(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/28 20060101AFI20241213BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20241213BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
H01L23/28 A
H01L23/48 M
H01L21/60 301P
(21)【出願番号】P 2022505873
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2021005929
(87)【国際公開番号】W WO2021182047
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2020041841
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 朋範
(72)【発明者】
【氏名】江上 和男
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-157023(JP,A)
【文献】特開2018-085480(JP,A)
【文献】特開2013-153032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 23/48
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面を有する半導体素子と、
前記半導体素子が搭載された第1パッド部を有する第1リードと、
前記第1方向と直角である第2方向において前記第1パッド部と並んで配置された第2パッド部を有する第2リードと、
前記半導体素子に接合された第1ボンディング部および前記第2パッド部に接合された第2ボンディング部を有する導通部材と、
前記半導体素子、前記導通部材、前記第1パッド部および前記第2パッド部を覆う樹脂部と、を備えており、
前記第1パッド部は、前記素子裏面が接合された第1平滑領域および前記第1方向に沿って視て前記半導体素子から離れており且つ前記第1平滑領域よりも粗い領域である第1粗化領域を含む第1パッド主面を有し、
前記第2パッド部は、前記第2ボンディング部が接合された第2平滑領域および前記第1方向に沿って視て前記第2ボンディング部から離れており且つ前記第2平滑領域よりも粗い領域である第2粗化領域を含む第2パッド主面を有
し、
前記第1パッド部は、第1金属を含み、
前記第1パッド主面は、前記第1金属からなり、
前記第2パッド部は、第2金属と、前記第2金属の表面に設けられた第3金属とを含み、
前記第2平滑領域は、前記第3金属からなり、
前記第2粗化領域は、前記第2金属からなる複数の凹部と、各々が隣り合う前記凹部の間に位置し且つ前記第3金属からなる複数の凸部と、を含み、
前記複数の凹部の各々は、前記第3金属から露出している、半導体装置。
【請求項2】
前記第1粗化領域は、前記第1平滑領域に対して前記第2パッド部側に位置する第1部を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1粗化領域は、前記第1平滑領域に対して前記第2パッド部とは反対側に位置する第2部を含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1粗化領域は、前記第1方向および前記第2方向と直角である第3方向において前記第1平滑領域に隣接する第3部を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2粗化領域は、前記第2平滑領域に対して前記第1パッド部側に位置する第1部を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2粗化領域は、前記第2平滑領域に対して前記第1パッド部とは反対側に位置する第2部を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2粗化領域は、前記第1方向および前記第2方向と直角である第3方向において前記第2平滑領域に隣接する第3部を含む、請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1粗化領域は、前記第2粗化領域よりも粗い、請求項1ないし
7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2パッド主面は、前記第1方向において前記第1パッド主面よりも前記第1パッド主面が向く側に位置している、請求項1ないし
8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2パッド主面は、前記第1方向において前記素子主面よりも前記素子主面が向く側に位置している、請求項
9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1リードは、前記第1方向において前記第1パッド主面とは反対側を向き且つ前記樹脂部から露出する第1パッド裏面を有する、請求項1ないし
10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2リードは、前記樹脂部から前記第2方向に突出する端子部を有する、請求項1ないし
11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体素子は、前記素子主面に配置されたゲート電極およびソース電極と、前記素子裏面に配置されたドレイン電極と、を有し、
前記導通部材の前記第1ボンディング部は、前記ゲート電極および前記ソース電極の少なくともいずれかに接合されており、
前記ドレイン電極は、前記第1平滑領域に導通接合されている、請求項1ないし
12のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の半導体装置の一例が開示されている。同文献に開示された半導体装置は、半導体素子、複数のリード、ワイヤおよび樹脂部を備える。半導体素子は、あるリードに搭載されている。ワイヤは、半導体素子と他のリードとに接続されている。樹脂部は、半導体素子、ワイヤおよび複数のリードを覆っている。複数のリードの表面には、めっき膜が形成されている。めっき膜は、リードの表面積を増大させることにより、リードと樹脂部との密着性を向上させることが意図されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、密着性の向上を図るためのめっき膜等の手段は、半導体装置に好ましくない影響を与えるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、半導体装置の適切な動作を図りつつ、樹脂部とリードとの密着性を向上させることが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供される半導体装置は、第1方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面を有する半導体素子と、前記半導体素子が搭載された第1パッド部を有する第1リードと、前記第1方向と直角である第2方向において前記第1パッド部と並んで配置された第2パッド部を有する第2リードと、前記半導体素子に接合された第1ボンディング部および前記第2パッド部に接合された第2ボンディング部を有する導通部材と、前記半導体素子、前記導通部材、前記第1パッド部および前記第2パッド部を覆う樹脂部と、を備えており、前記第1パッド部は、前記素子裏面が接合された第1平滑領域および前記第1方向に沿って視て前記半導体素子から離れており且つ前記第1平滑領域よりも粗い領域である第1粗化領域を含む第1パッド主面を有し、前記第2パッド部は、前記第2ボンディング部が接合された第2平滑領域および前記第1方向に沿って視て前記第2ボンディング部から離れており且つ前記第2平滑領域よりも粗い領域である第2粗化領域を含む第2パッド主面を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、半導体装置の適切な動作を図りつつ、樹脂部とリードとの密着性を向上させることができる。
【0008】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る半導体装置の第2パッド部を示す平面図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る半導体装置の第2パッド部を示す平面図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示す要部拡大断面図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る半導体装置の第1粗化領域の一例を示す要部拡大断面図である。
【
図9】本開示の第1実施形態に係る半導体装置の第2粗化領域の一例を示す要部拡大断面図である。
【
図12】
図3のXII-XII線に沿う断面図である。
【
図13】本開示の第1実施形態に係る半導体装置の第1変形例の第2粗化領域を示す要部拡大断面図である。
【
図14】本開示の第1実施形態に係る半導体装置の第2変形例を示す平面図である。
【
図15】本開示の第1実施形態に係る半導体装置の第3変形例を示す平面図である。
【
図16】本開示の第2実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
【
図17】本開示の第2実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
【
図21】本開示の第2実施形態に係る半導体装置の第1変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0012】
<第1実施形態>
図1~
図12は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A1は、半導体素子1、第1リード2、第2リード3、第2リード4、導通部材61、導通部材62および樹脂部8を備えている。
【0013】
図1は、半導体装置A1を示す斜視図である。
図2は、半導体装置A1を示す斜視図である。
図3は、半導体装置A1を示す平面図である。
図4は、半導体装置A1の第2パッド部を示す平面図である。
図5は、半導体装置A1の第2パッド部を示す平面図である。
図6は、
図3のVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、半導体装置A1を示す要部拡大断面図である。
図8は、半導体装置A1の第1粗化領域の一例を示す要部拡大断面図である。
図9は、半導体装置A1の第2粗化領域の一例を示す要部拡大断面図である。
図10は、
図3のX-X線に沿う断面図である。
図11は、
図3のXI-XI線に沿う断面図である。
図12は、
図3のXII-XII線に沿う断面図である。これらの図において、z方向は、本開示の第1方向に相当し、y方向は、本開示の第2方向に相当し、x方向は、本開示の第3方向に相当する。
【0014】
〔半導体素子1〕
半導体素子1は、半導体装置A1の機能中枢となる電子部品であり、半導体材料からな。このような半導体材料としては、Si(シリコン)、SiC(炭化ケイ素)およびGaAs(ヒ化ガリウム)などがあるが、これらに限定されない。半導体素子1は、たとえば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのパワー半導体チップである。本実施形態においては、半導体素子1がMOSFETである場合を示すが、これに限定されず、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの他のトランジスタ、あるいは、ショットキーバリアダイオードやファーストリカバリダイオードなどのダイオードであってもよい。
【0015】
本実施形態の半導体素子1は、素子主面1a、素子裏面1b、複数の主面電極11およびドレイン電極12を有する。素子主面1aは、z方向の一方側(
図1、
図2および
図6における図中上側)を向く面である。素子裏面1bは、z方向において素子主面1aとは反対側の他方側(
図1、
図2および
図6における図中下側)を向く面である。
【0016】
図1~
図3に示すように、複数の主面電極11は、素子主面1aに形成されている。本実施形態においては、複数の主面電極11は、ゲート電極111およびソース電極112を含む。ゲート電極111は、スイッチング素子としての半導体装置A1にゲート電圧が印加される電極である。ソース電極112は、入出力端子として用いられる電極である。図示された例においては、ゲート電極111は、ソース電極112よりも小さい。また、ゲート電極111は、素子主面1aのx方向一方側(
図3における図中左側)に偏って配置されている。ドレイン電極12は、素子裏面1bに形成されており、ソース電極112とともに、入出力端子として用いられる電極である。
【0017】
〔第1リード2〕
第1リード2は、半導体素子1が搭載される部材である。第1リード2は、導電性材料である第1金属よりなる。本実施形態における第1金属としては、たとえばCuが挙げられるが、これに限定されず、Ni(ニッケル)、または、CuやNiの合金、42アロイなどであってもよい。第1リード2は、平面視矩形状のCuなどの薄肉金属板から、打ち抜き加工、切り取り加工、曲げ加工などにより適切な形に形成される。
図1~
図3、
図6、
図10および
図11に示すように、本実施形態の第1リード2は、第1パッド部21、延出部22、突出部23および連結部24を有する。
【0018】
第1パッド部21は、第1パッド主面21aおよび第1パッド裏面21bを有する。第1パッド主面21aは、z方向の一方側を向いており、第1パッド裏面21bは、z方向の他方側を向いている。第1パッド主面21aには、半導体素子1が搭載される。第1パッド部21の形状は何ら限定されず、図示された例においては、z方向に沿って視て略矩形状である。また、
図6および
図10~
図12に示すように、本実施形態においては、第1パッド裏面21bは、樹脂部8から露出している。
【0019】
第1パッド主面21aは、第1平滑領域211および第1粗化領域212を有する。なお、
図2~
図5において、複数の離散点からなるハッチングは、粗化手段によって粗化された領域を示している。また、
図2~
図5において、複数の平行線からなるハッチングは、めっきが施された領域を示している。
図7は、
図6の一部を拡大した要部拡大断面図である。図示された例の第1パッド主面21aは、めっき等が施されておらず、Cu等の第1金属が露出した面である。第1平滑領域211は、半導体素子1の素子裏面1bが接合された領域である。本実施形態においては、素子裏面1bに形成されたドレイン電極12が、導通接合材19によって第1平滑領域211に導通接合されている。また、図示された例においては、導通接合材19が第1平滑領域211の略全域に広がっている。なお、導通接合材19が第1平滑領域211のいずれの箇所に付着するかは、何ら限定されない。第1平滑領域211は、z方向に沿って視て半導体素子1のすべてを内包しており、半導体素子1から全方向に延出している。第1平滑領域211の形状は何ら限定されず、図示された例においては、略矩形状である。
【0020】
第1粗化領域212は、z方向に沿って視て半導体素子1から離れておりかつ第1平滑領域211よりも粗い領域である。第1粗化領域212が第1平滑領域211よりも粗い構成とする手段は、何ら限定されない。たとえば、第1平滑領域211が一般的なリードフレームの材料となる金属板の表面によって構成され、第1粗化領域212がレーザを用いた粗化手段によって粗化された領域である構成が挙げられる。粗化に用いられるレーザの種類は何ら限定されず、UVレーザ、IRレーザ、Greenレーザ等が適宜例示される。図示された例の第1粗化領域212は、第1パッド主面21aの端縁に到達している。
【0021】
第1粗化領域212の具体的な形状や大きさ等は、何ら限定されない。本実施形態においては、
図3に示すように、第1粗化領域212は、第1部2121、第2部2122および一対の第3部2123を含む。第1部2121は、第1平滑領域211に対してy方向における一方側(後述の第2パッド部31および第2パッド部41が位置する側)に位置する。第2部2122は、第1平滑領域211に対して第1部2121(および後述の第2パッド部31および第2パッド部41)とは反対側に位置する。一対の第3部2123は、x方向において第1平滑領域211の両側に隣接している。図示された例においては、第1粗化領域212は、第1部2121、第2部2122および一対の第3部2123を含むことにより、z方向に沿って視て第1平滑領域211を囲む矩形環状をなしている。
【0022】
ここで、第1粗化領域212の寸法の一例を挙げる。例えば、第1部2121のy方向寸法は、第1平滑領域211のうちy方向において第1部2121と半導体素子1との間に位置する部分のy方向寸法よりも小である。また、第2部2122のy方向寸法は、第1平滑領域211のうちy方向において第2部2122と半導体素子1との間に位置する部分のy方向寸法よりも小である。また、第3部2123のx方向寸法は、第1平滑領域211のうちx方向において第3部2123と半導体素子1との間に位置する部分のx方向寸法よりも小である。
【0023】
図8は、第1粗化領域212の一部をさらに拡大した断面図である。図示された例の第1粗化領域212は、たとえばGreenレーザを用いて粗化されたものである。この第1粗化領域212は、複数の凹部212aおよび複数の凸部212bを有する。複数の凹部212aおよび複数の凸部212bは、交互に並んで配置されている。このような複数の凹部212aおよび複数の凸部212bを有する第1粗化領域212は、たとえば、Greenレーザを所定の方向に順次走査することを繰り返すことにより、第1パッド主面21aに複数の溝が形成された構成である。なお、複数の凹部212aおよび複数の凸部212bからなる第1粗化領域212は、たとえば各々が円形状等とされた複数の凹部212aを含む構成であってもよい。
【0024】
また、図示された例の第1粗化領域212は、複数の微細突起212cを有する。複数の微細突起212cは、各々の大きさが、凹部212aや凸部212bよりも明らかに小さく、凹部212aまたは凸部212bの表面に存在する、微細な突起である。Greenレーザを用いて第1粗化領域212が形成された場合、複数の微細突起212cが第1粗化領域212の略全域に存在し、各々の形状が複雑な形状となりやすいとの知見が、発明者の研究によって得られた。
【0025】
また、本実施形態の第1パッド部21は、
図3、
図11および
図12に示すように、係止部251が形成されている。係止部251は、第1パッド部21の周縁部からx方向またはy方向に突出した形状部分を有する部位である。係止部251は、たとえば、樹脂部8の一部と係合することにより、樹脂部8による第1パッド部21の保持力を高めるために設けられている。
【0026】
延出部22は、
図1~
図3および
図10に示すように、第1パッド部21に対してy方向における一方側(後述の第2パッド部31および第2パッド部41が位置する側)に延出する部位である。延出部22の形状は特に限定されず、図示された例においては、延出部22は、根元部221、屈曲部222および先端部223を有する。
【0027】
根元部221は、第1パッド部21からy方向の一方側に延出しており、y方向に沿った形状である。屈曲部222は、根元部221のy方向先端に繋がっており、x方向に沿って視てz方向の一方側(
図10における図中上側)に屈曲した形状部位である。先端部223は、屈曲部222に繋がっており、屈曲部222からy方向に沿ってy方向の一方側に延出している。図示された例においては、先端部223の一部が、樹脂部8から突出している。
【0028】
突出部23は、
図1~
図3および
図10に示すように、第1パッド部21に対してy方向の他方側に位置する部位である。突出部23の形状は何ら限定されず、図示された例においては、z方向に沿って視てx方向を長手方向とする略長矩形状であり、そのほとんどが樹脂部8から露出している。
【0029】
連結部24は、第1パッド部21と突出部23とを連結する部位である。
図3に示すように、図示された例の連結部24は、貫通孔241を有する。貫通孔241は、連結部24をz方向に貫通している。
【0030】
また、本実施形態の延出部22は、めっき部224を有する。めっき部224は、第1リード2を構成するCu等の第1金属上にめっきによって形成された第2金属からなる金属層である。めっき部224を構成する第2金属は何ら限定されず、たとえばNiやAg等である。
【0031】
〔第2リード3〕
第2リード3は、後述の導通部材61が接合される部材である。第2リード3は、導電性材料である第1金属よりなる。本実施形態における第1金属としては、たとえばCuが挙げられるが、これに限定されず、Ni(ニッケル)、または、CuやNiの合金、42アロイなどであってもよい。第2リード3は、平面視矩形状のCuなどの薄肉金属板から、打ち抜き加工、切り取り加工、曲げ加工などにより適切な形に形成される。
図1~
図4、および
図6に示すように、本実施形態の第2リード3は、第2パッド部31および端子部32を有する。
【0032】
第2パッド部31は、第2パッド主面31aおよび第2パッド裏面31bを有する。第2パッド主面31aは、z方向の一方側を向いており、第2パッド裏面31bは、z方向の他方側を向いている。第2パッド主面31aには、後述の導通部材61が接合される。第2パッド部31の形状は何ら限定されず、図示された例においては、z方向に沿って視て略矩形状である。また、
図6に示すように、本実施形態においては、第2パッド主面31aおよび第2パッド裏面31bは、樹脂部8に覆われている。
【0033】
図1~
図3および
図6に示すように、本実施形態においては、第2パッド部31は、z方向に沿って視て第1パッド部21に対してy方向の一方側に位置しており、延出部22のx方向の一方側に位置している。また、第2パッド部31は、第1パッド部21および延出部22よりもz方向の一方側(
図6における図中上側)に位置している。
【0034】
図3および
図4に示すように、第2パッド主面31aは、第2平滑領域311および第2粗化領域312を有する。
図7は、
図6の一部を拡大した要部拡大断面図である。図示された例の第2パッド主面31aは、めっきが施されている。めっきによって形成される金属層を構成する第2金属は何ら限定されず、たとえばNiやAg等が挙げられる。第2平滑領域311は、導通部材61の後述の第2ボンディング部612が接合された領域である。第2平滑領域311は、z方向に沿って視て第2ボンディング部612のすべてを内包しており、半導体素子1から全方向に延出している。第2平滑領域311の形状は何ら限定されず、図示された例においては、略矩形状である。図示された例の第2平滑領域311は、めっきが施された平滑領域である。また、第2平滑領域311のx方向寸法は、好ましくは、第2ボンディング部612のx方向寸法の2倍以上である。
【0035】
第2粗化領域312は、z方向に沿って視て第2ボンディング部612から離れており、かつ第2平滑領域311よりも粗い領域である。第2粗化領域312が第2平滑領域311よりも粗い構成とする手段は、何ら限定されない。たとえば、第2平滑領域311が一般的なリードフレームの材料となる金属板の表面によって構成され、第2粗化領域312がレーザを用いた粗化手段によって粗化された領域である構成が挙げられる。粗化に用いられるレーザの種類は何ら限定されず、UVレーザ、IRレーザ、Greenレーザ等が適宜例示される。図示された例においては、第2粗化領域312は、第2パッド主面31aの端縁に到達している。
【0036】
第2粗化領域312の具体的な形状や大きさ等は、何ら限定されない。本実施形態においては、
図4に示すように、第2粗化領域312は、第1部3121、第2部3122および一対の第3部3123を含む。第1部3121は、第2平滑領域311に対してy方向における他方側(第1パッド部21が位置する側)に位置する。第2部3122は、第2平滑領域311に対して第1部3121(および第1パッド部21)とは反対側に位置する。一対の第3部3123は、x方向において第2平滑領域311の両側に隣接している。図示された例においては、第2粗化領域312は、第1部3121、第2部3122および一対の第3部3123を含むことにより、z方向に沿って視て第2平滑領域311を囲む矩形環状をなしている。
【0037】
図9は、第2粗化領域312の一部をさらに拡大した断面図である。図示された例の第2粗化領域312は、たとえばGreenレーザを用いて粗化されたものである。この第2粗化領域312は、複数の凹部312aおよび複数の凸部312bを有する。複数の凹部312aおよび複数の凸部312bは、交互に並んで配置されている。このような複数の凹部312aおよび複数の凸部312bを有する第2粗化領域312は、たとえば、Greenレーザを所定の方向に順次走査することを繰り返すことにより、第2パッド主面31aに複数の溝が形成された構成である。なお、複数の凹部312aおよび複数の凸部312bからなる第2粗化領域312は、たとえば各々が円形状等とされた複数の凹部312aを含む構成であってもよい。
【0038】
また、図示された例においては、複数の凹部312aは、第2リード3の第1金属であるCuが露出した領域である。一方、複数の凸部312bは、めっきによって形成された金属層319を構成する第2金属であり、たとえばNiによって構成されている。このような第2粗化領域312は、めっきを用いて金属層319により第1金属を覆った後に、Greenレーザ等の粗化手段によって第2粗化領域312を形成した場合に見られる構成である。たとえば、金属層319の厚さが、2μm~4μmであり、第2粗化領域312の凹凸寸法(凹部312aの底部から凸部312bの頂部までの寸法)が、金属層319の厚さよりも大きく、たとえば、5μm~8μmである。
【0039】
また、図示された例の第2粗化領域312は、複数の微細突起312cを有する。複数の微細突起312cは、各々の大きさが、凹部312aや凸部312bよりも明らかに小さく、凹部312aや凸部312bの表面に存在するより微細な突起である。Greenレーザを用いて第2粗化領域312が形成された場合、複数の微細突起312cが第2粗化領域312の略全域に存在し、各々の形状が複雑な形状となりやすいとの知見が、発明者の研究によって得られた。
【0040】
端子部32は、
図1~
図3および
図6に示すように、第2パッド部31に対してy方向における一方側に延出する部位である。端子部32は、たとえば、半導体装置A1を回路基板等に実装する際に用いられる。端子部32の形状は特に限定されず、図示された例においては、端子部32は、根元部321、屈曲部322および先端部323を有する。
【0041】
根元部321は、第2パッド部31からy方向の一方側に延出しており、y方向に沿った形状である。根元部321の一部は、樹脂部8から露出している。屈曲部322は、根元部321のy方向先端に繋がっており、x方向に沿って視てz方向の他方側(
図6における図中下側)に屈曲した形状部位である。先端部323は、屈曲部322に繋がっており、屈曲部322からy方向に沿ってy方向の一方側に延出している。
【0042】
〔第2リード4〕
第2リード4は、後述の導通部材62が接合される部材である。第2リード4は、導電性材料である第1金属よりなる。本実施形態における第1金属としては、たとえばCuが挙げられるが、これに限定されず、Ni(ニッケル)、または、CuやNiの合金、42アロイなどであってもよい。第2リード4は、平面視矩形状のCuなどの薄肉金属板から、打ち抜き加工、切り取り加工、曲げ加工などにより適切な形に形成される。
図1~
図3、
図5および
図11に示すように、本実施形態の第2リード4は、第2パッド部41および端子部42を有する。
【0043】
第2パッド部41は、第2パッド主面41aおよび第2パッド裏面41bを有する。第2パッド主面41aは、z方向の一方側を向いており、第2パッド裏面41bは、z方向の他方側を向いている。第2パッド主面41aには、後述の導通部材62が接合される。第2パッド部41の形状は何ら限定されず、図示された例においては、z方向に沿って視て略矩形状である。また、
図6に示すように、本実施形態においては、第2パッド主面41aおよび第2パッド裏面41bは、樹脂部8に覆われている。
【0044】
図1~
図3および
図6に示すように、本実施形態においては、第2パッド部41は、z方向に沿って視て第1パッド部21に対してy方向の一方側に位置しており、延出部22のx方向の他方側に位置している。また、第2パッド部41は、第1パッド部21および延出部22よりもz方向の一方側(
図10における図中上側)に位置しており、第2パッド部31とz方向位置が略同じである。
【0045】
図3および
図5に示すように、第2パッド主面41aは、第2平滑領域411および第2粗化領域412を有する。図示された例の第2パッド主面41aは、めっきが施されている。めっきによって形成される金属層を構成する第2金属は何ら限定されず、たとえばNiやAg等が挙げられる。第2平滑領域411は、導通部材62の後述の第2ボンディング部622が接合された領域である。第2平滑領域411は、z方向に沿って視て第2ボンディング部622のすべてを内包しており、半導体素子1から全方向に延出している。第2平滑領域411の形状は何ら限定されず、図示された例においては、略矩形状である。図示された例の第2平滑領域411は、めっきが施された平滑領域である。また、第2平滑領域411のx方向寸法は、好ましくは、第2ボンディング部622のx方向寸法の2倍以上である。
【0046】
第2粗化領域412は、z方向に沿って視て第2ボンディング部622から離れておりかつ第2平滑領域411よりも粗い領域である。第2粗化領域412が第2平滑領域411よりも粗い構成とする手段は、何ら限定されない。たとえば、第2粗化領域312と同様に、第2平滑領域411が一般的なリードフレームの材料となる金属板の表面によって構成され、第2粗化領域412がレーザを用いた粗化手段によって粗化された領域である構成が挙げられる。粗化に用いられるレーザの種類は何ら限定されず、UVレーザ、IRレーザ、Greenレーザ等が適宜例示される。図示された例においては、第2粗化領域412は、第2パッド主面41aの端縁に到達している。
【0047】
第2粗化領域412の具体的な形状や大きさ等は、何ら限定されない。本実施形態においては、
図5に示すように、第2粗化領域412は、第1部4121、第2部4122および一対の第3部4123を含む。第1部4121は、第2平滑領域411に対してy方向における他方側(第1パッド部21が位置する側)に位置する。第2部4122は、第2平滑領域411に対して第1部4121(および第1パッド部21)とは反対側に位置する。一対の第3部4123は、x方向において第2平滑領域411の両側に隣接している。図示された例においては、第2粗化領域412は、第1部4121、第2部4122および一対の第3部4123を含むことにより、z方向に沿って視て第2平滑領域411を囲む矩形環状をなしている。
【0048】
第2粗化領域412の具体的な詳細構成は、何ら限定されず、たとえば、
図9に示した第2粗化領域412と同様の構成である。
【0049】
端子部42は、
図1~
図3および
図11に示すように、第2パッド部41に対してy方向における一方側に延出する部位である。端子部42は、たとえば、半導体装置A1を回路基板等に実装する際に用いられる。端子部42の形状は特に限定されず、図示された例においては、端子部42は、根元部421、屈曲部422および先端部423を有する。
【0050】
根元部421は、第2パッド部41からy方向の一方側に延出しており、y方向に沿った形状である。根元部421の一部は、樹脂部8から露出している。屈曲部422は、根元部421のy方向先端に繋がっており、x方向に沿って視てz方向の他方側(
図6における図中下側)に屈曲した形状部位である。先端部423は、屈曲部422に繋がっており、屈曲部422からy方向に沿ってy方向の一方側に延出している。
【0051】
第1パッド部21の第1粗化領域212と第2パッド部31の第2粗化領域312および第2パッド部41の第2粗化領域412の粗さは、何ら限定されない。第1粗化領域212、第2粗化領域312および第2粗化領域412の粗さの数値例を挙げると、たとえば、面粗さについて算術平均粗さSaが0.34~4.2、最大高さSzが3.6~26、線粗さについて、Raが0.33~3.9、最大高さRzが1.7~13である。また、第1粗化領域212、第2粗化領域312および第2粗化領域412の粗さの他の粗さ指標による数値例を挙げると、山頂点の算術平均曲Spcが1400~5700、界面の展開面積比Sdrが0.067~2.2である。
【0052】
第1粗化領域212の粗さと第2粗化領域312または第2粗化領域412との粗さの好ましい関係の一例を挙げると、第1粗化領域212の粗さは、第2粗化領域312または第2粗化領域412の粗さよりも粗い。このような粗さの関係を実現する一手法としては、第1粗化領域212を形成するための粗化処理において同一箇所をレーザによって走査する回数を、第2粗化領域312および第2粗化領域412を形成するための粗化処理において同一箇所をレーザによって走査する回数よりも多くする手法が挙げられる。たとえば、第2粗化領域312および第2粗化領域412の形成においては、同一箇所をレーザによって1回走査し、第1粗化領域212の形成においては、同一箇所をレーザによって2回以上の複数回走査する。この場合、
図8に示す第1粗化領域212の凹部212aは、走査回数に対応した多段状となる場合がある。
【0053】
〔導通部材61〕
導通部材61は、半導体素子1のゲート電極111と第2リード3とを導通させるためのものである。導通部材61の具体的構成は何ら限定されず、たとえば金属からなるワイヤやリボンが挙げられる。導通部材61を構成する金属としては、たとえばAu、Al等の金属やこれらの合金が挙げられる。Al合金としては、たとえばAlにFe、Si、Niのいずれかが添加されたAl合金が挙げられる。本実施形態においては、導通部材61は、Auからなるワイヤである。
【0054】
図1~
図3および
図6に示すように、導通部材61は、第1ボンディング部611および第2ボンディング部612を有する。第1ボンディング部611は、半導体素子1のゲート電極111にボンディングされている。第2ボンディング部612は、第2リード3の第2パッド部31の第2パッド主面31aの第2平滑領域311にボンディングされている。導通部材61を形成する工程においては、第1ボンディング部611および第2ボンディング部612の形成順序は何ら限定されない。導通部材61の形成は、たとえばキャピラリボンディングによってなされる。
【0055】
〔導通部材62〕
導通部材61は、半導体素子1のソース電極112と第2リード4とを導通させるためのものである。導通部材62の具体的構成は何ら限定されず、たとえば金属からなるワイヤやリボンが挙げられる。導通部材61を構成する金属としては、たとえばAu、Al等の金属やこれらの合金が挙げられる。Al合金としては、たとえばAlにFe、Si、Niのいずれかが添加されたAl合金が挙げられる。本実施形態においては、導通部材62は、AlまたはAl合金からなるワイヤである。この場合、導通部材62の直径は、導通部材61の直径よりも大きい。
【0056】
図1~
図3および
図11に示すように、導通部材62は、第1ボンディング部621および第2ボンディング部622を有する。第1ボンディング部621は、半導体素子1のソース電極112にボンディングされている。第2ボンディング部622は、第2リード4の第2パッド部41の第2パッド主面41aの第2平滑領域411にボンディングされている。導通部材62を形成する工程においては、第1ボンディング部621および第2ボンディング部622の形成順序は何ら限定されない。導通部材62の形成は、たとえばウエッジボンディングによってなされる。
【0057】
〔樹脂部8〕
樹脂部8は、半導体素子1、第1リード2、第2リード3および第2リード4の一部ずつ、導通部材61および導通部材62を覆っている。樹脂部8は、電気絶縁性を有する熱硬化性の合成樹脂である。本実施形態においては、樹脂部8は、黒色のエポキシ樹脂であり、適宜フィラーが混入していてもよい。樹脂部8は、
図1~
図3、
図6、
図10および
図11に示すように、樹脂主面81、樹脂裏面82、樹脂端面83、樹脂端面84および一対の樹脂側面85を有している。
【0058】
樹脂主面81および樹脂裏面82は、z方向において、互いに反対側を向き、かつ、離間している。樹脂主面81は、素子主面1aと同じ方向を向き、樹脂裏面82は、素子裏面1bと同じ方向を向く。樹脂端面83、樹脂端面84および一対の樹脂側面85の各々は、樹脂主面81および樹脂裏面82に挟まれている。樹脂端面83は、y方向の一方側を向いている。樹脂端面84は、y方向の他方側を向いている。一対の樹脂側面85は、y方向の両側を向いている。
【0059】
本実施形態においては、樹脂裏面82から第1パッド裏面21bが露出している。また、樹脂端面83から延出部22、端子部32および端子部42が突出している。また、樹脂端面84から突出部23が突出している。
【0060】
次に、半導体装置A1の作用について説明する。
【0061】
本実施形態によれば、
図2~
図5および
図7~
図9に示すように、第1パッド部21に第1粗化領域212が形成され、第2パッド部31に第2粗化領域312が形成されている。第1粗化領域212および第2粗化領域312と樹脂部8とが、局所的な係合関係を構築することにより、第1パッド部21および第2パッド部31と樹脂部8との剥離等を抑制することができる。一方、半導体素子1は、第1平滑領域211に搭載されている。これにより、半導体素子1と第1パッド部21との接合強度の低下を回避することができる。また、導通部材61の第2ボンディング部612は、第2平滑領域311に接合されている。発明者の知見によれば、第2ボンディング部612は、より平滑な部位に接合することが、接合強度の向上に好ましい。また、第2パッド部41に第2平滑領域411および第2粗化領域412が設けられていることからも、同様の効果が期待できる。したがって、半導体装置A1の適切な動作を図りつつ、樹脂部8と第1リード2、第2リード3および第2リード4との密着性を向上させることができる。また、第2パッド部41に第2平滑領域411および第2粗化領域412が設けられていることからも、同様の効果が期待できる。
【0062】
図3に示すように、第1粗化領域212は、第1部2121を含む。これにより、第2パッド部31や第2パッド部41が配置されている側から、第1パッド部21と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。また、第1粗化領域212は、第2部2122を含む。これにより、第2パッド部31や第2パッド部41が配置されている側とは反対側、すなわち突出部23の側から、第1パッド部21と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。また、第1粗化領域212は、第3部2123を含む。これにより、x方向の外側から第1パッド部21と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。さらに、第1粗化領域212が第1パッド主面21aの端縁に到達している構成は、第1パッド部21と樹脂部8との剥離が生じることを回避するのに好ましい。
【0063】
図4に示すように、第2粗化領域312は、第1部3121を含む。これにより、第1パッド部21が配置されている側から、第2パッド部31と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。また、第2粗化領域312は、第2部3122を含む。これにより、第1パッド部21が配置されている側とは反対側、すなわち端子部32の側から、第2パッド部31と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。また、第2粗化領域312は、第3部3123を含む。これにより、x方向の外側から第2パッド部31と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。さらに、第2粗化領域312が第2パッド主面31aの端縁に到達している構成は、第2パッド部31と樹脂部8との剥離が生じることを回避するのに好ましい。
【0064】
図5に示すように、第2粗化領域412は、第1部4121を含む。これにより、第1パッド部21が配置されている側から、第2パッド部41と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。また、第2粗化領域412は、第2部4122を含む。これにより、第1パッド部21が配置されている側とは反対側、すなわち端子部42の側から、第2パッド部41と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。また、第2粗化領域412は、第3部4123を含む。これにより、x方向の外側から第2パッド部41と樹脂部8との剥離が生じることを回避することができる。さらに、第2粗化領域412が第2パッド主面41aの端縁に到達している構成は、第2パッド部41と樹脂部8との剥離が生じることを回避するのに好ましい。
【0065】
図3に示すように、第1平滑領域211は、めっき等が施されておらず、第1金属であるたとえばCuが露出した平滑な面である。これは、半導体素子1を導通接合材19によって接合するのに好ましい。
図3~
図5に示すように、第2平滑領域311および第2平滑領域411には、Ni等の第2金属がめっきによって設けられている。これにより、第2ボンディング部612や第2ボンディング部622の接合強度を高めることができる。
【0066】
図8に示すように、第1粗化領域212は、複数の微細突起212cを有する。これにより、第1パッド部21と樹脂部8との剥離防止効果をさらに高めることができる。また、発明者の知見によれば、Greenレーザを用いて第1粗化領域212を形成した場合に、複数の微細突起212cが生じやすい。
【0067】
図9に示すように、第2粗化領域312は、複数の微細突起312cを有する。これにより、第2パッド部31と樹脂部8との剥離防止効果をさらに高めることができる。また、発明者の知見によれば、Greenレーザを用いて第2粗化領域312を形成した場合に、複数の第2粗化領域312cが生じやすい。また、第1金属であるCu等にめっきによって第2金属であるNi等からなる金属層319を形成した後に、Greenレーザ等のレーザを用いた粗化処理を行っている。これにより、
図9に示すように、第1金属からなる凹部312aと、第2金属からなる凸部312bとが形成され、適切な粗化を行うことができる。
【0068】
また、複数の凹部312aは、第2リード3の第1金属であるCuが露出した領域である。一方、複数の凸部312bは、めっきによって形成された金属層319を構成する第2金属であり、たとえばNiによって構成されている。このように、凹部312aが、金属層319を貫通し、第1金属に到達した構成の場合、樹脂部8の剥離が、顕著に抑制される効果が、発明者の試験によって確認された。
【0069】
第1粗化領域212の粗さを第2粗化領域312および第2粗化領域412より粗くすることにより、第1パッド部21と樹脂部8との剥離をより確実に抑制することができる。たとえば、半導体素子1がパワー半導体チップである場合に、第1パッド部21においてより大きな温度変化が生じることがある。このような部位において、剥離防止をより確実に図ることは、好ましい。
【0070】
図13~
図21は、本開示の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0071】
<第1実施形態 第1変形例>
図13は、半導体装置A1の第1変形例の第2粗化領域312の一部をさらに拡大した断面図である。本変形例の半導体装置A11の第2粗化領域312は、半導体装置A1の第2粗化領域312と同様に、たとえばGreenレーザを用いて粗化されたものである。本変形例においては、複数の凹部312aは、金属層319内にとどまっている。すなわち、凹部312aにおいては、第2リード3の第1金属であるCuは露出していない。たとえば、金属層319の厚さが、3μm~6μmであり、第2粗化領域312の凹凸寸法(凹部312aの底部から凸部312bの頂部までの寸法)が、金属層319の厚さよりも小さく、たとえば、1μm~4μmである。
【0072】
また、本変形例においても、第2粗化領域312は、複数の微細突起312cを有する。
【0073】
本変形例によっても、半導体装置A11の適切な動作を図りつつ、樹脂部8と第1リード2、第2リード3および第2リード4との密着性を向上させることができる。また、本変形例から理解されるように、第2粗化領域312は、凹部312aにおいて第2リード3の第1金属が露出する場合に限定されず、第1金属が露出しない場合がありうる。このような構成であっても、凹部312aおよび凸部312bを有すること、および微細突起312cを有することにより、樹脂部8との密着を促進することができる。
【0074】
<第1実施形態 第2変形例>
図14は、半導体装置A1の第2変形例を示している。本例の半導体装置A12は、半導体素子1Aおよび導通部材63をさらに備えている。
【0075】
半導体素子1Aは、たとえばダイオードである。第1パッド部21の第1パッド主面21aは、2つの第1平滑領域211を有する。一方の第1平滑領域211に半導体素子1が搭載されており、他方の第1平滑領域211に半導体素子1Aが搭載されている。
【0076】
本変形例の第1粗化領域212は、第1部2121、第2部2122、一対の第3部2123に加えて第4部2124を有する。第4部2124は、y方向に延びた形状であり、第1部2121と第2部2122とに繋がっている。第4部2124は、2つの第1平滑領域211を互いに区画している。
【0077】
導通部材63は、第1ボンディング部631および第2ボンディング部632を有している。導通部材63の材質は特に限定されず、たとえばAuやAlおよびこれらの合金からなる。第1ボンディング部631は、半導体素子1Aの主面電極11Aに接合されている。第2ボンディング部632は、第2リード4の第2パッド主面41aの第2平滑領域411に接合されている。すなわち、本例においては、1つの第2粗化領域412に、第2ボンディング部622と第2ボンディング部632とが接合されている。
【0078】
このような変形例によっても、半導体装置A12の適切な動作を図りつつ、樹脂部8と第1リード2、第2リード3および第2リード4との密着性を向上させることができる。また、本変形例から理解されるように、本開示の半導体装置は、2つあるいは3つ以上の複数の半導体素子を備える構成であってもよい。また、本開示の第2粗化領域には、2つあるいは3つ以上の複数の導通部材が接合される構成であってもよい。
【0079】
<第1実施形態 第3変形例>
図15は、半導体装置A1の第3変形例を示している。本変形例の半導体装置A13は、半導体素子1の構成が上述の例と異なっている。本変形例の半導体装置A1は、たとえばダイオードである。
【0080】
本変形例の導通部材61および導通部材62は、第1ボンディング部611および第1ボンディング部621がいずれも主面電極11に接合されている。導通部材61および導通部材62は、いずれもがたとえばAlあるいはAl合金からなる。第2ボンディング部612は、第2平滑領域311に接合されており、第2ボンディング部622は、第2平滑領域411に接合されている。このような構成においては、第2リード3および第2リード4は、電気的に同電位の導通部材となる。
【0081】
このような変形例によっても、半導体装置A13の適切な動作を図りつつ、樹脂部8と第1リード2、第2リード3および第2リード4との密着性を向上させることができる。また、本変形例から理解されるように、本開示の半導体素子の種類は何ら限定されない。また、本開示の導通部材および第2リードは、半導体素子の構成等に応じて適宜設定される。
【0082】
<第2実施形態>
図16~
図20は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A2は、半導体素子1、第1リード2、第2リード3、第2リード4、導通部材61、複数の導通部材62および樹脂部8を備えている。
【0083】
図16は、半導体装置A2を示す斜視図である。
図17は、半導体装置A2を示す平面図である。
図18は、
図17のXVII-XVII線に沿う断面図である。
図19は、
図17のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
図20は、
図17のXIX-XIX線に沿う断面図である。
【0084】
半導体素子1は、たとえば半導体装置A1の半導体素子1と同様の構成であり、ゲート電極111およびソース電極112を含む複数の主面電極11とドレイン電極12とを有する。
【0085】
第1リード2は、第1パッド部21を有する。第1パッド部21の構成は、半導体装置A1の第1パッド部21と類似している。また、本実施形態の第1パッド部21には、係止部252、係止部253および係止部254が形成されている。係止部252、係止部253および係止部254は、係止部251と同様に樹脂部8による第1パッド部21の保持力を向上させるためのものである。係止部252と係止部253とは、y方向に並んで形成されている。係止部254は、第1パッド部21からy方向において第2リード3および第2リード4が位置する側に突出するように設けられている。
【0086】
第2リード3の第2パッド部31の形状は、半導体装置A1における第2パッド部31とは異なっている。また、本実施形態の第2平滑領域311は、y方向に対して傾いた方向に細長く延びた形状である。
【0087】
導通部材61の第1ボンディング部611は、半導体素子1のゲート電極111に接合されている。第2ボンディング部612は、第2平滑領域311に接合されている。本実施形態においては、第2ボンディング部612の長手方向と第2平滑領域311の長手方向とが略一致するように、第2ボンディング部612が第2平滑領域311に接合されている。導通部材61は、たとえばAuからなるワイヤである。
【0088】
本実施形態の第2リード4は、第2パッド部41と複数の端子部42と延出部43とを有する。
【0089】
本実施形態の第2パッド部41は、z方向に沿って視てx方向に長く延びた形状である。本実施形態の第2パッド主面41aは、複数の第2平滑領域411と第2粗化領域412とを有する。複数の第2平滑領域411は、各々がy方向を長手方向とする長矩形状であり、x方向に互いに離間配置されている。隣接する第2平滑領域411の間には、第2粗化領域412の一部が配置されている。
【0090】
複数の端子部42は、第2パッド部41からy方向に延出しており、x方向に互いに離間配置されている。延出部43は、第2パッド部41からx方向に延出しており、x方向において2つの端子部42の間に配置されている。
【0091】
複数の導通部材62は、各々の第1ボンディング部621が、半導体素子1のソース電極112に接合されている。複数の導通部材62の第2ボンディング部622は、複数の第2平滑領域411に個別に接合されている。第2ボンディング部622の長手方向と第2平滑領域411の長手方向とは、互いに略一致しており、略y方向に沿っている。
【0092】
本実施形態の樹脂部8は、2つの凹部851を有する。凹部851は、樹脂主面81および一対の樹脂側面85から凹んだ部位である。
【0093】
本実施形態によっても、半導体装置A2の適切な動作を図りつつ、樹脂部8と第1リード2、第2リード3および第2リード4との密着性を向上させることができる。また、複数の導通部材62が、1つのソース電極112(主面電極11)に接合される構成であってもよい。また、複数の導通部材62の第2ボンディング部622が、1つの第2パッド部41に設けられた複数の第2平滑領域411に個別に接合された構成であってもよい。
【0094】
<第2実施形態 第1変形例>
図21は、半導体装置A2の第1変形例を示している。本実施形態の半導体装置A21は、半導体素子1、第1リード2、第2リード3、第2リード4、第2リード5、導通部材61、複数の導通部材62、導通部材63および樹脂部8を備える。
【0095】
本実施形態においては、半導体素子1の複数の主面電極11が、ゲート電極111、ソース電極112およびソースセンス電極113を含んでいる。
【0096】
ソースセンス電極113は、たとえばゲート電極111と同様の形状および大きさとされており、ゲート電極111とともにx方向に並んで配置されている。
【0097】
第2リード4は、第2リード3に対してx方向に離間して配置されており、第2パッド部41、複数の端子部42および延出部43を有する。
【0098】
第2リード5は、第2リード3(および第2リード4)と類似の構成である。本実施形態においては、第2リード5は、x方向において第2リード3と第2リード4との間に配置されている。第2リード5は、第2パッド部51および端子部52を有する。第2パッド部51および端子部52の構成は、第2パッド部41および端子部42と類似している。また、第2パッド部51には、第2平滑領域511および第2粗化領域512が設けられている。第2平滑領域511および第2粗化領域512の構成は、たとえば第2平滑領域411および第2粗化領域412と類似している。
【0099】
導通部材61は、第1ボンディング部611がゲート電極111に接合されており、第2ボンディング部612が第2平滑領域311に接合されている。複数の導通部材62は、第1ボンディング部621がソース電極112に接合されており、第2ボンディング部622がフクスの第2平滑領域411に個別に接合されている。導通部材63は、第1ボンディング部631および第2ボンディング部632を有する。導通部材63の構成は、たとえば導通部材61と類似している。第1ボンディング部611は、ソースセンス電極113に接合されており、第2ボンディング部632は、第2平滑領域511に接合されている。
【0100】
本変形例によっても、半導体装置A21の適切な動作を図りつつ、樹脂部8と第1リード2、第2リード3、第2リード4および第2リード5との密着性を向上させることができる。また、本実施形態から理解されるように複数の主面電極11の構成は何ら限定されない。また、複数の主面電極11の構成に応じて、第2リード3および第2リード4に加えて第2リード5等の別の第2リードをさらに備える構成であってもよい。
【0101】
本開示に係る半導体装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係る半導体装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0102】
〔付記1〕
第1方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面を有する半導体素子と、
前記半導体素子が搭載された第1パッド部を有する第1リードと、
前記第1方向と直角である第2方向において前記第1パッド部と並んで配置された第2パッド部を有する第2リードと、
前記半導体素子に接合された第1ボンディング部および前記第2パッド部に接合された第2ボンディング部を有する導通部材と、
前記半導体素子、前記導通部材、前記第1パッド部および前記第2パッド部を覆う樹脂部と、を備えており、
前記第1パッド部は、前記素子裏面が接合された第1平滑領域および前記第1方向に沿って視て前記半導体素子から離れており且つ前記第1平滑領域よりも粗い領域である第1粗化領域を含む第1パッド主面を有し、
前記第2パッド部は、前記第2ボンディング部が接合された第2平滑領域および前記第1方向に沿って視て前記第2ボンディング部から離れており且つ前記第2平滑領域よりも粗い領域である第2粗化領域を含む第2パッド主面を有する、半導体装置。
〔付記2〕
前記第1粗化領域は、前記第1平滑領域に対して前記第2パッド部側に位置する第1部を含む、付記1に記載の半導体装置。
〔付記3〕
前記第1粗化領域は、前記第1平滑領域に対して前記第2パッド部とは反対側に位置する第2部を含む、付記1または2に記載の半導体装置。
〔付記4〕
前記第1粗化領域は、前記第1方向および前記第2方向と直角である第3方向において前記第1平滑領域に隣接する第3部を含む、付記1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記5〕
前記第2粗化領域は、前記第2平滑領域に対して前記第1パッド部側に位置する第1部を含む、付記1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記6〕
前記第2粗化領域は、前記第2平滑領域に対して前記第1パッド部とは反対側に位置する第2部を含む、付記1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記7〕
前記第2粗化領域は、前記第1方向および前記第2方向と直角である第3方向において前記第2平滑領域に隣接する第3部を含む、付記1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記8〕
前記第1パッド部は、第1金属を含み、
前記第1パッド主面は、前記第1金属からなる、付記1ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記9〕
前記第2パッド部は、第2金属と、前記第2金属の表面に設けられた第3金属とを含む、付記8に記載の半導体装置。
〔付記10〕
前記第2平滑領域は、前記第3金属からなる、付記9に記載の半導体装置。
〔付記11〕
前記第2粗化領域は、前記第2金属からなる複数の凹部と、各々が隣り合う前記凹部の間に位置し且つ前記第3金属からなる複数の凸部と、を含む、付記10に記載の半導体装置。
〔付記12〕
前記第1粗化領域は、前記第2粗化領域よりも粗い、付記1ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記13〕
前記第2パッド主面は、前記第1方向において前記第1パッド主面よりも前記第1パッド主面が向く側に位置している、付記1ないし12のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記14〕
前記第2パッド主面は、前記第1方向において前記素子主面よりも前記素子主面が向く側に位置している、付記13に記載の半導体装置。
〔付記15〕
前記第1リードは、前記第1方向において前記第1パッド主面とは反対側を向き且つ前記樹脂部から露出する第1パッド裏面を有する、付記1ないし14のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記16〕
前記第2リードは、前記樹脂部から前記第2方向に突出する端子部を有する、付記1ないし15のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記17〕
前記半導体素子は、前記素子主面に配置されたゲート電極およびソース電極と、前記素子裏面に配置されたドレイン電極と、を有し、
前記導通部材の前記第1ボンディング部は、前記ゲート電極および前記ソース電極の少なくともいずれかに接合されており、
前記ドレイン電極は、前記第1平滑領域に導通接合されている、付記1ないし16のいずれかに記載の半導体装置。