(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-12
(45)【発行日】2024-12-20
(54)【発明の名称】加熱チャンバ
(51)【国際特許分類】
B21D 26/049 20110101AFI20241213BHJP
B21D 22/26 20060101ALI20241213BHJP
A24F 40/70 20200101ALI20241213BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241213BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241213BHJP
【FI】
B21D26/049
B21D22/26 C
A24F40/70
A24F40/20
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022513929
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2020074147
(87)【国際公開番号】W WO2021043690
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-13
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】リーベル,トニー
(72)【発明者】
【氏名】コバルチク,ヤツェク
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503499(JP,A)
【文献】特開2000-094053(JP,A)
【文献】特表2003-535447(JP,A)
【文献】特表2019-505195(JP,A)
【文献】特開2001-259753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 22/00 - 26/14
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成装置の加熱チャンバの製造方法であって、
開放端及び反対側の閉鎖端を有する管状側壁であって厚さが0.15mmを超えない管状側壁を含む金属管状部材を設けるステップと、
前記管状部材を管状金型であって内面が少なくとも1個の突起又は窪みを有する整形断面を有する管状金型に挿入するステップと、
前記管状部材の開放端を封止するステップと、
前記管状部材を自身が挿入された前記管状金型の整形断面に沿うように外向きに変形させるべく圧力下で液体を前記管状部材に注入するステップを含む方法。
【請求項2】
前記管状金型の整形断面が前記金型の内面に環状溝を含み、前記環状溝が、前記液体の注入後に前記管状部材が環状フランジを含むように、前記管状金型の周縁に沿って延在している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記管状金型が、
円筒状本体を含み、前記環状溝が前記円筒状本体の残りの部分よりも大きい内径を有する前記円筒状本体の長さ方向の一切片により形成されていることにより、
前記環状フランジが、前記管状部材の長さ方向の残りの部分よりも大きい直径を有する管状部材の長さに対応する切片を含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
長さが短縮された管状部材に開放端で環状カラーを設けるべく前記環状フランジを貫通して前記管状部材を切断するステップを更に含んでいる、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記管状部材の開放端の周囲に平坦な周縁リップを設けるべく前記環状フランジを切断するステップを更に含んでいる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記管状部材の内面に1個以上の内向きに延在する突起を設けるべく圧力下で液体が前記管状部材に注入されるに従い、前記管状部材の外面に内向きの圧力を加えるステップを更に含んでいる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
内向きの圧力を加えるステップが、
圧力下で液体が前記管状部材に注入されるに従い、前記管状部材の内面の長さ方向に伸びる複数の対応する長細い突起を、前記突起が前記管状部材の周縁に沿って配置されるように設けるべく、複数の長細い隆起部を前記管状部材の外面に押し付けるステップを含んでいる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記内向きに加えられる圧力が前記管状金型の1個以上の可動部分により提供され、
1個以上の内向きに延在する突起が、前記管状部材が前記管状金型に挿入されて圧力下で液体が注入される際に前記管状金型の1個以上の可動部分により内向きの圧力を加えることにより設けられる、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記管状金型が、前記管状金型の長さ方向に沿って異なる位置に配置された第1の可動部分と第2の可動部分を含み、前記方法が更に、
前記管状部材の内面の長さ方向に伸びる複数の長細い突起を設けるべく前記第1の可動
部分により内向きの圧力を加えるステップと、
前記管状部材の内面周縁に沿って周期的に配置された複数の点突起を設けるべく
前記第2の可動
部分により内向きの圧力を加えるステップを含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記管状部材を設けるステップが、
金属無地円盤を設けるべく金属シートを穿孔するステップと、
開放端及び閉鎖端を有する前記管状部材を形成すべく前記金属無地円盤を深絞りするステップを含んでいる、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属無地円盤の深絞りが、
前記金属無地円盤を初期金属カップに形成するステップと、
真空又は不活性ガス下で焼きなますステップと、
前記初期金属カップを、薄い管状壁厚を有する長細い管状カップに深絞りするステップを含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
深絞りが、側壁の厚さが0.05~0.1mm、より好適には0.07~0.09mmである管状壁を有する管状部材を設けるべく前記金属無地円盤から実行される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
深絞りが、8mm未満の内径が及び30mm超の長さを有する管状部材を設けるべく実行される、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記金属シートが0.2~0.6mmの厚さを有し、前記深絞りが、閉鎖端での基部壁の厚さが0.2~0.6mmである管状カップを設けるべく実行される、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の方法により製造されたエアロゾル生成装置の加熱チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱チャンバの製造方法に関し、特にエアロゾル生成装置の加熱チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱チャンバは、一般に熱を蓄積し、加熱対象物質へ熱を伝導する手段を必要とする広範な用途に用いられる。そのような用途の一つは、電子タバコ及びタバコ蒸気製品を含む、低リスクのニコチン提供製品等のエアロゾル生成装置の分野に含まれる。このような装置は、加熱チャンバ内の消耗品形式のエアロゾル生成物質を加熱してユーザーが吸入する蒸気を生成する。
【0003】
加熱チャンバは一般に、消耗品を保持する内部体積及び消耗品を受容する開口部を画定する熱伝導筐体又は外殻を含んでいる。内部又は外部のヒーターを用いて上昇した温度を加熱チャンバに提供することができる。最も一般的に、このような加熱チャンバは外側から加熱され、熱伝導外殻が内部体積に熱を伝導している。このような加熱チャンバを加熱する一つの手段は、チャンバ内に受容される消耗品の効率的な加熱を保証すべく加熱チャンバの表面に沿う薄膜ヒーターを用いるものである。
【0004】
加熱チャンバは多くの場合、特定の種類の消耗品を受容すべく特定の形状に形成する必要がある。加熱チャンバの内面はまた、消耗品を保持して消耗品に効率的に熱を伝導すべく特定の断面形状をなすことが必要な場合がある。このような加熱チャンバを製造する公知の方法における一つの問題は、最適な熱伝導を保証すべく加熱チャンバの壁の厚さを制御しながら、加熱チャンバの特定の形状を精密に制御するのが困難なことである。特に、加熱チャンバを製造する公知の方法は、加熱チャンバを通して良好に熱伝導する薄いチャンバ壁と設けると共に、加熱チャンバの形状を高い精度で制御することの両方を行うことはできない。特に、形成されたチャンバを損傷させるか又は弱点を生じることなく必要に応じて薄い金属シートを成形することは困難である。公知の方法はまた、加熱チャンバの断面形状に設けることができる形状の複雑さが制約され、これにより特定の用途向けに最適化可能な程度が制約される。
【0005】
本発明は、上述の問題への対処の仕方を発展させて、加熱チャンバを特定用途に最適化すべく正確に整形可能にしながら消耗品への熱伝導を最適化するのに必要な厚さの加熱チャンバを提供可能な加熱チャンバの製造方法を提供することを意図している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル生成装置の加熱チャンバの製造方法を提供し、本方法は、開放端及び閉鎖端を有する管状側壁であって厚さが0.15mm以下の管状側壁を含む金属管状部材を設けるステップと、管状部材を管状金型であって内面が少なくとも1個の突起又は窪みを有する整形断面を有する管状金型に挿入するステップと、管状部材の開放端を封止するステップと、管状部材を自身が挿入された管状金型の整形断面に沿うように外向きに変形させるべく圧力下で液体を管状部材に注入するステップを含んでいる。管状部材の整形に液圧を用いることにより、使用中に消耗品への効率的な熱伝導を実現すべくチャンバ壁の厚さを0.15mm未満に維持しながら、必要とされる側面形状を高い精度で管状部材に転写することができる。更に、本発明の方法により、公知の方法では実現が困難な、より複雑な断面形状を加熱要素に転写することができる。液圧及び管状金型を用いることにより、はるかに広範な表面形状を管状部材に転写できる。
【0007】
管状部材を管状金型に挿入し、圧力下で液体を管状部材に注入して管状部材を外向きに変形させるステップを以下の開示において包括的に液圧成形ステップと称する場合がある。
【0008】
金属管状部材は好適にはステンレス鋼を含んでいる。管状側壁の厚さは、より好適には、0.1mm以下、又はより好適には0.07~0.09mmの間である。これにより、充分な構造安定性を維持しながら、加熱チャンバの側壁を通して消耗品への効率的な熱伝導が可能になる。管状部材は開放端の反対側に閉鎖端を有し、好適には閉鎖端の厚さが0.2~0.6mmであって加熱チャンバに更なる構造的剛性を与える。可能な実施形態において、液体注入ステップの後で管状部材を長さ方向に垂直に切断して、管状部材の両端に開口部を有する加熱チャンバを必要とする用途向けに2個の開放端を設ける。
【0009】
液圧は好適には圧力が最高250バールの注入水により提供される。使用する特定の圧力は、転写する特定の材料、厚さ及び形状に依存する。加える圧力は、液圧成形工程中に変化し得る。必要とされる圧力は、新物質探索の定常的実験又はシミュレーションを通じて決定することができる。
【0010】
管状金型は好適には、液体の注入中は互いに固定され、整形された管状部材を開放すべく分離可能な2個以上の部分として提供される。
【0011】
好適には、管状金型の整形断面は金型の内面に環状溝を含み、環状溝は、液体の注入後に管状部材が環状フランジを含むように、管状金型の周縁に沿って延在している。このように、精密に制御された寸法を環状フランジに与えることができる。環状フランジを用いて、加熱チャンバを精密且つ高い信頼性で装置内に装着することができる。
【0012】
好適には、環状溝は管状金型の内面の周囲に周縁チャネルを設けるべく管状金型に沿って延在している。換言すれば、溝は管状部材の長手軸に対応する方向に実質的な幅、例えば1mm超、好適には3mm超の幅を有していてよい。溝の断面形状は、ほぼ長方形、正方形、又は台形であってよい。
【0013】
好適には、管状金型は管状、好適には円筒状の本体を含んでいてよい。特に好適な例において、環状溝は、管状本体の残りの部分よりも大きい内径を有する管状本体の長さ方向の切片により形成されることで、環状フランジが管状部材の長さ方向の残りの部分よりも大きい直径を有する管状部材の長さに対応する切片を含むようになる。換言すれば、管状金型の内面の溝は、適切に管状本体の内面に略垂直な溝の側壁の長さにより画定される深さを有している。好適には、環状溝の側壁は、管状本体の内面に略垂直な基面により結合されている。このように、管状金型の環状溝及び管状部材の環状フランジは共にほぼ長方形の断面形状を有している。この形状は特に、管状部材の更なる加工、及び装置内での装着に有利である。例えば、これは環状フランジの引き続き切断することにより円筒状リップを直接的な仕方で形成できるようにする。
【0014】
本方法は更に、長さが短縮された管状部材の開放端に環状カラーを設けるべく環状フランジを貫通して管状部材を切断するステップを含んでいてよい。特に、管状部材は、環状フランジを貫通して管状部材をその断面に沿って、すなわち長手軸にほぼ垂直に切断することにより切り詰めることができる。開放端周囲の環状カラーは特に、装置内に加熱チャンバを装着するのに役立つ。環状カラーを再び切断して、開放端周囲に周縁平面リップを設けられていてよい。特に、環状カラーは、残りのリップがほぼ平坦且つ管の長さ方向に沿って極端に延在しないように、長手軸と略平行な方向に環状カラーを切断することにより、半径方向の長さを短縮することができる。換言すれば、環状カラーを修正して周縁平坦リップを設けることができる。代替的な一方法において、環状フランジを1ステップで切断して周縁リップを形成してもよい。周縁平坦リップは、特に装置内に加熱チャンバを精密且つ確実に装着するのに有利である。用語「リップ」は、ほぼ平坦な、すなわち管状部材の厚さに対応する深さを管状軸の方向に有している環状延在部を指すのに用いられる。用語「カラー」を用いて、管状軸の方向により深い、開口部に沿う環状延在部を指す。
【0015】
本方法は好適には更に、管状部材の外面に内向きの圧力を印加して管状部材の内面に1個以上の内向きに延在する突起を設けるステップを含んでいる。これは押圧部材を用いて外面に圧力を加えることにより実行でき、内向きの圧力は液体の注入中に、又は液圧による鋳造前後の別個の工程で加えることができる。例えば、形成されて液体注入ステップの実行中に整形された管状部材は、例えば形成具及び外部から加える圧力により、管状部材の内面に1個以上の内向きに延在する突起を生成すべく内側で支持されていてよい。
【0016】
本方法は好適には、管状部材の内面に1個以上の内向きに延在する突起を設けるべく圧力下で液体が管状部材に注入されるに従い、管状部材の外面に内向きの圧力を加えるステップを含んでいる。このように、管状部材の表面に正負の表面特徴を同一加工ステップで設けることができる、すなわち突起と窪みが共に管状部材の外面にあってよい(その結果管状部材の内面に対応する特徴が生成される)。内向きの圧力を提供しながら液体を注入することにより、表面特徴をより高い精度で管状部材に設けることができる。特に、管状部材の内面の領域に液圧を、押圧部材が当該領域の外面を押圧しているのと同程度の圧力で加えることにより、液圧の適用下で管状部材の壁を押圧部材の形状に更に密接に沿わせることができる。これにより表面特徴に例えば0.1~0.2mmの半径の高い幾何学的精度を与えることができる。
【0017】
1個以上の内向きに延在する突起を設けるべく内向きの圧力を加える場合、これは管状部材の内面の長さ方向に延在する複数の対応する長細い突起を、当該突起が管状部材の周縁に沿って配置されるように設けるべく複数の長細い隆起部を管状部材の外面に押し付けることにより実現できる。長細い隆起部は、圧力下で液体が管状部材に注入されるに従い、管状部材の側壁が長細い隆起部の形状により密接に沿うように外面に押し付けられてよい。長細い隆起部は好適には、管状部材の長手軸に整列しており、管状部材の内面の長さの中央部に沿って伸びる長細い突起を設けるべく構成されていてよい。長細い突起は、管状部材の基部から間隔を空けられ、且つ管状部材の開放端から間隔を空けられていてよい。長細い隆起部は、管状部材の長さの約3分の1にわたり伸びていてよい。複数の長細い隆起部が管状金型の内面に設けられていてよい。
【0018】
管状部材の外面に内向きの圧力を加えるステップは、追加的に、又は代替的に、1個以上の接触点に圧力を加えて管状部材の内面に1個以上の点突起を設けるステップを含んでいてよい。点突起は、管状部材の内面周縁に沿って周期的に配置された複数の凸部を含んでいてよい。点突起は、この領域での熱伝導を制限しながら、加熱チャンバ内での基板保持部の把持性を向上させるべく構成されていてよい。各点突起は、丸められた突起、例えば部分球面突起を含んでいてよい。点突起の半径は0.05mm~0.25mm、好適には0.1~0.2mmの間であってよい。本方法では他の形状の突起、例えば先端を切ったピラミッド状の突起等を形成することもできる。
【0019】
好適には、内向きに加えられる圧力は管状金型の1個以上の可動部分により提供され、1個以上の内向きに延在する突起は、管状部材が管状金型内に挿入されて圧力下で液体が注入される際に管状金型の1個以上可動部分により内向きの圧力を加えることにより設けられる。好適には、管状金型の可動部分は、初期状態で管状部材の外面と接触しており、圧力下で液体が注入されるに従い外面に対して半径方向内向きに移動して圧力を加える。
【0020】
管状金型は複数の可動部分を含んでいてよい。1個以上の可動部分は、内向きに延在する異なる形式の突起を設けるべく構成されていてよい。可動部分は、異なる形式の内向きに延在する突起を同時に又は順次設けるべく一緒に及び/又は独立に移動可能であってよい。
【0021】
本発明の一実施形態において、管状金型は、管状部材の内面の長さ方向に伸びる複数の長細い突起を設けるべく構成された第1の可動部分と、管状部材の内面周縁に沿って配置された複数の点突起を設けるべく構成された第2の可動部分を含み、第1及び第2の可動部分は管状金型に沿って異なる位置に配置されている。第1及び第2の可動部分は同時に及び/又は順次圧力を加えるべく構成されていてよい。
【0022】
管状金型は、内向きに延在する突起の異なる進入深さを加熱キャビティに設けるべく構成されていてよい。特に、可動部分は、形成された点突起が進入する深さが、形成された長細い突起が進入する深さよりも比較的小さくなるように大きさを設定することができる。これには、把持が必要な消耗品の堅い領域で過剰な制約無しに効率的な把持を提供する利点がある。
【0023】
内向きに加えられる圧力が好適に提供されるのは、1個以上の内向きの突起及び環状フランジが同時に形成されるように管状部材が管状金型内に挿入されて圧力下で液体が注入された場合であり、これにより加熱チャンバの最終形状が1ステップで形成される効率的な方法を提供する。
【0024】
管状部材は、金属シートを穿孔して金属無地円盤を設け、金属無地円盤を深絞りして開放端及び閉鎖端を有する管状カップを形成することにより設けることができる。深絞りは、金属無地円盤を漸進的に絞って管状カップの長さを伸ばすと共に側壁の厚さを薄くする多段深絞り工程を用いるステップを含んでいてよい。油剤又は石鹸を潤滑剤として用いてよい。本方法は更に、深絞りの実行中及び/又は終了後に管状部材1回以上焼きなますステップを含んでいてよい。
【0025】
方法は好適には、金属無地円盤を初期カップ形状に形成し、真空又は不活性ガスの下で焼きなまし、管状壁厚を薄くしながら初期カップ形状を長細い管状カップに深絞りするステップを含んでいる。深絞り工程は、管状カップにしごき加工を施して壁厚を薄くするステップを含んでいてよい。初期深絞り中の金属の塑性変形により金属が固くなって金属の更なる加工が困難になり得るため、中間焼きなましステップにより初期カップ形状の部材を深絞りして管状壁厚を薄くしながら長さを長くすることができる。更なる焼きなましステップを、管状部材を柔らかくして液圧成形中の鋳造が容易になるように液圧成形ステップ(圧力下での液体の注入)の前に実行することができる。
【0026】
初期金属カップの初期形成は、多段押圧を用いて金属細片から丸められたプレートに切り取り、次いで小型カップに形成することにより実行することができる。初期小型カップは浅く、従ってしごき加工を用いて壁厚を必要な範囲内まで薄くすることにより、必要とされる長さ(好適には中間焼きなましステップの後)まで数ステップで深絞りされる。
【0027】
焼きなましは低圧真空炉内で例えば10-2~10-4mbarの圧力で、又は不活性ガス炉内で行われてよい。下げられた圧力又は不活性ガスは管状カップの表面を酸化から保護する。
【0028】
好適には、深絞り工程は、内径が10mm未満、好適には8mm未満、及び長さが30mm超の管状カップを形成すべく実行される。深絞りにより、長さが50mm超、例えば最大65mmの管状部材を設けることができる。液圧成形ステップの後、管を切断して長さが20~40mm、好適には25~35mmの形成された管状部材を設けることができる。
【0029】
好適には深絞りは金属無地円盤から実行されて、側壁の厚さが0.05~0.1mm、より好適には0.07~0.09mmである管状壁を有する管状カップを設ける。これらの範囲内の側壁厚により、使用中にチャンバを通して消耗品まで効率的な熱伝導を行うと共に、精密に内向きに延在する突起により後続の液圧成形が可能になる。
【0030】
深絞りを実行して、厚さが0.2~0.6mm、好適には0.4mmである管状カップの下壁を設けることができる。特に、金属シートの厚さは0.2~0.6mm、好適には0.4mmであり、深絞り工程は管状部材の基部としてこの厚さを維持する。側壁に対して厚さが増大した閉鎖端を設けることにより、側壁の厚さが薄くなったことによりもたらされる最適な熱伝導特性を維持しながら、加熱チャンバの機械的強度が増大している。
【0031】
好適には、深絞り工程は、閉鎖端の外面に中央窪みを含む管状部材を設ける。特に、窪みは、金属無地円盤の初期刻印中に形成されてよい。閉鎖端の中央窪みは好適には管状部材の内側基部表面に対応する突起を設ける。閉鎖端の中央窪みは装置内への加熱チャンバの装着に役立ち得る。更に、装置内への消耗品の挿入深さの制御に役立ち得る。例えば、エアロゾル生成装置で使用される場合に、消耗品が挿入された際に更なる挿入を制限する内側基部表面の突起に当接する。この構成において、チャンバ内の空気は、中央突起周辺の空間内で消耗品の終端内に流入することができる。中央突起は更に、使用中に突起と接触している消耗品の終端に熱を伝導するのに役立ち得る。
【0032】
本方法は更に、管状部材の外面に薄膜ヒーターを巻き付けるステップを含んでいてよい。本方法は更に、加熱チャンバの外面の窪み内部に温度センサを少なくとも部分的に配置するステップを含んでいてよい。
【0033】
本発明の更なる態様において、任意の先行請求項に記載の方法により製造されるエアロゾル生成装置の加熱チャンバを提供する。特に、エアロゾル生成装置は、加熱チャンバ、加熱チャンバに巻き付けられた薄膜ヒーター、加熱チャンバを加熱すべく薄膜ヒーターに制御可能に電力を供給すべく構成された電力源及び制御回路を含んでいてよい。加熱チャンバは、エアロゾル生成装置内の対応する窪みに受容される加熱チャンバの周縁リップにより装置に装着されていてよい。
【0034】
本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら、例示目的のみで記述する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A-1D】本発明によるエアロゾル生成装置の加熱チャンバの製造方法を模式的に示す。
【
図2】本発明により製造された加熱チャンバを模式的に示す。
【
図3】深絞り用に金属無地円盤を形成する方法を模式的に示す。
【
図4】本発明による金属管状部材を形成する方法を模式的に示す。
【
図5】本発明による方法を用いて製造された加熱チャンバを組み込んだエアロゾル生成装置を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に、エアロゾル生成装置の加熱されたチャンバ100の製造方法を模式的に示す。本方法は、
図1Aに示すように、開放端12及び反対側の閉鎖端13を有する管状側壁11を有する管状部材である金属管状部材10を設けるステップを含んでいる。管状部材10の管状側壁11は0.15mm以下の側壁厚さ11tを有している。管状部材10は、少なくとも1個の突起又は窪み22を有する整形断面を示す内面21を含む管状金型20に挿入される。管状金型の開放端12は次いで封止されて
図1Bに示すように圧力下で液体Fが注入され、被せられた管状金型20の整形断面21に沿うように管状部材10を外向きに変形させる。本発明による方法は、薄くなった側壁11の厚さ11tを維持しながら、精密に制御された整形後の断面を有するように整形された加熱チャンバ100を形成できるようにする。加熱チャンバ100の形状及び側壁厚さ11tを高い精度で制御することにより、チャンバ100を通る熱伝導が最適化されて、エアロゾル生成装置に用いられた場合にチャンバ100に受容された消耗品の加熱性が確実に向上する。更に、加熱チャンバ10側壁11整形の精密な制御により、加熱チャンバ10をエアロゾル生成装置内に精密且つ高い精度で装着することができる。
【0037】
図1の例において、金属管状部材10は、1個の開放端12及び閉鎖端13を有する管状カップの形式である。管状部材10は、閉鎖端25及び開放端24、並びに約0.1mmの側壁厚さ11tを有するほぼ円筒状本体を含んでいる。
図1A及び1Bに示すように、管状部材10は、管状部材10の閉鎖端13が管状金型20の閉鎖端25に当接するように管状金型20に挿入される。管状金型20は、管状部材10の外面に転写される整形断面が設けられた内面21を有している。
図1の例において、整形断面は、管状金型20の内面21の周縁に沿って伸びている環状溝22を含んでいる。
【0038】
図1A及び1Bに示すように液体の注入ノズル32が管状部材10の開放端12に挿入され、
図1Bに示すように管状ノズル32の周囲の開放端24がシール31により封止され、圧力下で液体Fが注入される。シール31は好適には管状部材の開放端12内に配置されていて、
図1A及び1Bに示すように、管状部材をシール31にきつく押圧する外部クランプ要素33等により所定位置に締め付けられる。この液体の注入工程は、管状部材10に水を注入して管状部材10の内面に圧力を加えて管状金型20の内面21の整形断面になるよう外向きに変形させることにより実行することができる。加える圧力は最高250バールであってよく、工程の特定の要件、例えば管状部材10の材料及び厚さ並びに管状部材10に適用する形状に応じて加える特定の圧力が選択される。
【0039】
上述のように、管状金型20は、金型の内面21の周縁に沿って設けられた環状溝22を有するほぼ円筒状本体を含んでいる。このように、管状部材10は加えられた液圧Fの下で外向きに変形して環状溝22になって、管状部材10の周縁に沿う環状フランジ14を設ける。本例では、管状金型20は、円筒状本体の残りの部分の直径D1よりも大きい内径D2を有する円筒状本体の長さの切片22Lにより形成された環状溝22を有している。このように、環状フランジ14は、管状部材10の残りの部分の長さのよりも大きい直径を有する管状部材10の長さに対応する切片を含んでいる。環状溝14は、金型20の長手軸に略垂直な方向に金型の管状本体から遠方に延在して金型20の長手軸と略平行な表面により接合されている2個の周縁側壁22aにより形成されたほぼ長方形の側面を有している。
【0040】
高圧液体Fが管状部材10に注入された後、
図1Cに示すように管状部材が整形されて対応する環状フランジ14が設けられ、その寸法は金型20の環状溝22の内面に対応している。特に、管状部材10は、円筒状本体の残りの部分よりも大きい直径を有する管状部材10の長さ14Lの一部により形成された、正方形に整形された断面を有する環状突起を有している。
【0041】
図1Dに示す整形された加熱チャンバ100を形成する管状部材10の外面11に追加的な表面特徴17、19を設ける更なるステップが本方法に含まれている。特に、管状部材10の内面に1個以上の内向きに延在する突起17、19を設けるべく管状部材10に液体が注入されるに従い、管状部材10の外面に内向きの圧力Pを加えることができる。これらの突起17、19は、ノズル32による液体Fの注入中又は後に圧力Pを加えることにより、多くの異なる仕方で設けることができる。
図1に、管状金型20の可動部分23a、23bを用いて内部突起17、19を設けるための特に好適な手段を示す。
【0042】
図1A及び1Bに模式的に示すように、管状金型20は、管状部材10の表面に表面特徴17、19を設けるべく、液圧成形工程実行中に管状部材10の外面に対して半径方向内向きに圧力P
1、P
2を加えるべく各々が構成されている第1の可動部分23a及び第2の可動部分23bを含んでいる。可動部分23a及び23bは液体注入ステップの実行中に管状部材外面に当接して配置されていて、管状金型10に表面特徴17、19を転写すべく内向きに動かされる。管状部材への液体の注入中に圧力P
1、P
2を加えることで、突起17、19を、圧力Pを加える可動要素23a、23bの整形後の内面に沿って高い精度で成形することができる。いくつかの例において、ノズル32により液体Fを特に圧力が加えられる領域の周囲に向けることができるため、突起17、19を精密に整形すべく管状部材10の外面がプレス23の形状に密接に沿うように促なる。いくつかの例において、例えば特定の直径を有するノズルを選択することにより、圧力を変化させることができる。液体の注入工程のパラメータを制御することにより、半径が極めて短い丸められた表面特徴、及び幅が狭い突起を設けることができる。従って
図1に示す液圧成形技術により、突起17、19を狭い側壁厚さ11t及び高い幾何学的精度で形成して、エアロゾル生成装置に用いられる場合、加熱チャンバ100を通る熱伝導を向上させることができる。
【0043】
図1の例において、第1の可動型部23a(複数要素の可動部分を含んでいてよい)は、可動型部23aの内面周縁に沿って周期的に配置された複数の長細い隆起部であって管状部材10の長手軸に整列している隆起部の形式の内面特徴を含んでいる。第1の可動型部23aは、
図1Bに示すように、液体注入ステップの実行中に圧力P
1を加えるべく移動可能である。液体注入ステップの後、第1の可動型部23aは従って、
図1Cに示すように、管状部材10の内面に沿って長さ方向に伸びる、対応する長細い突起17を設ける。複数のこのような突起17が管状部材10の内面周縁に沿って配置されている。長細い突起17は、整形された加熱チャンバ100をエアロゾル生成装置に用いる際に以下により詳細に述べるように、チャンバ内に収容される消耗品の挿入深さの制限、突起間への空気流の提供、消耗品への熱伝導の向上を含む多くの機能を提供する。
【0044】
図1の管状金型20はまた、金型の管状軸に沿って第1の可動型部23aから離れていて、且つ環状窪み22の近くに配置された第2の可動型部23bも含んでいる。第2の可動型部23bは、管状部材の内面周縁に沿って配置された複数の丸められた点突起19を設けるべく整形された内側押圧面を有している。第2の可動型部23b(例えば各々が単一の突起を設けるべく構成された複数の可動部分を含んでいてよい)は特に、金型部23bの周縁に沿って周期的に配列された、複数の丸められた凸部を含む押圧面を有している。第2の可動型部23bは、
図1Cに示す突起19を設けるべく液体の注入中に管状部材10の外面に圧力P
2を加えるべく構成されている。環状フランジ14に隣接する突起19が、追加的な把持、及びチャンバ100内に受容された消耗品の位置決めを行う。
【0045】
金型23a、23bの可動部分を用いて、環状フランジ14と同時に内向きの突起17、19が形成されるように、液体の注入中に対応する圧力P1、P2を加えることができる。代替的に、環状フランジ14内の初期形成の後で圧力Pを適用してもよく、別個の成形ステップにおいて、圧力Pが加えられる外面の点とは反対側の管状部材10の内面の部分に液体を特に向けられている間、可動部分を有する管状部材10の外面に圧力P1、P2が加えられる。例えば、鋳造工程の各段階に対して最適化された特定の液圧力を選択することができ、例えば、突起17、19を形成すべく環状フランジを形成するものとは異なる液圧力を向けてもよい。可動型部23a、23bを同時に、又は順に用いて圧力P1、P2を加えることにより対応する突起17、19を形成することができる。
【0046】
図1A及び1Bに示す液圧成形ステップに続いて、
図1Cに示すように、整形後の管状部材10が管状金型20から除去される。特に、管状金型20は、液体注入ステップの実行中に互いに固定された複数の部分に設けられる。例えば、管状金型20は、
図1A及び1Bに示すように、接続点34で金型の長さ方向に伸びる界面に沿って接続された2個の部分に長さ方向に分割されていてよい。管状金型20の複数の部分は次いで、
図1Cに示すように、整形後の管状部材10を開放すべく開かれる。
【0047】
更なる加工ステップが
図1Cに示す整形後の管状部材10に対して実行され、加熱チャンバ100として用いるための用意を行う。特に、管状部材10は次いで、
図1Dに示すように、環状フランジ14を貫通して切断されて管状部材10の開放端12の周囲に周縁平坦リップ15が設けられてよい。これは、
図1Cに示すように、環状フランジ14を切断線C
1に沿って半径方向に最初に切断して管状部材10の長さを短縮することにより実現できる。管状部材10は次いで、管状軸と平行な方向に、切断線C
2に沿って環状フランジ14の側壁14aを貫通して再び切断される。このように環状フランジ14を矯正することにより、
図1Dに示すように、管状部材10の開放端12の周縁に沿って平坦な周縁リップ15が設けられる。周縁リップ15は、エアロゾル生成装置内の加熱チャンバ100として用いる場合に管状部材10を装着するのに特に役立つ。
図1A~1Dに示す液圧成形方法は、周縁リップ15の厚さ11tを精密に薄くできるため、エアロゾル生成装置内に加熱チャンバ100を精密に装着することができる。
【0048】
図2に、
図1に示す工程を用いて形成された特に好適な整形された加熱チャンバ100を示す。
図2Aは整形された加熱チャンバ100の側面図を模式的に示しており、
図2B及び2Cは
図2Aの線A-A及びB-Bが示す断面図を示す。上述のように、管状部材10は
図1の方法により整形されて多数の特徴が設けられている。最初に、加熱チャンバ100の長さの中央部に沿って長さ17Lにわたり延在する一連の突出した長細い隆起部17が加熱チャンバ100の内面に設けられる。本例では、加熱チャンバは約31mmの長さに切断され、長細い突起は約12mmの長さ17Lを有し、チャンバ100の両端12、13から間隔が空けられている。
図2Cの断面図に示すように複数のこのような突起17が加熱チャンバ100の周縁に沿って周期的に設けられていて、突起は半径が約0.15mmのきつく湾曲して丸められた断面を有している。特に、4個の突起17が周縁に沿って90°の間隔を空けて設けられていてよい。
【0049】
これらの突起17は、加熱チャンバ100から受容された消耗品への熱伝導を向上させるべく加熱チャンバ100内に受容された消耗品に押し込まれるように配置されている。突起17はまた、空気が開放側から閉鎖側へ流れるように突起間で充分な隙間が維持されることを保証する。突起17はまた、例えば隆起していて容易に変形しない消耗品の部分に当接することにより、消耗品をチャンバ内に挿入する距離を制限することによりチャンバ100内への消耗品の更なる挿入を防止するのにも役立つ。これは、消耗品の堅い部分が突起の先端に接触した後の更なる挿入を制限することにより消耗品がチャンバ100内で正しい挿入深さに置かれることを保証できる。
【0050】
追加的な点突起19、すなわち「把持突起」19もまた
図2Bに示すように加熱チャンバ100の周縁を設けられる。把持突起19は、上述のように第2の可動金型部23bを備えていてよい。この場合も再び、4個の把持突起が、90°の突起間隔で角度的に分離されている。把持突起19は、使用中の加熱チャンバ内で消耗品を把持及び配置するのに役立ち得る。上述のように、第2の可動金型部23bは、形成された管状部材10が所定サイズに切断された際に、加熱チャンバ100の開放端12から所定の距離に把持突起19が設けられるように、金型の環状窪み22から所定の距離に配置されている。可能なモードにおいて、点突起19が省略されて長細い突起17だけが形成される。
【0051】
図2Aはまた、環状フランジ14を切断することにより形成されてチャンバの開放端12の周囲に設けられた周縁平坦リップ15を示す。
図2Aに明快に示すように、周縁リップ15は、チャンバ100の残りの側壁11の厚さ11tに対応する約0.07~0.09mmの薄い厚さ12tを有し、これはエアロゾル生成装置内での加熱チャンバ100の装着に用いる場合に有利である。加熱チャンバ100の基部はより厚い約0.4mmの厚さ13tを有し、これは加熱チャンバ100に構造安定性をもたらすのに役立ち得る。側壁の厚さ11t及び基部の厚さ13tは、
図3A~3Cを参照しながら以下に記述するように、液圧成形の前に管状部材10の初期形成中に設定されてよい。
【0052】
図3に、液圧成形用に初期管状部材10を設けるための、加熱チャンバ100の製造方法における追加的初期ステップを示す。本工程は、
図3A及び3Bに示すように金属シート40から金属無地円盤41を切断し、次いで
図4に示すように、液圧成形の用意ができている管状部材10にディスク41を深絞りするステップを含んでいる。
【0053】
特に、
図4Aに示すように、多段押圧を用いて金属細片40から丸められたプレート41を切断してこれらを小型カップ43に形成してもよい。これは、金属シートのロール42が
図3Bに示すように穿孔されて初期金属無地円盤41を設けて、
図4Aに示す初期短カップ42に押圧する自動化された工程の一部であってよい。これらは例えばパラフィンを用いて洗浄及び削減し、その後真空焼きなましを行うことができる。これに続いて本発明による方法で用いる管状部材10を形成すべく複数のステップでカップ43を深絞りして薄壁管に形成することができる。中間的な焼きなましステップで金属を軟化させることにより、必要な長さに金属カップを深絞りすることが更に容易になる。
【0054】
図4に示すように、深絞り工程の実行中、基部の厚さ13tがほぼ一定のままであるのに対し、初期カップ43が漸進的深絞りにより引っ張られて最終的な管状部材10になるに従い側壁の厚さ11tは次第に薄くなる。金属無地円盤41tの初期厚は、壁厚を0.1mm未満に薄くすべく
図3Cに示すように漸進的に絞られる前は約0.4mmであり、基部での厚さは0.4mmのままである。側壁厚を更に薄くすべく、
図4B~4Dに模式的に示すようにしごき加工を用いることができる。この深絞り工程により、横壁厚が0.07~0.09mmである管状壁を有する管状カップを設けることができる。この厚さ範囲は、充分に機械的に安定な構造を維持しながら、使用中に加熱チャンバを通る加熱消耗品への熱伝導を向上させることができる。
【0055】
深絞り工程はまた、管状部材10の基部13に凹部18を設ける。これは、取り込んだ空気が消耗品の終端を貫通して流れるための隙間を残しながら、消耗品を底部に保持するために有利であり得る。これはまた、加熱チャンバ100をエアロゾル生成装置に装着する際に有利であり得る。複数段深絞り工程に続いて、真空又は不活性ガスを用いて管状部材を再び焼きなますことができる。例えば、初期深絞りにより形成された管状カップは、例えば10-2~10-4mbarの圧力で低圧真空炉又は不活性ガス炉で焼きなますことができる。圧力又は不活性ガスの減少により、管状カップの表面が酸化に対して保護される。深絞り中の金属の塑性変形に起因して、管状カップが極めて硬くなり得るが、これは焼きなましステップにより、液圧成形中に管状部材の鋳造をより容易にすべく解決される。その結果得られた管状部材10は次いで、
図1A~1Dに示す液圧成形工程で用いて整形された加熱チャンバ100を形成することができる。
【0056】
図5に、本発明による方法により製造されたエアロゾル生成装置200に用いる加熱チャンバ100を示す。特に、加熱チャンバ100は、ユーザーが吸入するエアロゾルを生成すべく加熱される消耗品210を受容する装置の一端に設けられた開放端12を有するエアロゾル生成装置内に装着されている。加熱チャンバ100は好適には、チャンバの側壁及び内部体積を加熱すべく外面の周囲が薄膜ヒーター220で巻かれている。薄膜ヒーター210は、チャンバ100を制御温度に加熱すべく薄膜ヒーターに選択的に電力を提供すべくPCB201及び電池202に接続されている。加熱チャンバ100の管状側壁11の厚さ11tを精密に制御して、0.15mm以下の薄い厚さに維持できるため、薄膜ヒーター220からチャンバの内部体積への熱伝導が向上する。更に、突起17、19を加熱チャンバ100の内面に高い精度で形成できるため、加熱チャンバ100内への消耗品210の挿入を阻害するほどは延在することなく、突起の延長の厚さ及び距離を慎重に制御して必要とされる把持を提供すると共に消耗品210への熱伝導を向上させることができる。
【0057】
長細い突起17は、エアロゾル生成部分212が薄膜ヒーター220により効率的に加熱されるように消耗品210を正しい位置に保持しながら、消耗品210のエアロゾル生成部分212を係合させ、消耗品210がチャンバ100内に挿入されるに従い消耗品210の堅い部分211と接触して消耗品210の更なる挿入を防止すべく高い精度で配置することができる。加熱チャンバ100の基部13の厚さ13tが増大することで、装置内で加熱チャンバ100が用いられた場合に構造的剛性を提供する。加熱チャンバ100の基部13に設けられた中央突起18が消耗品210の表面に接触して更なる挿入を防止して、チャンバ100に受容された際の消耗品210の露出した周縁部分の周囲に空気流路を生成できるようにする。
【0058】
本発明による方法は、薄膜ヒーターから消耗品への熱伝導が最適化されるように加熱チャンバの厚さを薄くすべく加熱チャンバ側壁の厚さの正確な制御を保証する重要な問題を解決する。特に、本発明は管状部材の整形後の側壁を0.1mm以下、好適には0.8~0.9mmに制御できるようにする。制御された薄い厚さはまた、特にエアロゾル生成装置200の本体内の対応する窪みに受容される周縁平坦リップ15を介した熱チャンバの装着に役立つ。本発明の方法は、最小で0.01mm及び±5°の角度まで寸法の制御を可能にする。本発明はまた、高い幾何学的精度、特に極めて短い半径、例えば表面特徴の0.1~0.2mmの曲率半径を可能にする突起の形状の精密な制御を可能にする。本発明の方法は従って、薄膜ヒーター又はエアロゾル生成装置200の消耗品210又は材料を過剰に加熱することなく、効率的なエアロゾル解放を行うべく特定のウインドウ内での加熱温度を制御するために加熱温度の精密な制御が必要とされる、特にエアロゾル生成装置での使用に適した加熱チャンバの製造技術を提供する。