮する幾つかの重要なパラメータがある。例えば、輸血技師は、所望単位のアリコートを患者のベッド脇におけるシリンジ内に移送し、これにより輸血速度及び量を制御することができる。さらに、シリンジ内における6時間に達するまでの貯留は、FDA標準によって一般的に容認されている及びシリンジを経る通過後に容認可能となる血小板を生ずる結果となる。しかし、37℃での貯留を回避し、また貯留時間及び減容化した血小板の貯留を最小限にするのが望ましい。
【0015】
シリンジは、とりわけ病院環境において、しばしばヘルスケア従事者にとって切り傷又はニードル刺し傷を引き起こしている最も問題となるデバイスである。この環境においてプロセスフローを改善し、安全性危害及びリスクを軽減することは極めて有益である。病院プロセッシング局は、新生児及び小児患者集団のためのシリンジ内における血液製剤の放射線照射に移行又は考慮している。シリンジを放射線照射するために設計された新たなX線照射器の出現により、放射線照射されたシリンジは、より高い安全性で病院運営し、また血液製剤の取り扱いを可能にする。輸血中のようなシリンジ用途において、安全、迅速かつ分かり易い区別は、血液が滅菌されたか否かを決定するために極めて重要である。
【0016】
新生児及び小児の移行期に対して血液製剤が必要となるシリンジ用途において、より小さいシリンジが一般的に採用される。現行のインジケータは、一部にはシリンジのマーキングを見るヘルスケア従事者の能力を阻害するサイズに起因して容認できないものである。この結果、容認できない安全性リスクとなる。
【0017】
血液製剤市場における現在市販の自己現像可能インジケータ製品は、一般的にインジケータ8個入りのカードを収納するボックスであって、1ボックスあたり200個のインジケータ(25枚のカード)を収納するボックスで供給されている。インジケータカード及び個別のインジケータを切断及び取り扱うため、このボックスを開ける必要がある。
【0018】
したがって、シリンジに放射線を浴びさせるとき放射線被曝の迅速かつ明確な表示を行い、またヘルスケア提供者にとって低減したコストでより安全、より効率的なワークフローを可能にするインジケータに対するヘルスケア業界におけるニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本開示は、シリンジ用の放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベルを提供する。ラベルは、シリンジの少なくとも一方の部分でマーキングにオーバーラップしないよう粘着によって付着することができる。本発明ラベルは、照射される30mL及び60mL用シリンジに対し、シリンジバレルにおけるマーキングに干渉しない改善した適合並びにより容易な取付けを可能にする。好適な実施形態において、ラベルは、バーコードを含み、また効率的にパッケージされかつロールから分配される。
【0020】
本開示の1つの目的は、シリンジ用の放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベルに関する。前記シリンジは、前方部分及び後方部分があるバレル部分と、前記バレルの前記前方部分における突端と、前記バレルの前記後方部分におけるピストンと、及びマーキング付きの外表面とを有する。前記ラベルは、前記シリンジにおける少なくとも一方の部分に粘着により付着し、また前記マーキングにオーバーラップしないものとする。
【0021】
本開示の別の目的は、シリンジ用の放射線感受性インジケータ及びバーコードを有する可撓性自己接着性ラベルに関する。前記シリンジは、前方部分及び後方部分があるバレル部分と、前記前方部分における突端と、前記後方部分におけるピストンと、及びマーキング付きの外表面とを有する。前記ラベルは、前記シリンジにおける少なくとも一方の部分に付着し、また前記マーキングにオーバーラップしないものとする。前記バーコードはラベルに関する情報を有して前記ラベルに印刷される。
【0022】
本開示のもう1つの目的は、前方部分及び後方部分があるバレル部分であり、前記バレル部分は、前記前方部分における突端、前記後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を有する、該バレルを備えるシリンジに対して、放射線インジケータを有する可撓性自己接着性ラベルによりラベル貼りする方法に関する。該方法は、剥離層を有する可撓性自己接着性ラベルを準備するステップと、前記ラベルから前記剥離層を除去するステップと、及び前記シリンジにおける少なくとも一方の部分に対して前記ラベルの接着層を前記マーキングにオーバーラップしないように付着するステップと、を備える。
【0023】
本開示の別の目的は、前方部分及び後方部分があるバレル部分を有するシリンジであり、バレル部分は、前方部分における突端、後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を持つ、該シリンジと、並びに放射線インジケータ、及び随意的に前記シリンジに付着し得るバーコードを有する可撓性自己接着性ラベルと、を備えるキットに関する。
【0024】
本開示のもう1つの目的は、放射線感受性インジケータを有する可撓性自己接着性ラベルのロールを収容する分配器に関し、該分配器は、可撓性自己接着性ラベルのロールと、保持ケースと、前記ラベルを分配するための前記保持ケースにおける少なくとも1つの開口部と、及び随意的に、前記保持ケースにおける外側頂部カバーと、を備える。
【0025】
本発明のこれら及び他の目的は以下に説明する開示に照らして明らかになるであろう。
【0026】
本発明は添付図面に関連して行う以下の説明からよりよく理解されると信ずる。参照図面は本発明の範囲を制限するものと解すべきでない。ラベル及び分配器の向きに関して参照図面は本発明の範囲を制限するものと解すべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ガンマ線及びX線に感受性がある放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベルを示す。
図2図1のラベルを使用するシリンジを示す。
図3】室温における可撓性自己接着性ラベル付きシリンジを示す。
図4】2-Dバーコード付き可撓性自己接着性ラベルを示す。
図5】可撓性自己接着性ラベルアセンブリを示す。
図6】可撓性自己接着性ラベルロールアセンブリのボックス/パッケージを示す。
図7】可撓性自己接着性ラベルの分配器を示す。 これら図は図形的であり、縮尺どおりに描かれていないことに留意されたい。これら図における部分の相対寸法及び比例は、図面を分かり易くまた便宜上にサイズを誇張又は縮小して示される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に本発明の例示的実施形態を図1~7につき説明する。
【0029】
本開示の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、本出願において以下の説明で記述される又は図面で図示されるコンポーネント又はステップ又は方法論の構造及び構成の詳細に限定されないものと理解されたい。本開示は、他の実施形態についても可能である、又は様々なやり方で実践又は実施することができる。さらに、本明細書で使用される言葉遣い及び用語は、説明目的であり、また限定するものと見なすべきでないと理解されたい。
【0030】
本明細書で他に定義されない限り、本開示に関連して使用される技術的用語は、当業者が一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈で他を必要とされない限り、単数形用語は複数形を含み、また複数形用語は単数形を含むものとする。
【0031】
本明細書で触れるすべての特許、刊行された特許出願、及び非特許刊行物は、本開示が関連する当業者のレベルを表す。本出願のあらゆる部分で言及されるすべての特許、刊行された特許出願、及び非特許刊行物は、各個別の特許又は刊行物が特別かつ個別に参照により組み入れる場合と同一の範囲にわたり、参照により全体が本明細書に明確に組み入れられるものとする。
【0032】
本明細書で開示される物品及び/又は方法のすべては、本開示に照らして過度の実験をすることなく作成及び実行することができる。本開示の物品及び/又は方法は好適な実施形態の観点で説明してきたが、本明細書で説明される物品及び/又は方法並びに方法のステップ若しくはステップシーケンスに対して、本開示の概念、精神及び範囲から逸脱することなく改変を適用できることは当業者には明らかであろう。当業者に明らかなすべてのこのような類似順列及び変更は、本開示の精神、範囲及び概念内にあると見なされる。
【0033】
本開示に従って使用されるように、それ以外を明示されない限り、以下の用語は以下の意味を有すると理解されたい。
【0034】
用語「備えている(comprising)」に関連して使用されるときの単語「a」又は「an」の使用は「1つ(one)」を意味するが、「1つ又はそれ以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」、及び「1つ又は1つより多い(one or more than one)」の意味と矛盾しなくもある。用語「又は(or)」の使用は、代替物が互いに排他的である場合にのみ代替的の言及することを明示的に示さない限り「及び/又は(and/or)」を意味するのに使用されるが、本開示は、代替物のみ並びに「及び/又は(and/or)」に言及する定義を支持する。本出願全体にわたり、用語「約(about)」は、或る値が量を計るデバイスの固有誤差変動を含むことを示すのに使用され、方法は研究課題内に存在する値又は変動を決定するのに採用される。
【0035】
本明細書における本発明の「一実施形態(one embodiment)」、「一態様(one aspect)」、「1バージョン(one version)」、「一目的(one objective)」、「別実施形態(another embodiment)」、「別態様(another aspect)」、「別バージョン(another version)」、「別目的(another objective)」に対する言及は、文脈がそれ以外を明示しない限り、このような実施形態、態様、バージョン又は目的のうち1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0036】
用語「少なくとも1つ(at least one)」は、1つ並びに1つより多い任意な量に言及し、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100等々に限定されないものを含む。用語「少なくとも1つ(at least one)」は、添えられる用語に基づいて100又は1000又はそれ以上までにも及ぶことができる。
【0037】
本明細書で使用されるすべてのパーセンテージ(percentages)、等分の一つ(parts)、割合(proportions)、及び比率(ratios)は、それ以外を特定しない限り、全組成の重量によるものである。列挙される構成要素に関与するすべてのこのような重量は、活性レベルに基づき、またしたがって、それ以外を特定しない限り、市販材料に含まれ得る溶媒又は副生成物は含まない。
【0038】
本発明の単数形の特徴又は限界に対するすべての言及は、それ以外を特定しない限り、又は言及を行う文脈で逆を明確に含意しない限り、対応する複数形の特徴又は限界を含み、またその逆もあり得る。
【0039】
本明細書で使用される数値範囲は、特別に開示する又はしないに係わらず、その範囲内に含まれるすべての数値及び数値の部分集合を含むことを意図する。さらに、これら数値範囲は、請求項に対して任意な数値又はその範囲における数値の部分集合を企図することを支持するものと解すべきである。
【0040】
本明細書に使用される単語「備えている(comprising)」(及び「備える(comprise)」及び「備える(comprises)」のような「備えている(comprising)の任意な変化形)、「有している(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」のような「有している(having)の任意な変化形)、「含んでいる(including)」(及び「含む(includes)」及び「含む(include)」のような「含んでいる(including)の任意な変化形)、又は「含有している(containing)」(及び「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」のような「含有している(containing)の任意な活用形)は、包括的又は制約がないものであり、追加的な列挙しない要素又は方法ステップを排除しない。本明細書で使用する用語「又はそれらの組合せ(or combinations thereof)」及び「及び/又はそれらの組合せ(and/or combinations thereof)」は、その用語に先行する列挙項目のすべての順列及び組合せに言及する。例えば、「A、B、C、又はそれらの組合せ(A, B, C, or combinations thereof)」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABC、また特定文脈で順序が重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含めて、これらのうち少なくとも1つを含むことを意図する。この例を継続して説明すると、明確に含まれるのは、1つ又はそれ以上の用語の反復を含む組合せ、例えば、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等々を含む組合せである。当業者であれば、文脈からそうでないことが明らかでない限り、一般的に項目の数又は任意な組合せにおける項目には制限がないことを理解するであろう。
【0041】
以下の詳細な説明の目的として、任意な運用実施例以外、又はそれ以外が示される場合、例えば、本明細書及び特許請求の範囲で使用される構成要素の量を表現する数値は、すべての事例において用語「約(about)」で変更されると理解されたい。本明細書及び添付される特許請求の範囲で記述される数値パラメータは、本発明を実施する際に得られる所望特性に基づいて変動し得る近似値である。
【0042】
本明細書で使用される用語「又はそれらの組合せ(or combinations thereof)」、「及びそれらの組合せ(and combinations thereof)」並びに「それらの組合せ(combinations thereof)」は、その用語に先行する列挙項目のすべての順列及び組合せに言及する。
【0043】
用語「約(about)」は、特定値における値+10%の範囲に言及する。例えば、語句「約200」は、200の±10%、又は180~220を含む。
【0044】
用語「重合(polymerization)」又は「重合化(polymerizing)」は、モノマー化合物を化学的に反応させてポリマー鎖を形成する方法に言及する。ポリマー鎖は、入れ替える、ブロックする又はランダムにすることができる。重合化方法のタイプは、広範囲の様々な方法から選択することができ、また以下の非限定的実施例、すなわち、重縮合、逐次重合、及びフリーラジカル重合がある。
【0045】
用語「高分子(macromolecule)」は、ポリマーを含むすべての巨大分子に言及する。用語「ポリマー(polymer)」は、1つ又はそれ以上のタイプの共有化学結合によって結合されたモノマー残渣(反復ユニット)を含む巨大分子に言及する。ポリマーの非限定的実施例としては、モノポリマー、並びにコポリマー、ターポリマー、テトラポリマー及びより高次の類似体のような非モノポリマーがある。
【0046】
用語「シリンジ(syringe)」は、流体量を引き込むため、又は例えば、ニードル経由で流体を流れとして排出するため、流体を身体に注入して創傷部を洗浄するため等々のものとして、出口が狭まっており、またピストン又はゴム球状部を装着した、ガラス、金属又は硬質ゴムチューブにより構成したデバイス、又は類似の特徴及び目的を有する任意な他の吸引デバイスに言及する。シリンジは、新生児用、小児用、伝統的、標準的、又は汎用のシリンジとすることができる。
【0047】
用語「閾値線量範囲(threshold dosage range)」は、所定の反応、現象、結果、若しくは条件を生起又は明らかにするため、実行しなければならない放射線のマグニチュード又は強度に言及する。信号が通過するまで、その範囲における閾値レベルは、化合物に変化又は反応を生じない。
【0048】
用語「QRコード(登録商標)(QR Code)」又は「クイックレスポンス(Quick Response Code)」は、行列、すなわち、水平方向及び垂直方向におけるいわゆる「モジュール」と称される暗い及び明るい要素セルの配列によって、情報を変換する2Dマトリクスコードである。QRコードシンボルの各暗又は明モジュール-コードの特定インスタンス-は、0又は1を表し、したがって、それをマシンが理解できるようにする。QRコードは、2次元デジタル画像センサによって検出され、また次いでプログラムされたプロセッサによってデジタル的に解析される。プロセッサは、サイズ、向き、及び視野角に関して画像を正規化するため、4番目のコーナー近傍により小さい正方形(又は複数正方形)を使用して、QRコード画像のコーナーにおける3つの明確な区別がつく正方形を見つけ出す。次にQRコード全体にわたる小さいドットを2進数に変換し、またエラー訂正コードで有効化する。
【0049】
本開示は、シリンジ用の放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベルを企図する。シリンジは、前方部分及び後方部分があるバレル部分であって、バレル部分の前方部分におけるチップ、バレル部分の後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を有する、該バレル部分を有する。ラベルは、シリンジの少なくとも一方の部分に付着し、またマーキングにオーバーラップしない。
【0050】
一実施形態によれば、シリンジ(100)は、ラベル(12)及びマーキング(13)を受け入れる部分を有する主本体(11)を備える。シリンジのバレル(14)である主本体は、前方端部(15)及び後方端部(16)、並びに主本体の前方端部におけるニードル係合延長部としての突端(17)を有する。突端は、ニードルの有無に関係なく、シリンジの流体を装填又は放出する開孔(18)を有する。シリンジは、さらに、後方端部にピストン(19)を備え、この場合ピストンは、ピストンロッドの前方端部を受け入れ得る開口を有する。バレル内で摺動するよう配置されるピストンは、バレルに釈放可能に結合される。バレルは、さらに、シリンジを使用する間にユーザーにグリップを与えるよう、真直ぐであり、長手方向に互いに平行に突出する対向側端縁(20)を有する。
【0051】
実施形態のうち1つによれば、バレルは、シリンジ内に引き込まれるべき特定流体の所望量をユーザーに示すよう、表示、マーク付け、形状付け、又は他のやり方でカスタム化することができる。このことによれば、シリンジ(新生児用、小児用、伝統的、標準的、又は汎用のシリンジとすることができる)は、一貫性があり、また信頼性高くマーク付けすることができる。マーキングは、ヒューマンエラーの可能性を減少し、また安全性を向上させるよう、シリンジを特定目的のためにカスタマイズすることができる。
別の実施形態によれば、シリンジの突端は、主本体をバレルの長手方向に固定し、これにより所望量のマーキングがバレル上の適正場所に確実に設けられる補助を行う傾向がある。概して、開孔は突端によって完全に閉鎖する必要はない。例えば、開孔は、突端における溝孔又はノッチを有することができる。
【0052】
もう1つの実施形態によれば、バレルにおけるマーキングは、量の数値表示を有する。量の数値表示は、1ml~200mlとする。別の実施形態において、他の可能な量の数値表示範囲もあり、限定しないが、約0.1ml~10ml、約1ml~約20ml、約1ml~約30ml、約1ml~約40ml、約1ml~約50ml、約1ml~約60ml、約1ml~約70ml、約1ml~約80ml、約1ml~約90ml、約1ml~約100ml、約1ml~約110ml、約1ml~約120ml、約1ml~約130ml、約1ml~約140ml、約1ml~約150ml、約1ml~約160ml、約1ml~約170ml、約1ml~約180ml、約1ml~約190ml、及び約1ml~約200mlがある。
【0053】
一実施形態によれば、突端における材料の連続的ピースは開口を包囲し、これにより開口の境界は閉じた輪郭を画定する。開口は円形とすることができる。この突端は、好適には、マーキング長手方向に主本体よりも短いものとする。この突端は、好適には、マーキングの横方向に主本体よりも狭いものとする。
【0054】
もう1つの実施形態によれば、マーキングは、主本体に沿って所定長手方向位置にマーク/表示を有し、シリンジに所定量の流体を充填するため、シリンジバレルにおけるシリンジピストンを引っ張るべき長手方向位置を表示する。
【0055】
さらに、他の異なる予め規定した流体用の他の異なる予め規定した量を表示するために、マーキングは異なる長手方向位置に設けることができる。幾つかの実施形態において、マーキングは、予め規定した流体の安全用量に対応する長手方向位置及び/又は長手方向範囲を図形的に表示する。流体をシリンジに引き込むとき(例えば、アンプル又はバイアルから)、ピストンをバレルに沿ってマーク付けされた長手方向位置及び/又は図形的に表示された範囲内にある位置に引き寄せる。これによって、シリンジは、流体の安全用量を収納することが知られる(及び見て分かる)。範囲及び/又は位置は、他の異なる流体の異なる安全用量用に表示することもできる。マーク付けした長手方向位置は公称適正用量を表示することができる。これは、実験モデルから理論的に導き出すことができる、又は例えば、処置に当たる外科医が使用する平均用量とすることができる。平均用量は中央値用量とすることができる。
【0056】
もう1つの実施形態によれば、可撓性自己接着性ラベル(12)は、図2に示すように、シリンジの外表面のうち少なくとも一方の部分に付着する。ラベルは、任意な形状とすることができる、又はシリンジが放射線を浴びるか否かを表示し得るようにすることができる。ラベルは、シリンジのバレル周りに巻き付けた後に端部相互が合致するよう設計することができ、これにより端部がシリンジの適正直径に当接させられることを確実にする。
【0057】
1つの実施形態によれば、放射線感受性インジケータは、最小特定線量で照射の確実な視覚的検証をもたらす、アシュランド社(Ashland LLC)から入手可能な市販のRad-sure(商標)血液照射インジケータから適合化することができる。世界最高分解能の線量計であるGafchromic(商標)フィルムから製造されるRad-sureは、25年にわたる血液照射インジケータ標準である。放射線感受性インジケータは、ガンマ線及び/又はX線に対して感受性を示すことができる。ガンマ及び/又はX線に対して感受性を示す放射線感受性インジケータを備える可撓性自己接着性ラベル図1に示す。放射線感受性インジケータは、「IRRADIATED」の表示部分(放射線感受性要素がない追加の表示部分)を有する。ガンマ線感受性は、セシウム-137又はコバルト-60放射源に適合可能であり、X線感受性は、0.38mmの銅によりフィルタ処理される160kVp源、又は1mmのアルミニウムによりフィルタ処理される150kVp源から発生するX線を利用するX線照射器に適合可能である。放射線線量インジケータ及びそれらのアセンブリは、特許文献3(米国特許第5,084,623号)及び特許文献8(米国特許第9,797,771号)に大まかに開示されている。
【0058】
一実施形態によれば、放射線線量インジケータは、少なくとも約50keV~約10MeVのエネルギーレベルの放射線を浴びる。別の実施形態において、他の可能な範囲としては、限定しないが、例えば、約40keV~約50keV、約50keV~約60keV、約60keV~約70keV、約70keV~約80keV、約80keV~約90keV、約90keV~約100keV、約1MeV~約2MeV、約2MeV~約3MeV、又は約3MeV~約4MeVがある。
【0059】
一実施形態によれば、放射線は、約2500rads~約5000radsの閾値線量範囲を有する。別の実施形態において、他の可能な範囲としては、限定しないが、例えば、約2500rads~約3000rads、約3000rads~約3500rads、約3500rads~約4000rads、約4000rads~約4500rads、又は約4500rads~約5000radsがある。
【0060】
実施形態のうち1つによれば、約10-8J/cmrads~約10J/cmの閾値線量範囲を有する。別の実施形態において、他の可能な範囲としては、限定しないが、例えば、約10-8J/cmrads~約10-7J/cm、約10-7J/cmrads~約10-6J/cm、約10-6J/cmrads~約10-5J/cm、約10-5J/cmrads~約10-4J/cm、約10-4J/cmrads~約10-3J/cm、約10-3J/cmrads~約10-2J/cm、約10-2J/cmrads~約10-1J/cm、約10-1J/cmrads~約1J/cm、約1J/cmrads~約10J/cm、又は約10J/cmrads~約10J/cmがある。
【0061】
実施形態のうち1つによれば、約10-3~10radsの閾値線量範囲を有する。実施形態のうち1つによれば、約10-3~10rads、約10-3~10-2ads、約10-2~10-1rads、約10-1~10rads、約10~10rads、約10~10rads、約10~10rads、約10~10rads、約10~10rads、約10~10rads、約10~10rads、又は約10~10rads、の閾値線量範囲を有する。
【0062】
実施形態のうち1つによれば、放射線インジケータは放射線感受性ポリアセチレン化合物を有する。本発明に有用なポリアセチレン化合物の非限定的実施例は、特許文献9(米国特許第5,137,964号)及び特許文献7(米国特許第7,445,880号明細書)に開示されている。厳密に言えば、任意な他の匹敵する放射線感受性材料を本発明の実践に利用できることも考えられる。
【0063】
別の実施形態によれば、可撓性自己接着性ラベルは、さらに、第1接着層、リーダーバンド、第2接着層、及び剥離層を備え、この場合、図5に示すように、接着層、リーダーバンド又は剥離層の第1側面は、放射線感受性インジケータ、接着層、リーダーバンド、又は剥離層の第2側面に付着する。放射線感受性インジケータは接着層の第1側面上に位置決めされる。接着層の第2側面は、剥離層の第1側面に付着する。さらに、剥離層の第2側面はリーダーバンドの第1側面に付着する。
【0064】
実施形態のうち1つによれば、放射線線量インジケータは接着層に付着する。接着層を構成する幾つかの有用な接着剤、例えば、アクリル接着剤、アクリル・ウレタンベースの接着剤等々が市販されている。インジケータは、2つの接着層を有する2重コーティングフィルム製品に固定することができる。2重コーティングフィルム製品は、両面に感圧接着剤を塗布したプラスチックフィルムとすることができる。
【0065】
別の実施形態において、接着層は剥離層の一方の側面に位置決めし、剥離層の他方の側面は、リーダーバンドの一方の側面に位置決めする。剥離層は、放射線線量インジケータを取り付けるための取付けフィルムを有する。取付けフィルムは、例えば、マックタック社のPerma Trans PUV2100、IP2100、IB2104等々のように市販されている。
【0066】
実施形態のうち1つによれば、可撓性自己接着性ラベルは、図4に示すように、放射線インジケータ及びバーコードを備える。ラベルはシリンジの少なくとも一方の部分に付着することができ、また好適には、マーキングにはオーバーラップしないようにする。バーコードは、ラベル上に印刷し、またラベルに関する情報を含むことができる。
【0067】
別の実施形態によれば、バーコードは、放射線感受性2Dバーコード及び放射線非感受性2Dバーコードより成るグループから選択する。
【0068】
別の実施形態によれば、バーコードは、2Dコード、QRコード(クイックレスポンス・コード)、マイクロQR、改変QRコード、PDF-417、Maxiコード、Aztecコード、EANバーコード、及びデータマトリクスから成るグループから選択する。
【0069】
別の実施形態によれば、バーコードは、2Dコード、QRコード(クイックレスポンス・コード)、マイクロQR、改変QRコード、PDF-417、Maxiコード、Aztecコード、EANバーコード、及びデータマトリクスから成るグループから選択する。
【0070】
一実施形態によれば、本開示は、前方部分及び後方部分があるバレル部分を有し、バレル部分は、前方部分における突端、後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を有するシリンジにラベルを貼り付ける方法に関する。放射線感受性インジケータ及び剥離層を含む上述した可撓性自己接着性ラベルをシリンジの少なくとも一方の部分に付着する。方法は、可撓性自己接着性ラベルを準備するステップと、ラベルの剥離層を除去するステップと、及びラベルの接着層をマーキングにオーバーラップしないようにシリンジにおける少なくとも一方の部分に付着するステップと、を備える。
【0071】
一実施形態によれば、前方部分及び後方部分があるバレル部分を有するシリンジであって、バレル部分は、前方部分における突端、後方部分におけるピストン、及びマーキング付きの外表面を有するシリンジと、先に要約したようなシリンジに付着し得る可撓性自己接着性ラベルと、を備えるキットを提供する。ラベルはシリンジの少なくとも一方の部分に、マーキングにオーバーラップしないよう付着する。ラベルはバーコードを含むことができる。別の実施形態によれば、キットは、さらに、患者及び/又はヘルスケア従事者向けの教材を備えることができる。
【0072】
別の実施形態によれば、キットは、図6に示すように、シリンジに付着するための1つ又はそれ以上の自己接着性ラベルを備える。自己接着性ラベルは、1つ又はそれ以上のラベル、ラベルのシート、放射線インジケータのロール、又は放射線インジケータのロールを収容する分配器(ディスペンサー)とすることができる。
【0073】
もう1つの実施形態によれば、可撓性自己接着性ラベルのロールを収容する分配器は、図7に示すように、可撓性自己接着性ラベルのロールと、保持ケースと、ラベルを分配するための保持ケースにおける少なくとも1つの開口部と、及び随意的に保持ケースにおける外側頂部カバーと、を備える。未使用インジケータは露光しないようにするのが望ましい。さらに、このパッケージ設計によれば、単一のインジケータをヘルスケア従事者に提供することを可能にし、取扱いステップを減少し、またインジケータカードの分離及び取扱いを排除することができる。
【0074】
別の実施形態によれば、保持ケースは、立方体、円筒形、半円筒形又は直方体の形状に形成する。
【0075】
代替的実施形態によれば、外側頂部カバーはラベルのロール、並びに個別のラベルを保護する。
【0076】
別の実施形態によれば、ラベルは、シリンジに付着させる前にロールから剥ぎ取る。
【0077】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態における若干の特徴及び利点を説明するために提示する。
【実施例
【0078】
各シリンジに本開示の可撓性自己接着性ラベルを接着で付着させることによって、可撓性自己接着性ラベルを有する3つのシリンジを準備した。これら3つのシリンジは、シリンジにおけるラベルの付着を様々な温度保存条件で分析するために使用した。
【0079】
実施例1:接着性試験
接着剤を使用するインジケータは、室温(20~23℃)でプラスチックシリンジに当接した。個別のインジケータは、次に室温(図3参照)、冷蔵庫温度(4~10℃)、冷凍庫温度(-30~-15℃)で保持した。この後、シリンジは、シリンジバレルに対する付着状況を視覚的に点検した(図3参照)。
【0080】
インジケータは、室温サンプルに対しては非接着の性能を実証した。冷蔵庫及び冷凍庫サンプルはシリンジに対する接着性を示し続けた。したがって、本出願のインジケータは、小児用シリンジ用途に必要とされる優れた接着性を実証した。
【0081】
若干の好適な実施形態につき本発明を詳細に説明したが、本発明はこれら明確な実施形態に限定されないと理解されたい。むしろ、本開示の観点から、当業者には本発明の範囲及び精神から逸脱することのない多くの変更及び改変は明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7